平成17(ワ)1750 国家賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
平成18年10月27日 名古屋地方裁判所 その他
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判決文本文35,301 文字)

主文 被告は,原告に対し,10万円及びこれに対する平成17年5月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 原告のその余の請求を棄却する。 訴訟費用は,これを10分し,その9を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 この判決は,同判決が被告に送達された後14日間経過したときは,1項に限り仮に執行することができる。 ただし,被告が8万円の担保を供するときは,前項の仮執行を免れることができる。 事実 及び理由第1請求 被告は,原告に対し,100万円及びこれに対する平成17年5月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 訴訟費用は被告の負担とする。 仮執行宣言第2事案の概要本件は,弁護士である原告が,検察庁庁舎内の検察官執務室において,検察官,検察事務官及び刑務官立会いの下,刑事事件の被疑者と,いわゆる秘密交通権が十分に保障されないような態様の短時間の接見(以下,便宜「面会接見」という)を行った際,検察官及び検察事務官が立ち会ったこと,被疑者。 に腰縄が使用されたことなどが違法であるとして,被告に対し,国家賠償法1条1項に基づき,慰謝料の支払を請求した事案である。 争いのない事実等(1)当事者等ア原告は,A所属の弁護士であり,平成17年5月12日当時,強制執行 妨害被告事件(以下「本件被告事件」という)の被告人として名古屋拘。 。 ,置所に勾留されていたB(以下「B」という)の弁護人であった。当時Bには,本件被告事件のほか,関税法違反の容疑がかけられていた(以下,同容疑に係る事件を「本件被疑事件」といい,本件被告事件と併せて「本件両事件」という。 。)イC(以下「C検事」という)及びD(以下「D検事」という)は,平。 。 成17年5月12日当時, ,同容疑に係る事件を「本件被疑事件」といい,本件被告事件と併せて「本件両事件」という。 。)イC(以下「C検事」という)及びD(以下「D検事」という)は,平。 。 成17年5月12日当時,名古屋地方検察庁(以下「名古屋地検」という)特別捜査部(以下「特捜部」という)に所属していた検察官検事で。 。 ある。C検事は本件両事件の捜査主任検察官の職務に,D検事は本件両事件のBの取調べ担当検察官の職務に,それぞれ従事していた。 (2)事実の経緯ア原告は,平成17年5月12日午後1時20分ころ(以下,日付の記載のないものは,すべて平成17年5月12日を指す,名古屋拘置所にお。)いて,Bとの接見を申し入れたところ(甲1,拘置所刑務官から「今,),取調べのためここにはいない。Bの所在は自分には分からない」旨告げ。 られた。 原告は,Bの所在を確認するため,名古屋地検特捜部に電話したところ,対応に当たったC検事から「Bが名古屋地検に押送されている「本,。」,件被疑事件により逮捕手続にはいるところである」旨知らされた。原告。 は,C検事に対し,名古屋地検庁舎内での接見を申し出て,名古屋地検に向かった。 D検事は,午後1時39分,同人の執務室(別紙図面の部屋。以下「本件執務室」という)において,本件被疑事件により,Bを逮捕し,弁解。 録取手続を開始した。 原告は,午後1時46分ころ,名古屋地検の庁舎に到着し,午後1時50分ころ,同庁舎5階にある名古屋地検特捜部の待合コーナー(以下「本 件待合コーナー」という)において,C検事と面談し,原告とBとの面。 会接見の実施方法について協議した。 イ原告は,午後2時43分ころから午後2時55分ころまで,本件執務室において,Bと面会接見を行った(以下「本件面会接見」という。 。)本件 原告とBとの面。 会接見の実施方法について協議した。 イ原告は,午後2時43分ころから午後2時55分ころまで,本件執務室において,Bと面会接見を行った(以下「本件面会接見」という。 。)本件面会接見には,D検事及びその立会検察事務官であるE(以下「E検察事務官」という)並びに名古屋拘置所の刑務官であるF(以下「F。 刑務官」という)及びG(以下「G刑務官」という)が立ち会い,Bの。 。 腰部には捕縄が使用されていた(以下,腰部に使用された捕縄を指して「腰縄」ともいう。 。) 原告の主張(1)被告人に対する接見妨害の違法性被告人の接見に対して,刑訴法39条3項の指定権を行使することはできず,ただ,余罪である被疑事件の逮捕,勾留とが競合している場合,検察官等は,被告事件について防御権の不当な制限にわたらない限り,刑訴法39条3項の接見等の指定権を行使することができると解される。 この点,Bが本件被疑事件により逮捕されたのは,平成17年5月12日午後1時39分であり,原告が名古屋地検のC検事に電話して,Bとの接見を申し出たのは,同日午後1時35分ころであったから,原告が名古屋地検のC検事に対し,電話で被告人であるBとの接見を申し出たとき,Bは逮捕されていなかった。 したがって,C検事は,当時,Bが逮捕されていなかった以上,直ちに,逮捕手続を中止させ,原告とBを接見させる義務があった。 それにもかかわらず,C検事は,原告の上記接見の申出に対し「B氏については,今,現に取調べ中であって,間もなく逮捕する予定でありますので,直ちにお会いいただける状況にはございません」と回答し,接見指定,接。 見拒否をした。 このC検事の接見指定,接見拒否は,憲法34条,刑訴法39条に反し,違法である。 (2)接見設備がないことを理由とする接見 だける状況にはございません」と回答し,接見指定,接。 見拒否をした。 このC検事の接見指定,接見拒否は,憲法34条,刑訴法39条に反し,違法である。 (2)接見設備がないことを理由とする接見拒否の違法性最高裁平成17年4月19日第三小法廷判決(民集59巻3号563頁)によれば,弁護人から検察庁の庁舎内に居る被疑者との接見の申出を受けた検察官は,同庁舎内に,その本来の用途,設備内容等からみて,検察官が,その部屋等を接見のためにも用い得ることを容易に想到することができ,また,その部屋等を接見のために用いても,被疑者の逃亡,罪証の隠滅及び戒護上の支障の発生の防止の観点からの問題が生じないことを容易に判断し得るような部屋等が存する場合には,憲法34条,刑訴法39条から,接見の申出を拒否することができないというべきである。 名古屋地検の警察官同行室(以下「本件同行室」という)及び拘置所仮。 。 ,監(以下「本件仮監」という)は,接見のために用いても,被疑者の逃亡罪証の隠滅及び戒護上の支障の発生の防止の観点からの問題が生じないことを容易に判断し得るような部屋等である。 本件待合コーナーは,出口は1か所だけで,三方を壁に囲まれており,凶器になるようなものはない。入口の辺りに刑務官が佇立して見張るというような形であれば,非常に接見の秘密性も守られ,逃亡のおそれもまずない。 また,C検事,その他の名古屋地検の検事は,本件待合コーナーを現に認識している。C検事,その他の名古屋地検の検事は,本件待合コーナーを接見のためにも用い得ることを容易に想到することができ,また,本件待合コーナーを接見のために用いても,被疑者の逃亡,罪証の隠滅及び戒護上の支障の発生の防止の観点からの問題が生じないことを容易に判断し得るような場所等である。 したがって,C検事が接 き,また,本件待合コーナーを接見のために用いても,被疑者の逃亡,罪証の隠滅及び戒護上の支障の発生の防止の観点からの問題が生じないことを容易に判断し得るような場所等である。 したがって,C検事が接見設備がないことを理由として接見拒否をしたことは,憲法34条,刑訴法39条に反し違法である。 (3)本件執務室における面会接見の違法性上記最高裁判決によれば,検察官が検察庁の庁舎内に接見の場所が存在しないことを理由として同庁舎内に居る被疑者との接見の申出を拒否したにもかかわらず,弁護人がなお同庁舎内における即時の接見を求め,即時に接見をする必要性が認められる場合には,検察官には,捜査に顕著な支障が生ずる場合でない限り,いわゆる秘密交通権が十分に保障されないような態様の短時間の「接見」(面会接見)であってもよいかどうかという点につき,弁護人の意向を確かめ,弁護人がそのような面会接見であっても差し支えないとの意向を示したときは,憲法34条,刑訴法39条の趣旨から,面会接見ができるように特別の配慮をすべき義務がある。 以下に述べるとおり,本件待合コーナー,本件同行室,本件仮監の方が,被疑者の逃亡,罪証の隠滅及び戒護上の支障の発生の防止の全ての観点から,本件執務室よりも面会接見に適しているから,C検事,その他の名古屋地検の検事が,本件待合コーナー,本件同行室又は本件仮監において面会接見をさせなかったことは,上記の配慮義務に違反し,憲法34条,刑訴法39条の趣旨に反し違法である。 被告の主張によれば,①本件執務室は,名古屋地検の5階の北側の一室であるが,同室南側に出入口扉があり,北側は全面がガラス窓になっており,その一部は内側から錠などの特別な器具を用いなくとも容易に開閉可能な設備になっているところ,同ガラス窓には鉄格子等の逃亡防止設備はなく,か 同室南側に出入口扉があり,北側は全面がガラス窓になっており,その一部は内側から錠などの特別な器具を用いなくとも容易に開閉可能な設備になっているところ,同ガラス窓には鉄格子等の逃亡防止設備はなく,かつ,窓の外には人の通行が可能な庇状の張り出しがあり,Bが同ガラス窓から逃亡した場合,同張り出し部分等を利用して隣室等へ逃亡することが可能であった,②本件執務室の机の上には,Bの逮捕に関連して作成した手続書類のほか,事件記録の写しの束や証拠関係等をデータ入力してあるコンピュータ等があった,③本件執務室には,合計6個の椅子があり,これらは用法上の凶器となり得るほか,机の上には鉛筆,ボールペン及び定規といった筆 記用具,持ち上げ可能なディスプレー,キーボード等のコンピュータ関連の機器があった上,机の引き出し内には千枚通し,カッターナイフ及びコンパスといったより危険性が高い文房具もあったとのことである。 これに対し,本件待合コーナーは,三方を囲まれて,出口は1か所だけで,入口の辺りに刑務官が,例えば佇立して見張るというような形であれば,非常に接見の秘密性も守られるし,逃亡のおそれもまずない。全面がガラス窓になっている部分がなく,出入口は1か所だけである。1か所だけの出入口を監視すれば,逃亡の可能性はない。 また,本件同行室は,出入口側を除く3面がコンクリート壁であり,出入口の面は,金網が張られた鉄格子で仕切られており,その仕切り壁には,扉と物の授受が可能な開口部が設けられている。本件仮監は,4面ともコンクリート壁であるが,出入口の面には,透明板がはめ込まれた扉と物の授受が可能な開口部が設けられている。本件同行室,拘置所仮監の各房前にはベンチが置かれ,各房内の監視をしている。本件同行室,拘置所仮監も,全面がガラス窓になっている部分がなく,出入口は1 た扉と物の授受が可能な開口部が設けられている。本件同行室,拘置所仮監の各房前にはベンチが置かれ,各房内の監視をしている。本件同行室,拘置所仮監も,全面がガラス窓になっている部分がなく,出入口は1か所だけである。1か所だけの出入口を監視すれば,逃亡の可能性はない。 さらに,本件待合コーナー,本件同行室及び本件仮監には,凶器となるようなもの,事件記録の写し等,罪証の隠滅の対象となる資料がなく,罪証の隠滅の防止の観点からも,戒護上の支障の防止の観点からも全く問題はない。 (4)検察官及び検察事務官の立会いの違法性,,ア上記最高裁判決によれば,面会接見における立会人は「被疑者の逃亡罪証の隠滅及び戒護上の支障の発生の防止」の観点から認められるに過ぎない。かかる観点から認められる範囲を超える立会人の存在は,検察官の面会接見についての配慮義務に違反し,憲法34条,刑訴法39条又は同条の趣旨に違反し,違法である。 イ本件では,刑務官が腰縄付きの被疑者に立ち会っている以上,被疑者の 逃亡,罪証の隠滅及び戒護上の支障の発生は全くない。また,腰縄付きの接見ないし面会接見は違法だが,腰縄を付けなくても,刑務官が2名立ち会っている以上,被疑者の逃亡,罪証の隠滅及び戒護上の支障の発生は全くない。したがって,本件面会接見における検察官,検察事務官の立会いは「被疑者の逃亡,罪証の隠滅及び戒護上の支障の発生の防止」の観点から認められる範囲を超えるものである。 また,本件では「平成17年5月12日名古屋地方検察庁検察官殿私は,検事,検察事務官,刑務官立合でH弁護人と接見する事に異議がありません。B」と記載された上申書が存在する。しかし,これは,BがD検事の言った言葉を一字一句書き写したものであるし,当時,Bは身柄を拘束され,自由な意思で上記上申書を書ける と接見する事に異議がありません。B」と記載された上申書が存在する。しかし,これは,BがD検事の言った言葉を一字一句書き写したものであるし,当時,Bは身柄を拘束され,自由な意思で上記上申書を書ける状況ではなかった。そうすると,上記上申書は,D検事の言うとおりに書いたもので,Bの真意によるものではないから,検察官,検察事務官の立会いを正当化するものではない。また,接見交通権は,弁護人の固有権の最も重要なものの一つで,被疑者・被告人の意思によって制約されるものではない。その意味でも,上記上申書は,検察官,検察事務官の立会いを正当化するものではない。 さらに,原告は,C検事に対し,検察官及び検察事務官の立会いについて「部屋の隅の方におってもらえれば,それは妥協する」という趣旨の,。 発言をした。しかし,これは法科大学院の講義のため,原告が午後2時50分に名古屋地検を出なければならない時間的な制約があったし,法科大学院の講義が終了した後では名古屋拘置所での接見は不可能であった。このような観点から,原告は,当日,接見又は面会接見するため,このような発言をしたのである。したがって,原告は,C検事,その他の名古屋地検の検事の違法行為により,原告が妥協しなければ,当日,接見又は面会接見できない状況にあったものであり,かかる原告の妥協は,検察官,検察事務官の立会いを正当化するものではない。 加えて,上記の原告の妥協の条件が履行されれば,原告が,検察官,検察事務官の立会いを許したと評価でき,違法性を阻却する可能性があるが,検察官,検察事務官は「部屋の隅」にいなかったので,原告の妥協の条,件が履行されず,違法性を阻却しない。原告は,本件面会接見のような状況で,検察官,検察事務官が立ち会うということは予想してなかったので,原告が,検察官,検察事務官 いなかったので,原告の妥協の条,件が履行されず,違法性を阻却しない。原告は,本件面会接見のような状況で,検察官,検察事務官が立ち会うということは予想してなかったので,原告が,検察官,検察事務官の立会いを許したと評価することもできない。 なお,D検事,E検察事務官は,原告の「隅のほうへ移動してほしい」。 との要請も無視した。 ウしたがって,本件面会接見において,検察官,検察事務官が立ち会ったのは,検察官の面会接見についての配慮義務に違反し,憲法34条,刑訴法39条又は同条の趣旨に違反し,違法である。 また,かかる行為は,憲法13条が保障する他とコミュニケートする権利その他の人格権,憲法31条が保障する適正手続の一環としての防御権行使を侵害するほか「市民的及び政治的権利に関する国際規約(以下,」「B規約」という)の身体の自由及び安全を侵害し,B規約10条の人。 道的取扱い,B規約14条の無罪の推定に違反し,B規約に違反することで,条約の誠実な遵守を定めた憲法98条2項に違反する。 (5)腰縄付き接見の違法性ア腰縄付きの接見は,物理的に会話を制約しないとしても,精神的に圧迫し,接見又は面会接見に対する制約になるから,腰縄付きの接見は,憲法34条前段の保障に全く反し,刑訴法39条の趣旨に全く合致しない。 イ刑務官が,接見又は面会接見時に,Bに腰縄を付けていたことが違法である以上,それを現認した検察官らは,公益の代表者(検察庁法4条)として,それを止めさせる義務があり,それをしなかったことは違法である。 この点,D検事は「私は,腰縄の使用などの戒具の使用に関し,検察官は刑務官に指揮する立場にはありません」と述べるが,刑務官の職務行為。 の範囲内の行為なら,検察官に刑務官の行動をやめさせることはできないとしても,職務行為の範囲を逸 の戒具の使用に関し,検察官は刑務官に指揮する立場にはありません」と述べるが,刑務官の職務行為。 の範囲内の行為なら,検察官に刑務官の行動をやめさせることはできないとしても,職務行為の範囲を逸脱して違法ならば「公益の代表者」である検察官には,それを止めさせる義務がある。 ウしたがって,F刑務官及びG刑務官が,本件面会接見において,Bに腰縄を付けたこと,その他の名古屋拘置所の刑務官らが,それを容認したこと,D検事等がこれを止めなかったことは,憲法34条,刑訴法39条に反し,違法である。 また,かかる行為は,憲法13条が保障する他とコミュニケートする権利その他の人格権,憲法31条が保障する適正手続の一環として防御権行使を侵害するほか,B規約9条の身体の自由を侵害し,B規約10条の人道的取扱い,B規約14条の無罪の推定に違反し,B規約に違反することで,条約の誠実な遵守を定めた憲法98条2項に違反する。 (6)故意又は過失国である被告の公権力の行使に当たる「公務員」であり,法律の専門家であるC検事,D検事,E検察事務官及び刑務官ら並びにその上司にとって,本件面会接見に上記のような違法があることは明白であり,同人らには,上記違法な公権力の行使につき「故意又は過失」がある。 なお,国家賠償法1条1項の損害賠償について,通説・判例である過失責任主義の立場に立つと,国等の行為により現実に損害が生じたにもかかわらず被害者が救済されない場合が出てくるが,現実の問題の処理に当たっては,裁判所は故意・過失を緩やかに解することによって,救済の実を図るべきである。本件のような,重大な憲法違反の場合に,検察官,刑務官らの過失を認め,責任を負わせることにより,将来,検察官,刑務官らの違法行為を抑止し,明治憲法下の切り捨て御免的行政の反省を踏まえて,国家の賠償 。本件のような,重大な憲法違反の場合に,検察官,刑務官らの過失を認め,責任を負わせることにより,将来,検察官,刑務官らの違法行為を抑止し,明治憲法下の切り捨て御免的行政の反省を踏まえて,国家の賠償責任を明らかにし,国民の権利救済に仕えようとする憲法17条の趣旨を全うできる。 (7)損害ア精神的損害上記違法な公権力の行使によって,原告が被った精神的苦痛を慰謝するには100万円を下らない。 イ弁護士費用本訴提起に伴って必要な弁護士費用のうち少なくとも100万円については,上記違法な公権力の行使と相当因果関係がある。 ウ懲罰的損害検察官による接見妨害は,全国的に組織的に行われている。10人の弁護人に対して同様の接見妨害があり,1人につき100万円の損害が生じれば,合計1000万円の損害が生じる。 原告は,将来の1000万円の損害を防止するため,本訴を提起したのである。将来の損害を防止するため懲罰的損害として少なくとも1000万円の損害が発生している。 したがって,被告は,原告に対して,少なくとも1000万円の懲罰的損害賠償義務がある。 (8)よって,原告は,被告に対し,国家賠償法1条1項による損害賠償請求権に基づき1200万円の損害のうち100万円及びこれに対する不法行為の日である平成17年5月12日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 被告の主張(1)被告人に対する接見妨害がないこと原告は,平成17年5月12日午後1時35分ないしその数分後に電話した際,C検事が「現に取調中であって,間もなく逮捕状を執行する運びである」旨回答したことが,被告人の接見に対して,刑訴法39条3項の接見。 指定権を行使したものであり,午後1時30分ころから午後2時40分ころ まで被告人に対する原 もなく逮捕状を執行する運びである」旨回答したことが,被告人の接見に対して,刑訴法39条3項の接見。 指定権を行使したものであり,午後1時30分ころから午後2時40分ころ まで被告人に対する原告の接見を妨害した旨主張する。 しかし,C検事の上記回答は,その言葉のとおり,Bの弁護人である原告に対し,Bを逮捕する予定であることを告知したものであって,接見指定権を行使したものでないことは明らかである。 また,Bの逮捕時刻に照らしても,接見妨害の事実は存在しない。すなわち,名古屋地検検察官は,同日,本件被疑事件により,Bに対する通常逮捕状の発付を受け,名古屋拘置所に依頼して午後1時30分までにBを名古屋地検に押送するように指示していた。 D検事は,名古屋拘置所から名古屋地検に押送されてきたBを午後1時35分ころに本件執務室に入れ,午後1時39分に通常逮捕した。 Bを通常逮捕したD検事は,刑訴法の規定に基づき,直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上,弁解録取の手続きを開始し,午後2時20分ころまで同手続きを行った。 原告が,C検事に電話連絡した上,名古屋地検の庁舎に入ったのは,午後1時46分であり,この時点では,既にBを通常逮捕して弁解録取中であったことが明らかであるから,原告の「まだ逮捕していない状態での接見申込に対する接見拒否である」旨の主張は,事実に反しており失当である。 。 (2)接見の申出を拒否した行為に違法性がないことアC検事は,平成17年5月12日午後1時50分ころ,名古屋地検特捜部の本件待合コーナーにおいて,原告に対し「当庁には接見用施設がな,いので,検事調室で検察官,事務官及び刑務官立会いでの接見となる」。 旨説明し,原告からの刑訴法39条所定の接見の申出を拒否した。 当時,名古屋地検には「接見室 原告に対し「当庁には接見用施設がな,いので,検事調室で検察官,事務官及び刑務官立会いでの接見となる」。 旨説明し,原告からの刑訴法39条所定の接見の申出を拒否した。 当時,名古屋地検には「接見室等」がなかったことから,C検事は,原告からの接見の申出を拒否したものであり,かかるC検事の行為に違法性は認められない。 イこの点,原告は,名古屋地検の本件待合コーナー,本件同行室又は本件 仮監において,立会人なくして接見させるべき義務があった旨主張するが,本件待合コーナーは,名古屋地検特捜部を訪問する一般人が待機するためのオープンスペースであり,単に,長椅子等が置かれただけで,通路との間に扉も設置されておらず,立会人を置かずに接見を認めた場合,逃走や罪証隠滅等のおそれがあることは明らかである。 また,本件同行室は,本来,警察署の留置場等から取調べ等のために名古屋地検に押送されてくる被疑者を仮に留置するために設けられた施設であって,弁護人等と被疑者との接見が行われることを予定している施設ではない。本件同行室には,多数の被疑者が出入りしており,かかる場所で接見を実施した場合,不測の事態が発生する危険性は多分にあり,本件同行室は接見のために用いることはできないことは明らかであるし,建物地下1階にあり,窓のないコンクリート壁に囲まれ,その出入口側が鉄格子又は金網で仕切られているだけであり,会話の秘密性を確保しながら,物の授受を防ぐ構造になっていない。 本件待合コーナー,本件同行室及び本件仮監は,いずれも「接見室等」に該当しないことは明らかである。 したがって,C検事が,接見室等が存在しないことを理由として,原告からの接見の申出を拒否した点に違法はなく,原告の上記主張は失当である。 (3)面会接見についての特別の配慮義務を尽くしていることア がって,C検事が,接見室等が存在しないことを理由として,原告からの接見の申出を拒否した点に違法はなく,原告の上記主張は失当である。 (3)面会接見についての特別の配慮義務を尽くしていることアC検事は,上記のとおり,原告の接見の申出を拒否したものの,原告が即時の接見を希望したことから,C検事及びD検事は,以下に述べるとおり,特別の配慮をして本件面会接見を行わせたのであり,特別配慮義務違背の違法は認められない。 イ原告は,平成17年5月12日午後1時30分ころ,C検事に対し,電話で「Bが検察庁にいるのであれば,検察庁で接見したい「先日の最。」, 高裁判例に従い,接見するため地検に行く」旨述べ,面会接見を申し入。 れた。 その後,原告が名古屋地検に来庁し,同日午後1時50分ころ,C検事が,本件待合コーナーにおいて,原告に対し「当庁には接見用設備がな,いので,検事調室における検察官,事務官及び刑務官立会いでの接見となる「担当検事が被疑者の弁解録取中であるから,終了まで待ってもら。」,いたい」旨述べ,名古屋地検の庁舎内には接見室等が存在しないことを。 理由に刑訴法39条所定の「接見」の申出を拒否することを明らかにするとともに,弁解録取終了後に検事調室での検察官,検察事務官及び刑務官立会いでの面会接見となることを説明した。同説明内容に対し,原告は了承し,改めて面会接見の希望を明らかにした。 したがって,原告は,検察官,検察事務官及び刑務官が立ち会うことを前提とし,秘密交渉権が十分に保障されないような態様の面会接見であることを熟知していながら,あえてBとの本件面会接見を希望したことが明らかであり,かつ,上記態様の面会接見であることを了承していたことも明らかであった。 ウ一方,C検事から原告が面会接見を希望していることを知った いながら,あえてBとの本件面会接見を希望したことが明らかであり,かつ,上記態様の面会接見であることを了承していたことも明らかであった。 ウ一方,C検事から原告が面会接見を希望していることを知ったD検事は,Bの弁解録取の手続きが終了した後,Bに対し,原告との面会接見の希望の有無,秘密交渉権が十分に保障されない面会接見でもよいとの意向を確認し,その上で,名古屋地検検察官宛にBが作成した「私は,検事,検,察事務官,刑務官立会いでH弁護人と接見することに異議がありません」という内容の書面(乙1)の提出を受けた後,D検事の執務室であ。 る本件執務室において,本件面会接見をさせた。 エこのように,C検事及びD検事は,原告が,当初から,名古屋地検の庁舎内における即時の接見を求めており,C検事らとしても,即時に接見する必要性が認められると判断したため,名古屋地検の庁舎内には接見室等 が存在せず,同庁舎内での接見は認めることはできないものの,秘密交渉権が十分に保障されない態様の面会接見であってもよいかどうかという点につき,原告及びBに確かめた。その結果,原告及びBがそのような面会接見であっても差し支えないとの意向を示したため,本件面会接見ができるように特別の配慮をし,本件面会接見をさせたものである。 オ以上のとおり,C検事らは,面会接見についての特別の配慮義務を尽くしているから,C検事らの行為に違法性は認められない。 (4)場所の判断について違法性がないことア面会接見の態様の判断についての検察官の行為が,国家賠償法上の違法の評価を帯びるのは,国家賠償法上の違法が,職務上の法的義務違背であり,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と当該行為をしたと認め得るような事情がある場合に限り違法の評価を受けると解すべきことからして,検察 家賠償法上の違法が,職務上の法的義務違背であり,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と当該行為をしたと認め得るような事情がある場合に限り違法の評価を受けると解すべきことからして,検察官の決定した面会接見の態様が,被疑者の逃亡,罪証の隠滅又は戒護の支障の発生の防止に必要な観点から,その必要性・合理性が認められず,検察官がその裁量を逸脱又は濫用したと認め得るような場合でない限り,違法の評価を受けないというべきである。 イC検事らは,原告から,本件待合コーナーないし本件同行室における面会接見の申出を受けた事実はなく,上記のとおり,本件待合コーナーにおいて,原告に対し「当庁には接見用施設がないので,検事調室で検察官,・事務官及び刑務官立会いでの接見となる「担当検事が被告人の弁解。」,録取中であるから,終了まで待ってもらいたい」旨要請したところ,原。 告は,これらに対して何の抗議や異論を述べることなく了承したものであり,原告に本件執務室での面会接見を強要した事実はない。 ウまた,C検事らが,本件執務室における面会接見を提案したのは,面会接見に検察官や検察事務官を立ち会わせるためではなく,原告の即時の面会接見の要望を満たしつつ,被疑者の逃亡,罪証隠滅,戒護上の支障の発 生の防止等を図るためには,本件執務室で面会接見を行うことが必要かつ合理的と考えたからである。 すなわち,原告は,弁解録取終了後,直ちに名古屋地検において面会接見することを希望し,しかも,午後3時には名古屋地検を出発したい旨述べて,早急にBと面会接見することを希望していた。原告の弁解録取手続が終了したのは午後2時20分ころであったが,原告の弁解録取手続を行っていた場所は本件執務室であり,弁解録取終了時,同室には,B及びその戒護に当たっていた刑務官も在室して ていた。原告の弁解録取手続が終了したのは午後2時20分ころであったが,原告の弁解録取手続を行っていた場所は本件執務室であり,弁解録取終了時,同室には,B及びその戒護に当たっていた刑務官も在室していた。また,同室は当時,D検事及びE検察事務官の執務室となっていた個室で,他の職員等の出入りは比較的少なく,出入口の扉には施錠設備があった。他方,本件執務室以外の部屋等で面会接見を行うとすれば,面会接見に適した空室を探す必要がある上,Bの逃亡,罪証隠滅,戒護上の支障の発生の防止の観点から,同部屋の構造,設備等を確認し,不適切な備品等を整理・撤去するなどの作業が必要となるし,監獄官吏においても通常の護送場所と異なる場所での戒護態勢を検討する必要がある上,Bや立会人が同所へ移動しなければならないなど,相当の時間が必要となり,即時の面会接見の実施は困難であった。 そのため,C検事らは,Bの逃亡,罪証隠滅,戒護上の支障の発生の防止等を図ることが可能であるとの最低限の要請を満たしつつ,かつ,早急に面会接見したいとの原告の希望を満たすことができる場所は,唯一,本件執務室であると判断し,本件執務室を面会接見の場所にすることを決定した。 エこのように,本件執務室を面会場所とした必要性・合理性は十分に認められ,C検事らのかかる判断が,その裁量を逸脱又は濫用したものでないことは明らかである。 したがって,この点についてのC検事らの行為に違法はない。 (5)立会人の判断に違法性がないことア原告は,D検事及びE検察事務官が立ち会うことにつき,何ら異議を述べておらず,D検事らが立ち会うことを承諾した上で面会接見に臨んでいるのであるから,D検事がその裁量を逸脱又は濫用した違法があるとは評価し得ないことは明らかである。 そもそも,面会接見とは,いわゆる秘密交 らず,D検事らが立ち会うことを承諾した上で面会接見に臨んでいるのであるから,D検事がその裁量を逸脱又は濫用した違法があるとは評価し得ないことは明らかである。 そもそも,面会接見とは,いわゆる秘密交通権が十分に保障されないような態様であっても差し支えないとの意向を弁護人等が示すことを前提としていることや,検察官が即時の判断に迫られることにかんがみると,立会人を誰にするのかについても検察官の合理的な裁量にゆだねられるのであって,検察官や検察事務官が立ち会うことが許されないとする根拠はない。 イまた,面会接見を行うにあたり,被疑者の逃亡,罪証隠滅,戒護上の支障の発生を防止する義務を第一次的に負うのは戒護職員であるが,戒護態勢は,戒護を行う環境と無関係に決することができないことは明らかであり,本件においては,D検事及びE検察事務官が立ち会うことが戒護上必要であったと認められる。 本件においては,Bには腰縄が装着されていたが,その捕縄の末端を刑務官が右手に巻いて把持していたにすぎず,仮に,Bが暴れるなどして刑務官の手から捕縄が外されてしまえば,Bは身体を全く自由に動かせる状態となる。当時,Bには腰縄が装着されていたものの,これだけでは,被疑者の逃亡,罪証隠滅,戒護上の支障の発生防止のためには,十分な措置ではなかった。 本件執務室は,建物5階の北側の一室であるが,同室南側に出入口扉があり,北側の全面がガラス窓になっており,その一部は内側から鍵などの特別な器具を用いなくとも容易に開閉可能な設備になっているところ,同ガラス窓には鉄格子等の逃走防止設備はなく,かつ,窓の外には人の通行 が可能な庇状の張り出しがあり,Bが同ガラス窓から逃走した場合,同張り出し部分等を利用して隣室等へ逃亡することが可能であった。2名の刑務官は,出入口扉側に配置して く,かつ,窓の外には人の通行 が可能な庇状の張り出しがあり,Bが同ガラス窓から逃走した場合,同張り出し部分等を利用して隣室等へ逃亡することが可能であった。2名の刑務官は,出入口扉側に配置しており,Bには腰縄が装着されていたが,Bの逃亡を防止する見地からすれば,窓側に検察官及び検察事務官が存在することが必要であった。 次に,本件執務室のD検事及びE検察事務官の机上には,同人らが管理すべきBの逮捕に関連して作成した手続書類のほか,本件事件記録の写しの束や証拠関係等をデータ入力してあるコンピュータ一等があったので,罪証隠滅を適切に防止する見地からは,これらを管理しているD検事及びE検察事務官の立会いが必要であった。 また,本件執務室には,用法上の凶器となり得る椅子があったほか,その机上には鉛筆,ボールペン及び定規などの筆記用具,持ち上げ可能なコンピューター関連機器があった上,机の引き出し内には千枚通し,カッターナイフ及びコンパス等のより危険性の高い文房具もあり,これら用法上の凶器となり得る物の配置場所については,D検事及びE検察事務官が最も熟知していたものであって,Bの逃亡,戒護上の支障の発生の防止の見地から,D検事及びE検察事務官において,Bの動静を注視するのが適切であり,その必要があった。 仮に,このような状況において,検察官及び検察事務官が立ち会わなかったとするならば,被疑者の逃走等の防止のため,さらに戒護職員を立ち会わせ,窓側に配備するなどの必要があり,拘置所が限られた人員で護送業務を行っていることを考え合わせると,その人員手配をするには相当の時間が必要となることは明らかである。本件において,原告は即時の面会接見の実施を求めており,戒護の必要性を満たしつつ速やかな面会接見を実現するためにD検事及びE検察事務官が面会接見に立ち には相当の時間が必要となることは明らかである。本件において,原告は即時の面会接見の実施を求めており,戒護の必要性を満たしつつ速やかな面会接見を実現するためにD検事及びE検察事務官が面会接見に立ち会ったことは至極合理的なことであり,検察官の裁量を逸脱又は濫用したと認め得るよう な事情が存在しないことは明らかである。 ウしたがって,D検事及びE検察事務官が立ち会った点について,違法性はない。 (6)腰縄の使用に違法性がないことア本件においては,逃走防止の程度につき,名古屋地検から確認を受けた拘置所長が,戒具の使用について判断を行い,同所長から命令を受けた刑務官が,実際に戒具を使用している。 ところで,本件執務室は,出入口を施錠しても,内側から鍵を使用せずに,誰でもその施錠を外すことが可能であったこと,検察官席の背後は全面がガラス窓となっており,同ガラス窓には鉄格子等の逃走防止設備はなく,かつ,窓の外には人の通行が可能な庇状の張り出しがあり,Bが同ガラス窓から逃走した場合,同張り出し部分等を利用して隣室等へ逃亡することが可能であったし,Bが転落して死傷する可能性もあった。さらに,本件執務室には,用法上凶器となり得る椅子等があった。 そのため,拘置所長は戒具を外した状態で面会接見をさせた場合,逃走,暴行等のおそれがあると認めた。なお,戒具を外した状態の被疑者又は被告人が,法廷等において突発的に暴行等を企てた事例は枚挙にいとまがなく,戒具を使用していない被疑者又は被告人には常に戒護上の支障を生じるような予想外の行動に及ぶおそれがある。 本件において,暴行,逃走などのおそれを認めた拘置所長は,法令に従い,かつ,面会接見であることを考慮しつつ,戒具の種類として捕縄のみを選択し,捕縄をBの腰部のみに使用することと判断し,その旨命令を受け において,暴行,逃走などのおそれを認めた拘置所長は,法令に従い,かつ,面会接見であることを考慮しつつ,戒具の種類として捕縄のみを選択し,捕縄をBの腰部のみに使用することと判断し,その旨命令を受けた刑務官が,これに従い,戒具を使用した。その使用にあたっては,必要以上に緊度を強くしたり,会話することを困難にするような使用方法でもなかった。なお,検察庁における通常の取調べの際も,戒護の観点から,腰縄を使用している。 イこのように,刑務官の腰縄の使用は,戒護の目的を達成するために必要であり,その使用方法も必要最小限であったのだから,刑務官の判断は極めて合理的であり,その裁量の逸脱ないし濫用は認められない。 したがって,刑務官の行為に違法性はない。 ウところで,原告は,検察官や検察事務官が腰縄を外すよう刑務官に指示したりせず容認したことに違法がある旨主張しているが,そもそも,身柄確保の責任を負っているのは拘置所であり,上記のとおり,戒具の使用は拘置所長又は刑務官のみの裁量による判断にゆだねられているのであって,戒具の使用について,検察官らが具体的に指揮する法的権限はない。 したがって,C検事らは,腰縄を使用する旨の拘置所側の判断を尊重し,腰縄を装着した状態で面会接見を行わせたのであり,かかるC検事らの判断に違法性がないことも明らかである。 (7)損害についてア原告は,Bに腰縄が使用されていたことにより,Bとのより自由な心の触れあいがおよそ不可能であったために精神的損害を被った旨供述する。 (ア)しかし,腰縄は,逃亡等の防止のために必要不可欠な措置であり,その使用方法は,必要以上に緊度を強くしたり引っ張ったりすることなく,適切に使用されており,原告とBの会話を困難にしたり,原告を萎縮させたような客観的事情はなかった。なお,通常,検察 な措置であり,その使用方法は,必要以上に緊度を強くしたり引っ張ったりすることなく,適切に使用されており,原告とBの会話を困難にしたり,原告を萎縮させたような客観的事情はなかった。なお,通常,検察庁における取調べの際にも,腰縄は使用されている。 (イ)また,原告が供述する「より自由な心の触れあい」とは,内容が不明確である上,極めて主観的な概念であり,そもそも,被疑者と弁護人等との接見には,被疑者の逃亡,罪証隠滅,戒護上の支障の発生の防止の観点から内在的制約があるのだから,本件の状況下において,原告が供述するような利益が,国家賠償法上保護された利益であるとは認められない。 イ原告は,D検事及びE検察事務官が,本件執務室の北東隅に移動せずに別紙図面の①及び②の位置にいたことによって,Bとのより自由な心の触れあいがおよそ不可能であったために精神的損害を被った旨供述する。 (ア)しかし,面会接見とは,秘密交通権が十分に保障されないような態様の短時間の接見をいうのであり,もともと十分な秘密交通権の保障が予定されているものではない。殊に,本件において,原告は,本件執務室のおおよその広さについて認識した上,同室に検察官及び検察事務官が立ち会うことを了承していたのである。また,既に述べたとおり,D検事及びE検察事務官が積極的に会話を聞こうとした事実はない。 (イ)また,原告が供述する「より自由な心の触れあい」とは,内容が不明確である上,極めて主観的な概念であり,上記(ア)のような事情が存する本件において,同室で立ち会ったD検事とE検察事務官の位置のわずかな違いに基づく「より自由な心の触れあい」なるものが,国家賠償法上保護された利益であるとは認められない。 ウ原告は,D検事及びE検察事務官が,別紙図面の①及び②の位置にいたため,本件執務 のわずかな違いに基づく「より自由な心の触れあい」なるものが,国家賠償法上保護された利益であるとは認められない。 ウ原告は,D検事及びE検察事務官が,別紙図面の①及び②の位置にいたため,本件執務室の北東隅に移動していたならば伝えられた情報が,伝えられなかったことにより精神的損害を被った旨供述する。 (ア)しかし,名古屋地検には接見用施設がなかったのであるから,原告は,刑訴法39条所定の接見交通権そのものを行使することはできなかった。また,本件面会接見は,そもそも十分な秘密交通権の保障は予定されていない。 その上,本件では,D検事及びE検察事務官がたとえ同室の隅へ移動したとしても,本件執務室の広さからして,会話の内容はD検事らに全部又は一部が聞こえる状況にあった。原告は,そのことを承知の上で,本件執務室において検察官及び検察事務官が立ち会うことを了承したのである。 (イ)また,原告が供述する精神的損害は,結局,刑訴法39条所定の接見交通ができなかったことに起因するものにほかならないところ,本件では上記(ア)のような事情が存するのであるから,これが国家賠償法上の損害とは認められない。 第3当裁判所の判断 争いのない事実等,証拠(甲1ないし3,8,10の1~3,11,12,14の1~6,乙1,3ないし6,証人D,同C,同F,原告本人)及び弁論の全趣旨を総合すれば,以下の事実が認められる。 (1)本件面会接見に至る経緯アBは,平成17年5月12日,本件被疑事件の逮捕状の執行のため,名古屋地検の地下1階にある拘置所仮監(本件仮監)に護送されており,午後1時35分ころ,本件仮監から名古屋地検の5階にあるD検事の執務室(本件執務室)に連行されていた。同日のBの戒護には,名古屋拘置所のF刑務官及びG刑務官が当たっていた。 イ原 護送されており,午後1時35分ころ,本件仮監から名古屋地検の5階にあるD検事の執務室(本件執務室)に連行されていた。同日のBの戒護には,名古屋拘置所のF刑務官及びG刑務官が当たっていた。 イ原告は,名古屋税関がBを関税法違反の容疑(本件被疑事件)で告発する方針であることを報じた平成17年5月12日付けの新聞記事(甲3)を見て,早期にBと接見しようと考えた。 原告が,午後1時20分ころ,名古屋拘置所を訪れ,Bとの接見を申し入れたところ(甲1,午後1時30分ころ,拘置所刑務官から「今,取),調べのためここにはいない。Bの所在は自分には分からない」旨告げら。 れた。 そこで,原告は,Bの所在を確認するため,午後1時35分すぎころ,名古屋地検特捜部に電話したところ,応対に当たったC検事から「Bが,名古屋地検に押送されている「本件被疑事件により逮捕手続にはいる。」,ところである」旨知らされた。原告は,C検事に対し「先日の最高裁判。 ,例があるでしょう。あれに従って会わせてもらえばいいです。これから検 察庁に行きます」旨告げて,名古屋地検に向かった。 。 ウD検事は,午後1時39分,本件被疑事件により,Bを逮捕し,弁解録取の手続きを開始した。 エ原告は,午後1時46分ころ,名古屋地検に到着し,午後1時50分ころ,名古屋地検の5階にある本件待合コーナーにおいて,C検事と面談し,原告とBが名古屋地検庁舎内で面会接見を行うことを前提に,その方法について協議した。 原告は,C検事に対し,本件待合コーナーを指して「ここで接見がしたい」旨申し出た。これに対し,C検事は「Bに手錠と腰縄を付けたまま。 ,でいいか「腰縄と手錠を付けているので,ここでは具合が悪い,。」,。」「今,Bの弁解録取をしている検事調べ室に,弁解録取手続終了後 た。これに対し,C検事は「Bに手錠と腰縄を付けたまま。 ,でいいか「腰縄と手錠を付けているので,ここでは具合が悪い,。」,。」「今,Bの弁解録取をしている検事調べ室に,弁解録取手続終了後に先生に入っていただき,検察官,検察事務官及び刑務官立会いでお会いいただくことになる「弁解録取手続が終了するまで待ってもらいたい」と。」,。 いう趣旨の発言をした。 これに対し,原告は「取調室でもひそひそ小さな声で話すので,聞こ,。 ,えないところに居てもらえれば,立会いは構わない」旨述べるとともに「法科大学院の講義があるので,午後3時までには出たい」旨述べた。 。 また,原告は「国際人権法制からいっても,日本の国際人権規約の遵,守の姿勢からいっても,手錠腰縄付きの接見はあり得ない。ただし,あり得ないからといって,それがとれるまで接見をしないということではないので,こちらとしてはそれは違法だということを主張した上で接見を始める。できれば接見中にでもとってもらいたい「最高裁判所の判例は腰。」,縄手錠を付けたままで接見させていいとは読めない「国家賠償を起こ。」,す」などと述べた。これに対し,C検事は「最高裁は,手錠腰縄に関し。 ,ては言及していないので,その点については判例は何も言っていない」。 などと反論した。 協議は平行線になり,原告は,本件待合コーナーにおいて待機することになった。 オC検事は,午後2時ころ,名古屋拘置所に電話をかけ,処遇部統括矯正処遇官のIに対し,本件面会接見における手錠及び腰縄の使用について,名古屋拘置所の見解を問い合わせた。 Iは「速やかに上司と相談した上で,折り返し連絡します」と答えて。 電話を切った。 カC検事は,午後2時10分ころ,本件待合コーナーで待機していた原告に対し「当庁では, 置所の見解を問い合わせた。 Iは「速やかに上司と相談した上で,折り返し連絡します」と答えて。 電話を切った。 カC検事は,午後2時10分ころ,本件待合コーナーで待機していた原告に対し「当庁では,検事調べ室において,検察官,検察事務官及び刑務,官立会いの下での接見となる。検察庁での弁解録取終了後,直ちに身柄を拘置所に戻すから,その後に,拘置所で接見していただくのではいかがか」という趣旨の打診をしたが,原告は「この後,法科大学院の講義に。 行くので,拘置所に戻るのを待つゆとりはない。私としても,それほど長い時間にわたり会うつもりもない」旨述べて応じなかった。 。 C検事は,原告に対し,手錠と腰縄の使用について「現在,拘置所の判断の結果待ちであり,弁解録取手続中でもあることから,いましばらく待機されたい」旨告げた。 。 また,原告は,午後2時30分ころ,C検事に対し,面会接見の実施を催促したが,C検事は「名古屋拘置所に手錠と腰縄を外していいか確認,する」などとして,いましばらく待機するように告げた。 。 キC検事は,午後2時14分ころ,D検事に対し,原告がBとの接見を希望して名古屋地検に来ていることを,電子メールで知らせた。 D検事は,午後2時20分ころ,Bの弁解録取の手続きを終え,C検事に対し,その旨を報告した。Bは,被疑事実を否認し,弁解録取書の署名指印を拒否していた。 C検事は,D検事に対し,Bの秘密交通権放棄の意思を確認し,その意 思を書面に記載させるよう指示した。 D検事は,Bに対し,原告が接見を希望していることを告げ,Bに面会,,の意思があることを確認した上で「検察庁では,面会の設備がないのでこの部屋で面会することになります。私,E検察事務官,戒護に当たっている刑務官が立ち会うことになりますが,それでもいいですか」と ,の意思があることを確認した上で「検察庁では,面会の設備がないのでこの部屋で面会することになります。私,E検察事務官,戒護に当たっている刑務官が立ち会うことになりますが,それでもいいですか」と尋ね。 たところ,Bはこれを承諾した。 また,D検事は,Bに対し,その旨を書面に記載するよう要請したところ,Bはこれに応じ,白紙の用紙に「私は,検事,検察事務官,刑務官立会いでH弁護士と接見する事に異議がありません」と記載し,署名指印。 をした(乙1。同書面が完成したのは,午後2時38分ころであった。 )クC検事は,午後2時38分ころ,名古屋拘置所に電話したところ,Iから,本件面会接見における手錠と腰縄の使用について「手錠は外すが,腰縄は使用したままとする」旨伝えられた。 。 そのころ,C検事は,D検事から,上記書面が作成された旨の報告を受けた。 そこで,C検事は,午後2時40分ころ,本件面会接見を実施するため,原告を本件執務室に案内した。その際,C検事は,原告に対し「腰縄は,付けるが,手錠を外して接見を実施する」旨告げたところ,原告は「腰。 縄を付けたままの接見など前代未聞。最高裁も認めていない。国賠を起こす」などと述べた。 。 (2)本件面会接見の状況ア本件執務室では,B,D検事,E検察事務官,F刑務官及びG刑務官が,待機していた。Bには腰縄が使用され,G刑務官が捕縄の末端を把持していた。 ,。 原告は,本件執務室に入室すると,F刑務官に対し「弁護人接見だよ立会いはおかしいよ。出て行きなさいよ。腰縄外しなさいよ」などと申。 し向けたが,F刑務官はこれに応じなかった。 原告は,D検事に対しても,腰縄を外すように要請したが,D検事は,「自分には権限がない」旨述べて応じなかった。また,原告は,D検事。 に向かって「検察官と検察 けたが,F刑務官はこれに応じなかった。 原告は,D検事に対しても,腰縄を外すように要請したが,D検事は,「自分には権限がない」旨述べて応じなかった。また,原告は,D検事。 に向かって「検察官と検察事務官が接見内容を聞き取りにくい部屋の隅,の方に移って欲しい」という趣旨の発言をしたが,D検事からの回答は。 なかった。 イ原告及びBは,D検事から,本件執務室の廊下側のテーブルの椅子に座るよう促され,別紙図面のとおり,向かい合わせに座り,午後2時43分ころから,本件面会接見が開始された。 本件面会接見には,D検事,E検察事務官,F刑務官及びG刑務官が立ち会った。本件面会接見中の原告,B及び立会人の位置関係は,別紙図面のとおりであり,D検事及びE検察事務官はそれぞれの執務机の椅子に座り,F刑務官は出入口の前付近に佇立し,G刑務官はBの腰部に付けられた捕縄の末端を右手首に巻き付けて把持してBの20センチメートルから30センチメートル程度後ろに佇立していた。また,本件執務室の外の廊下には,本件被疑事件の共犯者の取調べ担当検察官の立会検察事務官1名が佇立していた。 本件面会接見において,原告は,まず,Bに対し,名古屋税関がBを関税法違反の容疑(本件被疑事件)で告発する方針であることを報じた平成17年5月12日付け新聞記事の写し(甲3)を示して接見に来た理由を説明し「今後は,何罪でどういう被疑事実で逮捕されているか確認し,,ちゃんと弁明すること「署名押印を無理にする必要はなく,署名押印。」,をする前に弁護人と相談するようにしていただきたい」旨話したほか,。 本件被疑事件について,原告及びJ弁護士のほか,関税法の関係に詳しいK弁護士を弁護人に選任するとの方針を確認した。 また,原告は,Bに対し「L連合会としては,このような丸聞こえで, ほか,。 本件被疑事件について,原告及びJ弁護士のほか,関税法の関係に詳しいK弁護士を弁護人に選任するとの方針を確認した。 また,原告は,Bに対し「L連合会としては,このような丸聞こえで, の接見状況での腰縄付きの接見というのはとても容認できないので,国家賠償をすることになる。申し訳ないが,あなたも証人になってもらうことになるので,あなたもそのつもりでいてほしい。今日あったことについては,細かく接見ノートに記録しておいて,後日記憶喚起できるようにしてほしい」旨話した。 。 ウ本件面会接見は,午後2時55分に終了し,原告は本件執務室から退室した。 その後,D検事は,本件執務室において,Bに対し,本件被疑事件に関する取調べを行い,同取調べは,午後3時29分ころ終了した。 原告は,午後10時,名古屋地方裁判所に,本訴訟を提起した。 (3)名古屋地検の庁舎内の施設ア本件当時,名古屋地検の庁舎内には,接見のための設備を備えた部屋はなかった。 イ名古屋地検の地下1階には,本件同行室及び本件仮監があり,前者は警察の留置場から,後者は拘置所から,それぞれ取調べのために押送されてくる被疑者を留置するための設備である。 本件同行室には,6つの房があり,各房の定員は5人ないし21人である。各房は,出入口側を除く3面がコンクリート壁であり,出入口の面は,金網が張られた鉄格子で仕切られており,その仕切り壁には,扉と物の授受が可能な開口部が設けられている。 本件仮監は,3つの房があり,4面ともコンクリート壁であるが,出入口の面には,透明板がはめ込まれた扉と物の授受が可能な開口部が設けられている。 各房前にはベンチが置かれ,各房の内部を監視できるようになっている。 ウ名古屋地検の5階には,本件待合コーナーがある。これは,名古屋地検特捜部を訪問した一般 の授受が可能な開口部が設けられている。 各房前にはベンチが置かれ,各房の内部を監視できるようになっている。 ウ名古屋地検の5階には,本件待合コーナーがある。これは,名古屋地検特捜部を訪問した一般人が待機するために設けられた設備である。 本件待合コーナーは,4面ともコンクリート壁であるが,幅1.2メートルの出入口には扉や施錠設備はなく,その内部を廊下から覗くことができる。本件待合コーナーには,3人用の長椅子が二つ配置されているほか,その奥には備品や廃棄物等が置かれている(甲8。 )エ本件執務室は,名古屋地検の5階の北側の一室であるが,同室南側に出入口扉があり,北側は全面がガラス窓になっており,その一部は内側から錠などの特別な器具を用いなくとも容易に開閉可能な設備になっている。 同ガラス窓には鉄格子等の逃亡防止設備はなく,かつ,窓の外には人の通行が可能な庇状の張り出しがあった。本件執務室の机の上には,Bの逮捕に関連して作成した手続書類のほか,事件記録の写しの束や証拠関係等をデータ入力してあるコンピュータ等があった。本件執務室には,合計6個の椅子があり,机の上には鉛筆,ボールペン及び定規といった筆記用具,持ち上げ可能なディスプレー,キーボード等のコンピュータ関連の機器があった上,机の引き出し内には千枚通し,カッターナイフ及びコンパスといった文房具もあった。 なお,被告は,上記1(1)エについて,原告が,午後1時50分ころ,本件待合コーナーにおいて,C検事に対し「ここで接見がしたい」旨申し出たり,,。 「取調室でもひそひそ小さな声で話すので,聞こえないところに居てもらえれば,立会いは構わない」旨述べたことはない旨主張し,C検事も証人尋問に。 おいて,同旨の供述をする。 しかし,これらの発言は,原告とC検事が本件面会接見の方法について ,聞こえないところに居てもらえれば,立会いは構わない」旨述べたことはない旨主張し,C検事も証人尋問に。 おいて,同旨の供述をする。 しかし,これらの発言は,原告とC検事が本件面会接見の方法について協議した際の一連の会話の一部として行われており,C検事が原告の発言の一部について記憶違いをすることはあり得る。他方で,原告は,その作成に係る本訴状及び陳述書(甲12)の記載,並びに原告本人尋問の供述において,上記発言を行った旨,一貫して述べており,その供述内容も具体的である。中でも,本訴状は,本件面会接見が行われたその日のうちに名古屋地方裁判所に提出さ れており,本件面会接見から間がないものであることを考慮すれば,この点に関する原告の供述は信用性が高い。したがって,かかる被告の主張は採用できない。 また,被告は,上記1(2)アについて,原告が,本件執務室に入室した後,D検事及びE検察事務官に対し「検察官と検察事務官が接見内容を聞き取り,にくい部屋の隅の方に移って欲しい」旨申し出たことはない旨主張し,D検。 事及びF刑務官も証人尋問において,同旨の供述をする。 この点,そのような趣旨の発言を行った旨の原告の供述は信用できるが,この発言は,本件面会接見を開始する際,複数の関係者が居る本件執務室において,関係者のうち一人又は数人に対する一連の発言の一部として行われていることからすれば,D検事及びF刑務官が,原告のD検事ないしE検察事務官に対する発言を刑務官に対する発言であると誤解することも十分あり得るところであり,D検事らに無視されたとの原告の供述を併せ考えれば,D検事ないしE検察事務官に自分たちに対する発言として認識されたとは認められない。 被告人に対する接見妨害の有無(原告の主張(1))について上記1認定事実からすると,原告が,Bに逮 併せ考えれば,D検事ないしE検察事務官に自分たちに対する発言として認識されたとは認められない。 被告人に対する接見妨害の有無(原告の主張(1))について上記1認定事実からすると,原告が,Bに逮捕状が執行される前の午後1時35分すぎころ,名古屋拘置所から電話をかけて,接見を申し出た際,C検事は,原告に対し「Bが名古屋地検に押送されている「本件被疑事件によ,。」,り逮捕手続にはいるところである」旨知らせたにすぎないというべきで,原。 告からの接見の申立に対し,接見の制限ないし拒否をしたものとはいえない。 仮に,C検事が「現に取調中であり,間もなく逮捕状を執行する予定であり,直ちにあえる状況にはない」旨告げたとしても,当時の状況に照らせば,か。 かる発言は,原告に対し,Bが間もなく逮捕状の執行を受けるという現状を伝え,原告が来庁したとしても,直ちに接見ないし面会接見をすることは困難である旨を伝えたものにすぎず,日時,場所及び時間を指定して原告の接見交通権を制限する行為とは評価できない。原告自身も当審における本人尋問におい て,このときの会話内容について「接見できるとか,できないという回答はなかったです。とにかくおいで下さいということで」と供述しているところで。 ある。 そうとすれば,原告の主張(1)は採用できない。 接見設備がないことを理由とする接見拒否の違法性の有無(原告の主張(2))について,(1)原告が,名古屋拘置所から,名古屋地検特捜部に電話し,C検事に対しBとの接見を申し出たのに対し,C検事は「今,Bの弁解録取をしている,検事調べ室に,弁解録取手続終了後に先生に入っていただき,検察官,検察。 。 事務官及び刑務官立会いでお会いいただくことになる」などと告げているこのような発言は,原告の検察庁庁舎内における接 る,検事調べ室に,弁解録取手続終了後に先生に入っていただき,検察官,検察。 。 事務官及び刑務官立会いでお会いいただくことになる」などと告げているこのような発言は,原告の検察庁庁舎内における接見又は面会接見の申出に対し,C検事が,面会接見には応じる旨示しつつも,接見の申出を拒否したものと評価できる。 そこで,C検事,その他の名古屋地検の検事が,原告がBに対する接見を申し出たとき,名古屋地検庁舎内の本件待合コーナー,本件同行室又は本件仮監において接見させなかったことが,違法であるか否か検討する。 (2)被疑者が,検察官による取調べのため,その勾留場所から検察庁に押送され,その庁舎内に滞在している間に弁護人又は弁護人となろうとする者(以下「弁護人等」という)から接見の申出があった場合には,検察官が。 現に被疑者を取調べ中である場合や,間近い時に上記取調べ等をする確実な予定があって,弁護人等の申出に沿った接見を認めたのでは,上記取調べ等が予定どおり開始できなくなるおそれがある場合など,捜査に顕著な支障が生ずる場合には,検察官が上記の申出に直ちに応じなかったとしても,これを違法ということはできない(最高裁平成11年3月24日大法廷判決・民集53巻3号514頁参照。 )しかしながら,検察庁の庁舎内に被疑者が滞在している場合であっても, 弁護人等から接見の申出があった時点で,検察官による取調べが開始されるまでに相当の時間があるとき,又は当日の取調べが既に終了しており,勾留場所等へ押送されるまでに相当の時間があるときなど,これに応じても捜査に顕著な支障が生ずるおそれがない場合には,本来,検察官は,上記の申出に応ずべきものである。もっとも,被疑者と弁護人等との接見には,被疑者の逃亡,罪証の隠滅及び戒護上の支障の発生の防止の観点からの制約が 著な支障が生ずるおそれがない場合には,本来,検察官は,上記の申出に応ずべきものである。もっとも,被疑者と弁護人等との接見には,被疑者の逃亡,罪証の隠滅及び戒護上の支障の発生の防止の観点からの制約があるから,検察庁の庁舎内において,弁護人等と被疑者との立会人なしの接見を認めても,被疑者の逃亡や罪証の隠滅を防止することができ,戒護上の支障が生じないような設備のある部屋等が存在しない場合には,上記の申出を拒否したとしても,これを違法ということはできない。 そして,上記の設備のある部屋等とは,接見室等の接見のための専用の設備がある部屋に限られるものではないが,その本来の用途,設備内容等からみて,接見の申出を受けた検察官が,その部屋等を接見のためにも用い得ることを容易に想到することができ,また,その部屋等を接見のために用いても,被疑者の逃亡,罪証の隠滅及び戒護上の支障の発生の防止の観点からの問題が生じないことを容易に判断し得るような部屋等でなければならないものというべきである(最高裁平成17年4月19日第三小法廷判決・民集59巻3号563頁参照。 )(3)上記1(3)の認定事実からすると,本件当時,名古屋地検の庁舎内には接見のための設備を備えた部屋は存在していなかった。 本件待合コーナーは,本来,名古屋地検特捜部を訪問した一般人が待機するために設けられた施設であるし,本件同行室及び本件仮監は,本来,警察署の留置場や拘置所から取調べのために名古屋地検に押送されてくる被疑者を留置するために設けられた施設であって,いずれも,その場所で弁護人等と被疑者との接見が行われることが予定されている施設ではない。 本件待合コーナーは,出入口に扉も施錠設備もなく,廊下から内部を覗く ことができる施設である。本件同行室の各房は,出入口側を除く3面がコンクリー 接見が行われることが予定されている施設ではない。 本件待合コーナーは,出入口に扉も施錠設備もなく,廊下から内部を覗く ことができる施設である。本件同行室の各房は,出入口側を除く3面がコンクリート壁で,出入口の面は金網が張られた鉄格子で仕切られ,また,本件仮監の各房は,4面ともコンクリート壁で,出入口の面は透明板がはめ込まれた扉と物の授受が可能な開口部が設けられている施設であるが,これらの施設には,通常,検察庁の関係者や押送されてくる被疑者等他者の出入りがあり得る。したがって,本件待合コーナー,本件同行室及び本件仮監は,被疑者と弁護人が立会人なくして接見しても,被疑者の逃亡,罪証の隠滅及び戒護上の支障の発生の防止の観点からの問題が生じないとは容易には想到し難い場所である。 そうすると,本件待合コーナー,本件同行室及び本件仮監は,その本来の用途,設備内容等からみて,原告からの申出を受けたC検事が,その時点で,その部屋等を接見のために用い得ることを容易に想到することができ,また,その部屋等を接見のために用いても,被疑者の逃亡,罪証の隠滅及び戒護上の支障の発生の防止の観点からの問題が生じないことを容易に判断し得るような部屋等であるとはいえない。 結局,名古屋地検の庁舎内には,弁護人等と被疑者との立会人なしの接見を認めても,被疑者の逃亡や罪証の隠滅を防止することができ,戒護上の支障が生じないような設備のある部屋等は存在しないものというべきであるから,C検事,その他の名古屋地検の検事が,原告の接見の申出を拒否したことをもって,違法ということはできない。 この点,原告は,最高裁平成17年4月19日第三小法廷判決(民集59巻3号563頁)は,当時の検察官が,警察官同行室を接見に用いることを容易に想到することができなかったとしたもので,同判決が言い 。 この点,原告は,最高裁平成17年4月19日第三小法廷判決(民集59巻3号563頁)は,当時の検察官が,警察官同行室を接見に用いることを容易に想到することができなかったとしたもので,同判決が言い渡された後である本件当時においては,本件同行室,本件仮監等は,接見のために用い得ることを容易に想到することができ,また,本件同行室,本件仮監を接見のために用いても,被疑者の逃亡,罪証の隠滅及び戒護上の支障の発生の防 止の観点からの問題が生じないことを容易に判断し得るような部屋等である旨主張するが,同判決の言渡しの前後にかかわらず,本件待合コーナー,本件同行室及び本件仮監は,その本来の用途,設備内容等からみて,そのような場所とはいえないことは上記のとおりであって,原告の同主張は採用できない。 本件執務室における面会接見の違法性の有無(原告の主張(3))について(1)当該検察庁内において刑訴法39条所定の接見を認める余地がなく,その拒否が違法でないとしても,同条の趣旨が,接見交通権の行使と被疑者の取調べ等の捜査の必要との合理的な調整を図ろうとするものであることにかんがみると,検察官が上記の設備のある部屋等が存在しないことを理由として接見の申出を拒否したにもかかわらず,弁護人等がなお検察庁の庁舎内における即時の接見を求め,即時に接見をする必要性が認められる場合には,検察官は,例えば立会人の居る部屋での短時間の「接見」などのように,いわゆる秘密交通権が十分に保障されないような態様の短時間の「接見(面」会接見)であってもよいかどうかという点につき,弁護人等の意向を確かめ,弁護人等がそのような面会接見であっても差し支えないとの意向を示したときは,面会接見ができるように特別の配慮をすべき義務があると解される(最高裁平成17年4月19日第三小 ,弁護人等の意向を確かめ,弁護人等がそのような面会接見であっても差し支えないとの意向を示したときは,面会接見ができるように特別の配慮をすべき義務があると解される(最高裁平成17年4月19日第三小法廷判決・民集59巻3号563頁参照。そして,検察官による面会接見の場所の選定は,立会人が立会するな)どして被疑者の逃亡,罪証の隠滅又は戒護の支障の発生を防止できるか否かといった観点からなされるべきである。 (2)上記1(3)認定のとおり,本件執務室は,名古屋地検の5階の北側の一室であるが,同室南側に出入口扉があり,北側は全面がガラス窓になっており,その一部は内側から錠などの特別な器具を用いなくとも容易に開閉可能な設備になっている。同ガラス窓には鉄格子等の逃亡防止設備はなく,かつ,窓の外には人の通行が可能な庇状の張り出しがあった。本件執務室の机の上に は,Bの逮捕に関連して作成した手続書類のほか,事件記録の写しの束や証拠関係等をデータ入力してあるコンピュータ等があった。本件執務室には,合計6個の椅子があり,机の上には鉛筆,ボールペン及び定規といった筆記用具,持ち上げ可能なディスプレー,キーボード等のコンピュータ関連の機器があった上,机の引き出し内には千枚通し,カッターナイフ及びコンパスといった文房具もあった。 しかし,これらの事情を考慮しても,本件執務室は,その形状や備品の配置状況などからして,立会人の立会いのもとで後記のとおりの被疑者に腰縄を付けるなどの措置を講ずれば,被疑者の逃亡,罪証の隠滅又は戒護の支障の発生を防止できる場所であったということができる。 したがって,C検事らが,本件執務室を面会接見の場所としたことは不合理なものということはできず,これをもって違法であるとはいえない。 (3)この点,原告は,C検事,その他の名古屋地 うことができる。 したがって,C検事らが,本件執務室を面会接見の場所としたことは不合理なものということはできず,これをもって違法であるとはいえない。 (3)この点,原告は,C検事,その他の名古屋地検の検察官が,本件待合コーナー,本件同行室又は本件仮監において面会接見をさせるべきであった旨主張するが,本件待合コーナー,本件同行室及び本件仮監の本来の用途及び設備内容等は,その場所で弁護人等と被疑者との接見が行われることが予定されている施設ではなく,通常,他者の出入りがあり得る施設である(上記1(3)の事実。また,上記施設において面会接見を実施するには,本件執務)室から移動しなければならないところ,原告が午後2時50分ないし午後3時までには名古屋地検を出たい旨述べて,早期の接見を望んでいたといった事情もある。そうとすれば,本件待合コーナー,本件同行室又は本件仮監と比較しても,本件執務室が面会接見の場所として不適切であったとはいえない。 検察官及び検察事務官の立会いの違法性の有無(原告の主張(4) ,及びC検)事,D検事の違法行為,故意過失の有無(原告の主張(6))について(1)弁護人等から面会接見でもよいとの意向が示された場合,検察官として は,弁護人等の意見を聴き,短時間の面会接見により捜査に顕著な支障が生ずるおそれがあるか否か,面会接見を実施するとして,その時間,場所,立会人の人数及び官職等について,具体的場合に応じて適切に判断しなければならない。 ところで,憲法34条前段は「何人も,理由を直ちに告げられ,且つ,,直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ,抑留又は拘禁されない」と定める。この弁護人に依頼する権利は,身体の拘束を受けている被。 疑者が,拘束の原因となっている嫌疑を晴らしたり,人身の自由を回復するため に依頼する権利を与へられなければ,抑留又は拘禁されない」と定める。この弁護人に依頼する権利は,身体の拘束を受けている被。 疑者が,拘束の原因となっている嫌疑を晴らしたり,人身の自由を回復するための手段を講じたりするなど自己の自由と権利を守るため弁護人から援助を受けられるようにすることを目的とするものである。したがって,この規定は,単に被疑者が弁護人を選任することを官憲が妨害してはならないというにとどまるものではなく,被疑者に対し,弁護人を選任した上で,弁護人に相談し,その助言を受けるなど弁護人から援助を受ける機会を持つことを実質的に保障しているものと解すべきである。刑訴法39条1項が「身体,の拘束を受けている被告人又は被疑者は,弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者(弁護士でない者にあっては,第31条第2項の許可があった後に限る)と立会人なくして接見し,。 又は書類若しくは物の授受をすることができる」として,被疑者と弁護人。 等との接見交通権を規定しているのは,憲法34条の上記の趣旨にのっとり,身体の拘束を受けている被疑者が弁護人等と相談し,その助言を受けるなど弁護人等から援助を受ける機会を確保する目的で設けられたものであり,その意味で,刑訴法の上記規定は,憲法の保障に由来するものである。 このような接見交通権の保障の趣旨にかんがみれば,被疑者・弁護人と対当する一方当事者の地位にある検察官や検察官を補佐し又はその指揮を受けて捜査を行う立場にある検察事務官が,被疑者と弁護人等との接見に立ち会うことは,身体の拘束を受けている被疑者が弁護人等と相談し,その助言を 受けるなど弁護人等から援助を受けることを阻害するものとして,本来的に許されないものである。 そして,この理は,いわゆる秘密交通権が十分に の拘束を受けている被疑者が弁護人等と相談し,その助言を 受けるなど弁護人等から援助を受けることを阻害するものとして,本来的に許されないものである。 そして,この理は,いわゆる秘密交通権が十分に保障されていないような短時間の「接見」である「面会接見」においても基本的には妥当するというべきであるから,検察官及び捜査部に所属する検察事務官がこれに立ち会うことは慎むべきであり,いわんや当該被疑事件の捜査担当者の立会いについては,なおさら慎重な姿勢で臨まなければならないのはもちろんである。 したがって,検察庁庁舎内において面会接見を実施する場合,検察官が,当該面会接見の立会人の人数及び官職を検討するに当たっても,検察官及び捜査部に所属する検察事務官,殊に当該被疑事件の捜査担当者がこれに立ち会わないよう,慎重に配慮する義務があると解するのが相当であり,検察官が,弁護人等の接見の申出に対し,予め,検察官及び捜査部に所属する検察事務官,殊に当該被疑事件の捜査担当者の立会いを前提とした面会接見を要請し,検察官等立会いの面会接見を実施することは,他に適切な立会人が見当たらないとか,被疑者・弁護人等が,時間等の制約から検察官及び検察事務官の立会いがあっても構わない旨申し添えて面会接見を申し出たなどの特段の事情がない限り,許されないと解すべきである。 (2)そこで検討するに,①原告は,Bが手錠と腰縄を付けたままでの面会接見に強い反対の意向を示していたこと,②本件面会接見中,Bは手錠が外されていたものの,腰縄が使用され,G刑務官がBの20センチメートルないし30センチメートル程度後ろに佇立し,その捕縄の末端を右手首に巻き付けて把持していたこと,③本件執務室は,名古屋地検の5階の北側の一室であるが,同室南側に出入口扉があり,北側は全面がガラス窓になっており センチメートル程度後ろに佇立し,その捕縄の末端を右手首に巻き付けて把持していたこと,③本件執務室は,名古屋地検の5階の北側の一室であるが,同室南側に出入口扉があり,北側は全面がガラス窓になっており,その一部は内側から錠などの特別な器具を用いなくとも容易に開閉可能な設備になっていること,④同ガラス窓には鉄格子等の逃亡防止設備はなく,かつ,窓の外には人の通行が可能な庇状の張り出しがあったこと,⑤本件執務 室の机の上には,Bの逮捕に関連して作成した手続書類のほか,事件記録の写しの束や証拠関係等をデータ入力してあるコンピュータ等があったこと,⑥本件執務室には,合計6個の椅子があり,机の上には鉛筆,ボールペン及び定規といった筆記用具,持ち上げ可能なディスプレー,キーボード等のコンピュータ関連の機器があった上,机の引き出し内には千枚通し,カッターナイフ及びコンパスといった文房具もあったことからすると,C検事及びD検事が,被疑者の逃亡や罪証の隠滅,戒護上の支障の防止を図るといった観点から立会人としてF刑務官及びG刑務官のほかに立会人を付すことを検討すること自体は不当とはいえない。 しかし,本件面会接見を実施するに際し,C検事ないしD検事において,本件両事件についてBの取調べを担当していたD検事やその立会検察事務官であるE検察事務官以外の名古屋地方検察庁の他の職員を立ち会わせることについて,関係部署に問い合わせるなどして検討した形跡がなく,かえって,C検事は,Bと接見をすべく名古屋拘置所から駆け付けてきた原告に対し,漫然と「今,Bの弁解録取をしている検事調べ室に,弁解録取手続終了後,に先生に入っていただき,検察官,検察事務官及び刑務官立会いでお会いいただくことになる」などと告げていることが認められる。 。 そうすると,本件では,原告が,時間等 事調べ室に,弁解録取手続終了後,に先生に入っていただき,検察官,検察事務官及び刑務官立会いでお会いいただくことになる」などと告げていることが認められる。 。 そうすると,本件では,原告が,時間等の制約から検察官及び検察事務官の立会いがあっても構わない旨申し添えて面会接見を申し出たものではないことはもとより,原告においても「取調室でもひそひそ小さな声で話すので,聞こえないところに居てもらえれば,立会いは構わない」旨述べており,。 検察官等の立会いを無条件で承諾したものではない。また,この発言は,原告が,本件待合コーナーにおいてC検事と面談した際,同人に対し,面会接見の場所を本件待合コーナーとすること,法科大学院の講義があるため早急に面会したいこと,腰縄及び手錠は外してもらいたいことなどを申し入れて,本件面接接見の方法に関する条件交渉を行った結果として出たものであり, 検察官等の立会いに不服があったことは,当日のうちに検察官及び検察事務官の立会いをも違法原因として本訴訟を提起したことからも見て取れる。 かかる事情において,C検事及びD検事が,検察官及び捜査部に所属する検察事務官,殊に本件被疑事件の捜査担当者を立ち会わせない方途について具体的に検討することもないまま,Bとの接見を求めて名古屋地検に駆け付けてきた原告に対し,漫然と,本件両事件についてBの取調べを担当するD検事及びその立会検察事務官であるE検察事務官の立会いを前提とした面会接見となる旨を告知し,同人らの立会いの下で本件面会接見を実施したことは,検察官の配慮義務に違反するというべきである。 また,D検事においても,検察官等の立会いが許され得る上記特段の事情があるか否かについて検討,確認することなく,E検察事務官とともに本件面会接見に立ち会った以上,その配慮義務に違反するとい である。 また,D検事においても,検察官等の立会いが許され得る上記特段の事情があるか否かについて検討,確認することなく,E検察事務官とともに本件面会接見に立ち会った以上,その配慮義務に違反するというべきである。 この点,被告は,本件面会接見に検察官及び検察事務官が立ち会わなかったとするならば,被疑者の逃走等の防止のため,さらに戒護職員を立ち会わせ,窓側に配備するなどの必要があり,拘置所が限られた人員で護送業務を行っていることを考え合わせると,その人員手配をするには相当の時間が必要となることは明らかであり,本件において,原告は即時の面会接見の実施を求めており,戒護の必要性を満たしつつ速やかな面会接見を実現するためにD検事及びE検察事務官が面会接見に立ち会ったことは至極合理的なことである旨主張する。しかし,①結局,本件面会接見が開始されたのは,C検事が原告から面会接見の申出を受けてから1時間以上が経過した後であること,②本件面会接見は12分間程度の短時間のものであったこと,③本件面会接見の最中,本件執務室の外の廊下に,本件被疑事件の共犯者の担当検察官の立会検察事務官とはいえ,検察事務官1名が佇立していたこと,④名古屋地検の規模に照らせば,少なくとも,実際にBの取調べに当たっていたD検事及びE検察事務官以外の検察庁職員等を確保するなどの方途を検討する 余地はあったというべきであり,これを検討することなしに,漫然と,本件両事件についてBの取調べを担当するD検事及びその立会検察事務官であるE検察事務官の立会いを前提とした面会接見となる旨を告知し,同人ら立会いの下で本件面会接見を実施したことは,検察官の配慮義務に違反するというべきである。 ,(3)そうとすると,C検事及びD検事がこの配慮義務を怠った行為は違法でC検事及びD検事には過失が 人ら立会いの下で本件面会接見を実施したことは,検察官の配慮義務に違反するというべきである。 ,(3)そうとすると,C検事及びD検事がこの配慮義務を怠った行為は違法でC検事及びD検事には過失があるというべきである。 腰縄付き接見の違法性の有無(原告の主張(5))につき検討する。 旧監獄法(平成17年5月25日法律第50号による改正前の明治41年3月28日法律第28号)19条1項は「在監者逃走,暴行若クハ自殺ノ虞アルトキ又ハ監外ニ在ルトキハ戒具ヲ使用スルコトヲ得」と定め,これを受けた旧監獄法施行規則(平成18年5月23日法務省令第58号による改正前の明治41年6月16日司法省令第18号)50条1項は「手錠及捕縄ハ暴行,逃走若クハ自殺ノ虞アル在監者又ハ護送中ノ在監者ニシテ必要アリト認ムルモノニ限リ之ヲ使用スルコトヲ得」と定め,同規則49条1項は「戒具ハ所長ノ命令アルニ非サレハ之ヲ使用スルコトヲ得ス但緊急ヲ要スルトキハ此限ニ在ラズ」とし,戒具の使用を所長の命令に係らしめている。 そして,被疑者と弁護人等との接見が被疑者と弁護人等との相互のコミュニケーションを旨とすることからすれば,面会接見における戒具の使用の必要性を検討するに当たっても,その点に一定の配慮をすべきであるが,そうであるとしても,本件面会接見が,拘置所の外にあって,接見のための専用の施設ではない一般的な検察官執務室において行われたことからすれば,腰縄を使用することとした名古屋拘置所長の判断は,旧監獄法19条及び旧監獄法施行規則50条1項に規定する捕縄の使用の要件に沿うものと認められる。 したがって,原告の同主張は採用できない。 損害(原告の主張(7))につき検討する。 (1)原告は,検察官による将来の接見妨害による損害を防止するため,懲罰的損害賠償義務がある旨主張 る。 したがって,原告の同主張は採用できない。 損害(原告の主張(7))につき検討する。 (1)原告は,検察官による将来の接見妨害による損害を防止するため,懲罰的損害賠償義務がある旨主張する。 しかし,不法行為に基づく損害賠償制度は,被害者に生じた現実の損害を金銭的に評価し,加害者にこれを賠償させることにより,被害者が被った不利益を補てんして,不法行為がなかったときの状態に回復させることを目的とするものであり,加害者に対する制裁や,将来における同様の行為の抑止,すなわち一般予防を目的とするものではない。もっとも,加害者に対して損害賠償義務を課することによって,結果的に加害者に対する制裁ないし一般予防の効果を生ずることがあるとしても,それは被害者が被った不利益を回復するために加害者に対し損害賠償義務を負わせたことの反射的,副次的な効果にすぎず,加害者に対する制裁及び一般予防を本格的な目的とする懲罰的損害賠償の制度とは本質的に異なるというべきである。我が国においては,加害者に対して制裁を科し,将来の同様の行為を抑止することは,刑事上又は行政上の制裁にゆだねられているのである。そうしてみると,不法行為の当事者間において,被害者が加害者から,実際に生じた損害の賠償に加えて,制裁及び一般予防を目的とする賠償金の支払を受け得るとすることは,上記の我が国における不法行為に基づく損害賠償制度の基本原則ないし基本理念と相いれないものであると認められる(最高裁平成5年(オ)1762同9年7月11日第二小法廷判決・民集51巻6号2573頁参照。 )したがって,原告の同主張は採用できない。 (2)証拠(甲12,原告本人)によれば,Bの弁護人であった原告は,本件両事件についてBの取調べを担当していたD検事及びその立会検察事務官であるE検察事務官の がって,原告の同主張は採用できない。 (2)証拠(甲12,原告本人)によれば,Bの弁護人であった原告は,本件両事件についてBの取調べを担当していたD検事及びその立会検察事務官であるE検察事務官の立会いの下,本件面会接見を行わざるを得なかったことにより,精神的苦痛を被ったことが認められる。 その他本件に現れた一切の事情を考慮すれば,その精神的苦痛を慰謝するには,9万円をもってするのが相当である。 上記と相当因果関係のある弁護士費用は,1万円と認めるのが相当である。 結論 以上によれば,原告の請求は,10万円及びこれに対する不法行為の日である平成17年5月12日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余は理由がないから棄却すべきである。 よって,主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第6部裁判長裁判官内田計一裁判官安田大二郎裁判官高橋貞幹

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