令和4(あ)1059 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反被告事件

裁判年月日・裁判所
令和6年10月7日 最高裁判所第三小法廷 決定 棄却 東京高等裁判所 令和3(う)922
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判決文本文2,052 文字)

- 1 - 主文 本件各上告を棄却する。 理由 検察官の上告趣意は、判例違反をいうが、事案を異にする判例を引用するものであって、本件に適切でなく、被告人両名の弁護人室之園大介の上告趣意のうち、判例違反をいう点は、事案を異にする判例を引用するものであって、本件に適切でなく、その余は、憲法違反をいう点を含め、実質は単なる法令違反、事実誤認の主張であり、被告人両名の各上告趣意のうち、判例違反をいう点は、事案を異にする判例を引用するものであって、本件に適切でなく、その余は、単なる法令違反、事実誤認の主張であって、いずれも刑訴法405条の上告理由に当たらない。 検察官の所論に鑑み、職権で判断する。 1 第1審判決は、①被告人両名から、被告人株式会社Aの暗号資産(仮想通貨)交換所運営会社に対する暗号資産等債権で、同社が運営していた暗号資産交換所のアカウント(株式会社A名義)内に残存する資産及び保留取引に関する資産である㋐暗号資産NEM0.777078XEM、㋑暗号資産NEM4万4243. 921215XEM(保留取引分)、㋒暗号資産BTC0.00002020BTC、㋓17円にそれぞれ係る金銭債権(当該債権は犯罪被害財産)を没収するとともに、②被告人両名から連帯して2595万0033円(当該金額は犯罪被害財産の価額)を、被告人Bから3966万9577円(当該金額は犯罪被害財産の価額)を追徴する旨言い渡した。 被告人両名が控訴したところ、原判決は、前記①㋐㋑㋒の没収について、暗号資産の移転を目的とする債権は、令和4年法律第97号による改正前の組織的な犯罪令和4年(あ)第1059号各組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反被告事件 ㋒の没収について、暗号資産の移転を目的とする債権は、令和4年法律第97号による改正前の組織的な犯罪令和4年(あ)第1059号各組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反被告事件令和6年10月7日第三小法廷決定- 2 -の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(以下「法」という。)13条1項にいう「金銭債権」に当たらず、これを没収した点で第1審判決には同項の解釈適用の誤りがあるとして第1審判決を破棄し、没収の対象を前記①㋓に相当する預り金返還請求権に限定した。他方、原判決は、原審検察官が前記①㋐㋑㋒の相当価額を被告人両名からの追徴額に加算すべきである旨主張したのに対し、没収に換えて追徴を科すことは、同じ金額であっても利益剝奪の対象が個別財産から一般財産に広がることとなり、特段の事情がない限り、被告人両名の不利益になる旨説示して、第1審判決と同額の追徴(前記②)にとどめた。 2 しかしながら、法は、法13条1項の規定による財産の没収の換刑処分・代替処分として、法16条1項において当該財産相当価額の追徴を定めており、両者が等価値であることを前提としている。そして、「没収」と「追徴」とは剝奪の対象となる財産の範囲を異にしており、このような没収と追徴の対象財産の差異は、法においても織り込み済みと解され、法13条1 項の規定による没収と法16条1項の規定による追徴の等価値性を左右するものとはいえない。そうすると、被告人のみが控訴した場合において、第1審判決が法13条1項の規定により没収するとした財産について、控訴審判決において、没収に換えて法16条1 項の規定によりその相当価額の追徴を言い渡すことは、刑訴法402条にいう「原判決の刑より重い刑を言い渡す」ことにはならないと解するのが相当である。 これと異なる原判断には、 収に換えて法16条1 項の規定によりその相当価額の追徴を言い渡すことは、刑訴法402条にいう「原判決の刑より重い刑を言い渡す」ことにはならないと解するのが相当である。 これと異なる原判断には、同条の解釈適用を誤った違法があるといわざるを得ず、本件において、控訴審判決が、被告人両名から前記①㋐㋑㋒に係る財産を没収するのに換えてその相当価額を第1審判決における被告人両名からの追徴額に加算することも許されるというべきである。 3 もっとも、法13条1項、16条1項の各規定による没収、追徴は、任意的なものであるところ、本件において、被告人両名が収受した犯罪収益の総額が多額に上る中で、被告人両名が現に得た利益はごく一部にとどまり、原判決は、被告人両名又は被告人Bに対し、被告人両名が現に得た利益の大部分に相当する額の追徴- 3 -を言い渡していること等、諸般の事情を勘案すれば、原判決が前記①㋐㋑㋒に係る財産の相当価額として見込まれる額を追徴額に加算しなかったことをもって、これを破棄しなければ著しく正義に反するとまでは認められない。 よって、刑訴法414条、386条1項3号により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官石兼公博裁判官宇賀克也裁判官林道晴裁判官渡辺惠理子)

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