平成13年(行ケ)第451号特許取消決定取消請求事件判決原告松下電器産業株式会社訴訟代理人弁理士坂口智康、小野康英、中原健吾被告特許庁長官及川耕造指定代理人岩本正義、三友英二、大野克人、林栄二 主文 特許庁が異議2000-72963号事件について平成13年8月30日にした決定を取り消す。 訴訟費用は各自の負担とする。 事実及び理由 第1 原告の求めた裁判主文第1項同旨の判決。 第2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯原告は、発明の名称を「ナビゲーション装置」とする特許第3003518号の特許権者である。本件特許は、平成6年10月17日に特許出願され、平成11年11月19日に設定登録された。 本件特許について特許異議の申立てがあり(異議2000-72963号)、原告は、平成13年2月9日に訂正請求をしたが、平成13年8月30日「訂正を認める。特許第3003518号の請求項1に係る特許を取り消す。」とした特許異議の申立てについての決定があり、その謄本は同年9月17日原告に送達された。 2 登録時の本件請求項1に係る発明の要旨(「および」を「及び」と、「または」を「又は」と表記した。)【請求項1】地図及び地図に付随する情報を記憶する地図情報記憶手段と、現在位置又は指定された位置を基準として地図の表示範囲を決定する表示範囲決定手段と、上記表示範囲決定手段によって決定された表示範囲に存在する地図データを上記地図情報記憶手段から読み出し地図画像を生成する地図画像生成手段と、上記表示範囲決定手段によって決定された表示範囲に存在する情報を上記地図情報記憶手段から読み出し、実物を連想させる立体情報画像データベースから対応する立体情報画像を読み出して立体情報画像を 手段と、上記表示範囲決定手段によって決定された表示範囲に存在する情報を上記地図情報記憶手段から読み出し、実物を連想させる立体情報画像データベースから対応する立体情報画像を読み出して立体情報画像を生成する立体情報画像生成手段と、上記地図画像生成手段により生成された地図画像と上記立体情報画像生成手段によって生成された立体情報画像を組み合わせて表示画面を生成する表示画面生成手段と、上記表示画面生成手段によって生成された画面を表示する画面表示手段を具備したナビゲーション装置。 3 後記5の訂正後の本件請求項1に係る本件発明の要旨(下線が訂正部分)【請求項1】地図及び地図に付随する情報を記憶する地図情報記憶手段と、現在位置又は指定された位置を基準として地図の表示範囲を決定する表示範囲決定手段と、上記表示範囲決定手段によって決定された表示範囲に存在する地図データを上記地図情報記憶手段から読み出しパース処理を行って地図画像を生成する地図画像生成手段と、上記表示範囲決定手段によって決定された表示範囲に存在する情報を上記地図情報記憶手段から読み出し、実物を連想させる立体情報画像データベースから対応する立体情報画像を読み出して立体情報画像を生成する立体情報画像生成手段と、上記地図画像生成手段により生成された地図画像と上記立体情報画像生成手段によって生成された立体情報画像を組み合わせて表示画面を生成する表示画面生成手段と、上記表示画面生成手段によって生成された画面を表示する画面表示手段を具備し、前記表示画面生成手段で生成された表示画面上では、前記立体情報画像は、前記地図画像に施されたパース処理の奥行き方向に進むに従って小さくして配置されていることを特徴とするナビゲーション装置。 4 決定の理由の要点平成13年2月9日付けの訂正は、特許請求の範囲の減 、前記地図画像に施されたパース処理の奥行き方向に進むに従って小さくして配置されていることを特徴とするナビゲーション装置。 4 決定の理由の要点平成13年2月9日付けの訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的として、請求項1における「地図画像を生成する地図画像生成手段と、」を「パース処理を行って地図画像を生成する地図画像生成手段と、」と訂正し、請求項2を削除するなどというものである。この訂正は、平成6年改正法(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、平成11年改正前の特許法第120条の4第3項で準用する平成6年改正法による改正前の特許法第126条第1項ただし書き、第2項及び第3項の規定に適合するので、これを認める。 本件請求項1に係る発明は、刊行物1(特開平4-366881号公報)に記載された発明と刊行物2(特開昭62-274469号公報)に開示された技術及び周知技術とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件請求項1に係る発明の特許は、特許法第29条第1項の規定により特許を受けることができない。したがって、本件請求項1に係る発明の特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認める。 よって、平成6年改正法附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、本件請求項1に係る特許を取り消す。 5 訂正審決の確定原告は、本訴係属中の平成14年1月16日、本件特許につき、特許請求の範囲の減縮等を目的として、明細書及び図面の訂正をする審判を請求したところ(訂正2002-39015号。特許請求の範囲の訂正は前記3の下線部分のとおり。請求項2は削除)、平成14年3月20日、 求の範囲の減縮等を目的として、明細書及び図面の訂正をする審判を請求したところ(訂正2002-39015号。特許請求の範囲の訂正は前記3の下線部分のとおり。請求項2は削除)、平成14年3月20日、当該訂正を認める旨の審決があり、その謄本は同年4月1日原告に送達され、訂正審決は確定した。 第3 原告主張の決定取消事由決定は、訂正前の請求項(平成13年2月9日の訂正請求によるもの)に基づき本件発明の要旨を認定し、これに基づき引用例記載の発明との対比において本件発明の新規性を否定しているが、前記第2の3の特許請求の範囲の減縮等を目的とする訂正を認める審決が確定したことにより、決定は、結果的に本件発明の要旨の認定を誤ったことになり、違法となったものである。 第4 当裁判所の判断原告主張の事由により決定は取り消されるべきものであり(第2の3の訂正は、平成13年2月9日の訂正請求によるものより更に特許請求の範囲を減縮するものである。)、本訴請求は理由がある。よって、訴訟費用の負担につき行訴法7条、民訴法62条を適用して、主文のとおり判決する。 (平成14年5月21日口頭弁論終結)東京高等裁判所第18民事部裁判長裁判官永井紀昭裁判官塩月秀平裁判官田中昌利
▼ クリックして全文を表示