- 1 -主文 原告の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求原告の被告に対する源泉所得税3593万8000円及び不納付加算税359万3000円の納税義務が存在しないことを確認する。 第2事案の概要本件は,住吉税務署長が,原告がAに対して支払った破産管財人の報酬及び原告がB株式会社(破産宣告後の同社を含み,以下「B」という)の元従業員らに対。 して配当した退職金等について,平成15年10月23日付けで,Bに対して源泉徴収に係る所得税の納税告知処分及び不納付加算税賦課決定処分併せて以下本(,「件各処分」という)をしたのに対し,原告が本件各処分に係る納税義務が存在し。 ないことの確認を求めた実質的当事者訴訟である。 法令の定め等( )所得税法等 ア所得税法6条は,同法28条1項(給与所得)に規定する給与等の支払をする者その他同法4編1章から6章まで(源泉徴収)に規定する支払をする者は,同法により,その支払に係る金額につき源泉徴収をする義務があると規定する。 イ所得税法30条1項は,退職所得とは,退職手当,一時恩給その他の退職に(「」。)より一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与以下退職手当等というに係る所得をいうと規定する。 同法199条は,居住者に対し国内において同法30条1項(退職所得)に規定する退職手当等の支払をする者は,その支払の際,その退職手当等について所得税を徴収し,その徴収の日の属する月の翌月10日までに,これを国に納付しなければならない旨規定する。同法201条1項1号は,退職手当等の支払を受ける居住- 2 -者が提出した退職所得の受給に関する申告書に,その支払うべきことが確定した年において支払うべきことが確定した他の退職手当等で 規定する。同法201条1項1号は,退職手当等の支払を受ける居住- 2 -者が提出した退職所得の受給に関する申告書に,その支払うべきことが確定した年において支払うべきことが確定した他の退職手当等で既に支払がされたもの(同項2号において「支払済みの他の退職手当等」という)がない旨の記載がある場合。 における同法199条(源泉徴収義務)の規定により徴収すべき所得税の額は,その支払う退職手当等の金額から退職所得控除額を控除した残額の2分の1に相当する金額(当該金額に1000円未満の端数があるとき,又は当該金額の全額が1000円未満であるときは,その端数金額又はその全額を切り捨てた金額。同項2号において同じ)を課税退職所得金額とみなして同法89条1項(税率)の規定を。 適用して計算した場合の税額とするとし,同項2号は,退職手当等の支払を受ける居住者が提出した退職所得の受給に関する申告書に,支払済みの他の退職手当等がある旨の記載がある場合における同法199条(源泉徴収義務)の規定により徴収すべき所得税の額は,その支払済みの他の退職手当等の金額とその支払う退職手当等の金額との合計額から退職所得控除額を控除した残額の2分の1に相当する金額を課税退職所得金額とみなして同法89条1項の規定を適用して計算した場合の税額から,その支払済みの他の退職手当等につき同法199条の規定により徴収された又は徴収されるべき所得税の額を控除した残額に相当する税額とする旨規定する。同法201条2項は,同条1項各号に規定する退職所得控除額は,同項の規定による所得税を徴収すべき退職手当等を支払うべきことが確定した時の状況における同法30条3項1号(退職所得控除額)に規定する勤続年数に準ずる勤続年数及び同条4項3号に掲げる場合に該当するかどうかに応ずる別表第6に掲げる退職所得 当等を支払うべきことが確定した時の状況における同法30条3項1号(退職所得控除額)に規定する勤続年数に準ずる勤続年数及び同条4項3号に掲げる場合に該当するかどうかに応ずる別表第6に掲げる退職所得控除額(同項1号に掲げる場合に該当するときは,同項の規定に準じて計算した金額)による旨規定する。なお,上記別表第6は,別紙1のとおりである。 ウ所得税法204条1項柱書は,居住者に対し国内において同項各号に掲げる報酬若しくは料金,契約金又は賞金の支払をする者は,その支払の際,その報酬若しくは料金,契約金又は賞金について所得税を徴収し,その徴収の日の属する月の翌月10日までに,これを国に納付しなければならないと規定し,同項2号は,弁- 3 -護士(外国法事務弁護士を含む,司法書士,土地家屋調査士,公認会計士,税理。)士,社会保険労務士,弁理士,海事代理士,測量士,建築士,不動産鑑定士,技術士その他これらに類する者で政令で定めるものの業務に関する報酬又は料金を掲げ。 ,,る同法205条柱書は同法204条1項の規定により徴収すべき所得税の額は,,次の各号の区分に応じ当該各号に掲げる金額とすると規定し同法205条1号は同法204条1項1号,2号,4号若しくは5号又は7号に掲げる報酬若しくは料金又は契約金(同法205条2号に掲げる報酬及び料金を除く)につき,その金。 額に100分の10(同一人に対し1回に支払われる金額が100万円を超える場合には,その超える部分の金額については,100分の20)の税率を乗じて計算した金額とし,同法205条2号は,同法204条1項2号に掲げる司法書士,土地家屋調査士若しくは海事代理士の業務に関する報酬若しくは料金等につき,その金額から政令で定める金額を控除した残額に100分の10の税率を乗じて計算した金額と 法204条1項2号に掲げる司法書士,土地家屋調査士若しくは海事代理士の業務に関する報酬若しくは料金等につき,その金額から政令で定める金額を控除した残額に100分の10の税率を乗じて計算した金額と規定する。所得税法施行令322条は,所得税法205条2号(報酬又は料金等に係る徴収税額に規定する政令で定める金額は同法204条1項2号報),(酬,料金等に係る源泉徴収義務)に掲げる司法書士,土地家屋調査士又は海事代理士の業務に関する報酬又は料金について,同一人に対し1回に支払われる金額につき1万円とする旨規定する。 エ所得税法89条1項は,居住者に対して課する所得税の額は,その年分の課税総所得金額又は課税退職所得金額をそれぞれ同項の表の上欄に掲げる金額に区分してそれぞれの金額に同表の下欄に掲げる税率を乗じて計算した金額を合計した金額と,その年分の課税山林所得金額の5分の1に相当する金額を同表の上欄に掲げる金額に区分してそれぞれの金額に同表下欄に掲げる税率を乗じて計算した金額を合計した金額に5を乗じて計算した金額との合計額とするとし,同項の表は,330万円以下の金額につき,100分の10とし,330万円を超え900万円以下の金額につき,100分の20と規定する。 オ国税通則法67条1項は,源泉徴収による国税がその法定納期限までに完納- 4 -されなかった場合には,税務署長は,当該納税者から,同法36条1項2号(源泉徴収による国税の納税の告知)の規定による納税の告知に係る税額又はその法定納期限後に当該告知を受けることなく納付された税額に100分の10の割合を乗じて計算した金額に相当する不納付加算税を徴収し,ただし,当該告知又は納付に係る国税を法定納期限までに納付しなかったことについて正当な理由があると認められる場合は,この限りでないと規 10の割合を乗じて計算した金額に相当する不納付加算税を徴収し,ただし,当該告知又は納付に係る国税を法定納期限までに納付しなかったことについて正当な理由があると認められる場合は,この限りでないと規定する。 ( )破産法(大正11年法律第71号。平成16年法律第75号により廃止さ れる前のもの。以下同じ)。 破産法6条1項は,破産者が破産宣告の時において有する一切の財産は,これを破産財団とする旨規定する。同法7条は,破産財団の管理及び処分をする権利は,破産管財人に専属する旨規定し,同法166条は,破産管財人は,費用の前払及び報酬を受けることができ,その額は,裁判所が定める旨規定する。 同法47条柱書は,同条各号に掲げる請求権は,これを財団債権とするとし,同条2号は,国税徴収法又は国税徴収の例により徴収することができる請求権,ただし,破産宣告後の原因に基づく請求権は破産財団に関して生じたものに限る旨規定する。 ( )弁護士法等 弁護士法3条1項は,弁護士は,当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によって,訴訟事件,非訟事件及び審査請求,異議申立て,再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務を行うことを職務とする旨規定し,同法24条は,弁護士は,正当の理由がなければ,法令により官公署の委嘱した事項及び会則の定めるところにより所属弁護士会又は日本弁護士連合会の指定した事項を行うことを辞することができないと規定する。 同法30条の5は,弁護士法人は,同法3条に規定する業務を行うほか,定款で定めるところにより,法令等に基づき弁護士が行うことができるものとして法務省令で定める業務の全部又は一部を行うことができる旨規定し,弁護士法第30条の- 5 -5の業務を定める省令(平成13年法務省令第62号)1号は,弁護士 基づき弁護士が行うことができるものとして法務省令で定める業務の全部又は一部を行うことができる旨規定し,弁護士法第30条の- 5 -5の業務を定める省令(平成13年法務省令第62号)1号は,弁護士法30条の5に規定する法務省令で定める業務として,当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱により,管財人,管理人その他これらに類する地位に就き,他人の事業の経,,営他人の財産の管理若しくは処分を行う業務又はこれらの業務を行う者を代理し若しくは補助する業務を規定する。弁護士法30条の21は,同法24条等の規定は,弁護士法人について準用する旨規定する。 同法72条は,弁護士又は弁護士法人でない者は,報酬を得る目的で訴訟事件,非訟事件及び審査請求,異議申立て,再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定,代理,仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い,又はこれらの周旋をすることを業とすることができず,ただし,同法又は他の法律に別段の定めがある場合は,この限りでないと規定する。 争いのない事実及び証拠によって容易に認定することのできる事実等( )Bは,平成11年9月16日午後0時,大阪地方裁判所から破産宣告を受 け(平成11年(フ)第5650号,原告がその唯一の破産管財人に選任された)(甲1。 )( )原告は,平成11年10月18日,C(別紙2「本件退職金に係る源泉徴 収税額計算表」記載294)に対し,解雇予告手当81万0342円を配当した。 が,これに係る所得税につき源泉徴収はされていない。 原告は,平成12年8月30日,Bの元従業員ら270名(別紙2「本件退職金に係る源泉徴収税額計算表」記載1から269まで及び305。Cと併せて,以下「本件元従業員ら」という)に対し,退職金合計5億9415万2808円( 月30日,Bの元従業員ら270名(別紙2「本件退職金に係る源泉徴収税額計算表」記載1から269まで及び305。Cと併せて,以下「本件元従業員ら」という)に対し,退職金合計5億9415万2808円(C。 ,「」。),に対する上記解雇予告手当と併せて以下本件退職金というを配当したが本件退職金に係る所得税につき源泉徴収はされていない。 なお,本件元従業員らについて,各人の採用年月日,退職年月日及び勤続年数並びに各人が受け取った解雇予告手当,年金信託契約の解約による退職一時金,労働福祉事業団による未払賃金立替金及び本件退職金は,それぞれ別紙2の各人の①か- 6 -ら⑦までの欄に記載のとおりである。 (弁論の全趣旨)( )ア大阪地方裁判所は,平成12年6月29日,破産管財人の報酬を300 0万円とする旨決定し原告は同年7月3日Aに対し上記金額を支払った甲,,,,(4。 )イ原告は,同月13日,司法書士に対し,根抵当権抹消費用等として1万1210円の報酬(以下「本件司法書士報酬」という)を支払った(弁論の全趣旨。 。 )ウ大阪地方裁判所は,平成13年3月21日,破産管財人の報酬を5000万円とする旨決定し,原告は,同月28日,Aに対し,上記金額を支払った(甲4。 上記各管財人報酬を併せて,以下「本件管財人報酬」という。 。)エ本件管財人報酬及び本件司法書士報酬に係る所得税につき源泉徴収はされていない(甲4。 )( )住吉税務署長は,平成15年10月23日付けで,Bに対し,以下の各処 分(本件各処分)をした。本件各処分における納付すべき税額等は,別紙3「本件各処分一覧」記載1から3までのとおりである。 ア平成12年7月分の上記( )ア記載の破産管財人の報酬及び本件司法書士報 酬の源泉徴収に をした。本件各処分における納付すべき税額等は,別紙3「本件各処分一覧」記載1から3までのとおりである。 ア平成12年7月分の上記( )ア記載の破産管財人の報酬及び本件司法書士報 酬の源泉徴収に係る所得税の納税告知処分及び不納付加算税賦課決定処分イ平成12年8月分の本件退職金の源泉徴収に係る所得税の納税告知処分及び不納付加算税賦課決定処分ウ平成13年3月分の上記( )ウ記載の破産管財人の報酬の源泉徴収に係る所 得税の納税告知処分及び不納付加算税賦課決定処分(甲2)( )住吉税務署長は,平成15年10月28日付けで,原告に対し,本件各処 分に係る源泉所得税,不納付加算税賦課決定処分及び延滞税につき交付要求をした(甲3。 )(なお,原告は,被告の平成18年10月4日付け第6準備書面における本件各処- 7 -分に係る源泉所得税額及び不納付加算税額の主張は時機に後れた攻撃防御方法として民訴法157条1項により却下されるべきである旨主張するが,主張内容及び本件の審理経過にかんがみても,同主張が時機に後れて提出した攻撃又は防御の方法に当たるということはできない)。 争点 ( )争点1 本件管財人報酬が所得税法204条1項2号にいう弁護士の業務に関する報酬又は料金(単に,以下「弁護士の業務に関する報酬等」という)に当たるか否か。 (原告の主張)ア所得税法に同法204条1項2号にいう弁護士の業務について特段の定義規定がない以上,それが租税法上の概念であるとはいえず,同業務は,弁護士法3条1項所定の法律事務と同義と解すべきである。そして,破産管財人の業務は,上記法律事務に当たらないから,破産管財人の報酬は,弁護士の業務に関する報酬等には当たらない。 この点について,被告は,弁護士の業務に関する報酬等は,広く当事者その他関 。そして,破産管財人の業務は,上記法律事務に当たらないから,破産管財人の報酬は,弁護士の業務に関する報酬等には当たらない。 この点について,被告は,弁護士の業務に関する報酬等は,広く当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によって行う法律事務に隣接し,又は関連する役務の提供に対する対価を含むと主張する。しかし,源泉徴収制度が本来の納税義務者以外の第三者に源泉徴収義務を負わせるという制度であることに照らせば,このような拡大解釈は許されないというべきである。また,被告の解釈は,曖昧であり,かつ,漠然としており,このような解釈によって源泉徴収義務の有無を決するのは,租税法律主義(憲法84条)の要請である課税要件明確主義に反し,許されない。 イまた,ある給付が源泉徴収の対象となるためには,支払者と受給者との間に委任契約又はこれに類する原因が存在し,これに基づいて支払われるものでなければならないと解すべきである。なぜなら,支給者と受給者との間に上記の原因が存在しない場合には,支払者は自ら報酬の支払をする立場になく,その原資(源泉)を有しないから,このような者に源泉徴収義務を課すのは不合理だからである。そ- 8 -して,委任契約又はこれに類する原因が存在するというためには,受給者の行う事務が支払者のためにされる性質のものでなければならないと解される。 これを破産者と破産管財人との関係について検討するに,破産管財人は,破産法の規定に従って破産財団の管理処分を行い,破産債権者に対する配当等を行うのみであって,破産者の業務の執行には関与しない。すなわち,破産管財人は包括的執行手続たる破産手続の主宰者として,総債権者のためにその職務を行うのであり,破産者のためにその職務を行うものではない。したがって,破産者と破産管財人との間には,委任契約又はこれに類す 財人は包括的執行手続たる破産手続の主宰者として,総債権者のためにその職務を行うのであり,破産者のためにその職務を行うものではない。したがって,破産者と破産管財人との間には,委任契約又はこれに類する原因が存在しないから,破産管財人の報酬は弁護士の業務に関する報酬等には当たらない。 この点について,被告は,破産者と破産管財人との間に委任契約又はこれに類する原因は必要でないと主張し,そのことは,国選弁護人の報酬について源泉徴収されていることによって裏付けられるとするが,国選弁護人の場合は,その報酬を支払う国と国選弁護人との間に委任契約又はこれに類する原因が存在するのに対し,破産管財人は国から報酬を受けるものではないから,国選弁護人の報酬と破産管財人の報酬とを同視することはできない。 (被告の主張)ア弁護士の業務に関する報酬等は,弁護料,監査料その他の通常の報酬又は料金のほか,名義のいかんにかかわらず,その役務の提供に対する対価たる性質を有する一切のものが対象になり,広く当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によって行う法律事務に隣接し,又は関連する役務の提供に対する対価を含むと解される。そして,複雑困難で法律問題も多く,また,中立かつ公正に遂行されるべきであるなどの破産管財業務の内容,性質に照らし,破産管財人は法律的知識に通暁し,かつ,訴訟事件の処理を自らすることができる者であることが望まれるため,実務の現状では,破産管財人は,結果的にほとんど例外なく弁護士から選任されており,社会通念上も,破産管財人に就任した弁護士の破産管財業務は,弁護士としての業務として理解されている。また,弁護士法30条の5が,弁護士法人は同法- 9 -3条に規定する業務を行うほか,定款で定めるところにより,法令等に基づき弁護士が行うことができるものとして法務 ての業務として理解されている。また,弁護士法30条の5が,弁護士法人は同法- 9 -3条に規定する業務を行うほか,定款で定めるところにより,法令等に基づき弁護士が行うことができるものとして法務省令で定める業務の全部又は一部を行うことができると規定し,弁護士法第30条の5の業務を定める省令1号は,当事者その他の関係人の依頼又は官公署の委嘱により,管財人,管理人その他これらに類する地位に就き,他人の事業の経営,他人の財産の管理若しくは処分を行う業務又はこれらの業務を行う者を代理し,若しくは補助する業務と規定していることなどを勘案すれば,弁護士たる破産管財人に対して支給される破産管財人の報酬は,弁護士の業務に関する報酬等に該当するというべきである。 本件管財人報酬は,弁護士であるAが破産管財人として役務を提供した対価として支払われたものであるから,弁護士の業務に関する報酬等に当たる。 イ(ア)この点について,原告は,所得税法204条1項2号にいう弁護士の業務は,弁護士法3条1項所定の法律事務と同義であると主張する。しかし,両規定の文言は明らかに異っている上,弁護士の業務に関する報酬等について,上記アのとおり,広く解することがかえって源泉徴収制度の趣旨に沿う。すなわち,原告が主張するように,所得税法204条1項2号にいう弁護士の業務が弁護士法3条1,,項所定の法律事務と同義であるとすれば弁護士に対して報酬を支払う者において当該報酬の支払が弁護士法3条1項所定の法律事務に対する支払かどうかを判断し,これに当たる部分についてのみ源泉徴収を行わなければならないということになるが,このような著しい煩わしさを源泉徴収義務者に負わせることは,税収の確保,徴税手続の簡便さ,徴税費等の節約とともに源泉徴収義務者に著しい煩わしさを掛けることなく源泉納税 ばならないということになるが,このような著しい煩わしさを源泉徴収義務者に負わせることは,税収の確保,徴税手続の簡便さ,徴税費等の節約とともに源泉徴収義務者に著しい煩わしさを掛けることなく源泉納税義務者にとっても申告等の煩雑さを避けるという納税の便宜を図った源泉徴収制度の趣旨に反することになる。 (イ)また,原告は,ある給付が源泉徴収の対象となるためには,支払者と受給者との間に委任契約又はこれに類する原因が存在し,これに基づいて支払われるものでなければならないと主張する。しかし,原告の主張するような限定を加える法文上の根拠はなく,むしろ,委任契約又はこれに類する原因の有無にかかわらず,- 10 -,。 源泉徴収の対象とすることが上記源泉徴収制度の趣旨にかなうというべきであるこのことは,破産管財業務と同様,官公署からの委嘱により弁護士が行う業務たる国選弁護人の報酬について,源泉徴収がされていることからも裏付けられる。 (ウ)なお,破産管財業務は,弁護士法3条1項に規定する官公署の委嘱による法律事務に該当する余地があるし,また,破産者と破産管財人との間に委任契約又はこれに類する原因が存在すると考えることもできるから,原告の主張を前提とし,。 ても本件管財人報酬が弁護士の業務に関する報酬等に当たるということはできる( )争点2 Bが本件退職金について所得税法199条にいう支払をする者に,B又は原告が本件管財人報酬について同法204条1項にいう支払をする者に,それぞれ当たるか否か(原告の主張)(。 。)ア破産者は支払をする者上記各規定にいう支払をする者をいう以下同じに当たらないこと(ア)支払をする者の意義について源泉徴収義務は,本来の納税義務者(担税者)以外の第三者に租税を徴収させ,,,,これを国に納付させ 各規定にいう支払をする者をいう以下同じに当たらないこと(ア)支払をする者の意義について源泉徴収義務は,本来の納税義務者(担税者)以外の第三者に租税を徴収させ,,,,これを国に納付させる義務であり源泉徴収制度は源泉徴収義務者の負担の下に租税債権者である国及び本来の納税義務者の負担を軽減するものである。源泉徴収義務違反に対しては,不納付加算税の賦課だけでなく,刑事罰による制裁まで規定されている(国税通則法67条,所得税法240条1項。このような制度趣旨に)照らせば,源泉徴収義務を課すことが許される第三者の範囲は,本来の納税義務者との間に特に綿密な関係があり,上記のような義務を課すに足りる合理的な理由のある者に限定されなければならない。 そして,源泉徴収に関して規定する法律の規定(所得税法6条,国税通則法15条2項2号等)は,いずれも支払という行為に着目し,支払という行為をする者に。 ,,,,源泉徴収義務を課しているこれは当該給与退職金報酬等の支払をする者は- 11 -徴収すべき税額を容易に算定することができ,かつ,支払の原資(源泉)から税金を徴収して納付することが可能であって,この者に源泉徴収義務を課しても酷ではないからである。 そうであるとすれば,支払をする者とは,単にその支払に係る経済的出絹の効果が最終的に帰属する者であるだけでなく,現実に支払という行為をし,又はこれをすることができる者,すなわち,自らの権限で支払をすることができる者であると解さなければならない。このような者でなければ源泉徴収をすることはできないのであって,源泉徴収のできない者に対して源泉徴収義務を課すことはできないからである。 (イ)破産者は支払をする者に当たらないことa破産者は,その破産宣告時に,自己の財産(破産財団所属財産)に のであって,源泉徴収のできない者に対して源泉徴収義務を課すことはできないからである。 (イ)破産者は支払をする者に当たらないことa破産者は,その破産宣告時に,自己の財産(破産財団所属財産)に対する管理処分権を失う(破産法7条)結果,支払の原資を有さず,現実に支払という行為をすることができないのであるから,支払をする者には当たらない。 bまた,ある債権を破産債権(破産法15条等)として認めてこれに対する配当を行うか否か,財団債権(破産法47条等)として認めてこれに対する支払を行うか否かは,いずれも破産管財人が破産者から独立して判断することであって,破産者自身の意思に反して配当又は支払がされることもある。それにもかかわらず,破産者が支払をする者に当たるとすると,破産者は自己の意思に反する支払についてまで源泉徴収義務を負うことになり,不合理である。 c本件退職金の配当及び本件管財人報酬の支払の権限及び義務を有し,かつ,現実に本件退職金を配当し,又は本件管財人報酬を支払ったのは,いずれも管財人である原告であって,破産者たるBではなく,Bは支払をする者に当たらない。 イ破産債権の配当について,源泉徴収義務がないこと(ア)個別的執行手続及び滞納処分において源泉徴収義務がないこと(「」。)民事執行法による個別の財産に対する強制執行以下個別的執行手続というにおいては,執行裁判所又は執行官(執行機関)が債務者の財産を換価した上で債- 12 -権者に対する配当を行うし,国税徴収法等による滞納処分においても,税務署長その他の徴収職員が滞納者の財産を換価した上で債権者に対する配当を行う。いずれの手続においても,債務者又は滞納者の従業員に対する労働債権に対して配当が行われることがあるが,その際,執行機関又は徴収職員が配当する金員から源泉所得 産を換価した上で債権者に対する配当を行う。いずれの手続においても,債務者又は滞納者の従業員に対する労働債権に対して配当が行われることがあるが,その際,執行機関又は徴収職員が配当する金員から源泉所得税を徴収することはない。その理論的根拠は,以下の2点にある。 a源泉徴収義務は債務者が任意に支払をする場合に課されるものであるところ,配当は債務者の任意の支払ではないこと源泉徴収制度は,支払者が支払をする際に支払に係る金員から税額を差し引いて徴収する制度である。このような徴収は支払者が任意に支払う場合でなければ履行することができないから,源泉徴収義務は債務者が任意に支払をする場合にのみ課されるものである。個別的執行手続及び滞納処分においては,債務者の意思に反して強制的に配当が行われるのであるから,源泉徴収義務は課されない(高松高裁昭和44年9月4日判決参照。 。)b執行機関が債権者に対して負う配当義務は,執行債権の実体法上の性質が捨象された,いわば無色透明の手続上の債務であること個別的執行手続上配当の対象となる債権は,配当手続において,いわば無色透明の債権であって,労働債権であるという実体法上の性質は捨象される。すなわち,個別的執行手続においては,執行債権の確定手続と執行手続とは分離され,執行機関は執行債権の存否を問題とすることができない。また,執行債権の実体法上の性質が労働債権であるとしても,執行法上は,一般債権に優先する一般先取特権の対象として考慮されるだけであり,労働債権であることが考慮されるわけではない。 これらの意味において,執行機関が債権者に対して負う配当義務は,執行債権の実体法上の性質が捨象された,いわば無色透明の手続上の債務であるということができ,この性質から,個別的執行手続における配当について源泉徴収義務は生じないと が債権者に対して負う配当義務は,執行債権の実体法上の性質が捨象された,いわば無色透明の手続上の債務であるということができ,この性質から,個別的執行手続における配当について源泉徴収義務は生じないと解される。 (イ)破産手続と個別的執行手続及び滞納処分とは同様に解されること- 13 -破産手続は,破産者(債務者)の財産一般に対する包括的執行手続である。すなわち,破産管財人は,破産者の破産宣告時の財産(破産財団所属財産)を換価した上で破産債権に対する配当を行う。したがって,個別的執行手続及び滞納処分と破産手続とは,その対象が債務者の個別財産に限られるか財産一般に及ぶかの違いがあるだけであって,その手続は極めて類似している。 そして,破産手続についても,上記(ア)a,bの理論的根拠が当てはまる。すなわち,破産手続における配当も,個別的執行手続及び滞納処分と同様に債務者の意思に反して行われる。また,破産手続においても,債権確定手続と執行手続とが分離され,配当においては労働債権であるという実体法上の性質は捨象される。この点について,被告は,破産手続においては,破産管財人が債権確定の権限を有し,源泉徴収義務の有無を判断することができる旨主張するが,破産手続においても債権確定手続と配当手続とが明確に区別されており,破産手続における配当も債権表に従って配当され,実体法上の権利の消長を配当手続内で反映させることができない点で,個別的執行手続と何ら異ならない。 したがって,破産手続における配当について,源泉徴収義務は生じないと解すべきである。 (ウ)個別的執行手続において債務者は源泉徴収義務を負わないこと(被告の主張に対する反論)被告は,個別的執行手続において,労働債権に対する配当が行われた場合,債務者(使用者)が源泉徴収義務を負うことを前提として, 手続において債務者は源泉徴収義務を負わないこと(被告の主張に対する反論)被告は,個別的執行手続において,労働債権に対する配当が行われた場合,債務者(使用者)が源泉徴収義務を負うことを前提として,個別的執行手続と破産手続とは必ずしも類似していないと主張する。 しかし,個別的執行手続において,換価によって得られた金員は執行機関が管理し,これがそのまま配当されるのであって,債務者(使用者)自身が源泉徴収をすべき原資(源泉)を保有しない以上,債務者が配当に係る源泉徴収義務を負うとするのは背理である。また,債務者が配当に係る源泉徴収義務を負うとすると,債務者としては,あらかじめ配当金から源泉所得税を差し引くことができない以上,源- 14 -泉所得税相当額を納付した上で,配当を受けた債権者に対して同額の金員の返還を請求しなければならず,これは,債権者の無資力の危険を国に代わって債務者に負わせることになるから不合理である。 (被告の主張)ア支払をする者の意義について支払には,実質課税の原則にかんがみ,現実に金銭を交付する行為のほか,給与。 ,,等の支払義務を消滅させる一切の行為が含まれるこのように支払とは必ずしも事実行為としての支払に限られないのであるから,支払をする者とは,債務消滅の効果の帰属する者と解すべきである。 また,源泉徴収制度の趣旨は,徴収の確保,徴収手続の簡便さ,徴税費等の節約とともに源泉徴収義務者に著しい煩わしさを掛けることなく,源泉納税義務者にとっても申告等の煩雑さを避けるという納税の便宜上の利点にあるから,支払をする者は,源泉徴収の法律関係の当事者になるのに適した者であれば足りる。 源泉徴収に係る法律関係については,租税債権者たる国又は地方団体と本来の納税義務者との間の直接の関係は切断されており,国又は地方団体と支払をす 徴収の法律関係の当事者になるのに適した者であれば足りる。 源泉徴収に係る法律関係については,租税債権者たる国又は地方団体と本来の納税義務者との間の直接の関係は切断されており,国又は地方団体と支払をする者との間の公法上の債権債務関係と支払をする者と納税義務者との間の私法上の債権債務関係が成立する。 そうすると,源泉徴収の法律関係の当事者になるのに適した者とは,支払に係る経済的出捐の効果が最終的に帰属する者であれば足り,原告が主張するような現実に支払という行為をする者という限定を加える必要はない。このような限定を加えることは,徴収の確保及び源泉納税義務者の納税義務の便宜を図るという源泉徴収制度の趣旨に反する。 原告の主張によれば,事実行為としての支払を行う者とその効果が帰属する主体とが一致しない場合,源泉徴収義務を負う者が存在しないことになるが,所得税法にその旨を定めた規定がない以上,原告の主張には法的根拠がない。 イ本件退職金について- 15 -本件退職金債務は,破産宣告前に成立していた雇用関係の終了によって生じた債務であり,Bがその債務を負う。破産者であるBは,破産宣告により破産財団の管理処分権を失い,その管理処分権は破産管財人に帰属するが,破産宣告後も破産者が実体的権利の帰属主体であると解されているから,本件退職金の支払をする者は破産者であるBである。 ウ本件管財人報酬について(ア)破産管財人の報酬は,財団債権(破産法47条3号)に該当するところ,近時有力に主張されている,破産財団の管理機構としての破産管財人に法人格を認める,いわゆる管理人機構人格説によれば,管理機構としての破産管財人が財団債権の債務者となり,破産管財人に就任している私人に対して破産管財人の報酬を支払うことによって,管理機構としての破産管財人の債務が消滅する る管理人機構人格説によれば,管理機構としての破産管財人が財団債権の債務者となり,破産管財人に就任している私人に対して破産管財人の報酬を支払うことによって,管理機構としての破産管財人の債務が消滅することになるから,,。 ,破産管財人の報酬の支払をする者は管理機構としての破産管財人であるよって本件管財人報酬の支払をする者は,Bの破産管財人である原告である。 (イ)仮に,従前の通説的見解に従い,破産者は破産宣告後も破産財団を構成する積極消極の財産に関する実体的権利の帰属主体であると解するなら,結局,債務消滅の効果は破産者に帰属するのであるから,本件管財人報酬の支払をする者は,Bである。 ()エ個別的執行手続及び滞納処分と破産手続との違い原告の主張に対する反論民事執行法上,執行機関が配当手続において配当に参加する債権者の債権の存否及びその額を確定する手続は予定されていない。したがって,個別的執行手続にお,,(),いて配当が行われた場合執行機関が債権の存否性質労働債権に該当するか数額等を実体的に把握して源泉徴収義務の有無を判断し,これを履行することは不可能である。他方,債務者は,執行目的物以外の財産についての管理処分権を失わないのはもちろん,自由な経済活動を継続しているのであって,その活動の中で,源泉徴収義務の有無を判断し,これを履行することが可能であるから,個別的執行- 16 -手続において,執行機関に源泉徴収義務を課す必要がない。すなわち,個別的執行手続において,労働者に対して,源泉所得税相当額を含め,配当として支払がされた場合の法律関係は,使用者において源泉徴収義務を履行した上で,労働者に対して源泉所得税相当額の金員の返還を求めることになる。以上の理は,希有の事態ではあるが,滞納処分において労働債権に対し配当がさ た場合の法律関係は,使用者において源泉徴収義務を履行した上で,労働者に対して源泉所得税相当額の金員の返還を求めることになる。以上の理は,希有の事態ではあるが,滞納処分において労働債権に対し配当がされる場合にも同様に当てはまる。 これに対し,破産手続においては,破産管財人は,債権調査を経て債権を確定し(破産法242条参照,その上で配当を行うこととされており,債権を確定する)中で,債権の存否,性質,数額等を確定する権限を有するから,破産管財人が源泉徴収義務の有無を判断し,これを履行することが可能である。さらに,破産者は,破産財団に対する管理処分権を失っているから,自ら源泉徴収義務を履行することはできない。 以上のとおり,個別的執行手続及び滞納処分と破産手続とは,債務者以外の第三者が債務者の財産の処分を行う点において類似性があるとしても,配当に至るまでの手続は大きく異なっており,個別的執行手続及び滞納処分と破産手続とが単純に類似しているということはできない。 また,源泉所得税について,当該手続において支払を受けるためには,破産法上優先的に弁済を受けるためには,財団債権に該当することが必要なように,当該手続中に源泉所得税の根拠となる手続が定められていなければならないが,個別的執行手続や滞納処分には,その手続中に源泉所得税の支払の根拠となる手続が定められていないのであるから,それらの手続によって源泉所得税の支払を受けられないのは当然である。 オ所得税法は法定の場合以外に源泉徴収義務が発生しない事態を想定していないこと(ア)所得税法は,退職所得の支払者に源泉徴収義務を課し,同法200条に源泉徴収の除外規定を設けているのみであって,それ以外に明文上の除外規定を設け- 17 -ていないから,同条以外に退職所得について源泉徴収することを要しない 払者に源泉徴収義務を課し,同法200条に源泉徴収の除外規定を設けているのみであって,それ以外に明文上の除外規定を設け- 17 -ていないから,同条以外に退職所得について源泉徴収することを要しない場合を予定していないというべきである。 (イ)また,所得税法は,退職所得を有する居住者が,その年分の退職所得の全部について源泉徴収された又はされるべき場合には確定申告を要しない旨定め同,(),,。 法121条2項1号同法36条1項はいわゆる権利確定主義を採用しているそして,退職所得については,通常の場合,退職金の現実の支払を待たずに退職した時点で就業規則等の定めによりその取得すべき金額が確定するから,退職する日の属する年に収入すべきものとして,その年分の所得になる。 ここで,確定申告書の提出期限後,退職金が未払のまま使用者たる会社が破産宣告を受けた場合につき検討する。 原告の主張によったとしても,退職の日の時点では使用者は破産宣告を受けていない以上,所得税法121条2項1号にいう源泉徴収されるべき場合に当たる(同法199条)から,その時点においては退職者は確定申告をする義務を負わない。 そして,原告の主張するように,破産配当の場合は源泉徴収義務がないと解するとしても,退職所得についての所得税が消滅すると解することはできないから,この場合は,退職者が期限内申告書を提出すべきであった者(国税通則法18条1項)に該当し,期限後申告の義務を負うと解さざるを得ない。 しかしながら,このように解すると,被用者は,確定申告書の提出期限の時点においては確定申告義務がなかったのに,その後使用者たる会社が破産宣告を受けたことによって確定申告義務を負うことになり(さらに,原告の主張によっても,使用者たる会社の破産手続が異時廃止となれば,再び退職所得が源泉徴 告義務がなかったのに,その後使用者たる会社が破産宣告を受けたことによって確定申告義務を負うことになり(さらに,原告の主張によっても,使用者たる会社の破産手続が異時廃止となれば,再び退職所得が源泉徴収の対象となると考えられ,再び確定申告義務が消滅する,所得税法が,退職者の申告義務の。)存否をこのように不安定にすることを予定しているとは考えられない。 なお,原告は,退職金が未払のまま,債務者である使用者が破産した場合,当該退職所得の収入すべき時期は,退職者が受領する破産配当の額が確定した日と解すべきであって,退職者は当該退職金の配当の額が確定した日の属する年の所得とし- 18 -て確定申告し納税すべきである旨主張する。しかし,このような原告の主張は,権利確定主義に反するし,税額の算出に累進税率が適用されることから,退職金債権に対する配当が複数回にわたって配当された場合に税額が低くなり,退職所得の税負担に不公平が生じるので,結果としても妥当でない。 ( )争点3 ,,Bが本件退職金又は本件管財人報酬について支払をする者に当たるとした場合破産管財人である原告が源泉徴収義務を負うか否か(原告の主張)ア破産管財人の破産財団に関する管理処分権は,債権者その他の利害関係人の利害及び債務者と債権者との間の権利関係を適切に調整し,もって債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図るという破産手続の目的のために与えられた,破産管財人固有の権限であり,破産者がすべき義務すべてを破産者に代わって履行する権限ではない。 源泉所得税は,受給者の収入である給付に課せられる租税であり,その給付は破産財団を離脱したものであって,破産財団の管理に関係がない。したがって,当該給付に係る源泉所得税の徴収納付も,破産財団の管理等に関する事柄ではなく,破産管財人の管理 せられる租税であり,その給付は破産財団を離脱したものであって,破産財団の管理に関係がない。したがって,当該給付に係る源泉所得税の徴収納付も,破産財団の管理等に関する事柄ではなく,破産管財人の管理処分権は及ばないと解される。 イ破産管財人の事務の増大という不都合破産管財人が退職手当等について源泉徴収義務を負うとすると,破産管財人は,同一年中に別に退職手当等の支払を受けたか否かなど各従業員の個別の事情を把握した上で税額を計算しなければならないし,さらに,破産管財人が給与等について源泉徴収義務を負うとすると,年末調整の事務をも破産管財人が負うということになる。このように煩雑な事務を大量に行うことは,破産管財人にとって過大な負担になり,管財事務が停滞することになるから,破産法がこのような事態を予定しているとは解されない。 ,,,この点について被告はたとい破産管財人にとって過大な負担になるとしても- 19 -破産管財人は税理士等に当該事務を依頼することができ,それに要する報酬は財団債権として支払うことができる旨主張する。しかし,破産債権者にとって共益性を有しない源泉徴収に係る事務に要する費用につき,破産財団が負担を強いられるべきではなく,上記被告の主張は妥当でない。 そもそも,源泉徴収の対象となる給与所得に対する課税は,源泉徴収と年末調整とで完結するものと考えられているところ,同一年中に給与等の支払がされることが必ずしも予定されていない配当手続については,年末調整を行うことは予定されておらず,したがって,源泉徴収を行うことも予定されていない。 ウ以上より,仮にBが本件退職金又は本件管財人報酬について支払をする者に当たるとしても,破産管財人である原告は,源泉徴収義務を負わない。 (被告の主張)ア破産管財人の有する破産財団の管理処分権は ウ以上より,仮にBが本件退職金又は本件管財人報酬について支払をする者に当たるとしても,破産管財人である原告は,源泉徴収義務を負わない。 (被告の主張)ア破産管財人の有する破産財団の管理処分権は,広く破産財団の存続,帰属,内容について変更を及ぼす一切の行為をする権限をいい,その例外として破産者に残される権限は,①自由財産の管理処分権,②破産法上,破産者自身がすべきものと定められている事項(破産法112条,153条1項,188条など,③)法人の社団法的,組織法的活動が挙げられる。源泉徴収義務は,上記①から③までの破産者の権限事項には当たらず,破産管財人の専有する破産会社の財産的活動の処理権限に含まれるものと考えられる。 この点に関連して,最高裁平成4年10月20日第三小法廷判決は,破産会社の破産管財人には,予納法人税が破産法47条2号ただし書にいう「破産財団ニ関シテ生シタルモノ」に当たるか否かを問わず,その申告義務(法人税法102条)及び納付義務(同法105条)がある旨判示している。同判決は,破産宣告がなければ破産者が負うべき租税の申告,納付義務について,これが破産宣告後に発生した事案においては,同義務が破産管財人に帰属することを明らかにしているところ,このような同判決の趣旨に照らせば,破産宣告がなければ破産者が負うべき源泉徴収義務も,破産宣告後は,破産管財人が負うべきことが明らかである。 - 20 -イ破産管財人の事務の増大に係る原告の主張に対する反論源泉所得税額の計算は,それ自体定型的なものであって,管財事務にとって過大な負担とはならない。また,もし,同計算が複雑,大量等であって,管財事務に過大な負担となる場合,破産管財人は,税理士等の税務の専門家に対して,当該事務を依頼することが可能であり,それに要する報酬は財団債権とし ならない。また,もし,同計算が複雑,大量等であって,管財事務に過大な負担となる場合,破産管財人は,税理士等の税務の専門家に対して,当該事務を依頼することが可能であり,それに要する報酬は財団債権として支払うことができるのであって,管財事務が停滞することにはならない。そして,上記報酬を財団債権として支払ったとしても,一般の破産債権者にとって,過大な負担が生じるということはできない。 また,年末調整(所得税法190条)を行い得ることは,給与所得について源泉徴収義務が認められるための要件とはされておらず(同法183条,184条,199条,200条,同法上,給与所得のある居住者でも確定申告をするのが原則)であり(120条,源泉徴収又は年末調整がされる場合で一定の要件を満たした)ときに確定申告をすることを要しない(121条)とする仕組みが採られているにすぎないのであって,実際上も,中途退職等のため源泉徴収の対象になっても年末調整の対象とならない事態はしばしば生じていることからすれば,年末調整を行うことが予定されていない配当については源泉徴収を行うことも予定されていないということはできない。なお,破産手続において解雇された従業員に対して賃金債権に対する配当が行われたとしても,現実に年末調整に係る事務が必要となる事態はまれである。 ( )争点4 ,,本件退職金及び本件管財人報酬について原告が源泉徴収義務を負うとした場合本件各処分に基づく租税債権(以下「本件租税債権」という)が財団債権(破産。 法47条2号)に該当するか否か(原告の主張)ア破産法は,原則として,破産宣告後に破産債権者共同の利益のために生じた債権を財団債権とし,破産手続外における優先弁済を認めているが,同法47条2- 21 -号本文が破産宣告前の租税債権の一切を財団債 産法は,原則として,破産宣告後に破産債権者共同の利益のために生じた債権を財団債権とし,破産手続外における優先弁済を認めているが,同法47条2- 21 -号本文が破産宣告前の租税債権の一切を財団債権としたのは公益的な要請によるものであって,上記原則の例外を定めたものである。そうすると,破産法47条2号ただし書にいう「破産財団ニ関シテ生シタル」租税とは,破産財団を構成する各個の財産の所有の事実に基づいて課され,あるいはそれら各個の財産のそれぞれからの収益そのものに対して課される租税その他の破産財団の管理上その経費と認められる公租公課をいうと解すべきである(最高裁昭和43年10月8日第三小法廷判決参照。 。)しかるところ,源泉所得税は,破産財団から離脱した受給者への給付に対して課される租税であるから,破産財団の管理上その経費と認められる公租公課には当たらない。よって,本件租税債権は財団債権に該当しない。 また不納付加算税は源泉所得税の附帯税であり本税である源泉所得税が破,,,「産財団ニ関シテ生シタル」租税債権に当たらない以上,不納付加算税も財団債権に該当しない。 イこの点について,被告は,本件租税債権が高度の公益性を有すること,源泉所得税が本来の担税者でない源泉徴収義務者(破産管財人)にとって,税務官庁との関係でいわば預かり金的な性質を有するものであることなどを根拠として,本件租税債権が財団債権に該当する旨主張する。しかし,本件退職金の請求権が優先破産債権であるのに,その一部である源泉所得税に係る租税債権がどのような根拠で財団債権として本件退職金請求権よりも優先した取扱いを受けるのか不明である。 また,破産管財人の報酬とこれに係る源泉所得税とは,その発生根拠を異にするものであるから,本件管財人報酬に係る源泉所得税が本件管財人報酬 て本件退職金請求権よりも優先した取扱いを受けるのか不明である。 また,破産管財人の報酬とこれに係る源泉所得税とは,その発生根拠を異にするものであるから,本件管財人報酬に係る源泉所得税が本件管財人報酬の一部としてこれと同様の性質を有するということはできない。 (被告の主張)ア本件租税債権が破産法47条2号本文に該当すること(ア)破産法47条2号の趣旨について同規定の趣旨は,租税収入の確保という公益的な要請に照らし,租税債権は,破- 22 -産宣告の前後いずれの原因に基づくものであるかにかかわらず,原則として財団債権に該当するものとしつつ,破産宣告後の原因に基づくもののうち,破産債権者に共同で負担させることが破産債権者に不当な不利益をもたらすこととなるものについては,破産債権者保護の見地から,同号ただし書において,例外的にこれを財団債権から除外するものとしたものである。 (イ)源泉所得税の特殊性について源泉徴収の対象とされている所得の支払者(徴収義務者)がその支払の際に税務官庁に代わって給与等を受ける受給者(実質的な納税者)の納付すべき所得税を天引き徴収し,受給者に代わって徴収した所得税を納付するという源泉徴収制度の趣旨にかんがみれば,源泉所得税にかかる租税債権は高度の公益性を有するというべきである。また,源泉徴収制度の構造に照らせば,源泉所得税は,本来受給者が納付すべき所得税を税務官庁に納付するまで支払者において保管しているものということができ,本来の担税者でない源泉徴収義務者(破産管財人)にとって,税務官庁との関係でいわば預かり金的な性質を有するものであるから,本来一般の破産債権者に対する配当の引当てになるものではない。 上記破産法47条2号の趣旨と源泉所得税の特殊性とを併せ考えれば,破産宣告の前後によってその取扱いを異にする 性質を有するものであるから,本来一般の破産債権者に対する配当の引当てになるものではない。 上記破産法47条2号の趣旨と源泉所得税の特殊性とを併せ考えれば,破産宣告の前後によってその取扱いを異にするべき理由はない。そして,破産宣告前に生じた源泉所得税に係る租税債権が財団債権に当たるのは明らかであるから,源泉所得税に係る租税債権は,破産宣告の前後にかかわらず,破産法47条2号本文によって,財団債権に当たるというべきである。 イ本件租税債権が破産法47条2号本文に該当しないとしても,同号ただし書に該当すること(ア)同号ただし書が,破産宣告後の原因に基づく租税債権のうち「破産財団,ニ関シテ生シタルモノ」に限り財団債権としたのは,これが破産財団の管理上の当然の経費であって破産債権者にとって共益的な支出と認められ,したがって破産債権者が共同で負担するのが当然であると認められるからである。すなわち,同号た- 23 -だし書の解釈に当たっては,破産財団との直接の関連性を有する租税であるか否かという観点だけでなく,破産財団管理上の経費であって破産債権者において共益的な支出として共同負担すべき租税であるか否かという観点からも考察するべきであって,法人破産の場合,破産財団の換価に関係のない租税であるからといって,直ちに財団債権に当たらないということはできず,公益上の要請から財団債権該当性を肯定されるものもあり得ると解すべきである。 (イ)そして,優先的破産債権である退職金の配当や財団債権である破産管財人の報酬の支払も,破産手続の遂行に伴い法律上当然に予定されているものであるから,この配当や支払の際,法の定めに基づいて当然に発生する源泉所得税に係る租税債権も,破産手続の遂行に伴う共益的支出に当たるというべきである。また,破産財団は,そもそも破産債権 れているものであるから,この配当や支払の際,法の定めに基づいて当然に発生する源泉所得税に係る租税債権も,破産手続の遂行に伴う共益的支出に当たるというべきである。また,破産財団は,そもそも破産債権に対する配当や財団債権に対する支払を行うことを目的としているものであり,破産手続において法律上当然に予定されている退職債権の配当や破産管財人の報酬債権に対する支払は,破産財団から支出されることが予定されているものであるから,これらの配当及び支払をする際に法律上当然に発生する源泉所得に係る租税債権は,破産財団の管理上当然その経費と認められる公租公課に該当し,同号ただし書にいう「破産財団ニ関シテ生シタルモノ」に当たると解するべきである。 (ウ)また,前記ア(イ)のとおり,破産管財人が天引き徴収した源泉所得税は,高い公益性を有するから,公益上の要請からも同号ただし書該当性を肯定すべきである。 ウ本件租税債権が財団債権に該当しない場合の不都合性本件退職金及び本件管財人報酬について,原告が源泉徴収義務を負うにもかかわ,(),らず同義務に基づく租税債権本件租税債権が財団債権に該当しないとすると本件租税債権は破産債権にも該当しないことから,財団債権としての支払と破産手続による配当とのいずれも受けることができなくなる。その場合,本件退職金及び本件管財人報酬に係る源泉所得税額に相当する金員は,財団債権及び破産債権に対- 24 -する支払,配当の原資になってしまい,本件租税債権の犠牲の上に破産債権者等が不当に有利な立場に立つことになる。他方,受給者である元従業員及び破産管財人は別個に上記源泉所得税を負担する必要はない(所得税法120条1項5号,121条2項1号,128条。このような事態が著しく課税の公平を損なうことは明)らかであるから,本件退職金 業員及び破産管財人は別個に上記源泉所得税を負担する必要はない(所得税法120条1項5号,121条2項1号,128条。このような事態が著しく課税の公平を損なうことは明)らかであるから,本件退職金及び本件管財人報酬について,原告が源泉徴収義務を負うとする以上,同義務に基づく租税債権(本件租税債権)は財団債権に該当すると解すべきである。 エ不納付加算税及び延滞税の財団債権該当性源泉所得税に係る不納付加算税及び延滞税は,本税である租税債権の附帯税であるから,それが財団債権に該当するか否かは,本税である租税債権が財団債権に該当するか否かに係るところ,本件租税債権の本税部分は財団債権に該当するから,その附帯税である不納付加算税及び延滞税も財団債権に該当する。 第3当裁判所の判断 争点1について( )そもそも,源泉徴収制度は,本来の納税義務者から直接に租税を徴収する ことが困難であるなど租税徴収確保の必要性が認められる場合に,租税の徴収につき便宜を有する者に本来の納税義務者に代わって徴収,納付義務を負わせることとした租税徴収確保のための制度である。そして,特定の租税につき源泉徴収制度を採用するか否か,源泉徴収の対象をどのように定めるか,源泉徴収制度を採用する場合に徴収,納付義務をいかなる者に課すかについては,立法府の政策的,技術的な裁量判断にゆだねられており,徴収,納付義務を課された者にとって同義務を履行することが著しく困難であるなど同制度を採用することが著しく不合理であることが明らかでない限り,その合理性を否定することはできないものと解される。 ( )所得税法4編1章から3章の2までが利子所得及び配当所得に係る源泉徴 収(4編1章,給与所得に係る源泉徴収(同2章,退職所得に係る源泉徴収(同))3章)並びに公的年金等に係る源泉 る。 ( )所得税法4編1章から3章の2までが利子所得及び配当所得に係る源泉徴 収(4編1章,給与所得に係る源泉徴収(同2章,退職所得に係る源泉徴収(同))3章)並びに公的年金等に係る源泉徴収(同3章の2)として,所得の種類ごとに- 25 -源泉徴収の対象を定めている(公的年金等は雑所得に該当する。同法35条2項1号)のに対し,報酬,料金,契約金又は賞金に係る源泉徴収(同4章1節)に関する同法204条1項は,これらの所得の種類とは無関係に,具体的に源泉徴収の対象とすべきものの範囲を定めた規定である。そして,同項2号が規定する業務の内容等に照らせば,同号は,同号所定の一定の専門的知見を有する者が行う業務に関する報酬又は料金を広く源泉徴収の対象とし,租税徴収の確保を図ったものと解される。 他方,弁護士法3条1項,同法24条,同法30条の5,同法30条の21及び同法72条並びに弁護士法第30条の5の業務を定める省令の規定は,前記第2の1( )のとおりであるところ,これらの規定の文言等にかんがみると,破産管財人 としての業務は,同法3条1項にいう「一般の法律事務」には該当しないものの,弁護士法第30条の5の業務を定める省令1号にいう業務に該当するとともに,同法24条にいう法令により官公署の委嘱した事項に該当し,同条により弁護士及び弁護士法人は正当の理由がなければこれを行うことを辞することができないものと解される。これらに照らせば,弁護士法は,弁護士の使命及び職責にかんがみ,弁護士が破産管財人の地位に就きその業務を行うことを予定しているものということができる。 上記所得税法204条1項2号の趣旨に加え,その文言に照らしても,同号にいう弁護士の業務を弁護士法3条1項に規定する訴訟事件等に関する行為その他一般の法律事務を行うことに限定し いうことができる。 上記所得税法204条1項2号の趣旨に加え,その文言に照らしても,同号にいう弁護士の業務を弁護士法3条1項に規定する訴訟事件等に関する行為その他一般の法律事務を行うことに限定して解すべき理由はなく,上記のとおり弁護士法が弁護士の使命及び職責にかんがみ,弁護士が破産管財人の地位に就きその業務を行うことを予定していることをも併せかんがみれば,弁護士が破産管財人として行う業務は,所得税法204条2号にいう弁護士の業務に該当するものと解すべきである(以上説示したところからすれば,被告の解釈が源泉徴収制度の趣旨からして許されない拡張解釈であり,また,租税法律主義(憲法84条)の要請する課税要件明確主義に反する旨の原告の主張は,その前提を欠くものというべきであって,採用- 26 -することができない。 。)( )以上のとおり,弁護士が破産管財人として行う業務は所得税法204条2 号にいう弁護士の業務に該当すると解されるから,破産管財人の受ける報酬は,同号にいう弁護士の業務に関する報酬又は料金に該当するというべきである。 この点について,原告は,ある給付が源泉徴収の対象となるためには,支払者と受給者との間に委任契約又はこれに類する原因が存在し,これに基づいて支払われるものでなければならないと解すべきところ,破産者と破産管財人との間には委任契約又はこれに類する原因が存在しないから,破産管財人の報酬は弁護士の業務に関する報酬又は料金には当たらない旨主張する。 しかしながら,前記のとおり,源泉徴収制度は,租税徴収確保のための制度であって,特定の租税につき源泉徴収制度を採用する場合に源泉徴収の対象をどのように定めるかについては,立法府の政策的,技術的な裁量判断にゆだねられているところ,源泉徴収の対象を支払者と受給者との間に委任契約 ,特定の租税につき源泉徴収制度を採用する場合に源泉徴収の対象をどのように定めるかについては,立法府の政策的,技術的な裁量判断にゆだねられているところ,源泉徴収の対象を支払者と受給者との間に委任契約又はこれに類する原因が存在しこれに基づいて支払われるものに限定しなければならない合理的理由は見いだし難く,所得税法204条2号にいう弁護士の業務に関する報酬又は料金について原告の主張するように限定的に解すべき根拠も見いだせない。 ( )以上によれば,本件管財人報酬は,所得税法204条1項2号にいう弁護 士の業務に関する報酬又は料金に当たるというべきである。 争点2から4までについて( )支払をする者について ア所得税法上,源泉徴収による所得税(以下「源泉所得税」という)につい。 て徴収,納付の義務を負う者は,源泉徴収の対象となるべき一定の所得又は報酬,料金等の支払をする者とされている。所得税法が,一定の所得又は報酬,料金等について,その支払をする者に源泉徴収義務を課すこととした趣旨は,当該支払によって支払をする者から支払を受ける者に移転する経済的利益が課税の対象となるところ,支払をする者は,その支払によって経済的利益を移転する際に,所得税とし- 27 -て,その利益の一部をいわば天引きしてこれを徴収し,国に納付することができ,かつ,当該税額の算定が容易であるからであると解される。そうであるとすれば,支払をする者とは,当該支払に係る経済的出捐の効果の帰属主体をいうと解すべきである。 イ破産債権に対する配当及び財団債権に対する弁済が上記の経済的利益の移転としての支払に当たることはその性質上明らかであるところ,破産者は,破産宣告後も破産財団に係る実体的権利義務の帰属主体であり,破産管財人に法主体性は認められないと解されるから,破産 経済的利益の移転としての支払に当たることはその性質上明らかであるところ,破産者は,破産宣告後も破産財団に係る実体的権利義務の帰属主体であり,破産管財人に法主体性は認められないと解されるから,破産債権に対する配当及び財団債権に対する弁済に係る経済的出捐の効果の帰属主体は,破産者である。 ウしたがって,破産債権に対する配当又は財団債権に対する弁済が所得税法において源泉徴収の対象として規定されている一定の所得又は報酬,料金等に係るものであるときは,当該配当又は弁済に係る支払をする者は破産者であると解すべきである。 ( )破産管財人の権限等について アもっとも,原告は,源泉徴収制度の趣旨に照らせば,源泉徴収義務を課すことが許される第三者の範囲は,本来の納税義務者との間に特に密接な関係があり,当該義務を課すに足りる合理的な理由のある者に限定されなければならず前記( ), アのような所得税法の定める源泉徴収制度の趣旨からすれば,支払をする者とは,単にその支払に係る経済的出捐の効果が最終的に帰属する者であるだけでなく,現実に支払という行為をし,又はこれをすることができる者,すなわち,自らの権限で支払をすることができる者であると解さなければならないところ,破産者は,破産財団につき管理処分権を有しない以上,支払の原資を有さず,現実に支払という行為をすることができないのであり,また,破産者の意思に反して破産債権に対する配当又は財団債権に対する弁済がされることもあるにもかかわらず,このような自己の意思に反する支払についてまで破産者に源泉徴収義務を課すのは不合理であるから,破産者は支払をする者に当たらないといった趣旨の主張をする。 - 28 -イ原告の上記主張は,その趣旨からして,源泉所得税の徴収及び納付に係る事務は,破産財団の管理等に関する は不合理であるから,破産者は支払をする者に当たらないといった趣旨の主張をする。 - 28 -イ原告の上記主張は,その趣旨からして,源泉所得税の徴収及び納付に係る事務は,破産財団の管理等に関する事項ではなく,そこに破産管財人の管理処分権は及ばない旨の主張をその前提とするものということができる。 しかしながら,破産管財人は,破産財団の管理及び処分をする権利を専有し(破産法7条,破産手続によって破産債権を確定してこれに対する配当をし,財団債)権について破産手続によらず随時に弁済をする(破産法49条)ものとされているのであって,配当又は弁済をする際に,源泉所得税が生じるか否かを判断し,源泉所得税が生じる場合にその税額を算出することができる上,破産債権に対する配当又は財団債権に対する弁済に係る源泉所得税は,当該配当又は弁済の時に法律上当然に成立し,その成立と同時に納付すべき税額が確定するものであるから,その徴収及び納付は,破産財団の管理及び処分に係る事務として,破産管財人の権限に包含されると解するのが相当である。 この点について,原告は,破産管財人が退職手当等について源泉徴収義務を負うとすると,破産管財人は,同一年中に別に退職手当等の支払を受けたか否かなど各従業員の個別の事情を把握した上で税額を計算しなければならないし,破産管財人が給与等について源泉徴収義務を負うとすると,年末調整の事務をも破産管財人が負うことになるが,このように繁雑な事務を大量に行うことは,破産管財人にとって過大な負担になり,管財事務が停滞することになるから,破産法がこのような事態を予定しているとは解されないなどと主張する。 確かに,退職手当等について源泉徴収を行う場合,退職手当等の支払を受ける者から退職所得の受給に関する申告書の提出を受けた上,所得税法201条の規定に基 態を予定しているとは解されないなどと主張する。 確かに,退職手当等について源泉徴収を行う場合,退職手当等の支払を受ける者から退職所得の受給に関する申告書の提出を受けた上,所得税法201条の規定に基づき徴収すべき所得税の額を計算しなければならず,退職手当等の支払を受ける者が多数の場合,当該退職手当等に係る源泉徴収及び納付手続に要する事務量も相当なものとなるということができる。また,給与等について源泉徴収を行う場合において,所得税法190条所定の要件に該当するときは,同条ないし同法192条の規定等に従って年末調整をしなければならず,給与等の支払が破産手続における- 29 -破産債権に対する配当として行われる場合においても,当該配当としての給与等の支払が同法190条所定の要件に該当するときは,年末調整をしなければならないことになると解される。 しかしながら,各種所得又は報酬,料金等に係る源泉徴収,納付手続において源泉徴収義務者すなわちこれらの所得又は報酬,料金の支払をする者がすべきものとされている徴収すべき所得税の額の計算や年末調整の手続を破産管財人において行うことが破産手続ないし破産管財人の地位,権限等に照らして不可能又は著しく困。 ,,,難であるということはできないこのことに加えて前記のとおり破産管財人は,,破産財団の管理及び処分をする権利を専有するものとされており破産財団の規模内容,破産債権者の数等によっては破産管財人の業務内容が複雑,膨大なものとなることも少なくないのであって,このことをもしんしゃくすれば,破産法が源泉徴収,納付手続における徴収すべき所得税の額の計算や年末調整の手続に係る事務の煩雑さ等を理由に源泉徴収,納付事務を破産管財人の権限から除外しているものと解することはできないというべきである。 以上のとおり,破産 続における徴収すべき所得税の額の計算や年末調整の手続に係る事務の煩雑さ等を理由に源泉徴収,納付事務を破産管財人の権限から除外しているものと解することはできないというべきである。 以上のとおり,破産債権に対する配当又は財団債権に対する弁済に係る源泉所得税の徴収及び納付は破産管財人の権限に含まれると解されるから,当該徴収及び納付に係る事務に破産管財人の管理処分権が及ばないことを前提とする原告の前記主張は,その前提を欠くものというべきであって,採用することができない。 ウなお,以上説示したところにもかかわらず,源泉徴収に係る租税債権が破産債権又は財団債権に該当しないとすれば,源泉所得税の徴収及び納付に係る事務は破産管財人の権限に属しないと解する余地があるので,以下,この点について検討する。 破産法47条2号ただし書が,国税徴収法又は国税徴収の例により徴収することのできる請求権で破産宣告後の原因に基づくもののうち財団債権となるものを破産財団に関して生じたものに限る旨規定しているのは,上記請求権のうち,破産財団の管理の上で当然支出を要する経費に属するものであって,破産債権者において共- 30 -益的な支出として共同負担するのが相当であるものに限って,これを財団債権とする趣旨であると解され,上記破産財団に関して生じた請求権とは,破産財団を構成する財産の所有,換価の事実に基づいて課され,又は当該財産から生じる収益そのものに対して課される租税その他破産財団の管理上当然その経費と認められる公租公課のようなものを指すものと解するのが相当である(最高裁昭和39年(行ツ)第6号同43年10月8日第3小法廷判決・民集22巻10号2093頁参照。 )しかるところ,破産債権に対する配当又は財団債権に対する弁済に係る源泉所得税の納税義務は,当該配当又は弁済の時に法 行ツ)第6号同43年10月8日第3小法廷判決・民集22巻10号2093頁参照。 )しかるところ,破産債権に対する配当又は財団債権に対する弁済に係る源泉所得税の納税義務は,当該配当又は弁済の時に法律上当然に成立し,その成立と同時に納,,付すべき税額が確定するものであるが所得税法の定める源泉徴収制度においては源泉徴収の対象となるべき各種所得又は報酬,料金等の支払の際に当該所得又は報酬,料金等について源泉所得税を徴収して納付し,当該所得又は報酬,料金等の支払を受ける者は,当該源泉所得税相当額を控除した残額についてその支払を受けるとともに,申告により納付すべき税額の計算に当たり,居住者に対して課される所得税の額(以下「算出所得税額」という)から源泉徴収の規定に基づき徴収すべ。 きものとされている所得税の額を控除することが予定されている。このような源泉徴収制度の仕組みにかんがみると,破産債権に対する配当又は財団債権に対する弁済に係る源泉所得税相当額は,破産債権者の共同的満足の引当てとなるべきものではないということができるのであって,当該源泉所得税相当額は,破産債権者において共益的な支出として共同負担するのが相当な破産財団管理上の経費として,破産財団に関して生じたものに当たると解すべきである。したがって,破産債権に対する配当又は財団債権に対する弁済に係る源泉所得税の納税義務は破産法47条ただし書の規定により財団債権に該当するというべきである。また,不納付加算税の債権は,本税たる租税債権に附帯して生じるものであるから,それが財団債権に当たるかどうかは,本税である租税債権が財団債権性を有するかどうかにかかるものというべきであるところ,上記のとおり,本税である源泉所得税に係る租税債権が財団債権に該当する以上,その附帯税である不納付加算税に係る租税 ,本税である租税債権が財団債権性を有するかどうかにかかるものというべきであるところ,上記のとおり,本税である源泉所得税に係る租税債権が財団債権に該当する以上,その附帯税である不納付加算税に係る租税債権も財団債- 31 -権に該当するというべきである。 ( )個別的執行手続等との比較について 原告は,個別的執行手続や滞納処分においては,配当が債務者の任意の支払ではなく,配当義務が執行債権の実体法上の性質が捨象されたいわば無色透明の手続上の債務であることを理由に,執行機関ないし徴収職員はいずれも源泉徴収義務を負わず,また,債務者も,源泉徴収すべき原資を有しないことを理由に,源泉徴収義務を負わないとした上で,それと類似の手続である破産手続においても,破産者及び破産管財人は,いずれも源泉徴収義務を負うことはないと主張する。 確かに,個別的執行手続等において配当がされる場合,当該配当の効果は債務者に帰属する上,債務者は,執行等の対象とされた財産以外の財産についての管理及び処分の権限を失わないものの,債務者は,法律上,当該強制執行等に係る具体的財産及びそれが換価された金員について管理処分権を喪失するのであって,債務者が配当に充てるべき金員から当該配当に係る源泉所得税に相当する金額を徴収して納付することができず,執行機関等が債務者に代わってこれを徴収ないし徴収,納付する権限を有する旨の実定法上の明文の規定も見当たらないことからすれば,個別的執行手続等において配当がされる場合,債務者は,源泉所得税の徴収,納付義務を負わないと解すべき余地がある。 しかしながら,上記( )及び( )に説示したとおり,破産債権としての所得又は報 酬,料金等に対する配当の効果の帰属する破産者自身は,破産財団の管理処分権を有さず,したがって源泉所得税を徴収し,これを がら,上記( )及び( )に説示したとおり,破産債権としての所得又は報 酬,料金等に対する配当の効果の帰属する破産者自身は,破産財団の管理処分権を有さず,したがって源泉所得税を徴収し,これを納付することはできないものの,破産財団の管理及び処分をする権利を専有する破産管財人において当該配当に係る源泉所得税の額を算出し,これを支払の際に天引きして徴収し,納付することができるのであるから,個別執行手続等と同様に解することはできず,当該配当について源泉所得税の徴収,納付義務を認めるのが,所得税法の定める源泉徴収制度の趣旨に沿うものというべきである。 原告は,配当が債務者の任意の支払ではなく,また,配当義務が執行債権の実体- 32 -法上の性質が捨象されたいわば無色透明の手続上の債務であることなどを個別的執行手続等における配当について源泉所得税の徴収,納付義務が認められないことの理由として主張するが,そもそもそのように解すべき実定法上の根拠等は見いだし難い上,前記( )アにおいて述べた源泉徴収制度の趣旨に照らしても,これらの点 が破産手続における配当について源泉所得税の徴収,納付義務が認められないことの合理的根拠となり得るものということはできない。 また,原告は,そもそも,源泉徴収の対象となる給与所得に対する課税は,源泉徴収と年末調整で完結するものと考えられているところ,同一年中に給与等の支払がされることが必ずしも予定されていない配当手続については,年末調整を行うことは予定されておらず,したがって,源泉徴収を行うことも予定されていない,などと主張する。 しかしながら,破産法が源泉徴収,納付手続における徴収すべき所得税の額の計算や年末調整の手続に係る事務の煩雑さ等を理由に源泉徴収,納付事務を破産管財人の権限から除外しているものと解すること 張する。 しかしながら,破産法が源泉徴収,納付手続における徴収すべき所得税の額の計算や年末調整の手続に係る事務の煩雑さ等を理由に源泉徴収,納付事務を破産管財人の権限から除外しているものと解することができないことは,前記( )イにおい て説示したとおりである。のみならず,所得税法は,租税法規としての性格上,その適用を除外する旨の明文の規定がない限り,源泉徴収制度を適用することがその趣旨に照らして著しく不合理であることが明らかであるような場合は別として,その適用要件に該当する限り当該制度が適用されることを当然の前提として規定しているものと解される。しかるところ,所得税法においては,源泉徴収の対象となるべき所得等の受給者に係る申告所得税の納税義務については,当該年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額につきいわゆる権利確定主義が採られている(同法36条)のに対し,源泉徴収所得税の納税義務は,当該所得等の支払の時に当該所得の受給者に係る申告所得税の納税義務とは別個のものとして成立,確定し,これと併存するものとされ,居住者に対して課される所得税の額(算出所得税額)は,1暦年間におけるすべての所得の金額を総合して課税総所得金額等を計算した上,これに所定の税率等を適用して算出するも- 33 -のとされ,同法120条1項の規定により確定申告をする居住者は,総所得金額若しくは退職所得金額又は純損失の金額の計算の基礎となった各種所得につき同項5号の「源泉徴収をされた又はされるべき所得税の額(以下「源泉徴収税額」とい」う)がある場合には,これを算出所得税額から控除して納付すべき所得税の額を。 計算し,その結果納付すべき税額があるときは,これを納付しなければならないものとされ(同号,同法128条,また,上記の計算上 )がある場合には,これを算出所得税額から控除して納付すべき所得税の額を。 計算し,その結果納付すべき税額があるときは,これを納付しなければならないものとされ(同号,同法128条,また,上記の計算上控除しきれなかった金額が)あるときはその金額に相当する所得税の還付を受けることができるものとして同,(法120条1項6号,138条,申告により納付すべき税額の計算に当たり,算)出所得税額から源泉徴収の規定に基づき徴収すべきものとされている所得税の額を控除することとし,これにより,源泉徴収制度との調整を図るものとされているのであって,上記税額の計算に当たり,源泉所得税の徴収,納付における過不足の清算を行うことは予定されておらず,同法120条1項5号にいう「源泉徴収をされた又はされるべき所得税の額」とは,同法の源泉徴収の規定に基づき正当に徴収をされた又はされるべき所得税の額を意味するものとされている最高裁平成2年行((ツ)第155号同4年2月18日第三小法廷判決・民集46巻2号77頁参照。 )このような源泉徴収制度の仕組みにかんがみても,源泉徴収の対象となるべき所得等の支払がたまたま破産手続における配当によって行われた場合に,その受給者において当該配当に係る源泉徴収税額を申告により納付することは,所得税法がおよそ予定していないところというべきであり,他方で,前記のとおり,破産手続における配当について源泉徴収制度を適用することは同法の定める源泉徴収制度の趣旨に沿うものというべきであるから,これらの点からしても,同法は,破産手続における配当について源泉徴収制度が適用されることを当然の前提として規定しているものと解されるのである。 ( )小括 ア以上によれば,破産者は,破産債権に対する配当及び財団債権に対する弁済について,所得税法の て源泉徴収制度が適用されることを当然の前提として規定しているものと解されるのである。 ( )小括 ア以上によれば,破産者は,破産債権に対する配当及び財団債権に対する弁済について,所得税法の規定に従い,当該弁済及び配当に係る所得税を徴収し納付す- 34 -る義務を負い,その徴収及び納付は破産管財人の権限に属するというべきである。 イ破産管財人の報酬は,破産法47条3号所定の財団債権に該当するものとして,破産財団から弁済を受けるものとされているから,Bは,本件管財人報酬について,所得税法204条1項2号に掲げる報酬(弁護士の業務に関する報酬)の支払をする者に当たり,源泉所得税の徴収,納付義務を負う(なお,破産管財人が国家機関として役務を提供するという側面を有することは否定し難いものの,破産法が,破産管財人の報酬を財団債権とし,破産財団の中より弁済するという制度を採用している以上,破産管財人の報酬の支払の効果は破産者に帰属するというほかない。本件退職金は破産債権に該当するから,Bは本件退職金について所得税法1。)99条にいう退職手当等の支払をする者に当たり,源泉所得税の徴収,納付義務を負う。 したがって,原告は,破産管財人としての権限に基づき,本件管財人報酬及び本件退職金に係る所得税につき,源泉所得税を徴収し,これを納付する義務を負う。 税額について( )本税について ア本件管財人報酬のうち平成12年7月3日支払分3000万円に係る源泉所得税の税額は,100万円に100分の10を乗じた10万円と,3000万円のうち100万円を超える部分である2900万円に100分の20を乗じた580万円との合計額590万円である。 イ本件元従業員ら各人につき,本件退職金に係る源泉所得税の税額は別紙2記載のとおりであり,その合計額は を超える部分である2900万円に100分の20を乗じた580万円との合計額590万円である。 イ本件元従業員ら各人につき,本件退職金に係る源泉所得税の税額は別紙2記載のとおりであり,その合計額は2013万8000円である。 なお,前記第2の2( )イ記載のとおり,平成12年8月分の所得税の納税告知 処分における納付すべき税額は2013万8000円とされているが,Cに対する解雇予告手当を支払った日は平成11年10月18日であるから,これに係る源泉所得税500円は平成12年8月分の源泉所得税額に含まれず,上記納税告知処分における納付すべき税額は2013万7500円であるべきものと解される。しか- 35 -しながら,源泉徴収義務は,所得の支払の時に成立し,その成立と同時に特別の手続を要しないで納付すべき税額が確定するものとされている(国税通則法15条3項2号)のであるから,上記納税告知処分の瑕疵にかかわらず,本件退職金に係る源泉所得税の税額の合計額が2013万8000円であることに変わりはないというべきである。 ウ本件管財人報酬のうち平成13年3月28日支払分5000万円に係る源泉所得税の税額は,100万円に100分の10を乗じた10万円と,5000万円のうち100万円を超える部分である4900万円に100分の20を乗じた980万円との合計額990万円である。 エアからウまでの合計額は3593万8000円である(なお,原告は,本件司法書士報酬1万1210円に係る源泉所得税の税額121円については,本税に係る源泉所得税納税義務不存在確認請求の対象に含めていない。 。)( )不納付加算税について ア平成12年7月分の不納付加算税の税額は,上記( )ア合計590万円に1 00分の10を乗じた59万円である。 イ平成12年8月分 象に含めていない。 。)( )不納付加算税について ア平成12年7月分の不納付加算税の税額は,上記( )ア合計590万円に1 00分の10を乗じた59万円である。 イ平成12年8月分の不納付加算税の税額は,上記( )ウの本税のうちCに係 る500円を控除した2013万7500円の1万円未満の端数を切り捨てた2013万円に100分の10を乗じた201万3000円である。 ウ平成13年3月分の不納付加算税の税額は,上記( )エの990万円に10 0分の10を乗じた99万円である。 エ前記第2の2( )記載のとおり,住吉税務署長は,平成15年10月23日 付けで,Bに対し,上記アからウまでの各不納付加算税につき,それぞれ不納付加算税賦課決定処分をした。 上記各処分については,国税通則法67条1項にいう正当な理由があると認められる場合に該当しないことがその適法要件であり,この点につきなお検討の余地があるものと解される。甲第5から第7号証まで,乙第1及び第2号証並びに弁論の- 36 -全趣旨によれば,確かに,破産手続における破産債権の配当及び財団債権の弁済につき源泉所得税の徴収,納付をする義務があるか否かについて,これをないとするのが最近の破産実務の取扱いであること,この点の解釈について,学説上,見解は分かれており,いずれの見解についても相応の論拠が示されていたことなどが認められるものの,他方で,かつては破産実務として源泉徴収をするのが適当である旨の見解を採用していた例があったこと,課税庁において,上記の義務はないという見解を公表したことを認めるに足りる証拠はなく,かえって,課税庁は必ずしも最近の破産実務を是認していたわけではない様子がうかがわれる。これらの事実関係の下においては,原告が上記( )の本税を納付しなかったこと したことを認めるに足りる証拠はなく,かえって,課税庁は必ずしも最近の破産実務を是認していたわけではない様子がうかがわれる。これらの事実関係の下においては,原告が上記( )の本税を納付しなかったことについて,真に原告 の責めに帰すことのできない客観的な事情があり,不納付加算税の趣旨に照らしてもなお原告に不納付加算税を賦課することが不当又は酷になることが明らかであるとまでは直ちに断じ難いというべきであるから,上記各処分が取り消されていない(当裁判所に顕著な事実)現時点においては,原告は,上記不納付加算税賦課決定処分に係る納税義務(合計額359万3000円)を負っているといわざるを得ない。 ( )以上より,Bは,被告に対し,源泉所得税3593万8000円及び不納 付加算税359万3000円の納税義務を負い,原告は,破産管財人としての権限に基づき,これを納付する義務を負っているというべきである。 結論 よって,原告の請求はいずれも理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第2民事部裁判長裁判官西川知一郎- 37 -裁判官岡田幸人裁判官森田亮
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