平成12(受)836 取立債権請求事件

裁判年月日・裁判所
平成14年3月28日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所 平成11(ネ)3350
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判決文本文1,235 文字)

主文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理由 上告代理人池田靖,同桑島英美,同相羽利昭,同蓑毛良和,同田川淳一,同堂野達之の上告受理申立て理由について本件は,抵当不動産について敷金契約の付随する賃貸借契約が締結されたところ,抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権を差し押さえ,取立権に基づきその支払等を求めた事案であり,賃貸借契約が終了し,目的物が明け渡された場合における敷金の賃料への充当は,上記物上代位権の行使によって妨げられるか否かが争点となっている。 賃貸借契約における敷金契約は,授受された敷金をもって,賃料債権,賃貸借終了後の目的物の明渡しまでに生ずる賃料相当の損害金債権,その他賃貸借契約により賃貸人が賃借人に対して取得することとなるべき一切の債権を担保することを目的とする賃貸借契約に付随する契約であり,敷金を交付した者の有する敷金返還請求権は,目的物の返還時において,上記の被担保債権を控除し,なお残額があることを条件として,残額につき発生することになる(最高裁昭和46年(オ)第357号同48年2月2日第二小法廷判決・民集27巻1号80頁参照)。これを賃料債権等の面からみれば,目的物の返還時に残存する賃料債権等は敷金が存在する限度において敷金の充当により当然に消滅することになる。このような敷金の充当による未払賃料等の消滅は,敷金契約から発生する効果であって,相殺のように当事者の意思表示を必要とするものではないから,民法511条によって上記当然消滅の効果が妨げられないことは明らかである。 また,抵当権者は,物上代位権を行使して賃料債権を差し押さえる前は,原則と- 1 -して抵当不動産の用益関係に介入できないのであるから,抵当不動産の所有者等は,賃貸借 れないことは明らかである。 また,抵当権者は,物上代位権を行使して賃料債権を差し押さえる前は,原則と- 1 -して抵当不動産の用益関係に介入できないのであるから,抵当不動産の所有者等は,賃貸借契約に付随する契約として敷金契約を締結するか否かを自由に決定することができる。したがって,敷金契約が締結された場合は,賃料債権は敷金の充当を予定した債権になり,このことを抵当権者に主張することができるというべきである。 以上によれば,【要旨】敷金が授受された賃貸借契約に係る賃料債権につき抵当権者が物上代位権を行使してこれを差し押さえた場合においても,当該賃貸借契約が終了し,目的物が明け渡されたときは,賃料債権は,敷金の充当によりその限度で消滅するというべきであり,これと同旨の見解に基づき,上告人の請求を棄却した原審の判断は,正当として是認することができ,原判決に所論の違法はない。論旨は,採用することができない。 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。 最高裁判所第一小法廷(裁判長裁判官井嶋一友裁判官藤井正雄裁判官町田顯裁判官深澤武久)- 2 -

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