平成21(ワ)30649 損害賠償等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成23年7月22日 東京地方裁判所
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判決文本文25,696 文字)

- 1 -平成23年7月22日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成21年(ワ)第30649号損害賠償等請求事件口頭弁論終結日平成23年4月19日判決東京都千代田区<以下略>原告株式会社町田電機商会訴訟代理人弁護士金森 仁同井上明子東京都世田谷区<以下略>被告株式会社マチデン東京都江東区<以下略>被告 B1東京都世田谷区<以下略>被告 B2東京都墨田区<以下略>被告 B3東京都江戸川区<以下略>被告 B4東京都葛飾区<以下略>被告 B5被告ら訴訟代理人弁護士江藤鉄兵 主文 1 被告らは,原告に対し,連帯して497万7642円及びこれに対する被告株式会社マチデン,被告B1及び被告B2においては平成21年10月8日から,被告B3及び被告B4においては同月14日から,被告B5においては同月7日から各支払済みまで年5分の割合に- 2 -よる金員を支払え。 2 原告の被告らに対するその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は,これを20分し,その1を被告らの負担とし,その余は原告の負担とする。 4 この判決の第1項は,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 被告らは,原告に対し,連帯して1億0310万8594円及びこれに対する被告株式会社マチデン,被告B1及び被告B2においては平成21年10月8日から,被告B 実及び理由第1 請求 1 被告らは,原告に対し,連帯して1億0310万8594円及びこれに対する被告株式会社マチデン,被告B1及び被告B2においては平成21年10月8日から,被告B3及び被告B4においては同月14日から,被告B5においては同月7日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告株式会社マチデンは,「株式会社マチデン」の商号を使用してはならない。 3 被告株式会社マチデンは,東京法務局世田谷出張所平成21年6月11日受付の被告株式会社マチデンの設立登記中,「株式会社マチデン」の商号の抹消登記手続をせよ。 第2 事案の概要本件は,原告が,原告の監査役の地位にある被告B1(以下「被告B1」という。)が,いずれも原告の元従業員である被告B2(以下「被告B2」という。),被告B3(以下「被告B3」という。)及び被告B4(以下「被告B4」という。)並びに原告の下請会社の取締役である被告B5(以下「被告B5」といい,また,上記被告5名を総称して,「被告B1ら」という場合がある。)と共謀の上,原告の配送センターから原告所有の営業用資産を無断で運び出し,原告の業務から一斉に離脱するとともに,原告の顧客住所録等の重要書類をすべて奪って原告の営業活動を停止させ,更にこれらの重要書類を用いるなどして新たに設立した被告株式会社マチデン(以下「被告会社」という。)- 3 -において原告の取引先への営業行為を行い,原告の顧客を横奪したことが,原告の営業用資産の所有権侵害及び営業利益侵害の共同不法行為(被告B1については,選択的に監査役の会社に対する任務懈怠)に該当し,また,被告会社の商号「株式会社マチデン」(以下「被告商号」という。)の使用は,原告の営業表示として周知な「株式会社町田電機商会」の商号(以下「 ては,選択的に監査役の会社に対する任務懈怠)に該当し,また,被告会社の商号「株式会社マチデン」(以下「被告商号」という。)の使用は,原告の営業表示として周知な「株式会社町田電機商会」の商号(以下「原告商号」という。)又はその略称である「町電(マチデン)」と類似する営業表示の使用として不正競争防止法(以下「不競法」という。)2条1項1号の不正競争行為に該当するなどと主張し,被告B1らに対し,民法719条,709条(被告B1については,選択的に会社法423条1項)に基づく損害賠償を求め,被告会社に対し,民法719条,会社法350条,不競法4条に基づく損害賠償と同法3条1項に基づく被告商号の使用の差止め及び同条2項に基づく侵害の停止に必要な行為として被告商号の抹消登記手続を求めた事案である。 1 争いのない事実(弁論の全趣旨により認められる事実を含む。)(1) 当事者ア原告は,電気,照明器具のリース及び工事等を目的とする株式会社であり,その主な業務は,展示会,イベント等の会場における電気工事及び照明器具等のレンタルである。 原告は,東京に本社,名古屋に営業所を置き,それぞれ営業の拠点となる配送センター(以下,東京本社の配送センター(東京都墨田区緑所在)を「緑配送センター」という。)を有している。 なお,原告は,亡C(以下「亡C」という。)が昭和35年に個人で創業した「町田電機商会」を法人化して,昭和54年12月15日に設立されたものであり,その代表取締役であるA(以下「原告代表者」という。)の妻D(以下「D」という。)及び被告B1は,いずれも亡Cの子であり,また,Dと被告B1は,姉と弟の関係にある。 イ(ア) 被告会社は,平成21年6月11日に設立された,展示会,イベン- 4 -ト,キャンペーンに伴う電気工事及び電気, ,いずれも亡Cの子であり,また,Dと被告B1は,姉と弟の関係にある。 イ(ア) 被告会社は,平成21年6月11日に設立された,展示会,イベン- 4 -ト,キャンペーンに伴う電気工事及び電気,照明器具のリース・レンタル,販売等を業とする株式会社である。 (イ) 被告B1は,原告の監査役であり,平成21年6月末ころまで原告の下請業務を行っていた有限会社トータルワン(以下「トータルワン」という。)の取締役である。 被告B1は,緑配送センターを拠点としてトータルワンが原告から委託を受けた下請業務を行い,被告会社の設立以降は,その専務取締役を名乗って被告会社の業務に従事している。 (ウ) 被告B2は,平成21年6月末ころまで緑配送センターで勤務していた原告の元従業員であり,被告会社の代表取締役である。 (エ) 被告B3及び被告B4は,いずれも,平成21年6月末ころまで緑配送センターで勤務していた原告の元従業員である。 (オ) 被告B5は,平成21年6月末ころまで原告の下請業務を行っていた有限会社ピュアライフ(以下「ピュアライフ」という。)の取締役である。 被告B5は,緑配送センターを拠点としてピュアライフが原告から委託を受けた下請業務を行い,被告会社の設立以降は,その取締役を名乗って被告会社の業務に従事している。 (2) 被告B1らによる原告の営業用資産等の運び出しとその後の返却ア被告B1らは,平成21年6月当時,緑配送センターにおいて,原告本社が受注した業務又はその下請業務に従事していた。他方,原告代表者は,原告の名古屋営業所に常駐し,主に同営業所における業務全般の統括に当たっていた。 緑配送センターにおける業務は,東京近郊で開催される各種展示会やイベント等の会場において,顧客からの依頼に基づき,原告が保有する照明 に常駐し,主に同営業所における業務全般の統括に当たっていた。 緑配送センターにおける業務は,東京近郊で開催される各種展示会やイベント等の会場において,顧客からの依頼に基づき,原告が保有する照明器具や電気資材を使用して電気工事を行うとともに,これらの器具等をレ- 5 -ンタルするというものであった。 そのため,原告は,上記業務に必要とされる各種の照明器具,電気資材,工具類等を所有しており,平成21年6月当時の緑配送センターにおいても,上記業務に使用される原告所有の照明器具,電気資材,工具類等(以下,これらを「営業用資産」と総称する。)が保管されていた。 イ被告B1並びにその指示を受けた被告B2,被告B3,被告B4及び被告B5らは,平成21年6月17日から同月末ころまでの間に,原告代表者の了解を得ることなく,緑配送センターに保管されていた原告所有の営業用資産を数回に分けて運び出し,これらを被告会社の倉庫に移動させた。 その際,被告B1らは,緑配送センター内に保管されていた原告の顧客住所録等の書類も持ち出した。 ウ被告らの代理人弁護士は,平成21年8月18日,原告の代理人弁護士に対し,話合いの上で,緑配送センターから運び出された営業用資産を返却する旨の書面(乙12)を送付した後,同月末ころまでに被告B1らが緑配送センターから運び出した物品(住所録等の書類を含む。)をリストアップした書面(乙3,4)を作成して原告の代理人弁護士に送付し,その後,同年9月末ころまでに,上記リストアップした物品を原告に返却した。 (3) 被告会社における営業活動被告会社は,平成21年7月,「代表取締役B2」,「専務取締役B1」及び「取締役B5」の連名で,被告会社の設立・開業に当たっての挨拶等を記載した「新会社設立の挨拶状」と題する書 における営業活動被告会社は,平成21年7月,「代表取締役B2」,「専務取締役B1」及び「取締役B5」の連名で,被告会社の設立・開業に当たっての挨拶等を記載した「新会社設立の挨拶状」と題する書面(甲3。以下「本件挨拶状」という。)及び「代表取締役B2」の名義で,被告会社の設立に伴い振込用の銀行口座を開設した旨を案内する内容の「お振込口座新設のご案内」と題する書面(甲5。以下「本件案内状」という。)を作成し,原告の緑配送セ- 6 -ンターと取引のある75の会社又は個人に対してこれらを郵送するとともに,同じく原告の緑配送センターと取引のある41の会社又は個人(ただし,その一部は,上記75の会社又は個人と重複する。)に対してこれらをファックス送信した。 2 争点本件の争点は,次のとおりである。 (1) 被告B1らが原告の緑配送センターから営業用資産を無断で運び出したことについて,原告の被告らに対する営業用資産の所有権侵害の共同不法行為(被告B1については,選択的に監査役としての任務懈怠)に基づく損害賠償請求の可否(争点1)(2) 被告B1らの一連の行為について,原告の被告らに対する営業利益侵害の共同不法行為(被告B1については,選択的に監査役としての任務懈怠)に基づく損害賠償請求の可否(争点2)(3) 被告会社による被告商号の使用について,不競法2条1項1号の不正競争行為の成否及び原告の損害額(争点3)第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(営業用資産の所有権侵害の共同不法行為等に基づく損害賠償請求の可否)(1) 原告の主張ア被告B1らによる原告の所有権の侵害行為被告B1らは,共謀の上,平成21年6月17日から同月末ころまでの間に,原告代表者の了解を得ることなく,原告の緑配送センターに保管され 原告の主張ア被告B1らによる原告の所有権の侵害行為被告B1らは,共謀の上,平成21年6月17日から同月末ころまでの間に,原告代表者の了解を得ることなく,原告の緑配送センターに保管されていた原告所有の営業用資産をすべて運び出し,被告会社の倉庫に移動させた。被告B1らが運び出した営業用資産は,別紙持出物件目録の「品名」欄記載の各物品であり,その各数量は,同目録の「④奪取個数」欄記載のとおりである。 - 7 -なお,別紙持出物件目録の「④奪取個数」欄記載の数量は,原告代表者が,被告B1らによる上記運び出しが行われた平成21年6月当時に緑配送センターに存在したものと考えられる営業用資産の品目及びその数量を明らかにするために作成した訴状添付の「持出し表(NO.1)」ないし「持出し表(NO.3)」(以下「本件持出し表」という。)に基づくものである。 その後,被告らは,平成21年9月末までに,緑配送センターから運び出した営業用資産のうち,別紙持出物件目録の「②返却数」欄記載の数量の各物品を,被告らの代理人弁護士を通じて原告に返却したが,未だに同目録の「④-②」欄記載の数量の各物品(以下「本件各物品」という。)を返却していない。 イ被告らの責任原因被告B1らの上記行為は,共同して,故意に,原告の営業用資産に係る所有権を侵害するものであり,原告に対する共同不法行為を構成するから,被告B1らは,上記行為によって原告が受けた損害を連帯して賠償する責任を負う。 また,被告B2は,上記行為によって,被告会社の代表者としての職務を行うについて第三者に損害を加えたものといえるから,会社法350条により,被告会社においても,被告B2の上記行為によって原告が受けた損害を賠償する責任を負う。 さらに,被告B1の上記行為は,原告 行うについて第三者に損害を加えたものといえるから,会社法350条により,被告会社においても,被告B2の上記行為によって原告が受けた損害を賠償する責任を負う。 さらに,被告B1の上記行為は,原告の監査役の地位にある者による原告に対する任務懈怠行為にも当たるから,被告B1は,会社法423条1項に基づく責任としても,上記行為によって原告が受けた損害を賠償する責任を負う。 ウ原告の損害原告は,被告らによる上記所有権侵害の共同不法行為によって,未返却- 8 -の本件各物品の財産的価値に相当する額の損害を受けた。 本件各物品の品目及びその数量は,別紙持出物件目録の「④-②」欄記載のとおりであり(同欄に「0」以外の数字が記載された「品名」に係る物品が未返却のものであり,当該数字がその数量である。),また,本件各物品の単価は,それぞれ同目録の「単価」欄記載のとおりである。 したがって,原告の損害額は,別紙持出物件目録の「残存損害額」欄記載の金額(「④-②」欄記載の未返却物品の数量に,「単価」欄記載の単価を乗じた額)の合計額1350万4004円となる。 エ小括したがって,原告は,被告らに対し,原告の営業用資産の所有権侵害の共同不法行為(被告B1については,選択的に監査役としての任務懈怠)に基づく損害賠償として,連帯して1350万4004円及びこれに対する不法行為の後である本件訴状送達の日の翌日(被告会社,被告B1及び被告B2においては平成21年10月8日,被告B3及び被告B4においては同月14日,被告B5においては同月7日)から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めることができる。 (2) 被告らの主張ア被告B1らが,平成21年6月17日から同月末ころまでの間に,原告代表者の了解を得るこ 各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めることができる。 (2) 被告らの主張ア被告B1らが,平成21年6月17日から同月末ころまでの間に,原告代表者の了解を得ることなく,原告の緑配送センターに保管されていた原告所有の営業用資産を運び出し,被告会社の倉庫に移動させたことは認めるが,当該運び出しに係る物品の品目及び数量に関する原告の主張には誤りがある。 すなわち,原告は,被告B1らが運び出した営業用資産は,別紙持出物件目録の「品名」欄記載の物品であり,その各数量は,同目録の「④奪取個数」欄記載のとおりである旨主張するが,その中には,被告B1らにおいて運び出した事実のない物品が含まれており,また,各物品の数量も不- 9 -正確である。 イまた,被告らは,平成21年9月末までに,被告B1らが緑配送センターから運び出した営業用資産のすべてを,被告らの代理人弁護士を通じて原告に返却している。 原告は,被告B1らが,別紙持出物件目録の「品名」欄記載の物品について,同目録の「④奪取個数」欄記載の数量を原告の緑配送センターから運び出しながら,そのうち,同目録の「②返却数」欄記載の数量しか原告に返却しておらず,本件各物品が未だ返却されていない旨を主張するが,原告が主張する上記運び出しに係る物品の数量及び返却された物品の数量は,上記アのとおり,不正確なものであるから,未返却の本件各物品がある旨の原告の主張も誤りである。 ウ原告主張の損害額は争う。 なお,原告の緑配送センターに係る計算書類(乙15)によれば,原告の緑配送センターの平成20年10月31日時点の原材料棚卸高は88万1400円と評価されており,原告が主張する未返却の営業用資産(本件各物品)の財産的価値を大きく下回っている。 エしたがって 告の緑配送センターの平成20年10月31日時点の原材料棚卸高は88万1400円と評価されており,原告が主張する未返却の営業用資産(本件各物品)の財産的価値を大きく下回っている。 エしたがって,原告の被告らに対する営業用資産の所有権侵害の共同不法行為等に基づく損害賠償請求は,理由がない。 2 争点2(営業利益侵害の共同不法行為等に基づく損害賠償請求の可否)(1) 原告の主張ア被告B1らによる原告の営業利益の侵害行為(ア) 被告B1らは,次のとおり,原告の緑配送センターにおける営業活動を停止させるとともに,原告の顧客を横奪する行為を行った。 a 営業用資産等の奪取被告B1らは,原告の緑配送センターから営業用資産すべての運び出しを行っているところ,そこに含まれる照明器具や電気資材等は,- 10 -イベント等の会場における電気工事や照明器具等のレンタルという原告の営業活動において必要不可欠なものであるから,これらを奪われることにより,原告は,緑配送センターにおける営業活動を行うことができなくなった。 また,被告B1らは,緑配送センターから顧客住所録等の重要書類の持ち出しも行っているところ,これらの書類は,原告が円滑に営業活動を行う上で必要なものであるから,これらを奪われることにより,原告は,緑配送センターにおける営業活動を阻害された。 以上のとおり,営業用資産及び重要書類を奪取した被告B1らの行為は,原告に,緑配送センターにおける営業活動の停止を余儀なくさせるものであった。 b 被告B1らの一斉離脱及び他の原告従業員への働きかけ被告B1らは,原告の緑配送センターにおける業務に従事する主要な人員であったところ,平成21年6月末ころには,いずれも原告の緑配送センターに出社しなくなり,被告会社の業務に従事す 員への働きかけ被告B1らは,原告の緑配送センターにおける業務に従事する主要な人員であったところ,平成21年6月末ころには,いずれも原告の緑配送センターに出社しなくなり,被告会社の業務に従事するようになった。 また,被告B1らは,緑配送センターに勤務していた他の原告の従業員に対しても,原告を退社して被告会社に入社するよう働きかけ,被告会社に移籍させた。 以上のとおり,原告の緑配送センターの業務から一斉に離脱するとともに,原告の他の従業員をも退社させた被告B1らの行為は,営業用資産等の運び出しと相まって,原告に,緑配送センターにおける組織活動の停止を余儀なくさせるものであった。 c 持ち出した書類を利用した原告の顧客への営業行為被告B1らは,被告会社の業務において,原告の緑配送センターから持ち出した書類を利用して,原告の顧客への営業行為を行い,現に- 11 -これらの顧客との間で取引関係を持つに至っている。 すなわち,被告B1らは,平成21年7月ころ,本件挨拶状及び本件案内状を原告の緑配送センターにおける多数の顧客に対し郵送又はファックス送信しているところ,その際には,原告の緑配送センターから持ち出した原告の顧客住所録を利用しているものと考えられる。 このように,被告B1らは,顧客住所録等の重要書類の持ち出しによって原告の顧客に対するアプローチを阻害する一方で,当該書類を利用して原告の顧客に対する網羅的な営業行為を行ったものであり,その結果,被告会社は,現に多くの原告の顧客との間で取引関係を持つに至っている。 以上のとおり,原告の緑配送センターから顧客住所録等の重要書類を持ち出した上で,これを利用して原告の顧客への営業行為を行った被告B1らの行為は,原告の顧客を違法に横奪する行為というべきである。 以上のとおり,原告の緑配送センターから顧客住所録等の重要書類を持ち出した上で,これを利用して原告の顧客への営業行為を行った被告B1らの行為は,原告の顧客を違法に横奪する行為というべきである。 d 顧客による混同の惹起被告B1らは,原告と競業関係にある被告会社を設立するに当たり,原告の商号と極めて類似する「株式会社マチデン」という商号(被告商号)を付した。また,被告会社の役員及び従業員は,原告の緑配送センターの業務に従事していた者と重なっていた。 そのため,被告B1らの営業行為の相手方となった原告の顧客らは,被告会社を原告が商号変更した会社,あるいは,原告と密接な関係がある会社と誤信し,その結果,原告が受注して行った仕事の報酬が被告会社に支払われたり,原告が受注した仕事を被告会社が行ったりする事態が生じた。 このように,被告B1らは,原告の顧客らに,被告会社と原告との- 12 -混同を生じさせ,それに乗じて原告の顧客との取引を開始したものであり,このような被告B1らの行為は,原告の顧客を違法に横奪する行為というべきである。 (イ) 以上のとおり,被告B1らが行った上記(ア)の一連の行為は,自由競争の範囲を超え,社会的相当性を逸脱するものであって,原告の営業利益を違法に侵害する行為といえる。 イ被告らの責任原因被告B1らの上記行為は,共同して,故意に,原告の営業利益を違法に侵害するものであり,原告に対する共同不法行為を構成するから,被告B1らは,上記行為によって原告が受けた損害を連帯して賠償する責任を負う。 また,被告B2は,上記行為によって,被告会社の代表者としての職務を行うについて第三者に損害を加えたものといえるから,会社法350条により,被告会社においても,被告B2の上記行為によって原告が受けた また,被告B2は,上記行為によって,被告会社の代表者としての職務を行うについて第三者に損害を加えたものといえるから,会社法350条により,被告会社においても,被告B2の上記行為によって原告が受けた損害を賠償する責任を負う。 さらに,被告B1の上記行為は,原告の監査役の地位にある者による原告に対する任務懈怠行為にも当たるから,被告B1は,会社法423条1項に基づく責任としても,上記行為によって原告が受けた損害を賠償する責任を負う。 ウ原告の損害被告B1らによる前記ア(ア)の一連の行為の結果,原告は,緑配送センターにおける営業活動を行うことができなくなり,更に被告会社によって顧客を奪われ,原告が緑配送センターの営業を再開しても顧客を取り戻すことは不可能であることから,緑配送センターにおける営業を行うことが半永久的に不可能となった。 そして,原告の緑配送センターにおける平成20年度(平成19年11- 13 -月1日から平成20年10月31日まで)の営業利益は1792万0918円であるところ,被告B1らの上記侵害行為がなければ,原告の緑配送センターでは,平成21年6月以降5年間にわたって,平成20年度と同額の営業利益が得られていたはずであるから,原告が受けた営業上の逸失利益相当の損害額は,8960万4590円(1792万0918円×5年間)である。 エ小括したがって,原告は,被告らに対し,原告の営業利益侵害の共同不法行為(被告B1については,選択的に監査役としての任務懈怠)に基づく損害賠償として,連帯して8960万4590円及びこれに対する不法行為の後である訴状送達の日の翌日(被告会社,被告B1及び被告B2においては平成21年10月8日,被告B3及び被告B4においては同月14日,被告B5においては同月7日)か 90円及びこれに対する不法行為の後である訴状送達の日の翌日(被告会社,被告B1及び被告B2においては平成21年10月8日,被告B3及び被告B4においては同月14日,被告B5においては同月7日)から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めることができる。 (2) 被告らの主張ア原告の営業利益の侵害について(ア) 被告B1らが,平成21年6月17日から同月末ころまでの間に,原告の緑配送センターから原告所有の営業用資産の運び出し及び顧客住所録等の書類の持ち出しを行ったことは事実であるが,被告らは,同年9月末ころまでには,これらの物品及び書類をすべて原告に返却しているから,上記運び出し等によって原告に営業上の被害が生ずる可能性があるのは,平成21年6月中旬ころから同年9月末ころまでの期間のことにすぎない。 (イ) また,被告B1らが,平成21年6月末ころに原告の緑配送センターの業務から離脱したのは,原告が,同月20日に,被告B2,被告B3及び被告B4を解雇し,また,トータルワン及びピュアライフとの間- 14 -の業務委託関係を解消したことによるものである。そして,このことは,原告が,被告B3及び被告B4の平成21年7月分(同年6月16日からの1か月分)の給与につき,同年6月16日から同月20日までの5日分の給与のみを支払うこととする処理を行っている事実(乙18,19の1及び2,24)から裏付けられる。 したがって,被告B1らが一斉に原告の緑配送センターにおける業務から離脱することによって,原告の営業利益を侵害した旨の原告の主張は失当である。 (ウ) 被告会社が原告の緑配送センターの取引先に対し本件挨拶状及び本件案内状を送付したこと及び被告会社が現に相当数の原告の緑配送センターの取引先との間で取 侵害した旨の原告の主張は失当である。 (ウ) 被告会社が原告の緑配送センターの取引先に対し本件挨拶状及び本件案内状を送付したこと及び被告会社が現に相当数の原告の緑配送センターの取引先との間で取引関係を持つに至ったことは事実であるが,被告B1らが原告の緑配送センターから持ち出した書類を利用して原告の取引先への営業行為を行ったという事実はない。 被告B1らは,原告の緑配送センターの業務を行ってきたことによる人的関係等に基づいて,原告の取引先に対する営業行為を行ったことがあるにすぎず,原告の営業秘密に係る情報を利用したり,原告の信用をおとしめたりするなど,不当な方法による営業行為を行った事実はない。 したがって,被告B1らが,被告会社の業務として行った営業行為は,何ら自由競争の範囲を超えるようなものではない。 (エ) 被告商号は,原告商号と類似しておらず,取引先において,被告会社と原告とを混同するおそれはないし,また,原告の取引先において,被告会社を原告と混同して,被告会社との取引を行ったという事実もない。 (オ) 以上のとおり,本件における被告B1らの行為は,何ら社会的相当性を逸脱するものではなく,原告の営業利益を違法に侵害するものとは- 15 -いえない。 イ損害について原告主張の損害額は争う。 前記ア(ア)のとおり,被告B1らの営業用資産の運び出し等によって原告に営業上の損害が生ずる可能性があるのは,営業用資産が運び出された平成21年6月中旬ころから,これらが返却された同年9月末ころまでの期間のことにすぎず,その後は,原告において,新たに人員を補充して営業活動を行うことは可能であり,原告が営業を再開しなかったのは,原告自身の問題にすぎない。 したがって,被告B1らの行為によって,原告が平成21年6月 の後は,原告において,新たに人員を補充して営業活動を行うことは可能であり,原告が営業を再開しなかったのは,原告自身の問題にすぎない。 したがって,被告B1らの行為によって,原告が平成21年6月以降の5年間分の営業利益に係る逸失利益に相当する損害を受けたものと認めるべき根拠はない。 ウ小括以上によれば,原告の被告らに対する営業利益侵害の共同不法行為等に基づく損害賠償請求は,理由がない。 3 争点3(被告会社の不正競争行為の成否等)(1) 原告の主張ア亡Cは,昭和35年の創業以来,「町田電機商会」の商号を使用して,イベント等の会場における電気工事等の業務を行い,昭和54年12月15日に設立された原告は,亡Cの上記営業を引き継ぎ,「株式会社町田電機商会」の商号(原告商号)を使用して,平成21年6月ころまで,イベント等の会場における電気工事等の業務を継続して行ってきた。 しかるところ,原告商号は,平成21年6月当時,原告の上記業務に係る営業表示として,その需要者である東京23区内のディスプレイ関連事業者らの間で周知であった。 また,原告は,東京23区内のディスプレイ関連事業者らの間では,「町- 16 -電(マチデン)」という略称でも呼ばれており,このような略称も,平成21年6月当時,原告の上記業務に係る営業表示として,その需要者である東京23区内のディスプレイ関連事業者らの間で周知であった。 イ被告会社がイベント等の会場における電気工事等の業務において使用する株式会社マチデンの商号(被告商号)が,原告の周知な営業表示である原告商号及び「町電(マチデン)」の略称とそれぞれ類似していることは明らかである。 また,このような商号の類似性に加え,原告と被告会社が同種の事業を行っていること,被告会社の役員や従業 示である原告商号及び「町電(マチデン)」の略称とそれぞれ類似していることは明らかである。 また,このような商号の類似性に加え,原告と被告会社が同種の事業を行っていること,被告会社の役員や従業員がかつて原告の役員や従業員であった者であることなどからすれば,被告会社の取引先において,被告会社を原告と同一の事業主体と混同する可能性は極めて高い。 ウ以上によれば,被告会社がイベント等の会場における電気工事等の業務において被告商号を使用する行為は,不競法2条1項1号の不正競争行為に該当する。 そして,被告会社の上記不正競争行為によって,原告が営業利益を侵害されることは明らかであるから,原告は,被告会社に対し,不競法3条1項に基づく侵害の停止の請求として被告商号の使用の差止めを,同条2項に基づく侵害の停止に必要な行為の請求として被告商号の抹消登記手続を,それぞれ求めることができる。 エまた,原告は,被告会社の上記不正競争行為によって,営業利益を侵害され,前記2(1)ウで述べたのと同様の営業上の逸失利益に相当する額の損害を受けたから,原告は,被告会社に対し,不競法4条に基づく損害賠償として,8960万4590円及びこれに対する不正競争行為の後である訴状送達の日の翌日(平成21年10月8日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めることができる。 (2) 被告会社の主張- 17 -ア原告商号が,平成21年6月当時,原告の業務に係る営業表示として,その需要者である東京23区内のディスプレイ関連事業者らの間で周知であったとの主張は争う。 また,原告が,東京23区内のディスプレイ関連事業者らの間で,「町電(マチデン)」という略称で呼ばれているとの事実は否認し,当該略称が,平成21年6月当時,原告の業 知であったとの主張は争う。 また,原告が,東京23区内のディスプレイ関連事業者らの間で,「町電(マチデン)」という略称で呼ばれているとの事実は否認し,当該略称が,平成21年6月当時,原告の業務に係る営業表示として,その需要者である東京23区内のディスプレイ関連事業者らの間で周知であったとの主張は争う。 イ被告商号が,原告商号及び「町電(マチデン)」の略称とそれぞれ類似しているとの主張及び被告会社の取引先において被告会社を原告と同一の事業主体と混同する可能性が極めて高いとの主張は,いずれも争う。 ウしたがって,被告会社がイベント等の会場における電気工事等の業務において被告商号を使用する行為は,不競法2条1項1号の不正競争行為に該当するものではないから,原告の被告会社に対する被告商号の使用の差止請求,被告商号の抹消登記手続請求及び損害賠償請求は,いずれも理由がない。 また,原告は,被告会社の不正競争行為によって,5年間分の営業利益に係る営業上の逸失利益に相当する額(8960万4590円)の損害を受けた旨主張するが,前記2(2)イで述べたとおり,被告会社の行為によって,原告が5年間分の営業利益に係る逸失利益に相当する額の損害を受けたものと認めるべき根拠はない第4 当裁判所の判断 1 争点1(営業用資産の所有権侵害の共同不法行為等に基づく損害賠償請求の可否)について(1) 被告B1並びにその指示を受けた被告B2,被告B3,被告B4及び被告B5らが,平成21年6月17日から同月末ころまでの間に,原告代表者- 18 -の了解を得ることなく,原告の緑配送センターに保管されていた原告所有の営業用資産を数回に分けて運び出し,これらを被告会社の倉庫に移動させたこと,その後,同年9月末ころまでに,被告らが,原告に対し,営業用資 を得ることなく,原告の緑配送センターに保管されていた原告所有の営業用資産を数回に分けて運び出し,これらを被告会社の倉庫に移動させたこと,その後,同年9月末ころまでに,被告らが,原告に対し,営業用資産の返却を行ったことは,前記争いのない事実(2)イ及びウのとおりである。 原告は,被告B1らが緑配送センターから運び出した営業用資産の中に,未だに原告に返却されていない本件各物品(別紙持出物件目録の「④-②」欄記載のもの)が存在するとした上で,被告B1らの上記運び出し行為は,原告の営業用資産の所有権を侵害する共同不法行為を構成し,これによって原告は,未返却の本件各物品の財産的価値に相当する額の損害を受けた旨を主張する。 ところで,被告B1らの上記運び出し行為によって,原告が原告主張のとおりの損害を受けたことが認められるためには,被告B1らが原告の緑配送センターから運び出した営業用資産の品目及びその各数量が特定され,その中に本件各物品が含まれていることが前提となる。 この点について,原告は,被告B1らが原告の緑配送センターから運び出した営業用資産の品目及びその各数量は,本件持出し表に基づいて作成した,別紙持出物件目録の「品名」欄及び「④奪取個数」欄記載のとおりである旨主張する。 そして,原告代表者は,原告の緑配送センターにおいては,営業用資産の種類及び数量を記載した棚卸表は作成されていないが,東京本社(緑配送センター)と名古屋営業所とは営業内容が同一であり,使用する資材もほぼ共通(ただし,営業規模の違いにより個数は異なる。)しているので,名古屋営業所における平成20年10月31日現在の棚卸表(甲16)を基にし,これに緑配送センターと名古屋営業所の売上げ及び営業規模の差異を加味して,緑配送センターに存在すると考えられる営業用資産の 名古屋営業所における平成20年10月31日現在の棚卸表(甲16)を基にし,これに緑配送センターと名古屋営業所の売上げ及び営業規模の差異を加味して,緑配送センターに存在すると考えられる営業用資産の品目及びその各数量を推計し,本件持出し表を作成した旨の供述(陳述書(甲51)におけ- 19 -る陳述を含む。)をする。 しかるところ,原告代表者が上記推計の基礎としたとされる名古屋営業所の「棚卸表」(甲16)は,それ自体,いかなる経過で作成された文書であるのかが不明であり,その内容について,適式の会計帳簿などの客観的な裏付けが示されているものでもなく,また,原告代表者の供述によっても,その推計の具体的な方法及び内容は全く不明である。 してみると,原告が主張する被告B1らが原告の緑配送センターから運び出したとされる営業用資産の品目及びその各数量は,結局のところ,原告代表者の不確実な推計に基づくものにすぎず,客観性のある裏付資料に基づくものではないというべきであるから,これを認めるに足りない。 そうすると,原告の上記主張に係る品目及びその各数量が,被告B1らによって運び出された営業資産の品目及びその各数量であることを前提として,未返却の本件各物品の営業用資産の品目及びその各数量を算出する原告の主張は,全体として不正確なものといわざるを得ない。 (2) 以上によれば,被告B1らが原告の緑配送センターから本件各物品を運び出し,これが未返却であるとの原告の主張は,これを認めることができないというべきであるから,その余の点につき判断するまでもなく,原告の被告B1らに対する営業用資産の所有権侵害の共同不法行為に基づく損害賠償請求は理由がない。 また,同様に,原告の被告会社に対する会社法350条に基づく損害賠償請求及び原告の被告B1に対す 原告の被告B1らに対する営業用資産の所有権侵害の共同不法行為に基づく損害賠償請求は理由がない。 また,同様に,原告の被告会社に対する会社法350条に基づく損害賠償請求及び原告の被告B1に対する会社法423条1項に基づく損害賠償請求もいずれも理由がない。 2 争点2(営業利益侵害の共同不法行為等に基づく損害賠償請求の可否)について(1) 共同不法行為等の成否についてア前記争いのない事実と証拠(甲3ないし7,11,12,17,21,- 20 -24ないし27,34ないし51,乙3ないし5,12,26,27(枝番のあるものは,枝番を含む。),原告代表者,被告B1)及び弁論の全趣旨を総合すると,以下の事実が認められる。 (ア) 被告B1は,原告の監査役であり,取締役ではなかったが,平成21年6月当時,原告の専務取締役を名乗り,原告の緑配送センターにおける業務を統括していた。 被告B1は,同月上旬ころ,被告会社の開業に向け,不動産業者との間で被告会社が業務に使用するための物件の賃借交渉を行うなどの準備を進めていた。 その後,同月11日,被告B1,被告B2及び被告B5の3名が発起人となって,展示会,イベント,キャンペーンに伴う電気工事及び電気,照明器具のリース・レンタル,販売等を目的とする被告会社が設立され,同日,被告B2を代表取締役とする設立登記がされた。 被告会社の設立に当たっては,発行済株式総数80株のうち,被告B1が40株を,被告B2及び被告B5がそれぞれ20株を引き受けた。 (イ) 被告B1並びにその指示を受けた被告B2,被告B3,被告B4及び被告B5らは,平成21年6月17日から同月末ころまでの間に,原告代表者の了解を得ることなく,原告の緑配送センターに保管されていた原告所有の営業用資産すべてを数回に 被告B2,被告B3,被告B4及び被告B5らは,平成21年6月17日から同月末ころまでの間に,原告代表者の了解を得ることなく,原告の緑配送センターに保管されていた原告所有の営業用資産すべてを数回に分けて運び出し,これらを被告会社の倉庫に移動させた。 その際,被告B1らは,原告の緑配送センター内に保管されていた,①原告の緑配送センターにおける取引先の住所や電話番号が記載された住所録(以下「本件住所録」という。),②原告が取引先に発行した電気工事等に係る見積書(以下「本件見積書」という。),③原告の緑配送センターにおける日々の作業予定(作業の日時・場所,発注元等)が記載された作業予定表(以下「本件作業予定表」という。),④原告- 21 -が過去に電気工事等を行ったイベント等の会場の図面(以下「本件会場図面」という。)も持ち出した(以下,これらの書類を総称して,「本件持ち出し書類」という。)。 (ウ) 被告B1らは,平成21年7月以降,一斉に原告の緑配送センターに出社しなくなり,同営業所の業務を行わなくなった。 その結果,原告の緑配送センターにおいては,平成21年7月以降の売上げが大幅に減少するに至った。 (エ) 平成21年7月以降,被告B2は,被告会社の代表取締役として,被告B1は,対外的に被告会社の「専務取締役」を名乗り,被告B5は,対外的に被告会社の「取締役」を名乗り,それぞれ被告会社において,イベント等の会場における電気工事や照明器具等のレンタルの業務に従事している。 また,被告B3及び被告B4は,平成21年7月以降,被告会社の上記業務に関与している。 (オ) 被告会社は,平成21年7月,「代表取締役B2」,「専務取締役B1」及び「取締役B5」の連名で,被告会社の設立・開業に当たっての挨拶等を記載した本件挨拶状 会社の上記業務に関与している。 (オ) 被告会社は,平成21年7月,「代表取締役B2」,「専務取締役B1」及び「取締役B5」の連名で,被告会社の設立・開業に当たっての挨拶等を記載した本件挨拶状及び「代表取締役B2」の名義で,被告会社の設立に伴い振込用の銀行口座を開設した旨を案内する内容の本件案内状を作成し,原告の緑配送センターと取引のある75の会社又は個人に対してこれらを郵送するとともに,同じく原告の緑配送センターと取引のある41の会社又は個人(ただし,その一部は,上記75の会社又は個人と重複する。)に対してこれらをファックス送信した。その際,被告会社は,被告B1らが原告の緑配送センターの業務に従事する中で知り得た原告の取引先についての情報を利用した。 その後,被告会社は,現在までの間に,その業務に関し,上記75及び41の会社又は個人のうちの相当数(少なくとも,甲7の1の表にお- 22 -いて,「取引OK」を表す「●」の表示が付された十数社)との間において取引関係を持つに至っている。 (カ) 被告らは,平成21年9月末ころまでに,緑配送センターから運び出した営業用資産を原告に返却した。 また,被告らは,平成21年9月末ころまでに,本件住所録及び本件会場図面を原告に返却した。 イそこで,以上の認定事実に基づき,被告らの行為が,原告の営業利益を違法に侵害する不法行為を構成するものといえるか否かにつき検討する。 (ア) まず,前記アの認定事実によれば,被告B1は,原告の緑配送センターにおいて,その業務を統括する立場にある中で,その指揮下にある被告B2,被告B5,被告B3及び被告B4(以下,上記被告4名を「被告B2ら」という。)に指示して,緑配送センターに保管されていた原告所有の営業用資産を運び出して被告会社の倉庫に移動 の指揮下にある被告B2,被告B5,被告B3及び被告B4(以下,上記被告4名を「被告B2ら」という。)に指示して,緑配送センターに保管されていた原告所有の営業用資産を運び出して被告会社の倉庫に移動させるとともに,被告B2らと意を通じて,一斉に原告の緑配送センターにおける業務から離脱したものである(なお,原告は,被告B1らが,緑配送センターに勤務していた他の原告の従業員に退社を働きかけ,被告会社に移籍させた旨主張するが,これを認めるに足りる証拠はない。)。 被告B1のこれらの行為は,原告がその業務を行う上で必要不可欠であることが明らかな営業用資産を原告において使用不可能な状況にするとともに,原告の緑配送センターの業務の中心となる人材のほとんどを一斉に失わせるものであり,原告の緑配送センターにおける営業活動を極めて困難とする結果をもたらすものであることが明らかである。 そして,被告B1は,このように原告の緑配送センターにおける営業活動を困難にする一方で,前記ア認定のとおり,原告と競業関係にある被告会社の設立・開業を主導的に行い,しかも,原告の業務に従事する中で知り得た原告の取引先についての情報を利用して,多数の原告の緑- 23 -配送センターの取引先に対して本件挨拶状及び本件案内状を送付するなど,被告会社としての営業行為を行い,その結果,被告会社は,現に相当数の原告の取引先との間で,取引関係を持つに至っている。 しかも,被告B1による上記各行為は,平成21年6月から7月にかけての近接した時期に連続して行われているのであり,その経過に鑑みれば,被告B1が,当初から,原告の緑配送センターにおける営業活動を妨害しつつ,原告の顧客を奪って被告会社の利益を図ることを目的として,上記一連の行為を行ったものであることは,優にこれを認める 鑑みれば,被告B1が,当初から,原告の緑配送センターにおける営業活動を妨害しつつ,原告の顧客を奪って被告会社の利益を図ることを目的として,上記一連の行為を行ったものであることは,優にこれを認めることができる。 以上のような被告B1による一連の行為の目的,内容及びその結果を総合勘案すれば,被告B1の上記行為は,競業者間の自由競争の範囲内にある営業行為と評価し得るものではなく,原告の営業利益を違法に侵害するものとして,不法行為を構成するというべきである。 (イ) 次に,前記アの認定事実によれば,被告B2及び被告B5は,被告B1と意を通じて,上記のとおり,原告所有の営業用資産の運び出し,原告の緑配送センターの業務からの一斉離脱,被告会社の設立・開業,原告の業務に従事する中で知り得た原告の取引先についての情報を利用しての原告の取引先に対する営業行為といった一連の行為のすべてに関与しているものであり,その経過からみて,被告B2及び被告B5が,当初から,原告の緑配送センターにおける営業活動を妨害しつつ,原告の顧客を奪って被告会社の利益を図るという目的を被告B1と共有し,上記一連の行為に加担したものであることは,優にこれを認めることができる。 したがって,被告B2及び被告B5の行為は,被告B1の場合と同様に,原告の営業利益を違法に侵害するものとして,不法行為を構成するものというべきである。 - 24 -また,被告B1,被告B2及び被告B5による上記一連の行為は,客観的に関連し共同して行われたものということができるから,民法719条1項の共同不法行為を構成するものといえる。 (ウ) また,被告B3及び被告B4は,被告B1と意を通じて,上記のとおり,原告所有の営業用資産の運び出し及び原告の緑配送センターの業務からの一斉離脱にそれ の共同不法行為を構成するものといえる。 (ウ) また,被告B3及び被告B4は,被告B1と意を通じて,上記のとおり,原告所有の営業用資産の運び出し及び原告の緑配送センターの業務からの一斉離脱にそれぞれ関与し,また,原告の業務からの離脱後,被告会社の業務に関与している事実もあるが,他方で,被告会社の設立・開業や被告会社における本件挨拶状及び本件案内状の送付などの原告の取引先に対する営業行為への被告B3及び被告B4の関与状況は証拠上明らかではない。 しかしながら,原告所有の営業用資産の運び出し及び原告の緑配送センターの業務からの一斉離脱は,前記(ア)のとおり,原告の緑配送センターにおける営業活動を著しく困難とする結果をもたらすものであることが明らかなものであって,被告B1,被告B2及び被告B5による上記共同不法行為の重要部分を成すものであるから,上記の結果が生じることを認識しながら,被告B1,被告B2及び被告B5と意を通じてこれに加担した被告B3及び被告B4の行為は,少なくとも被告B1,被告B2及び被告B5による上記共同不法行為を幇助する行為に当たるものというべきである。 したがって,被告B3及び被告B4は,民法719条2項の幇助者として,被告B1,被告B2及び被告B5と同様の共同不法行為責任を負うものといえる。 (エ) さらに,被告B2の上記(イ)の一連の行為は,いずれも,被告B2が,被告会社の代表取締役に就任した後に,原告の顧客を奪って被告会社の利益を図ることを目的として行ったものであり,その中には,被告会社としての営業活動それ自体も含まれているのであるから,被告B2- 25 -が当該行為によって原告に加えた損害は,被告会社の代表取締役がその職務を行うについて第三者に加えた損害ということができる。 したがって,被告 体も含まれているのであるから,被告B2- 25 -が当該行為によって原告に加えた損害は,被告会社の代表取締役がその職務を行うについて第三者に加えた損害ということができる。 したがって,被告B2の上記(イ)の不法行為によって生じた損害については,会社法350条により,被告会社においても,その賠償の責任を負うものといえる。 ウこれに対し,被告らは,①被告B1らが,平成21年6月末ころに原告の緑配送センターの業務から離脱したのは,原告が,被告B2,被告B3及び被告B4を解雇し,また,トータルワン及びピュアライフとの間の業務委託関係を解消したことによるものであること,②被告B1らは,被告会社において,原告の営業秘密に係る情報を利用したり,原告の信用をおとしめたりするなど,不当な方法による営業活動を行っていないことなどを挙げて,被告B1らの行為は,社会的相当性を逸脱するものではなく,原告の営業利益を違法に侵害するものとはいえない旨を主張する。 そこで,被告らの上記主張の当否について,以下検討する。 (ア) 上記①の点について被告らは,原告による解雇等の事実を裏付ける事情として,原告が,被告B3及び被告B4の平成21年7月分(同年6月16日からの1か月分)の給与につき,同年6月16日から同月20日までの5日分の給与のみを支払うこととする処理を行ったとの事実を指摘する。 しかしながら,上記事実の意味するところは,原告と被告B3及び被告B4との間において,上記被告両名が平成21年6月20日をもって原告を退職したことを前提とする給与の精算が行われたということにすぎず,このことから直ちに,上記被告両名の退職が,原告の解雇によるものであるとの事実が帰結されることにはならない。 この点,前記アで認定したとおり,被告B1らは,原告の 算が行われたということにすぎず,このことから直ちに,上記被告両名の退職が,原告の解雇によるものであるとの事実が帰結されることにはならない。 この点,前記アで認定したとおり,被告B1らは,原告の緑配送センターの業務に従事しているさなかに被告会社の開業の準備や設立の手- 26 -続を行った上で,原告の緑配送センターの業務から一斉に離脱し,その後直ちに被告会社の業務に従事又は関与するようになったものであり,このような経過からすれば,被告B1らは,自発的に原告の緑配送センターの業務から離脱したものであって,原告が被告B3及び被告B4の給与について上記のような精算処理を行ったのは,上記被告両名の業務離脱という結果を受けた事後的な処理であったと考えるのが自然である。 以上のとおり,被告B1らが原告の緑配送センターの業務から離脱したのは,原告からの解雇又は委託関係の解消によるものであるとの被告らの主張は,採用することができない。 (イ) 上記②の点について前記ア(オ)のとおり,被告会社においては,原告の緑配送センターの取引先である100近くに及ぶ会社又は個人に対し,本件挨拶状及び本件案内状を送付する営業行為を行っているところ,被告会社がこのように多数の原告の緑配送センターの取引先を網羅する形での営業行為を行うことができたのは,原告の緑配送センターから持ち出した本件住所録を利用するか,又は,被告B1らが原告の緑配送センターの業務に従事する中で知り得た取引先についての情報を利用したからにほかならないものといえる(この点に関し,被告B1においても,本件挨拶状及び本件案内状の送付先のリスト(甲7の1及び2)について,被告B1らが原告の緑配送センターにおける営業活動の中で取引先から受け取った名刺等に基づいて作成した旨を供述している。) いても,本件挨拶状及び本件案内状の送付先のリスト(甲7の1及び2)について,被告B1らが原告の緑配送センターにおける営業活動の中で取引先から受け取った名刺等に基づいて作成した旨を供述している。)。 このように,被告B1,被告B2及び被告B5が,原告と競業関係にある被告会社を設立・開業した上で,原告の業務に従事する中で知り得た原告の取引先についての情報を利用して多数の原告の取引先に対して本件挨拶状及び本件案内状を送付するなどの営業行為を行っている- 27 -ことは明らかであり,併せて,被告B1らが,緑配送センターから原告所有の営業用資産を運び出すとともに,原告の緑配送センターの業務から一斉に離脱するなど,原告の緑配送センターにおける営業活動を妨害しつつ,原告の顧客を奪って被告会社の利益を図るという目的の下で一連の行為を行っていることからすれば,被告B1らの行為が競業者間の自由競争の範囲内にある営業行為と評価し得るものではなく,原告の営業利益を違法に侵害するものであることは明らかである。そして,このような評価は,被告らが主張するとおり,被告B1らが被告会社の営業行為を行うに当たって,原告の信用をおとしめるなどの不当な方法を用いた事実がないとしても,何ら左右されるものではない。 (ウ) 以上によれば,被告らが指摘する上記①の点は,そもそも事実とは認められないものであり,また,上記②の点は,それが事実であるとしても,被告B1らの行為の違法性を否定し得る事情となるものではないから,これらに基づく被告らの上記主張は,採用することができない。 エ以上によれば,被告B1らによる原告所有の営業用資産の運び出し,原告の緑配送センターの業務からの一斉離脱,被告会社の設立・開業,原告の業務に従事する中で知り得た原告の取引先についての情報を利用 エ以上によれば,被告B1らによる原告所有の営業用資産の運び出し,原告の緑配送センターの業務からの一斉離脱,被告会社の設立・開業,原告の業務に従事する中で知り得た原告の取引先についての情報を利用しての原告の取引先に対する営業行為といった一連の行為は,原告の営業利益を違法に侵害する共同不法行為を構成するものであり,被告らは,これによって原告が受けた損害を連帯して賠償する責任を負うというべきである。 (2) 原告の損害についてア原告は,被告らの上記共同不法行為の結果,原告において緑配送センターにおける営業を行うことが半永久的に不可能となったとして,原告の緑配送センターにおいて平成21年6月以降5年間にわたって得られるはずの営業利益の合計額をもって,被告らの共同不法行為によって原告が受- 28 -けた営業上の逸失利益に相当する損害である旨を主張する。 そこで検討するに,イベント等の会場において,照明器具や電気資材を使用して電気工事を行うとともに,これらの器具等をレンタルするという原告の業務内容からすると,自ら照明器具等を保有するとともに,電気工事等に当たる人員を確保することは,原告がその業務を行う上で必要不可欠なことといえるから,被告B1らが,原告所有の営業用資産を緑配送センターから運び出すとともに,原告の緑配送センターの業務から一斉に離脱した行為は,少なくとも原告が新たに緑配送センターにおける物的及び人的な業務態勢を整備するまでの間においては,原告の緑配送センターにおける営業活動を事実上不可能とするものということができ,その限りにおいて,原告の上記主張は,これを首肯することができる。 しかしながら,前記(1)ア(カ)のとおり,被告B1らが平成21年6月17日から同月末ころまでにかけて原告の緑配送センターから運び出し において,原告の上記主張は,これを首肯することができる。 しかしながら,前記(1)ア(カ)のとおり,被告B1らが平成21年6月17日から同月末ころまでにかけて原告の緑配送センターから運び出した営業用資産は,当該運び出しの開始から3か月余りが経過した平成21年9月末ころまでには原告に返却されているのであり,仮に,その一部に不足があったとしても,原告においてそれらを新たに調達することは可能であったものといえる。 また,電気工事等の現場の業務に当たる人員や営業その他の業務に当たる人員を,雇用や外注等の適宜の方法により確保することも,原告において可能なことというべきである。 このように,物的及び人的な業務態勢という面から客観的に見れば,遅くとも,平成21年9月末ころに営業用資産が原告に返却され,更に物的及び人的な業務態勢を整備するために必要な準備期間を経た時点においては,原告が,緑配送センターにおける営業を行うことは可能であったものと認められる。 イこれに対し,原告代表者の供述中には,営業用資産が返却された後も,- 29 -それまでに被告会社によって顧客が奪われ,ほとんどの顧客は戻ってこなかったため,営業の見通しが全く立たず,新しく人を雇い入れることができないので,原告が緑配送センターにおける営業を行うことは不可能となった旨の供述部分がある。 しかしながら,前記(1)ア(オ)のとおり,原告の緑配送センターにおける取引先の中で,被告会社が現在までに取引関係を持つに至ったものと認められるのは,その一部(甲7の1の表において,「取引OK」を表す「●」の表示が付された十数社)にとどまるのであって,原告の緑配送センターのすべての顧客が被告会社に奪われたことが認められるわけではない。 また,そもそも原告の営業活動が,従来からの OK」を表す「●」の表示が付された十数社)にとどまるのであって,原告の緑配送センターのすべての顧客が被告会社に奪われたことが認められるわけではない。 また,そもそも原告の営業活動が,従来からの取引先を対象とするものに限られるべき理由はないのであって,新規の取引先を開拓することも当然考えられることである。 このように,被告会社によって原告の緑配送センターにおける顧客の一部が奪われたという事実があるからといって,その後に原告が,緑配送センターにおける営業を行うことが不可能となったなどとはいえないから,原告代表者の上記供述部分は採用することができない。 ウ以上によれば,被告らの上記共同不法行為の結果,原告は,緑配送センターにおける営業を行うことが半永久的に不可能となったとする原告の主張には理由がなく,これを前提として,原告の緑配送センターにおいて平成21年6月以降5年間にわたって得られるはずの営業利益の合計額をもって,被告らの共同不法行為によって原告が受けた営業上の逸失利益に相当する損害であるとする原告の主張は,理由がない。 他方,上記アで述べたところを総合すれば,被告らの上記共同不法行為の結果として,原告は,被告B1らによる原告の緑配送センターからの営業用資産の運び出しの時点から,営業用資産の返却を受け,更にその後,緑配送センターにおける物的及び人的な業務態勢を整備するために必要- 30 -といえる合理的な準備期間が経過するまでの期間において,緑配送センターにおける営業活動を事実上不可能なものとされ,その期間内に原告が緑配送センターの業務から得られたはずの営業利益(逸失利益)に相当する損害を受けたものと認めることができる。 エしかるところ,上記の期間については,被告B1らによる緑配送センターからの営業用資産の運び出 ンターの業務から得られたはずの営業利益(逸失利益)に相当する損害を受けたものと認めることができる。 エしかるところ,上記の期間については,被告B1らによる緑配送センターからの営業用資産の運び出しが開始された平成21年6月17日から,営業資産が原告に返却された同年9月末ころまでの約3か月半に,1か月程度の準備期間を加えた4.5か月間と認めるのが相当である。 そして,上記期間における原告の営業上の逸失利益相当の損害額については,原告の緑配送センターに係る計算書類から認められる直近の時期の営業利益を基にして算定するのが相当であり,具体的には,原告の緑配送センターの平成21年度(平成21年10月末時点)の「総合推移損益計算書」(甲41)に示された平成20年11月から平成21年5月までの7か月間の営業利益の合計額774万3000円に基づき,497万7642円(計算式:774万3000円×4.5/7)と算定するのが相当である。 (3) 小括以上によれば,原告の被告らに対する営業利益侵害の共同不法行為(被告会社については,会社法350条)に基づく損害賠償請求は,被告らに対し,連帯して497万7642円及びこれに対する訴状送達の日の翌日(被告会社,被告B1及び被告B2においては平成21年10月8日,被告B3及び被告B4においては同月14日,被告B5においては同月7日)から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。 3 争点3(被告会社の不正競争行為の成否等)について(1) 原告は,「株式会社町田電機商会」の商号(原告商号),又は,その略- 31 -称である「町電(マチデン)」の表示は,平成21年6月当時,原告のイベント等の会場における電気工事等の業務に係る営業表示としてその需要者であ 機商会」の商号(原告商号),又は,その略- 31 -称である「町電(マチデン)」の表示は,平成21年6月当時,原告のイベント等の会場における電気工事等の業務に係る営業表示としてその需要者である東京23区内のディスプレイ関連事業者らの間で周知であった旨を主張するが,そのような事実を認めるに足りる証拠はない。 したがって,その余の点につき判断するまでもなく,被告会社がその業務において被告商号を使用する行為が,原告に対する不競法2条1項1号の不正競争行為に当たるものとはいえない。 (2) 以上によれば,原告の被告会社に対する不競法3条に基づく被告商号の使用差止請求及び被告商号の抹消登記手続請求並びに不競法4条に基づく損害賠償請求は,いずれも理由がない。 4 結論以上のとおり,原告の本訴各請求のうち,被告らに対する共同不法行為(被告会社については,会社法350条)に基づく損害賠償請求は,主文第1項の限度で理由があるから,その限度でこれを認容し,その余は理由がないから棄却することとし,被告会社に対する被告商号の使用差止め及び抹消登記手続請求並びに不競法4条に基づく損害賠償請求は,いずれも理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第46部 裁判長裁判官大鷹一郎 裁判官大西勝滋 - 32 -裁判官石神有吾

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