判決平成14年5月21日神戸地方裁判所平成13年(レ)第132号貸金等請求控訴事件(原審神戸簡易裁判所平成13年(ハ)第1338号) 主文 1 原判決を次のとおり変更する。 被控訴人は,控訴人に対し,37万7726円及びこれに対する平成14年1月11日から支払済みまで年30パーセントの割合による金員を支払え。 2 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 3 この判決は,金員の支払を命ずる部分に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判控訴の趣旨主文同旨(なお,控訴人は,当審において,被控訴人が後記争いのない事実(6)のとおり弁済したと主張して,これに合わせて請求の趣旨を減縮した。)。 第2 当事者の主張当事者双方の主張は,次のとおり改めるほか,原判決事実摘示(第2)のとおりであるから,これを引用する。 1 原判決の補正(1) 原判決1頁22行目の「(」の次に「平成11年法律第155号による改正前のもの。」を加え,同行目の「貸金業法」を「「貸金業法」」に改め,同23行目の「という」の次に「。」を加え,同24行目の「原告計算書」を「「控訴人計算書」」に改め,同行目の「という」の次に「。ただし,平成12年12月15日と平成13年2月28日の「計算根拠」欄に記載された損害金の年率を表す「0.398」は,いずれも「0.365」の誤記と認める。」を加える。 (2) 同26行目の「利息制限法」の次に「(平成11年法律第155号による改正前のもの。以下同じ。)」を加える。 (3) 同2頁1行目の「含む」の次に「。」を加える。 (4) 同2行目の「3条」の次に「1項」を加え,同行目の「ある」 1年法律第155号による改正前のもの。以下同じ。)」を加える。 (3) 同2頁1行目の「含む」の次に「。」を加える。 (4) 同2行目の「3条」の次に「1項」を加え,同行目の「ある」の次に「(甲1,2)」を加える。 (5) 同3行目の次に行を改めて「控訴人は,平成10年9月24日,A(1審被告)に対し,業として380万円を次の約定で貸し渡し,同日,被控訴人との間で,上記貸金債務につき,連帯保証契約を締結した。」を加える。 (6) 同11行目の「同法施行規則」の次に「(平成10年総理府・大蔵省令第57号による改正前のもの。以下同じ。)」を加え,同13行目の「交付した」の次に「(甲3,4)」を加え,同行目の「。」の次に「同説明書の第2項には,利息の計算式が記載されているほか,「尚約定支払日が土曜,日曜,祝日,振替休日,12月31日から1月3日,その他債権者の休業日に当たる日は翌営業日を支払日とします。」と記載されている。また,同説明書の第6項には,「期限後は損害金を残元本に対し年率36.50%の割合で債務完済日の前日まで支払います。但し,債権者は毎月20日までに支払われた損害金については一部を免除し,29. 80%としますが,この取扱いは期限を猶予するものではありません。」と記載されている(甲4)。」を加える。 (7) 同14行目の「被告は,」の次に「控訴人に対し,」を加え,同行目の「利息,」から同15行目の「弁済をした。」までを「金員を入金した(甲6ないし32,甲33,34の各2,各3,甲35ないし39の各2,甲40の2,3,甲41ないし49の各2)。」に改める。 (8) 同16行目の「弁済」を「入金(ただし,平成11年4月26日の14万9103円の入金を除く。)」に改め,同行目の「弁済者」の次に 40の2,3,甲41ないし49の各2)。」に改める。 (8) 同16行目の「弁済」を「入金(ただし,平成11年4月26日の14万9103円の入金を除く。)」に改め,同行目の「弁済者」の次に「(A又は被控訴人)」を加え,同行目から同17行目にかけての「貸金業法18条に定める」を削り,同行目の「受取証書」を「領収書兼利用明細書」に改め,同行目の「交付した」の次に「(甲6ないし32,甲33,34の各2,各3,甲35ないし39の各2,甲40の2,3,甲41ないし49の各2)」を加える。 (9) 同行目の次に行を改めて「(6) 被控訴人は,当審において,控訴人に対し,本判決別紙利息制限法に基づく計算表記載のとおり弁済した(弁論の全趣旨)。」を加える。 (10) 同19行目の次に行を改めて,同3頁2行目から同10行目までの記載を次のとおり改めたうえ挿入する。 ア同3行目の「ア 」の次に「控訴人の送付した受取証書にはすべて」を加え,同行目から同4行目にかけての「貸金業法施行規則」の次に「15条2項」を加える。 イ同5行目の「利率を」を「年率を基準日の前後で」に改める。 (11) 同2頁21行目の「原告は,」の次に「A及び被控訴人から」を加え,同22行目の「書面には」を「すなわち,控訴人が交付した領収書兼利用明細書には」に改め,同23行目の「よって,」の次に「上記領収書兼利用明細書は,」を加え,同24行目の「有しない」の次に「から,同法43条の適用はない」を加える。 (12) 同3頁11行目の「期限の利益喪失」の次に「の有無」を加える。 (13) 同行目の次に行を改めて,同18行目から同27行目までの記載を次のとおり改めたうえ挿入する。 ア同19行目の「平成10年10月2 の利益喪失」の次に「の有無」を加える。 (13) 同行目の次に行を改めて,同18行目から同27行目までの記載を次のとおり改めたうえ挿入する。 ア同19行目の「平成10年10月20日の」を「平成10年10月20日に支払うべき元金の」に改め,同20行目の「約定」を「同日の経過をもって,約定(金銭消費貸借契約証書(甲3)及び貸付契約説明書(甲4)の各第5項)」に改め,同21行目の「原告は」から同22行目の「ものではない。」までを削る。 イ同27行目の次に行を改めて「被控訴人は,控訴人が期限の利益喪失の主張もせず,その後の弁済を異議なく受領していたと主張するが,控訴人は,その後の支払についてはすべて利息ではなく遅延損害金として支払を受け,受取証書にもその旨を記載しているし,期限の利益喪失後の損害金の受領も,A及び被控訴人が全額の一括返済ができないので,事実上の一部入金として受領しただけである。」を加える。 (14) 同16行目の「期限」の次に「の利益」を加える。 2 控訴人の当審における主張(1) 貸金業法43条の解釈について最高裁平成2年1月22日判決は,「法の趣旨」から説き起こし,「利息として任意に支払った」の意義につき厳格すぎる有力説を排斥したが,上記判決が「法の趣旨」に言及しているのは,契約書面及び受取証書の記載事項が貸金業法17条及び同法18条の所定事項,更に,大蔵省令の所定事項,銀行局長通達の所定事項のすべてを網羅していること,また,その記載事項が寸分違わず一致していることを要するというような杓子定規な解釈適用ではなく,事案に即した幅のある弾力的な解釈適用を肯認する趣旨である。最高裁平成11年3月11日判決も,同様の考え方である。 敷衍すれば,杓 ことを要するというような杓子定規な解釈適用ではなく,事案に即した幅のある弾力的な解釈適用を肯認する趣旨である。最高裁平成11年3月11日判決も,同様の考え方である。 敷衍すれば,杓子定規な文理解釈に偏すれば,かえって法の実効性が損なわれるおそれがあり,むしろ個々の法規が保護しようとしている資金需要者の利益を具体化し,そのうえで資金需要者の現実的な利益保護という法の目的が達せられる限りにおいて,貸金業者に対し一方的に酷とならないような解釈適用がされるべきである。 (2) 受取証書への損害金の年率の記載についてそもそも,同法18条1項4号は,「受領金額及びその利息,賠償額の予定に基づく賠償金又は元本への充当額」の記載を受取証書の要件として定めているが,賠償額の年率の記載をも要求するものではない。 控訴人の交付している受取証書には,「受領金額,利息,損害金及び元金への充当額」が記載されており,同条の要件に欠けるところはない。 損害金の計算は,金銭消費貸借契約証書(甲3)及び貸付契約説明書(甲4)の各第6項の定めにより容易に算出することができる。 (3) 「利息又は損害金として」の意義についてア最高裁平成2年1月22日判決は,「利息又は損害金として」の意義につき,債務者が利息の契約に基づく利息又は賠償額の予定に基づく賠償金の支払に充当されることを「認識」していれば足りる旨を判示した。 したがって,同法43条の「利息又は損害金として」支払ったといえるためには,「債務者が入金に際し,そのうちいくらが元金,損害金に充当されるかを,事前に認識して」支払うことまでは必要ではなく,「利息の契約に基づく利息又は賠償額の予定に基づく賠償金の支払に充当さ るためには,「債務者が入金に際し,そのうちいくらが元金,損害金に充当されるかを,事前に認識して」支払うことまでは必要ではなく,「利息の契約に基づく利息又は賠償額の予定に基づく賠償金の支払に充当されることを認識して」支払をすれば足りるのである。 イ本件においては,次のとおり,各支払のいずれの場合においても,被控訴人及びAが上記のとおり認識して支払をしたことは明らかである。 (ア) 貸付契約説明書(甲4)には,元利分割金の支払方法のほか,利息及び損害金の利率が明記されていて,利息及び損害金の支払方法等について誰にでも分かりやすい説明がされている。 さらに,契約書作成に際しては,毎月の支払日,支払期間,利息及び損害金の利率について,Aに契約書上に手書きさせて,より強く契約内容の認識を深めさせる工夫がされている。 (イ) 償還表(甲5)では,返済回数と時期を追っていつころにはいくらの利息を返済することになるのか,具体的な数字として目に見えるように表現して,返済計画に役立つような工夫がされている。 (ウ) 債務者から銀行振込みがあった場合,控訴人は,その弁済があった都度直ちに,内容が分かりやすい領収書兼利用明細書を送付または直接手渡ししている。 これを見れば,自分の支払の充当内容と残債務の内容は一目瞭然であり,被控訴人及びAはこれに対して一度も異議を述べずに,更に数回支払を継続した。 (4) 受取証書の郵送について弁済から二,三日後に受取証書が債務者に郵送される点については,債務者が銀行振込みという支払方法を選択する以上,入金確認や受取証書発送のための事務等によりある程度の日数を要することは,債権者・債務者双方にとっ ,三日後に受取証書が債務者に郵送される点については,債務者が銀行振込みという支払方法を選択する以上,入金確認や受取証書発送のための事務等によりある程度の日数を要することは,債権者・債務者双方にとって通常の予測の範囲内の事柄というべきである本件においては,契約締結時に,被控訴人及びAが,各回の返済期日や支払額及びその充当関係を記載した貸付契約説明書(甲4)及び償還表(甲5)の交付を受けていることからすれば,弁済から受取証書の交付までに数日程度の間隔があったとしても,被控訴人及びAが,弁済額のうち利息・損害金にいくら充当されたかを確認するのに支障が生じるとはいえない。 第3 証拠証拠の関係は,本件訴訟記録中の原審及び当審における書証目録及び証人等目録記載のとおりであるから,これらを引用する。 第4 当裁判所の判断 1 当審における審判の対象は,控訴人の本訴請求のうち原審において一部敗訴した部分(27万3978円及びこれに対する平成14年1月11日から支払済みまで年30パーセントの割合による金員の支払請求)であるから,当該部分の請求の当否について判断する。 2 貸金業法18条1項所定の「受取証書」該当性について(1) 当審で引用した原判決第2の1の争いのない事実(5)によれば,控訴人は,A及び被控訴人による入金(ただし,平成11年4月26日の14万9103円の入金を除く。)の都度,直ちに,弁済者(A又は被控訴人)に対し,領収書兼利用明細書を交付しているところ,証拠(甲6ないし32)によれば,これらの書面には,契約番号,受領合計金額,「正に受領しました」との文言,利息の年率,期間及び充当額,損害金の期間及び充当額,元金充当額,受領年月日,被控訴人が債務の弁済をした場合においては,その氏名並びに弁済後の残存債務の合 受領合計金額,「正に受領しました」との文言,利息の年率,期間及び充当額,損害金の期間及び充当額,元金充当額,受領年月日,被控訴人が債務の弁済をした場合においては,その氏名並びに弁済後の残存債務の合計額等が記載されていることが認められる。そうすると,上記各書面が貸金業法18条1項,同法施行規則15条にいう受取証書に当たることは明らかである(なお,平成13年2月28日の入金については,被控訴人が控訴人の担当者から電話で支払を求められたので,知人に連絡し,その知人が代わりに入金したものである(甲73)から,控訴人が受取証書を交付すべき「当該弁済をした者」(同法18条1項本文)は被控訴人である。)。 また,平成11年4月26日の14万9103円の入金については,控訴人が弁済者であるAに受取証書を交付したことを直接証明する証拠はないものの,前記認定のとおり,他の入金についてはすべて受取証書が交付されていること,控訴人は,その業務の過程において,入金を受けたことを確認した場合,領収書兼利用明細書を発行し,入金日の翌営業日の午前中までにこれを発送していること(甲33,34の各2,各3,甲35ないし39の各2,甲40の2,3,甲41ないし49の各2,甲72)からすると,控訴人は,同日の入金後,直ちに,Aに受取証書を交付したものと推認するのが相当である。 (2) もっとも,領収書兼利用明細書には,損害金の年率は記載されていない(甲6ないし32)が,その記載は法令上要求されていないから,その記載がないからといって,これらの書面が同法18条1項,同法施行規則15条にいう受取証書に当たらないということはできない。すなわち,貸金業者に受取証書の交付を義務づける同法条の趣旨は,資金需要者等の利益の保護などを図るという目的に出たものであるところ,上記各 規則15条にいう受取証書に当たらないということはできない。すなわち,貸金業者に受取証書の交付を義務づける同法条の趣旨は,資金需要者等の利益の保護などを図るという目的に出たものであるところ,上記各書面には,利息,損害金又は元金への充当額が記載されているのであって,損害金の年率が記載されていなくても,A又は被控訴人が上記消費貸借契約又は上記連帯保証契約に基づく支払の充当関係が不明確であることなどによって不利益を被るおそれはないから,上記各書面は,同法条にいう受取証書として,その記載事項に欠けるところはなく,同法条の趣旨に合致するものということができる。 ただ,損害金の年率の記載がなければ,これらの書面のみをもってしては,控訴人の充当計算が果たして正確であるか否かを確認することはできないが,当審で引用した原判決第2の1の争いのない事実(3)によれば,貸付契約説明書(甲4)の第2項には,利息の計算式が記載されているほか,「尚約定支払日が土曜,日曜,祝日,振替休日,12月31日から1月3日,その他債権者の休業日に当たる日は翌営業日を支払日とします。」と記載され,また,その第6項には,「期限後は損害金を残元本に対し年率36.50%の割合で債務完済日の前日まで支払います。但し,債権者は毎月20日までに支払われた損害金については一部を免除し,29.80%としますが,この取扱いは期限を猶予するものではありません。」と記載されているのであって,損害金の年率が2通りある点や支払日が必ずしも毎月20日とは限らない点で複雑ではあるものの,それぞれの年率とそれぞれに対応する日数をもとに,控訴人の充当計算が正確であるか否かを確認することは可能であるから,上記各書面に損害金の年率の記載がないことは,なんら異とするに足りないものというべきである。 (3) れに対応する日数をもとに,控訴人の充当計算が正確であるか否かを確認することは可能であるから,上記各書面に損害金の年率の記載がないことは,なんら異とするに足りないものというべきである。 (3) 被控訴人は,控訴人が交付した領収書兼利用明細書には契約年月日の記載がないから,これは同法18条1項にいう受取証書に当たらない旨主張する。 しかしながら,同法施行規則15条2項は,「当該弁済を受けた債権に係る貸付けの契約を契約番号その他により明示することをもって,」契約年月日の記載に代えることができる旨規定しているところ,上記領収書兼利用明細書に記載されている契約番号は,金銭消費貸借契約証書(甲3)に記載されている契約番号と一致していることが認められる(甲3,6ないし32)から,上記領収書兼利用明細書には上記消費貸借契約が契約番号により明示されているというべきである。 したがって,被控訴人の上記主張は理由がない。 (4) 以上によれば,控訴人は,A及び被控訴人による入金の都度,直ちに,弁済者(A又は被控訴人)に対し,同法18条1項,同法施行規則15条にいう受取証書を交付したものと認められるから,この点に関する控訴人の主張は理由がある。 3 任意性の点について(1) 貸金業法43条3項にいう「債務者が賠償として任意に支払つた」とは,債務者が賠償額の予定に基づく賠償金の支払に充当されることを認識した上,自己の自由な意思によってこれを支払ったことをいい,債務者において,賠償金又は元本への充当額や充当後の賠償金の残額をあらかじめ認識していることを要しないと解するのが相当である(最高裁昭和62年(オ)第1531号平成2年1月22日第二小法廷判決・民集44巻1号332頁参照)。 (2) そして,当審で引用した原判決第2の1の争いの ることを要しないと解するのが相当である(最高裁昭和62年(オ)第1531号平成2年1月22日第二小法廷判決・民集44巻1号332頁参照)。 (2) そして,当審で引用した原判決第2の1の争いのない事実(2)ないし(5)及び証拠(甲3ないし5,7ないし15,71)によれば,金銭消費貸借契約証書(甲3)及び貸付契約説明書(甲4)には,期限の利益喪失や賠償額の予定に関する定めが記載されていること,償還表(甲5)には,毎月支払うべき利息及び元金の額が記載されていること,控訴人の担当者であるBは,上記消費貸借契約締結の際,Aに対し,上記各書面の内容を説明した上,上記各書面を交付したこと,平成10年10月20日の入金による元金充当額(4万0030円)が約定の元金支払額(6万3000円)に満たなかったため,Aが控訴人の担当者に電話をかけたところ,担当者は,翌日一定の額を支払えば元金充当額が6万3000円になることを伝えたが,翌日入金がなかったため,A及び被控訴人は期限の利益を喪失し,結局,同月26日,Aから上記担当者が伝えた金額(2万4930円)が入金されたこと,Aは,その後,控訴人に支払うべき金額が償還表(甲5)と一致しなくなったため,控訴人の担当者に電話で損害金の額を確認した上で入金していたこと(元金充当額が約定の元金支払額である6万3000円になるように入金したこともあった。),Aに交付された領収書兼利用明細書には,損害金充当額及び損害金の期間が記載されているとともに,「充当項目,又は金額に異存のある場合は,善処致しますので至急ご連絡下さい。」と記載されていること,Aは,これらの書面を受領した後も,同年11月30日から平成11年10月5日までの間,控訴人に対し,一度も異議を述べることなく,継続して金員を入金していたことがそれぞれ認められ 記載されていること,Aは,これらの書面を受領した後も,同年11月30日から平成11年10月5日までの間,控訴人に対し,一度も異議を述べることなく,継続して金員を入金していたことがそれぞれ認められる。 これらの事実を総合すると,Aが控訴人に対してした平成12年2月3日以降の入金は,いずれもAが賠償額の予定に基づく賠償金の支払に充当されるものであることを認識した上,自己の自由な意思によってなされたものであることが明らかである。 (3) また,前記認定のとおり,平成13年2月28日の入金については,被控訴人が控訴人の担当者から電話で支払を求められたので,知人に連絡し,その知人が代わりに入金したものであるところ,一般に連帯保証人が債権者から支払を求められた場合には,主債務者が貸金債務につき元金又は利息の支払を遅滞していることは容易に推察することができるから,上記連帯保証契約締結の際,被控訴人がCからAと同様の説明を受けたこと(甲71)をも併せ考慮すると,上記の入金は,被控訴人において賠償額の予定に基づく賠償金の支払に充当されるものであることを認識した上,自己の自由な意思によってなされたものであることが明らかである。 さらに,前記の事情のほか,上記の入金後に被控訴人に交付された領収書兼利用明細書には,損害金充当額及び損害金の期間が記載されているとともに,「充当項目,又は金額に異存のある場合は,善処致しますので至急ご連絡下さい。」と記載されていること(甲30,31),被控訴人が平成13年4月27日の入金後に領収書兼利用明細書を受領した際,控訴人の担当者に対し,充当関係について何も尋ねなかったこと(甲73),被控訴人が控訴人姫路支店に現金を持参したこと(甲32,72,73)などの事情をも併せ考慮すると,同日の入金も,被控訴人に 際,控訴人の担当者に対し,充当関係について何も尋ねなかったこと(甲73),被控訴人が控訴人姫路支店に現金を持参したこと(甲32,72,73)などの事情をも併せ考慮すると,同日の入金も,被控訴人において賠償額の予定に基づく賠償金の支払に充当されるものであることを認識した上,自己の自由な意思によってなされたものであることが明らかである。 (4) したがって,平成12年2月3日以降のA及び被控訴人から控訴人への入金は,いずれも同法43条3項にいう「債務者が賠償として任意に支払つた」ものと認めるのが相当であるから,この点に関する控訴人の主張は理由がある。 4 結論以上によれば,A及び被控訴人から控訴人への入金については,貸金業法43条3項,同条1項が適用されるから,利息制限法4条1項に定める賠償額の予定の制限額である年3割を超える部分の支払は,有効な賠償金の債務の弁済とみなされる。 したがって,控訴人は,被控訴人に対し,上記連帯保証契約に基づき,原判決別紙控訴人計算書及び本判決別紙利息制限法に基づく計算表記載のとおり,残元本37万7726円及びこれに対する弁済期が経過した後である平成14年1月11日から支払済みまで約定のうち利息制限法所定の限度である年30パーセントの割合による遅延損害金の支払を求めることができる。 第5 結語よって,控訴人の本訴請求のうち原審において控訴人敗訴の請求部分は理由があるから,これを認容すべきであるところ,これと異なり,当該請求部分を棄却した原判決は一部不当であるから,原判決主文第1項を本判決主文第1項掲記のとおり変更することとし,訴訟費用の負担について民訴法67条2項前段,61条を,仮執行の宣言について同法259条1項をそれぞれ適用して,主文のとおり判決する。 神戸地方裁判所 主文第1項掲記のとおり変更することとし,訴訟費用の負担について民訴法67条2項前段,61条を,仮執行の宣言について同法259条1項をそれぞれ適用して,主文のとおり判決する。 神戸地方裁判所第六民事部裁判長裁判官松村雅司裁判官水野有子裁判官増田純平
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