平成16年1月21日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成15年(ワ)第64号従業員地位確認等請求事件口頭弁論終結日平成15年9月24日 主文 1 原告らが,被告に対し,労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。 2 被告は,原告X1に対し,18万0550円及びこれに対する平成15年1月1日から支払済みまで年6分の割合による金員並びに平成15年1月から本案判決確定まで毎月末日限り31万2475円を支払え。 3 被告は,原告X2に対し,平成14年12月から本案判決確定まで毎月末日限り36万9303円を支払え。 4 被告は,原告X3に対し,16万6993円及びこれに対する平成15年1月1日から支払済みまで年6分の割合による金員並びに平成15年1月から本案判決確定まで毎月末日限り35万8893円を支払え。 5 訴訟費用は被告の負担とする。 6 この判決は,第2ないし4項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求主文のとおり第2 事案の概要本件は,被告を懲戒解雇された原告らが,同解雇が無効であって依然として労働契約上の地位にあることを主張して,労働契約に基づき,その権利を有する地位にあることの確認と未払賃金等の支払を求めた事案である。 1 前提事実(争いのない事実及び証拠により容易に認定できる事実)(1) 当事者ア原告ら原告X1は,平成11年10月19日に,原告X2は,平成9年2月中旬ころに,原告X3は,平成7年3月24日に,それぞれ被告と労働契約を締結し,ごみ収集車の運転業務等に従事していた。 イ被告被告は,一般廃棄物や X2は,平成9年2月中旬ころに,原告X3は,平成7年3月24日に,それぞれ被告と労働契約を締結し,ごみ収集車の運転業務等に従事していた。 イ被告被告は,一般廃棄物や産業廃棄物の収集,運搬及び処分業等を目的とする株式会社である。 被告は,おおむね事務職4名,従業員36名の従業員構成であった(乙1)。 (2) 被告とZ間の業務委託契約等(甲39,乙1,弁論の全趣旨)被告は,従前よりZからごみ収集の委託を受けていた3つの会社が平成5年に合併して設立されたものであり,同市内の家庭ごみを収集する唯一の会社である。同社は,上記委託に基づくZの家庭ごみ収集のほか,事業所と個別に契約して事業ごみの収集の業務も行っている。 同委託契約は,毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間であって年度ごとに契約されることとなっていた。この業務委託契約に基づく委託料は平成14年度で約4億5596万円(ただし,消費税等を含む)であり,被告の総売上の約8割を同委託料が占めていた。 被告は,収集したごみをZの清掃リレーセンター(以下「リレーセンター」という。)に搬入して処理しているが,その際,家庭ごみは無料で搬入できるが,事業ごみは10キロ当たり50円の処理料を支払って搬入することとなっていた。 (3) 被告の業務に関する新聞記事平成14年11月12日,「営業廃棄物を不正搬入」との見出しで,zの廃棄物収集運搬業者が,処理手数料が有料である営業廃棄物を一般家庭廃棄物に混入し,同市に支払うべきごみ処理手数料を免れていたとの趣旨の記事がa新聞に掲載され,以後,同紙において連日この件についての記事の掲載が続いた(甲8の1ないし7)。 更に,平成14年12月1 し,同市に支払うべきごみ処理手数料を免れていたとの趣旨の記事がa新聞に掲載され,以後,同紙において連日この件についての記事の掲載が続いた(甲8の1ないし7)。 更に,平成14年12月11日には,Zのごみ収集会社が,事業系ごみを不正搬入した疑いがもたれている旨の記事が,b新聞,c新聞,d新聞の各紙にも掲載された(甲8の8ないし11)。 (4) 原告らの議会傍聴及び記者会見等原告らは,平成14年12月7日,同月9日に有給休暇を取る旨を届け出たが,その際,原告X1はその理由を「私用」,同X2は「急用」としてその届けを提出した(乙5の1,2)(原告X3は,書面による届出をしなかった。)。 同月9日,原告らは,Z議会における議事を傍聴し,その後,Z議会議長及び同副議長らと30分程度面談した。 翌10日午後2時ころ,原告らは,Z役所記者クラブ室において記者会見を開いた。 (5) 被告による原告らの解雇の意思表示(甲4~6,乙38~40の各1・2)ア被告は,平成14年12月11日,「平成14年12月9日午前10時より開催された12月定例Z議会会議場により当社社員でありながら、会社の許可を得ず又、会社の有給休暇申請において虚偽の理由を添付し、会社を有給欠席し、元社員A、他と共闘し、会議場に置いて会社の運営方針に対する営業妨害とも取られる言動で罵倒し、会社の取引先である市並びに最高運営機関である市議会に対し多大なるご迷惑をおかけし、ひいては、当社の信用並びに権威を失墜させた」との理由を記載した懲戒解雇通知書と題する書面を原告らに直接交付し,原告らを即時懲戒解雇とする意思表示をした(以下「本件懲戒解雇」という。)。 イ被告は,原告らに対し,予備的に,平成15年2月11 記載した懲戒解雇通知書と題する書面を原告らに直接交付し,原告らを即時懲戒解雇とする意思表示をした(以下「本件懲戒解雇」という。)。 イ被告は,原告らに対し,予備的に,平成15年2月11日,同月12日付けの解雇通知書を送付し,次のような事情があることから,平成15年3月15日をもって普通解雇するとの意思表示をした(以下「本件普通解雇」という。)。 (ア) 原告X1については,①平成14年10月1日,無断で他の組合員を先導して職場放棄をした件,②同年10月15日,不正なゴミ収集行為を行い,その行為がビデオに撮影されたものを新聞社に持ち込み,事実を歪曲して当社の信用を毀損した件,③同年12月9日,元社員A(以下「A」という。)とともにZ議会本会議場で非礼な発言をし,当社の信用を毀損した件,④同年12月10日,記者会見を行い,虚偽の事実を陳述し,当社の信用を毀損するとともに,当社がゴミ収集の委託事業を受けているZ及び同市長をみだりに批判した件,⑤その他の各事情により,就業規則28条の(4)及び(6)並びに6条の(2),(4)及び(6)を適用(イ) 原告X2及び同X3については,①同年12月9日,元社員AとともにZ議会本会議場で非礼な発言をし,当社の信用を毀損した件,②同年12月10日,記者会見を行い,虚偽の事実を陳述し,当社の信用を毀損するとともに,当社がゴミ収集の委託事業を受けているZ及び同市長をみだりに批判した件,③その他の各事情により,就業規則28条の(4)及び(6)並びに6条の(2),(4)及び(6)を適用(6) 原告らの平均賃金等原告X1,同X2及び同X3の平成14年9月から同年11月までの3か月間の平均賃金は,それぞれ31万2475円,36万9303円,35万889 を適用(6) 原告らの平均賃金等原告X1,同X2及び同X3の平成14年9月から同年11月までの3か月間の平均賃金は,それぞれ31万2475円,36万9303円,35万8893円である。 被告は,従業員に対し,毎月末日に,前月26日から当月25日までの1か月間の給料を支払っている。 被告は,平成14年12月20日,同年11月26日から同年12月11日までの勤務分の賃金として,原告X1に対し13万1925円,同X3に対して19万1900円を支払った(甲21~24,弁論の全趣旨)。 (7) 被告の就業規則(甲9)被告の就業規則には,次の規定がある。 ア第6条(服務規定)「従業員は,次の事項を守らなければならない。 (1),(3),(5)及び(7)ないし(12) 略(2) 業務上の権限を超えて,独断的な事はしないこと(4) 会社に不利益となる事項を他にもらさないこと(6) 従業員として品位を傷つけるような行為をしないこと 」イ第28条(予告解雇)「従業員が次の各号の1に該当するときは30日前に予告するか,あるいは30日分の平均賃金を支給して解雇する。但し,予告日数は1日について平均賃金を支払った場合,その日数だけ短縮することができる。 (1)ないし(3)及び(5) 略(4) 服務規定に反する行為があったとき(6) その他,前各号に準ずる程度の理由があるとき 」ウ 29条(即時解雇)「次の各号の1に該当するときは,あらかじめ所轄労働基準監督署長の認定を受けたうえ予 その他,前各号に準ずる程度の理由があるとき 」ウ 29条(即時解雇)「次の各号の1に該当するときは,あらかじめ所轄労働基準監督署長の認定を受けたうえ予告なしに解雇する。 (1) 略(2) 第37条の懲戒解雇事由に該当するとき。 」エ 35条(懲戒の種類)「懲戒の種類は,次のとおりとする。 (1)ないし(3) 略(4) 懲戒解雇予告期間を設けないで即時解雇する。但し、労働基準監督署長の認定を受けないときは平均賃金の30日分を支給する。 」オ第37条(懲戒解雇)「次の各号の1に該当する場合は懲戒解雇に処する。但し,情状によっては諭旨退職にとどめることがある。 (1) 前条各号の行為がくり返された場合,または情状が特に重い場合。 (2) 上長に反抗し,又は暴行脅迫を加え,命令に従わなかったとき。 (3) 正当な理由がなく2週間以上無断欠勤し,出勤の督促に応じないとき。 (4) 故意又は,重大な過失によって,会社に重大な損害を与えたとき。 (5) 業務に関し不正不当に金品を受け,又はその他の利益を受けたとき。 (6) 会社に無断で在籍のまま他に雇用されたとき。 (7) 故意に業務の能率を阻害し,または業務の遂行を妨げたとき(8) 会社の信用を著しく傷つけたとき。 (9) 刑事上の犯罪をおかしたとき。 (10) その他,前各号に準ずる不都合があったとき。 」( (8) 会社の信用を著しく傷つけたとき。 (9) 刑事上の犯罪をおかしたとき。 (10) その他,前各号に準ずる不都合があったとき。 」(8) Zによる調停申立てZは,被告に対し,平成15年7月16日,事業ごみのZへの搬入について過去10年間に約1万2000トンの手数料の未払があったとして,奈良簡易裁判所にその未払手数料相当の損害賠償等として約3925万円の支払を求める調停を申し立てた(甲38の1~3)。 2 争点(1) 本件懲戒解雇が有効かどうか(2) 本件普通解雇が有効かどうか 3 争点に対する当事者の主張(1) 争点(1)(本件懲戒解雇が有効かどうか)について(被告の主張)ア本件解雇に至る事情(ア) 被告は,Aを雇用していたが,同人が保険金詐欺事件により逮捕,起訴されたことにより,同人を平成14年9月10日限り解雇した。 ところが,同人はこの解雇に不満をもち,被告の業務運営上の過誤を探し出して不正を告発するかのような形をとって被告とZ間の業務委託契約を解消させ,別の収集業者を参入させようとして,家庭ごみに事業ごみを混載している状況をビデオに収録しa新聞等にビデオ及び関係書類を配布して被告に対する攻撃をはじめた。 (イ) 被告は,従前より事業ごみと家庭ごみを混入することのないよう従業員に指示してきたが,原告らは,この指示を記載した書面に確認のサインをすることを拒否するなどして抵抗していた。 原告X1は,上記のビデオの撮影の対象となったごみ収集作業の担当であったのであり,Aと共謀して,故意に事業ごみの混入場面を演出してビデオを作成させ,い するなどして抵抗していた。 原告X1は,上記のビデオの撮影の対象となったごみ収集作業の担当であったのであり,Aと共謀して,故意に事業ごみの混入場面を演出してビデオを作成させ,いかにも会社ぐるみで不正を行っているかのように新聞社に伝え,前提事実(3)記載の一連の新聞記事を掲載せしめた。 その後も,原告らは,Aとともにごみ混入問題で被告が不正を行っているかのように喧伝し続けたり,上記のようなビデオを第三者を通じてZに持ち込み被告が会社ぐるみで不正を行っているかのように事実を歪曲して主張し,Zに被告との業務委託関係の見直しを求めるようになった。 このため,被告は,業務態勢の見直しと混入防止体制の強化,Zに対する混入問題に対する説明などの対応に負われることとなった。 (ウ) 前提事実(4)記載のとおり原告らはZ議会本会議を傍聴したが,その際原告らは,Aと意を通じており,当日の本会議でごみ問題が取り上げられなかったことから,本会議の終了が宣言された後議員全員が議場に残っていた状況で「市長逃げるのか,ごみ問題を取り上げないのか,市長逃げるな」と野次を飛ばした者と行動を共にし,市長,議会及び議員に対し極めて非礼な行為に及んだ。市長や多くの議員は発言が被告の社員らによってされたことがわかっており,被告にとってはその信用を著しく傷つけられるものであった。 Z議会議長は,上記に対し原告ら及びAらを議長室に呼び,原告らに議場での野次を注意しようとした。この際原告らは,他の廃棄物処理業者を議長室に同行しており,この業者は,原告ら及びAの企図した,被告とZ間の業務委託契約解消の後にZから業務委託を受けようとする者であった。すなわち,原告らは,被告の利益を犠牲にして他の業者 処理業者を議長室に同行しており,この業者は,原告ら及びAの企図した,被告とZ間の業務委託契約解消の後にZから業務委託を受けようとする者であった。すなわち,原告らは,被告の利益を犠牲にして他の業者の利益のために行動したものであって,被告に対する重大な背信行為であった。 (エ) 前提事実(4)記載の平成14年12月10日の記者会見において,原告らとAは,ごみ混入問題で自分たちの思い通りに動かないことから,会社が不正を指示しているとの虚偽の事実を主張して市や市長を批判する記者会見を行った。 この会見において,Aらは,「被告に事業系ごみと家庭系ごみを一緒に集めるようあらかじめ設定されたルートがあり,収集車に混載した後,すべてを家庭系ごみとしてセンターに運搬するよう指示を受けていた」と,虚偽の事実を報告した。 なお,12月13日は,原告らとAはZ役所を訪れ,生活環境部長に調査の徹底を求めている。 イ本件懲戒解雇理由上記のとおり,原告らは,Aと共に被告に対して中傷や攻撃などの一連の非違行為をしたが,前提事実(5)ア記載の懲戒解雇に該当する事由としては,①原告らが,それまでごみ混入問題に関し被告とZ間のごみ収集委託契約を解消させる意図のもとに,事実を歪曲して被告会社を中傷し信用毀損をしてきたAと共謀し,Z議会本会議場で,市長や市議会議員に非礼行為をして,被告の信用を著しく毀損し,被告とZ間の業務委託契約の継続を不可能とさせるおそれを生じさせた,②原告らは,上記本会議場での傍聴の翌日,Aとともに記者会見を行い,事実を歪曲して被告を中傷してその信用を著しく毀損し,被告とZ間の業務委託契約の継続を不可能とさせるおそれを生じさせたという2点である。 なお,懲 聴の翌日,Aとともに記者会見を行い,事実を歪曲して被告を中傷してその信用を著しく毀損し,被告とZ間の業務委託契約の継続を不可能とさせるおそれを生じさせたという2点である。 なお,懲戒解雇事由については通知書に記載した事実だけでなく,使用者が懲戒当時に認識していた事実も懲戒の理由としえるのであるから,上記②の事由も本件懲戒解雇事由として主張できる。 ウ懲戒の手続について被告らは,本件懲戒解雇の手続において原告らに弁明の機会を付与していないが,被告の就業規則上は,弁明の機会を与えなければならない旨の定めはない上,原告らの行為はその内容及び態様において部外者と共同してした信用毀損,業務妨害行為であり,極めて悪質であり,弁明の機会を与えることが無意味であり,被告に回復し難い損害を与えるような行為で放置し得なかったもので,企業秩序違反の程度が著しいことから,弁明の機会の付与のないことによって本件懲戒解雇の効力がさまたげられることはない。 なお,原告らは,社内でごみ混入問題について全く改善努力を行わなかったもので,同人らの行為は,正当な内部告発にも当たらない。 (原告らの主張)ア原告らの議場及び記者会見における言動等について(ア) 前提事実(3)記載の新聞記事が掲載されてから,被告従業員は被告がどのような対応をとるのか,疑問や不安を抱く日々であったが,会社からは何の説明もないどころか,当時の被告代表者はこれを従業員に責任転嫁する言動に終始した。 このような状況下で,原告X1は,被告から情報が得られないことから,Z議会を傍聴して,被告のことがどのように議論されているかを知りたいと考え,Z役所に市議会開催日を確認して傍聴に赴いた。 このような状況下で,原告X1は,被告から情報が得られないことから,Z議会を傍聴して,被告のことがどのように議論されているかを知りたいと考え,Z役所に市議会開催日を確認して傍聴に赴いた。 この際は,平日の勤務日であったことから,原告らは有給休暇を取得していた。なお傍聴者にはAのほか原告らの見知らぬ者もいた。 (イ) 市議会では,傍聴者には判然としない方法で議事が進行し30分ほどで終了したので,原告らにはごみ問題が審議されていたのかすらわからなかった。 上記のような状況から,Aにおいて,傍聴席からまだ議長席にとどまっていた議長に対して「議長,今日はごみの問題ないんですか」と問いかけていた。 議長は,傍聴人らを議長室に招いたので,原告らは議長から何か話を聞けると考え,Aとともに傍聴席を出て議長室に向かった。議長室では,原告らの見知らぬ者の発言により一時穏やかでなくなったときもあったが,その者が議長に陳謝したことにより以後終始和やかな雰囲気で会話が続いた。 この際は,主にAが議長と話をし,原告X1は議長に対し「Yの社員なんですけれども,大丈夫なんですか」と尋ねたくらいで,他の原告2名は全く発言しなかった。 会談は30分程度で何事もなく終了した。 (ウ) 平成14年12月10日,原告らは午後2時に市役所の記者クラブに集合した。集まったのは原告らのほか被告従業員B,C,G及び被告の元従業員のAとHであった。 記者会見においては,主としてAが発言し,原告X1は緊張していたこともあってあまり発言せず,被告がリレーセンターにおいて使用する一般カードと営業カードについて記者の質問が出たときに両者の違いを説明 記者会見においては,主としてAが発言し,原告X1は緊張していたこともあってあまり発言せず,被告がリレーセンターにおいて使用する一般カードと営業カードについて記者の質問が出たときに両者の違いを説明したくらいである。原告X3は,前日に議員が示したZの調査データの問題点を指摘し,原告X2は何ら発言しなかった。 そして,後記のとおり,全般的には原告らを含む記者会見で発言した者の摘示した,混入の問題が被告の営業体制に起因するものであるとの事情は真実であって,被告主張のような事実を歪曲し,会社の信用を傷つけるようなものではなかった。 イ被告の主張する背景事情等に対する反論(ア) ごみの混入問題は被告の営業体制に起因するものである。すなわち,被告の作成したごみ収集車のタイムスケジュール自体が,事業ごみを収集した後,それをいったんリレーセンターに持ち込むことなく家庭ごみの収集を続け,収集車が満杯になってからリレーセンターに家庭ごみとして持ち込むことを前提として組まれていた。 決して従業員らの横着や住民などにより混入問題が生じたものではない。 (イ) また,被告は,混入のあることを承知していながら,不正な利益をあげ,また収集についての経費増加を回避するまで,前提事実(3)記載の報道のあるまで混入を防止する方策を実行することがなかった。 ウ解雇理由に対する反論上記のとおり,原告らは平成14年12月9日の市議会本会議を静かに傍聴していたのであり,市議会会議場において被告の営業妨害となるような言動をとった事実はなく,したがってZ及びZ議会に多大の迷惑をかけた事実はない。議場において「市長逃げるな」等と発言した者はいたが,原告らと全く関係のない者 会会議場において被告の営業妨害となるような言動をとった事実はなく,したがってZ及びZ議会に多大の迷惑をかけた事実はない。議場において「市長逃げるな」等と発言した者はいたが,原告らと全く関係のない者であった。 また,原告らは被告の通常の手続に従って有給休暇の届出をしており,労働基準法上の有給休暇請求権を行使したにすぎないから,これを非違行為とされることはない。 なお,原告らは,被告が経営危機に陥れば,自らの生活に直結することを強く自覚しており,被告に代わってZからの業務委託契約を受けようとする第三者とは一切関わりを持っていない。 また,解雇通知書に記載のない事情を後から追加することも許されないというべきである。 エ解雇手続の違法被告の就業規則においては,即時解雇を行うには労働基準監督署長の認定が必要とされているが,被告はこの手続を履践していない。 また,不利益処分を課す場合には被処分者に弁明の機会を与えることが不可欠であり,これを欠く場合には原則としてそのことのみによって無効となるべきである。そして本件の場合には,その懲戒解雇事由に照らし原告らのZ議会における行動等の確認は不可欠であって到底弁明の機会の付与を不要とするほどの明白な非違行為があったものとはいえないから,手続的要件をも欠き,無効である。 (2) 争点(2)(本件普通解雇が有効かどうか)について(被告の主張(予備的抗弁))ア仮に懲戒解雇が無効とされたとしても,原告X1らの争点(1)(被告の主張)に記載の原告らの行為は,被告の就業規則上の服務規定(業務上の権限を超えて独断的な事はしないこと,会社に不利益となる事項を他にもらさないこと,従業員として品位を傷つけ 1らの争点(1)(被告の主張)に記載の原告らの行為は,被告の就業規則上の服務規定(業務上の権限を超えて独断的な事はしないこと,会社に不利益となる事項を他にもらさないこと,従業員として品位を傷つけるような行為をしないこと)に違反し,普通解雇の理由に該当する。 イ原告X1についての普通解雇理由(追加)(ア) 被告においては,従業員のうち20名が連帯労組(I)のY分会に加入し,原告X1は,分会の副分会長をしていた。 平成14年10月1日,被告は,同日付けで作業員2名を雇い入れたところ,原告X1がこれに不満をもち,組合の決議等と無関係に組合員19名を先導して同日午前6時30分から6時50分まで20分間職場放棄をした。被告が作業員を雇い入れた理由は,作業員の安全と効率を高めるためと,特殊作業車の運転者がいなかったことからであるが,原告X1はこれに反発してその属する組合の了解なく職場の組合員にストライキを指示し,違法なストライキを実施した。この行為は業務上の権限を超えた独断的な行為に当たる。 (イ) 原告X1は,同年10月15日,不正なごみ収集行為を行い,その行為を第三者にビデオに撮影させ,そのビデオを市等にもちこんだ,これも事実を歪曲して被告の信用を毀損するもので,服務規定に違反する非違行為である。 (原告らの主張)ア被告が争点(1)(被告の主張)において主張する事実関係はいずれも存在しない以上,解雇権の濫用として無効である。 イ原告X1に関する解雇理由に対する反論被告の主張は事実に反する。 平成14年10月1日に原告X1が出勤したときにはすでに派遣社員のことで他の従業員が騒然となり,その混乱が収束するのに20分を要 対する反論被告の主張は事実に反する。 平成14年10月1日に原告X1が出勤したときにはすでに派遣社員のことで他の従業員が騒然となり,その混乱が収束するのに20分を要したにすぎない。その後被告経営陣は謝罪した。 そもそも当該事実を懲戒相当と考えていたのであれば,紛争となる以前において懲戒処分にすべきものであった。 第3 争点に対する判断1(1) 証拠(甲1~3,25~29,34の1・2,35,37の1~3,38の1~3,39,40,50,51の1~7,52,乙2の1~3,8,12の1・2,14の1~31,24,29,30,33,35,45,46の1~20,47,E証人,B証人,D証人,原告X1,同X3)及び弁論の全趣旨によると,まず,被告のごみ収集態勢等につき,次の事実を認めることができる。 ア被告の収集業務の標準的な処理(平成14年11月13日までのもの)は,収集担当の従業員が1班10名の3班に編成され,ごみ収集車には1台に2名が乗車しており,各班の2名(合計6名)は,朝6時から事業ごみ収集のみの業務を行い,残りの8名(合計24名)が朝6時30分に被告会社を出発して,最初に事業ごみを収集してリレーセンターに搬入した後,一般家庭ごみの収集につくというものであった。 リレーセンターに持ち込む際には,市より交付されている事業ごみ及び家庭ごみそれぞれの計量カード(乙12の1・2)を持ち込むごみの区分に応じて提出して計量する。各車はそれぞれ一般,営業双方の計量カードを持っており,それらの使用は各従業員に委ねられていた。 なお,リレーセンターから遠方になる地域においては,収集車2台で収集することが認められていた。 イ被告は,上記ア記載の業務 り,それらの使用は各従業員に委ねられていた。 なお,リレーセンターから遠方になる地域においては,収集車2台で収集することが認められていた。 イ被告は,上記ア記載の業務態勢については,配車表とルート表にして委託元である市に提出していたが,Zとの業務委託契約等に基づいて作成されるべき帳簿や作業日報は作成されていなかった。 ウ被告は,平成14年6月30日,「一般収集前の営業収集に関し,営業カード使用を徹底してください」との指示及び盆休み中の業務態勢を記載した業務連絡を発し,各従業員に回覧した。 上記業務連絡において,「営業カード使用を徹底してください」との文言は赤字で記載されていた。同文書の配布後,少なくとも原告X3の属する班は,営業カードの誤用はなくなった。 エ平成14年10月ころには,被告の環境営業部長において,一般収集と営業収集を完全に分離する企画も出されたが,直ちに実行されることはなかった。 前提事実(3)の新聞報道がされた後の平成14年11月14日,被告は業務態勢を刷新し,従業員を新たに6名雇用し,事業ごみの収集車と家庭ごみの収集車を峻別し色分けないしステッカー等により明示する,それぞれに計量カードを一枚だけ交付する,従業員教育を徹底することなどの改善を行った。 オ平成14年10月15日の原告X1と被告従業員Fがしたごみ収集の様子が,何者かによってビデオに撮影されたが,これらによると,上記両名は,事業ごみの収集をした後,リレーセンターに向かうことなく住宅地において家庭ごみを収集していた。 上記Fは,この日の収集について,一回目にリレーセンターに搬入する際,誤って一般カードを使用してしまったと後に報告したが,当日のみこのよ となく住宅地において家庭ごみを収集していた。 上記Fは,この日の収集について,一回目にリレーセンターに搬入する際,誤って一般カードを使用してしまったと後に報告したが,当日のみこのような誤った手順による収集をしたものではなかった。 カ平成14年12月中に,被告はZ市長あてに調査報告書を提出した。その中で被告は,社員全員にアンケート調査をした上,会社として不正混入の指示又はカードの不正使用の指示をしたことはなかったが,搬入システムの操作において計量カードの取り違え,事業ごみの混載などの事実が判明したとの結果を報告していた。 キ前提事実(8)記載の調停について,Zの主張は,過去10年間の未払手数料を約3900万円と計算したもので,年間の推計未払金額は約390万円と計算された。一方被告の事業ごみの収集の年間売上金額は約1億円であった。 クリレーセンターの平成14年7月から9月までの集計によると,被告の事業ごみの収集ののべ回数は,被告の配車表等によって想定される搬入回数を数台程度下回る日が大部分であった。 (2) 上記の事実関係によると,平成14年11月13日までは,被告において,(1)のア記載の標準的な手順とは異なり,事業ごみの収集の後リレーセンターに持ち込むことなく家庭ごみの収集をして,その後家庭ごみとしてリレーセンターに持ち込むことが多々あったことが明らかである。 この点,原告らは,上記収集の実態は会社の指示によるものであるとするのに対し,被告は,混入を会社が指示していたことは一切なく,従業員の不心得やごみを出す者の間違い等により混入が発生していた限度でこれがあったにすぎないと主張する。 確かに,本件の全証拠によっても,被告が,ごみの収集において具体的に は一切なく,従業員の不心得やごみを出す者の間違い等により混入が発生していた限度でこれがあったにすぎないと主張する。 確かに,本件の全証拠によっても,被告が,ごみの収集において具体的に事業ごみと家庭ごみを混載し,家庭ごみとしてリレーセンターに搬入して事業ごみの代金を免れるような指示していたと認めるには足りない。この点に関する原告らの供述は客観的な裏付けがなく被告のZに対する報告に反するし,また,会社が組織だってこれを実施し,不正な利益を上げていたとすれば,経験則上もより大規模な不正利得になると考えられるが,被告の事業ごみの収集による売上げが年間約1億円あるのに対し,Zの裁判上の主張によっても混入による損害は年間で約390万円程度の規模にとどまることから,混入による不正な利益の取得が会社の明示の指示によるとまで推認することはできない。 もっとも,前記(1)に認定した事実関係によると,混入はほぼ毎日のように,しかも数台にわたって行われており,単なる従業員の偶発的なミスの蓄積とは考え難い上,被告は,平成14年6月30日に文書で指示したほかは,何ら具体的な方策を実行せず,かえって,混入がなかったことを裏付ける業務日報等の書類を作成していなかったことが認められるのであり,これら事実からすると,被告は,混入の問題を認識しつつ有効な対処をとらず,したがって結果的にこれを黙認していたものとして,市に支払うべき事業ごみの料金を正当な理由なく免れたととられてもやむを得ないものというべきである。 2 次に,原告らの議会ないし記者会見における行動等について,証拠(甲1~3,8の8~11,13,14,25~28,乙15,20の1・2,B証人,原告X1,同X3)及び弁論の全趣旨によると次の事実を認めることができる。 (1) 平成1 行動等について,証拠(甲1~3,8の8~11,13,14,25~28,乙15,20の1・2,B証人,原告X1,同X3)及び弁論の全趣旨によると次の事実を認めることができる。 (1) 平成14年12月9日,原告らは,本件の混入の問題が,市においてどのように受け止められているかを知るべく,いずれも事前に有給休暇の申請を書面又は口頭で届け出た上,Aらと落ち合ってZ議会を傍聴したが,当日の議会で本件の混入の問題は議題とはなっていなかった。 当日の議事終了の直後,傍聴席から,「市長,逃げるのか」「ごみ問題はどうなっているんや」「市長,逃げるな」との大声を発する者があった。 (2) Z議会議長は,原告らを含む傍聴人らに対し,議長室に来るようによびかけ,傍聴人全員が議長室の控え室に赴いた。控え室でまずAが議長室に入り,数分後,原告らを含む傍聴人らが議長室に入室して議長と会談した。傍聴人らの中に,議長に対し金を受け取っているのではないかと申し向ける者があって一時不穏となる場面もあった。 原告X1は,自らが被告従業員であることを明らかにして議長に対して会社が大丈夫なのかと質問し,原告X3及び同X2は何ら発言しなかった。 その後,議長は,原告らに対し他の議員とも会談することを示唆し,原告らは他の議員とも面談するなどしていたなかで,当該議員からa新聞以外の記者も交えて記者会見をして,正直に話すことを勧められ,原告らは記者会見を開くことを決意した。 (3) 同月10日,A及び被告の元従業員H,原告ら,被告従業員のB,C,Gが列席してZ役所記者クラブにおいて記者会見を行った。 この会見では,主としてAが説明を担当し,ビデオ等と思われる資料も持参し,市役所や警察がこの混入問題を取り上げてくれない,と ,C,Gが列席してZ役所記者クラブにおいて記者会見を行った。 この会見では,主としてAが説明を担当し,ビデオ等と思われる資料も持参し,市役所や警察がこの混入問題を取り上げてくれない,と発言していた。 原告X1は,Aをサポートする形で発言し,原告X3は,市の調査についての問題点を指摘した。原告X2は,発言しなかった。 (4) 前提事実(4)記載の記者会見の翌日,記者会見に基づく記事がa新聞,d新聞,b新聞,c新聞に掲載されたが,うち幾つかの記事は,被告から混入や混入の事実の口止めの指示があったとの趣旨が記載されていた。 3 争点(1)(本件懲戒解雇が有効かどうか)について上記事実関係を前提に,原告らの①平成14年12月9日における議会での市議会及び市に対する非礼な言動及び②同月10日の記者会見における虚偽の事実の伝達を問題とする本件懲戒解雇の理由について検討する(なお,上記②は,本件の具体的事実関係にてらすと,解雇理由書に記載の事情といずれもごみの不正混入が問題となっているという点で,密接に関連する事情として審理の対象とすることが可能であり,またこのように解しても一事不再理類似の効果も拡大するのであって,しかも労働者の弁明の機会を与えるという観点からしても一律に労働者に不利ということもないから,被告の主張する懲戒解雇理由を審理対象とすることも許されるものと解する。原告らの解雇理由が理由書に記載された事情に厳密に限定されるとの主張は採用しない。)。 (1) まず,12月9日の議会閉会直後の発言の趣旨は,市長が本件のごみ混載の問題を放置して逃げているというものであり,ごみ混載の問題を提起する趣旨としても,市長に対する侮辱的な趣旨を含む上,方法も傍聴席から大声を発するという態様であって非礼なもの ,市長が本件のごみ混載の問題を放置して逃げているというものであり,ごみ混載の問題を提起する趣旨としても,市長に対する侮辱的な趣旨を含む上,方法も傍聴席から大声を発するという態様であって非礼なものといわざるをえないものであるところ,原告らは,その発言自体をしたものではないにせよ,それらの者とその後も行動を共にして議長室を訪れ,自ら被告従業員であることを明らかにしているのであって,その一連の行動を総合的にみると,現職の被告の従業員としてはいささか軽率,不適当なものであったといわざるをえない(なお,原告らは当日の議会に混乱がなかったとの事情を主張し,その旨の書証(甲14)を提出するが,同書証は,議長が当日の議事に混乱がなかったことを証するにとどまるのであるから,非礼がなかったことにはならない。)。 しかし,原告らの議会傍聴の目的は,混入問題の新聞報道があった後,被告からこの問題どのように対処するかの情報が得にくいなかで,Zの対応の状況を知ることにあったものであるから,いわば偶然の結果というべき市長ないし市に対する非礼の責任を原告らに負わせるのは酷というべきである(後記のとおり,原告らに被告とZの関係を悪化させようという意図があったとは認められない。)。 (2) 次に記者会見における原告らの言動によると,主としてAが,被告が本件混入を指示したとか,本件混入について口止めした等,上記1に認定した事実関係よりも被告の不正を誇張して記者に伝達したことがうかがわれる。 しかし,これも,発言主体はAであって原告らではなく,原告ら自身は,不正を正すべきは正すという目的で記者会見に列席したにとどまるのであって積極的に上記の誇張に荷担したとまではいえないし,摘示した事実関係の主要な部分である混入及び不正の利益については上記認定の は,不正を正すべきは正すという目的で記者会見に列席したにとどまるのであって積極的に上記の誇張に荷担したとまではいえないし,摘示した事実関係の主要な部分である混入及び不正の利益については上記認定のとおり事実の伝達といわざるをえない。他にこの記者会見に列席した被告従業員が懲戒に付されていないこともあわせ考えると,上記事情が直ちに懲戒解雇事由や非違行為に当たるとまでは言い切れない。 (3) そうすると,原告らの上記(1),(2)の各行為は,いずれもいささか軽率な面があったものの,もとは混入を回避すべき体制を作ってこなかった被告にも責任の一端があるというべきであり,この点をさしおいて,原告らのみが不利益を被ることは不均衡,不合理というほかはなく,また前提事実(3)の新聞報道以来,結果的には被告の営業実態が是正,改善されたという面も否定できないのであるから,これを総合的にみても,解雇に処すべき非違行為があったとまではいうことができない。 なお,被告の主張する,原告らが被告とZ間の業務委託契約を解消させようとする第三者と結託して上記行動に出たとの事情は,Aが退職時に暴力団関係者になるしかないとほのめかした事情や,Aの被告従業員に対する貸付金の回収を原告X1が代行していた事実などの被告主張の事実関係を考慮しても,なお漠然とした被告なりの疑いにとどまり,採用の限りでない。 また,被告は,原告らの上記各行為が被告が前記1(1)エ記載の改善を実施した後のことであることや,原告らから被告に対し混載についての改善の申入れなどがなく,いきなりマスコミに訴えたことなどから,不正を正すという原告ら主張の目的に疑義を挟むけれども,被告において対策を講じた後であっても,従前の混載の問題としては依然として会社の対応等が残っていたなかでの原 きなりマスコミに訴えたことなどから,不正を正すという原告ら主張の目的に疑義を挟むけれども,被告において対策を講じた後であっても,従前の混載の問題としては依然として会社の対応等が残っていたなかでの原告らの記者会見は,真相の解明や市民に対する説明という点で一定の役割を果たした点は否めないというべきである。 以上を総合すると,原告らに非違行為は認められず,また上記軽率な行為の点を服務規定違反ととらえるとしても,その程度や原告らの行為による効果等を勘案すると,解雇に上記①,②の各行為があったことを理由とする本件懲戒解雇は,懲戒権の濫用というべきであって無効であり,これと同旨の理由による本件普通解雇も少なくとも解雇権の濫用として無効とすべきである。 4 争点(2)(本件普通解雇が有効かどうか)について争点(2)のうち,原告らの議会傍聴及び記者会見の行為を問責する普通解雇の有効性については,上記に説示したとおりであってこれをもって服務規定違反の非違行為とすることはできず,これを理由とする本件普通解雇も少なくとも解雇権の濫用として無効とすべきである。 また,被告は,原告X1について平成14年10月1日に違法なストライキを実施したこと及び平成14年10月15日に会社の指示に反したごみ収集を行い,これを意を通じた第三者にビデオ撮影させたとの理由でも本件普通解雇をしたのでこの点につき検討する。 (1) 違法なストライキの点について本件全証拠によっても当該ストライキの実施自体の立証も不十分である上,仮に違法なストライキであったとしても,その後本件懲戒解雇に至るまで何らの処分もしなかったのであるから,本訴において上記解雇理由を主張することは,信義則上も疑義があるといわざるを得ない。 (2) 10月15日の であったとしても,その後本件懲戒解雇に至るまで何らの処分もしなかったのであるから,本訴において上記解雇理由を主張することは,信義則上も疑義があるといわざるを得ない。 (2) 10月15日のビデオ撮影について証拠(乙10,30,45,46)及び弁論の全趣旨に前記認定した事実を総合すると,前記1(1)オ記載のごみ収集の際,原告X1が,撮影されていることを知っていたとの事情をうかがうことはできるものの,撮影対象とされた行為自体をみると,当日のみことさら不正な混合収集をしてそれをビデオに撮影させたものではなく,事実を歪曲したものとまではいえないし,撮影者との共謀までを推認するに足る証拠もない。 したがって,原告X1に関する普通解雇理由はいずれも理由がない。 5 以上によると,被告の原告らに対する懲戒解雇及び普通解雇は,いずれもその効力を有さず,原告らはいずれも被告に対し労働契約上の地位にあるものというべきである。 そして,被告は,原告X2に対して,平成14年11月25日勤務分までの賃金を支払ったが,同月26日以降の賃金を支払っていない(弁論の全趣旨)から,同原告に対し,平成14年12月から毎月末限り前提事実(6)の平均賃金36万9303円の支払義務がある。 被告は,前提事実(6)記載のとおり,本件懲戒解雇後の平成14年12月20日,同年11月26日から同年12月11日まで勤務分の賃金として,原告X1に対し13万1925円,同X3に対し19万1900円を支払ったが,同月12日以降の賃金を支払っていない(弁論の全趣旨)。 したがって,被告は,平成14年12月12日から25日までの賃金として,原告X1については,前提事実(6)記載の平均賃金額31万2475円から既払額を控除した残額18万0550 の全趣旨)。 したがって,被告は,平成14年12月12日から25日までの賃金として,原告X1については,前提事実(6)記載の平均賃金額31万2475円から既払額を控除した残額18万0550円,同X3については,同平均賃金35万8893円から既払額を控除した残額16万6993円及びこれらに対する上記各賃金の支払期日(平成14年12月31日)の翌日である平成15年1月1日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金並びに原告X1及び同X3に対し平成15年1月から毎月末日限り上記各原告の平均賃金を支払う義務がある。 第4 結論原告らの本訴請求はいずれも理由がある。 奈良地方裁判所民事部裁判長裁判官東畑良雄 裁判官大澤晃 裁判官松阿弥隆
▼ クリックして全文を表示