主文 被告人を懲役6年に処する。 未決勾留日数中80日をその刑に算入する。 訴訟費用は被告人の負担とする。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,A(当時6歳)及びB(当時3歳)の実母として両名を保護する責任のあったものであるが,両名を自動車内に置き去りにした上で引き続き放置したままバーで飲酒しようなどと考え,令和2年9月2日午後9時13分頃,高松市a 町b 丁目c 番地d 所在の駐車場において,同所に駐車した自動車内に両名を置き去りにして遺棄するとともに,引き続き,同月3日午後0時22分頃までの間,両名を前記自動車内に放置して生存に必要な保護をせず,よって,その頃,両名をいずれも熱中症により死亡させた。 (証拠の標目)(略)(法令の適用)(略)(量刑の理由) 1 まず,量刑判断の大枠となる犯罪行為に関する事情について検討する。 何より,二人の幼い子供が亡くなったという結果は余りに重大である。 子供たちがその人生を奪われてしまったことの不幸は計り知れない。 被告人は,9月初めの暑い日の夜に,屋外駐車場に駐車した密閉された自動車内に幼い子供たちを置き去りにし,日が昇った後も含めて,約15時間にわたり子供たちを放置したもので,犯行態様は,熱中症の危険が高いものであって,悪質である。 被告人は,以前から,バーで飲酒するなどのために,夜間,子供たちを自動車内に放置する行為を繰り返していたところ,様々な危険があることを分かりながら,本件犯行に及んだのであり,育児に関するストレスや孤独感などが本件犯行の背景にあることを踏まえても,経緯を酌むことはできず,動機は誠に身勝手であって,被告人は強く非難されるべきである。被告人は,置き去りの際には だのであり,育児に関するストレスや孤独感などが本件犯行の背景にあることを踏まえても,経緯を酌むことはできず,動機は誠に身勝手であって,被告人は強く非難されるべきである。被告人は,置き去りの際には,日が昇る前に駐車場に戻ってこようと考えていたというが,夜間の時間帯でも暑かったことや,飲酒すれば,戻ってくるのが遅くなることも考えられたことなどからすると,この点を被告人のために酌むことはできない。 ただし,被告人は,日中は特に問題なく育児を行っていたのであるから,本件は,児童虐待の一環として数日間にわたり置き去りや放置がなされた事案とは異なる。 以上を踏まえると,本件は,同種事案(保護責任者遺棄致死罪で,被告人から見た被害者の立場が子であるもの)の中で,最も重い部類の事案とはいえないものの,軽い部類の事案とは到底いえず,相応に重い刑が相当な事案である。 2 次に,犯罪行為以外の事情について見ると,被告人が犯行を認めて,悔いていることや,被告人の夫が厳罰を望まないと述べたこと,被告人の夫と母親が被告人を支えていくと述べたこと,被告人に前科がないことといった被告人のために酌むべき事情が認められる。 3 しかし,これらの被告人のために酌むべき事情を考慮しても,犯罪行為に関する事情からすると,被告人の刑事責任は重く,被告人を主文の刑に処するのが相当であると判断した。 (求刑懲役6年)令和3年3月1日高松地方裁判所刑事部 裁判長裁判官近道暁郎 裁判官坂井唯弥 裁判官柏木悠香 坂井唯弥 裁判官 柏木悠香
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