令和5(わ)390 詐欺、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反

裁判年月日・裁判所
令和6年12月26日 岐阜地方裁判所
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判決文本文8,863 文字)

宣告日令和6年12月26日事件番号令和5年(わ)第390号等事件名詐欺、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反 主文 被告人を懲役3年に処する。 未決勾留日数中270日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、第1 銀行協会職員等になりすましてキャッシュカード等をだまし取ろうと考え、氏名不詳者らと共謀の上、令和5年9月上旬頃から同月18日頃までの間(日本時間)、複数回にわたり、タイ王国において、銀行協会職員等になりすました被告人が、岐阜県(住所省略)A方に電話をかけ、同人(当時72歳)に対し、同人名義のキャッシュカードが不正利用されている可能性があり、その調査のためにキャッシュカード等を指定場所に送付する必要がある旨うそを言い、同人にその旨誤信させ、よって、同日頃、同人に、さいたま市(住所省略)B宛てに前記A名義のキャッシュカード1枚及び通帳1通在中のレターパックを発送させ、同月20日頃、同所において、氏名不詳者が、前記レターパックを受け取り、もって人を欺いて財物を交付させ、第2 銀行協会職員等になりすまして現金をだまし取ろうと考え、氏名不詳者らと共謀の上、令和5年9月14日(日本時間)、複数回にわたり、タイ王国において、銀行協会職員等になりすました被告人が、岐阜県(住所省略)C方に電話をかけ、同人(当時45歳)に対し、同人名義の銀行口座から不正に出金される可能性があり、これを回避するためには同口座内の現金を指定した口座に振込入金する必要がある旨うそを言い、同人にその旨誤信させ、よって、同日 午後2時59分頃、同人に、D銀行に開設された同人名義の普通預金口座から、被告人らが管理するE銀行に開設されたF名義の普通預金口座に現金30万2 うそを言い、同人にその旨誤信させ、よって、同日 午後2時59分頃、同人に、D銀行に開設された同人名義の普通預金口座から、被告人らが管理するE銀行に開設されたF名義の普通預金口座に現金30万2450円を振込入金させ、もって人を欺いて財物を交付させ、第3 タイ王国において、銀行協会職員等になりすまし、電話をかけた日本国内にいる相手から現金又はキャッシュカード等をだまし取るに当たり、犯罪収益の取得につき事実を仮装しようと考え、氏名不詳者らと共謀の上、 1 前記Cに、令和5年9月14日午後2時59分頃、岐阜県(住所省略)内において、D銀行に開設された同人名義の普通預金口座から、被告人らが管理するE銀行に開設されたF名義の普通預金口座に現金30万2450円を振込入金させ、 2 前記Aに、同月18日頃、同市内において、さいたま市(住所省略)B宛てに前記A名義のキャッシュカード等在中のレターパックを発送させ、同月20日頃、同所において、氏名不詳者が、前記レターパックを受け取り、もって、犯罪収益の取得につき事実を仮装した。 (証拠の標目)省略(事実認定の補足説明) 1 関係証拠によれば、判示第1のA及び判示第2のCが、被告人及び氏名不詳の共犯者らから電話において判示のうそを言われ、結果として判示の各詐欺被害が発生したこと自体は争いがなく、これらの事実は関係証拠によっても明らかに認められる。 他方、弁護人は、被告人は脅されて指示に従ったに過ぎないから、詐欺についての共謀があったとはいえないし、仮に一定の意思連絡があったと評価されるとしても、脅されて指示に従ったに過ぎない被告人は、自己の犯罪として実現する意思をもって関与しておらず、幇助犯が成立するにとどまる旨主張する。 2 関係証拠によれば、以下の事実が認められる。 されるとしても、脅されて指示に従ったに過ぎない被告人は、自己の犯罪として実現する意思をもって関与しておらず、幇助犯が成立するにとどまる旨主張する。 2 関係証拠によれば、以下の事実が認められる。 (1) 被告人は、令和5年9月4日にタイ王国に渡航し、その後、同国サムットサコーン県内の一戸建て住宅に居住することとなったところ、同家屋の外には監視カメラのようなものが取り付けられていたほか、同様の家屋が立ち並ぶ一帯の地域に入るための入口には制服を着た守衛のような人物がいた。もっとも、上記家屋からは自由に出ることができ、自身の携帯電話機も保持して使用することができたほか、1人の時間も確保されており、上記地域内のプールやジムに行くことができた。 被告人の居住場所は同家屋の2階であり、1階は仕事場(電話をかけるなどする作業スペースとみられる場所)になっていた。同家屋に隣接する別棟の家屋には、台湾出身とみられる外国人男性ら複数名(うち1名を被告人は「ジョー」と呼称しているため、以下、この人物を「ジョー」という)が居住していた(以下、これら一戸建て住宅2棟を「本件拠点」ともいう)。被告人は、遅くとも令和5年9月7日頃から、朝になると1階の仕事場に行き、下記(4)のとおりの態様で「ジョー」らに指示される内容の電話をかける仕事を行うようになった。 (2) その後、令和5年9月上旬頃から同月18日頃までの間にかけて、Aへの架電がなされ、同人に判示第1のとおりの詐欺被害が発生した。 すなわち、その頃、Aが電話をかけてきた相手からアマゾンでWi-Fi等を購入したという身に覚えのないカード使用履歴があることを告げられ、後日銀行協会の者からも連絡する旨言われるということがあったところ、被告人は、本件拠点からAに電話をかけ、氏名不詳の でWi-Fi等を購入したという身に覚えのないカード使用履歴があることを告げられ、後日銀行協会の者からも連絡する旨言われるということがあったところ、被告人は、本件拠点からAに電話をかけ、氏名不詳の共犯者らからの指示を受けながら、銀行協会のクシモトなる人物になりすまし、個人情報が漏れている可能性がある、カードがスキミングされている可能性があるという趣旨の話をし、こちらで調べる必要があるのでキャッシュカードと通帳を送ってほしい旨及びその送付先(判示第1のB宛て)、送付方法を伝え、Aにキャッシュカード等を送付させるに至った。 (3) 令和5年9月14日、Cへの架電がなされ、同人に判示第2のとおりの詐欺被害が発生した。 すなわち、その頃、Cが電話をかけてきた相手から「今年7月、アマゾンでWi-Fi機器等を合計13万4500円でVISAカードで購入したことになっている」旨の話をされ、後日銀行協会の者からも連絡する旨言われるということがあったところ、被告人は、本件拠点からCに電話をかけ、氏名不詳の共犯者らからの指示を受けながら、銀行協会の中本なる人物になりすまし、自分がサポートする旨伝え、カードの引き落とし口座等を聞いた上、個人情報が漏れている可能性がある、口座にあるお金を守る必要がある、このままだと代金が引き落とされてしまう、口座のお金を今から指定する別の口座に移し替えましょう、こうしている間にもお金が引き出されているかもしれないという趣旨の話をし、Cに判示第2のFを名義人とする口座への入金を行うに至らせた。 (4) 被告人は、前記(2)及び(3)のような内容の電話をかけるにあたり、「小林」(被告人が来る前から本件拠点にいて同所が摘発される前に帰国した日本人男性)らが前段階で被害者に話した内容を紙のメモ書き等で教えられ、こうい )及び(3)のような内容の電話をかけるにあたり、「小林」(被告人が来る前から本件拠点にいて同所が摘発される前に帰国した日本人男性)らが前段階で被害者に話した内容を紙のメモ書き等で教えられ、こういうふうに言っているので、こういう風に誘導してくれという口頭での説明を受けたり、被害者らについての色々な情報が書かれた紙を渡されたり、「小林」や「ジョー」から、こういう状況なのでこのお金をここに振り込ませるか送るかということについて説明を受けたり、打ち合わせのようなことをするなどして、その結果、「小林」や「ジョー」から、状況に応じてその都度「【被告人】さんはこういうふうに言って下さい」という指示を受け、その指示に基づいて被害者に話をしていた。 被告人は、被害者らへの架電に先立ち、本件拠点で仕事の内容として渡された説明文(マニュアル)を見て、これから行おうとしている行為が詐欺であるということを理解していた。 なお、本件拠点にいた「ジョー」ら外国人男性らの言語能力は、日本語や英 語が少しできる程度であった。 (5) 被告人は、令和5年9月27日、タイ王国を出国して日本に帰国し、国際運転免許取得及び免許の更新に係る手続を行った後、同年10月5日、再びタイ王国に渡航し、下記(6)の時点では再び本件拠点で生活していた。 上記一時帰国にあたり、被告人は、「ジョー」らから航空機代は自己負担である旨言われ、そうであれば当初タイ王国における仕事の月給として約束されていた20万円を日割計算で支払うように「ジョー」らに要求し、結局「ジョー」らが被告人の航空券を用意するということがあった。 (6) 令和5年10月13日、タイの警察は、台湾系詐欺グループの拠点とみられていた一戸建て住宅2棟(本件拠点)を摘発し、同家屋で生活していた被告人及び「ジョー 券を用意するということがあった。 (6) 令和5年10月13日、タイの警察は、台湾系詐欺グループの拠点とみられていた一戸建て住宅2棟(本件拠点)を摘発し、同家屋で生活していた被告人及び「ジョー」を含む台湾出身とみられる外国人男性らの身柄を拘束した。 また、摘発の際、被告人は1階におり、同所には、日本語で書かれた「他の金融機関のカードも偽造されている可能性があるよね他にも何か被害が出てくる恐れがあるから早急に対応しなければならない」「サギ換金性の高い物の不正購入などの犯罪が多発しておりますので我々(警視庁サイバー犯罪対策課)(日本中央銀行及び裁判所)と三味一体となって犯罪の抑止、摘発被害者様の保護を目的としております。伝えたら、あとは本人確認及びその他情報の聞き出し〔アタックポイント〕・被害者、加害者の両方の疑いがあるとの告知・このままだと、口座の凍結、信用情報の損失・犯罪加害者としての緊急逮捕、民事裁判所からの出廷命令等の措置となってしまう。効果を確認しつつアタック、保護、安心をケースバイケースで・・」等の詐欺のためのマニュアルとみられる内容が記載されたメモ類が散在していた。 また、同所には「ジョー」らが使用していたとされるパーソナルコンピュータが残されており、そこには、氏名、住所、電話番号等の個人情報が日本語で多数記載されたエクセルファイル形式のリスト、Aのキャッシュカードや通帳の写真、Cが言われた文言と同内容の「今年7月、アマゾンでWi-Fi機器等 を合計13万4500円でVISAカードで購入したこと」を不正出金の可能性の根拠とする日本語の詐欺文言のデータ等が格納されていた。 (7) 令和5年11月15日、被告人は、タイ王国から日本に向かう航空機内で通常逮捕された。本件拠点から発見された被告人の所持品を含む押収物件は とする日本語の詐欺文言のデータ等が格納されていた。 (7) 令和5年11月15日、被告人は、タイ王国から日本に向かう航空機内で通常逮捕された。本件拠点から発見された被告人の所持品を含む押収物件は、被告人の退去強制処分に伴って被告人に還付され、捜査員が同行するなどして渡航の間等に被告人が携行品に触れることがないようにする措置が取られた上で、上記逮捕後に行われた被告人の着衣及び携行品(上記還付品を含む)に対する捜索差押えにより、被告人から押収されるに至った。 その結果、携帯電話機合計7台(なお、うち1台には、AやCの自宅の各固定電話に発信された履歴があった。)、日本語の手書きでAの氏名、住所、電話番号、口座番号、口座残高等の同人の個人情報が記載されるとともに「Cカード郵送要アドレス」「アドレス埼玉へ」「レターパックへ」等と記載された紙片が発見された。なお、同紙片の記載内容のうち、少なくともAの個人情報及び「常に窓口で通帳+ハンコで、取り引き」「明日銀行へ行く予定らしい」という記載は、被告人がAから聴き取るなどしながら記載したものであった。 また、被告人の着衣及び携行品からも、Cが言われた文言と同内容の日本語の詐欺文言のデータ(前記(6))をプリントアウトした紙片が発見され、同紙片に付着していた指紋は被告人のものと合致した。 さらに、押収された前記携帯電話機7台のうち1台(AやCに対する発信履歴のある携帯電話機とは別のもの)は、被告人が日常使用していたことが明らかな携帯電話機であるところ、同機のメモアプリには「稼働日総計(請求)」というタイトルのデータが保存されており、そこには「14日(木)稼働利確302450円」と、Cに詐欺文言を申し向ける電話がかけられた令和5年9月の日付やその被害金額と合致する内容が記録されていた。なお、上記 トルのデータが保存されており、そこには「14日(木)稼働利確302450円」と、Cに詐欺文言を申し向ける電話がかけられた令和5年9月の日付やその被害金額と合致する内容が記録されていた。なお、上記データは、被告人が、「ジョー」らの指示に従って詐欺被害者に電話をかけた日を「稼働」の日として記載していたものであった。 3 争点に対する判断前記2(4)を含む前記認定事実によれば、被告人がこれから行おうとしている行為が詐欺だと認識していたことは明らかであり、それを氏名不詳の共犯者らと互いに協力して一緒に行う意思を相互に通じ合っていたことも明らかである。 そして、前記2(2)、(3)のとおり、被告人は、被害者にうその話をして財物をだまし取るという詐欺の実行行為のうち、うその話をして被害者をだます役割を果たしており、これが詐欺の犯行における役割として核心部分というべき重要なものであって、その実現への寄与も大きいこともまた明らかであるから、その客観面のみからみても、被告人は自己の犯罪として共同して本件詐欺を行ったと評価すべきであり、単に他者の犯罪を手助けしたという幇助犯にとどまるとみることはできない。また、被告人は、本件詐欺による報酬は受け取っていないとするが、詐欺に加担することとした後は、稼働した分を月給という形で受け取るにあたり必要となる稼働日を記録したメモを残しておいたり、実際にジョーに月給を日割で支払うよう請求したりしたことがあったというのであり、本件詐欺で果たした役割に対応して自分も利益を得ようとする姿勢がそれなりにみられ、このことも上記評価を支持する方向に働く事情といえる。いずれにしても、被告人に本件詐欺の共同正犯が成立することに疑いを容れる余地はない。 この点に関し、被告人は、要旨、タイには仮想通貨のセールスの仕事をやり も上記評価を支持する方向に働く事情といえる。いずれにしても、被告人に本件詐欺の共同正犯が成立することに疑いを容れる余地はない。 この点に関し、被告人は、要旨、タイには仮想通貨のセールスの仕事をやりながらボランティアができると言われて行ったのに、詐欺のマニュアルを渡されて話が違うと思い、紹介者やジョーらに話が違うと言い続けていたが、ある日、外国人男性から自分の実家等が写っている画像を見せられて「私たちの組織にやりたくないことをやらせないでくれ」「頼むから言うことを聞いて私たちの仕事に協力してほしい」という趣旨のことを言われ、断れば自分の家族に対しても危害があるかも分からないと思って指示に従うことにした旨述べ、弁護人は、被告人が述べる事情をもって、共謀や正犯性が否定されるという趣旨の主張をする。また、タイ王国の警察による捜査に係る照会回答書類を含む関係証拠にも、台湾出 身とみられる外国人男性らが日本人のかけ子の監視役を担っていたことをうかがわせる記述がある。 しかし、前記2(1)の事実に照らしても、仕事が詐欺だと知ってから外国人男性に実家の写真等を見せられたとする時期までの間に、本件拠点を立ち去ったり警察や大使館等外部に連絡を取るなどして詐欺への関与を避けることは十分可能であったといえるし、上記写真等を見せられた後であっても、前記2(5)のとおり、被告人は、自己の望む時期の帰国を要求して航空券の用意も受けた上で単身日本に帰国し、その際に既述のとおり日割りの給料も請求したりしているのであって、本件拠点の外国人男性らに全く逆らえない状況にあったものでなく、それなりに自己の利益も考えて行動できていることは明らかであり、特に単身日本に帰国している間に警察に保護を求めるなどすることも可能であったといえるにもかかわらず、被告人は、そのような たものでなく、それなりに自己の利益も考えて行動できていることは明らかであり、特に単身日本に帰国している間に警察に保護を求めるなどすることも可能であったといえるにもかかわらず、被告人は、そのような行動をしていない。被告人において本件詐欺を行う以外の手立てを採り得ないほどにその意思を抑圧されたような状況があったなどとはいえず、被告人が述べる事情により自己の犯罪として共同して実行する意思をもって本件詐欺に関与したという評価が揺らぐことはない。被告人が述べる事情は、共犯者内の立場や経緯等の犯情において考慮され得るにとどまる。 なお、本件における組織犯罪処罰法違反(犯罪収益等の取得に関し事実を仮装する罪)の内容は、第三者を名宛人として詐取品を送付させたり、第三者名義の口座に詐取金を振り込ませたりすることで、本件詐欺の犯罪収益であるキャッシュカード等や現金の取得に関しそれらが(詐欺グループではなく)送付先や送金先の第三者に帰属しているかのような虚偽の外観を生じさせるというものであり、前記2(2)ないし(4)によれば、被告人において本件詐欺が第三者を名宛人として詐取品を送付させたり、第三者名義の口座に詐取金を振り込ませたりするものであることの認識に欠けるところはなかったといえるから、組織犯罪処罰法違反に関しても共同正犯が成立することが明らかである(もっとも、判示第3の 1及び2については、仮装主体たる詐欺グループが同一であり、かつ同グループに詐取金品を帰属させるという単一の目的に基づいて行われた一連の仮装行為と評価できるから、同法の趣旨や保護法益に鑑み、包括一罪と解するのが相当である。)。 4 以上によれば、被告人に判示第1ないし第3のとおりの詐欺及び組織犯罪処罰法違反の共同正犯が成立することは合理的疑いなく認められると判断した。 法益に鑑み、包括一罪と解するのが相当である。)。 4 以上によれば、被告人に判示第1ないし第3のとおりの詐欺及び組織犯罪処罰法違反の共同正犯が成立することは合理的疑いなく認められると判断した。 (累犯前科)省略(法令の適用)省略(量刑の理由)判示第1及び第2は、外国人を含む多数の者が役割を分担し海外の拠点を用いて組織的かつ巧妙に行われた特殊詐欺の事案であり、それ自体強い非難を免れない犯罪であることは明らかである。被害者らは社会的有用性の点から軽視できない財産的価値を有するキャッシュカード等や30万円余りの現金を詐取されており、当然ながら処罰感情は厳しい。判示第3も、本件詐欺による犯罪収益が本件詐欺グループの者とは別の口座の名義人や送付先の名宛人に帰属するように装って犯罪収益の追及を困難にするもので、第三者名義の口座や名宛人の送付先住所を準備するなど組織的かつ巧妙に計画されたものである。被告人は被害者らに電話をかけてうその話をするかけ子の役割を果たしており、その役割が詐欺という行為の性質上重要であることはもとより、拠点には「小林」なる人物と被告人以外に日本人がいなかったというのであるから、被告人は、本件詐欺グループが日本人の被害者らを標的とする詐欺を行うために、より重要かつ不可欠の役割を果たしたといえる。被告人の供述によれば、本件詐欺グループが日本にいる被告人の家族に危害を加える恐れがないとはいえない状況にあったというのであるが、このことを踏まえたとしても、既述のとおり詐欺に加担する以外に家族への危害を避ける手段が他に十分考えられ たといえる本件では、そこまで酌むべき事情とみることもできない。その刑事責任は重く、被告人が累犯前科となる窃盗による服役を終えて出所後約3年余りで本件各犯行に及んだことも踏まえる 分考えられ たといえる本件では、そこまで酌むべき事情とみることもできない。その刑事責任は重く、被告人が累犯前科となる窃盗による服役を終えて出所後約3年余りで本件各犯行に及んだことも踏まえると、相応の期間の実刑は避けられない。 他方、本件犯罪計画を立案して人員を組織した首謀者は別におり、渡航時期等からみても、被告人は紹介者を通じてタイに送られて上位者から指示されるとおりに電話をかける立場にあったと認められる。また、被告人は、自身が関与した状況についてはある程度具体的に供述した上で被害者らへの謝罪の念を述べ、受領されるには至っていないものの、弁償金を一部工面して被害弁償の申し出を行い、社会復帰後も弁償していく旨を述べる。これらを含む被告人のために酌むべき事情を併せ考慮の上、主文の刑が相当と判断した。(求刑懲役4年)令和6年12月26日岐阜地方裁判所刑事部 裁判官戸崎涼子

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