昭和53(オ)1199 譲受債権

裁判年月日・裁判所
昭和55年1月11日 最高裁判所第三小法廷 判決 破棄自判 東京高等裁判所 昭和52(ネ)627
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【DRY-RUN】主    文      原判決を破棄し、第一審判決を取り消す。      被上告人は、上告人に対し、金一二三万〇二八一円及びこれに対する昭 和四九年七月一六日から支払ずみまで年六分の割合による金員を支

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判決文本文2,244 文字)

主文 原判決を破棄し、第一審判決を取り消す。 被上告人は、上告人に対し、金一二三万〇二八一円及びこれに対する昭和四九年七月一六日から支払ずみまで年六分の割合による金員を支払え。 訴訟の総費用は被上告人の負担とする。 理由 一上告代理人青柳健三の上告理由について所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。 二職権をもつて調査すると、本件において、上告人は、訴外D(以下「訴外D」という。)が被上告人に対して有していた一二三万〇二八一円の売掛金債権(以下「本件債権」という。)を譲り受けたものであると主張して、同額の金員及びこれに対する昭和四九年七月一六日から支払ずみまで商事法定利率年六分の割合による遅延損害金の支払を求めているものであるところ、原審の確定したところによれば、(1) 訴外Dは、電機部品の製造販売を業とするものであり、被上告人に対し電機部品を売り渡し、昭和四九年三月四日現在一二三万〇二八一円の本件債権を有していた、(2) 上告人は、訴外Dに対し、弁済期昭和四九年一月三一日、利息年一割五分、遅延損害金日歩八銭二厘の約定のもとに、昭和四八年一月一一日現在六三〇万円の貸金債権を有していたが、昭和四九年三月四日ごろ、訴外Dから本件債権の全部を右貸金債権中の対当額の弁済に代えて譲り受け、訴外Dは、同日付内容証明郵便をもつてその旨を被上告人に通知し、同郵便は同月六日午後零時から午後六時までの間に被上告人に到達した、(3) また、訴外Dは、同月五日ごろ、訴外E及び訴外F株式会社に対し、いずれも本件債権の全部をそれぞれ譲渡し、右各譲渡に- 1 -つき同日付内容証明 時から午後六時までの間に被上告人に到達した、(3) また、訴外Dは、同月五日ごろ、訴外E及び訴外F株式会社に対し、いずれも本件債権の全部をそれぞれ譲渡し、右各譲渡に- 1 -つき同日付内容証明郵便をもつてその旨を被上告人に通知し、右郵便はいずれも同月六日午後零時から午後六時までの間に被上告人に到達した、(4) 他方、訴外武蔵野社会保険事務所は、同月六日、訴外Dの健康保険料、厚生年金保険料及び児童手当拠出金の滞納金につき延滞金一〇〇〇円を加えた総額二七万四九一八円を徴収するため、本件債権を差し押え、その債権差押通知書は同日午後零時から午後六時までの間に被上告人に到達した、というのである。 思うに、指名債権が二重に譲渡され、確定日付のある各譲渡通知が同時に第三債務者に到達したときは、各譲受人は、第三債務者に対しそれぞれの譲受債権についてその全額の弁済を請求することができ、譲受人の一人から弁済の請求を受けた第三債務者は、他の譲受人に対する弁済その他の債務消滅事由がない限り、単に同順位の譲受人が他に存在することを理由として弁済の責めを免れることはできないもの、と解するのが相当である。また、指名債権の譲渡にかかる確定日付のある譲渡通知と右債権に対する債権差押通知とが同時に第三債務者に到達した場合であつても、右債権の譲受人は第三債務者に対してその給付を求める訴を提起・追行し無条件の勝訴判決を得ることができるのであり、ただ、右判決に基づいて強制執行がされた場合に、第三債務者は、二重払の負担を免れるため、当該債権に差押がされていることを執行上の障害として執行機関に呈示することにより、執行手続が満足的段階に進むことを阻止しうる(民訴法五四四条参照)にすぎないのである(最高裁昭和四五年(オ)第二八〇号同四八年三月一三日第三小法廷判決・民集二七巻二 て執行機関に呈示することにより、執行手続が満足的段階に進むことを阻止しうる(民訴法五四四条参照)にすぎないのである(最高裁昭和四五年(オ)第二八〇号同四八年三月一三日第三小法廷判決・民集二七巻二号三四四頁参照)。 これを本件についてみると、前記の事実関係のもとにおいては、上告人の被上告人に対する本件請求は、前示の(3)及び(4)の各事由の存在によつてはなんら妨げられるものではないものというべく、記録によつても、被上告人において上告人以外の他の譲受人に対して既に弁済をしたなどの債務消滅事由等の存在を主張・立- 2 -証した形跡はなんらうかがわれないから、上告人の本件請求は全部理由があるものというべきである。 しかるに、原判決は、前示(2)及び(3)の各債権譲渡通知書並びに(4)の債権差押通知書がいずれも昭和四九年三月六日午後零時から午後六時までの間に被上告人に到達したのであるが、それ以上には右各通知書の到達の先後関係が確定できないためその相互間の優劣関係を決定することができないとして、上告人の本件請求を排斥したものであつて、右は民法四六七条の解釈を誤つたものといわなければならず、その違法は原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかであるから、原判決を破棄し、上告人の本件請求を棄却した第一審判決を取り消したうえ、その請求を全部認容すべきである。 よつて、民訴法四〇八条一号、三九六条、三八六条、九六条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官江里口清雄裁判官高辻正己裁判官環昌一裁判官横井 清雄 裁判官 高辻正己 裁判官 環昌一 裁判官 横井大三

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