【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人らの負担とする。 理 由 上告代理人長野潔、同五十嵐太仲の上告理由第一点について。 原判決は、その挙
主文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人らの負担とする。 理由 上告代理人長野潔、同五十嵐太仲の上告理由第一点について。 原判決は、その挙示の証拠を綜合して、本件においてその所有権の帰属が争われている各建物は、上告人らが、建築完成と同時に無償で被上告人Bの所有に帰せしめる旨特約に基づき、これを建築した上、同人から賃借して来たものである事実を認定し、外形上所論のような事実の存することをもつてしても、右認定を左右しがたい旨判示しているのであつて、所論の各事実を綜合しても、前記認定を覆えし、右建物が上告人らにおいて被上告人Bからその敷地を賃借して建築所有しているものであると認めることはできない旨判示しているものと解することができる。それ故、原判決の判示に所論のような違法はなく、論旨は採用できない。 同第二点について。 原判決は、上告人らが、本件建物を建築してこれを被上告人Bに譲渡するに際し、右建物を同人が他に譲渡するようなことはないものと確信していた旨の所論のような動機を表示してこれを法律行為の要素とした事実は、これを認めることができないとして、上告人らの錯誤の主張を排斥しているのであるから、その判断に法律の解釈を誤つた違法はなく、論旨は採用できない。 同第三点について。 被上告人が、本件各建物の所有権を昭和二四年一〇月五日被上告人Bから代物弁済によつて取得し、同月一七日所有権移転登記を経由したこと、右建物については、上告人らが所有権を主張して被上告人Bを債務者とする処分禁止の仮処分命令を得、右一〇月一七日、被上告人の所有権取得登記の直前に、右仮処分の登記がなされた- 1 -こと、しかしながら、右建物の所有権が上告人らに帰属しなかつたことは、いずれも原判決の適法に確定したところ 得、右一〇月一七日、被上告人の所有権取得登記の直前に、右仮処分の登記がなされた- 1 -こと、しかしながら、右建物の所有権が上告人らに帰属しなかつたことは、いずれも原判決の適法に確定したところである。 思うに、処分禁止の仮処分執行前に目的不動産の所有権を仮処分債務者から譲り受けた者も、登記未経由の故に所有権の取得をもつて仮処分債権者に対抗しえない場合には、仮処分の効力を受け、その後登記しても、仮処分債権者に対し所有権の取得を主張することができないが、右譲受人が登記なくしてすでに仮処分債権者に対抗しうる場合には、仮処分の影響を受けないものと解すべきである。そうして、未登記の譲受人が仮処分債権者に対抗しうるか否かは、仮処分債権者が右譲受人の登記の欠缺を主張する正当な利益を有するか否かにかかるところ、処分禁止の仮処分そのものは、仮処分債権者のために何ら実体上の権限を創設するものではないから、本件のように、仮処分債権者の被保全権利たる所有権に基づく給付請求権の存在が、仮処分執行前における目的不動産の譲受人との間の訴訟上認められない場合においては、仮処分債権者は譲受人の権利取得につき登記の欠缺を主張する正当な利益を有せず、譲受人は、仮処分の存在とは無関係に、自己の所有権取得を主張しうるものといわなければならない。 もつとも、原判決の確定するところによれば、本件仮処分債権者たる上告人らは目的不動産の賃借人であり、賃借人もまた登記の欠缺を主張する正当な利益を有する第三者に当ることは、所論のとおりである。しかし、そのことは、上告人らが賃借人として、被上告人Bを賃貸人とする賃貸借関係の存在を主張し、その賃借権を被保全権利とする仮処分の場合においてのみ、被上告法人の所有権取得を否定しうることを意味するにとどまるところ、本件仮処分は、賃貸借とは何らの 告人Bを賃貸人とする賃貸借関係の存在を主張し、その賃借権を被保全権利とする仮処分の場合においてのみ、被上告法人の所有権取得を否定しうることを意味するにとどまるところ、本件仮処分は、賃貸借とは何らの関係もない、所有権に基づく給付請求権の執行を保全するためのものであるから、右被保全権利の存在が認められない以上、上告人らは、かかる権利の執行を保全することを目的とする仮処分債権者としては、被上告法人の権利取得につき登記の欠缺を主張する- 2 -利益を有せざることは前段説明のとおりである。ただ被上告法人は、移転登記未経由の間は、賃貸借関係の承継をもつて上告人らに対抗しえない地位にあつたとはいえ、登記を経由した後はこれに対抗しうるものというべく、右登記が上告人らの所有権を前提として発せられた処分禁止仮処分の執行後になされたものであることによつては、何らの支障をも受けないものということができる。 所論引用の判例は、仮処分債権者の被保全権利の存在が認められない場合に関するものではなく、本件事案には適切でない。よつて論旨も採用することができない。 よつて、民訴三九六条、三八四条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で主文のとおり判決する。 最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官小谷勝重裁判官藤田八郎裁判官池田克裁判官河村大助裁判官奥野健一- 3 - 判官 奥野健一
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