平成22(ワ)18718 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
平成23年9月30日 東京地方裁判所
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判決文本文11,839 文字)

- 1 -平成23年9月30日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成22年(ワ)第18718号損害賠償請求事件口頭弁論終結日平成23年8月23日判決東京都渋谷区<以下略>原告 A1ことA2東京都中野区<以下略>被告 B訴訟代理人弁護士鈴木修 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告は,原告に対し,280万円及びこれに対する平成21年6月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,原告が,サーバに保管されていた原告作成のプログラムに原告の承諾なくアクセスし,原告の営業秘密である当該プログラムのソースコードを取得してこれを使用した被告の行為は,不正競争防止法2条1項4号の不正競争行為に当たる旨主張し,被告に対し,同法4条に基づく損害賠償と遅延損害金の支払を求めた事案である。 1 基礎となる事実等(証拠の摘示のない事実は,争いのない事実又は弁論の全趣旨により認められる事実である。)(1) 当事者原告は,「A1」の名称を使用して,ウェブサイトの制作の請負等を業と- 2 -する者である。 被告は,不動産業を営む有限会社光商事(以下「光商事」という。)の取締役の地位にある者である。 (2) 原告と光商事及び被告との間のウェブサイトの制作等に関する紛争の経過(甲1,2,7,8,10,14,乙1,2,5,原告本人,被告本人,弁論の全趣旨)ア原告は,光商事から同社のウェブサイトの制作及びウェブサイトに関するコンサルティングの業務を受注することを企図し,平成20年12月20日から同月24日まで 原告本人,被告本人,弁論の全趣旨)ア原告は,光商事から同社のウェブサイトの制作及びウェブサイトに関するコンサルティングの業務を受注することを企図し,平成20年12月20日から同月24日までの間に,光商事の取締役である被告や代表取締役であるC(以下「光商事代表者」という。)と面談して,原告が提供し得るサービスの内容を説明するなどした。 イその後,原告は,平成21年1月16日までに,光商事のウェブサイトのトップページを表示するためのプログラム(乙1の画像が当該プログラムによって表示される画像であり,以下,このプログラムを「乙1のプログラム」という。)及び当該ウェブサイトで提供する不動産物件情報を表示するためのプログラム(乙2の画像が当該プログラムによって表示される画像であり,以下,このプログラムを「乙2のプログラム」という。)を作成した。 乙1のプログラム及び乙2のプログラムは,いずれも原告が契約しているサーバ管理会社のホスティングサーバ内に保管されており,これらのプログラムにアクセスするためには,インターネットにおいて,これらのプログラムがそれぞれ格納されたファイルの各ファイル名を含む特定のURLアドレスを使用して当該ファイルにアクセスする必要がある(乙1のプログラムにアクセスするためのURLアドレスは,「(略)」又は「(略)」であり,以下,このURLアドレスを「乙1のURLアドレス」という。 また,乙2のプログラムにアクセスするためのURLアドレス(非開示)- 3 -を「乙2のURLアドレス」という。)。 ウ原告は,平成21年1月16日,光商事の事務所において,被告の面前で,光商事の保有するパソコンに乙1のURLアドレス及び乙2のURLアドレスを入力し,被告に上記パソコンを操作させ,上記各URLアドレスを用いて 21年1月16日,光商事の事務所において,被告の面前で,光商事の保有するパソコンに乙1のURLアドレス及び乙2のURLアドレスを入力し,被告に上記パソコンを操作させ,上記各URLアドレスを用いて乙1のプログラム及び乙2のプログラムにアクセスさせ,乙1の画像及び乙2の画像を閲覧させたり,乙2のプログラムの使用を体験させた。 エその後,原告は,光商事と原告との間で前記アの平成20年12月24日の時点でウェブサイトの制作等に関する請負契約が成立した旨を主張し,光商事に対し請負代金の支払を求めるなどしたが,光商事は,上記請負契約の成立を否定し,原告の支払請求に応じなかった。 オ原告は,平成21年5月31日,被告に対し,光商事と原告との間にウェブサイトの制作等に関する請負契約が成立していないのであれば,被告が同年1月16日に原告作成のホームページ及びプログラムにアクセスした行為は,非公開のページへの不正アクセスとなるから,不正アクセス行為の禁止等に関する法律違反により刑事告訴するとともに,1億円の不当利得返還を求める民事訴訟を提起する旨などを記載した「お願い」と題する書面(甲2)(以下「甲2の書面」という。)を送付した。 カその後,原告は,光商事を被告として,主位的に,光商事からウェブサイトの制作等を請け負ったとして請負代金等296万円及び遅延損害金の支払を求め,予備的に,光商事が原告作成のウェブサイト等に不正にアクセスしたことによってウェブサイト制作費等に相当する286万円を不当に利得したとして,同額及び法定利息金の支払を求める訴訟(東京地方裁判所平成21年(ワ)第19307号事件。以下「別件訴訟」という。)を東京地方裁判所に提起した。 東京地方裁判所は,平成21年12月24日,別件訴訟について,原告- 4 -主張の請負 地方裁判所平成21年(ワ)第19307号事件。以下「別件訴訟」という。)を東京地方裁判所に提起した。 東京地方裁判所は,平成21年12月24日,別件訴訟について,原告- 4 -主張の請負契約成立の事実及び光商事による不当利得の事実はいずれも認められないとして,原告の上記各請求をいずれも棄却する旨の判決(甲8)(以下「別件地裁判決」という。)を言い渡した。 原告は,別件地裁判決を不服として,東京高等裁判所に控訴(東京高等裁判所平成22年(ネ)第330号事件)を提起したが,東京高等裁判所は,平成22年5月13日,別件地裁判決の判断を是認し,控訴を棄却する旨の判決(甲7)を言い渡した。これを不服とする原告は,上告及び上告受理の申立てをした。 キ原告は,平成22年5月21日,本件訴訟を提起した。 2 争点本件の争点は,被告による不正競争防止法2条1項4号の不正競争行為の有無及び原告の損害額である。 3 争点に関する当事者の主張(1) 原告の主張ア原告の営業秘密甲1の1頁ないし8頁に「X」として記載されたソースコードは,乙2のプログラムのソースコード(以下「乙2のソースコード」という。)である。 乙2のソースコードは,以下のとおり,原告が秘密として管理する不動産業者の事業活動に有用な技術上の情報であって,公然と知られていないものであるから,不正競争防止法2条6項の営業秘密に該当する。 (ア) 有用性乙2のプログラムは,不動産業者が,不動産物件情報をネット上に公開して,広告ができるようにするためのプログラムであるところ,その中には,インターネット検索サイトで特定の字句を入力して検索した場合に,当該プログラムが組み込まれたウェブページを検索結果の上位に- 5 -表示させるようにするなど,原告が独 であるところ,その中には,インターネット検索サイトで特定の字句を入力して検索した場合に,当該プログラムが組み込まれたウェブページを検索結果の上位に- 5 -表示させるようにするなど,原告が独自に開発した不動産業者の集客力を増大させるための新技術が含まれている。 したがって,乙2のソースコードは,不動産業者の事業活動に有用な技術上の情報である。 (イ) 秘密管理性及び非公然性乙2のプログラムは,原告が契約しているサーバ管理会社のホスティングサーバ内に保管されており,このプログラムにアクセスするためには,インターネットにおいて,乙2のURLアドレスを使用して乙2のプログラムが格納されたファイルにアクセスする必要がある。 しかるところ,乙2のURLアドレスについては,公開されている他のウェブページにリンクされていたり,インターネット検索サイトに登録されるなどといった公開のための措置は講じられていないから,原告以外の者はこれを知り得ず,乙2のプログラム及びそのソースコードにアクセスすることはできない。 したがって,乙2のソースコードは,原告が秘密として管理する情報であって,公然と知られていないものである。 なお,原告は,平成21年1月16日,被告に対し乙2のURLアドレスを告知しているが,その後,被告に対し,甲2の書面を送付することによって,原告に無断で乙2のURLアドレスにアクセスすると不正アクセスとなる旨を警告しているから,乙2のソースコードは,被告との関係でも秘密として管理されていたものといえる。 イ被告による乙2のソースコードの不正取得及び不正使用(ア) 被告は,平成21年6月11日,光商事のパソコンから乙2のURLアドレスを使用してインターネット経由で乙2のプログラムにアクセスし(以下,このアクセス のソースコードの不正取得及び不正使用(ア) 被告は,平成21年6月11日,光商事のパソコンから乙2のURLアドレスを使用してインターネット経由で乙2のプログラムにアクセスし(以下,このアクセスを「本件アクセス」という。),これをダウンロードし,乙2のソースコードを取得し,使用した。 - 6 -原告は,本件アクセスがされる前の平成21年5月31日,被告に対し,甲2の書面を送付することによって,乙2のプログラムにアクセスすることは不正アクセスとなる旨を警告しているから,被告による本件アクセスは,原告の承諾に基づかない不正なアクセスであり,これによって原告の営業秘密である乙2のソースコードを取得し,これを使用した被告の行為は,営業秘密の不正取得行為及び不正取得行為によって取得した営業秘密を使用する行為であって,不正競争防止法2条1項4号の不正競争行為に当たる。 (イ) 被告が本件アクセスを行った事実は,次のような諸点から認められる。 a まず,平成21年6月11日に光商事のパソコンから乙2のプログラムへのアクセスが行われた事実は,次の(a)ないし(d)から明らかである。 (a) 光商事は,別件訴訟で提出した平成21年10月15日付け準備書面1において,「被告が,2009年5月15日に2回,同年6月11日に1回,本不動産物件表示プログラムにアクセスしたことは認める。」(甲9の3頁,4頁)と述べ,平成21年6月11日に光商事のパソコンから乙2のプログラムへのアクセスが行われた事実を認めている。 (b) 別件地裁判決においても,「被告は,平成21年1月16日,同年5月15日,同年6月11日,同年7月17日,同月18日に原告のウェブサイトないしプログラムにアクセスした事実が認められる(甲3,7,8,弁論の全趣旨)。」(甲8の7 は,平成21年1月16日,同年5月15日,同年6月11日,同年7月17日,同月18日に原告のウェブサイトないしプログラムにアクセスした事実が認められる(甲3,7,8,弁論の全趣旨)。」(甲8の7頁)として,平成21年6月11日に光商事のパソコンから乙2のプログラムへのアクセスが行われた事実が認定されている。 (c) 本件訴訟の中でも,被告は,平成22年12月9日付け準備書- 7 -面2において,「訴外会社はA1アドレスを通じて乙1および乙2の原告のウェブサイトないしプログラムにアクセスしたのである」(3頁)と述べるなど,平成21年6月11日に光商事のパソコンから乙2のプログラムへのアクセスが行われた事実を認めていた。 (d) 甲3の文書は,乙2のプログラムが保管されているサーバに残されたアクセス記録を原告作成のプログラムによって取り出し,それをプリントアウトしたものである。これによれば,平成21年6月11日に光商事のパソコンから乙2のプログラムへのアクセスが行われた事実が確認できる。 b 上記aのとおり,平成21年6月11日に光商事のパソコンから乙2のプログラムへのアクセスが行われたことは明らかであるところ,他方において,被告は,平成21年1月16日,原告から乙2のURLアドレスを教えられるとともに,当該URLアドレスが被告の通常使用する光商事のパソコンのインターネットブラウザの「お気に入り」に登録されたことにより,いつでも乙2のプログラムにアクセスできる状況にあったこと,光商事代表者が乙2のプログラムにアクセスしていないことは当事者間に争いがなく,また,被告の陳述書(乙5)によれば,光商事及びその系列会社である有限会社フォンタナ(以下「フォンタナ」という。)の従業員らは誰も乙2のプログラムにアクセスしていないことが は当事者間に争いがなく,また,被告の陳述書(乙5)によれば,光商事及びその系列会社である有限会社フォンタナ(以下「フォンタナ」という。)の従業員らは誰も乙2のプログラムにアクセスしていないことが認められることからすると,平成21年6月11日に光商事のパソコンから乙2のプログラムへアクセスした者が被告であることは明らかである。 ウ原告の損害額被告は,故意又は過失によって前記イ(ア)の不正競争行為を行って原告の営業上の利益を侵害したものであるから,これによって原告に生じた損- 8 -害を賠償すべき責任を負う。 不正競争防止法5条3項によれば,原告は,侵害に係る営業秘密である乙2のソースコードの使用料に相当する額の金銭を,自己が受けた損害の額として賠償請求し得るところ,乙2のソースコードの使用料相当額は,280万円である。 よって,原告は,被告に対し,不正競争防止法4条に基づく損害賠償として,280万円及びこれに対する不正競争行為の日である平成21年6月11日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 (2) 被告の主張ア原告の主張アに対し乙2のプログラムが不動産物件情報をネット上に公開して広告ができるようにするためのプログラムであることは認めるが,乙2のソースコードが原告の不正競争防止法2条6項の営業秘密であるとの点は争う。 イ原告の主張イに対し(ア) 被告が本件アクセスを行った事実及び被告が乙2のプログラムをダウンロードし,乙2のソースコードを取得し,使用したとの事実は,いずれも否認する。 本件においては,そもそも平成21年6月11日に光商事のパソコンから乙2のプログラムへのアクセスが行われていない。 なお,原告は,本件訴訟において,被告は,平成21年6月11日 れも否認する。 本件においては,そもそも平成21年6月11日に光商事のパソコンから乙2のプログラムへのアクセスが行われていない。 なお,原告は,本件訴訟において,被告は,平成21年6月11日に光商事のパソコンから乙2のプログラムへのアクセスが行われた事実を認めていた旨主張するが(前記(1)イ(イ)a(c)),被告は,本件訴訟の初期の段階において,乙1のプログラムと乙2のプログラムが別個のプログラムであることを明確に認識しないまま,乙1のプログラムへのアクセスの事実を認める趣旨で,光商事が平成21年6月11日に原- 9 -告作成のプログラムにアクセスした事実を認めたものにすぎず,乙2のプログラムにアクセスした事実を認めたものではない。 (イ) 平成21年1月16日の光商事の事務所における原告とのやりとりの場には,光商事の従業員2,3名も同席しており,また,原告が操作したパソコンは,被告が日常的に使用するものではなく,むしろ光商事やその系列会社であるフォンタナの営業担当従業員らが日常的に使用するものである。 また,原告は,被告の陳述書(乙5)を根拠に,光商事及びフォンタナの従業員らは誰も乙2のプログラムにアクセスしていないことが認められる旨主張するが(前記(1)イ(イ)b),被告が陳述書(乙5)で述べているのは,被告が光商事及びフォンタナの全従業員に対し,平成21年6月11日に原告のプログラムにアクセスしたかどうかを尋ねたところ,その旨を記憶していると述べた者は誰もいなかったということにすぎない。 したがって,仮に,平成21年6月11日に光商事のパソコンから乙2のプログラムへのアクセスが行われたとの事実が認められるとしても,そのアクセスを行った者が被告であることまでもが認められるとはいえない。 (ウ) 以上のとお 年6月11日に光商事のパソコンから乙2のプログラムへのアクセスが行われたとの事実が認められるとしても,そのアクセスを行った者が被告であることまでもが認められるとはいえない。 (ウ) 以上のとおり,被告が本件アクセスを行ったという事実は存在しないから,被告が本件アクセスによって乙2のソースコードの不正取得及び不正使用を行ったとする原告の主張は理由がない。 ウ原告の主張ウに対し原告主張の損害額は争う。 第3 当裁判所の判断 1 被告による不正競争行為の有無について(1) 原告は,被告が平成21年6月11日に光商事のパソコンから乙2のU- 10 -RLアドレスを使用してインターネット経由で乙2のプログラムへのアクセス(本件アクセス)を行ったとした上で,その際に,被告が乙2のプログラムをダウンロードし,乙2のソースコードを取得し,使用したことをもって,不正競争防止法2条1項4号所定の不正競争行為に当たる旨を主張する。 しかるところ,被告が本件アクセスを行ったとの原告主張の事実が認められるためには,平成21年6月11日に光商事のパソコンから乙2のプログラムへのアクセスが行われたとの事実が認められることがその前提となるから,以下においては,まず,当該事実が認められるか否かについて検討することとする。 (2) 原告は,平成21年6月11日に光商事のパソコンから乙2のプログラムへのアクセスが行われたとの事実が認められることの根拠として,前記第2の3(1)イ(イ)a(a)ないし(d)のとおり,①別件訴訟における光商事の主張,②別件地裁判決の認定事実,③本件訴訟における被告の主張,④甲3の文書の内容を挙げるので,以下,それぞれが上記事実を認める根拠となり得るものであるか否かについて検討する。 ア上記①について原告は, 裁判決の認定事実,③本件訴訟における被告の主張,④甲3の文書の内容を挙げるので,以下,それぞれが上記事実を認める根拠となり得るものであるか否かについて検討する。 ア上記①について原告は,光商事が,別件訴訟で提出した平成21年10月15日付け準備書面1において,「被告(引用者注:光商事)が,2009年5月15日に2回,同年6月11日に1回,本不動産物件表示プログラムにアクセスしたことは認める。」(甲9の3頁,4頁)と述べていることをもって,光商事は,別件訴訟において,平成21年6月11日に光商事のパソコンから乙2のプログラムへのアクセスが行われた事実を認めている旨主張する。 そこで,光商事の上記準備書面中の主張内容を精査すると,光商事は,同準備書面において,「2009年(平成21年)1月16日に原告が被- 11 -告に対し,不動産物件表示プログラム(乙1のものと解する)を提示し,被告がこれを創作したことは認める」(甲9の2頁7行目以降)と述べており,同準備書面においては,別件訴訟の乙1に係るプログラムを指すものとして,「不動産物件表示プログラム」という用語が使用されているものと考えられる。 他方,別件地裁判決の判示内容(甲8の5頁15行目以降)に照らせば,別件訴訟における乙1とは,原告が平成21年1月16日に光商事に交付した「ご案内」と題する書面であって,本件訴訟における乙3の書面を指すものと推認されるところ,同書面には,乙1の画像及び乙2の画像の一部(「物件の登録画面」欄)が掲載されるとともに,乙1のURLアドレスが記載されている。 これらの事情を総合すると,別件訴訟における光商事の「本不動産物件表示プログラムにアクセスしたことは認める」との答弁が,乙1のプログラムと乙2のプログラムとを明確に峻別した上で, 載されている。 これらの事情を総合すると,別件訴訟における光商事の「本不動産物件表示プログラムにアクセスしたことは認める」との答弁が,乙1のプログラムと乙2のプログラムとを明確に峻別した上で,乙2のプログラムへのアクセスを認める趣旨のものであると断ずることはできない。 してみると,光商事の別件訴訟の準備書面1における上記答弁をもって,光商事は,別件訴訟において,平成21年6月11日に光商事のパソコンから乙2のプログラムへのアクセスが行われたことを認めているとの原告の主張は,これを採用することができない。 イ上記②について原告は,別件地裁判決が,「被告(引用者注:光商事)は,平成21年1月16日,同年5月15日,同年6月11日,同年7月17日,同月18日に原告のウェブサイトないしプログラムにアクセスした事実が認められる(甲3,7,8,弁論の全趣旨)。」(甲8の7頁)と判示していることをもって,同判決は,平成21年6月11日に光商事のパソコンから乙2のプログラムへのアクセスが行われた事実を認定している旨主張- 12 -する。 しかしながら,別件地裁判決の上記判示部分は,光商事がアクセスした対象を「原告のウェブサイトないしプログラム」とするのみで,乙1のプログラムと乙2のプログラムのいずれであるかを具体的に明示しているわけではない。 また,別件地裁判決の判示全体をみても,原告の作成した乙1のプログラムと乙2のプログラムが別個のプログラムであり,それぞれにアクセスするためのURLアドレスも別個のものであることを前提とした上で,乙1のプログラムとは区別された乙2のプログラムについて,光商事がアクセスを行ったとの事実を具体的に認定する判示を見出すことはできない。 してみると,別件地裁判決において,平成21年6月11 で,乙1のプログラムとは区別された乙2のプログラムについて,光商事がアクセスを行ったとの事実を具体的に認定する判示を見出すことはできない。 してみると,別件地裁判決において,平成21年6月11日に光商事のパソコンから乙2のプログラムへのアクセスが行われた事実が認定されているとの原告の主張も,これを採用することができない。 ウ上記③について原告は,被告が,平成22年12月9日付け準備書面2において,「訴外会社(引用者注:光商事)はA1アドレスを通じて乙1および乙2の原告のウェブサイトないしプログラムにアクセスしたのである」(3頁)と述べていることを取り上げ,本件訴訟の中でも,被告が,平成21年6月11日に光商事のパソコンから乙2のプログラムへのアクセスが行われた事実を認めていた旨主張する。 しかしながら,本件訴訟の審理における当事者双方の主張の経過をみると,原告は,審理の初期の段階では,原告が作成し平成21年1月16日に光商事に提示したプログラムについて,乙1のプログラムと乙2のプログラムという別個のプログラムがあって,それぞれにアクセスするためのURLアドレスも別個のものであること及び原告が被告によって不正に取得・使用された原告の営業秘密であるとして主張する対象が乙2のソー- 13 -スコードに限られることを明示的に主張しておらず,これを受けて,被告においても,乙1のプログラムと乙2のプログラムとが別個のプログラムであって,それぞれにアクセスするためのURLアドレスも別個のものであることを明確に認識することなく,乙1のURLアドレス((略))にアクセスすれば,乙1及び乙2のウェブサイトないしプログラムにアクセスできることを前提として,光商事が乙1のURLアドレスへアクセスしたことを認める趣旨で,光商事が「乙1お RLアドレス((略))にアクセスすれば,乙1及び乙2のウェブサイトないしプログラムにアクセスできることを前提として,光商事が乙1のURLアドレスへアクセスしたことを認める趣旨で,光商事が「乙1および乙2の原告のウェブサイトないしプログラムにアクセスした」(平成22年12月9日付け被告準備書面2の3頁)と述べたり,「訴外光商事が平成21年6月11日,原告のプログラムにアクセスしたことは認める」旨の答弁(平成23年2月4日付け被告準備書面3の1頁)をしたものといえる。そして,本件訴訟の審理の中で最終的に整理された被告の主張が,光商事による平成21年6月11日のアクセスの事実につき,乙1のプログラムへのアクセスは認めるものの,乙2のプログラムへのアクセスは否認するというものであることは,前記第2の3(2)イ(ア)のとおりである。 以上の次第であるから,被告の平成22年12月9日付け準備書面2における前記主張をもって,被告が,本件訴訟の中で,平成21年6月11日に光商事のパソコンから乙2のプログラムへのアクセスが行われた事実を認めていたとの原告の主張は,採用することができない。 エ上記④について原告は,甲3の文書について,乙2のプログラムが保管されているサーバに残されたアクセス記録を原告作成のプログラムによって取り出し,それをプリントアウトしたものであるとした上で,これによれば,平成21年6月11日に光商事のパソコンから乙2のプログラムへのアクセスが行われた事実が確認できる旨主張する。 しかしながら,甲3の文書は,そもそもそれ自体が乙2のプログラムが- 14 -保管されているサーバに残されたアクセス記録に係る原資料ではなく,当該アクセス記録を原告作成のプログラムによって取り出して記載したものとされる原告作成の文書にすぎ 乙2のプログラムが- 14 -保管されているサーバに残されたアクセス記録に係る原資料ではなく,当該アクセス記録を原告作成のプログラムによって取り出して記載したものとされる原告作成の文書にすぎないのであるから,そこに記載されたアクセス記録が上記サーバに残されたアクセス記録と一致するものであることが,客観的に裏付けられているとはいえない。 また,甲3の文書の内容をみても,そこからは,「2009年6月11日PM05:09」に,「Y」のIPアドレスから,「(略)」のURLアドレスで特定されるファイルへアクセスしたことのアクセス記録であることを読み取ることができるにすぎない。 しかるところ,「Y」のIPアドレスがプロバイダーから光商事のパソコンに割り当てられたIPアドレスであることを認めるに足りる証拠はない。さらに,上記「(略)」のURLアドレスは乙1のURLアドレスであって,乙2のURLアドレスではないことからすれば,仮に,甲3の文書に記載されたアクセス記録が上記サーバに残されたアクセス記録と一致するものであるとしても,これによって,平成21年6月11日に光商事のパソコンから乙2のプログラムへのアクセスが行われた事実を認めることはできない。 なお,原告は,甲3の「アクセスファイル」の記載は,原告が業務使用のために使う識別記号であって,本件と無関係である旨を主張するが,そうであるとすれば,甲3の文書には,アクセス先のURLアドレスが記載されていないことになるから,甲3の文書によって乙2のプログラムへのアクセスの事実が確認できるものではない。 以上によれば,甲3の文書は,これによって平成21年6月11日に光商事のパソコンから乙2のプログラムへのアクセスが行われた事実を認め得る証拠とはいえない。 (3) 以上の検討を総合すれ ない。 以上によれば,甲3の文書は,これによって平成21年6月11日に光商事のパソコンから乙2のプログラムへのアクセスが行われた事実を認め得る証拠とはいえない。 (3) 以上の検討を総合すれば,平成21年6月11日に光商事のパソコンか- 15 -ら乙2のプログラムへのアクセスが行われたとの事実について,当該事実が認められることの根拠として原告が述べる諸点は,いずれもその根拠となるものではない。他に当該事実を認めるに足りる証拠はない。 してみると,被告による本件アクセスの事実は認められないから,これを前提として被告による不正競争行為があったとする原告の主張は,理由がない。 2 結論以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,原告の本訴請求は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第46部 裁判長裁判官大鷹一郎 裁判官大西勝滋 裁判官石神有吾

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