- 1 -主文 被告は,原告に対し,1億1000万円及びうち1億円に対しては平成17年6月24日から,うち1000万円に対しては平成18年11月6日から各支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。 原告のその余の請求を棄却する。 訴訟費用は,これを2分し,その1を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 略語については,本文中で特に指摘するもののほかは,別紙略語一覧表(省略)のとおりとする。 第1請求 主位的請求被告は,原告に対し,2億2000万円及びうち2億円に対しては平成17年6月24日から,うち2000万円に対しては平成18年11月6日から各支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。 予備的請求被告は,原告に対し,2億0358万6301円及びうち2億円に対する平成18年4月29日から支払済みまで年14パーセントの割合による金員を支払え。 訴訟費用は被告の負担とする。 仮執行宣言第2事案の概要 事案の要旨- 2 -本件は,原告が,A病院を設置運営していたB組合に対して2億円を貸し付けたことについて,主位的に,被告による故意の不法行為又は信義則上の注意義務違反に該当する行為があったと主張して,被告に対し,不法行為に基づく損害賠償請求を求めるとともに,予備的に,被告は本件貸付金について債務保証又は第三者弁済の合意をしたと主張して,被告に対し,保証債務履行請求又は第三者弁済の合意に基づく貸金返還請求を求める事案である。 前提となる事実(当事者間に争いがない)(1) 当事者ア原告原告は,銀行業務等を行う都市銀行である。 イ被告被告は,地方自治法に基づく普通地方公共団体である。 (2) A病院 案である。 前提となる事実(当事者間に争いがない)(1) 当事者ア原告原告は,銀行業務等を行う都市銀行である。 イ被告被告は,地方自治法に基づく普通地方公共団体である。 (2) A病院の経営アB組合は,昭和38年10月,A病院を設立し,平成18年4月1日まで同病院を経営していた。 イB組合は,平成17年12月1日,民事再生手続開始を申し立て,平成18年4月1日,A病院を医療法人Cへ譲渡した。 (3) A病院の位置付けアA病院は,いわゆる同和地区の医療の改善を目的として開設されたA診療所を前身とし,昭和43年10月のY市同和対策審議会答申及び昭和44年10月の大阪府同和対策審議会答申並びに同和対策事業特別措置法等を受け,昭和45年,大阪府市同和地区医療センターとして位置付けられた。 イまた,A病院は,平成5年10月のY市同和地区医療施設検討委員会中間答申「A病院の今後のあり方について」において「同和地区の医療に,果たしてきた役割,周辺の医療機関の配置状況や市民病院に準じて地域医- 3 -療に果たしている公的役割を考慮し,今後とも総合病院と同様の機能を維持発展させるべき」とされ,病院の役割・機能として「公的医療機関と,しての機能の充実,予防医療,専門外来の充実等「市民病院に準ずる」,活動を行っていることから,今後の市立医療機関の整備に際し,一翼を担うものとして位置づける」などとされていた。 (4) 被告による資金援助ア補助金の支給被告は,B組合が民事再生手続を申し立てるまでの間,B組合に対し,運営費補助金,建物設備補修工事補助金及び備品整備事業費補助金の名目で,継続して補助金を交付し,その総額は,昭和43年から平成16年までで約182億円であった。 なお,被告に対する補助金の申請及び精算報告は,本来であ 設備補修工事補助金及び備品整備事業費補助金の名目で,継続して補助金を交付し,その総額は,昭和43年から平成16年までで約182億円であった。 なお,被告に対する補助金の申請及び精算報告は,本来であればB組合がすべきことであったが,実際には,被告の担当職員が実体の伴わない書類を作成することによって行われていた。 イ無担保貸付被告は,B組合に対し,昭和49年度から平成16年度までの間,継続して無担保で貸付をし,その総額は,平成17年11月1日当時,130億5680万3000円であった。被告は,B組合に対して,貸付金の弁済を求めることはなく,弁済期が到来すると,その都度,弁済期を延長していた。 なお,平成13年度から平成16年度までの間における貸付金額は下記のとおりである。 記平成13年度5億1100万円平成14年度2億5400万円平成15年度1億2000万円- 4 -平成16年度7400万円(5) 原告による貸付ア原告は,昭和54年ころから,B組合に対し,A病院における賞与資金等に充てるために貸付を行っていた(なお,昭和54年にB組合と銀行取引約定を締結したのは○○銀行××支店であった。同支店は,平成○年○月の合併により,○×銀行××支店,さらに,平成△年△月の商号変更により,△△銀行××支店となった。その後,××支店廃止のため,B組合に対する貸付は△△銀行□□支店が管理することとなり,同支店は,平成□年□月の合併により,原告〔X銀行〕□□支店となった。平成×年×月×日以降は,原告〔X銀行〕△△支店がB組合に対する貸付を管理している。 。)イ被告の健康福祉局長(ただし,平成12年までは環境保健局長)は,平成4年6月以降,原告に対し,原告がB組合に貸付をするに際して,貸付を依頼する旨の文書及び当該貸付金につい 理している。 。)イ被告の健康福祉局長(ただし,平成12年までは環境保健局長)は,平成4年6月以降,原告に対し,原告がB組合に貸付をするに際して,貸付を依頼する旨の文書及び当該貸付金については被告がB組合に対して交付する補助金によって責任をもって返済させることを約束する旨の文書を作成して交付してきた。 ウ原告のB組合に対する貸付に関する交渉は,原告の担当者と被告の職員との間で行われていた。 (6) D銀行による貸付D銀行は,B組合に対し,A病院の運転資金を貸し付けていた。 原告のB組合に対する貸付額は,D銀行のB組合に対する貸付額に比べ低額であった。 (7) 本件迂回融資ア被告は,D銀行がB組合に対するA病院の運転資金の貸付を拒絶したため,平成16年6月10日,D銀行からE協会に対して2億5000万円を融資させ,その資金をF局長名義でB組合に貸し付けた(以下「本件迂- 5 -回融資」という。 。)イF局長は,平成16年6月8日,D銀行に対し「E協会に対する貸出,について(依頼」と題する文書を交付した。この文書には「同協会が),貴行からお借りしたいと考えております下記2億5000万円につきましては,本市より支出するA病院運営補助金(平成17年度予算申請予定額6億3,000万円)を確保のうえ,責任を持って貴行に返済させてまいります。なお,貴行からの借入につきましては今年度限りとし,同協会にもその旨指導してまいります(同協会」とはE協会のことである)。」「。 と記載されていた。 (8) 本件貸付ア原告は,平成17年6月24日,B組合に対し,①利率は年5.5パーセント,②平成18年4月28日に期日一括返済をするとの約定で,2億円を貸し渡した(以下「本件貸付」という。 。)イ被告は,本件貸付に当たり「本市 6月24日,B組合に対し,①利率は年5.5パーセント,②平成18年4月28日に期日一括返済をするとの約定で,2億円を貸し渡した(以下「本件貸付」という。 。)イ被告は,本件貸付に当たり「本市としましても,助成を行う立場から,適切な指導,監督を行い,現在順調に経営改善が進んでおり,平成17年度には,所期の経営改善を達成できるものと考えております「A病院。」,の今回の借入金につきましては,平成18年4月28日までに,本市が責任をもって返済させますので,何卒ご理解いただき,引き続きご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます」とF局長名義の平成17年6。 月9日付けの確認書を交付した。 また,被告担当者は,原告に本件貸付を申し込むに当たって,原告担当者に対し,平成17年9月,同年10月及び平成18年1月ないし3月にD銀行から合計4億円を借り入れることを前提とした資金計画表を提出した。 本件の争点本件の争点は以下のとおりである。 - 6 -(1) 故意による不法行為責任の有無(2) 信義則上の義務違反による不法行為責任の有無(3) 損害額(前記1又は2が認められることを前提とする)。 (4) 債務保証又は第三者弁済の合意の有無(予備的請求) 原告の主張(1) 故意による不法行為責任の有無(争点(1))ア本件迂回融資の事実を秘匿して虚偽の事実を説明したこと被告は,原告に対し,本件迂回融資の事実を伝えれば,原告が本件貸付をしないということを認識していた。このことは,被告が,①平成15年12月5日に原告から借り入れた2億2000万円(弁済期は平成16年5月31日)について,その弁済の原資となるD銀行からの借入が遅れたことによって,弁済期までに弁済することができなかったこと,②平成16年6月8日付け及び同年11月16日 0万円(弁済期は平成16年5月31日)について,その弁済の原資となるD銀行からの借入が遅れたことによって,弁済期までに弁済することができなかったこと,②平成16年6月8日付け及び同年11月16日付けの「借入金返済確認書」と題する文書にD銀行からの融資の状況を記載していること,③あらかじめ,平成16年度のD銀行からの融資額が4億2000万円から2億5000万円に減少した理由を協議した上で,原告に対して,その理由を「A病院の改修工事を行わなかったためである」と説明したこと,④平成17年。 5月11日に開催された会議で配布された資料に「○銀行は,無担保でB組合に貸し付けているため病院市や×銀行の動きに敏感である○,,。」,「銀行は,4,5月の返済確認後,6月融資時に突然断る可能性も残る。それが引き金となった場合,資金がないなかでの法的整理となるため,即破綻することになる。したがって,絶対に情報を漏らしてはいけない」と。 記載していること,⑤平成17年2月3日以降,B組合の資金繰りを示す「平成16年度補助金等執行見込」と題する表を原告に送付しなかったことなどから明らかである。 その上で,被告は,本件迂回融資の事実を秘匿するため,原告に対し,- 7 -B組合がD銀行から直接融資を受けたかのような資料(甲10,11)を提出するとともに,その旨を口頭で説明することによって,原告をだまし,,。 て錯誤に陥れその結果原告にB組合に対する本件貸付金を交付させたしたがって,被告の上記行為は,詐欺に該当するというべきであり,故意による不法行為である。 イ実現可能性のない資金計画表を提出したこと被告は,原告に対して,B組合の平成17年度の資金繰りを示す資料として「平成17年度補助金等執行見込」と題する表(甲11)を交付している。しかし ある。 イ実現可能性のない資金計画表を提出したこと被告は,原告に対して,B組合の平成17年度の資金繰りを示す資料として「平成17年度補助金等執行見込」と題する表(甲11)を交付している。しかしながら,B組合の平成17年度の資金計画表は,被告の内部検討資料として作成された「A病院の今後のあり方」と題する文書に添付された「年間資金計画表(甲33)であって,これによれば,平成1」8年2月には資金不足になる。したがって,平成17年度中は資金不足とならないことを前提とした上記「平成17年度補助金等執行見込」と題する表(原告が受け取ったもの)は,実現可能性のないものである。 また,原告が受け取った前記「平成17年度補助金等執行見込」には,D銀行から融資を受ける予定である旨の記載がされているが,本件迂回融資以降,B組合がD銀行から融資を受けることは事実上不可能であった。 すなわち,B組合は,D銀行から本件迂回融資を受けており,迂回融資という形態を採らざるを得なかったこと自体,その信用状態が著しく悪化するなどして,以後,D銀行との間で安定した取引関係を継続することが期待できない状況にあることを意味するものである。しかも,本件迂回融資についてみると,①迂回融資よりも問題の少ない他の方法を検討したものの,結局,迂回融資による方法が選択されており,②迂回融資に用いたF局長個人名義の預金口座を開設する際,本人確認手続が不適切であり,③直接の融資先であるE協会への弁済原資を確保する際に,K協議会に虚偽の名目で補助金申請を行わせて1億5000万円を支出するという地方公- 8 -共団体としてあるまじき行為に及んでおり,④このような異常な形態の迂回融資を行った例はなく,被告もD銀行も,本件迂回融資以降,同様の方法での融資を実行することはできないと認識してい 方公- 8 -共団体としてあるまじき行為に及んでおり,④このような異常な形態の迂回融資を行った例はなく,被告もD銀行も,本件迂回融資以降,同様の方法での融資を実行することはできないと認識していたのであるから,本件迂回融資以降,B組合がD銀行から融資を受けることは事実上不可能であ。 ,,,,ったさらに被告は平成16年11月D銀行から融資を断れたためB組合に対し,特別運営貸付金として2400万円を貸し渡し,また,平成17年2月にも,D銀行からの融資を断られたため,B組合に対し,特別運営貸付金として2000万円を貸し渡したのであるから,かかる経緯からしても,本件迂回融資以降,B組合がD銀行から融資を受けることは事実上不可能であった。この点からみても,原告が受け取った「平成17年度補助金等執行見込」と題する表(原告が受け取ったもの)は,実現可能性のないものである。 被告は,原告に対して,B組合の平成17年度の資金繰りを伝えれば,原告が本件貸付をしないことを認識し,その上で,あえて,実現可能性のない「平成17年度補助金等執行見込」を交付し,原告をだまして錯誤に陥れ,その結果,原告にB組合に対する本件貸付金を交付させた。 したがって,被告の上記行為は,詐欺に該当するというべきであり,故意による不法行為である。 ウ民事再生手続を計画していたこと被告は,D銀行から融資を受けることが不可能となり,B組合が資金不足に陥ることが確実になったことから,今後の処理方針について検討を始めているが,その際に作成された各文書の記載内容からすると(甲30,31の1ないし3,32,33,34の1ないし3,35,被告は,原)告に対して本件貸付を申し込んだ時点で,既に,①本件貸付の弁済期より前にB組合が民事再生手続開始を申し立てること,②上記申立て ,31の1ないし3,32,33,34の1ないし3,35,被告は,原)告に対して本件貸付を申し込んだ時点で,既に,①本件貸付の弁済期より前にB組合が民事再生手続開始を申し立てること,②上記申立てに先だって第三者委員会を設置し,第三者委員会の検討結果を受けて上記申立てに- 9 -至ったかのような外観を整えることを決定していたといえる。 被告は,原告に対して,上記①及び②を伝えれば,原告が本件貸付をしないことを認識し,その上で,あえて「本市としましても,助成を行う,立場から適切な指導・監督を行い,現在,順調に経営改善が進んでおり,,。」平成17年度には所期の経営改善を達成できるものと考えております及び「A病院の今回の借入金につきましては,平成18年4月28日までに,本市が責任をもって返済させますので,何卒ご理解いただき,引き続きご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます」という客観的状。 況とはかけ離れた内容を記載した文書(平成17年6月9日付け「借入金返済確認書」と題する文書,甲5の25)を交付し,原告をだまして錯誤に陥れ,その結果,原告にB組合に対する本件貸付金を交付させた。 したがって,被告の上記行為は,詐欺に該当するというべきであり,故意による不法行為である。 (2) 信義則上の義務違反による不法行為責任の有無(争点(2))ア被告が負う義務の内容(ア) 融資申込者が負う義務の内容一般に,契約締結交渉を開始し,契約準備段階に入った者は,一般市民間における関係とは異なり,信義則の支配する緊密な関係に立つので,,,あるから相互に相手方の人格財産を害しない信義則上の義務を負いこれに違反して相手方に損害を及ぼしたときは,損害賠償義務を負うというべきである。 金融機関による融資の場合,金融機関は,自ら情報を収集,分析 から相互に相手方の人格財産を害しない信義則上の義務を負いこれに違反して相手方に損害を及ぼしたときは,損害賠償義務を負うというべきである。 金融機関による融資の場合,金融機関は,自ら情報を収集,分析し,融資の可否について判断するのであるが,融資申込者の内情を直接調査する権限を有しているわけではないから,融資申込者に対し,融資の可否に影響する情報である業績,資金繰り等に関する資料の提出を求め,その内容を分析し,融資の可否を判断するのが通常である。特に,公表- 10 -されている情報が乏しい非上場企業等に対する融資の可否の判断においては,融資申込者から提出される資料の重要性は極めて高い。 したがって,融資交渉中の申込者は,融資判断に影響する事項について金融機関から情報提供を求められた場合,当該時点で融資申込者において判明している諸事情に照らして可能な限り適正な,すなわち,正確で客観的に実現可能性を認めることのできる情報を提供すべき信義則上の義務を負うというべきである。 (イ) 被告が負う義務の内容本件貸付の融資申込者は,形式的にはB組合であるが,B組合が経営するA病院は公的医療機関として位置付けられており,被告は,長年にわたって,B組合に対して,多額の貸付,補助金の交付及び被告が所有するA病院の底地の無償使用などの支援をし,さらには,医師を派遣するなどの人員面での支援をも行っていた。また,金融機関との融資交渉も,専ら健康福祉局の担当職員が行っており,本件貸付についても同様であった。そればかりか,補助金の申請及び清算報告をするには,本来であればB組合が必要書類を作成して被告に提出しなければならないところ,実際には,健康福祉局の担当職員が実体の伴わない書類を作成して被告に提出していたのであり,B組合の資金繰りは実質的には被告によって管理 B組合が必要書類を作成して被告に提出しなければならないところ,実際には,健康福祉局の担当職員が実体の伴わない書類を作成して被告に提出していたのであり,B組合の資金繰りは実質的には被告によって管理されていたことがうかがわれる。 これらの事情からすると,被告は,原告に対し,本件貸付を申し込むに当たって,前記(ア)の情報提供義務を負っていたというべきである。 イ義務違反(ア) 本件迂回融資の事実を秘匿して虚偽の事実を説明したことa銀行における融資審査の実務上,他行の動向は極めて重要な判断要素とされる。とりわけ,融資額が大きい金融機関については,他の金融機関と比較して,当該融資先の資金繰りに深く関与し,その信用状- 11 -態に関してもより多くの情報を得ることができるのであるから,融資額が大きい金融機関が融資額を減らすといった事態は,当該融資先の信用状態が悪化していることを意味すると考えるのが一般的である。 本件では,D銀行は,公金取扱事務等地方公共団体関連の取引を専門的に取り扱う公務部と呼ばれる部署がB組合に対する貸付を担当しており,B組合に対する融資の目的も使途の限定のない運転資金であり,平成15年度までは原告の融資額を常に上回っていたのであるから,D銀行は,融資の可否の関する情報を,原告よりもはるかに多く収集できる立場にあったということができる。 したがって,D銀行のB組合に対する融資の状況は,原告がB組合に対する融資の回収可能性を判断するに際して極めて重要な判断要素であった。 bしかも,B組合は,平成16年6月当時,既に,D銀行からの融資がなければ原告からの借入金を弁済することができない状態にあったのであり,それ後B組合の資金繰りが改善した事実も認められない上に,被告が平成17年度のB組合の資金計画として作成した「年間資金 融資がなければ原告からの借入金を弁済することができない状態にあったのであり,それ後B組合の資金繰りが改善した事実も認められない上に,被告が平成17年度のB組合の資金計画として作成した「年間資金計画表(甲8,33,34の3)によれば,B組合は,D銀行」から融資を受けることができず,その結果,本件貸付の弁済期前である平成18年2月には資金不足に陥ることが見込まれているのであるから,B組合は,D銀行からの融資がなければ,本件貸付を弁済することはできない状態にあった。 この点からみても,D銀行のB組合に対する融資の状況は,原告がB組合に対する融資の回収可能性を判断するに際して極めて重要な判断要素であった。 c以上のとおり,D銀行のB組合に対する融資の状況は,原告がB組合に対する融資の回収可能性を判断するに際して極めて重要な判断要- 12 -素であったのであるから,実質的な融資申込者である被告は,原告に対し,D銀行のB組合に対する融資の状況について,可能な限り正確な情報を提供すべき信義則上の義務があった。それにもかかわらず,被告は,原告に対し,本件迂回融資の事実を秘匿し,B組合がD銀行から直接融資を受けたかのような説明をしたのであるから,信義則上の義務に違反したというべきである。 (イ) 実現可能性のない資金計画表を提出したこと,,,前記(1)イのとおり被告はB組合が本件貸付を受けるに当たって原告に対し,実現可能性のない「平成17年度補助金等執行見込」を交付したのであるから,信義則上の義務に違反したというべきである。 (ウ) 民事再生手続を計画していたこと,,,前記(1)ウのとおり被告はB組合が本件貸付を受けるに先立って①本件貸付の弁済期より前にB組合が民事再生手続開始を申し立てること,②上記申立てに先だって第三 生手続を計画していたこと,,,前記(1)ウのとおり被告はB組合が本件貸付を受けるに先立って①本件貸付の弁済期より前にB組合が民事再生手続開始を申し立てること,②上記申立てに先だって第三者委員会を設置し,第三者委員会の検討結果を受けて上記申立てに至ったかのような外観を整えることを決定していたにかかわらず,原告に対し,このことを伝えず,あえて「本,市としましても,助成を行う立場から適切な指導,監督を行い,現在順調に経営改善が進んでおり,平成17年度には,所期の経営改善を達成できるものと考えております」及び「A病院の今回の借入金につきま。 しては,平成18年4月28日までに,本市が責任をもって返済させますので,何卒ご理解いただき,引き続きご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます」という客観的状況とはかけ離れた内容を記載し。 た文書(平成17年6月9日付け「借入金返済確認書」と題する文書),。 を交付したのであるから信義則上の義務に違反したというべきである(3) 損害額(争点(3))ア原告は,被告による故意又は信義則上の義務違反を原因とする不法行為- 13 -によって,B組合に対し,本件貸付として2億円を交付し,その全額が回収不能となっている。 イさらに,原告は,本訴を提起するに当たり,弁護士に委任せざるを得なかったところ,被告による不法行為と相当因果関係にある弁護士費用は2000万円を下らない。 ,,,,ウよって原告は被告に対し不法行為に基づく損害賠償請求権として2億2000万円及びうち2億円(前記ア)に対しては平成17年6月24日(不法行為日)から,うち2000万円(前記イ)に対しては平成18年11月6日(訴状送達の日)から各支払済みまで民法所定の年5パーセントの割合による遅延損害金の支払を に対しては平成17年6月24日(不法行為日)から,うち2000万円(前記イ)に対しては平成18年11月6日(訴状送達の日)から各支払済みまで民法所定の年5パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める。 (4) 債務保証又は第三者弁済の合意の有無(争点(4))ア債務保証又は第三者弁済の合意の有無被告は,原告に対し,本件貸付を含め,少なくとも14年間,25回にわたって,健康福祉局長名で融資を依頼する文書及び被告が責任をもって弁済させる旨の確認書を交付してきた。しかも,上記確認書の大半には,弁済原資を被告がB組合に交付する補助金とすることが明記されており,実際にも,原告からの借入の弁済に被告が交付した補助金が充てられていた。そのことに,A病院は公的医療機関として位置付けられており,これまでに被告はB組合に対して多額の資金援助をしてきたこと,B組合に対する融資に関する金融機関との融資交渉は,専ら健康福祉局の職員が行ってきたことを併せ考えると,原告と被告との間には,B組合が原告に対して負担する本件貸付に係る債務を被告が保証又は第三者弁済する旨の合意があったというべきである。 イ未収利息本件貸付に係る未収利息は,358万6301円である。 ウ遅延損害金- 14 -本件貸付に係る遅延損害金は,弁済期の翌日である平成18年4月29日から支払済みまで年14パーセントの割合による金員である。 エよって,原告は,被告に対し,保証債務履行請求権又は第三者弁済の合意に基づく貸金返還請求権として,2億0358万6301円及びこれに対する弁済期の翌日である平成18年4月29日から支払済みまで約定の年14パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める。 被告の主張(1) 故意による不法行為責任の有無(争点(1))ア本件迂回融資について(ア) 平成18年4月29日から支払済みまで約定の年14パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める。 被告の主張(1) 故意による不法行為責任の有無(争点(1))ア本件迂回融資について(ア) 原告は,被告がD銀行からの融資が迂回融資であったことを秘匿したことをもって,故意による不法行為であると主張する。 (イ) しかしながら,そもそも,原告が,B組合に融資をしていたのは,被告がB組合に対して補助金を交付するなどして支援し,原告に対して返済確認書を交付していたからであって,D銀行が融資をしていたからではない。また,本件迂回融資によって,D銀行からの資金によってB組合のキャッシュフローが増加したことは事実であるし,仮に,D銀行からの融資がなくても,被告から補助金又は貸付金が交付されれば,本件。 ,貸付についても弁済することができたはずであるこのような事情から被告担当者は,本件迂回融資は実質的にはD銀行からの融資であると考えており,本件迂回融資の事実を原告に報告する必要性を特に感じていなかったのである。 したがって,被告がD銀行からの融資が迂回融資であったことを告知しなかったことをもって,故意による不法行為であるということはできない。 (ウ) ところで,原告は,故意による不法行為を裏付ける事実として,被告が,平成17年2月3日以降「平成16年度補助金等執行見込」と題,- 15 -する表を送付しなくなったことを指摘するが,上記表が送付が中断したのは,単に,人事異動による引継ぎが十分にされなかったというだけであるから,原告の上記指摘は誤りである。 イ「平成17年度補助金等執行見込」と題する表を提出したことについて(ア) 原告は,被告が原告に提出した「平成17年度補助金等執行見込」と題する表(甲11)は実現可能性が著しく低く,これを ある。 イ「平成17年度補助金等執行見込」と題する表を提出したことについて(ア) 原告は,被告が原告に提出した「平成17年度補助金等執行見込」と題する表(甲11)は実現可能性が著しく低く,これを提出したことをもって,故意による不法行為であると主張する。 (イ) しかしながら,被告が原告に提出した「平成17年度補助金等執行見込」と題する表は,その表題から明らかなとおり,あくまでも見込みを記載したものすぎない。 D銀行からの融資についても,D銀行の担当者から「お貸しできる条件に合えば協力させてもらう」との回答がされていたし,平成16年。 度の融資についても厳しい状況であったにもかかわらず,最終的に融資を受けることができたのであるから,被告としては,平成17年度についても,何らかの方法で,D銀行からの融資を受けることができると考えていたのである。 したがって,被告が「平成17年度補助金等執行見込」と題する表を提出したことをもって,故意による不法行為であるということはできない。 (ウ) ところで,被告が作成した「年間資金計画表」と題する表(甲8,33,34の3)には,D銀行からの融資が行われず,平成18年2月に資金不足となることが記載されているが,これはG市長に対して,緊迫感を伝えることによって補助金の必要性を強調するためであった。 また,被告のB組合に対する特別運営貸付の際の決裁文書に添付された資料(乙4の2,6の2)には,D銀行との融資交渉が難航しているかのような記載があるが,これは事実ではない。被告においては「平,- 16 -成17年度には新たな貸付金の発生はなくす」との経営改善計画が策定されていたため,新たな貸付をするためには相当の理由が必要であったことから,特別運営貸付の必要性を特に強調する必要があった。そのため事実と異 には新たな貸付金の発生はなくす」との経営改善計画が策定されていたため,新たな貸付をするためには相当の理由が必要であったことから,特別運営貸付の必要性を特に強調する必要があった。そのため事実と異なる記載がされたものである実際にはD銀行からは平,。 ,「成16年度の融資予定の残額1億7000万円はいつ融資が必要なのか。借りていただかないと,A病院の資金繰りが回らないことになるので借りて欲しい」と言われていたものの,A病院の改修工事の基本調。 査も終わっていなかったため(なお「B組合A病院基本調査報告書,(抄」と題する文書〔乙7〕が作成されたのは平成17年6月ないし)7月ころであった,B組合において,改修工事に関する資金需要が。)なく,それ故,D銀行からの融資が実現しなったのである。 ウ「借入金返済確認書」と題する文書を提出したことについて(ア) 原告は,被告が,B組合に民事再生手続開始の申立てをさせることを事実上決定していたにもかかわらず,B組合の支援を継続することによって借入金を責任をもって全額返済させる旨のF局長名義の「借入金返済確認書」と題する文書を提出したことをもって,故意による不法行為であると主張する。 (イ) しかしながら,被告において,B組合に民事再生手続開始の申立てをさせることが決定されていたとの事実はない。このことは,被告において作成された文書はいずれも検討案にすぎないこと,B組合の経営改善は順調に進んでいたこと,被告の担当者から説明を受けたG市長も民事再生手続開始の申立てについては何も述べていなかったこと,B組合の意向を無視して民事再生手続開始の申立てをすることは不可能であったことなどから明らかである。 また,平成18年度にも補助金が交付されれば,本件貸付を弁済することはできたのであり,補 たこと,B組合の意向を無視して民事再生手続開始の申立てをすることは不可能であったことなどから明らかである。 また,平成18年度にも補助金が交付されれば,本件貸付を弁済することはできたのであり,補助金については,健康福祉局が現実に予算要- 17 -求をしていたものの,G市長の突然の辞任により,補助金の支出が困難となり,平成17年12月1日のB組合による民事再生手続開始申立によって,補助金が支出されることはなくなってしまった。このような経緯で,本件貸付の弁済が不能となったのであり「借入金返済確認書」,と題する文書(甲5の25)が作成された平成17年6月9日当時においては,弁済期までに被告が責任をもって弁済させる旨の記載は,虚偽のものでも実現可能性が極めて低いものでもなかったことは明らかである。 よって,被告が原告に「借入金返済確認書」と題する文書を提出したことをもって,故意による不法行為であるということはできない。 (2) 信義則上の義務違反による不法行為責任の有無(争点(2))ア融資申込者が負う義務の内容一般に,金融機関は融資申込者に対して優越的な立場に立っているのであるから,あたかも両者が平等な立場に立っているかのような前提で,信義則上の義務の有無を検討することは妥当ではない。 仮に,信義則上の義務を想定するとしても,その違反が不法行為責任に直結することを前提とするのであれば,少なくとも不法行為の成否を検討する上では,融資申込者の自己保存のための行動原理と,金融機関に通常求められる審査能力との均衡点として「融資判断に決定的な影響を与え,る程度の相当な限度を超える,債務者の妨害的情報隠し又は虚偽情報を提供することは許されない」という限度の,ごく当然の義務を負うにとどまるというべきである。 したがって,仮に,融資申込者が金融機 ,る程度の相当な限度を超える,債務者の妨害的情報隠し又は虚偽情報を提供することは許されない」という限度の,ごく当然の義務を負うにとどまるというべきである。 したがって,仮に,融資申込者が金融機関に対して何らかの信義則上の義務を負うとしても,その義務の具体的内容は,上記の均衡の観点から限定的に解釈されなければならない。 イ義務の主体- 18 -融資申込者本人ですら,金融機関に対して信義則上の義務は前記アの限度にとどまるところ,本件においては,被告は融資申込者ではない。被告は,B組合から原告との交渉をする代理権を授権されていたわけではないし,原告に対してB組合の情報をすべて提供することについての承諾を得ていたわけでもないのであるから,仮に「B組合はD銀行からの融資を,受けることはできない」などといった情報を原告に提供し,その結果,。 B組合が原告からの融資を受けることができなくなり,破綻するに至った,。 ということになれば被告はB組合から損害賠償請求を受ける立場にあるしかも,原告は,B組合の財務リスクを考慮して,徐々に金利を上げていたのであるから,原告自身,融資の当事者はB組合であると考えていたことは明らかである。 したがって,被告が,原告が主張する信義則上の義務を負担することはないというべきである。 ウ義務違反仮に被告が原告に対して何らかの義務を負っていたとしても前記(1),,で述べたところからすると,被告が信義則上の義務に違反したということはできない。 また,原告が,被告の信義則上の義務違反を問題とするのであれば,原,,告が金融機関として最低限のことをしていることが前提となるが原告は金融機関としてB組合と全く接触しておらず,金融機関としてはあるまじき対応であった。 (3) 損害額(争点(3))原告の主張 ,,告が金融機関として最低限のことをしていることが前提となるが原告は金融機関としてB組合と全く接触しておらず,金融機関としてはあるまじき対応であった。 (3) 損害額(争点(3))原告の主張(前記4(3))は争う。 本件貸付は,実質的には,借換えであり,弁済期限の延長である。すなわち,本件貸付がされることを前提として,その直前の貸付について弁済されることになっていた。したがって,仮に,原告が本件貸付を行っていなかっ- 19 -たとすれば,平成16年度に行われた原告のB組合に対する貸付について弁済がされないことになる。よって,被告に不法行為があったとしても,そのことと因果関係になる損害は発生していないというべきである。 (4) 債務保証又は第三者弁済の合意の有無(争点(4))ア債務保証について法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律3条によれば,地方公共団体は,会社その他の法人の債務について保証契約を締結することはできないとされているし,保証契約は書面でしなければならないところ,本件では書面はないのであるから,被告が原告に対してB組合の債務を保証した事実がないことは明らかである。 イ第三者弁済の合意F局長及びH課長らの被告担当者は,第三者弁済の合意をする権限を有していないのであるから,被告が原告に対してB組合の債務を弁済する旨の意思表示をしたとの事実はない。 第3当裁判所の判断 当裁判所が認定した事実前記前提となる事実に後掲各証拠及び弁論の全趣旨を総合すると,以下の事実が認められる。 (1) 被告によるB組合に対する援助及びA病院の経営改善計画1-1補助金の支給被告は,B組合が民事再生手続を申し立てるまでの間,B組合に対し,運営費補助金,建物設備補修工事補助金及び備品整備事業費補助金の名目で,継続して補助金を びA病院の経営改善計画1-1補助金の支給被告は,B組合が民事再生手続を申し立てるまでの間,B組合に対し,運営費補助金,建物設備補修工事補助金及び備品整備事業費補助金の名目で,継続して補助金を交付し,その総額は,昭和43年から平成16年までで約182億円であった。 なお,被告に対する補助金の申請及び精算報告は,本来であればB組合がすべきことであったが,実際には,被告の担当職員が実体の伴わない書- 20 -類を作成することによって行われていた。 (前記第2の2(4)ア)1-2無担保貸付被告は,B組合に対し,昭和49年度から平成16年度までの間,継続して無担保貸付をし,その総額は,平成17年11月1日当時,130億5680万3000円であった。被告は,B組合に対して,貸付金の弁済を求めることはなく,弁済期が到来すると,その都度,弁済期を延長していた。 なお,平成13年度から平成16年度までの間における貸付金額は下記のとおりである。 記平成13年度5億1100万円平成14年度2億5400万円平成15年度1億2000万円平成16年度7400万円(前記第2の2(4)イ)1-3平成14年の予算市会及びそれに基づく経営改善計画平成14年3月に行われた予算市会において「A病院については,抜,本的な経営改善計画を策定し断行するとともに,今後の病院の果たすべき機能,運営について見直しを図ること」との内容の附帯決議がされた。 。 被告は,平成14年3月,上記附帯決議に基づき「A病院経営改善計,画」を策定した。この計画では「平成17年度までに貸付金の新たな発,,」。 生を無くし一定の運営助成のもとで純損益の黒字達成を図るとされた平成14年度から平成17年度までのB組合の純損益及び被告からの貸付金の額は以下のとおりであった までに貸付金の新たな発,,」。 生を無くし一定の運営助成のもとで純損益の黒字達成を図るとされた平成14年度から平成17年度までのB組合の純損益及び被告からの貸付金の額は以下のとおりであった。 (ア) 平成14年度- 21 -a純損益△2億4300万円c被告からの貸付金2億5400万円(イ) 平成15年度a純損益△1億1200万円b被告からの貸付金1億2000万円(ウ) 平成16年度a純損益△6500万円b被告からの貸付金7400万円(甲2〔7頁,乙8,9,20)〕(2) D銀行による貸付1-1平成15年度D銀行は,平成15年度,B組合に対し,合計4億9000万円を貸し渡した。E協会は,D銀行に対し,上記貸金返還債務について連帯保証した。 B組合は平成16年4月24日被告から交付された補助金後記(3),,(イ(ウ))を原資として,上記4億9000万円を弁済した。 (甲2〔16,27,43頁,46,47,乙3)〕1-2平成16年度(ア) 被告の担当者(H課長,I係長及びJ係長)は,平成16年4月2日以降,D銀行○○公務部担当者と交渉し,E協会の連帯保証に加えてB組合の診療報酬債権を担保に入れること及び平成16年度の融資総額は,。 4億2000万円とすることを提案しB組合に対する融資を依頼したしかし,D銀行○○公務部担当者は,上記提案のうち,平成16年度の融資総額を4億2000万円とすることは了承したものの,E協会の連帯保証に加えてB組合の診療報酬債権を担保に入れるとの提案は拒否し,代わりに,①被告が損失補償をすること,②E協会以外の外郭団体- 22 -が担保を提供すること,③融資先をE協会とし,その融資金をE協会がB組合に融資することを提案した。 (甲2〔43頁,乙 し,代わりに,①被告が損失補償をすること,②E協会以外の外郭団体- 22 -が担保を提供すること,③融資先をE協会とし,その融資金をE協会がB組合に融資することを提案した。 (甲2〔43頁,乙14,17,証人H課長,同F局長)〕(イ) 健康福祉局はD銀行○○公務部担当者からの提案を検討し前記(ア),,の①ないし③のうち③の提案(融資先をE協会とし,その融資金をE協会がB組合に融資すること)を受け入れることとしたが,E協会が定款上の制約からB組合に対する融資に難色を示したため,被告は,E協会,,がD銀行から融資を受けその融資金をB組合ではなくF局長に融資しさらに,F局長がB組合に融資することにした。 (甲2〔43,44頁,乙14,17,証人H課長,同F局長)〕(ウ) F局長は,平成16年6月8日,D銀行に対し「E協会に対する貸,出について(依頼」と題する文書を交付した。この文書には「同協),会が貴行からお借りしたいと考えております下記2億5000万円につきましては,本市より支出するA病院運営補助金(平成17年度予算申請予定額6億3,000万円)を確保のうえ,責任を持って貴行に返済させてまいります。なお,貴行からの借入につきましては今年度限りとし,同協会にもその旨指導してまいります(同協会」とはE協会の。」「ことである)と記載されていた。 。 (前記第2の2(7)イ)(エ) 前記(イ)の方針に従い,平成16年6月10日,以下の各貸付が行われた(本件迂回融資。 )aD銀行は,E協会に対し,弁済期を平成17年4月10日,利率を年3.5パーセントとして,2億5000万円を貸し渡した。 bE協会は,F局長に対し,弁済期を平成16年8月31日(後に平成17年2月28日に変更された)として,2億5000万円を貸。 日,利率を年3.5パーセントとして,2億5000万円を貸し渡した。 bE協会は,F局長に対し,弁済期を平成16年8月31日(後に平成17年2月28日に変更された)として,2億5000万円を貸。 し渡した。 - 23 -cF局長は,B組合に対し,弁済期を平成17年4月10日,利率を年3.5パーセントとして,上記2億5000万円を貸し渡した。 (前記第2の2(7)ア,甲2〔43,44頁,〕乙14,17,証人H課長,同F局長)(オ) 被告は,平成16年11月ころ,D銀行に対し,B組合に対する融資を依頼したが,D銀行の担当者は「今年度の残りの融資については,,銀行としてはできるだけ返済原資が一定確保されたことの確認を行ったうえで実施するという判断となったことから,早くても平成17年度予算のある程度の方向性が見えてから実施したいと考えている。よって,今月は,Y市の特別運営貸付金で対応してもらいたい」と述べて,上。 記依頼を断った。そこで,被告は,平成16年11月26日,B組合に対し,弁済期を平成23年11月25日,利率を年2.5パーセントとして,特別運営貸付金2400万円を貸し渡した。 (乙4の1ないし5)(カ) 健康福祉局は,平成17年2月28日までにF局長からE協会への2億5000万円の弁済の見込みが立たないことから,E協会に対し,弁済期の延長を申し入れたが,E協会は,これを拒否した。 そこで,健康福祉局は,以下の方法を考案し,実行した。 aK協議会に虚偽の補助金申請をさせ,被告がK協議会に対し,補助金として1億5000万円を交付する。 bK協議会は,前記aの1億5000万円に簿外資金1億円を加算した2億5000万円をF局長に貸し渡す。 cF局長は,平成17年2月28日,E協会に対し,前記(エ)bの借入金2億5000万円を弁 bK協議会は,前記aの1億5000万円に簿外資金1億円を加算した2億5000万円をF局長に貸し渡す。 cF局長は,平成17年2月28日,E協会に対し,前記(エ)bの借入金2億5000万円を弁済し,E協会は,同日,D銀行に対し,前記(エ)aの借入金2億5000万円を弁済する。 d被告は,B組合に対し,補助金を交付し,B組合は,平成17年4- 24 -月4日,これを原資として,F局長に対し,前記(エ)cの借入金2億5000万円を弁済する。 eF局長は,K協議会に対し,前記bの借入金2億5000万円を弁済し,K協議会は,被告に対し,前記aの補助金1億5000万円を返還する。 (甲2〔43,44頁)〕(キ) 被告は,平成17年2月ころ,D銀行に対し,B組合に対する8000万円の融資を依頼したが,D銀行の担当者は「今年度の融資額は年,度末残高はこれ以上増やすことができない」と述べて,上記依頼を断った。そこで,被告は,平成17年3月30日,B組合に対し,弁済期を平成24年3月29日,利率を年2.5パーセントとして,特別運営貸付金2000万円を貸し渡した。 (乙6の1ないし6)1-3平成17年度(ア) L理事,H課長及びM係長は,平成17年6月27日,D銀行に対して,被告の地域医療確保に対する取組を理解してもらって融資に対する協力を得るため,担当理事のあいさつも兼ねて,D銀行○○公務部に行った。L理事らは,D銀行○○公務部担当者に対し,B組合に対する融資について協力を求めたところ,同担当者は,条件に合えば協力すると回答した(ただし,融資に関する具体的な条件,例えば,時期,金額及び担保等については話し合われていない。 。)(乙14,証人H課長)(イ) その後,被告の担当者は,D銀行との間で,B組合に対する融資について交渉し 資に関する具体的な条件,例えば,時期,金額及び担保等については話し合われていない。 。)(乙14,証人H課長)(イ) その後,被告の担当者は,D銀行との間で,B組合に対する融資について交渉したことはなかった。 (弁論の全趣旨)(3) 原告による貸付- 25 -1-1原告は,昭和54年ころから,B組合に対し,A病院における賞与資金等に充てるため,貸付を行っていた。 健康福祉局長(ただし,平成12年までは環境保健局長)は,平成4年6月以降,原告に対し「B組合A病院に対する貸出について(依頼」,)と題する文書を交付して,原告からB組合に対する貸付を依頼するとともに「借入金返済確認書」と題する文書を交付して,当該貸付金について,は被告がB組合に対して交付する補助金によって責任をもって返済させる旨を確認していた。なお,上記「借入金返済確認書」については,平成15年5月30日付けのものから,借入金の使途内訳を記載した資料が添付されている。 原告のB組合に対する貸付に関する交渉は,原告の担当者と被告の職員との間で行われていた。 (前記第2の2(5),甲5の20ないし25)1-2平成15年度(ア) 原告は,平成15年6月24日,B組合に対し,弁済期を平成16年4月30日として,2億円を貸し渡した。 (甲4の22,甲46)(イ) 原告は,平成15年12月5日,B組合に対し,弁済期を平成16年5月31日として,2億2000万円を貸し渡した。 (甲4の22,甲46)(ウ) B組合は,平成16年4月,被告から,以下のとおり,補助金の交付を受けた。 a平成16年4月23日運営費6億3000万円b平成16年4月30日整備事業費(備品)4800万円c平成16年4月30日建物設備補修工事5678万7000円(甲2〔15,16 。 a平成16年4月23日運営費6億3000万円b平成16年4月30日整備事業費(備品)4800万円c平成16年4月30日建物設備補修工事5678万7000円(甲2〔15,16,24頁,47)〕- 26 -(エ) B組合は,平成16年4月,前記(ウ)の補助金を原資として,前記(ア)の2億円及び同月に弁済期が到来するD銀行からの借入金4億9000万円(前記(2)ア)を弁済した。 (甲2〔16,17頁,10,42,47,証人N課長)〕,,,(オ) H課長及びJ係長は平成16年5月27日原告の□□支店を訪れN課長に対し,前記(イ)の2億2000万円の弁済が数日遅れるかもしれないと述べた。N課長は,H課長に対し,補助金から弁済できるのではないかと尋ねたところ,H課長は,①原告からの4月末を弁済期とする前年6月の借入金及び②D銀行からの借入金については,補助金を原資として弁済し,③原告からの5月末を弁済期とする前年12月の借入金については,D銀行からの借入金を原資として弁済しているところ,前記(イ)の2億2000万円の弁済の原資となるD銀行からの借入が予定よりも遅れていると説明した。 (甲42,証人N課長)(カ) O部長,H課長及びJ係長は,平成16年6月3日,原告の□□支店を訪れ,P支店長及びN課長に対し,D銀行から融資の内諾を得ているが,前記(イ)の2億2000万円の弁済は同月11日まで待って欲しい旨を述べた。これに対し,P支店長は,H課長及びJ係長に対し,上記内容を記載した公式文書の交付を求めた。 (甲42,証人N課長)(キ) 被告は,平成16年6月4日,原告に対し,F局長名義の「B組合A病院への貸付金にかかる返済期日の延長について(お願い」と題する)文書を交付した。この文書には「A病院では,円滑な運 N課長)(キ) 被告は,平成16年6月4日,原告に対し,F局長名義の「B組合A病院への貸付金にかかる返済期日の延長について(お願い」と題する)文書を交付した。この文書には「A病院では,円滑な運営のため,貴銀,。 行からのご支援に加えD銀行からは運転資金の借入れを行っていますしかしながら,今年度の融資にあたり,D銀行から『今後の長期的な改善計画を示してほしい』との申し入れがありました。本市としては,平- 27 -成16年度中には,以後の経営改善計画案を策定し,関係機関等に示す予定にしている旨を説明し理解を求めたところ,平成16年6月11日。 ,までには融資を行うとの確約を受けたところでありますつきましては貴行には,A病院の平成16年5月31日返済期日の借入金2億2千万円について,返済期日を平成16年6月11日まで延長していただきたく,お願い申しあげる次第であります。なお,今後はこのようなことがないよう,本市としても鋭意努力してまいりますので,何卒ご高配を賜りますようよろしくお願い申しあげます」と記載されていた。 。 (甲19,42,証人N課長)(ク) B組合は,平成16年6月10日,原告に対し,本件迂回融資によって得た2億5000万円を原資として,前記(イ)の2億2000万円に遅延損害金を含めて全額弁済した。 (甲42,証人N課長)1-3平成16年度(ア) O部長,H課長及びJ係長は,平成16年6月10日,原告の□□支店を訪れ,P支店長及びN課長に対し,前記イ(イ)の借入金の弁済が遅れたことを謝罪した上で,今後もB組合に対して融資をするよう依頼した。その際,H課長は,P支店長らに対し「A病院の経営状況につい,て」と題する文書を交付し,①平成17年度以降被告による新たな貸付は行わないこと,②補助金については,減額する可 資をするよう依頼した。その際,H課長は,P支店長らに対し「A病院の経営状況につい,て」と題する文書を交付し,①平成17年度以降被告による新たな貸付は行わないこと,②補助金については,減額する可能性はあるが,平成17年度以降も継続して交付する予定であること,③銀行からの借入は徐々に減らしていく予定であることなどを述べた。 これに対し,P支店長らは,O部長らに対し,借入金の弁済が遅れた直後であるから新規融資は困難であるが,本部と協議する旨を述べた上で,①原告のB組合に対する貸付額に見合う金額の補助金を原告の口座に入金すること,②D銀行から融資の確約をとっておくこと,③銀行か- 28 -らの借入の減額は原告を優先して検討することを求めた。 このとき,O部長ら被告の担当者は,P支店長らに対し,D銀行からの融資が迂回融資(本件迂回融資)であったことについて説明しなかった。 (甲36,42,証人N課長),,,(イ) H課長及びJ係長は平成16年6月11日原告の□□支店を訪れN課長に対し,F局長名義の平成16年6月8日付け「B組合A病院に対する貸出について(依頼」と題する文書及び同日付け「借入金返済)確認書」と題する文書(いずれもF局長の押印がされていないもの)を交付した。後者の文書には「さて,今回のA病院借入金につきまして,は,平成17年度のA病院に対する本市からの補助金のうち借入金相当額を当初からB組合が原告に開設する口座へ入金のうえ,これを財源として平成17年4月30日までにY市が責任を持って返済させます。なお,D銀行からは,平成16年度のA病院運転資金として,総額4億2千万円の融資をいただくとの確約を取りつけておりますので,何卒ご理解いただき,引き続きご支援賜りますようよろしくお願い申し上げます」と記載されていた。N課長 6年度のA病院運転資金として,総額4億2千万円の融資をいただくとの確約を取りつけておりますので,何卒ご理解いただき,引き続きご支援賜りますようよろしくお願い申し上げます」と記載されていた。N課長は,上記各文書の内容を確認し,H課。 長らに対し,了承した旨を述べた。 H課長及びJ係長は,同月14日,被告の□□支店を訪れ,N課長に対し,上記各文書にF局長の押印がされたものを交付した。 (甲4の23,甲5の23,甲42,証人N課長)(ウ) 原告は,B組合に対する貸付について稟議をし,①前記イ(イ)の借入金の弁済が遅れたものの,弁済期から10日後に全額回収できたこと,②平成16年6月8日付け「借入金返済確認書」と題する文書の記載内容から,弁済期までの資金繰りは維持される見込みであること,③貸付を拒否すると,原告がB組合を破綻に追い込んだとの風評が立ちかねな- 29 -いことを考慮して,B組合に対して貸付を行うこととした。 そして,原告は,平成16年6月25日,B組合に対し,弁済期を平成17年4月30日,利率を年5.5パーセントとして,2億円を貸し渡した。 (甲4の23,甲5の23,甲42,証人N課長,弁論の全趣旨)(エ) N課長は,被告の担当者に対し,B組合の資金繰り実績及び資金計画を提出するように要請した。これを受けて,J係長は,平成16年6月29日から平成17年2月3日までの間にわたり,平成16年5月末月から同年12月末までの資金繰り実績及びその後の資金計画を示す「平成16年度補助金等執行見込」と題する表を作成して,概ね一月に一回程度,原告の□□支店に対してファクシミリにて送信した(なお,平成17年2月3日から同年6月7日までの間は,原告に上記表が送られることはなかった。 。)(甲9,20ないし26,42,証人N課長)(オ) J □□支店に対してファクシミリにて送信した(なお,平成17年2月3日から同年6月7日までの間は,原告に上記表が送られることはなかった。 。)(甲9,20ないし26,42,証人N課長)(オ) J係長は,平成16年11月12日,原告の□□支店を訪れ,B組合に対する貸付(賞与資金2億2000万円)を依頼し,さらに,同月17日,原告の□□支店を訪れ,F局長名義の平成16年11月16日付け「B組合A病院に対する貸出について(依頼」と題する文書及び同)「」。 ,日付け借入金返済確認書と題する文書を持参した後者の文書には「さて,今回のA病院借入金につきましては,平成17年度のA病院に対する本市からの補助金を財源として,必ず平成17年5月31日までにY市が責任を持って返済させます。なお,D銀行からは,平成17年度のA病院運転資金として,今年度と同様の総額4億2千万円の融資をいただくよう,現在交渉を進めているところでありますので,何卒ご理解いただき,引き続きご支援賜りますようよろしくお願い申し上げます」と記載されていた。 。 - 30 -被告は,稟議をした上で,平成16年12月8日,B組合に対し,弁済期を平成17年5月31日,利率を年5.5パーセントとして,2億2000万円を貸し渡した。 (甲4の24,甲5の24,甲42,証人N課長,弁論の全趣旨)(カ) B組合は,平成17年4月,被告から,以下のとおり,補助金の交付を受けた。 a平成17年4月1日運営費6億3000万円b平成17年4月27日整備事業費(備品)4800万円c平成17年4月27日経営改善備品整備事業費1800万円d平成17年4月30日建物設備補修工事9700万円(甲2〔15,16,24頁)〕(キ) B組合は,平成17年4月28日,原告に対し 成17年4月27日経営改善備品整備事業費1800万円d平成17年4月30日建物設備補修工事9700万円(甲2〔15,16,24頁)〕(キ) B組合は,平成17年4月28日,原告に対し,前記(カ)の補助金を原資として,前記(ウ)の借入金2億円を弁済した。 (甲2,48),,,(ク) H課長及びM係長は平成17年5月24日原告の□□支店を訪れP支店長及びN課長に対し,担当係長が交代したこと及び前記(オ)の借入金は予定どおり同月末日までに弁済できることを述べた。このとき,,,「」N課長はH課長に対しJ係長から平成16年度補助金等執行見込と題する表を送ってもらっていたが,平成16年12月末の実績が記載,,されているものを最後に上記表を送ってもらっていないことを指摘し平成17年1月以降のD銀行からの融資がどうなったかについて質問した。これに対し,H課長は,A病院の改修工事が平成16年度内にできなくなったため,D銀行からの借入額が減少したと答えた。 (甲42,乙15,証人N課長,証人M係長)(ケ) B組合は,平成17年5月31日,原告に対し,前記(カ)の補助金を原資として,前記(オ)の借入金2億2000万円を弁済した。 - 31 -(甲2,甲48)1-4平成17年度(ア) H課長及びM係長は,平成17年6月7日,原告の□□支店を訪れ,N課長に対し「平成16年度補助金等執行実績」と題する表「平成,,」。 17年度補助金等執行見込と題する表及びB組合の決算書を提出したこれに対し,N課長は,H課長に対し,平成16年度におけるD銀行からの借入が2億5000万円であること指摘し,その理由及び平成17年度におけるD銀行からの融資の予定について質問したところ,H課長は,平成16年度におけるD銀行からの借入額が 6年度におけるD銀行からの借入が2億5000万円であること指摘し,その理由及び平成17年度におけるD銀行からの融資の予定について質問したところ,H課長は,平成16年度におけるD銀行からの借入額が2億5000万円にとどまったのは改修工事が延期になったことによるものであり,平成17年度においても,改修工事の状況に応じ,D銀行から融資を受ける予定であると回答した。これを受けて,N課長は,H課長に対し,D銀行からの融資が重要であると述べた。 (甲10,11,42,乙15,18,証人N課長,同H課長,同M係長)(イ) M係長は,平成17年6月10日,原告の□□支店を訪れ,N課長に対し,F局長名義の平成17年6月9日付け「B組合A病院に対する貸出について(依頼」と題する文書及び同日付け「借入金返済確認書」)と題する文書を交付した。後者の文書には「本市としましても,助成,を行う立場から適切な指導,監督を行い,現在順調に経営改善が進んでおり,平成17年度には,所期の経営改善を達成できるものと考えております「A病院の今回の借入金につきましては,平成18年4月2。」,8日までに,本市が責任をもって返済させますので,何卒ご理解いただき,引き続きご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます」と。 記載されていた。 (甲4の25,甲5の25,甲42,- 32 -乙15,証人N課長,同M係長)(ウ) M係長は,平成17年6月20日,原告の□□支店を訪れ,N課長から借入に必要な書類を受け取った。M係長は,同日,B組合の担当者に上記書類への記入,押印をさせた上で,再度,原告の□□支店を訪れ,N課長に上記書類を交付した。 (甲42,乙15,証人N課長,同M係長)(エ) 原告は,平成17年6月24日,B組合に対し,①利率は年5.5パーセント,②平成 せた上で,再度,原告の□□支店を訪れ,N課長に上記書類を交付した。 (甲42,乙15,証人N課長,同M係長)(エ) 原告は,平成17年6月24日,B組合に対し,①利率は年5.5パーセント,②平成18年4月28日に期日一括返済をする,③遅延損害金は年14パーセントとするとの約定で,2億円を貸し渡した(本件貸付。 )(前記第2の2(8)ア,甲16の1ないし3)(4) 被告及びB組合における検討内容並びに民事再生手続開始の申立てに至る経緯1-1弁護士からの意見聴取I係長は,A病院の経営について,弁護士からの意見を聴取して,平成17年2月8日「弁護士の意見(課題別」と題する文書にまとめた。 ,)同文書には,A病院の自立のためには,債務超過を解消し,現行設備の整備が必要であり,債務超過の解消方法として,特定調停及び民事再生手続を利用することが記載されている。 また,I係長は,同日,B組合,D銀行及び原告に対する対応方針をまとめた書面を作成した。同書面には,原告に対して,D銀行からの融資が減った(4億2000万円から2億5000万円への減額)理由について「『』」。 未執行となった改修工事費で圧縮と説明する旨が記載されていた(甲28,29)1-2G市長の答弁G市長は,平成17年3月に行われた予算市会において「A病院は,,- 33 -その果たしてきた役割もあり,現在も地域医療に取り組んでいるところである。運営形態,貸付金の問題や補助金のあり方などについて,平成17年度中には一定の答えを出していきたい」と答弁した。 。 (甲8,33,34の3)1-3被告は,平成17年3月3日「A病院のあり方について(案)平,成17年3月3日作成」と題する文書を作成した。同文書には,被告の助成がなく,自立してA病院を経営し,被告や銀行 3,34の3)1-3被告は,平成17年3月3日「A病院のあり方について(案)平,成17年3月3日作成」と題する文書を作成した。同文書には,被告の助成がなく,自立してA病院を経営し,被告や銀行からの借入金を解消するためには,民事再生手続開始の申立てを選択せざるを得ないことが記載されている。 (甲30の1・2)1-4被告は,平成17年4月14日「A病院のあり方について(案),平成17年4月14日作成」と題する文書を作成した。同文書には,前記ウと同様,被告の助成がなく,自立してA病院を経営し,被告や銀行からの借入金を解消するためには,民事再生手続開始の申立てを選択せざるを得ないことが記載されているが,それに加えて,A病院の譲渡先の確保ができない場合についても検討された。その内容は「B組合が引き続き,,自立運営化に取り組まなければならない」とした上で,銀行からの借入。 金の処理について「銀行を取り巻く環境が厳しく,今後の融資継続が困,難なため,借入額の減額や解消に取り組まなければならないが,自立するまでは,市の補助が前提となるため,速やかな解消等は難しい。債務免除等を銀行に求めたとしても,任意又は特定調停による銀行の同意は難しいと思われるため,裁判所が債権者の多数決による債務免除を認可する民事再生法を選択せざるを得ない」としつつも,被告からの借入金の処理に。 ついては「銀行債務が解消している場合,任意や特定調停による処理も,考えられるが,これらの処理は,債務免除益の課税を回避できないため,B組合は支払不能により,解散せざるを得ないことになる。したがって,- 34 -新たな(医療)法人を設立するなど,病院運営の継続性を確保する必要が生じる」というものであり,銀行からの借入金を解消した上で,民事再。 生手続開始の申立てによ ことになる。したがって,- 34 -新たな(医療)法人を設立するなど,病院運営の継続性を確保する必要が生じる」というものであり,銀行からの借入金を解消した上で,民事再。 生手続開始の申立てによらない方法をとることについても検討が加えられている。 (甲7)1-5健康福祉局は,平成17年4月27日,F局長,L理事等が出席する会議を開いた。このとき「A病院関係資料(平成17年4月27日作,成」と題する文書が配布され,検討資料とされた。同会議においては,)まず,B組合について民事再生手続開始の申立てをすることが検討され,①「銀行融資の困難性が引き金」となること,②「迅速に処理(譲渡)するための綿密な計画」が必要であること,③プロジェクト委員会を公開とする場合には銀行からの融資がストップするなどしてB組合が破綻するおそれがあるが,他方で,非公開とする場合には市会等の理解が得られにくいこと,④民事再生手続開始の申立てをする時期については,運転資金が確保できている年度当初が考えられることなどについて議論された。さらに,同会議においては,銀行からの借入金を解消した上で,民事再生手続開始の申立てによらない方法をとることについても検討された。 (甲31の1ないし3,乙16,証人L理事)1-6健康福祉局は,平成17年5月11日,F局長,L理事等が出席する会議を開いた。このとき,弁護士への相談結果をまとめた「A病院関係資料(平成17年5月11日作成」と題する文書が配布され,検討資料)とされた。同会議においても,まず,B組合について民事再生手続開始の申立てをすることが検討され,その時期について「銀行融資がストップ,」「」。 の場合と年度当初に実施する場合とが考えられることが指摘された,,,,,併せて①原告は無担保でB 申立てをすることが検討され,その時期について「銀行融資がストップ,」「」。 の場合と年度当初に実施する場合とが考えられることが指摘された,,,,,併せて①原告は無担保でB組合に貸し付けているためA病院被告D銀行の動きに敏感であること,②原告は,4,5月の返済確認後,6月- 35 -に突然貸付を断る可能性もあり,その場合,資金がない状況での法的整理となるため,A病院は直ちに破綻すること,③したがって,原告には情報を漏らしてはいけないことなども指摘された。また,同会議においては,銀行からの借入金を解消した上で,民事再生手続開始の申立てによらない方法をとることについても検討され「銀行債務の解消ができ,協議に時,間をかけることができた場合であっても,病院の自立化が描けない限り,補助を続けるか破綻するかの議論にしかならない(相手が市だけとなる。 ので,譲渡を結論に導けるか疑問「特定調停法により市のみを相手に)」,特定できるが,同法は債務者の経済的再生が原則であり,事業の清算は目的としていないため,譲渡による清算のための申請は,裁判所が取り扱わない可能性が残る「市による銀行債務の解消は,債権の付け替えと言。」,われる。住民訴訟を考えると厳しい」などの指摘があった。 。 (甲32,乙16,証人L理事)1-7B組合は,平成17年5月27日,通常総代会を開催し,①平成17年度の短期借入金額の最高限度について,D銀行から4億円,原告から4億円とすること,②A病院の改修工事を平成17年度に持ち越し,引き続き検討することなどについて決議した。 (乙13の1ないし4)1-8健康福祉局は,平成17年6月6日,F局長,L理事等が出席する会議を開いた。このとき「A病院の今後のあり方」と題する文書が配布,され,検討資 などについて決議した。 (乙13の1ないし4)1-8健康福祉局は,平成17年6月6日,F局長,L理事等が出席する会議を開いた。このとき「A病院の今後のあり方」と題する文書が配布,され,検討資料とされた。同会議は,これまでの検討結果をまとめ,G市長に報告する内容を整理するために開かれた。同会議においては,B組合について民事再生手続開始の申立てをすることのみが検討され,その時期について「銀行融資の継続が困難になったとき」と「次年度補助金の予,算化により,運転資金の確保がされている次年度当初」とが考えられると指摘された。 - 36 -なお,上記「A病院の今後のあり方」と題する文書には,B組合の平成17年度の資金計画表として「年間資金計画表」が添付されていた。同表によれば,D銀行からの融資の予定が記載されておらず,平成18年2月には1500万円の資金不足,同年3月には4000万円の資金不足に陥ることが見込まれたが,L理事らは,例えば,薬剤の支払を猶予してもらうなどして対応することが可能であると考えていた。 (甲33,乙16,証人L理事,同F局長),,「()1-9被告は平成17年6月7日A病院の今後あり方について案平成17年6月7日作成」と題する文書を作成した。同文書に記載されていることは,前記クの会議の内容と同様であるが,民事再生手続開始の申立てをする場合の問題点として「資金の確保が必要である「全債権者,」,(担保権者を除く)が対象であり,債権者を特定できない「倒産法の」,一類型であり,社会的にマイナスイメージを与えることは免れない「事」,前に情報が漏れると銀行や業者が撤退するため,裁判所に申立てるまで,水面下で作業を進める必要がある」といった点が指摘された。また,同文書には,B組合の平成17年度の 与えることは免れない「事」,前に情報が漏れると銀行や業者が撤退するため,裁判所に申立てるまで,水面下で作業を進める必要がある」といった点が指摘された。また,同文書には,B組合の平成17年度の資金計画表として「年間資金計画表」(前記クと同じもの)が添付されていた。 (甲8,証人L理事,同F局長)1-10F局長,L理事,O部長及びH課長は,平成17年6月21日,G市長及びQ助役に対し「A病院の今後のあり方について(案)平成1,7年6月」と題する資料(記載内容は前記ケの文書と同様である。また,B組合の平成17年度の資金計画表として「年間資金計画表」が添付されている点も同様である)を示しながら,これまでの検討結果を説明し。 た。その際,F局長らは,G市長に対し,①B組合については民事再生手続開始の申立をするのがよいと考えていること,②民事再生手続中のつなぎ資金が必要であり,被告からの補助金での対応を考えていること,③検- 37 -討委員会を平成17年7月から発足させたいことなどを述べたところ,G市長は「今後,A病院を存続させる必要があるのかどうか。診療所にす,ることも視野に入れ,病院のあり方から進める必要がある「まずは検。」,討委員会をスタートさせること」などと発言した。 。 (甲34の1ないし3,甲35,乙16,証人L理事,同F局長)1-11B組合において,平成17年7月,A病院「今後のあり方検討」,,「」専門委員会が発足し同年8月12日第1回A病院今後のあり方検討専門委員会が開催された。同会議においては,A病院の概要についての説明がされ,今後のスケジュールの検討があり,最終的には委員会として検討した内容を「今後のあり方(案」にまとめることとされた。 )(乙18,20,証人H課長)1-12平成17 院の概要についての説明がされ,今後のスケジュールの検討があり,最終的には委員会として検討した内容を「今後のあり方(案」にまとめることとされた。 )(乙18,20,証人H課長)1-12平成17年8月25日,第2回A病院「今後のあり方検討」専門委員会が開催され,同会議においては,B組合の被告や銀行からの借入金の処理方法,A病院の敷地の権利関係の整理方法等について検討された。 (乙18,21,証人H課長)1-13平成17年9月6日,第3回A病院「今後のあり方検討」専門委員会が開催され,同会議においては,B組合が作成した「A病院の今後のあり方について(案」と題する文書が検討資料として配付され,B組合)の被告や銀行からの借入金の処理方法,診療体制の見直し等について検討された。 (乙18,22,証人H課長)1-14被告及びB組合は,2回にわたる公認会計士からの調査,指導を受け,平成17年9月12日「経営改善計画(案」と題する文書を作,)成して,A病院の経営改善計画案を示した。 (乙11,12)1-15平成17年9月28日,第4回A病院「今後のあり方検討」専門- 38 -委員会が開催され,同会議においては,①診療体制の見直しなどにより,健全な経営状態を確保した上で,法的手続により債務整理を行い,財政基盤を整える方法と,②法的手続により債務整理を行って財政基盤を整えた上で,診療体制の見直しなどにより,健全な経営状態を確保する方法について検討された。 (乙18,23,証人H課長)1-16健康福祉局は,平成17年9月ころ,例年どおり,B組合に対して補助金を交付すべく,予算要求の事務手続を開始した。 (乙16,証人H課長,同L理事)1-17G市長は,平成17年10月17日,A病院への支援に関する問題を理由の一つとして,市長を辞任 合に対して補助金を交付すべく,予算要求の事務手続を開始した。 (乙16,証人H課長,同L理事)1-17G市長は,平成17年10月17日,A病院への支援に関する問題を理由の一つとして,市長を辞任した。 (乙16,17)1-18平成17年11月15日,第5回A病院「今後のあり方検討」専門委員会が開催され,同会議においては,被告からの補助金の交付が受けられなくなる可能性が高くなったことを前提として今後の方針が検討され「地域住民が求める医療ニーズを見据えた診療体制を精査し,A病院,の病院事業の見直しが必要である。健全な財政基盤を確保するためには,法的手続きのもと市借入金等の債務を処理することが必要である。また,運営形態については,現状では,B組合による運営継続が難しいため,医療の提供の系列化などにより収支のバランスのとれることができる新たな譲渡先の確保が必要である。そのため,事業の再生を目的とする民事再生法を選択し債務が保全されるなか,速やかな譲渡を実施する方法が望ましい。しかしながら,その移行及び変革にあたり,その間の資金不足などにより,地域医療が途絶えることのないよう,運転資金等を十分に確保したうえで,取り組まなければならない。市からの支援が困難な状況のなか,新たな譲渡先からの支援を期待したい」と指摘された。 。 - 39 -(乙18,24,証人H課長)1-19A病院「今後のあり方検討」専門委員会は,平成17年11月28日ころ「A病院の今後のあり方について中間まとめ平成17年1,1月」と題する文書をまとめた。同文書には「今回,市からは事実上補,助金の交付が来年度からできなくなる可能性が高いとの示唆を受けており,補助金の継続を前提とした経営改善計画を指導してきた責任は別としても,早急に,補助金の打ち切りを前提した経営 市からは事実上補,助金の交付が来年度からできなくなる可能性が高いとの示唆を受けており,補助金の継続を前提とした経営改善計画を指導してきた責任は別としても,早急に,補助金の打ち切りを前提した経営体制を確立しなければ,医療機能の存続ができなくなるといわざるを得ない「A病院は,周辺。」,住民を含め年間20万人を超える多くの市民に利用されている地域になくてはならない医療機関であり,今後とも地域医療を継続する必要がある。 しかしながら,Y市からの多額の貸付金を抱える現在の運営主体では,経営の健全化は困難であり,民事再生等をして債務の整理を行った上,独立。 ,した経営のできる医療機関とする必要がある病院機能の存続を図るには債務整理の方法として民事再生の申立てを行い,早急に事業の譲渡先を決定して,医療機能を継続する方法が考えられる。病院側の意見では,市の指導は,補助金を継続しつつ,当面,貸付金をなくし,その後に独立した経営のための次の経営改善を行うということであり,病院としては,市の態度の豹変には納得できないとの意見があった。これに対し,市からは,市を取り巻く厳しい状況の中で,これ以上新たな支援は難しいとする意見。 ,,が出されたしかしながら病院の資金繰りが行き詰まることが明白な中責任論よりも入院患者や地域の病院利用者の利益を最優先とし,医療機能の存続を図ることを当面の課題とせざるを得ない。そのためには,当面,民事再生を選択して資金の流出を止めた上で,譲渡先を早急に確定することにより,医療機能の存続を図ることがやむを得ない手段であると思料する」と記載されている。 。 (甲40)- 40 -,,,1-20B組合は平成17年12月1日民事再生手続開始を申し立て平成18年4月1日,A病院を医療法人Cへ譲渡した。その後,B組合に る」と記載されている。 。 (甲40)- 40 -,,,1-20B組合は平成17年12月1日民事再生手続開始を申し立て平成18年4月1日,A病院を医療法人Cへ譲渡した。その後,B組合については,破産手続開始決定がされ,平成20年12月24日,破産廃止。 ,。 決定がされた原告は本件貸付について配当を得ることができなかった(前記第2の2(2)イ,弁論の全趣旨) 以上を前提に検討する。 (1) 故意による不法行為責任の有無(争点(1))ア原告の主張の要旨原告が,故意による不法行為であると主張するのは,以下の3点である(前記第2の4(1) 。 )(ア) 被告は,本件迂回融資の事実を伝えれば,原告が本件貸付をしないことを認識した上で,本件迂回融資の事実を秘匿するため,原告に対し,B組合がD銀行から直接融資を受けたかのような資料(甲10,11)を提出するとともに,その旨を口頭で説明することによって,原告をだまして錯誤に陥れ,その結果,原告をして,B組合に本件貸付金を交付させた。 ,,,(イ) 被告は原告に対してB組合の平成17年度の資金繰りを伝えれば原告が本件貸付をしないことを認識し,その上で,あえて,実現可能性のない「平成17年度補助金等執行見込」と題する表(甲11)を交付し,原告をだまして錯誤に陥れ,その結果,原告をして,B組合に本件貸付金を交付させた。 (ウ) 被告は,①本件貸付の弁済期より前にB組合が民事再生手続開始を申し立てること,②上記申立てに先だって第三者委員会を設置し,第三者委員会の検討結果を受けて上記申立てに至ったかのような外観を整える,,ことを決定していたを伝えれば原告が本件貸付をしないことを認識しその上で,あえて,客観的状況とはかけ離れた内容を記載した文書(平- 41 -「」,) に至ったかのような外観を整える,,ことを決定していたを伝えれば原告が本件貸付をしないことを認識しその上で,あえて,客観的状況とはかけ離れた内容を記載した文書(平- 41 -「」,)成17年6月9日付け借入金返済確認書と題する文書甲5の25を交付し,原告をだまして錯誤に陥れ,その結果,原告をして,B組合に本件貸付金を交付させた。 以下,順に検討するイ本件迂回融資の事実を秘匿して虚偽の事実を説明したとの主張(前記ア(ア))について(ア) D銀行からの融資が継続する可能性被告は,平成16年度の融資交渉に際して,D銀行から,①被告が損失補償をすること,②E協会以外の外郭団体が担保を提供すること,③融資先をE協会とし,その融資金をE協会がB組合に融資することを提案され(前記1(2)イ(ア) ,やむを得ず③の方法を選択して本件迂回融)資を受けることにし(前記1(2)イ(イ) ,しかも,E協会を介しての迂)回融資は今後は行わないことを表明している上(前記1(2)イ(ウ) ,平)成16年11月及び平成17年2月に2度にわたって融資を断られ(前記1(2)イ(オ)及び(キ) ,平成17年度においても,具体的な融資の交)渉をしていないのであるから(前記1(2)ウ,D銀行からの融資は,)本件迂回融資を最後に,事実上不可能な状況であったというべきである(なお,B組合は,平成17年5月27日,通常総代会を開催し,平成17年度の短期借入金額の最高限度について,D銀行から4億円,原告から4億円とすることを決議しているが〔前記1(4)キ,このことは〕上記認定を覆すには足りない。 。)(イ) 原告の認識B組合は,原告が平成15年12月5日に貸し付けた2億2000万,(),円について弁済期平成16年5月31日に弁 このことは〕上記認定を覆すには足りない。 。)(イ) 原告の認識B組合は,原告が平成15年12月5日に貸し付けた2億2000万,(),円について弁済期平成16年5月31日に弁済することができずD銀行から融資(実際には本件迂回融資)を原資として,弁済期に10日遅れて弁済したが(前記1(3)イ(オ)ないし(ク) ,そのことがあって)- 42 -,,,以降原告はD銀行のB組合に対する融資が継続するか否かについてこれまで以上に特に関心を示すようになり,被告に対し,①平成16年6月8日付け「借入金返済確認書」と題する文書に「なお,D銀行からは,平成16年度のA病院運転資金として,総額4億2千万円の融資をいただくとの確約を取りつけております」と記載させたり(前記1(3)ウ(イ) ,②平成16年11月16日付け「借入金返済確認書」と題す)る文書にも「なお,D銀行からは,平成17年度のA病院運転資金として,今年度と同様の総額4億2千万円の融資をいただくよう,現在交渉を進めているところでありますので,何卒ご理解いただき,引き続きご支援賜りますようよろしくお願い申し上げます」と記載させたり(前。 記1(3)ウ(オ) ,さらには,③本件貸付をするに当たり,H課長らに対)して,D銀行からの融資について質問したりしていた(前記1(3)エ(ア) 。 )これらの事実関係からすると,原告は,本件貸付をするに当たって,D銀行のB組合に対する融資が継続するか否かを重要な判断要素の一つとしていたことがうかがわれ,もし,平成16年6月10日のD銀行からの融資が迂回融資(本件迂回融資)であったことを知ったとすれば,B組合がD銀行から継続して融資が受けることは難しいと判断して,少なくとも,無担保での新たな融資は行わなかったものと認められ D銀行からの融資が迂回融資(本件迂回融資)であったことを知ったとすれば,B組合がD銀行から継続して融資が受けることは難しいと判断して,少なくとも,無担保での新たな融資は行わなかったものと認められる。 (ウ) 被告の行為に対する評価被告においても,平成17年5月11日に開催された健康福祉局の会議において,原告がD銀行の動きに敏感であることが指摘されていること(前記1(4)カ)から明らかなとおり,原告が,B組合に融資するに当たり,D銀行のB組合に対する融資が継続するか否かを重要な判断要素の一つとしていたことを認識していたということができるし,本件貸付についてみても,少なくとも,本件迂回融資の事実を伝えれば,原告- 43 -が無担保での新たな融資をしなくなる可能性があることは認識していたというべきである。 それにもかかわらず,被告は,原告に対して本件貸付を依頼するに際し,平成16年6月にB組合がD銀行から直接融資を受け,それを平成17年4月に弁済したかのような資料(平成16年度補助金等執行実「績」と題する表〔甲10〕及び「平成17年度補助金等執行見込」と題する表を〔甲11)を提出しているが,これは,D銀行のB組合に対〕する融資が継続するか否かを融資の可否に関する重要な判断要素の一つとしている原告を誤信させる行為であるといわざるを得ない(なお,甲11を提出したことの別の問題〔前記ア(イ)の点〕については,後記ウ(ア),(イ)のとおりである。原告は,被告の上記行為によって,D銀。)行のB組合に対する融資が継続し得るものと誤信し,その結果,担保の設定を受けることなく,本件貸付を行ったということができるのであるから,被告の上記行為は,故意による不法行為に該当する。 ウ実現可能性のない資金計画表を提出したとの主張(前記ア(イ))につい 担保の設定を受けることなく,本件貸付を行ったということができるのであるから,被告の上記行為は,故意による不法行為に該当する。 ウ実現可能性のない資金計画表を提出したとの主張(前記ア(イ))について(ア) 原告が交付を受けた平成17年度補助金等執行見込と題する表甲「」(11)の意味a「A病院の今後のあり方」と題する文書に添付された「年間資金計画表」と題する表(甲33,前記1(4)ク「A病院の今後あり方),について(案)平成17年6月7日作成」と題する文書に添付された「年間資金計画表」と題する表(甲8,前記1(4)ケ)及び「A病院の今後のあり方について(案)平成17年6月」と題する文書に添付された「年間資金計画表」と題する表(甲34の3,前記1(4)コ)は,いずれも同じものであり,B組合の平成17年度の資金計画を示すものである(これに反する証人H課長及び同M係長の各証言は- 44 -採用することができない。 。)上記各「年間資金計画表」と題する表と原告が交付を受けた「平」(,)成17年度補助金等執行見込と題する表甲11前記1(3)エ(ア)とで異なる部分は,D銀行からの融資の予定及びその他の支出,前月繰越及び月末資金残高であり,詳細は以下のとおりである(なお,本文中には原告が交付を受けた「平成17年度補助金等執行見込」と題する表の記載を掲げ,括弧内には上記「年間資金計画表」と題する表に記載された金額を掲げた。 。)(a) D銀行からの融資の予定①平成17年9月1億円(0円)②平成17年10月5000万円(0円)③平成18年1月5000万円(0円)④平成18年2月1億円(0円)⑤平成18年3月1億円(0円)(b) その他の支出①平成16年9月1億2600万円 0月5000万円(0円)③平成18年1月5000万円(0円)④平成18年2月1億円(0円)⑤平成18年3月1億円(0円)(b) その他の支出①平成16年9月1億2600万円(2000万円)②平成17年12月7700万円(2000万円)③平成18年2月1億3300万円(3300万円)⑤平成18年3月7000万円(2000万円)(c) 前月繰越及び月末残高①平成17年9月の月末残高及び同年10月の前月繰越3600万円(4200万円)②平成17年10月の月末残高及び同年11月の前月繰越6900万円(2500万円)③平成17年11月の月末残高及び同年12月の前月繰越5100万円(700万円)- 45 -④平成17年12月の月末残高及び平成18年1月の前月繰越4600万円(5900万円)⑤平成18年1月の月末残高及び同年2月の前月繰越6200万円(2500万円)⑥平成18年2月の月末残高及び同年3月の前月繰越2200万円(-1500万円)⑦平成18年3月の月末残高4700万円(-4000万円)なお,前月繰越及び月末残高が異なるのは,D銀行からの融資の予定及びその他の支出が異なることに対応するものである。 (d) そのほかに,平成17年5月の「その他収入」及び平成17年6月の「その他(支出)の金額が異なっているが,その差は「当」,座貸越」を別途に記載するか,それとも「その他収入」及び「その他(支出)に含めて記載するかの違いに帰着するものであり,実」質的には同一の内容を示しているといえる。 b以上の記載内容からすると,被告が原告に対し「平成17年度補助金等執行見込」と題する表を交付してその内容を示したことが,①B組合は,平成17年度において,D銀行から融資を受けることが可能 える。 b以上の記載内容からすると,被告が原告に対し「平成17年度補助金等執行見込」と題する表を交付してその内容を示したことが,①B組合は,平成17年度において,D銀行から融資を受けることが可能であったか否か,②B組合は,平成18年2月に資金不足に陥り,破綻することが予想されていたか,の2点において原告の判断を誤らせ,(,るものとして不法行為に該当するかということが問題となるなおその他の支出の金額が異なる点については,D銀行からの融資に対応して改修工事等の支出を増減させているものといえ〔証人M係長,〕結局は,上記①の問題に集約されるものである。 。)以下,上記①及び②について検討する。 (イ) D銀行からの融資の予定(①)について- 46 -D銀行からの融資は,本件迂回融資を最後に,事実上不可能な状況であったというべきであるところ(前記イ(ア) ,原告は,本件貸付をす)るに当たって,D銀行のB組合に対する融資が継続するか否かを重要な判断要素の一つとしていたことがうかがわれ,D銀行からの融資が事実上不可能な状態であったことを知ったとすれば,少なくとも,無担保での新たな融資は行わなかったということができる(前記イ(イ) 。被告)も,原告が,B組合に融資するに当たり,D銀行のB組合に対する融資が継続するか否かを重要な判断要素の一つとしていたことを認識していたということができ,本件貸付の際にも,少なくとも,D銀行からの融資が事実上不可能な状態であったことを伝えれば,原告が,無担保での新たな融資を拒絶する可能性があることは認識していたということができる(前記イ(ウ) 。それにもかかわらず,被告は,原告に対して本件)貸付を依頼するに際し,平成17年度においてもD銀行がB組合に対して融資を行うかのような記載がされている「平 いたということができる(前記イ(ウ) 。それにもかかわらず,被告は,原告に対して本件)貸付を依頼するに際し,平成17年度においてもD銀行がB組合に対して融資を行うかのような記載がされている「平成17年度補助金等執行見込」と題する表を交付しているが(前記1(3)エ(ア) ,これは,D銀)行のB組合に対する融資が継続するか否かを融資の可否に関する重要な判断要素の一つとしている原告を誤信させる行為であるといわざるを得ない。原告は,被告の上記行為によって,D銀行のB組合に対する融資が継続し得るものと誤信し,その結果,担保の設定を受けることなく,,,本件貸付を行ったということができるのであるから被告の上記行為は故意による不法行為に該当する。 (ウ) 資金不足による破綻(②)についてa上記各「年間資金計画表(甲8,33,34の3)には,平成」18年2月には1500万円の資金不足,同年3月には4000万円の資金不足に陥るとの見込みが記載されており,B組合は,本件貸付当時,本件貸付の弁済期(平成18年4月28日)が到来する前に破- 47 -綻し,本件貸付を弁済することができない状態であったかのようにもみえる。そこで,以下検討する。 b補助金交付の予定健康福祉局は,平成17年6月6日の会議において,民事再生手続開始の申立てを行うとした場合の時期について「次年度補助金の予,算化により,運転資金の確保がされている次年度当初」を候補の一つとして検討しており(前記1(4)ク,平成17年9月ころから,B)組合に対して補助金を交付すべく予算要求の事務手続を開始しているし(前記1(4)タ,平成17年9月28日に開催された第4回A病)院「今後のあり方検討」専門委員会においても「診療体制の見直し,などにより,健全な経営状態を確保した上で の事務手続を開始しているし(前記1(4)タ,平成17年9月28日に開催された第4回A病)院「今後のあり方検討」専門委員会においても「診療体制の見直し,などにより,健全な経営状態を確保した上で,法的手続により債務整理を行い,財政基盤を整える方法」が検討されており,当面は,被告から補助金が交付されることが前提となっていたことがうかがわれる(前記1(4)ソ。他方,G市長が,平成17年10月17日,A病)院への支援に関する問題を理由の一つとして,市長を辞任し(前記1(4)チ,その後の平成17年11月15日に開催された第5回A病)院「今後のあり方検討」専門委員会においては,被告から補助金が交付されない可能性が高くなったことを前提として,A病院に関する今後の方針が検討されている(前記1(4)ツ。 )これらの事実関係からすると,被告においては,G市長が辞任する直前までは,例年どおり,B組合に対して補助金を交付する方針であったが,G市長が,A病院への支援に関する問題を理由との一つとして市長を辞任したことから,B組合に対して補助金を交付するとの方針を改めざるを得なくなったということができる。 したがって,被告は,本件貸付当時(平成17年6月24日,B)組合に対して,平成18年度においても,例年どおり,補助金を交付- 48 -する予定であり,本件貸付の弁済原資として補助金を予定していたということができる。 c本件貸付の弁済期までB組合が存続する可能性上記各「年間資金計画表(甲8,33,34の3)には,平成」18年2月には1500万円の資金不足,同年3月には4000万円の資金不足に陥るとの見込みが記載されている。しかし,不足資金の額は上記のとおりであってさほど高額とはいえず,他方,同年4月には8億円近くの補助金が交付される見込みで 不足,同年3月には4000万円の資金不足に陥るとの見込みが記載されている。しかし,不足資金の額は上記のとおりであってさほど高額とはいえず,他方,同年4月には8億円近くの補助金が交付される見込みであったのであるから,L理事らが考えていたように,薬剤の支払を猶予してもらうなどの方法で対応すること(前記1(4)ク)は,客観的にみても実現可能なものであったということができる。 したがって,B組合は,本件貸付当時,本件貸付の弁済期(平成18年4月28日)が到来する前に破綻することなく,存続することが見込まれていたということができる。 d以上のとおり,被告は,本件貸付当時,補助金を交付することによって本件貸付を弁済することを予定していた上,B組合も,平成18,,年2月から資金不足に陥るおそれはあったものの破綻することなく存続することが見込まれていたのであるから,被告において,B組合が資金不足により破綻することが想定されていたということはできない。よって,被告が「平成17年度補助金等執行見込」と題する表,を交付したことをもって(前記1(3)エ(ア) ,平成17年度に資金不)足に陥ることがないという虚偽の説明をしたと評価することはできず,この点での不法行為は成立しない。 エ民事再生手続を計画していたことを秘匿して平成17年6月9日付け「借入金返済確認書」と題する文書を交付したとの主張(前記ア(ウ))について- 49 -被告は,平成17年2月ころから,A病院,すなわち,B組合に対する被告の支援(貸付及び補助金の交付等)のあり方について検討を始めるとともに,併せて,地域医療を確保する観点から,A病院の経営の健全化,すなわち,被告や銀行からの多額の借入金の解消,収支の改善等についても検討を始めた(前記1(4)アないしコ。 )上記検討作 めるとともに,併せて,地域医療を確保する観点から,A病院の経営の健全化,すなわち,被告や銀行からの多額の借入金の解消,収支の改善等についても検討を始めた(前記1(4)アないしコ。 )上記検討作業においては,特定調停や任意整理による方法も検討の対象とはされていたものの(前記1(4)ア,エ,カ「民事再生手続開始の申),立てを選択せざるを得ない(前記1(4)ウ,エ)との意見が出たことか」ら明らかなとおり,民事再生手続開始の申立てによる方法がもっとも有効な方法であるとして,特に重点的に検討されていたということができる。 しかしながらB組合が民事再生手続を申し立てる時期については銀,,「行融資の継続が困難になったとき」と「次年度補助金の予算化により,運転資金の確保がされている次年度当初」とが検討されており(前記1(4)オ,ク,必ずしも,原告からの借入金を弁済しないことを前提として民)事再生手続を申し立てることだけが検討されていたということはできない。むしろ,被告は,原告を含めた銀行からの借入金を解消させることも視野に入れ(前記1(4)オ,カ,また,G市長が辞任する平成17年1)0月17日までは,B組合に対して補助金を交付する予定でもあった(前記ウ(ウ)b。 )以上によれば,被告は,本件貸付当時,B組合について,いずれは民事再生手続開始の申立てをしなければならないと認識していたものの,原告からの借入金を弁済する前に民事再生手続開始を申し立てさせることを決定していたということはできない。 そうすると,被告が,原告に対して平成17年6月9日付け「借入金返済確認書」と題する文書(甲5の25)を交付したことをもって,故意による不法行為と評価することはできない。 - 50 -オまとめ以上のとおりであるから,被告は,①平成16年6 9日付け「借入金返済確認書」と題する文書(甲5の25)を交付したことをもって,故意による不法行為と評価することはできない。 - 50 -オまとめ以上のとおりであるから,被告は,①平成16年6月にB組合がD銀行から直接融資を受け,それを平成17年4月に弁済したこと,②平成17年度においてもD銀行がB組合に対して融資を行う予定であることの2点において,真実を秘匿して虚偽の事実を記載した資料を提出したというべきであり,このことを理由として,故意による不法行為責任を認めることはできるが,その余の点については故意による不法行為責任を認めることはできない。 (2) 信義則上の義務違反による不法行為責任の有無(争点(2))ア被告が原告に対して負う義務の内容及び責任の有無被告は,本件貸付の借主ではないのであるから,本来であれば,原告に対し,契約関係を前提にした信義則上の義務を負うものではないが,B組合が経営するA病院は公的医療機関として位置付けられ,それ故,被告はB組合に対して多額の貸付及び補助金を支出してその存続を全面的に支援してきたこと,被告の健康福祉局長(ただし,平成12年までは環境保健局長)が,平成4年6月以降,原告に対し,B組合への貸付を依頼する旨の文書及び当該貸付金については被告がB組合に対して交付する補助金によって責任をもって返済させることを約束する旨の文書を作成して交付してきており,原告との間の融資交渉も,長年にわたって被告の健康福祉局の職員が行っていたことの各点を考慮すると,被告は,原告に対し,本件貸付の交渉をするに当たって,信義則上,原告の融資の可否の判断に重要な影響を及ぼす事項について不正確な情報を提供してはならないという義務を負い,同義務違反の程度・態様が自由競争の範囲を超え,社会的相当性を欠くときには,不法行為 義則上,原告の融資の可否の判断に重要な影響を及ぼす事項について不正確な情報を提供してはならないという義務を負い,同義務違反の程度・態様が自由競争の範囲を超え,社会的相当性を欠くときには,不法行為責任を負うというべきである。 イ義務違反の事実及び責任の有無について(ア) D銀行からの融資について- 51 -前記(1)のとおり,被告は,①平成16年6月にB組合がD銀行から直接融資を受け,それを平成17年4月に弁済したこと,②平成17年度においてもD銀行がB組合に対して融資を行う予定であることの2点において,原告に対し,真実を秘匿して虚偽の事実を記載した資料を提出したのであり,このことは,原告に対する信義則上の義務に違反し,その程度・態様は,自由競争の範囲を超えた社会的相当性を欠くものということができる。 よって,被告の原告に対する信義則上の義務違反を理由とする不法行為責任を認めることができる。 (イ) 資金不足による破綻について(前記(1)ウ(ア)b②)被告は,被告内部における会議等においては,平成18年2月には1500万円の資金不足,同年3月には4000万円の資金不足に陥るとの見込みが記載された「年間資金計画表(甲8,33,34の3)」を検討しておきながら,原告に対しては,平成17年度に資金不足に陥ることがないかのような記載がされている「平成17年度補助金等執行見込」と題する表(甲11)を交付しているところ,平成17年度中に資金不足となるか否かは,融資の可否の判断に重要な影響を及ぼす事項であり,被告は,その点について不正確な情報を原告に提供したというべきである。 しかしながら,前記(1)ウ(ウ)のとおり,B組合は,平成18年2月から資金不足に陥るおそれはあったものの,破綻することなく,本件貸付の弁済期まで存続することが見込 告に提供したというべきである。 しかしながら,前記(1)ウ(ウ)のとおり,B組合は,平成18年2月から資金不足に陥るおそれはあったものの,破綻することなく,本件貸付の弁済期まで存続することが見込まれる状況にあったところ,被告は,本件貸付当時,B組合に対し,平成18年度に補助金を交付することによって本件貸付を弁済させることを具体的に検討しており,かかる検討内容が実現不可能であったというべき事情も認められないのであるから,平成18年2月には1500万円の資金不足,同年3月には400- 52 -0万円の資金不足に陥るとの見込みを秘してこれとは異なる情報を提供したとしても,そのことをもって,社会的相当性を逸脱した行為であると評価することはできない。 したがって,被告が,原告に対し,平成17年度に資金不足に陥るこ「」とがないかのような記載がされている平成17年度補助金等執行見込と題する表を交付したことをもって,被告の原告に対する信義則上の義務違反を理由とする不法行為責任を認めることはできない。 (ウ) 民事再生手続開始の申立てについて被告は,本件貸付当時,B組合について,いずれは民事再生手続開始の申立てをしなければならないと認識していたものの,原告からの借入金を弁済する前に民事再生手続開始を申し立てさせることを決定していたということはできないし(前記(1)エ,B組合は,本件貸付当時,)本件貸付の弁済期(平成18年4月28日)が到来する前に破綻することなく,存続することが見込まれており,平成18年度においても,例年どおり,補助金が交付される予定であったということができるのであ(),「」るから前記(1)ウ(ウ)平成17年6月9日付け借入金返済確認書(甲5の25)にある「A病院の今回の借入金につきましては,平成18年4月2 定であったということができるのであ(),「」るから前記(1)ウ(ウ)平成17年6月9日付け借入金返済確認書(甲5の25)にある「A病院の今回の借入金につきましては,平成18年4月28日までに,本市が責任をもって返済させますので,何卒ご理解いただき,引き続きご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます」との記載は,本件貸付当時としては,不正確な情報であったと。 いうことはできない。 よって,被告が,原告に対し,借入金は責任をもって全額返済させる旨の平成17年6月9日付け「借入金返済確認書」と題する文書を提出したことをもって,被告の原告に対する信義則上の義務違反を理由とする不法行為責任を認めることはできない。 ウまとめ- 53 -以上のとおりであるから,被告が,①平成16年6月にB組合がD銀行から直接融資を受け,それを平成17年4月に弁済したこと,②平成17年度においてもD銀行がB組合に対して融資を行う予定であることの2点について,真実を秘匿して虚偽の事実を記載した資料を提出したことをもって,被告の原告に対する信義則上の義務違反を原因とする不法行為責任を認めることはできるが,その余の点については原告に対する信義則上の義務違反を原因とする不法行為責任を認めることはできない。 (3) 損害額(争点(3))ア本件貸付金(2億円),,原告は①B組合が平成16年6月に受けた融資がD銀行からではなく迂回融資(本件融資)であったこと,②B組合は平成17年度においてD銀行から融資を受けることが事実上不可能な状況であったことを知っていたのであれば,少なくとも,無担保での新たな融資はしなかったと認められるところ(前記(1)イ(イ)及びウ(イ) ,被告から上記2点について虚偽)の事実が記載された資料(平成16年度補助金等執行実 たのであれば,少なくとも,無担保での新たな融資はしなかったと認められるところ(前記(1)イ(イ)及びウ(イ) ,被告から上記2点について虚偽)の事実が記載された資料(平成16年度補助金等執行実績」と題する表「〔〕「」〔〕)甲10及び平成17年度補助金等執行見込と題する表甲11の交付を受けたことにより,本件融資が可能であると誤信し,その結果,,(),B組合に対して無担保で2億円を貸し渡した本件貸付のであるから原告は,被告の不法行為によって,B組合に貸し渡した2億円又は適切な担保の設定によって回収することができた貸金返還請求権相当額2億円について,損害を被ったということができる。 イ過失相殺本件は,被告が,原告に対し,上記2点(前記ア①及び②)について,故意及び過失により虚偽の情報を提供したことをもって,被告の不法行為,,,,責任が認められる事案であるが他方で原告においても後記のとおり本件貸付をするに際して過失が認められるから,過失相殺をするのが相当- 54 -である。 以下,検討する。 (ア) 被告の行為の違法性の程度a本件貸付が弁済される見込み前記(1)ウ(ウ)のとおり,B組合は,平成18年2月から資金不足に陥るおそれはあったものの,破綻することなく,本件貸付の弁済期まで存続することが見込まれる状況にあった上に,被告は,本件貸付当時,B組合に対し,平成18年度に補助金を交付することによって本件貸付を弁済させることを具体的に検討しており,かかる検討内容が実現不可能であったというべき事情も認められないのであるから,本件貸付当時,本件貸付が弁済される見込みはあったということができる。 b本件貸付の可否を判断するに当たっての考慮要素としてのD銀行の動向原告は,D銀行の動向は 事情も認められないのであるから,本件貸付当時,本件貸付が弁済される見込みはあったということができる。 b本件貸付の可否を判断するに当たっての考慮要素としてのD銀行の動向原告は,D銀行の動向は,本件貸付の可否を判断するに当たり,重要な要素であった旨主張する(前記第2の4(2)イ(ア)a。 )そこで検討するに,なるほど,一般的には,多額の融資をしている金融機関の動向は,融資の回収可能性を左右する徴表たり得ることからすると,融資の可否を判断するにあたって重要な判断要素となり得。 ,,,るところではあるしかしながらそもそも融資先への融資判断は金融機関である原告が多種多様な情報を総合して行うものであるところ,被告担当職員からもたらされるD銀行の動向に関する情報は,融資判断の基礎となる多種多様な情報の一つにすぎないのであるから,これのみを殊更重要視するのは相当ではない。 この点について,原告は,D銀行がB組合の情報を多く収集できる立場にあったことを強調するが(前記第2の4(2)イ(ア)a,そもそ)- 55 -も,B組合は被告による多額の資金支援なくしてその経営を維持できる状態にはなく,原告もそのことを認識していた以上,B組合に関する情報が本件貸付の可否を判断するに際しての重要な要素ということはできないのであって,そうすると,D銀行がB組合の情報を多く収集できる立場にあったことをもって同銀行の動向の重要性を認めることはできない。むしろ,①原告が平成16年6月25日及び同年12,,月8日に実行したB組合に対する貸付はD銀行からの融資ではなく被告が交付した補助金を原資として返済されていること,②前記aのとおり,本件貸付当時,D銀行の融資がなかったとしても,補助金を原資として同貸付が弁済される見込みがあったこと,③被告は,B 資ではなく被告が交付した補助金を原資として返済されていること,②前記aのとおり,本件貸付当時,D銀行の融資がなかったとしても,補助金を原資として同貸付が弁済される見込みがあったこと,③被告は,B組合に対し,長年にわたり多額の資金援助を継続し(しかも,同資金援助は,補助金はもとより,貸付金についても,事実上弁済を要しないものであった〔前記第2の2(4)イ,その金額もD銀行の融資額〕。)を優に上回っていることの各点を併せ考慮すれば,本件において,D銀行の動向は,本件貸付の回収可能性を左右する重要な要素と位置付けることはできず,本件貸付の判断の可否を判断するに際しての最も重要な要素は,被告による資金援助が継続するか否かの点にあったというべきである。 c被告の立場被告は,B組合に対して,自らも多額の貸付及び補助金の交付を行っているのであり,原告に対してD銀行の動向に関する虚偽の情報を提供したのも,A病院を継続させて地域医療を確保するための窮余の一策としてされた面もないではない。 dまとめ以上によれば,被告は,原告が,本件貸付の可否の判断するに当たり,D銀行の動向を重要な要素と考えていたことを認識した上で,D- 56 -銀行の動向について虚偽の事実を原告に伝え,その態様も,あえて,被告の内部検討資料とは異なる「平成17年度補助金等執行見込」を作成して原告に交付していることからして,巧妙であることは否めないが①本件貸付当時本件貸付が弁済される見込みはあったこと前,,(記a,②被告が虚偽の情報として提供したD銀行の動向は,本件貸)(),付の可否を判断する当たって重要な要素とはいえないこと前記b③被告が虚偽の情報を提供したのは,地域医療を確保するためのものであったこと(前記c)などを考慮すると,被告の行為は,強い違法 (),付の可否を判断する当たって重要な要素とはいえないこと前記b③被告が虚偽の情報を提供したのは,地域医療を確保するためのものであったこと(前記c)などを考慮すると,被告の行為は,強い違法性を帯びるものではないというべきである。 (イ) 原告の過失の程度a原告は,H課長らから事情を聞いたり,B組合の決算書「平成1,6年度補助金等執行実績」と題する表「平成17年度補助金等執行,見込」と題する表,平成17年6月9日付け「B組合A病院に対する貸出について(依頼」と題する文書及び同日付け「借入金返済確認)書」と題する文書を提出させるなどしただけで,本件貸付をしたものであるが,以下に述べるとおり,金融機関の審査として不十分なものといわざるを得ない。 b市長の言動やY市議会の情勢等に対する調査ないし審査について(a) 前記(ア)bのとおり,B組合は被告による多額の資金援助なくしては,到底,その経営を維持できる状態にはなかったのであり,本,,件貸付の可否を判断するに当たってはB組合の経営状態ではなく被告の支援が継続するか否かが重要であった。とりわけ,被告のB組合に対する多額の貸付及び補助金の交付の経過は異常ともいうべきものであり,平成14年3月における予算市会での付帯決議の存()()在前記1(1)ウや平成17年3月のG市長の答弁前記1(4)イを踏まえれば,被告のB組合に対する資金支援について,遅かれ早- 57 -かれ,Y市議会等において問題とされ得ることは明らかな状況にあったのであるから,本件貸付の審査に当たっては,市長の言動やY市議会の情勢等についても十分に検討しなければならなかったというべきである。 (b) この点に関する原告の対応をみるに,原告は,本件貸付をするに当たり,被告担当職員にF局長名義の平 ,市長の言動やY市議会の情勢等についても十分に検討しなければならなかったというべきである。 (b) この点に関する原告の対応をみるに,原告は,本件貸付をするに当たり,被告担当職員にF局長名義の平成17年6月9日付け「B組合A病院に対する貸出について(依頼」と題する文書及び同日)付け「借入金返済確認書」と題する文書を提出させているところではあるが,被告のような地方公共団体においては,担当職員の意向のみでは最終的な意思決定とならないことは一般的にあり得ることであるし,特に,前記(a)のような状況にあった被告においてはなおさらのことである。しかも,上記のような書面を地方公共団体である被告が提出すること自体,異常な事態というべきであって,このような書面の存在が公になれば,被告のB組合に対する資金支援を巡る議会等の情勢に影響を及ぼしかねず,被告といえどもB組合に対する資金支援を断念せざるを得なくなる可能性があったことは,金融機関でなくとも,一般人であれば容易に認識できたことである。それにもかかわらず,原告は,上記のような事象を特段異常なものとして捉えていなかった(証人P支店長)ばかりか,Y市議会の情勢等に関しては「実務上も,余りそういう知識はなかった,んで,結果だけ申し上げますと,議会の動向に関しては,Y市役所の説明のみで理解しておりました(証人N課長)というのであ。」るから,原告は,本件貸付をするに当たって,市長の言動やY市議会の情勢等の重要性に対する認識が根本的に欠如していたというほかはなく,必然的に,それらについて十分な調査ないし審査を行っていなかったといわざるを得ない。 - 58 -(c) 原告の調査ないし審査が不十分であったことは,D銀行の対応と対比すればより明らかである。すなわち,D銀行は,平成14年3月における 審査を行っていなかったといわざるを得ない。 - 58 -(c) 原告の調査ないし審査が不十分であったことは,D銀行の対応と対比すればより明らかである。すなわち,D銀行は,平成14年3月における予算市会での附帯決議(前記1(1)ウ)を受け,平成15年度からはE協会を連帯保証人にさせ,平成16年度には,E協,,,会の連帯保証に加え被告の損失補償等の確実な担保を求め結局これに応じられなかった被告が迂回融資による方法を選択せざるを得なくなり(本件迂回融資,以後,B組合に対して融資をしてい)ないのであるが(前記1(2) ,D銀行が,B組合の経営改善が進)んでいた(前記1(1)ウ)にもかかわらず,上記のような対応をしたのは,市長の言動やY市議会の情勢等を十分に検討した結果であると理解することができる。このことは,金融機関が通常の調査ないし審査をしていれば,損害の発生を未然に防げたということを端的に示す好例である。 (d) 以上のとおりであるから,原告は,本件貸付をするに当たって重要な判断要素となる市長の言動やY市議会の情勢等について十分な調査ないし審査をしていない点で過失がある。 cD銀行の動向に関する調査ないし審査について前記bのとおり,原告は,本件貸付をするに当たり,被告の資金援助が継続する可能性に関わる市長の言動やY市議会の情勢等について,その重要性に対する認識を欠き,それらについて十分調査ないし審査を行わず,その反面,回収可能性の観点からは必ずしも重要性が高いとはいえないD銀行の動向については,被告担当職員に対して再三確認等を行っており,むしろ,このことを最大の関心事として捉えていたということができる。 原告が,D銀行の動向を重要視することは理解し難いところであるが,その点はさておき,D銀行の動向を本件貸付の可否を判断 行っており,むしろ,このことを最大の関心事として捉えていたということができる。 原告が,D銀行の動向を重要視することは理解し難いところであるが,その点はさておき,D銀行の動向を本件貸付の可否を判断するに- 59 -当たっての重要な判断要素と位置付けるのであれば,原告としては,,。 ,その点についてより慎重に調査ないし審査をすべきであった特に原告は,本件貸付時点において,D銀行のB組合に対する平成16年度の融資枠が4億2000万円であったにもかかわらず,実行された融資額が2億5000万円にとどまっていたこと,上記の融資手続にも遅れを生じた結果,原告が平成15年12月5日に実行した貸付の返済も遅延したとの各事情を認識していたのであるから,なおさらのことである。そうすると,原告としては,被告の担当職員らの言動を鵜呑みにすることなく,例えば,自らがB組合に対して問い合わせたりするなどして調査を尽くすべきであったというべきであるが,本件では,何らそのような調査をしていない。 したがって,原告は,自らが重要視するD銀行の動向についてみても,十分な調査ないし審査をしなかったといわざるを得ず,その点についても原告に過失がある。 (ウ) 以上のとおり,被告は,原告に対し,故意に虚偽の情報を提供しているが,その違法性は必ずしも強いものではないし,他方で,原告には,市長の言動やY市議会の情勢等及びD銀行の動向について十分な調査ないし審査をしていない点で過失が認められる。そして,本件の損害は,被告がB組合に対する支援ができなくなり,B組合が民事再生手続開始の申立てをしたことによって現実化したものであり,損害の現実化という意味においては,D銀行がB組合に対する融資をしなかったこととは直接関係がなく,むしろ,原告が,D銀行のように,市長の言動やY市議 の申立てをしたことによって現実化したものであり,損害の現実化という意味においては,D銀行がB組合に対する融資をしなかったこととは直接関係がなく,むしろ,原告が,D銀行のように,市長の言動やY市議会の情勢等を十分に検討していれば,防ぐことができたものであることを考慮すると,原告の過失によるところが大きいというべきである。 これらの事情を総合すると,原告の過失割合を5割とするのが相当である。 - 60 -ウ損害額(ア) 本件貸付金相当額前記アのとおり,原告は,被告の不法行為によって,本件貸付金相当額である2億円の損害を被ったということができるが,被告が原告に対して賠償すべき金額は,前記イの過失割合(5割)を控除した残額である1億円である。 (イ) 弁護士費用これまでに検討したところを総合すると,弁護士費用のうち,被告の不法行為と相当因果関係にあるのは1000万円とするのが相当である。 (ウ) 合計よって,被告は,原告に対し,不法行為に基づく損害賠償請求権として,前記(ア)及び(イ)の合計額である1億1000万円(1億円+1000万円=1億1000万円)を支払わなければらない。 (4) 債務保証又は第三者弁済の合意の有無保証契約は書面でされなければならないところ,本件では,書面をもって保証契約がされたとの事実は認められない(平成17年6月9日付け「B組合A病院に対する貸出について(依頼」と題する文書及び同日付け「借入)金返済確認書」と題する文書が上記書面に該当しないことはその文言からも明らかである。また,被告が,原告に対し,第三者弁済をする旨の意思。)表示をしたとの事実も認められない。 よって,原告の債務保証又は第三者弁済の合意の有無に関する主張は失当であり,原告の予備的請求は理由がない。 (5) 結論以上の次第であるから をする旨の意思。)表示をしたとの事実も認められない。 よって,原告の債務保証又は第三者弁済の合意の有無に関する主張は失当であり,原告の予備的請求は理由がない。 (5) 結論以上の次第であるから,原告の被告に対する請求のうち,主位的請求である不法行為に基づく損害賠償請求権として,1億1000万円及びうち1億- 61 -円本件貸付金相当額前記(3)ウ(ア)に対しては平成17年6月24日不(,)(法行為日)から,うち1000万円(弁護士費用,前記(3)ウ(イ))に対しては平成18年11月6日(訴状送達の日)から各支払済みまで民法所定の年5パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり,その余については,予備的請求も含め,理由がない。 よって,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第22民事部裁判長裁判官小西義博裁判官瀬戸茂峰裁判官渡辺諭
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