令和6(わ)401 業務上過失致死

裁判年月日・裁判所
令和7年1月27日 大津地方裁判所
ファイル
hanrei-pdf-93925.txt

判決文本文2,060 文字)

令和7年1月27日宣告大津地方裁判所刑事部判決令和6年(わ)第401号業務上過失致死被告事件主文被告人を禁錮1年6月に処する。 この裁判確定の日から4年間その刑の執行を猶予する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、滋賀県長浜市(住所省略)所在の学童保育所Aの園長として同保育所を利用する児童の安全確保等の業務に従事していたものであるが、令和5年▲月▲日午後1時頃、同市(住所省略)所在のB施設内にあるプール(以下「本件プール」という。)において、被告人のほか、A職員Cら合計3名を監視員とし、小学1年生から小学6年生までの児童合計46名を本件プールで遊泳させるに当たり、本件プールは水深約0.6メートルの小プールと水深約1.1メートルから約1.3メートルの大プールが一体となったプールであり、小プールと大プールはステンレス製の柵で区切られていたものの、容易にこれを乗り越えて小プールから大プールへ移動できる構造になっており、身長が大プールの水深に満たず、遊泳能力の乏しい児童が直接大プールに入水する、あるいは小プールから前記柵を乗り越えて大プールに移動すれば、同児童らが大プールにおいて溺水する危険があることは容易に予見し得たのであるから、被告人ら4名の監視員で監視を実施するのであれば、かかる溺水事故の発生を未然に防止するため、参加児童の身長や遊泳能力を把握し、これに応じた班分け及び遊泳区域の指定を行うなどして、身長が大プールの水深に満たず、遊泳能力の乏しい児童らが大プールに立ち入るのを厳に禁止した上、同児童らを常に監視して同児童らが大プールに立ち入ろうとした際にはこれを直ちに排除して溺水事故を防止すべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り、参加児童の身長や遊泳能力を把握せず、これに応じた班分け及び遊泳区域の指定等を行 児童らが大プールに立ち入ろうとした際にはこれを直ちに排除して溺水事故を防止すべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り、参加児童の身長や遊泳能力を把握せず、これに応じた班分け及び遊泳区域の指定等を行わなかった上、自らその監視をせず、またCら3名の監視員にもこれをさせないまま、身長 約126センチメートルで遊泳能力の乏しいD(当時6歳)を本件プールで遊泳させた過失により、その頃、同人が大プールで溺水していることに気付かないまま同人を心肺停止状態に陥らせ、よって、同日午後3時18分頃、同市(住所省略)所在のE病院において、同人を溺死により死亡させた。 (量刑の理由)被告人は、利用するプールが水深の異なる大プールと小プールとを容易に移動できる構造となっていることを認識しており、本件当時はプール施設の監視員がいないことも認識し、従前他の職員から監視員の増員を要請されていて十分な監視体制を構築できる状況にないことを認識していた。しかし、被告人は、児童の身長や遊泳能力を把握してこれに応じた班分け及び遊泳区域の指定を行ったり、監視員の監視位置の決定等をせずに、小学校低学年を多数含む40名以上の児童を無秩序に遊泳させた。本件時は被告人を含む4名で監視することとなっていたが、2名を児童と共に入水させ、1名を特定の女児に対応させ、被告人は料金支払い等のために約7分間プール施設から離れるなどし、実効的な監視体制を構築しないまま、被告人自身も慎重な監視を怠り、本件結果を発生させている。そうすると、被告人の過失の程度は大きいといえる。 被害児童は6歳という幼さで、未来ある命を奪われており、被害結果は重大である。そして、突然子を奪われた被害児童の両親の悲しみや喪失感は大きく、被害児童の両親が、命を甘く見ていたとしか思えず怒りしかない、一生許すこと いう幼さで、未来ある命を奪われており、被害結果は重大である。そして、突然子を奪われた被害児童の両親の悲しみや喪失感は大きく、被害児童の両親が、命を甘く見ていたとしか思えず怒りしかない、一生許すことはなく、恨んで今後も生きていくと思う、厳罰を望むなどと述べ、処罰感情が強いのも当然である。 そうすると、被告人の刑事責任を軽くみることはできない。 他方で、被告人が本件犯行を認めて謝罪の言葉を述べ、被告人なりに反省の態度を示していること、本件により職を辞しており、今後保育業務に関わることはない旨を述べていること、被告人が被害弁償の申入れをしており、被告人の加入している保険により金銭的な賠償がされる可能性があること、妻が出廷して被告人の監督 を誓約していること、懲役刑又は禁錮刑に処せられた前科がないことなど被告人のために酌むべき事情も認められる。 以上の事情を考慮し、同種事案における量刑傾向も踏まえると、直ちに実刑を科すべきとはいえない。被告人に対しては、主文のとおりの刑に処してその責任を明らかにした上で、その刑の執行を猶予するのが相当と判断した。 (求刑禁錮1年6月)令和7年1月27日大津地方裁判所刑事部 裁判官西脇真由子

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る