平成24(行ウ)668等 免職処分取消等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成26年12月8日 東京地方裁判所
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判決文本文52,943 文字)

平成26年12月8日判決言渡平成24年(行ウ)第668号免職処分取消等請求事件 主文 1 東京都教育委員会が平成24年3月31日付けで原告に対してした東京都公立学校教員を免ずる処分を取り消す。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用はこれを2分し,その1を原告の負担とし,その余は被告の各負担とする。 事実 及び理由 第1 請求 1 主文1項同旨 2 被告は,原告に対し,500万円及びこれに対する平成24年10月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要等 1 事案の概要本件は,被告の東京都教育委員会(以下「都教委」という。)の条件附採用期間を1年間とする教員として採用され,東京都立P1中学校(以下「P1中学」という。)に勤務していた原告が,東京都立P2高等学校(以下「P2高校」という。)及びP1中学のP3校長から原告に対する特別評価所見の採用の可否につき「否」とされ,その後,免職処分を受けたことについて,原告が被告に対し,(1)P3校長の不当な評価に基づきなされた同免職処分は,都教委の裁量権を逸脱ないし濫用する違法な処分であると主張して同免職処分の取消しを求めるとともに,(2)P3校長から違法なパワーハラスメントを受けたとして,国家賠償法1条1項に基づき慰謝料の支払を求める事案である。 2 前提となる事実(当事者間に争いがないか,掲記の証拠及び弁論の全趣旨に より容易に認定できる事実)(1) 原告の採用原告は,平成22年8月,東京都公立学校(以下「都立学校」という。)教員採用試験を受け,同年10月に合格し,平成23年4月1日より都立学校教員として期間1年間の条件附で採用され,採用の日から 採用原告は,平成22年8月,東京都公立学校(以下「都立学校」という。)教員採用試験を受け,同年10月に合格し,平成23年4月1日より都立学校教員として期間1年間の条件附で採用され,採用の日から1年間の教諭の職務の遂行に必要な事項に関する実践的な研修(以下「初任者研修」という。)を受ける者(以下「初任者」という。)としてP1中学に赴任した。 なお,P1中学の校長はP3校長であり,副校長はP4副校長及びP5副校長である。P1中学及びP2高校は中高一貫校であり,建物が東校舎と西校舎に分かれ,東校舎には中学1年生及び2年生,西校舎には中学3年生から高校3年生までが在籍している。P4副校長は東校舎の担当であり,P3校長は普段は西校舎で執務していた。 【争いのない事実,乙16,証人P3】(2) P1中学及びP2高校における原告の勤務態勢原告は,平成23年4月1日より,数学科の教諭として,中学校1,2学年及び高等学校2学年の数学の授業を週15時間行うとともに,中学校1学年の副担任を務め,週1時間の総合的な学習の時間を担当した。原告の初任者研修担当の指導教員には,保健体育科のP6主幹教諭(以下「P6主幹」という。)が,教科指導員には数学科のP7主任教諭(以下「P7主任」という。)がそれぞれ充てられた。 【争いのない事実】(3) 免職処分都教委は,原告に対し,平成24年3月31日付けで,都立学校教員を免ずる旨の処分(以下「本件処分」という。)を行った。 【争いのない事実】(4) 本件処分に関する法令等 ア地方公務員法22条1項は,「職員の採用は,すべて条件附のものとし,その職員がその職において6月を勤務し,その間その職務を良好な成績で遂行したときに正式採用になるものとする。」と規定している。ただし,公立の小学校,中学 は,「職員の採用は,すべて条件附のものとし,その職員がその職において6月を勤務し,その間その職務を良好な成績で遂行したときに正式採用になるものとする。」と規定している。ただし,公立の小学校,中学校,高等学校等の教諭の採用については,教育公務員特例法(以下「教特法」という。)12条1項の規定により,条件附採用期間は1年間とされており,教育公務員については,一般職の地方公務員より長い条件附採用期間が設けられている。教特法が条件附採用期間を1年間としたのは,同法23条で条件附採用期間中の教員につき1年間の初任者研修を受けなければならないとされたこととの関係である。 イ都教委は,条件附採用期間中の教育職員について,「東京都公立学校教育職員の正式採用の決定に関する要綱」(以下「本件要綱」という。)に基づき条件附採用職員の正式採用の判断を行っている。本件要綱における都立学校に所属する条件附採用職員の正式採用の可否の決定手続は,おおむね次のとおりである。 (ア) 校長は,条件附採用期間中における指導及び育成の状況を把握して,その者に対する研修内容及び指導育成の充実を図るとともに,正式採用の判定に資するため,都教委に対して,第1回は採用の日から採用後4月を経過する日までの間,第2回は第1回報告後から採用後7月を経過する日までの間の育成状況を報告し,課題があるとした条件附採用職員については,条件附採用職員の状況の把握に努めるとともに,課題の改善のためのきめ細かい指導に努める(本件要綱第10)。 なお,「東京都公立学校教育職員の正式採用の決定に関する要綱の解釈及び運用方針について(通知)」によれば,校長は,育成報告の提出に際し,総合的に課題があると報告した条件附採用職員については,通常の条件附採用職員に対する指導に加え,①校長又は副校長による個 の解釈及び運用方針について(通知)」によれば,校長は,育成報告の提出に際し,総合的に課題があると報告した条件附採用職員については,通常の条件附採用職員に対する指導に加え,①校長又は副校長による個別の面接等の機会を増やすなどして,条件附採用職員の状況をよく把握し, きめ細かい指導に努める,②詳細な職務実績記録を作成する,③校長は,都教委に指導主事等による観察授業及び面接指導等を依頼する,こととされている。さらに,校長は,第2回の育成報告の提出に際し,総合的に課題があると報告した条件附採用職員については,上記①から③に加えて,④自己申告の中間申告時に併せて,申告時点までの課題,今後の改善方策等について,具体的に例を挙げて条件附採用職員に対して指導する,⑤条件附採用職員に対して指導した④の内容について,職務実績記録に記録する,こととされている。 (イ) 条件附採用職員の条件附採用期間中の勤務成績の判定に当たっては,当該条件附採用職員の所属する学校の校長及び教育委員会の教育長が,採用後10月を経過した日に,教育職員業績評価書(以下「業績評価書」という。)及び新規採用教育職員の特別評価所見(以下「特別評価所見」という。)により,特別評価を行う(本件要綱第2)。 そして,特別評価所見における採用所見については,原則として,①業績評価書における第一次評価者の総合評価が「C」以上かつ教育委員会評価が「2」以上である者は,採用「可」と判定し,②業績評価書における第一次評価者の総合評価が「D」又は教育委員会評価が「1」の者は,採用「否」と判定する(本件要綱第3)。 (ウ) 校長は,条件附採用職員の特別評価所見において採用所見を「否」とした場合は,当該条件附採用職員に対して,速やかに理由を付してその旨を口頭で告知するとともに,当該告知に対する 件要綱第3)。 (ウ) 校長は,条件附採用職員の特別評価所見において採用所見を「否」とした場合は,当該条件附採用職員に対して,速やかに理由を付してその旨を口頭で告知するとともに,当該告知に対する意見の申出の機会が付与されることを説明し(本件要綱第5),当該条件附採用職員は,当該告知を受けた日から1週間以内に,当該告知に係る意見を記載した書面を,都教委に校長を経由して提出することができる(本件要綱第6)。 (エ) 都教委は,業績評価書,特別評価所見等の書類を参考に,条件附採用職員の正式採用の可否について,①業績評価書における第一次評価者 の総合評価が「C」以上かつ教育委員会評価が「2」以上であるとともに,特別評価所見における採用の可否が「可」である者は,原則として,正式採用とし,②業績評価書における第一次評価者の総合評価が「D」又は教育委員会評価が「1」で,特別評価所見における採用の可否が「否」である者は,原則として,不採用とする。不採用と決定する場合は教職員懲戒分限審査委員会の審議を経るものとする(本件要綱第9)。 【甲15,甲21,乙2】(5) 初任者研修に関する要綱等の定め東京都公立学校1年次(初任者)研修実施要綱及び同実施細目(以下「研修実施要綱等」という。)によれば,初任者に対する指導体制は以下のとおり定められている。 ア方式1年次(初任者)研修の方式は,次のとおりとする。 (ア) 校外における研修を,年間16日以上実施する。ただし,長期休業中に集中して実施することもできる。 (イ) 校内において,指導教員を中心とした指導・助言による研修を,週6時間以上(年間180時間以上)実施する。 イ指導体制(ア) 校長は,校内に指導組織を編成し,1年次(初任者)研修を実施する。(イ) 校長は,副校長の職に 心とした指導・助言による研修を,週6時間以上(年間180時間以上)実施する。 イ指導体制(ア) 校長は,校内に指導組織を編成し,1年次(初任者)研修を実施する。(イ) 校長は,副校長の職にある者をもって指導責任者に充てる。 (ウ) 校長は,校内の指導組織の中心となって初任者の指導・助言に当たる指導教員を各校1人を命じ,所管する教育委員会に報告する。 (エ) 指導責任者は,校長の指導のもとに校内の指導組織を取りまとめ指導計画全体を推進するとともに,初任者に対する教員の指導・助言の状況を把握する。 (オ) 指導教員は,主幹教諭又は教諭の職にあるものの中から命じる。 (カ) 指導教員は,研修シラバスの作成に参画するとともに,校内の指導組織の中心となり初任者に対して指導・助言を行う。 (キ) 校長は,必要に応じて主幹教諭又は教諭等の職にあるものを教科指導員に命じることができる。 (ク) 教科指導員は,初任者に対して教科の専門的内容に関する指導・助言を行う。 ウ年間指導計画等(ア) 校長は,都教委又は区市町村教育委員会が作成した年間研修計画に基づいて,学校の実態に即した年間指導計画を作成する。 (イ) 校長は,年度初めに実施計画書,年度末に実施報告書を提出する。 (ウ) 校長は,指導教員名を文書により所管する教育委員会に報告する。 【甲6,甲23】第3 本件の争点及び争点に関する当事者の主張本件の争点は,①本件処分の適法性,②P3校長の行為が国家賠償法1条1項の違法な公権力の行使に該当するか,である。 1 争点1(本件処分の適法性)【被告の主張】(1) 原告は,提出物の遅れや不提出,遅刻等の基本的ルールを軽視する傾向があった。また,自らが招いた不適切な行為故に始まった観察授業において,忙しい中で時間を作 処分の適法性)【被告の主張】(1) 原告は,提出物の遅れや不提出,遅刻等の基本的ルールを軽視する傾向があった。また,自らが招いた不適切な行為故に始まった観察授業において,忙しい中で時間を作った他の教員に感謝することもなく,かえって意味があるのかと疑問を呈するなどの態度をとり続け,他の教員からの信頼を失っていった。さらに,指導に対しても幼稚な発言や趣旨不明の言い訳を行うなど,反抗的ともいえる態度であり,原告が勤務していた1年間において協調性の欠如は変わることはなかった。授業遂行でも生徒から不満が出ており,保護者との関係でもトラブルを起こしている。 したがって,後記(2)の各事実に基づき原告が教員として不適格であると判 断し,採用を否としたことに何ら違法な点はない。 (2) 原告が教員として不適格であることを根拠付ける事実ア授業遂行において問題があったこと(ア) テストで0点を取った生徒に対してこれを揶揄するかのような対応をしたこと平成23年5月25日,原告は0点を取った生徒(以下「生徒A」という。)の答案に対し,「ある意味Great!」と記載し,笑顔のマークの入ったスタンプを押した。さらに0点は1人しかいないこと,0点を取る確率は6パーセントほどであるなど,あたかも生徒Aを皆の前で揶揄するかのような発言を授業中に行った。かかる発言をされた生徒Aは,泣きながら同事実を担任に訴えた。 上記対応は,成績の良くない生徒を無用に追い詰め,辱める行為に他ならず,不適切な行為であることは論を待たない。付言すれば,原告は生徒によって対応を変える(成績の良くない生徒にはことさら厳しく接する)旨の苦情が寄せられていたところ,上記事実はまさにこの差別的対応の現れといえる。 同月30日,この事件を受けて観察授業を行うことが決まった 対応を変える(成績の良くない生徒にはことさら厳しく接する)旨の苦情が寄せられていたところ,上記事実はまさにこの差別的対応の現れといえる。 同月30日,この事件を受けて観察授業を行うことが決まった際にも,原告は下を向いてにやにや笑うなど,無礼な態度を見せた。かような態度からは,原告が反省していたとは到底考えられない。このことからも原告が教員として不適切であることは明らかである。 (イ) 練習問題を1人で解説して終わらせてしまったこと原告は,前記(ア)の生徒Aへの不適切な指導を受けて,他の教員が観察する中で授業を行う観察授業が開始されたところ,平成23年5月30日の観察授業において,原告は,練習問題を1人で解説するのみで生徒に自ら問題を解かせることなく授業を終わらせた。かかる授業遂行は,生徒の反応を見ない一方的な授業であり,教育効果の点からも不適切で ある。 (ウ) 生徒から授業について苦情のメモが寄せられたこと平成23年6月3日,P4副校長は数学科の教諭から,中学2年の生徒(以下「生徒B」という。)が書いたメモを渡された。同メモには,「教え方が悪い」,「生徒を馬鹿にする」,「授業参観の時だけ態度が変わる」,「生徒の差別が激しすぎる」,「問題が分からないと攻めてくる」,「無駄話のせいなのに範囲が終わらなそうになると,生徒をせかす」といったことなどが不満である旨記載されていた。 このような授業遂行は,教員として不適切であることは明らかである。 (エ) 授業中に携帯電話を利用して生徒から苦情が来たこと原告の教科指導員であったP7主任は,生徒から原告が携帯電話を手に持って授業をしていたことがあったことを聞き,原告に指導したが,原告は言い訳をするだけであった。 かかる行為が極めて不適切であることは明らかであり,生徒から苦情 任は,生徒から原告が携帯電話を手に持って授業をしていたことがあったことを聞き,原告に指導したが,原告は言い訳をするだけであった。 かかる行為が極めて不適切であることは明らかであり,生徒から苦情が寄せられたことも考慮すれば,教員としてその適格性に疑問を抱かざるを得ない行為である。 (オ) その他P1中学の数学の授業で使用されていた副教材は,高校の内容も含まれており,少し難しい内容であったにもかかわらず,原告は授業の予習をしていなかった。教科指導員からすれば,なぜこの授業でこの説明をするのかということを原告が分かっていないのではないかと思うこともあった。 また,原告の授業について声が小さく聞き取りにくいことについて,指導教員も指摘している。 イ生徒や他の教諭に不適切な対応をしたこと(ア) 上司である副校長に対して不躾な態度で接すること 原告は,平成23年4月1日に赴任した直後から,上司であるP4副校長に対し,「よっ,副校長」等の不躾な言動で接した。 上記事実は原告に協調性が欠けていたことを示す事実である。 (イ) 生徒に対して対応しなかったことP4副校長は,平成23年4月11日,職員室に入ってきた生徒に対して原告がほとんど対応しなかったことに対し,注意を行った。同月12日には,生徒に対してぶっきらぼうに対応していたことについて,これを注意指導した。 (ウ) 観察授業での他の教諭に対する対応が不適切であったこと前記ア(ア)の原告の生徒Aに対する不適切な対応につき,P3校長らは生徒及び保護者に謝罪を行った。当該謝罪の際,P3校長は,二度とこのようなことは起こさせないこと,そのために当分授業の際に第三者をつける旨保護者に伝え,保護者もこれに感謝して了解した。 こうして始まった平成23年5月30日の観察授業では, ,P3校長は,二度とこのようなことは起こさせないこと,そのために当分授業の際に第三者をつける旨保護者に伝え,保護者もこれに感謝して了解した。 こうして始まった平成23年5月30日の観察授業では,わざわざ原告のために時間を割いて臨んだ他の教員に対し,何の挨拶もなかった。 同年6月21日には,原告は他教科の先生が観察しても意味がないとの趣旨の発言を行った。また,同月30日,観察授業が終了することになった際にも,他の教員に対し礼の言葉もなかった。 さらに同年7月1日には,なぜ観察授業を始めたのか分からないなどとP3校長に言い寄った。特に他の教科の教員が観察授業を行ったことについては,同年9月7日に未提出課題がある旨注意した際も不満を述べた。 上記の対応は,観察授業が前記ア(ア)の原告の不適切な行為を原因として始まったこと,他の教員の任意の協力によって観察授業が成り立っていることを全く理解しない態度の表れであり,協調性を著しく欠く行為であることは明らかである。 (エ) 生徒に対し,「校長とけんかする」等と発言したこと平成23年10月頃,原告は生徒に対し,「自分は辞めさせられる」,「校長とけんかする」等と発言した。 上司である校長とけんかする旨の発言も著しく協調性を欠く行為であるが,さらに生徒の前でかかる発言を行ったのは教員としての適格性を著しく疑わせる行為といわざるを得ない。 (オ) 授業に間に合うためには赤信号でも渡れと生徒に発言したこと平成23年11月15日,同僚教諭が生徒から,原告が生徒に対し,授業が優先であるから赤信号でも気を付けて渡ればよい,買い食いは自分もよくやったから構わないと発言をした旨の報告を受けたため,同教諭が原告を注意したところ,そんなことは言っていないと食って掛かるかのような口調で反論した。P でも気を付けて渡ればよい,買い食いは自分もよくやったから構わないと発言をした旨の報告を受けたため,同教諭が原告を注意したところ,そんなことは言っていないと食って掛かるかのような口調で反論した。P4副校長が原告に確認したところ,原告は赤信号に関する発言は概ね認めたが,同僚教諭に対しては謝罪するつもりはないと発言した。 上記の対応は,まず赤信号を渡る行為を奨励するかのような発言を生徒に対して行ったのであり,倫理上及び生徒の安全上も不適切な発言であることは明らかである。さらに,それを注意した同僚教諭に対し事実を認めず反抗的な態度をとるなど,反省の態度も見せず協調性を欠く行為に出ており,教員として不適格な行為といえる。 (カ) 部活動における不適切な指導で保護者から苦情があったこと平成23年12月10日,原告はバスケットボール部の1年生部員全員に対し,退部届を渡して原告に提出するよう求めた。その理由は,無断欠席が多いからとのことだった。このことについて,保護者から苦情があった。 その件についてP3校長が注意したところ,顧問である自分以外の教諭が関与するのはおかしいのであり憤慨している旨を述べ,ふてくされ た様子で聞いていた。 上記行為は,生徒及び保護者からの信頼を失わせる行為であるのみならず,指導したP3校長らにも反省の態度を見せないなど,教員として不適切な行為といえる。 (キ) その他原告は学年の仕事や分掌など,自ら進んでこれに当たるという態度を見せることなく,他の教員に協力するという姿勢に欠けていた。また,校長や副校長など上司の立場にある者に対し,「あんた」と呼ぶなど,協調性を欠く言動も見られた。 ウ決められたルールを遵守しないこと(ア) 課題の未提出があったことa 原告の指導教員であるP6主幹は,平成2 上司の立場にある者に対し,「あんた」と呼ぶなど,協調性を欠く言動も見られた。 ウ決められたルールを遵守しないこと(ア) 課題の未提出があったことa 原告の指導教員であるP6主幹は,平成23年5月30日,「総合的な学習の時間」について研修を行った。その際,課題(総合的な学習の時間の評価をどう行うかというもの)について提出を指示した。 原告は同年6月13日に同課題をP6主幹に提出したが,内容はインターネットで他校の評価基準を調べたものにすぎなかったため,P6主幹は「本校の実情に合わせて,自分の言葉で書くよう」再提出を求めた。しかし,原告はこの課題を提出しなかったため,P6主幹はP3校長に対し,課題を提出しないのでは指導ができない旨述べた。 これを受けてP3校長も原告に注意をしたが,原告は「課題を提出してもどうせ受け取ってもらえないのでしょう」などと社会人とは思えない幼稚な発言を行うばかりで,同年9月7日には5回も指導されているのに未提出であることの確認まで行ったが,結局原告が課題を提出することはなかった。 b また,同年10月13日には,7月に行われた研修の報告をようやく提出したため,もっと早く提出するよう注意した。 c 上記行為は,決められたルールを遵守しないものであって,原告が初任者として指導を受けるべき立場にあることを考慮すれば,原告の教員としての適格性に欠けることを示す事実である。 (イ) 打ち合わせへの遅刻や欠席が多いこと平成23年10月22日,原告は学校説明会の打ち合わせに遅れて出席した。さらに,原告は同年11月25日の打ち合わせに欠席し,これに対しP3校長が注意したところ,西校舎に行っていた旨答えたため,許可をもらって行くように指導すると,どこにそんなことが書いてあるのかと反抗的な態度を取った。 1月25日の打ち合わせに欠席し,これに対しP3校長が注意したところ,西校舎に行っていた旨答えたため,許可をもらって行くように指導すると,どこにそんなことが書いてあるのかと反抗的な態度を取った。 同月28日,原告はこの件に関しては謝罪したが,その後も平成24年1月25日には職員会議に30分遅れ,打ち合わせにも5分遅れて来るなど,改善は見られなかった。 上記行為は,生徒の模範となるべき教員としての適格性に疑問を抱かせる行為である。 (ウ) 場違いな服装で出勤した際,指導に対し趣旨不明の言い訳を繰り返していたこと平成23年4月8日,原告はオレンジ色と黒の縞の胸が大きくはだけたシャツを着用して職員室に来た。P4副校長は,少し派手すぎること,特に胸がはだけているのは教員としてどうかとの注意を行った。 同月13日には,襟首の開いたVネックシャツを着用して来たため,P3校長は服装を整えるよう指示を行った。しかし,原告は,教員は肉体労働者に近いのでラフな格好でないと仕事がやりづらい旨答えた。P3校長は,どのような服装が適切か原告自身で判断できないなら,スーツでも着用してはどうか,最低でも白衣を上に羽織るよう指導した。 翌14日にもほぼ同じ格好で原告が出勤したため,再度P4副校長が指導したところ,「力が発揮できない格好をしろと言うなら,仕事も半 分しかできない」等と趣旨が不明の言い訳をした。いったんはスーツを着用して出勤したものの,同月18日には再びニットシャツにオレンジ色のウインドブレーカーという派手な格好で出勤したため,再びP4副校長が指導したところ,「自分は自然体でいきたい,その方が力が発揮できる。それで駄目なら仕方ない。」などと再び趣旨不明の言い訳を行った。その後,原告は同月22日以降は白衣を着用して勤務した。 上記のとお 指導したところ,「自分は自然体でいきたい,その方が力が発揮できる。それで駄目なら仕方ない。」などと再び趣旨不明の言い訳を行った。その後,原告は同月22日以降は白衣を着用して勤務した。 上記のとおり,教員として生徒及び保護者の前に立つ立場から,あまり派手すぎない格好をすべきであるとの極めて常識的なP3校長の指導に対し,教員は肉体労働者であるから等と趣旨不明の言い訳を繰り返し,反抗的な態度をとっていたものである。かかる態度は,教員としてその適格性を疑わせる行為である。 (エ) 作問委員会において居眠りをしていたこと平成23年5月10日,作問委員会に出席していた原告は,発言もせず,居眠りを行った。 (オ) 試験問題をコピーし,机で保管していたこと平成23年10月27日,原告が生徒の答案用紙をコピーして自分の机に保管していたため,個人情報紛失の恐れからこれを止める様指導したところ,原告は何が悪いのかと反抗的な態度をとった。 試験問題については,教務手帳等で点数を管理すべきものであり,その手間を惜しんで答案用紙全てをコピーするのは職務怠慢である。まして,かような行為が個人情報保護の観点から不適切であることは明らかである。それにもかかわらず,P4副校長に対し反抗的な態度をとって自己を正当化する言動を行った。かような行為からも,原告が職務上生徒の個人情報を扱う教員として不適格であることは明らかである。 (カ) 期末試験で問題配布が遅れたこと平成23年12月12日,原告は自分が担当していた期末考査監督時 の問題配布を決められた時間よりも遅れて行った。 同日,確認を行ったP3校長に対し,原告は生徒がざわついていたから静かになるまで待っていた旨の弁明を行ったが,P3校長はそうであれば早めに静かにさせて配布時間を厳守すべきであると注 遅れて行った。 同日,確認を行ったP3校長に対し,原告は生徒がざわついていたから静かになるまで待っていた旨の弁明を行ったが,P3校長はそうであれば早めに静かにさせて配布時間を厳守すべきであると注意した。 試験問題配布は,試験が時間を決められて行われることからすれば厳格に時間通りになされるべきであり,P3校長の上記指摘は至極当然の指摘である。同日には,P3校長は原告に対し,その他にも前記イ(カ)のバスケットボール部員の保護者からの苦情の件も含めて注意したところ,これに対し原告はふてくされた態度で応じ,憮然とした態度で出て行くなど,反省の態度を見せなかった。 上記態度も含めて,教員として不適格であることの根拠となる事実である。 (3) 原告に対する指導体制等ア P3校長がP6主幹を原告の指導教員から外したことは認めるが,かかる事態は,指導に対する原告の反抗的態度(前記(2)ウ(ア)a)が原因である。P6主幹から原告の指導をやりたくないとの申し出があり,P3校長は,原告に対して,未提出の課題がある限りP6主幹に指導教員を依頼することができない旨を伝えている。また,原告は,P4副校長の指導に従わない旨の発言をし,観察授業を拒否するかのような発言をしていたのであり,上記措置は,原告のかかる言動を踏まえたものである。 イ P6主幹が原告の指導教員から外れた後も,指導責任者であるP4副校長や教科指導員であるP7主任は,適切な指導・助言を行っている。原告は,指導教員の不在を理由として,原告の初任者研修が終了できなかったかのように主張するが,前記したところからしてその主張は失当である。 ウ原告は,初任者研修の未了が本件処分(免職処分)の理由であるかのように主張するが,初任者研修の未了と免職処分の間には直接の関係はな い。このことは たところからしてその主張は失当である。 ウ原告は,初任者研修の未了が本件処分(免職処分)の理由であるかのように主張するが,初任者研修の未了と免職処分の間には直接の関係はな い。このことは規定上,初任者研修が未了であっても次年度行うことができる制度となっていることからも明らかである。 【原告の主張】(1) 本件処分は,P3校長が,赴任間もない原告に対して過剰なパワーハラスメントに及び,初任者研修担当の指導教員を解任して原告が初任者研修を修了できない事態を招来し,被告においてもかかる違法状態を漫然と放置した挙げ句,重大な事実誤認に基づく偏頗かつ不当な特別評価所見に基づきなされたものである。 地方公務員法22条1項の趣旨に鑑みれば,筆記試験,面接試験等で職務遂行能力が実証され,それに基づいて採用された初任者については,1年間通常の勤務成績で職務を遂行する限り,教員としての能力・適格性が判定されたものとして正式採用されるべきである。 また,条件附採用職員について,その意に反する免職等の処分に関しては,公正な事実認定及び評価に基づいた判断がなされる必要がある。初任者の正式採用判断について,免職処分を下すに当たっては,厳密に正確な事実を認定し,これに基づき慎重に適格性を判断すべきである。 特に,初任者は,教師経験が浅く,十分な能力を持つ教員へと向かう成長過程にあることからすれば,免職処分は,免許を付与し,厳しい選考を経た際の職務遂行能力の実証とは相反して,教員としての職務遂行がおよそ期待し得ず,かつ,上司による適切な指導があったにもかかわらず,能力の向上が見込めないことが明白な場合に限りなしうるものと解すべきである。 (2) 原告に対する指導体制等下記のとおり,P3校長が原告に対する指導・支援を怠るなどしたことにより,P1 わらず,能力の向上が見込めないことが明白な場合に限りなしうるものと解すべきである。 (2) 原告に対する指導体制等下記のとおり,P3校長が原告に対する指導・支援を怠るなどしたことにより,P1中学では原告に対する指導・支援の体制が根本的に欠落していた。 ア初任者研修の編成者ないし指導者であったP3校長は,同研修の基本というべき「年間シラバス」を事前に把握していなかった。P3校長は,原 告に対する研修・指導をP4副校長に丸投げしていたところ,日々,熱心に原告に対して指導・助言を行っていたP4副校長に対し,熾烈なパワーハラスメントを行い,同副校長の行っていた指導・助言を否定していたから,本件において,原告に対する指導・支援体制が根本的に欠落していたことは明白である。 イ P3校長は,原告の初任者研修の指導教員を解任し,原告に対する指導・支援体制を崩壊させた。被告は,原告はP6主幹から出された課題を提出しなかったことを問題とするが,原告はその課題を意図的に提出しなかったものではないし,原告がP6主幹らの指導を拒否したこともない。 ウ P3校長は,P6主幹を指導教員から解任した後に,P4副校長による初任者研修の代替措置を一切認めなかった。 エ指導教員解任による初任者研修の未修了が原告の正式採用を「否」とする理由とされた。 オ P3校長は,原告に対し,特別の悪感情をもち,パワーハラスメントに及んでいた。 カ P3校長によって原告に対して指導・助言していたP4副校長が排除されていた。その結果,原告に対する指導・支援体制はますます崩壊していった。 (3) 被告の主張(原告が教員として不適格であることを根拠付ける事実)に対する認否及び反論ア授業遂行において問題があったこと(ア) テストで0点を取った生徒に対してこれを揶 ていった。 (3) 被告の主張(原告が教員として不適格であることを根拠付ける事実)に対する認否及び反論ア授業遂行において問題があったこと(ア) テストで0点を取った生徒に対してこれを揶揄するかのような対応をしたこと平成23年5月24日に原告が数学のテストで0点を取った生徒Aの答案に「ある意味Great!」と記載し笑顔マークのスタンプを押し,翌25日の授業中にこれを生徒Aに返却したことは認め,その余は否認 ないし争う。 原告が,上記行為をとったのは,原告と生徒Aとの間に同年4月当初からの広報委員会での活動や数学の授業等を通じて会話する機会が多くあり,一定の信頼関係が構築されていたため,生徒Aが「0点」というテスト結果に落ち込まぬよう,ユーモアを込めて当該生徒を励ますと共に,0点を取ったことについて反省を促す意図があったからであった。 しかしながら,同年5月25日の答案返却時に生徒Aは「あはははははー。0点とっちゃったよー。0点は私だけですか。」などと,0点をとったことを反省する素振りも見せず笑いながら教室内の他の生徒らに自らのテスト結果を公表していたことから,原告は,「笑い事ではないだろう。二択の問題が4つあるのだから,4つとも不正解になるのは確率として6%くらいだ。そこで1問でも正当できていれば0点は避けられたはずなのに。」などと生徒Aに向かって発言したにすぎない。テスト結果が0点であることは生徒A自らが笑いながらクラスの生徒に公表していたのであり,原告が当該生徒を「揶揄」し「無用に追い詰め」「辱める」ために公表したわけでは決してなかった。 (イ) 練習問題を1人で解説して終わらせてしまったこと平成23年5月30日に「観察授業」が開始されたこと,同日の授業で原告が解説を中心とした授業を行ったことは認め, たわけでは決してなかった。 (イ) 練習問題を1人で解説して終わらせてしまったこと平成23年5月30日に「観察授業」が開始されたこと,同日の授業で原告が解説を中心とした授業を行ったことは認め,その余は否認ないし争う。 原告が同日に解説を中心とした授業を行ったのは,前の週の同月27日(金)にP1中学体育祭が行われたこともあり,数学の総授業時間数が減ってしまうため,授業の進行を速めて他クラスの進行と調整する必要があったためであった。年間を通して行われる授業の中で,演習ではなく解説を中心とした授業を行うことは当然予定されている。原告は,P1中学2年3組担任(当時)のP8教諭(数学科)の作成した数学科 進度表に忠実に従い,授業を行っており,総授業時間が減る中でも他クラスとの進度を合わせていたことは,むしろ,原告の授業遂行方法が極めて適切であったことの証左である。 また,観察授業の真の目的は原告の授業をP3校長の監視体制下に置くものであり,一定の裁量を与えられ闊達な議論を通じて行われる原告の教育活動を阻害するものであって,不当な目的によるものといわざるを得ない。P3校長らが原告に対する指導の一環として観察授業を行っていたとしても,原告は観察授業が開始された同月30日時点で,P3校長らから観察授業の目的や期待される効果等の説明を一切受けておらず,原告の教科指導員であったP7主任がアドバイスをしたのみであって,他の教諭からは,観察授業後も,何らのアドバイスもコメントもなかった。 (ウ) 生徒から授業について苦情のメモが寄せられたこと「生徒が書いたメモ」(乙7)に被告主張の記載があることは認めるが,その信用性は争う。その余の事実は否認ないし争う。原告は,本件訴訟に至るまで,上記メモの存在について知らされたこともなく,示されたこ 生徒が書いたメモ」(乙7)に被告主張の記載があることは認めるが,その信用性は争う。その余の事実は否認ないし争う。原告は,本件訴訟に至るまで,上記メモの存在について知らされたこともなく,示されたこともない。 原告の授業遂行については,「数学は楽しいし,得意です。とてもわかりやすいです。ざつ談もあってとっても楽しいです。」,「わからない問題を質問したとき,真剣に向き合ってくれてうれしかったです。教え方もとてもわかりやすかったです。ありがとうございました。また,授業もおもしろかったです。」などと,生徒から賛辞の声が多数寄せられている。 (エ) 授業中に携帯電話を利用して生徒から苦情が来たこと否認ないし争う。 原告が授業中に携帯電話を手に持って授業をした事実はない。平成2 3年10月12日以降,原告は中学2年生の授業で「平方根」を教えており,○に内蔵されている関数電卓を使用しただけである。 原告は,授業内でも関数電卓を活用し,その機能の有用性についても頻繁に話していたのであり,原告が「携帯電話」を手に持っていたわけではなく,○の関数電卓機能を利用していたことについては,原告の授業を受けていた生徒であれば皆知っていたことであったし,教科指導員であったP7主任も知っていた。 (オ) その他P1中学校の授業で使用されていた副教材は高校の内容が含まれていたことは認め,教科指導員が「何故この授業でこの説明をするのかということを原告が分かっていないのではないかと思うこともあった点」は不知。その余は否認する。 原告が予習なしで授業をしたことは一度もないし,授業中の声が小さく聞き取りにくかった事実もない。 イ生徒や他の教諭に不適切な対応をしたこと(ア) 上司である副校長に対して不躾な態度で接すること原告が「よっ,副校長昇任お は一度もないし,授業中の声が小さく聞き取りにくかった事実もない。 イ生徒や他の教諭に不適切な対応をしたこと(ア) 上司である副校長に対して不躾な態度で接すること原告が「よっ,副校長昇任おめでとうございます」という趣旨の発言をしたことは認め,その余は否認ないし争う。 原告は,平成21年4月1日から平成22年3月25日まで,産休代替・育休代替教員として,都立P9高等学校に在職していたものであるが,P4副校長も同高校に在職しており,同校在職時に,P4副校長が原告を自宅に招いたり,P4副校長の長女が当時在籍していたP10大学の学園祭に共に遊びにいくなど,極めて親しい間柄であったため,P1中学に赴任した当日,P4副校長を見かけた際,久々の再会を喜び,個人的に親しみを込めて挨拶をしたにすぎない。 (イ) 生徒に対して対応しなかったこと 否認する。 原告の職員室内での座席は,職員室の入り口に一番近い箇所にあったものであり,原告が職員室に入ってきた生徒にほとんど対応しなかった事実はない。 (ウ) 観察授業での他の教諭に対する対応が不適切であったこと原告がP3校長らと共に生徒と保護者に謝罪したこと,原告が平成23年5月30日に原告の授業を「観察」した教員に対して「よろしくお願いします」などと明示的に挨拶しなかったこと,同年6月21日に原告が「観察授業」の意味を尋ねたこと,同月30日に,「観察授業」が終了することになった際に原告が他の教員にお礼を述べることができなかったことは認め,その余は不知ないし否認する。 原告は,数学の確認テストで0点を取った生徒が何ら反省することなく「あははははははー。0点取っちゃったよ。」などと笑っていたことから,反省を促したものであるが,結果として,原告の真意が伝わらなかったことを反省し,P3校 トで0点を取った生徒が何ら反省することなく「あははははははー。0点取っちゃったよ。」などと笑っていたことから,反省を促したものであるが,結果として,原告の真意が伝わらなかったことを反省し,P3校長の指示に従い当該生徒及び保護者に対して謝罪しているのであり,「協調性」が「欠如」しているとの被告の主張が失当であることは明らかである。 原告に対する「観察授業」の実施はP3校長が独断で決めたもので,原告に対する指導としては全く意味をなさない。そもそも,通常の授業で,生徒に対して授業を行う教諭が,「観察」者に対して「よろしくお願いします」と挨拶し,「観察」者が授業の構成メンバーとなること自体,中学生に対する授業のあり方として極めて不自然である。 同年6月21日の原告の発言は,教科指導員のP7主任を除き授業の遂行方法等について具体的な指導は全くなされず,その意義をP4副校長に尋ねたにすぎない。また,同月30日の朝会では,1学期末まで行うとされていた「観察授業」について,その成果や問題点について総括 されることもなく一方的に打ち切りを言い渡され,原告が礼を述べたり話をする機会すらも与えられていなかった。 同年7月1日の原告の行為は,監視役を置いていたこと及び当初の予定より1か月も早く「観察授業」を終了したことの意味についてP3校長に尋ねるために,高等学校の校舎として使用されていた「西校舎」にいるP3校長を訪ねたにすぎない。 (エ) 生徒に対し,「校長とけんかする」等と発言したこと否認する。 平成23年5月30日,P3校長が,原告の「観察授業」を開始するにあたって,生徒の面前で「4月から教員になったばかりのP11先生の授業遂行に問題があるので,本日から1学期が終わるまで観察授業を行います。P11先生の授業遂行に関する問題点や意見な 業」を開始するにあたって,生徒の面前で「4月から教員になったばかりのP11先生の授業遂行に問題があるので,本日から1学期が終わるまで観察授業を行います。P11先生の授業遂行に関する問題点や意見などがあれば,どの先生に対してでも構わないので,ぜひ意見してください。」などと発言したことから,P1中学の生徒の間では,P3校長が原告に対して特別の悪意をもって接していることは周知の事実となってしまったのであり,被告の主張は,P3校長の不適切な発言の責任を原告に転嫁せしめるものであって失当である。 (オ) 授業に間に合うためには赤信号でも渡れと生徒に発言したこと否認ないし争う。 原告は,平成23年11月15日午前8時15分ころ,P1中学付近の横断歩道上でもたついている生徒に対して,朝学習に遅刻した生徒達に「こんなところでダラダラ歩いていないで走って行くように」と急がせただけであり,「赤信号でも気を付けて渡ればよい」などと発言したり,そのように指導したりした事実はない。 (カ) 部活動における不適切な指導で保護者から苦情があったこと平成23年12月9日に原告が正顧問を務める男子バスケットボール 部1年生部員全員に対して退部届を渡して提出するよう求めたことは認め,その余は否認ないし争う。 当時,同1年生部員らは,無断欠席が多く,原告は度々口頭では注意していたものの,言葉以外の方法によって注意喚起する必要があった。 そこで,原告は,同1年生部員らに対して,退部届を渡し,「本当にバスケをやりたい人だけが,改めて来週,入部届を提出しに来なさい」と説明したところ,翌週からは,誰1人,練習を無断で欠席する者はいなくなった。 なお,同1年生部員らの態度が劇的に改善されたことを知ったP4副校長が,「P11さんの強い意志が伝わったのだから,退 と説明したところ,翌週からは,誰1人,練習を無断で欠席する者はいなくなった。 なお,同1年生部員らの態度が劇的に改善されたことを知ったP4副校長が,「P11さんの強い意志が伝わったのだから,退部届と入部届の再提出は不要なのでは」と原告に尋ねたことから,原告はP4副校長の考えを受け入れ,同1年生部員らに対して退部と再入部の手続をとらなくてもよいと指導したため,結局,同1年生部員らからは退部届も入部届も提出されていない。 (キ) その他否認する。 そもそも,原告が,P3校長やP4副校長のことを「あんた」などと呼んだことはないし,「協調性」とも無関係である。 ウ決められたルールを遵守しないこと(ア) 課題の未提出があったことaの事実は否認し,bの事実は認め,cは争う。 「総合的な学習の時間の評価」に関する課題については,同年6月28日に提出するよう前日の27日に求められたため,27日の午後に課題の提出を済ませている。 (イ) 打ち合わせへの遅刻や欠席が多いこと原告が平成23年11月25日の打ち合わせに欠席したこと,同月2 8日に原告が陳謝したこと,平成24年1月25日の職員会議や打ち合わせに遅れたことは認め,その余は否認する。 平成23年10月22日については,午前中事前に承認を得た上で年休を取得していたのであるから,「遅れて」出席したと評価すべきではない。また,同年11月25日には,事前にP4副校長に対してメールを送り許可を得た上で,P2高校(西校舎)に出向いたため,同日の打ち合わせを欠席したにすぎない。 職員会議については,P1中学では午後4時から西校舎で行われていたが,東校舎の中学校の清掃指導が始まるのが午後3時40分から4時くらいの時間であり,そもそも,清掃指導の終了後に西校舎で行われる職員会議 会議については,P1中学では午後4時から西校舎で行われていたが,東校舎の中学校の清掃指導が始まるのが午後3時40分から4時くらいの時間であり,そもそも,清掃指導の終了後に西校舎で行われる職員会議の開始時刻に間に合うこと自体無理な話であった。実際,東校舎所属の教員は,清掃指導を行ってから,西校舎まで移動し(東校舎から西校舎までは,徒歩で約10分程度の時間がかかる),職員会議に遅れて参加する教員がほとんどだった。 (ウ) 場違いな服装で出勤した際,指導に対し趣旨不明の言い訳を繰り返していたこと否認ないし争う。 平成23年4月8日,原告がスーツを着用せずに出勤したことは認めるが,「胸が大きくはだけたシャツ」を着用していた事実は否認する。 また,P4副校長は「私は管理職だからスーツ着るけど,他の教員も必ずしもスーツ着てないし,P11さんもいいのでは,けど校長がねー」などと話していたものである。 また,原告がラフな格好の方が仕事がしやすいと回答したことは認めるが,「力が発揮できない格好をしろと言うなら仕事も半分しかできない」などと発言した事実は否認する。現に,P1中学のほとんどの教員がスーツを着用しておらず,指導教員のP6主幹や教科指導員のP7主 任も,学校公開日や学校説明会のときくらいしかスーツを着用していなかった。 (エ) 作問委員会において居眠りをしていたこと認める。 当日,原告が居眠りをしてしまったのは,午前中が全て授業で埋まっていたこともあり,疲労が蓄積していたからであった。原告自身,このこと自体,深く反省し,その後の作問委員会で居眠りをした事実はない。 なお,毎週火曜日の午後に3時間,休憩なく開かれる作問委員会では,原告以外にも居眠りをする教諭は多数いた。 (オ) 試験問題をコピーし,机で保管していたこと 問委員会で居眠りをした事実はない。 なお,毎週火曜日の午後に3時間,休憩なく開かれる作問委員会では,原告以外にも居眠りをする教諭は多数いた。 (オ) 試験問題をコピーし,机で保管していたこと原告が試験答案をコピーして机で保管していたことは認め,その余は否認ないし争う。 原告が試験問題をコピーしていたのは,平成23年7月末に,P1中学2年生において,成績処理上の不手際に起因する緊急の保護者会が開催される事態となったため,原告として,これを反面教師として学び,成績処理のミスを防がなければならないとの意識を高めたからであった。 そもそも,原告は,定期テスト,確認テストなどの各種テストが終わる毎に,成績サーバ○にデータ入力を行うとともに,手元に手控えを残していたのであるから,これに加えて試験問題をコピーすることが手間になることはあっても,手間を惜しむことにならないことは明白である。 (カ) 期末試験で問題配布が遅れたこと平成23年12月12日の試験開始が,生徒がざわついたため決められた時間よりも1分遅れたことは認め,その余は否認ないし争う。 原告は,生徒がざわついたため,これを鎮め生徒たちを試験に向けて集中させるために試験開始時間を1分間遅らせたにすぎず(終了時間も 1分間遅らせ,試験時間は確保した),これが被告の採用を「否」とする根拠事実たり得ないことは明白である。 2 争点2(P3校長の行為が国家賠償法1条1項の違法な公権力の行使に該当するか)【原告の主張】(1) 後記(2)のとおり,原告は,P3校長の違法なパワーハラスメントによって,自らの教員としての業務を否定され,正当な権利である研修を妨害されるなどの多大な精神的な苦痛を被った。 P3校長のパワーハラスメントは,P1中学における校長としての業務行為の一 スメントによって,自らの教員としての業務を否定され,正当な権利である研修を妨害されるなどの多大な精神的な苦痛を被った。 P3校長のパワーハラスメントは,P1中学における校長としての業務行為の一環として行われたものであり,原告に対し,明白な悪意をもってなされているのであるから,P3校長のパワーハラスメントは,被告の公権力の行使にあたる公務員が悪意により原告に損害を与えたものと評価できる。 このような原告の被った精神的苦痛は極めて甚大であり,金銭的に評価すること自体困難であるが,少なくとも500万円を下回らないものである。 よって,P3校長の違法なパワーハラスメントについて,被告が国家賠償法1条1項に基づき損害賠償義務を負うことは明らかである。 (2)ア P3校長が平成23年5月30日から原告に対して「観察授業」を開始したこと原告は,数学の確認テストで0点を取った生徒Aの答案用紙に「ある意味Great!」と記載したことに関する経緯及び理由は,前記1【原告の主張】(3)ア(ア)記載のとおりである。 しかし,P3校長は,これを知るや,原告を西校舎に呼びつけ,「生徒に対する人権侵害だ,どうやったってあんた1人で責任なんかとれんぞ」などと激怒して怒鳴るなどし,原告を厳しく叱責した。原告は,結果的に生徒Aに原告の真意が伝わらなかったことについては真摯に反省し,P3校長らの指示に従い,生徒A宅を訪れ謝罪も行った。 それにもかかわらず,P3校長は,同年5月30日,原告が担当する授業全てについて,「観察授業」の対象とすることを決定した。 原告に対する「観察授業」は,保護者や地域住民による授業参観,教育委員会職員,指導教員及び管理職による観察授業といった,制度として設定されている授業公開や授業力向上・業績評価のための観察授業とは異なり に対する「観察授業」は,保護者や地域住民による授業参観,教育委員会職員,指導教員及び管理職による観察授業といった,制度として設定されている授業公開や授業力向上・業績評価のための観察授業とは異なり,長期間にわたって特定の教師に対してだけ,常時監視者が複数名つくという極めて特異・不自然なもので,かかる「観察授業」が原告の指導・育成に主眼を置いたものではなかったことは明らかである。 このように,P3校長が主導して行った原告に対する「観察授業」は,原告に対する指導・育成としてなされたものではなく,P3校長の原告に対する特別な悪感情のもと,原告を常時P3校長の監視下に置き,肉体的・精神的苦痛を与えるためだけになされたものであり,P3校長による違法なパワーハラスメントであることは明白である。 イ P3校長が平成23年9月7日に初任者研修の指導教員を解任したこと2学期開始直後の平成23年9月7日,P3校長は,原告の研修課題の1つが未提出となっていることに目をつけ,原告に対し,突然口頭で原告の指導教員であるP6主幹を指導教員から外すことを通告し,P6主幹の代わりの指導教員は誰もつけない,と宣言した。また,P6主幹以外の教員による初任者研修の代替措置も認めなかった。 この点,初任者研修のうち,「校内における研修」は,校内で180時間の研修を行わなければならないとされ,かかる校内研修は指導教員の指導・助言を得ながら行うものであるから,初任者研修は指導教員なくしては行い得ない。さらに,指導教員解任時に初任者研修が未修了の場合には,「病気等の不足の事態」を除き,正式採用そのものが不可能となる。 P3校長は,指導教員の解任により原告が初任者研修を修了できなくなること,さらには,初任者研修の未修了により正式採用が不可能となるこ とを認識しながら, き,正式採用そのものが不可能となる。 P3校長は,指導教員の解任により原告が初任者研修を修了できなくなること,さらには,初任者研修の未修了により正式採用が不可能となるこ とを認識しながら,P6主幹を指導教員から解任したのであるから,かかる行為が違法なパワーハラスメントであることは明白である。 ウ原告の正式採用を「否」と判断したことP3校長は,平成23年9月7日に原告の指導教員を解任し,他の教員による代替措置も認めなかった。 そして,P3校長は,平成24年2月8日,原告に対し,「校長が特別評価所見の採用の可否を『否』としたことについての意見」を書くように求め,その際,正式採用を『否』とする理由について,「初任者研修に対する姿勢と,その一部を未修得であること」,「指導教諭の意見を聴きいれず,途中から研修を一部行っていないこと」を一番初めに掲げて説明していた。その際,P3校長は原告に対して,「私があんたに『否』をつけて人事部に送らないと,あんたは確実にP1に残留することになるからね。 だから『否』とした。来年度,4月以降,ここで働かせたくないからね。 これを提出した後,あんたが異動するか,残留するか,免職になるか,後のことは人事部が決める。」などと話した。 このように,P3校長は,原告に対する特別な悪感情に基づき,自ら初任者研修の指導教員を解任して原告が初任者研修を修了できない事態を招来し,初任者研修の未修了を一番初めに掲げて原告の正式採用を「否」としたのであり,いわば自作自演の上,原告の正式採用を「否」としたものであるから,かかる行為が,P3校長による違法なパワーハラスメントであることは明らかである。 【被告の認否及び反論】(1) いずれも否認ないし争う。 (2) P3校長が,平成23年9月7日に,P6主幹を原告の指導 為が,P3校長による違法なパワーハラスメントであることは明らかである。 【被告の認否及び反論】(1) いずれも否認ないし争う。 (2) P3校長が,平成23年9月7日に,P6主幹を原告の指導教員から外したことは認める。 しかし,かかる事態は,P6主幹の指導に対する原告の反抗的態度が原因 である。P6主幹は,原告に対し,総合的な学習の時間の評価について指導を行い,課題を提出するよう指示していたにもかかわらず,原告から提出された課題が十分ではなかったため,再提出するよう何回か指導したが結局提出されなかった。さらに原告は,この課題未提出について「どうせ受け取ってもらえないでしょう」とP4副校長に話すなど,P6主幹の指導を素直に受け入れない頑なな態度を露わにしていた。その結果,P6主幹は,これらの経過をP3校長に報告し,原告の「指導はもうやりたくない」と申し出たのである。 P3校長は,原告に対して,未提出となっていた課題の提出状況を確認し,未提出である限り,引き続きP6主幹に指導教員を依頼することができないと伝えた。さらに,P3校長は,原告が課題提出に関するP4副校長の指導に従わないことについて確認したところ,原告は,「そのとおりである」と答え,平成23年5月30日から同年6月30日まで,原告に対する指導のため実施していた他の教員の観察授業についても,「他教科の教員の観察授業は理解できない」などと言い放ち,指導の一つとして行った観察授業を拒否するかのような発言をした。 かような事態を踏まえ,P3校長はP6主幹を指導教員から外したのであるから,原告は指導教員が不在となった点をP3校長のパワーハラスメントであるかのように論難する原告の主張は失当である。 第4 当裁判所の判断 1 事実経過争いのない事実,証拠(項目の末尾に あるから,原告は指導教員が不在となった点をP3校長のパワーハラスメントであるかのように論難する原告の主張は失当である。 第4 当裁判所の判断 1 事実経過争いのない事実,証拠(項目の末尾に掲記する。)及び弁論の全趣旨によれば,以下の各事実が認められる。 (1) 原告の経歴ア原告は,平成16年3月にP12大学を卒業後,平成17年4月に高等学校教諭理科一種免許を取得し,平成19年3月に東京工業大学大学院を 修了後,同年4月に高等学校教諭数学科一種免許を,平成22年4月に中学校数学科一種免許を取得した。 イ原告は,以下の期間,以下の学校に非常勤講師として勤務した。 (ア) 平成19年9月19日から同年12月20日まで都立P13高等学校(イ) 平成19年10月11日から同年12月20日まで都立P14高等学校(ウ) 平成19年11月30日から同年12月21日まで都立P15高等学校(エ) 平成20年1月9日から同月24日まで都立P13高等学校(オ) 平成20年1月10日から同年3月24日まで都立P14高等学校(カ) 平成20年1月10日から同年3月24日まで都立P16高等学校ウまた,原告は,以下の期間,以下の学校に,育休代替教員または産休代替教員として勤務し,正規職員と同等の業務を遂行した。 (ア) 平成20年4月1日から平成21年3月25日まで(育休代替教員)都立P17高等学校(イ) 平成21年4月1日から同年6月4日まで(産休代替教員)都立P9高等学校(ウ) 平成21年6月5日から平成22年3月25日まで(育休代替教員)都立P9高等学校(エ) 平成22年6月1日から平成23年3月25日まで(育休代替教員)都立P18ろう学校エ原告は,平成22年8月,都立学校 から平成22年3月25日まで(育休代替教員)都立P9高等学校(エ) 平成22年6月1日から平成23年3月25日まで(育休代替教員)都立P18ろう学校エ原告は,平成22年8月,都立学校教員採用試験を受け,同年10月に 合格し,平成23年4月1日より都立学校教員として期間1年間の条件附で採用され,P1中学に赴任した。 【(1)全体につき争いのない事実】(2) 原告のP1中学及びP2高校での職務内容原告は,平成23年4月1日より,数学科の教諭として,中学校1,2学年及び高等学校2学年の数学の授業を週15時間行うとともに,中学校1学年の副担任を務め,週1時間の総合的な学習の時間を担当した。原告の初任者研修の指導教員には保健体育科のP6主幹が,教科指導員には数学科のP7主任が,それぞれ充てられた。 原告は,中学入試作問会議の委員に任命され,同会議は週3時間(毎週火曜日の5,6及び7校時)行われ,他の委員7名とともに会議に出席した。 校務分掌では中学教務部に属し,広報委員会及び中学男子バスケットボール部の顧問を務めた。 【争いのない事実】(3) 原告のP1中学勤務開始後の状況(「平成23年」を省略する。特に断りがない限り後記(4)から(6)も同じ。)ア 4月1日,原告は,都立P9高等学校において同時期に勤務し旧知の関係にあったP4副校長に対し,「よっ,副校長」などと呼びかけた。これに対し,P4副校長は,プライベートで会っている時であればともかく,他の教員の目がある学校内で副校長に対しての発言としては不適切であり,職務上のけじめをきちんとすべきと考え,指導を行った。 【甲26,乙5,証人P4】イ 4月8日,原告はオレンジ色と黒の縞の胸が大きくはだけたシャツを着用して職員室に来た。P4副校長は,色が派手であり 上のけじめをきちんとすべきと考え,指導を行った。 【甲26,乙5,証人P4】イ 4月8日,原告はオレンジ色と黒の縞の胸が大きくはだけたシャツを着用して職員室に来た。P4副校長は,色が派手であり,ちょっと遊びに行くような格好に見え,伝統ある学校で教壇に立つという点では不適切と感じたため,その旨注意した。 【甲26,乙5,証人P4】ウ 4月11日,P4副校長は,職員室に入っていた生徒に対して原告がほとんど対応しなかったことに対し,注意を行った。P4副校長は,原告に対し,生徒には立って出向いて応対するように身振りで指導するともに,電話等が鳴ったらすぐに対応するよう指導したところ,原告は了解し,以後改善された。 同月12日,P4副校長は,原告が生徒に対してぶっきらぼうに対応していたことについて,これを注意指導した。 【乙5,証人P4】エ 4月13日,P3校長は,原告がジーパンに上が黄色と黒を主体とするニット状の襟首の開いたVネックシャツにウインドブレーカーの前を空けたままの姿でいるのを目にしたことから,服装を整えるよう指示を行った。 しかし,原告は,教員は肉体労働者に近く,この格好が一番やりやすいと答えた。P3校長は,生徒にしっかりした格好をするよう指導している点,保護者対応もある点も指摘の上,分からないなら初任者だからスーツを着用してはどうかと指導した。 同月14日にも,ほぼ同じ格好で原告が出勤したため,P4副校長が指導したところ,「力が発揮できない格好をしろと言うなら,仕事も半分しかできない」などと述べた。 同月18日には,原告は,ニットシャツにオレンジ色のウインドブレーカーという格好で出勤していたため,再びP4副校長が指導したところ,「自分は自然体でいきたい,その方が力が発揮できる。それで駄目なら仕方ない。」 は,原告は,ニットシャツにオレンジ色のウインドブレーカーという格好で出勤していたため,再びP4副校長が指導したところ,「自分は自然体でいきたい,その方が力が発揮できる。それで駄目なら仕方ない。」などと発言した。しかし,その後,原告は「できる限り,合わせられるところは合わせていこうと思っている」と述べた。4月22日以降は,原告は白衣を着用して授業を行った。 【甲26,乙5,乙16,証人P4,証人P3】 オ 5月10日,作問委員会に出席していた原告は,発言もせず,居眠りを行った。P4副校長は「非常に重要な委員会であること」,「あなたは数学や物理が専門であるが,幅広い興味や知識があるのでこのような作問には本来適しているはずである。もっと真剣に取り組めばやりがいを感ずると思うが。」などと指導した。これを受け,原告は図書館等に本を探しにいくなどし,次週に問題案を提出した。 【乙5,乙16】(4) 0点事件ア 5月24日,中間テスト後の授業内容を踏まえた確認テストが実施された。原告は,確認テストの採点を同日放課後に行った。同テストにつき0点を取った生徒Aの答案に対し,「0点」という結果に過度に落ち込まぬようユーモアを込めて「ある意味Great!」と記載し,笑顔のマークの入ったスタンプを押した。 【争いのない事実,甲27,乙6,原告本人】イ 5月25日,原告は,確認テストの答案返却を行った。これに対し,生徒Aは,「うわぁ」とつぶやき,原告に「ほかにも0点いますか」と尋ねたので,原告は生徒Aに対し,生徒A1人だけである旨答えた。その後,生徒Aの友人が「何点だったー」と大声で尋ねたことから,同生徒は「れいてーん」と笑い声を上げながら応じた。 これに対し,原告は唖然とし,生徒Aに対し,「笑い事ではないだろう」と注意し,答案に記 ,生徒Aの友人が「何点だったー」と大声で尋ねたことから,同生徒は「れいてーん」と笑い声を上げながら応じた。 これに対し,原告は唖然とし,生徒Aに対し,「笑い事ではないだろう」と注意し,答案に記した「ある意味Great!」の趣旨について,「4つの2択問題において,全問正解と全問不正解の発生確率は,数学的に言えば共に16分の1の確率,つまり6%程度で,見方を変えれば,6%の確率でしか起こらないことをやってしまうのはすごいことともいえる。そこで1問でも正答できていれば0点は避けられたはずなのに。そんな風に笑って騒いでいる場合ではないだろう。これを反省して次は頑張らない と。」と注意した。クラス中が静まりかえったまま授業が終わった。 【争いのない事実,甲27,乙6,原告本人】ウ P19主任教諭(以下「P19主任」という。)は,教室内で複数の生徒の中に生徒Aが泣いていたのを見たことから,「何があったの」と声をかけた。生徒らは,P19主任に対し,「先生ひどいんです」と言い出して,0点の答案に「ある意味Great!」との記載があったことと,原告が0点を取る確率についての説明があった旨を述べた。なお,その際,P19主任は,当該答案用紙を受け取り,「5/25,5限始めに返却」との文言を記載した。 P19主任は職員室に戻り,学年主任であるP20主任教諭(以下「P20主任」という。)やP7主任などに伝え,あわせてP3校長にも報告を行った。P3校長は,同月26日,P19主任,P20主任,P7主任,P6主幹と共に原告から事情を聞いた。その際,P3校長は,原告の上記行為について,大声で厳しく叱責した。 同月27日,P3校長らは原告を伴って生徒A宅を訪れ謝罪した。生徒Aの保護者からは「大変お忙しい中,わざわざ来てくれてありがとうございます」,「 ,原告の上記行為について,大声で厳しく叱責した。 同月27日,P3校長らは原告を伴って生徒A宅を訪れ謝罪した。生徒Aの保護者からは「大変お忙しい中,わざわざ来てくれてありがとうございます」,「今後二度とこういったようなことが起きなければ,私どもはそれでいいんです」との発言があった。 P3校長は,この時保護者に対し,「二度とこのようなことが起きないように学校全体で彼のことを見守っていきます」と述べた。 【甲27,乙5,乙6,乙13,乙15,乙16,証人P19,証人P7,証人P3,原告本人】(5) 原告の指導教員が外れるまでの経過ア 5月25日午前8時ころ,P19主任は,前日保護者より苦情申告があった生徒(前記(4)の生徒Aとは別人)に対して聞き取りを行った。その結果,原告の授業の説明がいい加減すぎるなどの不満を述べた。また,同生 徒は,顧問の先生の前で,原告から「この子できないんですよ」と言われたのがすごく悲しかったことを訴えた。 【乙11,乙13,証人P19】イ P3校長は,前記(4)の保護者への謝罪を受けて原告の観察授業を実施することを決定し,5月30日から6月30日まで実施した。P3校長は,観察授業の冒頭で,生徒らに対し,原告の授業遂行に問題があるから観察授業を行うこと,原告の授業に問題点があれば他の先生に対して意見してほしい旨伝えた。 原告は,5月30日の観察授業において,原告が練習問題を1人で解説するのみで生徒に自ら問題を解かせることなく授業を終わらせた。 原告は,7月1日,P3校長に対し,観察授業の意味が分からない,なぜ突然やめたのかなどと質問した。これに対し,原告の授業力の向上のためであると説明した。この点について,P3校長は,この姿勢が直らない限り教師としては失格であると感じた。 【争いのない らない,なぜ突然やめたのかなどと質問した。これに対し,原告の授業力の向上のためであると説明した。この点について,P3校長は,この姿勢が直らない限り教師としては失格であると感じた。 【争いのない事実,甲27,乙5,原告本人】ウ 6月3日,P4副校長は数学科の教諭から,生徒Bが書いたメモを渡された。同メモには,「①教え方が悪い。②無駄話が長い。③生徒を馬鹿にする。④授業でやることをやらずに宿題にする。⑤黒板の字がきたないし小さい。⑥授業参観の時だけ態度が変わる。⑦生徒の差別が激しすぎる。 ⑧自分が分かってない。⑨間違えて教えてくる。⑩言い訳ばっかり。⑪ぐちぐちうるさい。⑫自まん話ばっかり。⑬問題が分からないと攻めてくる。 ⑭無駄話のせいなのに範囲が終わらなそうになると,生徒をせかす。」との記載があった。 【乙5,乙7,証人P19】エ P6主幹は,原告に対し,6月6日,総合的な学習の時間に関する課題の提出を指示した。同月10日に実施されるα・βでの校外学習について, 実際に一緒に行為した生徒の具体的評価を,P1中学の評価基準に当てはめて行う,というものであった。 原告は,同月13日に同課題をP6主幹に提出したが,内容はインターネットで他校の評価基準を調べたものにすぎなかったため,P6主幹は「本校の実状に合わせて,自分の言葉で書くよう」再提出を求めた。 しかし,原告は同月20日の研修においてもこの課題を提出せず,同月27日の研修の際には,提出期限の延期を申し出た。しかし,P6主幹は,1学期中に指導できる時間がその日が最後であったことなどから,この申し出を受け入れず,P3校長に対し,原告のこれ以上の指導はやりたくない旨を述べた。P3校長は,「課題が出るまでは再開しなくていい」と述べた。 7月11日,P4副校長は原告に対して課 どから,この申し出を受け入れず,P3校長に対し,原告のこれ以上の指導はやりたくない旨を述べた。P3校長は,「課題が出るまでは再開しなくていい」と述べた。 7月11日,P4副校長は原告に対して課題提出を指導したが,原告は「どうせ受け取ってもらえないでしょう」と述べた。このことをP4副校長がP3校長に報告したところ,P3校長は,言わせたままなのかとP4副校長を叱り,原告については,「このまま教員にはさせられない」と評価した。また,上記課題については,P7主任も提出するよう注意したが,原告は結局提出しなかった。 【乙5,乙14,乙15,乙17ないし乙19,証人P7,証人P6,証人P4】なお,原告は,P6主幹からの課題は6月24日に出され,同月27日に提出できなかったものの,P4副校長の指導により同月28日にはいったん課題提出をしたこと,同月29日,P6主幹から原告の提出物について付箋をつけて返され,同付箋のメモにおいて再提出を指示されたこと,原告は同月30日にP6主幹が原告の指導教員から降りることをP4副校長に聞かされたこと,原告はその後課題の再提出をしなかったこと,を本人尋問において供述する。 しかし,原告が6月28日に提出したとされる書面(甲35の1及び2) に付されたP6主幹のメモ書きがある付箋(甲35の2)には「もう一度気持ちがあるなら提出を!」との記載があることから,P6主幹は同メモの記載当時には原告への指導意欲があったものと推認できる。にもかかわらず,同月30日に,P6主幹が原告の課題再提出の状況を確認することなく,原告の指導を放棄して原告の指導教員から降りるなどというのは,唐突であって不自然さを免れず,原告の上記供述を採用することはできない。むしろ,上記認定のとおり,原告が課題不提出を繰り返したことから,P 告の指導を放棄して原告の指導教員から降りるなどというのは,唐突であって不自然さを免れず,原告の上記供述を採用することはできない。むしろ,上記認定のとおり,原告が課題不提出を繰り返したことから,P6主幹は原告の指導継続ができないと判断したというべきである。 オ P3校長は,9月7日,同日に至っても上記課題が未提出となっていたことから,原告に対し,「未提出になっている限り指導教員は頼めない,ということは研修の一部が未終了となり,採用そのものが厳しくなっていることがわかっているか。」,「このままでは校長として採用推薦は難しいと考えているが,最終的には人事部が判断することになる」と伝えた。 そして,P3校長は,P6主幹を原告の指導教員の地位から解いた。そして,P3校長は,指導責任者としてP4副校長がいたことから,改めて他の教員に原告の指導教員を委嘱することはなかった。 【甲26,甲27,乙5,乙16,証人P4,証人P3,原告本人】(6) 原告の2学期以降の経過ア P7主任は,生徒から,「(原告が)授業中に携帯をいじってるんですけど,いいんですか」,「(原告が)株をやってるんじゃないか」などと聞いたためその旨原告に注意した。 これに対して,原告は「授業中に平方根,ルートのところを教えるので,それを,ルートの値を見せるために関数電卓として使った」と説明した。 【乙15,証人P7,弁論の全趣旨】イ 10月13日,原告は,出張から戻ったP3校長に対し,7月に行われた宿泊研修の報告書について押印を求めた。 【乙5,乙16,証人P3】ウ 10月22日,原告は,学校説明会の全体打ち合わせに数分遅刻した。 ただし,この日は,原告は,1時間の年休を取得している。 【乙5,乙16,乙20】エ 10月27日,P4副校長は,原告が生徒の答案 10月22日,原告は,学校説明会の全体打ち合わせに数分遅刻した。 ただし,この日は,原告は,1時間の年休を取得している。 【乙5,乙16,乙20】エ 10月27日,P4副校長は,原告が生徒の答案用紙をコピーして自分の机に保管していたことをP7主任から聞かされたため,個人情報紛失の恐れからこれを止める様,P4副校長が指導し,原告は納得はしていなかったが指導に従った。 【乙5,証人P7,証人P4】オ 11月15日午前8時15分ころ,通勤途中の原告は,P1中学2年生の4人が,原告の100mほど前方を歩いているのを見た。P1中学では午前8時10分から「朝学習」を行っていたことから,小走りで上記生徒らに近づき,短い横断歩道を渡り終えようとしていた同人らに対し,「朝学習が始まっているんだから,早く行きなさい」と注意し,その際,「赤信号だけど早く渡って行け」という趣旨のことを言った。そして,生徒から,原告が上記発言をした旨P20主任から聞かされたP7主任は,その指導をP20主任に依頼し,同主任が原告を注意したところ,両名は言い争いを始めた。 【甲27,乙5,15,証人P7】カ 11月25日,原告は朝の打ち合わせに遅刻した。 【乙5,乙16】キ 12月9日,P1中学の男子バスケットボール部顧問である原告は,1年生男子部員の中に無断欠席する生徒が相当数いることを問題視し,同部の1年生部員全員に対し,以下のことを伝達した。 ・練習に参加する人数が近頃は半数にも満たなくなってしまっていること・練習を欠席する理由を顧問や先輩に伝えにすら来ない者が目立つこと ・上記2点に関して2年生の先輩たちの不満が蓄積していること・このような状況を1年生部員全員の連帯責任と捉えるべきだということ・顧問として,そのような怠惰な部員や規則を遵守 目立つこと ・上記2点に関して2年生の先輩たちの不満が蓄積していること・このような状況を1年生部員全員の連帯責任と捉えるべきだということ・顧問として,そのような怠惰な部員や規則を遵守しない部員には,この部活動に在籍してもらいたくないと考えていることその上で,原告は,退部届を渡して原告に提出するよう求めた。その際,「どうしてもバスケットボールを続けたいと考えている者は,再入部するように」と口頭で説明の上,入部届も渡した。 【甲27】ク 12月10日,前記キの原告の対応に関して保護者からの問い合わせが来たことをP7主任から聞いた女子バスケットボール部顧問のP21教諭は,保護者に直接電話をして状況を確認したところ,「息子が退部届を急に持ってきていて,すごく怒っていると。それでどういうふうになっているのかというその事実を知りたい。」旨の説明を受けた。そこでP21教諭は,1年生の男子バスケットボール部員を集めて原告から退部届を渡された趣旨を確認したが,分からない部員が多数いた。P21教諭は,原告が部員に退部届を渡した理由は分からなかったが,P21教諭なりに原告の意図を斟酌して部員に対して説明を行った。その結果,部員から退部届等が提出されることはなく,事態は収束した。 【乙12,乙15,証人P21】ケ 12月12日,原告は,生徒がざわついていたことから,担当していた期末考査監督時の問題配布を決められた時間よりも遅れて行った。ただ,その分,試験終了時間を遅らせた。 【争いのない事実,甲27】コ平成24年1月25日,原告は職員会議に30分遅刻し,入学者選抜事務打ち合わせにも5分遅刻した。 【乙5,乙16】 (7) 東部センター等への相談平成23年10月6日,原告は,都教委が設置する東京都東部学校経営支 員会議に30分遅刻し,入学者選抜事務打ち合わせにも5分遅刻した。 【乙5,乙16】 (7) 東部センター等への相談平成23年10月6日,原告は,都教委が設置する東京都東部学校経営支援センター(以下「東部センター」という。)経営支援室から随時訪問でP1中学を訪れたP22課長及びP23統括学校経営支援主事(以下「P23主事」という。)に対し,P4副校長が同席する場で,指導教員が不在であること,このままでは初任者研修が修了できなくなることを説明した。 P22課長及びP23主事は,原告の説明により,初めて原告の指導教員が不在であることを把握し,「担当部署と協議して対応します」と回答した。 同年11月8日,原告は,初任者研修のため東京都教職員研修センターに出張した際に,P24指導主事に対しても相談した。 平成24年1月10日,原告は,都教委人事部勤労課労務係のP25に対し,P3校長の原告に対する扱いについて書面を提出した。P22課長に対しても同書面を提出した。 【争いのない事実】(8) 原告の免職手続の経過等ア原告の初任者研修の実施結果等(ア) 校外における研修a 原告は,東京都教職員研修センターにて実施された年間10回の研修に出席し,つくば市所在の独立行政法人教員研修センターにて,平成23年7月22日から同月24日の日程で実施された2泊3日の宿泊研修に参加した。 b 原告は,課題別研修として,都立P18ろう学校における文化祭手伝いのボランティアやP26の研究大会への出席,P27の協議会及び研究大会への出席,P28及びP29の協議会への出席等を合計3日間行った。 (イ) 校内における研修 a 研修実施要綱等によれば,校内において,指導教員を中心とした指導・助言による研修を,週6時間以上(年間180 びP29の協議会への出席等を合計3日間行った。 (イ) 校内における研修 a 研修実施要綱等によれば,校内において,指導教員を中心とした指導・助言による研修を,週6時間以上(年間180時間)以上実施することとされていたが,原告に関する平成23年度1年次(初任者)研修実施報告書(以下「本件研修実施報告書」という。)においては,研修実績のうちの授業に関する研修が合計99時間(本来120時間必要),授業以外の研修は7時間(本来60時間必要),総計106時間と記載された。 b 本件研修実施報告書は,平成24年2月20日,原告が作成してP4副校長に提出した。その際,原告は,P4副校長の指示に従い,同年3月末までに実施予定の時間数を追加して,校内研修について約170時間と記載した。また,指導教員欄は空白とした。P4副校長は,P6主幹が指導教員の地位を解かれると,原告が初任者研修を終了できなくなると考え,P1中学のP30教諭及びP31教諭,P2高校のP32教諭に依頼して校内研修の代替措置を依頼していたことから,上記時間数にはそれらの時間も加算されていた。P4副校長が,P3校長に本件研修実施報告書を示したところ,P3校長は,上記代替措置による研修時間及び3月末までに実施予定時間数を加算することは認めず,また,指導教員欄にはP4副校長名を記載するよう指示したことから,その指示内容を原告に伝えた。原告は,その指示に従って自ら記載を訂正することを拒否し,その後のことはP4副校長に任せた。このような経過で前記内容の本件研修実施報告書が作成された。 なお,本件研修実施報告書には,P3校長及びP4副校長の押印があり,P3校長は,所見欄には「学習指導・教科の研修については,ある程度の成果が認められたが,他の分野については不足な点が多くみられ なお,本件研修実施報告書には,P3校長及びP4副校長の押印があり,P3校長は,所見欄には「学習指導・教科の研修については,ある程度の成果が認められたが,他の分野については不足な点が多くみられ,評価できない。特に分掌でもある教務関係については,指導 教員である教務主任から再々提出を求められた課題に対して未だ果たせないままでいる。他にも,校務への態度・意欲等に関して厳しい評価を下す先輩教員は少なくない。」と記載した。 c 原告は,研究授業として,平成23年10月12日に平方根に関する授業を,同年11月30日に2次方程式に関する授業を行った。この授業について,P7主任は,本当にいい授業をするようになったと感じた。 【争いのない事実,甲6,甲8,甲23,甲26,甲27,証人P7,証人P4,原告本人】イ原告に関するP3校長の評価P3校長は,原告について,以下のとおり評価し,都教委に報告した。 (ア) 平成23年度新規採用教員の育成に関する報告書a 対象期間1回目(平成23年7月まで)の総合所見「教員として,一番大切な向上心というものが感じられない。とくに新規採用であればこれから頑張ろうという前向きさがあるはずだが,既に自分の考えで固まっており,他人の言うことを素直に聞こうとしない大きな問題を抱えている。1学期の間半数以上の教員に世話になり,かつ管理職も含め全体で指導してきているが,当該教諭にとっては迷惑以外の何物でもないのかもしれない。現時点は不合格点しかつけられない。」b 対象期間2回目(平成23年11月まで)の総合所見「どこの学校に行っても戦力にはならない。少なくとも本校でこれ以上の面倒は見られない。1名の定数どころかマイナス要因として本校にいるのが現実である。」(イ) 平成23年度教育職員業績評価 所見「どこの学校に行っても戦力にはならない。少なくとも本校でこれ以上の面倒は見られない。1名の定数どころかマイナス要因として本校にいるのが現実である。」(イ) 平成23年度教育職員業績評価書(特別評価)a 学習指導 能力C,情意C,実績Dであり,この項目別評価はCb 生活指導・進路指導能力C,情意D,実績Dであり,この項目別評価はDc 学校運営能力D,情意D,実績Dであり,この項目別評価はDd 特別活動・その他能力C,情意C,実績Cであり,この項目別評価はCe 総合評価Df 特記事項「教科指導そのものについては良くなった。これは指導教官や教科の先生方に多大なご迷惑をおかけした結果である。しかし,当初の生徒対応は絶対に許されるものでないし,その後の成績処理等の問題もある。 このような中でも自分の考えを変えることなく,提出物の期限は守れない,指導教官や先輩教諭の指導は聞かない,さらに管理職の指導も聞いたふりのみであり,自分の考えとは違うと公言して憚らない。本人が拒否していることもあり,本校でのこれ以上の指導は無理である。」(ウ) 平成23年度新規採用職員の特別評価所見(以下「新採職員の評価所見書」という。)a 総合所見「講師時代から彼の評判はあまり良くなかったと何度か聞いた。誰がどのような経緯で彼を合格させたのか理解に苦しむ。当時の校長の推薦があったとしたらそのことを追求すべきだと思う。何れにしても本校ではこれ以上の面倒は見られないし,東京都の教員として採用することに強く反対する。この1年間指導にあたってくれた教職員に申し訳なく思っている。」 b 採用の可否否【乙3,乙4,乙8,証人P3】ウ都教委の原告に対する評価(ア) 平成23年度教育職員業績評価書 1年間指導にあたってくれた教職員に申し訳なく思っている。」 b 採用の可否否【乙3,乙4,乙8,証人P3】ウ都教委の原告に対する評価(ア) 平成23年度教育職員業績評価書(特別評価)P3校長による第一次評価の後,最終評価者である都教委教育長は,5段階評価の「1」(最低)の評価をした。 (イ) 新採職員の評価所見書P3校長による校長評価の後,都教委教育長は,「校長評価のとおり,正式採用をするに相応しくない者であると判断する。」として,採用の可否について「否」と判断した。 【乙3,乙4】エ本件処分に至る経過(ア) P3校長は,平成24年2月6日,原告について,新採職員の評価所見書において,前記イ(ウ)のとおり評価し,同月8日,上記評価所見の内容につき旨原告に口頭で告知するとともに,当該告知に対する意見の申出の機会が付与されることを説明したところ,原告から同月14日付けで「校長が特別評価所見の採用の可否を『否』としたことについての意見」と題する書面(甲7)が提出された。 P3校長は,上記評価所見の内容について口頭告知する際,以下の点を指摘した。 a 指導教員の意見を聞き入れず,途中から研修を一部行っていないことb 各種提出物の提出期限の遅れc 授業に関する生徒からの苦情d 答案への無意味な記載e 研究授業等の指導案を管理職に持って来ないこと f 成績会議を年休により欠席したことg 試験配布の遅れh 中学入試問題作成会議で居眠りをしたことi 朝の打合せの欠席が多いことj 職員室に入室する生徒への対応の遅さk 年休は権利であるとして学校の大事な行事などを休むこともあることl 教務部であるが,責任ある仕事は任せられないことm 中学1年生の副担任であるが,責任あ 職員室に入室する生徒への対応の遅さk 年休は権利であるとして学校の大事な行事などを休むこともあることl 教務部であるが,責任ある仕事は任せられないことm 中学1年生の副担任であるが,責任ある仕事は任せられないことn 部活動における保護者対応に不安があること(イ) 都教委教育長は,平成24年3月2日,原告の採用について「否」と評価し,被告は,人事部長決定をもって,不採用の原案を同年3月13日に決定した。その後,同月19日に開催された教職員懲戒分限審査委員会は,不採用を可とする答申を行い,最終的には,人事部長決定をもって,正式採用不可が決定された。 (ウ) 都教委は,原告に対し,同月31日付けで本件処分を行った。 【争いのない事実,甲7,乙3ないし乙5,弁論の全趣旨】(9) P3校長とP4副校長との関係等P3校長は,平成21年4月にP2高校及びP1中学の校長として赴任していたところ,平成23年4月に同高校及び同中学の副校長してP4副校長が赴任した。P3校長は,P4副校長が着任間もない頃から,同副校長の言動に不満をもち,平成24年3月までの間,単に強く注意,指導するのみならず,時には罵倒することもあった。また,P3校長は,P4副校長に対し,原告について「あんたが甘やかすから悪いんだ」などと言うことがあった。 そして,P3校長とP4副校長の不仲は,P1中学・高校の教員の間ではよく知られたことであった。P4副校長は,平成23年7月以降,P3校長のP4副校長に対する態度について,東部センターに相談を持ちかけたことが あり,同年9月頃には,P4副校長は,P3校長から,P4副校長が東部センターで余計なことを言ったせいでえらく恥をかかされた旨の話をされた。 P3校長とP4副校長は,いずれも,平成24年3月末をもって,都立学校教 月頃には,P4副校長は,P3校長から,P4副校長が東部センターで余計なことを言ったせいでえらく恥をかかされた旨の話をされた。 P3校長とP4副校長は,いずれも,平成24年3月末をもって,都立学校教員を退職した。 【甲26,乙16,証人P7,証人P4,証人P3,弁論の全趣旨】 2 争点1(本件処分の適法性)(1) 条件附採用教員の分限免職地方公務員法22条1項及び教特法12条1項によれば,都立学校教員の採用は条件附のものとされ,その教員が,1年間良好な成績でその職務を遂行したときに正式採用になるものとされている。正式採用に当たり,「良好な成績」が求められているが,競争試験又は選考によって採用された教員は,これらの手続を経て,一応その職務遂行能力の実証を得ていると考えられること,上記定めの趣旨は,一旦採用された職員の中に適格性を欠く職員が存在する場合,その職員を排除しようとする趣旨にあると考えられることからすれば,教員としての通常の能力を欠くと判断される場合に分限免職されるべきものである。そして,この判断に当たっては,任命権者に相応の裁量権があるが,前記のとおり,条件附の職員といえども,競争試験又は選考の過程を経て勤務しており,正式採用になることの期待を有するのであるから,上記裁量も純然たる自由裁量ではなく,その処分が合理性をもつものとして許容される限度を超えた不当なものであるときは裁量権の行使を誤ったものとして違法となる。したがって,上記処分のもととなる任命権者の判断が客観性を欠き,不合理な場合においては,裁量権の逸脱,濫用があるものとして分限免職処分が違法となると解せられる。 (2) 原告が教員として不適格であることを根拠付ける事実の検討ア授業遂行において問題があったこと(ア) テストで0点を取った生徒に対してこれを して分限免職処分が違法となると解せられる。 (2) 原告が教員として不適格であることを根拠付ける事実の検討ア授業遂行において問題があったこと(ア) テストで0点を取った生徒に対してこれを揶揄するかのような対応 をしたこと被告は,原告は0点を取った生徒の答案に対し,「ある意味Great!」と記載して笑顔のマークの入ったスタンプを押したこと及び0点は一人しかいないこと,0点を取る確率は6パーセントほどであるなど,あたかも生徒を皆の前で揶揄するかのような発言を授業中に行った対応は,成績の芳しくない生徒を無用に追い詰め,辱める行為として,不適切な行為であると主張する。 認定事実は前記1(4)のとおりである。原告としてはユーモアのつもりであったとしても,受け手にそのユーモアが伝わらなければ意味がない。 ましてや教員という他人に教えることを職業とする者は,伝えることの難しさを意識しつつ適切な伝達方法を十分検討すべきであり,伝達後も受け手の理解度や理解した結果を受けての心情に配慮を重ねる意識が求められる。0点を取るということは生徒Aに取って不本意な結果であり,かかる不本意な結果に対して「ある意味Great!」と褒める表現をすることは,結果として生徒Aの心情を深く傷つける危険性をはらむ表現であって,原告の対応は不適切であったといわざるを得ない。 そればかりか,生徒Aが明るく大声で笑ったことにつき,その内心に配慮することなく,その表面上の事象を捉えて「笑い事ではないだろう」などと注意すること,あえて生徒Aの0点の取り方についてクラス全体に論評することいずれも,さらに生徒Aの心情を傷つける可能性を有する行為として不適切である。 そうすると,原告の生徒Aに対する一連の対応についてP19主任らが問題視してP3校長に報告し,保護者に謝 に論評することいずれも,さらに生徒Aの心情を傷つける可能性を有する行為として不適切である。 そうすると,原告の生徒Aに対する一連の対応についてP19主任らが問題視してP3校長に報告し,保護者に謝罪したことは当然であって,教員としての適格性を疑わせる行為といわざるを得ない。 (イ) 練習問題を一人で解説して終わらせてしまったこと被告は,平成23年5月30日の観察授業において,原告が練習問題 を一人で解説して生徒に自ら問題を解かせず授業を終わらせたことは,生徒の反応を見ない一方的な授業として教育効果の点から不適切であると主張する。 認定事実は前記1(5)イのとおりである。かかる授業遂行は生徒の反応を見ない一方的な授業として教育効果の点から不適切であるといえる。 ただ,5月30日の教え方のみをもって,原告の授業方法一般について不適切であるとまでは認めることはできない。また,観察授業冒頭におけるP3校長の発言(前記1(5)イ)は,原告と生徒との信頼関係を毀損する可能性があり不適切なものといえる。 (ウ) 生徒から授業について苦情のメモがあったこと被告は,生徒Bが原告の授業に関する不満を書いたメモの記載内容からすれば,原告の授業遂行が教員として不適切であることは明らかである旨主張する。 メモの記載内容は前記1(5)ウの認定事実のとおりである。かかる記載内容からは原告の授業遂行に問題があったことがうかがえる。ただ,原告の授業遂行が評価されていたことをうかがわせる証拠(甲30の2及び3)も存在するところであり,上記メモから直ちに原告の授業遂行一般に大きな問題があったとまで認めることはできない。 (エ) 授業中に携帯電話を利用して生徒から苦情が来たこと被告は,原告が携帯電話を手に持って授業をしていた行為が極めて不適切であること 遂行一般に大きな問題があったとまで認めることはできない。 (エ) 授業中に携帯電話を利用して生徒から苦情が来たこと被告は,原告が携帯電話を手に持って授業をしていた行為が極めて不適切であることは明らかであり,生徒から苦情が寄せられたことも考慮すれば,教員としてその適格性に疑問を抱かざるを得ない行為である旨主張する。 認定事実は前記1(6)アのとおりである。仮に,原告主張のとおり関数電卓として使ったとしても,生徒から誤解を招くような行為自体慎むべきである。 (オ) その他被告は,その他,原告が授業の予習をしていない等と主張している。 証拠(乙15,証人P7)によれば,P7主任は,原告が問題でつまづいたり,教科書通りの解法しか説明していなかったことから,原告が予習をしていないのではないかと考え,予習するよう注意したことが認められる。 さすがに原告が全く予習せずに授業に臨んだとは考え難いが,教科書の内容を十分に消化しないまま授業に臨んだことは,不適切な行為といえる。 イ生徒や他の教諭に不適切な対応をしたこと(ア) 上司である副校長に対して不躾な態度で接すること被告は,原告が赴任直後に,上司である副校長に対し,「よっ,副校長」等の不躾な言動で接したことが,原告に協調性が欠けていたことを示す事実であると主張する。 認定事実は前記1(3)アのとおりであり,被告主張の事実が認められる。もっとも,原告なりに旧知のP4副校長に対する親愛の情を示した表現であり,協調性を欠くことを示すものとは評価できず,教員としての適格性を欠く行為とまではいえない。 (イ) 生徒に対して対応しなかったこと被告は,平成23年4月11日及び同月12日の生徒の対応が不適切である旨主張する。 認定事実は前記1(3)ウのとおりであり,被告主張 為とまではいえない。 (イ) 生徒に対して対応しなかったこと被告は,平成23年4月11日及び同月12日の生徒の対応が不適切である旨主張する。 認定事実は前記1(3)ウのとおりであり,被告主張の各事実が認められる。しかし,着任当初の問題であり,P4副校長の指導により,すぐ改善が見られているのであるから,特に問題性が高いとはいえない。 (ウ) 観察授業での他の教諭に対する対応が不適切であったこと被告は,観察授業の際に原告が他の教員に挨拶をせず,他教科の先生 が観察しても意味がないとの趣旨の発言を原告が行ったり,P3校長になぜ観察授業を始めたのか分からない等と原告が不満を述べていることが協調性を著しく欠く行為であると主張する。 証拠(乙5,乙16,証人P3)によれば,平成23年5月30日の観察授業で他の教員に挨拶をしなかったこと,同年6月21日,原告はP4副校長に対し「授業観察も数学の先生の授業は意味があると思いますが,他教科の先生に見てもらうのはどうなんでしょうか」と質問したこと,同年7月1日,原告がP3校長に対し「他の教科の教員が観察授業に来て指導をする意味がわからない」と述べたこと,がそれぞれ認められる。 上記認定事実によれば,原告が観察授業の意義について納得がいかず疑問を表明したことが認められる。むろん,原告の生徒Aへの対応の問題性を原告自身が深く理解していればこのような疑問が生じるとは考え難いが,初任者に対する教育効果の観点からは,観察授業の実施を決めたP3校長が,その実施前に原告にその意義及び必要性を説明すべきであったと思われる。そうすると,原告が疑問を表明したことについては協調性を欠くとまではいえない。なお,他の教員への挨拶を欠くことは不適切ではあるといえなくもないが,授業の場でもあり,特に問題性が高い ったと思われる。そうすると,原告が疑問を表明したことについては協調性を欠くとまではいえない。なお,他の教員への挨拶を欠くことは不適切ではあるといえなくもないが,授業の場でもあり,特に問題性が高いとはいえない。 (エ) 生徒に対し,「校長とけんかする」等と発言したこと被告は,原告が生徒に対し,「自分は辞めさせられる」,「校長とけんかする」等と発言したことは,著しく協調性を欠く行為であるが,さらに生徒の前でかかる発言を行ったのは教員としての適格性を著しく疑わせる行為と言わざるを得ないと主張する。 証拠(乙15,証人P21,証人P7)及び弁論の全趣旨によれば,P21教諭は,原告が東校舎で生徒10人くらいに対して演説を行って いたことを目撃したこと,その内容として「校長とけんかした」と発言したこと,P7主任は,生徒から原告が「これから校長とけんかしに行く」,「自分は辞めさせられるんだ」と発言しているのを聞いたこと,が認められる。 上記認定事実によれば,原告がP3校長と円満な関係を築く努力を放棄しているかのようにうかがえることから,協調性を欠き,教員としての適格性を疑わせる行為といわざるを得ない。 (オ) 授業に間に合うためには赤信号でも渡れと生徒に発言したこと被告は,原告が赤信号を渡る行為を奨励するかのような発言を生徒に対して行ったとして,かかる発言が倫理上及び生徒の安全上も不適切な発言であるだけでなく,それを注意した同僚教諭に対し原告が事実を認めず反抗的な態度をとったことが教員として不適格な行為であると主張する。 認定事実は前記1(6)オのとおりである。理由はともあれ,「赤信号でも渡れ」という趣旨の発言をすることは,教員として不適切な発言であることは明らかであり,教員としての適格性を疑わせる行為であることは否定できな 記1(6)オのとおりである。理由はともあれ,「赤信号でも渡れ」という趣旨の発言をすることは,教員として不適切な発言であることは明らかであり,教員としての適格性を疑わせる行為であることは否定できない。そして,また,このような発言をしたことを他の教員から注意されたことに対して反論すること自体も不適切な行為といえる。 (カ) 部活動における不適切な指導で保護者から苦情があったこと被告は,原告がバスケットボールの1年生部員全員に対し,退部届を渡して自分に提出するよう求め,注意したP3校長に対し,顧問である自分以外の教諭が関与するのはおかしい等と述べるなどした行為は,生徒及び保護者からの信頼を失わせる行為であるのみならず,指導したP3校長らにも反省の態度を見せないなど,教員として不適切な行為であると主張する。 認定事実は前記1(6)キ及びクのとおりである。原告の対応は,男子バスケットボール部の綱紀粛正を図る意図の下に行ったものと思われる。 しかし,個人責任の観点からは,問題行為を取っていた部員に対してのみ指導注意が行われるべきである。本来真面目に参加していたバスケットボール部員が,その意に反して退部届を出さなければならない理由はない。原告の意図を理解し得ない生徒が多数いること及び保護者からの苦情があったことはある意味当然のことであり,原告の指導の不適切さを示すものといえる。 なお,原告には,保護者への対応をP21教諭が行い,原告自身が行えなかったことの不満があるようであるが,一般に理解されない話を保護者に行っても無用な混乱を招くだけであり,保護者とのトラブルを誘発した可能性も高いと考えられることから,P21教諭が対応したことは結果としては適切である。 (キ) その他被告は,原告は学年の仕事や分掌など,自ら進んでこれに当 であり,保護者とのトラブルを誘発した可能性も高いと考えられることから,P21教諭が対応したことは結果としては適切である。 (キ) その他被告は,原告は学年の仕事や分掌など,自ら進んでこれに当たるという態度を見せることなく,他の教員に協力するという姿勢にかけ,校長や副校長など上司の立場にある者に対し,「あんた」と呼ぶなど,協調性を欠く言動も見られた旨主張する。 証拠(乙5,乙16,証人P3)によれば,原告はP3校長に対し,「あんた」と呼んだことが認められる。この点は上司に対する発言として不適切であるといわざるを得ない。 ウ決められたルールを遵守しないこと(ア) 課題の未提出があったこと被告は,指導教員が原告の提出した課題提出物に対して不十分であるから再提出を求めたことに対し,原告が再提出しなかったことは,決められたルールを遵守しないものであって,原告が初任者として指導を受 けるべき立場にあることを考慮すれば,原告の教員としての適格性を欠くことを示す事実であると主張する。 認定事実は前記1(5)エ及び同(6)イのとおりである。課題不提出の点については,出来映えのいかんにかかわりなく努力した結果を示して指導を仰ぐのが本来の姿であり,課題を提出しないことは,原告の教員としての適格性を疑わせる行為といわざるを得ない。 (イ) 打ち合わせへの遅刻や欠席が多いこと被告は,原告が打ち合わせへの遅刻や欠席が多いことは生徒の模範となるべき教員としての適格性に疑問を抱かせる行為であると主張する。 認定事実は前記1(6)ウ,カ及びコのとおりである。この点が不適切であることは明らかである。 (ウ) 場違いな服装で出勤した際,指導に対し趣旨不明の言い訳を繰り返していたこと被告は,教員として生徒及び保護者の前に立つ立場から,あま おりである。この点が不適切であることは明らかである。 (ウ) 場違いな服装で出勤した際,指導に対し趣旨不明の言い訳を繰り返していたこと被告は,教員として生徒及び保護者の前に立つ立場から,あまり派手すぎない格好をすべきであるとのP3校長の指導に対して原告が趣旨不明の言い訳を繰り返して反抗的な態度をとっていたことは教員としてその適格性を疑わせる行為であると主張する。 認定事実は前記1(3)イ及びエのとおりである。本来教育者として生徒及び保護者からどのように見られるか,あるいは生徒及び保護者に対してどのような姿を見せるか,を普段から意識すべきであって,P3校長が原告に対して服装に関する指導をしたことは正当である。また,原告がスーツだと自分の力が発揮できないというのはいかなる意味合いのことを指すのか,生徒及び保護者からの印象を犠牲にしてまで発揮すべき力とはどの程度の力のことか,趣旨不明といわざるを得ず,また,あえてP3校長の指導に反して述べるほどの意見とも思われない。 そうすると,原告のかかる一連の行為は,教員としての適格性を疑わ せる行為といわざるを得ない。もっとも,P3校長及びP4副校長の指導により,平成23年4月22日以降は白衣を着用することで服装に関する原告の問題は解消されたものであるから,特に問題性が高いとまではいえない。 (エ) 作問委員会において居眠りをしていたこと被告は,平成23年5月10日,原告が作問委員会で発言もせず,居眠りを行ったことが教員としてその適格性を疑わせる行為であると主張する。 認定事実は前記1(3)オのとおりである。P4副校長の指導内容からすると,その前提として原告に作問委員会への参加意欲が乏しかったことが推認される。もっとも,P4副校長の指導を受けて図書館へ自発的に調査するなどして (3)オのとおりである。P4副校長の指導内容からすると,その前提として原告に作問委員会への参加意欲が乏しかったことが推認される。もっとも,P4副校長の指導を受けて図書館へ自発的に調査するなどしており,指導に従う態度を見せていることからすると問題性が高いとまではいえない。 (オ) 試験問題をコピーし,机で保管していたこと被告は,原告が生徒の答案用紙をコピーして自分の机に保管していたため,個人情報紛失の恐れからこれを止める様にP4副校長が指導したところ,原告は何が悪いのかと反抗的な態度をとったことは,原告が職務上生徒の個人情報を扱う教員として不適格であると主張する。 認定事実は前記1(6)エのとおりである。個人情報保護法の制定もあって,個人情報管理の重要性は増しており,P4副校長の指導は正当なものである。原告にかかる意識が欠けていたことには問題があるというべきである。なお,都立学校における重要な情報を含む紙媒体の取扱いについては,施錠できる保管庫にて保管し,不要な書類はシュレッダー処理を行うこととされている(甲37)。 (カ) 期末試験で問題配布が遅れたこと被告は,原告は自分が担当していた期末考査監督時の問題配布を決め られた時間よりも遅れて行ったこと及びP3校長の指導に対して反省の態度を見せなかったことが教員として不適格であることの根拠となる事実である旨主張する。 認定事実は前記1(6)ケのとおりである。本来期末考査は生徒の成績を判定する重要な試験であり,全校において平等に実施されなければならないはずであり,実施開始時間にばらつきが生じることは不適切であり,予定どおりの実施を心掛けるべきものである。ただ,本来の試験時間は確保されており,特に問題性が高いとまではいえない。 (3) 原告に対する指導体制等条件附採用 らつきが生じることは不適切であり,予定どおりの実施を心掛けるべきものである。ただ,本来の試験時間は確保されており,特に問題性が高いとまではいえない。 (3) 原告に対する指導体制等条件附採用期間中の教員の適格性の判断にあたっては,当該教員の資質・能力の判断をするにしても,当該期間中に初任者研修が行われるものであるから,その研修効果に基づく成長・改善の可能性をも考慮して判断されるべきであるから,この研修体制等について検討する。 ア指導教員を解任し,その後選任しなかったこと(ア) 研修実施要綱等によれば,指導教員は,研修シラバスの作成に参画するとともに校内の指導組織の中心となって初任者の指導・助言に当たる立場とされており(前記第2・2(5)イ(カ)),初任者研修において,指導教員が不在のまま研修が行われることはおよそ想定されていないことと考えられる。しかるに,P3校長は,平成23年9月7日,P6主幹を原告の指導教員から解任し,以後,指導教員を選任しなかった(前記1(5)オ,なお,この事実は,同年10月東部センターに伝えられたにもかかわらず,都教委においてP1中学に指導するなどした事実はうかがえない(前記1(7),弁論の全趣旨))ところ,勤務成績は採用後10月を経過した日に評価されること(前記第2・2(4)イ(イ))も考慮すると,この時期における指導教員の不在は,P1中学において原告に対する指導体制における基本的な点が欠如していたといわざるを得ない。 (イ) この点について,被告は,かかる事態は,P6主幹らの指導に対する原告の反抗的態度が原因であると主張する。確かに,直接のきっかけとなった課題不提出行為についての評価は,前記2(2)ウ(ア)のとおりであり,不適切な行為であり,教員として不適格であることをうかがわせる事 反抗的態度が原因であると主張する。確かに,直接のきっかけとなった課題不提出行為についての評価は,前記2(2)ウ(ア)のとおりであり,不適切な行為であり,教員として不適格であることをうかがわせる事実の一つといえる。そして,また,それまでの間,P3校長らに対して反抗的態度がなかったわけではない。しかし,課題不提出行為についてみると,一度は課題を提出しているなどの経過もあり,指導教員の不在を正当化するに足りるほどの事情とは考え難い。また,反抗的態度についても,その改善が著しく困難なものであったとは考え難い。そうすると,9月7日までの原告の態度を考慮しても,指導教員の不在により原告に対する指導体制の基本的な点が欠如していたとする前記判断が左右されるものではない。P3校長は,原告について,平成23年7月の時点において「現時点では不合格点しかつけられない」(前記1(8)イ(ア)a),「このまま教員にはさせられない」(前記1(5)エ)と評価し,9月7日の時点においては「このままでは校長として採用推薦は難しいと考えている」(前記1(5)オ)ことからすれば,この時点で原告について教員として不適格と判断し,上記のような措置に及んだと推認できる。 イ年間指導計画等について(ア) 証拠(甲36の1及び2,証人P6,証人P3)によれば,P3校長は,初任者研修の校内研修の年間シラバスに目をとおしておらず,内容を十分理解していないこと,P6主幹はP4副校長からは校内研修のテキストしか受け取っていないことが認められる。このP1中学の初任者研修の指導体制の実態は,研修実施要綱等で定められる指導体制(前記第2・2(5))に沿っていないといわざるを得ない。研修実施要綱等によれば,校長は学校の実態に即した年間指導計画を作成することとされ ているのであり, 研修実施要綱等で定められる指導体制(前記第2・2(5))に沿っていないといわざるを得ない。研修実施要綱等によれば,校長は学校の実態に即した年間指導計画を作成することとされ ているのであり,P3校長が初任者研修の校内研修の年間シラバスにつき目をとおしておらず,内容を十分理解していないなどということは,研修実施要綱等上想定されていない事態である。また,研修実施要綱等によれば,指導教員が研修シラバスの作成に参画する必要があり,指導教員たるP6主幹が研修シラバスの存在を知らないなどということも,研修実施要綱等上およそ想定されていない事態である。 (イ) また,証拠(甲6,甲8,甲23,甲36の1,証人P7,証人P4)によれば,P4副校長が平成24年3月末に作成した原告の初任者研修の年間シラバス(甲36の1)は,同シラバス記載の研究授業の実施時期と現実に原告が実施した研究授業の時期と相違するなど原告の現実の研修実態を反映するものとはいえないこと,初任者研修における校内における研修のうち,授業に関する研修について週4時間以上(年間120時間以上)実施しなければならないにもかかわらず,平成23年の3学期ころには原告が教科指導員であるP7主任の授業を参観することも,P7主任が原告の授業の参観をすることもなくなったこと,初任者研修における校内における研修のうち,授業以外の研修については週2時間以上(年間60時間以上)実施しなければならないにもかかわらず,P6主幹とP4副校長の指導時間を合計しても7時間しかないこと,がそれぞれ認められる。 上記認定事実によれば,P1中学においてどの程度の教育効果を伴った研修が原告に対してなされていたのか疑わしい。この点,都教委がモデルプランとして示す研修シラバス(甲36の2)には,幅広く充実した研修内容が 事実によれば,P1中学においてどの程度の教育効果を伴った研修が原告に対してなされていたのか疑わしい。この点,都教委がモデルプランとして示す研修シラバス(甲36の2)には,幅広く充実した研修内容が含まれており,実際に同水準の研修がなされれば,相当高い研修効果が期待されるところであるが,このような研修がP1中学で原告に対して行われたとは認め難い。 (ウ) 校長は,育成報告の提出に際し,総合的に課題があると報告した条 件附採用職員については,通常の条件附採用職員に対する指導に加え,①校長又は副校長による個別の面接等の機会を増やすなどして,条件附採用職員の状況をよく把握し,きめ細かい指導に努める,②詳細な職務実績記録を作成する,③校長は,都教委に指導主事等による観察授業及び面接指導等を依頼する,こととされている。さらに,校長は,第2回の育成報告の提出に際し,総合的に課題があると報告した条件附採用職員については,上記①から③に加えて,④自己申告の中間申告時に併せて,申告時点までの課題,今後の改善方策等について,具体的に例を挙げて条件附採用職員に対して指導する,⑤条件附採用職員に対して指導した④の内容について,職務実績記録に記録する,こととされている(前記第2・2(4)イ(ア))。しかるに,P3校長が育成報告書(乙8)を作成した(平成23年11月8日)後に上記諸点につき十分実施したことを認めるに足りる証拠はない。 (4) 本件処分が裁量権の範囲を逸脱,濫用したものといえるかア検討方針都教委は,本件要綱に基づいて条件附採用職員の正式採用の判断を行っており,本件要綱においては,正式採用の可否について,業績評価書及び特別評価所見等の書類を参考にし,特別評価所見における採用所見については,原則として,①業績評価書における第一次評価者 の判断を行っており,本件要綱においては,正式採用の可否について,業績評価書及び特別評価所見等の書類を参考にし,特別評価所見における採用所見については,原則として,①業績評価書における第一次評価者の総合評価が「C」以上かつ教育委員会評価が「2」以上である者は,採用「可」と判定し,②業績評価書における第一次評価者の総合評価が「D」又は教育委員会評価が「1」の者は,採用「否」と判定する(本件要綱第3)とされている(前記第2・2(4)イ(イ))。 そして,原告について,業績評価書においては,P3校長は総合評価を「D」(4段階評価の最低)と,都教委教育長は「1」(5段階評価の最低)と判断し,特別評価所見において,P3校長及び都教委教育長は,採 用の可否についていずれも「否」としている。この経過からすれば,本件処分の判断は,主として,P3校長の評価に依拠していると考えられるので,以下には,業績評価書の評価項目を中心して,P3校長の評価・判断が客観性を欠き,かつ不合理なものといえるかどうかについて検討する。 イ P3校長による評価(ア) 学習指導aP3校長は,業績評価書において,能力「C」,情意「C」,実績「D」,項目別評価「C」と評価している。 b 前記(2)において検討したところによれば,この点に関して,教員として適格性を疑わせる主な行為として,0点をとった生徒に対する指導の不適切さが指摘できる。しかし,それ以外に,原告の学習指導能力に大きな疑問を抱かせる事情は認め難い。そして,教科主任のP7主任は,学習指導については,同主任の指導に従い,時がたつにつれて改善され,研究授業の際には「本当にいい授業をするようになったと感じた」と供述している(証人P7)し,P3校長も「教科指導そのものについては良くなった。」(業績評価書)と 導に従い,時がたつにつれて改善され,研究授業の際には「本当にいい授業をするようになったと感じた」と供述している(証人P7)し,P3校長も「教科指導そのものについては良くなった。」(業績評価書)と判断している。加えて,原告は,P1中学に赴任する前に,多くの高等学校等で非常勤講師あるいは育休・産休代替教員として勤務経験があるところ,これらの学校で特段学習指導能力不足の評価を受けたと認めるべき証拠もない。これらのことからすれば,原告が,学習指導に関して,初任者として通常の能力を有していなかったとは認め難い。 (イ) 生活指導・進路指導aP3校長は,業績評価書において,能力「C」,情意「D」,実績「D」,項目別評価「D」と評価している。 b 前記(2)において検討したところによれば,この点に関して教員として適格性を疑わせる主な行為として,「赤信号でも渡れ」という趣旨 の発言をしたことが指摘できる。しかし,原告が進路指導に関与したと認めるべき証拠はないし,生活指導について,上記の点以外に,その能力不足を窺わせる大きな事情は認め難い。P3校長の上記のとおり,この点について最低評価をしているが,この評価については,その裁量権を考慮しても,客観性,合理性に疑問がある。 (ウ) 学校運営aP3校長は,業績評価書において,能力「D」,情意「D」,実績「D」,項目別評価「D」と評価している。 b 前記(2)において検討したところによれば,この点に関して教員として適格性を疑わせる主な行為としては,協調性を欠く言動が多くあったこと,課題の未提出があったこと,打ち合わせへの遅刻や欠席が多いこと,試験問題をコピーし机で保管していたことなど多くの事実が指摘できる。そして,これらの指摘された事情等からすれば,原告は,自己の意見に固執しがちな 出があったこと,打ち合わせへの遅刻や欠席が多いこと,試験問題をコピーし机で保管していたことなど多くの事実が指摘できる。そして,これらの指摘された事情等からすれば,原告は,自己の意見に固執しがちな傾向にあり,意に沿わない他者の意見について反発する傾向にあること,否定的に評価する者との関係では,ややもすると敵対的な反応を示すことが認められる。原告は,非常勤講師等として教員としての経験があるとしても,初任者研修を受ける立場にあるからには,初心に立ち返って,校長等からの指導を素直に受け止めるべきであるし,自己を向上させるべく経験を積み重ねていく上では,視野を広くして多方面からの意見を意欲的に吸収する姿勢が必要とされる。他者からの意見の中には自らの考えと合わない意見も当然あると思われるが,即座に否定することなく,当該意見の理由や背景を咀嚼して,少しでも自らの意見として取り入れることが可能なものがないかを探るべきである。逆に,自らの意見を他者に表明する際には,その意見を支える理由や背景が独りよがりなものではないかを事前に検討した上で表明すべきであるし,のみならず,受け手の反 応を想像し,自らの意見が受け手にとってどの程度受け容れ可能なのかを量りながら表明するべきである。さらにいえば,正しく意見交換されることの前提として,先入観による誤解を受けることのないよう,普段からの姿勢・態度につき十分注意することが望まれる。原告にはかかるコミュニケーションの基本とされるべき姿勢・態度に問題性が認められ,ややもすれば未熟な人格を露呈させる結果となっている。 原告のこのような問題点について,P3校長が厳しく指導したこと自体は,正当なものであって,学校運営の項目におけるP3校長の評価の結論そのものは裁量の範囲内にあるものとして不当なものとはいえない。 原告のこのような問題点について,P3校長が厳しく指導したこと自体は,正当なものであって,学校運営の項目におけるP3校長の評価の結論そのものは裁量の範囲内にあるものとして不当なものとはいえない。 (エ) 特別活動・その他aP3校長は,業績評価書において,能力「C」,情意「C」,実績「C」,項目別評価「C」と評価している。 b 前記(2)において検討したところによれば,この点に関し教員として適格性を疑わせる主な行為として,男子バスケットボール部顧問としての行為が指摘できる。それ自体不適切な行為との評価を免れないが,指導に対する熱意があったといえなくもない。その他,特別活動・その他について,上記の点以外に,その能力不足を窺わせる大きな事情は認め難い。 ウ本件処分の当否前記イにおいて検討したところによれば,業績評価書におけるP3校長の評価については「生活指導・進路指導」の項目における評価について客観性,合理性に疑問があるが,その他の評価自体は裁量の範囲内にあるものとして不当なものとはいえない。そして,P3校長は総合評価について「D」評価をしているところ,業績評価書における特記事項の記載内容,特別評価所見(乙4)における「校長の所見」及び「総合所見」の記載内 容等からすれば,P3校長は,原告について,「責任感・積極性・協調性等」において,教員として看過しがたい問題点があったと判断したと考えられる(前記「校長の所見」には,「一番の問題はここにあると思われる」との記載がある。)。そして,この点が前記総合評価の「D」評価に大きく影響していると考えられる。それ自体,礼節を重んじ,上下関係を重んじると考えられるP3校長の信念に基づく判断として理解できないわけではない。しかし,教特法12条1項において,1年間の条件附採用期間を 響していると考えられる。それ自体,礼節を重んじ,上下関係を重んじると考えられるP3校長の信念に基づく判断として理解できないわけではない。しかし,教特法12条1項において,1年間の条件附採用期間を設けた理由については,同法23条で1年間の初任者研修を受けることと平仄をあわせたところにあるから,教員としての適格性を判断するにあたっても,本来,初任者研修による初任者への教育効果を踏まえて判断することが予定されているはずである。しかるに,十分な初任者研修が行われていないにもかかわらず,単なる原告の未熟な人格態度をもって,直ちに原告に教員としての適格性を欠くと判断することは相当ではない。特に,原告の協調性を高める研修効果があると思われる授業以外の研修(当該研修では生活指導力・進路指導力,外部との連携・折衝力,学校運営力・組織貢献力に関する研修が予定されている。甲6,甲36の2)が,本来必要とされる60時間のうち7時間しか実施されておらず,そのことには,前記した平成23年9月以降の指導教員不在が大きく影響していると思われる。かかる研修が十分なされない中で原告が協調性等に欠けると即断することには多大な疑問がある。証拠(乙3,乙8,乙15,証人P7,証人P4)によれば,原告は数学の生徒への指導方法に関する改善があったこと,一部の教員に留まるものの,原告が素直に指導に従う面もみられることがそれぞれ認められることから,仮にP1中学において,実のある初任者研修が行われれば,その研修効果による成長・改善の可能性はあったというべきである。 本件紛争の経過をみると,着任当初の原告の振るまいに,P3校長が原 告の教員としての資質に疑問を持ちつつあった中で0点事件が生じたところ,その過程でのP3校長らのやや過剰あるいは厳しすぎる指導に対して原告が納得せ ,着任当初の原告の振るまいに,P3校長が原 告の教員としての資質に疑問を持ちつつあった中で0点事件が生じたところ,その過程でのP3校長らのやや過剰あるいは厳しすぎる指導に対して原告が納得せず反発し,P3校長がさらに否定的な評価をするという悪循環を招いたといえる。また,P3校長のP4副校長に対する評価の低さ及びそれに伴う両者の関係の悪化(前記1(9))が,P3校長と原告との関係にも影響を与え,さらなる混乱を招いたとも考えられる。仮にP1中学以外の学校で原告が初任者研修を受けていたならば,原告も成長を遂げ,免職されることはなかった可能性は十分に考えられるところである。P3校長の評価のように「どこの学校に行っても戦力にはならない」(乙8)とまではいえない。P3校長の前記総合評価は,生活指導・進路指導に関する不合理な評価を含むほか,不十分な初任者研修にとどまった弊害に留意することなく判断したものとして,客観性を欠き,かつ不合理なものであったといわざるを得ない。 P3校長の上記総合評価が是正されるべきものとすれば,本件要綱によっても,原告は正式採用された蓋然性が認められる。 エ本件処分の違法性本件処分は,P3校長の判断,それに依拠した都教委教育長の判断に依拠しているものと考えられるところ,前記ウに述べたところからして,任命権者の判断は客観性を欠き,不合理なものであって,裁量権の逸脱,濫用があるものと認められるから,本件処分は違法であって取消しを免れない。 3 争点2(P3校長の行為が国家賠償法1条1項の違法な公権力の行使に該当するか)(1) P3校長が平成23年5月30日から原告に対して「観察授業」を開始したこと原告は,P3校長が主導して行った原告に対する「観察授業」は,原告に 対する指導・育成としてなされたも )(1) P3校長が平成23年5月30日から原告に対して「観察授業」を開始したこと原告は,P3校長が主導して行った原告に対する「観察授業」は,原告に 対する指導・育成としてなされたものではなく,P3校長の原告に対する特別な悪感情のもと,原告を常時P3校長の監視下に置き,肉体的・精神的苦痛を与えるためだけになされたものであって,違法なパワーハラスメントであると主張する。 しかし,観察授業に立ち会った教員からP3校長に対しどのような報告がなされていたかを具体的に示す証拠はなく,P3校長が原告を常時監視下に置いたと認めるに足りない。また,観察授業の実施が原告の教員としての技量向上に一定の効果があることは,証人P4及び証人P7も認めている。観察授業は,0点事件を契機として始められたものと考えられるところ,0点事件における原告の行為は教員として不適切なものである。そして,初任者である原告に対する指導方法について,校長には一定の裁量があると考えられる。 以上のことからすれば,P3校長が原告に対し観察授業を実施したことが,国家賠償法上の違法な行為に当たると認めることはできない。 (2) P3校長が平成23年9月7日に初任者研修の指導教員を解任したこと原告は,P3校長は,指導教員の解任により原告が初任者研修を修了できなくなること,さらには,初任者研修の未修了により正式採用が不可能となることを認識しながら,P6主幹を指導教員から解任したのであるから,かかる行為が違法なパワーハラスメントであると主張する。 前記のとおり,P3校長が,P6主幹を原告の指導教員から解任し,後任者を選任しなかったことは,不適切であったといえる。しかし,その直接的な契機は,原告の課題不提出という研修態度の問題性に起因するところが大きい。また,その後,原告に を原告の指導教員から解任し,後任者を選任しなかったことは,不適切であったといえる。しかし,その直接的な契機は,原告の課題不提出という研修態度の問題性に起因するところが大きい。また,その後,原告に対する指導体制がなくなったわけでもない。P3校長がそのような措置をとった背景には,それまでの原告の学校運営に関する行為等に対する否定的評価があり,その評価自体不当なものとはいえない(前記2(4)イ(ウ))。 以上のことからすれば,P3校長が平成23年9月に原告の指導教員を不在にしたことを,国家賠償法上の違法な行為と認めることはできない。 (3) 原告の正式採用を「否」と判断したこと原告は,P3校長が,原告に対する特別な悪感情に基づき,自ら初任者研修の指導教員を解任して原告が初任者研修を修了できない事態を招来し,初任者研修の未修了を一番初めに掲げて原告の正式採用を「否」とした行為が違法なパワーハラスメントであると主張する。 P3校長は原告の正式採用について「否」の判断をしたことが認められるが,それは,原告の教員としての行為に関する校長としての判断によるものであって,個人的な悪感情に基づくものとは認められない。そしてまた,原告に,教員として不適切な態度,事実があったことは前記認定のとおりである。 そうすると,P3校長の原告の正式採用を「否」とした行為が国家賠償法違法な行為であると認めることはできない。 第5 結論以上のとおりであるから,本件処分を取り消し,その余の原告の請求を棄却することとして主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第19部 裁判長裁判官古久保正人 裁判官吉田光寿 裁判官内藤寿彦 事第19部 裁判長 裁判官古久保正人 裁判官吉田光寿 裁判官内藤寿彦

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