- 1 -平成18年10月25日判決言渡平成16年(ワ)第5735号損害賠償請求事件判決主文 被告は,原告に対し,600万円及びこれに対する平成16年4月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 原告のその余の請求を棄却する。 訴訟費用は,これを5分し,その4を原告の,その余を被告の負担とする。 この判決の第1項は,本判決が被告に送達された日から14日を経過した時は,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1請求被告は,原告に対し,9524万6673円及びうち7403万9825円に対する平成16年4月9日から,うち2120万6848円に対する平成16年9月10日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要本件は,原告が,父親であるAの死亡(平成3年12月30日死亡)により相続が開始したため,他の相続人らと共に,平成4年6月26日,別紙物件目録記載1ないし3の土地の一部(620.04㎡。後に分合筆され,同目録記載5の土地となった。以下「本件土地」又は「本件物納申請財産」という)。 について相続税の物納申請(以下「本件物納申請」という)をしたが,渋谷。 税務署や東京国税局等の職員がこれを適切に処理せず,平成15年11月6日に至ってようやく東京国税局長が物納を許可したため損害を被ったと主張して,被告に対し,国家賠償法1条1項に基づき,損害賠償及びこれに対する民法所- 2 -定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 前提となる事実等(証拠等の摘示のないものは,当事者間に争いがないか,争うことを明らかにしない事実である)。 (1)本件物納申請に至る経過Aが平成3年12月30日に死亡したことにより相続が開始した。法定相続人である原告,B及びC(以下「 当事者間に争いがないか,争うことを明らかにしない事実である)。 (1)本件物納申請に至る経過Aが平成3年12月30日に死亡したことにより相続が開始した。法定相続人である原告,B及びC(以下「相続人ら」という)は,その相続税の。 納付に関し,本件土地の一部を物納しようと考え,渋谷税務署に事前相談をした。本件土地の一部にはいわゆる分譲マンションであるDグランドハイツ(以下,単に「マンション」という。一階部分の床面積384.96㎡(甲35)が建てられており,Aとマンションの各区分所有者(49人)との)間には,昭和46年10月5日付けで,上記一階部分の床面積に近い389㎡を対象とする土地賃貸借契約書が交わされていた(甲2。相続人らは,)同契約書上借地権の対象とされていた389㎡の部分を物納しようと考えていたが,渋谷税務署職員から,その土地の一部は公道に接しておらず,建ぺい率や容積率の問題があるから,これらの問題を解決しなければならない旨の指導を受けた。 相続人らは,マンションの管理組合(法人格なし)との間で,従前の賃貸借契約を改定することとした上,平成4年6月26日,渋谷税務署長に対し,相続税の申告書(乙17)及び借地権の対象地となる本件土地を物納申請財産とする物納申請書(乙1の1ないし3)を提出した。そして,相続人らは,同月28日,マンションの管理組合との間で,本件土地を対象とする新たな賃貸借契約(以下「本件賃貸借契約」という)を締結した。 。 (2)本件物納申請後の処理経過の大要本件物納申請後の処理経過は,別紙処理状況表(略)記載のとおりである(同表記載の事実についても,証拠の摘示のないものは,当事者間に争いがない。後記3で摘示する当事者の主張に関係する限りにおいてその大要。)- 3 -を摘示すると,次のとおりである。 おりである(同表記載の事実についても,証拠の摘示のないものは,当事者間に争いがない。後記3で摘示する当事者の主張に関係する限りにおいてその大要。)- 3 -を摘示すると,次のとおりである。 渋谷税務署職員は,物納申請時である平成4年6月26日,原告に対し,遺産分割協議を成立させること等について補完要求を行い,その後も,相続人らに対し,本件物納申請に関し必要書類の提出を求めるなどの補完要求等を行い,その一部について補完を受けた。この間の同年11月30日,渋谷税務署長は,本件物納申請に係る相続人らの相続税について,徴収を猶予した。 東京国税局長は,平成7年9月27日,国税通則法43条3項に基づき,渋谷税務署長から本件物納申請に係る相続人らの相続税について,徴収の引継ぎを受け,その後,東京国税局職員が,相続人らに対し,本件物納申請に関し更に補完要求等を行った。 ところで,渋谷税務署長は,平成5年10月29日,関東財務局長に対し,本件物納申請財産について調査依頼をしていたが,この件について,関東財務局東京財務事務所長は,東京国税局長に対し,平成13年2月15日付けで「物納申請不動産に係る調査の回答について」と題する書面(乙6)を送付し,本件土地は物納不適当である旨を回答した。これに対し,東京国税局長は,同年6月20日,関東財務局長に対し,他に物納に充てるべき適当な財産がなく,また,本件物納申請を却下した場合,相続税額の徴収上著しい支障が生ずるとして,特例協議を依頼したが,同年10月3日,関東財務局長から,本件土地を「借地権の譲渡に際して,地主の承諾不要及び承諾料,は徴せないとする現契約書のままで引受することは,地主となる国が著しく不利益を被」ることになるから「管理又は処分するのに不適当な財産」に,該当し,引受することは認められな の承諾不要及び承諾料,は徴せないとする現契約書のままで引受することは,地主となる国が著しく不利益を被」ることになるから「管理又は処分するのに不適当な財産」に,該当し,引受することは認められない旨の回答を受けた(乙9。 )そこで,東京国税局長は,同年11月7日,相続人らに対し,相続税物納財産変更要求通知書を送付し,物納財産の変更を要求した(以下「本件変更要求処分」という。これに対し,相続人らは,同年12月28日,国税。)- 4 -不服審判所に対し,審査請求をしたところ,平成14年10月8日,国税不服審判所長により,本件変更要求処分を全部取り消す旨の裁決(以下「本件裁決」という)がされた。 。 その後,東京国税局長は,平成15年11月6日,本件土地の物納を許可した。 (3)相続税の物納手続の概要ア物納制度一般について国税の納付は,金銭又はこれに準ずる有価証券によることが原則である(国税通則法34条)が,相続税については,財産課税としての特殊な性格を有することから,申告又は更正・決定により納付することとなった相続税額を延納によっても金銭で納付することが困難な事由がある場合には,申請により,その納付を困難とする金額を限度として一定の相続財産をもって物納することができることとされている(平成18年法律第10号による改正前の相続税法41条。以下,相続税法については,特に記載のない限り,同改正前のものを示す。 。)仮に物納申請が却下された場合には,その未納の税額に対して,原則として年14.6%(納期限までの期間又は納期限の翌日から2か月を経過する日までの期間については年7.3%)の割合の延滞税を納付しなければならない(国税通則法60条。 )イ物納不適格財産について税務署長は申請に係る物納財産が「管理又は処分をするのに不適 月を経過する日までの期間については年7.3%)の割合の延滞税を納付しなければならない(国税通則法60条。 )イ物納不適格財産について税務署長は申請に係る物納財産が「管理又は処分をするのに不適当」であると認める場合には,その変更を求めた上で,申請を許可又は却下することができる(相続税法42条2項ただし書。 )もっとも,物納対象財産が「管理又は処分をするのに不適当」である,か否かに関する基準については,相続税法自体には明文の規定が設けられておらず,一般的な事項についてのみ相続税法基本通達42-2に例示さ- 5 -れている。このうち,本件と関連するものを列挙すると,以下の(ア)ないし(エ)のとおりである(甲44。括弧内は平成4年6月19日付けの同通達の項数である。 。)(ア)所有権の帰属等について係争中の財産(1)ロ)((イ)売却できる見込みのない不動産(3)ロ。例えばとして,借()地権者が明らかでない貸地(3)ロ2,無道路地(3)ロ3)等が()(掲げられている。 (ウ)境界線が明確でない土地で,隣接地主から境界線に異議のない旨の了解が得られない土地(3)ホ)((エ)借地,借家契約の円滑な継続が困難な不動産(3)ル。この()点について,平成7年5月17日に改正された相続税法基本通達では,「社会通念に照らし,契約内容が貸主に著しく不利な貸地又は貸家」が例示された。 なお,相続税法基本通達(平成4年6月19日付け)42-3は「税,務署長又は国税局長は,物納申請財産が不動産,船舶又は有価証券である場合において,当該物納申請財産の管理又は処分につき物納財産の管理官庁の意見を聞く必要があると認められる場合には管理官庁と協議するものとする。この場合において,管理官庁による物納申請財産の調査の結果,管理又は ,当該物納申請財産の管理又は処分につき物納財産の管理官庁の意見を聞く必要があると認められる場合には管理官庁と協議するものとする。この場合において,管理官庁による物納申請財産の調査の結果,管理又は処分をするのに不適当である旨の回答があったときは,当該回答に則して法第42条第2項ただし書の規定により物納財産の変更を求めるものとする」と規定している(甲44。 。 )ウ物納手続の流れ平成4年当時の物納手続の概略は,次のとおりであった(平成4年以降もこの手続の流れに大きな差異はない。乙15,16,証人E。 )まず,申請に当たっては,物納申請書を相続税の納期限又は納付すべき日までに税務署に提出するとともに,物納申請財産が不動産の場合には登- 6 -記簿謄本,所在図,公図の写しを添付すべきものとされていた。次に,物納申請後の手続としては,物納財産が不動産等である場合には,その種類に応じて,上記のほかの物納関係書類(例えば,賃貸中の不動産の場合には,賃貸借契約書の写し,敷金等に関する確認書,賃借地の境界に関する確認書等)の提出(税務署から提出期限の指定などがされる)及び提出。 書類との整合性を精査すること等を目的とする物納申請財産の現地調査などが予定されていた。 争点 本件の争点は,次の2点に大別される。 (1)本件物納申請の処理過程における担当公務員の職務上の法的義務違反の有無(争点1)ア事前相談関係(争点1-1)イ本件物納申請後の関係(争点1-2)(ア)渋谷税務署関係(争点1-2-1)(イ)本件裁決までの関係(争点1-2-2)(ウ)本件裁決後の関係(争点1-2-3)(2)損害の有無及びその額(争点2) 争点に関する当事者の主張(1)争点1(本件物納申請の処理過程における担当公務員の職務上の法的義務違反の有無 (ウ)本件裁決後の関係(争点1-2-3)(2)損害の有無及びその額(争点2) 争点に関する当事者の主張(1)争点1(本件物納申請の処理過程における担当公務員の職務上の法的義務違反の有無)について(原告の主張)本件物納申請の事案は単純であり,本来であれば物納申請期限から1年6か月程度の期間さえあれば物納の許可又は却下の決定を行うことができた。 しかるに,以下のとおり,渋谷税務署,東京国税局及び関東財務局の職員並びに東京国税局長らの違法な職務懈怠により本件物納申請から物納許可まで11年2か月もの時間を要したのであるから,本件物納申請の処理過程にお- 7 -いて担当公務員に職務上の法的義務違反があることは明らかである。このことは,平成14年10月8日,国税不服審判所長の裁決により本件変更要求処分が違法として取り消されていることからも明らかである。 ア事前相談関係(争点1-1)渋谷税務署職員には,事前相談時においてすべての補完を要する事項を明示しなかったという違法行為が存する。すなわち,以下の(ア)ないし(ウ)の諸点からすれば,同署職員は,原告から事前相談を受けたのであるから,本件物納申請期限である平成4年6月30日までに,原則としてすべての補完を要する事項(少なくともその根幹的なもの)を明示すべきであった。しかるに,同署職員のF及びGは,本件物納財産の地積を220㎡増やせと指示しただけで,賃貸借契約書のみの検討によって簡単に指摘可能な事項,具体的には,①各区分所有者との賃貸借契約の締結,②賃料の改定,③借地権の譲渡に関する賃貸人の事前承諾及び承諾料の授受に関する規定を契約書に盛り込むべきことを補完を要する事項として明示しなかった。 (ア)事前相談時における補完を要する事項の明示の必要性納税者は,仮に物納が却下となっ 人の事前承諾及び承諾料の授受に関する規定を契約書に盛り込むべきことを補完を要する事項として明示しなかった。 (ア)事前相談時における補完を要する事項の明示の必要性納税者は,仮に物納が却下となった場合には,相続税の法定納期限の翌日から年14.6%の延滞税を納付しなければならない。税務署職員は,このような危険から相続人を擁護するため,あらかじめ相続人が相続放棄も考慮に入れられるよう事前相談時にすべての補完を要する事項を明示しなければならない。このことは,税務署職員は,全体の奉仕者である公務員であり,職務上物納に関する知識,経験が豊富であって早期に補完要求事項を明示することが可能であることからも明らかである。 本件において相続人らの延滞税は1年で合計約7300万円にも達していた(ちなみに,物納許可までの11年間で合計約8億0300万円となる)のであるから,原告は,補完要求の内容によってはその整備。 - 8 -が不可能であると判断して,あらかじめ相続放棄をして破産の危険を回避する選択をすることもできた。しかるに,渋谷税務署職員が事前相談時にすべての補完要求事項を明示しなかったため,原告は,相続放棄の機会を失い,本件物納申請をするに至った。 (イ)行政手続法35条1項の規定との関係行政手続法35条1項は「行政指導に携わる者は,その相手方に対,して,当該行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を明確に示さなければならない」と規定しており,その趣旨は行政指導における公正の確保。 と透明性の向上を図り,もって国民の権利利益を保護することにある。 このような理念からすれば,簡単に指摘可能である補完要求事項については,当然に物納申請期限までに明示されなければならない。 (ウ)相続税法基本通達との関係相続税法基本通達は,相続税法について適正な執行と課 な理念からすれば,簡単に指摘可能である補完要求事項については,当然に物納申請期限までに明示されなければならない。 (ウ)相続税法基本通達との関係相続税法基本通達は,相続税法について適正な執行と課税の公平を実現するために,一般的取扱基準を示すものとして定められたものである。 そして,その内容は,国税局の統一的な取扱いを納税者に対し知らせ,適正な申告と納税に役立てること等を目的として,一般に公表されている。このような基本通達の公表の趣旨からすれば,税務署職員は,事前相談時に補完を要する事項の開示を求められたならば,その時点で補完要求事項をすべて明示すべきである。 特に,①各区分所有者との賃貸借契約の締結,②賃料の改定,③借地権の譲渡に関する賃貸人の事前承諾及び承諾料の授受に関する規定を契約書に盛り込むべきであるといった点については,平成4年6月当時の相続税法基本通達42-2(管理又は処分をするのに不適当な財産)中では触れられていなかったのであるから,事前相談時に税務署職員から明示されるべき必要性が高かった。 イ本件物納申請後の関係(争点1-2)- 9 -渋谷税務署,東京国税局及び関東財務局の本件物納申請の担当職員は,以下のとおり,本件物納申請以後,その処理手続を放置し,ほとんど何もしなかったに等しいので,その職務行為には違法がある。 (ア)渋谷税務署関係(争点1-2-1)渋谷税務署職員は,①本件物納申請から1年以上経過した平成5年10月18日,関東財務局職員に対し,初めて本件賃貸借契約の内容について相談し,②同年12月9日になって,Bに対し,賃料の増額要求及びマンション管理組合が法人格を有するか否かの確認をするよう口頭で申入れ,③平成6年5月16日,Bに対し,賃料を2倍に増額するよう指示し,④同年9月8日,Bに対し, ,Bに対し,賃料の増額要求及びマンション管理組合が法人格を有するか否かの確認をするよう口頭で申入れ,③平成6年5月16日,Bに対し,賃料を2倍に増額するよう指示し,④同年9月8日,Bに対し,初めて本件賃貸借契約の内容を具体的にどのように変更すべきかを説明し,⑤同年10月4日,初めて各区分所有者との賃貸借契約の締結等について補完を求める旨の通知を送付するなど,その処理は緩慢なものであった。 (イ)本件裁決までの関係(争点1-2-2)①東京国税局職員は,平成8年6月17日,相続人らの代理人であるHに対し,国有財産有償貸付契約書を提示し,本件賃貸借契約の内容を全体としてどのように変更すべきかについて初めて説明した。また,②東京国税局長は,相続人らに対し,平成6年10月4日付けの補完要求から3年以上経過した平成9年11月26日になって「物納申請,不動産に関する書類の補完等の通知書」を送付し,補完事項を追加した。 さらに,③関東財務局職員は,渋谷税務署職員からの物納財産調査依頼(平成5年10月29日付け)を8年間放置した上,本件物納申請財産には何らの拒絶事由がないにもかかわらず,平成13年2月15日付け同局東京財務事務所長の東京国税局長宛て書面(乙6)により「不,適当」である旨の調査結果の回答を行い,また,これに対する東京国税局長からの特例協議の依頼に対し,平成13年9月28日付け関東財務- 10 -局局長の東京国税局長宛て書面(乙9)により,再度「不適当」との回答を行った。そして,以上の経緯の後,④東京国税局長は,原告に対し,平成13年11月7日,事実上物納を拒絶する内容の書面である相続税物納財産変更要求通知書を送付した(なお,本件変更要求処分は,平成14年10月8日の国税不服審判所長の本件裁決により違法であること ,平成13年11月7日,事実上物納を拒絶する内容の書面である相続税物納財産変更要求通知書を送付した(なお,本件変更要求処分は,平成14年10月8日の国税不服審判所長の本件裁決により違法であることが確認されている。 。)(ウ)本件採決後の関係(争点1-2-3)東京国税局職員は,平成14年10月8日の国税不服審判所長の本件裁決により本件変更要求処分の違法性が確認されたにもかかわらず,物納許可まで更に1年以上の時間を無駄に費やした。この点については,関東財務局職員についても,同様の問題がある。 ウなお,本件物納申請の担当職員の処理の遅延についての判断に当たっては,次の事情も考慮すべきである。 すなわち,原告が渋谷税務署に事前相談に行った際,その職員から,本件物納申請財産の地積を220㎡増やせば物納を受け取ると指導され,この他に物納不許可事由を指摘されなかったため,借地権の対象地を増やせば問題なく物納が許可されるものと期待して(許可の内示があったものと理解していた,新たな借地権の負担(5億3900万円相当の多大な。)損失負担)をし,また,それまで得ていた駐車場収入(月額合計14万円)も失った。しかるに,担当職員は,後記(2)イのとおり,相続税の申告書の提出期限の翌日から3年が経過した場合には租税特別措置法39条が適用されなくなることを十分理解しつつ,物納を許可しなかった。 また,平成18年4月1日に施行された改正相続税法では,物納申請が行われた場合,原則的に3か月以内に許可又は却下の決定を行わなければならないとする画期的な改正が加えられた。 エ被告の主張に対する反論(遺産分割協議について)- 11 -被告は,物納処理が遅延した事情として,相続人らの間で遺産分割協議が成立していなかった旨主張する。 しかしながら,原告は,平成4年 。 エ被告の主張に対する反論(遺産分割協議について)- 11 -被告は,物納処理が遅延した事情として,相続人らの間で遺産分割協議が成立していなかった旨主張する。 しかしながら,原告は,平成4年12月3日,渋谷税務署を訪れた際,同署職員に対し,本件物納申請財産については相続人らの間で各3分の1ずつの所有権移転登記(遺産分割登記)を経ている旨を説明したところ,担当者は納得し,以後遺産分割協議書の補完要求は一切されなかった。また,仮に,遺産全体が未分割であったことが物納許可の障害となっていたのであれば,相続人らは,直ちに遺産分割協議を成立させることができる状況にあったし,少なくとも物納許可の時までには確実に遺産分割協議書を作成できると考えていた。したがって,相続人らにおいて遺産分割協議が整っていなかったことは,本件物納申請に対する処理の遅延とは無関係である。 (被告の主張)物納申請期限から1年6か月程度の期間さえあれば許可又は却下の決定を行うことができた旨の原告の主張は何らの根拠もない。むしろ,以下の点からすれば,上記期間で本件物納申請について許可がされることは客観的に不可能であったことが明らかであって,その申請の処理過程において,担当職員らに職務上の法的義務違反はない。 ア国家賠償法1条1項の違法の意義国家賠償法1条1項の違法とは,公務員が個別の国民に対して負担する職務上の法的義務に違背することであり(最高裁昭和60年11月21日第一小判決,職務上の法的義務違反性こそが重視されるべきである。本)件においても,渋谷税務署,東京国税局及び関東財務局の職員並びに東京国税局長が,物納申請の処理過程において職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と処分又は行為をしたと認められるような事情がある場合に限り,違法の評価を受けるもの 関東財務局の職員並びに東京国税局長が,物納申請の処理過程において職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と処分又は行為をしたと認められるような事情がある場合に限り,違法の評価を受けるものと解すべきである。 - 12 -イ物納事務一般について(ア)段階的調査・補完要求相続税法基本通達42-2本文ただし書によれば,物納申請財産が不適当であると認められる場合でも,許可の時までに管理又は処分をするのに不適当とする事由が消滅(解除)されるときは物納適格財産となるとされる。そこで,物納事務としては,まず,①物納申請財産の物件自体に関して,物納財産として適しているかどうかについて現地確認及び登記上の調査等を行った上で,必要に応じて補完要求を行い,そして,②物件自体が物納財産として適していると判断された後に,その物件に関わる内容(賃貸借契約等)について更に調査を行うなど,物納申請財産が物納財産に適するよう段階的に指導を行っていくものである。また,物納事務においては,相続税法基本通達42-3により,管理官庁の意見を聞く必要があると認められる場合には管理官庁と協議し,当該管理官庁による物納申請財産の調査結果を受け,必要に応じて更に補完要求を行うものである。 原告は,特に本件賃貸借契約に関する補完要求の遅延を問題にしている。しかしながら,物納申請財産である土地に関する賃貸借契約の内容については,まずもって申請者と土地賃借人との間の問題であって,本来的には国が関与すべき事項ではないから,そのような補完要求は相当慎重に行われなければならない。なぜなら,物納申請財産である土地に関する賃貸借契約の内容について補完要求を行うことは物納申請者以外の者の権利内容にも重大な影響を及ぼすところ,仮に,補完要求に応じて契約内容が変更されたにもかかわら ぜなら,物納申請財産である土地に関する賃貸借契約の内容について補完要求を行うことは物納申請者以外の者の権利内容にも重大な影響を及ぼすところ,仮に,補完要求に応じて契約内容が変更されたにもかかわらず,他の物納不適格事由が存在することにより物納が却下された場合には,結果として私人間の契約に国が理由なく介入してその内容を変更させたことになりかねないからである。 - 13 -(イ)個別的な対応の必要性物納申請については,補完要求に対する整備の内容,進捗状況等,個々の実情にかんがみ,個別的に対応せざるを得ない。すなわち,相続税法基本通達42-2本文ただし書により,将来において不適当とする事由が消滅(解除)されると見込まれるときは,その消滅をもって物納申請に係る許可をすることになるところ,本件当時,物納を許可又は却下すべき期限について法的規定はなく,また「許可の時までに」との終,期(相続税法基本通達42-2本文ただし書)についても法的規定はなかった。そのため,物納申請者が物納不適当財産を適当財産にするべく整備に当たっている間は,実務上,当該整備内容や進捗状況等,個々の状況に応じて個別的に対応すべき実情にあった。 ウ事前相談関係(争点1-1)原告は,渋谷税務署職員から事前相談時に物納申請財産の地積を220㎡増やせば物納を認める旨の内示がされた旨を主張する。しかしながら,相続税法42条2項によれば,税務署長が,物納申請者及び申請に係る事項について調査し,これに基づいて許可又は却下をするのは物納申請書の提出があった後であるとされており,また,物納申請財産が物納財産として適しているかどうかは現地確認等の調査を実施して初めて判明することである以上,物納申請前の時点で,渋谷税務署長や同署職員が本件物納申請財産について「管理又は処分をするのに適 申請財産が物納財産として適しているかどうかは現地確認等の調査を実施して初めて判明することである以上,物納申請前の時点で,渋谷税務署長や同署職員が本件物納申請財産について「管理又は処分をするのに適当」であるとの判断をすることはできないので,物納を認める旨の内示などするはずがない。そもそも,渋谷税務署職員が行った事前の指導は,公道との接触の問題,建ぺい率・容積率等の問題点を指摘したにとどまり,本件物納申請財産の地積を220㎡増加するよう指示したことはない。 また,原告は,事前相談時にすべての補完を要する事項を明示すべきである旨主張するが,前記イ(ア)の物納事務の流れから明らかなとおり,- 14 -仮に物納申請について事前相談をされても,その時点ですべての補完事項を挙げ,物納条件のすべてにわたり指示をすることは不可能である。 エ本件物納申請後の関係(争点1-2)(ア)補完要求の時期・内容及びこれに対する相続人らの整備状況a前記イのとおり,一般に,物納事務としては,個々の申請の実情にかんがみ段階的に指導を行っていくものである。そして,物納申請財産の管理又は処分につき管理官庁の意見を聞く必要があるか否かは,物納申請後,税務当局職員が当該物納申請財産の調査を相当期間行った後に判断されることになる。 これを本件についてみると,本件物納申請財産の物納財産適格性については,賃借権譲渡についての事前承諾条項及び承諾料条項以外にも,本件賃貸借契約の当事者が誰であるか,物納申請財産の範囲をどうするか,賃料の額等,問題点が多く存在したため,物納申請当初から綿密に調査をし,適宜の時期に補完要求をしている。現に,賃借権譲渡の事前承諾及び承諾料条項については,賃貸借契約等についての調査を行った段階で管理官庁である財務局と協議を行った上で,必要に応じて, 綿密に調査をし,適宜の時期に補完要求をしている。現に,賃借権譲渡の事前承諾及び承諾料条項については,賃貸借契約等についての調査を行った段階で管理官庁である財務局と協議を行った上で,必要に応じて,平成6年5月12日,同年9月8日に補完要求を行い,これを踏まえて平成9年11月26日付けで書面(乙5)によって補完要求をしている。 また,関東財務局に対する調査依頼についても,本件物納申請後,申請物件自体についての調査を経た結果,渋谷税務署長が管理官庁である財務局の意見を聞く必要があると判断して行ったのであり,その調査依頼及び回答がされる以前も,関東財務局から渋谷税務署の担当職員等に対して補完事項の指示がされ,また,相続人らとの間で度重なる協議も行われていたのであるから,渋谷税務署及び関東財務局の職員が漫然と本件の物納事務を放置していた事実はない。 - 15 -したがって,本件物納申請の担当職員は,相続人らに対し,必要な補完の機会を与えることによって物納が可能となるよう配慮していたのであって,職務上通常尽くすべき注意義務の違反はない。 b遺産分割協議が未了であったこと本件物納申請財産は,平成13年5月30日に相続人らにおいて遺産分割協議が成立するまでは持分が特定されておらず「所有権の帰,属等について係争中の財産(相続税法基本通達42-2(1)ロ)」として「管理又は処分をするのに不適当」な財産に該当していたのであるから,少なくとも上記遺産分割協議が成立する前の時点において物納が許可されることはない。 原告は,平成4年9月,相続人らの間で本件物納申請財産について一部遺産分割協議が成立し,各相続人の持分として3分の1ずつの所有権移転登記がされており,同年12月以降,渋谷税務署職員等から遺産分割について何らの補完要求も受けていない旨主張する 申請財産について一部遺産分割協議が成立し,各相続人の持分として3分の1ずつの所有権移転登記がされており,同年12月以降,渋谷税務署職員等から遺産分割について何らの補完要求も受けていない旨主張する。しかしながら,その当時,相続人らは遺産分割調停を行っているなど他の相続分について争いがあり,先にされた一部遺産分割協議とは異なる内容の協議が成立した場合,物納許可そのものが無効となる可能性も否定できない状況であったから,本件物納申請財産はいまだ「所有権の帰属等について係争中の財産」として「管理又は処分をするのに不適当」であると判断されていた。もっとも,渋谷税務署職員らは,そのことから直ちに本件物納申請財産を「管理又は処分をするのに不適当」と判断せず,他の補完要求と並行して遺産分割協議の進捗状況を見守っていたのである。 (イ)本件変更要求処分について(争点1-2-2関係)原告は,国税不服審判所長により本件変更要求処分が違法であることが確認されたことから,違法な職務行為があったことが明らかである旨- 16 -主張する。しかしながら,本件変更要求処分を取り消す旨の裁決があったとしても,直ちに東京国税局長の行った本件変更要求処分に国家賠償法1条1項にいう違法があったとの評価を受けるものではなく,前記アのとおり,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と処分したと認められるような事情がある場合に限って違法の評価を受けるものである。 東京国税局長は,本件物納申請財産が相続税法42条2項ただし書の「管理又は処分をするのに不適当」に該当するか否かを検討するに当たり,相続税法基本通達42-2を基準として本件の具体的事情を十分考慮した上で,関東財務局と交渉を重ねた結果,上記規定に該当すると判断したのである。そもそも「管理又は処分をするのに不適 検討するに当たり,相続税法基本通達42-2を基準として本件の具体的事情を十分考慮した上で,関東財務局と交渉を重ねた結果,上記規定に該当すると判断したのである。そもそも「管理又は処分をするのに不適当」か否か,は一義的に決することができない規範的概念であって,その判断に当たっては,ある程度の幅が生じることは避けられないから,その判断に相当の合理性がある場合には,職務上尽くすべき注意義務を尽くさないで漫然と処分したことにはならない。 (ウ)本件裁決後の処理について(争点1-2-3関係)本件物納申請財産は,本件変更要求処分が国税不服審判所長による本件裁決によって取り消された平成14年10月8日以降も,①境界標,②敷金等に関する確認書,③賃借地の境界に関する確認書,④工作物についての確認書,⑤地代領収書の写し,⑥その他賃貸借契約について管理組合と係争中であること等がいずれも整備されていない状況であったため,相続人らの代理人であるI弁護士を含め東京国税局や関東財務局の職員らとの間で協議が重ねられていたのであって,本件裁決後,物納許可まで1年間を要したことについて,原告主張に係る違法は何ら存しない。 (2)争点2(損害の有無及びその額)について- 17 -(原告の主張)ア還付金に対する利息相当額5734万5004円原告は,担当公務員の前記各違法行為がなければ,相続税の法定納期限である平成4年6月30日から1年6か月後である平成6年1月1日には物納を許可され,1億0274万1923円の還付金(物納財産の価額から相続税額を差し引いたもの)を受け取っていたはずであるから,その還付金に対する同日以降の利息相当額の損害を被った。 その利率としては,国税通則法58条が,還付金等が生じた場合には,その原因となった国税の納付日等から いたもの)を受け取っていたはずであるから,その還付金に対する同日以降の利息相当額の損害を被った。 その利率としては,国税通則法58条が,還付金等が生じた場合には,その原因となった国税の納付日等から実際の還付の時点までの日数に応じて,還付金に年7.3%(平成12年1月1日以降は租税特別措置法95条により年4.1%)を乗じた金額を還付加算金として支払うべき旨を規定しているから,同条を本件に準用すべきである。 そして,物納が許可されるべきであった日である平成6年1月1日から実際の還付金の支払日である平成15年12月19日までの間の利息を算出すると,6171万3944円となる。もっとも,原告は,上記期間中,本件土地を所有していたことにより,436万8940円の利得(本件土地に借地権を有するマンション住民から得た借地料から本件土地の固定資産税を差し引いたもの)をしている。したがって,原告が被った還付金に対する利息相当額の損害は,上記利得分を差し引いた5734万5004円となる。 イ譲渡所得税に関する損害2120万6848円譲渡所得税は「収入金額-(取得費+譲渡費用)」の計算式により算出,されるところ,租税特別措置法39条によれば,相続により取得した財産を相続税の申告書の提出期限の翌日から3年以内に売却した場合には,相続税額のうちの一定額が取得費に加算される。 原告は,平成16年2月24日,平成15年度確定申告において収入金- 18 -額を物納による還付金の額である1億0274万1923円とし,取得費に1億3422万6192円(渋谷税務署資産税課のJに依頼して算出したもの)を加算した上,譲渡所得税額を0円として申告した。ところが,渋谷税務署長は,本件土地の物納が租税特別措置法39条の規定する期限を経過した後になされたものであるとして,同 のJに依頼して算出したもの)を加算した上,譲渡所得税額を0円として申告した。ところが,渋谷税務署長は,本件土地の物納が租税特別措置法39条の規定する期限を経過した後になされたものであるとして,同条を適用せずに,平成15年分所得税更正通知書,加算税の賦課決定書を送付してきた。これにより,原告は,同年4月4日,本税,過小申告加算税及び延滞税合計2120万6848円の納付を余儀なくされた(なお,実際に納付した金額は合計2134万2784円であるが,13万5900円の返戻金があった。 。)このように,原告は,租税特別措置法39条の適用を受けていれば,平成15年度確定申告における譲渡所得税は0円であったところ,前記(1)のとおり,渋谷税務署,東京国税局及び関東財務局の職員並びに東京国税局長の違法な不作為により,同条の法定期間である3年を徒過させられた結果,上記納付相当額の損害を被った。 ウ物納に当たっての実費相当額の損害669万4821円原告は,本件賃貸借契約に関し,借地権者変更の際の地主の承諾権及び承諾料請求権を確保すべきであるとの補完要求を受け,それを実現するために,国税局職員との折衝,国税不服審判請求及びマンション住民に対する調停等を強いられた結果,次のとおりの費用を負担した。この費用は,国税不服審判所長の裁決からも明らかなとおり,もともと補完を要しない要件に関して補完を強いられた結果支出を余儀なくされたものであるから,担当公務員らの違法行為との間の因果関係は明らかである。 (ア)企業会計経営管理事務所・Kへの相談料等13万3833円(イ)物納に関するコンサルタント料6万6666円(ウ)弁護士費用644万9322円(エ)印紙代4万5000円- 19 -エ慰謝料1000万円国税通則法60条によれば,納税者 (イ)物納に関するコンサルタント料6万6666円(ウ)弁護士費用644万9322円(エ)印紙代4万5000円- 19 -エ慰謝料1000万円国税通則法60条によれば,納税者は「期限内申告書を提出した場合,において,当該申告書の提出により納付すべき国税をその法定納期限までに完納しないとき」には,法定納期限の翌日から年14.6%の延滞税を納付しなければならないとされているところ,相続人らの相続税は合計約5億円であったので,その延滞税は1年で約7300万円,物納許可までの11年間で合計約8億0300万円に達するものであった。原告は,仮に物納申請が却下された場合には,上記延滞税の支払を強制される結果,破産してすべての財産を手放さざるを得なくなるという状況にあったが,そうした想像を絶するような恐怖に怯える生活を11年以上も強いられた。 このような原告の精神的苦痛は,金銭に換算すると1000万円を下らない。 (被告の主張)原告が主張する損害額については,いずれも争う。 原告は,相続税の法定納期限である平成4年6月30日から1年6か月後である平成6年1月1日には物納が許可されるべきであった旨主張するが,それ自体何らの根拠も示されていないばかりか,前記(1)のとおり,相続人らの物納申請財産には多くの問題点があったのであるから,上記期間で物納が許可されることは客観的に不可能であったことは明らかである。 また,租税特別措置法39条は,物納申請について規定している相続税法41条ないし43条とは別個独立の規定・制度であるから,本件において租税特別措置法39条所定の期間が経過した以上,原告に対して同条を適用する余地はない。 さらに,本件においては,平成4年11月30日付けで相続税法42条5項・40条1項に基づく徴収猶予が物納申請税額の 税特別措置法39条所定の期間が経過した以上,原告に対して同条を適用する余地はない。 さらに,本件においては,平成4年11月30日付けで相続税法42条5項・40条1項に基づく徴収猶予が物納申請税額の全額について行われていたから,仮に本件物納申請が却下となった場合でも,その延滞税は,国税通- 20 -則法63条4項によってその額の半分以上(さらに,法改正によって延滞税の利率は7.3%,4.4%,4.1%となる期間がある)の免除が受け。 られるから,原告主張に係る多額の延滞税は発生しない。 第3争点に対する判断 争点1-1(事前相談関係)について(1)本件物納申請までの事実経過前記前提となる事実等及び証拠(甲2,3,35ないし37,40,43,乙1の1ないし3,乙12,13,17,証人B及び原告本人)によれば,次の事実を認めることができる。 Aが平成3年12月30日に死亡したことにより相続が開始した。相続人らは,その相続税の納付に関し,本件土地の一部を物納しようと考え,原告が平成4年1月ころから渋谷税務署に事前相談を始めた。本件土地の一部にはマンション(一階部分の床面積384.96㎡)が建てられており,Aとマンションの各区分所有者(49人)との間には,昭和46年10月5日付けで,上記一階部分の床面積に近い389㎡を対象とする土地賃貸借契約書が交わされていた。相続人らは,同契約書上借地権の対象とされていた389㎡の部分を物納しようと考えていたが,平成4年2月中旬ころ,原告が,渋谷税務署のFから,上記土地の一部は公道に接しておらず,公道につながる私道を敷設しなければ物納は許可されないであろうこと,また,建ぺい率や容積率の問題があるから,これらの問題を解決する必要があることなどの指導を受けた。 そこで,相続人らは,マンションの管理組合 がる私道を敷設しなければ物納は許可されないであろうこと,また,建ぺい率や容積率の問題があるから,これらの問題を解決する必要があることなどの指導を受けた。 そこで,相続人らは,マンションの管理組合(法人格なし)との間で,従前の賃貸借契約を改定(借地面積を389㎡から664.37㎡(実測によれば620.04㎡)に増加させ,また,賃料も1㎡当たり50円から260円に引き上げる内容)することとし,平成4年6月26日,渋谷税務署長に対し,相続税の申告書及び借地権の対象地となる本件土地を物納申請財産- 21 -とする物納申請書を提出した。そして,相続人らは,同月28日,マンションの管理組合との間で,本件賃貸借契約を締結した。 なお,原告は,渋谷税務署のFが,物納申請財産の地積を増やせば物納を許可するとの内示を行った旨主張し,その本人尋問においてその旨供述する。 しかしながら,上記各証拠に照らすと,Fが行った説明・指導の内容は,上記認定のものにとどまり,原告主張に係る内示を行ったとまでは認めることができない。このことは,物納事務においては,その申請がされた後に,提出された資料を確認し,物納申請財産の現地調査を行ったり,財務局との協議を通じて,その許否に関する審査が進められるので,物納申請前の段階で許否について判断をすることが困難であること(乙12,13,15,16及び証人E)からも明らかである。原告自身も,その本人尋問において,現在振り返って考えるとFは物納申請書を受け取るとの趣旨で発言していたと思う旨述べているところである。したがって,原告の上記主張は採用できない。 (2)争点1-1(事前相談関係)についてア原告は,渋谷税務署職員は,本件物納申請期限である平成4年6月30日までに,原則としてすべての補完を要する事項(少なくともその根幹的 採用できない。 (2)争点1-1(事前相談関係)についてア原告は,渋谷税務署職員は,本件物納申請期限である平成4年6月30日までに,原則としてすべての補完を要する事項(少なくともその根幹的なもの)を明示すべきであった旨主張する。 しかしながら,前記前提となる事実等(3)イからも明らかなとおり,物納財産が「管理又は処分をするのに不適当」であるか否かについての基準については相続税法に明文の規定はなく,また,相続税法基本通達42-2に例示されている事項も,規範的な概念を含むものであって必ずしも一義的なものとはいえない。さらに,同基本通達上,税務署長又は国税局長は,物納申請財産の管理又は処分につき物納財産の管理官庁の意見を聞く必要があると認められる場合には管理官庁と協議するものとされ(同基本通達42-3,この協議の結果によっては,補完事項が追加されるこ)- 22 -とも容易に予想されるところである。このことは,納税者に対して交付されている相続税物納の手引にも,物納申請後の手続として,物納財産の状況によっては書類の追加提出を求められることがある旨記載されていることからも明らかである(乙15,16。 )こうしたことに加え,相続人らは,本件物納申請時に相続税物納の手引(乙15)上提出が求められているすべての資料を提出していたわけではなく(原告本人,それよりも前の事前相談の段階において,渋谷税務署)職員が物納申請財産の問題点をすべて把握することは困難であったと考えられることにも徴すると,事前相談の段階で原告主張に係る補完を要する事項が明示されなかったことについて,渋谷税務署職員に職務上の法的義務違反があったとはいえない。原告自身も,本件について「まず,賃借,人の合意を取ることを含めた賃貸借契約の内容を検討し,新しい賃貸借契約が締結 なかったことについて,渋谷税務署職員に職務上の法的義務違反があったとはいえない。原告自身も,本件について「まず,賃借,人の合意を取ることを含めた賃貸借契約の内容を検討し,新しい賃貸借契約が締結された後に,その賃貸借契約に沿った土地の分合筆を賃貸人に指示すべきである」旨も主張しており(平成17年5月17日付け第6準。 備書面第2,あらかじめ補完を要するすべての事項を明示すべき旨を一)貫して主張しているわけでもない。 イところで,原告は,すべての補完要求事項の明示が不可能だとしても,少なくともその根幹的なものについては事前相談の段階で明示すべきであるとして,本件では,①各区分所有者との賃貸借契約の締結,②賃料の改定,③借地権の譲渡に関する賃貸人の事前承諾,承諾料の授受の規定については事前相談の段階で明示すべきであった旨主張する。 しかしながら,上記②については,近隣の土地の賃料額等の調査を経た上で,他の賃貸借の条件等を総合的に考慮して判断されるべきものであって,賃貸借契約書に記載されている賃料額のみによって判断することは困難である。また,上記③についても,物納財産が「管理又は処分するのに不適当」であるか否かという規範的概念に関わる問題であって,賃貸借契- 23 -約書上にその記載がないことのみをもって判断することはできない事柄である。 こうしたことに,前記(1)認定事実,特に,そもそも本件賃貸借契約が締結されたのは本件物納申請後の平成4年6月28日であったことにも徴すると,渋谷税務署職員は,それより以前に行われた事前相談や物納申請の時点において,本件賃貸借契約の内容について補完要求を行うことができるような状況になかったものといわざるを得ない。 ウ原告は,事前相談の段階ですべての補完要求事項を明示すべき旨を,行政手続法35 の時点において,本件賃貸借契約の内容について補完要求を行うことができるような状況になかったものといわざるを得ない。 ウ原告は,事前相談の段階ですべての補完要求事項を明示すべき旨を,行政手続法35条1項及び相続税法基本通達が公表されている趣旨を根拠にして主張している。 しかしながら,行政手続法35条1項は,行政指導を行う場合について,行政運営における公正の確保と透明性の向上の見地(同法1条)から,当該行政指導の趣旨,内容及び責任者を明確に示すべき旨を規定したにとどまり,行うべき行政指導をすべて網羅して明示することまでをも要求するものではない。また,相続税法基本通達が一般に公表されていることをもって,直ちに補完要求事項をすべて明示すべきことにはならない。 よって,原告の上記主張も採用できない。 エ以上の次第であるから,事前相談時における渋谷税務署職員の対応に関する原告の請求は,その余の点について判断するまでもなく理由がない。 争点1-2-1(本件物納申請後の渋谷税務署関係)について(1)別紙処理状況表によれば,渋谷税務署職員と相続人らのやりとりの状況に関し,以下のことが明らかである。 ア渋谷税務署職員と原告のやりとりの状況(平成4年12月まで)原告は,平成4年6月26日,相続税の申告書及び本件土地を対象とする物納申請書を提出した際,渋谷税務署職員から,相続人らの間で遺産分割協議を成立させること及び本件物納申請財産と公道との境界確認を行う- 24 -ことについて補完要求をされた。これを受けて,相続人らは,同年9月28日,別紙物件目録1ないし3の土地について,相続を原因として,それぞれ持分3分の1ずつの所有権移転登記手続をした。 渋谷税務署長は,同年11月30日,本件物納申請に係る相続人らの相続税について,徴収を猶予した。 渋谷税務 し3の土地について,相続を原因として,それぞれ持分3分の1ずつの所有権移転登記手続をした。 渋谷税務署長は,同年11月30日,本件物納申請に係る相続人らの相続税について,徴収を猶予した。 渋谷税務署職員は,同年12月2日,原告に電話したところ「遺産分,割協議については調停中である」旨の申し出があったため,所有権の帰。 属等について係争中の財産は物納財産不適格であるから,遺産分割協議を成立させるように補完要求をした。また,翌3日,原告が渋谷税務署に来署した際にも,遺産分割協議を成立させること及び本件物納申請財産と公道との境界確認について補完要求をした。 イ渋谷税務署職員とBらのやりとりの状況・その1(平成5年10月ころまで)Bは,平成4年12月ころから,病気療養中の原告に代わり,相続人らの物納手続について窓口となって折衝等を行うようになった(以後,平成9年9月ころまでこうした状況が続いた。 。)平成4年12月10日,渋谷税務署職員がBに対し,本件物納申請財産の登記簿謄本及び案内図を提出するよう補完要求をしたところ,同月14日にそれらが提出された。 平成5年4月1日,渋谷税務署職員は,Bを立会人として,現地調査を行い,本件物納申請財産の測量及び分合筆の手続をするように補完要求をした。そして,同月6日に土地家屋調査士・Lに対し,同月26日に相続人らの代理人であるKに対し,それぞれ本件物納申請財産と公道との境界確認,本件物納申請財産の測量及び分合筆の手続をするように指示をした。 同年6月14日,原告から「本件物納申請財産を実測620.04㎡,としたい「病気療養中のため,今後はBを窓口にしたい」旨の申し。」,。 - 25 -出がされ,上記実測に基づく相続税の更正の請求書及び道路確認証が提出された。同日,原告に対し,本件物納申請財 としたい「病気療養中のため,今後はBを窓口にしたい」旨の申し。」,。 - 25 -出がされ,上記実測に基づく相続税の更正の請求書及び道路確認証が提出された。同日,原告に対し,本件物納申請財産の測量及び分合筆の手続を行うよう再度補完要求がされた。この補完要求は,同年9月30日,Bに対してもされた。 同年8月4日,渋谷税務署職員は,Bに対し,分筆案の物納申請財産(620.04㎡)中に私道部分が入っているかどうか確認すること及び地積が確定したのであれば契約書上にも地積を明記する必要があることを指摘した上,隣接地主の「境界線に関する確認書」の提出等について補完要求をした。これに対し,Bは,同月19日「分筆案の物納申請財産,(620.04㎡)中に私道部分が幅2m入っていることを確認した」。 旨を報告するとともに,その後,隣接地主の「境界線に関する確認書」に代わる「土地境界確認協議書」を提出した。 同年10月13日,本件物納申請財産について再度現地調査が実施された(立会人はB,C及び土地家屋調査士・L。その際,Bらから「契),約内容の変更(地番,地積,契約期間等)について管理組合との交渉は未了であるが,分筆終了後行う見込みである」等の申し出がされた。そし。 て,同日,渋谷税務署職員は,Bらに対し,仮図面どおり620.04㎡で分筆の手続をすること,境界標を設置すること等について補完要求をした。これを受けて,相続人らは,同年11月17日,別紙物件目録記載1ないし3の土地を合筆する旨の登記を経た上,翌18日,合筆された土地を同目録4及び5に分筆する旨の登記を経た。そして,同月22日,土地家屋調査士・Lがその謄本の写し,公図の写し,測量図,隣接境界確認5通及び道路境界証明書1通を渋谷税務署に提出した。 ウ渋谷税務署職員とBらのやりとりの する旨の登記を経た。そして,同月22日,土地家屋調査士・Lがその謄本の写し,公図の写し,測量図,隣接境界確認5通及び道路境界証明書1通を渋谷税務署に提出した。 ウ渋谷税務署職員とBらのやりとりの状況・その2(平成7年9月ころまで)渋谷税務署長は,平成5年10月29日,関東財務局長に対し,物納申- 26 -請財産調査依頼書を送付し,本件物納申請財産が管理又は処分するのに適当か否かの調査を依頼した。 そして,その後,渋谷税務署長から東京国税局長に本件物納申請に係る相続人らの相続税について徴収の引き継ぎがされた平成7年9月27日ころまでの間の経過は,後記3(1)ア及びイのとおりである。 (2)争点1-2-1(本件物納申請後の渋谷税務署関係)についてア前記前提となる事実等(1)及び前記1(1)認定事実によれば,本件物納申請財産に関し,次のことが明らかである。 本件物納申請財産は,申請当時,別紙物件目録記載1ないし3という3筆の土地の一部を構成し,いわゆる分譲マンションの敷地として賃貸されていた。しかも,原告は,本件物納申請に先立って,渋谷税務署で事前相談をしているが,その段階での相続人らの申請予定土地はマンションの一階部分の床面積に近い389㎡のみを対象とするものであり,同署職員からその一部は公道に接しておらず,建ぺい率や容積率の問題があるから,これらの問題を解決しなければならない旨の指導を受けていた。 加えて,甲3(平成4年6月28日付け土地賃貸借契約書)によれば,本件賃貸借契約について,次の事実が認められる。同契約は,AとM株式会社との間の昭和41年8月22日付けの旧契約の内容を改めて確認するとともに,改正するものである。契約当事者は「故A全相続人」を賃貸,人とし「Dグランドハイツ管理組合(代表者・Dグランドハイツ管理,」 の昭和41年8月22日付けの旧契約の内容を改めて確認するとともに,改正するものである。契約当事者は「故A全相続人」を賃貸,人とし「Dグランドハイツ管理組合(代表者・Dグランドハイツ管理,」委員会委員長・N)を賃借人とするものである。堅固建物の所有を目的とし(1項,期間は昭和41年8月22日から60年間(2項,賃料は))月額1㎡当たり260円(3項)とする。以上のほか,賃借権の準共有持分の譲渡等に関し,マンションの専有部分と同時に第三者に譲渡することができ,賃貸人は譲渡を理由に金員の請求をしてはならない旨の定め(4項)等を置いている。 - 27 -以上の事実によれば,本件物納申請財産は,その対象地の範囲のみならず,それを対象にした賃貸借契約の内容の面においても,物納を許可するに当たって様々な隘路が予想されるものであった(しかも,賃貸借契約の内容を補完するとすれば,多数の区分所有者らに関係するものである以上,その調整に労力を要するであろうことが容易に推察された)というべき。 であり,その審査を担当する渋谷税務署職員も,本件物納申請後間もなくの時点で,以上の事実関係を把握していたものと推認される。 イ次に,前記(1)認定事実に基づいて渋谷税務署職員による本件物納申請の審査の状況を通観すると,平成4年6月26日の申請後,平成5年10月13日の現地調査までの間については,おおむね,物納財産の対象地の範囲を明確化するための作業に終始していたものと評価される。 すなわち,上記期間における同署職員による補完要求の内容の面から見ると,同署職員が上記期間中に相続人らに対し補完要求をしたのは,①本件物納申請財産と公道との境界確認を行うべきこと(具体的には,申請時である平成4年6月26日及び同年12月3日,②本件物納申請財)産の測量及び分 記期間中に相続人らに対し補完要求をしたのは,①本件物納申請財産と公道との境界確認を行うべきこと(具体的には,申請時である平成4年6月26日及び同年12月3日,②本件物納申請財)産の測量及び分合筆の登記手続をすべきこと(具体的には,現地調査時である平成5年4月1日,同年6月14日及び同年9月30日,③隣接)地主の「境界線に関する確認書」を提出すべきこと(具体的には,同年8月5日及び同月19日)の3点である。 そして,こうした補完要求に対し,相続人らは,①同年3月18日の境界確認を経て,同年6月14日に道路確認証を提出し,②同年6月14日までの間に測量を完了し(同日原告が渋谷税務署職員に対し「本件物納申請財産を実測620.04㎡としたい」旨述べていることから,こ。 の事実を推認する,また,同年11月17日及び翌18日の分合筆の。)登記を経て,同月22日に本件土地の登記簿謄本の写し等を提出し,③同年8月中には隣接地主の「境界線に関する確認書」に代わる「土地境界- 28 -確認協議書」を提出しているのである。 このような事実経過からすれば,平成4年6月26日の本件物納申請以後,平成5年10月13日の現地調査までの間,渋谷税務署職員による審査は,おおむね,本件物納申請財産の対象地の範囲を明確化するための作業に終始していたものと評価される。そして,こうした補完要求に対する相続人らの対応は,基本的に,それに応じる方向で作業がされ,同年6月14日には,原告が渋谷税務署に赴いて,実測に基づく更正の請求書及び道路確認証を提出している(物納財産を実測の620.04㎡にしたい旨を申し出ている)から,遅くとも,物納申請後1年経過したこの時点ま。 での間には,物納申請の対象地の範囲が明確にされており,後は,測量結果に基づいて測量図の作成,登 を実測の620.04㎡にしたい旨を申し出ている)から,遅くとも,物納申請後1年経過したこの時点ま。 での間には,物納申請の対象地の範囲が明確にされており,後は,測量結果に基づいて測量図の作成,登記手続等を残すのみの状況になっていたものと推認される。 他方,渋谷税務署における物納申請財産を対象にした賃貸借契約に関する審査については,前記(1)認定事実を通観しても,以上認定の土地の範囲の明確化作業に伴う賃貸借対象地の範囲の確定,地積の確定などを見守っていたものと解されないではないが,それ以上には,本件賃貸借契約の内容に関して「管理又は処分をするのに不適当」であると認めるべき事情が存在しないか否かについて審査をしていたことをうかがわせる事実は見当たらないし,また,他にそうした事実を認めるに足りる証拠もない。 ウところで,前記前提となる事実等(3)ア及びイにおいて説示したところ及び物納制度に関する関係法令等に基づいて検討すると,物納申請の審査について次のように考えられる。 相続税の物納制度は,相続税が財産課税としての特殊な性格を有することにかんがみ,これを金銭で納付することが困難な事由がある場合に限り,申請により,その納付を困難とする金額を限度として一定の相続財産をもって物納することを例外的に認めるものである(相続税法41条。 )- 29 -そして,相続税法42条2項ただし書は,税務署長は申請に係る物納財産が「管理又は処分をするのに不適当」であると認める場合には,その変更を求めた上で,申請を許可又は却下することができる旨を規定している。 これは,国が物納された財産の管理又は処分を通じて,金銭の納付があった場合と同等の経済的利益を確保し得るものでなければならないとの趣旨に基づくものと解される。 物納対象財産が「管理又は処分をするのに不適当」 国が物納された財産の管理又は処分を通じて,金銭の納付があった場合と同等の経済的利益を確保し得るものでなければならないとの趣旨に基づくものと解される。 物納対象財産が「管理又は処分をするのに不適当」であるとの上記要件は多分に規範的なものであり,相続税法自体は,この点に関する基準について明文の規定を設けておらず,相続税法基本通達42-2において不適当財産が例示され,また,同通達42-3において必要に応じ管理官庁と協議すべき旨が定められているにすぎない。そして,上記各通達は,税務署長が物納を許可した場合には,その申請財産が国有財産となり,財務大臣が当該財産の管理又は処分機関となることから,相続税法上の前者の判断と,国有財産法上の後者の判断との間に齟齬を来すことがないよう統一的な解釈・運用を図る観点から定められているものと解される。 他方,物納申請者は,①物納申請が許可されれば,物納の許可を受けた税額に相当する相続税が所定の要件を充足した時に納付があったものとされ(相続税法43条,課税価格計算の基礎となった物納財産の価額が)それを上回っているときには,その差額の還付を受ける。本件においては,当初申告時には,相続人らの相続税額の合計が4億8000万円余り,物納財産の価額の合計が6億9000万円余りであり,合計2億円余りの還付金が見込まれていた(乙1の1ないし3,乙17。これに対し,②)物納申請が却下された場合には,その未納の税額に対して,原則として年14.6%(納期限までの期間又は納期限の翌日から2か月を経過する日までの期間については年7.3%)の割合による延滞税を納付しなければならないこととされている(国税通則法60条。そうすると「納付す),- 30 -べき相続税額を延納によっても金銭で納付することを困難とする事由」(相続税法 )の割合による延滞税を納付しなければならないこととされている(国税通則法60条。そうすると「納付す),- 30 -べき相続税額を延納によっても金銭で納付することを困難とする事由」(相続税法41条1項)があるにもかかわらず,申請に係る物納財産が「管理又は処分をするのに不適当」であるか否かに関する審査が長期間に及ぶような場合には,その物納申請者は,その間,物納申請の許否に関する判断を得られないことにより,本件のように多額の還付金が見込まれるときには,その運用の機会が妨げられ(後日,物納が許可され,還付金が支払われても,それにより,必ずしもすべての財産的価値が回復されることにはならないものと考えられる,また,延滞税が日々増加している。)おそれがあるという状況の下に置かれていることに伴い心理的負担を抱かされることになるものというべきである。 以上説示した物納制度の仕組等にかんがみると,物納申請の審査に当たる公務員には「納付すべき相続税額を延納によっても金銭で納付するこ,とを困難とする事由(相続税法41条1項)があるか否か及び申請に係」る物納財産が「管理又は処分をするのに不適当」であるか否かの両要件について,速やかに検討,調査を行うべきことが職務上要請されているものといわなければならない。 こうしたことに,前記ア説示のとおり,本件物納申請財産は,その対象地の範囲のみならず,それを対象にした賃貸借契約の内容の面においても,物納を許可するに当たって様々な隘路が予想されるものであり,また,賃貸借契約の内容を補完するとすれば,多数の区分所有者らに関係するものである以上,その調整に労力を要するであろうことが容易に推察されるものであったことをも総合的に考慮すれば,本件物納申請を担当していた渋谷税務署職員は,その職務として,申請を受けてから に関係するものである以上,その調整に労力を要するであろうことが容易に推察されるものであったことをも総合的に考慮すれば,本件物納申請を担当していた渋谷税務署職員は,その職務として,申請を受けてから速やかに「管理又,は処分するのに不適当」なものに該当するか否かの審査として,物納申請の対象である土地の範囲を確定させるための事務処理を進めるだけでなしに,その土地を対象とする賃貸借契約の内容についても,上記審査を進め- 31 -るべきことが求められていたというべきである。具体的には,物納申請に係る土地を対象とする賃貸借契約の内容に関し,それが締結されていることにより「管理又は処分するのに不適当」なものに該当するか否かという観点に立って調査,検討を進め,事実関係に疑問がある場合には,相続人らにその確認をするなど事実関係の把握に務めるべきは,その職務行為として当然に求められるところであった。仮に,同署においては本件のような申請について先例もなく判断に困難を来していたのであれば,物納申請財産の管理又は処分について管理官庁である関東財務局に意見を求めるなどの措置を講ずべきであった(相続税法基本通達42-3参照。 )エそこで,以下,前記ウ説示の観点に立って,本件物納申請を担当した渋谷税務署職員の審査の状況について,前記(1)認定事実に基づいて検討する。 前記(1)認定事実によれば,関東財務局においては,平成5年10月18日に初めて渋谷税務署から本件賃貸借契約の内容について照会を受けた後,同年12月16日には現地調査をし,また,平成6年3月29日までの間に,渋谷税務署を通じ又は同局に赴いた関係者に対し,事実関係(具体的には,①賃借人の主体について問題があるのではないかとの観点から,それが法人格のある管理組合か否か,②借地権の譲渡について地 間に,渋谷税務署を通じ又は同局に赴いた関係者に対し,事実関係(具体的には,①賃借人の主体について問題があるのではないかとの観点から,それが法人格のある管理組合か否か,②借地権の譲渡について地主の承諾を要しないのか否かなど)を確認したり,賃料額が近隣と比べ低すぎるとして,その増額について補完要求していることが明らかである。 このように,関東財務局は,渋谷税務署からの照会を受けてから半年前後の間に,本件賃貸借契約の内容に関し問題となりうる事項について,事実関係を調査するなどして,物納に関する問題点を具体的に提示しているのである。加えて,後記3(2)ウのとおり,関東財務局職員の上記問題点の指摘を踏まえ,渋谷税務署職員は,Bらに対し,同年9月8日には,賃貸借契約書の条項に借地権譲渡について地主の承諾が必要になる旨及び承- 32 -諾料を徴する旨を盛り込むべきであるとの補完要求をしているのであるから,遅くとも,そのころまでの間には,おおむね問題点の全体について補完要求をしていることになる。 以上認定の関東財務局職員による審査の状況をも総合して検討すると,渋谷税務署職員は,申請を受けてから速やかに,賃貸借契約の内容について上記調査,検討を進め,事実関係に疑問がある場合には,相続人らにその確認をするなど事実関係の把握に務め,遅くとも本件物納申請から1年程度の間には,自ら又は関東財務局の指導を得るなどして,それまでの調査により明らかになった問題点を申請者である相続人らに対し具体的に提示すべきであり,また,そうすることが十分に可能であったというべきである。そして,渋谷税務署職員が上記時点でそのような措置を講じていたならば,本件物納申請に対する許可は,後に検討するとおり,その時期までは確定できないものの,より早期にされていたものと推認されるという る。そして,渋谷税務署職員が上記時点でそのような措置を講じていたならば,本件物納申請に対する許可は,後に検討するとおり,その時期までは確定できないものの,より早期にされていたものと推認されるというべきである。 しかるに,渋谷税務署職員は,前記(1)認定事実によれば,平成5年10月18日に至って初めて,関東財務局に対し,契約書の内容について収納可能か否かについて電話により判断を仰ぎ(同月29日に調査を依頼した,また,同月21日になって,ようやく,Bに対し「賃借人がマ。),ンションの管理組合となっていること及び増改築等について制限がないことについては前例がない「更に詳細な資料を集めた上で個別に検討し,。」,具体的指示をする「契約内容を変更する必要がある「契約期間に。」,。」,ついても検討する」との趣旨を伝達するに至ったのである(これは,主。 として,賃貸借契約の内容に関する抽象的な問題点の指摘に止まるものといわざるを得ず,また,別紙処理状況表記載の経過からすると,関東財務局職員からの指摘を受けてのものと推認される。 。)以上の認定説示を総合すると,本件物納申請を担当していた渋谷税務署- 33 -職員は,その職務として,申請を受けてから速やかに「管理又は処分す,るのに不適当」なものに該当するか否かの審査として,物納申請の対象である土地の範囲を確定させるための事務処理を進めるだけでなしに,その土地を対象とする賃貸借契約の内容についても,上記審査を進めるべきことが求められていたにもかかわらず,そのような職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と審査をしていたものとして,国家賠償法1条1項にいう違法の評価を免れないものというべきである。 そして,原告は,渋谷税務署職員の違法行為として,平成5年10月18日から平 意義務を尽くすことなく漫然と審査をしていたものとして,国家賠償法1条1項にいう違法の評価を免れないものというべきである。 そして,原告は,渋谷税務署職員の違法行為として,平成5年10月18日から平成6年10月4日の間の5つの行為を取り上げて,その緩慢な処理を問題にしている(前記第2の3(1)イ中の「ア)渋谷税務署(関係(争点1-2-1)が,そのいずれもが,以上において判断の対)」象としたところと同様の趣旨を主張するものであると解される。 なお,渋谷税務署職員は,平成5年8月5日にマンション管理組合の規約の提出及び建物の登記簿謄本の提出を補完要求しているが,これは,同日のBからの電話連絡を受けて「地積が確定したのであれば賃貸借契約書上にも地積を明記する必要がある」旨の指摘との関係でされたものと推認される。また,同年10月7日には,賃借人からの「国有財産借受確認書」の提出を要求しているが,これは,その直後の同月13日の現地調査時の立会人であるBらの申し出の内容や補完要求の内容等に照らすと,契約対象地の地番,地積のほか,契約期間などを明確化するためにされたものと推認される。そうすると,以上の各事実は,上記判断を左右するものといえないことが明らかである。 オところで,被告は,一般に,物納事務としては,物納申請財産の物件自体に関して,物納財産として適しているかどうかについて現地確認及び登記上の調査等を行った上で,必要に応じて補完要求を行う,そして,物件自体が物納財産として適していると判断された後に,その物件に関わる内- 34 -容(賃貸借契約等)について更に調査を行うなど,物納申請財産が物納財産に適するよう段階的に指導を行っていくものである旨主張する。 しかしながら,これまで認定説示してきたところ,特に,前記ア摘示の本件物納申請財産 約等)について更に調査を行うなど,物納申請財産が物納財産に適するよう段階的に指導を行っていくものである旨主張する。 しかしながら,これまで認定説示してきたところ,特に,前記ア摘示の本件物納申請財産の特徴,前記ウ摘示の物納申請の審査の在り方などに徴すると,本件物納申請の審査に当たっては,被告主張に係る段階的審査方式を採るべき必要性,合理性があるものと認めることはできないというべきである。証人Eも,物納申請財産の対象地の範囲を明確化することと並行して土地の賃貸借契約についての調査・補完を行うべき旨証言しているところである。 また,被告は,物納申請財産である土地に関する賃貸借契約の内容については,まずもって申請者と土地賃借人との間の問題であって,本来的には国が関与すべき事項ではないから,そのような補完要求は相当慎重に行われなければならない旨主張する。しかしながら,被告主張のような配慮が求められるとしても,以上認定説示した本件の事実関係の下においては,前記エのとおり判断されるというべきである。 してみると,被告の上記各主張はいずれも採用できない。 争点1-2-2(本件裁決までの関係)について(1)別紙処理状況表によれば,本件裁決までの間の,関東財務局及び東京国税局における本件物納申請の審査の状況及びこれに対する相続人らの対応状況について,次のことが明らかである。 ア平成6年10月4日付けの書面による補完要求に至る経緯関東財務局職員は,平成5年10月29日に渋谷税務署長から本件物納申請財産が管理又は処分するのに適当か否かについて調査依頼を受けた後,同年12月8日,渋谷税務署職員に対し,本件賃貸借契約の契約書について,借地契約者であるマンション管理組合が区分所有法の定める法人となっていなければ不適当となること,近隣と比較して賃料が低いこと 後,同年12月8日,渋谷税務署職員に対し,本件賃貸借契約の契約書について,借地契約者であるマンション管理組合が区分所有法の定める法人となっていなければ不適当となること,近隣と比較して賃料が低いこと,- 35 -建替え制限がないこと(承諾を要する旨の条項を加える必要があること)が問題になる旨を連絡した。これを受けて,同署職員は,翌9日,Bに対し,マンション管理組合が区分所有法の定める法人格を有しているかどうか確認するよう指示するとともに,賃料を増額するよう補完要求をした。 また,関東財務局職員は,平成6年1月26日,渋谷税務署職員に対し「マンション管理組合が法人格を有しているかどうかの回答をもらっ,ていないため調査回答ができない」旨を連絡し,同日中に,同署職員を。 通じて「マンション管理組合は区分所有法の定める法人格を有していない」旨の報告を受けた。そこで,関東財務局職員は,渋谷税務署職員に。 対し,翌27日に「現在,借地人の問題について検討中である」旨を伝。 えるとともに,同年2月1日及び同月23日にも,本件賃貸借契約の内容について問題点を指摘するなどした。こうした指摘を受けて,渋谷税務署職員は,翌24日,Bに対し,本件賃貸借契約の記載内容(賃借権の譲渡及び契約の解除の関係)について確認するよう指示した。 さらに,同年3月29日,関東財務局において,B,C及びKのほか,渋谷税務署職員も集まり,同局職員との間で三者協議がされたが,その際,同局職員は,Bらに対し,本件賃貸借契約の内容について質問をした。また,同年5月12日,再度関東財務局において,K及びマンションの管理組合側代理人弁護士Oのほか,渋谷税務署職員も集まり,三者協議がされたが,その際,O弁護士から「借地権の所有者は管理組合ではなく個々の区分所有者であり,管理組合は単なる いて,K及びマンションの管理組合側代理人弁護士Oのほか,渋谷税務署職員も集まり,三者協議がされたが,その際,O弁護士から「借地権の所有者は管理組合ではなく個々の区分所有者であり,管理組合は単なる代理人として事務を受任しているのみである。よって,契約書上の借地人は各区分所有者となる」等の回答。 がされた。同年9月8日にも,関東財務局において,渋谷税務署職員,B,C及びKが集まり,三者協議がされ,その際,Bらが「賃料については,最近上げたところであり,現行の2倍では借地人側との交渉は困難である「賃料水準は国の都合であり,国に引き継いでから国と借地人との。」,- 36 -。 ,間で交渉してもらいたい」などと申し出たのに対し,関東財務局職員は「国が引き受けてからの急な値上げでは借地人との契約の際,争いが起こる可能性が高いため,前地主からの円滑な引継ぎができるものという物納の前提条件に該当しないことになる「現行の2倍というのは,関東財。」,務局側で把握している平均値であるが,不可能であれば1.5倍でもやむを得ない」旨対応した。 。 このような経緯の後に,関東財務局職員は,同年9月27日,渋谷税務署職員に対し「物納申請不動産に係る補完事項連絡票(平成6年9,」月27日付け)を送付し,①借地権者である各区分所有者との賃貸借契約を締結すること,②隣接地(1461-1)との境界確認書を提出すること,③現行の賃料は付近相場から勘案して著しく低額であるため,適正な額に是正することのほか,④関係書類を提出することについて,相続人らによる補完が必要である旨を連絡した。これを受けて,渋谷税務署職員は,同年10月5日,相続人らに対し「物納申請不動産に関する,書類の補完等の通知書(平成6年10月4日付け)を送付し,上記諸点」につい 補完が必要である旨を連絡した。これを受けて,渋谷税務署職員は,同年10月5日,相続人らに対し「物納申請不動産に関する,書類の補完等の通知書(平成6年10月4日付け)を送付し,上記諸点」について補完要求をした。 イ平成6年10月4日付けの書面による補完要求に対する相続人らの対応上記補完要求について,相続人らの側ではKが中心となってマンションの区分所有者側と交渉が進められた。Kらは,渋谷税務署職員に対して状況を報告し,平成7年2月1日には,Kから「O弁護士を含め各区分,所有者と話し合った結果,値上げと当方への提出書類(賃借地境界確認書等)を各区分所有者に送付し,その返送期限を2月20日とすることとなった。しばらく猶予願いたい。近隣地代の実例についての調査は未了である」旨の報告もされた。しかし,その後も上記補完要求に関する交渉は。 相続人らの思うようには進まず,同年6月9日には,B,C及びKが渋谷税務署に赴いて,補完の猶予を求めるとともに,賃料額の値上げ交渉及び- 37 -賃借地境界確認書の入手が難航している旨を報告したが,これに対し,渋谷税務署職員から「収納後に国が値上げ交渉をすることは困難「賃借,」,地境界確認書が完備できなければ物納許可できない」等の対応がされて。 いる。 東京国税局長が国税通則法43条3項の規定に基づき渋谷税務署長から本件相続税の徴収の引継を受けた同年9月27日以降も,上記補完要求に関する交渉は相続人らの思うようには進まなかった。そして,平成8年,,6月17日には,B及びHは,東京国税局に赴き「処理が進まないためKからHに代理人を変更した」旨を報告した。その際,東京国税局職員。 から,B及びHに対し,国有財産有償貸付契約書を提示の上,契約内容について国の契約に準じた契約書を作成すること及び賃料 まないためKからHに代理人を変更した」旨を報告した。その際,東京国税局職員。 から,B及びHに対し,国有財産有償貸付契約書を提示の上,契約内容について国の契約に準じた契約書を作成すること及び賃料を相場並に増額することを補完要求されるとともに,関東財務局の要求する金額(最低現行の1.5倍)が不可能であれば近隣の地代の実例の資料等を提出するように改めて指示された。しかし,その後も,補完要求事項を実現するには至らず,平成9年3月12日,東京国税局職員からの交渉の進捗状況についての問い合わせに対し,Hは「区分所有者の一部から応じられない旨申,し入れされる問題が発生し,難航している」旨回答した。 。 このような過程で,同年9月16日,原告が「Bに聞いたところ,物,納の方が進展していないとのことなので」と東京国税局に赴いた。そして,補完要求事項に関する作業の進捗状況について「賃料について現行26,0円/㎡を300円/㎡にするよう管理組合側へ交渉している。相手方は300円/㎡でも難色を示しておりこれ以上は上げられない「各区分。」,所有者との契約について,全部で44件だが,うち26件は締結済みで管理組合が預かっている。1件は借入れの都合で別契約とした「管理組。」,合側の弁護士がO弁護士からP弁護士に変更された。P弁護士は物納に対して非協力的である(物納を妨害するような文書を配布している,)。」- 38 -「代理人Hには継続してやってもらっているが,このところ進展していない。管理組合・弁護士の不法行為及び借地人との借地権確認の訴訟を提起する予定である」旨を報告した。これに対し,東京国税局職員からは,。 「賃料は300円/㎡を上回ることができないのであればそれで行くしかない。ただし,近隣の地代の実例を調査収集するように」との対応が する予定である」旨を報告した。これに対し,東京国税局職員からは,。 「賃料は300円/㎡を上回ることができないのであればそれで行くしかない。ただし,近隣の地代の実例を調査収集するように」との対応がされた。 ウ調停申し立て後の相続人らの対応原告は,東京国税局職員に対し,平成9年9月24日「本日,管理組,合・弁護士の不法行為及び借地人との借地権確認につき調停を申し立てた」旨を,また,同年10月16日「第1回調停期日が同月27日に。 ,行われる予定である」旨を報告した(これに対し,同局職員からは,そ。 の状況を報告するように指示された。 。)原告は,同月28日,東京国税局職員に対し,第1回調停期日の模様について「当事者能力が問題となり,相手方は区分所有者全員の委任状が,必要となった。前に結んだ26件の契約は総会で破棄されたことが判明した。次回は平成9年12月11日である」旨を報告するとともに,補完。 要求を文書でしてほしい旨を申し出た。これを受けて,相続人らに対し,同年11月26日付けの「物納申請不動産に関する書類の補完等の通知書」が送付された。その補完要求の内容は,①借地権者である各区分所有者と賃貸借契約を締結し,その写しを提出する(契約に当たっては,国の契約書式に準じた内容とする,②現行の賃料は付近相場から勘案。)して著しく低額であるため適正な価格に是正する,③賃貸借関係書,賃貸借契約書(写,*賃借地の境界に関する確認書,*敷金等に関する確)認書,*建物登記簿謄本,直近の地代領収書(写)3か月分といった必要書類を提出する(なお,*を付したものについては,既に提出済みのものと変更がなければ不要とのことであった)というものであった。 。 - 39 -平成10年1月29日,原告及びマンション管理委員会副委員長が東京 する(なお,*を付したものについては,既に提出済みのものと変更がなければ不要とのことであった)というものであった。 。 - 39 -平成10年1月29日,原告及びマンション管理委員会副委員長が東京国税局に赴き,同副委員長から「管理委員会としては,地主と対立するつもりはないので,譲歩できるところはしていきたい。賃料について,公正な金額であればやむを得ないと思っている。借地権者は,各区分所有者であることについては認める。承諾料については,今までずっと支払っていないので難しい」旨の説明がされた。これに対し,東京国税局職員から。 は「地主に不利な契約条項を認めるわけにはいかない」旨の対応がさ,。 れ,原告に対し,契約書に地主の承諾が必要となる旨及び承諾料を徴せる旨の条項を盛り込むようにとの補完要求がされた。また,同年3月19日には,原告は,東京国税局に赴き,同局職員に対し,調停の状況を報告するとともに「調停で決められるのは賃料のみである。平成4年6月28,日付け契約書の無効を求めて管理組合を相手取り訴訟提起を考えている。 これまで努力してきたのだからもう少し待って欲しい」旨申し出た。こ。 ,,れに対し,東京国税局職員からは「調停及び訴訟が長引くようであれば待つことは困難である」旨の対応がされた。その後も,原告やその代理。 人のQ弁護士は,東京国税局職員に対し,調停の状況について,契約書上借地権譲渡の事前承諾条項及び承諾料の支払条項を加える交渉が難航している旨を報告している。 このような中,平成10年8月25日,本件物納申請財産の現地調査が),実施され(立会人は原告,B,C及びQ弁護士,関東財務局職員を交え三者協議がされた。その際,相続人らに対し,①各区分所有者と個別契約を結ぶこと,②契約に借地権譲渡の際に事前に承諾を得るとの ,実施され(立会人は原告,B,C及びQ弁護士,関東財務局職員を交え三者協議がされた。その際,相続人らに対し,①各区分所有者と個別契約を結ぶこと,②契約に借地権譲渡の際に事前に承諾を得るとの条項を入れること,③賃料を引き上げること,④関係書類を提出することの4点について補完要求がされるとともに「補完事項について補完できな,ければ不適当財産として物納却下せざるを得ない「申請後約7年経過」,の事案であり,早急に対応するように」との指示がされた。 - 40 -その後,東京国税局職員,関東財務局職員,原告の間で,本件賃貸借契約の内容,特に,借地権譲渡の際に事前に承諾を得ること及び承諾料を支払うことの条項を追加することについて協議が持たれていたが,平成11年6月15日には原告が平成9年9月24日に申し立てていた調停が不調に終わるなど,これらの点について補完するための交渉は進捗しなかった。 そして,その後も,東京国税局職員が,平成12年5月12日,同年11月10日,平成13年1月15日,同月31日等に原告らと譲渡承諾及び承諾料等について協議するも,事態は進捗しなかった。 エ関東財務局による調査結果の回答以降の経緯以上の状況の下で,関東財務局東京財務事務所長は,平成13年2月19日,東京国税局長に対し,平成5年10月29日付けの調査依頼について「物納申請不動産に係る調査の回答について」と題する書面(平成1,3年2月15日付け)を送付し,本件物納申請財産は「管理又は処分するのに不適当な財産に該当する」旨を回答した。その理由は,本件賃貸借契約上,借地権譲渡の事前承諾及び承諾料を徴さないとされていることである(乙6。 )この調査結果を受けて,東京国税局職員は,原告や新たに原告代理人となったI弁護士(本件の原告訴訟代理人)との間でや 約上,借地権譲渡の事前承諾及び承諾料を徴さないとされていることである(乙6。 )この調査結果を受けて,東京国税局職員は,原告や新たに原告代理人となったI弁護士(本件の原告訴訟代理人)との間でやりとりをした。また,その間に,原告から,同年4月30日に相続人らの間で遺産分割協議が成立し,同年5月17日に本件土地の持分について,原告1000分の544,B及びC1000分の228とする登記を経たとして,同月30日,修正相続税物納申請書及び延納申請書が提出された。 このような経過を経て,東京国税局長は,同年6月20日,関東財務局長に宛てて「当該納税者においては,その財産のほかに物納に充てるべ,き適当な財産が無く,かつ,本件物納申請を却下した場合は納付すべき相続税額の徴収上著しい支障が生ずると認められる」として本件土地の物納- 41 -の可否について特例協議を依頼した(乙8。しかし,同年10月3日,)関東財務局長から「特例協議に対する回答について」と題する書面(同,年9月28日付け)が送付され,本件土地は「管理又は処分するのに不適当な財産」に該当することから引受することは認められない旨の回答がされた。その理由は,借地権の譲渡に際して,地主の承諾不要及び承諾料を徴せないとする現契約書のままで引受することは,地主となる国が著しく不利益を被ることになるためであり,相続税法基本通達42-2の(3)カ「借地,借家契約の円滑な継続が困難な不動産」の(注)1「社会通念に照らし,契約内容が貸主に著しく不利な貸地又は貸家」に該当するというものであった(乙9。 )そこで,東京国税局長は,同年11月7日,相続人らに対し,相続税物納財産変更要求通知書を送付した(本件変更要求処分。 )これに対し,相続人らは,同年12月28日,国税不服審判所に対し,本件変 )そこで,東京国税局長は,同年11月7日,相続人らに対し,相続税物納財産変更要求通知書を送付した(本件変更要求処分。 )これに対し,相続人らは,同年12月28日,国税不服審判所に対し,本件変更要求処分について審査請求をしたところ,平成14年10月8日,国税不服審判所長により,本件変更要求処分を全部取り消す旨の本件裁決がされた。 (2)そこで,前記(1)認定事実に基づいて,争点1-2-2(本件裁決までの関係)のうち,まず,平成13年2月15日付け関東財務局東京財務事務所長の東京国税局長宛て書面(乙6)による調査結果の回答がされるまでの間の,本件物納申請の審査の過程について検討する(これ以降の過程については,後記(3)で検討する)に,その職務を担当した関東財務局職。 員及び東京国税局職員には,原告主張に係る職務上の法的義務違反は認められないものと判断する。その理由は,次のとおりである。 ア関東財務局職員は,平成5年10月29日に渋谷税務署長から本件物納申請財産の調査依頼を受けた後,調査,検討をし,平成6年10月5日には渋谷税務署職員を通じて,基本的な事項について書面により補完要求を- 42 -行っているが,その間の審査の過程を前記(1)認定事実に基づいて通観すると,次のことが明らかである。 関東財務局職員は,上記調査依頼を受けた後,平成5年12月8日には,渋谷税務署職員に対し,本件賃貸借契約の契約書について,借地契約者であるマンション管理組合が区分所有法の定める法人となっていなければ不適当となること,近隣と比較して賃料が低いこと,建替え制限がないこと(承諾を要する旨の条項を加える必要があること)が問題になる旨を連絡し,同署職員を介して,Bに対し,マンション管理組合が区分所有法の定める法人格を有しているかどうか確認するよう指示す 制限がないこと(承諾を要する旨の条項を加える必要があること)が問題になる旨を連絡し,同署職員を介して,Bに対し,マンション管理組合が区分所有法の定める法人格を有しているかどうか確認するよう指示するとともに,賃料を増額するよう補完要求をしている。また,関東財務局職員は,平成6年1月下旬には,改めて事実関係を照会することを通じて,マンション管理組合が法人格を有していないことを確認の上,本件賃貸借契約の内容について検討し,同年2月24日には,渋谷税務署職員を介して,Bに対し,本件賃貸借契約の記載内容(賃借権の譲渡及び契約の解除の関係)について確認するよう指示している。さらに,同年3月29日,同年5月12日及び同年9月8日には,関東財務局において,相続人らの関係者のほか,渋谷税務署職員も集まり(同年5月12日にはマンションの管理組合側代理人弁護士Oも参加した,同局職員との間で三者協議がされたが,こう。)した際にも,同局職員は,本件賃貸借契約の内容について確認をした(管理組合側代理人弁護士Oからも「借地権の所有者は管理組合ではなく個々の区分所有者であり,管理組合は単なる代理人として事務を受任しているのみである。よって,契約書上の借地人は各区分所有者となる」等の回。 答がされた)ほか,Bらとの間で,賃貸借契約の内容の変更について,。 前記(1)ア認定のやりとりをするなどしている。 そして,このような経緯の後に,関東財務局職員は,同年9月27日,渋谷税務署職員に対し「物納申請不動産に係る補完事項連絡票」を送付,- 43 -し,①借地権者である各区分所有者との賃貸借契約を締結すること,②隣接地(1461-1)との境界確認書を提出すること,③現行の賃料は付近相場から勘案して著しく低額であるため,適正な額に是正することのほか,④関係書 各区分所有者との賃貸借契約を締結すること,②隣接地(1461-1)との境界確認書を提出すること,③現行の賃料は付近相場から勘案して著しく低額であるため,適正な額に是正することのほか,④関係書類を提出することについて,相続人らによる補完が必要である旨を連絡した(これを受けて,渋谷税務署職員は,同年10月5日,相続人らに対し「物納申請不動産に関する書類の補完等の通知,書(平成6年10月4日付け)を送付し,上記諸点について補完要求を」した。 。)以上の経過を通観すれば,関東財務局職員は,平成5年10月29日に渋谷税務署長から本件物納申請財産の調査依頼を受けた後,ほどなく,渋谷税務署職員を通じ又は同局に赴いた原告ら関係者から直接に事実関係を確認するなどして,必要な調査を行い,問題点を指摘したり,その一部について補完要求をしたりした上で,平成6年10月5日には渋谷税務署職員を通じて,基本的な事項について書面により補完要求を行っていることが明らかである。そうすると,その職務の遂行の過程に,職務上の法的注意義務に漫然と違反した点を見い出すことはできないというべきである。 イところで,上記平成6年10月4日付けの書面による補完要求に対する相続人らの対応の状況について,前記(1)認定事実に基づいて通観すると,次のことが明らかである。 上記補完要求について,相続人らの側ではKが中心となってマンションの区分所有者側と交渉が進められた。Kらは,渋谷税務署職員に対して状況を報告し,平成7年2月1日には,Kから「O弁護士を含め各区分所,有者と話し合った結果,値上げと当方への提出書類(賃借地境界確認書等)を各区分所有者に送付し,その返送期限を2月20日とすることとなった。しばらく猶予願いたい。近隣地代の実例についての調査は未了である」旨も報告さ 結果,値上げと当方への提出書類(賃借地境界確認書等)を各区分所有者に送付し,その返送期限を2月20日とすることとなった。しばらく猶予願いたい。近隣地代の実例についての調査は未了である」旨も報告された。しかし,その後も上記補完要求に関する交渉は相。 - 44 -続人らの思うようには進まず,同年6月9日には,B,C及びKが渋谷税務署に赴いて,補完の猶予を求めるとともに,賃料額の値上げ交渉及び賃借地境界確認書の入手が難航している旨を報告している。 東京国税局長が国税通則法43条3項の規定に基づき渋谷税務署長から本件相続税の徴収の引継を受けた同年9月27日以降も,上記補完要求に関する交渉は相続人らの思うようには進まなかった。 そして,平成8年6月17日には,B及びHが東京国税局に赴いて,「処理が進まないため,KからHに代理人を変更した」旨を報告してい。 る。その際,B及びHは,東京国税局職員から,国有財産有償貸付契約書を提示された上,契約内容について国の契約に準じた契約書を作成すること及び賃料を相場並に増額することについて補完要求されるとともに,関東財務局の要求する金額(最低現行の1.5倍)が不可能であれば近隣の地代の実例の資料等を提出するように改めて指示された。しかし,その後も,補完要求事項を実現するには至らず,平成9年3月12日,東京国税局職員からの交渉の進捗状況についての問い合わせに対し,Hは「区分,所有者の一部から応じられない旨申し入れされる問題が発生し,難航している」旨回答している。 。 このような過程で,同年9月16日,原告が「Bに聞いたところ,物,納の方が進展していないとのことなので」と東京国税局に赴き,補完要求事項に関する作業の進捗状況について,前記(1)イ認定のとおり厳しい状況にあることのほか「代理人Hには継続してや いたところ,物,納の方が進展していないとのことなので」と東京国税局に赴き,補完要求事項に関する作業の進捗状況について,前記(1)イ認定のとおり厳しい状況にあることのほか「代理人Hには継続してやってもらっているが,,このところ進展していない。管理組合・弁護士の不法行為及び借地人との借地権確認の訴訟を提起する予定である」旨を報告した。そして,原告。 は,平成9年9月24日「管理組合・弁護士の不法行為及び借地人との,借地権確認」について調停を申し立てた。 原告は,同年10月28日,東京国税局職員に対し,第1回調停期日の- 45 -模様について「当事者能力が問題となり,相手方は区分所有者全員の委,任状が必要となった。前に結んだ26件の契約は総会で破棄されたことが判明した」旨を報告するとともに,補完要求を文書でしてほしい旨を申。 し出た。これを受けて,相続人らに対し,同年11月26日付けの「物納申請不動産に関する書類の補完等の通知書」が送付された(その補完要求の内容は,前記(1)ウ認定のとおりである。 。)その後,原告から東京国税局職員に対し調停事件の状況等について報告された。その間の平成10年1月29日には,原告及びマンション管理委員会副委員長が東京国税局に赴き,同副委員長から前記(1)ウ認定のとおりの説明がされ,これに対し,東京国税局職員から「地主に不利な契,約条項を認めるわけにはいかない」旨の対応がされ,原告に対し,契約。 書に地主の承諾が必要となる旨及び承諾料を徴せる旨の条項を盛り込むようにとの補完要求がされている。また,同年3月19日には,原告が,東京国税局に赴き,同局職員に対し,調停の状況を報告するとともに「平,成4年6月28日付け契約書の無効を求めて管理組合を相手取り訴訟提起を考えている。これまで努力してきた 3月19日には,原告が,東京国税局に赴き,同局職員に対し,調停の状況を報告するとともに「平,成4年6月28日付け契約書の無効を求めて管理組合を相手取り訴訟提起を考えている。これまで努力してきたのだからもう少し待って欲しい」。 などと申し出たのに対し,東京国税局職員から「調停及び訴訟が長引く,。 ,ようであれば,待つことは困難である」旨の対応がされている。そしてその後も,原告やその代理人のQ弁護士が,東京国税局職員に対し,調停の状況について,契約書上借地権譲渡の事前承諾条項及び承諾料の支払条項を加える交渉が難航している旨を報告している。 このような中,平成10年8月25日,本件物納申請財産の現地調査が),実施され(立会人は原告,B,C及びQ弁護士,関東財務局職員を交え三者協議がされ,前記(1)ウ認定のとおり4点について補完要求がされるとともに「補完事項について補完できなければ不適当財産として物納,申請を却下せざるを得ない「申請後約7年経過の事案であり,早急に」,- 46 -対応するように」との指示がされている。 その後,東京国税局職員,関東財務局職員,原告の間で,本件賃貸借契約の内容,特に,借地権譲渡の際に事前に承諾を得ること及び承諾料を支払うことの条項を追加することについて協議が持たれていたが,平成11年6月15日には原告が平成9年9月24日に申し立てていた調停が不調に終わるなど,これらの点について補完するための交渉は進捗しなかった。 そして,その後も,東京国税局職員が,平成12年5月12日,同年11月10日,平成13年1月15日,同月31日等に原告らと譲渡承諾及び承諾料等について協議するも,事態は進捗しなかった。 以上の経過を通観すれば,相続人らは,渋谷税務署及び東京国税局からの補完要求を受け,それを実現するために 15日,同月31日等に原告らと譲渡承諾及び承諾料等について協議するも,事態は進捗しなかった。 以上の経過を通観すれば,相続人らは,渋谷税務署及び東京国税局からの補完要求を受け,それを実現するためにマンション関係者などとの間で賃貸借契約の内容の改訂について交渉を重ねるなどしたが,それが思うように進捗しなかったこと,平成9年9月には事態を打開するために調停を申し立てたが,それもついに平成11年6月には不調に終わったこと,その間,原告らは,東京国税局職員らに対し,補完要求事項の実現について猶予を求める姿勢を示していたこと(このことは,別紙処理状況表を通覧すれば明らかである。平成7年2月1日,同年5月22日,同年6月9日,平成10年3月19日には,その旨の意向を積極的に表明している)が。 明らかである。そうすると,上記平成6年10月4日付けの書面による補完要求後,平成13年2月15日付け関東財務局東京財務事務所長の東京国税局長宛て書面(乙6)による調査結果の回答までの間の本件物納申請の審査の職務を担当した関東財務局及び東京国税局の職員は,物納を許可するために必要と考えられる補完事項について,相続人らの意向に基づいて,相続人らから進捗状況の報告を受け,必要に応じ,その問題点や解決の方向性を指摘するなどして,それらが実現されるのを見守っていたものと評価することができる。 - 47 -そして,上記期間において,本件物納申請の審査に関する職務を担当した上記職員らは,相続人らに対し,上記認定のとおり,本件賃貸借契約の内容について幾つかの補完要求をしたりしているが,以上の認定事実によれば,それは,そのような補完が実現されなければ,本件物納対象財産は「管理又は処分をするのに不適当」なものに該当する旨の判断の下に行っていたものと推認される。そして,こう いるが,以上の認定事実によれば,それは,そのような補完が実現されなければ,本件物納対象財産は「管理又は処分をするのに不適当」なものに該当する旨の判断の下に行っていたものと推認される。そして,こうした判断については,後記(3)説示のとおり相応の合理性が認められるところである。 以上の認定説示を総合的に考察すると,上記職員らが,上記判断の下に,相続人らに対し補完要求をし,それが実現されることを見守っていたことについては,その職務の遂行の過程において,職務上の法的注意義務に漫然と違反した点を見い出すことはできないというべきである。 ウところで,原告は,この間の担当公務員の職務に関し,①東京国税局職員が,平成8年6月17日に至って初めて,国有財産有償貸付契約書を提示し,本件賃貸借契約の内容を全体としてどのように変更すべきかについて説明したこと,②東京国税局長が,平成9年11月26日になって,「物納申請不動産に関する書類の補完等の通知書」を送付し,補完事項を追加したことを問題にしている。 しかしながら,以下の点からすれば,Bらは,遅くとも平成6年9月8日には,渋谷税務署職員から,賃貸借契約書の条項に借地権譲渡について地主の承諾が必要となる旨及び承諾料を徴する旨を盛り込むべきであるとの補完要求を受けていたものと推認される。 すなわち,関東財務局職員は,同年2月23日,渋谷税務署職員に対し,本件賃貸借契約の内容(管理組合が持分を共有したり,第三者に譲渡できるのか等)について照会をし,更に渋谷税務署職員は,同年3月29日,Bらに対し「管理組合は地主の承諾を得ずに借地権を譲渡できるの,か」といった本件賃貸借契約の内容について質問をしていた。また,B。 - 48 -らとしても,同年8月31日,渋谷税務署職員に対し「具体的に契約書,の例示を出 諾を得ずに借地権を譲渡できるの,か」といった本件賃貸借契約の内容について質問をしていた。また,B。 - 48 -らとしても,同年8月31日,渋谷税務署職員に対し「具体的に契約書,の例示を出してもらった上で,借地人(各区分所有者)との交渉に入りた。 ,い」旨申し出ており,同年9月8日には,関東財務局に赴いたBらから「賃料については最近上げたところであり,現行の2倍では借地人側との交渉は困難である「賃料水準は国の都合であり,国に引き継いでから。」,国と借地人との間で交渉してもらいたい」旨の申し出がされ,これに対。 し,同局職員から「建物の区分所有者のうち,法人名のものが数件見られるが,居住用以外に使用しているのか。営利目的であれば国の貸付基準が異なるので調査しておくこと」との指示がされるなど,このころには,。 本件賃貸借契約の具体的内容についてやりとりがされるようになっていた。 そして,その後,Bらは,マンションの各区分所有者との間で賃貸借契約の内容の変更に向けて交渉を重ねていた。その間の平成8年6月17日には,東京国税局職員からB及びHに対し,国有財産有償貸付契約書が提示されているが,その際同契約書の内容を巡ってBらから特段の申し出がされた形跡はない。 そして,Bは,その陳述書(甲41)において,関東財務局に赴いた際,賃料の増額について補完要求がされるとともに,マンションの住民との賃貸借契約の内容は,財務局の用いる統一契約書のようなものにして欲しいとの要求を受けた旨記載しているところである。Bは,上記要求を受けたのがいつであるかは正確に記憶していない旨記載しているが,別紙処理状況表によれば,Bが関東財務局に赴いたのは平成6年3月29日及び同年9月8日である(うち,賃料について補完要求がされたのは後者のみである。 。) 正確に記憶していない旨記載しているが,別紙処理状況表によれば,Bが関東財務局に赴いたのは平成6年3月29日及び同年9月8日である(うち,賃料について補完要求がされたのは後者のみである。 。)以上の認定説示を総合すると,Bらは,遅くとも平成6年9月8日には,渋谷税務署職員から,賃貸借契約書の条項に借地権譲渡について地主の承諾が必要となる旨及び承諾料を徴する旨を盛り込むべきであるとの補完要- 49 -求を受けていたものと推認される。 そうすると,原告主張に係る上記①及び②の行為については,以上の経過を経た上でされたことが明らかであるから,職務上の法的注意義務に漫然と違反した点を見い出すことはできないというべきである。 エ以上認定説示したことのほか,仮に本件物納申請財産の管理官庁である関東財務局が早期に「不適当」との調査回答を行った場合には,渋谷税務署職員や徴収の引継ぎを受けた後の東京国税局職員は,相続税法基本通達42-3に従い,相続人らに対し,物納財産の変更を求めなければならないところ(前記前提となる事実等(3,相続人らは,相続税を金銭で))納付することが困難な状況にあり,また,仮に物納申請が却下されれば,相続人らの相続税に対する延滞税が多大なものとなり,相続税の徴収上困難が生じることが見込まれたこと等の事情にも徴すると,上記職員らが,上記判断の下に,相続人らに対し補完要求をし,それが実現されることを見守っていたことについては,その職務の遂行の過程において,職務上の法的注意義務に漫然と違反したものと認めることはできないというべきである。 (3)次に,前記(1)認定事実に基づいて,争点1-2-2(本件裁決までの関係)のうち,平成13年2月15日付け関東財務局東京財務事務所長の東京国税局長宛て書面(乙6)による調査結果の回答以 る。 (3)次に,前記(1)認定事実に基づいて,争点1-2-2(本件裁決までの関係)のうち,平成13年2月15日付け関東財務局東京財務事務所長の東京国税局長宛て書面(乙6)による調査結果の回答以降の過程について検討する。 この関係では,原告は,①関東財務局東京財務事務所長が,渋谷税務署からの物納財産調査依頼(平成5年10月29日付け)について,本件物納申請財産には何らの拒絶事由がないにもかかわらず,平成13年2月15日付け東京国税局長宛て書面(乙6)により「不適当」である旨の調査結果,の回答を行ったこと,②これに対する東京税務局長からの特例協議に対し,同年9月28日付け関東財務局長の東京国税局長宛て書面(乙9)により,- 50 -再度「不適当」との回答を行ったこと,そして,以上の経緯の後,③東京国税局長が,原告に対し,同年11月7日,事実上物納を拒絶する内容の書面である相続税物納財産変更要求通知書を送付したことを問題にしている。 ア前記(1)エ認定事実によれば,①関東財務局東京財務事務所長が,平成13年2月15日付けの「物納申請不動産に係る調査の回答について」と題する書面により,本件物納申請財産は「管理又は処分するのに不適当な財産に該当する」旨を回答し,また,②これに対する東京税務局長からの特例協議に対し,関東財務局長が,同年9月28日付けの「特例協議に対する回答について」と題する書面により,本件土地は「管理又は処分するのに不適当な財産」に該当することから引受することは認められない旨を回答したが,その理由は,借地権の譲渡に際して,地主の承諾不要及び承諾料を徴せないとする現契約書のままで引受することは,地主となる国が著しく不利益を被ることになるためであり,相続税法基本通達42-2の(3)カ「借地,借家契約の円滑な継続 して,地主の承諾不要及び承諾料を徴せないとする現契約書のままで引受することは,地主となる国が著しく不利益を被ることになるためであり,相続税法基本通達42-2の(3)カ「借地,借家契約の円滑な継続が困難な不動産」の(注)1「社会通念に照らし,契約内容が貸主に著しく不利な貸地又は貸家」に該当するというものであったことが明らかである。 また,③東京国税局長は,同年11月7日,相続人らに対し,相続税物納財産変更要求通知書を送付した(本件変更要求処分)が,これは,相続税法基本通達(平成4年6月19日付け)42-3が,前記第2の1(前提となる事実等(3)イ摘示のとおり「税務署長又は国税局長は,),物納申請財産が不動産・・・である場合において,当該物納申請財産の管理又は処分につき物納財産の管理官庁の意見を聞く必要があると認められる場合には管理官庁と協議するものとする。この場合において,管理官庁による物納申請財産の調査の結果,管理又は処分をするのに不適当である旨の回答があったときは,当該回答に則して法第42条第2項ただし書の規定により物納財産の変更を求めるものとする」と定めていることに従。 - 51 -ったものであることが明らかである。 イところで,相続税の物納制度は,前記2(2)ウ説示のとおり,相続税が財産課税としての特殊な性格を有することにかんがみ,これを金銭で納付することが困難な事由がある場合に限り,申請により,その納付を困難とする金額を限度として一定の相続財産をもって物納することを例外的に認めるものであり(相続税法41条,同法42条2項ただし書は,税務)署長は申請に係る物納財産が「管理又は処分をするのに不適当」であると認める場合には,その変更を求めた上で,申請を許可又は却下することができる旨を規定している。これは,国が物納され だし書は,税務)署長は申請に係る物納財産が「管理又は処分をするのに不適当」であると認める場合には,その変更を求めた上で,申請を許可又は却下することができる旨を規定している。これは,国が物納された財産の管理又は処分を通じて,金銭の納付があった場合と同等の経済的利益を確保し得るものでなければならないとの趣旨に基づくものと解される。 もっとも,物納対象財産が「管理又は処分をするのに不適当」であるとの上記要件は多分に規範的なものであり,相続税法自体は,この点に関する基準について明文の規定を設けておらず,相続税法基本通達42-2において不適当財産が例示され,また,同通達42-3において必要に応じ管理官庁と協議すべき旨が定められているにすぎない。そして,上記各通達は,税務署長が物納を許可した場合には,その申請財産が国有財産となり,財務大臣が当該財産の管理又は処分機関となることから,相続税法上の前者の判断と,国有財産法上の後者の判断との間に齟齬を来すことがないよう統一的な解釈・運用を図る観点から定められているものと解される。 そこで,物納申請の審査を担当する職員は,申請財産が「管理又は処分をするのに不適当」であるか否かについて,上記の趣旨にのっとって判断すべきことが求められることになるが,本件におけるように,物納申請財産について,それを対象にした土地賃貸借契約が締結されている場合においては,その賃貸借契約の内容がどのようなものであったら「管理又は処分をするのに不適当」なものに該当するのか否かについて,微妙な判断を- 52 -求められるものといえる。特に,借地権の譲渡の際の事前承認及び承諾料の徴収に関して,その条項の有無及びその内容によって,金銭の納付があった場合と同等の経済的利益を確保し得ると評価できるか否かについては,事柄の性質に照らし, に,借地権の譲渡の際の事前承認及び承諾料の徴収に関して,その条項の有無及びその内容によって,金銭の納付があった場合と同等の経済的利益を確保し得ると評価できるか否かについては,事柄の性質に照らし,見解が分かれ得るところである。 こうしたことに,上記のとおり,税務署長が物納を許可した場合には,その申請財産が国有財産となり,財務大臣が当該財産の管理又は処分機関となることから,相続税法上の前者の判断と,国有財産法上の後者の判断との間に齟齬を来すことがないよう統一的な解釈・運用を図る必要があること,そして,後者の関係では,一般に,普通財産貸付事務処理要領上,普通財産を対象にした借地権の譲渡に際しては,原則として,譲渡することについて承認を要し,承諾料を徴することとされていた(乙10)ことからすれば,物納申請されている土地について賃貸借契約がされている場合に,その契約内容として,借地権の譲渡の際の事前承認及び承諾料の徴収に関する条項を求めることにも,相応の合理性があるものと考えられる。 そうすると,関東財務局東京財務事務所長が,渋谷税務署からの物納財産調査依頼(平成5年10月29日付け)に対して,前記ア認定の理由,判断の下に,平成13年2月15日付け書面(乙6)により,本件物納申請財産について「不適当」である旨の調査結果の回答を行ったことについては,相応の合理性があったというべきであり,それをもって職務上の法的義務に違反したものと評価することはできない。そして,以上説示した点は,その回答に対する東京税務局長からの特例協議に対し,関東財務局長が,平成13年9月28日付け書面(乙9)により,再度「不適当」との回答を行ったことについても,同様に当てはまるというべきである。 なお,相続人らが国税不服審判所に対し本件変更要求処分について審査請求をしたとこ 年9月28日付け書面(乙9)により,再度「不適当」との回答を行ったことについても,同様に当てはまるというべきである。 なお,相続人らが国税不服審判所に対し本件変更要求処分について審査請求をしたところ,平成14年10月8日,国税不服審判所長により,本件変更要求処分を全部取り消す旨の本件裁決がされているが,以上認定説- 53 -示したところに照らすと,そのことが直ちに以上の判断を左右するものといえないことは,明らかである。 ウまた,東京国税局長が,原告に対し,平成13年11月7日,相続税物納財産変更要求通知書を送付したことについては,それが,前記ア認定のとおり,相続税法基本通達(平成4年6月19日付け)42-3の定めに従って行われたものであることが明らかである以上,他に特段の事情が認められない本件においては,職務上の法的義務違反があると認めることはできない。 争点1-2-3(本件裁決後の関係)について(1)別紙処理状況表によれば,国税不服審判所長による本件裁決後における本件物納申請の審査の状況及びこれに対する相続人らの対応状況について,次のことが明らかである。 相続人らは,平成13年12月28日,国税不服審判所に対し,本件変更要求処分について審査請求をしたところ,平成14年10月8日,国税不服審判所長により,本件変更要求処分を全部取り消す旨の裁決がされた。 同月11日,東京国税局職員は,同局に赴いた原告代理人I弁護士に対し,賃貸借契約の相手方について「現在,関東財務局で検討中である。必要書類については,関東財務局と協議の上,後日連絡する」旨を伝えた。同月2。 9日,東京国税局職員及びI弁護士が関東財務局に赴き,三者協議が行われ,その際,I弁護士から「賃貸借契約について管理組合と係争中である」,。 旨を報告されたことについて,東 旨を伝えた。同月2。 9日,東京国税局職員及びI弁護士が関東財務局に赴き,三者協議が行われ,その際,I弁護士から「賃貸借契約について管理組合と係争中である」,。 旨を報告されたことについて,東京国税局職員が「法人格のない管理組合,が契約者であることは問題である」旨を指摘した。 。 同年11月6日,B,I弁護士のほか,東京国税局及び関東財務局の職員の三者が集まって,現地調査が実施され,東京国税局職員が,境界標の写真を提出すること並びに塀及びネットフェンスの所有者を確認することを補完要求するとともに,契約書関係についても後日補完要求する旨を伝えた。 - 54 -同年12月19日,東京国税局長は,関東財務局職員から「物納申請不動産に係る補完事項連絡票(同年12月17日付け)を受領した。補完事項」として,境界標,契約書の契約条項,敷金確認書,賃借地の境界に関する確認書並びに工作物に関する確認書及び座標リストに関するものが掲げられていた。東京国税局職員は,平成15年1月から2月にかけて,I弁護士と協議,折衝を重ねた。その間の同年2月19日には,相続人らに対し「物納,申請不動産に関する書類の補完等の通知書」を送付し,上記連絡票と同旨の補完要求をした。これを受けて,同月20日,I弁護士から「速やかに物納。 ,許可されない場合には,不作為を理由に訴訟提起する」旨通告されたため東京国税局職員が,物納許可されない理由について,①補完不備があるため,補完通知書記載の事項が整備されなければならないこと,②契約関係について原告と管理組合が調停中であること等を指摘したところ「3月の,調停で終結させる予定である」旨の回答がされた。 。 その後も,東京国税局職員と原告及びI弁護士との間で補完事項について協議,折衝がされた。そして,この間の同年4月1 と等を指摘したところ「3月の,調停で終結させる予定である」旨の回答がされた。 。 その後も,東京国税局職員と原告及びI弁護士との間で補完事項について協議,折衝がされた。そして,この間の同年4月10日,同年7月9日及び同月28日には境界標確認写真その他の関係書類が提出され,また,同年6月25日には,同月18日に管理組合との間で契約関係について和解が成立した旨が報告された。さらに,同年10月には,東京国税局職員とI弁護士との間で,確認事項について協議が持たれた。 そして,同月23日,関東財務局から,本件物納申請財産が管理又は処分をするのに「適当」である旨の回答を得たので,東京国税局長は,同年11月6日,相続人ら申請に係る物納を許可した。 (2)原告は,東京国税局職員が,平成14年10月8日の本件裁決により本件変更要求処分の違法性が確認されたにもかかわらず,物納許可まで更に1年以上の時間を無駄に費やした,関東財務局職員についても同様の問題がある旨主張する。 - 55 -しかしながら,前記(1)認定事実によれば,関東財務局及び東京国税局の職員は,国税不服審判所長による裁決後,本件物納申請について,補完を要する事項についてはその補完要求をし,また,その点を含め,相続人らの代理人であるI弁護士との間で協議,折衝をし,補完要求事項についての相続人らの対応を待っていたが,その中核的事項について条件が整ったため,本件物納を許可するに至ったことが明らかである。 すなわち,本件物納申請財産については,平成15年2月20日の段階では,東京国税局職員がI弁護士に対し説明したように,①補完不備があるため,補完通知書記載の事項が整備されなければならないこと,②契約関係について原告と管理組合が調停中であることが課題になっていたのである。 そして,上記①の補完 し説明したように,①補完不備があるため,補完通知書記載の事項が整備されなければならないこと,②契約関係について原告と管理組合が調停中であることが課題になっていたのである。 そして,上記①の補完事項等については,相続人らの代理人であるI弁護士との間で協議,折衝がされ,その間の,同年4月10日,同年7月9日及び同月28日には境界標確認写真その他の関係書類が提出がされ,また,同年10月には,東京国税局職員とI弁護士との間で,確認事項について協議が持たれている。さらに,上記②については,同年6月25日に,同月18日に管理組合との間で契約関係について和解が成立した旨が報告されている。 そして,以上の経緯の後に,東京国税局長は,同年10月23日,関東財務局から,本件物納申請財産が管理又は処分をするのに「適当」である旨の回答を得て,同年11月6日,相続人ら申請に係る物納を許可したのである。 以上の経緯を総合的に考察すれば,関東財務局及び東京国税局の職員が,国税不服審判所長による裁決がされた後,物納許可まで更に1年以上の時間を無駄に費やしたとまで認めることはできないので,その職務の遂行の過程において,職務上の法的注意義務に漫然と違反したものと認めることはできないというべきである。 したがって,上記原告の主張は,採用できない。 損害の有無及びその額(争点2)- 56 -そこで,進んで,前記2(2)認定の渋谷税務署職員の職務上の法的義務違反により原告が被った損害の有無及びその額について,検討する。 (1)還付金に対する利息相当額の損害について原告は,相続税の法定納期限である平成4年6月30日から1年6か月後である平成6年1月1日には物納が許可され,1億0274万1923円の還付金(物納財産の価額から相続税額を差し引いたもの)を受け取っていたはず 税の法定納期限である平成4年6月30日から1年6か月後である平成6年1月1日には物納が許可され,1億0274万1923円の還付金(物納財産の価額から相続税額を差し引いたもの)を受け取っていたはずであるから,その還付金に対する同日から実際に還付金が支払われた日までの間の国税通則法所定の割合による利息相当額の損害を被った旨主張する。 アしかしながら,そもそも原告が主張する上記程度の期間で本件物納申請に対する処理が可能であったことを認めるに足りる証拠はない。むしろ,前記2ないし4において認定説示したところ,特に,本件物納申請財産の特徴(3筆の土地の一部であり,いわゆる分譲マンションの敷地として賃貸されていたこと等)のほか,相続人らは,物納の許可を得るためには,本件土地を対象として締結されていた賃貸借契約の内容を変更する必要があったが,賃借人であるマンションの各区分所有者又は管理組合との間の,前記認定の交渉の経緯などに照らせば,本件物納申請について1年6か月なり,3年程度の期間で許可に至ることは,到底困難であったというべきである。 イもっとも,渋谷税務署職員が,申請を受けてから速やかに,賃貸借契約の内容について調査,検討を進め,事実関係に疑問がある場合には,相続人らにその確認をするなど事実関係の把握に務め,遅くとも本件物納申請から1年程度の間に,相続人らに対し,それまでの調査により明らかになった問題点を指摘していれば(なお,前記2(2)エ摘示のとおり,現実には,平成6年3月29日までの間に本件賃貸借契約の内容に関し問題点が指摘され,また,遅くとも同年9月8日ころには,おおむね問題点の全- 57 -体について補完要求がされた,現実に物納が許可された平成15年1。)1月6日よりも早期にそれが許可され,その結果,原告は,その許可後間 とも同年9月8日ころには,おおむね問題点の全- 57 -体について補完要求がされた,現実に物納が許可された平成15年1。)1月6日よりも早期にそれが許可され,その結果,原告は,その許可後間もなくの時点で還付金の支払を受け得たものと推認されるというべきである。 そうすると,原告は,その還付金に対する,還付を受け得たであろう日の翌日から実際に還付を受けた日までの間の利息相当額の損害を被ったということができる(なお,その損害の算定について,原告は国税通則法所定の割合によるべき旨を主張しているが,特段の事情が認められない本件においては,民法所定の年5分の割合によることをもって相当と判断する。 。)ウそこで,その損害額について検討するに,前記2ないし4において認定説示したところによれば,前記2(2)認定の渋谷税務署職員の職務上の法的義務違反がなければ,本件物納申請に対する許可は,平成15年11月6日よりも早期にされていたものと推認されるが,その時期については,事柄の性質上,本件全証拠によっても,それを明確に認定することはできないといわざるを得ない。そうすると,損害の額を算定する上で重要な要素をなすべき還付金の還付を受け得たであろう日についても確定できない筋合いである。 なお,以上認定説示したところによれば,上記時期に関し,次の事情を認定することができる。すなわち,本件物納申請財産は,物納を許可するについては様々な問題を抱えていたのであって,現に,そうした問題点を解決するために,多数の区分所有者らとの間での長期間にわたる交渉が必要であった。しかも,相続人らの間では,遺産分割調停を行うなど遺産分割を巡って争いがあり(前記2(1)ア,原告は他の相続人らに対し寄)与分を主張するなどしていたのである(甲41)から,本件物納申請財産は, 。しかも,相続人らの間では,遺産分割調停を行うなど遺産分割を巡って争いがあり(前記2(1)ア,原告は他の相続人らに対し寄)与分を主張するなどしていたのである(甲41)から,本件物納申請財産は,相続人間に遺産分割協議が成立するまでの間については「所有権の,- 58 -帰属等について係争中の財産(相続税法基本通達42-2(1)ロ)と」して「管理又は処分をするのに不適当」な財産に該当していたものといわざるを得ない。そして,前記認定のとおり,相続人らに遺産分割協議が成立したのは,平成13年4月30日であり,同年5月17日に本件土地の持分について,原告1000分の544,B及びC1000分の228とする登記が経由され,同月30日,修正相続税物納申請書及び延納申請書が提出されているところである。 この点について,原告は,①平成4年12月3日,渋谷税務署を訪れた際,同職員に対し,本件物納申請財産については相続人らの間で各3分の1ずつの所有権移転登記(遺産分割登記)を経ている旨説明したところ,担当者は納得し,以後遺産分割協議書の補完要求は一切されなかった,また,②仮に,遺産全体が未分割であったことが物納許可の障害となっていたのであれば,相続人らは,直ちに遺産分割協議を成立させることができる状況にあったし,少なくとも物納許可の時までには確実に遺産分割協議書を作成できると考えていたとして,相続人らにおいて遺産分割協議が整っていなかったことは,本件物納申請に対する処理の遅延とは無関係である旨主張している。しかしながら,上記原告主張事実については,前記2(1)ア認定事実,その他以上において認定した本件の経緯に徴すると直ちには採用できない(もっとも,前記2(2)認定の渋谷税務署職員の職務上の法的義務違反がなければ,本件物納申請の許可のための条件 2(1)ア認定事実,その他以上において認定した本件の経緯に徴すると直ちには採用できない(もっとも,前記2(2)認定の渋谷税務署職員の職務上の法的義務違反がなければ,本件物納申請の許可のための条件がより早期に整えられ,それに連関して,相続人間における遺産分割協議についても,その成立に向けた機運が高まり,その結果,その協議がより早期に成立するに至った可能性があったということはできよう。しかしながら,本件全証拠によっても,その時期を明確に認定することはできないというほかない。 。)こうしたことを総合的に考慮すると,本件は,損害の性質上その額を立- 59 -証することが極めて困難であるとき(民訴法248条)に該当するものというべきであり,当裁判所は,口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき,その損害額を500万円と認定することとする。 (2)譲渡所得税に関する損害について原告は,本件物納申請に対する許可が平成7年6月30日(相続税の申告書の提出期限の翌日から3年)までにされなかったために,租税特別措置法39条の適用を受け得なくなり,譲渡所得税に関し損害を被った旨主張する。 しかしながら,前記2ないし4及び前記(1)認定説示に照らせば,原告主張に係る時期までに本件物納申請について許可がされ得たと認めることはできないというほかない。 したがって,原告の譲渡所得税に関する損害賠償請求は,その余の点について判断するまでもなく,理由がない。 (3)物納に当たっての実費相当額の損害について原告は,本件賃貸借契約に関し,借地権者変更の際の地主の承諾権及び承諾料請求権を確保すべきであるとの補完要求を受け,それを実現するために多額の費用を支出したが,もともと,これらの費用は,補完を要しない要件に関して補完を強いられた結果支出を余儀なくされたもので び承諾料請求権を確保すべきであるとの補完要求を受け,それを実現するために多額の費用を支出したが,もともと,これらの費用は,補完を要しない要件に関して補完を強いられた結果支出を余儀なくされたものであるから,担当公務員らの違法行為との間に因果関係がある旨主張する。 しかしながら,もともと,前記3(3)イで説示したとおり,本件物納申請の審査を担当していた公務員が,原告主張に係る上記補完要求をしたことについては,相応の合理性があったというべきであり,それをもって職務上の法的義務に違反したものと評価することができない以上,原告主張に係る上記損害の賠償を求める請求は,その余の点について判断するまでもなく,理由がないことに帰する。 (4)慰謝料について100万円前記(1)説示のとおり,前記2(2)認定の渋谷税務署職員の職務上の- 60 -法的義務違反がなければ,本件物納申請に対する許可は,その時期までは確定できないものの,現実に物納が許可された平成15年11月6日よりも早期にされていたものということができる。 そして,原告は,前記(1)認定の財産的損害にとどまらず,上記許可された日までの間,物納申請が却下された場合には多額の延滞税の納付を余儀なくされることになることから,破産に至るおそれを抱きながら日々過ごさざるを得ず,精神的苦痛を被ったことが認められるが(原告本人,本来許)可を受け得たであろう日から現実に許可を受けた日までの間のそのような苦痛は,上記渋谷税務署職員の職務上の法的義務違反と相当因果関係ある損害と認めるのが相当である。そして,その額については,上記渋谷税務署職員の職務上の法的義務違反の内容,その他以上認定した一切の事情を考慮して,100万円をもって相当と認める。 結論 以上によれば,原告の請求は,主文の限度で理由があるか については,上記渋谷税務署職員の職務上の法的義務違反の内容,その他以上認定した一切の事情を考慮して,100万円をもって相当と認める。 結論 以上によれば,原告の請求は,主文の限度で理由があるからこれを認容し,その余は失当として棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第35部裁判長裁判官金井康雄裁判官三井大有裁判官小津亮太- 61 -(別紙)物件目録(分合筆前) 所在渋谷区富ヶ谷2丁目地番1461番1地目宅地地積562.41平方メートル 所在渋谷区富ヶ谷2丁目地番1461番19地目宅地地積209.55平方メートル 所在渋谷区富ヶ谷2丁目地番1461番20地目宅地地積49.58平方メートル(分合筆後) 所在渋谷区富ヶ谷2丁目地番1461番1地目宅地地積201.49平方メートル 所在渋谷区富ヶ谷2丁目地番1461番34地目宅地地積620.04平方メートル
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