【DRY-RUN】主 文 原告らの請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告らの負担とする。 事 実 第一 当事者の求めた裁判 一 請求の趣旨 1 原告a(以下「原告a」という。)、同b(以下「原告
主文 原告らの請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実 第一当事者の求めた裁判一請求の趣旨 1 原告a(以下「原告a」という。)、同b(以下「原告b」という。)、同c(以下「原告c」という。)がそれぞれ被告との間に雇用契約上の地位を有することを確認する。 2 被告は、昭和五八年五月一日以降、毎月二〇日までに、原告aに対し、一箇月金一六万円、原告bに対し、一箇月金一八万七六〇〇円、原告cに対し、一箇月金一九万一四〇〇円をそれぞれ支払え。 3 被告は原告d(以下「原告d」という。)に対し、金六二一万四一七一円及びこれに対する昭和六二年一二月一八日から支払い済みまで年五分の割合による金員を支払え。 4 訴訟費用は被告の負担とする。 5 第2・3項につき仮執行宣言二請求の趣旨に対する答弁(本案前の答弁) 1 請求の趣旨第1項の訴えをいずれも却下する。 2 右各訴えに関する訴訟費用は原告らの負担とする。 (本案の答弁)主文と同旨第二当事者の主張一請求原因 1 当事者(一) 被告(以下、清算事業団に移行する前の被告を「国鉄」ということがある。)は、国鉄改革法附則二項により廃止される前の日本国有鉄道法(昭和二三年法律第二五六号、以下「国鉄法」という。)に基づき設立された公共企業体であり、国鉄改革法一五条及び清算事業団法附則二条に基づき、昭和六二年四月一日、清算事業団に移行した。 (二) 原告aは、昭和四九年三月一日、被告職員として雇用され、昭和五八年四月当時、折尾保線区遠賀川支区重機保線係の職にあった者、原告bは、昭和四三年四月一日、被告職員として雇用され、昭和五八年四月当時、直方気動車区気動車運転士の職にあった者、原告dは、昭和三七年四月一日、被告職員として雇用され、昭和五八年四月当時、 た者、原告bは、昭和四三年四月一日、被告職員として雇用され、昭和五八年四月当時、直方気動車区気動車運転士の職にあった者、原告dは、昭和三七年四月一日、被告職員として雇用され、昭和五八年四月当時、豊前川崎駅営業係の職にあった者、原告cは、昭和三九年二月一日、被告職員として雇用され、昭和五八年四月当時、桂川駅構内指導係の職にあった者である。 2 被告による失職の取り扱い被告は、原告bにつき、昭和五八年四月二六日以降、その余の原告らにつき、同月二五日以降、それぞれ被告職員としての地位を失ったものとして取り扱っている。 3 失職取扱以前の原告らの賃金原告らは、被告による失職取扱以前、基本給・扶養手当・住宅手当を合算して、原告aが月額金一六万円、原告bが月額金一八万七六〇〇円、原告dが月額金二一万六八〇〇円、原告cが月額金一九万一四〇〇円の賃金をそれぞれ受給していた。 4 原告dの退職と未払賃金請求権額の確定(一) 原告dは、昭和六二年四月施行の福岡県議会議員選挙に立候補し、同月一四日、選挙管理委員会から当選人決定の告知(以下「当選告知」という。)を受け、同日限り、被告職員としての身分を喪失した。 (二) 同原告は、昭和五八年五月一日から右失職までの間の賃金として、合計金七六八万九一七三円の請求権を有したところ、被告が同原告宛「退職手当」名目で支払供託した金一四七万五〇〇二円を、右請求権の一部に充当する趣旨で受領したことから、結局、同原告の被告に対する未払賃金請求権は、金六二一万四一七一円となった。 よって、被告に対して、原告dを除く原告らは、それぞれ雇用契約上の地位を有することの確認及び昭和五八年五月一日以降の未払賃金の支払を、原告dは、未払賃金合計六二一万四一七一円及びこれに対する原告ら準備書面(七)到達の日の翌日である昭和六二年一 れぞれ雇用契約上の地位を有することの確認及び昭和五八年五月一日以降の未払賃金の支払を、原告dは、未払賃金合計六二一万四一七一円及びこれに対する原告ら準備書面(七)到達の日の翌日である昭和六二年一二月一八日から支払い済みまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める。 二本案前の答弁の理由 1 原告らに対する当選告知昭和五八年四月二四日行われたいわゆる統一地方選挙に際し、原告aが福岡県遠賀町議会議員一般選挙に、原告bが同県直方市議会議員一般選挙に、原告dが同県川崎町議会議員一般選挙に、原告cが同県桂川町議会議員一般選挙にそれぞれ立候補の届出をし、原告bが同月二六日、その余の原告らがいずれも同月二五日に、各選挙管理委員会からそれぞれ当選告知を受けた。 2 原告らの被告職員たる地位の喪失国鉄法二六条二項、二〇条一号は、国鉄職員は、国鉄総裁の承認を得た者でない限り、市(特別区を含む。)町村(以下「市町村」という。)の議会の議員を兼ねることができない旨規定していたところ、原告らは、前項記載の各当選告知を受けた際、いずれも国鉄総裁の承認を得たものでなかったから、法律上、市町村議会議員を兼ねて国鉄職員であることができないものであった。 そして、公職選挙法(以下「公選法」という。)一〇三条一項は、「当選人で、法律の定めるところにより当該選挙にかかる議員又は長と兼ねることができない職に在る者が、第百一条第二項(当選人決定の告知)又は第百一条の二第二項(名簿届出政党等に係る当選人の数及び当選人の決定の告知)の規定により当選告知を受けたときは、その告知を受けた日にその職を辞したものとみなす。」と規定しているから、原告らは、前項記載の各当選告知を受けた日に、それぞれ国鉄職員を辞したものとみなされることとなった。 3 本件雇用契約上の地位確認 の告知を受けた日にその職を辞したものとみなす。」と規定しているから、原告らは、前項記載の各当選告知を受けた日に、それぞれ国鉄職員を辞したものとみなされることとなった。 3 本件雇用契約上の地位確認の訴えの不適法性原告らの前記各失職は、いずれも法律の規定により生じたものであり、法律によってみなされた事項については反証の余地がなく、みなされた効果は絶対的に発生するものであって、法律上これを覆す手段は存在しないから、右効果を否定して、原告らの被告職員として地位の存在の確認を求める請求は、裁判上実現不能な事項を求めるもので、不適法であり、これを却下すべきである。 三請求原因に対する認否 1 請求原因1ないし3の各事実はいずれも認める。 2 同4のうち、原告dが昭和六二年四月施行の福岡県議会議員選挙に立候補し、同月一四日当選告知を受けたことは認め、その余の事実は否認ないし争う。 なお、被告が同原告に対する支払分として供託しているのは、金一四七万五〇〇二円(退職金四四九万六二九九円から労働金庫貸付弁済金、町民税、共済組合普通貸付返済金等同原告が退職に際し弁済すべきものを控除した残額)及び金二二万三九五三円(昭和五八年度のベースアップ等による退職金追給分)の合計金額である。 四抗弁 1 本案前の答弁の理由1記載のとおり 2 同2記載のとおり五抗弁に対する認否抗弁1の事実は認め、その余の主張はすべて争う。 六原告らの主張1国鉄職員の市町村議会議員への当選と公選法一〇三条一項の不適用国鉄職員が市町村議会議員に当選した場合については、以下に列記する理由により、公選法一〇三条は適用されないものと解すべきである。 (一)公選法一〇三条一項と国鉄法二六条二項との整合的調整的な条理解釈の必要性公選法は、選挙される公職と両立できない職にある者の取扱いにつ により、公選法一〇三条は適用されないものと解すべきである。 (一)公選法一〇三条一項と国鉄法二六条二項との整合的調整的な条理解釈の必要性公選法は、選挙される公職と両立できない職にある者の取扱いについて、公職選挙への参加意思と当選結果とを優先させる立場から、公務員の服務等本人の現職の身分規律との調整を極めて画一的に明確を期するように定めている。たとえば、行政公務員については、立候補して選挙運動をすることが服務と両立したいという見地(八九条一項)から、在職中の立候補の届出をもって一律に当該公務員たることを辞したものとみなしている(九〇条)。また、立候補制限はないが兼職禁止の職にある者が当選した場合については、「当選の告知を受けたときは、その告知を受けた日にその職を辞したものとみだす」と定めているのである(一〇三条一項)。 ところが、国鉄法は、国鉄職員と市町村議会議員との兼職について、総裁承認制を採ることにより(二六条二項)、職員が市町村議会議員に当選した場合、議員としての身分と職員としての身分との両立性の有無が国鉄総裁の承認という個別措置にかからしめられ、画一的に決せられない仕組みとなっており、公選法の画一主義に対して、極めて特異な規定となっている。このような法規定の仕組みからみて、公選法一〇三条一項と国鉄法二六条二項との間には、整合的・調整的な条理解釈が必要でり、後記のような公選法との矛盾をも考慮すると、国鉄職員が市町村議会議員に当選した場合については公選法一〇三条は適用されないものとする謙抑的解釈が必要である。 (二)公選法との矛盾(1)公選法一〇三条一項と国鉄法二六条二項との関係公選法一〇三条一項は、.法律の規定により当然に議員等との兼職が禁止された職に在る者について、議員等の職と兼職禁止職とのいずれか一方を失職させなければならな 法一〇三条一項と国鉄法二六条二項との関係公選法一〇三条一項は、.法律の規定により当然に議員等との兼職が禁止された職に在る者について、議員等の職と兼職禁止職とのいずれか一方を失職させなければならないことから、当選告知とともに当然に議員等以外の職を辞したものとみなすものであり、したがって、兼職を架止される職の範囲が法律上明確であり、兼職が無条件に禁止される場合を前提とするものである。 ところが、国鉄法二六条二項は、国鉄職員と市町村議会議員との関係について、業務上の支障のため国鉄総裁が不承認とした場合に初めて兼職が禁止され、不承認がない限り兼職が許される旨定めたものと解されるから、国鉄職員は、市町村議会議員との関係で、公選法一〇三条一項にいう「法律の定めるところにより当該選挙にかかる議員又は長と兼ねることができない職に在る者」には当たらないというべきである。しかも、必ずしも兼職が禁止されている職ではないから、当選告知により「その告知を受けた日にその職を辞したものとみなす」必要性も存しない。 (2)繰上補充当選(公選法一〇三条二項)の場合仮に、国鉄職員が市町村議会議員の繰上補充当選の告知を受けたときにも公選法一〇三条二頂が適用されるとすると、それから五日以内に国鉄総裁の承認を得れば、法律による兼職の禁止が解除されたこととなり、辞職の届出をしなくとも当選を失わないとの結論になると思われる。そうだとすれば、ことは当選の効力にかかわる問題である以上、総裁の承認のあったことを確認する手段を定めておく必要があるのに、同条項はこの点について何らの規定もおいていない。これは、立法者が右の場合に対する同条項の適用を予定していなかったことを端的に示すものである。 (3)公選法の法意公選法一〇三条一項は、候補者が自分の就いている職と公職との兼職禁止に気がつかない 。これは、立法者が右の場合に対する同条項の適用を予定していなかったことを端的に示すものである。 (3)公選法の法意公選法一〇三条一項は、候補者が自分の就いている職と公職との兼職禁止に気がつかないまま、うっかりして当選を失うようなことがないよう配慮した規定であり、同時に、立候補する以上、両立し得ない他の職を辞しても当選人となることを選ぶ意思であるのが通常であるとの経験則を前提としているといえる。 しかし、国鉄職員のように、国鉄総裁の承認があることを期待し、あるいは承認すべきであるとの考えに基づいて候補者となった場合には、右の経験則が必ずしも当てはまらないことは明ちかである。 (三)国鉄における従来の解釈・運用国鉄では、以下のとおり、職員が市町村議会議員に当選した場合について公選法一〇三条一項が適用されないことを前提とする運用が行われてきており、これは、公選法適用を前提とする限り、およそあり得べからざる事態といわざるを得ない。こうした長年にわたる法運用の実態からしても、公選法の適用のないことは明らかである。 (1)国鉄の部内規程である「公職との兼職基準規程」(昭和三九年一二月一〇日総秘達第三号、以下「兼職基準規程」という。)は、国鉄職員が市町村議会議員以外の公職に当選した場合については、当選の告知を受けた日に退職したものとみなしていた(四条)のに対して、市町村議会議員に当選した場合については、まず、立候補した時点で所属長へ立候補届を提出させ(三条)、当選した者のうち兼職を希望する者は、直ちに所属長に兼職承認願を提出して、その承認を受けなければならないとし(五条)、右承認願の提出を受けた所属長は、現場長その他これに準ずる一人一職の職にある者又は業務遂行に著しい支障があると認めたときは、承認をしてはならない(六条)旨定めている。これらは、市 ないとし(五条)、右承認願の提出を受けた所属長は、現場長その他これに準ずる一人一職の職にある者又は業務遂行に著しい支障があると認めたときは、承認をしてはならない(六条)旨定めている。これらは、市町村議会議員に当選した職員は当選告知により当然に失職するものではなく、むしろ当選後に承認の可否を決することとしていたことを、国鉄自らが認めていたことを示すものである。なお、被告は、右規程が事務手続を定めたものに過ぎず、公選法一〇三条一項、国鉄法二六条二項の解釈を左右するものではない旨主張するが、右規程は、承認・不承認の基準という実体面のみならず、その時期や手続に関しても、改正法の立法過程・立法趣旨の忠実な反映であり、まさに改正法の法文を補い、その解釈基準としての役割を果たすものである。 (2)国鉄の公定的解釈を示したとみられる日本国有鉄道法研究会(国鉄総裁室法務課内)編「日本国有鉄道法解説」は、「市町村議会議員については、当選の告知をもって、当然失職とはならず、裁が兼職の申し出を不承認したためどか、あるいは、その他の理由で本人の退職の申し出により、退職の発令をしてはじめて失職するものと解される。」と述べている。 (3)法運用の実態法運用の実態をみても、兼職承認の決定は、当選の告知から早くて一週間ないし一箇月を要しており、とりわけ、昭和五一年四月七日総裁室秘書課長事務連絡(甲第六号証)が発せられて後は、承認の可否につき右秘書課長との事前合議の上決定することとなったため(決定が承認申請から数箇月後に出されるという例も決して稀ではなかった(甲第七号証はその一例である。)。それにもかかわらず、その間に当選した職員を失職扱いとした例は全くたかった。つまり、公選法不適用説を前提とした処理が過去数十年にわたって行われてきたことは明白である。また、選挙管理 一例である。)。それにもかかわらず、その間に当選した職員を失職扱いとした例は全くたかった。つまり、公選法不適用説を前提とした処理が過去数十年にわたって行われてきたことは明白である。また、選挙管理委員会における公選法一〇三条二項の運用実態をみても、過去に、国鉄職員であって市町村議会議員に繰上補充により当選した者が(選挙管理委員会から辞職届出ないし兼職についての承認書等の書面を要求されたことはなく、したがって、これらを提出することもなく、議員の資格を取得し、兼職議員として活動してきた実例がある(甲第八号証はその一例である。)。 2公選法一〇三条一項による失職の効果(仮定主張)仮に、国鉄職員が市町村議会議員に当選した場合にも、公選法一〇三条一項の適用があるとしても、国鉄法二六条二項は、「第二十条第一号に該当する者(市町村議会議員を除く。)は、職員であることができない。市町村議会議員であって総裁が兼職を承認しなかった者また同じ。」との趣旨に善解すべきであり、したがって、国鉄職員は、市町村議会議員への当選の告知を受けた後も(国鉄総裁へ兼職承認を求めている間は職員たる身分を失わず、公選法一〇三条一項に基づく失職の効果は、「業務の遂行を著しく阻害するおそれめある場合』における適法な不承認の意思表示があって初めて生じるものと解すべきである(以下「不承認失職説」という。)。 これに対し、被告は、当選告知までに総裁の承認がない限り、公選法一〇三条一項により当然に失職するとの見解(以下「当然失職説」という。)を主張するが、同説は、以下に列記するとおり、当選の告知により自動的、絶対前に失職の効果が生じ、以後これを争う余地がないとするものであり、総裁が恣意的に何らの意思表示もせず放置するだけで議員に当選した職員を失職させることも、更には、議員兼職を一律全面的 より自動的、絶対前に失職の効果が生じ、以後これを争う余地がないとするものであり、総裁が恣意的に何らの意思表示もせず放置するだけで議員に当選した職員を失職させることも、更には、議員兼職を一律全面的に禁止することも可能になるなど、著しく不合理な結果を招くほか、他の法律との矛盾撞着も避けがたく、従前の法運用の実態とも掛け離れたものであって、誤りというほかはない。 このような不合理を避けるべく、国鉄法二六条二項の文理と実態とを併せ考えれば、不承認失職説を採るほかはない。そして、同項の改正が議員立法であることに伴う立法技術上の制約や配慮不足のほか、前記のとおり、同項と公選法一〇三条一項との間には整合的・調整的な条理解釈が必要であることを考慮し、かつ、国鉄法二六条二項が専ら雇用関係の存否という国鉄における労使の内部関係を規制するものであり、その目的が国鉄当局の使用者としての利益保護にあること、労働基準法(以下「労基法」という。)七条に基づいて、公職に立候補し、当選後には議員として活動する権利をも含む公民権が保障されていることをも勘案すると、立法の趣旨目的に副ってこの程度の弾力的な解釈運用を行うことはもとより許されて当然であり、何ら弊害を懸念する余地はないといわなければならない。 (一)労基法七条との抵触労基法七条は(主権在民主義・民主主義を宣言し、できる限り広くかつ平等に国民の参政権を保障しようとする憲法の基本理念を体して設けられたものであり、労基法の諸規定の中でも労働憲章的な意義を有するといわれている。したがって、労働者が公職に就いたことを理由に使用者から届用関係を解消することは、事実上公職の執行を拒否するに等しいから、原則としては許されず、当該公職の執行が使用者の業務に著しい支障を生じさせる場合に限り、例外的に許されるに過ぎない。`そして 者から届用関係を解消することは、事実上公職の執行を拒否するに等しいから、原則としては許されず、当該公職の執行が使用者の業務に著しい支障を生じさせる場合に限り、例外的に許されるに過ぎない。`そして、国鉄とその職員との関係は私的労働契約関係であり、労基法の適用があることはいうまでもないが、当然失職説を採れば、国鉄職員は、市町村議会議員に就任しただけで、他に何らの理由なく失職させられ、しかも、これを争う手段を奪われることとなるのであり、国務大臣、国会議員、県議会議員等とは異なり、これら市町村議会議員の職務が国鉄職員としての業務と両立できないとは一概に断じがたい以上、労基法七条との抵触は避けられない。 したがって、労基法七条と国鉄法二六条二項との調和的理解との観点からは、同法二六条二項が国鉄職員と市町村議会議員との兼職を国鉄総裁の承認にかかわらしめたのは、全く総裁の自由裁量に委ねる趣旨ではなく、兼職により「業務の遂行を著しく阻害するおそれのある場合」についての特例措置であり、そのおそれの現実性がない限り、原則的には承認を与えるべきものと解すべきである(十和田観光電鉄事件に関する最二小判昭和三八年六月二一日民集一七巻五号参照)。 (二)国鉄法二六条二項の改正趣旨との抵触(国鉄職員の地位)国鉄とその職員との関係は私的労働契約関係であり、一般職員については、公務員のような政治的行為に対すろ厳格な制限もなく、議員兼職を一般的に禁止すべき根拠も格別存しなかった。また、国鉄法は、昭和二九年法律二二五号による改正以前は、少なくとも町村議会議員との兼職を無条件に認めていたが、右改正によって、市議会議員について兼職禁止を緩和するのと引換えに、市町村議会議員について兼職の可否を総裁の承認の有無にかからしめるという二六条二項但書が付加されたものである。さらに、右改 いたが、右改正によって、市議会議員について兼職禁止を緩和するのと引換えに、市町村議会議員について兼職の可否を総裁の承認の有無にかからしめるという二六条二項但書が付加されたものである。さらに、右改正法案の審議経過等を見ても、市町村議会議員との兼職に総裁の承認という条件を付した理由は、国鉄業務の性質上、当該職員の地位ないし職務内容によっては職員兼職が業務に支障を来たす場合もあり得るとの懸念に尽きるのであり、業務上支障のない場合は、総裁は兼職を承認すべきであることが当然の前提とされており、法文に明記するまでもなく、解釈運用上その趣旨は十分造成可能であり、また、達成すべきものとされていたのである。 兼職の承認・不承認について国鉄総裁の恣意を許す当然失職説が、ことは明白である。 右のような改正趣旨と全く相容れない(三)国鉄法二六条二項の文理との矛盾国鉄法二六条二項但書は、総裁の承認を求め得る者につき、市町村議会の「議員である者」と定め、「議員となる者」とは定めていなかったから、右規定は、当選告知により議員の地位の取得が確定した後、すなわち「議員である者」になった後に、総裁による承認手続が行われることを予定したものと解される心しかも、当選の告知があるまでは、議員たる地位の取得の有無は全くの浮動状態にあるから、承認手続は、論理的にも、実態上も、時系列的にも、当選告知後とならざるを得なかった。ちなみに、右規定の改正法案の審議においても、事後承認制の採用が前提とされ、また、右規定の立法趣旨の忠実な反映であり、右規定の法文を補い、その解釈基準としての役割を果たすと解される兼職基準規程も、事後承認制を当然の前提としている。 ところが、当然失職説を採れば、当選した職員は、当選告知により右但書の「議員である者」になると同時に、公選法一〇三条 ての役割を果たすと解される兼職基準規程も、事後承認制を当然の前提としている。 ところが、当然失職説を採れば、当選した職員は、当選告知により右但書の「議員である者」になると同時に、公選法一〇三条一項による失職の効果が発生することとなり、総裁による兼職承認を受ける余地が一切失われるという絶対的矛盾が生じる。また、同条二項の繰上補充当選の場合についても、同項が「その職を辞した旨の届出をしないときは、その当選を失う。」と明文をもって定め、例外を認めていない以上、たとえ議員兼職についての総裁の承認を得たとしても、当該職員が国鉄を辞職しない限り、議員の資格を取得できないとの矛盾に直面せざるを得ない。しかも、この場合、仮に、被告主張のとおり、従前の職を辞した旨の届出をまって議員たる資格を取得すると解したとしても、職員が「議員である者」となるためには、それ以前に職員を辞職しなければたらないこととなり、これまた、総裁の兼職承認を得る余地がないという矛盾に陥ることとなる。 (四)公選法による議員と職員との地位の併存の容認公選法一〇三条二項は、当選人の更正決定、繰上補充等の場合について、当選人と定められた者が議員等との兼職禁止の職にあるときは、「前項の規定にかかわらず、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会(略)に対し、その告知を受けた日から五日以内にその職を辞した旨の届出をしないときは、その当選を失う。」と定めて、一定期間、議員とすべての兼職禁止の職との地位の併存を認めている。 とのように、公選法自身が、公務等の政治的中立性確保等の公序的要請から兼職を禁止されている職についてさえ地位の併存を許しているのであり、まして、専ら業務支障の防止という使用者たる国鉄当局の利益を保護するためにのみ兼職が禁止された国鉄職員については、議員等と 請から兼職を禁止されている職についてさえ地位の併存を許しているのであり、まして、専ら業務支障の防止という使用者たる国鉄当局の利益を保護するためにのみ兼職が禁止された国鉄職員については、議員等との一定期間の地位の併存が予定されたものと解され、被告主張のように、右の地位の併存を一瞬たりとも許さないといった考え方は採っていないのである。 (五)当然失職説の不合理性(1)民間労働者との不合理性な差別民間労働者、とりわけ国鉄と同様の鉄道輸送業務を担当する私鉄労働者を例にとれば、地方議会議員への就任ということだけ理由として、その労働者無給の休職処分与ることも違法であり、いわんや業務支障の有無について慎重な検討も経ずに解雇することなどは、到底許されないのである。ところが、仮に、当然失職説を採れば、国鉄職員は、単に地方議会議員に就任したというだけで、他に何らの理由なく失職(解雇予告手当を要しないだけ、解雇以上に労働者に不利益である。)させられても、これを争い是正させる手段を全く奪われてしまうこととなる。両者の不均衡は余りにも著しく、まさに不合理差別といわなければならない。 (2)他公社職員との不合理な差別日本たばこ産業株式会社法附則一二条一項に基づいて解散する前の日本専売公社(以下「専売公社」という。)職員については、同法附則二〇条により廃止される前の日本専売公社法(昭和二三年法律第二五五号、以下「専売公社法」という。)上、地方議会議員はもとより国会議員との兼職も禁止されておらず、日本電信電話株式会社法附則四条一項に基づき解散する前の日本電信電話公社(以下「電電公社」という。)職員については、同法附則一一条により廃止される前の日本電信電話公社法(昭和二七年法律第二五〇号、以下「電電公社法」という。)上、市町村議会議員すぺてが 本電信電話公社(以下「電電公社」という。)職員については、同法附則一一条により廃止される前の日本電信電話公社法(昭和二七年法律第二五〇号、以下「電電公社法」という。)上、市町村議会議員すぺてが兼職禁止の範囲から除外されていた。 これに対して、国鉄職員の場合は、国会議員、都道府県議会議員ばかりか市町村議会議員まで兼職を禁止されており、それだけでも不平等の感を免れないが、仮に当然失職説を採れば、前記国鉄法改正前には就任を妨げなかった町村議会議員との兼職さえも、国鉄総裁の胸三寸により、失職という刑罰にたとえれば死刑に等しい制裁にさらされることになる。これを、右に述べた他公社職員の地位と比較すれば、その不平等は明らかであり、三公社の事業の性質の差異を考慮したとしても、極端な不合理な差別といわざるを得ない。 (3)承認制を採用したこととの矛盾国鉄法二六条二項が国鉄総裁による承認制を導入したこと自体、承認すべき場合のあることを前提としていることは当然である。そもそもある事項を当事者の承認にかかわらせる場合に、少なくともそれが相手方の法的地位に重大な影響を及ぽすものである限りは、およそ恣意による承認の拒否は許されず、その違反に対しては相手方にこれを争い自らの法的地位を回復する機会を与えるのが衡平の原則であり、法における常識というべきである。本件のように一定の時期以降は兼職を一切承認しないとする措置は、一律禁止法制への逆行であり、改正法が採用した承認制とは本質的に相容れないことが明白である。したがって、このような一律禁止を可能にさせ許容する当然失職説は、承認制自体を崩壊させるものである。 (六)国鉄の従来の解釈・運用国鉄では、前記のとおり、市町村議会議員に関する限り、国鉄自らが国鉄法二六条二項を「総裁が不承認としたときは職を する当然失職説は、承認制自体を崩壊させるものである。 (六)国鉄の従来の解釈・運用国鉄では、前記のとおり、市町村議会議員に関する限り、国鉄自らが国鉄法二六条二項を「総裁が不承認としたときは職を失う。」との趣旨に解して長年月間その運用を行ってきたものである。これは、当然失職説を前提とすれば、およそあり得ない事態といわざるを得ず、右のような長年にわたる法運用の実態からしても、当然失職説の誤りは明らかである。 3当然失職説による場合の解釈(仮定主張)仮に、当然失職説を採用したとしても、国鉄総裁による議員兼職承認は、何ら職員に対して特別の恩恵や利益を与える行為ではなく、不承認こそが、労働者の対使用者との関係において本来有する自由に対する重大な制限であり、しかも、右行為は、公定力を伴わない私人の行為(なすべき意思表示をしないという不作為を含む。)に過ぎないから、不承認ないし不作為につき、自由の制限の根拠として十分首肯するに足りる合理的理由を欠く場合には、兼職承認申請をした職員において、承認があったのと同様の法的地位を取得するものと解すべきである。 ちなみに、公定力の認められた行政行為に関しても、直接に国民の自由を制限するもの、免許又は許可により形成された一定の利益状態を失わせる性質のものなどについては、それが合理的根拠を欠き違法である場合、その効力を停止することにより積極的に許可ないし免許がなされたのと同様の法的状態が存続するとの解釈が、数次の裁判例を経て確立をみている。 4不承認の違法性(一)議員兼職の不承認原告らが昭和五八年四月二四日実施された前記各地方議会議員選挙に立候補する旨の届出をしたところ、被告は、門司鉄道管理局長名による同月一八日付文書をもって、原告らに対し、それぞれ、議員兼職を承認しない旨の通知を発するとと 四日実施された前記各地方議会議員選挙に立候補する旨の届出をしたところ、被告は、門司鉄道管理局長名による同月一八日付文書をもって、原告らに対し、それぞれ、議員兼職を承認しない旨の通知を発するとともに、原告らが当選告知を受けた後、直ちに兼職の承認願を前記局長宛提出したにもかかわらず、被告は、その受領を拒否し、もって、原告らに対し右各議員との兼職を承認しない。 (二)総裁による承認・不承認の基準前記の憲法の原則、労基法七条の規定及び国鉄法二六条二項の立法趣旨に鑑みれば、国鉄総裁は、議員兼職の承認・不承認の決定に際して、当該職員の地位や担当業務の実態、公職執行のために必要な時間等を具体的に検討した上、右兼職が業務の遂行に著しい支障があると認められる場合を除いては、これを承認しなければならないのであって、右のような具体的検討をすることなく、一律機械的に兼職の承認を拒否し、あるいは業務上の支障が認められないか又はその程度が重大でなく、労働関係の維持を困難にさせるには至らないのに不承認とすることは、明らかに違法といわなければならない。 なお、議員兼職の承認・不承認の決定に際して、仮に、国鉄総裁に裁量の余地があるとしても、その裁量の対象は、議員兼職のもたらす個別的な業務支障の有無・程度及びこれが使用者たる被告に与える不利益の重大性の判断に限られ、右以外の事由を顧慮することは、いわゆる「他事考慮」として到底許されない。また、仮に、国鉄の置かれた状況から、総裁において議員兼職による業務支障の抑止に一層努力する必要があるとしても、その目的を達成するためには、たとえば承認の有効期間を一年限りとした上、その間の勤務状況によって更新を拒否するといった運用の厳格化、あるいは職員の申し出による無給休職制度の活用など、考え得る手段は決して少なくな るためには、たとえば承認の有効期間を一年限りとした上、その間の勤務状況によって更新を拒否するといった運用の厳格化、あるいは職員の申し出による無給休職制度の活用など、考え得る手段は決して少なくないにもかかわらず、突如失職の制裁をもって議員兼職を一律禁止するに至ったのは、裁量権濫用の最たるものである。 (三)本件兼職不承認の違法性(1)一葎機械的不承認の違法性国鉄当局が原告らに対して兼職を承認しなかったのは、「昭和五七年一一月一日以降、新たに改選により、公職の議席を得た者に対しくは兼職の承認を行わない。」との一般的方針(同年九月一三日総秘達六六六号「公職との兼職に係る取り扱いについて」)に基づいて、当該議員としての公務の執行が被告の職員としての業務遂行上支障をきたすと否とに一切かかわりなく一律機械的になされたことにおいて、違法たるを免れない。 (2)労働契約条件違反兼職基準規程は、労働契約の内容にかかわる性格の規程であるから、労基法八九条にいう就業規則に実質的に該当し(国鉄においては、労働条件にかかわる数多くの規程や通達の類いを就業規則に相当するものとして取り扱っている。)、右規程の五条、六条からして、「市町村議会議員に当選した職員は、当選後に国鉄総裁の承認を求めれば足り、承認願に対して不承認の決定があるまでは職員の身分を失わず、業務遂行に著しい支障があると認められるか否かを承認・不承認の判断基準とする。」とのルールが実質前な就業規則の内容、ひいては労働契約の内容と化していたことは明らかである。右規程六条は不承認事由のみを掲記するが、同条所定の不承認事由のない限り承認をすることが長年月にわたる確固不動の慣例として定立してきた事実からしても、業務遂行に著しい支障があるものと認めた場合を除き、使用者として兼職を承認す 記するが、同条所定の不承認事由のない限り承認をすることが長年月にわたる確固不動の慣例として定立してきた事実からしても、業務遂行に著しい支障があるものと認めた場合を除き、使用者として兼職を承認すべき義務を併せ伴うものであるから、本件兼職不承認は、原・被告間の労働契約条件違反という点において、違法、無効である。 (3)裁量権の濫用国鉄では、早朝、深夜あるいは休日にも列車や電車の運行が行われているため、直接・間接に列車の運行やこれに伴う旅客貨物の取扱に関連する部門では、休日、夜間労働あるいは一昼夜交替といった変形勤務が極めて多く、反面、議会等が開催される平日に非番公休を設定することが容易である。また、職種や担当職務も多様であるから、いわゆる日勤者であっても、担当業務の時期的・集中的処理が可能な場合も少なくない。しかも、駅その他の現業機関は全国各地に分散しており、このため、職場と居住地すなわち議会所在地とが近接しているケースが圧倒的に多い。このように国鉄の場合には、その業務の本来的な性格からしで、少なくとも市町村議会程度であれは、業務支障をさして懸念することなく議員活動に従事する条件が存在しているといってよく、平日勤務な原則とし、事業所等も都市部に集中している一般企業と同列に論じることは相当でない。 そして、原告らについて個別に検討しても、以下のとおり、原告らの職務内容、勤務形態、原告ら所属の議会開催の実情等からみて、議員活動による国鉄業務への支障は、全く考えられないか又はほとんど問題とされない程度の軽微なものであり、議員兼職が業務に著しい支障を及ぼすことは到底考えられないから、本件の兼職不承認は、いずれも裁量権を濫用した違法・無効なものというべきである。 ①原告aについてI職務内容、勤務形態等原告aは、昭和五八年四月 に著しい支障を及ぼすことは到底考えられないから、本件の兼職不承認は、いずれも裁量権を濫用した違法・無効なものというべきである。 ①原告aについてI職務内容、勤務形態等原告aは、昭和五八年四月当時、折尾保線区遠賀川支区重機保線係の職にあり、線路保守作業に従事していた。その勤務形態は、日勤と夜間重労務作業(以下「夜重」という。)の組み合わせであり、夜重の場合は、日勤勤務終了後の午後一一時三〇分から翌朝の八時五分までの勤務となっており、これが一箇月七回程度予定されているが、夜重勤務終了後は、夜重明け(非番)として昼間の勤務はない。 勤務の割り振りは、前月の二五日までに予定表が作成されて職員に周知され、勤務当日の二日前に勤務確定することになっている。 作業内容は、日勤の場合が数名の職員とともに線路の現地調査・保守箇所のチェック、重機の点検であり、夜重の場合がチェック箇所の保守・補修作業である。 Ⅱ議員活動の概要議会の開催日は、条例上、毎年三月、六月、九月、一二月と法定されており、年間三〇日程度であり、開会日も概ねその半月前には判明する(他の原告らについても同様)。また、右会期中出席を要するのは、本会議のうち開会と採決の行われる閉会日、更にはその所属する委員会(二、三日)のみである。その他、年に一〇同程度の会期一日臨時会がある。 Ⅲ議員活動による業務への影響議会開催日については、事前に勤務の割り振り・予定表作成段階で、非番・公休(週休日)・非休(時間短縮に伴い、日勤八勤務ごとに一日の休日が付与)・割当年休・代休(祝祭日等の出務に代わる休日)を充てることが十分可能である。 また、日勤の場合、同原告が議員活動のために勤務を欠くことになっても、そのための支障はほとんどなく、夜重の場合も、一名程度の余裕人員が見込まれ、また、六、七 る休日)を充てることが十分可能である。 また、日勤の場合、同原告が議員活動のために勤務を欠くことになっても、そのための支障はほとんどなく、夜重の場合も、一名程度の余裕人員が見込まれ、また、六、七名からたる二組のグループ編成によって作業が実施されるから、所定の要員が欠けても、グループ間の要員運用による補充で、」業務の遂行が容易に確保されることとなっている。 したがって、特に臨時の議会活動が生じない限り、議員活動による業務支障は考えられたい。 ②原告bについてⅠ職務内容、勤務形態等原告bは、昭和五八年四月当時、直方気動車区気動車運転士の職にあった。そめ勤務形態は、概ね前月二五日までに確定される乗務員勤務表(以下「交番表」という。)によって明らかにされるが、乗務員の場合、欠勤・年休等に対処するため、交番表上予め予備員が相当数配置されている(本件当時直方気動車区では乗務員一三六名のうち二二、三名が予備員でいた。)。また、勤務の割り振りも、ほぼ半年前までに個々の職員に判明するように組まれていた。 Ⅱ議員活動の概要原告aと同様Ⅲ議員活動による業務への影響議会開催日については、事前に交番表作成の段階で、非番・公休・非休・割当年休・代休を充てることが十分可能であり、あるいは議会開催日に予備勤務を指定することも容易にでき(直方気動車区の場合、三箇月乗務・一箇月乗務という割り振りであった。)、欠勤や突発休があっても、予備員の充当により勤務操配は極めて容易であった。 したがって、特に臨時の議会活動が生じない限り、議員活動κよる業務支障は考えちれない。 ③原告dについてⅠ職務内容、勤務形態等原告dは、昭和五八年四月当時・豊前川崎駅営業係の職にあり、貨物小荷物取扱・出札補助その他駅構内雑務作業全般を担務していた。その勤務形態は、当初、日 ない。 ③原告dについてⅠ職務内容、勤務形態等原告dは、昭和五八年四月当時・豊前川崎駅営業係の職にあり、貨物小荷物取扱・出札補助その他駅構内雑務作業全般を担務していた。その勤務形態は、当初、日勤あるいは一昼夜交替勤務の組み合わせであったが、一昼夜交替勤務の場合、その翌日はいわゆる明け番(非番)として昼間の勤務はたかった。その後、特殊日勤(午前七時から午後七時まで)となり、三名の要員が、徹夜・非番・徹夜・非番・公休の勤務割り振りに従って業務を処理し、一箇月平均の出勤日数は一六日程度で、その他の曜日は非休・公休・年休に充てられていた。 勤務の割り振りは、前月の二五日までに予定表が作成されて職員に周知され、所定日の四日前に確定されることになっていた。 豊前川崎駅では、昭和五七年度から、助役二名、営業管理係一名、営業係七名、構内作業係六名の合計一七名が勤務しており、営業係は、全員が毎日出勤するのではなく、勤務操配上、三名ないし四各のみが就労する状況にあった。 Ⅱ議員活動の概要」、同原告は、昭和四六年四月、福岡県川崎町議会議員に当選して以来、町議会議員を務めているものであるが、その間、鴨生駅営業係(昭和四二年一一月以降)、豊前川崎駅営業係(昭和五五年五月以降)として勤務していた。 川崎町議会では、年四回定例議会が開催され、各会期とも二回ないし五回本会議が開催されるほか、会期を一日とする臨時町議会が年一〇回程度(ただし、時間はごく短い。)開かれるだけであり、④委員会も所属する委員会にのみ出席すれば足りる。また、定例議会の開会日程は、概ねその半月前には判明する。 その他、議員研修、視察旅行、予算編成時期における国・県への陳情等は、必ずしも出席を要するものではない。 Ⅲ議員活動による業務への影響議会開催日については、事前に勤務 ねその半月前には判明する。 その他、議員研修、視察旅行、予算編成時期における国・県への陳情等は、必ずしも出席を要するものではない。 Ⅲ議員活動による業務への影響議会開催日については、事前に勤務の割り振り・予定表の作成段階で、非番・公休・非休・割当年休・代休を充てることが十分可能であり、現に、同原告は、前月の予定表作成前にその旨申し出て勤務の割り振りを受けていた。それ故、特に臨時の議会行事が生じない限り、議員活動のために休日を取ったり、特別の勤務操配をしたりする必要はなかった。同原告が議員活動に際してほとんど公職休を使用したかったのも、こうした事情による。 また、豊前川崎駅では、同原告に議員活動上の突発的な支障が生じるおそれがあれば、前記のとおり、容易に勤務変更がなされ得る状況にあった。 したがって、議員活動による業務支障は考えられない。ちなみに、同原告が議員と兼職して勤務することにつき、それが業務遂行に支障があるとして現場長から注意・指導を受けたことば全くなかった。 ④原告cについてⅠ職務内容、勤務形態等原告cは、昭和五八年四月当時、桂川駅構内指導係の職にあり、改札などの営業補助.貨車の連結・ポイント清掃その他駅構内雑務作業全般を坦務していた。同原告を含む三名の構内係の勤務形態は、午前七時から午後八時までのC型日勤とされ、三名の要員のうち、現実に職場に出勤して勤務に就く職員は一名に過ぎない。勤務は、出番・出番・非休・公休と割り振られ、一箇月平均の出勤日数は一四日程度であった。 勤務の割り振りは、前月の二五日までに予定表が作成されて職員に周知され、所定日の四日前に確定されることにたっていた。 Ⅱ議員活動の概要同原告は、昭和五四年四月、福岡県桂川町議会議員に当選して以来、町議会議員を務めているもりである。 桂川町 成されて職員に周知され、所定日の四日前に確定されることにたっていた。 Ⅱ議員活動の概要同原告は、昭和五四年四月、福岡県桂川町議会議員に当選して以来、町議会議員を務めているもりである。 桂川町議会では、年四回定例議会が開催され、会期を一日とする臨時町議会が年一二回程度開かれるだけであり、本会議が休会中には各常任委員会も開かれるが、会期中すべて出席を要するものではない。また、定例議会の開会日程は、概ねその半月前には判明する。 Ⅲ議員活動による業務への影響議会開催日については、事前に勤務の割り振り・予定表の作成段階で、非番・公休・非休.割当年休・代休を充てることが十分可能であり、現に、同原告は、前月の予定表作成前にその旨申し出て勤務の割り振りを受けていた。それ故、特に臨時の議会行事が生じない限り、議員活動のために休日を取ったり、特別の勤務操配をしたりする必要はなかった。ただ、同原告の場合、駅当局の指示により公職休誉使用しているが、本来はその必要もなかった。 また、桂川駅では、同原告に議員活動上の突発的な支障が生じるおそれがあれば、前記のとおり三名の要員の枠内で容易に勤務交替がなされ得る状況にあった。 したがって、議員活動による業務支障は考えられない。ちなみに、同原告が議員と兼職して勤務することにつき、それが業務遂行に支障があるとして現場長から注意・指導を受けたことは全くなかった。 5以上のとおり、被告による本件兼職不承認は、いずれも違法・無効なものであるから、原告らは、いずれも被告職員としての地位を失っていないというべきである。 七原告らの主張に対する認否及ぴ反論原告らの主張1(国鉄職員が市町村議会議員に当選した場合と公選法一〇三条一項の不適用)について原告らの主張1の主張はすべて争う。本件は、明らかに公選法一〇三条一項及 原告らの主張に対する認否及ぴ反論原告らの主張1(国鉄職員が市町村議会議員に当選した場合と公選法一〇三条一項の不適用)について原告らの主張1の主張はすべて争う。本件は、明らかに公選法一〇三条一項及び国鉄法二六条二項が適用される場合である。 (一)(公選法一〇三条一項と国鉄法二六条二項との整合的・調整的な条理解釈の必要性)原告らの主張はすべて争う。 (二)(公選法との矛盾)(1)(公選法一〇三条一項と国鉄法二六条二項との関係)公選法一〇三条一項、二項及ぴ国鉄法二六条二項の法文からみれば、国鉄法は、国鉄職員は、国鉄総裁の承認を受けない限り、議員又は長と兼ねることができないものとしているのであるから、同法二六条二項が公選法一〇三条一項にいう「法律の定め」であることに疑問の余地はない。 (2)(繰上補充当選(公選法一〇三条二項)の場合)公選法一〇三条二項の場合には、当該選挙に際し、あらかじめ国鉄総裁の承認があれば、既にその時点で議員との兼職禁止が解除され、当該議員は「法律の定めるところにより当該選挙にかかる議員(略)と兼ねることができない職に在るもの」に該当せず、同条項の適用の余地がないのであるから、原告らの指摘するような確認手段はそもそも必要がないし、また、国鉄職員を辞職しない限り当選の効力が発生しないとが、議員の資格を取得できないという矛盾も生じない。 (3)(公選法の法意)確かに国鉄職員の場合は、国鉄職員であることをうっかり忘れて当選を失うようなことはあり得ないと考えられるが、だからといって、国鉄総裁の承認を期待し又は承認すべきであるとして立候補した職員について、兼職を禁止された職と議員との地位の併存を許さないという公選法の趣旨を貫くべきではないということにはならない。 (三)(国鉄における従来の解釈・運用)(1)(兼 るとして立候補した職員について、兼職を禁止された職と議員との地位の併存を許さないという公選法の趣旨を貫くべきではないということにはならない。 (三)(国鉄における従来の解釈・運用)(1)(兼職基準規程)兼職基準規程中の原告ら主張の規定は、兼職承認に関する国鉄内部の事務手続を定めたものに過ぎず、もとより公選法一〇三条一項及び国鉄法二六条二項の解釈を左右するものではないばかりか、国鉄における右規定の運用は、立候補した職員について事実上選挙前に承認するか否かの意思決定がなされ、立候補者も事前に承認されるか否かを了知しており、右規定で定める当選後の承認願いと承認は、後日これを手続上明確にしておく手続に過ぎなかった。 (2)〈国鉄の公定的解釈)原告ら主張の国鉄法解説は、国鉄法研究会の見解であって、被告の公式見解ではないことは明らかである。 (3)佃(法運用の実態)立候補した職員について兼職を承認すべきか否かは、必ずしも職員が当選しなければ判断し得ない事項ではない。また、立候補した職員としても、あらかじめ当選後の兼職の可否を承知していないと、将来の身分が不安定なままで選挙活動せざるを得ないから、職員にとっては、選挙前に、当選の際には兼職の承認を得られるか否かを承知しておくことの方がはるかに有利であり、事前に条件付で承認をするとの取扱いの方が職員の立場を十分尊重した考え方に立っているというべく、国鉄のこれまでの運用実態も、このような考え方を前提としてきたものである。すなわち、国鉄では、兼職を許可できないと考えた場合は、当選前(場合によっては立候補前)にいわゆる肩叩きの形で当該職員にその旨を告知し、当該職員はその時点で国鉄職員として留まるか、議員となるかをあらかじめ選択して選挙に臨んできたのであり、かかる告知のなかった職員 よっては立候補前)にいわゆる肩叩きの形で当該職員にその旨を告知し、当該職員はその時点で国鉄職員として留まるか、議員となるかをあらかじめ選択して選挙に臨んできたのであり、かかる告知のなかった職員については(当選の際に承認されることが暗黙に了解されていたのであるから、これまで兼職していた職員は全員条件付承認を得ていたのである。また、それだからこそ、議員となった後に、これを不承認とし失職扱いとした例も生じなかったのである。 2(公選法一〇三条一項による失職の効果(仮定主張))原告らの主張2の主張もすべて争う。 公選法一〇三条一項及ぴ国鉄法二六条二項によれば、国鉄職員は、国鉄総裁の承認がない限り、市町村議会議員に当選した旨の告知を受けたときは、法律上当然にその当選告知の日にその職を辞したものとみなされる効果が発生するのであり、右効果を発生させるにつき被告の何らの行為を要するものではない。 原告らの主張は、何ら法文に基礎を有しない独断的見解に過ぎない。また、原告ら主張のような不承認のない限り兼職できるとの慣例的事実もなければ、そもそもこのような法律の明文に反することを内容とする労働契約や慣例が成立する余地もない。 (一)(労基法七条との抵触)国鉄法二六条二項は、原告ら主張の労基法の規定の存在を前提としつつ、国鉄職員の地位や職務の特殊性を考慮して、その特別法として市町村議会議員との兼職を国鉄総裁の承認にかからせたのであるから、国鉄職員について、国鉄法が優先して適用されるのは当然であり、労基法との抵触問題の生じることはない。 (二)(国鉄法二六条二項の改正趣旨との抵触(国鉄職員の地位))昭和二九年の国鉄法改正の審議経過をみても、問題とされる質疑応答は、改正法どおりの修正案が提案される以前のもので、政府委員の答弁も、政府としての確定的な 条二項の改正趣旨との抵触(国鉄職員の地位))昭和二九年の国鉄法改正の審議経過をみても、問題とされる質疑応答は、改正法どおりの修正案が提案される以前のもので、政府委員の答弁も、政府としての確定的な意見ではないと発言した上でのものであるなど、これをもって立法趣旨を述べたものとするのは無理な解釈であるばかりか、その質疑応答の内容からみても、改正法が原告ら主張のような立法趣旨によるものとは到底解し得ない。 右改正の趣旨は、国鉄職員について市議会議員との兼職を禁止していた従前の規定を改めることとしたものの・国鉄職員が無条件に市町村議会議負を兼職できるものとすることは国鉄の業務運営上妥当性を欠くことなどから、特に国鉄総裁の承認を得た者についてのみ兼職を認めることとし、その承認については総裁の裁量に委ねることとしたものである。 しかも、右改正規定が示すように、総裁の右承認については、何らの制限的条項もなく、承認すべき場合等についての基準条項もなく、全くその自由だ裁量に委ねられているのであるから、当然、総裁は諸般の事情を考慮して承認をするか否かを決することができるのである。 (三)(国鉄法二六条二項の文理との矛盾)国鉄法二六条二項但書は、国鉄職員の欠格条項につき、市町村議会議員である者は職員であることができないという原則に対して、国鉄総裁の承認を得た者はこの限りでないとする例外を規定したものに過ぎず、右但書の表現をもって、議員とたる者は議員となった後に総裁の承認を得るという手順を踏むべきことを意味していると読むのは、条文にその本来有する意味以上のものを持ち込もうとするものである。また、職員は当選告知があるまでは議員ではないが、だからといって承認が当選告知以降にならざるを得ないことにはならない。けだし、承認はあらかじめ条件付で与えておく ものを持ち込もうとするものである。また、職員は当選告知があるまでは議員ではないが、だからといって承認が当選告知以降にならざるを得ないことにはならない。けだし、承認はあらかじめ条件付で与えておくことも可能だからである。 原告らのいう矛盾撞着は、議員となった後に日を経て国鉄総裁の承認がなされるとの前提に立つものであるが、総裁の承認はすべて事前に条件付で与えられていたのであるから、右矛盾撞着は解決される。このことは、何ら例外規定を設けていない公選法一〇三条と国鉄法二六条二項とが併存することを前提に、これを整合的かつ合理的に解釈しようとする以上、当然の事柄である。 (四)(公選法による議員と職員との地位の併存の容認)公選法は、議員に当選した者が法律上禁止された兼職をすることは、職員としての職務専念の点からも、かかる状態が違法であることからも、一瞬たりとも許されるべきでないとの立場から、議員等の地位と兼職を禁じられた職との併存を認めていないのであって、同法一〇三条一項は、当選人が兼職を禁止された職にありたがら立候補した以上は、両職のうち議員の職を選択するのが一般であろうと考えられることから、当選人の意思のいかんにかかわらず、当選告知の日に一律に従前の職を失わせるものとし、同条二項は、同条項により五日以内に従前の職を辞した旨の届出をしない限り当選そのものを失い議員たり得たいとともに、かかる届出をするまでは議員ではなく、届出をまって議員としての資格を取得するものとしている。 したがって、当選人が例外的に兼職を許容される可能性のある職にある場合に同法一〇三条一項を適用するについても、その兼職が許容されるか否かは、当選告知の日現在において決すべく、同日において兼職が許容されていなければ同日限り当該職を辞したものとみなされたものとして処 に同法一〇三条一項を適用するについても、その兼職が許容されるか否かは、当選告知の日現在において決すべく、同日において兼職が許容されていなければ同日限り当該職を辞したものとみなされたものとして処理すべきであり、このように解するのが最も条文に則した解釈というべきである。 そして、本件においては、原告らの立候補の際、国鉄総裁が事前に原告らに対し、当選しても兼職の承認をすることはない旨明示してきたところであるから、原告らはいずれも当選告知の日をもって法律上国鉄職員たる地位を失ったこととなるのである。 (五)(当然失職説の不合理性)(1)(民間労働者との不合理性な差別)民間企業においても、市町村議会議員に就任することを理由として懲戒解雇することは許されないものの、通常解雇することは許されるものと解されている。また、公選法一〇三条による失職は、法律上当然生じるもので、職員は立候補の際に当然予想できるものであるところ、被告は、あらかじめ原告らに対し、当選した場合に総裁の承認を得ることはできず、失職することとなる旨通知していたのであるから、解雇以上に不利益となることもない。 る。 (二)(総裁による承認一不承認の基準)国鉄法二六条二項は、昭和二八年の第一六回国会参議院運輸委員会、昭和二九年の第二〇回国会衆議院運輸委員会、同参議院運輸委員会などの審議を経て、同年一二月改正されたのであるが、右改正案の審議に際して、議員兼職と職務に与える影響などについて質疑されたことはあるものの、断片的な論議にとどまり、国鉄総裁の承認に関する具体的基準についてまで審議されてはいないのである。 右改正の趣旨は、国鉄職員について市議会議員との兼職を禁止していた従前の立法措置な改めることとしたものの、職員が無条件に市町村議会議員を兼職できるものとすることは、国 で審議されてはいないのである。 右改正の趣旨は、国鉄職員について市議会議員との兼職を禁止していた従前の立法措置な改めることとしたものの、職員が無条件に市町村議会議員を兼職できるものとすることは、国鉄の業務運営上妥当性を欠くことなどから、特に総裁の承認を得た者についてのみ兼職を認めることとし、その承認については総裁の裁量に委ねることとしたものである。 もとより、総裁が職員に対する兼職の承認・不承認を全く恣意的に決してよいものではなく、法律により職員の身分に関する決定につき権限を付与された以上は、その決定について合理的な裁量判断をすべきことは当然である。しかしながら、国鉄は、民間の企業とは異なる性格を有し、その職員についても、法律に基づく職務専念義務など一般私企業とは違った制約を受けるべきものある。したがって、議員との兼職についても、総裁は、単に業務上の支障の有無だけではなく、諸般の事情を考慮の上、公共企業体の職員でありながら、なお議員との兼職が認められるべきか否かの合理的な判断をすべきことまで求められているというべきである。 (三)(本件兼職不承認の違法性)(1)(一律機械的不承認の違法性)被告が昭和五七年九月一三日付総秘第六六六号「公職との兼職に係る取り扱いについて」の通達に基づき、原告らに対し兼職を承認しないこととしたことは認め、その余は争う。 本件当時、国鉄は、極めて逼迫した経営状態に置かれており、早急にその再建が図られるべく各種の方策が採られていたところ、同年七月三〇日の臨時行政調査会第三次答申は、「国鉄の膨大な赤字はいずれ国民の負担となることから、国鉄経営の健全化を図ることは、今日、国家的急務である。」との認識の下に、緊急に採るべき措置として一一項目の提案をし、その一として、「兼職議員については、今後、認め れ国民の負担となることから、国鉄経営の健全化を図ることは、今日、国家的急務である。」との認識の下に、緊急に採るべき措置として一一項目の提案をし、その一として、「兼職議員については、今後、認めないこと」を挙げていた。この答申を受けて、同年九月二四日に出された「日本国有鉄道の事業の再建を図るために当面緊急に講ずべき対策について」と題する閣議決定においても、国鉄経営の危機的状況に鑑み国鉄が取り組むべき緊急対策の一として、兼職議員の承認の見直しをして、兼職議員については当面認めないこととすべきことが掲げられている。 また、国鉄経営の赤字が問題とされ、その健全化、効率化が図られるにつれて、職員の勤務ぶり等についても、国民の目は厳しく、その厳正化が要望されていた。兼職議員についても、公職活動を行うに当たっては、非番、公休日等の利用だけでなく、実際上、他の職員とは異なった種々の便宜が図られているとの声もあり、その適正化が求められてきた。 このような極めて厳しい経営状況下にあって、国鉄は、これら諸事情を考慮した結果、経営改善へ向けての努力の実が上がり、再建への目途が定かになったと国及び国民から判断されるまでの当分の間、議員との兼職の承認は行わないとの方針を採ることとし、前記通達において、「昭和五七年一一月一日以降、新たに又は改選により、公職の議席を得た者に対しては、兼職の承認は行わない」旨明記して、各所属長への徹底を図ったものであり、国鉄の右措置は、適切・妥当なものであった。 (2)(労働契約条件違反)兼職基準規程は、六条において、兼職が認められない場合として、現場長その他これに準じる一人一職の地位にあるとき及び著しく業務に支障があるときを挙げ、七条において、兼職を承認された職員に対し、議会の正副議長や委員長となることを禁止してい られない場合として、現場長その他これに準じる一人一職の地位にあるとき及び著しく業務に支障があるときを挙げ、七条において、兼職を承認された職員に対し、議会の正副議長や委員長となることを禁止している。これら規定は、他にいかなる事情があるにせよ、所属長の兼職を認めてはならないとするもので、そこに規定する以外の場合には兼職が認められるとするものではない。 (3)(裁量権の濫用)議員活動は、本会議に出席するだけでなく、委員会やその他の会合等に出席するなど、それに要する時間は多大なものである。いかなる企業においても、その職員が他の業務を兼ねることにより、本来的業務に支障が生じることば当然であるが、国鉄のような公共企業体においては、その業務の性格上、一人一人の職員が本来の職務に専念して初めて、公共の福祉を増進するという公共企業体本来の使命を達成することができることはいうまでもない。したがって、これら長時間の欠務を必要とする議員活動が国鉄の業務に何ら影響を与えないなどとする原告らの主張は、全く理由がない。 理由 (本案前の抗弁についての判断)被告は、原告らがいずれも公選法一〇三条一項の規定により被告職員を辞したものとみなされるとした上、これらはいずれも法律の規定により生じたものであり、法律によってみなされた事項については反証の余地がなく、みなされた効果は絶対的に発生するものであって、法律上これを覆す手段は存在しないから、右効果を否定して、原告らの被告職員として地位の存在の確認を求める各請求は、裁判上実現不能な事項を求めるもので、不適法である旨主張する。 しかしながら、原告らの右各請求は、いずれも原告らの被告職員としての地位の存在確認を求めるという具体的権利義務に関するものであり、しかも、その争点は、原告らが地方公 ので、不適法である旨主張する。 しかしながら、原告らの右各請求は、いずれも原告らの被告職員としての地位の存在確認を求めるという具体的権利義務に関するものであり、しかも、その争点は、原告らが地方公共団体の議会の議員に当選したことに伴って、被告職員としての地位を失ったか否かとの点にあり、公選法、国鉄法その他の法律の適用によって終局的に解決し得る事項であって、裁判所による裁判を妨げるべき事情は何ら見いだし得ない。したがって、被告の右本案前の抗弁はそれ自体失当といわざるを得ないから、以下、本案につき検討を進めることとする。 (本案についての判断)一請求原因1ないし3及び抗弁1の各事実並びに原告らがそれぞれ抗弁1記載の各地方議会議員に立候補した際、被告に対し立候補する旨の届出をしたこと、被告が、昭和五七年九月一三日付総秘第六六六号「公職との兼職に係る取り扱いについて」の通達に基づき、門司鉄道管理局長名による同月一八日付文書をもって、原告らに対し、それぞれ、議員兼職を承認しない旨の通知を発し、右各議員との兼職をいずれも承認していないこと、原告dが昭和六二年四月施行の福岡県議会議員選挙に立候補し、同月一四日当選告知を受けたこと、以上は全当事者間に争いがない。 二原告らは、公選法一〇三条一項にいう「法律の定めにより議員又は長との兼職が禁止された職」とは、法律により無条件に兼職が禁止された職をいい、国鉄法二六条二項所定の市町村議会議員のように、兼職の可否が国鉄総裁の承認・不承認にかかっているような場合には、公選法一〇三条一項の適用がない旨主張するので、まず、この点につき判断する。 1 そこで、まず、法律上の兼職禁止規定と公選法の在り方について検討するに、国会議員並びに地方公共団体の議会の議員及び長(以下「公職」という。)の兼職については、公職の側か 、この点につき判断する。 1 そこで、まず、法律上の兼職禁止規定と公選法の在り方について検討するに、国会議員並びに地方公共団体の議会の議員及び長(以下「公職」という。)の兼職については、公職の側から、国会法三九条が、国会議員は国若しくは地方公共団体の公務員又は公共企業体の役員若しくは職員と、地方自治法九二条及び一四一条が、普通地方公共団体の議会の議員及び長は国会議員又は地方公共団体の議会の議員若しくは常勤の職員とそれぞれ「兼ねることができない」と規定し、公務員の側から、国家公務員法一〇一条一項が、国家公務員は法令の定める場合を除き「官職を兼ねてはならない」と定め、地方公務員法九条九項が、人事委員会等の委員は地方公共団体の議会の議員等と「兼ねることができない」と規定している。また、公共企業体の役職員の側からは、国鉄法二〇条、電電公社法一二条三項、二二条等が、国務大臣、国会議員、政府職員(人事院が指定する非常勤の者を除く。)及び地方公共団体の議会の議員(以下「国務大臣等」という。)は公共企業体の委員又は役員「となることができない」と規定し、国鉄法二六条二項本文、電電公社法二八条二項等が、国務大臣等は公共企業体の職員「であることができない」と定め、更に、専売公社法一六条二項が、公社の役員は国会又は地方公共団体の議会の議員「であることができない」と規定していた(なお、法律による兼職禁止は、公職の兼職禁止だけではなく、国家公務員法、地方公務員法の右各規定のように公務員と公務員、国鉄法、電電公社法の右各規定のように公務員と公共企業体の役職員、更には、国家公務員法一〇三条一項、地方公務員法三八条一項のように公務員と営利団体の役員等、国鉄法二三条、電電公社法二五条、専売公社法一六条一項等のように公共企業体の役員と営利団体の役員との各関係についても規定 公務員法一〇三条一項、地方公務員法三八条一項のように公務員と営利団体の役員等、国鉄法二三条、電電公社法二五条、専売公社法一六条一項等のように公共企業体の役員と営利団体の役員との各関係についても規定されている。)。 他方、公選法は、これらの公職の兼職禁止規定を受けて、まず、国又は地方公共団体の公務員について、在職中、公職の候補者となることを禁止し(八九条一項)、公職との兼職が禁止された公務員が立候補の届出等により公職の候補者となったときは、当該公務員の退職に関する法令の規定にかかわらず、その届出の日に当該公務員たることを辞したものとみなし(九〇条)、公職の候補者が立候補制限を受けている公務員となったときは、公職の候補者たる地位を失う旨規定している(九一条)。また、公務員以外で法律により公職との兼職が禁止された職については、当選人で法律の定めるところにより当該選挙にかかる議員又は長と兼ねることができない職に在る者が当選の告知を受けたときは、その告知を受けた日にその職を辞したものとみなし(一〇三条一項)、当選人の更正決定、繰上補充により当選人と定められた者で右の兼職禁止職に在る者が、当選告知を受けたときは、当該選挙事務を管理する選挙管理委員会に対し、その告知を受けた日から五日以内にその職を辞した旨の届出をしないときは、その当選を失う旨定めている(同条二項)。 また、法律上の兼職禁止規定に違反した場合の効果については、公選法の右各規定のほか、国家公務員法八二条一号、地方公務員法二九条一項一号、国鉄法三一条一項一号、電電公社法三三条一項一号、専売公社法二四条一項一号等が、当該兼職禁止規定に違反した職員を懲戒処分として免職等の処分に付することができる旨定め、更に、国鉄法二二条、電電公社法一四条等は、任命権者が兼職禁止規定に違反した役員等を罷免しな 四条一項一号等が、当該兼職禁止規定に違反した職員を懲戒処分として免職等の処分に付することができる旨定め、更に、国鉄法二二条、電電公社法一四条等は、任命権者が兼職禁止規定に違反した役員等を罷免しなければならない旨定めていた。 以上の兼職禁止に関する諸規定を通覧すると、兼職禁止規定を有する法律は、国会法、地方自治法のように公職の側から他の職との兼職を禁止した場合を除き(この場合には、国民の参政権を尊重して、公職自体の失職規定は設けなかったものと思われる。)、右の規定に違反した場合には、任命権者において、当該役職員を罷免、免職等の処分に付することができる旨の規定を置くことによって、右の処分により兼職禁止規定に違反する違法状態を解消することを予定しているものと解される。ところが、公職は、職務内容が高度の政治性と公共性を有し、職務権限も強く、その職責も重大であるから、仮に、公職と他の職との違法な兼職状態の発生を容認すれば、公職への職務専念が妨げられ、不当な地位利用を招くなど公益を著しく害するおそれがあるところ、右処分のみによってかかる違法状態の発生を完全に防止することは事実上不可能である。そのため、公選法は、選挙運動等における地位利用の弊害が特に大きく、職務専念義務も法定されている公務員については、その在職中に公職の候補者となって選挙運動することを禁止するとともに、立候補制限のある公務員が立候補の届出等をしたときには、その届出の日に公務員の職を失うこととし、逆に、公職の候補者が立候補制限のある公務員に就任したときは、公職の候補者たる地位を失うこととして、公務員たる地位と公職の候補者たる地位の併存の可能性をも排除している。また、公務員以外で公職との兼職が禁止された職にある者については、公職に当選した場合は、当選告知の日に兼職禁止職を辞したもの て、公務員たる地位と公職の候補者たる地位の併存の可能性をも排除している。また、公務員以外で公職との兼職が禁止された職にある者については、公職に当選した場合は、当選告知の日に兼職禁止職を辞したものとみなし、当選人の更正決定又は繰上補充の場合は、当選人に対し当選告知の日から五日以内にいずれの職を選択するかを判断させることとし、もって、公職との違法な兼職状態の発生を未然に防止しているのである。 こうした中で、国鉄法二六条二項は、本文において、国務大臣等は、「職員であることができない」としながら、但書において、「市町村の議会の議員である者で」総裁の承認を得たものについてはこの限りでないと定めており、市町村議会議員についてみれば、国鉄職員と市町村議会議員との兼職を原則的に禁止し、国鉄総裁の承認がある場合に限り、右兼職禁止を解除していたものである。そして、公選法の前記のような立法趣旨をも合わせ考えると、公職としての市町村議会議員と兼職禁止職である国鉄職員との違法な兼職状態の発生を未然に防止する必要性は、他の兼職禁止の場合と何ら変わりはないから、国鉄職員が市町村議会議員に当選した場合についても、公選法一〇三条一項の適用があるものといわなければならない。 2 これに対し、原告らは、公選法不適用説の論拠につき縷々主張するが、前判示のとおり、国鉄法二六条二項は、国鉄職員と市町村議会議員との兼職を原則的に禁止し、国鉄総裁の承認がある場合に限って、右兼職禁止を解除したものと解されるから、国鉄職員が市町村議会議員との関係においても公選法一〇三条一項にいう「法律の定めるところにより当該選挙にかかる議員又は長と兼ねることができない職に在る者」に当たることは明白である。そして、国鉄職員が国鉄法の右兼職禁止規定にもかかわらず総裁から事前に兼職の承認を受けないまま兼職が ところにより当該選挙にかかる議員又は長と兼ねることができない職に在る者」に当たることは明白である。そして、国鉄職員が国鉄法の右兼職禁止規定にもかかわらず総裁から事前に兼職の承認を受けないまま兼職が禁止された公職に立候補する以上、当選した場合には、国鉄職員たる地位を失っても公職に就くことを選ぶ意思があるものと容易に推認することができるから、総裁による承認がない場合には公選法の規定により国鉄職員たる地位を失うと解しても、何ら公選法の趣旨ないし法意に反するものとも解せられない。また、同法一〇三条二項が総裁の承認の有無を確認する手段につき定めていないのは、このような付随的な事務手続について法律に規定するまでの必要がなかったからに過ぎず、さらに、国鉄における国鉄法についての従前の解釈・運用が公選法適用説と矛盾しないことは後に判示するとおりである。 したがって、原告らが公選法不適用説の論拠として主張する点は、いずれもその前提を誤ったものですべて理由がないものといわざるを得ない。 3 もっとも、国鉄法二六条二項は、国務大臣等は「職員であることができない」と規定し、国務大臣等は「役員となることができない」と規定する同法二〇条と明確に書き分けており、同法二六条二項は、国務大臣等への就任に伴う国鉄職員たる地位の失職効をも併せて規定するものとの解釈を採ることができれば、公選法不適用説も一応の合理性をもち得るものと思われる。 ところが、前判示のとおり、国鉄法二〇条、電電公社法一二条三項、二二条のように、国務大臣等は公共企業体の役員等「となることができない」と規定している場合については、それぞれ国鉄法二二条、電電公社法一四条が、任命権者において兼職禁止に違反した役員等を罷免しなければならない旨定めていることから、右各兼職禁止規定が失職効まで規定していないこと いる場合については、それぞれ国鉄法二二条、電電公社法一四条が、任命権者において兼職禁止に違反した役員等を罷免しなければならない旨定めていることから、右各兼職禁止規定が失職効まで規定していないことは明らかであるところ、右各兼職禁止規定と「職員であることができない」と規定する国鉄法二六条二項、電電公社法二八条二項との間に、失職効の存否につき特段区別すべき理由は見いだし難い。しかも、仮に、前記のような解釈をすると、専売公社法一六条二項のように、「公社の役員は、国会又は地方公共団体の議会の議員であることができない」と規定する場合、国会議員が公社の役員に就任したときには、当然に国会議員たる地位を失うものと解さざるを得なくなるが、このような解釈の採り得ないことは、前判示の公選法、国会法、地方自治法等の立法趣旨から明らかである。 したがって、前記のような国鉄法二〇条と二六条二項との間の文理上の相違は、単に、公職在職中に公共企業体の役員等となる場合を想定して、右役員等の欠格条項として規定するか、公共企業体の職員在職中に公職に立候補する場合を想定して、右職員の兼職禁止条項として規定するかの違いに過ぎないものと解されるから、同法二六条二項自体に国鉄職員の失職効を含むものとは解することはできないものというべきである。 4 よって、公選法一〇三条一項は、公選法及び国鉄法の文理からも、また、その立法趣旨に照らしても、国鉄職員が市町村議会議員に当選した場合に適用されるものと解するほかはなく、原告ら主張の公選法不適用説は到底採用することができない。 三そこで、次に、国鉄職員が市町村議会議員に当選した場合に公選法一〇三条一項に基づき国鉄職員たる地位を失う時期及び要件について判断するに、国鉄法二六条二項は、前判示のとおり、国鉄職員について、地方公共団体の議会の議員 鉄職員が市町村議会議員に当選した場合に公選法一〇三条一項に基づき国鉄職員たる地位を失う時期及び要件について判断するに、国鉄法二六条二項は、前判示のとおり、国鉄職員について、地方公共団体の議会の議員との兼職を一般的に禁止し、兼職について国鉄総裁の承認がある場合に限り、右のうち市町村議会議員との兼職禁止を解除しているのであるから、総裁による兼職承認がない限りは、国鉄職員は、公選法一〇三条一項にいう「法律の定めにより当該選挙にかかる議員又は長と兼ねることができない職に在る者」に当たり、右の議員等に当選してその告知を受けたときは、右条項に基づいて、当選の告知を受けた日に国鉄職員を辞したものとみなされるものと解する。 これに対し、原告らは、右のいわゆる当然失職説を論難し、公選法一〇三条一項に基づく失職の効果は国鉄総裁による適法な不承認の意思表示があって初めて生じるものとするいわゆる不承認失職説を主張し、その論拠について縷々主張するので、以下、論点別に検討することとする。 1 労基法との関係原告らは、労基法七条につき、公職に就いたことを理由とする雇用契約の解消は原則として許されないとする趣旨の規定であるとした上、労基法の右規定と国鉄法二六条二項との抵触を避けるには、不承認失職説を採るほかはない旨主張する。 しかしながら、労基法七条は、労働者が公民権を行使するために必要な時間については、使用者に職務専念義務を免除すべき旨を命じているにとどまり、その結果生じる業務阻害等を理由として、労働者を休職にしたり、解雇することまで禁じるものではない。そして、前記各兼職禁止規定は、労基法七条を前提としつつも、公務員ないし公共企業体の役職員の職務の公共性、職務専念義務等に鑑みて、公職との兼職に伴う職務への悪影響のおそれが一般的にあると認められる場合について、 兼職禁止規定は、労基法七条を前提としつつも、公務員ないし公共企業体の役職員の職務の公共性、職務専念義務等に鑑みて、公職との兼職に伴う職務への悪影響のおそれが一般的にあると認められる場合について、公職との兼職の禁止を明記するものであり、これに違反したときには、任命権者が法律違反を理由に当該役職員を罷免、免職等の処分に付することも法律上認められているのであって、これら規定と労基法との抵触は、全く生じる余地がない。したがって、これら規定と趣旨を同じくする国鉄法二六条二項が労基法と抵触することはないから、原告らの前記主張は、その前提を欠くものといわざるを得ない。 2 国鉄法二六条二項の改正趣旨との関係原告らは、国鉄とその職員との関係は私的労働契約関係であり、一般職員については、議員兼職を一般的に禁止すべき根拠も格別なく、国鉄法二六条二項の改正の経緯、改正法案の審議経過等を見ても、業務上支障のない場合は、国鉄総裁は兼職を承認すべきであることが当然の前提とされており、その趣旨は解釈運用により達成すべきものとされていたとして、当然失職説はこのような改正趣旨と相容れない旨主張する。 しかしながら、国鉄は、国が国有鉄道事業特別会計をもって経営している鉄道事業その他一切の事業を経営し、能率的な運営によりこれを発展せしめ、もって公共の福祉を増進することを目的に設立された公企業であり(国鉄法一条)、常に円滑かつ確実な鉄道輸送を確保する責務が課されており、しかも、その業務が停廃した場合に生ずる社会的・経済的打撃は極めて甚大であるなど、国鉄の業務は高度の公共性を有していたことから、これに携わる国鉄職員の職責は重く、その職務への専念が強く求められていた(ちなみに、同法三二条二項は、国鉄職員の職務専念義務を法定し、三三条は、災害等の事故発生時、災害が予想される警 ていたことから、これに携わる国鉄職員の職責は重く、その職務への専念が強く求められていた(ちなみに、同法三二条二項は、国鉄職員の職務専念義務を法定し、三三条は、災害等の事故発生時、災害が予想される警戒必要時及び列車遅延時における労働時間、休日等に関する労基法の適用を排除している。)。他方、原告ら各本人尋問の結果によれば、市町村議会議員の職務は、一週間ないし一〇日程度の会期で年に三、四回開かれる定例会、会期が一日で年に数回開かれる臨時会、会期外も不定期に開かれる委員会などに出席するほか、議員研修、視察旅行、国や県への予算陳情活動等にも参加し、更には、日常的に選挙区の世話役活動も行うなど、その内容は多岐にわたり、これに要する時間も決して少なくなく、国鉄職員がこれら議員と兼職する場合、勤務操配において兼職議員の都合を最優先するなど、職場の上司、同僚等の全面的協力及び負担受忍なくしては、国鉄業務への影響が避け難いことが認められ、右認定を覆すに足りる証拠はない。このような国鉄職員の職務の公共性及び職務専念義務、市町村議会議員の職務内容及び活動状況、議員兼職に伴う国鉄業務への影響を勘案すると、議員兼職を一般的に禁止するだけの十分の理由があったものというべきである。 また、国鉄法は、昭和二三年一二月の制定当時は、地方公共団体の議会の議員すべてについて、国鉄職員との兼職を禁止していた(二六条二項、一二条三項三号)が、昭和二六年六月の改正(法律第一八九号)により、町村の議会議員については兼職を認めることとし、昭和二九年一二月の改正(法律第二二五号)により前判示のとおり改正されたものである。そして、成立に争いのない甲第三ないし第五号証によれば、昭和二八年七月二九日の第一六回国会参議院運輸委員会において、市議会議員についても兼職を認めることとする改正案が議 のとおり改正されたものである。そして、成立に争いのない甲第三ないし第五号証によれば、昭和二八年七月二九日の第一六回国会参議院運輸委員会において、市議会議員についても兼職を認めることとする改正案が議員提出され、翌日の委員会において、昭和二九年の右改正法どおりの修正案が可決され、昭和二九年一二月三日の第二〇回国会衆議院運輸委員会の審議を経て、右改正法のとおりの改正が行われたこと、右審議において、委員の中から、業務上に支障がない場合には、総裁は承認しなければならない旨の発言があり、また、当選前に承認を得させるのは実情に合わない旨の委員の質問に対し、提案議員から、委員の右質問の趣旨に賛同する旨の答弁がなされていることが認められる(右認定に反する証拠はない。)が、右各審議における各発言は、いずれも改正法の運用上の留意点についての委員及び提案議員の認識を述べたものに過ぎず、改正法の明文に反した法解釈まで求めるものとは解せられないほか、その他改正の経緯に照らしても、改正法を明文に反して解釈すべきとの立法者意思が存在したと認めるに足りる事情はないといわざるを得ない。 したがって、当然失職説は、何ら右改正法の趣旨に反するものとはいえないから、原告らの前記主張も採用できない。 3 国鉄法二六条二項の文理との関係原告らは、国鉄法二六条二項但書が総裁の承認を求め得る者につき市町村議会の「議員である者」と定め、「議員となる者」とは定めなかったことを理由として、右規定は、当選告知により議員の地位の取得が確定した後、すなわち「議員である者」になった後に、総裁による承認手続が行われることを予定したものであり、当選告知があるまでは、議員たる地位の取得の有無は全くの浮動状態にあるから、承認手続は論理的にも実態上も時系列的にも当選の告知後とならざるを得ないほか、当然 手続が行われることを予定したものであり、当選告知があるまでは、議員たる地位の取得の有無は全くの浮動状態にあるから、承認手続は論理的にも実態上も時系列的にも当選の告知後とならざるを得ないほか、当然失職説に従えば、当選した職員は、当選告知により右但書の「議員である者」になると同時に、公選法一〇三条一項による失職効が生じて、総裁による兼職承認を受ける余地が一切失われることとなり、また、同条二項の繰上補充当選の場合についても、同項が「その職を辞した旨の届出をしないときは、その当選を失う。」と明文をもって定めて、例外を認めていない以上、たとえ議員兼職についての総裁の承認を得たとしても、当該職員が国鉄を辞職しない限り、議員の資格を取得できないとの矛盾に直面せざるを得ないとして、当然失職説が国鉄法二六条二項の文理と矛盾する旨主張する。 確かに、国鉄法二六条二項但書は、市町村議会の「議員である者」で総裁の承認を得た者については国鉄職員との兼職が許される旨規定するが、右の規定は、国鉄職員との兼職が禁止される公職の範囲を定めた同条項の本文及び同法二〇条一号を受けて、例外的に右の兼職禁止が解除される場合を摘示したものであり、それ自体、総裁の承認の時期まで規定したものでないことは右各規定の構成からも明らかであるから、同法二六条二項但書は、当選告知前の事前承認を何ら否定するものとは解せられない。そして、兼職承認は当選を停止条件として当選前に事前にこれを行うことも許されるから、このような停止条件付の事前承認が行われれば、原告ら指摘の矛盾の生じる余地はないこととなる。 また、仮に、兼職承認が当選告知後に事後的に行われたとしても、議員兼職が当選時点に遡って許されることとなり、公選法一〇三条一項に基づく失職効も遡及的に失われて、国鉄職員たる地位も遡及的に回復するも また、仮に、兼職承認が当選告知後に事後的に行われたとしても、議員兼職が当選時点に遡って許されることとなり、公選法一〇三条一項に基づく失職効も遡及的に失われて、国鉄職員たる地位も遡及的に回復するものと解されるから、後に判示するとおり、当選前に、既に兼職の可否が当該職員にも事実上明らかとなっていたような場合には、形式上、当選後に承認を行う運用が行われたとしても、法的にも実際上もほとんど支障がなかったものというべきである。 さらに、当選人の更正決定ないし繰上補充により当選した場合についても、兼職承認が事前又は事後に得られれば、議員兼職が許されることとなり、公選法一〇三条一項にいう公職との兼職禁止職には該当しないこととなるから、同条項によって失職することのないことはいうまでもない。 したがって、原告らの前記主張は、すべてその前提を誤ったものといわざるを得ないから、採用することができない。 4 当然失職説による帰結の当否原告らは、当選失職説を採れば、国鉄職員は地方議会議員に就任したというだけで失職させられ、これを争い是正させる手段を全く奪われてしまうこととなるが、これは、民間労働者、他の公社労働者との不合理な差別であり、また、本件のように一定の時期以降は兼職を一切承認しないとする措置は一律禁止法制への逆行であり、前記改正法が採用した承認制とは本質的に相容れないものであって、このような一律禁止を可能にさせ許容する当然失職説は、承認制自体を崩壊させるものである旨主張する。 しかしながら、前判示のとおり、国鉄法二六条二項は、国鉄職員の職務の公共性及び高度の職務専念義務、市町村議会議員の職務内容及び活動状況、議員兼職に伴う国鉄業務への影響等の諸事情を考慮して規定されたものであり、特に、その職務の公共性及び職場の協力や負担受忍なくして国鉄職員の職 高度の職務専念義務、市町村議会議員の職務内容及び活動状況、議員兼職に伴う国鉄業務への影響等の諸事情を考慮して規定されたものであり、特に、その職務の公共性及び職場の協力や負担受忍なくして国鉄職員の職務と市町村議会議員としての活動との両立が一般的に困難であることに照らすと、国鉄職員と市町村議会議員との兼職を原則として禁止する右規定は十分な合理的根拠を有するものというべきである。したがって、職務の公共性、職務専念義務の程度等において国鉄職員とは異なる民間の労働者や他の公社の労働者と法律上別異の取扱いをしたとしても、何ら不合理な差別とはいえないものである。 また、公選法は、前に判示したとおり、公職の職務内容の高度の政治性と公共性、職務権限の大きさ、職責の重大性、他の職との違法な兼職状態の発生に伴う弊害等を考慮して、このような違法な兼職状態の発生を未然に防止するため、前示の一〇三条一・二項を規定したものであり、右規定には十分な合理性があるというべきである。そして、本件のように、国鉄職員が市町村議会議員に当選した場合において、国鉄総裁による個々の処分ではなく、公選法の右規定に基づき失職の効果が生じる結果、総裁が兼職承認しないことの当否について、雇用契約上の地位を確認する請求としては裁判上争い得なくなったとしても、公選法及び国鉄法の前示の立法趣旨の実現のためには、まことにやむを得ないものというべきである。けだし、原告ら主張の不承認失職説に従えば、総裁による適法な不承認の意思表示がない限り議員兼職が許されることとなるから、兼職議員が不承認措置の適法性を争う以上は、兼職の可否、すなわち、兼職状態の継続の有無は、雇用契約上の地位確認の裁判が確定するまで浮動的状況に置かれ、その間、保全処分等により事実上の兼職状態が生じた場合には、最終的に不承認の適法性が 上は、兼職の可否、すなわち、兼職状態の継続の有無は、雇用契約上の地位確認の裁判が確定するまで浮動的状況に置かれ、その間、保全処分等により事実上の兼職状態が生じた場合には、最終的に不承認の適法性が認められたとしても、違法な兼職状態の発生により回復困難な弊害を残すおそれがあるのであり、公選法及び国鉄法がこのような事態の招来を予定していないことは明らかである。しかも、市町村議会議員に当選する者は、国鉄法により原則として兼職が禁止されていることを知りながら立候補したのであり、公選法の右規定により国鉄職員たる地位を失ったとしても、不測の不利益を課することにもならない。 したがって、原告らの前記主張も、いずれも理由がないものであるから採用しない。 5 国鉄における従来の解釈・運用原告らは、国鉄における公選法及び国鉄法の運用が当然失職説ではなく不承認失職説に基づき運用されてきた旨縷々主張し、前示争いのない事実に、成立に争いのない甲第一号証、第七号証の一ないし五、第八号証の一ないし四、第一六・一七号証、原告d、同c各本人尋問の結果を総合すると、国鉄は、その内部規程である兼職基準規程において、市町村議会議員に当選した国鉄職員のうち兼職を希望する者は、直ちに所属長に兼職の承認願を提出してその承認を受けなければならず(五条)、右承認願の提出を受けた所属長は、現場長その他これに準じる一人一職の職にある者又は業務遂行に著しい支障があると認めたときは、承認してはならない(六条)旨規定していたこと、国鉄では、職員が町議会議員に立候補して当選した場合において、所属長が当該職員から立候補届及び兼職承認願を徴求しなかったこともあり、所属長からの承認通知が当選後数箇月を経てからなされた例もあったことが認められ(右認定に反する証拠はない。)、右の事実によれば、右兼職基 当該職員から立候補届及び兼職承認願を徴求しなかったこともあり、所属長からの承認通知が当選後数箇月を経てからなされた例もあったことが認められ(右認定に反する証拠はない。)、右の事実によれば、右兼職基準規程五条は国鉄職員からの議員兼職承認申請手続が当選後に行われることを前提とするものであり、実際上も右規程に副いつつ、しかも、かなりルーズな運用がなされていたことが認められる。 しかしながら、当然失職説を採ったとしても、議員兼職の承認は、法律上、当選の前後いずれにおいてもなし得るものであることは、前に判示したとおりであり、しかも、前示事実に、前掲甲第一号証、第一六号証、成立に争いのない甲第六号証、原告d、同c各本人尋問の結果、弁労の全趣旨を総合すると、前記兼職基準規程では、職員が市町村議会議員に立候補した場合は、すみやかに立候補届を所属長に提出しなければならず(三条)、所属長は、総裁に代わって兼職承認を決することとされ、前認定の立候補届を徴求しない場合であっても、所属長は、当該職員からの通告等によって、職員の立候補の事実を事前に了知していたこと、昭和五七年九月一三日総秘達第六六六号「公職との兼職に係る取り扱いについて」に基づき、同年一一月一日以降、新たに改選により公職の議席を得た者に対して、兼職の承認を行わないとの取扱いが実施される以前は、兼職承認願に対して不承認となった事例のなかったことが認められ、右認定を左右するに足りる証拠はない。したがって、総裁に代わって兼職承認の権限を有する所属長は、立候補届等により、職員の立候補の意向を立候補前から了知し得たのであり、その段階で、事実上当該職員に対して、兼職の可否について明示的又は黙示的に伝達することも可能であったのであり、しかも、右通達が施行される前には、承認が拒否された事例がなかったことから 得たのであり、その段階で、事実上当該職員に対して、兼職の可否について明示的又は黙示的に伝達することも可能であったのであり、しかも、右通達が施行される前には、承認が拒否された事例がなかったことからすると、右通達施行前には、公職に立候補した職員は、遅くとも当選時までには兼職承認権限を有する所属長の意向を知り得たものと認められるから、当然失職説を採りつつ当選後に承認申請手続を行うことは、法的にも実際上も何ら支障がなかったものということができる。さらに、前示兼職基準規程六条は、兼職承認をしてはならない場合を例示したものに過ぎないから、当然失職説と矛盾するものでないことはいうまでもない。 なお、成立に争いのない甲第二号証によれば、日本国有鉄道法研究会(国鉄総裁室法務課内)編「日本国有鉄道法解説」(昭和四八年刊行)の中には、国鉄職員が市町村議会議員に当選した場合について、当選告知をもって当然失職とはならず、国鉄総裁が兼職を不承認とするか又は本人の退職の申し出により退職の発令をして初めて失職する旨の記載のあることが認められる(右認定に反する証拠はない。)が、前判示のとおり、右解釈は明らかに公選法及び国鉄法の文理及び立法の趣旨に反したものといわざるを得ず、しかも、このような私的な研究会の見解によって法律の解釈を左右すべき理由もない。 よって、原告らの前記主張は、すべて失当といわざるを得ない。 6 以上のとおり、当然失職説を論難する原告らの主張は、すべて理由がないものといわなければならない。 四さらに、原告らは、仮に当然失職説に従ったとしても、国鉄総裁による議員兼職承認は、何ら職員に対して特別の恩恵や利益を与える行為ではなく、不承認こそが、労働者の対使用者との関係において本来有する自由に対する重大な制限であり、しかも、右行為は、公定力を伴わない私人 議員兼職承認は、何ら職員に対して特別の恩恵や利益を与える行為ではなく、不承認こそが、労働者の対使用者との関係において本来有する自由に対する重大な制限であり、しかも、右行為は、公定力を伴わない私人の行為に過ぎないから、不承認につき自由の制限の根拠として十分首肯するに足りる合理的理由を欠く場合には、兼職承認申請をした職員において、承認があったのと同様の法的地位を取得するものと解すべきである旨主張するが、右主張は、公選法一〇三条一項を空文化させるための原告ら独自の見解に過ぎず、何らの法的根拠をも見いだし得ないから、採用の限りでないことはいうまでもない。 五以上の次第で、原告らは、いずれも、国鉄職員に在職中、昭和五八年四月二四日行われた統一地方選挙において、市又は町の議会の議員に立候補して当選し、そのころ当選の告知を受けたものであり、国鉄職員と右各公職との兼職につき国鉄総裁の承認を得ていないものであるから、公選法一〇三条一項、国鉄法二六条二項、二〇条一号に基づいて、右当選告知の日に国鉄職員たる地位を辞したものとみなされることとなったものと認められるから、被告の抗弁は理由がある。 (結論)よって、原告らの本件各請求は、その余の点につき判断するまでもなくいずれも失当であるからこれらをすべて棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九三条一項本文を適用して、主文とおり判決する。 (裁判官渕上勤中谷雄二郎井戸謙一)
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