平成18(ワ)19133 地位確認等請求事件(通称 財団法人日本美術刀剣保存協会雇止)

裁判年月日・裁判所
平成20年5月20日 東京地方裁判所
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判決文本文25,752 文字)

- 1 -主文,。 原告らが被告に対し労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する 被告は,原告aに対し,平成18年9月から本判決確定まで,毎月10日限り69万0076円,毎年6月15日限り168万3794円及び毎年12月10日限り184万4156円並びにこれらに対する各支払期日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告は,原告bに対し,63万3326円及びこれに対する平成18年12月11日から支払済みまで年5分の割合による金員並びに平成19年4月から本判決確定まで,毎月10日限り36万7268円,毎年6月15日限り82万8063円及び毎年12月10日限り90万6926円並びにこれらに対する各支払期日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告は,原告cに対し,59万9838円及びこれに対する平成18年12月11日から支払済みまで年5分の割合による金員並びに平成19年1月から本判決確定まで,毎月10日限り35万0208円,毎年6月15日限り79万7487円及び毎年12月10日限り87万3438円並びにこれらに対する各支払期日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 訴訟費用は被告の負担とする。 この判決の第2項ないし第4項は,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1請求主文同旨第2事案の概要本件は,被告に雇用されていた原告らが,被告から解雇又は雇止めをされたため,解雇又は雇止めは無効であると主張して,労働契約上の地位の確認並びに未払賃金(賞与を含む)及び遅延損害金の支払を求める事案である。 。 争いのない事実及び弁論の全趣旨から明らかな事実(文中では「争いのない- 2 -事実」と表記する)。 ( )被告は,美術工芸品としての価値 含む)及び遅延損害金の支払を求める事案である。 。 争いのない事実及び弁論の全趣旨から明らかな事実(文中では「争いのない- 2 -事実」と表記する)。 ( )被告は,美術工芸品としての価値のある刀剣類の保存及び公開並びに無 形文化財としての日本刀の鍛造技術・研磨技術・刀装製作技術等の保存向上,及び日本刀の製作に必要な材料の確保を図るとともに,これらに関する調査研究と鑑賞指導を行い,我が国の文化の普及と文化財の保護に寄与することを目的とする財団法人である。 ( )原告aは,被告と雇用契約を締結して,平成16年5月11日より被告 に勤務し,事務局長を務めてきた者である。同bは,警視庁を退職後,被告と雇用契約を締結して,平成12年4月1日から被告に勤務し,会計課長を。 ,,,務めてきた者である同cは警視庁を退職後被告と雇用契約を締結して平成12年3月1日から被告に勤務し,管理課長兼庶務課長を務めてきた者である。 ( )被告は,美術刀剣類及び刀装・刀装具を審査し,保存・特別保存刀剣の ,。 ,鑑定及び重要・特別重要刀剣の指定を行いその台帳を作成しているまた重要・特別重要刀剣については図譜を作成し,資料として整備している。 平成13年に文化庁の実地検査があり,同年10月16日付け学芸課長文書「実地検査の結果について(通知」には「刀剣及び刀装具の審査につ),いては,今後は財団の役員,職員ならびにその親族は申請しないように改善していただきたい」との記載があった。 ( )平成18年5月17日,文化庁文化財部美術学芸課美術館・歴史博物館 室d室長から被告に対し,刀剣審査について一部の役員と一部の業者の癒着があるとの通報があったので,文書により回答するようにと求められ,e専務理事,常務理事兼事務局長である原告a,f ・歴史博物館 室d室長から被告に対し,刀剣審査について一部の役員と一部の業者の癒着があるとの通報があったので,文書により回答するようにと求められ,e専務理事,常務理事兼事務局長である原告a,f前学芸部長が回答書を提出した。またe専務理事及び同原告に対する同庁のヒヤリングも行われた。 同庁は,この件につき,同年7月24日付け前記d室長名の事務連絡(乙52)により「適式な報告書を協会内での適正な手続きを経た上で至,……- 3 -急提出くださるよう再度依頼します」と求めた。 。 ( )同年8月9日,e専務理事(会長代行)は,同月14日に緊急理事会を 開催する旨の内容の「緊急理事会の開催について」と題する文書を被告の各。 ,。 理事宛発送した同日常務理事兼事務局長である原告aは休暇中であった( )同月14日,8名の理事が被告に出頭したが,その中には,平成16年 5月21日に理事に就任してから一度も理事会に出席したことがなかったg理事も含まれていた。同理事は,上記8名の理事による「緊急理事会」の終了後,順次,原告b及び同cを理事会会場に呼び入れた。同理事は,原告b及び同cに対し,自らが会長になり,原告aは文化庁に勝手に協会文書を提出したので「解職」したと述べた。さらに,原告b及び同cに対し「緊急,理事会」の開催の手続の正当性に異議を唱え非協力であったことを理由に,1か月の自宅待機の後解職とする旨告げた。 ( )被告は,同月15日ころ,被告の事務室の入口ドアに「告a事務局 ,長は,本日をもって解職となりました。c庶務課長(管理課長兼務,b会)計課長は1か月の自宅待機の後,解職となります。以上,事務連絡いたします」との同月14日付けのg被告会長名の文書を掲示した。さらに,専務。 理事と事務局長が使用していた理事室を施 課長兼務,b会)計課長は1か月の自宅待機の後,解職となります。以上,事務連絡いたします」との同月14日付けのg被告会長名の文書を掲示した。さらに,専務。 理事と事務局長が使用していた理事室を施錠し,その入口ドアに「e専務,理事の許可なく立入を禁ず」との同日付けの同理事名の文書を掲示した。 ( )被告は,原告aに対し,同月24日付け通告書(甲1)を送付し,被告 就業規則26条によれば,満70歳が定年であるところ,同原告は同年2月,,末日に既にこれに達していたものの退職の手続が延び延びとなっていたが,,,本年8月末日をもって定年退職とし本文書をもって通告すると通知して雇止めの意思表示をした。 被告は,原告bに対し,同月24日け付通告書(甲2)を送付し,同規則26条によれば,満60歳を定年とし,その後は「満70才を限度として1年毎に雇用を継続することができる」と定められているところ,同原告は,- 4 -平成12年4月1日に雇用され,その後1年毎に雇用が継続されてきたが,平成19年3月末日で1年毎の雇用継続を終了するので,本文書をもって通告する,なお,同年3月末日までは出社に及ばず自宅待機とする,と通知して,雇止めの意思表示をした。 被告は,原告cに対し,同bと同日付けの通告書(甲3)を送付し,同規則の同規定を引用して,原告cは平成12年3月1日に被告に雇用され,▲年▲月▲日をもって満60歳を迎えたため,同年12月末が定年退職とされるべきところ,その後も1年毎に雇用が継続されてきたが,平成18年12,,,月末日で1年毎の雇用継続を終了するので本文書をもって通告するなお同年12月末日までは出社に及ばず自宅待機とする,と通知して,雇止めの意思表示をした。 争点 ( )原告aにつき,被告事務局長に定年制の適用があるか 継続を終了するので本文書をもって通告するなお同年12月末日までは出社に及ばず自宅待機とする,と通知して,雇止めの意思表示をした。 争点 ( )原告aにつき,被告事務局長に定年制の適用があるか(争点1) ( )原告らにつき,雇用継続の期待があるか(争点2) ( )原告らにつき,雇止めを相当とする事由が存するか(争点3) 当事者の主張(被告の本案前の主張)( )原告らの請求は,その主張する地位がいかなるものか特定されていない から不適法である。 ( )原告らの地位確認並びに賃金及び賞与の支払請求は,原告らも主張する ように,定年は70歳であるから,給付の訴えは,口頭弁論終結前の分に関しても,期間を限って認められるべきである。将来分については,請求金額自体不確定であるし,退職事由が生じた際も債務名義が残って不当であるところ,原告らの保護を図る途は他にもあるので,将来分の請求をする利益は存しない。 (本案についての主張)- 5 -( )争点1(被告事務局長に定年制の適用があるか)について (被告の主張)ア原告aは,昭和▲年▲月▲日生まれで,60歳達齢後の者として就業規則26条に基づいて期間の定めのある職員として,平成▲年▲月に68歳4か月で被告に採用された。事務局長就任予定者として採用されたが,このときに特別な契約が結ばれたわけでなく,就業規則を前提に雇用契約を結んでいるそして通常の職員として採用されたから同規則26条の会。 ,「長は70歳を限度として1年ごとに雇用を継続することができる」という定めに服するのは当然である。 イ同原告は,平成▲年▲月▲日で70歳に達するので,その翌月の2月末で退職であり,職務上自ら退職の手続をすべきであったが,その手続を放置して居座っていた。同原告の退職について するのは当然である。 イ同原告は,平成▲年▲月▲日で70歳に達するので,その翌月の2月末で退職であり,職務上自ら退職の手続をすべきであったが,その手続を放置して居座っていた。同原告の退職については,同年2月に行われた評議員会でも問題になり,その後一部理事が同原告に対し,退職手続を取るように勧めたが,同人は聞き入れなかった。 そして同年5月の理事会では同原告の退職が問題となるはずであったが,同原告は「文化庁の指導」なるものを持ち出し,文化庁が「人事は,後回し」と言っていると主張して,退職せずに居座ろうとしていた。 ウ同原告は,処務規定3条によって採用されたので,就業規則の適用はない,とする。しかし,同人は,後になって処務規定を見て,勝手に同規定3条による採用と解釈したにすぎない。同原告が同規定3条が適用される原告c,同bについては就業規則が適用されるとするのは矛盾である。原告aは処務規定3条によって採用されたとし,特別な存在とするが,その根拠はない。 エ被告において60歳を超えて採用された者で,70歳達齢後も在職していたのは事務局長のh氏だけであり,他に例外はいない。故i氏は78歳で退職したが,もともと専務理事であったところ(専務理事は理事である- 6 -から,職員としての年齢制限は適用がない,前任者のj氏が66歳で。)事務局長を辞めて以後,事務局長を兼務しており,事務局長は不在であったので事務局長の年齢として判断されるべきものではない。 原告aの前任者であったh氏は,会長となった前記i氏から懇請されて同原告が事務局長に就任するまでの2か月という短期間,事務局長に就任した。h氏は,同人に対する辞令から明らかなように,当時の事務局長の故i氏や,k会長から強く引き止められたため,それまで庶務部長として長く勤務を続けていたのを, の2か月という短期間,事務局長に就任した。h氏は,同人に対する辞令から明らかなように,当時の事務局長の故i氏や,k会長から強く引き止められたため,それまで庶務部長として長く勤務を続けていたのを,就業規則にはない特別の依頼を受けて契約を結んだものである。 原告aは,事務局長は就業規則が適用されないと主張するが,その論拠とするのは,ただ前任の2か月だけ事務局長をしたh氏が78歳だったことのみである。同原告については,70歳達齢後の雇用について被告からそのような要請も提案もしたことはなく,同原告と被告との間で特別な雇用契約を結んでいないので,70歳達齢後は雇用関係はない。 (原告らの主張)ア被告において,70歳定年を定める就業規則26条は,事務局長には適用されない。被告は,原告aと雇用契約を締結するに際し,70歳定年という労働条件を全く示していない。使用者は「退職に関する事項」につ,き労働条件明示義務を負い,しかも,当時同原告は68歳5か月であったから,70歳定年の規定が適用されるのであれば,当然そのことを明示したはずであり,これを明示しなかったのは,そのような前提がなかったからにほかならない。 被告において,就業規則の定めに従って「70歳に達した月の末日」に退職した事務局長は,過去に1人も存在しない。同原告の前任者であるh氏は,平成16年6月退職時に78歳であった。その前任者である故i氏は,同年2月退職時に78歳であった。 - 7 -イ被告は,事務局長である同原告との間では,勤務時間及び勤務日につい,,ても一般の事務職員に適用される就業規則の定めとは異なる労働条件で雇用契約を締結し,就業規則の定めと異なり,雇用期間の定めを設けずに雇用契約を締結した。同原告が勤務を開始して1年後に,辞令の交付その他雇用期間更新の手続は全く行 就業規則の定めとは異なる労働条件で雇用契約を締結し,就業規則の定めと異なり,雇用期間の定めを設けずに雇用契約を締結した。同原告が勤務を開始して1年後に,辞令の交付その他雇用期間更新の手続は全く行われていない。同原告が70歳を迎えた平成18年2月前後に,l会長やe専務理事から定年退職を前提とした話が出たことも,手続が進められたことも全くない。 証人fは,陳述書(乙38)において「平成18年1月で70歳をむ,かえるa氏がe専務に辞めるそぶりを全く見せないことから,1月2……0日に理事のm氏とn氏がそのことをa氏に自覚させるために来館された。a氏は辞めるつもりはない旨述べて,聞く耳を持たずと言う有り……様であった」と述べるが,同年1月20日(金)は同原告の出勤日では。 ないから,上記供述は明らかに虚偽である。その後法廷で,上記出来事が4月であったと供述を変遷させたのも信用できない。 ( )争点2(原告らにつき,雇用継続の期待があるか)について (被告の主張),,,原告aについては上記( )のとおりであり70歳に達しているもので 雇用継続の期待はない。 原告cは,昭和▲年▲月▲日生まれで採用時に59歳であったが,早期退職であったので,60歳達齢後の職員として採用され,雇止めの時は66歳であった。同bは,昭和▲年▲月▲日生まれで採用時に60歳,雇止めの時は67歳であった。 労基法14条が60歳以上の労働者について他の労働者とは別の取扱いを許容していること,高年齢者雇用安定法8条が定年制を定める場合,定年は60歳以上であることを要するとしていること,同法9条が定年後の再雇用義務を最大でも65歳以上までとしていること,63歳を超えた高齢者は,- 8 -一般に年金等を受給していることなどからすると,この原告両名において, を要するとしていること,同法9条が定年後の再雇用義務を最大でも65歳以上までとしていること,63歳を超えた高齢者は,- 8 -一般に年金等を受給していることなどからすると,この原告両名において,雇用継続の期待を抱くのが合理的とはいえない。原告c,同bについては,,,,警視庁を退職後嘱託として雇い入れたもので前記就業規則26条により満70歳を限度として1年ごとに契約を継続することができる,1年間の期間の定めのある契約なので,問題がなくとも雇止めをすることはある。 被告は上記原告両名と毎年契約を更新し,辞令を交付していたのであるから,実質的に期限の定めのない契約と異ならない状態にあったということはない。前例としても,原告bの前任者であるo氏は,60歳で採用され,63歳で退職している。その他の60歳を超えて採用された者もほぼ全員,70歳達齢以前に退職しており(前記h氏のみ例外,上記原告両名が,70)歳まで当然雇用されると期待することはその前提を欠く。 (原告らの主張)原告aについては上記( )のとおりであり,一般職員に適用される就業規 則の定めと異なり,期間の定めのない雇用契約を締結した。同原告の勤務開始1年後にも,雇用期間更新の手続は取られていない。 ,,被告は平成12年3月ないし4月に原告b及び同cと雇用契約を締結しその後,更新を重ね,6年以上にわたり雇用を継続してきた。上記両原告と被告との雇用契約は「定年70歳」と表示して募集された上,期間の満了,毎に当然更新を重ねてあたかも期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態であったから,一方的な雇止めは信義則に反し,上記両原告において70歳まで雇用が継続されると期待することに合理性がある。 ア被告は,警視庁に求人連絡票を交付して求人を行ったが,その際の求人連絡票(甲6, たから,一方的な雇止めは信義則に反し,上記両原告において70歳まで雇用が継続されると期待することに合理性がある。 ア被告は,警視庁に求人連絡票を交付して求人を行ったが,その際の求人連絡票(甲6,7)には明確に「定年70歳」と記載されている。 イ原告bが務めている会計課長及び同cが務めている管理課長は,代々,警視庁の退職者が務めてきたが,70歳の定年を迎える前に本人の意思に反して雇用を打ち切られた例はない。70歳以前に退職したとするo氏及- 9 -びp氏は,いずれも本人の希望によって退職している。 ウ被告は,原告b及び同cとの雇用契約を更新する際,その都度雇用契約書を作成したことはない。更新の際,面接を実施するなどして契約更新の意思を確認したこともない。毎年,会長から辞令の交付を受けたが,辞令の交付は,しばしば,新たな契約期間が始まった後で,毎年の更新は全く形骸化していた。被告は,上記両原告に対し,定年を迎える前の雇用打切りの可能性があることを告知したこともない。 ( )争点3(原告らにつき,雇止めを相当とする事由が存するか)について (被告の主張)原告らは,原告aが事務局長を定年による退職となるところを,70歳を過ぎてもなお事務局長として居座るために,文化庁を巻き込んで,理事らが「」,,平成13年度の文化庁の指導に違反していると虚偽の事実を申し立て文化庁をして被告に介入するように仕向け,また虚偽の文書や偽造文書を作成し,同庁に提出して騒ぎを起こした。 さらに理事会が開催されて,原告aが退職となり,あるいは原告らの不正が発覚するのを怖れて,理事会開催を妨害しようとした。 そして原告らが退職後,被告が内部調査をしたところ,原告らが不正に高額の給与を取り,あるいは規程によらずに多額の国債を売買していたことが発覚した。 覚するのを怖れて,理事会開催を妨害しようとした。 そして原告らが退職後,被告が内部調査をしたところ,原告らが不正に高額の給与を取り,あるいは規程によらずに多額の国債を売買していたことが発覚した。 ア原告a・cの私文書偽造,同行使等について(ア)「平成13年度の文化庁の指導」について原告らは,平成13年に文化庁から「理事や職員等及びその親族は,刀剣審査に出さない」という指導があったと主張するが,これは当時のi専務理事に対する不当なバッシングを鎮めるために,同理事と文化庁担当者との間で出された文書であり,被告に対し,そのような指導がされた事実はなかった。けだし,原告らがその指導の根拠とする平成13- 10 -(),,年の実地検査の結果報告甲8はi事務局長宛てに出されているが会長宛でないのは異例であり,このような理事の審査制限に関わる文書は,理事の権利を制限するものであるから,事務局の長にすぎない事務局長レベルでは決定できず,理事会の決定を経て,会長名義で出されるべきである。 平成17年11月29日に文化庁から,理事らが刀剣審査に出せないと被告が指導を受けたことも,このことに関し継続的に指導を受けていた事実もない。 (イ)原告aは,自身の退職が迫り,平成18年2月23日の評議員会でも退職問題が話題になった。そこで,自分の退職問題を棚上げし,被告での自らの地位を確実にするために,妨げとなるe専務理事や,f常務理事,q常務理事の追放を図り,文化庁に対し報告書を提出し虚偽の不正の申立てをした。 原告らは文化庁の理事の審査制限なるものがあるとコピーの稟,「」「議書」等を示し,同庁の指導だと主張して,理事の「違反調査」及びそれについての「報告書」等を,e専務理事を始めとする他の理事に諮ることなく,被告名義を冒 なるものがあるとコピーの稟,「」「議書」等を示し,同庁の指導だと主張して,理事の「違反調査」及びそれについての「報告書」等を,e専務理事を始めとする他の理事に諮ることなく,被告名義を冒用して作成し,次々と同庁に提出した。 その後も原告らは誰に相談することもなく同庁とやりとりを続け,同年7月20日,原告a及び同cは,同庁に対し「刀剣審査に係る申請,等の調査結果及び改善方策について(報告」と題する書面を提出した)(乙44の3,以下「偽造文書1」という。同文書は,e,f,q。)らが辞任すると明記しているが,理事会の議決はおろか,当時会長代行であったe専務理事の全く関知しないものであったにもかかわらず,被告の公印が押されていた。 原告らは,偽造文書1が文化庁から返されると,同月25日の理事会に,他の理事には何の相談もなく,また資料の事前配布もせず,いきな- 11 -り報告書(案(乙25)を提出した。さらに原告らは,同日の評議員)会において評議員らに対し,被告を中傷するビラ(乙26)や,被告名を冒用し作成した「文化庁指示による調査の経過について(報告」な)る文書(乙27,以下「偽造文書2」という)を配布した。同ビラに。 ついても,これが原告らの指示によるものであることは明らかである。 さらに原告らは,先の理事会で偽造文書1が承認されなかったにもかかわらず,8月初めころ,同文書とほぼ同じ内容の,明確にe専務理事の意思に反した文書を,同人の名と協会印を冒用して作成し(乙28,以下「偽造文書3」という,文化庁に提出しようとした。原告らは,。)同庁との面談の日を8月10日と勝手に決めて,偽造文書3を持参し提,,,出しようとしたが同理事が欠席したことから同庁との話合いが流れ結局は提出することができなかった。 以上,上司 らは,。)同庁との面談の日を8月10日と勝手に決めて,偽造文書3を持参し提,,,出しようとしたが同理事が欠席したことから同庁との話合いが流れ結局は提出することができなかった。 以上,上司であり会長代行であったe専務理事に報告もせず,また稟議も経ずに勝手に一連の文書を文化庁に提出したり,評議員に配布したりした原告a及び同cの行為は重大な職務規程違反であり(就業規則2,,),,条7条29条5項特に7月20日に同庁に文書を提出したのは私文書偽造・同行使という犯罪に該当する重大な職務違反である。 イ原告a・同cの業務妨害行為について,,,原告らは同年8月9日に会長代行であったe専務理事の命令に反し理事会招集の手続を取らなかった。理事会の招集権限は会長にあり,開催通知も会長が出すこと,会長に事故あるときは専務理事が会長を代行することと定められている(寄付行為26条)にもかかわらず,同理事の指示を拒否した。同理事から開催通知が出されるや,原告cは同aの指示に基,「」づき協会事務局で決裁をいただいて発送する通常の開催通知ではないと電話連絡したり,ファクスを送信して,理事会招集を妨害した。 さらに原告cは,8月14日の理事会当日においても,会長代行の命令- 12 -に従わず,会場設営等をしないばかりか,許可なく会話を録音した。これらは重大な職務違反行為である。 ウ原告bについて原告bは,理事会の際に,g新会長や会長代行であったe専務理事が,会計帳簿等の提出を求めたのに対し,原告aの許可が無いという理由でこれを拒否した。また理事の会計帳簿等を提出するようにとの再三の説得にも応じなかった。原告bは,理事会において理事の命令に従い会計帳簿等を開示し説明するという,会計課長としての職責に反した。 エ原告a・同bの規 。また理事の会計帳簿等を提出するようにとの再三の説得にも応じなかった。原告bは,理事会において理事の命令に従い会計帳簿等を開示し説明するという,会計課長としての職責に反した。 エ原告a・同bの規程によらない財団法人資産運用等について原告らは,平成17年3月から12月にかけて定期預金を解約して債券を購入したり,基本財産である国債を売却して公債を買ったり,買替えを行ったりした。被告の規程では,基本財産は,簡単には譲渡・交換等できず,また資産の管理は,方法を理事会で定め,会長が管理することになっている(寄付行為7・8条。特に国債を売却して公債を買うことは基本)財産の交換であるが,理事会や評議員会の議決や文部科学大臣の承認等必要な一切の手続はおろか,会長の承認すら得ていない。稟議書の形式も会,,長が印を押すべき欄は空白のまま斜線が引かれ後にはその欄もなくして専務理事までの決裁欄になっている(乙47の6~9。 )また,平成17年12月のシャッター修理工事の発注についても,50万円以上の契約であるのに,内規に反し,専務理事や会長の決裁を経ることなく勝手に発注するという違反を犯している。 オ規程によらない給与の値上げについて原告らは,稟議書の決裁のみで,給与を大幅に改定することができると考えて,違法な処理をしている。稟議書のみで全体の給与体系を変更することは,職員の給与は給与規程によるとした寄付行為24条3項,就業規則33条,給与規程1条に反する。すなわち,原告c及び同bの給与を平- 13 -成17年1月より8級4号俸から9級4号俸へと昇格・昇給させ,管理職手当を12%から16%に増額しているが,いずれも給与規程に反する。 仮に昇格させるとしても,8級から9級への昇格の場合,適用される号俸は「現号俸月額相当または直近上位相当額の号俸( 昇給させ,管理職手当を12%から16%に増額しているが,いずれも給与規程に反する。 仮に昇格させるとしても,8級から9級への昇格の場合,適用される号俸は「現号俸月額相当または直近上位相当額の号俸(5条3項)より,8」級4号俸からの昇格は9級1号俸となる。また,57才に達した職員の昇給を停止する(6条2項)との規程にも違反する。さらに,上記両原告の管理職手当を16%としたのは,課長・主任学芸員100分の12との定め(11条)にも反する。上記両原告は,賞与についても,規程にない役職段階加算及び管理職加算をした額をもって算定の基礎額としている。 原告aについても,平成17年1月1日付で給与の増額が決められているが,給与規程6条によれば,既に受けている号俸について12か月を経なければ昇給はあり得ない。まだ勤務して1年経っていない同原告が昇給する根拠は全くない。しかも給与を75%に減額する制限を外すのは同6条3項に反するし,管理職手当を25%とする規程はないのにそのようにしている。賞与については上記両原告と同じである。 原告らは,平成14年の給与規程改定などという,誰も知らない給与規程を作り上げ,それを根拠としている。 (原告らの主張)ア被告の主張アについて平成13年10月16日付けで,文化庁文化財部美術学芸r課長が,被告に対し「実地検査の結果について(通知」において「刀剣及び刀装,),具の審査については,今後は財団の役員,職員ならびにその親族は申請できないように改善して頂きたい」と文書で指導しており(甲8,これ。 )がi氏が事務局長名義で理事会に諮ることなく提出した書類にすぎないという被告の主張は明白に虚偽である。この事実は,衆議院予算委員会第4分科会における同庁s次長の答弁によっても裏付けられている。 - 14 -被告は,平 で理事会に諮ることなく提出した書類にすぎないという被告の主張は明白に虚偽である。この事実は,衆議院予算委員会第4分科会における同庁s次長の答弁によっても裏付けられている。 - 14 -被告は,平成17年11月29日にe専務理事が文化庁に呼び出されて以来,継続的に同庁から指導を受けていた。同理事は,平成13年の上記指導の内容を認識し,またそれを審査規程に明文化することを約束して,自らその文書を文化庁に提出していた。 被告は,平成18年7月20日ころ,原告aらは,独断で文化庁への報告書(偽造文書1)を作成し,同日,e専務理事の了解を得ず,同理「」事の名と協会印を冒用し,被告名義で文書を同庁に提出した」などと主張するが,これも,明らかに事実に反する。同年6月29日に同庁に乙23号証の3の報告書を提出した際,前記d室長は,同理事,原告a及び同cに対し,同報告書が甘いと指摘し,原因究明,責任の所在,改善策及び関係者の処分等について回答するよう求めるとともに,同月5日に報告した特別重要・重要刀剣等の申請のみならず,保存・特別保存刀剣等の申請についても調査するよう指導した。これを受けて被告が調査したところ,同理事自身が,平成13年の指導に違反して,保存刀剣等の審査を申請していたことが発覚した。発覚後,同理事は,自ら文化庁と折衝することを避け,原告cに対しては「文化庁の言うとおりにやっておけ」と指示し,。 た。そのため,原告cは,この指示に従い,既に同理事の承認の下に作成されていた乙23の2及び3を基に乙23の4を起案し,同庁の意向を打診するため同庁t協力官の元に持参した。したがって,この文書の内容は同理事の意に反するものではなかった。 被告は,平成18年7月25日の理事会で配布された報告書(案(乙)25)が「虚偽文書」であるとか,原告ら 庁t協力官の元に持参した。したがって,この文書の内容は同理事の意に反するものではなかった。 被告は,平成18年7月25日の理事会で配布された報告書(案(乙)25)が「虚偽文書」であるとか,原告らが被告を中傷するビラを配らせたとか,評議員会において被告名を冒用した報告書(偽造文書2)を配布したなどと主張しているが,事実に反する。乙25は,理事会で議論するために配布されたものであり,その内容は,e専務理事がその内容を理解し同意して文化庁に提出した回答書に対して直接同庁による指導を受けた- 15 -,,ことに基づくものであり同庁の指導を受けながら作成したものであって同理事はその内容を把握していた。上記ビラは被告職員が,被告の危機を心配して作成し,配布したものであって,原告cが配布させたものではな。 ,,,,いまた乙27は評議員会に報告するための文書でありその内容はそれまでの同庁の指導と調査の経過であり,正確な事実の報告である。 被告は,同年8月10日付けの報告書案(乙28)が「偽造文書3」であると主張するが,失当である。文化庁に提出される予定であった乙28は,同月1日に,同理事が,原告a・同cを同道して同庁に赴き,直接受けた指導により提出を決意して作成させたものである。同理事の意向を踏まえて原告aが事務方として乙28を作成し,同月2日,同原告が同理事に1枚1枚めくりながら説明をして,了承を得ている。 イ被告の主張イについて同年8月14日は,前回の臨時理事会で文化庁の指導に従うべき旨の意見を述べたu理事及びv理事は海外出張中,常務理事兼事務局長である原告aは休暇中のため,出席できない日程であった。 e専務理事は,同年8月9日,原告aに対し,来週月曜日に理事会を開催したいがどうか,と意見を求めた。同原告が,上記事情から ,常務理事兼事務局長である原告aは休暇中のため,出席できない日程であった。 e専務理事は,同年8月9日,原告aに対し,来週月曜日に理事会を開催したいがどうか,と意見を求めた。同原告が,上記事情から,2名の理事の帰国を待って開催したらどうかと意見を述べたところ,e専務理事は了承した。原告cは同日,同理事から,14日に緊急理事会を開きたいがどうかと尋ねられた。同原告は,回答を早急に提出するよう催促されていること,既に理事会にかけた内容であること,開催手続が間に合わないことなどを説明して「開催は無理でしょう」と答えた。これに対し同理,。 事は「そうかね」と述べただけで,開催手続を指示することはなかっ,。 た。 同月10日,被告事務局に,緊急理事会開催の速達郵便が理事の自宅に郵送されているとの連絡があった。理事会の開催通知は,原告らが勤務を- 16 -始めてから例外なく,事務局長の決裁を受けて,管理課長兼庶務課長である原告cが発送を指示してきたが,今回の開催通知は,事務局が全く関知しない所で作成され,発送されたものであった。事務局職員らは,誰が,いつ,どこから発送したものかも分からず,e専務理事は連絡がつかないため「速達郵便が発送されていますが,これは事務局で決裁を受けて発,送する通常の手続を踏んでいないものです」という事実のみを各理事に。 連絡した「緊急理事会は開かれない「開催通知は偽物だ」と電話をか。 」けたなどとする被告の主張は事実に基づかないものである。 同月14日,e専務理事は,執務中の原告cに対し,机やいすを並べ,お茶を出すよう指示をした。しかし,同原告にとって,適式な開催手続が踏まれておらず,わずか4日前に招集通知が到達し,敢えて一部理事が出席不能である日程に開催するような理事会の正当性は不明であり,上司である原告 う指示をした。しかし,同原告にとって,適式な開催手続が踏まれておらず,わずか4日前に招集通知が到達し,敢えて一部理事が出席不能である日程に開催するような理事会の正当性は不明であり,上司である原告aも不在で,理事会開催のための稟議書もないためお茶を買うにも支出ができない状況であったから,同原告がその指示に従わなかったのは,やむを得ない。 ウ被告の主張ウについて同日,それまで理事会に出席したことがなかったg理事は,自らが会長に就任したとして,原告bに帳簿類や印鑑を要求した。同理事はこれまで理事会に出席したことすらないにもかかわらず,明らかに非正常な形で開催された理事会で会長に就任したとして,唐突にこのような要求に及んだもので,選任の手続の正当性やその効力について直ちに判断できる立場になかった会計の現場の責任者としては,直属の上司である事務局長の指示もなく直ちに応じることができないと返答したのはやむを得ない。 エ被告の主張エについて国公社債の買替えは,e専務理事の決裁により行われている。また,被告の保有する国公社債の明細は,毎年の決算報告書に,第何回の何年もの- 17 -をいくら保有しているかを明示して報告されており,買替えが事務局長の指示で勝手にされるなどということが起こり得るはずがない。 被告は,平成17年3月ころのe専務理事の視力障害を,無断でしたことの理由とするが,①そのころ,同理事は普通に出勤して執務しており,②同理事は,その期間の後にも国公社債の買替えの決裁をしており,③買替えの結果の明細は,公認会計士立会いの下で監事が監査しその承認により作成される毎年の決算報告書の財産目録に明示され,決算報告は理事会及び評議員会の承認決議を受けているので,そもそも事務局が勝手に売買すれば,遅くとも決算時に必ず問題になることから,根拠 の承認により作成される毎年の決算報告書の財産目録に明示され,決算報告は理事会及び評議員会の承認決議を受けているので,そもそも事務局が勝手に売買すれば,遅くとも決算時に必ず問題になることから,根拠がない。 オ被告の主張オについて原告らが勝手に自分たちの給与を上げていたなどとする被告の主張は事実に反する。 平成17年1月施行の給与見直しは,l会長(当時)が決裁したことはもちろん,e専務理事及びf学芸部長も押印して,承認している。原告b及び同cの昇給・昇格は,h庶務部長が平成16年6月30日に退職して以降後任を補充せず,原告b及び同cがその業務を分担していた実状を踏まえたものである。また,前例として,w会計課長,x庶務課長が9級6号俸の給与を受けている。 賞与について,原告らが操作を加え,管理職加算をしているのは原告ら3名のみであるなどという主張も,明白な虚偽である。被告において,賞与の支給率は,国家公務員に準じて会長が定める(給与規程17条3項)とされているところ,平成16年12月期賞与以降,e専務理事の判断により,国家公務員給与規程に準拠し,管理職加算と職務段階別加算を基礎額に加えることとなった。賞与は,同理事が押印して承認し,l会長が決裁した決裁書に基づいて支給されていることが明らかである。同上期賞与において,管理職加算の該当者は,原告a及びf学芸部長の2名であり,- 18 -職務段階別加算の該当者は,主任以上8名である。 ,,,原告aの賃金の見直しはいずれもl会長が決裁したことはもちろんe専務理事やf学芸部長も稟議に付された決裁文書に押印して,承認している。また,この賃金の見直しは,同原告は望まなかったが,勤務していた診療所が閉鎖となり,被告からの報酬を増やしたい同理事が自己の報酬を増やすこととの関連で,同理事の意向で 文書に押印して,承認している。また,この賃金の見直しは,同原告は望まなかったが,勤務していた診療所が閉鎖となり,被告からの報酬を増やしたい同理事が自己の報酬を増やすこととの関連で,同理事の意向で決められたものである。 平成14年の給与規程改定が誰も知らないなどというのも明白な虚偽であり,同年2月1日に給与規程は改定されている。この改定には,当時のk会長,i専務理事,f学芸部長及びy資料課長が押印して決裁しているし,もともとf学芸部長及びy資料課長が57才に達して給料が75%に減額されることになったのを,両名が同理事に直訴して,減額を免れたものである。 第3当裁判所の判断 争点1(被告事務局長に定年制の適用があるか)について,,,( )原告aは昭和▲年▲月▲日生まれで平成▲年▲月に68歳4か月で 事務局長就任予定者として被告に採用されたこと,被告就業規則26条に,職員の定年につき「職員の定年は,満60才とする。ただし,会長は満7,0才を限度として1年毎に雇用を継続することができる」と定めているこ。 と,はいずれも当事者間に争いがない。同原告の採用時,上記就業規則の規定に従えば,同原告の勤務できる期間はあと1年と8か月ほどであるから,規程どおり適用するのであれば,明確にそのような短期の契約であることを確認して雇用契約を締結するはずである。しかしながら,そのような事情をうかがわせる証拠はない。かえって,証拠(甲15,原告a)によれば,同原告は被告の評議員であったものを,当初は当時の故i事務局長,同人が亡くなった後は,h事務局長,e専務理事及びf学芸部長に請われて事務局長に就任したが,その際に,任期は確認されていないことが認められる。この- 19 -ことと,前任のh事務局長,それ以前の前記i氏が,いずれも78歳で事務 長,e専務理事及びf学芸部長に請われて事務局長に就任したが,その際に,任期は確認されていないことが認められる。この- 19 -ことと,前任のh事務局長,それ以前の前記i氏が,いずれも78歳で事務局長を退職している事実(いずれも当事者間に争いがない)からすれば,。 被告事務局長に定年制が適用されないか否かはともかく,少なくとも事務局長に対する定年制の適用は厳格にされていたものではなかったと認められる。そうすると,原告aについては,定年制を形式的に適用しない約定で雇用契約が締結されたと認めるのが当事者の合理的意思に適うというべきである。 この認定と反する,同原告に定年制を形式的に適用あるものとした上で,同原告が自ら退職の手続をしなければならないところ,これを怠って職に居,,。 座り続け文化庁を巻き込んだとの被告の主張は採用することができない( )被告は,上記就業規則26条の定めに従い,原告aは期間の定めのある 雇用契約であるとして,雇止めの主張をしている。しかし,上記( )認定の ように,同原告の雇用契約に期間を定めたことは認められないから,同原告の雇用契約は,期間の定めのない契約として,いわゆる雇止め法理の適用はないというべきである。したがって,争点2については,同原告については検討を要せず,被告が,争点3に関し,同原告の雇止めの事由として主張する事実は,解雇事由として主張するものとして検討することにする。 争点2(原告らにつき,雇用継続の期待があるか)について( )原告cが,昭和▲年生まれで採用時に59歳であったが,早期退職であ ったので,60歳達齢後の職員として採用され,雇止めの時は66歳であったこと,同bは,同じ昭和▲年生まれで採用時に60歳,雇止めの時は67歳であったこと,原告c及び同bについては,警視庁を であ ったので,60歳達齢後の職員として採用され,雇止めの時は66歳であったこと,同bは,同じ昭和▲年生まれで採用時に60歳,雇止めの時は67歳であったこと,原告c及び同bについては,警視庁を退職後,嘱託として雇用されたもので,前記就業規則26条により,満70歳を限度として1年ごとに契約を継続することができる,1年間の期間の定めのある雇用契約を被告と締結し,その後,更新を重ね,6年以上にわたり雇用を継続してきたこと,以上の事実は当事者間に争いがない。 - 20 -( )雇止めの適法性について ,。 ア期間の定めのある雇用契約は期間満了により終了するのを原則とするしかし,①期間の定めのある雇用契約が反復更新されて期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態になっていれば,更新拒絶には解雇に関する法理が類推される(参照,最高裁昭和45年(オ)第1175号同49年7月22日第一小法廷判決・民集28巻5号927頁。また,②期間の)定めのない契約と実質的に異ならない状態になっていたとまではいえないものであっても,雇用関係の継続がある程度期待されていたものは,同様に解雇に関する法理が類推される(参照,最高裁昭和56年(オ)第225号同61年12月4日第一小法廷判決・判例時報1221号134頁。 )上記①②の契約類型では,労働者は,契約関係の終了に関し,手厚い保護を受けることになる。しかし,これら類型に該当しないものでも,期間満了時の更新の反復の度合いや携わる仕事の内容等によっては,一定の保護が与えられるものもあるというべきであり,その場合には,いかなる恣意的な理由によって雇止めがされてもよいと解するのは相当でない。 ,,,イ本件においては原告c及び同bは警視庁をほぼ60歳で退職した後嘱託として雇用され,雇止め時には年金も 合には,いかなる恣意的な理由によって雇止めがされてもよいと解するのは相当でない。 ,,,イ本件においては原告c及び同bは警視庁をほぼ60歳で退職した後嘱託として雇用され,雇止め時には年金も受給可能な年齢に達していたもので,若年労働者ほどには雇用継続の必要性も強いとはいえず,前記①②のように解雇に関する法理を類推すべきものとはならない。しかし,前記争いのない事実並びに証拠(甲16,17,原告b,同c)及び弁論の全趣旨によれば,上記両原告はフルタイムで1週間に5日勤務し,他の職員と全く同様に勤務してきたこと,雇用契約の更新を重ねて,勤務期間は約6年に及んでいること,契約更新の手続は毎年行われてきたが,面接や雇用契約書の作成はなく,辞令交付がされていたものの雇用期限満了前ではなく,形式的なものに近いといえること,の各事実が認められ,これらを,。 考えると期間の経過により当然に雇用契約が終了するものとは解し難い- 21 -,,このような退職高齢者を対象とする雇用契約であっても契約の終了には当該契約の性質に見合った合理的な事由を必要とすると解すべきである。 被告は,上記両原告の雇止めを相当とする事由として,争点3に掲記の事実を主張するので,これら事実につき必要な範囲で,次に検討する。 争点3(原告らにつき,雇止めを相当とする事由が存するか)のうち被告の主張アについて( )事実の概要 前記争いのない事実,証拠(甲8ないし10,15ないし17,21,32ないし35,乙17,乙25ないし30,37,42の1及び2,乙44の2及び3,乙51の4,乙56,61,証人e,原告a,同c)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ア平成18年5月ころ,文化庁に,被告の刀剣審査に携わる者と刀剣商が癒着しているのではないかとの通 乙51の4,乙56,61,証人e,原告a,同c)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ア平成18年5月ころ,文化庁に,被告の刀剣審査に携わる者と刀剣商が癒着しているのではないかとの通報があり,同月17日に同庁文化財部美術学芸課d室長に原告aが呼び出され,被告に調査するようにとの指示があった。この件については平成13年10月16日付けで,同庁は,同課r課長名で,被告に対し「実地検査の結果について(通知」と題する,)書面(甲8)において「刀剣及び刀装具の審査については,今後は財団,,。」の役員職員ならびにその親族は申請できないように改善して頂きたいと文書で指導したことがあり,これに対して被告では,当時のi事務局長名でこれに従う旨の報告書(甲9)を提出していた。また,同年11月12日付けの部課長会議でこの件は伝達されたが,これにはe専務理事,f学芸部長,y資料課長,原告c及び同bも出席していた。さらに,平成17年11月29日にも同庁同課z係長に,e専務理事ほかが呼ばれ,同趣旨の指導があった。 この件につき,被告のl会長(当時)は,同庁の方針に従うべきであるとの意見を表明していたが,▲月初めに他界した。 - 22 -イ平成18年5月から8月にかけて,原告aはe専務理事と共に数回文化庁を訪れ,担当官から上記の件について指導を受けた。同原告は,上記指導に従う方向で,被告の刀剣審査規程に上記指導を盛り込む形で改正しようと事柄を進めたが,同理事は,文化庁の上記指導に承服できなかったため,これに積極的でなく,同庁へ出頭することを渋るようになった。理事会でも同理事に同調する者が多く,同年7月25日の理事会でも原告aの提出した上記議案は成立しなかった。しかしなお文化庁は上記指導内容を,,徹底するよう求めさらには被告内の関 るようになった。理事会でも同理事に同調する者が多く,同年7月25日の理事会でも原告aの提出した上記議案は成立しなかった。しかしなお文化庁は上記指導内容を,,徹底するよう求めさらには被告内の関係者の処分までが求められたため同理事はこれに従わないこととする意見を固め,ただ表立ってこれに抵抗することはしなかった。他方,同原告は同庁の求める方向の報告書案を作成したため,同理事との意見の対立が鮮明となった。 ( ) 判断 上記認定のとおり,平成13年10月の文化庁の指導があったことは明確である。被告の主張するように,この指導が事務局長宛に発せられた文書であるなど,形式に疑問な点がなくはないが,この内容が同庁の方針であることは,平成18年5月から8月にかけての担当官と被告(原告aのほか,e専務理事等)とのやりとりの中でも明確であるし,衆議院予算委員会第4分科会における同庁s次長の答弁(甲33)からも明らかである。したがって原告aが進めていた事務の方向性は,被告を指導監督する同庁の方針に合致していたものであり,l会長存命時には被告の方針にも適っていた。同年7月後半ころにはe専務理事の内心には反していたかもしれないが,少なくとも同理事はそれを明らかにしていなかったのであり,これをもって同原告の非違行為のように解することはできない。したがって,同原告が,ありもしない平成13年度の文化庁の指導を持ち出して虚偽の事実を申し立て,文化庁をして被告に介入するように仕向けた,という被告の主張は採用することができない。また虚偽の文書や偽造文書を作成したという点についても,証- 23 -人eはその供述が非常にあいまいであるが,全般的には文化庁に提出した文書については,同理事は原告aや同cから説明を受けていたものと認められるから,この原告両名が文書を偽造 ついても,証- 23 -人eはその供述が非常にあいまいであるが,全般的には文化庁に提出した文書については,同理事は原告aや同cから説明を受けていたものと認められるから,この原告両名が文書を偽造して同庁に提出して行使したという事実も認められない。さらに,原告cがまだ報告書の案であるものに被告の印を押捺していった点は,適切か疑問がなくはないが,同原告によれば,同庁から文書の形式等についても細かく指示を受けていた事実が認められるから,文書担当者としてはやむを得ない行動ともいえる。 争点3のうち被告の主張イ及びウについて( )事実の経過 ,(,,,,前記争いのない事実 証拠 甲15ないし17乙31証人e原告a同c,同b)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 アe専務理事は,同年8月9日,原告aに対し,来週月曜日(14日)に,。 ,,理事会を開催したいがどうかと意見を求めた同原告は8月14日は7月25日の臨時理事会で文化庁の指導に従うべき旨の意見を述べたu理事及びv理事は海外出張中,常務理事兼事務局長である同原告は休暇中のため,出席できない日程であったことから,2名の理事の帰国を待って開催したらどうかとの意見を述べたところ,e専務理事は特にそれ以上意見を述べなかった。原告cは同日,同理事から,14日に緊急理事会を開きたいがどうかと尋ねられた。同原告は,文化庁から上記3( )イの点につ いて回答を早急に提出するよう催促されているところ,既に理事会で検討した内容であり,同庁の姿勢からしてここで変更することはできず,開催,,。 手続が間に合わないことなどを説明して開催は無理でしょうと答えたこれに対し同理事は「そうかね」と述べただけで,なお開催手続を取,。 るよう強く求めることはなかっ することはできず,開催,,。 手続が間に合わないことなどを説明して開催は無理でしょうと答えたこれに対し同理事は「そうかね」と述べただけで,なお開催手続を取,。 るよう強く求めることはなかった。 イ同月10日,被告の事務局に,8月14日の緊急理事会開催の速達郵便が理事の自宅に郵送されているとの連絡があった。これまで理事会の開催- 24 -通知は,事務局長の決裁を受けて,管理課長兼庶務課長である原告cが発送を指示してきたが,今回の開催通知は,事務局の原告aや同cが関知しない所で作成され,発送されたものであった。被告事務局では,誰がいつ発送したものかわからず,e専務理事は連絡がつかないため「8月14,日の緊急理事会開催の速達郵便が発送されていますが,これは事務局で決裁を受けて発送する通常の手続を踏んでいないものです」との趣旨を各。 理事に連絡した。 ウ同月14日,e専務理事は,執務中の原告cに対し,理事会を開催するので,机やいすを並べ,お茶を出すよう指示をした。しかし,同原告は,,,通常の開催手続が踏まれておらず4日前に招集通知が到達したばかりで敢えて一部理事が出席不能である日程に開催するような理事会の正当性に疑問を抱いた上,上司である原告aも不在で,理事会開催のための稟議書もないためお茶を買うにも支出ができなかったので,e専務理事の指示に従わなかった。さらに,同日,その理事会の後,g理事は,自らが会長に就任したとして,原告bに帳簿類や印鑑を要求した。しかし,同様な理由から同原告もこの指示の正当性に疑問を抱き,これに従わなかった。 ( ) 判断 ,,上記認定事実からすれば8月9日にe専務理事が原告aや同cに対して緊急理事会の開催に言及したのは,その際の同理事の強いといえない態度からすれば,開催手続を取れとの業務命 。 ( ) 判断 ,,上記認定事実からすれば8月9日にe専務理事が原告aや同cに対して緊急理事会の開催に言及したのは,その際の同理事の強いといえない態度からすれば,開催手続を取れとの業務命令とは解し難く,少なくとも上記原告両名がそのように解さなかったことはやむを得ない。理事のうち少なくとも3名(原告aを含む。実際には欠席者は4名)が出頭できない状況であったことから,同理事が開催を断念したと原告らには思われたところへ敢えて開催された緊急理事会の効力に,原告らが疑問を抱き,開催当日には,原告cと同bについては,上司である原告aもおらず指示を仰げない状況で,e専務理事の指示に従わないのは,指揮命令系統という点からすれば正しくない- 25 -が,原告cと同bとしては無理からぬことということができる。また,原告aは,8月9日の後は夏期休暇を取っていてこの件に関与しておらず,積極的に開催を妨害したような事実は認められない。 争点3のうち被告の主張エについて( )証拠(甲16,乙1の1及び2,乙16,32,37,47の1ないし 9,原告b)によれば,被告の寄付行為7・8条では,基本財産の管理は,方法を理事会で定め,会長が管理することになっていること,原告らは,平成17年3月から12月にかけて定期預金を解約して債券を購入したり,基本財産である国債を売却して公債を買ったり,買替えを行ったりしたこと,原告bは,慣行的にe会長代行の決裁で行えると考え,同理事の承諾を得て上記事務を進めたこと,会長決裁は得ていないこと,稟議書の形式も会長決裁欄は空白のまま斜線が引かれ,後にはその欄もなくして,専務理事までの決裁欄になっていること,の各事実が認められる。 また,上記証拠によれば,平成17年12月ころ,被告のシャッターを修理する必要があり,被告 白のまま斜線が引かれ,後にはその欄もなくして,専務理事までの決裁欄になっていること,の各事実が認められる。 また,上記証拠によれば,平成17年12月ころ,被告のシャッターを修理する必要があり,被告の就業規則では,事務局長は50万円までの支出をする権限が与えられているに止まるところ,原告bは,e専務理事が出勤し,,,ていなかったことから緊急の必要があると考えて事務局長までの決裁でこれにつき90万円以上の工事を発注し,支出したこと,後日この件で同理事が出勤した時に報告し,了承を得たことが認められる。 ,,。 ( )ところで本件で検討すべきは雇止めの根拠となる事由の存否である 雇止めは,労働者が生活の糧としている有期の雇用契約を終了させるという,,,強い効力を持つものであるから前記判示のように当該契約の性質に応じこれに見合った合理的な事由が必要となる。雇用者は,雇止めの事由として主張されている事実に関し,雇用契約の終了という形で当該労働者の責任を問おうとしているものであるが,労働者の事務処理の仕方等に仮に不適切な点が多少あっても,雇用者がこれに承諾を与えていたものであれば,労働者- 26 -の雇止めという形で労働者のみの責任を問うことは不適切というべきである。上記のとおり,被告が主張する点は,原告らの事務処理が不適切であるか否かを問うまでもなく,いずれも被告のe専務理事の決裁を経ていることが認められる。したがって,後記7( )( )のように,原告らの雇用継続の期 待は強いから,このような契約において,雇止めの根拠となる事由として,すべて原告らに責任があるかのごとく考慮するのは適切さを欠く。 争点3のうち被告の主張オについて,,,,被告は原告らが原告らの給料をお手盛りで増額し稟議書の決裁のみで 事由として,すべて原告らに責任があるかのごとく考慮するのは適切さを欠く。 争点3のうち被告の主張オについて,,,,被告は原告らが原告らの給料をお手盛りで増額し稟議書の決裁のみで,,,給与を大幅に改定することができると考えて違法な処理をしているとして第2,3(本案についての主張)( )(被告の主張)オのとおり主張する。 上記5同様に,本件で検討すべきは,雇止めの根拠となる事由の存否であるから,事務処理の仕方に仮に不適切な点が多少あっても,雇用者がこれに承諾を与えていたものであれば,雇用契約を終了させる雇止めという形で労働者のみの責任を問うことは不適切というべきである。証拠(甲22ないし24,乙33,46,原告b)によれば,被告が主張する上記の点は,原告らの事務処理が不適切であるか否かを問うまでもなく,いずれも被告の会長,専務理事以下の決裁を経ていることが認められる。したがって,雇止めの根拠となる事由として,すべて原告らに責任があるかのごとく考慮するのは適切さを欠く。 争点3についての小括( )以上検討したところによれば,原告a及び同cが,ありもしない文化庁 の平成13年の指導を持ち出して被告の事務を混乱させたり,文書を偽造・行使したという事実は認められない。平成18年8月14日の理事会開催に当たり,原告らが積極的に開催を妨害した事実は認められないし,理事会当日に,原告c及び同bが,e専務理事やg新会長の指示に従わなかったことは,指揮命令系統からすれば客観的には不適切ともいい得るが,上記両原告の立場とすれば,無理からぬものがあったといえる。国債の買替え,工事支- 27 -出や給与の点については,雇止めの事由として,原告らの責任のみを問うことは適切でないといえる。 ( )前記1判示のとおり,原告aにつ 理からぬものがあったといえる。国債の買替え,工事支- 27 -出や給与の点については,雇止めの事由として,原告らの責任のみを問うことは適切でないといえる。 ( )前記1判示のとおり,原告aについては,定年制を厳格に適用しない, 期間の定めのない雇用契約を締結したと認められるから,上記事由は解雇事由となるか否かを検討すべきところ,この程度の事由で解雇するのは相当性を欠くものであり,解雇は無効というべきである。同原告についての地位確認,賃金及び賞与の支払の請求は理由がある。賃金及び賞与の額並びに支給日は,証拠(甲18の1ないし5)及び弁論の全趣旨により,認められる。 ( )ア前記2判示のとおり,原告c及び同bについては,期間の定めのある 雇用契約を締結したものであるところ,契約の終了には,当該契約の性質に見合った合理的な事由を必要とすると解すべきである。上記両原告は警視庁をほぼ定年で退職した後,嘱託として雇用され,雇止め時には年金も受給可能な年齢に達しており,若年労働者ほどには雇用継続の必要性も強いとはいえないが,他方,上記両原告はフルタイムで1週間に5日勤務してきたこと,更新を重ねて,勤務期間は約6年に及んでいること,契約更新の手続は毎年行われてきたが,形式的なものに近いといえること,を考えると,雇用継続の期待は強いといえる。そして,前記2に判示したとおり,このような雇用契約においては,恣意的な理由によって雇止めがされてよいと解するのは相当でないところ,本件においては,被告主張の事由はいずれも認められないか,雇止めの事由として考慮することは不適切であって,雇止めは恣意的な理由に基づくものといわざるを得ないから,上記両原告の雇用契約は終了していないものというべきである。 イ上記両原告の雇用契約は,1年ごとの期間の定めのあるもの ことは不適切であって,雇止めは恣意的な理由に基づくものといわざるを得ないから,上記両原告の雇用契約は終了していないものというべきである。 イ上記両原告の雇用契約は,1年ごとの期間の定めのあるものであるが,上記判示のように雇用継続の期待は強いところ,上記両原告の採用時の求人票には「定年70歳」と記載されており(甲6,7。両文書は「当庁,OB」などという記載もあり,警視庁の者が作成したと考えられる。しか- 28 -し,i専務理事の印が押捺されていることもあり,記載内容は被告の担当者の意向に沿ったものと考えられる,上記両原告はこれを労働条件と。)して被告に就職していることからすると,上記両原告には70歳までの雇用継続の強い期待があり,実質的に70歳を定年とする雇用契約が締結されているとも考えられる。そうすると,その時点までの雇用契約上の地位の確認につき,確認の利益があり,かつ賃金及び賞与の支払請求について理由があるとも考えられる。 ウ被告は,上記両原告について,終期を定めず賃金支払請求が認容される,。 ことは退職事由が生じた場合にも債務名義が残り不当であると主張するところで,定年制は,将来の雇用の限度を定めたものであるが,それまでの雇用を法的に保障したものではなく,雇用契約の性質上,労働者がそれ以前に何らかの理由で解雇される可能性もあり,また,定年制自体が,雇用者側の雇用方針であるから,人事政策上の事情等により変更される余地があるものである。そうであれば,これと類似する状況である本件におい,,,てたとえ終期であるとしても70歳までの雇用契約上の地位を確認しその時点までの賃金及び賞与の支払請求を認容することは,あたかもその時点までの雇用契約上の地位を保障したかのような状態となることから,相当でないというべきである。した までの雇用契約上の地位を確認しその時点までの賃金及び賞与の支払請求を認容することは,あたかもその時点までの雇用契約上の地位を保障したかのような状態となることから,相当でないというべきである。したがって,上記両原告についての,特に終期を定めず,上記時点までの地位を確認し,賃金及び賞与の支払の請求を認容すべきである。債務名義が残る点は別途解決を図るべきである。賃金及び賞与の額並びに支給日は,証拠(甲19の1ないし4,甲20の1ないし5)及び弁論の全趣旨により,認められる。 被告の本案前の主張はいずれも理由がない。 結論 よって,原告らの請求は,いずれについても,理由があるから認容し,主文のとおり判決する。 - 29 -東京地方裁判所民事第11部村越啓悦裁判官

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