令和5(ワ)70165 発信者情報開示命令取消請求事件

裁判年月日・裁判所
令和6年1月16日 東京地方裁判所
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令和6 年1 月16 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和5 年(ワ)第70165 号発信者情報開示命令取消請求事件(基本事件東京地方裁判所令和5 年(発チ)第10015 号発信者情報開示命令申立事件)口頭弁論終結日令和5 年11 月9 日 判決原告 Twitter, Inc.訴訟承継人XCorp.同訴訟代理人弁護士中島徹同平津慎副 同上田一郎同鍋島智彦同小原丈佳被告 A主文 1 当事者間の東京地方裁判所令和5 年(発チ)第10015 号発信者情報開示命令申立事件について、同裁判所が同年3 月7 日にした決定を次のとおり変更する。 (1) 原告は、被告に対し、別紙発信者情報目録記載2 の情報を開示せよ。 (2) 被告の上記事件に係るその余の申立てを却下する。 2 訴訟費用(前項の事件の手続費用を含む。)は、これを2 分し、その1 を原告 の負担とし、その余を被告の負担とする。 3 原告のために、この判決に対する控訴のための付加期間を30 日と定める。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 請求の趣旨 (1) 当事者間の東京地方裁判所令和5 年(発チ)第10015 号発信者情報開示命 令申立事件について同裁判所が同年3 月7 日にした決定を取り消す。 (2) 前項記載の事件における被告の申立てを却下する。 2 請求の趣旨に対する答弁当事者間の東京地方裁判所令和5 年(発チ)第10015 号発信者情報開示命令申立事件について、同裁判所が同年3 月7 日にした決定 における被告の申立てを却下する。 2 請求の趣旨に対する答弁当事者間の東京地方裁判所令和5 年(発チ)第10015 号発信者情報開示命令申立事件について、同裁判所が同年3 月7 日にした決定を認可する。 第2 事案の概要本件は、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「法」といい、同法の施行規則を「規則」という。)5 条1 項に基づく被告の申立てを相当と認め、原告に対して別紙発信者情報目録記載1 の情報(以下「本件発信者情報1」という。)の開示を命じた基本事件に係る決定(以下「原決 定」という。)に対し、原告が異議の訴えを提起した事案である。 被告は、主位的に、原決定の認可を求めると共に、第1 次予備的申立てとして、原告に対し、同目録記載2 の情報(以下「本件発信者情報2」という。)の開示を命じること、第2 次予備的申立てとして、原告に対し、同目録記載3 の情報(以下「本件発信者情報3」という。)の開示を命じることを求めた。 1 前提事実(当事者間に争いがないか、証拠(甲1、乙2)及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 当事者原告は、インターネット上のいわゆるソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)であるX(旧ツイッター)を運営する者であり、特定電気通信(法2 条1 号)の用に供される電気通信設備(特定電気通信設備。同条2 号)を他人の通信の用に供する者(特定電気通信役務提供者。同条3 号)である。 被告は、以下の商標権を有し、インターネット上において、「はーじゅのギフトレ」の屋号で、ギフト券(電子商品券)の販売業を営む者である。 登録番号商標登録第6583876 号 出願日令和4 年4 月13 日 ーネット上において、「はーじゅのギフトレ」の屋号で、ギフト券(電子商品券)の販売業を営む者である。 登録番号商標登録第6583876 号 出願日令和4 年4 月13 日 登録日令和4 年7 月7 日登録商標 (標準文字)はーじゅのギフトレ商品及び役務の区分第36 類指定役務電子商品券の売買(2) 氏名不詳者(以下「本件発信者」という。)は、別紙投稿記事目録の投稿日時 欄記載の各日時において、インターネット上のサイト「Twitter」(現「X」。以下「本件サイト」という。)に、「はーじゅのギフトレ® (省略)」を投稿者名とするアカウント(以下「本件アカウント」という。)により、同目録の投稿内容欄記載の各投稿(以下「本件各投稿」という。)をした。 (3) 発信者情報の保有 原告は本件発信者情報1 及び2 を保有している。原告が本件発信者情報3 を保有しているか否かは未確認である。 (4) 発信者情報の開示を受けるべき正当な理由被告は、本件発信者に対して、営業権侵害を原因とする損害賠償請求等を予定していることから、被告には本件発信者情報1~3 の開示を受けるべき正当な理由(法 条1 項2 号)がある。 (5) 補充性原告が保有する特定発信者情報以外の発信者情報は、電話番号及び電子メールアドレスであり、補充性の要件(法5 条1 項3 号ロ、規則4 条)を充足する。 (6) 手続の経過 東京地方裁判所は、令和5 年3 月7 日、基本事件について被告の申立てを相当と認め、原告に対し、本件発信者情報1 の開示を命じる決定(原決定)をした。原告は、同月13 日に原決定の告知を受け、同年4 月10 日に本件訴えを提起した。 2 争点(1) 権利侵害 てを相当と認め、原告に対し、本件発信者情報1 の開示を命じる決定(原決定)をした。原告は、同月13 日に原決定の告知を受け、同年4 月10 日に本件訴えを提起した。 2 争点(1) 権利侵害の明白性(争点1) (2) 「侵害関連通信」の範囲(争点2) 3 争点に関する当事者の主張(1) 争点1(権利侵害の明白性)について〔被告の主張〕本件発信者は、本件各投稿により、被告になりすましてギフトカードのトレードを呼び掛けている。これにより、被告には、本件サイトの使用者に注意喚起を行わ なければならないという不利益が生じると共に、被告の営業上の信用が損なわれているから、本件発信者の上記行為は被告の営業権を侵害している。また、その結果、被告は、基本事件の申立てを余儀なくされたことによる手続費用の損害及び対応のために通常業務ができなかったという損害を被った。したがって、本件発信者の上記行為により被告の権利が侵害されたことは明らかである。 〔原告の主張〕不知。 (2) 争点2(「侵害関連通信」の範囲)について〔被告の主張〕原告は、「侵害関連通信」は規則5 条各号に掲げる通信ごとにそれぞれ1 つにな ると主張する。 しかし、被告は、別件の手続において、本件発信者情報1 のように、「ログインの際に使用したIP アドレス及びタイムスタンプのうち、〇月〇日以降のもの」として、コンテンツプロバイダ(以下「CP」という。)から開示を受け、アクセスプロバイダ(以下「AP」という。)に対して開示請求したところ、最終的に契約者を特 定できたのは対象となるログイン通信の約10%であった。また、このようにAP において契約者の特定ができなかったとしても、再度の開示命令の申立てはできず、仮 求したところ、最終的に契約者を特 定できたのは対象となるログイン通信の約10%であった。また、このようにAP において契約者の特定ができなかったとしても、再度の開示命令の申立てはできず、仮にできたとしても、ログイン履歴は保存期間の経過により順次削除される。 仮に「侵害関連通信」が1 つに限られる場合、侵害投稿後のログインによって投稿を行うことはあり得ず、投稿に用いられたのはいかなる場合でも投稿直前のログ インであるから、当該1 つの「侵害関連通信」を本件発信者情報3 のように侵害情 報の送信直前のログイン通信(以下「直前通信」という。)とすることは理解し得る。 しかし、現在の発信者情報開示命令手続においては、「侵害関連通信」が1 つに限られるとの解釈を前提に、本件発信者情報2 のように侵害情報の送信と最も時間的に近接するログイン通信(以下「最近接通信」という。)又は直前通信のいずれかのパターンで発令されるのが一般的である。このため、「侵害情報の送信と相当の関連性 を有する」ログイン通信は1 つに限定できず、「侵害関連通信」が1 つに限られるとの解釈を規則5 条の「侵害情報の送信と相当の関連性を有する」との文言から読み取ることはできない。また、侵害投稿前であるが直前通信ではないログイン通信であれば開示が認められないのに、より投稿から遠いアカウント作成通信であれば規則5 条1 号により開示が認められる点も疑問である。 したがって、「侵害情報の送信と相当の関連性を有する」通信とは、アカウント作成通信からアカウント削除通信までの間において、可能な限り侵害投稿と時間的に近接し、AP が契約者情報を開示可能な1 つのログイン・ログアウト通信を指すとするのが自然な解釈である。しかし、これはAP への確認が行われ ト削除通信までの間において、可能な限り侵害投稿と時間的に近接し、AP が契約者情報を開示可能な1 つのログイン・ログアウト通信を指すとするのが自然な解釈である。しかし、これはAP への確認が行われなければ知り得ないのであるから、原告のようなCP に対する開示命令においては、本件発信者情 報1 のように幅広い開示が認められるべきである。 〔原告の主張〕規則5 条柱書は、「侵害関連通信」を「侵害情報の送信と相当の関連性を有するもの」に限定している。この「相当の関連性」は、法が、被害者の権利回復の利益と発信者のプライバシー及び表現の自由、通信の秘密との均衡を図る観点から、開示 することができる特定発信者情報の範囲について量的な制限を加えたことを踏まえ、侵害関連通信に該当するものを、発信者を特定するために必要最小限度の範囲に限定するために要件とされたものである。このため、「侵害情報の送信と相当の関連性を有するもの」に該当する通信は、原則として、規則5 条各号に掲げる通信ごとにそれぞれ1 つとなると解されるから、本件発信者情報1 の開示を命じた原決定は解 釈を誤ったものである。 侵害情報の送信と最も時間的に近接するログイン通信すなわち最近接通信であれば、侵害情報の送信と同一の発信者によるものである高度の蓋然性があると考えられることから、上記の1 つの通信とは最近接通信であると理解される。もっとも、最近接通信からの発信者の特定が困難であることが明らかで、侵害関連通信の範囲を最近接通信のみに限定することが特定発信者情報の開示請求権を創設した趣旨に 照らし適切ではない例外的な場合があり得る。そのような場合に、最近接通信以外の通信も侵害情報の送信と相当の関連性を有するものになり得ることは、一般論として考えら 報の開示請求権を創設した趣旨に 照らし適切ではない例外的な場合があり得る。そのような場合に、最近接通信以外の通信も侵害情報の送信と相当の関連性を有するものになり得ることは、一般論として考えられる。ただし、そのような例外的な場合とは、最近接通信が経由プロバイダのみを経由して接続した通信でないことにより、発信者に係る契約者情報を保有する経由プロバイダを特定することができない場合であり、具体的には、最近接 通信が「ボットによるアクセス」である場合やソーシャルログインの場合などが考えられる。したがって、上記の例外的な場合とは、最近接通信では、その性質上、類型的に発信者の特定が困難であることが明らかである場合をいうと考えられる。 被告は、開示されたログイン情報により必ずしも発信者の特定ができるわけではないことなどを主張する。しかし、被告の主張は、単に、最近接通信1 つのみでは 事実上発信者の特定が困難であるという事情やログ保存期間の経過によって発信者情報が削除される可能性を指摘するに過ぎず、最近接通信では、その性質上、類型的に発信者の特定が困難であることが明らかであるとするものではない。本件発信者情報1 には複数のログイン通信が含まれることが想定されるが、これらの通信の全てが「相当の関連性」を有することについて、被告は主張立証をしていない。な お、AP が契約者情報を開示可能かどうかは原告の知り得ないことであり、この点を考慮して本件発信者情報1 のような広範な開示を正当化することは、上記のとおり「相当の関連性」を要件とした趣旨に反するものである。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(権利侵害の明白性)について 前提事実によれば、本件各投稿は、被告が商標権を有する登録商標「はーじゅの ギフトレ」の文 反するものである。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(権利侵害の明白性)について 前提事実によれば、本件各投稿は、被告が商標権を有する登録商標「はーじゅの ギフトレ」の文字を含む投稿者名のアカウントにより、被告になりすましてギフト券(電子商品券)の取引を呼び掛けるものと理解される。これにより、被告は、自己の営業上の信用が損なわれるのを防ぐため対処を余儀なくされ、被告の潜在的な顧客を含む本件サイトの使用者に対して注意喚起を行わなければならないことなどの不利益を被ったといえる。したがって、本件発信者の本件各投稿により被告の営 業権が侵害されたことは明らかであると認められる。 2 争点2(「侵害関連通信」の範囲)について(1) 法5 条が発信者情報の開示請求を規定している趣旨は、特定電気通信(法2条1 号)による侵害情報の流通には、これにより他人の権利の侵害が容易に行われ、高度の伝播性があるがゆえに際限なく被害が拡大し、匿名で情報の発信が行われた 場合には加害者の特定すらできず被害回復も困難となるという、他の情報の流通手段とは異なる特徴があることを踏まえ、特定電気通信による情報の流通によって権利の侵害を受けた者が、情報の発信者のプライバシー、表現の自由、通信の秘密に配慮した厳格な要件の下で、当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者に対し、発信者情報の開示を請求することができる ものとすることにより、加害者の特定を可能にして被害者の権利の救済を図ることにあると解される。 法5 条1 項は、特定発信者情報(発信者情報であって専ら侵害関連通信に係るものとして総務省令で定めるもの)をも開示の対象とする。「侵害関連通信」とは、「侵害情報の発信者が当該侵害情報の送信に係 法5 条1 項は、特定発信者情報(発信者情報であって専ら侵害関連通信に係るものとして総務省令で定めるもの)をも開示の対象とする。「侵害関連通信」とは、「侵害情報の発信者が当該侵害情報の送信に係る特定電気通信役務を利用し、又はその 利用を終了するために行った当該特定電気通信役務に係る識別符号…その他の符号の電気通信による送信であって、当該侵害情報の発信者を特定するために必要な範囲内であるものとして総務省令で定めるもの」であり(法5 条3 項)、規則5 条は、これを「次に掲げる識別符号その他の符号の電気通信による送信であって、それぞれ同項に規定する侵害情報の送信と相当の関連性を有するもの」とし、同条2 号で ログイン通信を掲げている。 このような法5 条1 項、3 項及び規則5 条の趣旨は、以下のように理解される。 すなわち、令和3 年法律第27 号による改正前の法4 条1 項に規定された「当該権利の侵害に係る発信者情報」は、侵害情報の送信に係る発信者情報に限られると解するのが文理に忠実であった。しかし、海外法人が運営するSNS などにおいては、侵害情報の送信について通信記録を保有しない場合がある。そこで、ログイン通信 等の侵害関連通信に係る発信者情報を特定発信者情報として開示の対象とすることにより、救済の実効性を確保することが可能となる。一方で、ログイン通信等は対象となる権利侵害行為の通信と異なるものであるため、その開示により、侵害情報を送信した発信者以外の発信者のログイン通信等に係る情報が開示される可能性があり、開示を可能とする情報が際限なく拡大すれば、当該権利侵害に係る通信とは 関係の薄い通信の秘密やプライバシーが侵害されるおそれが高まる。その上、例えば、CP から大量のログイン通信のIP ア り、開示を可能とする情報が際限なく拡大すれば、当該権利侵害に係る通信とは 関係の薄い通信の秘密やプライバシーが侵害されるおそれが高まる。その上、例えば、CP から大量のログイン通信のIP アドレスの開示を受けてAP に提供される場合には、AP において発信者を特定するために過度の負担がかかるおそれがある。 こうした事情を踏まえ、法5 条1 項、3 項及び規則5 条は、発信者情報開示の対象となる侵害関連通信の範囲につき、当該権利侵害と一定の関連性を有し、侵害情報 の発信者を特定するために必要最小限度のもの、すなわち、ログイン通信等であって「侵害情報の送信と相当の関連性を有するもの」にしたものと解される。 このような趣旨に鑑みれば、「侵害情報の送信と相当の関連性を有する」ログイン通信等は、特段の事情のない限り、規則5 条各号の通信ごとに1 つであり、また、「相当の関連性」の有無は、侵害情報の送信とログイン通信等とが同一の発信者に よるものである高度の蓋然性があることを前提として、侵害情報の送信と当該ログイン通信等との時間的な最近接性等の諸事情を総合的に考慮して判断されるべきである。 本件においても、特段の事情のない限り、侵害情報の送信である本件各投稿のそれぞれにつき、1 つのログイン通信に係る発信者情報の開示を認めるべきところ、1 つのログイン通信に係る情報の開示がされるだけでは特定発信者情報の開示請求権 が創設された趣旨に反するといった特段の事情があるとみるべき証拠はない。 また、被告は、仮に1 つのログイン通信しか開示対象にならないとすれば、1 次的には最近接通信である本件発信者情報2 の開示を求めていること、原告の主張立証の内容に加え、一般に侵害情報の送信と最も時間的に近接するログイン通信であ イン通信しか開示対象にならないとすれば、1 次的には最近接通信である本件発信者情報2 の開示を求めていること、原告の主張立証の内容に加え、一般に侵害情報の送信と最も時間的に近接するログイン通信であれば、両者は同一の発信者によるものといってよいことなどの事情を考慮すれば、 本件において開示の対象となるべき「侵害情報の送信と相当の関連性を有する」ログイン通信は、本件各投稿と最も時間的に近接するもの、すなわち本件発信者情報 2 であると認めるのが相当である。 (2) 被告は、現在の発信者情報開示命令手続における実情から、「侵害情報の送信と相当の関連性を有する」ログイン通信は複数想定し得るのであって、「侵害情報 の送信と相当の関連性を有する」ログイン通信は規則5 条各号の通信ごとに1 つであるとの解釈は同条の文言から読み取れない上、CP からログイン通信に係るIP アドレス等の開示を受けても、AP に対する開示請求により発信者が特定できるとは限らず、AP において特定ができなかったとしても、再度の開示命令の申立てはできず、また、ログイン履歴は保存期間の経過により順次削除されるのであるから、CP に対する開示命令においては本件発信者情報1 のような幅広い開示が認められるべきであると主張する。 しかし、前記(1)のとおり、法5 条1 項、3 項及び規則5 条は、被害者の権利救済、発信者のプライバシー等の利益保護及びプロバイダの負担の均衡を図る観点から「侵害情報の送信と相当の関連性を有するもの」との限定を付したものであり、こ の「侵害情報の送信と相当の関連性を有するもの」といえる通信は、特段の事情のない限り規則5 条各号の通信ごとに1 つとみるのが相当である。個別の事案においてその1 つの通信が最近接通信であったり直前通信で 害情報の送信と相当の関連性を有するもの」といえる通信は、特段の事情のない限り規則5 条各号の通信ごとに1 つとみるのが相当である。個別の事案においてその1 つの通信が最近接通信であったり直前通信であったりすることは、このような理解を左右するものではない。また、上記趣旨に鑑みれば、最終的にAP において発信者の特定ができない事態が生じ得るとしても、本件発信者情報1 のような 広範囲にわたるログイン通信に係る発信者情報の開示をCP に対して命じることは なお相当でない。 その他被告が縷々指摘する事情を踏まえても、この点に関する被告の主張は採用できない。 3 まとめ以上によれば、被告は、原告に対し、法5 条1 項に基づき、本件発信者情報2 の 開示請求権を有する。 第4 結論よって、被告の基本事件申立てについては、原告に対し、本件発信者情報2 の開示を命じる限度で理由があるから認容し、その余は理由がないから却下すべきであるから、原決定を上記のとおり変更することとして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第47 部 裁判長裁判官 杉浦正樹 裁判官 小口五大 裁判官 久野雄平 (別紙)発信者情報目録 1 スクリーンネームを(省略)に設定したアカウントが、ログインの際に使用したIP アドレス及びタイムスタンプのうち、2022 年(令和4 年)12 月21 日以降の もので、原告が保有するもの全て。 2 スクリーンネームを(省略)に設定したアカ ログインの際に使用したIP アドレス及びタイムスタンプのうち、2022 年(令和4 年)12 月21 日以降の もので、原告が保有するもの全て。 2 スクリーンネームを(省略)に設定したアカウントが、ログインの際に使用したIP アドレス及びタイムスタンプのうち、別紙投稿記事目録記載の各投稿記事とそれぞれ最も時間的に近接するもので、原告が保有するもの。 3 スクリーンネームを(省略)に設定したアカウントが、ログインの際に使用した IP アドレス及びタイムスタンプのうち、別紙投稿記事目録記載の各投稿記事のそれぞれ直前のもので、原告が保有するもの。 以上 (別紙投稿記事目録省略)

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