- 1 -主文被告人を懲役2年2月に処する。 理由(罪となるべき事実)被告人は,A弁護士会所属の弁護士であったものであり,平成23年6月27日にB家庭裁判所からCの成年後見人に選任され,その財産管理等の業務に従事していたものであるが,京都市a区b町c番地d株式会社D銀行E支店に開設された「C成年後見人弁護士F」名義の普通預金口座の預金を,Cのために業務上預かり保管中,別表(省略)記載のとおり,平成30年11月30日から令和元年11月27日までの間,12回にわたり,上記支店において,自己の用途に費消する目的で上記口座から現金合計2100万円を出金して着服し,もって横領した。 (証拠の標目)省略(法令の適用)省略(量刑の事情)被告人は,弁護士として高い職業倫理を備え,誠実に職務を行うことを信頼されて成年後見人に選任され,被後見人の財産を守るべき立場にありながら,その立場を悪用して,約1年間に12回にわたり着服を重ねたもので,被害は現金合計2100万円と高額に及んでいる。委託信任関係を踏みにじり,弁護士という職業や成年後見制度に対する信頼をも揺るがしかねない悪質な犯行というほかない。弁護士業による収入が減ったのに適切な対応をとらず,事務所経費や生活費等に困ると,これらを支払うため,あるいはこれらに流用した預り金を補填するなどのため,着服を重ねたという経緯等にも,酌むような点はない(臨床心理士が説明する,自閉的で内面にこもるなどといった被告人の性格傾向等を考慮しても,この評価は変わらない。)。 これらの事情に照らすと,被告人が,家庭裁判所に対する報告を怠るなどして本件が発覚した後,周囲の助力を得て速やかに2100万円を弁償したことを踏まえ - 2 -ても,本件の犯情はかなり重いといわざるを得ない。 と,被告人が,家庭裁判所に対する報告を怠るなどして本件が発覚した後,周囲の助力を得て速やかに2100万円を弁償したことを踏まえ - 2 -ても,本件の犯情はかなり重いといわざるを得ない。 その余の事情をみると,被告人は,事実を素直に認め,上記被害弁償に加えて成年後見人報酬全額(約265万円)の返金をしたほか,弁護士を辞め,臨床心理士のカウンセリングを受けるなどして自身の問題点の理解と改善にも努めるなど,真摯に反省して更生の意欲を示している。加えて,もとより前科はなく,これまで弁護士として社会に貢献した面もあったこと,自宅を売却して債務の弁済に充て,法律事務所事務員として働き始めており,その弁護士と母がそれぞれ監督を約していることなどの事情を併せ考慮し,そのほか,自業自得とはいえ離婚を余儀なくされるなどしたこと,知人である多数の弁護士らが被告人のために嘆願書等を寄せていることなども相応に考慮に入れても,上記の犯情の重さに照らすと,刑の執行を猶予するのが相当とまでは考えられないが,刑期としては主文の程度にとどめるのが相当と判断する。 (求 刑 懲役4年)令和3年9月24日京都地方裁判所第1刑事部裁判官 平手一男
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