平成27(ワ)547 不正競争行為差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成29年1月19日 大阪地方裁判所
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判決文本文33,494 文字)

- 1 -平成29年1月19日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成27年(ワ)第547号不正競争行為差止等請求事件口頭弁論終結日平成28年11月15日判決原告株式会社アトラス同訴訟代理人弁護士松本 徹被告株式会社ワールドウォーク同訴訟代理人弁護士岡澤英世主文 1 被告は,別紙被告標章目録記載1又は2の標章をオートバイ運搬用台車に付し,又はこれを付したオートバイ運搬用台車を譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために所持若しくは展示してはならない。 2 被告は,オートバイ運搬用台車に関するインターネット上のウェブサイトのトップページを表示するためのhtml ファイルの<metaname=″description″content=>及び<title>欄において,別紙被告標章目録記載1又は2の標章を記載してはならない。 3 被告は,第2項の場合を除き,オートバイ運搬用台車に関する広告を内容とする情報に,別紙被告標章目録記載1又は2の標章を付して電磁的方法により提供してはならない。 4 被告は,別紙被告標章目録記載1又は2の標章を付したオートバイ運搬用台車から別紙被告標章目録記載1及び2の標章を抹消せよ。 5 被告は,そのウェブサイト(http://world-walk.com)のhtml ファイルの<metaname=″description″ content=>及び<title>から,別紙被告標章目録記載1の標章を削除せよ。 6 被告は,第5項の場合を除き,別紙被告標章目録記載1及び2の標章を,被告が掲載するイ escription″ content=>及び<title>から,別紙被告標章目録記載1の標章を削除せよ。 6 被告は,第5項の場合を除き,別紙被告標章目録記載1及び2の標章を,被告が掲載するインターネット上のウェブサイト広告から抹消せよ。 - 2 - 7 被告は,原告に対し,1494万0111円及びうち583万円に対する平成27年2月5日から,うち911万0111円に対する平成28年10月31日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 8 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 9 訴訟費用はこれを10分し,その1を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 10 この判決は,第7項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は,別紙被告標章目録記載1又は2の標章を使用し,又はこれを使用したオートバイ運搬用台車及び別紙被告商品目録記載の商品を譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために所持若しくは展示してはならない。 2 被告は,別紙被告標章目録記載1及び2の標章を使用したオートバイ運搬用台車及び別紙被告商品目録記載の商品を廃棄せよ。 3 被告は,別紙被告標章目録記載1及び2の標章をインターネット上のウェブサイトその他の営業表示物件から抹消せよ。 4 被告は,ウェブサイト(http://world-walk.com)のhtml ファイルの<metaname=″keywords″ content=>から別紙原告商標目録記載の登録商標を,並びに,同ファイルの<metaname=″description″ content=>及び<title>から別紙被告標章目録記載1の標章をそれぞれ削除せよ。 5 被告は,原告に対し,1538万2240円 同ファイルの<metaname=″description″ content=>及び<title>から別紙被告標章目録記載1の標章をそれぞれ削除せよ。 5 被告は,原告に対し,1538万2240円及びこれに対する平成27年2月5日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要等 1 事案の概要本件は,別紙原告商標目録記載の商標権(以下「原告商標権」といい,その登録商標を「原告商標」という。)を有する原告が,①被告が別紙被告標章目録記載1,- 3 -2の標章(以下,それぞれ「被告標章1」,「被告標章2」といい,併せて「被告各標章」という。)を使用してオートバイ運搬用台車を販売等する行為が原告の商標権の侵害行為に当たるとともに,不正競争防止法2条1項1号の不正競争行為に当たると主張して,商標法36条1項又は不正競争防止法3条1項に基づいて,被告各標章の使用又はこれを使用したオートバイ運搬用台車の譲渡,引渡し,譲渡又は引渡しのための所持又は展示行為の差止めを(前記請求第1項の一部),商標法36条2項又は不正競争防止法3条2項に基づいて被告各標章を使用したオートバイ運搬用台車の廃棄(前記請求第2項の一部)並びに被告各標章のウェブサイト等からの削除(前記請求第3項)を求め,②被告がウェブサイトのタイトルタグ及びメタタグにおいて原告商標及び被告標章1を使用する行為が原告の商標権侵害に当たると主張して,商標法36条2項に基づき,原告商標及び被告標章1のタイトルタグ及びメタタグからの削除を求め(前記請求第4項),③別紙原告商品目録記載の商品(以下「原告商品」という。)の商品形態が周知商品等表示に当たることを前提として,被告がこれと類似する形態の別紙被告商品目録記載の商品(以下「被告商品」という。)を販売等する行為が不正競争 載の商品(以下「原告商品」という。)の商品形態が周知商品等表示に当たることを前提として,被告がこれと類似する形態の別紙被告商品目録記載の商品(以下「被告商品」という。)を販売等する行為が不正競争防止法2条1項1号の不正競争行為に当たると主張して,不正競争防止法3条1項及び2項に基づいて被告商品の譲渡,引渡し,譲渡又は引渡しのための所持又は展示行為の差止め(前記請求第1項の一部),並びに,被告商品の廃棄(前記請求第2項の一部)を求め,④前記①ないし③の商標権侵害行為及び不正競争行為につき,民法709条又は不正競争防止法4条に基づく損害賠償請求として,損害金1538万2240円及びこれに対する平成27年2月5日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで商事法定利率である年6分の割合による遅延損害金の支払(前記請求第5項)を求めた事案である。 2 前提事実(当事者間に争いがないか,後掲証拠又は弁論の全趣旨により容易に認められる。以下,証拠の枝番号については,特に記載しない限り,その全てを含むものとする。)(1) 当事者- 4 -ア原告は,平成4年11月20日に設立されたアルカリイオン整水器・浄水器のリース及びレンタル並びに健康器具の販売,健康食品の販売等を主たる業務とする株式会社である。 イ被告は,自動二輪車,自動車,自転車の本体及び部品の売買及び輸出入等を主たる業務とする株式会社である。 (2) 原告の商標権原告は,原告商標権を有している。 (3) 原告商品の販売等原告は,平成10年8月頃から,原告商標を付したオートバイ運搬用台車である原告商品を製造し,販売している。 原告は,原告のホームページ,YAHOOショッピング,楽天市場,Amazonなどのインターネットショッピングサイト,月刊オートバイ等のオートバイ関連 用台車である原告商品を製造し,販売している。 原告は,原告のホームページ,YAHOOショッピング,楽天市場,Amazonなどのインターネットショッピングサイト,月刊オートバイ等のオートバイ関連雑誌において,原告商品の広告宣伝を行っている。 (4) 被告の行為ア被告商品の販売等被告は,平成25年8月から少なくとも平成28年8月まで,被告各標章を付したオートバイ運搬用台車である被告商品を製造し,販売し,又は販売のために展示していた。 被告商品は,原告商標の指定商品である「オートバイを横方向にずらし移動するための台車・その他オートバイの運搬用台車」に含まれる。 イ被告による宣伝広告被告は,少なくとも平成28年8月まで,ホームページ上に,商品名を「バイクシフター」又は「bikeshifter」とする被告商品の写真を掲載し,商品説明等の文章中において,「バイクシフター」,「bikeshifter」の語を使用していた(甲5)。 また,被告は,少なくとも平成28年8月まで,YAHOOショッピング,楽天- 5 -市場,Amazon,ウェビックなどのインターネットショッピングサイトに出店し,被告各標章を付した被告商品の写真を掲載し,同商品を販売していた。 ウ被告による原告商標又は被告標章1のメタタグ及びタイトルタグでの使用被告は,そのウェブサイト(http://world-walk.com)のhtml ファイルの<metaname=″keywords″content=>に,<metaname=″keywords″content=″バイクリフター″>と記載し,<metaname=″description″content=>及び<title>において,<metaname=″description″content=″バイク ″バイクリフター″>と記載し,<metaname=″description″content=>及び<title>において,<metaname=″description″content=″バイクシフター&スタンドムーバー使い方は動画でご覧下さい″>,<title>バイクシフター &スタンドムーバー</title>と記載している(甲7)。 (5) 原告商品と被告商品の形態原告商品の形態及び被告商品の形態は,別紙原告商品目録及び別紙被告商品目録の記載のほか,別紙「原告商品と被告商品の形態」のとおりである。 (6) 原告は,次の特許権(以下「原告特許権」といい,請求項1に係る発明を「原告特許発明」という。)を有していたが,平成17年9月10日付けで,特許料の年金不納により,同特許権は消滅した(甲13,14,甲50,弁論の全趣旨)。 特許番号第2977539号出願日平成10年7月17日登録日平成11年9月10日発明の名称オートバイの移動用運搬台車,及びその運搬方法特許請求の範囲【請求項1】台車本体に,オートバイの車輪にかませるため所定間隔(車が置ける間隔)離し,先のわかれた左右一対の差込杵部を有する台車枝管を備えるとともに,この台車枝管の中間部にオートバイの車輪を直角方向に載せる部位を形成する如く前端より所定間隔引込めた位置に設けた車輪の両側に2個の車輪を配置し,かつ台車後部には自在車輪を取付けたことを特徴とするオートバイの移動用運搬台車。 - 6 - 3 争点(1) 商標権侵害関係ア原告商標と被告各標章の類否イ平成28年9月以降の商標権侵害の成否ウ原告商標及び被告標章1のメタタグ又はタイトルタグにおける使用による商標権侵害の成否エ権利濫用の成否(2) 被告各標 商標と被告各標章の類否イ平成28年9月以降の商標権侵害の成否ウ原告商標及び被告標章1のメタタグ又はタイトルタグにおける使用による商標権侵害の成否エ権利濫用の成否(2) 被告各標章の使用に関する不正競争防止法違反関係ア原告商標の周知性イ原告商標と被告各標章の類否及び混同のおそれの有無(3) 被告商品の形態の使用に関する不正競争防止法違反関係ア原告商品の形態の周知商品等表示性イ原告商品の形態と被告商品の形態との類否及び混同のおそれの有無(4) 損害発生の有無及び額(上記の各関係に共通) 4 争点に関する当事者の主張(1) 争点(1)ア(原告商標と被告各標章の類否)について(原告の主張)ア原告商標及び被告各標章の外観,称呼,観念(ア) 原告商標原告商標上段は,標準文字の「バイクリフター」,原告商標下段は,標準英文字の「BIKELIFTER」からなる。 原告商標は,上段,下段いずれも「ばいくりふたー」との称呼を生ずる。 原告商標は,上段,下段とも,オートバイ等の二輪車を示す「バイク」という名詞と「持ち上げるもの」という意味の「リフター」からなり,「オートバイを持ち上げ,移動させるもの」という観念が生じる。 (イ) 被告各標章- 7 -被告標章1は,標準文字の「バイクシフター」,被告標章2は,標準英文字の「bikeshifter」からなる。 被告各標章は,いずれも「ばいくしふたー」との称呼を生ずる。 被告各標章は,オートバイ等の二輪車を示す「バイク」という名詞と,位置を移動するシフトから由来したものであると推測される「シフター」からなり,「オートバイを移動させるもの」という観念が生じる。 イ原告商標と被告各標章の対比次に述べるとおり,原告標章と被告各標章とは類似す フトから由来したものであると推測される「シフター」からなり,「オートバイを移動させるもの」という観念が生じる。 イ原告商標と被告各標章の対比次に述べるとおり,原告標章と被告各標章とは類似するものである。 (ア) 外観「バイクリフター」と「バイクシフター」は,いずれも片仮名7文字であり,5文字目だけが異なるにすぎないことから,類似である。 また,「BIKELIFTER」と「bikeshifter」も,「LI」と「shi」が異なるにすぎないことから,類似である。 (イ) 称呼原告商標と被告各標章は,いずれも6音で構成されており,そのうち1音が異なるだけであるから,類似である。 (ウ) 観念原告商標と被告各標章は,いずれも特定の語義を有しない造語である。しかし,原告商標の「リフター」,「LIFTER」はいずれも「持ち上げるもの」という意味の名詞であり,通常用語である。他方,被告各標章の「シフター」,「shifter」は造語であるが,ともに「オートバイを持ち上げ移動させるもの」という観念が生じることから,原告商標と被告各標章の観念は類似である。 (エ) 出所混同のおそれ原告商品と被告商品は,その外観が酷似しており,価格もほぼ同一であり,被告は,被告商品を原告商品の改良版として紹介して販売している。 また,バイク愛好家たちが,商品検索サイトでバイク移動用品を検索して購入し- 8 -ようとして,検索ワードとして「バイクリフター」を入力すると,検索結果として,原告商品と被告商品が並んで表示されることになるが,いずれについても製造者,販売者は明記されていない。 このような取引の実情に照らすと,被告各標章の使用により,被告商品の出所について混同が生じることは明らかである。 ウ被告は,原告商標の要部は「リフター」,又 製造者,販売者は明記されていない。 このような取引の実情に照らすと,被告各標章の使用により,被告商品の出所について混同が生じることは明らかである。 ウ被告は,原告商標の要部は「リフター」,又は「LIFTER」であると主張するが,原告商標の上段「バイクリフター」,下段「BIKELIFTER」はそれぞれ一体のものとして観察されるべきであり,「バイク」と「リフター」,「BIKE」と「LIFTER」に分離して個別に観察すべきではない。 (被告の主張)ア原告の主張ア(原告商標及び被告各標章の外観,称呼,観念)は認める。 イ原告商標は,「バイク」と「リフター」,又は,「BIKE」と「LIFTER」という二つの普通名詞を組み合わせた結合商標である。 原告商標は,その指定商品がオートバイ用品であるので,「バイク」,「BIKE」について,取引者,需要者に出所識別標章としての称呼,観念が生じないことは明らかである。原告商標が出所識別機能を有するとすれば,「リフター」,「LIFTER」の部分である。 被告各標章は,「バイク」あるいは「bike」という名詞と「シフター」あるいは「shiter」という造語からなる。 被告商品はオートバイの移動用品であるので,「バイク」,「bike」の部分は出所識別機能を有さない。被告各標章が出所識別機能を有するのは,「シフター」,「shifter」の部分である。 よって,原告商標の要部は「リフター」,又は「LIFTER」であり,被告各標章の要部は「シフター」,又は「shifter」であり,原告商標と被告各標章の類否判断は,これら要部の対比によるべきである。 ウ原告商標の要部と被告各標章の要部とは,外観上,仮名表示において4字中- 9 -の1字を異にし,英文表示において先頭の「LI」と「shi」を異にし, 判断は,これら要部の対比によるべきである。 ウ原告商標の要部と被告各標章の要部とは,外観上,仮名表示において4字中- 9 -の1字を異にし,英文表示において先頭の「LI」と「shi」を異にし,称呼において3音中の1音を異にする。 これら相違する部分は,要部の頭部であり強いアクセントで発音される。 また,「シフター」,「shifter」は造語であり,「移動させるもの」という観念が生じるとしても,「持ち上げるもの」を意味する「リフター」,「LIFTER」とは明らかに観念の相違がある。 したがって,原告商標と被告各標章は,外観,称呼,観念のいずれも異なっており,類似しない。 エ仮に,原告商標と被告各標章が外観,称呼,観念において類似していたとしても,次のような取引の実情からすれば,原告商品と被告商品の出所混同は生じない。 (ア) バイク用品は,バイクの運転に対して強い好意を持つバイク愛好家が需要者であり,バイク用品に対して深い関心と知識を有している。 (イ) バイク用品は,バイク販売店で販売される場合には,販売店はバイク愛好家である顧客に十分な商品説明をし,顧客は自分の好み,嗜好を満たすものを購入する。 (ウ) バイク用品をインターネットによる通販で購入する場合,インターネット上には,バイク愛好家による様々な情報,批評等が掲示されており,バイク愛好家である購入者は各バイク用品については十分な情報を得て購入する商品を選択している。 (エ) バイク用品に関連する業界においては,「バイクリフト」,「BikeLift」との名称は,バイクを移動するための用品として一般名称化している。 バイク用品に関するカタログにおいて,「バイクリフト」,「BikeLift」という名称のカテゴリーとして,数社のバイク用品が紹介されている。 (2) 争 動するための用品として一般名称化している。 バイク用品に関するカタログにおいて,「バイクリフト」,「BikeLift」という名称のカテゴリーとして,数社のバイク用品が紹介されている。 (2) 争点(1)イ(平成28年9月以降の商標権侵害の成否)について(原告の主張)- 10 -被告は,平成28年9月29日及び同年10月28日の各時点においても,被告のホームページ,YAHOOショッピングサイト及び被告オフィシャルブログにおいて,「バイクシフター」という名称を使用して被告商品の宣伝,販売を行っており,平成28年9月以降も商標権侵害行為を継続している。 (被告の主張)被告又は他社のホームページ上に「バイクシフター」の名称が残っていたとしても,被告は,平成28年9月以降,「バイクシフター」という名称の商品を販売しておらず,商標権侵害行為はしていない。 (3) 争点(1)ウ(原告商標及び被告標章1のメタタグ又はタイトルタグにおける使用による商標権侵害の成否)について(原告の主張)事業者がその役務に関してインターネット上にウェブサイトを開設した際のページの表示は,その役務に関する広告であり,インターネットの検索サイトにおいて表示される当該ページの説明もその役務に関する広告である。よって,これが表示されるようにhtml ファイルにメタタグ及びタイトルタグを記載することは,役務に関する広告を内容とする情報を電磁的方法により提供する行為であるから,商標としての使用に当たる。これは,キーワードメタタグの記載が検索エンジンの検索結果などで表示されず,サイトの閲覧者に視認されないとしても変わらない。 なお,被告のホームページを表示させた上でブラウザの表示から「ページのソースを表示」をワンクリックすると原告商標が記載されたメタタグを容易に視 れず,サイトの閲覧者に視認されないとしても変わらない。 なお,被告のホームページを表示させた上でブラウザの表示から「ページのソースを表示」をワンクリックすると原告商標が記載されたメタタグを容易に視認することができる。また,インターネットの検索サイトの利用者がサーチエンジンにキーワードとして原告商標を入力した際にサーチエンジンを通じて被告ホームページでのメタタグ表記を視認しているといえることから,被告による原告商標のメタタグ使用は,商標的使用に当たる。 (被告の主張)メタタグに関しては,ブラウザの表示からソースの機能をクリックすれば見るこ- 11 -とができるとはいえ,通常の状態では視認できるものではない。このようにしてメタタグを見たとしても,メタタグにおける使用はそもそも自他商品識別機能,出所表示機能等といった商標としての機能を発揮しているものではない。したがって,メタタグに商標と同一又は類似の文字列を含め,コード等を埋め込む行為は商標の使用には当たらず,商標権侵害の問題は生じない。 また,被告が原告商標を表示していたとしても,それは,原告商品又はオートバイの運搬用台車一般に対する言及,記述,説明のために用いているに過ぎず,このような使用は,商標の本来の機能である自他商品識別機能,出所表示機能を有していない。 (4) 争点(1)エ(権利濫用の成否)について(被告の主張)「バイク」+「リフター」は,バイク工具取扱業者間では,商品カテゴリーを示す一般名称として用いられており,普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標である。 よって,「バイクリフター」は,商標法3条1項1号に挙げられる商標に該当し,その登録には同法46条1項1号所定の無効事由が存在することが明らかであるから,原告による本件訴訟における請 商標である。 よって,「バイクリフター」は,商標法3条1項1号に挙げられる商標に該当し,その登録には同法46条1項1号所定の無効事由が存在することが明らかであるから,原告による本件訴訟における請求は権利の濫用に当たり許されない。 (原告の主張)「バイクリフター」は,「バイク」と「リフター」を結合した造語であるから,商標登録出願当時,原告商標が商品の普通名称として用いられていたことはあり得ない。 (5) 争点(2)ア(原告商標の周知性)についてア原告商品は,平成10年8月から販売が開始され,以降,平成11年8月から平成26年9月30日までの間に,合計7693台を売り上げた。原告商品の直近3年間の売上台数は,平成23年645台,平成24年763台,平成25年721台と,年間平均約710台を売り上げている。 - 12 -イ原告は,原告商品の販売を開始した平成10年8月から,原告商標を使用して「Kawasaki」,「monomagazine」,「BIGMACHINE」,「mr. Bike」,「CLUBHARLEY」,「VIBES」,「オートバイ」,「MotorCyclist」等のオートバイ需要者が購読する雑誌に広告を掲載している。特に,オートバイ関連雑誌の中で最も早くに創刊され,一番歴史がある「オートバイ」には,平成17年10月号から現在に至るまでほとんど欠かさず毎号原告商標を使用し,原告商品の広告を行っている。 また,オートバイ関連雑誌以外にも業界紙「二輪車新聞」やスポーツ新聞「デイリースポーツ」,株式会社JAFサービス(以下「JAF」という。)発行の商品カタログ誌「好人好物」及び「通販紀行」,JAF会員向け雑誌(JAFMate)にも宣伝広告を行ってきた。JAF会員向け雑誌への広告の掲載は,JAFが原告商品を採用し, JAF」という。)発行の商品カタログ誌「好人好物」及び「通販紀行」,JAF会員向け雑誌(JAFMate)にも宣伝広告を行ってきた。JAF会員向け雑誌への広告の掲載は,JAFが原告商品を採用し,全国各地のJAFのロードサービス隊用に原告商品を購入し,配置したことが契機となっており,平成16年頃から現在に至るまで年1回から2回のペースで宣伝広告を掲載している。 さらに,原告は平成11年には「15th ‘99 OSAKAMOTORCYCLESHOW」に出展し,原告商品を展示し,原告商標及び原告商品をオートバイ需要者に強く印象づけるなど,積極的な広告宣伝活動を行っている。 これらの広告宣伝費用は,年間平均約60万円である。 ウ以上のとおり,原告商標は需要者において広く認識され,周知性を獲得していたことは明らかである。 (被告の主張)争う。 (6) 争点(2)イ(原告商標と被告各標章の類否及び混同のおそれの有無)について争点(1)アに同じ。 (7) 争点(3)ア(原告商品の形態の周知商品等表示性)について(原告の主張)- 13 -争点(2)アに関する原告の主張のとおりの宣伝広告及び売上げに加え,原告特許権が存続していた期間,他社が原告商品と同一又は類似の商品を製造販売できなかったこともあいまって,原告商品の形態は,周知商品等表示性を獲得した。 被告は,原告商品の形態が技術的形態であると主張するが,原告特許発明に係る機能は,原告商品のような形態でなくても実現することができる。また,材質及び色,前輪部分,後輪部分についても,原告商品と同一又は類似のものを使用せずとも同特許発明に係る機能は実現できる。 (被告の主張)ア商品の形態がその商品の出所を表示する機能を有するためには,一般的には,商品の形態が極めて特殊独 原告商品と同一又は類似のものを使用せずとも同特許発明に係る機能は実現できる。 (被告の主張)ア商品の形態がその商品の出所を表示する機能を有するためには,一般的には,商品の形態が極めて特殊独自のものであるか,形態上の特異性を有することが必要である。原告商品は,台車としては極めてありふれた寸法,形であり,商品の形態が極めて特殊独自のものであるとも,形態上の特異性を有するとも到底いえない。 イ商品の形態は,意匠的要素,技術的要素等により決定されるところ,技術的機能に由来する商品の形態については,その技術的思想自体が特許権や実用新案権によって保護される場合は別として,技術的機能に由来する商品の形態は,たとえそれが特定人によって長期にわたって使用され,その商品の出所を表示する機能を取得したとしても,不正競争防止法における商品表示となり得ない。 原告商品の全体的形態や,原告商品の台車本体が「中心部に台形型の穴が開いた台形型」であるということは,原告特許発明の構成要件や明細書の【発明の実施の形態】に示されている形態であり,技術的機能に由来するものである。 ウよって,原告商品の商品形態は,不正競争防止法の「商品等表示」に当たらない。 (8) 争点(3)イ(原告商品の形態と被告商品の形態との類否及び混同のおそれの有無)について(原告の主張)ア商品形態の実質的同一性- 14 -前記前提事実(5)記載のとおり,原告商品と被告商品の形態はほぼ同一であり,加工方法も同一である。被告商品は,原告商品と重ね合わせるとはみ出す部分があるが,これはオートバイ運搬機能に無関係な部分である。また,両者は,前輪部分のボールベアリングの内部の素材においても異なるが,これらはいずれも,被告が原告商品のデッドコピーとされるのを避けるために敢えて変更を加 オートバイ運搬機能に無関係な部分である。また,両者は,前輪部分のボールベアリングの内部の素材においても異なるが,これらはいずれも,被告が原告商品のデッドコピーとされるのを避けるために敢えて変更を加えたものにすぎない。 よって,原告商品と被告商品の形態が実質的に同一であることは明らかである。 イ取引の実情原告商品と被告商品は,その商品名及び外観が酷似しており,価格もほぼ同一であり,被告は,被告商品を原告商品の改良版として紹介して販売している。 原告商品や被告商品の需要者は,店頭で実際の商品を手に取って確認した上で購入するのではなく,いわゆる通販商品として,雑誌やホームページ,インターネットショッピングサイトを通じての購入が主であることから,商品名が需要者に与える影響は大きい。 ウ以上のとおり,被告商品の形態は,原告商品の形態と実質的に同一であり,誤認混同を生じさせるおそれが極めて高い。 (被告の主張)争点(1)アの被告の主張エのような取引の実情に照らせば,原告商品と被告商品との出所混同は生じない。 (9) 損害発生の有無及び額(原告の主張)ア原告に生じた損害 1398万2240円平成25年8月から平成28年10月までの期間の被告商品の販売数量,粗利,販売価格及び経費は次のとおりであるから,商標法38条2項又は不正競争防止法5条2項により,被告の侵害行為により原告が被った損害額(粗利-経費)は1398万2240円となる。 - 15 -●(省略)●(被告の主張)争う。被告あるいは他社のホームページ上に「バイクシフター」の名称が残っていたとしても,被告は,平成28年9月以降,「バイクシフター」という名称の商品を販売していない。よって,平成28年9月及び10月については,被告各標章を付した被告商品の売 クシフター」の名称が残っていたとしても,被告は,平成28年9月以降,「バイクシフター」という名称の商品を販売していない。よって,平成28年9月及び10月については,被告各標章を付した被告商品の売上げも粗利も存在しない。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)ア(原告商標と被告各標章の類否)について(1) 原告商標についてア原告商標は,別紙原告商標目録記載のとおりであり,上段にカタカナで「バイクリフター」,下段にアルファベット大文字で「BIKELIFTER」とそれぞれ横書きして成るものである。 この原告商標については,上段の「バイクリフター」が下段の「BIKELIFTER」の日本語表記であることは,その音に照らして明らかであるところ,それぞれ,普通のゴシック体,同じ大きさの文字で,左右両端がそろうようにまとまりよく表されていることから,これに接した需要者は,独立した2つの部分が並列的に記載されて構成されていると捉えるのが通常であると考えられ,これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいえない。したがって,原告商標は,上段及び下段をそれぞれ抽出して被告各標章と比較して類否を判断することも許されるものというべきである。 イ原告商標の上段及び下段が,前記のとおりの外観を備え,その全体から,「ばいくりふたー」の称呼,「オートバイを持ち上げ,移動させるもの」との観念を生じることにつき当事者間に争いはない。 この点について,被告は,原告商標の上段及び下段のうち,「バイク」,「BIKE」の部分は,指定商品がバイク用品であることから出所識別機能を果たさず,「リフター」,「LIFTER」の部分が要部となると主張する。 - 16 -確かに,下段の「BIKE」と「LIFTER」の間にスペー 分は,指定商品がバイク用品であることから出所識別機能を果たさず,「リフター」,「LIFTER」の部分が要部となると主張する。 - 16 -確かに,下段の「BIKE」と「LIFTER」の間にスペースが設けられていることからすると,上段部分は「バイク」と「リフター」から,下段部分は「BIKE」と「LIFTER」からそれぞれ構成されると認識されると認められる。 しかし,「バイク」,「BIKE」が「オートバイ等の二輪車」を意味し,「リフター」,「LIFTER」が「持ち上げるもの」を意味することは当事者間に争いがないところ,本件のように,原告商標がその指定商品である「オートバイを横方向にずらし移動するための台車・その他オートバイの運搬用台車」に使用された場合,「バイク」の部分は,その商品が移動運搬する対象を示すものと認識され,「リフター」の部分は,その商品がオートバイを移動又は運搬する方法・態様を示すものと認識されるのであり,いずれもが上記指定商品との間で直接の関連性を有する観念であるというべきことから,需要者が,いずれか一方のみを,特に商品の出所識別標識として捉えるとは認め難い。 そして,「バイク」と「リフター」,「BIKE」と「LIFTER」は,同一のフォントで横一列に表示されており,外観上もいずれかが強く支配的な印象を与えるものではなく,音数も全体で7音と比較的少なく一連に発音し得ることも併せ考慮すると,これらのうち,いずれかを要部として捉えることは相当ではなく,これらを一体のものとして観察して,被告各標章との類否を判断すべきである。 (2) 被告各標章についてア被告標章1は,「バイクシフター」とゴシック体の片仮名文字が等間隔に配置されてなるものであり,被告標章2は,「bikeshifter」とゴシック体の英字で記載されてなる 被告各標章についてア被告標章1は,「バイクシフター」とゴシック体の片仮名文字が等間隔に配置されてなるものであり,被告標章2は,「bikeshifter」とゴシック体の英字で記載されてなるものであり,いずれも,その全体から「ばいくしふたー」という称呼を生じ,「オートバイを移動させるもの」という観念が生じることにつき,当事者間に争いはない。 イ被告は,被告各標章についても,「バイク」,「bike」の部分は,指定商品がバイク用品であることから出所識別機能を果たさず,「シフター」,「shifter」の部分が要部となると主張する。 - 17 -被告各標章についても,それが,「バイク」と「シフター」,「bike」と「shifter」の語からなると認識されるものと認められるが,前記前提事実(5)のとおり,被告商品は,原告商品と同様に,オートバイを持ち上げたり横方向にスライドさせたりする道具,すなわちオートバイ運搬用台車であるところ,「シフター」,「shifter」の部分からは「移動させるもの」との観念が生じることからすると,「バイク」,「bike」の部分はその商品が移動運搬する対象を示すものと認識され,「シフター」,「sifter」の部分は,その商品がオートバイを移動又は運搬する方法・態様を示すものと認識されるのであり,いずれもが被告商品の機能と直接の関連性を有する観念であって,需要者がいずれか一方を,特に商品の出所識別標識として捉えられるとは認め難い。 そして,「バイク」と「シフター」,「bike」と「shifter」は,同一のフォントで横一列に表示されており,外観上もどちらかが強く支配的な印象を与えるものではなく,音数も7音と比較的少なく,一連に発音し得ることも併せ考慮すると,これらのうち,いずれかを要部として捉えることは相当で 横一列に表示されており,外観上もどちらかが強く支配的な印象を与えるものではなく,音数も7音と比較的少なく,一連に発音し得ることも併せ考慮すると,これらのうち,いずれかを要部として捉えることは相当ではなく,これらを一体のものとして観察すべきである。 (3) 以上を前提に原告商標と被告各標章の類否を検討する。 アまず,原告商標上段と被告標章1とを比較すると,外観は,7文字中,比較的注視されにくい中間の4文字目の1文字のみが相違するにとどまり,それ以外は同一であるから,全体として類似するものと認められる。 次に,称呼は,7音中の4音目の1音である「り」と「し」の部分のみが相違し,他の6音は同一であるところ,相違する音は,母音を共通にしており,全体の音感としては近似して聴覚されることに加え,比較的弱く聴覚される中間に位置していることから,類似するものと認められる。 そして,原告商標上段及び被告標章1から生じる観念は,それぞれ「オートバイを持ち上げ,移動させるもの」,「オートバイを移動させるもの」であり,後者が前者に含まれる関係にあることから,類似するものと認められる。 - 18 -イ次に,原告商標の下段と被告標章2を比較すると,まず,称呼は,7音中の4音目の1音が「り」と「し」のみが相違し,他の6音は同一であるところ,相違する音は母音を共通にしており,全体の音感としては近似して聴覚されるものであることに加え,比較的弱く聴覚される中間に位置していることから,類似するものと認められる。 次に,原告商標下段及び被告標章2から生じる観念は,それぞれ「オートバイを持ち上げ,移動させるもの」,「オートバイを移動させるもの」であり,前記のとおり,後者が前者に含まれる関係にあることから,類似するものと認められる。 他方,外観については,原告商標下 「オートバイを持ち上げ,移動させるもの」,「オートバイを移動させるもの」であり,前記のとおり,後者が前者に含まれる関係にあることから,類似するものと認められる。 他方,外観については,原告商標下段が大文字表記であるのに対し,被告標章2が小文字表記である点,及び,原告商標10文字の5文字目が「L」であるのに対し,被告標章2の11文字の5文字目と6文字目が「sh」である点で相違している。 ウ被告は,原告商品及び被告商品の需要者がバイク愛好家であることを前提として,バイク愛好家の知識や購買に至る慎重な姿勢に照らせば,仮に,被告各標章が原告商標と類似するとしても,出所の混同は生じないと主張する。 しかし,原告商標の指定商品は,「オートバイを横方向にずらし移動するための台車・その他オートバイの運搬用台車」であり,被告商品もオートバイを持ち上げたり横方向に移動させたりする,オートバイ運搬用台車であるところ,オートバイの移動運搬は,バイク愛好家のみならず,オートバイの保有者全般が日常的に経験する作業であるから,原告商標と被告各標章の類否を検討するに当たって考慮すべき需要者として,バイク愛好家のみをその判断基準とすることは相当ではなく,より広く,バイク保有者を需要者として捉えるべきである。したがって,被告の上記主張は,その前提において採用できない。 そして,前記前提事実(4)ア,イ及び弁論の全趣旨によれば,被告商品は,主にインターネットの通販サイトで販売されていると認められることにも鑑みると,取引者,需要者に当たるオートバイ保有者が,出所等に関する十分な情報を得,又は,- 19 -その出所等につき慎重に吟味した上で購入するというような取引の実情は認められない。 エ以上より,被告標章1は,原告商標と,外観,称呼及び観念において類似し,商品 な情報を得,又は,- 19 -その出所等につき慎重に吟味した上で購入するというような取引の実情は認められない。 エ以上より,被告標章1は,原告商標と,外観,称呼及び観念において類似し,商品の出所を誤認混同するおそれが認められない場合に当たるような取引の実情が認められないことからすると,原告商標に類似する標章であると認められる。 また,被告標章2は,原告商標と,称呼及び観念において類似し,外観についても,大文字と小文字の表記の差異を除けば,1文字が異なるにすぎないことから,相違の程度は比較的小さいというべきであり,また,商品の出所を誤認混同するおそれが認められない場合に当たるような取引の実情があるとは認められないことからすると,原告商標に類似する標章であると認められる。 2 争点(1)エ(権利濫用の成否)について事案に鑑み,本争点について,ここで検討する。 (1) 後掲証拠によれば,オートバイ用品の呼称について,次のような使用例があると認められる。 ア 「CLUBHARLEYvol.3」(平成11年6月20日発行)では,「ハーレーを軽々動かすというバイク・リフトの実力は!?」,「バイク・リフトとは,バイクを持ち上げる装置のこと。数多く市販されているバイク・リフトの実力と使い方を研究する。」として,原告商品を含む3商品が紹介されている(甲9の5)。 イ株式会社アクティブの2015-2016の総合カタログにおいて,「バイクリフトメンテナンススタンド」として,イタリアのBike-Lift社のメンテナンススタンドが掲載されている(乙1)。 ウ興和精機株式会社の自動車修理工場・設備・工具リストにおいて,タイヤ交換を行う用具として,「Nシリーズバイクリフト」等の商品が掲載されており,また,オートバイを持ち上げて移動する用具 乙1)。 ウ興和精機株式会社の自動車修理工場・設備・工具リストにおいて,タイヤ交換を行う用具として,「Nシリーズバイクリフト」等の商品が掲載されており,また,オートバイを持ち上げて移動する用具として,「2輪車用タイヤリフター」が掲載されている(乙2)。 - 20 -エ株式会社江沼チヱン製作所の広告において,Kendon社のスポーツタイプリフトが,「スマートで持ち運びもできるバイクリフト」,「Kendon社はアメリカでバイクリフト・バイクトレーラーを製造販売する老舗リフトメーカーです。」と記載されている(乙3)。 オ株式会社東洋エンタープライズの広告において,「バイクリフト」として,「世界で最も多く使用されているUSA製二輪車用リフトです。」と記載されている(乙4)。 カ株式会社エステックの広告において,「バイクリフト」のタイトルの下,「大型低床バイクリフト」3商品が掲載されている(乙5)。 キ埼玉マシンセンターの広告において,「バイクリフターメーカー不明」として商品が掲載されている(乙6)。 クリサイクルショップMUGENDOUの広告において,「ストレートバイクリフター」について,「油圧式のバイクリフターです。」と記載されている(乙7)。 ケ OGUshow社のホームページにおいて,平成24年7月5日の記事の中で,代理店のデモカーについて,「見せていただいたのは,200系ハイエーススーパーストロングDX車に取り付けされたバイク乗せ降ろし用の電動バイクリフター″バイクローダー″です。」と記載されている(乙8)。 コ 「店主のブログ」というネットサイトにおいて,「興和精機バイクリフター修理」とのタイトルの平成26年6月12日の記事が掲載されている(乙9)。 サ 「事業者向けサイト現場を支えるネットストアモノ 「店主のブログ」というネットサイトにおいて,「興和精機バイクリフター修理」とのタイトルの平成26年6月12日の記事が掲載されている(乙9)。 サ 「事業者向けサイト現場を支えるネットストアモノタロウ」において,「バイクリフターの販売特集」として,オートバイ用サポートスタンド等が掲載されている(乙10)。 (2) 以上によれば,インターネット上の数件の広告やブログ(上記(1)キないしコ)において,バイク運搬用品又は持上げ用品が,「バイクリフター」というカテゴリーのものとして紹介されたり,販売されている事実が認められる(なお,上記- 21 -(1)サにおける「バイクリフター」は,検索したキーワードがそのまま表示されているにすぎないとうかがわれる。)。 しかし,これらは,その商品を販売する何名かの者が,その商品を「バイクリフター」との名称を用いて紹介したことを示すにすぎず,これらの使用例をもって,「バイクリフター」の名称が一般的に普通名称として認識され,取引者間で現実に普通名称として使用されていたとまで認めることはできない。 また,被告は,平成15年5月において,原告が他社に対して送付した警告書の中で,原告特許権の侵害品とする他社商品を「バイクリフター」と呼称していた点(乙11)も指摘するが,当時,既に「バイクリフター」という名称の商品を販売していた原告が,それと類似し,原告特許発明の実施品であると主張する他社商品のことを「バイクリフター」と呼んだ事実を示すにすぎず,それを超えて,当時,「バイクリフター」との名称が普通名称として認識され,取引者間で現実に普通名称として使用されていたことを示すものとはいえない。 また,前記認定事実によれば,同じくバイク運搬用品又は持上げ用品が,「バイクリフト」として紹介されたり,販売されていた事 ,取引者間で現実に普通名称として使用されていたことを示すものとはいえない。 また,前記認定事実によれば,同じくバイク運搬用品又は持上げ用品が,「バイクリフト」として紹介されたり,販売されていた事実が認められ(前記(1)アないしカ),特に,前記(1)アでは,オートバイ専門雑誌の記事において,原告商品を含めたオートバイ運搬具を「バイク・リフト」と呼んでいることからすると,「バイク・リフト」ないし「バイクリフト」については,オートバイの運搬具の普通名称として認識されていたと認める余地がある。しかし,そうであるとしても,そのことから直ちに,それとは異なる「バイクリフター」が,その種の商品カテゴリーを示す普通名称として用いられているとは認められない。 なお,先に1において述べたとおり,原告商標の「バイクリフター」,「BIKELIFTER」からは,「オートバイを持ち上げ,移動させるもの」との観念を生じ,これは商品の性状を想起させるものではある。しかし,前記のとおり,バイクの運搬用具について普通名称として認識されていたと認める余地のあるのは,せいぜい「バイクリフト」であり,「バイクリフター」が,「バイクリフト」を変- 22 -形した造語であって,実際の使用例もわずかしか認められないことからすると,原告商標は,なお出所識別力において欠けるところはないというべきである。 よって,原告商標が商標法3条1項1号の商標に当たるとは認められないから,原告商標権に基づく権利行使が権利濫用に当たるということはできない。 (3) したがって,前記前提事実(4)ア,イ記載の,被告の,①平成25年8月から少なくとも平成28年8月まで,被告各標章を付したオートバイ運搬用台車である被告商品を製造し,販売し,又は販売のために展示していた行為は,商標法2条3項2号所定の 載の,被告の,①平成25年8月から少なくとも平成28年8月まで,被告各標章を付したオートバイ運搬用台車である被告商品を製造し,販売し,又は販売のために展示していた行為は,商標法2条3項2号所定の使用に係る商標権侵害行為であり,②少なくとも平成28年8月まで,ホームページやインターネットショッピングサイトにおいて,被告各標章を付した被告商品の写真を掲載する等した行為は,同項8号所定の使用に係る商標権侵害行為であると認められる。 3 争点(1)イ(平成28年9月以降の商標権侵害の成否)について(1) 後掲証拠によれば,次の事実が認められる。 ア被告は,平成28年9月,被告商品の名称を「バイクムーバー」に変更した(乙20,21)。 イ平成28年9月29日時点及び同年10月28日時点における被告のホームページにおける記載は,次のようなものである。 ① 平成28年9月29日及び同年10月28日時点において,被告ホームページ冒頭には,被告商品の写真とともに,「BIKEMOVER & STANDMOVER」と記載され,その下に,「バイクシフターは9月1日よりバイクムーバーに名称変更いたしました」と記載されていた(甲70,71,乙20,21)。 ② 平成28年9月29日及び同年10月28日時点において,被告のホームページのタイトル部分には「バイクシフター&スタンドムーバー」と記載されていた(甲70,71)。 ③ 平成28年9月29日及び同年10月28日時点において,被告のホームページ上に掲載された使用方法に関する動画の説明書には,「すいすいバイクが動- 23 -くバイクシフター」,「バイクを素早くバイクシフターを使ってトラックに積む方法」等と記載されていた(甲71,弁論の全趣旨)。 ④ 平成28年9月29日時点の被告ホームページの商 クが動- 23 -くバイクシフター」,「バイクを素早くバイクシフターを使ってトラックに積む方法」等と記載されていた(甲71,弁論の全趣旨)。 ④ 平成28年9月29日時点の被告ホームページの商品購入画面において,「バイクムーバー&スタンドムーバーセット 18000円」の欄の次に「バイクシフター 13800円」との欄が設けられていた(甲70)が,同年10月28日までに,この記載は,「バイクムーバー 13800円」と訂正された(甲71)。 ウ平成28年9月29日及び同年10月28日時点において,YAHOOショッピングサイトにおいて,被告商品が「バイクシフター」との名称で販売されていた(甲72,74,75)。 エ平成28年9月29日及び同年10月28日時点において,被告のオフィシャルブログには,平成25年8月13日付けの「バイクリフター進化版! バイクシフター売れてます!」という表題の記事が残存しており,記事内では被告商品の写真も掲載されていた(甲73,76,77)。 (2) 前記認定事実のとおり,被告は,平成28年9月から,被告商品の名称を「バイクムーバー」に変更したことに伴い,その旨をホームページ上で説明するとともに,ホームページ上の説明文中等にあった「バイクシフター」との記載を一部削除し,「バイクムーバー」に訂正したことが認められる。 しかし,平成28年10月28日時点においても,被告のホームページの各所に被告商品を「バイクシフター」とする記載が残存していたものであり,同年9月29日時点においては,その商品購入画面に「バイクシフター」という商品名が残存していたものである(なお,上記のYAHOOショッピングサイトでの表示は,被告がしたものとは認められない。)。 これら事実に照らすと,前記記載に接した需要者は,同ホームページ ー」という商品名が残存していたものである(なお,上記のYAHOOショッピングサイトでの表示は,被告がしたものとは認められない。)。 これら事実に照らすと,前記記載に接した需要者は,同ホームページにおいて写真とともに掲載されている被告商品が,「バイクムーバー」であるとともに,「バイクシフター」でもあると認識すると認めるのが相当である。 - 24 -そうすると,結局,平成28年9月以降も,被告のホームページ上において,被告標章1が被告商品についての自他商品識別機能を有する形で使用されていたものというべきである。 よって,平成28年9月以降における被告の前記各行為は,商標法2条3項8号所定の使用に係る商標権侵害を構成するものと認められる。 4 争点(1)ウ(原告商標及び被告標章1のメタタグ又はタイトルタグにおける使用による商標権侵害の成否)について(1) 被告標章1の使用について被告のウェブサイトのhtml ファイル上の前記前提事実(4)ウ記載のコードのうち,「<metaname=″description″content=″バイクシフター&スタンドムーバー使い方は動画でご覧下さい″>」との記載は,いわゆるディスクリプションメタタグ,「<title>バイクシフター &スタンドムーバー</title>」との記載はいわゆるタイトルタグであり,これらを記載した結果,ヤフー等の検索サイトにおいてキーワード検索結果が表示されるページ上に,被告のホームページについて,上記タイトルタグのとおりのタイトルが表示され,上記ディスクリプションメタタグのとおりの説明が表示されると認められる(弁論の全趣旨)。 ところで,一般に事業者がその商品又は役務に関してインターネット上にウェブサイトを開設した際のページの表示は,その商品又は役務に関する広 グのとおりの説明が表示されると認められる(弁論の全趣旨)。 ところで,一般に事業者がその商品又は役務に関してインターネット上にウェブサイトを開設した際のページの表示は,その商品又は役務に関する広告であるということができるから,インターネットの検索サイトの検索結果画面において表示される当該ページの説明についても,同様に,その商品又は役務に関する広告であるというべきである。そして,これが表示されるようにhtml ファイルにディスクリプションメタタグないしタイトルタグを記載することは,商品又は役務に関するウェブサイトが検索サイトの検索にヒットした場合に,その検索結果画面にそれらのディスクリプションメタタグないしタイトルタグを表示させ,ユーザーにそれらを視認させるに至るものであるから,商標法2条3項8号所定の商品又は役務に関する広告を内容とする情報を電磁的方法により提供する使用行為に当たるというべき- 25 -である。また,上記のディスクリプションメタタグないしタイトルタグとしての被告標章1の使用は,それにより当該サイトで取り扱われている被告商品の出所を表示するものであるから,被告商品についての商標的使用に当たるというべきである。 これに対し,被告は,ディスクリプションメタタグ及びタイトルタグそのものは,通常,需要者に視認されないものであることを理由として,被告標章1のディスクリプションメタタグ又はタイトルタグにおける使用は商標的使用に当たらないと主張する。 確かに,ウェブサイトのhtml ファイル上のコードの記載は,ブラウザの表示からソース表示機能をクリックするなど,需要者が意識的に所定の操作をしない限り視認できないものである。しかし,前記のとおり,ディスクリプションメタタグないしタイトルタグの記載は,それと同一の記載内容が自 ソース表示機能をクリックするなど,需要者が意識的に所定の操作をしない限り視認できないものである。しかし,前記のとおり,ディスクリプションメタタグないしタイトルタグの記載は,それと同一の記載内容が自動的に検索結果画面上に表示され,広告の内容として需要者に視認されるに至るのであるから,ディスクリプションメタタグ又はタイトルタグに標章を記載する行為は,それを需要者に視認させる行為と同視することができるというべきである。したがって,被告の上記主張を採用することはできない。 (2) 原告商標の使用について被告のウェブサイトのhtml ファイル上の前記前提事実(4)ウ記載のコードのうち,「<metaname=″keywords″content=″バイクリフター″>」との記載は,いわゆるキーワードメタタグであり,ユーザーが,ヤフー等の検索サイトにおいて,検索ワードとして「バイクリフター」を入力して検索を実行した際に,被告のウェブサイトを検索結果としてヒットさせて,上記(1)のディスクリプションメタタグ及びキーワードタグの内容を検索結果画面に表示させる機能を有するものであると認められる。このようにキーワードメタタグは,被告のウェブサイトを検索結果としてヒットさせる機能を有するにすぎず,ブラウザの表示からソース機能をクリックするなど,需要者が意識的に所定の操作をして初めて視認されるものであり,こ- 26 -れら操作がない場合には,検索結果の表示画面の被告のウェブサイトの欄にそのキーワードが表示されることはない。(弁論の全趣旨)ところで,商標法は,商標の出所識別機能に基づき,その保護により商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図ることを目的の一つとしている(商標法1条)ところ,商標による出所識別は,需要者が当該商標を知覚によって認識することを の出所識別機能に基づき,その保護により商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図ることを目的の一つとしている(商標法1条)ところ,商標による出所識別は,需要者が当該商標を知覚によって認識することを通じて行われるものである。したがって,その保護・禁止の対象とする商標法2条3項所定の「使用」も,このような知覚による認識が行われる態様での使用行為を規定したものと解するのが相当であり,同項8号所定の「商品…に関する広告…を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」というのも,同号の「広告…に標章を付して展示し,若しくは頒布し」と同様に,広告の内容自体においてその標章が知覚により認識し得ることを要すると解するのが相当である。 そうすると,本件でのキーワードメタタグにおける原告商標の使用は,表示される検索結果たる被告のウェブサイトの広告の内容自体において,原告商標が知覚により認識される態様で使用されているものではないから,商標法2条3項8号所定の使用行為に当たらないというべきである。 これに対し,原告は,インターネットの検索サイトの利用者がサーチエンジンにキーワードとして原告商標を入力した際にサーチエンジンを通じて被告ホームページでのメタタグ表記を視認しているといえることから,被告による原告商標のメタタグ使用は,商標的使用に当たると主張する。しかし,検索サイトにおける検索キーワードと検索結果との関係にさまざまな濃淡があることは周知のことであることからすると,検索結果画面に接した需要者において,検索キーワードをもって,検索結果として表示された各ウェブサイトの広告の内容となっていると認識するとは認め難いから,検索キーワードの入力や表示をもって,キーワードメタタグが,被告のウェブサイトの広告の内容として知覚により認識される態様で使用さ れた各ウェブサイトの広告の内容となっていると認識するとは認め難いから,検索キーワードの入力や表示をもって,キーワードメタタグが,被告のウェブサイトの広告の内容として知覚により認識される態様で使用されていると認めることはできない。 (3) よって,被告標章1のディスクリプションメタタグないしタイトルタグへの- 27 -記載は商標的使用に当たり,侵害行為であると認められるが,原告商標のキーワードメタタグへの使用については,これを商標的使用に当たると認めることはできないから,侵害行為であるとは認められない。 5 争点(3)ア(原告商品の形態の周知商品等表示性)について(1) 商品の形態は,本来的には,商品としての機能・効用の発揮や商品の美観の向上等のために選択されるものであり,商品の出所を表示する目的を有するものではないが,特定の商品の形態が独自の特徴を有し,かつ,この形態が長期間継続的かつ独占的に使用されたり,短期間でも強力な宣伝等が伴って使用されることにより,その形態が特定の者の商品であることを示す表示であると需要者の間で広く認識されるようになった場合には,当該商品等の形態が,不正競争防止法2条1項1号又は2号にいう「商品等表示」として保護されることになると解すべきである。 (2) 原告商品の形態についてア原告商品の形態は,別紙原告商品目録及び別紙「原告商品と被告商品の形態」のとおりであり,中心部分に台形型の穴が開いた台形型で,底辺部分の左右両端から足が出ており,中心部分の穴の台形の形状は,上底が115ミリメートル,下底が165ミリメートル,左右の斜辺が200ミリメートルであり,足の部分を除いた本体部分の台形の形状は,上底が141ミリメートル,下底が255ミリメートル,左右の斜辺が455ミリメートルであって,左右両端の足の リメートル,左右の斜辺が200ミリメートルであり,足の部分を除いた本体部分の台形の形状は,上底が141ミリメートル,下底が255ミリメートル,左右の斜辺が455ミリメートルであって,左右両端の足の部分は,長さ90ミリメートルで,縦溝及び横溝が刻まれており,高さが53ミリメートルである。 このように,原告商品は,全体として,アルファベットのAのような形状となっている。 バイク移動運搬用品には,四角形の板の中心部分に四角形の穴が開けられ,それにキャスターが4つ付けられた形状のものをはじめ,様々な形状のものが存在するところ(甲9の5,甲38),原告商品及び被告商品以外で,全体としてアルファベットのAのような形状をしたものは,興和精機株式会社のカタログに掲載された商品(乙2の2)があると認められるほか,平成15年頃にP1が乙13の特許発- 28 -明を実施した商品があったと推認され(甲44ないし49,乙11及び13),また,平成24年8月頃に,原告が原告商品を通販カタログに掲載するに当たり,「類似品にご注意ください。」との記載をしようとしていたことが認められる(甲35の1)が,それら以外には見当たらない。そして,それらの他社商品がどの程度の期間にわたって販売されていたのか全く不明であることからすると,なお原告商品の形態の独自性を否定することはできないというべきである。 イ被告は,原告商品の形態は,その技術的機能に由来するものであるから,商品等表示には当たらないと主張する。 商品の形態が商品の技術的な機能及び効用を実現するために他の形態を選択する余地のない不可避的な構成に由来する場合,そのような商品の形態自体が「商品等表示」に当たるとすると,当該形態を有する商品の販売が一切禁止されることになり,結果的に,特許権等の工業所有権制度によ する余地のない不可避的な構成に由来する場合,そのような商品の形態自体が「商品等表示」に当たるとすると,当該形態を有する商品の販売が一切禁止されることになり,結果的に,特許権等の工業所有権制度によることなく,当該形態によって実現される技術的な機能及び効用を奏する商品の販売を特定の事業者に独占させることにつながり,しかも,不正競争行為の禁止には期間制限が設けられていないことから,上記独占状態が事実上永続することなり,かえって,不正競争防止法の目的に反する結果を招くことになる。したがって,商品の形態が商品の技術的な機能及び効用を実現するために他の形態を選択する余地のない不可避的な構成に由来する場合には,「商品等表示」に該当しないと解するのが相当である。 原告商品は,バイクの後輪を原告商品の足の部分をまたぐようにして乗せ,原告商品の上底側を使用者の足で踏むことにより,てこの原理を利用して後輪を持ち上げ,前輪及び後輪を利用してバイクを移動させたりする機能を有しているところ(甲4),これは,原告特許発明に係る明細書の実施例に示された実施品であり(甲50),バイク後輪の幅と使用者の足の幅の差異を考慮して,原告商品全体の形態を,バイク後輪を乗せる側の辺が反対側の辺よりも長く設定された台形とし,また,商品の強度を保ちつつ軽量化する観点から,中心部を台形型にくり抜いた形状とする現在の形態が,原告特許発明のほぼ最良の実施形態であるものと認められ- 29 -る。 しかし,前記のような原告商品の機能は,仮に,原告商品全体が長方形など別の形状であっても実現されるものと認められ,また,中心部がくり抜かれていない場合であっても,前記機能を実現することは可能であると考えられる。 そうすると,前記のような原告商品の形態上の特徴は,その技術的機能を実施するためのほ のと認められ,また,中心部がくり抜かれていない場合であっても,前記機能を実現することは可能であると考えられる。 そうすると,前記のような原告商品の形態上の特徴は,その技術的機能を実施するためのほぼ最良の形態であるとはいえるが,その技術的機能に由来する不可避的な構成とまではいえないことから,被告の主張を採用することはできない。 ウそして,原告は,原告特許権を有していたこともあって,平成10年5月以降,前記P1に対して同特許権を行使する(甲44ないし49)などして,原告商品の形態をほぼ独占的に使用してきたが,前記前提事実(6)記載のとおり,原告特許権は平成17年9月10日付けで消滅したと認められる。 (3) 原告商品の売上げ,宣伝広告等についてア平成11年8月から平成26年9月までの原告商品の売上数量は合計7693台であり,販売開始当初3年間の売上台数は,平成12年が148台,平成13年が222台,平成14年が196台,直近3年間の売上台数は,平成23年が645台,平成24年が763台,平成25年が721台であり,平均すると年間約512台である(甲8,弁論の全趣旨)。 イ原告は,平成11年以降,「Kawasaki 」, 「monomagazine 」, 「BIGMACHINE」,「mr. Bike」,「CLUBHARLEY」,「VIBES」,「オートバイ」,「MotorCyclist」,「TheMotorcycleClassics」,「東本昌平RIDE」などの雑誌や,「二輪車新聞」及び「デイリースポーツ」などの新聞(以下,これらを「雑誌等」ということがある。)に広告を掲載して原告商品を宣伝しており(甲9,甲10,甲63),ほぼ全ての広告において,原告商品の使用方法の説明に加え,原告名の記載及び原告商品の写真が掲載され らを「雑誌等」ということがある。)に広告を掲載して原告商品を宣伝しており(甲9,甲10,甲63),ほぼ全ての広告において,原告商品の使用方法の説明に加え,原告名の記載及び原告商品の写真が掲載されている。このほか,原告は,少なくとも平成17年冬頃から平成20年秋頃の間,平成25年夏頃及び平成27年1月頃に,JAF会員に年4回送付される通販カタログである「好人好物」及び「通販紀- 30 -行」に原告商品の広告を掲載していた(甲10の3,甲10の4,甲31ないし37)。 原告商品の広告等の雑誌等への掲載状況は別紙「広告掲載状況」記載のとおりであり(甲9,甲10の1,2,甲30,甲43,甲64),平成11年には6回,平成15年には3回,平成16年には4回,平成17年には6回,平成18年には2回,平成19年には14回,平成20年には12回,平成21年には15回,平成22年には22回,平成23年には23回,平成24年には18回,平成25年には12回,平成26年には9回,平成27年には1回掲載されており,平成11年から平成27年までの16年間で,合計147回掲載されたものであるが,大半の広告は約1/6ページよりも小さなサイズのものであった。 なお,平成16年1月から平成26年9月までに原告が要した広告宣伝費用は,合計641万0231円である(甲12,甲43)。 ウ前記記載の雑誌等の各回の発行部数及びページ数は,「Kawasaki」が25万部(甲65)で158頁以上(甲9の1の1),「BIGMACHINE」が10万部(甲66),「mr. Bike」が11万部(甲52),「CLUBHARLEY」が12万部(甲67)で154頁以上(甲9の5),「VIBES」が10万部(甲51)で204頁以上(甲9の6の1),「オートバイ」が9万部(甲52)で が11万部(甲52),「CLUBHARLEY」が12万部(甲67)で154頁以上(甲9の5),「VIBES」が10万部(甲51)で204頁以上(甲9の6の1),「オートバイ」が9万部(甲52)で143頁以上(甲9の7の51),「Motorcyclist」が20万部(甲55),「別冊MotorCyclist」が15万部(甲55),「TheMotorcycleClassics」が5万部(甲55),「東本昌平RIDE」が3万部(甲52)で103頁以上(甲63の26),「二輪車新聞」が3万部(甲52),「デイリースポーツ」が39万4939部(甲53)であり,JAF会員に年4回送付される通販カタログである「好人好物」及び「通販紀行」の発行部数が各1196万5500部(甲54)である。 エ原告は,平成11年,「15th ‘99 OSAKAMOTORCYCLESHOW」に出展しており,同ショーで原告に割り当てられたブースにおいては,原告商品とともに,原告商品の写真及び商品名,原告名並びに使用方法等が記載されたチラシが展示さ- 31 -れた(甲11)。同ショーの入場者数は,3日間で11万5045人であった(甲69)。 オ原告商品は,原付,軽二輪,小型二輪及び大型二輪(以下,これらを併せて「二輪車」ということがある。)の全てを対象としているところ(弁論の全趣旨),日本国内における,大型二輪を除く二輪車の保有台数は,平成24年が1198万5085台(甲58),平成25年が1182万3429台(甲58),平成26年が1167万4390台(甲58)である。 (4) 原告商品の形態の周知商品等表示性についてア前記のとおり,原告商品は,オートバイの移動運搬用品であり,二輪車全てを対象とするものであること,及び,オートバイの移動運搬は,バイ である。 (4) 原告商品の形態の周知商品等表示性についてア前記のとおり,原告商品は,オートバイの移動運搬用品であり,二輪車全てを対象とするものであること,及び,オートバイの移動運搬は,バイク保有者であれば日常的に行う動作であることからすると,原告商品の需要者については,バイク愛好家より広く,二輪車の保有者ととらえるのが相当であるところ,前記のとおり,大型二輪を除く二輪車の国内保有台数は,概ね1170万台前後である。 前記のとおり,原告商品については,15年間で合計147回の雑誌等への広告が掲載されたが,最も多く掲載された雑誌である「オートバイ」については,平成19年1月から平成26年9月まで,ほぼ毎月1回のペースで広告掲載がされたものの,同雑誌の発行部数は毎回9万部にとどまっており,また,多くの場合,その143頁目以降のページの下部分に,ページ全体の約6分の1程度の大きさで掲載されているにすぎないものである(甲9)。また,このことは,次いで広告回数の多い「東本昌平RIDE」についても同様である。また,「オートバイ」以外の雑誌等については,原告商品の広告掲載回数は,最多でも合計6回にすぎないものである。これらからすると,雑誌等への広告掲載による原告商品の広告宣伝の効果が,それほど大きなものであったとは認められない。 なお,JAF会員向けのカタログは,1196万部程度配布されているものであるが,証拠上,原告商品の広告の掲載が認められる期間は前記認定のとおりである上,広告掲載は年4回にとどまることからすれば,広告の掲載回数として多いとは- 32 -いえず,また,通販用のカタログであることから,他の多くの商品と共に掲載されているにとどまる。 そうすると,平成11年に,オートバイ愛好家が集うイベントに原告商品が出展された事実等,本 32 -いえず,また,通販用のカタログであることから,他の多くの商品と共に掲載されているにとどまる。 そうすると,平成11年に,オートバイ愛好家が集うイベントに原告商品が出展された事実等,本件に現れた一切の事情を考慮しても,原告商品の商品形態についての広告宣伝の効果が,それほど大きなものであったと認めることはできない。 イそして,原告商品は,平成11年以降,毎年ある程度の台数の売上げを継続しており,近年,販売数量が伸びてきていることが認められるが,平成11年8月から平成26年9月までの15年間の販売数量の総数は7693台であり,その需要者の間に広く浸透しているとはいい難いものである。 以上に加え,前記のとおり,バイク移動運搬用品には,他にも様々な形態のものがあり,ユーザーの間において,特に原告商品の知名度が高いことをうかがわせる証拠も存しないことも考慮すると,原告商品の形態が継続的かつほぼ独占的に使用されてきたことを考慮しても,なお,その形態が,原告の商品であることを示す表示であると需要者に広く認識されていると認めることはできない。 よって,その余について判断するまでもなく,原告商品の形態が周知商品等表示であることを前提とする不正競争防止法違反の主張は,理由がない。 6 争点(2)ア(原告商標の周知性)について原告商品の宣伝広告に関する状況は前記5(3)記載のとおりであり,これら広告においては,商品名である「バイクリフター」,「BikeLifter」 又は「BIKELIFTER」が記載されていたことが認められる(甲9,10,甲30ないし32,甲34ないし37,甲63)。 しかし,前記5で述べた原告商品の販売数量やその広告の状況からすると,原告商標が需要者の間に広く認識されていると認めることはできない。 よって,その余 30ないし32,甲34ないし37,甲63)。 しかし,前記5で述べた原告商品の販売数量やその広告の状況からすると,原告商標が需要者の間に広く認識されていると認めることはできない。 よって,その余について検討するまでもなく,原告商標の周知性に基づく不正競争防止法違反の主張は,理由がない。 7 差止め及び廃棄請求について- 33 -(1) 以上によれば,本件での原告の主張のうち,被告の不正競争防止法違反をいうものについては理由がないが,被告の商標権侵害をいうものについては,キーワードメタタグにおける原告商標の使用を除き,理由がある。 (2) ところで,原告は,本件の請求第1項において,被告に対し,商標法36条1項に基づき,被告標章1又は2を使用し,又はこれを使用したオートバイ運搬用台車を譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために所持若しくは展示することの差止めを請求している。しかし,差止請求は,被告が現に行い又は行うおそれのある侵害行為についてのみ認められるものであるところ,これまでの検討によれば,本件で被告が現に行い又は行うおそれがあると認められる商標権侵害行為は,①被告各標章をオートバイ運搬用台車に付す行為,被告各標章を付したオートバイ運搬用台車を譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために所持若しくは展示する行為(商標法2条3項1号,2号,商標法37条1号,2号),②被告各標章をディスクリプションメタタグ及びタイトルタグに記載する行為(商標法2条3項8号),③ホームページやインターネットショッピングサイトにおいて,被告各標章を付した被告商品の写真を掲載する等して,オートバイ運搬用台車に関する広告を内容とする情報に,被告各標章を付して電磁的方法により提供する行為(商標法2条3項8号)であるから,原告は,被告に対し,商標法3 た被告商品の写真を掲載する等して,オートバイ運搬用台車に関する広告を内容とする情報に,被告各標章を付して電磁的方法により提供する行為(商標法2条3項8号)であるから,原告は,被告に対し,商標法36条1項に基づき,これらの行為の差止めを請求することができるが,これら以外の行為の差止めを求めることはできない。なお,被告は,前記のとおり被告商品の商品名を改めているが,ホームページ上は未だ変更されていない記載もある上,そもそも被告各標章の侵害性を争っていることからすると,被告が上記行為を行うおそれを否定することはできない。 (3) また,原告は,本件の請求第2項ないし第4項において,商標法36条2項に基づき,①被告各標章を使用したオートバイ運搬用台車の廃棄,②被告各標章のインターネット上のウェブサイトその他の営業表示物件からの抹消,③被告のウェブサイトのディスクリプションメタタグ及びタイトルタグからの被告標章1の削除並びにキーワードメタタグからの原告商標の削除を請求している。しかし,まず,- 34 -①については,被告による侵害行為の予防のためには,被告商品に付された被告各標章の抹消を命じれば足りることから,これを超えた被告商品の廃棄請求について認めることはできない。また,②については,被告が被告各標章をウェブサイト以外の営業表示物件に使用していることを認めるに足りる証拠はなく,また,他者の掲載するウェブサイト広告からの抹消を請求することはできないから,その掲載するウェブサイト広告からの被告各標章の削除の限度で認められる。また,③については,被告ウェブサイトのディスクリプションメタタグ及びタイトルタグからの被告標章1の削除の限度で認められる。 8 争点4(損害発生の有無及び額)について(1) 原告は,原告商標を付した原告商品を販売して ウェブサイトのディスクリプションメタタグ及びタイトルタグからの被告標章1の削除の限度で認められる。 8 争点4(損害発生の有無及び額)について(1) 原告は,原告商標を付した原告商品を販売してきているから,本件での被告の商標権侵害行為による原告の損害額については,商標法38条2項が適用されると認められる。 (2) 証拠(乙15ないし19)によれば,平成25年8月から平成28年8月までの被告商品の販売数量,売上げ,粗利は次のとおり認められる。 ●(省略)●(4) 以上より,平成25年8月ないし平成28年8月までに,被告各標章を使用した被告商品の販売によって被告が受けた利益額は合計1332万4047円であり,これを原告の損害と推定することの覆滅に関する主張はされていないから,同額が同期間の原告の損害と認められる。 (計算式)1367万7697円-35万3650円=1332万4047円(5) 平成28年9月及び10月の原告の損害額についてア被告は,平成28年9月に,被告商品の名称を「バイクムーバー」に変更したことから,被告各標章を使用した被告商品の売上げも粗利も存しないと主張する。 しかし,前記3のとおり,同月以後も,被告のホームページの各所等において被告商品を「バイクシフター」とする記載が残存しており,これらの記載に接した需要者は,被告商品が「バイクムーバー」であるとともに「バイクシフター」でもある- 35 -と認識すると認められる。このことからすると,同月以降も,被告各標章の使用による利益は発生していると認めるのが相当であるが,主たる表記を「バイクムーバー」に改めていることからすると,被告各標章の使用による利益は,被告商品の販売利益の3割と認めるのが相当である。 イ被告は,平成28年9月以降,商品名を変更するとともに 主たる表記を「バイクムーバー」に改めていることからすると,被告各標章の使用による利益は,被告商品の販売利益の3割と認めるのが相当である。 イ被告は,平成28年9月以降,商品名を変更するとともに,価格を1万3800円としたことが認められる(乙20)。しかし,もともと被告商品の販売価格は1万2800円であったこと(乙20)からすると,販売価格においてそれほど大きな変更はないというべきであり,また,名称変更に伴って経費等が拡大したことを認めるに足りる証拠もないことからすれば,平成28年9月及び10月の各月の被告商品の販売利益は,平成25年8月から平成28年8月までの1か月当たりの利益額と同額であると推認され,原告の損害はその3割である10万8032円であると認められる。 (計算式)1332万4047円÷37か月×0.3=10万8032円(小数点以下切捨て)よって,平成28年9月及び10月の原告の損害額は,上記の2か月分の21万6064円と認められる。 (6) 以上より,平成25年8月から平成28年10月までの原告の損害額は,合計1354万0111円(1332万4047円+21万6064円)と認められる。 また,本件に現れた一切の事情を考慮すると,被告による商標権侵害行為と相当因果関係のある弁護士費用相当額は,140万円と認めるのが相当である。 よって,原告が被告に対して請求可能な損害賠償金は,1494万0111円である。なお,原告は,商事法定利率である年6分の割合による遅延損害金の支払請求をするが,本件において認められる被告の債務は,不法行為に基づく損害賠償債務であるところ,これは,商法514条の「商行為によって生じた債務」には当たらないことから,遅延損害金は民法所定の年5分の限度で認められる。また,遅延- 36 -損害金の 法行為に基づく損害賠償債務であるところ,これは,商法514条の「商行為によって生じた債務」には当たらないことから,遅延損害金は民法所定の年5分の限度で認められる。また,遅延- 36 -損害金の始期については,訴状で請求した583万円に対しては,訴状送達の日の翌日である平成27年2月5日からのものが認められるが,平成28年10月31日付け請求の趣旨及び原因変更申立書によって拡張した請求額に対応する911万0111円については,請求対象に係る不法行為の最終日である平成28年10月31日からのものを認めることとするのが相当である。 9 以上のとおり,原告の請求は,前記7及び8認定の限度で理由があるから,その限度で認容することとし,その余は理由がないことから棄却することとし,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条,64条1項本文を,仮執行宣言につき同法259条1項をそれぞれ適用して,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第26民事部 裁判長裁判官 髙松宏之 裁判官 田原美奈子 裁判官 大川潤子 潤子

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