- 1 -主文 本件各控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実 及び理由第1控訴の趣旨 原判決を取り消す。 被控訴人の請求を棄却する。 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 第2事案の概要等(以下,略称は原判決の表記に従う)。 事案の概要( )本件は,平成18年□月24日に死亡したAが控訴人農協及び同連合会 との間で締結していた本件共済契約に関し,Aの内縁の妻であった被控訴人が,同契約における死亡共済金等の受取人はAから被控訴人に変更されていると主張して,①控訴人農協らに対し,同契約に基づき,Aの死亡に伴う死亡共済金等3800万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合の遅延損害金の支払を求めるとともに,②Aの唯一の法定相続人であるBに対し,同契約に基づく死亡共済金等を受領する権利を有することの確認を求めた事案である。 (2)原審は被控訴人の請求を認容したところ,Bを除く控訴人らがこれを不服として控訴した。 争いのない事実及び当事者の主張等( )争いのない事実並びに争点及びこれに関する当事者の主張は,( )のと ,,おり加除訂正し( )のとおり当審における控訴人らの主張を付加するほか 原判決の「事実及び理由」の「1前提事実「2原告の主張「4」,」,被告らの主張(本案に対する主張「5争点」に記載のとおりであるか)」,ら,これを引用する。 - 2 -( )原判決の加除訂正 原判決4頁17行目の「共済証書(掛金振替)貸付金借用書」を「共済証書(掛金振替)貸付金借用証書」と改める。 ( )当審における控訴人らの主張 ア原判決は,Aが被控訴人に対して,本件共済契約における死亡共済金等の受取人 書(掛金振替)貸付金借用書」を「共済証書(掛金振替)貸付金借用証書」と改める。 ( )当審における控訴人らの主張 ア原判決は,Aが被控訴人に対して,本件共済契約における死亡共済金等の受取人をAから被控訴人に変更するよう指示した旨認定するが,原判決が上記認定の根拠として挙げている証拠は,被控訴人作成の陳述書と同人の本人尋問のみであり,これ以外にAの真意が明らかとなる資料は提出されていない。被控訴人は,本件受取人変更の当事者であり,これによって保険金受領の利益を有する者であるから,このような立場の者の供述のみにより,重大な権利変動の存在を認定することは妥当性を欠くといわねばならず,原判決の上記認定は誤りである。 イ本件共済約款では,受取人変更に際し,書面をもって共済者に対し通知,,をなすことが必要とされており対抗要件としての通知の存否については書面の提出及びその形式的な記載内容のみによって判断し,その他の実質,,,的な判断はなすべきではないところ本件では書面の提出はあるもののAの署名は被控訴人の代筆であることが明らかであり,受取人変更がAの真意に出たものか否かは書面上判断することはできないのであるから,対抗要件としての通知が存在したとはいえない。 ,,ウ仮に控訴人らの主張が認められないとしても本件事実関係のもとでは控訴人らにおいて,受取人変更の手続が有効になされたとの認識がなかったのであるから,Bに対して共済金支払をなしたことに過失はなく,同人への弁済は有効であるから,被控訴人に対して支払義務はない(民法478条。 )第3当裁判所の判断 判断 - 3 -,。 ,当裁判所も被控訴人の請求は全部認容すべきものと判断するその理由は原判決10頁7行目の「第2」を「第3」と訂正し,2のとおり当審における控訴人 第3当裁判所の判断 判断 - 3 -,。 ,当裁判所も被控訴人の請求は全部認容すべきものと判断するその理由は原判決10頁7行目の「第2」を「第3」と訂正し,2のとおり当審における控訴人らの主張に対する判断を付加するほか原判決の 事実及び理由 の第,「」「 当裁判所の判断」に記載のとおりであるから,これを引用する。 当審における控訴人らの主張について( )控訴人らは,原判決が,被控訴人の供述のみによって,本件受取人変更 の有無を認定することは妥当性を欠くと主張するが,原判決は,被控訴人の供述のみならず,Aの病状経過,同人とC(編集注:控訴人農協担当者)との本件消費貸借契約や本件共済契約についての電話によるやり取りの経過,これに基づきCが本件変更通知書や本件同意書の書式をAに対し郵送した状況,被控訴人及びBそれぞれのAとの関係,被控訴人が上記各書面にAの署名を代書し同人の印章を押捺した際の状況等を詳細に認定した上,Aが,平成18年□月18日ころ,変更後の死亡共済金等の受取人である被控訴人に対して,同受取人変更の意思表示をするとともに,本件変更通知書等の代書を指示し,この代書指示に基づいて作成させた本件変更通知書を送付させることにより,同月20日,共済者である控訴人農協に対しても受取人変更の意思表示を行うとともに,同受取人変更について対抗要件を充足させたものと認められると判示しており,その認定は正当なものとして是認できる。控訴人らの上記主張は採用できない。 ( )控訴人らは,本件では,受取人変更に係る書面の提出はあるものの,A の署名は被控訴人の代筆であることが明らかであり,これがAの真意に出たものか否か書面上判断することはできないから,対抗要件としての通知が存在したとはいえないと主張する。しかし,本件共 ものの,A の署名は被控訴人の代筆であることが明らかであり,これがAの真意に出たものか否か書面上判断することはできないから,対抗要件としての通知が存在したとはいえないと主張する。しかし,本件共済契約において,死亡共済金受取人を変更する際は,共済契約者は,必要書類を組合に提出することとされ,同変更は書面で組合に通知しなければ,これを組合に対抗できない旨が規定されている(証拠省略)ところ,本件では上記約款に定められた必要- 4 -書類が控訴人農協へ提出されており,受取人変更を控訴人らに対抗し得る要件は具備したものといえる。受取人の変動が契約者の真意によるか否かは,上記提出の必要書類の作成が真正にされたか否かによることになるものの,上記規定が自署による作成までも要求しているとはいえないのであって,代筆とはいえ,真正に作成されたと認められるのであるから,控訴人らの上記主張は採用することができない。 ( )控訴人らは,Bへの共済金支払に過失なく,同人への弁済は有効である と主張するが,上記( )にみたとおり,被控訴人が受取人変更を控訴人らに 対抗し得る要件を具備しているのであるから,Bへの弁済をもって準占有者に対する弁済とはいいえない。控訴人らの主張は採用できない。 結論 以上によれば,原判決は相当であって,本件控訴は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。 福岡高等裁判所第4民事部裁判長裁判官牧弘二裁判官川久保政徳裁判官塚原聡
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