○ 主文本件各控訴を棄却する。控訴費用は、控訴人らの負担とする。○ 事実控訴人ら代理人は、「原判決を取消す。控訴人Aの訴を東京地方裁判所へ差戻す。被控訴人が控訴人Bに対し昭和四六年七月一二日付でした東京都市計画第一二地区復興土地区画整理事業の換地処分のうち、その清算金を原判決添付別紙物件目録(第一)記載の第一従前地につき金一、〇九〇万八、一八四円、同物件目録(第二)記載の第二従前地(以下、右各目録記載の土地については、一括して本件従前地または本件換地という。)につき金二一七万三、九二三円とした部分を取消す。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は、控訴棄却の判決に求めた。当事者双方の主張並びに証拠の関係は、左に付加するほか、原判決事実摘示のとおり(但し、原判決四枚目裏八行目の「一三〇、八〇二、一〇七円」を「一三、〇八二、一〇七円」と、同五枚目裏五行目、九行目、同六枚目表二行目、六行目、七行目、同七枚目表二行目の「標準画地」を各「標準宅地」と、同三四枚目表八行目の「知く」を「如く」と各訂正する。)であるから、これを引用する。(主張)一控訴人ら代理人被控訴人は、路線価指数一個当りの単価の額に誤りを犯したため、本件従前地及び換地の評価を誤つたのである。すなわち、被控訴人の主張する路線価式評価法のいずれの方法においても、標準宅地につき正常な売買価格等に基づいた適正な価格を定め、これを基準として一点単価を算出すべきものであつたのである。そして、本件従前地周辺の大田区<地名略>敷地の公示価格と相続税財産評価基準路線価の最高値の変遷は別表のとおりであつて、右両者の関係からみても、前者を一〇〇とすれば後者は五〇以下であるから、昭和三九年度における相続税財産評価基準の路線価七〇万円(坪当り)の代わりに 価基準路線価の最高値の変遷は別表のとおりであつて、右両者の関係からみても、前者を一〇〇とすれば後者は五〇以下であるから、昭和三九年度における相続税財産評価基準の路線価七〇万円(坪当り)の代わりに、その倍額の一四〇万円をもつて適正な価格としてこれにより算出すると、路線価指数一個当りの価格は三〇〇円八九銭となり、これによつて控訴人らの被つた損害を算定すると、その額は一、三一五万九、七二五円を下らないことになるが、このことによつても、前記指数一個当りの単価算定に誤りの存したことが明らかである。 ば後者は五〇以下であるから、昭和三九年度における相続税財産評価基準の路線価七〇万円(坪当り)の代わりに、その倍額の一四〇万円をもつて適正な価格としてこれにより算出すると、路線価指数一個当りの価格は三〇〇円八九銭となり、これによつて控訴人らの被つた損害を算定すると、その額は一、三一五万九、七二五円を下らないことになるが、このことによつても、前記指数一個当りの単価算定に誤りの存したことが明らかである。二被控訴代理人(一) 土地区画整理事業における清算金は、土地区画整理事業の施行によつて生ずる施行区域内の権利者相互間の不公平を是正することを目的とするものであるから、施行区域全体について生じた利益の総計を、すべての権利者にその権利の割合に応じて配分する必要があり、そのため比例清算方式が採用されているのである。したがつて、控訴人らの主張するように、従前地と換地との評価額の差によつて清算金を決定することとするときは、土地区画整理事業の施行によつて施行区域内の地価が上昇するため、交付清算金より徴収清算金が多額となり、その結果事業施行者が利得することになつて不当であることは明らかである。(二) さらに、土地区画整理事業における土地の評価においては、指数化された各土地の価値を金額で表示することになるが、その指数一個当りの単価は、前記目的に適う範囲内で妥当なものでなければならないとともに、施行区域内のすべての土地について、従前地、換地の双方につき同一時点における価値を示す単一なものでなければならないのである。(三) 以上のところから、土地区画整理事業における土地評価は、路線価指数一個当りの単価を基準面積に乗じ、さらに比例清算方式によつて各土地の金銭的価値 を示す単一なものでなければならないのである。(三) 以上のところから、土地区画整理事業における土地評価は、路線価指数一個当りの単価を基準面積に乗じ、さらに比例清算方式によつて各土地の金銭的価値が算出されるのであるが、従前地、換地につき短時間の間に、しかも大量の土地を工事概成時において評価し、さらに各土地間のバランスを計るなど土地区画整理事業の特質、さらには清算金の性格からも、土地価格を構成する諸要因のうち、例えば更地か建付地かどうかといつた土地の個別的事情、利用形態、それを契機とする諸々の社会的、経済的要因など、土地区画整理事業に伴う開発利益(利用増進)以外の諸要因は顧慮されないのであるから、そのすべての諸要因に基づき取引上の経済的価値を求める鑑定評価とは、その目的及びその評価の要素を異にし、したがつてその評価額に差の存することは当然である。 らには清算金の性格からも、土地価格を構成する諸要因のうち、例えば更地か建付地かどうかといつた土地の個別的事情、利用形態、それを契機とする諸々の社会的、経済的要因など、土地区画整理事業に伴う開発利益(利用増進)以外の諸要因は顧慮されないのであるから、そのすべての諸要因に基づき取引上の経済的価値を求める鑑定評価とは、その目的及びその評価の要素を異にし、したがつてその評価額に差の存することは当然である。(四) 以上の見地から、土地区画整理事業における土地評価法として、一般的に是認されている路線価式評価法が採用されているが、その指数一個当りの単価算定方法として(1) 地区内の固定資産税路線価の最高値と区画整理事業施行後の路線価の最高値との対比による方法(2) 地区内の相続税財産評価基準の路線価の最高値と区画整理事業施行後の路線価の最高値との対比による方法(3) 相続税財産評価基準の路線価あるいは固定資産税路線価の地区内平均値と区画整理事業施行後における路線価の地区内平均値との対比による方法の三つがあり、工事概成時を基準として、右いずれかの方法で算出された数値に換地処分までの時点修正を施して指数一個当りの単価が求められるのであるが、右単価はその後土地区画整理事業評価員の意見を聴いた上で決定されるのである。(五) 本件における指数一個当りの単価は、昭和三九年を工事概成時とし、前記(2)の方法 当りの単価が求められるのであるが、右単価はその後土地区画整理事業評価員の意見を聴いた上で決定されるのである。(五) 本件における指数一個当りの単価は、昭和三九年を工事概成時とし、前記(2)の方法によつて求めた数値に年六分の割合による複利加算によつて換地処分時までの時点修正を行つて算定し、昭和四五年一〇月一四日土地評価員に諮問し、同年一〇月二三日付の答申を得た上同年一一月四日決定されたものである。(1) 右単価の算定について必要な項目は次のとおりである。(イ) 昭和三九年度相続税財産評価基準の路線価の最高値七〇万円(但し、坪当り)(ロ) 土地区画整理事業施行後の最高路線価二、〇〇〇(ハ) 時点修正の利率年六分(2) 右の項目に基づいて、指数一個当りの単価は、次の算式によつて求められた。昭和三九年度相続税財産評価基準の路線価の最高値÷区画整理事業施行後の最高路線価÷三・三(坪を平方メートル当りに修正)=七〇〇、〇〇〇÷二、〇〇〇÷三・三●一〇六(円)昭和四〇年から換地処分時(同四五年)まで六年間の時点修正=一〇六×(一+〇・〇六)の六乗●一五〇(円)(六) したがつて、昭和三九年から本件換地処分時までに本件従前地の価格が騰貴し、控訴人ら主張のような事象が生じたとしても、本件換地処分の違法事由とはならない。 基準の路線価の最高値÷区画整理事業施行後の最高路線価÷三・三(坪を平方メートル当りに修正)=七〇〇、〇〇〇÷二、〇〇〇÷三・三●一〇六(円)昭和四〇年から換地処分時(同四五年)まで六年間の時点修正=一〇六×(一+〇・〇六)の六乗●一五〇(円)(六) したがつて、昭和三九年から本件換地処分時までに本件従前地の価格が騰貴し、控訴人ら主張のような事象が生じたとしても、本件換地処分の違法事由とはならない。(証拠関係)(省略)○ 理由当裁判所は、控訴人Aの本件訴は不適法として却下すべきものであり、控訴人Bの本訴請求は失当として棄却すべきものと判断するものであつて、その理由は、左に付加、訂正するほか、原判決がその理由において説示するところと同一であるから、右説示を引用する。当審における新たな証拠調の結果を斟酌しても、引用にかかる原審の右認定、判断を左右することができない。一原判決四五枚目裏三行日の次に、次の文言を加え るところと同一であるから、右説示を引用する。当審における新たな証拠調の結果を斟酌しても、引用にかかる原審の右認定、判断を左右することができない。一原判決四五枚目裏三行日の次に、次の文言を加え、同五行目の「右の数値」とあるを「右(1)(2)の数値」と訂正する。前示乙第七号証の一、二、成立に争いのない乙第八、第九号証に、原審証人C、当審証人Dの各証言を総合すると、被控訴人は本件土地区画整理事業の工事概成時である昭和三九年の施行区域内における相続税財産評価基準の路線価最高値と本件土地区画整理事業施行後における路線価の最高値との対比によつて算出した数値に、換地処分時たる同四五年まで年六分の利率による複利加算を施し時点修正を行つて路線価指数一個当りの単価を算出したこと及び(イ) 昭和三九年度相続税財産評価基準の路線価の最高値七 〇万円(坪当り)(ロ) 区画整理事業施行後の路線価の最高値二、〇〇〇であることが認められる。したがつて、この方式による路線価指数一個当りの単価は、(イ÷(ロ)÷三・三(単位面積一平方メートル当りに換算するため)×(一+〇・〇六)の六乗(時点修正)によつて求められるから、右算式に前示各数値をあてはめて計算すると、一五〇円となる。二原判決五一枚目表四行目から同裏二行目までを次のように改める。路線価評定の方法としては、前示土地評価の方法と同様に、達観方式、採点方式のほかに評定算方式があり、そのうち前二者は土地区画整理事業の特質に照らして採り得ないので、一般には理論的に優れている後者の方法が採用されている。 め)×(一+〇・〇六)の六乗(時点修正)によつて求められるから、右算式に前示各数値をあてはめて計算すると、一五〇円となる。二原判決五一枚目表四行目から同裏二行目までを次のように改める。路線価評定の方法としては、前示土地評価の方法と同様に、達観方式、採点方式のほかに評定算方式があり、そのうち前二者は土地区画整理事業の特質に照らして採り得ないので、一般には理論的に優れている後者の方法が採用されている。そして、右の評定算方式には、被控訴人の主張するように、公権的な土地評価とされる公課の路線価の最高値との対比によるものとして三つの方法が存するが、そのうち被控訴人の採用した方式は、前示のとおり、土地区画整理事業施 定算方式には、被控訴人の主張するように、公権的な土地評価とされる公課の路線価の最高値との対比によるものとして三つの方法が存するが、そのうち被控訴人の採用した方式は、前示のとおり、土地区画整理事業施行区域内の相続税財産評価基準の路線価の最高値と右事業施行後の路線価の最高値を対比して得た数値に、工事概成時から換地処分時まで年六分の利率による複利加算をして時点修正を行い、指数一個当りの単価を算出する方法であつて、この方法は、土地区画整理事業の施行に適含する合理的なものということができる。そして、本件土地区画整理事業の施行者である都知事が、法七一条、六五条に定めるところに従い、右のようにして算出した路線価指数一個当りの単価一五〇円につき、昭和四五年一〇月一四日土地区画整理事業評価員に諮問し、同月二三日その答申を得たうえ、同年一一月四日これを決定した事実は、成立に争いのない乙第一一号証の一、二、第一二号証の一、当審証人Dの証言によつて成立を認める乙第一二号証の二ないし五に、当審証人Dの証言を総合して認めることができ、かようにして決定した前示指数一個当りの単価自体についてそれが不相当であると疑うに足りる資料はなんら存しない。三原判決五一枚目裏三行目から同五二枚目裏九行目までを、次のように改める。(四) 控訴人Bは、本件土地区画整理事業における本件従前地及び換地の評価は正常価格によるべきである旨主張する。しかしながら、土地区画整理事業において清算金等を決定するためになされる土地の評価は、施行区域内における広大な面積にわたり、しかも多数の従前地、換地の双方につき、同一時点で公平かつ迅速に、その事業による利用価値の増進を把握するためになされたものであるから、土地の利用価値の変動が土地区画整理事業の施行以外の原因によつて生じた場合にはこれを顧慮しな 地及び換地の評価は正常価格によるべきである旨主張する。しかしながら、土地区画整理事業において清算金等を決定するためになされる土地の評価は、施行区域内における広大な面積にわたり、しかも多数の従前地、換地の双方につき、同一時点で公平かつ迅速に、その事業による利用価値の増進を把握するためになされたものであるから、土地の利用価値の変動が土地区画整理事業の施行以外の原因によつて生じた場合にはこれを顧慮しな 双方につき、同一時点で公平かつ迅速に、その事業による利用価値の増進を把握するためになされたものであるから、土地の利用価値の変動が土地区画整理事業の施行以外の原因によつて生じた場合にはこれを顧慮しないなど、取引市場における交換価値の把握を目的とし個別的に評価する鑑定評価とは、評価の目的、要素、方法を異にするから、両者の土地評価に差異の生ずることはむしろ当然であるといわなければならない。したがつて、被控訴人の本件従前地及び換地の評価額が、甲第三号証及び原審鑑定人平野常雄の鑑定結果のそれより低額であるからといつて、被控訴人の右土地評価に瑕疵があるものということはできないし、もとより、そのいうところの正常価格に基づいて指数一個当りの単価を算出しなければならないものではないのである。なお、控斯人Bは、本件従前地、換地周辺の土地公示価格と相続税財産評価基準の路線価最高値を対比し、後者の二倍をもつて適正な時価として算定しても、指数一個当りの単価の算定が誤りであることが明らかであるという。しかし、公示価格の制度は本件土地評価の基準時である昭和三九年の工事概成時には施行されていなかつたのであるから、控訴人Bの主張する土地の昭和四五年以降における公示価格と相続税財産評価基準の路線価の最高値との対比によつて、本件従前地、換地の工事概成時における適正時価を推認することはできないし、また、当審証人Eの供述するように、右土地の工事概成時における相続税財産評価基準の路線価の最高値が正常価格の約六〇パーセントであるということもできず、他に前示指数一個当りの単価の算定に誤りがあつたことを窺わせるに足りる証拠は存しない。よつて、本件控訴はいずれも理由がないから、これを棄却することとし、控訴費用の負担につき行政事件訴訟法第七条、民事訴訟法第九五条、第八九条、第九三条を があつたことを窺わせるに足りる証拠は存しない。 うに、右土地の工事概成時における相続税財産評価基準の路線価の最高値が正常価格の約六〇パーセントであるということもできず、他に前示指数一個当りの単価の算定に誤りがあつたことを窺わせるに足りる証拠は存しない。よつて、本件控訴はいずれも理由がないから、これを棄却することとし、控訴費用の負担につき行政事件訴訟法第七条、民事訴訟法第九五条、第八九条、第九三条を があつたことを窺わせるに足りる証拠は存しない。よつて、本件控訴はいずれも理由がないから、これを棄却することとし、控訴費用の負担につき行政事件訴訟法第七条、民事訴訟法第九五条、第八九条、第九三条を適用し、主文のとおり判決する。(裁判官岡本元夫長久保武加藤一隆)
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