A 再審請求事件 決定 静岡地方裁判所(平成26年3月27日) 【目次】 凡例当事者の表示・・・・1 主文・・・・2 理由・・・・2 第1 事案の概要・・・・2 1 事件の発生と確定審の経過・・・・2 2 確定判決について・・・・5 確定判決が認定した罪となるべき事実の要旨・・・・5 Aの犯人性に関する確定判決等の証拠構造等・・・・6 ア確定1審の判断・・・・6 イ確定控訴審の判断・・・・9 5点の衣類の関係・・・・9 パジャマの関係・・・・12 B郵便局で発見された紙幣等の関係・・・・12 ウ確定上告審の判断・・・・12 エ証拠構造についての小括・・・・12 3 第1次再審について・・・・13 第1次再審の経過・・・・13 第1次再審の内容・・・・13 ア弁護人が提出した 第1次再審の経過 第1次再審の内容 ア弁護人が提出した新証拠と1審,即時抗告審の判断 味噌タンク実験報告書 麻袋写真撮影報告書 Cの供述録取書 平成8年7月17日付けD作成の鑑定書 平成10年6月29日付けD作成の鑑定書 E作成の鑑定書 DNA鑑定 小括 イ特別抗告審の判断 第2 当裁判所の判断 1 新証拠等の整理 5点の衣類等のDNA鑑定に関する証拠 5点の衣類の色に関する証拠 鉄紺色ズボンのサイズに関する証拠 緑色パンツの製造元に関する証拠 昭和41年6月及び7月頃の1号タンクの状況等に関する証拠 5点の衣類の捜査経過に関する証拠 A供述の信 ・・・20 昭和41年6月及び7月頃の1号タンクの状況等に関する証拠・・・20 5点の衣類の捜査経過に関する証拠・・・20 A 供述の信用性等に関する証拠・・・20 焼けた紙幣に関する証拠・・・21 別の犯人の存在をうかがわせる証拠・・・21 2 当裁判所の判断の枠組みと結論・・・21 3 弁護人が提出した証拠の明白性・・・21 DNA鑑定関係の証拠・・・22ア証拠の概要と当事者の主張・・・22イ F 鑑定の信用性等・・・24 F の検査手法等・・・24 F 鑑定の信用性・・・25a 検出されたアレルは,その大部分が,血痕に由来する可能性が高いこと・・・25(a) 対照試料から全くアレルが検出されていないこと・・・25(b) 本件試料には血液が付着している蓋然性が認められること・・・26(c) アレルドロップイン(由来不明のアレルが検出される現象)の可能性が低いこと・・・27(d) 外来のDNAによる汚染の可能性が低いこと・・・27(e) 血液由来DNAの選択的抽出法を用いていること・・・28 ・・・27(d) 外来のDNAによる汚染の可能性が低いこと・・・27(e) 血液由来DNAの選択的抽出法を用いていること・・・28(f) 小括(アレルと血痕との関係) ・・・29b 白半袖シャツ右肩の試料から検出されたアレルとA のアレルの不一致・・・30c 5点の衣類から検出されたアレルと被害者着衣から検出されたアレルの不整合・・・31d 検査結果の評価・・・32e 検察官の主張について・・・33(a) 「再現性」がなく,しかもその理由を合理的に説明できないとの主張・・・34(b) 型判定の基準が曖昧で恣意的であるとの主張・・・35(c) G の検査結果と一致しないとの主張・・・37ウ G のミトコンドリア型検査に対する評価・・・38 概要・・・38 検査の結果・・・38 評価・・・39a 223T-294T-295Tの評価・・・39b 緑色パンツ及びブラジャーから検出された型の評価・・・39c 白半袖シャツ右肩の試料から検出された型の評価・・・40d 小括(G のミトコンドリア型 b 緑色パンツ及びブラジャーから検出された型の評価・・・39c 白半袖シャツ右肩の試料から検出された型の評価・・・40d 小括(G のミトコンドリア型検査) ・・・41エ小括(DNA鑑定に関する証拠) ・・・41 5点の衣類の色に関する証拠・・・42ア概要・・・42イ検討・・・43 第1味噌󠄀漬け実験・・・44 第2及び第3味噌󠄀漬け実験・・・44a 味噌󠄀による着色の程度・・・44b 血痕の色・・・47ウ小括(5点の衣類の色に関する証拠) ・・・48 5点の衣類に関する新証拠の総合評価・・・49新旧証拠の総合評価(5点の衣類に関して) ・・・51ア 5点の衣類の発見経緯・・・51イ鉄紺色ズボンのサイズ・・・53ウ白半袖シャツの損傷,ネズミ色スポーツシャツの損傷及びA の右上腕の傷の関係・・・55エ端布・・・56オ H の公判供述・・・58カ小括 エ端布・・・56オ H の公判供述・・・58カ小括・・・59 新旧証拠の総合評価(5点の衣類以外) ・・・59ア A のパジャマの混合油と血液・・・59イ A がI に渡したとされる紙幣・・・60ウ A の左手中指の切創等・・・61エ A の自白調書・・・62オ小括・・・64 4 結論・・・64 再審の開始・・・64 執行停止・・・65 結語・・・68別表・・・69 【凡例】 1 括弧内の証拠物の符号については,断りない限り,全て当庁昭和56年○処第12号の符号を表す。 2 その他,括弧内の表記の意味するところは,以下のとおりである。 ・「△・確○冊×丁」・・・確定審記録(30分冊)のうち○分冊×丁目△の供述・「△・再○冊×丁」・・・第1次再審記録(20分冊)のうち○分冊×丁目△の供述・「F 主尋問×頁」・・・平成24年11月19日付けF 証人尋問調書速記録×頁・「F 反対尋問×頁」・・・平成25年1月24日付けF 証人尋問調 20分冊)のうち○分冊×丁目△の供述・「F 主尋問×頁」・・・平成24年11月19日付けF 証人尋問調書速記録×頁・「F 反対尋問×頁」・・・平成25年1月24日付けF 証人尋問調書速記録×頁・「G 主尋問×頁」・・・平成24年12月10日付けG 証人尋問調書速記録×頁・「G 反対尋問×頁」・・・平成25年2月8日付けG 証人尋問調書速記録×頁・「J ×頁」・・・平成25年6月10日付けJ 証人尋問調書速記録×頁・「23年検察官意見書×頁」・・・平成23年12月25日付け検察官作成の意見書×頁・「弁護人DNA意見書×頁」・・・平成25年3月29日付け弁護人作成のDNA鑑定意見書×頁・「検察官DNA意見書×頁」・・・平成25年3月29日付け検察官作成の意見書(30丁のもの)×頁・「弁護人最終意見書×頁」・・・平成25年12月2日付け弁護人作成の最終意見書×頁・「検察官最終意見書×頁」・・・平成25年12月2日付け検察官作成の最終意見書×頁 3 各審級についての略語の意味は,以下のとおりである。 ・「確定1審」・・・確定審の第1審・「確定控訴審」・・・確定審の控訴審・「即時抗告審」・・・第1次再審の即時抗告審・「特別抗告審」・・・第1次再審の特別抗告審 4 書証等の略語の意味は,以下のとおりである。 ・「23年F 鑑定書」・・・平成23年12月20日付けF 作成の鑑定書・「24年F 鑑定書」・・・平成24年4月12日付けF 作成の鑑定書・「23年G 鑑定書」・・・平成23年12月21日付けG 作成の鑑定書・「24年G 鑑定書」・・・平成24年4月13日付けG 作成の鑑定書・「6月F 回答書」・・・平成24年6月21日付けF 作成の「求釈明事項 23年12月21日付けG 作成の鑑定書・「24年G 鑑定書」・・・平成24年4月13日付けG 作成の鑑定書・「6月F 回答書」・・・平成24年6月21日付けF 作成の「求釈明事項に対する回答」と題する書面・「G 意見書」・・・平成24年9月27日付けG 作成の意見書(3丁のもの)・「K 意見書」・・・平成24年10月2日付けK 作成の意見書・「L 鑑定書」・・・昭和42年9月20日付けL 鑑定書(確17冊2348丁)・「鑑定人尋問調書」・・・平成23年9月9日付け鑑定人尋問調書・「第1味噌󠄀漬け実験」・・・平成20年4月14日付け弁護人ら作成の味噌󠄀漬け実験報告書にかかる実験・「第2味噌󠄀漬け実験」・・・平成21年9月19日付け弁護人ら作成の1年2ヶ月味噌󠄀漬け実験報告書にかかる実験・「第3味噌󠄀漬け実験」・・・平成22年9月23日付け弁護人ら作成の再現仕込み味噌󠄀・味噌󠄀漬け実験報告書にかかる実験 5 人名,証拠物等の略語の意味は,以下のとおりである。 ・「A 」・・・A (有罪の言渡を受けた者)・「M 」・・・M (被害者)・「N 」・・・N (被害者)・「O 」・・・O (被害者)・「P 」・・・P (被害者)・「Q 」・・・合資会社Q (A の当時の勤務先)・「R 」・・・R (Q の従業員)・「C 」・・・C (Q の従業員)・「白ステテコ」・・・白ステテコ(符号96)・「白半袖シャツ」・・・白半袖シャツ(符号97)・「ネズミ色スポーツシャツ」・・・ネズミ色スポーツシャツ(符号98)・「鉄紺色ズボン」・・・鉄紺色ズボン(符号99)・「緑色パンツ」・・・緑色パンツ(符号100) 白半袖シャツ(符号97)・「ネズミ色スポーツシャツ」・・・ネズミ色スポーツシャツ(符号98)・「鉄紺色ズボン」・・・鉄紺色ズボン(符号99)・「緑色パンツ」・・・緑色パンツ(符号100)・「5点の衣類」・・・前記白ステテコ,白半袖シャツ,ネズミ色スポーツシャツ,鉄紺色ズボン,緑色パンツ・「1号タンク」・・・5点の衣類の発見場所である味噌󠄀タンク・「端布」・・・端布(符号103)・「茶格子縞ズボン」・・・ズボン(黒地に茶色の格子縞のもの。符号129)・「I 」・・・I (確定判決等でA から被害品を預かったとされた者)・「S 」・・・S (鉄紺色ズボンの製造元の専務取締役)・「T 」・・・T 有限会社(確定判決等で緑色パンツの製造元とされた会社)・「H 」・・・H (T に勤務する者) 6 DNA鑑定に関する略語の意味は,以下のとおりである。 ・「F 」・・・F (当審DNA鑑定における弁護人推薦の鑑定人)・「G 」・・・G (当審DNA鑑定における検察官推薦の鑑定人)・「白半袖シャツ右肩の試料」・・・当審の鑑定において白半袖シャツから採取された試料のうち,確定1審の鑑定で,B型の血液が付着しているとされた部分から採取されたもの・「メリヤスシャツ」・・・メリヤスシャツの焼けのこりの一部(符号86)・「白ワイシャツ」・・・焼けのこった白ワイシャツの一部(符号89)・「白メリヤスシャツ」・・・白メリヤスシャツの焼けのこった一部(符号91)・「白ズボン下」・・・白ズボン下の焼けのこりの一部(符号92)・「水色たて縞パンツ」・・・水色たて縞のパンツの焼けのこりの一部(符号93)・「ブラジャー」・・・ブラジャーの焼けのこりの一部(符号95)・「被害者 白ズボン下の焼けのこりの一部(符号92)・「水色たて縞パンツ」・・・水色たて縞のパンツの焼けのこりの一部(符号93)・「ブラジャー」・・・ブラジャーの焼けのこりの一部(符号95)・「被害者着衣」・・・前記メリヤスシャツ,白ワイシャツ,白メリヤスシャツ,白ズボン下,水色たて縞パンツ,ブラジャー・「STR型」・・・STR-DNA型・「ミトコンドリア型」・・・ミトコンドリアDNA型・「○-○【△】「×」」・・・23年F 鑑定書における試料名○-○,座位△,アレル× 7 別表中の略語の意味は,以下のとおりである。 ・「検」・・・検察官に対する供述調書・「員」・・・司法警察員に対する供述調書・「巡」・・・司法巡査に対する供述調書・「任」・・・任意提出書・「領」・・・領置調書・「(検)」・・・検察官・「(員)」・・・司法警察員・「(巡)」・・・司法巡査- 1 - 平成20年第1号決定 有罪の言渡を受けた者 A昭和●●年●月●●日生再審請求人(有罪の言渡を受けた者の保佐人)U昭和●年●月●日生主任弁護人 ( 省略 ) 弁護人( 以下、氏名省略 ) 同 同 同 同 同 同 同 同 同 同 主文 本件について再審を開始する。有罪の言渡を受けた者に対する死刑及び拘置の執行を停止する。 理由 第1 事案の概要 1 事件の発生と確定審の経過確定記録等から,以下の各事実が認められる。 Aは,昭和40年頃から,静岡県清水市(現在は合併により静岡市)内のQにおいて,味噌工場の工員として勤務していた。Qの工場2階は従業員寮になっており,Aは,その寮に他の従業員とともに居住していた。工場は,線路に隣接しており,その反対側にはQ専務取締役Mの居宅があり,同人宅の裏口を出て線路を横切ると,最短距離で工場へ到達できる位置関係にあった。Mは,本件当時妻N,次女O,長男Pとともに前記居宅に居住していた。 居宅があり,同人宅の裏口を出て線路を横切ると,最短距離で工場へ到達できる位置関係にあった。M は,本件当時妻N ,次女O- 3 - ,長男P とともに前記居宅に居住していた(確13冊1218丁以下,確2冊311丁以下,確10冊411丁ないし413丁,確12冊937丁以下)。昭和41年6月30日午前1時50分頃,M 方において火災が発生し家屋はほぼ全焼したが,鎮火後,現場からM ,N ,O 及びPの4人がいずれも遺体で発見された。4名の遺体には,それぞれ刃物で多数回刺突された形跡が認められ,付近からはガソリン臭がした。また,同家屋内の現金入りの複数の袋が移動された形跡があり,一部は発見されなかった。O の遺体の近くには焼けたくり小刀が落ちており,M 方の中庭からは工場従業員の雨合羽が発見され,そのポケットにはくり小刀のさやが入っていた(確9冊87丁,確10冊313丁以下,401丁以下,確11冊537丁,702丁以下,718丁以下,734丁以下,確12冊902丁以下)。 A は,昭和41年6月29日の晩から,寮の部屋で一人で就寝することになっていた。また,A は,事件当夜の消火活動終了までの間に,左手中指に,長さ約1㎝ないし約1.5㎝,幅約4㎜の切創,右上腕部前面に長さ約1.5㎝,幅約5㎜の傷(同年8月18日には,ケロイド状の肉芽組織になっていた。)を負っていた(確2冊311丁,確14冊1648丁以下,確15冊1899丁,確16冊1909丁以下)。 昭和41年7月4日,工場及び従業員寮において,捜索差押えが行われた。 その際,A ともう1名の従業員の住み込んでいた部屋からA のパジャマが押収され,起訴前の鑑定の結果,A の血液型(B型)と合致しない血液(AB型及びA型)が付着していたほか,工場 押えが行われた。 その際,A ともう1名の従業員の住み込んでいた部屋からA のパジャマが押収され,起訴前の鑑定の結果,A の血液型(B型)と合致しない血液(AB型及びA型)が付着していたほか,工場内で保管されていた混合油,被害者の着衣に付着していた油と同種の油が付着していたとされた(ただし,昭和42年後半に実施された公判での鑑定では,パジャマに油分は付着していないという結果も報告されている。)。 - 4 - また,混合油の容器にも血液が付着しており,かつ,事件の頃,その量が減少したことが確認された(確13冊1297丁ないし1302丁,確15冊1700丁以下,1708丁以下,確19冊2575丁以下,確15冊1807丁以下,1877丁,確13冊1342丁以下)。 昭和41年8月18日,A は逮捕され,V 警察署に勾留された。Aは,当初,否認を続けていたが,同年9月6日自白に転じ,同月9日,住居侵入,強盗殺人,放火罪で静岡地方裁判所に起訴された。その後も同年10月13日頃まで継続的に取調べを受け,本件犯行を認める供述調書が作成された(確21冊2丁以下,5丁以下,確28冊2438丁以下,確1冊1丁以下)。 昭和41年9月13日,B 郵便局において,差出人名の書かれていないV 警察署宛の封筒1通が発見された。その中には,現金合計5万700円及び便箋1枚が入っていた。現金は,いずれも紙幣(18枚)であるが,番号部分がいずれも焼失しており,うち千円札2枚にはそれぞれ「X 」と書かれており,百円札1枚には血痕が付着していた。便箋には,「ミソコウバノボクノカバンノナカニシラズニアッタツミトウナ」と書かれていた(確13冊1099丁以下,1109丁以下,確15冊1818丁以下)。 昭和41年11月15日,第1回公判期日が開かれたが, コウバノボクノカバンノナカニシラズニアッタツミトウナ」と書かれていた(確13冊1099丁以下,1109丁以下,確15冊1818丁以下)。 昭和41年11月15日,第1回公判期日が開かれたが,A は,本件犯行を全面的に否認し,無罪を主張した。検察官は,冒頭陳述において,Aがパジャマを着て犯行に及んだ旨主張した(確1冊11丁,12丁,37丁以下)。 確定1審係属中の昭和42年8月31日,工場の1号タンク内から味噌󠄀出しをしていたQ 従業員が麻袋を発見した。麻袋には,広範囲にわたり血痕が付着した5点の衣類(白ステテコ,白半袖シャツ,ネズミ色スポーツシャツ,鉄紺色ズボン及び緑色パンツ)が入っていた。白半袖シャツ- 5 - の右袖付け根付近には,丸穴が2つ(直径約2.5㎜のものと約3㎜のもの)あり,これを中心に内側からB型の血液が付着していた。ネズミ色スポーツシャツの右袖付け根付近にも,約3㎜×約3㎜色ズボンの寸法札には,「寸法4」「B」との記載があり,そのウエストは約3詰められた形跡があった(確5冊1691丁以下,確17冊2286丁以下,23丁以下確18冊2472丁以下,確6冊2247丁,弁11・8丁以下)。 1号タンクは,縦約2.29m,横約2.03m,深さ約1.65mであり,麻袋は,1号タンクの角,底から約3.5㎝の場所で,味噌󠄀の中から発見された。1号タンクは,昭和41年6月30日当時,赤味噌󠄀のタンクとして使用されていて,その残量は,出荷により相当程度減少していたが,同年7月20日には4t以上の赤味噌󠄀原料が仕込まれていた(確6冊1951丁以下,確17冊2281丁以下,弁43,84)。 昭和42年9月12日,A の実家で捜索が実施され,端布らしきものが発見された(この端布は,後に鉄紺色ズボンと 料が仕込まれていた(確6冊1951丁以下,確17冊2281丁以下,弁43,84)。 昭和42年9月12日,A の実家で捜索が実施され,端布らしきものが発見された(この端布は,後に鉄紺色ズボンと切断面が一致することが確認される。)。検察官は,その翌日である同月13日の第17回公判において,A は,5点の衣類を着用して本件犯行に及んだ旨主張を変更した(確8冊2893丁以下,確17冊2272丁,2273丁,確18冊2497丁以下,確5冊1666丁以下)。昭和43年9月11日,確定1審は,A が本件犯人であると認定し,Aを死刑に処する旨の判決を言い渡した。A はこれを不服として控訴したが,昭和51年5月18日東京高等裁判所が控訴を棄却し,昭和55年11月19日には上告も棄却され,1審判決が確定した。 2 確定判決について確定判決が認定した罪となるべき事実の要旨A は,昭和41年6月30日午前1時過ぎ頃,Q の売上金を,- 6 - もし家人に発見されたときは脅迫してでも奪おうと考えて,くり小刀を携え,M 方住居に侵入して金員を物色中,同人に発見されるや,金員強取の決意を固め,所携のくり小刀(刃渡り約12㎝)で,殺意をもって同人,さらには物音に気付いて起きてきた家人のN ,P 及びO をそれぞれ数回突き刺し,M が保管していた前記会社の売上現金20万4915円等を強取し,さらに,M ら4名を前記住居もろとも焼毀してしまおうと考え,M ら4名の各被傷体に混合油を振り掛け,マッチでこれらに点火して放火し,よって,M らが現に住居に使用しかつ現在する住宅1棟を焼毀し,M ,N ,P 及びO をそれぞれ死亡させて殺害したものである。 A の犯人性に関する確定判決等の証拠構造等本件請求は,確定1審以 が現に住居に使用しかつ現在する住宅1棟を焼毀し,M ,N ,P 及びO をそれぞれ死亡させて殺害したものである。 A の犯人性に関する確定判決等の証拠構造等本件請求は,確定1審以来争われている,A が本件の犯人であると認められるか否かを争点とするものである。 本件では,客観的な証拠によって,確定判決の認定する日時,場所において,4人の被害者が刃物によって刺突され,被害者の居宅に放火される中で殺害されたことは疑う余地がなく,また,現金等がなくなっていることからみて,判示のとおりの犯罪が実行されたこと自体は特段問題にする必要はない。 そこで,A の犯人性に関する確定判決等の証拠構造を検討した上で,本件請求の当否を検討することとする。 ア確定1審の判断確定1審は,まず,A の自白調書の証拠能力について検討し,既に採用していた警察官及び検察官に対する供述調書45通のうち,検察官に対する1通を除き証拠能力を否定して証拠排除決定を行った。すなわち,警察官調書28通については,長時間にわたる強制的・威圧的な取調べの結果作成されたものであり,起訴後に作成された検察官- 7 - 調書16通についても,警察署においてあたかも取調受忍義務があるかのような形の取調べの結果作成されたものであったことから,いずれも任意性を欠くとして証拠排除された。その上で,証拠能力を認めた1通の自白調書を除いた証拠を検討し,下記①ないし⑦の間接事実が認定できることから,A が犯人である蓋然性が極めて高いとした。 事実の摘示は,有罪の理由の第一の二「本件犯罪事実と被告人との結びつきについて」で示されたところによるが,その前提として,第一の一「犯罪事実の存在について」で指摘されていることも補って示すこととする。 ① 5点の衣類が,犯行当時,犯 件犯罪事実と被告人との結びつきについて」で示されたところによるが,その前提として,第一の一「犯罪事実の存在について」で指摘されていることも補って示すこととする。 ① 5点の衣類が,犯行当時,犯人が着用していたものであり,かつA のものであること(確定判決18丁以下,41丁以下)5点の衣類には,被害者らの各血液型と一致するA型,AB型,B型といった多量の人血が付着していたことなどから,5点の衣類は,犯人が,犯行時に着用していたものと認められ,1号タンクの底部から発見されたこと等から,犯行後,昭和41年7月20日に新たに味噌󠄀が仕込まれるまでの間に,1号タンク内に隠匿されたものと認められる。 そして,鉄紺色ズボンについては,A の実家から発見された端布と切断面が一致すること等から,A のものであると断定でき,緑色パンツについても,Q 従業員らの目撃供述等から,A のものである疑いが極めて濃厚である。そして,鉄紺色ズボン及び緑色パンツを含む5点の衣類が同じ麻袋の中に一緒にまるめて入れられていたことから,これらの衣類は全てA のものと認められる。 ② A が,被害品である焼けた紙幣を元同僚であるI に渡したこと(確定判決40丁以下,45丁以下)昭和41年9月13日,B 郵便局で発見された焼けた紙幣につい- 8 - ては,千円札及び同封されていた便箋の記載内容(前記1の参照)に加え,被害品と矛盾しない金額であること,一部に血痕が付着していること,筆跡鑑定の結果,前記紙幣及び便箋の文字とI の文字が合致したこと,I 方から前記便箋と同種のものが発見されたこと,事件前,A とI が親密な関係にあったこと,I が捜査段階で,「絶対罪にしないと約束してくれれば,話をしてもいい」などと事件について何かを隠しているかのような 記便箋と同種のものが発見されたこと,事件前,A とI が親密な関係にあったこと,I が捜査段階で,「絶対罪にしないと約束してくれれば,話をしてもいい」などと事件について何かを隠しているかのような発言をしていたこと等から,Iが,A が本件犯行に関与して取得したものであることを知りつつA から受け取ったものと認められる。 ③ A のパジャマには,A 以外の者の血液が付着しており,かつ,放火に用いられた工場内の混合油と同種のものが付着していること(確定判決49丁)④ 前記くり小刀と同種の刃物を取り扱っている沼津市内の刃物店で店番をしていた者が,A の写真を見て,昭和41年の春頃に店で見た顔であると供述したこと(確定判決49丁以下)⑤ 白半袖シャツの血痕がA の血液型と一致しており,その損傷とA の右上腕部の怪我が位置的にも矛盾しないこと(確定判決49丁)⑥ A は,左手中指の怪我について,「消火活動の際,屋根の上で転び,トタンで切った」と供述したが,複数の医師による診察の結果,前記怪我は,トタンで切れたものと判断するのは不合理であり,鋭利な刃物によって生じたものと認められること(確定判決50丁以下)⑦ A は,前記従業員寮に寝泊まりしており,本件による火災が鎮火に近くなった頃,その姿を目撃されてはいるが,犯行時刻頃も含めてそれ以前にA を目撃したと証言する者がおらず,A にはア- 9 - リバイがないこと(確定判決51丁以下)そのうえで,起訴前に作成されたA の自白調書(検察官調書)1通について,供述内容ごとに信用性を判断している。パジャマを着て殺害行為を行ったとする点については,虚偽であるとしたが,これは,A が,犯行着衣とされる5点の衣類が発見されていないのを幸いに,検察官の推測に便乗したような形で 用性を判断している。パジャマを着て殺害行為を行ったとする点については,虚偽であるとしたが,これは,A が,犯行着衣とされる5点の衣類が発見されていないのを幸いに,検察官の推測に便乗したような形で供述したものと判断し,その余の点については,A が裏口の木戸の上の留め金を外さないまま,同木戸をそびれさせて通過したとされている点も含めて大筋で信用できると判断した(ただし,証拠の標目には挙げられていない。確定判決52丁以下,68丁以下)。 イ確定控訴審の判断確定控訴審は,控訴審で取り調べた多数の証拠も総合して,控訴趣意に逐一答える形で検討し,確定判決の説示に補足を加えつつ,確定1審の結論を維持した。その際,結論の項で特に,確定1審で示された,前記①,⑤(A の右下腿中央から下部前面に打撲擦過傷痕があり,鉄紺色ズボンの右足前面下部にもそれに相応するような損傷があることを加えている。 確16冊1966丁以下,確17冊2291丁以下),⑥,③,⑦の間接事実をこの順番で挙げている(確定控訴審判決64丁以下)。 確定控訴審で補足された点のうち,主要なものは,次のとおりである。 5点の衣類の関係・ 5点の衣類が1号タンクに入れられた時期について(確定控訴審判決19丁以下)昭和41年7月20日,1号タンクには新たに大量の味噌󠄀が仕込まれたから,それ以後は,発見時の位置である底から約3.5㎝の底部に5点の衣類を隠すことはほとんど不可能である。 1号タンクには,事件当時,味噌󠄀が相当量残っており,同月4日の- 10 - 捜索の際には,1号タンクは上から点検しただけで味噌󠄀の中までかき回して調べなかったこと,同月20日は,残っていた味噌󠄀の上に仕込まれたものと思われること,A は当時,味噌󠄀を搬出する役をしており,同日の1号タン 号タンクは上から点検しただけで味噌󠄀の中までかき回して調べなかったこと,同月20日は,残っていた味噌󠄀の上に仕込まれたものと思われること,A は当時,味噌󠄀を搬出する役をしており,同日の1号タンクへの仕込みの際にもタンクの中に入って味噌󠄀を踏む役をしていた可能性もあったことなどから,捜索の際や味噌󠄀の仕込みの際に5点の衣類の入った麻袋が発見されるおそれは小さい。したがって,これらの際に発見されなかったとしても,捜索(あるいは同月20日)以前から麻袋が1号タンク内に隠匿されていたとの事実が否定されるものではない。 ・端布は間違いなくA のものである(確定控訴審判決28丁以下)。 端布は,A の母であるZ が立ち会った捜索により発見されており,かつ,同人が昭和42年9月17日付け検察官調書において,Aが逮捕された後,他の荷物と一緒にQ から送られてきた旨説明している。この点を否定するZ の確定1審証言は信用できない。 ・ A は,事件当時,鉄紺色ズボンをはけた(確定控訴審判決33丁以下)。 確定控訴審において,昭和46年から昭和50年にかけて3回の着装実験を行った。いずれの機会にも,A は,実際に鉄紺色ズボンをはくことができなかった。しかし,鉄紺色ズボンの規格表示には「寸法4,型B」とあることから,同ズボンは,肥満体用のB体であり,縫製時のウエストは約83㎝ないし約85㎝であって,約3㎝詰めた後でも約80㎝であった。鑑定では,鉄紺色ズボンの元のウエストは約74.5㎝ないし約76.1㎝という判断が出ているが,いずれにしても,A が事件当時使用していた茶格子縞ズボンのウエストが約76㎝ないし約80㎝であることに照らせば,A が鉄紺色ズボンを- 11 - はけたと認められる。 いるが,いずれにしても,A が事件当時使用していた茶格子縞ズボンのウエストが約76㎝ないし約80㎝であることに照らせば,A が鉄紺色ズボンを- 11 - はけたと認められる。 ・緑色パンツは,A のものである疑いが極めて濃厚である(確定控訴審判決36丁以下)。 弁護人は,確定1審で,Q から送られてきたA の荷物の中に緑色のパンツが入っていたとして,薄緑色パンツ(符号106)を提出し,それがA が使用していたパンツであると主張していた。しかし,パンツ購入店から割り出した製造元であるT 勤務のH は,緑色パンツについて,ちんだし部分の向かって右側の線が,表側も裏側もジグザグ縫いである点,はき口がふくれないように糸で止めてある点,腰のゴムが2本ある点で似ているから,自社の製品であり,裏側の左右二本の縫目が,ジグザグ縫いになっていないことから,ミシンが修理された昭和41年8月9日以前の商品であると断言し,前記薄緑色パンツは前記特徴を備えていないため,Tの製品ではないと供述していること等からすれば,緑色パンツが,Aのパンツである疑いが極めて濃厚である。 ・ネズミ色スポーツシャツの傷が1か所であり,内側に着ていたはずの白半袖シャツの傷は2か所あることや両者を着用したときにネズミ色スポーツシャツの損傷の方がやや体の前側にくることがあっても,A の右肩の傷が白半袖シャツ,ネズミ色スポーツシャツを着用した上から何らかの作用を受けて受傷したと認めるのが相当である。 ネズミ色スポーツシャツの損傷部分は不整形で,生地の織りも比較的粗いから,受傷の仕方,たとえば,刃が斜めに入ったため,白半袖シャツのみに入口と出口の2つの穴ができる場合や,いったん白半袖シャツまで貫通したの ポーツシャツの損傷部分は不整形で,生地の織りも比較的粗いから,受傷の仕方,たとえば,刃が斜めに入ったため,白半袖シャツのみに入口と出口の2つの穴ができる場合や,いったん白半袖シャツまで貫通したのち,白半袖シャツとスポーツシャツの間まで刃が抜け,再度白半袖シャツの別の場所に刺さるといった場合も想定で- 12 - きるからである(確定控訴審判決46丁以下)。 パジャマの関係(確定控訴審判決22丁以下)A のパジャマには工場の混合油が付着したと認められる。 確定控訴審で実施した鑑定の結果,前記パジャマに付着していた油と工場の混合油の種類が同じであったとする確定1審の鑑定について全面的には信用できないことが判明したが,何らかの油が付着しているという限度では信用でき,かつ,A が,事件以外でパジャマに油質が付着するような機会はなかった旨述べていること等に照らせば,Aのパジャマには,やはり工場の混合油が付着していたと認定できる。 B 郵便局で発見された紙幣等の関係(確定控訴審判決40丁以下)確定控訴審において,確定1審の筆跡鑑定を全面的に否定する鑑定結果が出たことから,筆跡鑑定だけからB 郵便局で発見された封筒の差出人がI であると断定することはちゅうちょされるが,それでも,筆跡鑑定の結果やI の本件後の言動,捜査段階での供述等も考慮すれば,確定1審が判示するように,I がA から現金を預かり,そのうちの千円札二枚に「X 」と書き,また便箋,封筒に文字を書き入れ,現金を入れてV 警察署あてに発送した可能性は極めて強いと認められる。 ウ確定上告審の判断確定上告審は,理由を詳細に述べることなく,確定判決を維持した。 エ証拠構造についての小括以上のとおり,確定判決及びこれを補充して維持し 強いと認められる。 ウ確定上告審の判断確定上告審は,理由を詳細に述べることなく,確定判決を維持した。 エ証拠構造についての小括以上のとおり,確定判決及びこれを補充して維持した確定控訴審判決は,A の犯人性を肯定するについて,5点の衣類が犯行に用いられた着衣であり,かつ,A のものであると認められることを証拠上最大の根拠とし,その他複数の客観的状況も併せると,A が犯人であると断定することができるとしている。そして,自白調書については,一部矛- 13 - 盾する部分を除き,大筋では犯行現場の客観的状況等と矛盾しないとの評価の基に,犯人性を肯定するのに補充的に使われているにすぎない。 3 第1次再審について第1次再審の経過A は,昭和56年4月20日,静岡地方裁判所に対し再審を請求したが,平成6年8月8日に棄却され,平成16年8月26日に即時抗告棄却,平成20年3月24日には特別抗告棄却となっている。 第1次再審の内容ア弁護人が提出した新証拠と1審,即時抗告審の判断第1次再審において弁護人は新証拠として種々の証拠を提出したが,ここでは,証拠構造上最も中心的で言わば核となっていて,当請求審での中心的な問題である5点の衣類に限って,弁護人が提出した証拠の内容及びこれに対する裁判所の判断を簡潔に示しておく。 弁護人が提出した新証拠のうち,5点の衣類に関するものは,味噌󠄀タンク実験報告書,麻袋写真撮影報告書,Q 従業員C の供述録取書,平成8年7月17日付けD 作成の鑑定書,平成10年6月29日付け同人作成の鑑定書,E 作成の鑑定書,DNA鑑定である。順次説明する。 味噌󠄀タンク実験報告書(再3冊714丁以下,再12冊2705丁以下,再20冊 平成10年6月29日付け同人作成の鑑定書,E 作成の鑑定書,DNA鑑定である。順次説明する。 味噌󠄀タンク実験報告書(再3冊714丁以下,再12冊2705丁以下,再20冊4202丁以下)1号タンクの模型に約80㎏の味噌󠄀を入れ,模造した5点の衣類等を隠そうとしたところ,きわめて不自然な外観になったことから,Aが1号タンク内に5点の衣類等を隠すことは不可能であったと結論づけるものである。 第1次再審第1審において,事件当時,1号タンクには80㎏を超える味噌󠄀が残っていたと認められるので前提に誤りがあるとして排斥- 14 - され,即時抗告審では,これに加え,実験結果によったとしても,模造5点の衣類等は味噌󠄀で隠せるものであるとして,排斥された。 麻袋写真撮影報告書(再4冊826丁以下,再12冊2710丁,再20冊4202丁以下)弁護人が,5点の衣類が入っていた麻袋と昭和47年に鑑定のために82日間味噌󠄀漬けにされた麻袋とを平成4年に比較したところ,後者の方がより味噌󠄀が浸透していたというものであり,弁護人は,その内容から本件麻袋が1年以上味噌󠄀タンクの中に入っていたという確定判決の認定が誤っていたことが明らかになったと主張した。 しかし,第1審は,麻袋を31日間味噌󠄀に漬けただけでは味噌󠄀の浸透が不十分であった旨の記録(確25冊229丁)もあること,前記各麻袋が味噌󠄀漬けにされた後の保存状態が異なることなどを理由に排斥し,即時抗告審もその結論を肯定した。 C の供述録取書(再19冊3934丁以下,再20冊4202丁以下)事件当時Q 従業員であったC が,昭和41年7月4日に目視で確認した1号タンクの味噌󠄀残量では,5点の衣類を隠すことは到底できないと思う (再19冊3934丁以下,再20冊4202丁以下)事件当時Q 従業員であったC が,昭和41年7月4日に目視で確認した1号タンクの味噌󠄀残量では,5点の衣類を隠すことは到底できないと思うし,短時間のうちに5点の衣類に味噌󠄀の色をつけることは不可能ではないと思うと述べているものである。 即時抗告審において提出された証拠であるが,確定審におけるCの供述等に照らし,これらに反する部分は信用できず,また,単にCの主観を述べただけのものであり,信用できないなどとして排斥された。 平成8年7月17日付けD 作成の鑑定書(再14冊3079丁以下,再20冊4193丁以下)確定控訴審で弁護人から提出された写真によれば,A にネズミ色ス- 15 - ポーツシャツ及び白半袖シャツを着用させた場合,A の右上腕部の傷,ネズミ色スポーツシャツの損傷,白半袖シャツの損傷の位置関係にずれが生じており,A の肘から見て,A の傷,ネズミ色スポーツシャツの損傷,白半袖シャツの損傷という順になっている。他方,被験者に5点の衣類に類似した衣類を着せた上,腕に血液に見立てた赤インクを着けてさまざまな動作をさせたり,ボールペンで刺すなどの実験を行ったところ,前記のような位置関係が生じることはなかった。以上の結果から,これらの傷が同一機会に形成されることはないと結論づけたものである。 即時抗告審において提出された証拠であるが,同審は,前記A の傷と衣類の損傷はM との格闘中に形成された可能性が高いものであり,実験中で想定された体勢とは異なる姿勢になっていた可能性もあるなどの理由で排斥した。 平成10年6月29日付けD 作成の鑑定書(再15冊3296丁以下,再20冊4193丁以下)主たる内容は,5 体勢とは異なる姿勢になっていた可能性もあるなどの理由で排斥した。 平成10年6月29日付けD 作成の鑑定書(再15冊3296丁以下,再20冊4193丁以下)主たる内容は,5点の衣類を着用した状態で血液を浴びた場合,鉄紺色ズボンの裏地を浸透して白ステテコに至るはずであるのに,鉄紺色ズボンの裏地の血痕と白ステテコの血痕の位置が対応していないから,5点の衣類の血痕は,着用状態で血液が付着したことにより形成されたとは考えられないとするものである。 即時抗告審において提出された証拠であるが,同審は,5点の衣類はまとめて麻袋に入れられていたのだから,着用時とは異なる衣類同士が接触して血液が付着した可能性もあるなどとして排斥した。 E 作成の鑑定書(再16冊3627丁,再20冊4193丁以下)鉄紺色ズボン(着装実験時,はけなかった。)の収縮前のウエスト- 16 - は約72.34㎝ないし約73.4㎝であり,A が事件当時使用していた茶格子縞ズボン(着装実験時,はくことができた。)と比較すると明らかに小さいことから,A が使用していたものではないと結論づけた。 即時抗告審で提出された証拠であるが,同審は,A が鉄紺色ズボンをはけたとする確定控訴審の判断を是認したうえ,そこで考慮されている鉄紺色ズボンのウエスト約74.5㎝ないし約76.1㎝という数値とE 鑑定の数値とは大差がないなどとして排斥した。 DNA鑑定(再17冊3650丁以下,同3729丁以下,再20冊4207丁以下)即時抗告審において,5点の衣類と被害者らの着衣に関し,検察官・弁護人双方が推薦する鑑定人によりDNA鑑定が実施されたが,いずれも鑑定不能という結論で終わり,何ら結論に資するところはなかった。 小括以上のとおり,5点の衣 被害者らの着衣に関し,検察官・弁護人双方が推薦する鑑定人によりDNA鑑定が実施されたが,いずれも鑑定不能という結論で終わり,何ら結論に資するところはなかった。 小括以上のとおり,5点の衣類に関し弁護人が提出した証拠は,いずれも排斥された。 なお,弁護人は,その他に,①自白調書を心理学的に分析しA が無罪であることを裏付けているとする平成4年12月9日付けa作成の鑑定書等(再5冊980丁以下,再14冊2974丁以下),②裏口の木戸について,自白調書にあるように上の留め金がかかったままでは通過することはできないとする鑑定書等(再1冊103丁以下,同335丁以下,再2冊598丁以下,再4冊848丁以下,再11冊2623丁,再20冊4101丁以下)複数の新証拠を提出したが,いずれも排斥されている(再12冊2676丁以下,2714丁以下,再20冊4187丁以下,4223丁以下)。 - 17 - イ特別抗告審の判断特別抗告審は,確定判決の証拠構造を分析し,5点の衣類を中心的な証拠と理解し,新証拠のうち,5点の衣類が犯人の着衣であると認められるかどうか及びこれがA のものであると認められるかどうかという点に関するものについては,これらを旧証拠と総合評価することにより,確定判決の認定に合理的な疑いを生じると認められるならば,「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」に当たることを承認している。その上で,この点に関する新旧全証拠を総合しても,A の犯人性を認定する旧証拠の証明力が減殺されたり,情況証拠による犯人性の推認が妨げられるものとは認められないと結論付けた。また,5点の衣類等が捜査機関によりねつ造されたものであるとの主張に対しては,5点の衣類は,その発見時の状態等に照らし長期間みその中につけ込まれていたもので られるものとは認められないと結論付けた。また,5点の衣類等が捜査機関によりねつ造されたものであるとの主張に対しては,5点の衣類は,その発見時の状態等に照らし長期間みその中につけ込まれていたものであることが明らかであったこと,鉄紺色ズボンの端布はA の実家でA の実母立会の下で実施された捜索差押えの際に発見されたものであり,実母がこの端布は事件後に工場の寮から送り返されてきた荷物の中にあったと説明していることを挙げて,弁護人の主張を排斥している。また,裏口の木戸の通過方法等自白の信用性を弾劾する証拠については,確定判決が自白を罪となるべき事実を認定する証拠としておらず,自白を除いた証拠のみによってA の犯人性を認定できるとしているから,そもそも再審事由の主張として失当であるなどと判断し,前記a の鑑定書等については,真実に反する自白等として指摘している点をもってしても,A の自白が信用性に乏しく,これに依拠して事実を認定することができないという限度を超えて,それ自体で積極的に無実であることを示しているとまでいうのは論理に飛躍があるし,この点をおくとしても,本件における客観的証拠による強固な犯人性の推認を妨げる事情とはなり得ないと判断している。 第2 当裁判所の判断- 18 - 1 新証拠等の整理当審において取り調べた証拠は別表記載のとおりである(ただし,人証及び書証の一部については取調べをしていないものも含まれている。)。弁護人が,当審において,刑事訴訟法435条6号所定の無罪を言い渡すべき明らかな証拠として提出したものを,その立証趣旨や内容を考慮して整理すると以下のとおりとなる。なお,検察官が弾劾証拠として提出したものについても,整理した項目毎に対応させて記載しておく。人証は尋問を実施した者のみを記載し, たものを,その立証趣旨や内容を考慮して整理すると以下のとおりとなる。なお,検察官が弾劾証拠として提出したものについても,整理した項目毎に対応させて記載しておく。人証は尋問を実施した者のみを記載し,書面上「報告書」と記載されていても,「捜査報告書」として示すなど,ある程度統一的な表題で示している。括弧内の「弁」は当審における弁護人提出証拠の番号を,「検」は当審における検察官提出証拠の番号を,「職」は職権で取り調べた証拠の番号をそれぞれ表す。 これらの弁護人が提出した証拠のうち,当裁判所が特に検討の対象とした,の5点の衣類等のDNA鑑定に関する証拠,とりわけF 作成の各書面及び供述,並びにの5点の衣類の色に関する証拠,とりわけ各味噌󠄀漬け実験報告書及びJ の供述は,いずれも当審において新規性が認められる証拠である。 5点の衣類等のDNA鑑定に関する証拠・F 作成の鑑定書(平成23年12月20日付け,平成24年4月12日付けのもの),回答書(平成24年6月22日付け,同年9月28日付けのもの),平成24年9月28日付け意見書,平成24年12月20日付け報告書(弁23)・証人F の供述(弁44)・F らが作成した論文の写しとその日本語訳(弁146ないし149)【検察官が提出した弾劾証拠等】・G 作成の鑑定書(平成23年12月21日,平成24年4月13日- 19 - 付けのもの),回答書(平成24年6月22日提出されたもの,同年9月27日付けのもの),平成24年9月27日付け意見書(弁23)・証人G の供述(職1)・b (検5),c (検6),d (検7),K(検8,13)作成の意見書等・捜査報告書(検9ないし12,14ないし19) ・証人G の供述(職1)・b (検5),c (検6),d (検7),K(検8,13)作成の意見書等・捜査報告書(検9ないし12,14ないし19) 5点の衣類の色に関する証拠・味噌󠄀漬け実験報告書(弁2),1年2ヶ月味噌󠄀漬け実験報告書(弁6),再現仕込み味噌󠄀・味噌󠄀漬け実験報告書(弁8)・証人J の供述(弁5)・捜査報告書(検20。弁護人の要請に応じて検察官が提出したものである。)・色見本に関する報告書(弁83)・e の供述調書写し(弁14)【検察官が提出した弾劾証拠】・法医血清学的検査法マニュアル(抜粋)写し(検4)・f の供述調書(検3)・みそ文化誌(抜粋)写し(検2)鉄紺色ズボンのサイズに関する証拠・D 作成の平成19年11月9日付け鑑定書写し(弁1)・証人D の供述(弁3)・S の供述調書写し(弁11)及び供述録取書(弁28)・g の供述調書写し(弁26,27)・任意提出書(弁80),領置調書(弁81)各写し・寸法札(平成25年押第5号1ないし3。弁82)【検察官が提出した弾劾証拠等】- 20 - ・皮製バンドの検証の結果(検1)緑色パンツの製造元に関する証拠・任意提出書(弁85),領置調書(弁86)各写し・ブリーフ3枚(平成25年押第5号4ないし6。弁87ないし89)昭和41年6月及び7月頃の1号タンクの状況等に関する証拠・味噌󠄀工場関係者の供述調書写し(弁32ないし39,90,145)・捜査報告書写し(弁42,43,84,102,155)5点の衣類の捜査経過に関する証拠・S (弁12),e (弁14ないし16),h 弁32ないし39,90,145)・捜査報告書写し(弁42,43,84,102,155)5点の衣類の捜査経過に関する証拠・S (弁12),e (弁14ないし16),h (弁22)の供述調書各写し・i の陳述書(弁21)・捜査報告書写し(弁9,10,13,19,102)・捜索差押許可状請求書(弁17,18),捜索差押調書(弁20)各写しA 供述の信用性等に関する証拠・鑑定書(弁47)・録音テープ(CD-R)(弁45)及び反訳書(弁46)・A の供述調書等写し(弁40,41,48ないし59,64ないし68,70ないし79)・承諾書(弁60,61,69),確認書(弁62),任意提出書(弁63)各写し・本件消火活動に関する関係者の供述調書写し(弁98,100,101,104,105,107,110,111,114,115,117,118,128,139ないし143)・捜査関係事項照会回答書写し(弁91)・裏木戸分析写真集(弁150)- 21 - ・消防活動時のマニュアル写し(弁151ないし154)・捜査報告書等写し(弁92ないし95,97,99,102,103,106,108,109,112,113,116,119ないし127,129,132ないし138,144) 焼けた紙幣に関する証拠・j (弁29),k (弁31)の各陳述書別の犯人の存在をうかがわせる証拠・k の陳述書(弁31)・捜査報告書写し(弁96,123,130ないし132) 2 当裁判所の判断の枠組みと結論刑事訴訟法435条6号にいう「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」とは,確定判決における事実認定につき合理的な疑いをいだ 弁96,123,130ないし132) 2 当裁判所の判断の枠組みと結論刑事訴訟法435条6号にいう「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」とは,確定判決における事実認定につき合理的な疑いをいだかせ,その認定を覆すに足りる蓋然性のある証拠をいうものと解すべきである。そして,この明らかな証拠であるかどうかは,もし当の証拠が当該確定判決を下した裁判所の審理中に提出されていたとするならば,はたしてその確定判決においてなされたような事実認定に到達したであろうかどうかという観点から,当の証拠と他の全証拠とを総合的に評価して判断すべきである(最高裁判所昭和50年5月20日第一小法廷決定・刑集29巻5号177頁)。 当裁判所は,前記見解に沿って弁護人が提出した証拠等を検討した結果,A の犯人性を肯定した確定判決の事実認定に合理的な疑いが生じたと判断した。以下,その理由を説明するが,その判断を大きく左右したのは,確定判決の証拠構造上最も有力な証拠であった5点の衣類に関する新証拠である①DNA鑑定関係の証拠及び②5点の衣類の色に関する証拠であるから,まず,それらについて論じる。次に,新旧証拠を総合評価し,確定判決の認定に合理的な疑いが生じたことを説明する。 3 弁護人が提出した証拠の明白性- 22 - DNA鑑定関係の証拠ア証拠の概要と当事者の主張当裁判所は,鑑定人としてF とG を選任し,①5点の衣類,②被害者着衣及び③A 本人からそれぞれ試料を採取し,DNA鑑定を実施した。5点の衣類については,L 鑑定書添付の写真等をふまえ,血痕の可能性が高いと認められる部分を採取し,そうでない部分を対照試料として採取した。また,被害者着衣については,裁判官,検察官,弁護人,鑑定人で意見交換し,変色状況から血痕と評価しうる をふまえ,血痕の可能性が高いと認められる部分を採取し,そうでない部分を対照試料として採取した。また,被害者着衣については,裁判官,検察官,弁護人,鑑定人で意見交換し,変色状況から血痕と評価しうる部分を採取し,別の場所から対照試料を採取した(鑑定人尋問調書別紙目録,G 反対尋問24頁以下。以下においては,5点の衣類及び被害者着衣の各血痕の可能性が高い部位又は血痕と評価しうる部位から採取した試料を「本件試料」という。)。 両鑑定人は,STR型検査(アイデンテイファイラーキット使用)とミトコンドリア型検査を実施した(ただし,F は,5点の衣類及び被害者着衣に関し,ミトコンドリア型検査を実施していない。)。本件で用いたSTR型検査は,細胞核内のDNA上の16の部位(座位)における特定の塩基配列の繰り返し回数を型(アレル)と評価し,異同識別を行うものである。少量のDNAでも判定を可能とするため,検査対象となる座位を増幅(PCR増幅)し,その後,ゲル状の物質内を通し移動速度の違いで識別する方法(電気泳動)により繰り返し回数を判別する。検査結果は,チャートとして出力されるが,アレルはそこにピークとして現れ,その高さ(RFU)は,PCR増幅後の当該座位のDNA断片量に比例する。人間は,父親に由来する遺伝子と母親に由来する遺伝子をそれぞれ有していることから,両者が重複する場合(ホモ接合)でないかぎり,1座位につき2種類のアレルが検出されることになる(ヘテロ接合)。人のSTR型は,身体全ての組織について共通で,終生不変であるから,1つでも検出- 23 - されたアレルが異なれば,当該DNAが同一人に由来することはありえない(検18添付資料119頁)。他方,ミトコンドリア型検査は,ミトコンドリアDNAの特定の部位の塩基配列を観察し,標準的な配 されたアレルが異なれば,当該DNAが同一人に由来することはありえない(検18添付資料119頁)。他方,ミトコンドリア型検査は,ミトコンドリアDNAの特定の部位の塩基配列を観察し,標準的な配列との相違から異同を判断する方法である。したがって,その型は,「223T-294T-295T」など標準的な配列と異なる塩基を列挙する形で表現される。ミトコンドリアDNAは,母親から遺伝する。また,突然変異等により,1個体が配列の異なるDNAを複数有する場合がある(ヘテロプラスミー)。検査に先立ちPCR増幅を行う点は,STR型検査と同じである。 検査の結果,A 本人のDNA型については,両鑑定でほとんど一致したものの,5点の衣類及び被害者着衣のSTR型については,両鑑定ともアレルが検出されない座位が多数あり,しかも両鑑定の間でアレルが一致した座位は,わずかにとどまった。さらに,検査結果の評価についても,F は,検出されたアレルのうち,そのほとんどが5点の衣類及び被害者着衣の血痕に由来するとの前提に立ち,5点の衣類,被害者着衣及びAの血液から検出された各DNA型の間に矛盾があること等から,5点の衣類の血痕は,被害者らやA のものではないと結論づけた(23年F 鑑定書9頁以下,24年F 鑑定書5頁以下,F 主尋問58頁以下)。他方,G 鑑定では,白半袖シャツ右肩の試料から検出されたミトコンドリア型がA のものとは異なっていたが,G は,STR型検査,ミトコンドリア型検査を問わず,検査で検出されたものは全て外来DNAによる汚染等の疑いがあることから,異同識別はできないとした(23年G 鑑定書6頁以下,G 主尋問13頁,30頁)。 弁護人は,F 鑑定の結果に加え,G のミトコンドリア型検査で検出されたDNAも血痕に由来するものであると主張し, 異同識別はできないとした(23年G 鑑定書6頁以下,G 主尋問13頁,30頁)。 弁護人は,F 鑑定の結果に加え,G のミトコンドリア型検査で検出されたDNAも血痕に由来するものであると主張し,これらの結果によれば,5点の衣類が,実は犯行着衣でもA が着用していたものでもない- 24 - ことが明らかになったと主張する(弁護人DNA意見書5頁以下)。他方,検察官は,判定不能としたG の結論こそが正しく,F は,G と同様に,判定不能と結論づけるべきであったと主張する(検察官DNA意見書2頁以下)。 そこでまず,F 鑑定の信用性について検討したうえ,G の検査結果に対する評価を検討する。 イ F 鑑定の信用性等F の検査手法等F は,5点の衣類及び被害者着衣に関し,血液の付着を確認するため,白半袖シャツ右肩の試料からの抽出液について高速液体クロマトグラフィー・タンデム質量分析器及びガスクロマトグラフィーを用いて成分分析を行った。さらに,本件試料からの抽出液についてメタロアッセイ法により鉄分濃度を検査し,これらの結果から,本件試料に血液が付着していると結論づけた。 また,DNA型検査においては,まず,試料に付着している外来DNAを排除し,血液由来のDNAを抽出するため,抗Hレクチンを加えた生理食塩水に試料を入れて溶出させ,その液を遠心分離にかけて比重の重い赤血球,白血球又はその断片を捕捉しようとした。なお,F は,血液由来のDNAが選択的に回収できるかどうかを予備実験で確かめたとしている(F 主尋問47頁,反対尋問75頁)。そして,アイデンティファイラーキットを用い,PCR増幅回数を28回に設定し,STR型を検査した。検査結果のうち,白半袖シャツ右肩の試料から検出されたアレルとA のものとを比較し,一 尋問75頁)。そして,アイデンティファイラーキットを用い,PCR増幅回数を28回に設定し,STR型を検査した。検査結果のうち,白半袖シャツ右肩の試料から検出されたアレルとA のものとを比較し,一致しないアレルが複数あることから,同部分の血痕は,A のものではないと判断した(24年F 鑑定書)。また,5点の衣類から検出されたアレルが4種類を超えており,かつ被害者着衣から検出されたアレルとの- 25 - 一致が少ないことなどを理由に,5点の衣類には,被害者以外の者の血液が付着していると結論づけた(F 主尋問53頁以下)。 F 鑑定の信用性被害者着衣や5点の衣類という鑑定試料が既に40年以上も前に発見された証拠物であり,しかも,5点の衣類は発見された時点では味噌󠄀漬けにされていた。いずれも鑑定するには条件の悪い劣化試料であり,発見されて以降の管理状況から外来のDNAによる汚染も懸念されるものであった。当裁判所は,これらの点にも十分考慮して検討を進めた結果,F 鑑定は,その手法や型判定等でF が説明することすべてが全面的に信用できるとまで判断していないが,白半袖シャツ右肩の血痕がA のものではない疑いは相当に濃厚であり,5点の衣類の他の部分の血痕が被害者4名のものでない疑いも相当程度認められるという限度では信用できると判断した。その最も大きな理由は,対照試料の検査結果(全くアレルが検出されていない。)等から,検出されたアレルの大部分は血痕に由来する可能性が高いと認められるから,確定判決の認定に従い,5点の衣類の血痕がA や被害者のものであるとすると,白半袖シャツ右肩の試料のアレルとA のアレルの不一致及び5点の衣類全体のアレルと被害者着衣のアレルの不一致がともに顕著であるという検査結果は,到底合理的な説明がつかないことで のであるとすると,白半袖シャツ右肩の試料のアレルとA のアレルの不一致及び5点の衣類全体のアレルと被害者着衣のアレルの不一致がともに顕著であるという検査結果は,到底合理的な説明がつかないことである。以下,詳述する。 a 検出されたアレルは,その大部分が,血痕に由来する可能性が高いこと当裁判所は,次のような理由から前記のとおり判断した。 (a) 対照試料から全くアレルが検出されていないことF 鑑定において,本件試料からは,合計202のアレルが検出されている(なお,サンプルファイル名が同一となっているチャ- 26 - ートが複数枚あり,それぞれで同一のアレルが検出されている場合,念のため,1つのアレルと数えた。不安定な検査結果であるなどの理由で,電気泳動をやり直しただけの可能性があるからである。F反対尋問38頁)。他方,対照試料からは,全くアレルが検出されていない(23年F 鑑定書,6月F 回答書)。血痕の可能性があるとされた試料と,その対照のために選ばれた試料は,発見され保管されてきた状況に特段の差異がないと考えられる。血痕の可能性があるかそうでないかの違いしか考えられない両者の間で,アレルが検出される確率に明らかな差異が発生している以上,検出されたアレルが血痕に由来する又は血痕に由来するものが多数含まれていると考えるのが極めて合理的である。試料が外来のDNAに汚染されており,それが検出されているとすれば,両者の間で著しい差異は生じないはずだからである。この点は,検査結果から見ての判断であり,一種の統計的判断であるが,検察官及びF の手法や結論を批判する専門家からも有効な批判はなされていない。かえって,G は,この点について,F の鑑定方法を前提にしてはいるが,対照試料には,ほとんどDNAは付着 判断であるが,検察官及びF の手法や結論を批判する専門家からも有効な批判はなされていない。かえって,G は,この点について,F の鑑定方法を前提にしてはいるが,対照試料には,ほとんどDNAは付着していなかったと考えられ,F の分析は肯定できるとの見解を示している(G 反対尋問70頁)。 (b) 本件試料には血液が付着している蓋然性が認められること鑑定試料の点をみると,本件試料に血液が付着していると科学的に断定することはできないが,前記試料採取の経過に照らし,常識的に考えて,5点の衣類については,血液付着の可能性が相当高いと認められるし,被害者着衣についても,血液付着の可能性が相当程度認められる(鑑定人尋問調書別紙目録,G 反対尋問24頁以下)。 - 27 - (c) アレルドロップイン(由来不明のアレルが検出される現象)の可能性が低いことF は,DNA鑑定において標準的なキットであるアイデンティファイラーキットを使用したうえ,PCR増幅の回数をキットのマニュアル通り28回に設定している。この場合,アレルドロップインが発生する確率は,皆無とはいえないが,非常に低いことは承認されている(F 反対尋問132頁,G 反対尋問35頁以下,同54頁以下)。したがって,たとえば,ある特定の一つのアレルを問題にする場合は,それがアレルドロップインである可能性を否定することはできないが,ある程度の数のアレルを問題にする場合は,それらがすべてアレルドロップインである可能性はほとんど考え難い。 (d) 外来のDNAによる汚染の可能性が低いこと・血痕として試料に付着したDNAは残存しやすいが,外来のDNAは,時間の経過とともに消滅すること一般に,血痕試料のDNA鑑定についてみた場合,血液に由来するDNAは試料中に長い年月残存 と・血痕として試料に付着したDNAは残存しやすいが,外来のDNAは,時間の経過とともに消滅すること一般に,血痕試料のDNA鑑定についてみた場合,血液に由来するDNAは試料中に長い年月残存する(乾燥した場合はより残存しやすく,凝固した血液であれば,DNAは常温であっても安定的に保たれる。)が,唾液や皮膚片等に由来するDNAは,数ヶ月も経過しないうちに検出されなくなる(G 反対尋問21頁以下,43頁ないし47頁)。したがって,押収後の保管の過程で,仮に,試料を前に話すなどしたことにより付着した唾液や手で触ったことにより付着した皮膚片等があったとしても,唾液や皮膚片等に由来するDNAは何ヶ月という月単位で比較的早期に検出されなくなる。そうすると,本件試料から検出されたDNAは,唾液や皮膚片に由来するものではな- 28 - く,本件に即して考えると,血液由来のものと考えるのが最も合理的である。本件の具体的な経過を見ても,遅くとも,DNA鑑定の請求があった平成23年2月23日以降,同年8月29日の試料採取を経て,同年12月下旬に鑑定結果が提出されるまでの間,外来DNAによる汚染防止の配慮がされていたと推測されるから,検査を実施した時点で,外来DNAが検出可能なレベルで残存していた可能性は高くはない。すなわち,本件では,鑑定の経過やどのような形で残存していたDNAがより長期にわたり検出されやすいかといった観点から見ても,外来DNAによる汚染の可能性は高くないと言えるのである。 ・検査の最中に外来のDNAに汚染される可能性も低いことF は,プロメガ社のマックスウェル16というDNA抽出の過程が機械的に自動でできる方法を用いて(F 主尋問51頁),なるべく検査中の汚染を防いでいる(DNA鑑定に関わるものとしては とF は,プロメガ社のマックスウェル16というDNA抽出の過程が機械的に自動でできる方法を用いて(F 主尋問51頁),なるべく検査中の汚染を防いでいる(DNA鑑定に関わるものとしては当然のことであろうが,F は,自らのDNA型を申告しており,検査中の汚染か否かを判断しやすくもしている。24年F 鑑定書)。 (e) 血液由来DNAの選択的抽出法を用いていることこの方法に関しては,F が,念のためその効果を裏付ける実験報告書(平成24年12月20日付け)を追加的に提出したのに対し,これと矛盾する実験結果や前記実験報告書に対する専門家による反論の意見書,論文等は検察官から提出されていない。もとより,100%血液由来という訳ではないが(F 反対尋問86頁)少なくとも通常の試料の場合には,一定の効果があるものと認めて差し支えない。ただし,この方法は,血球細胞の比重の重さと凝集反応を利用するものであるから,試料が古くて血球細胞に損壊又は状態- 29 - 変化が起きている場合に同様の効果が期待できるか必ずしも明らかではない(弁149・4頁参照)。現に,F による本件試料の検査結果をみても,鉄紺色ズボンやブラジャーで,チャート上およそDNAを選択的に抽出したとは評価できないような座位(99-1【FGA】,95-1【D3S1358】)が認められるといった指摘ができるが,なお,少なくとも,確率的にみて,そのような方法を用いた方が,より血液由来のDNAを抽出する可能性を高めるものとの評価は可能であろう。前例のない特異的な方法(K 意見書18頁,19頁),文献等でも見たことがない方法であり非常に独創的な方法(G 意見書1頁)というだけでは,その効果が完全に否定されることはない。 (f) 小括(アレルと血痕との関 方法(K 意見書18頁,19頁),文献等でも見たことがない方法であり非常に独創的な方法(G 意見書1頁)というだけでは,その効果が完全に否定されることはない。 (f) 小括(アレルと血痕との関係)以上の理由から,検出されたアレルの多くを血痕に由来するとしたF の判断は,基本的に信用できる。もっとも,F の型の判定の仕方には批判もある。そもそも本件試料の一つ一つには,一人分のDNAしか含まれていないという前提をとっていること自体に疑問が投げかけられているところであるが,それ以外にも,①1座位につき3種類以上のアレルが検出された場合ですら,外来DNAによる汚染等により2人以上のDNAが検出されているおそれを十分に考慮していない,②1回の検査でRFU500を超えているのに,別の検査において再現しないアレルについて,アレルドロップインの可能性を完全に排除しているといった批判を受けている(K意見書14ないし18頁)。もとより,チャートから型を判定するについては,鑑定人の専門家としての経験や力量によるところが大きいと思われ,F がDNA鑑定に実績を残している専門家であり,F 自身このような批判に対しては反論しているところではあ- 30 - るが(F 反対尋問34頁以下),それでも,これらの批判には全く理由がないとはいえない。 そこで,当裁判所は,念のため,前記の批判を受け入れた形で検討を加えることとした。すなわち,以下では,1座位に3つ以上のアレルがチャート上検出された試料(99―1【D8S1179】等,100―1B【D8S1179】,95-1【D3S1358】)及びその疑いがある試料(97-1A【TH01】)については,外来DNAによる汚染の疑いがあるという理由により,その試料から検出されたアレルは全ての座位について判 9】,95-1【D3S1358】)及びその疑いがある試料(97-1A【TH01】)については,外来DNAによる汚染の疑いがあるという理由により,その試料から検出されたアレルは全ての座位について判断の基礎から除外する。また,RFU約500を超えるのに再現しないアレル(96-1【D8S1179】「12」,96-1【D16S539】「10」,96-1’【D21S11】「31.2」,96-1’【vWA】「11」,96-1’【D18S51】「27」,97-1B【D8S1179】「13」,97-1B【vWA】「17」,97-1B【TPOX】「8」,97-1B【D18S51】「13」「15」,98-1A【D8S1179】「13」,98-1A【D19S433】「16」「17.2」,98-1A【TH01】「7」,98―1AB【TPOX】「8」,98-1AB【D18S51】「12」「13」,100―1B【D3S1358】「17」,100-1B【D13S317】「8」,93-1【D13S317】「12」)(検察官DNA意見書10頁以下)についても,アレルドロップインの疑いがあるという理由により,当該アレルを除外する。 そのような前提で検討しても,以下に述べるような不一致が明らかである。 b 白半袖シャツ右肩の試料から検出されたアレルとA のアレルの- 31 - 不一致白半袖シャツ右肩(97-1B)から検出されたアレル(アメロゲニンとABO血液型を除く。)は,前記の除外したものを除くと全部で7個であるが,そのうち,5個(【D21S11】「34. 2」,【D16S539】「8」,【D19S433】「15. 2」,【vWA】「14」,【FGA】「22」)はA のものと一致していない(F 主尋問60頁,同添付対照表(111頁))。 しかも,【vW 2」,【D16S539】「8」,【D19S433】「15. 2」,【vWA】「14」,【FGA】「22」)はA のものと一致していない(F 主尋問60頁,同添付対照表(111頁))。 しかも,【vWA】「14」については2回の検査で2回とも検出されている。また,F は,チャートを見ながら,【D21S11】「34.2」,【D16S539】「8」,【FGA】「22」については,信頼できるピークであると説明している(F 主尋問60頁以下)。 この不一致は,極めて重要な事実である。確定判決によれば,白半袖シャツ右肩の試料はA の血液が付着した部位とされるから,そこから検出されたDNA型は,A のDNA型と原則として一致するのが当然であるのに,これほどまでに一致しないというのは,矛盾又は少なくとも不整合である。 c 5点の衣類から検出されたアレルと被害者着衣から検出されたアレルの不整合本件被害者は夫婦とその子2名であるため,被害者のアレルは,各座位につき最大でも4種類となるはずである。したがって,5点の衣類に被害者の血液が付着していると考えた場合,5点の衣類及び被害者着衣からは,A のアレルを除けば,最大でも4種類のアレルしか出現しないはずである(実際には,被害者のDNAが複数の座位でホモ接合である可能性があるため,出現するアレルの種類は,さらに少ない可能性が高い。)。しかし,5点の衣類及び被害- 32 - 者着衣からは,A のアレルを除き5種類以上のアレルが検出されている座位が3つ確認できる。すなわち,【D21S11】において,「24.2」「26」「28」「29」「34.2」「35」の6種類,【D3S1358】において,「13」「14」「16」「17」「18」の5種類,【FGA】において,「20.2」「21」「22」「26」 .2」「26」「28」「29」「34.2」「35」の6種類,【D3S1358】において,「13」「14」「16」「17」「18」の5種類,【FGA】において,「20.2」「21」「22」「26」「28」の5種類がそれぞれ検出されており,これは不整合である(F 主尋問添付対照表(111頁以下)参照)。 d 検査結果の評価以上の結果から,次のようなことがいえる。 (a) 5点の衣類のうち,A の血液が付着しているとされている白半袖シャツ右肩の試料から,5つもA のアレルと一致しないアレルが検出されており,これらすべてが,アレルドロップインである可能性は相当に低く(特に2回の検査で2回とも検出されている【vWA】「14」については一層強くいえる。),また,外来DNAによる汚染とも考え難い。したがって,白半袖シャツに付着していた血液は,A のものではない蓋然性が高まったといえる。 なお,確定判決の認定とは異なるが,白半袖シャツ右肩の試料の血痕が,B型であるN の血液であるため,A のアレルと一致しなかった可能性についても検討しておく。まず,同血痕は,元々ネズミ色スポーツシャツの内側に着用している白半袖シャツの内側から付着しているから,刺突時に浴びた返り血でないことは明らかである。次に,白半袖シャツが他の衣類と麻袋に一緒に入れられたことで,他の衣類に付着していたNの血液が白半袖シャツに移った可能性について検討すると,- 33 - 5点の衣類の血痕は,その多くがA型であって,B型の血液が付着しているのは,緑色パンツのごく一部に限られている(確17冊2348丁以下,確18冊2472丁以下)。このような他の衣類の血痕の状況を前提とすると,他の衣類との接触により白半袖シャツ右肩に比較的鮮明で第1・1で示した ツのごく一部に限られている(確17冊2348丁以下,確18冊2472丁以下)。このような他の衣類の血痕の状況を前提とすると,他の衣類との接触により白半袖シャツ右肩に比較的鮮明で第1・1で示したような2つに分かれた血痕が形成されるとは考えにくい。そうすると,白半袖シャツ右肩の血痕がA のアレルと合致しなかった理由について,N の血液が付着していたからであると理解するのは相当ではない。 (b) 5点の衣類の血痕から検出されたDNAのうち,【D21S11】についての2種類,【D3S1358】と【FGA】についての各1種類の合計4種類のアレルが,被害者のものでも,Aのものでもないことになるが,これらがすべて,アレルドロップインである可能性はやはり相当に低く,また,外来DNAによる汚染とも考え難い。 したがって,5点の衣類には,A のものでも,被害者のものでもない血液が付着していた可能性が相当ある。 (c) 以上によれば,F 鑑定は,5点の衣類の血痕がA のものではないことはもとより,被害者のものでもない可能性を相当程度示すものと評価できる。 e 検察官の主張について以上に対し,検察官は,F の検査結果が全く信用できず,判定不能と結論づけるべきであったと主張し,その理由をるる述べる。 これらの検察官の主張については,これまでの考察の中で既に考慮に入れて検討しているものもあるが,重複にわたる部分も含めて,ここでまとめて検討結果を説明する。 - 34 - (a) 「再現性」がなく,しかもその理由を合理的に説明できないとの主張検察官は,F の検査結果を見ると,複数回の検査で検出されたアレルが少なく,しかも,その中には,RFU500を超える高いピークを記録しているものもあり,これらについては,他方の検査 いとの主張検察官は,F の検査結果を見ると,複数回の検査で検出されたアレルが少なく,しかも,その中には,RFU500を超える高いピークを記録しているものもあり,これらについては,他方の検査でアレルドロップアウト(DNAが微量である等の理由で一部のアレルが全く検出されない現象)が発生していたとの説明も困難であり,アレルドロップインの疑いもあるから,検査結果が全体として信用できないと主張する(検察官DNA意見書5頁以下及び10頁以下)。 しかし,アレルが1度しか検出されなかったからといって,それを有効なものと解釈するのが禁止されているわけではない。 専門的な考察を加えた上,正しいアレルと解釈することが許されており(K 意見書16頁「コンポジット法」,検5添付「DNA鑑定についての指針(2012年)」3の6),G反対尋問36頁,37頁),F がそのような方針で鑑定の結果を導いていることは明らかである。 また,仮に検察官が主張するとおり,RFU500を超え,かつ再現しないことから,当該アレルにアレルドロップインの疑いがあるとしても,その他のアレルについて同じ疑いが同程度に生じることにはならない。そもそもF は,PCRの増幅回数を28回としており,アレルドロップインの可能性は相当低いと考えられるところ,微量な試料等の場合には,アレルドロップアウトが生じて再現しないことの方が頻度としてはずっと多いと考えられる(G 反対尋問35頁,同添付表(74頁))。したがって,アレルドロップインの疑いがあると具体- 35 - 的に指摘されたものを除けば,検出されたアレルを根拠に異同識別を論じることは当然許される。 (b) 型判定の基準が曖昧で恣意的であるとの主張検察官は,①F は,1座位で3種類以上のアレルが検出された試料について を除けば,検出されたアレルを根拠に異同識別を論じることは当然許される。 (b) 型判定の基準が曖昧で恣意的であるとの主張検察官は,①F は,1座位で3種類以上のアレルが検出された試料について,2種類以内の優位なもののみを有効なアレルと判断しているが,「優位」の判断基準が曖昧であるし,そもそも試料からは血痕に由来する1人分のアレルが優位なものとして検出されるはずという前提自体が成り立たないから,判定基準自体に誤りがある(検察官DNA意見書15頁以下,19頁),②1座位において2種類のピークが検出された場合でも,それぞれが別の人物に由来する可能性が認められるのであって,1人のヘテロ接合のDNAに由来すると判定しているのは誤りである(同意見書16頁)などと主張する。 しかし,当裁判所の前記dの評価は,その前提において,1座位で3種類以上のアレルが検出された試料はそもそも検討の対象から排除しており,2種類以内の優位なもののみを有効なアレルと解釈しているわけでもない。1座位につき2種類のアレルが検出された場合でも,それらが1人のヘテロ接合のDNAに由来するという前提にも立っていない。 さらに,検察官は,③有効なアレルと判定すべきRFU50を超えるアレルを無視している(同意見書18頁)などと主張する。この点について,F は,有効なアレルと判定しなかった理由を説明していて(F 反対尋問30頁以下),その内容も専門家の判断として尊重しうるが,ここではあえて,検察官からの指摘にそって検討してみる。有効なアレルと判断すべきとの指摘があったピークの存在する座位は,97-1Aの【D- 36 - 8S1179】と【D21S11】,98-1Aの【D3S1358】,95-1【D19S433】であるが,そのうち,97-1A及び95-1について 存在する座位は,97-1Aの【D- 36 - 8S1179】と【D21S11】,98-1Aの【D3S1358】,95-1【D19S433】であるが,そのうち,97-1A及び95-1については,そもそも検討の対象から外している。また,98-1Aについてみると,確かに検察官が指摘するピークを有効なアレルと判断すると,ネズミ色スポーツシャツA型血痕部分の試料についても,1座位につき3種類以上のアレルが検出されていることになり,外来DNAによる汚染の疑いが生じる。 しかし,この試料から検出されたアレルを全て排除しても,まず,白半袖シャツ右肩の試料のアレルとA のアレルが一致しないことに何ら変わりはない。次に,5点の衣類及び被害者着衣からは,A と同一のアレルを除いて,【D21S11】において,「24.2」「26」「28」「29」「34.2」「35」の6種類,【FGA】において,「20.2」「21」「22」「26」「28」の5種類がそれぞれ検出されている。 これが,夫婦とその子のアレルと解釈することができないことは明らかであり,5点の衣類には,A のものでも,被害者のものでもない血液が付着していた可能性が相当あるとの結論は変わらない。 なお,白半袖シャツA型血痕部分の試料とネズミ色スポーツシャツA型血痕部分で外来DNAによる汚染等が生じているとすれば,元々同じ証拠物に由来する白半袖シャツ右肩部分やネズミ色スポーツシャツAB型血痕部分についても,外来DNAによる汚染等を疑えば疑う余地はあろう。しかし,あくまでも試料は別の部位から採取されているから,その疑いは具体的なものとは到底言えず,そもそも,対照試料からは全くアレルが- 37 - 検出されていないという前提がある以上,そのような抽象的な可能性を問題にするべきではない。 ているから,その疑いは具体的なものとは到底言えず,そもそも,対照試料からは全くアレルが- 37 - 検出されていないという前提がある以上,そのような抽象的な可能性を問題にするべきではない。 (c) G の検査結果と一致しないとの主張検察官は,F とG によるそれぞれのSTR型検査で検出されたアレルがほとんど一致していないことから,F 鑑定は判定不能と結論づけるべきだったとする(検察官DNA意見書3頁以下,G 主尋問44頁)。しかしながら,F は,既述のとおり,血液由来のDNAを選択的に抽出するための処理を行い,PCR増幅回数はアレルドロップインの危険を回避するために推奨されている28回としながら,バナジウムを加える(F 反対尋問117頁以下,弁146,147),マックスウェル16を用いる(F 主尋問51頁)など増幅効果を高めたり,ロボットによりDNAを抽出して余分なものが入るおそれのない方法を採用している。一方,G は,DNAを検出しやすくするために,PCR増幅回数を30回や35回に設定したが,これは,アレルドロップインの危険性が高まるものであるし(G 反対尋問37頁),検出感度の高いミニファイラーを併用したり(G 主尋問4頁以下)しており,その手法が異なっている。本件試料が微量であり,結果が不安定になりうること(「確率効果」という。K 意見書8頁)も併せ考慮すれば,二人の検査結果が異なるからといって,一概に判定不能とすべきではない。F 鑑定は,結論として,アレルドロップアウトが起きている可能性はあるものの,実際に存在しているDNAそれも血液に由来するものを相当程度検出していると評価して良いのに対し,G 鑑定は,何に由来するか不明なアレルドロップインという鑑定結果を大きく間違った方向に導きかね- 38 - いるDNAそれも血液に由来するものを相当程度検出していると評価して良いのに対し,G 鑑定は,何に由来するか不明なアレルドロップインという鑑定結果を大きく間違った方向に導きかね- 38 - ない危険をはらんだ方法を用いている。G が信頼できる個人の型を確認できなかったとしているのは,専門家としての見識であろうが,G が自分の鑑定につきそのような結論を出したからといって,そのことからF の鑑定結果が信用できないということにはならない。 (d) 以上のとおり,検察官の主張には,いずれも理由がない。 ウ G のミトコンドリア型検査に対する評価 概要前述のとおり,G は,ミトコンドリア型検査に関し,判定不能としているのに対し,弁護人は,白半袖シャツ右肩の血痕がA のものでないことを裏付けていると主張している。当裁判所は,G が専門家として判定不能と判断したこと自体は理解できるが,鑑定結果を総体としてみれば,白半袖シャツ右肩の血痕がA のものではない事実を裏付けているとまでは言えないものの,A のものではないとの事実に整合的ではあると評価した。以下,その理由を述べる。 検査の結果①メリヤスシャツ(N の着衣)の血痕部位,②白ワイシャツ(P の着衣)の血痕部位,③②の対照試料,④白メリヤスシャツ(P の着衣)の血痕部位,⑤水色たて縞パンツ(M の着衣)の血痕部位から,それぞれ同一の型(223T-294T-295T)が検出された。また,5点の衣類のうちの緑色パンツA型血痕部位及びブラジャー(O の着衣)の血痕部位からも,類似した型が検出された(前者につき223T―294T-295T-323T/C,後者につき193C/T-223T-294T-295T)。さらに,白半袖シャツ右肩の試料からも別の型(192 位からも,類似した型が検出された(前者につき223T―294T-295T-323T/C,後者につき193C/T-223T-294T-295T)。さらに,白半袖シャツ右肩の試料からも別の型(192C/T-209C-223T-291T-324C/A)が検出された(G は,209の- 39 - 塩基の判定については誤りであった旨証言するが,いずれにしても,前記7つの試料から検出された型とは全く異なる。)。以上の型は,いずれもA 本人(86C/T-223T-234T-291T-316G-362C)の型と一致しない(以上につき,23年G 鑑定書表3及び24年G 鑑定書表3,確4冊1071丁以下,確14冊1661丁以下)。 評価a 223T-294T-295Tの評価ミトコンドリアDNAは母子間で遺伝し,父子間ではその型が異なるのが通常である。ところが,前記のとおり,N 及びPの着衣とM の着衣の双方からこの型が検出されている。しかも,同じものが対照試料からも検出されている。G は,N がMの下着を洗濯したり,取り込んだりすると,N のミトコンドリアDNAがM の下着に付着することもあるとしている(G 主尋問25頁,26頁)が,果たしてそのようなことでM のミトコンドリアDNAが出ずにN のものが出るということになるであろうか。そして,G は,これらは同一人に由来するミトコンドリアDNAが付着した可能性が高く(同27頁),多くの試料に共通して認められる点,対照試料からも出ていること,試料の保管状況をもあげて,全く被害者の家系に関係のない人が,後からそれら全ての試料に触れたという外来DNAによる汚染の可能性が高いと判断している(同29頁)。 b 緑色パンツ及びブラジャーから検出された型 て,全く被害者の家系に関係のない人が,後からそれら全ての試料に触れたという外来DNAによる汚染の可能性が高いと判断している(同29頁)。 b 緑色パンツ及びブラジャーから検出された型の評価緑色パンツ及びブラジャーから検出された型は前記のとおりであるが,これらの型及び前記223T-294T-295T型は,相当類似している。193C/T,323T/Cが,ヘテロプラス- 40 - ミーなのか,DNAの混合(2人以上のミトコンドリアDNAが検出されている状態)なのか(G は混合と見ている。G 主尋問28頁)という問題はあるが,ヘテロプラスミーであれば,193C/T-223T-294T-295T-323T/Cという型の1個人に由来し,DNA量が少ないため,N のメリヤスシャツ等では,変異型の塩基(193T及び323C)が検出されなかっただけと考えられる。逆にDNAの混合というG の判断に従えば,223T-294T-295Tの型を持つ人のDNAがベ-スになって,それに193Cあるいは193T,323Tあるいは323Cを持つ人のDNAが混在している(G 主尋問27頁)と判断することになる。いずれにしても,223T-294T-295T型が外来DNAによる汚染である可能性が非常に高いことからすれば,緑色パンツ及びブラジャーから検出されたものについても外来DNAによる汚染である可能性が相当に高い(緑色パンツについては,G 主尋問27頁)。 c 白半袖シャツ右肩の試料から検出された型の評価では,5点の衣類の中にあった白半袖シャツはどうか。前記の検討結果からすれば,この検査全体で検出された8つの型のうち,7つについては,外来DNAによる汚染である可能性が相当に高いと認められる。そうすると,残りの1つである白半袖 半袖シャツはどうか。前記の検討結果からすれば,この検査全体で検出された8つの型のうち,7つについては,外来DNAによる汚染である可能性が相当に高いと認められる。そうすると,残りの1つである白半袖シャツ右肩の試料から検出された型についても,外来DNAによる汚染の可能性が相当程度認められると言わざるをえない。しかし,検出された型は,前記の7つの試料から検出された型とは全く異なっている。これは,前記の7つの試料と同一の原因で汚染されたものと考えることができない結果である。そうだとすると,この型が,外来のDNAによる汚染ではなく,本来検出されて然るべき,試料上の血痕に- 41 - 由来している可能性も,一定程度認められ,無視できない。 d 小括(G のミトコンドリア型検査)このように白半袖シャツ右肩から検出されたミトコンドリア型は,血痕に由来している可能性も一定程度認められるところ,この型がA の型と一致していないことは明らかである。そうすると,この結果は,白半袖シャツ右肩の血痕がA のものでないという事実と整合的と評価することができる。 なお,念のため付言するに,前記のとおり,G のミトコンドリア型検査の結果においては,外来DNAによる汚染の疑いが相当程度認められるが,そのことからF 鑑定の信用性が減殺されるものではない。なぜならば,ミトコンドリア型検査とSTR型検査とは,原理が異なり,検出感度等も相当異なる(G 主尋問23頁)上,F 鑑定では外来DNAを排除すべく,血液由来のDNAを選択的に抽出するための処理をしており,これも一定の効果をあげていると考えられるからである。 エ小括(DNA鑑定に関する証拠)以上のDNA鑑定を総括する。まず,STR型検査としては, 的に抽出するための処理をしており,これも一定の効果をあげていると考えられるからである。 エ小括(DNA鑑定に関する証拠)以上のDNA鑑定を総括する。まず,STR型検査としては,5点の衣類のうち,確定判決によればA の血痕とされる白半袖シャツ右肩試料(B型付着部)から検出されたDNAは,A に由来するものではない蓋然性が高く,5点の衣類全体を見ても,各試料上の血痕が被害者及びA以外のものである可能性が相当程度あると判断される。F 鑑定は,その限度で信頼できる。一方,G 鑑定は,STR型検査の結果については,確率効果及び検査方法の違い等によりF 鑑定とは異なる結果となった可能性がある。ミトコンドリア型検査においては,そのほとんどが外来DNAによる汚染の可能性が高いが,白半袖シャツ右肩の試料から検出された型は,一概に汚染といえない上,A とは全く異なった型であることは明- 42 - らかである。 この結論は,これだけをとっても,5点の衣類が犯行着衣であり,Aが着用していたものであるという確定判決の認定に相当程度疑いを生じさせるものであり,特にA の犯人性については,大きな疑問を抱かせるものである。 5点の衣類の色に関する証拠ア概要確定判決は,5点の衣類について,犯行着衣であり,昭和41年6月30日の犯行後,同年7月20日の新たに味噌󠄀が仕込まれるまでの間に1号タンク内に残存していた味噌󠄀の中に隠匿され,昭和42年8月31日に発見されるまでの間,その中に入れられていたと認定した(確定判決35丁以下)。 この点に関し,弁護人は,5点の衣類が1年以上味噌󠄀に漬けられていたとした場合の色合い等に着目して3つの実験を実施し,当審において,その結果報告書を提出し,当裁判所は,各実験に関してJ この点に関し,弁護人は,5点の衣類が1年以上味噌󠄀に漬けられていたとした場合の色合い等に着目して3つの実験を実施し,当審において,その結果報告書を提出し,当裁判所は,各実験に関してJ の証人尋問(弁5)を行った。3つの実験報告書の主たる内容は,次のとおりである。 ① 味噌󠄀漬け実験報告書(弁2)5点の衣類に類似した衣類に血液を付着させたうえ,麻袋に入れて赤味噌󠄀とたまりの混合液に約20分間漬け込むなどしたところ,L鑑定書添付の写真と同様の色を再現することができた。 ② 1年2ヶ月味噌󠄀漬け実験報告書(弁6)5点の衣類に類似した衣類等に血液を付着させたうえ,麻袋に入れ,1年2か月間,赤味噌󠄀の中に埋め,重石をのせたところ,元々白い衣類は味噌󠄀とほぼ同色の濃い茶色になり,元々緑等の着色のあるものは,味噌󠄀の影響を受け本来の色が分からないような暗い色になった。また,血痕は,完全に赤みを失って,黒褐色になった。他方,L 鑑定- 43 - 書添付の写真中の5点の衣類をみると,元々白い衣類については薄く着色しているにすぎず,緑色パンツも明らかに緑色と認識できるような色で,血痕も赤みを帯びており,両者は明らかに異なる。 ③ 再現仕込み味噌󠄀・味噌󠄀漬け実験報告書(弁8)検察官推薦の鑑定人であるl 作成の昭和47年8月11日付け鑑定書中の,Q における味噌󠄀の原材料の記載(確25冊229丁)を参考にして,原材料から味噌󠄀を仕込んだ。仕込みから1年半以上経過し,味噌󠄀の発酵がある程度進んだ段階で,5点の衣類に類似した衣類等に血液を付着させ,麻袋に入れたうえ投入し,上から重石をのせた。それからさらに約半年経過した後,前記衣類等を取り出すと,衣類等及び血痕の色は,第2味 ある程度進んだ段階で,5点の衣類に類似した衣類等に血液を付着させ,麻袋に入れたうえ投入し,上から重石をのせた。それからさらに約半年経過した後,前記衣類等を取り出すと,衣類等及び血痕の色は,第2味噌󠄀漬け実験報告書とほぼ同様のものになっており,やはりL 鑑定書添付の写真とは明らかに異なっていた。 さらに,弁護人は,当審において検察官から開示された撮影日時不詳の5点の衣類等の写真30枚(検20)により,前記各実験における色合いとの齟齬がより明確になったと主張している。ちなみに,この写真30枚は,撮影日時不詳であるが,発見後に撮影されたものであることは間違いなく,色は後に述べるように時間が経過すればするほど変化するのであるから,そのようなものとして比較の対照とすることが許されるのは言うまでもない。 弁護人は,以上の証拠から,5点の衣類は,確定判決が認定したように1年以上1号タンクの中に入れられていたものではなく,発見される前の比較的短時間内に味噌󠄀タンク内に埋め込まれたものであることが明らかになったから,犯行着衣ではなかったことが明らかになったと主張する(弁護人最終意見書59頁以下)。 イ検討- 44 - 第1味噌󠄀漬け実験この実験についてみると,味噌󠄀とたまりを用いれば,5点の衣類を短時間で一定の色に染めることができるという限度で信用できることは明らかである。そうである以上,5点の衣類について,味噌󠄀の色が染みこんでいることのみを理由として,長期間1号タンクの中に入っていたと認定することはできないことを明らかにしたものといえる。 第2及び第3味噌󠄀漬け実験当裁判所は,前記各実験は,5点の衣類については,いったん味噌󠄀の中に入れられた後,その上から色が薄かったと推察される多量の を明らかにしたものといえる。 第2及び第3味噌󠄀漬け実験当裁判所は,前記各実験は,5点の衣類については,いったん味噌󠄀の中に入れられた後,その上から色が薄かったと推察される多量の味噌󠄀原料を投入されていること(J 45頁以下),5点の衣類の発見者であるf が,当時の1号タンク内の味噌󠄀の色につき,前記各実験における味噌󠄀の色より薄かったと供述していること(検3)から5点の衣類が1年以上1号タンクの中に漬けられた場合の色合い等を正確に再現しているとまでは認められないと判断した。 しかし,5点の衣類の味噌󠄀による着色の程度及び血痕の色合いを見ると長期間味噌󠄀に漬けられていたにしては不自然であると判断したので,以下,その理由を説明する。 a 味噌󠄀による着色の程度(a) 衣類の色と味噌󠄀の色との関係第2及び第3味噌󠄀漬け実験において,白色の衣類は,いずれも味噌󠄀に似た色に染まっている。この点については,布製の衣類が,麻袋の中に入れられたうえ,長時間にわたり半固体の物体である味噌󠄀の中に漬けられた場合,その物体の色に染まるという一般的な経験則とも合致している。したがって,前記各実験は,この限度では信用できる。 この点,検察官は,1号タンク内の味噌󠄀の水分の量が実験条件- 45 - とは異なり,これによって衣類への味噌󠄀の浸透のしやすさが異なっているため,着色状況が異なる可能性を指摘する(検察官最終意見書32頁)。しかし,発見直後に作成された実況見分調書(確17冊2284丁)においては,発見時の状況について,5点の衣類が入った麻袋は「持上げると焦茶色の汁がたれる」旨記載されており,水分が不足していて5点の衣類まで浸透しなかったと考えることはできない。逆に,味噌󠄀の発酵が進むことで液体であるた ついて,5点の衣類が入った麻袋は「持上げると焦茶色の汁がたれる」旨記載されており,水分が不足していて5点の衣類まで浸透しなかったと考えることはできない。逆に,味噌󠄀の発酵が進むことで液体であるたまりが多量に発生し色が薄くなった可能性についてみると,5点の衣類発見直後の1号タンクの写真(確17冊2311丁,確6冊1953丁)を見ても,たまりで水びたしになっているようには見えない。さらに,たまり自体も色を帯びているため,衣類への着色を薄くする効果は限定的と考えることができ,現に第2味噌󠄀漬け実験報告書13頁においても,たまりの発生が認められるが,これによって衣類の色が大幅に薄くなっているようには見えない。また,検察官は,5点の衣類に加えられた圧力や麻袋の生地が実験で設定された条件とは異なっていた可能性があるため,味噌󠄀が衣類まで浸透しにくかった可能性を指摘する(検察官最終意見書32頁)。しかし,5点の衣類には,昭和41年7月20日及び同年8月3日に味噌󠄀が仕込まれた後は,高さにして約135㎝近くの味噌󠄀(原材料)が乗っていたことになり(1号タンクの深さは約165㎝であるところ,5点の衣類は1号タンクの底から高くても約30㎝程度にしかならない味噌󠄀の中に埋められており,その後,味噌󠄀原材料がタンク一杯まで仕込まれている。R ・確5冊1745丁以下,確17冊2300丁),相当の圧力がかかっていたことは明らかである。また,麻袋は一般的に繊維が粗くて水密性に乏しいものであり,この点の相違が衣類への着色状況に大きく影響するとは考えにくい。検察官の主- 46 - 張には,いずれも理由がない。 以上より,5点の衣類が1年以上にわたり1号タンクの中に入れられていた場合,白い衣類については,周囲の味噌󠄀と似た色になっていたはずであ - 46 - 張には,いずれも理由がない。 以上より,5点の衣類が1年以上にわたり1号タンクの中に入れられていた場合,白い衣類については,周囲の味噌󠄀と似た色になっていたはずであると認められる。 (b) 5点の衣類の色と1号タンク内の味噌󠄀の色との関係5点の衣類の色についてみると,L 鑑定書添付の写真(確17冊2359丁ないし2389丁)及び当審で新たに提出された写真(検20)の中の白ステテコや白半袖シャツは,どちらかというと白に近い色調のようにみえる。発見直後に作成された実況見分調書では「薄茶色」と表現されており(確17冊2285丁以下),L 鑑定書も「黄褐色」と表現している(確17冊2348丁以下)。また,各写真中の緑色パンツについても,明らかに緑色を帯びていると認められ,このことは,発見者であるfの証言(確5冊1696丁以下)や発見直後の実況見分等(確17冊2289丁)により裏付けられている。検察官は,写真の撮影方法により色合いが異なって見えることがあるから,当時の写真を根拠にするのは相当ではないと主張する(23年検察官意見書12頁以下)が,5点の衣類の色合いについては,前記のように,写真だけでなく,目撃者等の供述による裏付けもあることから,検察官の主張には理由がない。 他方,1号タンク内の味噌󠄀の色については,必ずしも明らかではない(白黒写真は存在している(確17冊2311頁以下)。)が,出荷の際に発酵の進んだ味噌󠄀を混入させるなどの措置がとられていた(検3)にせよ,味噌󠄀の中では相対的に色が濃い赤味噌󠄀として出荷されているものであったこと,f も調書中で第3味噌󠄀漬け実験の味噌󠄀の写真と比較して「もう少し」薄いとしか供述して- 47 - いない(検3)ことから,相当程度 が濃い赤味噌󠄀として出荷されているものであったこと,f も調書中で第3味噌󠄀漬け実験の味噌󠄀の写真と比較して「もう少し」薄いとしか供述して- 47 - いない(検3)ことから,相当程度濃い茶色であったと推測される。 (c) 以上のとおり,白ステテコや白半袖シャツの色は,1号タンク内の味噌󠄀の色と比較して相当程度薄かった可能性が高く,1年以上もの間1号タンク内に入れられていたものとしては不自然との印象が強い。 b 血痕の色血痕は,第2及び第3味噌󠄀漬け実験報告書では黒色又は黒褐色に変色していて,赤,又は赤みを帯びた色とは評価できない。 他方,5点の衣類の写真を検討すると,ネズミ色スポーツシャツ以外の5点の衣類に付着した血痕は,いずれも赤みを帯びていると認められ,このことは発見直後の実況見分調書(確17冊2285丁以下)において「赤紫色」,L 鑑定書(確17冊2348丁以下)において「赤色」「濃赤色」「赤褐色」「淡赤褐色」「濃赤褐色」「濃赤紫色」などと表現されていることによって裏付けられる。 この点に関し,検察官は,文献(検4)によれば,血痕の色の変化は,日光を浴びた量によりその速度が大きく変わるところ,5点の衣類は,血液付着後,日光にさらされなかったため,血痕の赤みが失われなかった可能性があると主張する(23年検察官意見書13頁以下)。同文献によれば,血痕は,新鮮なものでは暗赤色であるが,次第に赤褐色,褐色,帯緑褐色,灰色と変色し,その変化は光が作用して生ずるヘモグロビンの化学変化に基づいているところ,直接日光が当たらない場所では,赤色ないしは赤褐色の色調は数週ないし1か月余り保持され,数年を経過して初めて褐色ないし灰褐色になり,極弱い光の下では数週間で灰色になり,強い日光を受けると数時 ころ,直接日光が当たらない場所では,赤色ないしは赤褐色の色調は数週ないし1か月余り保持され,数年を経過して初めて褐色ないし灰褐色になり,極弱い光の下では数週間で灰色になり,強い日光を受けると数時間以内に色調の変化が見られるとされている。すなわち,光の影響のみを考えても,直接日光にさらされない場所であっても,血痕がはっきり赤み- 48 - を帯びている(赤色又は赤褐色の色調)のは,1か月余りである可能性が高いのである。この点だけからも,5点の衣類の血痕の赤みが,1年以上味噌󠄀漬けにされたものとするには,はっきりし過ぎているとの感は否めない。 たしかに,味噌󠄀漬け実験は,味噌󠄀の色自体は正確に再現されたものとはいえないから,5点の衣類が1年以上1号タンクに入れられていたとした場合の変色状況を正確に再現したものとまではいえない。また,5点の衣類が,犯行後直ちに味噌󠄀タンク内に隠匿されたとすれば,夜間の犯行であるから,血痕は光に当たっておらず,味噌󠄀漬け実験では,血液を付着させてから,味噌󠄀に漬けるまでの間,日中室内とはいえ,光には当たっていたと思われるから,その点の違いもあろう。しかし,これらの点を踏まえても,1年以上味噌󠄀タンク内で味噌󠄀漬けにされた状態としてみた場合,やはり,実験結果とはあまりにも違いがあり,血痕の色も不自然との評価は免れない。 なお,検察官は,5点の衣類の血痕が動脈血であった可能性があり,動脈血は静脈血よりも赤みが強いため,時間が経過しても赤みが失われなかった可能性があるとも主張する(検察官最終意見書32頁)が,前記文献は,動脈血と静脈血を区別して論じておらず,この点が変色状況に大きく影響するとも認め難い。 そうすると,前記実験結果等に照らせば,5点の衣類の血痕は,事件の際付着し,1年以上経過したもの 前記文献は,動脈血と静脈血を区別して論じておらず,この点が変色状況に大きく影響するとも認め難い。 そうすると,前記実験結果等に照らせば,5点の衣類の血痕は,事件の際付着し,1年以上経過したものとしては,赤みが強すぎ,不自然であると言わざるを得ず,むしろ前記文献によれば,血痕付着から1か月程度しか経過していない可能性が十分認められる。 ウ小括(5点の衣類の色に関する証拠)以上より,弁護人が提出した前記各証拠によれば,5点の衣類の色は,長期間味噌󠄀の中に入れられたことをうかがわせるものではなく,むしろ,- 49 - 赤味噌󠄀として製造されていた味噌󠄀の色を反映していない可能性が高いうえ,血痕の赤みも強すぎ,血液が付着した後1年以上の間,1号タンクの中に隠匿されていたにしては,不自然なものとなっている。 このような検討は,厳密に数量化できるようなものではないが,大まかな傾向を把握するには十分である。観察方法が主として肉眼によるとはいえ,証明力が必ずしも小さいということにはならない。肉眼で見て明らかに色合いが違えば,誰が見てもそのような判定になるのであり,観察者によって結論が異なることもない。5点の衣類が味噌󠄀タンク内に隠匿された時期という,本件においてはA の犯人性に直結する事情に関する重要な証拠である以上,このような違いを看過することは許されない。 したがって,これらの証拠は,確定判決中,5点の衣類が犯行着衣であり,犯行直後から昭和41年7月20日までの間に隠匿され,その後昭和42年8月31日までの間,1号タンク内に隠匿されたままであったとの認定に一定程度疑いを生じさせるものといえる。 5点の衣類に関する新証拠の総合評価これまで,5点の衣類が,A が犯行に用いた着衣であるとの確定判決の事実認定に関して,新証拠 まであったとの認定に一定程度疑いを生じさせるものといえる。 5点の衣類に関する新証拠の総合評価これまで,5点の衣類が,A が犯行に用いた着衣であるとの確定判決の事実認定に関して,新証拠を検討してきた。 その結果,5点の衣類は,DNA鑑定という科学的な証拠によって,Aの着衣でない蓋然性が高く,犯行着衣でもない可能性が十分あることが判明した。 また,5点の衣類が発見された際の,衣類の色合いや,血痕の色は,各味噌󠄀漬け実験の結果,1年以上味噌󠄀に漬かっていたとするには不自然で,かえって極く短時間でも,発見された当時と同じ状況になる可能性が明らかになった。 端的に言えば,確定判決のうちA が本件の犯人であるとする最も有力な証拠が,A の着用していたものでもなく,犯行に供された着衣でもな- 50 - く,事件から相当期間経過した後,味噌󠄀漬けにされた可能性があるということである。 この事実の意味するところは,極めて重い。5点の衣類は,発見された段階から,本事件に関係する証拠として扱われてきたが,発見された場所,証拠物の点数,形状,血痕の存在等から,それは至極当然であった。 このような証拠が,事件と関係なく事後に作成されたとすれば,証拠が後日ねつ造されたと考えるのが最も合理的であり,現実的には他に考えようがない。そして,このような証拠をねつ造する必要と能力を有するのは,おそらく捜査機関(警察)をおいて外にないと思われる。警察は,A を逮捕した後,連日,深夜にまで及ぶ長期間にわたる取調べを行って自白を獲得しており(m ・確6冊2301丁以下),その捜査手法は,A を有罪と認定した確定判決すら,「適正手続の保障という見地からも,厳しく批判され,反省されなければならない」と評価するほどである(確定判決11丁以下)。 確6冊2301丁以下),その捜査手法は,A を有罪と認定した確定判決すら,「適正手続の保障という見地からも,厳しく批判され,反省されなければならない」と評価するほどである(確定判決11丁以下)。そこには,人権を顧みることなく,A を犯人として厳しく追及する姿勢が顕著であるから,5点の衣類のねつ造が行われたとしても,特段不自然とはいえない。公判においてA が否認に転じたことを受けて,新たに証拠を作り上げたとしても,全く想像できないことではなく,もはや可能性としては否定できないものといえる。この後の総合判断の際にも,この可能性を考慮して検討することが求められるのは当然である。 なお,検察官は,そのようなねつ造は,警察関係者とQ の従業員が意を通じて行わなければならないところ,従業員が証拠のねつ造に加担する理由や必要性はないなどの理由から,現実には到底あり得ない空想の産物だとまで主張している(検察官最終意見書35頁及び36頁)。しかし,5点の衣類を,科学的,あるいは客観的に分析,検討した結果,ねつ造されたものであると疑わざるを得ない状況になっている以上,あり得な- 51 - いなどとしてその可能性を否定することは許されない。警察関係者において,5点の衣類を準備して,自ら又は第三者(この中にはQ の関係者も含まれる。)の協力を得て,1号タンク内にこれを隠匿すれば,あとは従業員がこれを発見するのを待つことで足りるのである。 新旧証拠の総合評価(5点の衣類に関して)以上のように,弁護人が提出した前記各証拠は,確定判決が有罪判決の根拠とした,「5点の衣類は,犯行着衣でありかつA のものである」という認定につき,合理的な疑いを生じさせるべきものである。そこで,確定審,第1次再審及び当審で提出された5点の衣類に関する全証 決の根拠とした,「5点の衣類は,犯行着衣でありかつA のものである」という認定につき,合理的な疑いを生じさせるべきものである。そこで,確定審,第1次再審及び当審で提出された5点の衣類に関する全証拠を総合して再評価した場合,前記疑いが再審を開始するに十分なものであるか,又は疑いが払拭されて確定判決の認定が維持されるか,主要な証拠をとりあげて検討する。 ア 5点の衣類の発見経緯本件は,昭和41年6月30日に発生したが,その頃,1号タンク内の味噌󠄀は,同月から出荷が行われており,約80㎏ないし約160㎏程度(タンク内の高さにして約30㎝程度)まで減少していた(R ・確5冊1745丁,C ・1770丁)。昭和41年7月4日,味噌󠄀工場の1号タンク内の捜索が実施され,捜査員が同タンク内を覗いたが,5点の衣類は発見できなかった(n ・確23冊342丁以下)。同月20日,1号タンクに味噌󠄀の仕込みが行われ,Q 従業員が1号タンク内に入るなどしたが,この時も5点の衣類は発見されなかった(R ・確5冊1746丁以下,C ・確24冊1088丁以下)。ところが,昭和42年8月31日になって,1号タンク(タンクの底から約3.5㎝程度のところ)から5点の衣類が発見された。 以上の発見経緯につき,確定控訴審判決は,不自然ではないと評価し,確定判決の認定を維持した(第1・2イ)。しかし,これは,まっ- 52 - たくあり得ない訳ではないという意味でなら理解できるが,通常の用語としては,やはり不自然と判断するのが相当である。なぜなら,5点の衣類は,昭和41年7月4日及び同年7月20日の時点では1号タンク内に存在せず,発見される直前に投入されたと認める方がはるかに自然だからである。以下,簡潔に述べる。仮に,A が犯人であるとした場合 衣類は,昭和41年7月4日及び同年7月20日の時点では1号タンク内に存在せず,発見される直前に投入されたと認める方がはるかに自然だからである。以下,簡潔に述べる。仮に,A が犯人であるとした場合,A はQ の従業員であり,1号タンクの味噌󠄀の残量や出荷状況等を概ね把握していたはずだから,犯行着衣を1号タンク内に隠匿したら,出荷,清掃,仕込みの際等に発見されてしまう危険があることは容易に認識できたはずである。したがって,1号タンクを隠匿場所に選択すること自体危険を伴うもので,不自然との感は否めないし,しかも,その後昭和41年8月18日に逮捕されるまでの間放置していたという経過も不自然である。捜査機関の眼があってさらなる隠匿行為ができなかったという可能性はあるものの,犯人であれば当然気になっていた証拠物につき,実際に味噌󠄀タンクで作業をする機会もあったA が,何か手を加えた形跡がないのはやはり不自然であろう。また,捜索時に発見されなかったこと自体も若干不自然であるが,仮に捜索時に発見されなかったとすると,5点の衣類は当初から味噌󠄀の中に外から見て分からないように埋められていたと考えるしかない。そうだとすると,A は,単にタンク内に5点の衣類を投棄したのではなく(投棄しただけなら,麻袋内に入れられた5点の衣類が味噌󠄀の中に沈み込んで見えなくなるということはおよそ考え難い。),犯行直後にわざわざ1号タンクの中に入って味噌󠄀の中に衣類を埋め込むという手のかかる作業をしたことになる。これは,着衣を発見されにくいように麻袋に入れ,しかも,味噌󠄀の中に沈め込むという明らかに意図的な隠匿行為であり,その場で始末に困って場当たり的に投棄したと評価することのできない行為である。Aがそこまで考えて隠匿行為をできたのか自体も疑問であるが,もしそ 中に沈め込むという明らかに意図的な隠匿行為であり,その場で始末に困って場当たり的に投棄したと評価することのできない行為である。Aがそこまで考えて隠匿行為をできたのか自体も疑問であるが,もしそ- 53 - こまで考えたのであれば,前記のとおり,1号タンク内に隠しても,その後発見されてしまう危険性をも考えて然るべきであり,より有効な証拠隠滅,又は隠匿方法を考えそうなものである。例えば,放火に際して(確定判決によれば,放火の際はパジャマに着替えていた。),放火に用いたのと同じ油類を掛けて5点の衣類すべてを焼き尽くす方が後の心配が無いといえ,一般に,可燃物であれば,燃やしてしまうことが最も有効な証拠隠滅と考えられていることからも,そのような行動をとる方が自然である。 他方,5点の衣類がねつ造されたものだと理解すると,捜索や味噌󠄀の仕込みの際に発見されなかったのは,至極当然ということになって,全く証拠上の矛盾がない。 5点の衣類の発見経緯は,それらが犯行着衣でもA のものでもないという疑いを強めるものであり,その程度も相当程度のものと評価できる。 イ鉄紺色ズボンのサイズ昭和46年から昭和50年にかけて実施された着装実験において,Aは,鉄紺色ズボンを着用しようとしたが,サイズが小さくてはくことができなかった。 この点に関し,確定控訴審は,鉄紺色ズボンのサイズにつき,寸法札の記載から肥満体用の「B体」であると認定し,A は,事件当時は,鉄紺色ズボンをはくことができたとして,確定判決を維持した(第1・2イ)。 しかし,当審で提出されたS の供述調書写し(弁11),同人の供述録取書(弁28),g の供述調書写し(弁27)の内容によれば,寸法札「B」という記載は,色を示すものであってサイズを示すものでは かし,当審で提出されたS の供述調書写し(弁11),同人の供述録取書(弁28),g の供述調書写し(弁27)の内容によれば,寸法札「B」という記載は,色を示すものであってサイズを示すものではなく,鉄紺色ズボンのサイズは,「Y体4号」であることは明らかだから,確定控訴審のこの点に関する認定は明らかに誤りである。 - 54 - そこで,鉄紺色ズボンがY体4号のズボンであることを前提として,改めてそのウエストについて検討すると,Y体4号のズボンのウエストは,規格としては76㎝であるがプラスマイナス約1㎝の誤差がありうること(S ・確29冊2686丁),鉄紺色ズボンのウエストは約3㎝詰められた形跡があること(h ・確6冊2247丁),確定審の鑑定人l が1度目の鑑定(確29冊2615丁)で鉄紺色ズボンのウエストについて約72.34㎝ないし約73.4㎝と算出し,これを第1次再審において弁護人が推薦した専門家のE が支持している(再16冊3633丁)ことから,鉄紺色ズボンのウエストは,74㎝を上回ることはなかったと認められる。 そこで,A が,昭和41年6月30日の事件当時,このズボンをはけたか否かについて検討すると,A が昭和38年か昭和39年頃に購入し,昭和41年8月に逮捕されるまでの間使用していた皮製バンド(符号113)は,内径が約72.6㎝ないし約73.05㎝となる穴が他の穴より広がっており,多く使用された形跡があること(A ・確8冊2854丁以下,平成25年7月8日付け検証調書5頁),A の体重は,勾留後の昭和41年10月18日時点で,約61㎏であり,その後,昭和49年に至るまで,60㎏前後を推移しているが(健康診査簿・確27冊1611丁,病状回答書・1708丁,身体検査書・1787丁),昭和40年11月 年10月18日時点で,約61㎏であり,その後,昭和49年に至るまで,60㎏前後を推移しているが(健康診査簿・確27冊1611丁,病状回答書・1708丁,身体検査書・1787丁),昭和40年11月の時点では,約55㎏であり(健康診断個人票・符号128),勾留により体重が増加した可能性が否定できないことから,ウエストのサイズからみる限り,はけなかったと断言するまでには至らない。 しかし,A が事件当時使用していた茶格子縞ズボンのウエストが約76㎝ないし約80㎝程度であること(o ・確27冊1753丁,1793丁),ズボンの製造者S が体重55㎏の人物に対しても,ウエスト74㎝のY体3号又は76㎝のY体4号を薦めると証言していること- 55 - (確29冊2687丁)からすれば,事件当時のA にとって最適のズボンのサイズは,74㎝より大きかった可能性が高い。このことからすれば,鉄紺色ズボンがわざわざウエストを詰めて74㎝又はそれより細いウエストにするという処理がされている点は,やはり不自然との感は否めない。 他方,鉄紺色ズボンが後日ねつ造された証拠だとすると,前記A の体格との齟齬を容易に説明できる。 鉄紺色ズボンのサイズは,それがA のものではなかったとの疑いに整合するものである。 ウ白半袖シャツの損傷,ネズミ色スポーツシャツの損傷及びA の右上腕の傷の関係ネズミ色スポーツシャツの右袖には穴が1箇所,白半袖シャツの右袖には穴が2箇所あるところ,昭和46年の時点でA が白半袖シャツとネズミ色スポーツシャツを着用すると,これらの穴及びA の右上腕の傷の位置が重なるわけでもなければ,一直線上に並ぶわけでもなかった(確定控訴審弁護人撮影の写真・確27冊1604丁)。もちろん,このような齟齬が生じた原因として,確定控訴審や即 穴及びA の右上腕の傷の位置が重なるわけでもなければ,一直線上に並ぶわけでもなかった(確定控訴審弁護人撮影の写真・確27冊1604丁)。もちろん,このような齟齬が生じた原因として,確定控訴審や即時抗告審が指摘するように,スポーツシャツと半袖シャツとでは体への密着の程度が異なること,損傷等が,格闘中に衣服が引っ張られるなどした状態で生じた可能性があること,各シャツが味噌󠄀漬けにされたことにより収縮しており,しかもその程度が異なる可能性があること,A の体格が事件当時と比較して変化した可能性があること等様々なものが想定しうるところであり,A が犯行中着用している際に形成されたものとみることが不可能とはいえない。これらの点について考慮していない平成8年7月17日付けD の鑑定書(再14冊3079丁以下)及び同人の証言(弁3)を全面的に信用することはできない。 しかし,ネズミ色スポーツシャツや白半袖シャツが実はねつ造された- 56 - もので,別々に傷を付けられたとすれば,このような食い違いが生じたことはむしろ当然である。 前記損傷等も,5点の衣類が犯行着衣ではないという疑いと整合的であるばかりでなく,むしろ,疑いを強めるものである。 なお,検察官は,D の鑑定書等については,第1次再審請求審において,これを「新証拠」として,同一の再審事由が主張されて既に判断を経ているから,今回の再審請求審で再び再審事由として主張することは,刑事訴訟法447条2項に照らし不適法であると主張する(検察官最終意見書4頁,24頁)。しかし,本件では,第2の1で示したように,弁護人は,新証拠として,5点の衣類等のDNA鑑定に関する証拠や5点の衣類の色に関する証拠を提出しているから,第1次請求審と同一の理由でないことは明らかであり,前記条項によ 第2の1で示したように,弁護人は,新証拠として,5点の衣類等のDNA鑑定に関する証拠や5点の衣類の色に関する証拠を提出しているから,第1次請求審と同一の理由でないことは明らかであり,前記条項による拘束を受けることはない。そして,その拘束を免れる以上,明白性を総合判断するに際し,前の再審請求審で提出された資料を本再審請求審で考慮することは許されると言うべきである。検察官の主張は採用できない。 エ端布本件では,鉄紺色ズボンと切断面が一致する端布がA の実家から発見されている。この証拠の意義は極めて大きい。すなわち,確定判決が,5点の衣類がA のものであるとしている最大の客観的な根拠がこの証拠であることは明らかである。単純に言えば,この端布が鉄紺色スボンと同じ布であることは鑑定によって明らかであり,この端布がA の所有していたものであることが認定されれば,鉄紺色ズボンの所有者がA であり,鉄紺色ズボンと一緒に出てきた5点の衣類はすべてA のものということになるのである。そこで,この端布が,A の所有していたものとするのに疑いは生じないのかを検討する。 A の母であるZ は,昭和42年9月17日付け供述調書にお- 57 - いて,同端布について,「A が逮捕された後,A の他の衣類とともに寮から送られてきた」と供述している(確19冊2704丁以下)が,Zは公判廷で前記事実を否定している(確7冊2362丁)。この供述調書は,確定判決でも信用性が高いとされており,そのような判断がなされたこと自体,それなりの根拠があったといえる。しかし,この供述調書についても,現実に実家でその端布が出てきたと見せられ,警察官から端布がA の実家にあった同居者の全ての衣類と一致しないという事実を突きつけられた(確19冊2707丁)結果,消去 かし,この供述調書についても,現実に実家でその端布が出てきたと見せられ,警察官から端布がA の実家にあった同居者の全ての衣類と一致しないという事実を突きつけられた(確19冊2707丁)結果,消去法により寮から送り返されたA の荷物であると供述したに過ぎないとみる余地がある。また,A の荷物を実家へ発送したQ の従業員らは,いずれも端布を明確に記憶していない(p ・確5冊1823丁以下,q ・同冊1844丁)から,Z の前記供述調書の信用性を特段に高める他の供述は存在しない。 逆に,端布をA のものであると評価した場合,次のような不自然な点も見られる。端布は,通常,ズボンの左右それぞれの裾から切り取られた2枚を1組で保管するものであるが,A の実家から発見されたのは1枚だけであり,もう1枚の所在が不明である。 最も疑問の余地があるのは,端布が収集された経緯についてである。 端布が押収された際の捜索差押許可状の目的物は,バンドと手袋であった。 そして,実際に捜索がなされた際には,かなりいろいろな箇所が捜索され,現にバンドと端布が出てきた箇所は異なっている(確17冊2323丁以下,確20冊2754丁以下)。バンドや端布以外にもA の所有物あるいは関連性の有無が問題になりそうなものもあったと思われ(寮から送り返されてきた荷物は南京袋と段ボール2箱に及んでいた(Z ・確7冊2353丁以下)。),捜査実務においては,関連性があると思われるものはかなり広範に差し押さえるのが通常であろう(特に,本件のような- 58 - 重大事犯にあっては,そのような扱いがなされるであろう。)。しかし,この捜索差押えに関与した警察官が,目的物であったバンドのほかには,一見しただけで関連性が明白とは考えにくい端布を,目的物とされてもいない にあっては,そのような扱いがなされるであろう。)。しかし,この捜索差押えに関与した警察官が,目的物であったバンドのほかには,一見しただけで関連性が明白とは考えにくい端布を,目的物とされてもいないのに押収し,それ以外には何も差し押さえていないのは不自然である。 以上によれば,A の実家から端布が出てきたという事実は,確定判決の認定を支える極めて重要な事実であることは間違いないが,本当に端布がA の実家から出てきたものであるかどうかについては,疑いを入れる余地がある。 そして,5点の衣類についてのねつ造の疑いが現実化している以上,この端布は,5点の衣類といわばセットの証拠といえるから,ねつ造の疑いをも視野に入れて検討せざるを得ない。そうすると,その収集過程等に生じる疑いを払拭できないのであれば,5点の衣類についてのねつ造の疑いを受けて,端布についてのねつ造の疑いも強まったと判断すべきである。 A の実家から端布が出てきたことを装うために,捜索差押えを行ったとすれば,収集過程の不自然さも容易に説明が付く。 そうすると,端布の存在も,5点の衣類がA の着衣ではないという疑いを払拭するほど証明力の強い証拠ではなく,むしろ,この端布自体もねつ造された証拠である疑いが強まったといえる。 オ H の公判供述(第1・2イ)H は,緑色パンツが自社の製品であり,昭和41年8月9日以前に縫製されたものであると供述する(確6冊2261丁以下,2267丁以下)。 しかし,わざわざ血液を付着させるなど手の込んだねつ造がなされている疑いを前提とすると,H が指摘する特徴のみで,緑色パンツがTの商品と断定できるか疑問である。また,仮に緑色パンツが昭和41年8月9日以前にT で縫製された商品だとしても,その後- とすると,H が指摘する特徴のみで,緑色パンツがTの商品と断定できるか疑問である。また,仮に緑色パンツが昭和41年8月9日以前にT で縫製された商品だとしても,その後- 59 - 捜査機関がA のもののように装うことは十分可能である。 H の公判供述は,緑色パンツが犯行着衣であって,昭和41年7月20日以前に1号タンク内に入れられた事実と一応整合的ではあるが,強く裏付けるものとはいえず,ましてや,5点の衣類がA のものではないとの疑いを払拭するものではない。 カ小括以上のとおり,DNA鑑定等の新証拠の存在を前提として,改めて5点の衣類に関係する新旧証拠の再評価を行うと,5点の衣類が犯行着衣及びA のものであることを裏付ける決定的な証拠がないばかりでなく,むしろねつ造されたものであることを示唆する証拠が複数存在することになり,DNA鑑定等の新証拠によって生じた疑いが払拭されるどころか,むしろ補強されたことになる。そうすると,5点の衣類が犯行着衣でもAのものでもないとの疑いが合理的なものであることは明らかであり,到底,排斥することができない。 新旧証拠の総合評価(5点の衣類以外)以上により,確定判決において証拠構造上最も有力な証拠とされた5点の衣類が,新証拠によってA の犯人性を基礎づけるものではなく,むしろねつ造されたものであるとの疑いが生じ,さらに新旧証拠を総合評価しても,その疑いが合理的なものと評価できる以上,再審を開始することに原則として支障はない。しかし,念のため,5点の衣類以外の証拠からAの犯人性が肯定されることがないかを検討しておく。 ア A のパジャマの混合油と血液A のパジャマから,放火に用いられた味噌󠄀工場の混合油と同種の油及びA 以外の者の血液が検出されたとされ の犯人性が肯定されることがないかを検討しておく。 ア A のパジャマの混合油と血液A のパジャマから,放火に用いられた味噌󠄀工場の混合油と同種の油及びA 以外の者の血液が検出されたとされている点について検討する。 混合油の点に関しては,そもそも複数の異なる鑑定結果があり,一義的で明確な結論は言い難い(確15冊1708丁以下,確19冊2575丁以- 60 - 下,確24冊1192丁以下,確25冊2丁以下)。仮に味噌󠄀工場と同種の混合油が付着していたとしても,その量が多量であったという証拠は全く存在しないのであり,A が工場に付設されている寮で生活していたことを併せて考えれば,犯行とは別の機会に工場の混合油が付着したとしても,特段不自然とは言えない。血液についても,広範囲にわたって多量な血液が検出されたわけではなく(確15冊1700丁以下),またA が寮で他の従業員と共同生活を送っていたこと等も考慮すれば,犯行とは別の機会に付着した可能性も十分あり,これらの点からA が犯人であると推認することは到底できない。 イ A がI に渡したとされる紙幣確定判決では,A が,被害品である紙幣を元同僚であるI に預けたとされている。しかし,確定1審で最も有力な根拠とされていたI の文字と紙幣等の文字との同一性を肯定する鑑定結果が,確定控訴審である程度その証明力に疑問が呈され,確定控訴審は,「筆跡鑑定だけからB郵便局で発見された封筒の差出人がI であると断定することはちゅうちょされる」と判示している(確25冊52丁以下,確26冊1282丁以下,確定控訴審判決44丁)。I 自身も公判でその事実を否認し(確4冊1289丁),その旨を肯定する同人の供述調書が作成されているという訳でもない。紙幣は18枚もあり,いずれも左上と右下の紙 丁以下,確定控訴審判決44丁)。I 自身も公判でその事実を否認し(確4冊1289丁),その旨を肯定する同人の供述調書が作成されているという訳でもない。紙幣は18枚もあり,いずれも左上と右下の紙幣の記号番号記載部分が焼けている(確13冊1101丁)が,これ自体相当不自然である。もし,この紙幣が本件と関係のあるもので放火時に燃えたとすれば,全部の紙幣がそのような燃え方をするというのはまず考え難い。 意図的に紙幣の記号番号が分からなくなるように燃やしたものと考えるのが合理的である。I が,そのような作為をしたのであれば,なぜ,Aが犯人である,少なくとも関与していることを明示するような文言を紙幣及び同封した便箋にまで書き付けたのか,その理由が理解できない。2枚- 61 - の紙幣には「X 」と書かれており,便箋の文言はこれらの紙幣をAが所持していたことを認める趣旨であり,なぜ,I がそのようなことを書く必要があるのか全く不明である。もし,A が燃やしたのであれば,通常使用できないような形状にしながら,なぜ全部燃やしてしまわないのか,証拠隠滅のために燃やすなら全部燃やすのが通常であろうから,そのような中途半端な燃やし方はしないであろう。このような証拠があること自体が不自然である。 さらに,DNA鑑定の結果等の新証拠によって5点の衣類がねつ造されたものであるという疑いが生じたことから,この証拠についてもそのような観点からの厳格な検討が必要となる。5点の衣類とこの紙幣入りの封筒は,時期が異なるとはいえ,同じ捜査態勢のもとにあって収集された証拠であるから,同様の疑いも可能性としては否定できない。そして,この紙幣が,本件事件の被害品であることが客観的に明らかにされている訳ではないこと,また,A がI に預けたものであることを直接裏 た証拠であるから,同様の疑いも可能性としては否定できない。そして,この紙幣が,本件事件の被害品であることが客観的に明らかにされている訳ではないこと,また,A がI に預けたものであることを直接裏付けるものでもないことを考慮すれば,前記の証拠物自体の不自然さと相まって,この証拠物が意図的に作り上げられた証拠,すなわちねつ造の疑いさえもあるものと評価せざるを得ない。この紙幣や便箋の存在が,A の犯人性を裏付ける証拠と評価することはできないことは明らかである。 ウ A の左手中指の切創等A の左手中指に切創があったことは事実であるが,それが鋭利な刃物によって形成されたかどうか分からないと供述する医師もいる(確3冊982丁以下)上,鋭利な刃物によって形成されたとの事実を前提としても,それ以上に何らの特殊性も認められない。火災時の消火活動の際も含め,犯行とは全く別の機会に形成された可能性が十分に認められ,A のこの傷についての説明が変転しているとしても,そのことから直ちに,こ- 62 - の切創が犯行時にできたものであると推認することは論理の飛躍があり許されない。A の左手中指の傷は,せいぜい,A が犯人だとして矛盾しない,あるいは整合的であるとの評価が可能であるという程度の事実であり,それ以上に犯行を推認させるものとはいえない。 また,A の右上腕前部の傷痕や右下腿中央から下部前面に打撲擦過痕があり,それが,犯行着衣とされた白半袖シャツや鉄紺色ズボンの相応部分に損傷があることと整合するため,これらが犯行時の受傷であると考えられるとされる点についても,同様の判断となる。すなわち,そのような傷があっても,火災時の消火活動の際も含め,犯行とは全く別の機会に形成された可能性が十分に認められる。特に傷の状況によれば,左手中指の傷以上に る点についても,同様の判断となる。すなわち,そのような傷があっても,火災時の消火活動の際も含め,犯行とは全く別の機会に形成された可能性が十分に認められる。特に傷の状況によれば,左手中指の傷以上に別の機会に形成されたものである可能性が高いといえ,5点の衣類と部位が符合するとの点も,5点の衣類自体が,犯行着衣であると認定することができないことが明らかになった以上,特段の意味を持たないというべきである。したがって,これらの傷があったことは,先に述べた左手中指の切創と比較してもより間接事実としての推認力は弱く,それらの傷自体からA の犯人性を推認することなど到底できるものではない。 エ A の自白調書確定1審は,昭和41年9月9日付け検察官調書(確20冊2712丁)だけは任意性を認め,その余の自白調書は全て証拠排除している。また,判決書の証拠の標目では,証拠として残ったこの1通の自白調書を挙げていない。しかし,確定1審も確定控訴審も自白調書の信用性について相当の頁数を使って検討している(確定判決52丁以下,確定控訴審判決56丁以下)。その結論の大要は,いずれも,一部の記載部分(パジャマを着て刺突の犯行に及んだとする点)を除いて,基本的には内容は合理的又は不合理ではないとしており,確定控訴審においては,前記部分が虚偽- 63 - であるからといって調書全体の信用性を否定するのは相当ではない旨を明示している(確定控訴審判決56丁)。 しかし,確定1審が説示するように,連日の長時間にわたる警察官の執拗な追及の結果自白に至ったことを理由に,警察官に対する供述調書は,全て任意性がないものとして証拠能力を否定されているから(確定判決3丁以下),一連の取調べの過程で作成された前記検察官調書の信用性についても十分な検討が必要である。 そこ 察官に対する供述調書は,全て任意性がないものとして証拠能力を否定されているから(確定判決3丁以下),一連の取調べの過程で作成された前記検察官調書の信用性についても十分な検討が必要である。 そこで検討すると,同調書では,犯行着衣はパジャマであると供述しており,認定事実と明らかに違っている。この点は,自白内容のなかでも相当重要な事実であり,この点だけを除いて同調書の他の部分は信用できるという判断自体,批判の余地がある。確定審は,いずれも,A が,5点の衣類が発見されていないのを幸いに,検察官の推測に便乗したものと考えている(確定判決52丁,確定控訴審判決56丁)が,外形的に見れば,結局は取調官の思うところに従って供述したことになるのであるから,このような重要な部分で客観的な事実との食い違いが明らかになった以上,他の部分についても,同様の危険が存在するはずであり,他の部分が単に外形的客観的な事実と合致していたことをもって信用性を安易に肯定することはやはり問題である。 自白を裏付ける事実として,確定審は,いずれも,同調書中で,Aが,強取した現金のうち約5万円をI に預けたと供述していることを挙げている(確定判決53丁以下,確定控訴審判決57丁)。確かに,同調書は,昭和41年9月9日付けであり,B 郵便局で焼けた札入りの封筒が発見されたのが同月12日であるから,A の供述した内容が後日裏付けられたような外観を呈していることは肯定できる。しかし,先に検討したとおり,B 郵便局で発見された封筒,その中にあった紙幣については,その証明力について多大な疑問があり,捜査機関がねつ造したものとの疑- 64 - いも払拭できない。そうだとすると,A の供述を捜査官が引き出し,それに合致した証拠をねつ造したとして,時間的経過は十分説明が可能であ な疑問があり,捜査機関がねつ造したものとの疑- 64 - いも払拭できない。そうだとすると,A の供述を捜査官が引き出し,それに合致した証拠をねつ造したとして,時間的経過は十分説明が可能である。いずれにしても,A がI に現金を渡したという事実自体が,B郵便局で一部焼けた紙幣等が入った封筒が発見されたことから裏付けられるものではないとの検討結果に従えば,A がI に現金を渡したことが客観的な事実であることを前提として,その事実と合致していることをもって自白の信用性を高めるものと評価することができないことは当然である。その他の自白内容は,客観的な事実と矛盾しないか,せいぜい整合的であるという程度であり,特段に信用性を高める事柄は見出せない。 オ小括このように,5点の衣類以外の証拠は,A の犯人性を推認させる力がもともと限定的又は弱いものしかなく,しかも,DNA鑑定等の新証拠の影響によりその証拠価値がほとんど失われるものもあり,自白調書について念のために検討しても,それ自体証明力が弱く,その他の証拠を総合してもA が犯人であると認定できるものでは全くないことが明らかになった。 4 結論再審の開始以上の検討により,弁護人が提出したDNA鑑定等の新証拠を前提とすると,A の犯人性を根拠付ける最も有力な証拠である5点の衣類が,犯行着衣でもA のものでもないという疑いは十分合理的なものである。念のため検討したその他の証拠については,やはり,A の犯人性を認定できるものは無いことが検証された。 そうすると,DNA鑑定等の新証拠が確定審において提出されていれば,A が有罪との判断に到達していなかったものと認められる。すなわち,弁護人が提出した,5点の衣類等のDNA鑑定に関する証拠,とりわけF- 65 - 作成 が確定審において提出されていれば,A が有罪との判断に到達していなかったものと認められる。すなわち,弁護人が提出した,5点の衣類等のDNA鑑定に関する証拠,とりわけF- 65 - 作成の各書面及び供述,並びに5点の衣類の色に関する証拠,とりわけ各味噌󠄀漬け実験報告書及びJ の供述は,「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」に該当する。 したがって,本件再審請求は理由があるから,刑事訴訟法448条1項,435条6号により本件について再審を開始することとする。 執行停止そして,本件は,確定判決の主文が死刑であるから,死刑が執行され取り返しのつかない事態が生じるのを防止するため,死刑の執行を停止すべきであることは当然であるが,本件では,さらに,拘置(刑法11条2項)の執行も併せて停止するのが相当と判断したので,以下,その理由を補足する。 ア当裁判所は,本件につき,刑事訴訟法435条6号の再審事由があるものと判断した。その再審事由の性質上,再審の審判においては,被告人が無罪となる蓋然性が認められるものである。当裁判所が取り上げた新証拠は,放火に直接関連するものはないが,確定1審以来,放火の点は,それ以前の被害者殺害や財物の取得の問題と一括して考えられており,本件が発覚した経緯等を考慮すれば,放火の点だけが他の犯罪とは別の者による犯行とは考え難いから,結局,放火の点も含めても,Aが無罪になる蓋然性が認められるということになる。 イ刑法11条2項の拘置は,確かに死刑の執行が絞首と定められていることからすれば,死刑自体の執行とはいえない。しかし,拘置は,死刑の執行行為に必然的に付随する前置手続であることは間違いないから,その意味では,死刑執行の一環であり,拘置及び絞首が全体として,刑事訴訟法448条2項の「刑」に含まれ いえない。しかし,拘置は,死刑の執行行為に必然的に付随する前置手続であることは間違いないから,その意味では,死刑執行の一環であり,拘置及び絞首が全体として,刑事訴訟法448条2項の「刑」に含まれると解釈することが可能である。 そうでなければ,懲役刑などとの間に看過しがたい不均衡が生じる。すなわち,仮に無期懲役であっても,無罪の蓋然性があるとして再審開始- 66 - と共にその刑の執行が停止されれば,身柄が解放されて自由になるのに,死刑だと,同じく無罪の蓋然性がある場合(極端な場合としては,真犯人が出現し身代わり犯人であることが客観的にも十分裏付けられ,一見して無罪が明らかなような場合も想定される。)でも,拘置は続き結局は身柄拘束が続かざるを得なくなってしまう。これは,明らかに著しく不均衡である。さらには,この執行停止の中に死刑に伴う拘置が含まれないとすると,再審の審判で無罪の言渡しがあっても,これが確定するまでは拘置が続かざる得ないと解されるおそれがあり,これは通常の公判手続で無罪の言渡しがあれば,勾留されていても身柄が解放されることと比べて不均衡である。 したがって,刑事訴訟法448条2項は,裁判所の裁量により,死刑のみならず,死刑の執行のための拘置の執行をも停止することを許容する趣旨と解すべきである。 ウさらに,本件について拘置の執行を停止するべきか否かを検討する。 もとより,死刑は執行されてしまえば取り返しが付かない結果となるのと比べ,拘置は現状を維持するという面が強いから,当然裁量権行使の基準も異なると考えられる。拘置の執行停止の場合,身柄を保全する必要性という観点からの検討も必要となろう。 当裁判所は,そのような観点を含めて検討しても,拘置の執行をも停止するのが相当と判断した。 その理由の第1としては,現状に 行停止の場合,身柄を保全する必要性という観点からの検討も必要となろう。 当裁判所は,そのような観点を含めて検討しても,拘置の執行をも停止するのが相当と判断した。 その理由の第1としては,現状において,再審の審判で無罪になる相当程度の蓋然性が認められることである。当裁判所が検討してきた弁護人が当審において提出した証拠,とりわけF のDNA鑑定については,当裁判所は,複数の専門家による批判を念頭に入れ,批判にある程度の合理性がある場合にはその批判を受け入れた前提で検討を進めたものである。 そして,その検討結果は,確定判決が最も重視した5点の衣類が,A の- 67 - 犯人性を基礎付けるものでないことが明らかになったばかりか,ねつ造されたものではないかとの疑いを相当程度生じさせるものである。各味噌󠄀漬け実験の結果や5点の衣類の発見経緯等これを補強するような証拠や事情が複数存在することからすれば,現時点で,再審の審判においてA に無罪判決が下される相当程度の蓋然性が認められる。 第2の理由は,A が極めて長期間死刑の恐怖の下で身柄を拘束されてきたことである。A は,昭和43年確定1審で死刑判決を受けて以来45年以上身柄を拘束され続けた。控訴,上告をするもいずれも棄却され,昭和55年に死刑判決が確定して以来,33年以上も死刑執行の恐怖にさらされながら施設内生活を続けてきた。既に78歳と相当高齢で精神状態も万全ではない。無罪の蓋然性が認められるのに,このような過酷な状況に置かれてきたことは,これ以上の身柄拘束を正当化できなくさせる事情である。 第3の理由は,本件では,5点の衣類という最も重要な証拠が捜査機関によってねつ造された疑いが相当程度あり,その他にも自白調書のほとんどが任意性を否定されたり,B 郵便局で発見された紙幣入りの封筒 第3の理由は,本件では,5点の衣類という最も重要な証拠が捜査機関によってねつ造された疑いが相当程度あり,その他にも自白調書のほとんどが任意性を否定されたり,B 郵便局で発見された紙幣入りの封筒もねつ造の疑いを払拭できないなど,捜査機関の違法,不当な捜査が存在し,又は疑われる。国家機関が無実の個人を陥れ,45年以上にわたり身体を拘束し続けたことになり,刑事司法の理念からは到底耐え難いことといわなければならない。 他面,前述したA の年齢や精神状態等を考慮すると,実効性のある手段を用いて逃走を図るおそれは相当低いと考えられる。 以上によれば,本件が4名の尊い命を奪うなどした極めて重大な事案であり,A に対して死刑判決が確定していることを考慮しても,Aに対する拘置をこれ以上継続することは,耐え難いほど正義に反する状況にあると言わざるを得ない。一刻も早くA の身柄を解放すべきであ- 68 - る。 結語したがって,本件については,再審を開始するとともに,刑事訴訟法448条2項によりA に対する死刑及び拘置の執行を停止することとする。 平成26年3月27日静岡地方裁判所刑事第1部裁判長裁判官村山浩昭 裁判官大村陽一 裁判官満田智彦 (別表) 申出日は全て平成弁護人提出分番号標目立証趣旨等申出日作成年月日供述者・作成者備考 1 鑑定書写し本件ズボンがA のものではないこと20.4.25H19.11.9 D再審請求書添付 2 味噌󠄀漬け実験報告書5点の衣類が1年以上味噌󠄀漬けにされたものではないこと20.4.25H20.4.14 小川秀世他1名再審請求書添付 3 証人 D証人作成の書面 審請求書添付 2 味噌󠄀漬け実験報告書5点の衣類が1年以上味噌󠄀漬けにされたものではないこと20.4.25H20.4.14 小川秀世他1名再審請求書添付 3 証人 D証人作成の書面の真正及びその内容21.7.2425.5.30 決定25.7.26 尋問 4 証人 E証人作成の平成12年6月6日付け鑑定書の作成の真正及びその内容21.7.24証人 J番号2の書面の真正及びその内容21.7.2425.2.26 立証趣旨の追加番号6の書面及び番号8の書面の作成の真正及びその内容25.3.4 決定25.5.24 尋問 6 1年2ヶ月味噌󠄀漬け実験報告書5点の衣類が1年以上味噌󠄀漬けにされたものでないこと21.12.7H21.9.19 小川秀世他1名 7 証人 r昭和42年9月12日にA の実家を捜索した際,ズボンの共布に関して工作をした疑いがあること21.12.822.5.26付け上申書あり 再現仕込み味噌󠄀・味噌󠄀漬け実験報告書5点の衣類が1年以上味噌󠄀漬けにされたものでないこと22.11.26H22.9.23 小川秀世他1名 9 捜査報告書写し本件ズボンの製造元,縫製元,販売先等の捜査の内容及び警察が同一生地のサンプルを入手した事実等22.12.3S42.9.6 (員)t捜査報告書写し同上22.12.3S42.9.16 (員)u 11 員写し本件ズボンがs で販売されたもので,「B」は生地の種類を意味している事実及び警察が同一生地のサンプルを再度入手した事実等22.12.3S42.9.18 S 12 員写し本件ズボンと共布及び9月18日のサンプルが同一の生地である事実等22.12.3S42.9.20 S 地のサンプルを再度入手した事実等22.12.3S42.9.18 S 12 員写し本件ズボンと共布及び9月18日のサンプルが同一の生地である事実等22.12.3S42.9.20 S 13 捜査報告書写し5点の衣類の所有者に関する捜査の状況22.12.3S43.2.5 (員)v 14 員写し5点の衣類に似た衣類をA が持っていたなどと供述している事実及びその際に示されたカラー写真22.12.3S42.9.2 e員写し5点の衣類に似た衣類をA が持っていたなどと供述している事実22.12.3S42.9.8 e- 69 -番号標目立証趣旨等申出日作成年月日供述者・作成者備考 16 員写し5点の衣類のスポーツシャツに似た衣類をA が持っていたなどと供述している事実及びそのシャツをA が着用している写真22.12.3S42.9.13 e 捜索差押許可状請求書(3ページ)写し手袋・バンドのw 工場等の令状請求の内容S42.9.10 (員)ア 手袋・バンドのA の実家の令状請求の内容22.12.3S42.9.10 (員)ア 19 捜査報告書写し令状請求書に添付されたブリーフとスポーツシャツがA のものであるとする捜査結果S42.9.10 (員)mw 工場等より証拠品が発見されなかった事実22.12.3S42.9.11 21 陳述書1993年10月,x 弁護士らとともにr と面談し,昭和42年9月12日のy のAの実家の捜索のときの状況を聴取した内容22.12.3H22.11.19 i 22 員写しz が,本件ズボンに類似するズボンを扱っている事 昭和42年9月12日のy のAの実家の捜索のときの状況を聴取した内容22.12.3H22.11.19 i 22 員写しz が,本件ズボンに類似するズボンを扱っている事実及びズボンを販売する際の裾上げと腰周りの縮めの縫い方等23.1.27S42.9.14 h- 70 -番号立証趣旨等申出日作成年月日備考 23 衣類に付着のDNA型及びAのDNA型23.2.2323.8.23 衣類についての鑑定決定23.8.29 鑑定人尋問23.12.22鑑定書提出24.2.10 A についての鑑定決定24.3.1 鑑定人尋問24.4.13及び15 鑑定書提出24.5.21 裁判所より鑑定人両名に対して求釈明書送付24.6.22 両鑑定人より求釈明に対する回答書提出24.7.26 裁判所より鑑定人両名に対し追加求釈明書送付24.9.27及び28 両鑑定人より追加求釈明に対する回答書及び相手方鑑定に対する意見書提出24.12.21F より予備実験についての報告書提出 24 証人 S本件ズボンに付けられていた布片(寸法札)に書かれた「B」の記載は色を意味する記号である事実23.2.24証人 j23.2.24 26 員写し23.2.24S42.9.18 g員写し本件ズボンの体格の型はY体であること及び本件ズボンと共布及び9月18日のサンプル(Sから領置したもの)が同一の生地であること等23.2.24g 28 供述録取書23.2.24H23.1.22 S- 71 -番号標目立証趣旨等申出日作成年月日供述者・作成者備考 29 陳述書①焼けた札5万700円等同封の郵便物に関し 28 供述録取書23.2.24H23.1.22 S- 71 -番号標目立証趣旨等申出日作成年月日供述者・作成者備考 29 陳述書①焼けた札5万700円等同封の郵便物に関して事情聴取を受けた事実はないこと②前記郵便物について,当時,B 郵便局内で話題になった事実はないこと③前記郵便物に関する捜査状況を記載した昭和41年9月13日付け司法警察員m 作成の捜査報告書には事実に反する内容が記載されていること23.2.24H23.1.28 j証人 kk 作成の陳述書(番号31)に記載の事実に信用性があること23.2.25 31 陳述書①黒皮財布に関して,バス運転手に届けてから警察署で引き渡されるまで捜査機関から事情聴取を受けたことはないこと②前記財布の引き渡し時,一人で警察署に行ったこと③前記財布及び在中の現金は現在も捜査機関が保有している可能性が高いこと④昭和46年4月26日付け検察官戸叶義雄作成の捜査報告書には事実に反する内容が記載されていること23.2.25H23.1.14 k 32 員写し事件直後の1号タンクの味噌󠄀の量,A の担当作業についての供述の変遷24.5.11S42.9.2 R 33 員写し事件直後の1号タンクの味噌󠄀の量,A の担当作業についての供述の変遷24.5.11S42.9.7 R 34 巡写し事件直後の1号タンクの味噌󠄀の量についての供述の変遷24.5.11S42.9.2 ウウは署名ではウが3つ巡写し事件直後の1号タンクの味噌󠄀の量,A の担当作業についての供述の変遷24.5.11S42.9.2 C 36 員写し事件直後の1号タンクの味噌󠄀の量,A の担当作業についての供述 し事件直後の1号タンクの味噌󠄀の量,A の担当作業についての供述の変遷24.5.11S42.9.2 C 36 員写し事件直後の1号タンクの味噌󠄀の量,A の担当作業についての供述の変遷24.5.11S42.9.7 C 37 員写し事件直後のA の担当作業についての供述の変遷24.5.11S42.9.7 f 38 員写し事件直後のA の担当作業についての供述の変遷24.5.11S42.9.2 エ 39 員写し事件直後のA の担当作業についての供述の変遷24.5.11S42.9.7 エ員写しA の事件直後の供述調書に記載されている内容24.5.11S41.7.4 A 41 検写しA の否認の供述調書に記載されている内容24.5.11A- 72 -番号標目立証趣旨等申出日作成年月日備考 42 1号から6号各タンクの味噌󠄀の仕込み状況24.5.11S42.9.10 (員)r 43 報告書(4丁)写し各タンクの各月別仕込量残量24.5.11S42.9.10 44 証人 F24.7.924.7.26 決定24.11.2尋問続行24.12.26 尋問終了録音テープ(CD-R)A の取調べ状況24.9.25S41.9.21 (員)オ 46 録音テープ反訳書S41.9.21のA の取調べ状況を収録したテープの内容24.9.25H24.4.1 カ A 事件についての鑑定書録音テープに収録された自白に関する心理学的供述分析録音テープのA の自白は真の自白とはいえず,むしろ無実の者が虚偽の自白をしているものであることH24.8.1 a 48 弁解録取書写し否認調書の内容24.9.25S41 供述分析録音テープのA の自白は真の自白とはいえず,むしろ無実の者が虚偽の自白をしているものであることH24.8.1 a 48 弁解録取書写し否認調書の内容24.9.25S41.8.18 A 49 員写し否認調書の内容24.9.25S41.8.20 A否認調書の内容24.9.25S41.8.21 51 検写し否認調書の内容S41.8.21 A 52 員写し否認調書の内容24.9.25S41.8.27 A 53 員(2丁のもの)写し否認調書の内容24.9.25S41.8.28 A 54 員(4丁のもの)写し否認調書の内容24.9.25S41.8.28 A員写し否認調書の内容24.9.25S41.8.29 A 56 員写し否認調書の内容24.9.25S41.8.30 A 57 員写し否認調書の内容24.9.25S41.8.31 A 58 検写し否認調書の内容24.9.25S41.8.31 A 59 員写し否認調書の内容24.9.25S41.9.3 A承諾書写し承諾書の内容24.9.25S41.9.6 A 61 承諾書写し承諾書の内容24.9.25S41.9.12 A 62 確認書写し確認書の内容24.9.25S41.9.13 A 63 任意提出書写し任意提出書の内容24.9.25S41.9.13 A 64 員写し自白調書の内容24.9.25S41.9.18 A 65 員写し自白調書の内容24.9.25S41.9.19 A 66 員(13丁のもの)写し自白調書の内容24.9.25S41.9.20 A 67 員(9丁のもの)写し自白調書の内容24.9.25S41.9.20 A 68 員写し 41.9.19 A 66 員(13丁のもの)写し自白調書の内容24.9.25S41.9.20 A 67 員(9丁のもの)写し自白調書の内容24.9.25S41.9.20 A 68 員写し自白調書の内容24.9.25S41.9.21 A 69 承諾書写し承諾書の内容24.9.25S41.9.21 A 70 員写し自白調書の内容24.9.25S41.9.25 A 員(「四私が奥さんから」で始まるもの)写し自白調書の内容24.9.25S41.9.26 A 員(「四私が会社の」で始まるもの)写し自白調書の内容24.9.25S41.9.26 A 73 員(9丁のもの)写し自白調書の内容24.9.25S41.9.27 A 74 員(8丁のもの)写し自白調書の内容24.9.25S41.9.27 A 75 員(7丁のもの)写し自白調書の内容24.9.25S41.9.28 A 76 員(5丁のもの)写し自白調書の内容24.9.25S41.9.28 A- 73 -番号標目立証趣旨等申出日作成年月日供述者・作成者備考 77 員(7丁のもの)写し自白調書の内容24.9.25S41.9.29 A 78 員(5丁のもの)写し自白調書の内容24.9.25S41.9.29 A 79 員写し自白調書の内容24.9.25S41.9.30 A 80 任写しS 氏が5点の衣類に含まれていた鉄紺色ズボンについていたのと同様の寸法札を任意提出している事実25.3.1S42.9.18 S 81 領写し捜査機関が上記寸法札を領置している事実25.3.1S42.9.18 (員)t 82 寸法札(3枚)この寸法札には,本件ズボン上の寸法札で「B」との記載がある項目について, 81 領写し捜査機関が上記寸法札を領置している事実25.3.1S42.9.18 (員)t 82 寸法札(3枚)この寸法札には,本件ズボン上の寸法札で「B」との記載がある項目について,「色」とはっきり記載されており,捜査機関が「B」という記載が型を記したものではなく色を記したものであることの客観的証拠を有していた事実25.3.1イ地検昭和41年領第1073号符号31525.5.24 検察庁より提出平成25年押第5号符号1ないし3 83 色見本に関する報告書味噌󠄀漬け実験に使用された色見本25.7.5H25.7.5 小川秀世 84 報告書(6丁のもの)写し事件発生当時は,1号タンクは空であり,昭和41年6月20日以降仕込みまで味噌󠄀を出すこともなかったこと25.11.13S41.9.10 (員)r作成年月日は昭和42年9月10日の誤記 85 任写しT で製造されていたムーンライトブリーフと5点の衣類の緑色ブリーフとは色や製法が異なる事実25.11.13S42.9.18 H 86 領写し同上25.11.13S42.9.18 (巡)キ 87 ブリーフ(ムーンライト印ワサビ色)同上25.11.13イ地検昭和41年領第1073号符号30325.12.16 検察庁より提出平成25年押第5号符号4 88 ブリーフ(ムーンライト印若草色)同上25.11.13イ地検昭和41年領第1073号符号30425.12.16 検察庁より提出平成25年押第5号符号5 89 ブリーフ(ムーンライト印グリーン色)同上25.11.13イ地検昭和41年領第1073号符号30525.12.16 検察庁より提出平成25年押第5号符号6 90 員写 号5 89 ブリーフ(ムーンライト印グリーン色)同上25.11.13イ地検昭和41年領第1073号符号30525.12.16 検察庁より提出平成25年押第5号符号6 90 員写しタンクに返品味噌󠄀を入れるためには,その前に当該タンクを空にする作業を行う事実25.11.13S42.9.2 ク 捜査関係事項の照会について(回答)写し本件火災が午前2時32分に鎮火している事実25.11.13H22.7.13 ケ- 74 -番号標目立証趣旨等申出日作成年月日供述者・作成者備考 92 捜査報告書写し事件直後の従業員に対する聞き取り状況,事件直前の状況がAの供述とほぼ合致している事実,q 及びC が自分の後ろからA がついてきたと述べている事実,コが火災直後にパジャマ姿のA を目撃した事実,その他A が火災の鎮火前に物干し台で作業をしていた事実。更に,警察官が事件直後からA が「ボクシングをやっていた」「妻子と別れた」「以前はバーテンをしていた」ということを理由にA に疑いを向けていた事実25.11.13S41.6.30捜査員捜一シ部長他1名 93 捜査報告書写し事件直後の従業員に対する聞き取り状況,事件直前の状況がAの供述とほぼ合致している事実,q が自分の後ろからA がついてきたと述べている事実,コが火災直後にパジャマ姿のA を目撃した事実,その他A が火災の鎮火前に物干し台で作業をしていた事実25.11.13S41.6.30 捜査員ス部長他1名 94 捜査報告書写し事件直後のC に対する聞き取り状況。当直時の状況及び消火作業の様子。同人が事件直後に していた事実25.11.13S41.6.30 捜査員ス部長他1名 94 捜査報告書写し事件直後のC に対する聞き取り状況。当直時の状況及び消火作業の様子。同人が事件直後には「夢中になって消火の手伝いをしたが良く覚えていない」と述べている事実25.11.13S41.6.30 (員)ス 95 捜査報告書写し事件直後の従業員に対する聞き取り状況。q が消火作業の際手に怪我をしている事実25.11.13S41.7.1 (員)セ(巡)ソ 96 捜査報告書写し事件当夜の23時過ぎ頃,サの妻が,白Yシャツを着た男が被害者宅付近を東から南へ歩いて行っているのを目撃した事実。その後も,社長宅前でハイヤーを目撃している事実25.11.13S41.7.1 (員)セ(巡)タ 97 捜査報告書写し消火作業の内容。特に,A が火事の鎮火前に物干し台のところで消火作業に当たっている事実25.11.13S41.7.9 捜査員チ他1名 98 員写し消火作業の内容。q が当初の供述を変遷させて,サイレン直後にはA に気が付かなかったと述べている事実。従業員らが自家用ホースを使用して消火活動に当たっている事実。A が火事の鎮火前に物干し台のところで消火作業に当たっている事実25.11.13S41.7.11 q- 75 -番号標目立証趣旨等申出日作成年月日供述者・作成者備考 99 捜査報告書写し消火作業の内容。q が当初の供述を変遷させて,サイレン直後にはA に気が付かなかったと述べている事実。従業員らが自家用ホースを使用して消火活動に当たっている事実。A が火事の鎮火前に物干し台のところで消火作業に当たっている事 ,サイレン直後にはA に気が付かなかったと述べている事実。従業員らが自家用ホースを使用して消火活動に当たっている事実。A が火事の鎮火前に物干し台のところで消火作業に当たっている事実25.11.13S41.7.11 捜査員チ他1名 100 員写し消火作業の内容。q が当初の供述を変遷させて,サイレン直後にはA に気が付かなかったと述べている事実。従業員らが自家用ホースを使用して消火活動に当たっている事実。A が火事の鎮火前に物干し台のところで消火作業に当たっている事実25.11.13S41.8.22 q 101 員写し消火作業の内容。q が当初の供述を変遷させて,サイレン直後にはA に気が付かなかったと述べている事実。更に土蔵を破る際にもA と話していないとの供述に変遷している事実25.11.13S41.8.29 q 102 捜査報告書写しA の仕事は「みそすり」であること。A が火事の鎮火前に物干し台のところで消火作業に当たっている事実25.11.13S41.7.3 捜査員シ部長他1名 103 捜査報告書写し事件当夜の被害者宅の様子について,いつもと異なり静かだった事実。消火作業の内容。A が火事の鎮火前に物干し台のところで消火作業に当たっている事実。A だけでなく,q も消火作業により手に傷を負っている事実。コが事件後,Aに変わった点は見受けられなかったと述べている事実25.11.13S41.7.7 捜査員u他1名 104 員写し火災発生時の状況25.11.13S41.7.16 コ 105 員写し消火作業の内容。従業員らが自家用ホースで消火作業をした事実。物干し台の消火作業の 員u他1名 104 員写し火災発生時の状況25.11.13S41.7.16 コ 105 員写し消火作業の内容。従業員らが自家用ホースで消火作業をした事実。物干し台の消火作業の状況がA の供述とほぼ一致している事実25.11.13S41.7.17 C 捜査メモ(「昭和四十一年八月十一日」で始まる文書)写し消火作業の内容。従業員らが自家用ホースで消火作業をした事実。物干し台の消火作業の状況がA の供述とほぼ一致している事実。A が作業をしていた事実25.11.13S41.8.11 不明証拠説明書上は「報告書」 107 員写し消火作業の内容。従業員らが自家用ホースで消火作業をした事実。物干し台の消火作業の状況がA の供述とほぼ一致している事実。A が火事の鎮火前に物干し台のところで消火作業に当たっている事実25.11.13S41.8.22 C- 76 -番号標目立証趣旨等申出日作成年月日供述者・作成者備考 108 捜査報告書写し消火作業の内容。従業員らが自家用ホースで消火作業をした事実。A が火事の鎮火前に物干し台のところで消火作業に当たっている事実25.11.13S41.8.22 捜査員ト部長 109 捜査報告書写し事件当夜の被害者宅の様子がいつもと異なり静かだった事実。消火作業の内容。従業員らが自家用ホースで消火作業をした事実。 A が火事の鎮火前に物干し台のところで消火作業に当たっている事実25.11.13S41.7.10 捜査員u他1名 110 検写し消火作業の内容。従業員らが自家用ホースで消火作業をした事実。A が火事の鎮火前に物干し台のところで消火作業に当たっている事実25.11.13S4 査員u他1名 110 検写し消火作業の内容。従業員らが自家用ホースで消火作業をした事実。A が火事の鎮火前に物干し台のところで消火作業に当たっている事実25.11.13S41.9.2 ナ 111 員写し消火作業の内容。従業員らが自家用ホースで消火作業をした事実25.11.13S41.9.5 ナ 112 捜査報告書写し消火作業の内容。従業員らが自家用ホースで消火作業をした事実。A が火事の鎮火前に物干し台のところで消火作業に当たっている事実25.11.13S41.7.12 捜査員ニ部長 113 捜査報告書写し消火作業の内容。A が火事の鎮火前に物干し台のところで消火作業に当たっている事実25.11.13S41.8.8 捜査員チ部長 114 員写し消火作業の内容。A が火事の鎮火前に物干し台のところで消火作業に当たっている事実25.11.13S41.8.20 ウウは署名ではウが3つ 115 員写し消火作業の内容。A が火事の鎮火前に物干し台のところで消火作業に当たっている事実25.11.13S41.8.29 ウウは署名ではウが3つ 116 捜査報告書写し消火作業の内容。ツが火事の直後に裏口でパジャマ姿のA を目撃している事実。A が火事の鎮火前に物干し台のところで消火作業に当たっている事実25.11.13S41.7.6 捜査員チ他1名落丁あり 117 員写し消火作業の内容。ツが2時30分前にパジャマ姿のA が専務宅から工場に向かっているのを目撃している事実。A が火事の鎮火前に物干し台のところで消火作業に当たっている事実25.11.13S41.8.20 ツ 118 員写し消火作業の内容。ツが2 場に向かっているのを目撃している事実。A が火事の鎮火前に物干し台のところで消火作業に当たっている事実25.11.13S41.8.20 ツ 118 員写し消火作業の内容。ツが2時30分前にパジャマ姿のA が専務宅から工場に向かっているのを目撃している事実。A が火事の鎮火前に物干し台のところで消火作業に当たっている事実25.11.13S41.9.8 ツ 119 捜査報告書写し消火作業の内容。A の供述がテの供述と合致している 事実 25.11.13S41.8.27 捜査員ト部長他1名 120 捜査報告書写し消火作業の内容25.11.13S41.9.1 捜査員ヌ刑事- 77 -番号標目立証趣旨等申出日作成年月日供述者・作成者備考 121 捜査報告書写し消火作業の内容。火災発生当時,裏木戸は閉まっていた 事実 25.11.13S41.9.9 捜査員ノ他1名 122 捜査報告書写し消火作業の内容。火災発生当時,裏木戸は閉まっていた 事実 25.11.13S41.9.13 捜査員ハ部長 123 捜査報告書写し事件当夜の23時半ころ,サの妻が,若い男が被害者宅の方向へ向かっているのを目撃している事実。その後も,車を目撃している事実。消火作業の内容。火災発生当時,裏木戸は閉まっていた事実25.11.13S41.7.2 捜査員シ部長他1名 124 捜査報告書写し消火作業の内容25.11.13S41.7.22 V 警察署チ 125 捜査報告書写し消火作業の内容。A が火事の鎮火前に物干し台のところで消火作業に当たっている事実25.11.13S41.7.10捜査員巡査ヒ他1名 126 捜査報告書写し消火作業の し消火作業の内容。A が火事の鎮火前に物干し台のところで消火作業に当たっている事実25.11.13S41.7.10捜査員巡査ヒ他1名 126 捜査報告書写し消火作業の内容。A が火事の鎮火前に物干し台のところで消火作業に当たっている事実25.11.13S41.7.6 捜査員フ 127 捜査報告書写し消火作業の内容。火災発生当時,裏木戸は閉まっていた事実。 従業員らが自家用ホースを使って消火作業をしていた事実。Pの趣味が木工の工作であり,被害者宅には彫刻刀や工場で使用する道具が置いてあった 事実 25.11.13S41.7.7 捜査員ヘ部長他1名 128 巡写し消火作業の内容。A が火事の鎮火前に物干し台のところで消火作業に当たっている事実25.11.13S41.8.30 ホ 129 捜査報告書写し消火作業の内容。A が火事の鎮火前に物干し台のところで消火作業に当たっている事実25.11.13S41.7.14 捜査員マ他2名 130 捜査報告書写し事件当夜7時頃,被害者宅のテレビ前の椅子に見知らぬ人物が座っていた事実。ネがその点の捜査を必要と考えていた事実25.11.13S41.7.8 捜査員ミ署ネ 131 捜査報告書写し事件当夜の被害者宅の様子がいつもと異なり静かだったことについて,その具体的様子25.11.13S41.7.15 V 警察署チ 他1名 132 捜査報告書写し2時15分過ぎ頃から,消防団員らが,専務宅表玄関の格子戸を破った事実。その際,表戸のシャッターは閉まっていた事実25.11.27S41.8.31 捜査員ハ部長 133 捜査報告書写し火事の状況。裏木戸が閉まっていた事実25.11.27 子戸を破った事実。その際,表戸のシャッターは閉まっていた事実25.11.27S41.8.31 捜査員ハ部長 133 捜査報告書写し火事の状況。裏木戸が閉まっていた事実25.11.27S41.7.1 捜査員ム部長他1名 134 捜査報告書写し消火作業の状況25.11.27S41.8.4 捜査員メ部長他1名 135 捜査報告書写し消火作業の状況25.11.27S41.8.3 捜査員チ 136 捜査報告書写しサが雨がっぱを着て消火作業をしている事実25.11.27S41.7.30 捜査員チ 137 捜査報告書写し消火作業の状況25.11.27S41.7.10 V 警察署警部モ- 78 -番号標目立証趣旨等申出日作成年月日供述者・作成者備考 138 捜査報告書写し火災発生当時裏木戸が閉まっていた事実25.11.27S41.9.14 捜査員ハ部長他1名 139 員写しウも消火活動中に負傷している事実25.11.27S41.8.4 ウウは署名ではウが3つ 140 員写し消火作業の状況。裏木戸が閉まっていた事実25.11.27S41.7.3 ユ 141 巡写し消火作業の状況。裏木戸が閉まっていた事実25.11.27S41.9.13 テ 142 員写し消火作業の状況。裏木戸が閉まっていた事実25.11.27S41.7.10 ヨ 143 巡写し消火作業の状況。裏木戸が閉まっていた事実25.11.27S41.9.1 ヨ 144 捜査報告書写し消火作業の状況25.11.27S41.7.6 捜査員ニ他1名 145 員写し事件発生当時の1号タンクの味噌󠄀の量25.11.27S42.9.2 R 「Journal 書写し消火作業の状況25.11.27S41.7.6 捜査員ニ他1名 145 員写し事件発生当時の1号タンクの味噌󠄀の量25.11.27S42.9.2 R 「JournalofForensicandLegalMedicine」と題する書面写しバナジウム添加物に関する雑誌掲載論文25.11.27F 他5名 「JournalofForensicandLegalMedicine」と題する書面写しバナジウム添加物に関する雑誌掲載論文の和訳25.11.27H25.11.26 角替清美 「ForensicScienceInternational :GeneticsSupplementSeries」と題する書面写し血液細胞の選択的抽出に関する雑誌掲載論文25.11.27F 他5名 「ForensicScienceInternational :GeneticsSupplementSeries」と題する書面写し血液細胞の選択的抽出に関する雑誌掲載論文の和訳25.11.27H25.11.26 角替清美 150 裏木戸分析写真集裏木戸が閉まっていた事実。昭和41年9月20日付ヤ作成実況見分調書に虚偽記載がある事実25.12.2H25.11.26 村﨑修 警防活動時等における安全管理マニュアル【改訂版】写し危険を排除するため,消防団員が火災建物に進入する際には,あらかじめ瓦などを放水等で落下させることが指導されている事実25.12.2H23.3 ラ 消防職団員のための警防活動時安全管理マニュアル写し危険を排除するため,消防団員が火災建物に進入する際 を放水等で落下させることが指導されている事実25.12.2H23.3 ラ 消防職団員のための警防活動時安全管理マニュアル写し危険を排除するため,消防団員が火災建物に進入する際には,あらかじめ瓦などを放水等で落下させることが指導されている事実25.12.2H16.5.10リ編集・(株)ル発行 消防団幹部実務必携平成23年度版写し安全を確保するため,消防団員が火災建物に進入する際には,あらかじめ瓦などを放水等で落下させることが指導されている事実25.12.2H23 財団法人レ協会- 79 -番号標目立証趣旨等申出日作成年月日供述者・作成者備考 154 消防団活動マニュアル写し危険を排除するため,消防団員が火災建物に進入する際には,あらかじめ瓦などを放水等で落下させることが指導されている事実25.12.2H21.11 ロ 捜査報告書(味噌󠄀仕込みタンクの覆いについて)写し事件当時の1号タンクの覆いの状況25.12.2S42.9.25 (員)ワ- 80 -検察官提出分番号標目立証趣旨等申出日作成年月日供述者・作成者備考 1 皮製バンドの検証A の当時のウエストサイズ22.9.1325.3.4決定25.6.28実施 2 みそ文化誌(抜粋)写し23.12.15H13.4.1ヲ協同組合連合会 3 検23.12.15H23.11.21 f 法医血清学的検査法マニュアル(抜粋)写し23.12.15H2.4.20 ンほか意見書24.9.20H24.8.13 b 6 意見書24.9.20H24.9.8 c 7 意見書24.9.27H24.9.26 d 8 意見書24.10.4 4.20 ンほか意見書24.9.20H24.8.13 b 6 意見書24.9.20H24.9.8 c 7 意見書24.9.27H24.9.26 d 8 意見書24.10.4H24.10.2 K 捜査報告書-b の経歴等-24.10.4H24.10.1 (検)池田宏行 捜査報告書-c 教授の経歴等-24.10.4H24.10.2 (検)池田宏行 捜査報告書-d 教授の経歴等-24.10.4H24.10.1 (検)池田宏行 捜査報告書-K 教授の経歴等-24.10.4H24.10.1 (検)池田宏行 「先頃,私の作成しました意見書につき,」で始まる書面24.10.11H24.10.9 K 14 捜査報告書(30丁のもの)24.11.6H24.11.6 (検)神谷雄一郎捜査報告書(4丁のもの)24.11.6H24.11.5 (検)神谷雄一郎 16 捜査報告書(6丁のもの)25.3.29H25.3.22 (検)神谷雄一郎 17 捜査報告書(7丁のもの)25.3.29H25.3.22 (検)神谷雄一郎 18 捜査報告書25.3.29H25.3.28 (検)池田宏行- 81 -番号標目立証趣旨等申出日作成年月日供述者・作成者備考 19 捜査報告書25.4.8H25.4.5 (検)池田宏行捜査報告書25.6.26H25.5.31 21 捜査報告書25.12.12(検)池田宏行25.12.16返還- 82 -職権分番号標目立証趣旨等申出日作成年月日供述者・作成者備考 1 証人 G24.7.26 決定24.11.19尋問続行25.1.28 尋問終了- 25.12.16返還- 82 -職権分番号標目立証趣旨等申出日作成年月日供述者・作成者備考 1 証人 G24.7.26 決定24.11.19尋問続行25.1.28 尋問終了- 83 -
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