【DRY-RUN】主 文 原決定を取消す。 松山地方裁判所執行官は、別紙目録記載の不動産に対する相手方Aの占 有を解いてこれを抗告人らに引渡せ。 本件引渡命令の申立および抗告の費用は
主 文 原決定を取消す。 松山地方裁判所執行官は、別紙目録記載の不動産に対する相手方Aの占 有を解いてこれを抗告人らに引渡せ。 本件引渡命令の申立および抗告の費用は相手方の負担とする。 理 由 本件抗告の趣旨および理由は、別紙一、二に記載のとおりである。 よつて判断する。 一 民訴法六八七条(競売法三二条により任意競売に準用される場合も含む)に 基づく競落不動産の引渡命令を発し得べき相手方の範囲については、種々の見解が あるが、(1)競売開始決定により差押の効力が生じた後に第三者の取得した所有 権・他物権・賃借権の如き占有を正当ならしめる本権は競落許可決定の言渡によつ てその効力を失い、かかる本権の登記は民訴法七〇〇条により職権で抹消されるの に、その占有移転のみが訴を必要とし、厳格な審理を経た確定判決に基づく執行に よらなければならないとすることは、権衡を失することになるし、(2)また競落 人は競落許可決定を受けた以上その所有権を取得するだけでなく執行手続により終 局的にその占有をも取得し得るとすることが国家による競売を意義あらしめること になり、(3)さらには、民訴法六八七条には単に「債務者」と掲げるに止まる が、右は競落不動産の占有が一般的に債務者にあるところから通常の場合を立言し たに止まり、債務者以外の者を除外する趣旨ではないと解せられること等の諸点か らすると、右不動産引渡命令の相手方は必ずしも債務者およびその一般承継人に限 定する必要はないと解すべきである。 <要旨>しかし、不動産引渡命令を発し得る第三者の範囲については、不動産引渡 命令が競売手続に付随する執行</要旨>手続としてなされるところがらすれば、第三 者の占有が競落人に対抗し得る正権原に基づくものであるか否かの調査認定が執行 裁判所 る第三者の範囲については、不動産引渡 命令が競売手続に付随する執行</要旨>手続としてなされるところがらすれば、第三 者の占有が競落人に対抗し得る正権原に基づくものであるか否かの調査認定が執行 裁判所によつて簡易迅速に、しかも過誤なくなされ得ることが必要であるところ、 かかる観点からすれば、差押の効力が生ずる以前からの占有者については不動産引 渡命令の相手方から除外するのが相当であるが、差押の効力が生じた後に占有を開 始した者については債務者から占有を承継した特定承継人であると、債務者からの 承継関係なしに占有を開始した非承継人であるとを問わず、ひとしく不動産引渡命 令の相手方となし得ると解するのが相当である。けだし、不動産引渡命令の相手方 を差押の効力発生後に占有を開始したものに限定すれば、執行裁判所は、第三者に 対して不動産引渡命令を発するに当り、その第三者の占有の開始時期が競売開始決 定により差押の効力が発生した後であるか否かの点のみを調査認定すれば足りるか ら、厳格な判決手続によらずして対抗力の有無を簡易迅速に、しかも、可及的に過 誤なく調査認定し得るし、また差押の効力発生後に占有を開始した者は、その占有 が債務者からの特定承継に基づくものであると、債務者からの承継関係なしになさ れたものであるとを問わず、ひとしく競落人に対抗できない不法占有であつて、こ れを区別する合理的な理由はないからである。 二 これを本件についてみるに、記録によると、債権者Bが、債務者兼所有者C から設定を受けた別紙目録記載の不動産に対する抵当権に基づき松山地方裁判所に 競売の申立をしたところ(同庁昭和四五年(ケ)第五五号事件)、同裁判所は昭和 四五年八月四日右不動産に対する競売開始決定をし、同月六日その旨の登記がなさ れて(債務者に対する送達は同月一二日)差押の効力か生じたこと、抗告人ら (同庁昭和四五年(ケ)第五五号事件)、同裁判所は昭和 四五年八月四日右不動産に対する競売開始決定をし、同月六日その旨の登記がなさ れて(債務者に対する送達は同月一二日)差押の効力か生じたこと、抗告人らは右 競売事件で右不動産を競落し、同年一一月一七日競落許可決定を受け、同年一二月 一四日競落代金を完納して右不動産の所有権を取得したこと、相手方Aは右差押の 効力が生じた後の同年一一月上旬頃ないし同年一二月上旬頃から競落人である本件 抗告人らに対抗し得る何らの権原もなく右不動産の占有を始め、以後引続きこれを 占有していること、以上の如き事実が認められ、他に右認定を覆すに足る証拠はな い。 三 してみれば、右相手方Aは、本件競売開始決定により差押の効力が生じた後 に別紙目録記載の不動産の占有を開始した不法占有者であるから、同人を相手方と して右不動産の引渡命令を求める抗告人らの本件申立は理由がある。 よつて、本件申立を却下した原決定は不当であるからこれを取消して抗告人らの 本件申立を認容することとし、本件引渡命令の申立および抗告の費用につき民訴法 九五条八九条を適用して主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官 合田得太郎 裁判官 谷本益繁 裁判官 後藤勇) 目 録 一 松山市a町b番地c 家屋番号b番c 木造亜鉛メッキ鋼板葦平家建居宅 四〇・四二平方メートル 別 紙 一 <記載内容は末尾1添付> 別 紙 二 <記載内容は末尾2添付>
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