主文 被告人を懲役9年以上15年以下に処する。 未決勾留日数中120日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、少年(犯行時裁判時19歳)であるが、違法薬物の密売人から金品を強奪しようと考え、A、B及びCと共謀の上、令和4年3月1日午後11時52分頃、大阪府寝屋川市a 町b 番c 号敷地内及びその付近路上において、大麻の購入を装って呼び出したD(当時20歳)に対し、背後からその肩付近をつかんで同人を転倒させた上、その顔面に催涙スプレーを噴射し、その身体を特殊警棒で殴るなどし、さらに、ナイフで同人の右胸背部を突き刺す暴行を加え、その反抗を抑圧した上、同人管理の現金約13万円及びサングラス1点在中のバッグ1個並びに加熱式たばこ1個(時価合計約1万1500円相当)を奪い、その際、前記暴行により、同人を右肺動脈枝切断に基づく失血により死亡させた。 (証拠の標目)省略(法令の適用)罰条刑法60条、240条後段刑種の選択無期懲役刑を選択酌量減軽刑法66条、71条、68条2号、14条1項不定期刑少年法52条1項(令和3年法律第47号附則4条本文により少年法67条4項の不適用)未決勾留日数の算入刑法21条訴訟費用の不負担刑事訴訟法181条1項ただし書(処遇の選択及び量刑の理由) 1 本件の争点は、少年である被告人に刑事処分を科すべきか、少年法上の保護処分に付すために事件を家庭裁判所に移送すべきかである。 2 被告人らは、被害者が逃走するや、比較的短時間とはいえ、全く反撃をしていない被害者に対し、特殊警棒や催涙スプレーを使用して3人がかりで代わる代わる執ような暴行を加えた 所に移送すべきかである。 2 被告人らは、被害者が逃走するや、比較的短時間とはいえ、全く反撃をしていない被害者に対し、特殊警棒や催涙スプレーを使用して3人がかりで代わる代わる執ような暴行を加えたばかりか、ナイフでも被害者を1回突き刺しており、危険で悪質な犯行方法である。事前に役割分担を明確に決めていないなど、周到に計画された強盗とはいい難い面があるものの、被告人らは、違法薬物の密売人であれば金品を強奪しても被害申告されないことを見越して密売人を強盗の標的にし、買主が女性1人であるかのように装って密売人である被害者を呼び出した上、被害者が1人であることを事前に確認し、人気のない場所に誘い出して本件犯行に及んでおり、強盗の犯行自体には一定の計画性が認められる。被害者は犯罪に巻き込まれる危険のある違法薬物の密売に関与していたとはいえ、生命を奪われるいわれはなく、被害者が死亡したという結果は極めて重大である。最愛の息子を本件のような形で若くして失った両親の悲しみは筆舌に尽くし難く、処罰感情が厳しいことも十分に理解できる。財産上の被害額も軽視できない。 被告人の個別の事情をみるに、強盗を計画提案し、言葉巧みに被害者を誘い出したのは主に成人の共犯者らであり、被告人自身は、本件の少し前に知り合うなどした共犯者らとの間で、その場の流れで犯行に参加したもので、強盗に関して、被告人は従属的な立場であった面があるといえる。しかしながら、被告人は、自ら強盗への参加を選択し、分け前を均等に分け合っている上、犯行の際にも、被害者に催涙スプレーを複数回吹きかけただけでなく、当初から刺すつもりだったとまでは認められないものの、自ら持ち出したナイフで被害者を突き刺して死亡させ、死因となる暴行を行っているのであって、本件強盗致死の実行や結果発生において重要な役割を果 く、当初から刺すつもりだったとまでは認められないものの、自ら持ち出したナイフで被害者を突き刺して死亡させ、死因となる暴行を行っているのであって、本件強盗致死の実行や結果発生において重要な役割を果たしたといえる。 他方で、被告人は、幼少期から実母に暴力を振るわれ、施設で生活するなどし て愛情を十分に受けられなかった成育歴を有し、本件犯行に軽率に参加した経緯には、このような成育歴に由来する若者としての思考の幼稚さ、暴力への親和性が影響していることが窺われる。もっとも、これまでに上記の問題を改善する機会が被告人に全くなかったとはいえず、その年齢等にも照らせば、成育歴の影響をさほど重視することはできない。 また、被告人は刺した行為を含めて本件犯行を認めた上、手紙を書くことなどを通じて被告人なりに反省を深めようとし、罪を償う旨を素直に述べていることや、幼少期から関わりのあった被告人の叔母が被告人の社会復帰後の指導監督を約束していることなどは相応に評価すべきである。 3 前記2の事情を前提として、まず本件の争点について検討すると、本件が強盗致死という極めて重大な事案であり、一定の計画性のある悪質な犯行で、被告人自身が強盗致死の実行や結果発生に重要な役割を果たしていることを踏まえると、弁護人が指摘する被告人の成育歴やこれに起因する被告人の資質等の事情を最大限考慮に入れても、保護処分をもって臨むことが許されるような特段の事情があるとはいえない。したがって、被告人に対しては、刑事処分を科すのが相当である。 4 そこで、本件の具体的な量刑を検討するに、強盗致死罪の共同正犯1件(他の主要な罪なし、前科等なし、不定期刑を含む)の事案の量刑傾向等を参照し、これらの事案の犯行方法の違い等にも着目して、前記2で検討した本件の犯情を位置付けると、本件 に、強盗致死罪の共同正犯1件(他の主要な罪なし、前科等なし、不定期刑を含む)の事案の量刑傾向等を参照し、これらの事案の犯行方法の違い等にも着目して、前記2で検討した本件の犯情を位置付けると、本件は、概ね中程度の領域に属するものと考えられる。 これに加えて、前記のとおりの一般情状も十分に考慮して不定期刑の長期を定めるとともに、被告人が自分なりに犯行に向き合って反省を深めようとしていることなどを踏まえてその短期を定め、主文の刑に処するのが相当と判断した。 (求刑検察官:懲役10年以上15年以下、被害者参加弁護士:無期懲役)令和4年10月31日 大阪地方裁判所第7刑事部 裁判長裁判官佐藤弘規 裁判官松本英男 裁判官豊田高史
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