昭和22(れ)16 住居侵入、強盗

裁判年月日・裁判所
昭和23年2月21日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      本件各上告を棄却する。          理    由  被告人両名の弁護人渡辺吉男及び同位田亮次の上告趣意書 第一点 原判決は被告人の防禦権を不当に制限したる違法あるものと信

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判決文本文5,325 文字)

主    文      本件各上告を棄却する。          理    由  被告人両名の弁護人渡辺吉男及び同位田亮次の上告趣意書 第一点 原判決は被告人の防禦権を不当に制限したる違法あるものと信す原審公判 手続を同公判調書により詳細に検討するに、原審は公判期日に於て被告人Aに対し ては共同被告人Bを、被告人Bに対しては共同被告人Aを、夫々直接訊問する機会 を与へたる事跡毫も無之ものとす。 今、日本国憲法の施行に伴ふ刑事訴訟法の応急的措置に関する法律(以下応急措置 法と称す)第十一条第二項は  被告人は公判期日に於て、裁判長に告げ、共同被告人、証人、鑑定人、通事又は 飜訳人を訊問することが出来る と規定して、日本国憲法が其の第三十七条第二項前段に於て、刑事被告人は凡ての 証人に対し審問の機会を充分に与へらるべきことを保障したるに応じたるものなり。 是れ刑事訴訟法に於ては被告人は証人の訊問に付、直接発問の権利なく僅に裁判長 に対し其の発問を促し得るに過ぎざりしに対し、応急措置法は前記被告人の憲法上 の証人訊問権を保障せんが為、当事者対等主義の徹底を期し、被告人に対し独立の 訊問権に与へ、以て被告人の防禦権行使に遺憾なからしめむとなしたるなり。 されば被告人は其の防禦権行使の為、共同被告人に対し直接訊問を為し得べく、被 告人にして若し斯のことなきに於ては裁判長は該公判期間に於て尠く共一回は被告 人に対し、右直接訊問を為し得へき機会を与へざるべからず。縦令、共同被告人な るが故に公判期日を同じくすると雖も之を以て直に被告人が共同被告人を自己独自 の訊問権により充分に訊問をなし得る機会を有したるものとなすは実際の公開法廷 に於ける裁判長訴訟指揮権の過少評価並びに実際に於ける被告防禦権の過大評価を - 1 - なすものと謂ふべく応急措置法第十一条第二項を徒に制限的解釈するものとの 機会を有したるものとなすは実際の公開法廷 に於ける裁判長訴訟指揮権の過少評価並びに実際に於ける被告防禦権の過大評価を - 1 - なすものと謂ふべく応急措置法第十一条第二項を徒に制限的解釈するものとの譏を 免れざるべし。殊に被告人Aは原審に於て弁論終結に到る迄勾留の身柄にありたる ものにして昭和二十二年五月三日より応急措置法実施せられて人権保障のため被告 人の共同被告人に対する独自の訊問権を附与せられることを知る由も無かりし関係 にあり。裁判長が被告人Aに対し公判期日に於て右訊問を為し得る機会を積極的に 与へざるべからざるは訴訟法に於ける当事者対等の原則より見るも当然に要請さる べきなり。然るに原審公判調書を閲するに、原審は被告人Aに対しては共同被告人 Bを、被告人Bに対しては共同被告人Aを夫々直接訊問為し得べき機会を与へたる 形跡絶えて存するなし。是れ応急措置法第十一条第二項違反にして被告人の防禦権 を不当に制限したるものに非ずして何ぞや。原審公判手続は斯かる違法なる手続の 下に進行せられたるものにして無効のものなり。而かも原判決は其の引用証拠に被 告人A並に同Bの原審公廷に於ける各供述を挙示したり。されば、原判決は被告人 の防禦権を不当に制限したる違法あると共に適法ならざる証拠を断罪の資に供した る失当あり。到底破毀を免れざるものと信ず。  というのである。おもうに、日本国憲法の施行に伴う刑事訴訟法の応急的措置に 関する法律第十一条第二項によれば、被告人は、共同被告人のいる事件においては、 公判期日において裁判長に告げればその共同被告人をも自から訊問できること所論 のとおりである。従つてその訊問の時期や順序などについては、むろん裁判長の訴 訟指揮に従はねばならぬとしても、自から直接に共同被告人を訊問したいと考へた ときには裁判長に告げて、その欲する事項について共同被告人 である。従つてその訊問の時期や順序などについては、むろん裁判長の訴 訟指揮に従はねばならぬとしても、自から直接に共同被告人を訊問したいと考へた ときには裁判長に告げて、その欲する事項について共同被告人を訊問することがで きまた、訊問すればよいのであつて、右の第十一条第二項の規定があるからといつ て、進んで裁判長から被告人に対し共同被告人を訊問することができる旨を告げ知 らせて、積極的にその発問を促すということは、望ましいことではあろうがさうに しなければならない義務を定められたものではない。本件において原審の公判調書 - 2 - によれば、上告人両名は、共同被告人として、原審の各公判期日を通じて終始相共 に在廷したものであつて、両名とも自ら共同被告人を直接に訊問してはいないし、 又裁判長の方から両名に対して、その共同被告人を訊問できる旨を告げてその発問 を促したことも認められないけれども、同時に亦裁判長が、被告人の有する右の第 十一条第二項による共同被告人訊問権の行使を制限したり抑えたりしたと認めるよ うな形跡も少しも見受けられないのであるから、これを以つて、直ちに、この原審 の公判手続が該法条に違反した違法のものであるとか、被告人の防禦権を不当に制 限した違法があるとかいうことはできない。論旨は、これと異なる独自の見解に立 つて原審の公判手続に対する非難を試みようとするものであつて採用するに値いし ない。論旨は理由がない。  同第二点第三点は  原判決は被告人の防禦権を不当に制限したる違法あるものと信ず。  本件記録中原審公判調書を熟読するに、原審は被告Aに対しては共同被告人Bを、 被告人Bに対しては共同被告人Aを、夫々其の供述又は作成に係る供述録取書類並 に代替書類の供述者作成者として公判期日に直接訊問し得る機会を与へたる形跡毫 も之を認むるを得ざるところとす。  抑々 Bを、 被告人Bに対しては共同被告人Aを、夫々其の供述又は作成に係る供述録取書類並 に代替書類の供述者作成者として公判期日に直接訊問し得る機会を与へたる形跡毫 も之を認むるを得ざるところとす。  抑々日本国憲法の施行に伴う刑事訴訟法の応急的措置に関する法律(以下刑事訴 訟法応急措置法と称す)第十二条が  証人その他の者(被告人を除く)の供述を録取した書類又はこれに代わるべき書 類は被告人の請求があるときは、その供述者又は作成者を公判期日において訊問す る機会を被告人に与へなければこれを証拠とすることが出来ない。後略と規定した る所以のものは基本的人権を不当に侵害さるることなからしめんとの趣旨に出てた る憲法第三十七条に規定する被告人独自の訊問権を保障せんとしたるものなり。即 ち、若し被告人不知の間に作成せられたる供述録取書類又は代替書類を採て以て直 - 3 - に有罪認定の証拠に供するを得るものと為さば、憲法第三十七条第二項に保障せら れたる被告人の訊問権は結局実効なきものに終始することとなり同条は之に依り完 全に回避し得る結果を招来すべし。茲に於て刑事訴訟法応急措置法第十二条は被告 人に対し供述録取書類又は代替書類に付その供述者又は作成者を公判期日に於て訊 問する機会を与へ、之に依り憲法が被告人に認めたる被告人独自の訊問権を担保し 以て被告人の訴訟法上に於ける防禦権の行使に遺憾なきを期したるなり。  されば裁判長は被告人に対し当該被告人以外の者の供述録取書類又は代替書類の 作成者を公判期日に於て直接訊問し得る機会を与へ被告人をして充分に其の防禦権 を行使せしめざるべからず。縦令本件の如く共同被告人が公判期日を共通にする場 合に於ても何等其の理を異にするところなきものなり。然るに原審は被告人Aに対 しては共同被告人Bを、被告人Bに対しては共同被告人Aを、夫々其の供述又は作 令本件の如く共同被告人が公判期日を共通にする場 合に於ても何等其の理を異にするところなきものなり。然るに原審は被告人Aに対 しては共同被告人Bを、被告人Bに対しては共同被告人Aを、夫々其の供述又は作 成に係る供述録取書類並に代替書類の供述者作成者として公判期日に直接訊問し得 る機会を与へたる形跡全然無之ものにして刑事訴訟法応急措置法第十二条に違反し 被告人の防禦権を不当に制限したる違法あり。到底破毀を免れさるものと信ず。  原判決は適法ならざる証拠を断罪の資に供したる違法あるものと信ず。原判決は 本件犯罪事実を認定するに至りたる証拠として「被告人Bに対する司法警察官の聴 取書」を挙示したること明らかなり。依て右被告人Bに対する司法警察官聴取書が 適法のものなりや否やに付検討を加へむに、日本国憲法の施行に伴ふ刑事訴訟法の 応急的措置法(以下刑事訴訟法応急措置法と称す)第十二条は証人其の他の者(被 告人を除く)の供述録取書類又は代替書類に付てはその供述者又は作成者を公判期 日に於て訊問する機会を与へることなくして之を証拠となすを得ざるものとし右供 述録取書類又は代替書類の証拠能力を制限せり。而して原審は前第二点に記述した る如く被告人Aに対しては共同被告人たるBを、其の供述又は作成に係る供述録取 書類又は代替書類に付供述者又は作成者として公判期日に訊問し得る機会を与へた - 4 - る形跡毫も無之ものなるを以て、被告人Aに付犯罪事実を認定するに際しては共同 被告人Bの供述に係る前記「被告人Bに対する司法警察官聴取書」は其の罪証に供 するを得ざるものと謂はざるべからず。而して本件事実は被告人A並に同B他五名 共謀に係る所為なるところ、原判決証拠理由に依れば右被告人Bに対する司法警察 官聴取書は原判決挙示の他の証拠と相俟ち綜合せられて被告人等共謀に係る本件所 為の罪証に供せられたる は被告人A並に同B他五名 共謀に係る所為なるところ、原判決証拠理由に依れば右被告人Bに対する司法警察 官聴取書は原判決挙示の他の証拠と相俟ち綜合せられて被告人等共謀に係る本件所 為の罪証に供せられたること明かなり。果して然らば原判決は適法ならざる証拠を 断罪の資に供したる違法あるものと謂ふべく到底破毀を免れざるものと信ず。」と いうにある。  けれども日本国憲法の施行に伴う刑事訴訟法の応急的措置に関する法律第十二条 第一項本文の規定は証人その他被告人以外の者の供述を録取した書類又は之に代わ るべき書類を犯罪の証拠とするには被告人の請求があるときはその供述者又は之に 代わるべき書類の作成者を公判期日において被告人自ら直接訊問する機会を与へな ければならない。かゝる機会を与へないでその書類を犯罪の証拠とすることは出来 ないといふ趣旨である。しかし被告人の共同被告人として終始相共に公判期日に在 廷するものがその書類の供述者又は作成者である場合には既に前論旨で説明したよ うに被告人は同法第十一条第二項の規定に基いて公判期日において裁判長に告げそ の共同被告人を訊問することができるのであつて、すなはち、共同被告人相互にあ つては同法第十二条本文にいふところの「機会」は常に与へられてゐるのであるか ら、特に被告人の請求を待つて特段の機会を与へるといふようなことをしないでも これ等の書類を証拠としてさしつかえないのである、それは毫も同法第十二条本文 の法意に反するところはないのである。本件において原判決が被告人A及び同Bの 犯罪を認定する証拠としてBに対する司法警察官の聴取書をとつていることは所論 のとおりであるけれども原審公判調書によれば被告人A及び同Bの両人は原審の公 判期日に共同被告人として常に共に在廷していたことは明であるから被告人Aは原 - 5 - 審公判期日において常に直接被 は所論 のとおりであるけれども原審公判調書によれば被告人A及び同Bの両人は原審の公 判期日に共同被告人として常に共に在廷していたことは明であるから被告人Aは原 - 5 - 審公判期日において常に直接被告人Bを訊問する機会を与へられていたもので(被 告人Aがこの機会を利用して被告人Bを訊問した事述は本件記録上知ることができ ないけれども)原審が被告人Bの警察における供述録取の書類を本件犯罪の証拠と したことには毫も弁護人主張のやうな違法の点はないのである論旨は理由がない。 以上の理由によつて本件上告は刑事訴訟法第四百四十六条に従い棄却すべきもので ある。この判決は裁判官全員の一致した意見である。  検察官宮本増蔵関与   昭和二十三年二月二十一日      最高裁判所第二小法廷          裁判長裁判官    塚   埼   直   義             裁判官    霜   山   精   一             裁判官    栗   山       茂             裁判官    小   谷   勝   重             裁判官    藤   田   八   郎 - 6 -

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