平成13(わ)617 業務上過失致死,道路交通法違反

裁判年月日・裁判所
平成13年12月12日 福岡地方裁判所 小倉支部
ファイル
hanrei-pdf-8218.txt

判決文本文1,626 文字)

主文 被告人を懲役1年2月に処する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,第1 平成13年7月31日午後1時29分ころ,業務として大型貨物自動車を運転し,北九州市a区b町c丁目d番e号先の交通整理の行われていない交差点をf町方面からg町方面に向かい左折進行中,左前方約3.3メートルの道路左側端に自転車から降車し立ち止まっているB(当時10歳)を認め,同人の右側方を通過するに当たり,同人との安全な間隔を保持し,その安全を確認しつつ進行すべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り,一時停止したものの,自車に進路を譲って停止した車両に気を取られ,同人との側方間隔を確認せず,その安全を確認しないまま発進し,毎時約10ないし15キロメートルの速度で左折進行した過失により,同人に自車左側面部を衝突させて路上に転倒させるなどし,よって,同人に多発外傷の傷害を負わせ,同日午後5時14分ころ,同市h区i町j番l号所在のC病院において,同人を前記傷害に基づく失血により死亡するに至らしめ第2 同日午後1時29分ころ,同市a区b町c丁目d番e号付近道路において,前記のとおり大型貨物自動車を運転中,前記Bに前記傷害を負わせる交通事故を起こしたのに,直ちに車両の運転を停止して同人を救護する等必要な措置を講ぜず,かつ,その事故発生の日時及び場所等法律の定める事項を,直ちに最寄りの警察署の警察官に報告しなかったものである。 (法令の適用)罰条判示第1の所為は刑法211条前段に,判示第2の所為のうち,救護義務違反の点は道路交通法117条,72条1項前段に,報告義務違反の点は同 条判示第1の所為は刑法211条前段に,判示第2の所為のうち,救護義務違反の点は道路交通法117条,72条1項前段に,報告義務違反の点は同法119条1項10号,72条1項後段にそれぞれ該当科刑上一罪の処理判示第2の各罪につき刑法54条1項前段,10条(重い救護義務違反罪の刑で処断)刑種の選択各罪につきいずれも懲役刑を選択併合罪の処理刑法45条前段,47条本文,10条(重い判示第1の罪の刑に法定の加重)訴訟費用刑事訴訟法181条1項ただし書(負担させない。)(量刑の理由)被告人は,職業運転手として,特に安全運転をすることが期待されている上,道路端に佇立している子供に対しては十分注意する必要があるというのが運転者の常識であるともいえるのに,これを怠り,本件事故を起こした被告人の過失は軽くないというべきである。本件事故により,前途のある少年がもがき苦しみながら死亡した結果は非常に重く,本人の無念さや肉体的苦痛はもちろん,これを目撃した被害者の兄に与えた衝撃も大きく,多大の心的外傷を負わせたものと推察される。その上,被告人は,被害者が倒れもがいているのをサイドミラーで見て,被害者が重傷を負っていることを認識していたのに,勤務先を解雇され,妻との生活が破綻することなどを恐れて逃走したものであって,自己中心的考えに基づくひき逃げの動機や経緯に酌むべき点は全くなく,被害者を放置して逃走した被告人に対し,被害者の遺族らが許せないと述べ,厳重処罰を望むのは当然である。 以上によると,被告人の刑責は重いから,将来 づくひき逃げの動機や経緯に酌むべき点は全くなく,被害者を放置して逃走した被告人に対し,被害者の遺族らが許せないと述べ,厳重処罰を望むのは当然である。 以上によると,被告人の刑責は重いから,将来保険により相当の被害填補がなされる見込みのあること,被告人が反省の態度を示し,被害者の遺族に謝罪したこと,被告人に前科はなく,長年真面目に働いていたことなど被告人のために酌むべき諸般の情状を十分考慮しても,本件は刑の執行を猶予すべき事案とは考えらず,被告人を主文の刑に処するのを相当と判断する。 平成13年11月27日 福岡地方裁判所小倉支部第2刑事部裁判官大泉一夫

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る