平成22(行ウ)183 特許庁による手続却下の処分に対する処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成22年9月9日 東京地方裁判所
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判決文本文8,894 文字)

- 1 -平成22年9月9日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成22年(行ウ)第183号特許庁による手続却下の処分に対する処分取消請求事件口頭弁論終結日平成22年8月31日判決米国<以下略>原告ショットコーポレーション同特許管理人弁理士滝田清暉東京都千代田区<以下略>被告国裁決行政庁特許庁長官同訴訟代理人弁護士竹野下喜彦同指定代理人矢島千鶴同市川勉同大江摩弥子同天道正和主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 本件につき原告のために控訴の付加期間を30日と定める。 事実 及び理由第1請求特願2005-311078について特許庁長官が平成21年5月20日付けでした,同年2月16日付け手続補正書に係る手続を却下する処分を取り消す。 第2事案の概要- 2 -本件は,原告が,パリ条約(1900年12月14日にブラッセルで,1911年6月2日にワシントンで,1925年11月6日にヘーグで,1934年6月2日にロンドンで,1958年10月31日にリスボンで及び1967年7月14日にストックホルムで改正された工業所有権の保護に関する1883年3月20日のパリ条約をいう。以下同じ)に基づき優先権の主張をした。 特許出願について,特許法43条2項に規定する書類(以下「優先権証明書」という)を手続補正書により提出したところ,特許庁長官から,上記書類が。 同項に規定する提出期間(最先の優先権主張の日から1年4か月間)の経過後に提出されたことを理由に,上記手続補正書に係る手続の却下処分を受けたことから,被告に対し,同処分の取消しを求めた事案である。 争いのない事実(1)原告は平成16年10月27 月間)の経過後に提出されたことを理由に,上記手続補正書に係る手続の却下処分を受けたことから,被告に対し,同処分の取消しを求めた事案である。 争いのない事実(1)原告は平成16年10月27日米国特許商標庁に対し特許出願出,,,(願番号:10/973,239。以下「先の出願」という)をした。 。 (2)原告は,平成17年10月26日,日本の特許庁長官に対し,特許出願(特願2005-311078。以下「本件出願」という)をした。本件。 出願に係る出願書には,原告がパリ条約の規定により先の出願に基づく優先権の主張をしようとする旨及び特許法(以下「法」ということがある)4。 3条1項に規定するその余の事項が記載がされていた。 (3)しかしながら,原告は,法43条2項に規定する優先権証明書(最初に出願をし,若しくはパリ条約4条C( )の規定により最初の出願とみなされ た出願をし,若しくは同条A( )の規定により最初の出願をしたものと認め られたパリ条約の同盟国の認証がある出願の年月日を記載した書面,その出願の際の書類で明細書,特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲及び図面に相当するものの謄本又はこれらと同様な内容を有する公報若しくは証明書であってその同盟国の政府が発行したもの)を,同項の規定する提出(。 ,期間内同項各号に掲げる日のうち最先の日から1年4か月以内本件では- 3 -先の出願の日から1年4か月以内(平成18年2月27日まで)に,特許)庁長官に対して提出しなかった。そのため,上記(2)の優先権の主張は,法43条4項により,その効力を失った。 (4)原告は,平成21年2月16日,特許庁長官に対し,優先権証明書提出書を提出物件とする手続補正書(甲3。以下「本件補正書」という)を提。 出し,上記( 法43条4項により,その効力を失った。 (4)原告は,平成21年2月16日,特許庁長官に対し,優先権証明書提出書を提出物件とする手続補正書(甲3。以下「本件補正書」という)を提。 出し,上記(2)の優先権の主張の効力の回復を求めた。 (5)これに対し,特許庁長官は,法43条2項に規定する提出期間経過後の優先権証明書提出書(写し)を願書に追加する補正は認められない旨を記載した,平成21年4月7日付け却下理由通知書(甲5)を原告に送付した。 原告は,法43条2項に規定する提出期間内に優先権証明書を提出しなかった瑕疵も補正によって救済されるべきであることなどを記載した,平成21年5月8日付け弁明書(甲6)を特許庁長官に提出した。しかしながら,特許庁長官は,同月20日付けで,上記却下理由通知書に記載した理由により本件補正書に係る手続を却下する旨の処分(以下「本件処分」という)。 を行った。 (6)原告は,平成21年7月16日付けで,本件処分に対する行政不服審査法に基づく異議申立てを行った。これに対し,特許庁長官は,同年11月12日付けで,上記申立てを棄却する旨の決定を行った。 (7)原告は,平成22年4月15日,本件処分の取消しを求める本件訴えを提起した。 争点 本件処分は適法か否か 争点に関する当事者の主張[原告の主張]( )主位的主張 パリ条約上の優先権の制度は,同じ発明に係る特許権は世界のどこで出願- 4 -しても最初に出願した者が獲得することを原則とする合意の上に,各国の主権及び特許独立の原則を認めつつ,最初に出願した国以外の国に出願する際の出願人の負担を軽減させる制度である。 したがって,法43条1項に規定するパリ条約による優先権の主張の手続を行った者は,その時点で「優先権の恩恵を受ける権利」を獲得するもの, 以外の国に出願する際の出願人の負担を軽減させる制度である。 したがって,法43条1項に規定するパリ条約による優先権の主張の手続を行った者は,その時点で「優先権の恩恵を受ける権利」を獲得するもの,であり,この権利は,憲法29条に規定された財産権の一種である私有財産であり,外国人にも認められるべきものである。 ,,,一方法43条2項はパリ条約による優先権の主張をした出願人に対し最先の優先権の主張日から1年4か月以内に優先権証明書を提出すべきことを義務付けている。しかしながら,同規定は,出願人の優先権主張が真正かつパリ条約に基づく正当な権利の行使であるか否かを確認するための規定であり,優先権主張が正当にされたことを形式的に確認するための,単なる手続規定にすぎない。また,法17条は「手続をした者は,事件が特許庁に,,。」,係属している場合に限りその補正をすることができると規定しており法43条2項に規定する手続を履行しなかった場合に,補正によってその瑕疵を治癒することができないとは記載されていない。 ,,そうすると法43条2項の規定に違反したという手続的瑕疵については特に不都合が発生しない限り広く補正を認め,私有財産たる「優先権の恩恵を受ける権利」を保護するのが相当である。実際,本件に関しては既に審査段階に入ったという状態ではなく,補正を認めても,審査の手間が余分にか。 ,,,かることはないまた優先権制度の趣旨は上記のとおりであり第三者は本来,優先権を有していた出願人に勝つことはできないものであるから,上記補正を認めても,第三者に不測の不利益を与えるものではない。米国,欧州(EPC)及び韓国等の特許出願主要国でも,出願人の利益を優先し,優先権の回復が認められている。 よって,必要以上に法43条2項の規定を厳格 ても,第三者に不測の不利益を与えるものではない。米国,欧州(EPC)及び韓国等の特許出願主要国でも,出願人の利益を優先し,優先権の回復が認められている。 よって,必要以上に法43条2項の規定を厳格に解して補正を認めず,私- 5 -,,有財産を公権力で剥奪するかのような本件処分は憲法29条1項に違反し違法である。 ( )予備的主張 特許庁は,原告が法43条2項に規定された期間内に特許庁長官に優先権証明書提出書を提出しなかったという行為について,単なる手続の瑕疵であるとは解さず,原告による優先権の主張を取り下げる旨の意思表示であるとみなしているものと解される。 しかしながら,原告が法43条2項に規定された期間内に優先権証明書提出書を提出しなかったのは,原告の特許管理人が,本件出願当時「優先権,書類データの交換に基づく優先権書類提出義務の免除(平成11年1月1」日以降の出願について適用)に基づいて既に欧州出願に基づく優先権の主張出願に関しては優先権証明書の提出をする必要がなかったことから,当然,米国出願に基づく優先権主張についても同様であると錯覚し,原告に優先権書類の送付を催促しなかったためである。 したがって「優先権主張を取り下げる」という原告の見かけ上の意思表,示は,民法95条により無効である。そして,特許法上「無効」の概念に,は遡及効があり(法125条,これに,民法95条の錯誤の規定が意図す)る救済の精神及び前記( )の優先権制度の精神を加味すれば,本件補正書に よる優先権証明書提出書の補充は認められるべきである。 よって,本件処分は,実質的に民法95条に違反し,憲法29条で保証された私有財産を実質的に剥奪するものであるから,違法である。 [被告の主張]( )本件処分の適法性について パリ条約による優先権の て,本件処分は,実質的に民法95条に違反し,憲法29条で保証された私有財産を実質的に剥奪するものであるから,違法である。 [被告の主張]( )本件処分の適法性について パリ条約による優先権の主張に関する手続は,同条約4条Dに規定されている。同条D( )は「最初の出願に基づいて優先権を主張しようとする者 ,は,その出願の日付及びその出願がされた同盟国の国名を明示した申立てを- 6 -しなければならない。各同盟国は,遅くともいつまでにその申立てをしなければならないかを定める」として,同条約による優先権の主張をする際の。 手続を規定しており,同条D( )は「同盟国は,優先権の申立てをする者 ,に対し,最初の出願に係る出願書類(明細書,図面等を含む)の謄本の提。 出を要求することができる(中略)その謄本には,その主管庁が交付する。 。」出願の日付を証明する書面及び訳文を添付するよう要求することができるとして,同盟国が優先権証明書の提出を求めることができることを規定している。また,同条D( )は「出願の際には,優先権の申立てについて他の ,手続を要求することができない。各同盟国は,この条に定める手続がされなかつた場合の効果を定める。ただし,その効果は,優先権の喪失を限度とする」として,同条Dに基づく手続を履行しない場合には優先権を失効させ。 ることができることを規定している。 パリ条約4条Dの規定に基づいて,法43条1項は,同条約による優先権を主張しようとする者は,特許出願と同時に,優先権を主張する旨,最初に出願した同盟国の国名及び最初の出願の出願日を記載した書面を提出しなければならないことを規定している。また,同条2項は,優先権証明書を最初の出願の日から1年4か月以内に提出しなければならない旨を規定し,同条4項は,優先 び最初の出願の出願日を記載した書面を提出しなければならないことを規定している。また,同条2項は,優先権証明書を最初の出願の日から1年4か月以内に提出しなければならない旨を規定し,同条4項は,優先権証明書を優先権証明書提出期間内に提出しないときは,当該優先権の主張は失効する旨を規定している。 ,,上記のとおりパリ条約による優先権の主張がその効力を生じるためには,,,同条約4条Dに基づいて法43条1項及び2項が規定する手続すなわち①出願と同時にする優先権を主張する旨及び必要な事項を記載した書面の提出又はそれらの事項の願書への記載(特許法施行規則27条の4第1項)のほか,②優先権証明書提出期間内に優先権証明書を提出することが必要であり,①の手続を履行したとしても,②の手続を怠った場合には,当該優先権の主張はその効力を失う(法43条4項。法43条が,優先権の主張につ)- 7 -いて,このような厳格な手続を規定しているのは,優先権の主張が,先願主義の例外事由となり,また,新規性等判断の基準日を遡らせるなど,その効果が第三者に与える影響が大きいからである。優先権証明書提出期間経過後に優先権証明書を提出する補正を認めることは,同条2項及び4項の規定に明確に違反する。 したがって,補正を認めなかった本件処分は適法である。 ( )原告の主位的主張について 仮に,パリ条約による優先権が財産権の一種であるとしても,特許法は憲法29条2項の規定する「法律」に該当するから,法43条2項に規定する手続を履行しない場合に同条4項の規定により優先権の主張の効力を失わせることは,憲法29条に違反するものではない。法43条2項及び4項のように,提出期間を明文で定め,期間内に提出しなかった場合には主張の効力が失われる旨を規定しているものについて,期間経 効力を失わせることは,憲法29条に違反するものではない。法43条2項及び4項のように,提出期間を明文で定め,期間内に提出しなかった場合には主張の効力が失われる旨を規定しているものについて,期間経過後の提出を認めることは,明文規定に違反することとなり,補正の範囲を超えるものであることが明らかである。 また,当該優先権主張に係る優先権証明書を提出しないまま優先権証明書提出期間が経過した場合,同一の発明について,当該優先権による基準時よりも後で,我が国の出願より前に,パリ条約の同盟国に出願をした第三者がいれば,その第三者に先後願等の特許要件につき優先順位が与えられる。優先権証明書提出期間経過後に優先権証明書の提出の補正を認めると,この優先順位が失われることになり,第三者に重大な不利益をもたらす。 したがって,原告の主位的主張は失当である。 ( )原告の予備的主張について 法43条2項が規定しているのは,優先権証明書の提出であって,当該提出行為を民法上の意思表示とみることは困難である。また,本件では,優先権証明書が提出されないまま提出期間が経過しただけであって,原告の何ら- 8 -かの行為があったわけでもない。仮に,民法95条の類推適用を検討したとしても,法43条2項は,優先権証明書の提出期間を明文で規定しているから,原告(ないし原告の特許管理人)がその提出期間を失念ないし誤解したのであれば,民法95条ただし書の「重大な過失」に該当し,原告において無効を主張することはできないというべきである。 第3当裁判所の判断 本件処分の適法性特許法は,パリ条約による優先権の主張について,出願と同時に優先権の主張をする必要があり(法43条1項,さらに,最先の優先権主張の日から1)年4か月以内に優先権証明書を提出する必要があるとし(同条2項, は,パリ条約による優先権の主張について,出願と同時に優先権の主張をする必要があり(法43条1項,さらに,最先の優先権主張の日から1)年4か月以内に優先権証明書を提出する必要があるとし(同条2項,優先権)証明書が上記期間内に提出されないときは,当該優先権の主張は効力を失うものと定めている(同条4項。そして,特許法上,上記の優先権の主張が効力)を失った場合に同効力の回復を認める旨の規定は存在しない。 本件においては,前記争いのない事実で判示したとおり,最先の優先権主張の日は,先の出願の日である平成16年10月27日であり,優先権証明書の提出期間の末日は平成18年2月27日であるのに,原告は,同日までに特許庁長官に対して優先権証明書を提出しなかったことにより,原告による優先権の主張は,法43条2項及び4項の規定に基づき効力を失ったものである。そして,原告が優先権証明書提出書を提出物件とする手続補正書(本件補正書)を特許庁長官に提出したのは上記提出期間の経過後である。 したがって,原告がした本件補正書に係る手続は,特許法上の根拠を欠く不適法な手続であって,その補正をすることができないものであるから(法18条の2第1項,これを却下した本件処分の判断は適法であると認められる。 ) 原告の主位的主張についてこれに対し,原告は,原告が本件補正書を特許庁長官に提出したのは法43条2項に規定する優先権証明書の提出期間の経過後であるものの,パリ条約上- 9 -の優先権制度の趣旨に鑑みれば,同項の規定に反したという手続的瑕疵については,特に不都合が発生しない限り広く補正を認め,私有財産たる「優先権の恩恵を受ける権利」を保護するのが相当であり,同項の規定を必要以上に厳格に解して補正を認めず,私有財産を公権力で剥奪するかのような本件処分は,憲法29条 い限り広く補正を認め,私有財産たる「優先権の恩恵を受ける権利」を保護するのが相当であり,同項の規定を必要以上に厳格に解して補正を認めず,私有財産を公権力で剥奪するかのような本件処分は,憲法29条1項に違反し違法である旨を主張する。 しかしながら,パリ条約は,優先権を主張する場合の手続について規定した上で(4条D( ),( ),( ) ,かかる手続がされなかった場合の効果につい 4 )ては,優先権の喪失を限度として各同盟国において定めることを認めており,特許出願制度において優先権証明書の提出期間を徒過した場合にどのような措置を講ずるかという問題を,優先権の喪失を限度として各国の立法政策等に委ねているのであり,我が国は,同条約に基づき,法43条4項で,優先権証明書の提出期間を徒過した場合に,優先権の主張の効力を失わせることとする措置を講じたものである。パリ条約による優先権は,パリ条約の同盟国の第一国に出願した者が他の同盟国(第二国)において出願するについて,一定期間に限り,先後願の関係,新規性,進歩性等の判断の基準日としての出願日を第一国出願の日に遡らせることができる特別な利益であり,先願主義の例外事由となり,新規性等の判断の基準日を遡らせるなど,その効果が第三者に与える影響は大きいものである。上記のような我が国の制度の下で,提出期間内に優先権証明書を提出しなかったことにより失効した優先権主張の手続を,その後に優先権証明書が提出されたことにより,事後的に有効な手続と取り扱うことを認めた場合,当該優先権による基準時より後の日で,当該出願より前の日までに同一発明の出願を完了した第三者は,優先順位が覆ることになる不利益を被ることになるのであり,明文の規定のないまま,解釈により,いったん失効した優先権主張の手続を復活させる取扱いをするこ 前の日までに同一発明の出願を完了した第三者は,優先順位が覆ることになる不利益を被ることになるのであり,明文の規定のないまま,解釈により,いったん失効した優先権主張の手続を復活させる取扱いをすることは,手続の安定を害し,許されないというべきである。 原告の主張は,立法論としてはともかく,解釈論としては到底採用すること- 10 -ができない。本件において失効した優先権の主張を補正により復活させなかったことが,原告の財産権等の法的利益を侵害するものであるといえないことは明らかである。 したがって,法43条2項及び4項に基づき本件補正書に係る手続を却下した本件処分は,憲法29条1項に違反するものとは認められず,原告の主張は理由がない。 原告の予備的主張について原告は,原告が法43条2項に規定された期間内に優先権証明書提出書を提出しなかったのは,錯誤によるものであるから無効であり,錯誤の規定が意図する救済の精神及び優先権制度の精神を加味すれば,本件補正書による優先権証明書提出書の補充は認められるべきであり,本件処分は,実質的に民法95条に違反し,憲法29条で保証された私有財産を実質的に剥奪するものであるから違法であると主張する。 しかしながら,仮に,原告が法43条2項に規定された期間内に優先権証明書提出書を提出しなかった行為が原告(ないし原告の特許管理人)の何らかの思い違いに基づくものであったとしても,上記行為は,単なる事実行為であって,意思表示と認めることはできないから,同行為について民法95条の適用はない。仮に,民法95条の適用があり得るとしても,法43条2項及び4項は,2項の規定する期間内に優先権証明書を提出しなかった場合に優先権の主張が効力を失う旨を規定しているにとどまり,上記行為が錯誤に基づくものであったからといって,これに しても,法43条2項及び4項は,2項の規定する期間内に優先権証明書を提出しなかった場合に優先権の主張が効力を失う旨を規定しているにとどまり,上記行為が錯誤に基づくものであったからといって,これにより,同条2項に規定する期間内に原告が優先権証明書を提出したことになるわけではない。そして,法に定められた期間内に優先権証明書が提出されなかった場合には,優先権の主張は失効し,いったん失効した優先権の主張を補正により回復させることは許されないことについては,前記2のとおりである。 したがって,原告の主張する上記事実は,原告の優先権の主張が効力を失っ- 11 -たという効果に何ら影響を及ぼすものではなく,原告の主張は失当である。 結語以上のとおりであるから,本件処分は,その取消しの理由となる違法事由があるとは認められず,適法であると認められる。 よって,原告の請求は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第47部裁判長裁判官阿部正幸裁判官山門優裁判官柵木澄子

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