平成17年4月22日判決言渡平成16年(少コ)第3754号(通常手続移行)請負代金請求事件口頭弁論終結日平成17年4月15日判決上記頭書請求事件(以下「本件訴訟」という。)について,被告から口頭弁論期日指定の申立があったので,当裁判所は,その当否に関し審理を行い,次のとおり判決する。 主文 1 本件訴訟は平成17年1月14日の和解成立により終了した。 2 被告の平成17年3月16日付け書面による口頭弁論期日指定申立て以後の訴訟費用は,被告の負担とする。 事実及び理由 第1 事実 1 被告は,平成17年3月16日付け書面をもって本件訴訟につき口頭弁論期日の指定を求める旨申立て,その事由として,「本件訴訟については,平成17年1月14日の口頭弁論期日において,原告と被告との間に裁判上の和解をした旨の口頭弁論調書が作成されているが,被告は,通常手続に移行する旨の申述をしたので,原告の工事及びその内容等に関する不満について,反訴か別訴を提起することを考えていた。しかし,第6項に「本件に関し」の記載がないことは,この被告の意思に反するものである。そこで,上記和解は無効であるから,本件訴訟の審理を受けるため,本件期日指定の申立てをした。」と主張した。 2 原告は,「被告から原告の工事に苦情が出されているが,そのような事実はない。原告は,被告が原告の取引先に対して,原告を誹謗中傷するような発言を繰り返していたことから,その風評によって著しく信用が毀損される事態が生じていたので,それを止めて欲しかった。そこで,原告は,紛争を解決することで,誹謗中傷が止むのであればやむを得ないと判断して,本件追加工事を行ったことの証として代金のうち10万円だけは確保し,それ以外はすべて放棄するという内容の和解をした。原 原告は,紛争を解決することで,誹謗中傷が止むのであればやむを得ないと判断して,本件追加工事を行ったことの証として代金のうち10万円だけは確保し,それ以外はすべて放棄するという内容の和解をした。原告は,被告が平成16年5月以降,常々訴えを提起すると言っていたので,提起された訴訟の中で本件請求の解決も図りたいと考えていたが,一向に訴えを提起しないので,仕方なく本件訴訟を提起した。被告が反訴や別訴を提起しないというので和解したものであり,被告が訴えを提起することが分かっていれば,請求の大半を放棄するような和解はしなかった。」と主張した。 第2 理由 1 本件記録によれば,本件訴訟は,原告が被告の自宅改装追加工事代金59万7610円の支払を求め,これに対し,被告が原告の当該工事及びその内容等に関する不満を理由として代金の支払いを拒んでいるところ,当裁判所は,平成17年1月14日の本件訴訟の第1回口頭弁論期日において,出頭した双方代理人に対し和解を勧告し,当事者間に,和解の口頭弁論調書が作成されたことが認められる。 2 当裁判所は,同期日において,被告代理人に対し,本件追加工事が行われたことに間違いがなければ,代金の支払いを拒否する理由を明らかにするように求めたところ,当該工事に関する原告ないし原告代理人Aに対する苦情が述べられたが,裁判所としては,拒否すべき法律上の根拠となる具体的な事実関係を明らかにしないと,代金の支払いを拒絶できないし,また,反訴や別訴を提起するにしても,具体的な事実関係を明らかにしないと一定の法律上の効果を主張できない旨申し向けたが,具体的な事実関係の主張は得られなかった。 3 そこで,まず,原告代理人に対し,「被告から法律上の効果を生じさせる具体的な事実関係の主張はないが,原告が実施した工事の不満があり,その不満の けたが,具体的な事実関係の主張は得られなかった。 3 そこで,まず,原告代理人に対し,「被告から法律上の効果を生じさせる具体的な事実関係の主張はないが,原告が実施した工事の不満があり,その不満の矛先が原告の取引先に向けられた結果,原告が取引先への苦情等によって困っているということであれば,不満な点を代金額の減額という方法によって考慮し,早期の紛争解決を図ったらどうか。そして,代金の支払いが終了しても原告の取引先に対する誹謗中傷が続くようであれば困るので,被告に対して,原告を誹謗中傷しないことを確認してもらうことにする。」と説得した。次に,被告代理人に対し,「原告の工事内容に不満があることは分かるが,法律上の効果を生じさせるような具体的な事実関係を主張しなければ,訴えを提起しても被告の主張が認められる可能性は低いから,その主張をする負担や証拠を集める苦労を考えたら,不満な点について,被告が納得ができる額に減額させて,紛争を解決することはできないか。ただし,原告は,被告の取引先に対する苦情等によって困っているというので,被告が行っていなければ何の問題もないし,仮に行っているなら止めるべきであるので,原告を誹謗中傷しないことを確認する合意をして欲しい。」と説得した。そして,双方代理人に対し,和解条項どおりの和解の合意をするように勧めたところ,双方は合意したので,当裁判所は,双方に和解条項の文言を逐一読み聞かせたところ,双方はこれを承諾したので,書記官をして同和解条項を調書に記載させたことが認められる。 4 そうすると,上記和解は,原告と被告の合意により有効に成立しており,これを無効とする何らの原因も存しないから,本件訴訟は上記和解によって終了したことは明らかである。そうすれば,被告の上記期日指定の申立ては理由がない。 なお,第6項の内容 により有効に成立しており,これを無効とする何らの原因も存しないから,本件訴訟は上記和解によって終了したことは明らかである。そうすれば,被告の上記期日指定の申立ては理由がない。 なお,第6項の内容は,特段の事情がない限り,当事者は互いに和解条項に定められている以外の事項に関する請求権を放棄したうえ,その不存在を確認したものである。和解当時,和解条項に定められている以外の事項が存在することが明確であれば,「本件に関し」と記載し,和解条項に定められた事項に限定することも可能であるが,本件のように記載が無い場合でも,和解当時に予期できない事項であるなど,特段の事情があれば請求権は放棄されていないと判断される余地も残されていることを付言する。 東京簡易裁判所少額訴訟4係裁判官行田豊
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