【DRY-RUN】○ 主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 ○ 事実 第一 当事者の求める裁判 一 請求の趣旨 1 被告が公調委昭和五六年(フ)第一号岩石採取計画認可処分取消裁定申請事件 につき、
○ 主文原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 ○ 事実第一当事者の求める裁判一請求の趣旨 1 被告が公調委昭和五六年(フ)第一号岩石採取計画認可処分取消裁定申請事件につき、昭和五六年一二月一七日にした裁定を取り消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 との判決二請求の趣旨に対する答弁主文同旨の判決第二当事者の主張一請求原因 1 原告は、昭和五六年一月九日付をもつて、被告に対し、高知県知事(以下「処分庁」という。)が訴外田中オリビン礦業株式会社(以下「訴外会社」という。)に対し昭和五五年八月一一日付でした岩石採取計画認可処分(以下「本件認可処分」という。)の取消しを求める裁定申請をしたが(公調委昭和五六年(フ)第一号事件)、被告は、昭和五六年一二月一七日別紙のとおり右申請を棄却する旨の裁定(以下「本件裁定」という。)をした。 2 しかし、本件裁定は、以下の理由により取り消されるべきものである。 (一) (1)本件裁定は、「訴外会社が本件認可申請書に添付した訴外A作成の「金山の所有権に係る証明書」(以下「本件証明書」という。)は、岩石採取計画の認可を申請する採石業者が採石法第三三条の三第二項同法施行規則第八条の一五第二項第七号の規定により、申請書に添付すべきものとされる「岩石採取場で岩石の採取を行なうことについて申請者が権限を有することまたは権限を取得する見込みが十分であることを示す書面」(以下「権限を示す書面」という。)に該当しないから、処分庁はかかる認可申請を却下すべき義務がある。」旨の原告の主張について、「採取計画認可申請書に右書面の添付が要求されるのは、採石権原がないか又はこれを取得する見込みのない者を排除して無用な認可処分がされることを防止しようとするに過ぎないものと解されるから、処分庁としては、認 計画認可申請書に右書面の添付が要求されるのは、採石権原がないか又はこれを取得する見込みのない者を排除して無用な認可処分がされることを防止しようとするに過ぎないものと解されるから、処分庁としては、認可処分当時何らかの事由により採石権設定者に実体上その権原のないことを知つている等特段の事情が存在しない限り、右添付書面により採石権原又はその取得の見込みを一応認定することが可能である以上は、更に進んで実体に立入つて審査する義務はないというべきである。」としたうえ、訴外A・訴外会社間の採石権設定契約書及び本件証明書をもつて「権限を示す書面」に該当するとした処分庁の判断は是認することができる旨判示し、前記主張を排斥している。 (3) しかし、採取計画認可申請書に「権限を示す書面」の添付が要求される理由は、本件裁定の説示するところにとどまるものではない。すなわち、採石権原又はこれを取得する見込みのない者が採取計画認可申請をし、認可を得て岩石の採取を行えば、当該土地の所有権等の財産権を侵害することは明らかであり、このような違法な採石行為を事前に防止することも右書面の添付が要求される理由の一つであると解すべきである。 そして、本件認可申請書に添付された書面によれば、本件土地の登記名義人と訴外会社に採石権を設定した者との間に不整合があること、すなわち、訴外会社は本件土地の共有名義人の一人である訴外Aとの間に採石権設定契約を締結しているにすぎないことが明らかであるところ、この場合、前記「権限を示す書面」としては、訴外Aが登記簿の記載にもがかわらず本件土地の単独所有者であることを証する書面か、同訴外人以外の共有者全員も訴外会社に対し本件土地における採石を承諾する旨の契約書又は予約契約書しか考えられない。ところで、本件証明書は、訴外Aが自己の単独所有権を一方 者であることを証する書面か、同訴外人以外の共有者全員も訴外会社に対し本件土地における採石を承諾する旨の契約書又は予約契約書しか考えられない。ところで、本件証明書は、訴外Aが自己の単独所有権を一方的に主張する書面にすぎず、右にいう単独所有者であることを証する書面にあたらないことは明らかであり、しかもこれに添付された資料自体の中にも、訴外A以外の原告を含共有名義人が本件土地につき現に共有持分権を有しており、本件土地が同訴外人の単独所有に属するものではないことを示す証拠が見出されるのに、処分庁は、訴外A以外の共有名義人について事情聴取その他何らの調査もしていない。また、同訴外人以外の共有名義人が訴外会社の本件土地における採石を承諾する旨の書面は当然のことながら処分庁に提出されていない。 したがつて、本件認可申請書に添付されている書面は、「権限を示す書面」に該当しないことが一見して明らかであり、処分庁としては、右書面によつては、訴外会社の採石権原又はその取得の見込みをたとえ一応たりとも認定することができないはずであるのみならず、かえつて、訴外会社に実体上採石権原のないことを極めて容易に知りえたものというべきであり、本件認可処分は、認可申請書に「権限を示す書面」の添付がないにもかかわらず行なわれた違法なものといわなければならない。 (3) 右の次第であるから、原告の前記主張を排斥した本件裁定は、採石法第三三条の三第二項、同法施行規則第八条の一五第二項第七号の規定の解釈、適用を誤つている。 (二) 本件裁定は、「採石権原のない訴外会社からされた本件認可申請は、原告の財産権(共有持分権)を侵害することとなるから、採石法第三三条の四に定める公共の福祉に反する場合にあたる。」旨の原告の主張について、右規定は、専ら公益的見地から採取計画を規制しようとする は、原告の財産権(共有持分権)を侵害することとなるから、採石法第三三条の四に定める公共の福祉に反する場合にあたる。」旨の原告の主張について、右規定は、専ら公益的見地から採取計画を規制しようとするための基準を定めるものであつて、私人の土地所有権等を保護しようとするものではないとして、右主張を排斥している。 しかし、「公共の福祉」とは、個人の人権相互の間の矛盾、衝突を調整する原理としての実質的公平の原理をいうのであり、右規定の趣旨は、採石権を行使し財産的利益を得る権利と他の権利、権益との調整を図ることにあるものと解されるから、他の権利、権益を公益に限定する理由は全くなく、それが私人の土地所有権であつても、右規定により保護されるべき十分な理由がある。しかも、本件においては、訴外会社は、採石権原を有せず、採石により財産的利益を得る権利がそもそもないのである。 したがつて、本件裁定は、右規定の解釈、適用を誤つている。 3 原告は、新たな証拠として、甲第一、第二号証を提出する。 原告は、本件土地の共有者であるB外一名と共に本件土地の不法占拠者を被告として、高知地方裁判所に損害賠償請求訴訟を提起し、係争中であるが、右訴訟のための証拠資料を探索中、本件裁定がされた後である昭和五七年一月中旬ころ、Bが保管する書類の中から甲第一、第二号証を発見した。原告は、それまで右証拠の存在すら知らなかつたから、裁定委員会の審理に際して右証拠を提出することができず、かつ、これを提出できなかつたことについて原告に過失はない。 右甲第一、第二号証は、訴外A作成の本件証明書の証載内容及びその添付資料と明らかに相反するものであり、処分庁は、本件認可処分にあたり、調査をすれば、これらを容易に入手することができ、これらと対比すれば、本件証明書が「権限を示す書面」に該当しないことが一層 その添付資料と明らかに相反するものであり、処分庁は、本件認可処分にあたり、調査をすれば、これらを容易に入手することができ、これらと対比すれば、本件証明書が「権限を示す書面」に該当しないことが一層明白となつたはずであるのに、漫然本件証明書のみをもつて右書面に該当するものと判断したものである。したがつて、右証拠が裁定委員会の審理において取り調べられていれば、本件裁定の判断は当然異なるものとなつたはずであるから、さらに右証拠を取り調べるため、本件は裁定委員会に差し戻されるべきである。 4 よつて、本訴請求に及んだ。 二、 請求原因に対する認否及び反論 1 請求原因1は認める。 2 (一)(1)同2(一)(1)は認める。 (2) 同2(一)(2)のうち、本件認可申請書に添付された書面によれば、本件土地の登記名義人と訴外会社に採石権を設定した者との間に不整合があること、処分庁が訴外A以外の共有名義人について格別の調査をしていないこと、同訴外人以外の共有名義人による訴外会社の採石を承諾する旨の書面が処分庁に提出されていないことは争わないが、その余は争う。 採石法上岩石採取の権原につき都道府県知事に実質的審査を義務づけた規定がなく、都道府県知事としては、私法上の権利関係である採石権原の存否を最終的に判断する権限を有しないことにかんがみると、同法施行規則第八条の一五第二項第七号の規定は、実体上採石権原のない者による違法な採石行為の防止までも目的とするものとはいえない。 処分庁としては、訴外会社と採石権設定契約を締結している訴外Aが本件上地の単独所有者であることについては確信を抱くに至らなかつたものの、前記不整合を補完するものとして提出された訴外A作成の本件証明書について、同書面の記載内容だけでなく、従前訴外会社の操業につき何らの紛争も生じていないという経 ついては確信を抱くに至らなかつたものの、前記不整合を補完するものとして提出された訴外A作成の本件証明書について、同書面の記載内容だけでなく、従前訴外会社の操業につき何らの紛争も生じていないという経緯等をも考慮した結果、本件証明書及び訴外A・訴外会社間の採石権設定契約書をもつて認可申請に必要な「権限を示す書面」に該当すると判断したものであつて、処分庁には、採石権原につき実質的審査義務がなく、その存否を最終的に判定する権限がないことにかんがみ、処分庁の右判断は是認されるべきである。 (3) 同2(一)(3)は争う。 (二) 同2(二)は争う。採石法第三三条の四の規定は、採石業の実施に伴う被害防止のため、公共の福祉を優先する観点から、同条に規定する場合に限つて岩石採取の自由を制限するものであるから、同条自体は、直接、私人の土地所有権等を保護しようとするものではない。 3 同3は争う。 裁定委員会の審理においては、本件土地の所有権をめぐる経緯に関し、甲第一、第二号証と同旨の本件証明書(添付資料を含む。)が提出されており、原告主張の損害賠償請求訴訟の共同原告である本件原告としては、甲第一、第二号証のような証拠の存否についても当然検討を行い、右審理当時右証拠の存在を知つていたか、又は少なくとも容易に知りえたものというべきである。したがつて、右証拠の申出は、鉱業等に係る土地利用の調整手続等に関する法律第五三条第一項第二号所定の要件を具備しない不適法なものである。 仮に、右証拠の申出が右要件を具備しているとしても、本件裁定は、関係証拠により、本件土地の権利関係につき紛争が存在し、訴外会社の採石権原が必ずしも明確であるとはいい難い事実はこれを肯定しているのであり、本件の争点は、右紛争が存在するにもかかわらず、本件証明書及び本件採石権設定契約書を、その記載内 つき紛争が存在し、訴外会社の採石権原が必ずしも明確であるとはいい難い事実はこれを肯定しているのであり、本件の争点は、右紛争が存在するにもかかわらず、本件証明書及び本件採石権設定契約書を、その記載内容のほか従前の経緯等客観的事情をも総合考慮して「権限を示す書面」に該当するとした処分庁の判断の当否にあるのであつて、右権利関係の存否自体にあるのではないから、甲第一、第二号証は、本件裁定の結論に影響を及ぼすものではなく、これを取り調べる必要がない。 第三証拠関係(省略)○ 理由一請求原因1の事実は当事者間に争いがない。 二原告は、請求原因2において本件裁定が取り消されるべきものであると主張するので、以下検討する。 1 請求原因2(一)について。 本件認可申請書に添付された書面によれば、本件土地の登記名義人と訴外会社に採石権を設定した者との間に不整合があること、処分庁が訴外A以外の共有名義人について格別の調査をしていないこと、同訴外人以外の共有名義人による訴外会社の本件土地における採石を承諾する旨の書面が処分庁に提出されていないことは、いずれも当事者間に争いがない。 原告は、採石権原のない者による違法な採石行為を事前に防止することも、採石法第三三条の三第二項、同法施行規則第八条の一五第二項第七号の規定が「権限を示す書面」の添付を要求する理由の一つであると主張するが、採石法には、採石業者からの岩石採取計画の認可申請を審査するにあたり、都道府県知事に私法上の権利関係である申請者の採石権原の有無を審査する義務がある旨を定めた規定がないこと、また、都道府県知事には右採石権原の有無を最終的に判断する権限はなく、申請に対し認可処分がされたからといつて、岩石の採取が禁止されていることに伴う公法上の不作為義務が解除されるにとどまり、採石権原が新たに設定さ 県知事には右採石権原の有無を最終的に判断する権限はなく、申請に対し認可処分がされたからといつて、岩石の採取が禁止されていることに伴う公法上の不作為義務が解除されるにとどまり、採石権原が新たに設定されるものでないことはもちろん、その存在が公権的に確定されることになるものではないことに照らすと、右規定が「権限を示す書面」の添付を要求する趣旨は、本件裁定が説示するとおり、採石権原がないか、又はこれを取得する見込みのない者を可能なかぎり排除して無用な認可処分のされることを防止しようとすることにあるにすぎないものと解するのが相当であり、右規定が採石権原のない者による違法な採石行為の防止を直接の目的とするものとは解されないというほかない。そして、右に述べた右規定の趣旨からすれば、都道府県知事としでは、認可処分当時何らかの事由により認可申請者に実体上採石権原のないことを知つている等の特段の事情がない限り、添付された書面により採石権原又はその取得の見込みを一応認定することが可能である以上は、更に進んで実体に立ち人つて審査する義務はなく、かつ、当該書面がそれによつて右認定をすることのできる書面として、前記規定の要求する「権限を示す書面」に該当するものであるか否かを判断するにあたつては、単に書面の記載だけではなく、当該土地の現実の利用状況や認可申請者の操業をめぐる紛争の有無など従前の経緯をも考慮に入れることかできるものと解するのが相当である。 これを本件についてみるに、本件裁定がその理由第二の二の(一)ないし(四)において認定した事実関係及びその説示するところによれば、訴外会社と採石権設定契約を締結している訴外Aが本件土地の単独所有者であることについては紛争があり、訴外会社の採石権原が必ずしも明確であるとはいい難いものの、本件認可処分当時処分庁において、 れば、訴外会社と採石権設定契約を締結している訴外Aが本件土地の単独所有者であることについては紛争があり、訴外会社の採石権原が必ずしも明確であるとはいい難いものの、本件認可処分当時処分庁において、訴外会社に採石権原のないことを知つていた等の前記特段の事情は存しないというのであるから、右認定の事実関係、就中、本件土地の一部が事実上分割占有されている状態であり、また、訴外会社の操業に関し従来何らの紛争も生じていなかつたという客観的事情を訴外A・訴外会社間の採石権設定契約書及び本件証明書と総合考慮するときは、右各書面により訴外会社の採石権原又はその取得の見込みを一応認定することが可能であるというべきである。したがつて、訴外A以外の共有名義人について格別の調査をすることなく、右各書面をもつて「権限を示す書面」に該当するものとした処分庁の措置、判断はこれを是認することができ、右と同旨の本件裁定の判断は正当である。 よつて、原告の請求原因2(一)の主張は採用することができない。 2 請求原因2(二)について。 採石法第三三条の四は、「都道府県知事は、第三三条の認可の申請があつた場合において、当該申請に係る採取計画に基づいて行なう岩石の採取が他人に危害を及ぼし、公共の用に供する施設を損傷」、又は農業、林業若しくはその他の産業の利益を損じ、公共の福祉に反すると認めるときは、同条の認可をしてはならない。」と定めているところ、右規定は、その文理に照らし、専ら公益的見地から採取計画を規制するところにその趣旨があるのであつて、採石の行なわれる土地について私人が有する所有権等の私法上の権利を保護しようとするものではないことは明らかである。したがつて、本件において、仮に、訴外会社の採石行為により原告の本件土地に対する共有持分権が侵害されることとなるとしても、これをも 権等の私法上の権利を保護しようとするものではないことは明らかである。したがつて、本件において、仮に、訴外会社の採石行為により原告の本件土地に対する共有持分権が侵害されることとなるとしても、これをもつて直ちに、右規定にいう公共の福祉に反する場合に該当するものとすることはできない。右と同旨の本件裁定の判断は正当であり、原告の請求原因2(二)の主張は採用することができない。 三原告は、新たな証拠として甲第一、第二号証を提出するが、記録によれば、本件において裁定委員会の審理の終結した日は昭和五六年一一月六日であるところ、原本の存在及び成立に争いのない乙第一号証の一ないし四、同第二号証の一、二、同第三号証及び原告本人尋問の結果に右甲第一、第二号証の存在自体をあわせれば、本件原告外二名を原告とし、四国車体工業株式会社外一名を被告とする高知地方裁判所昭和五五年(ワ)第一五五号損害賠償請求事件外三件の併合事件において、本件原告は、その訴訟代理人(松岡泰洪外一名)により、昭和五六年三月五日の第八回口頭弁論期日に本件甲第一号証を甲第二五号証として、同年一〇月一日の第一二回口頭弁論期日に本件甲第二号証を甲第四七号証としてそれぞれ提出していることが認められ、右事実に照らすと、原告の前記新たな証拠の申出は、鉱業等に係る土地利用の調整手続等に関する法律第五三条第一項第二号所定の要件を具備しているものとは認められないというほかないから、これを却下すべきである。よつて、原告の請求原因3の主張も失当である。 四以上の次第で、原告の本訴請求は理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法第七条、民事訴訟法第八九条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官鈴木潔河本誠之松岡靖光)公調委昭和五六年(フ)第一号裁定高知市<地名略> し、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法第七条、民事訴訟法第八九条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官鈴木潔河本誠之松岡靖光)公調委昭和五六年(フ)第一号裁定高知市<地名略>申請人 C右代理人弁護士 D高知市<地名略>処分庁高知県知事右代理人弁護士 E右代理人 F同 G同 H同 I右当事者間の昭和五六年(フ)第一号岩石採取計画認可処分取消裁定申請事件について、当委員会は、次のとおり裁定する。 (原裁判等の表示)○ 主文申請人の申請を棄却する。 ○ 事実(事件関係人の申立て)第一申請人処分庁が申請外田中オリビン礦業株式会社に対し昭和五五年八月一一日付けでした岩石採取計画認可処分を取消すとの裁定を求める。 第二処分庁一本案前の申立て申請人の申請を却下するとの裁定を求める。 二本案に対する答弁申請人の申請を棄却するとの裁定を求める。 (事件関係人の主張)第一申請人の主張一申請外田中オリビン礦業株式会社(以下「申請外会社」という。)は、処分庁に対し、昭和五五年五月一九日付けで高知市<地名略>、山林、一八万四、六六一平方メートル(以下「本件土地」という。)を採取計画の対象地域に含む岩石採取計画認可申請(以下「本件認可申請」という。)をし、これに対して処分庁は、同年八月一一日付けで右採取計画の認可処分(以下「本件認可処分」という。)をした。 二しかしながら、本件認可処分は、次の理由により違法であるから取消されるべきである。 (一) 申請人は、本件土地につき一七五分の一の割合による共有持分権を有する者であるが、申請外会社は、本件認可申請にあたり、申請人との間で何ら採石契約を締結せず、一切その同意を得ていないものであつて、本件認可申請 は、本件土地につき一七五分の一の割合による共有持分権を有する者であるが、申請外会社は、本件認可申請にあたり、申請人との間で何ら採石契約を締結せず、一切その同意を得ていないものであつて、本件認可申請は、右申請人の財産権を侵害することとなるから、採石法第三三条の四に定める「公共の福祉に反する」場合にあたることが明らかである。 (二) 本件認可申請をするにあたり、申請外会社が同法第三三条の三第二項に基づき認可申請書に添付した申請外A作成「金山の所有権に係る証明書」(以下「本件証明書」という。)は、同法施行規則第八条の一五第二項第七号に規定する「岩石採取場で岩石の採取を行なうことについて申請者が権限を有することまたは権限を取得する見込みが十分であることを示す書面」(以下「権限を示す書面」という。)に該当しない。すなわち、申請人が本件土地につき一七五分の一の共有持分権を有することは、土地登記簿謄本の記載から明らかであるのに対し、「本件証明書」は作成者Aの単なる主張に過ぎず、申請人の共有持分権が同人に移転した過程も不明であつて、到底右登記による推定を覆えずに足りないものであり、処分庁にはこのような採石権原の不明確な申請を却下すべき義務がある。 三裁定申請期間を徒過しているとの処分庁の主張は争う。 (一) 申請人が本件認可処分を知つたのは、昭和五五年一一月一四日であつて、同日処分庁から申請人宛送付された同月一二日付け高知県知事作成「採石法第三三条採取計画の認可についての異議申立書について」と題する書面中に本件認可処分がされた旨記載されていたことによるものである。 申請人は、同年九月二二日処分庁に対して異議申立書を提出したが、この異議申立ての対象となる処分は、申請人が採取現場の標識によつて知つた昭和四九年一月二一日及び同五四年一月の各認可処分である。申 る。 申請人は、同年九月二二日処分庁に対して異議申立書を提出したが、この異議申立ての対象となる処分は、申請人が採取現場の標識によつて知つた昭和四九年一月二一日及び同五四年一月の各認可処分である。申請人としては、右五四年認可処分の認可期間が同年二月一日から同五七年一月三一日までの三年間となつていたため、前記異議申立て当時既に本件認可処分がされていることを全く予想できず、そのため右申立書には本件認可処分を表示しなかつたものである。 また、申請人は、昭和五五年五月ころ、J県会議員に対し、申請外会社による本件土地の採石問題について相談したが、その後同議員から「本件証明書」のコピーを渡されただけで、同議員は他言を禁じられているとして「本件証明書」入手の経緯や本件認可申請との関連等については何ら説明せず、その後同議員との関係は解消している。したがつて、同議員から本件認可処分について知らされた事実はない。 なお、申請人は、本件認可処分を掲示した標識は見ていない。 (二) 仮に、処分庁主張の時期までに申請人が本件認可処分の存在を知つたとしても、前記異議申立書は、利害関係人である申請人の書面による不服申立方法についての教示の請求と解されるところ、これに対する処分庁の口頭及び書面のいずれによる教示においても、裁定の申請期間については教示されていない。これは右期間の定めがない旨の教示と解することができるから、したがつて、鉱業等に係る土地利用の調整手続等に関する法律第二五条第五項により本件裁定申請は、期間内にされたものとみなされるべきである。 四申請利益がないとの処分庁の主張は争う。 採石法施行規則第八条の一五第二項第七号が、岩石採取計画認可申請にあたり添付すべき書類として「権限を示す書面」を定めた目的は、単に無用な申請を排除することだけにとどまらず、採石権原が の主張は争う。 採石法施行規則第八条の一五第二項第七号が、岩石採取計画認可申請にあたり添付すべき書類として「権限を示す書面」を定めた目的は、単に無用な申請を排除することだけにとどまらず、採石権原がないのにあえて岩石を採取することにより、必然的に当該土地所有者らの財産権を侵害する結果となる事態を抑止することをも目的とするものである。岩石採取計画の認可申請は、現実の採石行為を前提とするものであり、右認可処分があれば、採石権限がないにもかかわらず事実上認可を受けた者が採石行為に着手する可能性は十分考えられるから、認可処分権者である処分庁が事前に違法な採石計画を認可しないことによつて、土地所有者らの財産権が保全される結果となる。したがつて、申請人は、違法な本件認可処分により法律上保護された右利益を侵害された者として裁定申請の利益を有するものである。 五処分庁の主張三(本件認可処分の経緯)の事実中(一)の事実は不知、同(二)の事実中本件土地が共有者の協議により分割されたとの点は否認、その余の事実は不知。 申請人は、分割の協議に参加していないし、分割につき何らの同意も与えていない。四国運輸株式会社らの占有者は、本件土地の一部を勝手に占有使用しているに過ぎない。なお、本件土地に係る採取計画認可処分に対する異議申立てとしては、昭和五五年九月二二日付けのものが最初である。 第二処分庁の主張一本案前の申立ての理由(一) 裁定申請期間の徒過について本件認可処分の日は、昭和五五年八月一一日であるが、申請人は、遅くとも同年九月二七日までに本件認可処分があつたことを知つたものであるから、本件裁定申請は、申請期間を徒過してされた不適法なものである。 すなわち、申請外会社は、同年八月一八日以降採取場の標識に本件認可処分の内容を掲示しているから、日ごろ同所付近を を知つたものであるから、本件裁定申請は、申請期間を徒過してされた不適法なものである。 すなわち、申請外会社は、同年八月一八日以降採取場の標識に本件認可処分の内容を掲示しているから、日ごろ同所付近を通行し、この問題に関心を持つている申請人は、当然右標識を見ていると考えられる。また、申請人の依頼を受けたJ県会議員に対し、処分庁担当者は、「本件証明書」ほか関係資料を示して事情を説明した上、右証明書のコピーを同議員に手交し、その後同年八月一五日ころ、同議員に対し、同月一一日本件処分がされた事実を伝えている。そして、同年九月二二日申請人から提出された異議申立書には、同議員に手交した前記証明書のコピーに基づくものとしか考えられない「A氏の金山所有権に係る証明書について」と題する書面が添付されているのであつて、このような経過に照らすと、申請人は、同議員を通じて本件認可処分の経緯を逐一知つていたものである。このことは、右の異議申立書中に「新らたな採取の認可をされておられる時は」という記載があることからも明らかである。更に、処分庁担当者は、同年九月二七日処分庁を訪れた申請人に対し、本件認可処分がされたことを伝えたところ、申請人は、前記異議申立てには本件認可処分も含まれているから取消されたいと申し述べ、これに対して担当者が、更に、裁定申請庁は国の公害等調整委員会である旨を教示した。申請人は、その後も再三担当者を訪れており、その都度右の趣旨を説明し、前記異議申立書を返戻しようとしたが、申請人は正式な書面で返して欲しいと述べて受領しなかつたため、同年一一月一二日付け書面で同申立書を返戻したものである。このような経過にかんがみると、申請人は、遅くとも同年九月二七日までに、本件認可処分がされた事実を知つたのみならず、これに対する裁定の申請庁をも知つたものであるか 書面で同申立書を返戻したものである。このような経過にかんがみると、申請人は、遅くとも同年九月二七日までに、本件認可処分がされた事実を知つたのみならず、これに対する裁定の申請庁をも知つたものであるから、申請期間の徒過につき何らの正当事由も存在しないものである。 (二) 申請利益の不存在について採石法第三九条第一項の規定によつて裁定の申請ができるのは、同条に定める処分に対し不服を申立てる法律上の利益を有する者、すなわち、当該処分によつて自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害された者に限られると解すべきである。ところで、同法第三三条の認可は、岩石採取に伴う災害防止等に関する設備についての事前審査のために、岩石採取を一般的に禁止し、認可基準に達する設備を有する者について、これを解除して適法に採取できることとしたものであつて、何ら権利を設定するものではなく、単に不作為義務を解除するにとどまる。同法第三三条の三は、岩石採取計画の認可申請をする場合には、通商産業省令で定める書類を添付すべさ旨を規定し、これを受けて採石法施行規則第八条の一五第二項第七号は「権限を示す書面」を定めているが、この規定は、行政上の規制の一つとして、岩石採取計画に係る土地において、岩石を採取する権原のないことが明らかな者による無用な申請を排除することを目的としたものであり、右規定によつて認可を受けた者が何らかの私法上の権利を取得するものではない。したがつて、本件認可により申請人主張の財産権を侵害することはあり得ないから、本件裁定申請は、その利益を欠き不適法である。 二申請人の主張に対する認否一の事実は認める。 二の事実中、申請人が本件土地につき登記簿上その主張する共有持分権を有することは認める。申請人と申請外会社との間に採石契約が存在しないとの点は不知。 その余の 主張に対する認否一の事実は認める。 二の事実中、申請人が本件土地につき登記簿上その主張する共有持分権を有することは認める。申請人と申請外会社との間に採石契約が存在しないとの点は不知。 その余の申請人主張事実は争う。 三本件認可処分の経緯(一) 申請外会社は、昭和四五年六月一八日四国通商産業局長に対して本件土地を含む区域の採石業着手届を提出し、同年七月二三日受理され、以後現在まで右区域で採石業を営んでいる。この間いずれも本件土地を含む右区域につき、昭和四八年一月三〇日、同四九年一月三一日、同五一年一月二九日、同五四年一月一二日にそれぞれ採取計画の認可を受けている。 (二) 右昭和五四年認可処分の認可期間は、同年二月一日から同五七年一月三一日までとなつていたが、申請外会社は、採取区域を拡張する必要が生じたため、右期間経過前の同五五年五月一九日処分庁に対し、本件認可申請書を提出した。 右申請書には、「権限を示す書面」として、申請外会社と本件土地所有者であるAとの間の採石権設定契約書が添付されていた。ところで、本件土地は、もと高知市布師田金山共有山組合員一七五名の共有であつたが、その後共有者の協議に基づいて事実上分割され、現在の登記名義人三四名のうち二四名は、本件土地の一部を現実に占有しており、この占有部分は実際の採取区域外である。しかし、他の非占有者一〇名については、その権利関係が不明確であつたため、この点を明確にするよう指導した結果、申請外会社から右添付書類を補充する書類として「本件証明書」が提出された。 処分庁は、本件土地の前記利用状況及び申請外会社に対しては、既に、昭和四八年一月以降四回にわたり岩石採取計画を認可してきたにもかかわらず、これまで何ら紛争を生じていないこと等の事情を総合して、前記契約書及び「本件証明書」をもつて「権限 請外会社に対しては、既に、昭和四八年一月以降四回にわたり岩石採取計画を認可してきたにもかかわらず、これまで何ら紛争を生じていないこと等の事情を総合して、前記契約書及び「本件証明書」をもつて「権限を示す書面」に該当するものと判断した。 そこで、処分庁は、関係市長である高知市長及び南国市長の意見を聴いた上、現地調査、関係行政機関との協議結果等を総合審査し、昭和五五年八月一一日本件認可処分をしたものである。 (証拠関係)(省略)○ 理由第一処分庁の本案前の申立てに対する判断一申請期間徒過の違法について本件認可処分に対する申請人の裁定申請が昭和五六年一月一二日にされたことは、当委員会に顕著であるところ、処分庁は、申請人が本件認可処分のあつたことを知つたのは、遅くとも昭和五五年九月二七日であると主張し、これに対して、申請人は、同年一一月一四日処分庁から送付された書面によつて、本件認可処分の存在を知つた旨主張するので、この点につき検討すると、申請人本人は、その審問において右主張の日に処分庁から送付のあつた書面により初めて本件認可処分の存在を知つたものであつて、それまでは、採取現場の標識等によつて昭和四九年一月及び同五四年一月の各認可処分についてだけ知つていたこと、そのため、同年九月二二日処分庁に提出した異議申立書も右各認可処分を対象としたものであること、J県会議員からは、「本件証明書」のコピーをもらつたが、その入手の経緯や本件認可申請との関連については説明を受けられず、本件認可処分についても知らされなかつたこと及び処分庁担当者からは、同月末ころ、裁定申請庁の教示を受けただけで、本件認可処分については知らされず、申請人としては、右教示も、前記昭和四九年及び同五四年各認可処分に対する異議申立てに関するものと考えていたこと等の諸事実を陳述して 裁定申請庁の教示を受けただけで、本件認可処分については知らされず、申請人としては、右教示も、前記昭和四九年及び同五四年各認可処分に対する異議申立てに関するものと考えていたこと等の諸事実を陳述している。そして、当事者間に争いのない前記昭和四九年、同五四年各認可処分の存在及び五四年認可の認可期間が昭和五七年一月三一日までとされていた事実、成立に争いのない甲第一〇号証、乙第四号証(昭和五五年九月二二日付異議申立書)には、右従前の各認可処分は掲げられているが、本件認可処分には触れていないこと、参考人Gの審問における陳述によつて認められる、処分庁担当者において、本件認可処分に関しては他言しないようJ県会議員に要望している事実及び申請人本人の法律的知識が十分でないこと等の諸点を考慮すると、申請人本人の右陳述内容は必ずしも不合理、不自然なものとはいえない。処分庁は、申請人が採取現場の標識によつて本件認可処分の存在を知つていたと思われること、J県会議員を通じて本件認可処分の経緯を知つていたこと及び処分庁担当者において、申請人に対し、本件認可処分のあつたことや裁定申請庁につき再三説明していること等を主張し、前記Gも、これに副う陳述をしているけれども、現場標識やJ県会議員によつて本件認可処分を知つたという点は、推測の域を出ないものであり、また、処分庁担当者の口頭による説明の点についても、右Gの陳述によれば、申請人が前記異議申立書を理由を付した正式な書面で返戻するよう求めていることが認められ、申請人が担当者の口頭による説明だけで果して本件認可処分の存在を確知したといえるか甚だ疑問であり、結局右Gの陳述によつても申請人本人の前記陳述の信用性を左右するに足りず、他に処分庁の主張に副う証拠はない。したがつて、申請人が本件認可処分を知つたのは、申請人主張のとおり といえるか甚だ疑問であり、結局右Gの陳述によつても申請人本人の前記陳述の信用性を左右するに足りず、他に処分庁の主張に副う証拠はない。したがつて、申請人が本件認可処分を知つたのは、申請人主張のとおり、昭和五五年一一月一四日であるというべきであつて、その後所定の六〇日以内に本件裁定申請がされているのであるから、申請期間徒過の違法はない。 二申請利益不存在の違法について処分庁は、採石法第三三条の採取計画認可処分は、一般的な岩石採取禁止の不作為義務を解除するにとどまり、認可を受ける者に対して何ら私法上の権利を賦与するものではないから、本件認可処分により申請人の権利を侵害することはあり得ず、本件裁定申請は、その利益を欠く旨主張するので、この点につき検討する。 一般に、行政処分に対して不服申立ができるのは、当該処分によつて自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され、又はこれを侵害されるおそれのある者に限られ、単に反射的ないし事実上の不利益を被るに過ぎない者はこれに含まれないものと解される。そして、採石法第三三条の認可処分が一般的な岩石採取禁止の不作為義務を解除するにとどまり、認可を受けた者がこれによつて私法上採石する権原を取得するものでないことは、処分庁が主張するとおりである。 しかしながら、このことから直ちに、採石権原のない者に対する認可が、当該土地の所有者の法的地位ないし状態に何らの不利益も及ぼさないとは速断できない。すなわち、採取計画の認可によつて、土地所有権の行使が妨げられる採石の権原が設定されるものではないとしても、その認可を受けた採石業者に岩石採取の途を開き、通常、当該土地において採取計画に基づき採石行為に及ぶに至ることは当然予想されるところであり、その蓋然性は極めて高いものといわざるを得ない。そして、もし採石行為がされるに至れ に岩石採取の途を開き、通常、当該土地において採取計画に基づき採石行為に及ぶに至ることは当然予想されるところであり、その蓋然性は極めて高いものといわざるを得ない。そして、もし採石行為がされるに至れば、これに同意していない土地所有者がその所有権を侵害されることとなることは明らかである。したがつて、このような結果を通常伴う採取計画の認可によつて、土地所有者が法律上の不利益を被るであろうことは、これを否定することはできない。もつとも、土地所有者としては、不法に採石行為に及ぶ者に対し、私法上、妨害排除等の物権上の請求ないし不法行為上の損害賠償の請求をすることは可能であろうが、このことは別個の問題であつて、この故をもつて採石計画の認可がなされることにより被るであろう不利益を否定する理由とすることはできない。 殊に、本件においては、申請外会社が長年にわたり本件土地において採石事業を行い、更に採取区域を拡張してこれを継続するために認可申請に及んだものであることは処分庁の自認するところであるから、申請外会社において本件認可処分に基づき引き続き採石事業を継続するであろうことは必至であるとみられる。したがつて、申請人が本件土地に共有持分権を有するか否かは争いのあるところであるが、申請人においてその権利を有することを主張し、本件認可処分によりこれを侵害されることを理由として裁定申請をしている以上、申請人にはこれが申請をする利益を有するものというべきであるから、処分庁の主張は理由がない。 第二本件認可処分の当否一申請人は、本件認可処分は、採石権原のない申請外会社に対してされているから、申請人の共有持分権を侵害するものであり、採石法第三三条の四に定める「公共の福祉に反する」場合の基準に違反すると主張する。しかしながら、同条によつて認可してはならない場合とさ 対してされているから、申請人の共有持分権を侵害するものであり、採石法第三三条の四に定める「公共の福祉に反する」場合の基準に違反すると主張する。しかしながら、同条によつて認可してはならない場合とされるのは、当該申請に係る採取計画に基づいて行う採石行為が他人に危害を及ぼし、公共の用に供する施設を損傷し、又は農業、林業若しくはその他の産業の利益を損じ、かつ、公共の福祉に反する場合をいい、それは専ら公益的見地から採取計画を規制しようとするための基準であつて、私人の土地所有権等を保護しようとするためのものではない。したがつて、採石行為により個々の私法上の権利が侵害されることとなることをもつて、直ちに右の基準に違反するものとはいえないから、右主張は失当である。 二申請人は、本件認可申請にあたり、申請外会社が申請書に添付した「本件証明書」は、作成者Aの単なる主張に過ぎず、「権限を示す書面」に該当しないから、かかる申請は却下すべき義務があると主張する。 (一) 申請外会社が昭和五五年五月一九日付けで処分庁に対し、本件認可申請をし、これに対し、処分庁が同年八月一一日付けで本件認可処分をしたこと、申請人が本件土地につき登記簿上一七五分の一の割合による共有持分権を有すること及び申請外会社が本件認可申請にあたり、申請書に「本件証明書」を添付したことは、当事者間に争いがなく、参考人Gの陳述によつて成立を認め得る乙第一号証の二(契約書)及び同人の陳述によれば、申請外会社は、当初「権限を示す書面」として前記Aとの間の採石権設定契約書を添付して提出したが、処分庁において登記簿上共有名義となつていることとの不整合を指摘した結果、採石権原の点を補充する書面として「本件証明書」を追加提出したことが認められる。 (二) 前記Gの陳述により成立を認め得る乙第二号証(「本件証明 簿上共有名義となつていることとの不整合を指摘した結果、採石権原の点を補充する書面として「本件証明書」を追加提出したことが認められる。 (二) 前記Gの陳述により成立を認め得る乙第二号証(「本件証明書」)、成立に争いのない甲第一号証の一(登記簿謄本)、第七号証(共有者住所氏名持分表写)、第二〇号証(訴状写)、前記G及び申請人本人の各陳述によれば、本件土地は、もと高知市布師田地区民一七五名の共有山林であり、共有者で構成される金山共有山管理組合がこれを管理していたものであるが、昭和四二年六月一五日の組合総会において、出席組合員八九名の賛成により代金一、五〇〇万円で金山温泉開発株式会社に売却することを決め、同四四年右代金のうち共有組合員一六九名分として一、四四八万五、六六六円を受領し、その後順次共有持分権移転登記手続を進めたこと、しかし、共有組合員中申請人を含む一部の者は、これに応ぜず、その後同会社も右移転登記未了者も持分権の譲渡を重ねた結果、本件認可申請当時登記簿上の共有名義人は三四名を数え、そのうち二四名については、本件認可処分の対象区域外の部分を各自占有使用していること、申請人と他の共有名義人二名は、前記認可対象区域外の占有者らを被告として、共有持分権に基づく損害賠償訴訟を昭和五五年四月高知地方裁判所に提起していること並びに「本件証明書」には、前記会社による買収とその後の持分権移転の経過及び右認可対象区域内の土地が総て前記Aの単独所有であり、登記簿上の共有者は単に移転登記手続が未処理であるに過ぎず、この点について紛争が生じた場合は、同人が責任をもつて対処する旨記載されていることが認められる。 (三) 本件土地を対象区域とする岩石採取計画認可処分に対する申請人の最初の異議申立てが昭和五五年九月二二日付けの異議申立書であることは、当事者間に もつて対処する旨記載されていることが認められる。 (三) 本件土地を対象区域とする岩石採取計画認可処分に対する申請人の最初の異議申立てが昭和五五年九月二二日付けの異議申立書であることは、当事者間に争いがなく、また、前記Gの陳述によれば、申請外会社は、昭和四五年九月以降現在まで採石を継続しており、この間通商産業局長への届出及び処分庁による認可が繰り返されて来たこと並びに処分庁は、前記Aの単独所有に確信を抱くに至らなかつたが、申請外会社による操業に関してこれまで何らの紛争も生じていないことにかんがみ、これ以上の資料の提出は望めないとの考えから、前記契約書及び「本件証明書」をもつて「権限を示す書面」に該当するものと判断したことが認められる。 (四) 以上の事実によれば、本件土地の権利関係については紛争が存在し、申請外会社の採石権原が必ずしも明確であるとはいい難い。しかし、処分庁が採石法第三三条の三第二項、同法施行規則第八条の一五第二項第七号の規定により添付を必要とする「権限を示す書面」に該当するか否かを判断するについては、私法上の権利関係たる採石権原の存否を最終的に判断する権限はなく、また、採取計画認可申請書に右書面の添付が要求されるのは、採石権原がないか又はこれを取得する見込みのない者を排除して無用な認可処分がされることを防止しようとするに過ぎないものと解されるから、処分庁としては、認可処分当時何らかの事由により採石権設定者に実体上その権原のないことを知つている等特段の事情が存在しない限り、右添付書面により採石権原又はその取得の見込みを一応認定することが可能である以上は、更に進んで実体に立入つて審査する義務はないというべきである。そして、他方、右の判断にあたつては、単に書面の記載だけではなく、当該土地の現実の利用状況や認可申請者の操業をめ ことが可能である以上は、更に進んで実体に立入つて審査する義務はないというべきである。そして、他方、右の判断にあたつては、単に書面の記載だけではなく、当該土地の現実の利用状況や認可申請者の操業をめぐる紛争の有無なと従前の経緯をも考慮に入れて当該書面が前記法令の求める添付書面に該当するか否かを判断することができるものと解するのが相当である。したがつて、前示のとおり、本件土地の一部が事実上分割占有されている状態であり、また、申請外会社の操業に対し、従来何らの紛争も生じていなかつた本件において、このような客観的事情を前掲契約書及び「本件証明書」と総合するときは、右書面をもつて「権限を示す書面」に該当するとした処分庁の判断は、これを是認ずることができるというべきである。 三以上のとおり、処分庁が申請外会社に対してした本件認可処分には、申請人が主張するような違法、不当な点はないから、本件裁定申請を棄却することとし、主文のとおり裁定する。 昭和五十六年十二月十七日公害等調整委員会裁定委員会裁定委員長 K裁定委員 L裁定委員 M
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