主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 第1事件被告大阪市固定資産評価審査委員会が原告に対し平成12年2月7日付けでした別紙物件目録記載の土地に係る平成11年度固定資産課税台帳登録価格についての審査申出を棄却する旨の決定を取り消す。 2 第2事件被告大阪市は,原告に対し,金52万3072円を支払え。 第2 事案の概要本件は,原告が,被告大阪市固定資産評価審査委員会(以下「被告委員会」という。)に対し,大阪市長が平成11年4月16日付けで地方税法(以下「法」という。)417条1項の規定により別紙物件目録記載の土地(以下「本件土地」という。)に係る平成11年度の固定資産課税台帳登録価格を修正した後の登録価格について不服があるとして,被告委員会に対して審査の申出をしたところ,被告委員会がこれを棄却する旨の決定をしたため,同決定の取消しを求め(第1事件),被告大阪市に対し,大阪市長が本件土地につき時価を超える価格を決定して固定資産課税台帳に登録したことにより,不当に高額の固定資産税,都市計画税及び不動産取得税(以下「固定資産税等」という。)を課され,また本件訴訟において本件土地の適正な時価を立証するために鑑定料を支出することを余儀なくされて損害を被ったなどと主張して,国家賠償法1条1項に基づき損害賠償を請求し(第2事件)た事案である。 1 争いのない事実等(1) 前提事実ア本件土地は,別紙図面1記載のとおり,大阪市α区β4番3,同4番4,同4番5,同230番13及び同230番14の各土地に囲繞され直接街路に沿接しない無道路地であり,南東側に位置する街路(都市計画道路γ線(δ筋))(以下「本件街路」という。)からの距離は約14.7メートルである。本件 番13及び同230番14の各土地に囲繞され直接街路に沿接しない無道路地であり,南東側に位置する街路(都市計画道路γ線(δ筋))(以下「本件街路」という。)からの距離は約14.7メートルである。本件土地,同4番3の土地及び同4番2の土地(以下「4番2の土地」という。)上には,木造瓦葺2階建ての2戸1棟の居宅(以下「本件建物」という。)が存在するが,本件土地は,建築基準法上の接道要件(建築基準法43条1項)を満たさないため,単独での再建築は不可能である(甲7)。 イ大阪市α区β4番15,同4番16,同4番20,同4番14,同4番18,同4番17及び同4番19の各土地(以下,上記各土地をそれぞれ「4番15の土地」等という。)は,いずれも本件街路の拡幅用地として,4番15の土地は同4番7の土地から,4番16の土地は同4番6の土地から,4番20の土地は同4番5の土地から,4番14の土地は同4番4の土地から,4番18の土地は同4番12の土地から,4番17の土地は同4番11の土地から,4番19の土地は同4番3の土地から,それぞれ分筆されたものであり(以下,上記各分筆前の各土地をそれぞれ「4番7の土地」等という。),被告大阪市は,4番20の土地については平成10年1月8日,4番14の土地については平成8年10月16日,4番18の土地及び4番17の土地については平成9年9月19日,4番19の土地については同年11月25日,各土地所有者から買い受け,それぞれ所有権移転登記ないし共有者全員持分全部移転登記を経由した(甲49,50,55ないし57)。 ウ本件土地の登記簿上の地積は65.78平方メートルであり,4番4の土地は71.40平方メートル,4番12の土地は21.81平方メートルである(甲48,58,乙12,14の2)。 エ原告は,平成10年11月1 登記簿上の地積は65.78平方メートルであり,4番4の土地は71.40平方メートル,4番12の土地は21.81平方メートルである(甲48,58,乙12,14の2)。 エ原告は,平成10年11月14日,本件土地を所有していたAから代金100万円で本件土地を買い受け(甲1,6),同月19日に所有権移転登記を経由した本件土地の所有者であり(甲58),本件土地に対する平成11年度の固定資産税の納税義務者である。 オ大阪市長は,平成11年4月16日付けで後記キの修正が行われるまで,本件土地を本件街路に沿接する不整形地と認定して評価しており,かかる評価に基づいてその価格を決定し固定資産課税台帳に登録していた。なお,当初,平成11年度の本件土地の登録価格は1274万6000円であった(甲2)。 カ原告は,平成11年3月30日,被告委員会に対し,上記平成11年度の登録価格について審査の申出をした(以下「別件審査申出」という。)(乙29)。 キ大阪市長は,平成11年4月16日付けで,本件土地が本件街路に沿接する不整形地ではなく無道路地であることが判明したとして,法417条1項に基づき,本件土地に係る平成9年度ないし平成11年度の登録価格を修正し(以下「本件修正」という。なお,本件修正による修正前の本件土地に係る平成9年度ないし平成11年度の登録価格を「平成9年度価格」ないし「平成11年度価格」といい(これらを合わせて「本件各価格」という。」),修正後の登録価格を「本件修正後の平成9年度価格」ないし「本件修正後の平成11年度価格」という(これらを合わせて「本件修正後の各価格」という。)。),そのころ,原告にこれを通知した(甲14,乙44の1ないし3)。なお,本件修正後の平成11年度価格は1023万円であった。 ク原告は,平成11年5月10日,被告委 件修正後の各価格」という。)。),そのころ,原告にこれを通知した(甲14,乙44の1ないし3)。なお,本件修正後の平成11年度価格は1023万円であった。 ク原告は,平成11年5月10日,被告委員会に対し,本件修正後の平成11年度価格について審査の申出をし(以下「本件審査申出」という。)(甲59の1),同月11日,別件審査申出を取り下げた(乙30)。 ケ被告委員会は,平成12年2月7日,原告の本件審査申出を棄却する旨の決定(以下「本件決定」という。)をし,同月10日付けで同決定書謄本を送付して原告にこれを通知した(甲3)。 コ原告は,平成12年4月27日,第1事件に係る訴えを提起した。 (2) 法令の定め等ア課税標準等(ア) 固定資産税の賦課期日は,当該年度の初日の属する年の1月1日であり(法359条),基準年度(昭和31年度及び昭和33年度並びに昭和33年度から起算して3年度又は3の倍数の年度を経過したごとの年度,法341条6号)に係る賦課期日に所在する土地に対して課する基準年度の固定資産税の課税標準は,当該土地の基準年度に係る賦課期日における価格で固定資産課税台帳(土地課税台帳等)に登録されたもの(登録価格)である(法349条1項)。そして,この場合の価格とは「適正な時価」をいう(法341条5号)。 (イ) 基準年度に係る賦課期日に所在する土地に対して課する基準年度の翌年度(第2年度)及び翌々年度(第3年度)の固定資産税の課税標準は,原則として,基準年度の固定資産税の課税標準の基礎となった価格で固定資産課税台帳に登録されたものであるが,第2年度又は第3年度において,地目の変換等の特別の事情があるため,基準年度の固定資産税の課税標準の基礎となった価格によることが不適当であるか又は当該市町村を通じて固定資産税の課税上著しく均衡を が,第2年度又は第3年度において,地目の変換等の特別の事情があるため,基準年度の固定資産税の課税標準の基礎となった価格によることが不適当であるか又は当該市町村を通じて固定資産税の課税上著しく均衡を失すると市町村長が認める場合には,当該土地に類似する土地の基準年度の価格に比準ずる価格で固定資産課税台帳に登録されたものである(法349条2項,3項)。 (ウ) 登録価格の決定に際する固定資産の評価については,自治大臣(現総務大臣,以下同じ。)が評価の基準並びに評価の実施の方法及び手続を定め,これを告示しなければならないとされ(平成11年法律第160号による改正前の法388条1項,以下同じ。),同規定に基づいて固定資産評価基準(昭和38年12月25日自治省告示第158号,以下「評価基準」という。)が告示されているところ,市町村長は,評価基準によって固定資産の価格を決定しなければならない(平成11年法律第160号による改正前の法403条1項,以下同じ。)。 (エ) 市町村長は,固定資産評価員又は固定資産評価補助員に当該市町村所在の固定資産の状況を毎年少なくとも1回実地に調査させ(法408条),固定資産評価員から評価調書を受理した場合は,これに基づいて固定資産の価格等を毎年2月末日までに決定し(平成14年法律第17号による改正前の法410条,以下同じ。),直ちにこれを固定資産課税台帳に登録して(平成11年法律第15号による改正前の法411条1項,以下同じ。),毎年3月1日から同月20日までの間,固定資産課税台帳又はその写しを関係者の縦覧に供しなければならず(平成11年法律第15号による改正前の法415条1項,以下同じ。),土地に対する固定資産税の課税標準価格は,固定資産課税台帳に登録されて当該台帳が縦覧に供された後,縦覧期間を経過することによって確 平成11年法律第15号による改正前の法415条1項,以下同じ。),土地に対する固定資産税の課税標準価格は,固定資産課税台帳に登録されて当該台帳が縦覧に供された後,縦覧期間を経過することによって確定する。 (オ) 市町村長は,法415条1項の規定によって固定資産課税台帳又はその写しを縦覧に供した日以後において固定資産の価格等の登録がなされていないこと又は登録された価格等に重大な錯誤があることを発見した場合においては,直ちに固定資産課税台帳に登録された類似の固定資産の価格と均衡を失しないように価格等を決定し,又は決定された価格等を修正して,これを固定資産課税台帳に登録しなければならず,この場合においては,遅滞なく,その旨を当該固定資産に対して課する固定資産税の納税義務者に通知しなければならない(法417条1項)。 (カ) 固定資産税の納税者は,その納付すべき当該年度の固定資産税に係る土地について固定資産課税台帳に登録された事項について不服があるときは,縦覧期間の初日からその末日後10日までの間において,又は法417条1項の通知を受けた日から30日以内に,固定資産評価審査委員会に審査の申出をすることができる(平成11年法律第15号による改正前の法432条1項,以下同じ。)。 イ評価基準(ただし,平成10年自治省告示第87号による改正前のもの,以下同じ。)における土地の評価方法の概要(ア) 宅地の評価(評価基準第1章第3節一)現況が宅地である土地の評価は,各筆の宅地について評点数を付設し,当該評点数を評点1点当たりの価額に乗じて各筆の宅地の価額を求める方法による。 (イ) 評点数の付設(同第3節二)各筆の宅地の評点数は,市町村の宅地の状況に応じ,主として市街地的形態を形成する地域における宅地については「市街地宅地評価法」(路線価式評価法) める方法による。 (イ) 評点数の付設(同第3節二)各筆の宅地の評点数は,市町村の宅地の状況に応じ,主として市街地的形態を形成する地域における宅地については「市街地宅地評価法」(路線価式評価法)によって付設する。本件土地は主として市街地的形態を形成する地域の中にある宅地であり,市街地宅地評価法が適用されるところ,市街地宅地評価法による評点数の付設方法は次のとおりである。 a 地区区分と標準宅地の選定市町村の宅地を商業地区,住宅地区,工業地区,観光地区等(以下「用途地区」という。)に区分し(必要に応じ,商業地区にあっては繁華街,高度商業地区(Ⅰ,Ⅱ),普通商業地区等に,住宅地区にあっては高級住宅地区,普通住宅地区,併用住宅地区等に,工業地区にあっては大工場地区,中小工場地区,家内工業地区等に,それぞれ区分する。),各用途地区を,街路の状況,公共施設等の接近の状況,家屋の疎密度その他の宅地の利用上の便等からみて相当に相違する地域(以下「状況類似地域」という。)ごとに,当該地域の主要な街路に沿接する宅地のうち,奥行,間口,形状等の状況が当該地域において標準的なものと認められるものを標準宅地として選定する。 b 路線価の付設標準宅地について,売買実例価額から評定した当該標準宅地の単位地積当たりの適正な時価に基づき,当該標準宅地の沿接する主要な街路について路線価を付設し,主要な街路以外のその他の街路については,近傍の主要な街路の路線価を基礎とし,主要な街路に沿接する標準宅地とその他の街路に沿接する宅地との間における宅地利用上の便等の相違を総合的に考慮して,その単位地積当たりの路線価を付設する。 なお,標準宅地の適正な時価は,売買が行われた宅地の売買実例価額の内容を検討し,正常と認められない条件がある場合においてはこれを修正して当該宅地 に考慮して,その単位地積当たりの路線価を付設する。 なお,標準宅地の適正な時価は,売買が行われた宅地の売買実例価額の内容を検討し,正常と認められない条件がある場合においてはこれを修正して当該宅地の正常売買価格を求め,当該宅地と標準宅地の位置,利用上の便等の相違を考慮し,上記正常売買価格から評定する。 c 各筆の宅地の評点数の付設各筆の宅地の評点数は,路線価を基礎とし,「画地計算法」(路線価を基礎として当該路線に沿接する各画地について,それぞれの画地の奥行,間口,街路との状況等が宅地の価格に及ぼす影響を,標準画地のこれらの状況との比較において計量しようとするもの)を適用して付設する。 なお,市町村長は,宅地の状況に応じ,必要があるときは,画地計算法の付表等について,所要の補正をして適用する。 (ウ) 評点1点当たりの価額の決定及び指示平均価額の算定(同第3節三)評点1点当たりの価額は,自治大臣又は都道府県知事が指定する指示平均価額に宅地の総地積を乗じ,これをその付設総評点数で除した額に基づいて市町村長が決定する。 (エ) 経過措置(同第12節)a 宅地の評価において,標準宅地の適正な時価を求める場合には,当分の間,基準年度の初日の属する年の前年の1月1日(平成8年1月1日)の地価公示法による地価公示価格及び不動産鑑定士又は不動産鑑定士補による鑑定評価から求められた価格等を活用することとし,これらの価格の7割を目途として評定する(第12節一)。 b 平成9年度の宅地の評価においては,市町村長は,平成8年1月1日から平成8年7月1日までの間に標準宅地等の時価が下落したと認める場合には,上記評価方法により求めた評価額に修正を加えることができる(第12節二)。 ウ大阪市における土地の評価(ア) 大阪市においては,評価基準に基づいて,固定 標準宅地等の時価が下落したと認める場合には,上記評価方法により求めた評価額に修正を加えることができる(第12節二)。 ウ大阪市における土地の評価(ア) 大阪市においては,評価基準に基づいて,固定資産評価実施要領(昭和39年3月25日財評第116号,以下「実施要領」という。)を定め,評価基準及び実施要領(以下「評価基準等」という。)によって固定資産の評価を行っているところ,実施要領は,無道路地,不整形地及び建築基準法上建築が不可能な土地の評価について,次のとおり評価基準を補正している。 (イ) 無道路地については,原則として奥行価格補正割合法(当該無道路地の奥行距離に応じ奥行価格補正率表(実施要領第2編付表1)によって奥行価格補正率を求める。)によって計算した単位地積当たり評点数に,実際利用している街路に接する土地(以下「前地」という。)の奥行距離に応じ,前地補正率表(同付表8)によって求めた補正率を乗じて単位地積当たり評点数を求め,これに地積を乗じて評点数を求め,付近の土地との均衡上必要があるときはさらに30パーセント以内の評点数を控除することができる(同別表3の8)。 (ウ) 不整形地については,計算上の奥行又は実際奥行のいずれかの奥行により奥行価格補正割合法等によって計算した単位地積当たり評点数を求め,これに地積を乗じて評点数を求めるものとされ,付近の宅地との均衡上必要があるときは計算上の奥行と実際奥行との奥行価格補正率の差,不整形の程度,位置及び地積を考慮し,その状況に応じて不整形度を判断し,不整形地補正率表(同付表4)により求めた補正率によって評点数を補正する(同別表3の7)(エ) 建築基準法上建築が不可能な土地の評価については,建築が可能な付近の類似する土地との均衡を考慮して路線価を付設するが,路線価の付設に際し考慮し難い 率によって評点数を補正する(同別表3の7)(エ) 建築基準法上建築が不可能な土地の評価については,建築が可能な付近の類似する土地との均衡を考慮して路線価を付設するが,路線価の付設に際し考慮し難い場合は,20パーセントの評点数を控除することができ,この場合は当該土地の利用状況等を考慮してさらに10パーセント以内の評点数を控除することができる(同第2編第9章3)。 エ平成10年度又は平成11年度における土地の価格の特例平成10年度及び平成11年度分の固定資産税については,当該市町村の区域内の自然的及び社会的条件からみて類似の利用価値を有すると認められる地域において地価が下落し,かつ,市町村長が,土地に対して課する平成10年度及び平成11年度の固定資産税の課税標準を法349条2項ないし6項の規定する価格(以下「修正前の価格」という。)とすることが固定資産税の課税上著しく均衡を失すると認める場合は,当該土地の修正前の価格を自治大臣が定める基準(以下「修正基準」という。)によって修正した価格(以下「修正価格」という。)で固定資産課税台帳に登録されたものを課税標準とすることができ(平成11年法律第160号による改正前の法附則17条の2第1項,以下同じ。),同規定に基づき修正基準(平成9年8月5日自治省告示第126号)が告示されている。 (3) 固定資産税及び都市計画税の賦課決定及び納付本件土地に係る平成11年度ないし平成14年度の固定資産税及び都市計画税について,次のとおり賦課決定がなされ,原告は,被告大阪市に対し,これらの賦課決定に従い固定資産税合計6万6000円及び都市計画税合計2万9400円を納付した。 ア固定資産税(ア) 平成11年度 2万1000円(イ) 平成12年度 1万6200円(ウ) 平成13年度 1万4800円(エ 合計6万6000円及び都市計画税合計2万9400円を納付した。 ア固定資産税(ア) 平成11年度 2万1000円(イ) 平成12年度 1万6200円(ウ) 平成13年度 1万4800円(エ) 平成14年度 1万4000円イ都市計画税(ア) 平成11年度 1万0200円(イ) 平成12年度 6900円(ウ) 平成13年度 6300円(エ) 平成14年度 6000円 2 争点(1) 本件審査手続において主張し得る実体上の違法事由の範囲(被告委員会の主張)本件審査申出は,法417条1項の規定に基づく修正が行われた後の登録価格に対する審査の申出であるところ,同規定に基づく修正後の価格に対する審査手続において審査申出人が主張し得る事由は,当該登録価格等を修正することの当否に限られる。すなわち,法417条1項の規定により,市町村長が固定資産の価格等が登録されていないことを発見して新たに固定資産の価格等を決定した場合には,そもそもそれ以前に確定した登録価格等が存在しないのであるから,基準年度の登録価格等を争うのと同様,主張し得る事由に制限は存しないが,固定資産の登録価格等について新たな修正を行った場合には,登録価格等それ自体がいったん適法に確定して争い得ないものとなっているのであるから,当該修正の当否に限ってこれを争うことが認められるにすぎないものと解すべきである。 本件においては,平成9年度価格が登録された土地課税台帳が縦覧に供された後に審査申出が行われておらず,上記価格は法的に確定しているから,原告は,本件審査手続において,本件土地を無道路地と認定した上での補正率適用の適否並びに法附則17条の2第1項及び修正基準に従って適用された修正率の適否以外の事由を主張することはできない。 原告は,本件修正は実質的には新た て,本件土地を無道路地と認定した上での補正率適用の適否並びに法附則17条の2第1項及び修正基準に従って適用された修正率の適否以外の事由を主張することはできない。 原告は,本件修正は実質的には新たな価格決定とみるべきであると主張するが,本件修正が法417条1項の規定に基づいて行われた「決定された価格」の修正であり,新たに本件土地の価格を決定したものでないことは文言上明らかであるし,本件各価格は本件修正時において有効に存在するものであるから,この点からみても,本件修正が本件土地の価格を新たに決定したものでないことは明白である。被告委員会は,本件修正の当否以外の事項についても判断した上で本件決定を行っているが,これは,市町村長が行う固定資産の評価を中立な立場で審査する権利救済機関としての被告委員会の性質上,審査申出事項をできるだけ広く考慮した結果にすぎない。 (原告の主張)一般的には,法417条1項に基づき登録価格が修正された場合,当該修正に不服のある者の固定資産評価審査委員会に対する審査申出事項は,修正された登録価格の修正率とその修正価格の当否に限られ,修正前に確定していた登録価格そのものに対し審査申出をすることはできないとする考え方もあり得る。しかし,本件修正は,実質的には大阪市長が新たに本件土地に係る平成11年度の価格決定を行ったものといえるから,修正の当否のみならず決定された価格が適正な時価を超えているということも審査申出事項となるというべきであり,現に,被告委員会もこの点につき審査している。 仮にこれが認められないとしても,後記(2)のとおり,大阪市長の行った平成9年度価格の決定は,無道路地である本件土地を街路に沿接する土地と誤認して評価したという重大かつ明白な瑕疵があり無効である。そうすると,平成9年度価格は初めからなか )のとおり,大阪市長の行った平成9年度価格の決定は,無道路地である本件土地を街路に沿接する土地と誤認して評価したという重大かつ明白な瑕疵があり無効である。そうすると,平成9年度価格は初めからなかったこととなり,これを基礎とする平成10年度価格及び平成11年度価格も無効なものとなるから,固定資産の価格等が登録されていなかった場合と同様に,被告委員会に対する審査申出事項には制限がないものと解すべきである。 したがって,本件審査手続においては,本件修正の当否のみならず,本件修正後の平成11年度価格全体が本件土地の適正な時価を超えているということも主張し得るというべきである。 (2) 本件各価格が無効であるか否か(原告の主張)ア瑕疵の重大性について大阪市長は,平成9年度価格の決定の際,本件土地を街路に沿接する不整形地と誤認して本件土地を評価し,価格を決定したのであるが,固定資産の評価において当該土地が無道路地であるか否かはその評価額に大きな影響を与える重要な要素であり,無道路地として評価される場合と街路に沿接する土地として評価される場合とではその評価額に相当な差が生じることは明らかであるから,この点に関する誤認は重大な瑕疵というべきである。 イ瑕疵の明白性について瑕疵が明白であるというのは,処分成立の当初から,誤認であることが外形上客観的に明白である場合を指し,また,瑕疵が明白であるかどうかは,処分の外形上,客観的に誤認が一見看取し得るものであるかどうかにより決すべきであって,行政庁が怠慢により調査すべき資料を見落としたかどうかは,処分に外形上客観的に明白な瑕疵があるかどうかの判定に直接関係を有するものでないとされる(最高裁昭和36年3月7日第三小法廷判決・民集15巻3号381頁)が,次のとおり,平成9年度価格の決定時において に外形上客観的に明白な瑕疵があるかどうかの判定に直接関係を有するものでないとされる(最高裁昭和36年3月7日第三小法廷判決・民集15巻3号381頁)が,次のとおり,平成9年度価格の決定時において,本件土地が無道路地であることは客観的に明白であった。 (ア) 昭和38年11月28日に当時の4番4の土地から4番12の土地を分筆する際の土地表示変更登記申請書に添付された地積測量図(甲17,乙40)によれば,本件土地が無道路地であることは明らかであり,また,上記申請書及び地積測量図は,法382条による通知として法務局から大阪市長に交付され,大阪市長はこれを土地課税台帳に記載することになっている。 (イ) 平成9年度価格の決定当時,本件土地及びその周辺の土地上には別紙図面2記載のとおり建物が建っており,本件土地から本件街路へ至る通路がないことは現地をみれば明らかであった。なお,Aは,本件土地から本件街路に出るため,4番5の土地上の建物と4番4の土地上の建物との間の幅員約1メートルの空間を事実上通行していたが,同空間は建物の屋根や建物の張出部分が各所に出ており,かつ,その北西側の230番14の土地との境界には高さ2メートルのコンクリート造の塀が築造され,外形上,不特定多数人が通路として利用し得る様相を呈するものではなかった。 (ウ) 大阪市住之江区役所税務課備付けの地籍図(乙38,41,42)には,本件土地の一部として,4番4の土地及び4番12の土地と4番3の土地及び4番11の土地との間に,本件土地から本件街路に至る通路状の土地(以下「本件通路部分」という。)が記載されているが,遅くとも昭和63年8月22日には,公図上は本件通路部分の記載はなく(甲16の1),本件土地が無道路地であることは明らかであった。なお,公図に記載された土地の位置,形状,隣 う。)が記載されているが,遅くとも昭和63年8月22日には,公図上は本件通路部分の記載はなく(甲16の1),本件土地が無道路地であることは明らかであった。なお,公図に記載された土地の位置,形状,隣接土地との境界は現況と概ね一致しており,公図は,土地の位置関係,地番配置関係及び地形を証明するために最も価値の高い証拠であって,地籍図より一般的に信用性が高いものである。また,法408条により義務づけられる現地調査の際は,当然対象土地付近の公図又は定期的に公図と照合してこれと合致していることが確認されている地籍図等の資料を持参し,これと現地を照合することが要求されるから,本件土地の現地調査の際,上記公図ないし地籍図と本件土地を照合すれば,公図の記載が正しく地籍図の記載が誤っていることは容易に認識することができた。このことは,別件審査申出の後,大阪市長において本件土地の現地調査等を行って直ちに本件修正をしていることからも明らかである。 (エ) 大阪市長の補助者である大阪市建設局職員は,本件街路拡幅用地の買収のため,平成7年10月24日及び26日,土地の境界,所有関係及び地上建物との関係等につき,現地で本件土地及び周辺土地の所有者から説明を受けた上,平成8年2月19日付けで境界確認図(甲19)を作製しているが,同図によれば本件土地が無道路地であることは明らかである。さらに,大阪市建設局職員は,4番20,4番14,4番18,4番17及び4番19の各土地の分筆登記手続のための地積測量図(甲61ないし65)を作製した上,これらの土地を買収しているが,本件土地については買収を行っていない。 ウ瑕疵の治癒について後記(3)のとおり,本件修正後の各価格も本件土地の適正な時価を著しく超えており,本件修正は適正なものとはいえないから,本件修正によって平成9年 ついては買収を行っていない。 ウ瑕疵の治癒について後記(3)のとおり,本件修正後の各価格も本件土地の適正な時価を著しく超えており,本件修正は適正なものとはいえないから,本件修正によって平成9年度価格の決定の瑕疵が治癒されることはない。 (被告委員会の主張)ア固定資産の価格決定が無効となる場合行政処分は,一般に,当該処分に重大かつ明白な瑕疵が存する場合に無効とされるが,課税処分については,課税要件の根幹に関する内容上の過誤が存し,徴税行政の安定とその円滑な運営の要請を斟酌してもなお,不服申立期間の徒過による不可争的効果の発生を理由として被課税者に当該処分による不利益を甘受させることが著しく不当と認められるような例外的事情のある場合にのみ無効となるとされている。このことは固定資産税の課税標準たる土地の価格の決定にも妥当するというべきであるから,市町村長の行う価格決定が無効となるのは,当該決定が法ないし評価基準等の規定に明白に違反するような例外的事情のある場合に限られると解すべきである。 本件においては上記例外的事情は存在しないというべきであるが,次のとおり,大阪市長が本件土地を本件街路に沿接する不整形地と誤認したことは重大かつ明白な瑕疵に当たらないので,いずれにしても平成9年度価格の決定は有効である。 イ瑕疵の重大性について法417条1項は「重大な錯誤」を発見した場合に修正を行うこととしているが,実務では軽微な錯誤があるにすぎない場合にも同規定により価格の修正を行っている。本件修正は,画地の補正をする際の不整形地補正率の適用を無道路地のものに変更したにすぎず,標準宅地の選定や状況類似地域の把握といった価格決定の根幹に関わる要件について変更したものではないから,本来的な意味の「重大な錯誤」には該当しない。 したがって,大阪 地のものに変更したにすぎず,標準宅地の選定や状況類似地域の把握といった価格決定の根幹に関わる要件について変更したものではないから,本来的な意味の「重大な錯誤」には該当しない。 したがって,大阪市長が,本件土地を本件街路に沿接する不整形地と誤認したことは重大な瑕疵であるとはいえないと解すべきである。 ウ瑕疵の明白性について(ア) 本件土地は,昭和33年3月22日に当時の4番4の土地(地積48坪10,約159.00平方メートル)から分筆されたものであるが,分筆申告書及び添付の地積測量図(乙37)によれば,上記分筆後の4番4の土地(地積28坪20,約93.22平方メートル)と当時の4番3の土地との間に本件通路部分が存在し,同通路部分を含めた本件土地の地積は19坪90(約65.78平方メートル)とされている。本件通路部分はそのころの公図(乙39)及び昭和38年1月改訂の地籍図(乙38)にも記載されているが,昭和38年11月29日に上記分筆後の4番4の土地(地積28坪20,約93.22平方メートル)から4番12の土地が分筆された際の土地表示変更登記申請書及び添付の地積測量図(乙40,甲17)では本件通路部分が消滅している。仮に,本件通路部分を消滅させて本件土地を無道路地とする登記が行われたとすれば,当然本件土地の地積が減少するはずであるが,本件土地の登記地積は昭和33年3月22日の分筆当時の65.78平方メートルのまま変更されていないことから,かかる内容の登記申請は行われなかった可能性が高い。そして,住之江区役所税務課備付けの地籍図(乙41,42)には昭和38年11月29日以後も本件通路部分が記載されており,また,法務局から本件土地及びその隣接土地に係る公図の訂正をした旨の通知がなされなかったことから,本件修正が行われるまで,本件土地は本 )には昭和38年11月29日以後も本件通路部分が記載されており,また,法務局から本件土地及びその隣接土地に係る公図の訂正をした旨の通知がなされなかったことから,本件修正が行われるまで,本件土地は本件街路に沿接する不整形であると認定されていた。なお,別件審査申出後に行った調査の際,法務局の担当者からは,本件土地が無道路地となった時期及び経緯について納得のいく説明は得られなかったが,法務局の公図が訂正されていることを確認して住之江区役所税務課職員が実施した実地調査等を踏まえ,本件修正が行われたものである。 かかる経緯に照らせば,本件土地を本件街路に沿接する不整形地と誤認したことはやむを得ないものというべきであり,これが明白な瑕疵であるとはいえない。 (イ) 大阪市においては毎年1回土地に係る実地調査を実施しているが,ある土地が無道路地であるか否かは実地調査により直ちに判明するものではなく,当該土地ないし隣接地の所有者等からの聞取りによりはじめて判別し得るものも実際には多く存する。本件土地についても,境界確認図(甲19)によれば,4番4の土地上の建物と4番5の土地上の建物との間には幅員約1メートルの通路が存在し,本件建物の居住者は同通路を利用して本件街路に至っていたものであるところ,同通路が土地評価上の「道路」であるか否かは,道路法や建築基準法等の法令の規定のみならず,不特定多数人がその通路を利用し得る状況にあったか否かを基本として判断されなければならないのである。 また,公図は,もともと測量技術が未だ十分に発達していなかったときに1筆の土地ごとに測量して作成した図面を寄せ集めて作られたものであるため,各筆の土地相互間の細部の形状等については不正確な場合も少なくなく,登記実務上は,不動産登記法17条の「地図」ではなく「地図に準ずる図面」とさ 測量して作成した図面を寄せ集めて作られたものであるため,各筆の土地相互間の細部の形状等については不正確な場合も少なくなく,登記実務上は,不動産登記法17条の「地図」ではなく「地図に準ずる図面」とされている。さらに,公図は各土地の位置関係のみを示したもので,利用状況は原則として記載されていないから,公図を閲覧ないし持参の上調査しても当該土地が無道路地であるか否かが直ちに判明するものではない。 (ウ) 境界確認図(甲19)は,買収予定地の正確な地積の確定及び分筆に伴う登記手続の円滑な実施のため,大阪市建設局測量明示課職員の責任において作製され,所轄の法務局に提出されているものであるが,かかる境界確認図を法務局から区役所に送付する取扱いにはなっていない。なお,本件街路拡幅用地の買収のために調査や交渉を担当していたのは固定資産の評価権限を有しない大阪市建設局職員であるから,仮に同局職員が本件土地を無道路地と認識していたとしても,直ちに大阪市長がその旨を認識したことにはならない。 エ瑕疵の治癒仮に大阪市長が本件土地を街路に沿接する不整形地であると誤認したことが重大かつ明白な瑕疵に当たるとしても,大阪市長は,本件修正により,本件土地が無道路地であることを理由として本件各価格を修正したのであるから,本件修正により上記瑕疵は治癒されたものとみるべきである。 (3) 本件土地の適正な時価(被告委員会の主張)ア 「適正な時価」(法341条5号)の意義「適正な時価」とは,評価基準等に従った評価額をいうと解すべきである。すなわち,全国の膨大な数の固定資産を各市町村長が評価するにあたり,評価方法の統一が図られなければ,地域による評価の著しい不均衡が生じて課税の公平が担保されず,税務行政の適正な執行に重大な支障が生じることは明らかであるところ,かかる事 市町村長が評価するにあたり,評価方法の統一が図られなければ,地域による評価の著しい不均衡が生じて課税の公平が担保されず,税務行政の適正な執行に重大な支障が生じることは明らかであるところ,かかる事態を回避して課税の公平を確保するため,自治大臣が評価基準を定め,各市町村長はこれを遵守することが義務づけられているのである。そして,大阪市長は,評価基準に基づき,大阪市の土地の実情を考慮して実施要領を定め,評価基準等の範囲内において適正な裁量権を行使し,評価の均衡に配慮しながら価格を決定しているのであるが,本件のように訴訟となったケースについてのみ,評価基準等に従わずに価格を決定し得るとすれば,課税の公平性を維持し得ず,税務行政の適正な執行に重大な支障が生じることになる。 したがって,固定資産の評価額が「適正な時価」であるか否かは,あくまで,その評価方法が評価基準等に照らして適法かつ妥当であるか否かにより判断されるべきものである。なお,市街地宅地評価法(路線価式評価法)は,「路線価の付設」とこれに基づいて各画地の評点を算出する「画地計算法の適用」の二つの段階に分けられており,建築不可能な無道路地であることによる減価要因は,路線価を付設する際にではなく画地計算法を適用する際に考慮されるものであるから,無道路地とそうでない土地とを同一の路線価で評価することはなんら不合理なことではない。 イ本件土地の適正な時価上記のとおり,本件土地の適正な時価は,固定資産評価基準等に従って評価・決定された本件修正後の各価格である。 原告が本件土地の時価の根拠とする鑑定評価書(甲7)は,標準画地の選定及び価格の算定,本件土地の個性率の判定方法等が適切でなく,同鑑定評価書による本件土地の評価額は客観的合理性及び妥当性を欠いている。 また,Aと原告との間の売買契 定評価書(甲7)は,標準画地の選定及び価格の算定,本件土地の個性率の判定方法等が適切でなく,同鑑定評価書による本件土地の評価額は客観的合理性及び妥当性を欠いている。 また,Aと原告との間の売買契約おいては,本件建物の無償使用借人が死亡するまで当該無償使用を認めるという極めて買主に不利な条件が付されており,原告は,本件土地を自由に使用収益できない土地として買い受けている。土地の評価においては,地上権,借地権等が設定されているものについては,これらの権利が設定されていない土地として評価するものとされており(評価基準第1章第1節三),上記のような条件の下で原告が買い受けた売買価格は,更地評価を原則とする固定資産評価額とは到底相容れないものである。 (原告の主張)ア 「適正な時価」(法341条5号)の意義「適正な時価」とは,客観的交換価値,すなわち不特定多数人間の自由な取引において通常成立する取引価格をいう。法が自治大臣等において評価基準を定めることとしたのは,適正な時価を求めるための方法を委任したものであるから,評価基準に基づき市町村長が決定した固定資産の価格が通常の時価を超える場合は,その決定は違法である。 土地の時価は,本来,鑑定評価理論に従って個々の土地を個別的に評価することにより最も正確に算定し得るものである。大量の固定資産の評価を迅速に行うため,評価基準等を定める必要があることは否定できないとしても,評価基準等を形式的に適用して評価した結果,評価額が当該土地の客観的時価を超えることは当然あり得るのであって,このような場合にも当該評価額を基礎として固定資産税を課することは,かえって課税の公平に反する。なお,評価基準等において採用されている路線価方式は,一つの街路に面した一定の広い範囲の区域の土地につき,均一に評価額を定めるも 額を基礎として固定資産税を課することは,かえって課税の公平に反する。なお,評価基準等において採用されている路線価方式は,一つの街路に面した一定の広い範囲の区域の土地につき,均一に評価額を定めるものであるから,街路に沿接する土地と無道路地,建築可能な土地と建築不可能な土地,無道路地でも通行権のある通路が確保されている土地とそうでない土地とがいずれも同一の路線価となるという不合理な点がある。 イ本件土地の適正な時価本件土地は,無道路地で建築基準法上建築が不可能という極めて価値の低い土地であり,不動産鑑定士Bの不動産鑑定評価書(甲7)のとおり,平成11年1月1日における適正な時価は259万円を上回ることはない。上記鑑定においては,取引事例比較法及び収益還元法を併用して標準画地の更地価額を算定し,階層別・位置別効用比較差に着目する試算,表地全面買収コストに着目する試算及び表地の進入路買収コストに着目する試算を総合的に適用して無道路地としての本件土地の個性率を求めた上で個別具体的に本件土地の適正な評価額を算定しており,評価基準等を機械的に適用したものよりも正確な評価であるといえる。実際,原告はAから本件土地を代金100万円で買い受けたが,100万円でも原告のほかに買手がつかなかったのである。 (4) 本件修正の適否(被告委員会の主張)固定資産の「適正な時価」が評価基準等に従った評価額であることは前記(3)のとおりであるが,本件修正は評価基準等に従って適正になされているから,本件修正後の平成11年度価格は本件土地の適正な時価を上回るものではない。なお,本件修正における無道路地補正率0.70及び建築が不可能なことによる補正率0.80は,いずれも評価基準等の定める最大の率である。 (原告の主張)前記(3)のとおり,固定資産の「適正な時価」 なお,本件修正における無道路地補正率0.70及び建築が不可能なことによる補正率0.80は,いずれも評価基準等の定める最大の率である。 (原告の主張)前記(3)のとおり,固定資産の「適正な時価」とは,当該不動産の客観的交換価値をいうから,本件修正が評価基準等に従ってなされていたとしても,修正後の価格が時価を超えるものである以上,本件修正は違法であるというべきであるが,本件土地の鑑定評価書(甲7)によれば,4番4の土地に対する本件土地の適正個性率は0.12であるから,本件修正でなされた減価補正は少なすぎ,本件修正後の平成11年度価格1023万円は平成11年1月1日当時の本件土地の適正な時価259万円を著しく上回っている。 なお,実施要領は,無道路地の減価補正率を30パーセント以内,建築基準法上建築が不可能な土地の減価補正率を20パーセントと定めているが,建築不可能な無道路地は街路に沿接する建築可能な土地と比して著しく価値が低いものであり,かかる減価補正では不十分である。 (5) 手続上の違法性の有無(原告の主張)被告委員会は,原告が本件修正後の平成11年度価格は本件土地の時価を上回るものであり違法であると主張したにもかかわらず,本件決定において,上記登録価格が本件土地の時価を上回るか否かについて判断をしていないから,本件決定は違法である。 (被告委員会の主張)原告の上記主張は争う。 (6) 被告大阪市の責任(原告の主張)前記(2)のとおり,本件土地を本件街路に沿接する不整形地と誤認してなされた平成9年度価格の決定は無効であり,これに基づき登録された本件各価格も無効であるところ,無効な登録価格を基礎とする課税標準によりなされた課税処分も当然無効であるから,原告に対してなされた平成11年度ないし平成14年度の固定資産税等の賦 に基づき登録された本件各価格も無効であるところ,無効な登録価格を基礎とする課税標準によりなされた課税処分も当然無効であるから,原告に対してなされた平成11年度ないし平成14年度の固定資産税等の賦課決定はいずれも無効である。 そして,前記(2)のとおり,大阪市長ないしその補助者は,昭和38年11月28日ころには4番12の土地の土地表示変更登記申請書添付の地積測量図(甲17,乙40)の送付を受け,また,平成7年10月24日及び26日には,境界確認図(甲19)を作製するために現地で本件土地等の所有者から説明を受けて本件土地の境界等を確認しているから,昭和38年11月28日ころないし平成7年10月24日ころの時点では本件土地が無道路地であることを認識していた。それにもかかわらず,大阪市長は,住之江区役所税務課備付けの地籍図の訂正を怠り,その結果として本件土地を本件街路に沿接する不整形地と誤認したのであるから,上記誤認につき大阪市長に過失があることは明らかである。なお,大阪市内に存する土地に対する固定資産税の賦課・徴収も,大阪市が行う土地の買収も,ともに大阪市長の行政上の権限に基づく行為であり,大阪市長の手足となる補助者の担当が,建設局職員と固定資産評価員とに分けられていても,最終決定権は大阪市長が有するのであるから,土地買収の補助者である建設局職員の認識は大阪市長の認識と評価されるものである。 仮に大阪市長が本件土地が無道路地であることを認識したとは認められないとしても,前記(2)のとおり,本件土地が無道路地であることは客観的に明白で格別の調査を要せずして容易に認識し得たものであるから,大阪市長がこれを認識していなかったということは,法408条により義務づけられた現地調査等の必要な調査を怠っていたということになり,いずれにしても大阪市長に 要せずして容易に認識し得たものであるから,大阪市長がこれを認識していなかったということは,法408条により義務づけられた現地調査等の必要な調査を怠っていたということになり,いずれにしても大阪市長には過失があったと認められる。 よって,被告大阪市は,国家賠償法1条1項に基づき,無効な平成9年度価格の決定により原告に生じた損害を賠償すべき責任を負う。 (被告大阪市の主張)大阪市長の行った平成9年度価格の決定が有効であることは前記(2)のとおりであるが,仮に本件土地を本件街路に沿接する不整形地と誤認したことについて大阪市長に過失があったとしても,後記(7)のとおり,原告はなんら損害を被っていないから,被告大阪市が損害を賠償する責任を負うことはない。 なお,仮に大阪市建設局職員が本件土地を無道路地と認識したとしても,直ちに大阪市長がこれを認識したことにならないことは前記(2)のとおりであるが,大阪市建設局職員は固定資産評価員でも固定資産評価補助員でもなく,他方,住之江区税務課職員は固定資産評価補助員であるから,これらの職員の得た認識に対する法的評価が異なるのは制度上やむを得ない。 (7) 原告の損害(原告の主張)原告が,無効な平成9年度の価格決定ないし課税処分により被った損害は,次のとおり,合計52万3072円である。 ア固定資産税及び都市計画税本件土地の平成10年1月1日ないし平成11年1月1日当時の適正な時価は259万円を上回ることがないから,平成11年度ないし平成14年度の適正な固定資産税額及び都市計画税額は次のとおり合計3万4528円である。よって,原告が現実に賦課・徴収された固定資産税(6万6000円)及び都市計画税(2万9400円)の合計9万5400円と上記適正税額との差額6万0872円が原告に生じた損害となる。 ( 8円である。よって,原告が現実に賦課・徴収された固定資産税(6万6000円)及び都市計画税(2万9400円)の合計9万5400円と上記適正税額との差額6万0872円が原告に生じた損害となる。 (ア) 固定資産税43万1666円(価格の6分の1)×100分の1.4=6043円(4年度分合計税額2万4172円)(イ) 都市計画税86万3333円(価格の3分の1)×100分の0.3=2589円(4年度分合計税額1万0356円)イ不動産取得税原告は,平成11年4月23日付けで,大阪府なにわ南府税事務所長から,本件土地の取得につき21万4000円の不動産取得税の賦課決定を受け,同賦課決定に従いこれを納付した。しかし,原告が本件土地を取得した平成10年11月14日時点の本件土地の適正な時価259万円によれば,原告が納付すべき不動産取得税額は次のとおり5万1800円となるから,原告は,これと上記納付額との差額16万2200円の損害を被った。 129万5000円(価格の2分の1)×100分の4=5万1800円ウ不動産鑑定料原告は,本訴請求に不可欠な本件土地の適正な時価の立証を行うために不動産鑑定を行い,不動産鑑定士に対し鑑定料として30万円を支払った。平成9年度価格の決定により時価を著しく超えた価格が登録され,これが基準となって違法に固定資産税等を課されたのであるから,これに対する救済を求めるためには,本件訴えを提起し,適正な時価についての鑑定を行うことが不可欠である。したがって,上記鑑定料は違法な平成9年度価格の決定と因果関係のある損害である。 (被告大阪市の主張)ア固定資産税及び都市計画税大阪市長は,本件修正後,平成11年度の固定資産税及び都市計画税については,固定資産税を2万1000円,都市計画税を1万0200円とする課税 る。 (被告大阪市の主張)ア固定資産税及び都市計画税大阪市長は,本件修正後,平成11年度の固定資産税及び都市計画税については,固定資産税を2万1000円,都市計画税を1万0200円とする課税額の修正を行った上,平成11年8月23日,原告に対し,差額の7600円を還付した。また,平成12年度ないし平成14年度の固定資産税及び都市計画税は,いずれも本件土地が無道路地であるとの評価に基づく登録価格を基礎として賦課されたものである。 したがって,原告が,大阪市長の行った平成9年度価格の決定により過分の固定資産税及び都市計画税を負担した事実はなく,原告には損害が発生していない。 イ不動産取得税仮に大阪市長の行った平成9年度の価格決定により原告が過分の不動産取得税を負担したとしても,上記決定に基づく損害は,本件街路に沿接する不整形として評価された本件土地の価格に基づいて賦課された不動産取得税額と,無道路地として評価された価格に基づいて賦課されるべき不動産取得税額との差額にとどまるものであるから,原告が主張する本件土地の適正な時価に基づく不動産取得税額との差額については,平成9年度の価格決定との間に因果関係がないというべきである。 ウ不動産鑑定料原告が平成9年度価格の決定に基づく登録価格を是正するためには,単に本件土地が無道路地であることを立証すれば足り,本件土地の「適正な時価」を立証する必要は全くないから,平成9年度価格の決定と原告の鑑定料の支出との間には因果関係がない。 第3 争点に対する判断 1 争点(1)(本件審査手続において主張し得る実体上の違法事由の範囲)について(1) 本件土地の価格決定等証拠(甲2,3,14,59の1及び2,乙1ないし5,10,25,29,30,44の1ないし3)及び弁論の全趣旨を総合すれば,次の る実体上の違法事由の範囲)について(1) 本件土地の価格決定等証拠(甲2,3,14,59の1及び2,乙1ないし5,10,25,29,30,44の1ないし3)及び弁論の全趣旨を総合すれば,次の事実が認められる。 ア本件土地の評価(ア) 標準宅地の選定本件土地は,大阪市α区内の併用住宅地区に区分される地区のうち,ε1番11付近所在の宅地(以下「本件標準宅地」という。)を標準宅地として選定された状況類似地域内に所在する土地とされた。 (イ) 標準宅地の適正な時価の評定及び主要な街路の路線価の付設本件標準宅地の価格調査基準日(平成8年1月1日)における鑑定評価額は1平方メートル当たり59万5000円であり,その7割の価額である1平方メートル当たり41万6000円が平成9年度の本件標準宅地の評価額とされ,これにより本件標準宅地が沿接する主要な街路(ζ線)の路線価は41万6000点とされた。 (ウ) 本件街路の路線価の付設本件修正が行われるまで本件土地は本件街路と沿接する不整形地と認定されていたところ,本件街路と本件標準宅地が沿接する街路との間における街路の状況,公共施設等の接近の状況,家屋の疎密度その他の宅地の利用上の便等の相違を総合的に勘案した結果,本件標準宅地が沿接する街路の方が優れていることから,本件街路の路線価は36万7000点とされた。 (エ) 本件土地の評点数の付設及び評価額の算出本件土地が本件街路に沿接する不整形地であることを前提として,奥行価格補正率0.97(実施要領付表9)及び不整形地補正率0.81(実施要領付表4)が適用され,さらに,建築基準法上建築が不可能な土地であることによる補正率0. 80を適用することとされ(実施要領第9章3),本件街路の路線価36万7000点にこれらの補正率を乗じて単位地積当たりの評 適用され,さらに,建築基準法上建築が不可能な土地であることによる補正率0. 80を適用することとされ(実施要領第9章3),本件街路の路線価36万7000点にこれらの補正率を乗じて単位地積当たりの評点数が求められた。 そして,同評点数に地積65.78平方メートルを乗じ,さらに評点1点当たりの価額(1円)を乗じた結果,本件土地の評価額は1517万4000円と算定された(千円未満切り捨て,以下同じ。)イ平成9年度価格の決定等平成8年1月1日から同年7月1日までの間に大阪市内全域にわたって地価の下落が認められたことから,大阪市長は,評価基準第1章第12節二により,上記1517万4000円を修正して本件土地の平成9年度の価格を1441万5000円と決定し,固定資産課税台帳に登録して関係者の縦覧に供した。 ウ平成10年度価格の決定等大阪市内全域にわたって引き続き平成9年7月1日までの間にも地価の下落が認められたことから,大阪市長は,法附則17条の2第1項及び修正基準に基づき,上記イの平成9年度の修正を行う前の本件土地の価格1517万4000円に時点修正率0.88を乗じた1335万3000円を平成10年度の価格と決定し,固定資産課税台帳に登録して関係者の縦覧に供した。 エ平成11年度価格の決定等大阪市内全域にわたって引き続き平成10年7月1日までの間にも地価の下落が認められたことから,大阪市長は,法附則17条の2第1項及び修正基準に基づき,上記イの平成9年度の修正を行う前の本件土地の価格1517万4000円に時点修正率0.84を乗じた1274万6000円を平成11年度の価格と決定し,固定資産課税台帳に登録して関係者の縦覧に供した。 オ別件審査申出原告は,平成11年3月30日に行った別件審査申出において,本件土地が無道路地で建物が 万6000円を平成11年度の価格と決定し,固定資産課税台帳に登録して関係者の縦覧に供した。 オ別件審査申出原告は,平成11年3月30日に行った別件審査申出において,本件土地が無道路地で建物が建築できない土地であるから客観的交換価値(時価)は約100万円であり,原告がAから買い受けた価格も100万円であると主張して,決定価格を200万円とすることを求めた。 カ本件修正大阪市長は,別件審査申出を受けて本件土地を調査したところ,本件土地が無道路地であることが判明したため,画地計算法における補正率の適用を次のとおり変更して本件土地の評価額を算定した(なお,建築基準法上建築が不可能な土地であることによる補正率0.80の適用については変更がない。)。 すなわち,不整形地補正率は適用しないこととし,他方,無道路地であることの補正として,本件土地の奥行距離が10.40メートルであるため奥行価格補正率を0.99(実施要領付表9),前地(4番4の土地)の奥行距離が14.66平方メートルであるため前地補正率を0.91(実施要領付表10)とし,さらに,付近の土地との均衡を考慮して無道路地補正率を0.70とし(実施要領別表3の8),本件土地が実際利用している街路である本件街路の路線価36万7000点にこれらの補正率を乗じて単位地積当たりの評点数を求め,これに地積65.78平方メートルを乗じ,さらに評点1点当たりの価額(1点)を乗じて,本件土地の評価額が1217万9000円と算定された。そして,平成9年度については評価基準第1章第12節二により,平成10年度及び平成11年度については法附則17条の2第1項及び修正基準により,上記評価額をそれぞれ修正し,本件修正後の平成9年度価格を1157万円,平成10年度価格を1071万7000円,平成11年度価格を び平成11年度については法附則17条の2第1項及び修正基準により,上記評価額をそれぞれ修正し,本件修正後の平成9年度価格を1157万円,平成10年度価格を1071万7000円,平成11年度価格を1023万円としてそれぞれ固定資産課税台帳に登録した。 キ本件審査申出原告は,平成11年5月10日に行った本件審査申出において,別件審査申出における主張と同様の主張をし,決定価格を200万円と変更することを求めた。 (2) 本件審査手続において主張し得る実体上の違法事由の範囲ア上記のとおり,大阪市長は,本件各価格について,平成9年度価格の決定の際に本件土地を本件街路に沿接する不整形地と誤認して評価したことに基づく重大な錯誤があることを発見したとして,法417条1項に基づき,本件修正を行ったことが認められる。 イところで,法は,原則として,基準年度の土地について,第2年度及び第3年度においては基準年度の価格を据え置くこととし,基準年度の登録価格をもって第2年度及び第3年度の登録価格とみなすこととしている(法411条2項)ところ,この場合の第2年度及び第3年度の土地の価格については,地目の変換等法349条2項1号に掲げる特別の事情により同条2項,3項,5項の各ただし書の適用を受けることを主張する場合を除いては審査の申出をすることができず(法432条1項ただし書),また,法附則17条の2第1項の規定による修正がなされた土地の価格については,当該土地に係る当該年度の前年度分の固定資産税の課税標準の基礎となった価格についての不服を審査の申出の理由とすることができない(法附則17条の2第8項)としている。これは,原則として,基準年度の価格についてのみ,法432条1項所定の期間内に限って審査の申出を認め,審査の申出がないまま同期間を経過したときにはも ができない(法附則17条の2第8項)としている。これは,原則として,基準年度の価格についてのみ,法432条1項所定の期間内に限って審査の申出を認め,審査の申出がないまま同期間を経過したときにはもはやこれを争い得ないものとして,固定資産課税台帳の登録内容を早期に確定させることにより,徴税行政の安定とその円滑な運営を確保しようとしたものと解される。 そうすると,法417条1項の規定による修正が行われた時点で,修正前の登録価格につき審査申出期間が経過してすでにこれを争い得なくなっていた場合に,たまたま同規定による修正が行われたことにより,いったんは争い得なくなった事項を改めて争い得るとするのは,上記法の趣旨に反するというべきであり,また,他の納税者との公平を害することにもなるから,法417条1項の規定による修正が行われた場合であっても,修正前の登録価格について審査申出期間の経過によりすでに争い得なくなっていたときは,修正後の価格に対する審査申出において審査申出人が主張し得るのは当該修正に係る事項に限られるものと解するのが相当である。 ウ上記(1)の認定事実によれば,平成11年度価格については原告が別件審査申出を行っているが,平成9年度価格及び平成10年度価格については本件土地に対する固定資産税の納税者から審査申出期間内に適法な審査申出がなされていないから,原告は,本件修正が行われた時点では,平成9年度価格及び平成10年度価格についてはもはや争い得なかったものといわざるを得ない。 したがって,原告が本件修正後の平成11年度価格についての本件審査手続において主張し得るのは,本件修正後の平成11年度価格に関する本件修正及び法附則17条の2第1項の規定に基づく平成11年度の時点修正に係る事項のみに限定され,上記事項以外の事項についての不服を主 続において主張し得るのは,本件修正後の平成11年度価格に関する本件修正及び法附則17条の2第1項の規定に基づく平成11年度の時点修正に係る事項のみに限定され,上記事項以外の事項についての不服を主張することはできないと解するのが相当である。 エもっとも,平成9年度価格の決定が無効である場合には,平成9年度価格及びこれを基礎とする平成10年度価格及び平成11年度価格も効力を有しないこととなるから,形式的には本件各価格に対して法417条1項の規定による修正が行われたとしても,実質的には上記修正時点で新たに本件修正後の各価格が決定されたことになり,そうすると,本件修正がなされた時点において本件各価格に対する審査申出期間が経過していたとしても,本件修正後の各価格に対する審査手続において主張し得る事由は制限されることがないものと解される。 したがって,本件各価格が無効である場合は,原告は,本件審査手続において,本件修正に係る事項以外の事項についても主張することができることになる。そこで,後記2において,本件各価格が無効であるか否かにつき検討することとする。 2 争点(2)(本件各価格が無効であるか否か)について(1) 固定資産の価格決定が無効であると解される場合原告は,本件土地が無道路地であることを看過してなされた平成9年度価格の決定は無効であり,同決定に基づく平成9年度価格並びにこれを基礎とする平成10年度価格及び平成11年度価格も無効であると主張するところ,平成9年度価格の決定に,本件土地を本件街路に沿接する不整形地と誤認して評価基準等の適用を誤った瑕疵があることは前記1において認定したとおりである。しかし,固定資産の価格決定は,法410条に基づき市町村長が行う行政処分であるところ,行政処分が無効であるというためには,単に処分に瑕疵があ った瑕疵があることは前記1において認定したとおりである。しかし,固定資産の価格決定は,法410条に基づき市町村長が行う行政処分であるところ,行政処分が無効であるというためには,単に処分に瑕疵があるというだけでは足りず,その瑕疵が重大かつ明白であると認められることが必要である。そして,瑕疵が明白であるというのは,処分成立の当初から,処分の要件に関する認定が誤りであることが外形上,客観的に明白であることを指し,また,瑕疵が明白であるかどうかは,処分の外形上,客観的に誤認が一見看取し得るものであるかどうかにより決すべきものと解するのが相当である。なお,被告委員会は,固定資産の価格決定を課税処分と同一視し,価格決定が無効となるのは当該決定の根幹に関する内容上の過誤が存し,不服申立期間の徒過による不可争的効果の発生を理由として固定資産税の納税義務者に当該処分による不利益を甘受させることが著しく不当と認められるような例外的事情のある場合に限られると主張するが,固定資産の価格決定は課税処分そのものではなく,一般に処分庁と被課税者との間にのみ存するものともいえないから,これを課税処分と同様に解することはできないというべきである。 そこで,以下,大阪市長が本件土地を本件街路に沿接する不整形地と誤認して評価基準等の適用を誤ったことが重大かつ明白な瑕疵に当たるか否かを検討する。 (2) 重大性市街地宅地評価法の適用される宅地の評価においては,当該土地が無道路地であるか否かはその評価額に大きな影響を及ぼす重要な要素であるというべきであり,本件土地の平成9年度の価格についても,本件土地を本件街路に沿接する不整形地として評価した場合の評価額は1441万5000円,無道路地として評価した場合の評価額は1157万円とされ,約300万円もの差が生じている。 よっ 格についても,本件土地を本件街路に沿接する不整形地として評価した場合の評価額は1441万5000円,無道路地として評価した場合の評価額は1157万円とされ,約300万円もの差が生じている。 よって,大阪市長が本件土地の平成9年度の価格を決定するに当たり,本件土地を本件街路に沿接する不整形地と誤認して評価基準等の適用を誤ったことは重大な法規違反であり,重大な瑕疵に当たると解するのが相当である。 (3) 明白性ア証拠(甲17ないし49,51ないし56,58,61,63,64,乙12,13,14の1ないし3,15,35,37ないし43)及び弁論の全趣旨を総合すれば,次の事実が認められる。 (ア) 昭和33年3月20日,当時の大阪市α区β4番4の土地(地積48坪10・約159.00平方メートル)から本件土地が分筆されたが,同分筆の際の土地分筆申告書及び地積測量図(昭和33年3月15日実測)(乙37)によれば,上記分筆後の4番4の土地の地積は28坪20(約93.22平方メートル),本件土地の地積は19坪90(約65.78平方メートル)であり,また,上記分筆後の4番4の土地と当時の4番3の土地との間に,本件土地の一部として,幅0. 5間(約0.9メートル),地積4坪70(約15.53平方メートル)の本件通路部分が存在していた。 (イ) A(旧姓○○)は,昭和33年3月25日,上記分筆前の4番4の土地の所有者であったCから本件土地を買い受け,同月29日に所有権移転登記を経由し,原告は,平成10年11月14日,Aから本件土地を買い受け,同月19日に所有権移転登記を経由しているが,登記簿上,本件土地について分筆や地積の更正等がなされた形跡はなく,本件土地の地積は現在に至るまで65.78平方メートルのままで推移している。 (ウ) 昭和38年11月29日, 登記を経由しているが,登記簿上,本件土地について分筆や地積の更正等がなされた形跡はなく,本件土地の地積は現在に至るまで65.78平方メートルのままで推移している。 (ウ) 昭和38年11月29日,当時の4番4の土地から4番12の土地が,当時の4番3の土地から4番11の土地がそれぞれ分筆されたところ,4番12の土地が分筆された際の土地表示変更登記申請書及び地積測量図(昭和38年11月15日作製)(甲17,乙40)によれば,上記分筆前の4番4の土地の地積は28坪20(約93.22平方メートル),分筆後の4番4の土地の地積は21坪60(約71.64平方メートル),4番12の土地の地積は6坪60(約21.81平方メートル)であるが,上記地積測量図及び4番11の土地が分筆された際の地積測量図(昭和38年11月15日作製)(甲66)のいずれにも本件通路部分の記載はない。 (エ) Dは,昭和38年10月17日,売買により4番12の土地及び4番11の土地を取得して同年12月13日に所有権移転登記を経由し,E,F及びG(旧姓○○)は,昭和42年5月25日,贈与により4番4の土地を取得して同年6月8日に所有権移転登記を経由した。 (オ) 昭和33年3月20日,本件土地が当時の4番4の土地から分筆されたころの公図(乙39)には本件通路部分の記載があったが,昭和63年8月22日に閉鎖された公図(甲16の1)及びその後の公図(甲16の2)には本件通路部分が記載されていない。 (カ) 住之江区役所税務課備付けの地籍図(乙38,41,42)には,別件審査申出により本件土地が無道路地であることが判明して訂正されるまで,上記(ウ)の当時の4番4の土地及び4番12の土地と上記(ウ)の当時の4番3の土地及び4番11の土地との間に,本件通路部分が記載されていた。 (キ) 被告 無道路地であることが判明して訂正されるまで,上記(ウ)の当時の4番4の土地及び4番12の土地と上記(ウ)の当時の4番3の土地及び4番11の土地との間に,本件通路部分が記載されていた。 (キ) 被告大阪市は本件街路の拡幅を計画していたところ,平成7年10月24日及び26日,道路用地として4番4の土地等本件街路に沿接する土地の一部を買収するため,同市建設局職員が現地において関係土地所有者等の立会の下で土地の境界の確認を行った上,平成8年2月19日,別紙図面2のとおり本件土地周辺の境界確認図(甲19)を作製し,A,4番4の土地共有者代表E及びDを含む関係各土地所有者から,同図に記載された境界のとおり相違ないことを承諾する旨の署名押印を得た。また,上記境界確認図(甲19)が作製されたころ,本件土地及びその周辺の土地上には,別紙図面2記載のとおり建物が存在しており,Aは,本件土地から本件街路に出るために,4番5の土地上の建物と4番4の土地上の建物との間の約1メートル幅の部分を事実上通行していた。 (ク) 平成8年10月24日,4番14の土地が4番4の土地から分筆され,4番14の土地について,同年11月5日,同年10月16日売買を原因として,E,F及びGから被告大阪市に対する共有者全員持分全部移転登記が経由された。 また,平成9年10月9日,4番18の土地が4番12の土地から,4番17の土地が4番11の土地からそれぞれ分筆され,4番18の土地及び4番17の土地について,同月20日,同年9月19日売買を原因として,Dから被告大阪市に対する所有権移転登記が経由された。なお,上記各分筆申請の際の地積測量図(甲61,63,64)は,大阪市建設局職員が作製した。 イ(ア) 上記のとおり,遅くとも昭和63年8月22日までには,公図上,本件土地が無道路地であること れた。なお,上記各分筆申請の際の地積測量図(甲61,63,64)は,大阪市建設局職員が作製した。 イ(ア) 上記のとおり,遅くとも昭和63年8月22日までには,公図上,本件土地が無道路地であることを示す境界線が引かれ,境界確認図(甲19)が作製された平成8年2月19日当時,本件土地,4番4の土地及び4番12の土地等の所有者も本件土地等の境界が別紙図面2記載のとおりである旨確認していたこと,また,本件通路部分が存在したと考えられる部分には建物が存在して通路は存在せず,大阪市が本件街路の拡幅用地として買収した土地の中に本件通路部分は存在しなかったことが認められる。さらに,4番12の土地及び4番11の土地が分筆される際の土地表示変更登記申請書添付の地積測量図には本件通路部分の記載がないところ,大阪市において,法務局との取り決めにより,大阪市の各区役所の税務課職員が概ね毎月1回程度所管の法務局又はその出張所に赴き,新たに受け付けられた表示登記の申請書の写しの交付を受けることで法382条1項に規定する通知の処理がなされていることは当事者間に争いがない。 (イ) 他方,上記アの認定事実によれば,昭和33年3月20日に当時の4番4の土地から本件土地が分筆された時点では,本件土地の一部として本件通路部分が存在していたと認められることから,その後,本件通路部分は本件土地から分筆されて4番12の土地が分筆される前の4番4の土地又は4番4の土地及び4番12の土地に合筆されたものと推認されるところ,登記簿上は,本件土地から本件通路部分が分筆されて他の土地に合筆された形跡はなく,住之江区役所税務課備付けの地籍図においても,本件修正が行われるまでは本件通路部分が記載されていた。 また,4番11の土地及び4番12の土地の分筆の際の地積測量図が法務局から大阪市長に送 跡はなく,住之江区役所税務課備付けの地籍図においても,本件修正が行われるまでは本件通路部分が記載されていた。 また,4番11の土地及び4番12の土地の分筆の際の地積測量図が法務局から大阪市長に送付されていたとしても,本件土地は上記各分筆の対象地ではない上,4番12の土地の分筆のための地積測量図では4番12の土地が測量されているのみで,当時の4番4の土地の正確な地積等は明らかでなく,上記各地積測量図に従って本件土地分筆の際の地積測量図が訂正された事実も認められないから,上記各地積測量図に示された本件土地と当時の4番4の土地との境界が正確なものであることが明らかであるとはいえないし,公図(旧土地台帳附属地図)は,当該土地の境界を示す重要な資料ではあるが,当初は租税徴収を目的として作成されたという沿革及び作成当時の測量技術からみて,必ずしも精度が高いものであるとはいえないことから,公図において本件通路部分の記載がないことから直ちに本件土地が無道路地であると認定することができるとはいえない。 さらに,本件土地等の所有者が本件土地等の境界が別紙図面記載のとおりであることを確認しており,本件通路部分が存在すべき土地上に建物が存在していたとしても,土地の境界は登記官が分筆又は合筆の手続をなすことによってはじめて変動するものであって,隣接地所有者間の合意や事実上の利用状況によって定まるものではなく,また,現実の利用状況と土地の境界が一致しないことも少なくないから,かかる事実のみで本件土地の境界が明らかになるということもできない。 (ウ) 以上のような事情を総合すれば,本件土地の平成9年度価格の決定時において,本件通路部分が実際には存在せず,また,本件土地と4番4の土地との境界が別紙図面1記載のとおりであることが何人の判断によっても明らかであったとは 合すれば,本件土地の平成9年度価格の決定時において,本件通路部分が実際には存在せず,また,本件土地と4番4の土地との境界が別紙図面1記載のとおりであることが何人の判断によっても明らかであったとはいえないというべきであるから,本件土地が無道路地であることが外形上,客観的に明白であったとは認められない。 よって,大阪市長が本件土地を本件街路に沿接する不整形地と誤認して評価基準等を適用したことが明白な瑕疵であるということはできない。 (4) 小括以上によれば,平成9年度価格の決定に重大かつ明白な瑕疵があったとは認められず,本件各価格はいずれも一応有効に存在していたものと認められるから,前記1のとおり,原告が本件修正後の平成11年度価格についての本件審査手続において主張し得るのは,本件修正後の平成11年度価格に関する本件修正及び法附則17条の2第1項の規定に基づく平成11年度の時点修正に係る事項に限られるものというべきである。 3 争点(4)(本件修正の適否)について(1) 原告は,本件修正においては,無道路地でかつ建築基準法上建築が不可能なことによる減価補正が少なすぎるため,本件修正後の平成11年度価格は本件土地の適正な時価を著しく上回っていると主張する。 ところで,固定資産税は,固定資産の価値に着目して課される財産税であると解されるから,その課税標準の基礎となる固定資産の「適正な時価」とは,正常な条件の下に成立する当該固定資産の取引価格,すなわちその客観的な交換価値をいうものと解するのが相当である。もっとも,法は,全国に大量に存在する固定資産の評価を適正・迅速に行い,各市町村における評価方法の不統一により評価の不均衡が生ずることを防止するために,市町村長が固定資産の価格を決定するには,自治大臣が定めた評価基準という統一的な基準によっ の評価を適正・迅速に行い,各市町村における評価方法の不統一により評価の不均衡が生ずることを防止するために,市町村長が固定資産の価格を決定するには,自治大臣が定めた評価基準という統一的な基準によって行わなければならないとし(法403条1項),市町村長に評価基準に従って固定資産の評価を行うべきことを義務づけているところ,かかる法の趣旨からすれば,評価基準自体が不合理である,あるいは違法であるというような特段の事情がない限り,固定資産の評価が評価基準に従って適正に行われている以上,その価格は固定資産税の課税標準として適正な価格とみるべきである。 (2) 評価基準は,無道路地の評点算出法として,原則として,実際利用している路線に接する土地とあわせて算出した評点数から,無道路地以外の土地に相当する評点数を控除して算出した評点数を基礎とし,その無道路地の近傍の宅地との均衡を考慮して,その3割以内の評点数を控除した評点数によるものとしている(評価基準第1章別表第3,7(2))。そして,市町村長は,宅地の状況に応じ,必要があるときは,画地計算法の付表等について,所要の補正をして適用することが認められているところ(評価基準第1章第3節二4),前記争いのない事実等において認定したとおり,大阪市においては,評価基準に基づいて実施要領を定め,無道路地については,原則として当該無道路地の奥行距離に応じて奥行価格補正率を求め,これに前地の奥行距離に応じて求めた補正率を乗じて単位地積当たり評点数を求め,さらに付近の土地との均衡上必要があるときは30パーセント以内の評点数を控除することができるとしているのであり,これは基礎となる評点数を求める際の補正率を補正したにとどまるものであるから,評価基準の許容範囲内のものであると解される。 原告は,実施要領の定める無道路 を控除することができるとしているのであり,これは基礎となる評点数を求める際の補正率を補正したにとどまるものであるから,評価基準の許容範囲内のものであると解される。 原告は,実施要領の定める無道路地の評点算出法自体が,著しく価値の低い無道路地であることによる減価補正としてはその程度が不十分で合理性を欠くとも主張するところ,一般に,無道路地は,直接街路に沿接する土地に比し著しくその利用が制限されるためその価格も減少するものであるが,本来無道路地には原則として民法上囲繞地通行権が認められるものであるし,無道路地であっても,街路に沿接する隣接地と一体的に利用することや街路に沿接する隣接地に通路を開設することにより無道路の状態を解消することは可能である。さらに,無道路地でかつ建築基準法上の接道要件を満たさないために建物を建築することが不可能な土地については,実施要領は,無道路地であることの補正とは別に路線価の付設の際にこれを考慮することとし,これを行い難い場合は20パーセントの評点数を控除することとし,さらに当該土地の利用状況等を考慮して10パーセント以内の評点数を控除することができるとしている。なお,原告は,実施要領の定める建築基準法上建物が建築できないことによる補正方法も不合理であると主張するが,平成9年度価格の決定に際する評価では本件建物が建築不可能な土地であることに基づき20パーセントの評点数が控除されており,本件修正においてはこの点は修正されていないのであるから,原告は,本件修正の対象となっていない建築不可能なことによる補正率の適否を争うことはできないものと解される。 かかる事情を考慮すると,無道路地について,上記のような補正方法を定めた実施要領が特に不合理であるということはできず,他にこれを違法とするような特段の事情は認められな とはできないものと解される。 かかる事情を考慮すると,無道路地について,上記のような補正方法を定めた実施要領が特に不合理であるということはできず,他にこれを違法とするような特段の事情は認められないというべきである。 (3) そして,前記1において認定したとおり,大阪市長は,本件土地の奥行距離が10.40メートルであるため奥行価格補正率を0.99,前地である4番4の土地の奥行距離が14.66平方メートルであるため前地補正率を0.91とし,さらに,付近の土地との均衡を考慮して無道路地補正率を0.70として,本件修正を行ったのであり,上記各補正率の適用はいずれも実施要領に従って適正になされたものであると認められる。 よって,本件修正後の平成11年度価格は,本件土地の適正な時価を超えるものではないから,原告の本件審査申出を棄却した本件決定に違法な点は存しないというべきである。 4 争点(5)(手続上の違法性の有無)について原告は,被告委員会は,本件決定において,本件修正後の平成11年度価格が時価を上回るものであるか否かについて判断をしていないと主張するが,前記2のとおり,そもそも本件審査申出において審査の対象となるのは本件修正及び法附則17条の2第1項の規定に基づく平成11年度の修正に係る事項に限られるものであるし,証拠(甲3)によれば,被告委員会は,上記各修正の適否も含めて本件土地の評価全体について,これが評価基準等に従って適正になされたものと認定した上で本件修正後の平成11年度価格が適正なものであると判断しており,本件決定に原告の主張するような違法はない。 5 争点(6)(被告大阪市の責任)及び(7)(原告の損害)について(1) 原告は大阪市長による本件各価格の決定が無効であるとして,また,無効な登録価格を基礎とする課税標準による固定 な違法はない。 5 争点(6)(被告大阪市の責任)及び(7)(原告の損害)について(1) 原告は大阪市長による本件各価格の決定が無効であるとして,また,無効な登録価格を基礎とする課税標準による固定資産税等の賦課決定も当然無効であるとして,被告大阪市に対し国家賠償請求をしている。ところで,行政処分の違法を理由として国家賠償請求を行う場合,取消訴訟により当該処分を取り消して公定力を排除しておく必要があるか否かが問題となるが,国家賠償請求訴訟は行政処分の効力そのものを問題とするものではなく,取消訴訟とは目的,要件及び効果を異にするものであるから,公定力ないし取消訴訟の排他的管轄の制度に反せず,当該処分に重大かつ明白な瑕疵があり無効である場合はもちろん,取り消し得べき瑕疵があるにとどまる場合であっても,当該処分を取り消すことなく国家賠償請求を行い得るものと解される。しかしながら,課税処分の違法を理由とする国家賠償請求において,国家賠償法に基づく請求と過納金の還付請求が同一内容であるような場合にも直ちに国家賠償請求が可能であるとすると,実質的には,当該課税処分を取り消すことなく過納金の返還請求を認めたのと同一の効果が生じることとなり,不服申立期間の制限等により課税処分を早期に確定させて徴税行政の安定とその円滑な運営を確保しようとした法の趣旨が没却される結果を招来することから,課税処分の違法を理由とする国家賠償請求については,当該課税処分が無効なものでなく取り消し得べきものにとどまる場合は,これを取り消した上でなければ,国家賠償請求はなし得ないものと解するのが相当である。 原告の被告大阪市に対する請求のうち,平成11年度分ないし平成14年度分の固定資産税等の過剰徴収金額相当額の損害賠償請求は,直接は大阪市長の価格決定の違法を理由とする請求である るのが相当である。 原告の被告大阪市に対する請求のうち,平成11年度分ないし平成14年度分の固定資産税等の過剰徴収金額相当額の損害賠償請求は,直接は大阪市長の価格決定の違法を理由とする請求であると解されるが,実質的には,本件土地に対する固定資産税等の賦課決定の違法を理由とする請求というべきであり,その内容は被告大阪市ないし大阪府に対する過誤納金の返還請求と同一である。そして,原告は,本件土地の登録価格が無効であることから当然に固定資産税等の賦課決定も無効であるとするが,平成11年度価格が無効であるといえないのは前記2で説示したとおりであり,平成12年度以降の登録価格が無効であることを窺わせる事情も認められないから,これらの価格を基礎とする課税標準によりなされた固定資産税等の賦課決定が当然無効であるとはいえず,他にこれらの賦課決定が無効であることを窺わせる事情は認められない。したがって,原告は,固定資産税等の賦課決定を取り消してその公定力を排除した上でなければ,国家賠償法に基づいてその過剰徴収金額相当額の損害賠償を請求することはできないというべきである。 よって,原告の被告大阪市に対する請求のうち,固定資産税等の過剰徴収金額相当額の損害賠償請求については,その余の点につき判断するまでもなく理由がない。 (2) 次に,原告は,大阪市長が本件土地が無道路地であることを看過して時価を著しく超える価格を決定,登録したことから,これを是正するために本件土地の適正な時価を立証することが必要となり,そのために不動産鑑定を行って鑑定料を支払うことを余儀なくされたとして,鑑定料相当額の損害賠償を請求している。 しかし,平成9年度価格の決定の瑕疵は,大阪市長が無道路地である本件土地を本件街路に沿接する不整形地であると誤認して評価基準等を適用したというもの れたとして,鑑定料相当額の損害賠償を請求している。 しかし,平成9年度価格の決定の瑕疵は,大阪市長が無道路地である本件土地を本件街路に沿接する不整形地であると誤認して評価基準等を適用したというものであるから,原告が上記価格決定による登録価格の是正を求めるためには,本件土地が本件街路に沿接する不整形地ではなく無道路地であることを立証すれば足り,本件土地の時価を立証する必要はない。したがって,原告が本件土地の時価を立証するために鑑定料を支払ったとしても,上記瑕疵のある平成9年度価格の決定との間には因果関係がないというべきである。 よって,原告の被告大阪市に対する請求のうち,鑑定料相当額の損害賠償請求についても,大阪市長の過失の有無等のその余の点につき判断するまでもなく理由がない。 6 結論以上によれば,原告の請求はいずれも理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第二民事部裁判長裁判官三浦潤裁判官千松順子裁判官林俊之は転補につき署名押印することができない。 裁判長裁判官三浦潤
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