判決 主文 1 被告は、補助参加人らに対し、連帯して、2142万9068円及びこれに対する令和3年4月30日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払う よう請求せよ。 2 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用(補助参加によって生じた費用を除く。)は、これを3分し、その1を被告の負担、その余を原告らの負担とし、補助参加人らの補助参加によって生じた費用は、これを3分し、その1を補助参加人らの負担、その余を原告ら の負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告は、補助参加人らに対し、連帯して6248万2397円及びこれに対する平成28年3月31日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払うよう 請求せよ。 第2 事案の概要 1 事案の骨子本件は、鹿児島県大島郡天城町(以下「天城町」という。)が実施した国土交通省の社会資本整備総合交付金(以下、単に「交付金」という。)の交付対象事 業である防災センター新築工事に関し、補助参加人らが行った後記⑴及び⑵の不法行為により天城町に合計6248万2397円の損害が生じたにもかかわらず、天城町の執行機関である被告が補助参加人らに対して損害賠償請求権を行使しないのは違法であるとして、天城町の住民である原告らが被告に対し、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、共同不法行為に基づく損害賠償 として連帯して6248万2397円及びこれに対する平成28年3月31日 (最終不法行為日)から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の範囲内である年3分の割合による遅延損害金の支払を補助参加人らに請求することを求める事案である。 ⑴ 前記工事のうち補助参加人a から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の範囲内である年3分の割合による遅延損害金の支払を補助参加人らに請求することを求める事案である。 ⑴ 前記工事のうち補助参加人a 建設が請け負った工事が平成27年度中に完成しないことから、天城町の職員等であった補助参加人e らは、適法に交付 金を受給すべく事故繰越の承認(財政法42条ただし書、43条1項)を得るために必要な手続を行う義務を負っていたにもかかわらず、これを怠ったため、上記工事に係る交付金の交付決定が一部取り消され、天城町が、国に対して、交付済みの交付金のうち4029万8225円の返還を余儀なくされ、天城町に同額の損害を発生させた(以下「不法行為1」という。なお、 本件の請求(前記第1)においては、補助参加人a 建設も不法行為1を理由とする損害賠償請求の相手方とされているが、原告らの主張においては、補助参加人a 建設は不法行為1の加害者には含まれない(原告ら第7準備書面16頁)。)。 ⑵ 補助参加人らが、前記工事のうち補助参加人a 建設が請け負った部分につ いて、実際には完成していないにもかかわらず、完成した旨の虚偽の検査調書等を作成した上、平成28年3月31日に国に対して交付金を不正に請求し、受給したことにより、天城町が当該不正受給に係る交付金に対する加算金2218万4172円の支払を余儀なくされ、天城町に同額の損害を発生させた(以下「不法行為2」という。)。 2 関係法令の定め関係法令のうち、本件に関係する規定は、別紙「関係法令の定め」のとおりである。 3 前提事実以下の事実は、当事者間に争いがないか、掲記の証拠(特記しない限り枝番 を含む。)及び弁論の全趣旨により容易に認められる。 関係法令の定め」のとおりである。 3 前提事実以下の事実は、当事者間に争いがないか、掲記の証拠(特記しない限り枝番 を含む。)及び弁論の全趣旨により容易に認められる。 ⑴ 当事者等ア原告らは、天城町の住民である。 イ被告は、普通地方公共団体である天城町の長(執行機関。以下、役職及び部署については特記がない限り、天城町の役職及び部署を指す。)である。 天城町の町長は平成30年12月27日から現在まで補助参加人bがそ の地位にある。なお、補助参加人bは、平成27年度当時、副町長であった。 ウ補助参加人e は、平成27年度当時、建設課長であった。 エ補助参加人dは、平成27年度当時、総務課長であった。 オ補助参加人cは、平成27年度当時、町長であった。 カ補助参加人a 建設は、鹿児島県大島郡l町内に本店を置く土木建築測量工事の請負業務、土木建築設計及び工事監理業務等を目的とする株式会社である。 (甲1)⑵ 防災センターの新築計画及び天城町と補助参加人a 建設との間の請負契約 の締結ア天城町は、平成25年頃、「奄美地域における道路ネットワークの形成による安心安全で魅力ある『結い』の島づくり」として、防災センターの整備等を計画した(以下「本件事業」というほか、防災センターの新築工事を「本件工事」という。)。本件事業による総事業費は、最終的には16億 8600万円と見積もられ、その財源は、交付金10億9200万円、起債が4億4200万円、一般会計からの拠出金1億5200万円であった。 また、起債のうち、天城町が実質的に負担するのは、2割相当額(起債の償還額が地方交付税交付金の算定の基礎に算入されるため、償還額の8割相当額が地方交付税交付金によって手当される 200万円であった。 また、起債のうち、天城町が実質的に負担するのは、2割相当額(起債の償還額が地方交付税交付金の算定の基礎に算入されるため、償還額の8割相当額が地方交付税交付金によって手当される趣旨と解される。)と見積も られていた。 (甲41、56、弁論の全趣旨)イ補助参加人a 建設は、平成27年2月17日、天城町から、本件工事のうち、建物の本体部分及び躯体を形作る工事(以下「A 工区工事」という。)を、工事代金額8億7480万円(消費税相当額を含む。)、工期平成27年2月20日(天城町議会議決の日)~平成28年1月20日で請け負っ た(以下「本件契約」という。)。本件契約に基づく請負代金は、原則として、補助参加人a 建設による工事完成の通知後に天城町の立会いの下行われる検査(以下「完成検査」という。)に合格した場合に支払われることとされた。 (甲2、3、40) ⑶ 本件工事に係る交付金の交付決定天城町は、平成26年4月4日、国土交通大臣に対し、本件事業で財源として予定していた交付金の一部6億1770万円(このうちA 工区工事費に係る交付金は、5億6688万円)の交付を申請した。国土交通大臣は、同年5月28日、上記申請に基づき交付金を交付する旨の決定(以下「本件交 付決定」という。)をし、本件事業は、平成26年度交付金の交付対象事業となった。本件交付決定には、交付金の額の確定は、交付決定額(6億1770万円)の範囲内で、交付金を充てた要素事業の当該年度の事業費(事務費を除く。)の実績額に基づいた額をもって行うものとすること等の条件が付されていた。そのため、天城町がA 工区工事費について上記交付金を受給す るためには、補助参加人a 建設に対してA 工区工事の請負代金を実際に に基づいた額をもって行うものとすること等の条件が付されていた。そのため、天城町がA 工区工事費について上記交付金を受給す るためには、補助参加人a 建設に対してA 工区工事の請負代金を実際に支払う必要があった。 (甲6、8、41、弁論の全趣旨)⑷ 予算の繰越制度等一会計年度の歳出予算の経費の金額は、原則として、当該年度内に使用し 終わる必要があり、翌会計年度において使用することはできないが(財政法 42条本文参照)、例外的に、一定の条件の下で、会計年度内に支出を終わらなかった歳出予算の経費の金額を翌会計年度に繰り越して使用することが許容されている。 このような歳出予算の繰越制度の例としては、①歳出予算の経費のうち、その性質上又は予算成立後の事由に基づき会計年度内にその支出を終わらな い見込みのあるものについて、あらかじめ国会の議決を経て、翌会計年度に繰り越す明許繰越(同法14条の3)、②歳出予算の経費のうち、会計年度内において支出負担行為を行い、その後の避け難い事故のため当該年度内に支出が終わらなかった場合に翌年度に繰り越す事故繰越(同法42条ただし書)がある。明許繰越及び事故繰越のいずれについても、財務大臣又はその委任 を受けた財務局長等(本件においては九州財務局長)の承認を得る必要がある(同法43条1項、会計法46条の2、予算決算及び会計令(昭和22年勅令第165号)25条の3第1項)。 また、上記承認の申請に係る事務手続は、政令の定めるところにより都道府県知事又は都道府県の職員に委任することができる(会計法48条1項参 照)ところ、本件交付金に関する繰越の承認の申請に関する事務手続は、鹿児島県知事ないしはその委任を受けた職員に委任されているため、鹿児島県 府県の職員に委任することができる(会計法48条1項参 照)ところ、本件交付金に関する繰越の承認の申請に関する事務手続は、鹿児島県知事ないしはその委任を受けた職員に委任されているため、鹿児島県が繰越の承認の申請を行うこととなる。 (甲27、乙8、9、弁論の全趣旨)⑸ A 工区工事に係る交付金についての明許繰越 A 工区工事は、平成26年度交付金の対象事業であったため、その交付金は同年度中に支出されることが必要であった。しかし、本件契約は、入札が遅延し年度末に近い平成27年2月に締結されたため、平成26年度中の工事完成は見込めなかった。このため、天城町は、鹿児島県を通じて、A 工区工事に係る交付金のうち3億4012万9000円の支出について平成27 年度への明許繰越の承認を得るための手続を行い、承認された。 (甲28、弁論の全趣旨)⑹ A 工区工事に係る交付金支出についての事故繰越手続の不存在天城町及び補助参加人a 建設は、A 工区工事の工程が遅延したことから、平成27年12月2日、A 工区工事の完成期限を平成28年3月24日に変更することで合意した。 しかし、補助参加人a 建設は、変更後の完成期限である同日までに、A 工区工事を完成させることはできず、同月中に完成させる見込みもなかった。 そのため、天城町が平成27年度中に本件契約に基づく代金を補助参加人a建設に支払うことは不可能な状況となったため、A 工区工事に係る交付金にかかる支出を平成27年度から平成28年度以降に繰り越すためには、事故 繰越の承認を得る必要があった。しかし、天城町は、同交付金の支出について事故繰越の承認を得ることはできないと考え、同承認を得るための手続をしなかった。 (甲10、 に繰り越すためには、事故 繰越の承認を得る必要があった。しかし、天城町は、同交付金の支出について事故繰越の承認を得ることはできないと考え、同承認を得るための手続をしなかった。 (甲10、11、弁論の全趣旨)⑺ A 工区工事についての完成検査の実施等 補助参加人a 建設は、平成28年3月、A 工区工事が未完成であるにもかかわらず、同工事の目的物を引き渡す旨の工事目的物引渡書を作成し、これを天城町に交付した。そして、天城町において、同月24日付けで、同目的物の引渡しを受ける旨の決裁がされた。 また、天城町は、同日付けでA 工区工事の完成検査(以下「本件検査」と いう。)を行った。その検査調書(以下「本件調書」という。)には、本件検査が同日に完了し、その結果、A 工区工事が設計図書に基づいて施工されており、合格である旨の所見が記載されている。補助参加人e は本件検査の検査員として、補助参加人dは本件検査の立会者として、補助参加人a 建設の代表者は請負者として、本件調書にそれぞれ押印し、本件調書上の決裁欄に は、補助参加人e ら及び建設課主事補のf(以下「f」という。)がそれぞれ 押印した。その他、本件調書の契約担当者印欄には、補助参加人cが押印した。 (甲16、17、弁論の全趣旨)⑻ A 工区工事に係る交付金の支出等天城町は、平成28年3月31日、A 工区工事が完了した旨の報告書等を 作成した上で、鹿児島県を通じて、国に対し、A 工区工事の完成を前提とする交付金3億4012万9000円の支払を請求した。 国は、同年4月22日、A 工区工事が完成したものと誤信して、天城町に対して、A 工区工事に係る交付金の未交付分を含む3億4012万9000円の交 億4012万9000円の支払を請求した。 国は、同年4月22日、A 工区工事が完成したものと誤信して、天城町に対して、A 工区工事に係る交付金の未交付分を含む3億4012万9000円の交付金を支出した。 (甲19、41の2、弁論の全趣旨)⑼ 交付金の返還及び起債の償還並びに加算金の支払国は、令和3年4月12日、天城町が繰越承認を受けずに翌年度にわたりA 工区工事を継続し、同工事が年度内に完成したと偽ったことを理由として、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(以下「補助金適正化法」 という。)17条1項に基づき、本件交付決定のうち、A 工区工事の未完成部分に対する交付金額である4029万8225円の交付を取り消す旨の決定(以下「本件取消決定」という。)を行い、天城町に対し、同法18条1項に基づき、同額の返還を命じた(以下「本件返還命令」という。)。 これを受け、天城町は、同月30日、国に対し、本件返還命令の対象とな った交付金4029万8225円を返還(以下「本件返還金」という。)するとともに、同年5月24日、同法19条1項に基づく加算金2218万4172円(上記交付金を受領した平成28年4月22日から本件返還金を納付した令和3年4月30日までの日数に応じ、4029万8225円につき年10・95%の割合で計算した金額。以下「本件加算金」という。)を天城町 の財源から支払った。 さらに、天城町が本件事業に関して起債した辺地対策事業債(以下「辺地債」という。)についても、未竣功工事を完成と偽ったことから一部の繰上償還と加算金の納付が必要となり、天城町は、同年11月25日、国に対し、1061万0044円(繰上償還金841万7342円、利子6万3406円、加算金 も、未竣功工事を完成と偽ったことから一部の繰上償還と加算金の納付が必要となり、天城町は、同年11月25日、国に対し、1061万0044円(繰上償還金841万7342円、利子6万3406円、加算金212万9296円の合計額)を納付した。 (甲20~22、26、31の2、50、弁論の全趣旨)⑽ 本件加算金支払後における補助参加人らその他関係者の対応ア天城町役場に勤務する課長や局長によって組織されている天城町役場課長会(以下「課長会」という。)は、令和3年7月21日、天城町に対し、課長会の構成員各人の給料額の3か月分の10%に相当する合計212 万6776円を寄附の形式で自主的に返納した。 (甲50、乙15。以下「本件寄附1」という。)イ補助参加人e は、令和2年1月27日に、2か月間にわたって10%の減給とする懲戒処分(以下「本件懲戒処分」という。)を受け、これにより、補助参加人e が天城町から支給される給料は合計8万4180円減額され た。 以上に加え、補助参加人e は、令和3年8月6日、天城町に対し、30万円を自主納付し(以下「本件寄附2」という。)、寄附として処理された。 (甲50、弁論の全趣旨)ウ補助参加人dは、令和3年8月6日、天城町に対し、20万円を自主納 付し(以下「本件寄附3」という。)、寄附として処理された。 (甲50、弁論の全趣旨)エ補助参加人bは、令和3年9月24日、天城町議会に対し、天城町長としての給料を令和3年10月1日から令和4年9月30日までの12か月にわたって50%減額することを内容とする条例(天城町長等の給与等 の特例に関する条例。以下「本件条例」という。)案を提出し、同条例案は、 令和3年9月24日、 月30日までの12か月にわたって50%減額することを内容とする条例(天城町長等の給与等 の特例に関する条例。以下「本件条例」という。)案を提出し、同条例案は、 令和3年9月24日、天城町議会において可決された。本件条例により、補助参加人bの給料は合計480万0215円減額された。 (甲50、乙16)オ補助参加人a 建設を含む同社のグループ会社4社は、令和4年2月14日、天城町に対し、合計1000万円を寄附した(以下「本件寄附4」と いう。)。 (甲50、乙13、弁論の全趣旨)カ補助参加人cは、令和5年2月27日、天城町に対し、50万円を寄附した(以下「本件寄附5」という。)。 (乙6) ⑾ 原告らによる住民監査請求等原告らは、令和3年12月7日、天城町監査委員に対し、被告が補助参加人らに不法行為1及び2を原因とする損害賠償請求権を行使すべきであると主張して監査請求をしたが、同監査委員は、令和4年2月1日、監査委員内において意見が対立して地方自治法242条11項に定める監査委員の合議 が調わないとして、同日、原告らにその旨通知した。 (甲23~25)⑿ 原告らによる住民訴訟の提起原告らは、令和4年2月28日、当庁に本件訴えを提起した。 (当裁判所に顕著) 4 争点⑴ 不法行為1についてア補助参加人e らは、A 工区工事に係る交付金について事故繰越の手続を行うべき義務を負っていたか(争点1)。 イ補助参加人e らが事故繰越の手続を行うべき義務を怠ったことと、天城 町に生じた本件返還金相当額の損害との間に因果関係はあるか(争点2)。 ⑵ 不法行為2についてア補助参加人らの不法行為責任の有無(争点3) うべき義務を怠ったことと、天城 町に生じた本件返還金相当額の損害との間に因果関係はあるか(争点2)。 ⑵ 不法行為2についてア補助参加人らの不法行為責任の有無(争点3)イ補助参加人らの寄附等により、天城町に生じた本件加算金相当額の損害は填補されたか(争点4)。 5 争点に関する当事者等の主張 ⑴ 争点1(補助参加人e らは、A 工区工事に係る交付金について事故繰越の手続を行うべき義務を負っていたか。)についてア原告らの主張予算執行に関わる町長及び町職員は、予算を守り、適切に執行すべき義務を負う(地方自治法2条14項、民法1条2項、職員については地方公 務員法30条、町長については地方自治法149条2号、同法154条、副町長については同法167条参照。)ところ、天城町の財政規模や財政状況に照らしても、貴重な財源である交付金の交付を受けることのできる可能性を逸することは許されない。そして、A 工区工事に係る交付金は、平成26年度から平成27年度に明許繰越(財政法14条の3)がされたこ とから、平成28年度に繰り越して適法に交付金を受け取るためには、事故繰越の承認を財務大臣から得る必要があった(同法42条ただし書、43条1項)。したがって、A 工区工事に携わっていた補助参加人e らは、事故繰越の承認の申請に必要な手続を行う作為義務を負っていた。 イ被告及び補助参加人e らの主張 事故繰越の要件充足の判断をする当時の建設課内では、A 工区工事に係る交付金については、既に明許繰越をしていることから、重ねて事故繰越の承認を得ることは難しいとの認識が支配的であり、事故繰越の承認申請を担当する鹿児島県の職員も同様の認識であったから、補助参加 に係る交付金については、既に明許繰越をしていることから、重ねて事故繰越の承認を得ることは難しいとの認識が支配的であり、事故繰越の承認申請を担当する鹿児島県の職員も同様の認識であったから、補助参加人e に事故繰越の申請手続を行うべき義務はない。 また、補助参加人c、同b及び同dは、事故繰越の手続を行うための決 裁が必要となった場合にその決裁を行う立場にあったところ、本件では、事故繰越の申請に係る事務を所掌する建設課が事故繰越の要件を充足しないと判断し、繰越計算書を作成しなかったため、事故繰越に係る決裁をする段階にはなく、事故繰越の手続に関して何ら作為義務を負っていなかった。 ⑵ 争点2(補助参加人e らが事故繰越の手続を行うべき義務を怠ったことと、天城町に生じた本件返還金相当額の損害との間に因果関係はあるか。)についてア原告らの主張(ア) A 工区工事の遅れの主な原因は、東日本大震災の復興事業本格化や東 京五輪特需の影響により、技術者が本土に流出し、確保が困難になったことにある。そして、財務省は、平成26年の時点で、東日本大震災の復興事業本格化をきっかけとした労務費や資材価格の高騰による入札不調の発生等を考慮して事故繰越の相談に柔軟に対応するとの方針を採っていたことを踏まえると、A 工区工事の交付金について、上記の原因が 避け難い事故に当たるとして、事故繰越の承認を得ることはできた。 仮に、東日本大震災の復興及び東京五輪を原因とする技術者の本土流出が平成27年度よりも前から生じていたとしても、天城町はそれを考慮した上で本件契約における工期を設定又は変更していたはずである。 A 工区工事の遅延が生じた原因は、工期の最終変更時である平成26年 12月2日 りも前から生じていたとしても、天城町はそれを考慮した上で本件契約における工期を設定又は変更していたはずである。 A 工区工事の遅延が生じた原因は、工期の最終変更時である平成26年 12月2日の時点で予測し得なかったほど技術者の確保が困難になっていたことにあるから、避け難い事故の発生時点は平成27年度である。 (イ) 以上に加え、A 工区工事が工期内に完成しなかった理由には、地業工事において転石により杭が破損したことも含まれる。転石による杭の破損は、避け難い事故に該当することは明らかである。 (ウ) このように、A 工区工事に係る交付金については事故繰越の要件に該 当する事由が存在するから、天城町が事故繰越の承認に関する手続を行っていれば、事故繰越の承認を得ることは可能であった。したがって、補助参加人e らが前記⑴ア記載の作為義務を怠らなければ、事故繰越が承認され、本件返還命令を受けることもなかったから、補助参加人e らの作為義務違反と天城町の本件返還金相当額の損害との間には因果関係 がある。 イ被告の主張事故繰越は、明許繰越とは異なり、国会の承認を要しない点で財政民主主義の重大な例外であるから、その要件は厳格に解さなければならない。 本件において、事業年度内に支出が終わらなかった原因は、①数年前から の型枠工や鉄筋工などの技術者不足、②発注の遅れにより工期がタイトであったこと、③通常は一社が受注する躯体部分の工事と内装工事を二社が受注するという特異な工事であったこと、④1個しかない杭打ち機が他の工事と使いまわしになり、杭打ち機を自由に使用できなかったこと等であるが、①は平成27年度より前に発生していた事由である上、②~④もA 工区工事の同年度内での完成を妨 個しかない杭打ち機が他の工事と使いまわしになり、杭打ち機を自由に使用できなかったこと等であるが、①は平成27年度より前に発生していた事由である上、②~④もA 工区工事の同年度内での完成を妨げるような事由ではないから、いずれも避け難い事故には該当しない。 また、事故繰越の承認の申請を行うことになる鹿児島県の担当者が、天城町の担当者(f)の相談に対し、事故繰越ができないので年度内に完成するよう回答したこと、事故繰越の承認は財務大臣の裁量に委ねられてい ることを踏まえると、天城町が事故繰越の承認の申請手続をしたとしても事故繰越が認められた高度の蓋然性があるとはいえない。 したがって、補助参加人e らが原告の主張する前記⑴アの作為義務を怠ったとしても、それにより本件返還金相当額の損害が天城町に発生したとはいえない。 ⑶ 争点3(補助参加人らの不法行為責任の有無)について ア原告らの主張(ア) 補助参加人らは、平成28年3月24日にA 工区工事が完成していないことを認識しながら、同日にこれが完成した旨の虚偽の工事目的物引渡書、工事完成通知書及び本件調書を作成した。そして、国に対して、実際には、A 工区工事が工期に完成していないにもかかわらず、A 工区工 事を完成したと偽り、交付金の交付請求をした。 仮に補助参加人cがA 工区工事の未完成を知らなかったとしても、補助参加人cは、当時の町長であり、A 工区工事の総責任者であるから、工事の進捗状況を随時把握し、工期内に完成させるよう適切に指揮監督し、工期内に完成しない場合には、天城町や町民に不利益を被らせない ために事故繰越の申請をさせ、虚偽の申告に基づく交付金の不正受給をしないよう指揮監督すべき義務を負っていた。し 適切に指揮監督し、工期内に完成しない場合には、天城町や町民に不利益を被らせない ために事故繰越の申請をさせ、虚偽の申告に基づく交付金の不正受給をしないよう指揮監督すべき義務を負っていた。しかし、補助参加人cは、工事の正しい進捗状況を把握せず、決裁印を押し、天城町に損害を生じさせたから不法行為責任を負う。 (イ) 補助参加人a 建設は、A 工区工事が完成していないことを知りながら、 完成した旨の虚偽の工事目的物引渡書及び工事完成通知書を提出しており、交付金の不正受給に加担する意思は明らかであるし、補助参加人a建設の協力なくして交付金の受給は実現不可能であった。補助参加人a建設は、A 工区工事が交付金補助事業であることは熟知しており、交付金を不正に受給すれば何らかのペナルティが課されることは容易に予測 し得た。 イ被告並びに補助参加人e、同d及び同bの主張補助参加人b、同d及び同e が、A 工区工事が平成28年3月24日に完成していないのに、同日完成した旨の本件調書を作成したことは認めるが、当該行為が不法行為を構成することは争う。 ウ補助参加人cの主張 補助参加人cが、本件調書作成時、A 工区工事が完成していないことを認識していたとの事実は否認し、その余は争う。 エ補助参加人a 建設の主張補助参加人a 建設は、民間企業であり、公共工事の財源や支払方法に関心はないし、交付金の申請手続に関与することもなく、手続も把握してい ない。補助参加人a 建設は、天城町の求めに応じて、工事目的物引渡書や工事完成通知書を作成・提出したにすぎず、上記書類がどのような目的で使用されるのか関知していない。補助参加人a 建設は、本件取消決定及び本件返還命令を受けこと 城町の求めに応じて、工事目的物引渡書や工事完成通知書を作成・提出したにすぎず、上記書類がどのような目的で使用されるのか関知していない。補助参加人a 建設は、本件取消決定及び本件返還命令を受けことを予見できなかったし、交付金の不正請求に加担するとの認識もないから、予見可能性はなかった。 さらに、補助参加人a 建設は、天城町から、いくつかの条件を充たせばA 工区工事の出来形を100%と扱い、未完成部分については、B工区工事の左官工事と調整して、手直し工事として取扱う旨の提案を受けたことから、上記条件を充足した上で引き渡したにすぎない。本件取消決定の理由の核心部分は、A 工区工事に係る交付金について事故繰越の承認を得な かったことであるから、原告らが主張するような補助参加人a 建設の行為が違法性を有するということもできない。 ⑷ 争点4(補助参加人らの寄附等により、天城町に生じた本件加算金相当額の損害は填補されたか。)についてア被告の主張(なお、補助参加人a 建設も補助参加人らの寄附等による損 害の填補を主張しているが、被告と異なり、本件加算金及び本件返還金相当額の損害に充当されると主張している。)本件寄附1~5は、いずれも天城町が本件加算金を一般財源から支払ったことを受けた対応であるから、不法行為2と同一の原因によるものであり、かつ、本件加算金の支払により減少した天城町の財源を填補する趣旨 で行われ、実際に天城町の財源に充当されたのであるから、本件寄附1~ 5によって天城町が得た利益は、不法行為2による損害と同質である。 また、本件懲戒処分及び本件条例による減給等も、A 工区工事に係る交付金の不正請求を受けてされた措置であるから、不法行為2と同一の原因によるものであり、 利益は、不法行為2による損害と同質である。 また、本件懲戒処分及び本件条例による減給等も、A 工区工事に係る交付金の不正請求を受けてされた措置であるから、不法行為2と同一の原因によるものであり、かつ、上記各減給等に相当する金額は天城町の一般財源に留保されたから、かかる利益は不法行為2による損害と同質である。 これらにより合計1801万1171円が天城町の一般財源に充当又は留保され、不法行為2による天城町の損害は填補されたから、不法行為2による損害から同額を控除すべきである。 イ原告らの主張(ア) 本件寄附1~5は、いずれも寄附として処理されているところ、寄附 金と損害の填補は、その趣旨と法的性質を異にする。寄附者には、税金の優遇措置を受けられるという経済的利点があり、寄附金として納められた金員を損害の填補と評価することはできない。殊に、本件寄附4は、a グループのPR活動として行われたものであり、損害賠償とは同質性を有するとはいえない。 補助参加人e に対する減給を内容とする本件懲戒処分は、不正行為に対する制裁として課されるものであり、損害の填補とは趣旨及び法的性質を全く異にするものである。 補助参加人bについての本件条例による長の給料の減額は、監督者としての責任を明確にする目的でされたものであるから、その実質は、不 正行為に関する懲戒処分であり、本件懲戒処分による減給と同様に、損害の填補とは趣旨及び法的性質を全く異にする。また、その金額も、当時副町長という公の立場にありながら交付金の不正受給に加担し、天城町に莫大な損害を与えたことに対する制裁として正当な範囲内である。 (イ) 仮にこれらが損害の填補となる場合でも、本件によって、天城町に生 じ ありながら交付金の不正受給に加担し、天城町に莫大な損害を与えたことに対する制裁として正当な範囲内である。 (イ) 仮にこれらが損害の填補となる場合でも、本件によって、天城町に生 じた経済的損害は、本件返還金及び本件加算金の支払のみならず、辺地 債の繰上償還金やそれに対する加算金の支払等の複数の項目に及ぶから、本件加算金の支払によって生じた損害のみに充当することは許されない。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実前記前提事実並びに掲記の各証拠(特記しない限り枝番を含む。)及び弁論の 全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 ⑴ 本件工事に関する天城町役場内及び鹿児島県庁内の各役割ア総務課は、本件工事の計画・設計、工区分け等を担当した。 イ本件工事の発注後は、建設課が工事管理等を行い、総務課は、補助的な役割となった。本件工事の事故繰越の申請手続は、建設課の担当であった。 fは、本件工事当時、建設課の主事補の地位にあり、本件工事の天城町側の窓口役でもあった。 ウ本件工事の事故繰越の申請手続を行う場合における鹿児島県側の担当課は、道路維持課であった。 (⑴全体につき、丙1、2、証人f、証人e、証人d、弁論の全趣旨) ⑵ 本件工事の区分け等本件工事は、躯体工事のA 工区工事、内外装工事のB工区工事、仕上げユニット外構のC工区工事という工区分けがされ、工区ごとに入札や発注が実施された。 (甲75、証人g、証人d、弁論の全趣旨) ⑶ 本件契約締結の経緯天城町防災センターの整備は、平成25年度~平成27年度に行われること、平成26年度から建設工事が行われることが予定されていた。しかし、東日本大震災及び東京五輪の影響による資材高 結の経緯天城町防災センターの整備は、平成25年度~平成27年度に行われること、平成26年度から建設工事が行われることが予定されていた。しかし、東日本大震災及び東京五輪の影響による資材高騰に伴い、工事費が大幅に増額になったことから、事業計画の見直しを迫られ、平成25年度~平成28 年度に行うこととなった。事業計画の見直しに伴う調整に時間を要したため、 A 工区工事の入札は平成27年2月となった。 A 工区工事を落札した補助参加人a 建設は、天城町に対し、当初の工期内での完成は困難である旨相談したが、天城町は、工期延長等を含めた契約変更を想定している旨伝えた上で、平成27年2月17日、補助参加人a 建設との間で本件契約を締結した。 本件契約に基づく請負代金は、原則として完成検査に合格した後に支払うものとされたが、その一部については、補助参加人a 建設の請求により、完成検査合格前に支払うものとされた。 (甲2、3、22、26、40、弁論の全趣旨)⑷ A 工区工事の進捗状況 ア工事監理業務の委託等天城町は、A 工区工事の工事監理業務を株式会社h設計(以下「h設計」という。)に委託し、g(以下「g」という。)が統括監督員(構造力学、電気、空調、衛生工事などを設計図どおりに工事されているかを全体的に取りまとめていく役割)を担当することとなった。 天城町は、工期の進捗状況について、h設計から毎月報告を受けていた。 (甲26、75、証人g)イ地業工事の遅れ補助参加人a建設は、平成27年4月からA 工区工事に本格的に着手し、同年5月1日~同年6月30日に地業工事(杭打ち工事)を予定していた。 しかし、地業工事に使用する杭打ち機は、同一敷地内で同 補助参加人a建設は、平成27年4月からA 工区工事に本格的に着手し、同年5月1日~同年6月30日に地業工事(杭打ち工事)を予定していた。 しかし、地業工事に使用する杭打ち機は、同一敷地内で同時期に行われていた医療センター及び保健福祉センターの新築工事と1台を共用し、当該工事で使用された後にA 工区工事で使用することとされていた。その上、転石によって杭打ち機の杭が破損したために、計画されていた工程に遅延が発生した。その結果、地業工事が完了したのは、同年8月2日であった。 (甲3、26、証人f、証人g、弁論の全趣旨) ウ A 工区工事の工期の変更補助参加人e は、A 工区工事の工程に遅延が生じたことを受け、同工事の工期変更を補助参加人a 建設と協議した。天城町と補助参加人a 建設は、平成27年12月2日、A 工区工事の完成可能な期日が平成28年3月24日であるとして、完成期限を同日に変更することを合意した。 (甲10、22、26、証人e)エコンクリート工事の遅れA 工区工事のうちコンクリート工事について、当初の工期では平成27年8月1日~同年11月10日とされていたが、上記ウの工期変更に伴い、同年9月1日~平成28年2月29日に実施される工程となっていた。し かし、平成23年3月11日に発生した東日本大震災からの復興や平成25年9月8日に開催が決定された東京五輪の準備を原因とした職人の本土流出により、技術者(躯体の鉄筋工及び型枠工)の確保ができなかったことに加え、現場に常駐していた躯体施工図作成者の病気により躯体施工図の進捗が遅れ、コンクリート工事が完成したのは、平成28年3月23 日であった。 (甲3、11、26、乙18、証人f、証人g、弁論の全趣旨)オ 体施工図作成者の病気により躯体施工図の進捗が遅れ、コンクリート工事が完成したのは、平成28年3月23 日であった。 (甲3、11、26、乙18、証人f、証人g、弁論の全趣旨)オ出来形確認検査の実施天城町は、平成28年2月5日、A 工区工事の出来形確認検査を実施し、その出来形は59.5%であった。 (甲22、41)カ平成28年3月初旬頃の定例会議補助参加人e は、平成28年1月頃に、A 工区工事が平成27年度内に完成しないことを認識し、遅くとも平成28年3月初め頃までに当時の副町長である補助参加人bにその旨を口頭で報告した。また、h設計は、遅 くとも同年2月頃までにはA 工区工事が平成27年度内に完成しないこと を認識した。 補助参加人e 及びfは、平成28年3月初旬頃、A 工区工事に係る定例会議(他の出席者は、g並びに補助参加人a 建設及びその下請けの担当者らであった。)に出席し、A 工区工事に係る交付金の支出が既に平成27年度に繰越済みであることから平成28年度に繰り越すことができない旨 を説明し、他の出席者との間で、同工事の進捗を100%にするための方策について協議を行った。そして、上記協議の結果、次の(ア)~(エ)の条件(以下「本件条件」という。)が達成されれば、発注者である天城町がA 工区工事の出来形を100%と扱うこととされた。 (ア) 躯体である鉄筋コンクリートは工期内に打設する。 (イ) B工区工事の天井が施工されないと取り付けできない機器などは、機器が現場に搬入されれば100%として扱い、その後の取付工事は手直し工事として取り扱う。 (ウ) 一部のアルミサッシは、アルミサッシが現場に搬入されれば100%とし、B工区工事の内装後に手 は、機器が現場に搬入されれば100%として扱い、その後の取付工事は手直し工事として取り扱う。 (ウ) 一部のアルミサッシは、アルミサッシが現場に搬入されれば100%とし、B工区工事の内装後に手直し工事としてアルミサッシ取付 工事を行う。 (エ) A工区工事のエレベーターにつき、エレベーター製作完了で100%扱いとし、B工区工事の左官工事と調整して、手直し工事として取り扱う。 (カ全体につき、甲75、証人g、証人e、証人b) キ本件検査当時のA 工区工事の状況本件検査が実施された平成28年3月24日時点において、A 工区工事の本件条件はすべて達成されたが、型枠工(屋上パラペット、天井梁下型枠解体。以下括弧内は未完了部分を指す。)、鉄筋工(PCケーブルの緊張とグラウト注入)、鉄骨工事(キャットウォーク設置)、電気設備(機器設 置)及び空調換気設備(機器設置)がコンクリートの養生期間中のため、 建具工事(アルミカーテンウォール設置)及び昇降機設備工事(エレベーターの設置)が次年度工事に支障が出るため、いずれも未完了であった。 (甲41、証人g、証人f)ク本件検査の実施補助参加人a 建設は、天城町の求めに応じて、日付が空欄の工事目的物 引渡書(なお、同書の日付欄はfが記入した。)を作成して、天城町に交付し、天城町は、平成28年3月24日、本件検査を実施した。 本件検査には、検査員として建設課長である補助参加人e、立会員として総務課長である補助参加人dのほかに、補助参加人a 建設、その下請けの担当者及びgが立ち会った。そして、A 工区工事の出来形等の歩合を1 00%とする内容の同日付の本件調書が作成された。本件調書は、天城町内の決裁に付され、f、i 課長補佐、補助参加人 下請けの担当者及びgが立ち会った。そして、A 工区工事の出来形等の歩合を1 00%とする内容の同日付の本件調書が作成された。本件調書は、天城町内の決裁に付され、f、i 課長補佐、補助参加人e、同d、同b、同cの決裁を順次得た。 (甲16、17、41、証人g、証人e、証人d)ケ A 工区工事の請負残代金の支払 天城町は、平成27年3月25日及び平成28年2月5日に、補助参加人a 建設の請求を受けて本件契約に基づく請負代金の一部を支払っていた。 天城町は、同年3月31日、補助参加人e らの決裁を順次得た上で、補助参加人a 建設に対して、本件契約に基づく請負代金の残額である2億6464万円を支払った。 (甲47、弁論の全趣旨)コ交付金の受給天城町は、平成28年4月22日、A 工区工事の完成を前提とする交付金3億4012万9000円を受領した。 (前提事実⑻) サ本件検査後におけるA 工区工事の状況 補助参加人a 建設は、平成28年4月以降もA 工区工事の現場に出入りしていた。補助参加人a 建設は、同年5月31日、B工区工事を担当するj建設に対し、A 工区工事に係る作業を代金額609万円で発注し、これを受けて、j建設が上記部分の工事を実施した。 (甲44、証人f、弁論の全趣旨) ⑸ 交付金の不正受給の発覚と交付金の返還等ア天城町議会では、令和元年9月、本件工事の完成検査が問題となり、事務検査特別委員会を設置して、調査を実施した。同年12月の町議会において、上記特別委員会の調査報告がなされ、A 工区工事が未完成であるにもかかわらず、完成検査が実施されたことが指摘された。当該指摘を受け て天城町は事実確認を行い、国、鹿児島県、天城町の において、上記特別委員会の調査報告がなされ、A 工区工事が未完成であるにもかかわらず、完成検査が実施されたことが指摘された。当該指摘を受け て天城町は事実確認を行い、国、鹿児島県、天城町の三者間で原因分析と未完成部分について精査を行った。その結果、平成28年3月時点における未完成部分とそれに伴う未竣功額が4029万8225円となることが確認されたことから、天城町は、令和3年3月31日付け「平成26年度社会資本整備総合交付金事業における工事の未竣功について(報告)」(甲 41の2)を国土交通大臣に進達した。 (甲22、38、41)イ天城町は、国から本件返還命令を受け、国に対し、令和3年4月30日、本件返還金4029万8225円を支払い、同年5月24日、本件加算金2218万4172円を、同年11月25日、辺地債の繰上償還金や加算 金として1061万0044円をそれぞれ納付した。 なお、天城町は、いずれの金員についても町の一般財源から支出した。 (前提事実⑼、弁論の全趣旨)⑹ 天城町がした処分等天城町は、本件工事の完成検査に関与した職員の懲罰を審議するため、令 和2年1月10日及び同月22日に懲戒処分審査委員会を開催した。そして、 当時の建設課長であった補助参加人e を2か月減給10%の懲戒処分(本件懲戒処分)、工事担当者(監督員)2名を訓告処分とした。 また、補助参加人a 建設を同年2月1日から1か月間の指名停止処分とした。その他、町長である補助参加人bは、同年2月14日、天城町議会に対し、天城町長としての給料を2か月間10%減額する条例(天城町長等の給 与等の特例に関する条例。本件条例と同一名称であるが、異なる条例である。)案を提出し、天城町議会は、同日これを可決 議会に対し、天城町長としての給料を2か月間10%減額する条例(天城町長等の給 与等の特例に関する条例。本件条例と同一名称であるが、異なる条例である。)案を提出し、天城町議会は、同日これを可決した。 (甲22、50、71、72)⑺ 関係者からの寄附金の処理等ア課長会による本件寄附1に係る寄附申出書には、「寄附に当たっての指 定又は条件」として「防災センター未竣功工事に係る返還金及び加算金の財源」と記載されている。天城町は、本件寄附1により収受した金員を特定寄附金として扱い、歳入に計上した。 (甲50、57、乙15)イ天城町は、補助参加人e による本件寄附2及び補助参加人dによる本件 寄附3により収受した金員を、協力金名目で処理した。 (甲50、57、証人e、証人d、弁論の全趣旨)ウ本件条例の提案理由説明書には、「天城町防災センター未竣功工事に対し、国土交通大臣から交付金返還命令があり、交付金の返還を命ぜられたところでございます。それに伴いまして、交付金の一部返還とその加算金、 起債の繰上償還とその加算金の納付義務が生じました。」との記載に加え、「監督者としての責任を明確にするため」上記減給を提案した旨記載されており、本件条例案が上程された議会においても同様の説明がされた。 (甲50、57、乙16、弁論の全趣旨)エ補助参加人a 建設を含む建設業やホテル業など9法人を展開するa グル ープによる本件寄附4は、天城町制60周年記念に関連して実施され、天 城町役場において開催された一般寄附贈呈式において、a グループ会長のkは、「町のために役立ててほしい。」と発言した。天城町は、本件寄附4により収受した金員を令和3年度の一般会計に組み込んだ。 役場において開催された一般寄附贈呈式において、a グループ会長のkは、「町のために役立ててほしい。」と発言した。天城町は、本件寄附4により収受した金員を令和3年度の一般会計に組み込んだ。 本件寄附4に係る寄附申出書の「寄附に当たっての指定又は条件」には、「別紙、寄附金受領証明書の内訳の1~4の会社宛にそれぞれ寄附金受領 証明書の発行をお願い致します。」と記載され、「寄附者(あなた)の氏名等の公表の可否」には、「公表に同意する」欄にチェックがあり、寄附の内容として「町制施行60周年記念おめでとうございます。天城町発展の為ご使用下さい。」と記載されている。 (甲59、60、乙13、弁論の全趣旨 ) オ補助参加人cは、本件に関連して虚偽公文書作成の嫌疑で捜査機関から取調べを受けた際、他の関係者の寄附や懲戒処分等の存在を伝えられたことから、本件寄附5を行った。本件寄附5に係る寄附申出書は、補助参加人cではなく、当時の総務課長が作成した。 (乙6、丙3、証人c) カ天城町は、町の広報誌の令和4年7月号(以下「本件広報誌」という。)に、天城町が本件返還命令を受けたことを掲載するとともに、これに関する天城町の対応として、本件寄附1~3、本件懲戒処分による減給、本件条例による長の給料の減額及び補助参加人a 建設に対する指名停止処分等を、補助参加人a 建設の対応として本件寄附4を掲載した。 (甲50、弁論の全趣旨)⑻ 事故繰越の要件に関する財務省の見解等ア財務省作成のガイドブックの記載財務省主計局司計課は、「繰越しガイドブック《改訂版》」(以下「本件ガイドブック」という。)を作成し、その中で事故繰越の要件等について解説 している。 載財務省主計局司計課は、「繰越しガイドブック《改訂版》」(以下「本件ガイドブック」という。)を作成し、その中で事故繰越の要件等について解説 している。 本件ガイドブック(なお、特記しない場合には、平成27年7月に作成された版を指す。)には、以下の記載がある。 (ア) 避け難い事故避け難い事故は、支出負担行為後、かつ、当該年度中に発生したものでなければならない。したがって、前年度に明許繰越となった要因によ る事故繰越は認められない。 また、避け難い事故の範囲については、法令上明確にされていないが、社会通念上避け難い事故と判断されるものでなければならない。「事故」という言葉は、物事の正常な運行を妨げるような出来事の意味に解され、一般に事由という言葉より狭い意味である。代表的なものは暴風、洪水、 地震等の異常な天然現象によるものであるが、地権者の死亡、工事中の崩落事故による中断、債務者の契約上の義務違反、労働争議、戦乱等により真にやむを得ず年度内に支出を終わらなかった場合なども事故に該当するものと解される(なお、令和2年6月付けの本件ガイドブックには、事故の一例として「新型感染症の感染拡大」が追加されている。)。 他方で、特に補助金等に関して、事由が薄弱であるにもかかわらず、申請されるケースが従来から見受けられるため、この点に特に留意する必要がある。 (イ) 複数回の繰越明許繰越をした経費について、更に事故繰越できるかについては、繰 越の適用規定が異なることから、可能であると解されている。 (ア全体につき、甲27、乙1)イ平成26年当時における財務省及び国土交通省の対応財務省は、平成26年頃、東日本大 越の適用規定が異なることから、可能であると解されている。 (ア全体につき、甲27、乙1)イ平成26年当時における財務省及び国土交通省の対応財務省は、平成26年頃、東日本大震災の復興事業本格化をきっかけに、公共工事の入札で労務費や資材価格の高騰などによって入札参加者がい なかったり、発注者と入札参加者の価格が折り合わなかったりする不調・ 不落が頻発し、再入札のために規模や工期を見直すなどの計画変更を余儀なくされるケースも多く、予定工期が遅れて年度内の完成が難しくなることも少なくないことを踏まえて、各省庁から寄せられる予算繰越の相談に柔軟に対応するよう担当者に周知を図った。 これを受けて、国土交通省は、省内各部局、同省の直轄機関及び都道府 県に対し、平成26年1月21日付け事務連絡を発出し、①平成24年度補正予算等で措置された事業における工期延伸等に対応するための事故繰越について、速やかに財務局等に相談・協議すること、②平成25年度予算で措置された事業に関する今後の予算執行に当たっては、あらかじめ年度内に完了しないことが見込まれる工事等については、繰越明許費に係 る翌年度にわたる債務負担を活用するなど、適切な工期により発注を行うことを要請した。 (甲29、32) 2 不法行為1について⑴ 本件の事案に鑑み、不法行為1については争点2から検討する。 ⑵ 争点2(補助参加人e らが事故繰越の手続を行うべき義務を怠ったことと、天城町に生じた本件返還金相当額の損害との間に因果関係はあるか。)についてア原告らは、A 工区工事に係る交付金については、技術者の確保が困難であったこと及び転石による杭の破損という「避け難い事故」(財政法42条 ただし書)に該当する事 係はあるか。)についてア原告らは、A 工区工事に係る交付金については、技術者の確保が困難であったこと及び転石による杭の破損という「避け難い事故」(財政法42条 ただし書)に該当する事由が存在するため、事故繰越の承認を得ることは可能であったから、補助参加人e らが事故繰越の手続に係る作為義務を履行していれば、本件返還命令が出されることはなかったとして、上記作為義務違反と天城町に生じた本件返還金相当額の損害との間には因果関係がある旨主張する。 イしかし、前記前提事実⑷及び前記認定事実⑴ウによれば、天城町の職員 には事故繰越の承認を申請する権限はなく、A 工区工事に係る交付金を平成27年度から平成28年度に繰り越すためには、鹿児島県道路維持課の職員が承認の申請を行った上、九州財務局長による承認を得る必要があると認められるから、上記承認を得るためには、同課の職員及び九州財務局長のいずれもが、A 工区工事に「避け難い事故」に該当する事由が存在す ると判断する必要がある。 前記認定事実⑷エによれば、A 工区工事に従事する技術者の確保が困難であった理由は、平成23年3月に発生した東日本大震災からの復興及び平成25年9月に開催が決定した東京五輪の準備を原因として技術者が本土に流出していたことであるところ、これらの原因の発生時期に加え、同 様の原因によってA 工区工事の入札が遅延し、その結果A 工区工事に係る交付金について明許繰越の手続をしたこと(前記前提事実⑸、認定事実⑶)に照らすと、上記明許繰越をした時点において、A 工区工事に従事する技術者の確保が困難であることは予見可能であったことは否定し難い。また、予算の繰越使用の承認に関する事務を所掌する財務省主計局司計課(財務 省組織令(平成12 において、A 工区工事に従事する技術者の確保が困難であることは予見可能であったことは否定し難い。また、予算の繰越使用の承認に関する事務を所掌する財務省主計局司計課(財務 省組織令(平成12年政令第250号)24条4号)が作成した本件ガイドブック(前記認定事実⑻ア)の記載内容が、事故繰越に係る事務遂行に当たって大きな影響力を有することは想像に難くないところ、本件ガイドブックには、前年度に明許繰越となった要因による事故繰越は認められない旨及び「避け難い事故」は社会通念上避け難いと判断されるものでなけ ればならない旨記載されている。そうすると、鹿児島県道路維持課の職員又は九州財務局長において、A 工区工事に従事する技術者の確保が困難であったことにより平成27年度中における同工事の完成が妨げられたとしても、その原因は平成26年度における上記交付金の明許繰越と同一であり、同年度において予見可能である以上社会通念上避け難いものではなか ったことを理由として、「避け難い事故」には該当しないと判断して、事故 繰越の承認申請又は事故繰越の承認をしなかった可能性を否定することはできない。 また、他の工事現場との杭打ち機の共用及び転石による杭の破損についても、これらの事由による地業工事の遅延は1か月程度にとどまる上(前記認定事実⑷イ)、同工事が完了した後の平成27年12月2日にA 工区 工事の完成時期が平成28年3月24日に変更されているのであり(同ウ)、これらの事情に照らすと、少なくとも平成27年12月2日の時点においては、上記各事由によって地業工事の完了が遅延しても、なお平成27年度中にA 工区工事が完成するものと見込まれていたものと認められる。そうすると、上記各事由は、A 工区工事の同年度中における完成を阻害 は、上記各事由によって地業工事の完了が遅延しても、なお平成27年度中にA 工区工事が完成するものと見込まれていたものと認められる。そうすると、上記各事由は、A 工区工事の同年度中における完成を阻害した 要因であるとは認められないから、鹿児島県道路維持課の職員又は九州財務局長が、上記各事由が「避け難い事故」に該当すると判断した可能性は低いというべきである。 以上によれば、補助参加人e らが事故繰越の承認を得るために必要な事務を遂行していたとしても、鹿児島県道路維持課の職員が事故繰越の承認 申請をし、かつ、当該申請を受けた九州財務局長が事故繰越の承認をした蓋然性があるとまでは認められない。 ウこの点につき、原告らは、財務省が平成26年の時点で労務費等の高騰による入札不調が発生したこと等を受けて、事故繰越の相談に柔軟に対応するとの方針を採っていたことから、A 工区工事に係る交付金についても、 同工事に従事する技術者の確保が困難であったことが「避け難い事故」に当たり、事故繰越の承認を得ることは可能であったと主張する。 しかし、前記認定事実⑻イによれば、財務省は予算繰越の相談に柔軟に対応するよう周知し、国土交通省も事故繰越について速やかに財務局等に相談・協議することを周知したにすぎず、これらの対応は具体性に乏しい 上、避け難い事故に関する法令や本件ガイドブックの記載内容について、 解釈やその変更を具体的に示すものでもない。また、その対象となる事業は、平成24年度補正予算等で措置された事業とされ、平成25年度予算で措置された事業については、都道府県に対して適切な工期を設定して発注することを要請しているほか(前記認定事実⑻イ)、財務省や国土交通省から、本件当時も継続して事故繰越について柔軟な対応をす 度予算で措置された事業については、都道府県に対して適切な工期を設定して発注することを要請しているほか(前記認定事実⑻イ)、財務省や国土交通省から、本件当時も継続して事故繰越について柔軟な対応をするような指示 がされていたことをうかがわせる証拠はない。そうすると、過去に財務省や国土交通省が上記のような周知をしたことをもって、A 工区工事について、「避け難い事故」に該当する事由が存在すると判断されるような蓋然性があったとまではいえない。 エしたがって、補助参加人e らに事故繰越の手続に係る作為義務違反が認 められるとしても、当該義務違反と天城町に生じた本件返還金相当額の損害との間に因果関係があるとは認められないから、争点2に関する原告らの主張は理由がない。 ⑶ 小括以上によれば、補助参加人e らの不作為によって天城町に本件返還金相当 額の損害が発生したとは認められないから、争点1について検討するまでもなく、被告が補助参加人e らに対して不法行為1を原因とする損害賠償請求権を行使しないことが違法とはいえない。 3 不法行為2について⑴ 争点3(補助参加人らの不法行為責任の有無)について ア補助参加人e 及び同dの不法行為責任の成否前記認定事実⑷ク、ケによれば、補助参加人e 及び同dは、平成28年3月24日、A 工区工事が完成していないことを認識しながら、同工事の完成検査にそれぞれ検査員及び立会員として立ち会い、出来形100%とする虚偽の本件調書を作成、決裁した上、請負代金の支出命令書も決裁し たと認められる。また、前記前提事実⑵及び⑶並びに前記認定事実⑶によ れば、同工事に係る交付金について事故繰越の承認を得ていない以上、同月中に同工事の成果物が の支出命令書も決裁し たと認められる。また、前記前提事実⑵及び⑶並びに前記認定事実⑶によ れば、同工事に係る交付金について事故繰越の承認を得ていない以上、同月中に同工事の成果物が完成検査に合格しないと本件契約に基づく請負残代金を支払うことはできず、国から同工事に係る交付金を受けることもできないのであり、補助参加人e 及び同dも、そのことを認識していたと認められる。 そうすると、補助参加人e 及び同dは、A 工区工事が未完成であり、本件契約に基づいて請負代金全額を支出することができず、それ故、同工事に係る交付金を適法に受給することができないことを認識しながら、当該交付金を受給できるようにするために、同工事が完成したことを内容とする虚偽の本件調書を作成、決裁した上、本件契約に基づく残代金支払のた めの支出命令書を決裁したものと認められる。そして、上記行為の結果、天城町は、同工事が平成27年度中に完成したとの虚偽の理由に基づいて同工事に係る交付金を請求しそれを受給するという不正を行い、これにより、本件加算金相当額の損害を被ることとなったと認められるから、補助参加人e 及び同dの上記行為は、天城町に対する不法行為を構成するもの と認められる。 したがって、補助参加人e 及び同dは、天城町に対して不法行為責任を負う。 イ補助参加人bの不法行為責任の成否補助参加人bは、A 工区工事について、平成27年度内に完成しないこ とを補助参加人e から口頭で説明を受けたこと(前記認定事実⑷カ)からすると、平成28年3月24日付けの出来形100%とする本件調書が虚偽であることを知りながら、これを決裁し、支出命令書も決裁した事実が認められる。そして、前記前提事実⑵及び⑶並びに前 事実⑷カ)からすると、平成28年3月24日付けの出来形100%とする本件調書が虚偽であることを知りながら、これを決裁し、支出命令書も決裁した事実が認められる。そして、前記前提事実⑵及び⑶並びに前記認定事実⑶によれば、補助参加人bも、同工事が同月までに完成しない場合には、同工事に 係る交付金を受給することができないことを認識していたものと認めら れる。 そうすると、補助参加人bも、内容虚偽の本件調書を決裁した上、契約上請負代金全額を支出できないにもかかわらず、支出命令書も決裁したのであるから、前記アで説示したとおり、補助参加人bの上記行為は天城町に対する不法行為を構成する。 したがって、補助参加人bは、天城町に対して不法行為責任を負う。 ウ補助参加人cの不法行為責任の成否証拠(甲17、47、証人e、証人b)及び弁論の全趣旨によれば、補助参加人cは、補助参加人e からA 工区工事が平成27年度内に完成しない旨の報告を受けた上で、平成28年3月24日に同工事が完成したことを 内容とする本件調書の契約担当者欄及び決裁欄に押印し、本件契約に基づく請負残代金の支払をするための支出命令に決裁したものと認められる。 そして、本件全証拠を精査しても、補助参加人cが、補助参加人e や同bに対し、同工事が未完成であるにもかかわらず、同工事の完成を前提とする本件調書を決裁すべき理由について問いただしたことをうかがわせる 事情は見出せない。そうすると、補助参加人cは、同工事に係る交付金を不正に受給する目的で、虚偽の内容の本件調書が作成されたことを認識し、それを前提とした補助参加人a 建設への請負残代金の支払にも了承していたと推認するのが相当である。 これに対し、補助参加 正に受給する目的で、虚偽の内容の本件調書が作成されたことを認識し、それを前提とした補助参加人a 建設への請負残代金の支払にも了承していたと推認するのが相当である。 これに対し、補助参加人cは、平成28年3月24日当時、A 工区工事 が未完成であるとの認識はなかった旨主張する。しかし、本件事業は、その内容や金額、天城町の財政規模からしても、天城町にとって重要な事業と認められるところ、その主要部分の一つであるA 工区工事が工期内に完成しないことについて、町長であった補助参加人cに何ら情報提供されなかったとは考え難いし、補助参加人e や同bらが、あえてこのような重要 な事実を秘匿したまま、補助参加人cから本件調書の決裁を得ようとする ような合理的理由も見出し難い。かえって、補助参加人cは、本件の証人尋問において、同工事が完成していないにもかかわらず交付金の請求をすることについて、補助参加人e 及び同bから報告を受けた記憶はないとの曖昧な供述をするにとどまり、むしろ、陳述書(丙3)によれば、当時の課長や部下に尋ねた方が正確なことが分かる旨陳述しており、上記報告を したとの補助参加人e 及び同bの供述を明確に否定していない。これらに照らせば、補助参加人cの上記主張は採用できない。 以上によれば、補助参加人cは、A 工区工事が完成しておらず、同工事に係る交付金を受給することができないことを認識しながら、これを天城町に受給させる目的で、虚偽の内容の本件調書等を決裁したと認められる。 そして、前記アで説示したところによれば、補助参加人cの上記行為は、天城町に対する不法行為を構成するものと認められる。 したがって、補助参加人cは、天城町に対して不法行為責任を負う。 エ補助参加人 示したところによれば、補助参加人cの上記行為は、天城町に対する不法行為を構成するものと認められる。 したがって、補助参加人cは、天城町に対して不法行為責任を負う。 エ補助参加人a 建設の責任(ア) 前記認定事実⑷カによれば、補助参加人a 建設は、その担当者が出席 した平成28年3月初旬実施の定例会議において、補助参加人e 及びfから、A 工区工事に係る交付金の支出を平成28年度に繰り越すことができないとの説明を受けた上で、同工事の進捗を100%とするための方策に関する意見交換に加わり、その結果、天城町から同工事の出来形100%とするための条件として本件条件を提示されたものである。本 件条件は、本来は同工事において設置されることが予定されていた設備の一部について、現場への搬入のみで完了したものとするという内容であることからすると、本件条件が、同工事の出来形を100%とするための方便であることは明らかであり、補助参加人a 建設もそのことを認識していたものと推認できる。また、補助参加人a 建設は、本件条件を 達成して同月24日に行われた完成検査に合格した後も、本件現場から 撤収せず、B工区工事を担当するj建設に対してA 工区工事に係る作業を発注しており(前記認定事実⑷ク及びサ)、同月25日以降も、j建設とともに同工事に係る作業に従事していたと推認できる。これらの事実に照らすと、補助参加人a 建設は、同工事に係る工事目的物引渡書及び工事完成通知書を作成して天城町に提出した時点で、同工事が完成して いないことを認識していたと認められる。 そして、上記認定のとおり、補助参加人a 建設の担当者が出席した上記定例会議において、補助参加人e 及びfが交付金の年度繰越ができない して いないことを認識していたと認められる。 そして、上記認定のとおり、補助参加人a 建設の担当者が出席した上記定例会議において、補助参加人e 及びfが交付金の年度繰越ができないことを説明した上で、A 工区工事の出来形を100%とするための方便として本件条件が提示されたのであるから、本件条件を達成すること で同工事の出来形を100%とみなすことが、交付金の受給を実現するための方策であることは明らかであり、補助参加人a 建設もその旨認識していたと認められる。 そうすると、補助参加人a 建設は、A 工区工事が完成していないことを認識しながら、工事目的物引渡書及び工事完成通知書を作成し、これ が同工事に係る交付金を天城町が受給するために使用されることを認識しながら、天城町にこれを提出したものと認められる。このような補助参加人a 建設の行為は、天城町による交付金の不正請求に加担する違法なものであり、天城町に本件加算金相当額の損害を生じさせる原因となったものであるから、天城町に対する不法行為を構成するものと認めら れる。 (イ) これに対し、補助参加人a 建設は、交付金の受給手続を説明されたこともなく、交付金の返還事由等も知らなかったから、本件加算金の支払によって天城町に損害が生じることにつき、予見可能性がなかった旨主張する。 しかし、不法行為の成立要件たる予見可能性の程度としては、その対 象となる損害の具体的な金額や発生原因についてまで予見可能である必要はないと解すべきであるところ、本件においては、交付金が国の財源から支出されるものである以上、その不正請求に対して経済的な制裁があり得ることは社会通念に照らして容易に想像できる事柄といえる。そうすると、補 解すべきであるところ、本件においては、交付金が国の財源から支出されるものである以上、その不正請求に対して経済的な制裁があり得ることは社会通念に照らして容易に想像できる事柄といえる。そうすると、補助参加人a 建設が交付金の受給手続及び返還事由について 具体的に認識していなかったとしても、天城町に損害が生じることについて、予見可能性が否定されるものではないというべきである。 したがって、補助参加人a 建設の上記主張は採用できない。 (ウ) また、補助参加人a 建設は、本件取消決定の理由の中核は、A 工区工事に係る交付金のうち未完成部分に相当するものについて事故繰越の承 認を受けなかったことにあり、補助参加人a 建設の上記行為に違法性はない旨主張する。 しかし、本件取消決定の理由として、繰越承認を受けずにA 工区工事を翌年度まで継続したことと並列して、同工事が年度内に完成したと偽ったことが掲げられている(前提事実⑼)のであるから、前者のみが本 件取消決定の理由の中核であるということはできない。また、前記(ア)の認定によれば、補助参加人a 建設による内容虚偽の工事目的物引渡書及び工事完成通知書の作成及び提出が、天城町による同工事に係る交付金の不正請求の起点となったと認められるから、当該行為が同交付金の不正請求に果たした役割は大きいといわざるを得ない。 したがって、補助参加人a 建設の上記行為が違法性を欠くとはいえないから、補助参加人a 建設の上記主張は採用できない。 (エ) 以上によれば、補助参加人a 建設は、天城町に対する不法行為責任を負う。 オ小括 前記アからエまでに説示したとおり、補助参加人らはそれぞれ天城町に 対する不法行為責任を負うとこ 参加人a 建設は、天城町に対する不法行為責任を負う。 オ小括 前記アからエまでに説示したとおり、補助参加人らはそれぞれ天城町に 対する不法行為責任を負うところ、補助参加人らの各行為はA 工区工事に係る交付金の不正請求のために行われた一連のものであり、客観的に共同していると認められるから、補助参加人らは、天城町に対して、連帯して不法行為2によって生じた損害を賠償する責任を負う。 ⑵ 争点4(補助参加人らの寄附等により、不法行為2により天城町に生じた 損害は填補されたか)についてア判断枠組み被害者が不法行為によって損害を被ると同時に、同一の原因によって利益を受ける場合には、損害と利益との間に同質性がある限り、公平の見地から、その利益の額を被害者が加害者に対して賠償を求める損害額から控 除するのが相当である(最高裁昭和63年(オ)第1749号平成5年3月24日大法廷判決・民集47巻4号3039頁参照)。また、損害と利益との間に同質性があるというためには、損害と利益との間に事実上の関連性があるだけでは足りず、損害の填補を直接の目的とする給付を受けるなど、法的に見ても損害の填補と評価できる利益を受けることが必要という べきである。 以下では、上記の判断枠組みに照らし、補助参加人らの寄附等によって不法行為2により天城町に生じた損害が填補されたか検討する。 イ本件寄附1について(ア) 前記前提事実⑼及び⑽ア並びに前記認定事実⑺アによれば、本件寄附 1は、本件返還金及び本件加算金の財源に充てることを条件とするものであり、天城町も、本件寄附1により収受した金員を歳入に計上した(前記認定事実⑺ア)のであるから、本件返還金及び本件加算 寄附 1は、本件返還金及び本件加算金の財源に充てることを条件とするものであり、天城町も、本件寄附1により収受した金員を歳入に計上した(前記認定事実⑺ア)のであるから、本件返還金及び本件加算金の原資となった天城町の財源に組み込んだものと認められる。そうすると、本件寄附1は、本件返還金及び本件加算金の支払により減少した天城町の財源 を填補するものであり、これら損害との同質性が認められる。 もっとも、本件寄附1は、本件加算金の支払に伴う損害のみならず、本件返還金の支払に伴う損害を填補するものであるから、その全額を不法行為2による本件加算金相当額の損害を填補するものと認めることはできず、本件返還金と本件加算金の額に応じて本件寄附1の金額を按分し、後者の割合に相当する額のみが不法行為2による損害を填補するも のと認めるのが相当である。 したがって、本件寄附1のうち、75万5104円(小数点以下切り捨て)を不法行為2による損害から控除するのが相当である。 (計算式)2,126,776×22,184,172÷(40,298,225+2 2,184,172)≒755,104(イ) これに対し、原告らは、寄附金には税制上の優遇措置があるなど、損害と法的性質を異にするものであるから、損害を填補するものではないと主張する。 しかし、他の法律行為(たとえば損害保険契約等)を根拠として金員 が支払われる場合であっても、当該金員の支払が特定の損害の発生を前提として、当該損害の填補を目的とする場合は、これによって損害は填補されたといえるし、この点は、寄附金の使途を特定の損害の填補に限定した贈与契約においても異なるものではない。税制上の優遇措置は、贈与契約に伴う寄附者の納税上の問題に る場合は、これによって損害は填補されたといえるし、この点は、寄附金の使途を特定の損害の填補に限定した贈与契約においても異なるものではない。税制上の優遇措置は、贈与契約に伴う寄附者の納税上の問題に過ぎず、税制上の優遇措置を受 けることのみをもって、当該金員の支払が天城町との関係において、損害の填補を目的としたものではないとか、損害の填補に当たらないと評価することはできない。 したがって、原告らの上記主張は採用できない。 ウ本件懲戒処分による減給について 被告は、本件懲戒処分による減給により、天城町の財源からの支出が免 れたことから、上記減給相当額は不法行為2による損害から控除されるべきである旨主張する。 しかし、本件懲戒処分による減給は、地方公務員法29条に基づく懲戒権の行使によるものであるから、不法行為2を直接的な原因とするものではなく、不法行為2と同一の原因によるものとは認められない。 また、本件懲戒処分は、補助参加人e による非違行為に対する制裁を目的とするものであり、本件加算金の支払により減少した天城町の財源を填補することを趣旨・目的とするものではないから、補助参加人e の給料が減少することによって、結果的に天城町の財源からの支出が減少するという利益が生じるものの、当該利益が不法行為2によって天城町に生じた損 害と同質であるということはできない。 したがって、本件懲戒処分による減給により、不法行為2によって生じた損害が填補されたとは認められない。 エ本件寄附2について被告は、補助参加人e による本件寄附2は、本件加算金の支払により減 少した天城町の財源を填補する趣旨でされたものである旨主張する。 しかし、本件寄附2が本 附2について被告は、補助参加人e による本件寄附2は、本件加算金の支払により減 少した天城町の財源を填補する趣旨でされたものである旨主張する。 しかし、本件寄附2が本件加算金の支払により減少した天城町の財源を填補する趣旨でされたことを認めるに足りる証拠はない。確かに、本件寄附2は天城町による本件加算金の支払から約2か月半後という比較的近接した時期に行われたものであるものの(前記前提事実⑼、⑽イ)、そのこ とによって、直ちに本件寄附2が本件加算金の支払により減少した天城町の財源を填補する趣旨で行われたものとは推認することはできず、むしろ、補助参加人e は、本件の証人尋問において、本件寄附2に係る寄附申出書の「寄附に当たっての指定又は条件」欄に記載した内容を覚えていない旨供述するにとどまっていることに照らすと、本件寄附2が上記の趣旨でさ れたことについては疑問が残る。不法行為2の結果、天城町には、本件加 算金の支払による損害のみならず、地方公共団体としての信頼の失墜や事後処理に伴う関係職員の事務負担の増大といった様々な損害が生じていると推認でき、このような負担を生じさせたことに対する謝罪の気持ちを寄附という形で表したとの評価もなし得る。 また、天城町は、本件返還命令を受けたこと等への対応として本件寄附 2を本件広報誌に掲載している(前記認定事実⑺カ)ものの、本件広報誌は本件寄附2から約1年後に刊行されたものであり、本件寄附2がされた当初からその趣旨・目的が本件加算金の支払により減少した天城町の財源を填補することにあったことを裏付けるものとはいえないから、本件広報誌の上記記載をもって、本件寄附2が上記の趣旨でされたものと推認する ことはできない。そして、天城町は本件寄附2によ 町の財源を填補することにあったことを裏付けるものとはいえないから、本件広報誌の上記記載をもって、本件寄附2が上記の趣旨でされたものと推認する ことはできない。そして、天城町は本件寄附2により受領した金員を協力金名目で処理していること(前記認定事実⑺イ)に照らすと、天城町が本件寄附2を本件加算金の支払により減少した財源を填補するために本件寄附2に係る金員を受領したとは認められない。 以上によれば、本件寄附2によって天城町が取得した利益は、不法行為 2によって天城町に生じた損害と同質であるということはできないから、上記利益によって上記損害が填補されたとは認められない。 オ本件寄附3について被告は、補助参加人dによる本件寄附3は、本件加算金の支払により減少した天城町の財源を填補する趣旨でされたものである旨主張する。 しかし、本件寄附3が、本件加算金の支払により減少した天城町の財源を填補する趣旨でされたことを認めるに足りる証拠はない。補助参加人dは、本件の証人尋問において、天城町による本件返還金及び本件加算金の支払を受けて、天城町の財源の役に立ちたいとの気持ちで本件寄附3をした旨供述するが、併せて本件寄附3に係る寄附申出書には寄附の条件等は ないと記載したと供述しているのであるから、補助参加人dの供述から、 本件寄附3が天城町の財源を填補する趣旨でされたと認めることはできない。 これに加え、本件寄附3について、天城町による本件加算金の支払から約2か月半後にされたこと、本件広報誌に本件返還命令を受けたこと等に対する対応として記載されていること及び天城町が受領した金員を協力 金名目で処理したことは、本件寄附2と同じであるところ、前記エで説示したとこ れたこと、本件広報誌に本件返還命令を受けたこと等に対する対応として記載されていること及び天城町が受領した金員を協力 金名目で処理したことは、本件寄附2と同じであるところ、前記エで説示したところによれば、本件寄附3が本件加算金の支払により減少した天城町の財源を填補する趣旨でされたと認めることはできない。 したがって、本件寄附3によって天城町が取得した利益は、不法行為2によって天城町に生じた損害と同質であるということはできないから、上 記利益によって上記損害が填補されたと認めることはできない。 カ本件条例による長の給料の減額について被告は、本件条例による長の給料の減額は、不法行為2を原因としてされたものである上、減額分は天城町の一般財源に留保されるから、不法行為2による損害と同質である旨主張する。 しかし、普通地方公共団体の長に支給すべき給料は、議会の制定する条例によって定められるところ(地方自治法96条1項1号、204条1項、3項参照)、条例の制定においては、当該地方公共団体の規模や財政状況、長の業務内容、その他一切の事情が総合的に考慮されるべきものである。 長の給料については、条例で定められた金額以外に基準と言い得る金額が あるわけではなく、条例で定められた額を超えて給料の請求権が認められるものでもない。そうすると、本件条例が、天城町長の給料の額を今までよりも減ずる形式を取っていたとしても、その実質は、天城町議会が条例制定権を行使し、長の給料を今までよりも低い額とすることを定めたというにすぎず、これをもって法的に支払義務を負う金員の支払を免れた等の 利益が生じたとは観念できない。 また、仮に本件条例の制定によって、何らかの利益が生じたと観念し得ると たというにすぎず、これをもって法的に支払義務を負う金員の支払を免れた等の 利益が生じたとは観念できない。 また、仮に本件条例の制定によって、何らかの利益が生じたと観念し得るとしても、上記のような長の給料の性質に照らせば、本件条例の提案理由説明書において掲げられた本件返還金や本件加算金、起債の繰上償還に伴う各種負担や監督者としての責任等は、長の給料を定める上で総合的に考慮すべき事情の一つとして掲げられたにすぎないというべきであり、こ れと本件加算金の支払による損害が同質のものとはいえない。 したがって、本件条例による補助参加人bの給料の減額によって、天城町に生じた損害が填補されたとは認められない。 キ本件寄附4について被告及びa 建設は、本件寄附4は、不法行為2と同一の原因によるもの であり、かつ、本件加算金の支払により減少した天城町の財源を填補する趣旨で行われたから、本件寄附4に係る寄附金は、不法行為2による損害と同質である旨主張する。 しかし、前記認定事実⑺エによれば、本件寄附4に係る寄附申出書においては、本件寄附4は天城町の町制施行60周年を記念したものであり、 その使途も天城町の発展のためと抽象的に定められているのであり、このような記載からは、本件寄附4が本件加算金の支払により減少した天城町の財源を填補する趣旨でされたことはうかがわれない。さらに、a グループは、本件寄附4に際して、その氏名を公表することに同意していたのであるから(前記認定事実⑺エ)、天城町に対する経済的な貢献を外部にアピ ールし、企業イメージを上昇させる目的を有していた可能性を否定することはできない。 以上によれば、本件寄附4は、本件加算金の支払により減少した天城町の財源を填補す 経済的な貢献を外部にアピ ールし、企業イメージを上昇させる目的を有していた可能性を否定することはできない。 以上によれば、本件寄附4は、本件加算金の支払により減少した天城町の財源を填補する趣旨でされたとは認められず、これによる利益は上記損害と同質であるということはできないから、上記利益により上記損害が填 補されたとは認められない。 ク本件寄附5について被告は、本件寄附5は、不法行為2と同一の原因によるものであり、かつ、本件加算金の支払により減少した天城町の財源を填補する趣旨で行われたから、本件寄附5に係る寄附金は、不法行為2による損害と同質である旨主張する。 しかし、本件加算金の支払により減少した天城町の財源を填補する趣旨でされたことを認めるに足りる証拠はない。また、前記前提事実⑼及び⑽カ並びに前記認定事実⑺オによれば、補助参加人cは捜査機関から関係者の寄附や減給措置等の存在を知らされたことを受けて、不法行為2による損害が天城町に生じてから約2年もの期間が経過した後に本件寄附5を したのであり、そのような事実関係に照らすと、本件寄附5が、関係者と同様の対応を行うことで補助参加人cの体裁を保つことを目的としてされた可能性も否定できず、天城町の上記損害を填補する趣旨でされたとは認め難いから、本件寄附5により天城町が得た利益が上記損害と同質ということはできない。 したがって、本件寄附5によって、本件不法行為2による天城町の損害が填補されたとは認められない。 ケ小括以上によれば、争点4に関する被告の主張は、本件寄附1のうち75万5104円により不法行為2によって天城町に生じた損害が填補された とする限度で理由がある。 そうすると ケ小括以上によれば、争点4に関する被告の主張は、本件寄附1のうち75万5104円により不法行為2によって天城町に生じた損害が填補された とする限度で理由がある。 そうすると、不法行為2による損害額は、本件加算金相当額の2218万4172円から上記75万5104円を控除した残額の2142万9068円と認められる。 4 まとめ ⑴ア前記2及び3で説示したところによれば、天城町は、補助参加人らに対 して、共同不法行為に基づき2142万9068円の損害賠償請求権を有すると認められる。 イ原告らは、補助参加人らの被告に対する前記アの損害賠償債務に係る遅延損害金の起算日が、天城町がA 工区工事の完成を前提とする交付金を請求した平成28年3月31日(前提事実⑻)であると主張する。 しかし、不法行為による損害賠償債務は、損害の発生と同時に遅滞に陥るものである(最高裁昭和34年(オ)第117号同37年9月4日第三小法廷判決・民集16巻9号1834頁参照)。そして、本件加算金の納付義務は、本件返還命令が発出されない限り発生するものではないから(補助金適正化法19条1項参照)、本件取消決定の理由となった上記交付金 の不正請求が行われたことによって、上記義務が発生するものではなく、かつ、上記義務が発生する蓋然性があるとも認められないから、上記請求時点において、天城町に本件加算金相当額の損害が発生していたとは認められない。 そこで、上記遅延損害金の起算日について検討すると、本件加算金の額 は、交付金の受領日から本件返還金の納付日までの日数に応じて算定されること(同条項)に照らすと、天城町が本件返還金を納付した令和3年4月30日に本件加算金の額が確定し、天城町がその納付義務を確定的に負 、交付金の受領日から本件返還金の納付日までの日数に応じて算定されること(同条項)に照らすと、天城町が本件返還金を納付した令和3年4月30日に本件加算金の額が確定し、天城町がその納付義務を確定的に負うこととなると解されるから、不法行為2による天城町の損害は同日に発生したものと認められる。 したがって、前記アの損害賠償債務に係る遅延損害金の起算日は令和3年4月30日とするのが相当である。 ウ以上によれば、天城町は、補助参加人らに対し、2142万9068円に対する令和3年4月30日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正後のもの)所定の年3分の割合による遅延損害金の支払を 併せて請求する権利を有する。 ⑵ そして、天城町が補助参加人らに対する上記請求権を違法に行使していないから、天城町の執行機関である被告に対し、上記各請求権の行使を命ずるのが相当である。 第4 結論よって、原告らの請求は、被告に対し、補助参加人らに対して連帯して21 42万9068円及びこれに対する令和3年4月30日から支払済みまで年3分の割合による遅延損害金を支払うよう請求することを求める限度で理由があるからその限度で認容し、その余の請求はいずれも理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。 鹿児島地方裁判所民事第2部 裁判長裁判官前原栄智 裁判官高木俊明 裁判官赤坂誠悟 (別紙)関係法令の定め 1 財政法第11条国の会計年度は、毎年4月1日に始まり、翌年3月31日に終るものとする。 第12条各会計年度における経費は、その年度の歳入を以て、これを支弁し 関係法令の定め 1 財政法第11条国の会計年度は、毎年4月1日に始まり、翌年3月31日に終るものとする。 第12条各会計年度における経費は、その年度の歳入を以て、これを支弁しなければならない第14条の3 歳出予算の経費のうち、その性質上又は予算成立後の事由に基き年度内にその支出を終らない見込のあるものについては、予め国会の議決を経て、翌年度に繰り越して使用することができる。 2 前項の規定により翌年度に繰り越して使用することができる経費は、これを繰越明許費という。 第42条繰越明許費の金額を除く外、毎会計年度の歳出予算の経費の金額は、これを翌年度において使用することができない。但し、歳出予算の経費の金額のうち、年度内に支出負担行為をなし避け難い事故のため年 度内に支出を終らなかつたもの(当該支出負担行為に係る工事その他の事業の遂行上の必要に基きこれに関連して支出を要する経費の金額を含む。)は、これを翌年度に繰り越して使用することができる。 第43条各省各庁の長は、第14条の3第1項又は前条但書の規定による繰越を必要とするときは、繰越計算書を作製し、事項ごとに、その事由 及び金額を明らかにして、財務大臣の承認を経なければならない。 2 前項の承認があつたときは、当該経費に係る歳出予算は、その承認があつた金額の範囲内において、これを翌年度に繰り越して使用することができる。 3、4 (略) 2 会計法 第46条の2 各省各庁の長は、財政法第43条第1項に規定する繰越しの手続及び同法第43条の3に規定する翌年度にわたつて支出すべき債務の負担(以下「繰越明許費に係る翌年度にわたる債務の負担」という。)の手続に関する事務を当該各省各庁所属の職員又は他の各省各 越しの手続及び同法第43条の3に規定する翌年度にわたつて支出すべき債務の負担(以下「繰越明許費に係る翌年度にわたる債務の負担」という。)の手続に関する事務を当該各省各庁所属の職員又は他の各省各庁所属の職員に、財務大臣は、これらの規定に規定する承 認に関する事務を財務省所属の職員に、政令の定めるところにより、委任することができる。 第48条国は、政令の定めるところにより、その歳入、歳出、歳入歳出外現金、支出負担行為、支出負担行為の確認又は認証、契約(支出負担行為に該当するものを除く。以下同じ。)、繰越しの手続及び繰越明許費 に係る翌年度にわたる債務の負担の手続に関する事務を、都道府県の知事又は知事の指定する職員が行うこととすることができる。 2、3 (略) 3 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(補助金等の交付の申請) 第5条補助金等の交付の申請(契約の申込を含む。以下同じ。)をしようとする者は、政令で定めるところにより、補助事業等の目的及び内容、補助事業等に要する経費その他必要な事項を記載した申請書に各省各庁の長が定める書類を添え、各省各庁の長に対しその定める時期までに提出しなければならない。 (補助金等の交付の決定)第6条各省各庁の長は、補助金等の交付の申請があつたときは、当該申請に係る書類等の審査及び必要に応じて行う現地調査等により、当該申請に係る補助金等の交付が法令及び予算で定めるところに違反しないかどうか、補助事業等の目的及び内容が適正であるかどうか、金額の算定に 誤がないかどうか等を調査し、補助金等を交付すべきものと認めたとき は、すみやかに補助金等の交付の決定(契約の承諾の決定を含む。以下同じ。)をしなければならない。 2~4 (略) 誤がないかどうか等を調査し、補助金等を交付すべきものと認めたとき は、すみやかに補助金等の交付の決定(契約の承諾の決定を含む。以下同じ。)をしなければならない。 2~4 (略)(決定の取消)第17条各省各庁の長は、補助事業者等が、補助金等の他の用途への使用を し、その他補助事業等に関して補助金等の交付の決定の内容又はこれに附した条件その他法令又はこれに基く各省各庁の長の処分に違反したときは、補助金等の交付の決定の全部又は一部を取り消すことができる。 2~4 (略) (補助金等の返還)第18条各省各庁の長は、補助金等の交付の決定を取り消した場合において、補助事業等の当該取消に係る部分に関し、すでに補助金等が交付されているときは、期限を定めて、その返還を命じなければならない。 2、3 (略) (加算金及び延滞金)第19条補助事業者等は、第17条第1項の規定又はこれに準ずる他の法律の規定による処分に関し、補助金等の返還を命ぜられたときは、政令で定めるところにより、その命令に係る補助金等の受領の日から納付の日までの日数に応じ、当該補助金等の額(その一部を納付した場合 におけるその後の期間については、既納額を控除した額)につき年10・95パーセントの割合で計算した加算金を国に納付しなければならない。 2、3 (略)以上
▼ クリックして全文を表示