- 1 -令和5年5月25日判決言渡令和3年(行ウ)第123号消費税及び地方消費税更正処分等取消請求事件 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求⑴ A税務署長が令和2年4月28日付けで原告に対してした、平成27年4月1日から平成28年3月31日までの課税期間に係る消費税及び地方消費税の更正処分のうち、納付すべき消費税額マイナス1億7824万5533円を超 える部分及び納付すべき地方消費税額マイナス4809万1727円を超える部分並びに同更正処分に伴う過少申告加算税の賦課決定処分をいずれも取り消す。 ⑵ A税務署長が令和2年4月28日付けで原告に対してした、平成28年4月1日から平成29年3月31日までの課税期間に係る消費税及び地方消費税の 更正処分のうち、納付すべき消費税額マイナス2億3995万3631円を超える部分及び納付すべき地方消費税額マイナス6474万9866円を超える部分並びに同更正処分に伴う過少申告加算税の賦課決定処分をいずれも取り消す。 ⑶ A税務署長が令和2年4月28日付けで原告に対してした、平成29年4月 1日から平成30年3月31日までの課税期間に係る消費税及び地方消費税の更正処分(ただし、令和4年5月31日付け減額再更正処分によって一部取り消された後のもの)のうち、納付すべき消費税額マイナス2億5349万0670円を超える部分及び納付すべき地方消費税額マイナス6839万6653円を超える部分並びに同更正処分に伴う過少申告加算税の賦課決定処分をいず れも取り消す。 - 2 -⑷ A税務署長が令和2年4月28日付けで原告に対してした、平成30年4月1日か 円を超える部分並びに同更正処分に伴う過少申告加算税の賦課決定処分をいず れも取り消す。 - 2 -⑷ A税務署長が令和2年4月28日付けで原告に対してした、平成30年4月1日から平成31年3月31日までの課税期間に係る消費税及び地方消費税の更正処分のうち、納付すべき消費税額マイナス2億7780万4390円を超える部分及び納付すべき地方消費税額マイナス7496万2725円を超える部分並びに同更正処分に伴う過少申告加算税の賦課決定処分をいずれも取り消 す。 第2 事案の概要 1 本件は、土地付き中古住宅(戸建住宅及び集合住宅を含む。以下、単に「物件」という。)の販売事業等を営む原告が、平成28年3月期(平成27年4月1日から平成28年3月31日までの課税期間をいい、以下他の課税期間も 同様に表記する。)から平成31年3月期までの各課税期間(以下「本件各課税期間」という。)における顧客への物件の譲渡に係る消費税及び地方消費税(以下併せて「消費税等」という。)の納税申告について処分行政庁が行った各更正処分(ただし、平成30年3月期分については、後記3⑽の減額再更正処分により一部取り消された後のもの。以下「本件各更正処分」と総称する。) 及び過少申告加算税の各賦課決定処分(以下「本件各賦課決定処分」と総称し、本件各更正処分と併せて「本件各更正処分等」という。)は違法であるとして、被告を相手に、本件各更正処分等(ただし、本件各更正処分については、申告額を超える部分)の取消しを求める事案である。 2 関係法令の定め ⑴ 消費税法の定めア課税の対象4条1項は、国内において事業者が行った資産の譲渡等(事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供〔代物弁済による資産の ⑴ 消費税法の定めア課税の対象4条1項は、国内において事業者が行った資産の譲渡等(事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供〔代物弁済による資産の譲渡その他対価を得て行われる資産の譲渡若しくは貸付 け又は役務の提供に類する行為として政令で定めるものを含む。〕をい - 3 -う〔2条1項8号〕。)には、消費税法により、消費税を課す旨を定め、6条1項、別表第一(1号)は、国内において行われる資産の譲渡等のうち、土地(土地の上に存する権利を含む。)の譲渡等については、消費税を課さない旨を定める(以下、資産の譲渡等のうち、同項の規定により消費税を課さないこととされるもの以外のものを「課税資産の譲渡 等」という。)4条5項は、①個人事業者が棚卸資産又は棚卸資産以外の資産で事業の用に供していたものを家事のために消費し、又は使用した場合における当該消費又は使用(同項1号)及び②法人が資産をその役員に対して贈与した場合における当該贈与(同項2号)を、事業として対価を得 て行われた資産の譲渡とみなす旨を定める。 イ課税標準 28条1項本文は、課税資産の譲渡等に係る消費税の課税標準は、課税資産の譲渡等の対価の額(対価として収受し、又は収受すべき一切の金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益の額とし、課税 資産の譲渡等につき課されるべき消費税額及び当該消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額に相当する額を含まないものとする。)とする旨を規定し、同項ただし書は、法人が資産をその役員に譲渡した場合において、その対価の額が当該譲渡の時における当該資産の価額に比し著しく低いときは、その価額に相当する金額をその対価の額とみな す旨を規定する。 し書は、法人が資産をその役員に譲渡した場合において、その対価の額が当該譲渡の時における当該資産の価額に比し著しく低いときは、その価額に相当する金額をその対価の額とみな す旨を規定する。 28条3項は、4条5項1号に掲げる消費又は使用(前記ア①)については、当該消費又は使用の時における当該消費し、又は使用した資産の価額に相当する金額を、同項2号に掲げる贈与(同②)については、当該贈与の時における当該贈与をした資産の価額に相当する金額を、そ れぞれその対価の額とみなす旨を規定する。 - 4 - 28条5項は、同条3項に定めるもののほか、1項、2項(特定課税仕入れに係る消費税の課税標準)又は4項(保税地域から引き取られる課税貨物に係る消費税の課税標準)に規定する課税標準の額の計算の細目に関し必要な事項は、政令で定める旨を規定する。 ウ仕入れに係る消費税額の控除 30条1項は、事業者が、国内において行う課税仕入れ(事業者が、事業として他の者から資産を譲り受け、若しくは借り受け、又は役務の提供を受けることをいう〔2条1項12号〕。)については、当該課税仕入れを行った日の属する課税期間の課税標準額に対する消費税額から、当該課税期間中に国内において行った課税仕入れに係る消費税額を控除 する旨を規定する。 ⑵ 消費税法施行令45条の定めア 1項は、消費税法28条1項及び2項に規定する金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の額は、当該物若しくは権利を取得し、又は当該利益を享受する時における価額とする旨を規定する。 イ 2項は、①代物弁済による資産の譲渡の対価の額は、当該代物弁済により消滅する債務の額に相当する金額とし(同項1号)、②負担付き贈与による資産の譲渡の対価の額 とする旨を規定する。 イ 2項は、①代物弁済による資産の譲渡の対価の額は、当該代物弁済により消滅する債務の額に相当する金額とし(同項1号)、②負担付き贈与による資産の譲渡の対価の額は、当該負担付き贈与に係る負担の価額に相当する金額とし(同項2号)、③金銭以外の資産の出資の対価の額は、当該出資により取得する株式の取得の時における価額に相当する金額と し(同項3号)、④資産の交換の対価の額は、当該交換により取得する資産の取得の時における価額に相当する金額とする(同項4号)旨等を規定する。 ウ 3項は、事業者が課税資産の譲渡等に係る資産(以下「課税資産」という。)と課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等に係る資産(以下「非課 税資産」という。)とを同一の者に対して同時に譲渡した場合(以下、 - 5 -このような譲渡を「一括譲渡」ということがある。)において、これらの資産の譲渡の対価の額(消費税法28条1項に規定する対価の額をいう。)が課税資産の譲渡の対価の額と非課税資産の譲渡の対価の額とに合理的に区分されていないときは、当該課税資産の譲渡等に係る消費税の課税標準は、これらの資産の譲渡の対価の額に、これらの資産の譲渡 の時における当該課税資産の価額と当該非課税資産の価額との合計額のうちに当該課税資産の価額の占める割合を乗じて計算した金額とする旨を規定する。 3 前提事実(争いのない事実、顕著な事実並びに掲記証拠〔書証は特記しない限り枝番を含む。以下同じ。〕及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実) ⑴ 原告についてア原告は、不動産の賃貸、管理、売買及び仲介等を目的として昭和53年9月1日に設立された法人であり、平成25年7月1日に現在の商号に変更した(甲1)。 イ原告は、中古住宅 ⑴ 原告についてア原告は、不動産の賃貸、管理、売買及び仲介等を目的として昭和53年9月1日に設立された法人であり、平成25年7月1日に現在の商号に変更した(甲1)。 イ原告は、中古住宅買取再販事業を営んでおり、主に築年数の経過した物 件を仕入れて、当該物件に必要な修繕等(リフォーム)を施し当該物件の価値を増加させた上で、顧客に対して販売するというビジネスモデルを採用している(甲2、弁論の全趣旨)。 ⑵ 原告による物件の仕入れ等について(乙1、弁論の全趣旨)原告が仕入れる物件は、築年数が古く内外装が傷んでいるなど、一般の中 古住宅市場では流通しにくいものが多く、その約9割は個人から、残りの約1割は競売により仕入れている。なお、原告が仕入れる物件の約9割は戸建住宅であり、また、仕入れた物件の約6割ないし7割は空き家である。 ⑶ 原告の物件管理システムについて(乙5、6、弁論の全趣旨)原告は、物件の仕入れから販売までの管理を、「B」と称する物件管理シ ステム(以下「Bシステム」という。)により行っている。Bシステムは、 - 6 -会計データと連動しており、物件別に番号(販売番号、物件番号及び仕入番号)を付して、物件の仕入金額やリフォーム費用等の売上原価及び物件の売上金額等の管理をしている。 具体的には、Bシステムの消費税区分コード(乙6)に基づき、土地及び建物の仕入金額やリフォーム費用などの物件の売上原価を構成する各費目に ついては、①課税売上げに対応する課税仕入れのうち消費税率が5パーセントの費用は「S3」、消費税率が8パーセントの費用は「S4」、②非課税売上げに対応する課税仕入れのうち消費税率が5パーセントの費用は「U3」、消費税率が8パーセントの費用は「U4」、③課税売上げと非課税売 用は「S3」、消費税率が8パーセントの費用は「S4」、②非課税売上げに対応する課税仕入れのうち消費税率が5パーセントの費用は「U3」、消費税率が8パーセントの費用は「U4」、③課税売上げと非課税売上げに共通する課税仕入れのうち消費税率が5パーセントの費用は「Q3」、 消費税率が8パーセントの費用は「Q4」、④非課税仕入れは「P0」、⑤不課税仕入れ(税金等)は「00」を付して管理している。 ⑷ 原告による物件の仕入れ時及び販売時における消費税等の合計額(以下「消費税額」という。)の算出方法の概要(甲25、乙2、3、弁論の全趣旨) 原告は、物件を仕入れる際、土地及び建物を一括で取得しており、また、物件を販売する際にも、土地及び建物を一括譲渡しているところ、原告による物件の仕入れ時及び販売時の消費税額の算出方法等は、それぞれ以下のとおりである。 ア物件の仕入れ時の消費税額の算出方法 原告は、売主から物件を仕入れた際の建物に係る消費税額(消費税法30条1項による控除の対象となる。)を計算するに当たっては、当該物件に係る売買代金総額(消費税額を含む。以下同じ。)を、当該物件を仕入れた年度における土地及び建物それぞれについての固定資産税の課税標準である固定資産の価格(地方税法380条1項。以下単に「固定 資産税評価額」という。)の比で按分する方法により算出している。つ - 7 -まり、土地の支払対価の額は、売買代金総額に、土地及び建物の固定資産税評価額の合計金額のうち土地の固定資産税評価額が占める割合を乗じて算出し、建物の支払対価の額は、売買代金総額に、土地及び建物の固定資産税評価額の合計金額のうち建物の固定資産税評価額が占める割合を乗じた金額に、更に108分の100を乗じて(すなわち、消費税 乗じて算出し、建物の支払対価の額は、売買代金総額に、土地及び建物の固定資産税評価額の合計金額のうち建物の固定資産税評価額が占める割合を乗じた金額に、更に108分の100を乗じて(すなわち、消費税 額相当額を除いて)算出している。なお、競売により仕入れた物件の場合には、固定資産税評価額に代えて、不動産鑑定士による鑑定評価額(以下、固定資産税評価額と併せて「固定資産税評価額等」という。)により、上記と同様の計算を行っている。 イ物件の販売時の土地代金額、建物代金額及び消費税額の算出方法(以下 「本件原告算出方法」という。)について原告は、物件を販売する際の消費税額について、戸建住宅の場合には売買代金総額に2.7パーセントを乗じた金額の1万円未満を切り捨てた金額とし、集合住宅の場合には売買代金総額に5.4パーセントを乗じた金額の1万円未満を切り捨てた金額としていた。 なお、戸建住宅の計算で用いる2.7パーセントは、原告が過去(平成25年4月1日から同年9月30日までの6か月間)に仕入れた戸建住宅物件について、個々の物件の固定資産税評価額等の合計額に建物の固定資産税評価額等が占める割合(以下「建物割合」ということがある。)の平均値が約34パーセント(以下「原告建物按分率」という。乙4) であったことから、これに消費税等の税率8パーセントを乗じて算出したものである。集合住宅の計算で用いる5.4パーセントは、戸建住宅の2.7パーセントを2倍した割合である。 また、原告は、上記のとおり算出した消費税額を100分の8で除した金額を建物の譲渡の対価の額(建物代金額)とし、売買代金総額から当 該建物の譲渡の対価の額及び消費税額を除いた金額を土地の譲渡の対価 - 8 -の額(土地代金額)としていた。 た金額を建物の譲渡の対価の額(建物代金額)とし、売買代金総額から当 該建物の譲渡の対価の額及び消費税額を除いた金額を土地の譲渡の対価 - 8 -の額(土地代金額)としていた。 ⑸ 原告の物件販売時における売買契約書に記載された売買代金について原告は、顧客から物件の購入の申込みを受け、最終的に顧客との間で契約内容について合意に至った場合、顧客との間で売買契約書を作成している。 原告が用いている売買契約書の書式には、売買代金として、①売買代金総額 並びにその内訳として土地代金額、建物代金額及び消費税額が記載されているもの(甲4の1)と、②売買代金総額及び当該金額に含まれる消費税額のみが記載されており、土地代金額及び建物代金額の記載はないもの(甲4の2)とがある(弁論の全趣旨)。もっとも、いずれの書式を用いる場合であっても、売買契約書に記載する消費税額等の各金額の算出方法は本件原告算 出方法のとおりであった(弁論の全趣旨)。 ⑹ 本件各課税期間における消費税等の申告について(乙28~31、弁論の全趣旨)原告は、本件原告算出方法により算出した建物の譲渡の対価の額は消費税法28条1項における課税資産の譲渡の対価の額であるとし、同様に算出し た土地の譲渡の対価の額は非課税資産の譲渡の対価の額であるとして、本件各課税期間における消費税等の申告を行った。 ⑺ 更正処分等についてア処分行政庁は、令和2年4月28日、本件各課税期間に原告が販売した物件のうち、販売時の消費税額を売買代金総額に2.7パーセント又は 5.4パーセントを乗じて算出しているもの(ただし、Bシステムにイレギュラーな数値が入力されたなどの理由で、後記本件被告算出方法の結果、建物の譲渡の対価の額が0円となった物件及び土地建 又は 5.4パーセントを乗じて算出しているもの(ただし、Bシステムにイレギュラーな数値が入力されたなどの理由で、後記本件被告算出方法の結果、建物の譲渡の対価の額が0円となった物件及び土地建物に共通の売上原価の金額がマイナスとなった物件を除いた1万1738件〔甲18、乙19・6枚目参照〕。以下「本件各物件」という。)の譲渡の対 価の額については、消費税法施行令45条3項に規定する「課税資産の - 9 -譲渡の対価の額と非課税資産の譲渡の対価の額とに合理的に区分されていないとき」に該当し、本件各物件に係る課税資産(建物)の譲渡に係る消費税の課税標準は、後記イのとおり、当該物件の売買代金総額に、当該物件の売上原価の合計金額のうち建物に係る売上原価が占める割合を乗ずる方法(すなわち、土地及び建物の各売上原価の比で按分する方 法。以下「本件被告算出方法」という。)で算出した金額であるとして、更正処分及び本件各賦課決定処分を行った(甲5~8)。 イ本件被告算出方法の概要は、以下のとおりである。 処分行政庁は、本件各物件の売上原価を構成する各費用につき、原告がBシステム上で付した消費税区分コードを用いて、以下の区分によ り、本件各物件に係る売上原価の総額を土地に係る売上原価と建物に係る売上原価に区分した。 a 消費税区分コード「S3」及び「S4」が付されている費用は、課税売上げに対応する課税仕入れ、つまり、建物の売上げに対応する仕入れであるから、それらの金額を建物に係る売上原価とする。 b 消費税区分コード「U3」及び「U4」が付されている費用は、非課税売上げに対応する課税仕入れ、つまり、土地の売上げに対応する仕入れであるから、それらの金額を土地に係る売上原価とする。 c 消費税区分コード「P0」が U3」及び「U4」が付されている費用は、非課税売上げに対応する課税仕入れ、つまり、土地の売上げに対応する仕入れであるから、それらの金額を土地に係る売上原価とする。 c 消費税区分コード「P0」が付されている費用は、非課税仕入れ、つまり、非課税資産である土地の仕入れであるから、それらの金額を 土地に係る売上原価とする。 d 消費税区分コード「Q3」及び「Q4」が付されている費用は、課税売上げと非課税売上げに共通する課税仕入れ、つまり、土地と建物の売上げに共通する仕入れであるから、それらの金額を、物件を仕入れた時の土地及び建物の各支払対価の金額の比で按分し、土地に係る 売上原価と建物に係る売上原価に区分する。 - 10 -e 消費税区分コード「00」が付されている費用は、消費税が課税されない不課税仕入れであり、上記費用のうち、土地取得税は土地に係る売上原価、建物取得税は建物に係る売上原価とする。上記以外の登録免許税等の費用は土地及び建物の売上げに共通する仕入れとして、それらの金額を物件の仕入れ時における土地及び建物の各支払対価の 金額の比で按分し、土地に係る売上原価と建物に係る売上原価に区分する。 本件各物件の売買代金総額に、当該物件の売上原価の合計金額のうち上記の方法により算出した建物に係る売上原価が占める割合を乗じて得た額に、更に108分の100を乗ずることにより、建物(課税資産) の譲渡に係る消費税の課税標準を算出した。 ⑻ 原告は、上記⑺の更正処分等を不服として、令和2年7月10日、国税不服審判所長に審査請求をした(甲9)。 ⑼ 原告は、審査請求から3か月を経過しても裁決がなかったとして、令和3年3月29日、本件訴えを提起した(顕著な事実)。 ⑽ 処分行政庁は、平成3 判所長に審査請求をした(甲9)。 ⑼ 原告は、審査請求から3か月を経過しても裁決がなかったとして、令和3年3月29日、本件訴えを提起した(顕著な事実)。 ⑽ 処分行政庁は、平成30年3月期に係る消費税等の更正処分について、基礎となる数値に一部誤りがあったため、令和4年5月31日、原告に対し、減額再更正処分を行った。なお、これに伴った過少申告加算税の額の変更はない。(乙51、弁論の全趣旨)原告に対する消費税等の課税の経緯は、別紙2のとおりである。 4 税額等に関する当事者の主張本件各更正処分における課税の計算に係る被告の主張は別表1-1から1-4まで及び別表2-1から2-4までのとおりであり、本件各賦課決定処分における課税の計算に係る被告の主張は別紙3のとおりである(同別紙で用いた略語は本文でも用いる。)。原告は、後記5の争点に関する部分を除き、被告 の主張に係る計算の基礎となる金額及び計算方法を明らかに争わない。 - 11 - 5 争点及び当事者の主張⑴ 本件の争点は、本件各更正処分等の適法性であるが、具体的には、以下の3点である。 ① 土地及び建物の一括譲渡に当たり、売買契約書において土地の代価及び建物の代価が区分されている場合に、消費税法施行令45条3項を適用す ることができるか否か(争点1)② (上記①で適用を肯定する場合)本件各物件の譲渡が、消費税法施行令45条3項に規定する「課税資産の譲渡の対価の額と非課税資産の譲渡の対価の額とに合理的に区分されていないとき」に該当するか否か(争点2)③ (上記②で該当性を肯定する場合)本件各更正処分において算定された 建物の譲渡に係る消費税の課税標準は、消費税法施行令45条3項所定の方法によって算定されたものとい するか否か(争点2)③ (上記②で該当性を肯定する場合)本件各更正処分において算定された 建物の譲渡に係る消費税の課税標準は、消費税法施行令45条3項所定の方法によって算定されたものといえるか否か(争点3)⑵ 上記各争点に関する当事者双方の主張の要旨は、別紙4記載のとおりである。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(土地及び建物の一括譲渡に当たり、売買契約書において土地の代価及び建物の代価が区分されている場合に、消費税法施行令45条3項を適用することができるか否か)について⑴ 消費税の課税標準(消費税法28条の法令解釈等)についてア消費税の課税標準は、「課税資産の譲渡等の対価の額(対価として収受 し、又は収受すべき一切の金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益の額〔以下略〕)」である(消費税法28条1項本文)。そして、課税資産のみを譲渡するような場合には、当該譲渡の当事者間で授受することを合意した対価の額が「課税資産の譲渡等の対価の額」に当たることは客観的にも明らかである。他方、課税資産と非課税資産と を同一の者に対して同時に譲渡(一括譲渡)する場合には、その当事者 - 12 -間で授受することを合意した対価の額があったとしても、①その内訳が定められなかった場合や、②定められた内訳が便宜上のものにすぎない場合もあって、上記の合意した対価の額のうちの「課税資産の譲渡等の対価の額」が直ちに客観的に明らかであるとはいえないから(例えば、内訳において便宜上非課税資産の金額を時価より高く、課税資産の金額 を時価より低く設定していたにすぎない場合〔②〕には、課税資産の対価の額は、内訳において明示された金額に、非課税資産を時価より高く売り渡すことができるという売主にとっての 高く、課税資産の金額 を時価より低く設定していたにすぎない場合〔②〕には、課税資産の対価の額は、内訳において明示された金額に、非課税資産を時価より高く売り渡すことができるという売主にとっての経済的利益を加える必要があることがあり、このときは、当該経済的利益の価値を具体的に算定すべきこととなる。)、そのような場合の課税標準の額を算定するために 別途の計算が必要となる。同条5項は、上記②のような場合も含めて、課税標準の額の計算の細目に関し必要な事項を定めることを政令に委任したものと解すべきである。 イそして、消費税法施行令45条3項は、消費税法28条5項の委任を受けて、一括譲渡の場合の課税資産の譲渡の対価の額の計算の細目を定め るものとして、当該譲渡の当事者間において課税資産の譲渡の対価の額と非課税資産の譲渡の対価の額とを合理的に区分しているときはその額によることとし、合理的に区分していないときは、当該課税資産及び非課税資産の各価額(時価)の比で按分する方法で計算した金額とすることを定めたものといえる。 ⑵ 原告の主張についてア原告は、一括譲渡の場合であっても、当該譲渡の当事者間で課税資産の譲渡の対価の額を、非課税資産の譲渡の対価の額と区分して合意したときは、当該合意した額が「課税資産の譲渡等の対価の額」であり、課税標準の額を算定するための別途の計算は不要であるから、同条5項及び その委任を受けた消費税法施行令45条3項が適用される余地はない旨 - 13 -を主張する。 しかしながら、消費税法28条1項本文の文理上、一括譲渡の場合の課税標準の算定に当たって、当事者間で明示的に合意した金銭による対価の額(以下「対価の金額」ということがある。)の区分に常に従わなけ しかしながら、消費税法28条1項本文の文理上、一括譲渡の場合の課税標準の算定に当たって、当事者間で明示的に合意した金銭による対価の額(以下「対価の金額」ということがある。)の区分に常に従わなければならないことが明らかにされているとはいえない。かえって、前記 のとおり、同項は、「課税資産の譲渡等の対価の額」の定義について、「対価として収受し、又は収受すべき一切の金銭」に続けて「又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益の額」と規定し、消費税法施行令45条3項も、一括譲渡の場合における「資産の譲渡の対価の額」とは「法第28条第1項に規定する対価の額をいう。」と定めていると ころである上、上記「対価の額」が金銭のみ(対価の金額)又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益のみによっていわば二者択一的に定められなければならないものと解すべき根拠はなく、また、対価の額に関する当事者間の合意が常に明示によることを要する(黙示の合意によること又はこれが併存することがおよそ許容されない)と解すべき 根拠もない。 また、消費税法は、通常の課税取引であれば二重課税が生じ得ることに鑑みて課税標準額に対する消費税額から仕入税額を控除し、不足がある場合には還付するという仕組み(仕入税額控除)を採用しているところ、仮に、一括譲渡の場合に当事者間で合意した対価の金額の区分に常 に従わなければならないとすると、事業者が、課税資産の譲渡の対価の金額の割合を、仕入れ時における支払対価の額の割合に比して低く設定することによって、消費税額の納付額を少なくし、あるいは還付を受けるといったことが可能となる。すなわち、課税資産のみの譲渡の場合は、市場原理が働くことにより、事業者が恣意的に対価の金額を設定し てその納税義務を免れようとする を少なくし、あるいは還付を受けるといったことが可能となる。すなわち、課税資産のみの譲渡の場合は、市場原理が働くことにより、事業者が恣意的に対価の金額を設定し てその納税義務を免れようとする事態は通常起こり得ないものと考えら - 14 -れるが、一括譲渡の場合において、当該譲渡の相手方が最終消費者であるときは、当該相手方としてはその代金総額が幾らになるかについては強い関心があるとしても、課税資産と非課税資産の内訳についてはそこまでの関心があるとはいえず、むしろ消費税額の実質的な負担を最小化する観点からは、当事者双方にとって、代金総額に占める課税資産に係 る対価の金額の割合を小さくすることのメリットが大きいともいえる(なお、買主が法人又は個人事業主である場合には、土地と異なり減価償却資産である建物の対価の金額を増加することによって所得税額や法人税額の将来的な納税額を減ずる方向にインセンティブが生じ得るが、原告の主要顧客は、地方都市に在住する世帯年収が200万円~500 万円、年齢が30歳~50歳のファミリー世代であって、2LDKや3DKで50㎡程度といった賃貸住宅に居住しており、家族3、4人で住むには手狭になってきたことから、今支払っている家賃と同程度かそれより低い経済的負担で購入することができる安価な物件を求めている者であるというのであり〔甲38〕、かかるインセンティブとは無縁と考 えられる。)。加えて、消費税法においては、納税義務者は事業者であって、その負担すべき消費税が最終消費者まで適正に転嫁されることが予定はされているものの、事業者に法的な意味における消費税の転嫁の義務又は(最終消費者に対する)転嫁の権利があるわけではない(甲32・701頁)から、仮に後に売主である事業者が課税資産に係る対価 定はされているものの、事業者に法的な意味における消費税の転嫁の義務又は(最終消費者に対する)転嫁の権利があるわけではない(甲32・701頁)から、仮に後に売主である事業者が課税資産に係る対価 の額の割合が小さいことを理由に消費税に係る更正処分を受けるとしても直ちに買主が消費税相当額の追加的負担を求められることはなく、このことからも、最終消費者たる買主には課税資産に係る対価の金額の割合を小さくすることのリスクは事実上ないものといえる。 したがって、消費税の負担の極小化という観点からは、事業者において 課税資産の譲渡の対価の金額を恣意的に低く設定した上、これだけが当 - 15 -事者双方の合意した「対価の額」であるとしてその納税義務を免れようとする事態が起こり得る。そして、こうした事態は、消費税法において一定の非課税取引を法定した場合には当然に予想することができるものといえることからすれば、同法28条1項本文がかかる事態を許容しているとも解し難い。同法の制定と同時に定められた当時の消費税法施行 令45条3項においても現在と同趣旨の定めがされていたところ、同項が単に「区分されていないとき」というのではなく「合理的に区分されていないとき」としているのも、かかる事態を防止する点にその趣旨があると考えられ、これを裏付けるものといえる。かえって、原告の主張するように、一括譲渡の場合にも当事者の合意した課税資産の対価の金 額が常に「課税資産の譲渡等の対価の額」であると解するならば、当事者の合意がある以上課税資産と非課税資産に係る対価の額の区分は常に存在することになり、その合理性を検討する余地も本来ないはずであって、法文の文理上もかかる解釈を採用することは困難である(原告は、「合理的に区分されていないとき」とは区分に係 る対価の額の区分は常に存在することになり、その合理性を検討する余地も本来ないはずであって、法文の文理上もかかる解釈を採用することは困難である(原告は、「合理的に区分されていないとき」とは区分に係る合意の形成過程に合 理性がない場合をいう趣旨である旨主張するところ、その趣旨は必ずしも明らかではないが、合意に瑕疵がある場合は端的に合意が存在しないものと解すれば足りるから、やはり「合理的に」の文言は不要となってしまうはずである。)。以上のとおり、消費税法28条1項本文の文理及びその趣旨に照らせば、原告の主張は採用することができない。 イまた、原告は、消費税法基本通達10-1-1において、消費税法28条1項にいう「収受すべき」の解釈について「その課税資産の譲渡等を行った場合の当該課税資産等の価額をいうものではなく、その譲渡等に係る当事者間で授受することとした対価の額をいう」とされていることをその主張の根拠としている。この点、法律より下位規範たる政令は、上記アの ように法律の解釈に当たって参考とすることはできるとしても法律の解釈 - 16 -を決定付けるものではなく、もとより、通達が法規の解釈を法的に拘束するものではないことはいうまでもない。その点をおくとしても、原告が指摘する上記通達の定めは、物品やサービスの消費に担税力を認めて課される消費税の性質を踏まえ、その課税標準は、課税資産等の価額(時価)ではなく、当事者間で授受することとした対価の額をいうという原則的な考 え方を示すものにすぎず、一括譲渡の場合の課税標準の算定についてまで、当事者間で合意した対価の額の区分に常に従わなければならないという解釈を示したものとは解することができず、まして、課税資産の譲渡につき契約書上において対価の金額が定められている場 算定についてまで、当事者間で合意した対価の額の区分に常に従わなければならないという解釈を示したものとは解することができず、まして、課税資産の譲渡につき契約書上において対価の金額が定められている場合に、専らこれのみが当該譲渡に係る対価の額を構成するものと解さなければならない根拠と なるものではない。現に、消費税法基本通達10-1-5は、一括譲渡の場合について、課税資産と非課税資産の各譲渡の対価については合理的に区分しなければならず、合理的に区分されていない場合には、消費税法施行令45条3項に従って区分する旨を定めている(乙25)。そうすると、消費税法基本通達10-1-1の定めが、一括譲渡の場合における消 費税の課税標準につき、上記⑴のような解釈をとることを制限する根拠となるものではない。 ウさらに、原告は、消費税法上、28条1項ただし書以外に、当事者間で合意された対価があるにもかかわらず課税標準を当該対価以外の額に引き直すことを定める規定は存在せず、同条5項の文理上、同条1項、2項及 び4項に規定する課税標準の変更を政令(消費税法施行令45条3項)に委任していると解釈することはできない旨主張する。しかしながら、前記⑴及びアにおいて説示したところからすれば、消費税法施行令45条3項は課税標準を当事者間で合意された対価の額以外の額に引き直すための規定ではなく、一括譲渡に際して課税資産の対価の金額と併せて黙示的に合 意された売主にとっての経済的利益の額を算定するための計算の細目に関 - 17 -し必要な事項を定めたものと解されるから、原告の上記主張はその前提を欠く。そして、消費税法施行令45条1項及び2項は、いずれも種々の金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の額につき、その価額の算定方法を具体的に定め たものと解されるから、原告の上記主張はその前提を欠く。そして、消費税法施行令45条1項及び2項は、いずれも種々の金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の額につき、その価額の算定方法を具体的に定めたものであって、同条3項とその趣旨を共通にするものであるといえ、いずれも、消費税法28条1項、2項及び4項に規定する課 税標準の変更を内容とするものではないことが明らかである。 なお、原告は、同条5項の「第3項に定めるもののほか」の文言を、同条3項による場合は別途の計算は不要であるため同条5項による委任の対象から除く趣旨であると主張しているところ、同条3項による場合には対価の額について別途の計算が不要となる点はそのとおりであるもの の、そのことは同項の規定ぶりから当然に導かれるものであって、同項を同条5項の委任の対象から除く趣旨の文言をあえて明文で規定しなければならない必要はないから、上記主張も失当というほかはない。「第3項に定めるもののほか」の文言は、同条5項の文理どおり、課税標準の額の計算の細目に関し必要な事項は、消費税法28条3項において定 めたもののほかは政令で定めるという文脈で理解すべきものであって、同項の内容、すなわち、個人事業者が棚卸資産又は棚卸資産以外の資産で事業の用に供していたものを家事のために消費し、又は使用した場合における当該消費又は使用(4条5項1号)については当該消費又は使用の時における当該消費し、又は使用した資産の価額に相当する金額を その対価の額とみなすこと等もまた「課税標準の額の計算の細目」に含まれることは同法において当然の前提とされているものとみるほかはない。このことからも、一括譲渡の場合における、非課税資産を時価より高く売り渡すことができるというその売主にとっての経済的利益の額の まれることは同法において当然の前提とされているものとみるほかはない。このことからも、一括譲渡の場合における、非課税資産を時価より高く売り渡すことができるというその売主にとっての経済的利益の額の計算の細目についての定めをすることが消費税法28条5項の委任の範 囲に含まれることは裏付けられているものといえる。 - 18 -⑶ 小括以上によれば、土地及び建物の一括譲渡の場合の課税資産の譲渡等に係る消費税の課税標準の額を計算するに当たっては、当該一括譲渡に係る売買契約書において土地の代価及び建物の代価が仮に金額面において区分されていたとしても、消費税法施行令45条3項が適用され得るものというべきであ る。 2 争点2(本件各物件の譲渡が、消費税法施行令45条3項に規定する「課税資産の譲渡の対価の額と非課税資産の譲渡の対価の額とに合理的に区分されていないとき」に該当するか否か)について⑴ 一括譲渡の場合において、当該譲渡の当事者間で、課税資産の対価の金額 と非課税資産の対価の金額を区分して合意していたときに、消費税法施行令45条3項所定の「課税資産の譲渡の対価の額と非課税資産の譲渡の対価の額とに合理的に区分されていないとき」に該当するか否かを判断するに当たっては、上記1⑵で説示したとおり、同項が「合理的に区分されていないとき」としている趣旨が、事業者が恣意的に課税資産の譲渡の対価の金額を設 定して納税義務を免れようとする事態を防止するところにもあることに鑑みれば、原告が指摘するような合意の形成過程に合理性があるかどうかに限らず、当該課税資産及び非課税資産のそれぞれの本来的な価額の比率や、これらを仕入れた際のそれぞれの対価の額の比率との比較において、課税資産の対価の額の割合が過少になっ 過程に合理性があるかどうかに限らず、当該課税資産及び非課税資産のそれぞれの本来的な価額の比率や、これらを仕入れた際のそれぞれの対価の額の比率との比較において、課税資産の対価の額の割合が過少になっていないかどうかなどの事情をも考慮すべきも のと解するのが相当である。 ⑵ 認定事実前提事実に加えて、掲記証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 ア原告は、本件各課税期間において、地方都市を中心に北海道から沖縄県 まで全国を商圏とし、年間3000件を超える中古物件(建物の過半数 - 19 -は築30年強)を仕入れて販売していた。原告は、「C」を自らのビジネスモデルとし、そのままでは価値がつかずに流通しない空き家・築古一軒家をリフォームして再生することで再流通する付加価値型の再販ビジネスであると自己定義していた。(甲38、39、乙1、40、42)。 経済産業省が、原告を「平成27年度先進的なリフォーム事業者」として表彰した際の紹介記事(乙1)には、原告が地方都市を商圏とする理由の1つとして、土地価格の変動が少なく、リフォームによる付加価値創出を再販売価格に正当に反映しやすいことが挙げられている。 イ原告は、仕入れた物件を清潔・快適なものにするためリフォームを行っ ており、原告の決算説明資料(乙40〔2~5頁〕)には、リフォーム前と後の写真を掲載して、「前所有者の生活感は徹底的になくすように配慮」、「床や壁紙も一新して新築と見紛う空間に」、「築30年以上のキッチンはとても使い物にならないが、吊戸棚の付いた新品のシステムキッチンに変更することで利便性も見た目も劇的に改善」などと紹介している。 リフォームの具体的な施工内容としては、建物の約9割において、バス、トイレ にならないが、吊戸棚の付いた新品のシステムキッチンに変更することで利便性も見た目も劇的に改善」などと紹介している。 リフォームの具体的な施工内容としては、建物の約9割において、バス、トイレ及び洗面台を新品に交換している。また、土地に関しては、駐車場の拡張等を行っているほか、隣地との境界確定や登記更正を行うなどして、不動産の権利を明確にしてから販売することとしている。(乙1、40、42、弁論の全趣旨) ウ原告のリフォーム施工は全国約800社の協力工務店に委託することとしており、大型設備類は同工務店から仕入れる体制を構築している。原告は、物件を仕入れる際には、仕入れ後のリフォーム費用拡大リスクを低減させるため、原則、全ての物件において、原告、シロアリ業者及びリフォーム業者(工務店)の三者による物件下見を実施している。また、原告は リフォームを行うに当たって、原告独自のリフォーム基準を記載した「中 - 20 -古住宅標準仕様書」に基づき施工事業者に対し工事を依頼してリフォームの品質を担保するとともに、「中古住宅再生要綱(工事指示書)」(甲39、乙16)という原告独自の様式によるリフォーム内容指示書に基づいて工事を依頼することにより、工事内容と施工費用の明確化、施工の効率化を図っている。また、原告は、上記指示書を作成するに際し、リフォー ム業者とその工事金額を交渉する際に使用するため、各リフォーム工事の全国平均単価が費用の大枠をつかむ目安として記載された「リフォーム工事費用算出表」(乙47)を作成しているところ、同表には原告社員向けの注意事項として「発注を重ねていく中で取引工務店の単価を把握していきましょう。」などと記載されている。原告の決算説明資料(乙40〔5 ~6頁〕)には「設備の大量購入による 表には原告社員向けの注意事項として「発注を重ねていく中で取引工務店の単価を把握していきましょう。」などと記載されている。原告の決算説明資料(乙40〔5 ~6頁〕)には「設備の大量購入による廉価な仕入れを実現。個人が行う場合に比べて半額程度で大規模リフォームを実現している」、「累計4万戸超の買取・販売実績から、仕入れ時の確認ミスに起因することが多い『失敗事例』を蓄積。発生した失敗事例は、毎週開催のTV朝会を通じて全国の店舗に共有することでタイムリーなリスクマネジメントを実施」、 「リフォーム協力会社には屋根裏まで含めた躯体調査を依頼。雨漏りの状況や害虫の有無を確認することでリフォーム費用の見積もり精度を高めている」などと紹介されている。(甲38、39、乙1、16、40、42、47、弁論の全趣旨)エ原告は、物件を仕入れた時点で将来的な販売金額を決定し、仕入れた直 後から自社ホームページ上に物件を掲載して売出しを行い、仕入れから平均約5か月間という短期間で売却していた(甲38、乙52、53の1、54)。 原告の従業員は、土地建物の代金総額については顧客との値引き交渉に応じていたが、土地と建物の価格比については原告建物按分率を遵守し ており、顧客との交渉に応じて変更することはしていなかった(甲27、 - 21 -38)。なお、原告は、「販売物件に関わる消費税算出基準」(乙7)を定め、仕入れ時の建物価格(「内税の場合は不動産鑑定士評価額を基準に取得価格を按分し、不動産鑑定士評価書が無い場合は固定資産税評価額を基準に按分」して算出する。)に、その建物に対するリフォーム工事代金等、建物の資産価値の増加に関わる実費額(建物の解体費用、 土地の整地費用、外溝工事費用、門扉工事費用及び建物の外 産税評価額を基準に按分」して算出する。)に、その建物に対するリフォーム工事代金等、建物の資産価値の増加に関わる実費額(建物の解体費用、 土地の整地費用、外溝工事費用、門扉工事費用及び建物の外壁を除く外壁工事費用等は含まない。)を加算して販売建物原価とすること、販売建物原価と土地の取得原価を勘案して決定した販売建物価格に消費税率を乗じて消費税額を決定することなどを定めており、逐次改正していたが(確認し得る最終の改正は平成29年2月1日)、少なくとも平成2 7年3月期以降、上記算出基準は用いていなかった。 オ原告は、上記エのとおり、仕入れた物件を平均約5か月間という短期間で売却していたところ、住宅地地価が安定的に推移しているにもかかわらず(甲42)、本件各物件〔1万1738件〕のうち原告において個別の固定資産税評価額による按分が可能な物件〔1万1727件〕に係 る販売時の土地代金額の合計額が、同物件の地価公示価格等相当額(土地の固定資産税評価額が基準年度の前年の1月1日の地価公示価格ないし不動産鑑定士の鑑定評価額の7割をめどに評価されていること〔乙41の1〕を踏まえて、同物件に係る仕入れ時の土地に係る固定資産税評価額を100分の70で除して導いた額の合計額)に占める割合は14 3.3%であった(乙53の2、54)。また、原告の本件各物件に係る販売利益をみると、いずれの課税期間も土地の販売利益の額がプラスであり、建物の販売利益の額がマイナスであり、両者の利益率の差は55.8%あった(乙53の2、54)。 カ本件各物件のうち戸建住宅(計1万0925件)に係る平均値をみると、 本件各物件の仕入れ額(税抜き)の平均値は約580万円であり、そのう - 22 -ち建物の仕入れ額は約180万円、土地の 件各物件のうち戸建住宅(計1万0925件)に係る平均値をみると、 本件各物件の仕入れ額(税抜き)の平均値は約580万円であり、そのう - 22 -ち建物の仕入れ額は約180万円、土地の仕入れ額は約400万円であった。また、リフォーム費用等(Bシステムの消費税区分コードのうち「S3」及び「S4」〔課税売上対応課税仕入れ〕の合計額から建物の仕入れ額(税抜き)を除いた額〔すなわち建物に係るリフォーム費用等〕並びに「U3」及び「U4」〔非課税売上対応課税仕入れ〕の合計額〔すなわち 土地に係るリフォーム費用等〕の合算額)の平均値は380万円であるところ、そのうち330万円が建物に係る費用であり、当該金額は建物の仕入れ額(税抜き)の平均値(180万円)の約1.8倍であった。 他方、本件各物件の販売時における価額(税抜き)の平均値は約1333万円であるところ、そのうち建物の価額は約462万5000円、土 地の価額は約870万5000円であり、土地の価額が仕入れ額の平均値(約400万円)の2倍以上となっている一方で、建物の価額は仕入れ額(約180万円)とリフォーム費用等の金額(約330万円)を合計した金額(510万円)の約9割と原価割れ(損失)が生じている。 (乙52、弁論の全趣旨) キ原告の本件各課税期間における売上高及び営業利益は共に年々上昇しており、営業利益は、平成28年3月期が39億2300万円であったのが、平成31年3月期には91億0400万円に達していた。他方、原告は、本件各課税期間において、消費税の還付を受けるため合計約12億円に上る申告を行っていた。なお、原告が輸出免税取引を行っていた というような事情は見当たらない。(乙28~35、40、42)⑶ 検討原告は、一般の 税の還付を受けるため合計約12億円に上る申告を行っていた。なお、原告が輸出免税取引を行っていた というような事情は見当たらない。(乙28~35、40、42)⑶ 検討原告は、一般の中古住宅市場では流通しにくい中古物件を仕入れて、リフォーム等を施してその価値を高めて販売するというビジネスモデルを採用しており(認定事実ア、イ)、そのリフォーム等の中身をみると、駐車場の拡 張など土地に係るものが一部含まれるものの、その中心は設備の交換等の建 - 23 -物に係るものであり、リフォーム等の費用の大部分も建物に係るものが占めていたものと認められるのであり(認定事実イ、カ)、当該リフォームによって建物を中心にその交換価値を高めていたものと評価し得る(この点、不動産鑑定評価においても、住宅については、その耐久性に影響を与える屋根、外壁、基礎の状態のほか、床、内装の仕上げ、台所・浴室・便所等の給 排水設備・衛生設備等の状況に留意することとされ、内装や設備等のリフォームによる機能回復・向上が現実の不動産市場の形成に影響を及ぼす可能性があることが指摘されており、不動産鑑定評価の基本的な手法の一つとされる原価法においても、建物の増改築・修繕・模様替え等は、その内容を踏まえ、再調達原価の査定に適切に反映させなければならないとされている〔乙 63〕。)。 そうであるにもかかわらず、原告は、上記のようなリフォームを経た本件各物件の販売時においても、自ら策定し、逐次改正していた「販売物件に関わる消費税算出基準」(その内容は本件被告算出方法に極めて類似するものといえる。)は用いず、売買代金総額に占める建物の代金額を、専ら、過去 に仕入れた戸建住宅物件の建物割合の平均値である原告建物按分率に基づく本件原告算出方法により算 出方法に極めて類似するものといえる。)は用いず、売買代金総額に占める建物の代金額を、専ら、過去 に仕入れた戸建住宅物件の建物割合の平均値である原告建物按分率に基づく本件原告算出方法により算出していたものである(前提事実⑷ア、イ、認定事実エ)。このように、物件の販売時に本件原告算出方法によって売買代金総額に占める建物の代金額を算出した場合には、リフォームによって高めた交換価値が売買代金総額に占める建物の代金額の比率に適切に反映されない ことは明らかであり、原告自身の「C」というビジネスモデルにも反することになる。加えて、原告は、本件各物件を仕入れた際には、売買代金総額に占める建物の代金額を、個々の物件の固定資産税評価額等の合計額に建物の固定資産税評価額等が占める割合(建物割合)に基づき算出していたことから、原告が扱った本件各物件の仕入れ時及び販売時の土地及び建物の代金額 をみると、全体的な傾向として、本件各物件が位置する地方都市においては - 24 -土地価格の変動が本来少ないはずであるにもかかわらず短期間の間に土地の価値が急騰したような形になる一方、建物の価値は下落して建物単体でみると損失が生じた形になっている上(同ア、エ、オ、カ)、原告は、本件各課税期間において、輸出免税取引や赤字決算のような事情が見当たらず、むしろ、営業利益が年々上昇していたにもかかわらず、合計約12億円もの消費 税の還付申告を行っている(同キ)。 以上によれば、本件原告算出方法は、リフォームにより高めた本件各物件の交換価値を建物の対価の額に適切に反映したものということはできず、その結果として原告が高額の消費税の還付を受けることになっていることも踏まえると、売買代金総額に占める課税資産である建物の対価の額が、非課税 資産で 額に適切に反映したものということはできず、その結果として原告が高額の消費税の還付を受けることになっていることも踏まえると、売買代金総額に占める課税資産である建物の対価の額が、非課税 資産である土地の対価の額に比して著しく過少に区分されていたものといわざるを得ない(上記建物の対価の額は、売買契約におけるその対価の金額のみならず、これと一括譲渡される土地部分をその時価よりも高く売却することができるという原告にとっての経済的利益を含むものとみるほかはない)から、前記⑴のような消費税法施行令45条3項の趣旨に照らしても、不合 理なものであることは明らかである。そうすると、原告による本件各物件の譲渡は、同項に規定する「課税資産の譲渡の対価の額と非課税資産の譲渡の対価の額とに合理的に区分されていないとき」に該当するものというべきであるから、本件各物件の譲渡に係る消費税の課税標準は、同項所定の方法によって算定されるべきである。 ⑷ 原告の主張についてア原告は、固定資産税評価額は、一般に時価を把握するための合理的な指標として認められている旨を主張する。 この点、原告の指摘は一般論としてはそのとおりであるとしても、個別の事情の下においては、固定資産税評価額を使用することが合理性を欠 く場合はあり得るものである。そして、本件においては、本件各物件の - 25 -仕入れ時と同様に固定資産税評価額を基にした原告建物按分率を用いる本件原告算出方法が不合理なものであることは前記のとおりであるから、原告の主張は採用することができない。 なお、原告は、税務当局の公的見解においても、固定資産税評価額を基に按分する方法が消費税法施行令45条3項にいう合理的な区分の方法 として紹介されているなどとして、リフォームを とができない。 なお、原告は、税務当局の公的見解においても、固定資産税評価額を基に按分する方法が消費税法施行令45条3項にいう合理的な区分の方法 として紹介されているなどとして、リフォームを行ったか否かで取扱いを変えることは、課税要件明確主義(租税法律主義)の趣旨に反するとも主張する。しかしながら、原告のいう公的見解は、上記のような一般論を述べるものにすぎないと解するのが相当である。そして、事業者が行う取引の形態や、一括譲渡の場合に課税資産と非課税資産のそれぞれ の対価の額をどのように区分するかについては様々なものがあるから、課税庁においてあらゆる事態を想定して各々の場合の取扱いを明示すべきものとすることは不可能を強いるものというほかなく、具体的な事情を考慮して税負担の公平を図るために「合理的に区分」という不確定概念を要件として定めることや、同要件の下に個別の事情に照らして一般 的な取扱いと異なる運用をすることが、課税要件明確主義(租税法律主義)の趣旨に反するものということはできない。 イ原告は、原告が本件各物件について行ったリフォームは、固定資産税評価額の再評価の対象とならない程度のものであり、固定資産税評価額に影響しない旨を主張する。 しかしながら、不動産鑑定評価においてもリフォームがその評価に影響を及ぼすものとされていることは前記のとおりである。固定資産税評価額は原則として3年ごとの基準年度にその評価を行って価格を決定することとされており、基準年度の翌年度(第二年度)と翌々年度(第三年度)については基準年度の価格が据え置かれるが、地目の変換、家屋の 改築又は損壊その他これらに類する特別の事情が生じ、基準年度の価格 - 26 -によることが不適当であると認められる場合等 )については基準年度の価格が据え置かれるが、地目の変換、家屋の 改築又は損壊その他これらに類する特別の事情が生じ、基準年度の価格 - 26 -によることが不適当であると認められる場合等には評価替えを行うこととされている(地方税法349条2項ただし書及び3項ただし書)ところ、「特別の事情」との要件までは満たさないものとして各市町村における評価替えの対象とならなかったからといって、リフォームによる交換価値の増加が否定されるものではない(例えば、さいたま市財政局税 務部固定資産課家屋・償却資産係においては、家屋に係る固定資産税評価額の再評価は、建物の用途変更等による登記変更及び建築確認申請から把握した場合にのみ行われ、それ以外の場合には実務上行われておらず、原告が行っているような外壁のリフォーム、建具の交換・新設、ドアホンの新設、給湯器の新設、トイレ・風呂の交換、間仕切りの変更、 屋根・外壁の防水加工、電気配線・ガス配管等の変更及び駐車スペースの新設は、標準評点数の増加はあり得るものの、個別事由ごとの税の増加額にすると数百円にすぎないことなどからいずれも再評価の対象とはしていないことが認められる。甲26)。 また、固定資産評価基準の定める評価方法に従って決定された固定資産 税評価額は、全国一律の統一的な評価基準による評価によって、各市町村全体の評価の均衡を図り、評価に関与する者の個人差に基づく評価の不均衡を解消することをも目的とするものであって、適正な鑑定の評価の過程において考慮の対象とされるような当該資産の個別的な事情がある程度捨象されることも前提としているものということができ、また、 固定資産税評価額は、特段の事情のない限り当該資産の客観的な交換価値としての適正な時価を上回るものではない の個別的な事情がある程度捨象されることも前提としているものということができ、また、 固定資産税評価額は、特段の事情のない限り当該資産の客観的な交換価値としての適正な時価を上回るものではないことが推認されるにとどまるものとされているのであるから(最高裁平成24年(行ヒ)第79号同25年7月12日第二小法廷判決・民集67巻6号1255頁〔以下「平成25年最判」という。〕参照)、固定資産税評価額に直ちに影響 を及ぼさないようなリフォームであっても、当該資産の交換価値を高め - 27 -るものと評価できることは一般にあり得るものというべきである。 ウ原告は、建物のリフォームによってその敷地の価値が上昇することもあり、リフォームに要した費用と交換価値の相関関係は必ずしも明らかではないとも主張する。この点、不動産鑑定評価基準において「建付地の鑑定評価額は、更地の価格をもとに当該建付地の更地としての最有効使 用との格差、更地化の難易の程度等敷地と建物等との関連性を考慮して求めた価格を標準と」する旨が定められていること(乙45、46)からすれば、敷地上の建物がリフォームによって同土地の最有効使用に適応したものとなった場合に、当該土地の価格が更地の価格まで上昇することは考えられても、認定事実オにあるような短期間での急騰をみせる とはにわかに考え難く、このような本件各物件の交換価値の上昇は、主としてリフォームによる建物の交換価値の上昇によるものとみるのが相当である。 エ原告は、①そのビジネスモデルにおいて、物件の仕入れ直後からホームページ上で売出しを行っているところ、価格決定時にはリフォーム費用 の全体が判明していない、②消費税額の計算ミスなどの事務リスクを回避するなどのためには、消費税額の計算方 仕入れ直後からホームページ上で売出しを行っているところ、価格決定時にはリフォーム費用 の全体が判明していない、②消費税額の計算ミスなどの事務リスクを回避するなどのためには、消費税額の計算方法を簡易かつ一律にすることは極めて有効であるなどとして、本件原告算出方法による区分は合理的であると主張する。 しかしながら、上記①について、原告はリフォーム工事を特定の協力工 務店に委託することとしている上、リフォーム費用が予期せず拡大するリスクを低減させるための様々なノウハウを有し、また、多数の買取り・販売実績があることからしても(認定事実ウ)、売出し時におけるリフォーム原価の見積りについても、相応の精度があったものというべきであり、原告は、売出し時において見積ったリフォーム費用に基づ き、土地と建物のそれぞれの代金額を区分することは可能であったもの - 28 -といえる(納税者が一括譲渡をする時点においては、課税庁が事後的に消費税法施行令45条3項所定の方法で区分する時点と比べて情報量に差がある以上、求められる区分の精度に差異が生ずること自体はやむを得ないから、実際のリフォーム費用に基づく土地と建物のそれぞれの代金額のあるべき区分と異なったからといって、直ちに当該区分が合理的 なものでなくなるわけではないものと考えられる。)。 また、上記②について、事業者にとって、消費税額の計算方法を簡易なものにすることが有益な場面があること自体は否定できないものの、計算方法の簡易化は、合理的といい得る方法の中で行われるべきことはいうまでもない。本件原告算出方法が不合理であることは前記のとおりで あって、仮に、その採用に際し、原告において消費税額の計算方法を簡易かつ一律にしたいという動機があったとして れるべきことはいうまでもない。本件原告算出方法が不合理であることは前記のとおりで あって、仮に、その採用に際し、原告において消費税額の計算方法を簡易かつ一律にしたいという動機があったとしても、前記の判断を左右するものとはならない。 オ原告は、消費税法は、消費税の消費者への完全な転嫁を義務付けているわけではない旨も主張する。 確かに、前記1⑵アのとおり、消費税法は、消費税の完全な転嫁を義務付けているものとまではいえないものの、基本的には、消費税は、事業者ではなく、その販売する物品やサービスの価格に上乗せされる形で最終消費者が負担することとされ、二重課税の発生を防止するという目的のもとに仕入税額控除の仕組みが採用されているものである。しかるところ、本 件原告算出方法は、単に消費税の消費者に対する適切な転嫁を行わない結果となるだけでなく、原告において多額の消費税の還付を受けることを可能とするものである。そうすると、本件原告算出方法は、上記のような消費税の基本的な考え方に反するものであることはもとより、仕入税額控除制度を濫用するものとも評価することが可能であって、その不合理性は明 らかであるから、原告の上記主張もまた採用することができない。 - 29 -カ以上のとおり、原告が主張するところはいずれも採用することができず、その余の主張するところも含めて、前記⑶の判断を左右するものではない。 3 争点3(本件各更正処分において算定された建物の譲渡に係る消費税の課税標準は、消費税法施行令45条3項所定の方法によって算定されたものといえ るか否か)について⑴ 消費税法施行令45条3項は、一括譲渡の場合の対価の額が課税資産の譲渡の対価の額と非課税資産の譲渡の対価の額とに合理的に区分されてい 法によって算定されたものといえ るか否か)について⑴ 消費税法施行令45条3項は、一括譲渡の場合の対価の額が課税資産の譲渡の対価の額と非課税資産の譲渡の対価の額とに合理的に区分されていないときは、それぞれの価額、すなわち時価の比で按分して、当該課税資産の譲渡等に係る消費税の課税標準を算定することを定めている。しかるところ、 ①時価とは必ずしも一義的に定まるものではなく、それ自体幅のある概念であること、②同項における「価額」は課税標準そのものではなく、代金総額に占める課税資産と非課税資産の各割合を導くためのものにすぎず、価額の比率さえ適切であれば課税標準として相当な額を導くことも可能であること、③同項にいう価額を不動産鑑定評価基準に従って算出されたものに限る こととなれば、問題となる不動産については全て不動産鑑定士に鑑定評価を依頼しなければならず、徴税実務上想定し難い規模の過大な負担が生じ得ることなどからすれば、同項にいう「価額」とは、課税資産の譲渡の対価の額と非課税資産の譲渡の対価の額とに合理的に区分するための比率を導くことが可能なものであれば足りるものというべきである。 そして、課税庁が同項を適用するに当たって採用した価額は、それが上記のような比率を導くことを可能とするものであれば、当該資産につき別途適正な鑑定評価が行われ、その結果としての価額比が課税庁の採用した価額比と比較して実質的な差異を生じているというような特段の事情のない限り、消費税法施行令45条3項にいう「価額」に当たるものと解するのが相当で ある。 - 30 -⑵ 本件被告算出方法は、本件各物件の建物と土地の価額について、建物と土地の各仕入れ時の支払代金額(これらの代金額の比率は仕入れ時の固定資産税評価額等 当で ある。 - 30 -⑵ 本件被告算出方法は、本件各物件の建物と土地の価額について、建物と土地の各仕入れ時の支払代金額(これらの代金額の比率は仕入れ時の固定資産税評価額等の比率に応じたものとなっている。)を基礎とし、これらに、原告が行ったリフォーム等の費用のうち建物に係るものは建物の価額として、土地に係るものは土地の価額として、両者に共通するものは仕入れ時の支払 代金額の比率で按分したものをそれぞれの価額として付加することにより算出した額をもって、消費税法施行令45条3項の「価額」とするものである。 まず、建物と土地の各仕入れ時の支払代金額を基礎とした点については、これらの代金額の比率は各仕入れ時における固定資産税評価額又は不動産鑑 定士による鑑定評価額の比率に応じたものとなっているところ、固定資産税評価額は、当該資産の客観的な交換価値を上回らない価額と推認されるものであり(平成25年最判参照)、固定資産税評価額と不動産鑑定評価額のいずれの場合であっても、上記支払代金額を消費税法施行令45条3項の価額の基礎とすることは相当と認められる(原告の主張によれば、原告において も仕入れ時の支払代金額の比率を用いること自体について異論はないものと解される。)。 もっとも、本件においては、上記2で説示したとおり、支払代金額の比率(すなわち固定資産税評価額等の比率)をそのまま用いた場合、リフォームによる土地・建物の交換価値の増加が適切に反映されないという問題が生ず る。そこで、本件被告算出方法においては、原告が行ったリフォーム等の費用について、原告が土地と建物のいずれの売上原価として扱っているかに応じてそれぞれの支払代金額に加算し、最終的な価額を求めているものと解されるところ、一般に、費用を は、原告が行ったリフォーム等の費用について、原告が土地と建物のいずれの売上原価として扱っているかに応じてそれぞれの支払代金額に加算し、最終的な価額を求めているものと解されるところ、一般に、費用を掛けてリフォーム等を施せば、その分、当該不動産の交換価値は高まるはずである(事業者は、一般的に、売上原価を回収 して利益が見込める程度の販売価格を設定するのが通常と解される。また、 - 31 -前記2⑶において説示したとおり、不動産鑑定評価の基本的な手法の一つとされる原価法においても、建物の増改築・修繕・模様替え等は、その内容を踏まえ、再調達原価の査定に適切に反映させるべきものとされている。)から、このようにして導いた額を時価(資産の譲渡の時における課税資産の価額)と評価することもその字義に反するものとはいえない上、これによれ ば、上記のリフォームによる交換価値の増加が反映されないという問題を解決するものとして合理性があるものと認められる。 ⑶ これに対し、原告は、仕入れ時において既に消費税額を含めた売買代金総額を決定するという原告のビジネスモデル上、販売時において最終的なリフォーム金額が未確定であるケースも多いとか、仕入れ時におけるリフォーム 金額の見積りがあるとしても最終的な金額と差異が生ずることが多いなどと主張するが、前記2において説示したとおり、原告建物按分率が課税資産の譲渡の対価の額と非課税資産の譲渡の対価の額を「合理的に区分」しているものとはいえない以上、消費税法施行令45条3項に従って、課税資産の譲渡等に係る消費税の課税標準は、これらの資産の譲渡の対価の額に、これら の資産の譲渡の時における当該課税資産の価額と当該非課税資産の価額との合計額のうちに当該課税資産の価額の占める割合を乗じて計算した金 消費税の課税標準は、これらの資産の譲渡の対価の額に、これら の資産の譲渡の時における当該課税資産の価額と当該非課税資産の価額との合計額のうちに当該課税資産の価額の占める割合を乗じて計算した金額とするほかはない。そして、そのための方法として本件被告算出方法が合理性を有することは既に説示したとおりである上、原告が売出し時において見積ったリフォーム費用に基づき、土地と建物のそれぞれの代金額を区分すること は可能であったものといえることも前記2⑷エにおいて説示したとおりであるから、原告の上記主張は採用することができない。 ⑷ 以上によれば、本件被告算出方法は、価額による按分を定めた消費税法施行令45条3項に従った方法として、適法なものというべきである。 4 結論 ⑴ 前記3のとおり、消費税法施行令45条3項に従った方法である本件被告 - 32 -算出方法によれば、本件各課税期間に係る消費税等の課税標準及び納付すべき消費税等の額は、別表1―1から1-4まで及び別表2-1から2-4までのとおりであって、本件各更正処分における税額と同額となる。また、本件各更正処分により新たに納付すべき税額について、原告に通則法65条4項所定の「正当な理由」があるとは認められないから、原告には同条に基づ き過少申告加算税が課されるべきものであるところ、その税額は別紙3の⑴アからエのとおりであって、本件各賦課決定処分における税額と同額となる。 したがって、本件各更正処分等は適法である。 ⑵ 以上によれば、本件各更正処分等の取消しを求める原告の請求はいずれも理由がなく、これを棄却すべきであるから、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第51部 裁判長裁判官岡田幸人 告の請求はいずれも理由がなく、これを棄却すべきであるから、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第51部 裁判長裁判官岡田幸人 裁判官渡達之輔及び裁判官溝渕章展は、異動のため、署名押印することができない。 裁判長裁判官岡田幸人 (別紙1~3、別表1及び同2のすべて省略) - 33 -(別紙4)争点に関する当事者双方の主張の要旨 1 争点1(土地及び建物の一括譲渡に当たり、売買契約書において土地の代価及び建物の代価が区分されている場合に、消費税法施行令45条3項を適用するこ とができるか否か)について【被告の主張の要旨】⑴ 消費税法28条1項本文に規定する「課税資産の譲渡等の対価の額」とは、土地及び建物の一括譲渡の場合などには、これらの対価の額から建物に係るものを合理的に区分した後の金額を意味するものである。 土地及び建物を一括譲渡した場合に消費税の課税対象となるのは、建物の譲渡のみとなるところ、消費税が課されない土地の譲渡の対価の額の割合が、本来あるべき割合よりも高く設定されると、消費税が課される建物の譲渡の対価の額の割合が低くなってしまい、消費税の納付税額が少なくなる、ひいては本来還付されるべきではない消費税が還付されるという問題が生ずることとな る。 そのため、消費税法は、土地(非課税資産)と建物(課税資産)とを一括譲渡した場合において、それぞれの譲渡等に係る通常の取引価額、取得価額、面積等を基礎にして合理的に区分しているときは、その区分した金額をそれぞれの譲渡等の対価の額(課税標準)として取り扱うことが原則である としつつ、合理的に区分していない場合 引価額、取得価額、面積等を基礎にして合理的に区分しているときは、その区分した金額をそれぞれの譲渡等の対価の額(課税標準)として取り扱うことが原則である としつつ、合理的に区分していない場合には、それぞれの譲渡等に係る通常の取引価額を基礎にして按分(時価の比で按分)して区分した金額をそれぞれの譲渡等の対価の額とすることで上記の問題を解決することとし、合理的に区分されていなかったときの区分方法について、消費税法28条5項により委任された消費税法施行令45条3項は、合理的に区分された課税資産の 譲渡等の対価の額を消費税の課税標準とすることを規定しているものと認め - 34 -られる。 したがって、消費税法28条1項で規定する課税資産の譲渡等に係る課税標準の額は、事業者が合理的に区分していたとしても、合理的に区分しておらず消費税法施行令45条3項の適用を受けたとしても、いずれの場合であっても結果的には課税資産の譲渡等の対価の額は合理的に区分した後の金額 になるから、課税資産と非課税資産が一括譲渡された場合における消費税法28条1項本文に規定する課税標準である「課税資産の譲渡等の対価の額」とは、合理的に区分した後の金額である。 ⑵ 消費税法28条5項が政令に委任している内容は、「課税標準の額の計算の細目に関し必要な事項」であるところ、本件で解釈が争われている同条1項本 文との関係では、同本文で規定している「課税資産の譲渡等の対価の額」を計算する上で必要な事項を政令に委任しているものである。 すなわち、消費税法28条5項は、課税資産と非課税資産を一括譲渡した場合において、契約書などで課税資産の譲渡等の対価の額と非課税資産の譲渡等の対価の額とが区分されていない場合や、契約書などで課税資産の譲渡 等の対価の額 は、課税資産と非課税資産を一括譲渡した場合において、契約書などで課税資産の譲渡等の対価の額と非課税資産の譲渡等の対価の額とが区分されていない場合や、契約書などで課税資産の譲渡 等の対価の額と非課税資産の譲渡等の対価の額とが区分されているものの、当該課税資産の譲渡等の対価の額が合理的に区分されていると認められない場合には、課税標準となる「課税資産の譲渡等の対価の額」を計算する必要があることから、合理的に区分する計算の細目を政令に委任しているものである。 ⑶ 消費税法施行令45条3項は、課税資産と非課税資産が一括譲渡された場合において、契約当事者が合理的な基準に基づかずに恣意的に割り付けを操作することによって課税資産の譲渡等に係る消費税の課税標準を過少に計上することを防止し、もって租税負担の公平の原則を確保する趣旨から、消費税法28条5項の委任を受け、課税標準の額の計算の細目を定める目的で設けられてい る。上記の趣旨に照らせば、課税資産と非課税資産が一括して売買された場合 - 35 -において、たとえ契約の当事者間で課税資産の譲渡等の対価の額について合意があったとしても、当該合意された課税資産の譲渡等の対価の額が合理的に区分されていると認められない場合には、消費税法施行令45条3項により合理的に区分を行う必要があるのであり、そのような場合においても同項の規定により区分して課税標準の額を計算することが認められないとすると、同項の規 定が設けられた趣旨が没却されることとなるから、そのような解釈はおよそ認め難いといわざるを得ないものである。 ⑷ 課税資産と非課税資産のそれぞれの譲渡の対価の額がその客観的な価値と比較して著しく不合理なものであるといった事情があるときには、消費税法施行令45条3項の「合理的に区分 るを得ないものである。 ⑷ 課税資産と非課税資産のそれぞれの譲渡の対価の額がその客観的な価値と比較して著しく不合理なものであるといった事情があるときには、消費税法施行令45条3項の「合理的に区分されていないとき」に該当するものと解すべき であり、契約の当事者間で課税資産の譲渡等の対価の額につき合意があったとしても、そのことのみで同項の適用が左右されるものではない。 ⑸ 消費税法28条1項本文に規定する「収受すべき」額とは、課税資産と非課税資産とを一括譲渡した場合には、課税資産の譲渡と非課税資産の譲渡の対価の額の合計額になるから、当事者間で課税資産の譲渡等の対価の額に合意があ ったとしても、消費税法施行令45条3項が適用されることに代わりはない。 【原告の主張の要旨】⑴ 消費税法28条1項の「対価の額」とは、消費税法基本通達10-1-1において、「その譲渡等に係る当事者間で授受することとした対価の額をいう」とされているように、実際に当事者が対価として収受し、又は授受することを 合意した額を意味する。そして、私人間における合意の成否を規律するのは私法であるから、私法上、売主及び買主間で対価の額につき合意があったと認められる場合には、当該対価の額が課税標準となる。 なお、消費税法上、28条1項ただし書以外に、当事者間で合意された対価があるにもかかわらず、課税標準を当該対価以外の額に引き直すことを定める 規定は存在しない。 - 36 -⑵ 課税要件法定主義(憲法84条)の下では、課税要件は、その全てが法律によって規定されなければならず、法律の根拠なしに政令・省令等で新たに課税要件に関する定めをすることは許されない。したがって、法律の委任規定に、委任内容として、法律が定める課税要件に変更を加えることが よって規定されなければならず、法律の根拠なしに政令・省令等で新たに課税要件に関する定めをすることは許されない。したがって、法律の委任規定に、委任内容として、法律が定める課税要件に変更を加えることが含まれていなければ、その委任規定に基づく命令で法律が定める課税要件に変更を加える内容 を定めることはできず、そのような内容を定める命令は無効である。 消費税法施行令45条3項は、消費税法28条5項を委任規定とする命令であるところ、同項が政令に委任している内容は、飽くまでも「課税標準の額の計算の細目に関し必要な事項」であり、同条1項、2項及び4項の規定だけでは課税標準の額を認定することができない場合、すなわち、同条1項に基づく 「対価の額」を認定するために別途何らかの計算が必要な場合の計算方法である。同条5項の文理上、同条1項、2項及び4項に規定する課税標準の変更を政令に委任していると解釈することはできない。このことは、同条5項が同条3項を除いていることからも明らかである。すなわち、同項は、同項各号の金額を「対価の額」とみなす規定であり、当該「対価の額」をそのまま課税標準 の額として認定することが可能である。このように、同条3項については、同項各号の金額をもって課税標準の額を認定すれば足り、別途の計算は不要であるから、政令に対して課税標準の額の計算を委任する必要がないため、同条5項による委任の対象から除外しているのである。したがって、消費税法28条1項に基づく「対価の額」が明らかであって、別途の計算を要することなく同 項により課税標準の額が認定できる場合には、同条5項及びその委任を受けた消費税法施行令45条3項が適用される余地はない。同項の適用が問題になるのは、土地建物の対価の額(合計額)に関する合意はあるものの建物 り課税標準の額が認定できる場合には、同条5項及びその委任を受けた消費税法施行令45条3項が適用される余地はない。同項の適用が問題になるのは、土地建物の対価の額(合計額)に関する合意はあるものの建物の対価の額に関する合意がない場合や、建物の対価の額について合意があるような表示(外形)が作出されているものの当該表示と当事者の意思との間に不一致があ る場合など、消費税法28条1項に基づく当事者間で合意された「対価の額」 - 37 -が認定できない場合に限られる。消費税法施行令45条3項を当該「対価の額」が認定できる場合においてもなお時価への引き直しを認めた規定であると解釈する場合には、かかる解釈は消費税法が予定しないものであり、その趣旨に適合しないこととなるから、同項は、委任規定である消費税法28条5項の委任の範囲を逸脱した違法なものとして無効となる。 ⑶ 原告と顧客との間の売買契約書のうち、建物代金額が記載されているものについては、その文言から、原告と顧客との間で、建物代金額は記載された金額とする旨の合意があると認められることは客観的に明らかである。また、原告と顧客との間の売買契約書のうち、売買代金総額及び内金としての消費税額のみが記載されているものについては、その文言から、建物代金額は消費税額を 割り戻して算出される額とする旨の合意があると認められることは客観的に明らかである。そして、原告と顧客との間で作成された売買契約書の表示について、当事者の意思との間に不一致があることを示す事情は存在しない。そうすると、本件各物件中の建物の譲渡に係る課税標準の額は、各契約当事者が合意した上記建物代金額をもって認定することができ、消費税法28条5項及び消 費税法施行令45条3項が適用される余地はなく、これらの規定に基づ 中の建物の譲渡に係る課税標準の額は、各契約当事者が合意した上記建物代金額をもって認定することができ、消費税法28条5項及び消 費税法施行令45条3項が適用される余地はなく、これらの規定に基づいて上記各建物の譲渡に係る課税標準の額が計算されることはあり得ない。 ⑷ 租税法の解釈は、原則として、規定の文理解釈によるべきであり、文理解釈によって意味内容を明らかにすることが困難な場合には、規定の趣旨目的に照らしてその意味内容を明らかにしなければならない。消費税法28条1項本文 の文理及び消費税の趣旨からすると、当然に、「課税資産の譲渡等の対価の額」は、「実際に当事者が対価として収受し、又は授受することを合意した額」であるとの解釈が導き出されるのであって、被告の主張するような解釈を導き出すことは不可能である。なお、被告の解釈は、その内容からすると消費税法施行令45条3項に依拠しているようにも思われるが、法規よりも下位規範であ る政令が法規の解釈を決定付けるものではなく、消費税法施行令45条3項の - 38 -存在及び解釈は、消費税法28条1項本文の法令解釈の根拠とはなり得ない。 2 争点2(本件各物件の譲渡が、消費税法施行令45条3項に規定する「課税資産の譲渡の対価の額と非課税資産の譲渡の対価の額とに合理的に区分されていないとき」に該当するか否か )について【被告の主張の要旨】 ⑴ 原告建物按分率は、以下のとおり、合理的な基準とはいえない。 ア原告は、本件各課税期間において、地方都市を中心に北海道から沖縄県までの全国を商圏とし、年間3000件を超える中古物件を仕入れて販売しているところ、一般に、物件の所在地によって土地の単価が異なることは明らかである上、本件各物件の販売に係る売買代金総額も50万円から418 国を商圏とし、年間3000件を超える中古物件を仕入れて販売しているところ、一般に、物件の所在地によって土地の単価が異なることは明らかである上、本件各物件の販売に係る売買代金総額も50万円から4188 万円と著しく幅があるなど、本件各物件に類似性があるとはいえない。 また、原告は、集合住宅の計算で用いる割合は戸建住宅で用いる割合を2倍にしたものであるとしているが、当該割合が集合住宅の計算で用いるものとして適正であるという根拠は不明である。 以上のとおり、そもそも本件各物件の全てに対して一律の割合を適用して、 土地及び建物の譲渡の対価の額を区分すること自体に合理性がない。 イ原告建物按分率は、過去に仕入れた物件の固定資産税評価額等の合計金額のうち建物の固定資産税評価額等が占める割合の平均値であるが、対象となる課税期間ではなく、「過去」の平均値を用いたことの合理性には疑義がある。 ウ上記イの点をおくとしても、原告建物按分率は、原告が過去に仕入れた土地及び建物の固定資産税評価額等の合計額のうち建物に係る固定資産税評価額等が占める割合の平均値であるから、リフォームによって、仕入れ時よりもリフォーム分の価値が土地及び建物に付加されているにもかかわらず、当該付加価値が売上時の課税資産(建物)の譲渡等の対価の額の比 率に反映されないこととなる。 - 39 -税制改革法11条1項は、事業者は、消費に広く薄く負担を求めるという消費税の性格に鑑み、消費税を円滑かつ適正に転嫁するものとする旨規定しているところ、上記で述べたとおり、建物に係るリフォーム費用等は、リフォーム時には基本的に消費税法30条に規定する課税仕入れとして仕入税額控除の対象となる一方、物件販売時においてはリフォーム費用等相 当額が建物(課税資 とおり、建物に係るリフォーム費用等は、リフォーム時には基本的に消費税法30条に規定する課税仕入れとして仕入税額控除の対象となる一方、物件販売時においてはリフォーム費用等相 当額が建物(課税資産)の譲渡の対価の額として適正に課税標準に反映されないこととなれば、建物に係るリフォーム費用等に係る消費税が消費者に転嫁されない部分が生ずることとなる。 エ更に付言すると、原告は、一律の割合を乗じた後に、1万円未満を切捨て処理して、売上時の本件各物件における消費税額を算出している。消費 税額につき1円未満の端数処理が必要となることは理解し得るものの、1万円未満を切り捨てることに合理的な理由は見出せず、当該消費税額に100分の8を除すことによって建物の譲渡の対価の額を算出するのであるから、消費税額のみならず、課税資産の譲渡の対価の額の算出に当たっても合理的であるとは認められない。 ⑵ 上記のとおり、原告建物按分率による按分方法は合理的な基準とは認められないから、そこから算出された土地及び建物の譲渡の対価の額が、合理的な金額ではないことは明らかである。 また、本件各物件は、地方に所在しているため「土地価格の変動が少な」いにもかかわらず、含まれる物件の中には、土地の譲渡の対価の額が仕入金額の 2倍以上となっている一方で、建物の譲渡の対価の額は、リフォームにより建物の価値が増加したにもかかわらず原価割れ(損失)が生じているものがある。 本件各物件において、物件ごとに仕入れ時の固定資産税評価額の合計金額のうち、土地及び建物の各固定資産税評価額が占める割合はそれぞれ異なるから、本件各物件の全ての取引において一概に同様の傾向があるとはいえないものの、 全体的にみると、本件原告算出方法によると、リフォームによる付加価値が建 評価額が占める割合はそれぞれ異なるから、本件各物件の全ての取引において一概に同様の傾向があるとはいえないものの、 全体的にみると、本件原告算出方法によると、リフォームによる付加価値が建 - 40 -物の譲渡の対価の額に適正に反映されずに、価値が急騰するとは想定し難い土地の譲渡の対価の額が急増する傾向になる。 以上のとおり、原告建物按分率に基づき算出された土地及び建物の譲渡の対価の額は、合理的に区分されたものとは認められない。 ⑶ 一般に、納税者が消費税の還付を受けるための申告をすることとなる主な原 因は、輸出免税取引や赤字決算であるところ、原告は、上記のような事情が見当たらないにもかかわらず、合計約12億円もの還付を受けるための申告を行っている。 これは、前記⑴及び⑵で述べた理由により、建物(課税資産)の対価の額が適正に課税標準に反映されていないことが原因になっているものと解される。 ⑷ 以上述べたとおり、原告建物按分率は、合理的な基準であるとは認められない上、これによって算出される土地及び建物の譲渡の対価の額のみをみても、当該金額は合理的な金額であると認められないから、原告建物按分率に基づいて算出された課税資産の譲渡の対価の額と非課税資産の譲渡の対価の額とは、消費税法施行令45条3項に規定する「合理的に区分されていないとき」に該 当する。 【原告の主張の要旨】⑴ 仮に、消費税法施行令45条3項が当事者間において課税資産につき合意された対価の額がある場合にも適用されるとしても、消費税法は、当事者間において合意された対価の額がある場合には、当該額により消費税を課すことを根 幹としているのであるから「合理的に区分されていないとき」に該当するとして当該額とは別の金額により消費税を課すことがで いて合意された対価の額がある場合には、当該額により消費税を課すことを根 幹としているのであるから「合理的に区分されていないとき」に該当するとして当該額とは別の金額により消費税を課すことができるのは、当事者間において合意された対価の額があることを前提に、かかる当事者間での合意の形成過程に合理性がないときに限られるものと解すべきである。具体的には、当事者間における対価の合意(私法上有効な合意)は認められるものの、その合意が 依拠した基準がおよそ不明である場合や、何ら根拠のない恣意的な基準である - 41 -場合には「合理的に区分されていないとき」に該当するものの、そのような場合でない限り、当事者間において合意された対価の額が時価よりも著しく低額である場合や時価よりも著しく高額な場合であったとしても、「合理的に区分されていないとき」には該当しないものというべきである。 ⑵ 以下のとおり、本件原告算出方法に基づいて算出された金額をもって顧客と の間で「対価の額」について合意したという合意の形成過程は不合理とはいえず、本件において原告と顧客との間で合意した「対価の額」が「合理的に区分されていないとき」に該当するとはいえない。 ア固定資産税評価額は、一般に時価を把握するための合理的な指標として認められており、原告建物按分率の算出基準として固定資産税評価額を利用す ることは合理的である。 また、リフォームを行ったことを理由に、過去の固定資産税評価額を利用することの合理性が失われることもない。原告が行うリフォームは、建物の価値を増加するものでも付加価値を付けるものでもなく、通常の維持管理が行われなくなった建物を通常の維持管理が行われている状態に戻すものであ り、固定資産税評価額の再評価の対象とならない 建物の価値を増加するものでも付加価値を付けるものでもなく、通常の維持管理が行われなくなった建物を通常の維持管理が行われている状態に戻すものであ り、固定資産税評価額の再評価の対象とならないリフォーム(資本的支出に至らない程度の修繕)にすぎないからである。このことからしても、原告が行うリフォームが固定資産税評価額に影響するとはいえず、リフォーム前の固定資産税評価額を利用することが不合理とはいえない。 仮に、事業者において課税仕入れとなるリフォーム費用が費やされている か否かによって、消費税法施行令45条3項にいう「合理的に区分されていない」か否かの判断基準が異なるのであれば、そのことを法令等において明記すべきであって、文言として明記することなくそのような差異を設けることは許容されるものではない。税務当局の公的見解において、固定資産税評価額を基にして按分する方法を合理的な方法としているにもかかわらず、事 業者において課税仕入れとなるリフォームを行った場合に固定資産税評価額 - 42 -を基にして按分する方法の合理性を否定することは、課税に係る法的安定性及び納税者の予測可能性を著しく害するものであり、実質的には、課税要件明確主義(租税法律主義)の趣旨に反するものである。 イ原告は、物件の仕入れの時点で、「この物件は幾らであれば売れるのか」という観点から消費税額を含めた将来的な販売価格を決定している。そして、 原告は、十分な売却機会の確保のため、仕入れ直後から自社ホームページ上に物件を掲載して売出しを行っている。つまり、原告は、物件について全てのリフォームが完了し、その費用額の全てが明らかになってから販売価格を決定し、売出しを行うわけではない。 物件の仕入れに際して将来的な販売価格を決定し、そ る。つまり、原告は、物件について全てのリフォームが完了し、その費用額の全てが明らかになってから販売価格を決定し、売出しを行うわけではない。 物件の仕入れに際して将来的な販売価格を決定し、その直後に速やかにホ ームページ上で売出しを行うという原告のビジネスモデルに照らせば、原告建物按分率のように仕入れ時に判明している数値に基づき土地代金と建物代金を算出する必要がある。 また、多数の営業店舗及び担当者が膨大な量の物件を取扱うに当たり、売買代金の算出や代金をディスカウントした場合の消費税額の計算ミスなどの 事務リスクを回避するとともに、担当者が顧客に配慮して建物に係る代金を恣意的に算出することを防止する方法として、消費税額の計算方法を簡易かつ一律にすることは極めて有効であるから、個別物件に係る固定資産税評価額の割合ではなく、原告建物按分率を一律に用いることは合理的である。 ウ原告は、一定期間の取引物件の固定資産税評価額の平均値により原告建物 按分率を計算しているが、固定資産税評価額及びその平均値は、原告の恣意が入る余地のない数値である上、半年毎に算出される建物割合の数値からもかい離した数値とはなっていないから、本件各課税期間を通じて原告建物按分率を継続して用いたことは不合理とはいえない。 本件各物件のうち、原告において土地及び建物の個別の固定資産税評価額 を把握している戸建住宅物件(合計1万0914物件)について、建物及び - 43 -附属建物に係る個別の固定資産税評価額を分子とし、当該建物及び附属建物の固定資産税評価額並びにそれらの底地の土地に係る個別の固定資産税評価額の合計額を分母とした数値に8%を乗じた数値を算出したところ、その平均値は2.7%であり、本件原告算出方法で用いてい び附属建物の固定資産税評価額並びにそれらの底地の土地に係る個別の固定資産税評価額の合計額を分母とした数値に8%を乗じた数値を算出したところ、その平均値は2.7%であり、本件原告算出方法で用いている数値と一致した上、1.4%以上4.0%未満の区間内に73.6%(1万0914件中803 5件)の物件が含まれており、データのばらつきも小さいといえる。このように、税務当局が認めている個別の固定資産税評価額を用いた場合と本件原告算出方法を用いた場合の計算結果に大差はなく、前者が合理的として認められる以上、後者が合理的ではないとされる理由はない。 一方、原告は、本件原告算出方法の導入時、集合住宅の取引実績に乏しく、 上記の期間における取引数も僅かであったため、集合住宅に係る消費税額を計算するに当たり、集合住宅のみを取り出して建物割合を計算することはしていない。もっとも、一般的に集合住宅は戸建住宅に比して建物割合が高いことに鑑み、集合住宅の建物に係る消費税額を算出するに際しては、戸建住宅に係る2.7%の2倍の数値(5.4%)を用いていた。なお、実際、平 成25年4月1日から平成31年3月31日までの間の半年毎の原告が仕入れた集合住宅の建物割合の平均値は戸建住宅の建物割合の平均値のおおむね2倍であり、かかる計算方法は実態に即したものである。 エ原告は、以上の理由から、本件各課税期間を通じて原告建物按分率を継続的かつ一律に適用して土地代金及び建物代金を算出していたのであり、個々 の土地及び建物の一括譲渡において消費税の額を恣意的に操作したわけではなく、ましてや消費税の負担を軽減する(建物に係る仮受消費税額を減少させる)目的で原告建物按分率を用いたものではない。 実際、原告の担当者は、顧客から販売代金に占める建 意的に操作したわけではなく、ましてや消費税の負担を軽減する(建物に係る仮受消費税額を減少させる)目的で原告建物按分率を用いたものではない。 実際、原告の担当者は、顧客から販売代金に占める建物の金額を安くし、その分土地の金額を高くするよう求められたのに対し、原告の社内の決まり で消費税額を決めているため、金額の変更はできないとして申出を謝絶して - 44 -いる。 また、原告建物按分率を一律に適用した場合と、国税庁が合理的な方法であると認めている個別の固定資産税評価額で按分する方法を利用した場合の仮受消費税額を比較した場合、原告建物按分率を一律に適用した場合の方が仮受消費税額が増加する(すなわち、還付額が減少する)結果となるのであ り、このことからしても、原告が個々の土地及び建物の一括譲渡において消費税の額を恣意的に操作したわけではなく、ましてや消費税の負担を軽減する目的で本件原告建物按分率を用いたものではないことは明らかである。 ⑷ 被告は、リフォームによる「付加価値」が建物の販売金額に適正に反映されていないと主張するが、消費税法上、課税標準は当事者間で合意された対価の 額であり、付加価値の額ではなく、利益の有無や多寡も問題とならないのであるから、売主の利益水準が合理性を示す事情になると考えることは、消費税法上の原則や趣旨に反する。 なお、土地については有効活用を妨げる建物が存在することにより建付減価が生じていることがあるため、建物のリフォームを行うことにより土地の「価 値」が上昇することはある。また、原告は、ライフスタイルの変化に伴う最低限のリフォームや建物の減築等により駐車スペースの拡大を行い物件全体の利便性を向上させている。これにより土地を含めた物件全体の「価値」が大きく上がること また、原告は、ライフスタイルの変化に伴う最低限のリフォームや建物の減築等により駐車スペースの拡大を行い物件全体の利便性を向上させている。これにより土地を含めた物件全体の「価値」が大きく上がることもあるが、そのために要した費用と「価値」の相関関係は必ずしも明らかではない。これらの事情を考慮すると、建物についてリフォーム費用を かけた分、そのまま被告がいうところの建物の「価値」が上昇するという前提を置くことがそもそも誤っている。 被告は、建物に係るリフォーム費用等に係る消費税が消費者に転嫁されないことも主張する。しかしながら、消費税法は、飽くまで「消費支出」に担税力を認めて課税するものであって、消費税の完全な転嫁(付加価値に対して消費 税を課すこと)を義務付けているわけではない。税制改革法も消費税法の基本 - 45 -的な考え方を宣言したものにとどまり、消費税を転嫁する具体的法的義務を認めたものではない。このような消費税の転嫁に関する消費税法の考え方に照らせば、課税資産と非課税資産を一括譲渡した場合にのみ消費税の転嫁の有無を問題視し、消費税が転嫁されていないことを「合理的に区分されていないとき」を基礎付ける事情として考慮することはできない。 3 争点3(本件各更正処分において算定された建物の譲渡に係る消費税の課税標準は、消費税法施行令45条3項所定の方法によって算定されたものといえるか否か)について【被告の主張の要旨】⑴ 前記2で述べたとおり、本件においては、売買契約において定められた土地 及び建物のそれぞれの譲渡の対価の額が合理的に区分されていないものと認められるから、消費税法施行令45条3項に基づき、資産の譲渡の対価の額を土地及び建物の時価の比率により区分することとなる。 この点、時価とは必ず れの譲渡の対価の額が合理的に区分されていないものと認められるから、消費税法施行令45条3項に基づき、資産の譲渡の対価の額を土地及び建物の時価の比率により区分することとなる。 この点、時価とは必ずしも一義的に定まるものではなく、時価自体が幅のある概念であり、また、消費税法施行令45条3項は、課税資産及び非課税資産 の譲渡の対価の額を区分するための合理的な基準(すなわち、合理的な按分比)を求めるものであるところ、課税資産(建物)及び非課税資産(土地)の売上原価を基にして按分する計算方法は、一般的に合理的な基準として認められている。 これを本件についてみると、本件被告算出方法は、原告がBシステムに入力 した会計データに基づき、売上原価総額を、土地に係る売上原価と建物に係る売上原価とに区分し、土地及び建物の売上げに共通する費用については当該物件仕入れ時における土地及び建物の支払対価の額の比率で按分することにより、土地に係る売上原価及び建物に係る売上原価を算出して、各物件の売上原価の合計金額のうち建物に係る売上原価が占める割合を基として、建物の譲渡に係 る課税標準を算出するものである。 - 46 -そして、上記土地及び建物の支払対価の額は、原告が本件各物件を土地及び建物を一括で仕入れた時に、各物件の固定資産税評価額等の比率を用いて土地及び建物の支払対価の額を区分し、土地及び建物の支払対価の額をそれぞれの売上原価として経理していたものであるが、固定資産税評価額及び不動産鑑定士による鑑定評価額が、一般に時価を把握するための合理的な指標として認め られていることからすれば、本件被告算出方法により、建物の売上原価と土地の売上原価に区分することは合理的である。 ⑵ 本件被告算出方法による土地及び建物の譲渡に係る金額は、 的な指標として認め られていることからすれば、本件被告算出方法により、建物の売上原価と土地の売上原価に区分することは合理的である。 ⑵ 本件被告算出方法による土地及び建物の譲渡に係る金額は、それぞれの仕入金額にリフォーム費用等が反映された上で、適正な比率の利益が分配されており、リフォームによる付加価値が建物の譲渡に係る課税標準に適正に反映され、 消費者に税負担が適正に転嫁されることになり、結果的にも合理的な金額が算出されている。 ⑶ 以上によれば、本件被告算出方法は、消費税法施行令45条3項に基づいた合理的な基準による区分方法である。 【原告の主張の要旨】 ⑴ 本件被告算出方法は売上原価を基準として按分するものであるところ、売上原価をもって不動産の価額とすることは不動産鑑定評価基準が定める鑑定評価の手法ではなく、売上原価による按分は、消費税法施行令45条3項にいう「価額」(時価)すなわち交換価値による按分とはいえない。 ⑵ そもそも、消費税の納税義務は個々の課税資産の譲渡等をしたときに成立し、 その課税標準はその課税資産の譲渡等につき当事者が合意した対価の額であるところ、このような法の建付けからすれば、原告が顧客と課税資産に係る売買契約を締結する時期及びその対価の額は、いずれも両当事者の合意つまり私的自治に委ねられている。ここで、被告の主張のように、その契約において合意された対価の額は課税標準たり得ず、当該契約締結のはるか後にリフォームに 係る総原価が確定した後でなければ正しい課税標準を算出できないと解するの - 47 -であれば、それは上記の法の建付けを実質的に正面から否定するもので、ひいては、納税者の経済活動における法的安定性と予測可能性を害するものである。 ⑶ 仕入れ時において既に消費 の - 47 -であれば、それは上記の法の建付けを実質的に正面から否定するもので、ひいては、納税者の経済活動における法的安定性と予測可能性を害するものである。 ⑶ 仕入れ時において既に消費税額を含めた売買代金総額を決定するという原告のビジネスモデル上、仕入れ時はもとより、工事の途中で追加工事が生じ得る場合も随時あることから、販売時において最終的なリフォーム金額が未確定で あるケースも多い。また、仕入れ時におけるリフォーム金額の見積りがあるとしても、それは飽くまで見積りにすぎず、最終的な金額と差異が生ずることが多いため、リフォームの見積り金額で按分することも合理的とはいえない。 被告の主張は、原告において現実的な実行可能性がない本件被告算出方法を強いるものであって、納税者の事情を無視し、課税庁の執行上の便宜を過度に 重視するものというほかない。 ⑷ 仮に、本件について消費税法28条5項及び消費税法施行令45条3項の適用があり、かつ、本件原告算出方法が「合理的に区分されていないとき」に該当するというのであれば、土地及び建物の価額(時価)に基づく按分方法により建物の課税標準を算定しなければならないのであり、価額(時価)を把握す るための合理的な指標として固定資産税評価額がある以上、個別の物件毎に、譲渡対価の総額を譲渡時点における個別の固定資産税評価額で按分し、課税資産の譲渡等の消費税の課税標準が計算されるべきである。 以上
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