平成30(ネ)10039 特許権侵害差止等請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
平成31年1月31日 知的財産高等裁判所 2部 判決 控訴棄却 東京地方裁判所 平成28(ワ)29320
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判決文本文42,233 文字)

平成31年1月31日判決言渡 平成30年(ネ)第10039号特許権侵害差止等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成28年(ワ)第29320号) 口頭弁論終結日平成30年11月12日判決 控訴人・被控訴人(一審被告。以下「一審被告」という。) シーピー化成株式会社 同訴訟代理人弁護士 塩月秀平 森﨑博之 長坂 省同上 野さやか 同訴訟代理人弁理士 深澤拓司 栗原弘 被控訴人・控訴人(一審原告。以下「一審原告」という。) 株式会社エフピコ 同訴訟代理人弁護士 三村量一 東崎賢治 近藤正篤 面山結 主文 1 本件各控訴を棄却する。 2 各控訴費用は,各控訴人の負担とする。 事実 及び理由 第1 控訴の趣旨 1 一審被告 (1) 原判決のうち一審被告敗訴部分を取り消す。 (2) 一審原告の請求をいずれも棄却する。 2 一審原告 原判決を次のとおり変更する。 (1) 一審被告は,原判決別紙被告製品目録記載1から7までの各品番欄の包装用容器並びに同目録記載1から4まで及び6の各蓋名欄の包装用容器の蓋を製造し,販売し,又は販売の申出をしてはならない。 (2) 一審被告は,その占有する原判決別紙 録記載1から7までの各品番欄の包装用容器並びに同目録記載1から4まで及び6の各蓋名欄の包装用容器の蓋を製造し,販売し,又は販売の申出をしてはならない。 (2) 一審被告は,その占有する原判決別紙被告製品目録記載1から7までの各品番欄の包装用容器並びに同目録記載1から4まで及び6の各蓋名欄の包装用容器の蓋,並びに,それらの製造用金型を廃棄せよ。 (3) 一審被告は,一審原告に対し,●●●●●●●●●●●●及びこれに対する平成28年9月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要(以下,用語の略称及び略称の意味は,本判決で付するもののほかは,原判決に従い,原判決に「原告」とあるのを「一審原告」に,「被告」とあるのを「一審被告」に,「当庁」とあるのを「東京地方裁判所」に,適宜読み替える。また,原判決の引用部分の「別紙」をすべて「原判決別紙」と改める。) 1 事案の要旨本件は,発明の名称を「容器」とする発明についての本件特許権(特許第5305693号)の特許権者である一審原告が,一審被告が業として製造,販売,販売の申出をする被告製品(原判決別紙被告製品目録記載の製品)が本件発明1及び2の技術的範囲に属するとして,一審被告に対し,①本件特許権に基づき,被告製品の製造,販売,販売の申出の差止め(特許法100条1項),②本件特許権に基づ き,被告製品及びその製造用金型の廃棄(特許法100条2項),③本件特許権の侵害による不法行為(民法709条)に基づく損害賠償として,7億5900万円(特許法102条2項に基づき6億9000万円,弁護士費用として6900万円)及びこれに対する不法行為の日の後(訴状送達の日の翌日)である平成28年9月21日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案 000万円,弁護士費用として6900万円)及びこれに対する不法行為の日の後(訴状送達の日の翌日)である平成28年9月21日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 なお,一審原告は,原審の第7回弁論準備手続期日(平成29年11月8日)において陳述した平成29年10月31日付け原告第9準備書面において,特許法102条2項に基づく損害額の主張を撤回し,特許法102条3項に基づき,損害額を●●●●●●●●●●●●●(被告製品の総売上額●●●●●●●●●●●●●×実施料率10%)と主張した。 原判決は,①被告製品の製造販売は,本件特許権の侵害行為であり,一審被告が被告製品の製造等によって本件特許権を侵害するおそれがあるとして,被告製品の製造,販売,販売の申出の差止請求を認容し,②一審被告は,被告製品及びその製造用金型を占有していないから,被告製品等の廃棄請求は理由がないとして,棄却し,③一審原告の一審被告に対する不法行為に基づく損害賠償請求については,平成25年7月から平成29年2月までの被告製品の総売上高●●●●●●●●●●●●●の●●に当たる1694万4217円及び弁護士費用170万円の合計1864万4217円並びにこれに対する不法行為後である平成28年9月21日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で認容し,その余の請求を棄却したため,一審原告及び一審被告は,これを不服として本件控訴を提起した。 なお,一審原告は,③については,特許法102条3項に基づく損害額●●●●●●●●●●●●及び弁護士費用●●●●●●●●●●の合計●●●●●●●●●●●●及びこれに対する平成28年9月21日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金に満たない範囲で,本件控 ●●●●●●●●及び弁護士費用●●●●●●●●●●の合計●●●●●●●●●●●●及びこれに対する平成28年9月21日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金に満たない範囲で,本件控訴を提起した。 2 前提事実原判決「事実及び理由」の第2の2(3頁10行目~6頁11行目)に記載のとおりであるから,これを引用する。 ただし,原判決6頁1行目の「変更したこと」の後に「等」を,同頁7行目の「判決」の前に「第一審」を,それぞれ加える。 3 争点及び争点に関する当事者の主張争点及び争点に関する当事者の主張は,次のとおり,当審における主張を追加するほかは,原判決「事実及び理由」の第2の3及び4(6頁12行目~30頁8行目)に記載のとおりであるから,これを引用する。 ただし,原判決8頁24行目の「始め」を「はじめ」に,15頁6行目及び13行目の「乙19発明の1」を「乙19の1発明」に,それぞれ改め,16頁23行目の「,一部のものは本件出願日前に公開され」を削除し,17頁13行目の「26」を「25」に,21頁20行目の「乙20発明の1」を「乙20の1発明」に,それぞれ改め,22頁20行目の「各」を削除し,27頁13行目の「提出された」を削除し,同行目~14行目の「その他の疎明資料は信用できないし」を「(乙2)及び納品書(乙3)は,一審被告の保有する金型の全てが改造されたことの証明とはなり得ない。一審被告は,平成27年7月までに金型の改修を終え」に,同頁15行目の「という主張」を「こと」に,それぞれ改め,同頁16行目の「,提出」,同頁17行目の「本件仮処分命令に加え,」を,それぞれ削除し,同頁18行目の「事案が類似」を「事案の類型が共通」に,同頁19行目の「被告製品」を「その対象製品」に,同頁20行目の「行う一方で」を「 同頁17行目の「本件仮処分命令に加え,」を,それぞれ削除し,同頁18行目の「事案が類似」を「事案の類型が共通」に,同頁19行目の「被告製品」を「その対象製品」に,同頁20行目の「行う一方で」を「行った後も」に,同頁21行目の「自認しており,一審被告が被告製品の製造販売を行う可能性が高い」を「自認している」に,それぞれ改め,同頁24行目の「第1審終了後に」の後に「一審被告が」を,同行目の「製造販売」の後に「等」を,それぞれ加え,同行目の「を否定できない」を「が存在する」に改め,同頁25行目の「製造販売」の後に「等」を加え,28頁2行目の「フランジの端縁に旧金型(」を「旧金型(フランジの端 縁に」に,同頁19行目の「前記(3)(原告の主張)のとおり,」を「一審被告が平成27年7月までに金型全てを」に,それぞれ改め,同頁20行目の「被告製品の形状を」を削除し,同行目~21行目の「被告の主張は信用できない」を「事実は存在しない」に,同頁23行目の「が」を「ところ」に,同頁25行目の「料率」を「両立」に,29頁1行目の「称して」を「名付けて」に,それぞれ改め,同頁4行目の「以上のことに加え,」を削除し,同頁5行目の「同様に通常の」を「同額の」に,同頁7行目の「同項に関する」を「本件において相当な」に,それぞれ改め,同頁8行目の「特許法」の前に「本件における」を加え,同頁12行目の「本件特許権の侵害」を「一審被告の特許権侵害」に改める。 (当審における当事者の主張) 1 一審被告(1) 争点(1)(被告製品の本件発明1及び2の構成要件充足性)についてア本件発明1及び2の技術的意義本件発明1及び2の技術的意義について,①「容器の突出部の端縁部の形状について,上面に他の部分との厚みの差を付けて凹凸形状を形成するという形状とす 足性)についてア本件発明1及び2の技術的意義本件発明1及び2の技術的意義について,①「容器の突出部の端縁部の形状について,上面に他の部分との厚みの差を付けて凹凸形状を形成するという形状とすることで端縁部での怪我を防止するとの課題を解決」すること,及び,②「端縁部につき上記の端縁部の形状とすることに加えて下面を平坦にすることで,蓋の強固な止着を実現するという課題を解決」することと捉えるのは,いずれも誤りである。 本件発明1及び2は,「端縁部の上面側」に「凹凸形状」を形成することを規定しているのであり,端縁部の上面そのものの形状について規定しているのではない。 端縁部の上面側に凹凸形状を形成することは,発泡積層シートの熱可塑性樹脂フィルム部分が切断時に外側に突出することにより指等を裂傷する虞があることを解決課題とする本件発明1及び2において,単に発泡積層シートの上面側を凹凸形状にすること自体でなく,上面側が熱可塑性樹脂フィルムである発泡積層シートの熱可塑性樹脂フィルムを凹凸形状にするところに実質的意味がある。 また,本件明細書に記載されている特許文献3(乙28)は,フィルム端縁で指 等を裂傷するという課題を解決するために上下両面に凹凸形状を形成した発明であって,それより前には,上下両面に凹凸形状はなく,その状態では蓋体は強固に止着していたのであるから,②の課題は存在しない。 さらに,本件発明1及び2は,数値限定された形状を備えることにより(構成要件D),上記課題を解決するものである。 イ構成要件Dの「凸形状の高さが0.1~1mm」の充足性(ア)a 「凸形状の高さ」は,本件特許の特許請求の範囲から一義的に明確であるとはいえない。 b 本件明細書の【0017】,【0019】の記載,平成25年3月25日付け手続 mm」の充足性(ア)a 「凸形状の高さ」は,本件特許の特許請求の範囲から一義的に明確であるとはいえない。 b 本件明細書の【0017】,【0019】の記載,平成25年3月25日付け手続補正書(乙13)による補正(以下「本件補正」という。)の経緯に鑑みると,構成要件Dにおける「凸形状の高さ」は,端縁部の下面側から凹凸形状の凸形状の頂点部分までの高さを意味する。 (イ) 本件発明1及び2において,「上面」及び「上面側」の用語は明確に区別されているから,凹凸形状が端縁部の上面そのものの特徴を示していると解する原判決の判断は,特許請求の範囲の記載と矛盾している。また,どの範囲までが「上面側」であるのかは一義的に明確でない。 本件明細書において開示されているのは,端縁部の下面側からの凹凸形状の凸形状の頂点部分までの長さを0.1~1mmとする【0019】に開示された構成のみであるところ,被告製品はこのような構成を備えていない。 ウ構成要件Cの「前記突出部の端縁部の上面が収容凹部の開口縁近傍の突出部の上面に比して下位となるように,突出部の端縁部において前記熱可塑性樹脂発泡シートが圧縮されて厚みが薄くなっており」の充足性(ア) 構成要件Cは,「下位となるように」という文言から,突出部の端縁部において熱可塑性樹脂発泡シートが圧縮され厚みが薄くなっていることによって,端縁部の上面が収容凹部の開口縁近傍の上面よりも下位となっている構成を意味し,本件明細書の【0019】,【図3】bの記載,一審原告の拒絶査定に対する審判請 求書(乙12。以下「本件審判請求書」という。)における主張も,この解釈を裏付けるところ,被告製品は,このような構成を備えていない。 (イ) 本件明細書には,「下位となるように・・・」との文言を「下位であり 2。以下「本件審判請求書」という。)における主張も,この解釈を裏付けるところ,被告製品は,このような構成を備えていない。 (イ) 本件明細書には,「下位となるように・・・」との文言を「下位であり,かつ・・・」との意味に解することの根拠となり得る記載は存在しない。 エ構成要件D及びEの「凸形状」ないし「凹凸形状」の充足性一審原告は,本件審判請求書において,「第一の強度向上」がされた端縁部の上面に突起を形成して,最終的に端縁部の凹凸形状が形成されることによって「第二の強度向上」が図られたのが本件発明であると主張しているのであるから,本件発明の突出部の端縁部は,圧縮して形成された端縁部の上にさらに突起を形成した結果,端縁部全体としての凹凸形状が設けられた状態のものでなければならない。これに対し,被告製品はこのような構成を備えていない。 また,一審原告の本件審判請求書における主張によると,フランジ部においては強度が高い部分と低い部分とが周方向に交互に形成されている従来の容器は,本件発明1及び2の技術的範囲から除外されるものと解されるところ,被告製品は,従来の容器と同様に,フランジ部においては強度が高い部分と低い部分とが周方向に交互に形成されているものである。 オ構成要件B等の「開口縁」及び「突出部」の充足性(被告製品1,2,4及び7について)原審における主張のとおり。 カ構成要件Cの「端縁部の上面が・・・突出部の上面に比して下位となる」の充足性(被告製品2及び5について)原審における主張のとおり。 (2) 争点(2)(本件特許の無効理由の有無)についてア乙20文献(実登第3012092号公報)記載の発明に基づく進歩性欠如(ア) 乙19等や本件明細書の記載によると,樹脂フィルムの切断面が鋭 件特許の無効理由の有無)についてア乙20文献(実登第3012092号公報)記載の発明に基づく進歩性欠如(ア) 乙19等や本件明細書の記載によると,樹脂フィルムの切断面が鋭 利となって指等を切る場合があることは,それらの出願以前から課題と認識されていた。柔らかい樹脂発泡シートについては,このような課題がなかったことから,乙20の1発明に係る発泡積層シート性の容器と乙19等に係る樹脂フィルム製の容器に接した当業者が,乙20の1発明に係る発泡積層シート製の容器を製造するに際し,その端縁部における樹脂発泡シート側は平坦な形状のままにし,樹脂フィルム側のみを,乙19等に係る樹脂フィルム製の容器の端縁部のように凹凸形状に成型することは,当業者であれば容易に想到し得たことである。その際,乙20の1発明に係る積層発泡シートの下層の発泡シートの表面が上層の樹脂フィルムと同じ凹凸形状になることは当然であり,当業者であれば当然に想到することである。 (イ) 乙20の1発明に乙19等に記載された技術を組み合わせる場合,当業者であれば,設計変更又は設計事項の採用の一環として容器の種々の部位の形状を変更し,その一態様として,端縁部の上面側の樹脂フィルムに乙19等に記載された広く知られた樹脂フィルムの凹凸形状を形成することは,通常行い得る技術改良の試行であって当然である。 また,そのように乙19等に係る発泡積層シート製の容器を成形加工する際に,例えば,発泡積層シートの樹脂フィルム側が面する上金型の端縁部形成部分に凸凹を設け,樹脂発泡シート側が面する下金型の端縁部形成部分には,凸凹を設けなければ,上金型により樹脂フィルム及び柔らかい樹脂発泡シート上面にも凹凸が形成される結果,樹脂フィルムの上下両面側及び樹脂発泡シートの上面側には ート側が面する下金型の端縁部形成部分には,凸凹を設けなければ,上金型により樹脂フィルム及び柔らかい樹脂発泡シート上面にも凹凸が形成される結果,樹脂フィルムの上下両面側及び樹脂発泡シートの上面側には凹凸形状が形成され,樹脂発砲シートの下面側は平坦な形状になることは,当業者であれば容易に想到するのであり,そのような成形加工を適宜適用することは,当業者が容易になし得た事項であるというべきである。 (ウ)a 乙20の1発明に組み合わせる乙19等に記載された事項は周知慣用技術,技術常識であるところ,主引用発明に周知慣用技術又は技術常識や設計事項を適用するのに際し,動機付けは不要である。 非発泡樹脂フィルムの容器であるか,発泡積層シートの容器であるかにかかわら ず,適宜の成形方法によって適宜の場所(例えば端縁部の上面のみ)に凹凸形状を設けることは,本件特許の出願時点における周知慣用技術(乙19等,乙42,81)であり,技術常識であったから,当業者は,乙20の1発明並びに乙19等や乙42及び81の周知慣用技術に基づいて,本件発明1及び2を容易に想到し得る。 b 本件明細書においては,発泡積層シートの容器に係る技術と非発泡シートの容器に係る技術とは区別されておらず,同一の技術分野とされ,共通の課題を有することが当然の前提とされているから,これらの技術分野が異なるとの一審原告の主張は,失当である。 発泡積層シートと非発泡樹脂フィルムの樹脂フィルムは,共に厚さの限定がない薄い非発泡樹脂フィルムであるから,指先の切りやすさ及びその要因に差異があるとはいえず,同じ解決方法を適用し得る。 発泡積層シートで形成される容器の成型方法としては,種々の技術が開示されており(乙34~39,42,81等),同じ発泡積層シートであっても,樹脂(組成物)の とはいえず,同じ解決方法を適用し得る。 発泡積層シートで形成される容器の成型方法としては,種々の技術が開示されており(乙34~39,42,81等),同じ発泡積層シートであっても,樹脂(組成物)の種類,積層構造の相違,厚さ,形態,容器の大きさ・形状等が異なれば,使用する製造装置や製造手順等は異なるのであって,むしろ発泡積層シートの容器の製造方法と非発泡樹脂フィルムの容器の製造方法との違いよりも差異が大きい場合も多いことは,当業者の常識である。 c 非発泡樹脂フィルムの端縁部における利用者の怪我の発生を防止することは,本件特許出願時点で自明な課題であった。一方,乙19等の周知慣用技術の容器に係る発明も,端縁部における利用者の怪我の発生を防止することを課題とし,それを解決することができるという作用効果を有する。 そうすると,乙20の1発明と乙19等や乙42及び81の周知慣用技術を組み合わせることには,発泡積層シートにおける非発泡樹脂フィルムの端縁部における利用者の怪我の発生を防止するという本件特許出願時点における自明な課題を解決するという動機付けが存在する。 イ乙19文献(特開2006-69634号公報)記載の発明に基づく進 歩性欠如(ア) 乙19の【0024】,【図5】,【図8】によると,乙19の1発明は,端縁部の上面側に凹凸形状が形成されかつ下面側が平坦に形成されたものを含むから,これを含まないとする原判決による乙19の1発明の認定は,誤りである。 (イ) 仮に原判決の認定による乙19の1発明と本件発明1及び2の相違点(下面側を平坦に構成したものではない点)が存在したとしても,以下のとおり,本件発明1及び2は,乙19の1発明に基づいて容易に発明することができた。 a 乙19の1発明に係る樹脂フィ 及び2の相違点(下面側を平坦に構成したものではない点)が存在したとしても,以下のとおり,本件発明1及び2は,乙19の1発明に基づいて容易に発明することができた。 a 乙19の1発明に係る樹脂フィルム製の容器も,乙20等に係る発泡積層シート製の容器も,樹脂成形品であるから,乙20等に係る発泡積層シート製の容器を製造するに際し,その端縁部における樹脂フィルム側のみを,乙19の1発明に係る樹脂フィルム製の容器の端縁部のように凹凸形状に成形し,樹脂発泡シート側は乙20等のように平坦な形状に成形することは,当業者にとって容易に想到し得る単なる設計事項である。 乙19の1発明に乙20等に記載された技術を組み合わせる場合,当業者であれば,最適な材料の選択又は改善の一環として容器の材質変更を模索し,その一態様として,樹脂フィルムを乙20等に記載された広く知られた発泡積層シートに代えるという当業者であれば通常行い得る技術改良を試行することは当然である。 そして,乙19や本件明細書の記載によると,樹脂フィルムの切断面が鋭利となって指等を切る(裂傷する)場合があることは,それらの出願以前から課題と認識されていた一方で,柔らかい樹脂発泡シートについてはこのような課題がなかったことから,乙20等に記載された広く知られた発泡積層シートを上記のように成形加工する際に,指先を切ることを防止できるという有利な効果を奏する乙19の1発明における樹脂フィルムの元々の凹凸形状をそのまま採用することも,当業者にとってみれば当然に試行する事項である。 さらに,その際に,発泡積層シートの樹脂フィルム側が面する上金型の端縁部形成部分に凸凹を設け,樹脂発泡シート側が面する下金型の端縁部形成部分には,凸 凹を設けなければ,上金型により樹脂フィルム及び柔らかい樹脂発泡シート上 トの樹脂フィルム側が面する上金型の端縁部形成部分に凸凹を設け,樹脂発泡シート側が面する下金型の端縁部形成部分には,凸 凹を設けなければ,上金型により樹脂フィルム及び柔らかい樹脂発泡シート上面にも凹凸が形成される結果,樹脂フィルムの上下両面側及び樹脂発泡シートの上面側には凹凸形状が形成され,樹脂発砲シートの下面側は平坦な形状になることは,当業者であれば極めて容易に想到するのであり,そのような成形加工を適宜適用することは,当業者が容易になし得た事項である。 b 発泡樹脂製の容器のフランジ部の上面側に凹凸形状を形成し,下面側を平坦に形成することは,周知慣用技術である(乙76〔特開2000-313430号公報〕,乙77〔実開昭63-17086号公報〕)。 容器の成形加工技術の観点からいうと,乙19の1発明のように樹脂フィルム製の容器の端縁部の上下両面に凹凸形状を形成することが公知であり,乙76及び77のように発泡樹脂製の容器の端縁部の上面側に凹凸形状を形成し,下面側を平坦に形成することが周知であるから,乙19の1発明の樹脂フィルムに代えて乙20等に係る発泡積層シートを用いて容器を成形する際に,金型を用いた成形等により,端縁部において樹脂フィルムの上下両面と発泡シートの上面側に凹凸形状を形成し,発泡樹脂シートの下面側を平坦に形成することは,当業者であれば容易に想到し得た。 (ウ)a 乙20等に記載された事項は周知慣用技術であり,乙76及び77に記載された事項も周知慣用技術であるから,乙19の1発明にそれらを適用する際に動機付けは不要である。 非発泡樹脂フィルムの容器であるか,発泡積層シートの容器であるかにかかわらず,適宜の成形方法によって適宜の場所(例えば端縁部の上面のみ)に凹凸形状を設けることは,本件特許の出願時点 は不要である。 非発泡樹脂フィルムの容器であるか,発泡積層シートの容器であるかにかかわらず,適宜の成形方法によって適宜の場所(例えば端縁部の上面のみ)に凹凸形状を設けることは,本件特許の出願時点における周知慣用技術(乙19等,乙42,81)であり,当業者は,乙19の1発明並びに乙20等や乙76及び77の周知慣用技術に基づいて,本件発明1及び2を容易に想到し得る。 b 本件明細書においては,発泡積層シートの容器に係る技術と非発泡シートの容器に係る技術とは区別されておらず,同一の技術分野とされ,共通の課 題を有することが当然の前提とされている。 非発泡樹脂フィルムで指先が切れることがあるのであれば,指先の切りやすさ及びその要因に差異はなく,同じ解決方法を適用し得るから,製造方法の相違があったとしても,当業者が両者を組み合わせることは当然である。 c 非発泡樹脂フィルムの端縁部における利用者の怪我の発生を防止することは,本件特許出願時点で自明な課題であった。 そうすると,乙19の1発明と乙20等や乙42及び81の周知慣用技術を組み合わせることには,発泡積層シートにおける非発泡樹脂フィルムの端縁部における利用者の怪我の発生を防止するという本件特許出願時点における自明な課題を解決するという動機付けが存在する。 d 乙19に記載された非発泡樹脂フィルムの容器と乙76及び77に記載された周知慣用技術に係る容器は,樹脂製容器として技術分野が共通する。また,乙76及び77は,非発泡樹脂フィルムを含まないのであるから,非発泡フィルムに起因する課題を有しない。それにもかかわらず,乙19の1発明と乙76及び77に記載された発明について,非発泡樹脂フィルムに係る課題の共通性の必要性を強調する一審原告の主張は,失当である。 ィルムに起因する課題を有しない。それにもかかわらず,乙19の1発明と乙76及び77に記載された発明について,非発泡樹脂フィルムに係る課題の共通性の必要性を強調する一審原告の主張は,失当である。 ウ明確性要件違反の有無本件発明1及び2における「凸形状の高さ」は,端縁部15の下面側15dの底辺から突起15aの頂部の最高点までの距離をいうものと解すべきである。それにもかかわらず,一審原告の主張のとおりに「凸形状の高さ」を解釈するならば,本件発明1及び2における「凸形状の高さ」は2通りに解釈されるというほかない。 したがって,本件発明1及び2は,不明確である。 エサポート要件違反の有無①(ア) 本件審判請求書によると,本件発明1及び2は,端縁部が「第一の強度向上」と「第二の強度向上」の両方が図られた状態であって,強度が低い部分を有しない状態であることを,従来技術と差別化するための特徴的な発明特定事項 として実質的に備えていなければならない。 上記発明特定事項は,発明の詳細な説明に記載されていないから,本件発明1及び2は,発明の詳細な説明に記載されたものではない。 (イ) 上記発明特定事項は,本件明細書に記載されていないにもかかわらず,一審原告が審査段階における拒絶理由を解消するために主張した特定作用効果であり,それが参酌されて特許されたこと自体が誤りであったが,それにもかかわらず特許されたのであるから,包袋禁反言の法理に則り,本件発明1及び2は,前記発明特定事項を有すると解されなければならない。 オ実施可能要件違反の有無(ア) 前記エ(ア)のとおりであるから,本件明細書における発明の詳細な説明の記載は,本件発明1及び2の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではない。 (イ) 能要件違反の有無(ア) 前記エ(ア)のとおりであるから,本件明細書における発明の詳細な説明の記載は,本件発明1及び2の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではない。 (イ) 前記エ(イ)のとおり。 カサポート要件違反の有無②(ア) 原判決による「凸形状の高さ」の解釈によると,本件明細書には,原判決の解釈による「凸形状の高さ」についての記載はないから,本件特許の特許請求の範囲の記載は,発明の詳細な説明に記載されたものではない。 (イ) ①原審において,侵害論の心証開示前に「凸形状の高さ」の解釈を含む原判決に記載されたクレーム解釈が採用されることについて示唆が一切なかったこと,②原審において,侵害論の心証開示後に充足論及び無効論に関する主張立証の機会が与えられないまま,損害論へ移行し,その後も充足論及び無効論に関する主張立証の機会は一切与えられなかったこと,③前記(ア)の主張の前提は実質的にクレーム解釈の問題であり,その点については原審において議論を尽くしていること,及び,④本件特許の無効審判(無効2017-800128)においては当事者間で前記(ア)の予備的主張に係る無効理由の有無を含めて議論が尽くされているため,控訴審において議論をすることについて一審原告に特段の不利益は生じな いと認められることから,前記(ア)の主張は時機に後れたものではなく,一審被告に重過失もなく,また,訴訟完結の遅延もない。 キ新規事項追加(ア) 原判決による「凸形状の高さ」の解釈によると,「凸形状の高さ」は,本件特許の出願当初の明細書に記載された事項ではないから,本件特許は,特許請求の範囲についてされた補正(乙10,13)が,本件特許の出願当初の明細書に記載した事項の範囲内においてされたものではな ,本件特許の出願当初の明細書に記載された事項ではないから,本件特許は,特許請求の範囲についてされた補正(乙10,13)が,本件特許の出願当初の明細書に記載した事項の範囲内においてされたものではない。 (イ) 前記カ(イ)と同様。 (3) 争点(3)(差止めの必要性)についてア一審被告は,被告製品の製造等を完全に終了しており,現在,製造,販売及び販売の申出を行っていないから,差止の必要性はない。 イ一審被告が被告製品の製造を復活させるためには,金型を新たに製作する必要があるが,そのためには相当のコストがかかること,積層発泡シートのフィルム部分による切創事故など生じるものではなく,切創事故対策の凹凸形状は不要であること等も考慮すると,差止めの必要性は認められない。 (4) 争点(4)(損害額)についてア一審被告が被告製品(凹凸形状がある製品)の製造を中止した平成27年7月以降,被告製品と同一の製品名で,凹凸形状があるものとないものとが混在して販売されていたために,対象期間における被告製品(凹凸形状がある製品)のみの販売数を正確に把握することができない。しかし,被告製品(凹凸形状がある製品)の生産量を超えて被告製品(凹凸形状がある製品)を販売することはできず,また,被告製品と同一の品番の販売数を超えて被告製品(凹凸形状がある製品)を販売することはできないことは物理的に明らかであるから,①端縁部に凹凸形状があるものの生産数と②被告製品の品番の販売数のうち小さい方の値をもって,対象期間における被告製品(凹凸形状がある製品)の販売数とすることに合理性がある。 したがって,特許法102条3項に基づく損害額の算定基礎となる売上額は,最 大でも●●●●●●●●●●●●●である。 イ(ア) プラスチック製 )の販売数とすることに合理性がある。 したがって,特許法102条3項に基づく損害額の算定基礎となる売上額は,最 大でも●●●●●●●●●●●●●である。 イ(ア) プラスチック製品や容器についての一般的な実施料率は,せいぜい2%程度である(甲28)。 被告製品において,フランジの端縁部に凹凸を設けても,設けなくとも,指等を裂傷する可能性はない。また,被告製品を含む製品のカタログ(甲40)は,フランジに凹凸を備えた被告製品についても手指の切創について注意喚起をしているから,被告製品においては手指の切創を防止できていないことになるはずである。そうすると,被告製品は,「端縁部における手指の切創を防止すること」による顧客誘引力を発揮しないから,本件発明1及び2による被告製品の売上げに対する寄与度はゼロ又は限りなくゼロに近い。 したがって,本件発明1及び2の実施によって受けるべき相当な実施料率は0%であるか,高く見積もっても,通常の実施料率の1/100である0.02%である。 (イ) 一審原告が主張する「セーフティエッジ」は,発泡積層シートについてのものではない(甲36,52,乙61)。 また,被告製品の需要者は,弁当や総菜を製造する業者又は容器の卸業者であるから,発泡積層シートのフィルムは薄くて柔らかいので,指の裂傷は生じないことを熟知しており,端縁部先端の底面の一般的形状は平らであり,蓋の係止において問題が生じるものではなかったことも熟知している。端縁部の凹凸形状の存在を顧客の購入動機に結びつけるためには,特に顧客にアピールして顧客を納得させることが必要である。一般人であっても,積層発泡樹脂の薄いフィルムで指先等を切ることがないことは直ちに認識できる。一審被告によるアピールなしに,顧客が凹凸形状に着目し,購入動 ールして顧客を納得させることが必要である。一般人であっても,積層発泡樹脂の薄いフィルムで指先等を切ることがないことは直ちに認識できる。一審被告によるアピールなしに,顧客が凹凸形状に着目し,購入動機に大きな影響を与えることはない。 ウしたがって,本件における特許法102条3項に基づく損害額は,●●●●●●●●を上回ることはなく,本件特許権侵害があるとされる場合であっても,本件特許権侵害によって通常生ずべき弁護士費用は,●●●を上回ることはない。 (5) 検証の申出について原審が,一審被告による平成29年9月20日付けの検証の申出を却下したことは,検証の必要性の判断を誤ったもので,看過することができない違法がある。 2 一審原告(1) 争点(1)(被告製品の本件発明1及び2の構成要件充足性)についてア本件発明1及び2の技術的意義について課題は出願時において存在していれば足りるのであり,特許文献3(乙28)以前において課題が解決していたか否かは無関係である。 イ構成要件Dの「凸形状の高さ」について(ア) 「凸」という用語の一般的意義からしても,特許請求の範囲の文言からしても,構成要件Dの「凸形状の高さ」が端縁部の上面に形成されている部分的に出張っている箇所の形状の高さ,すなわち,凸形状の頂部から凸形状の底部までの距離をいうことは,一義的に明らかである。 仮に,本件明細書の記載を参酌するとしても,【0007】,【0017】,【0019】の記載によると,「凸形状」とは,端縁部の上面・下面という面を基準又は基底として設けられた「突起」すなわち「突き出た状態」を意味するものとして用いられているのであって,「凸形状の高さ」とは,上記の距離をいうことが明らかである。 本件明細書の図2及び図3は,凸形状の底 底として設けられた「突起」すなわち「突き出た状態」を意味するものとして用いられているのであって,「凸形状の高さ」とは,上記の距離をいうことが明らかである。 本件明細書の図2及び図3は,凸形状の底部から突出部の下面までの距離を極めて短く記載しているために,「h1」下端が図自体から明確でなく,上記認定について,疑念を抱かせるものではない。 また,構成要件Dの効果は「怪我防止」(【0019】)であるところ,ある程度の波(凸形状)の高さがなければ,この効果を奏することができない。「凸形状の高さ」を一審被告の主張のとおり解した場合,凸形状の頂部から凸形状の底部が0. 1mm未満であったとしても,凸形状と評価できる限り構成要件Dを充足することとなるが,上記効果を奏することはできないから,一審被告の主張する「凸形状の 高さ」の解釈は誤りである。 (イ) 「上面側」が「下面側」ではない側を意味するのであれば,「下面側」でない側は「上面」であり,「上面側に凹凸形状が形成されて上面に凹凸形状が形成されない」という端縁部の存在は考えられない。 ウ構成要件Cの「ように」について構成要件Cは,①突出部の端縁部の上面が,収容凹部の開口縁近傍の突出部の上面より低くなっていること,②突出部の端縁部の厚みが,収容凹部の開口縁近傍の突出部の厚みより薄くなっていることを規定しているのみであって,①が②に起因して生じたことを規定していない。 同時並行的に存在する二つの状態について,一方が他方に起因するというのは,日本語として意味不明である。 本件明細書の記載を参酌するとしても,上記の意味に変わりはない。 エ構成要件D及びEの「凸形状」について本件発明1及び2は,物の発明であり,「凸形状」について,その形状を示すことによりその構造を特定し 記載を参酌するとしても,上記の意味に変わりはない。 エ構成要件D及びEの「凸形状」について本件発明1及び2は,物の発明であり,「凸形状」について,その形状を示すことによりその構造を特定しているにすぎず,製造方法を示すものではない。 また,特許請求の範囲には,「凸形状の高さ」と「(隣り合う)凸形状の間隔」について記載があるにとどまり,その製造方法に関する記載は存在しない。 本件審判請求書の記載も,端縁部を圧縮することによる強度向上と凹凸形状を形成することによる強度向上があることを述べているにすぎず,その時間的先後関係を述べるものではないから,端縁部の圧縮と凹凸形状の形成とが同時に行われている場合であっても違いはない。また,本件審判請求書(4頁4行目~7行目)は,引用文献1(乙76)が本件発明1及び2の効果を奏しないことを述べたものにすぎず,引用文献1と本件発明1及び2との相違点を述べたものではない。 オ構成要件Bの「開口縁」及び「突出部」について原審における主張のとおり。 カ構成要件Cの「端縁部の上面が・・・突出部の上面に比して下位」につ いて原審における主張のとおり。 (2) 争点(2)(本件特許の無効理由の有無)についてア乙20文献記載の発明に基づく進歩性欠如について(ア)a 当業者が,乙20に記載された発泡積層容器の発明と,乙19等に記載された非発泡容器の発明を組み合わせることはない。 発泡積層シートによって成形加工された容器は,非発泡樹脂フィルムによって成形加工された容器に比して厚い発泡層を有し,発泡層は柔らかいために指先を切ることはなく,発泡層に貼り付けられた非発泡の熱可塑性樹脂フィルムによって指先を切るおそれがあるのに対し,非発泡樹脂フィルムによって成形加工された容 て厚い発泡層を有し,発泡層は柔らかいために指先を切ることはなく,発泡層に貼り付けられた非発泡の熱可塑性樹脂フィルムによって指先を切るおそれがあるのに対し,非発泡樹脂フィルムによって成形加工された容器は,フィルムが薄く,鋭利な状態となっているため,指先を切ることが起きやすいという差異がある。容器の端部において切創事故を引き起こす要因が異なるため,その解決方法も異なるのであって,当業者から見ると,非発泡容器の発明と発泡積層容器の発明とは,技術分野が異なるから,当業者が,乙20の1発明を出発点として,発泡積層シートを用いた容器に対して,非発泡樹脂を用いた容器における切創防止のための端縁部の構造を組み合わせることはあり得ない。発泡積層シートを用いた容器に非発泡樹脂を用いた容器の構成を組み合わせることは,設計事項とはなり得ない。 b 発泡積層シートを原材料とする容器の製造方法と非発泡樹脂フィルムを原材料とする容器の製造方法とは,熱処理の温度やこれに要する時間,金型の形状等において異なっているため,両者は同じ容器で製造することはできない根本的に別個のものである。当業者において,乙20の1発明を出発点として,熱可塑性樹脂フィルムの層が存在することのみを理由として,熱可塑性樹脂フィルムに関する発明ないし技術を単純に組み合わせようと考えることはあり得ない。 c 乙20には,端縁部での怪我を防止するという本件発明1及び2の課題は存在しない。乙19等は,容器の端縁部等における手指の切創事故を防ぐこ とを目的とし,乙20の1発明の課題とは全く異なる課題を有しており,乙20から当業者が把握可能な課題を解決するものではないから,乙20の1発明に乙19等に記載されている容器の端縁部の凹凸形状に関する発明を組み合わせる動機付けはない。 (イ) 課題を有しており,乙20から当業者が把握可能な課題を解決するものではないから,乙20の1発明に乙19等に記載されている容器の端縁部の凹凸形状に関する発明を組み合わせる動機付けはない。 (イ) 仮に,乙20の1発明に乙19等の技術を組み合わせたとしても,端縁部の上面側及び下面側の両面に一体的に凹凸形状を形成する容器に到達することしかできないのであって,端縁部の上面に凹凸形状を形成し,端縁部の下面は平坦に形成した容器に到達することはできない。 (ウ)a 一審被告の乙42及び81に係る主張は,控訴審において,控訴理由書ではなく,口頭弁論期日の直前に至って初めて主張されたものであるから,時機に後れたものであり,一審被告には少なくとも重大な過失があるところ,上記主張は,新たな証拠を伴う主張であり,一審原告としてはこれに対する反論の書面を提出する必要があり,審理を終結することはできなくなるから,上記主張は,訴訟の完結を遅延させるものである。 したがって,上記主張は,民訴法157条1項に基づき,却下されるべきである。 b(a) 乙42及び81のいずれにも,容器の端縁部に凹凸形状が形成されることの記載はない。 乙42の「鍔部」は,その上面が収容凹部の開口縁近傍の突出部の上面に比して下位となる構成及び熱可塑性樹脂発泡シートが圧縮されて厚みが薄くなっている構成を有する部分が存在しないから,本件発明における「突出部」に相当するものである。本件発明における突出部の一部のみを構成する「端縁部」に相当する部分は存在しない。また,乙42には,「鍔部」を側面から見た図がなく,「鍔部」に凹凸形状が形成されているか否かは不明である。さらに,乙42には,本件発明における「端縁部」に該当する箇所に着目するような課題はない。 乙81の「周辺鍔部」は,その上面が ら見た図がなく,「鍔部」に凹凸形状が形成されているか否かは不明である。さらに,乙42には,本件発明における「端縁部」に該当する箇所に着目するような課題はない。 乙81の「周辺鍔部」は,その上面が収容凹部の開口縁近傍の突出部の上面に比して下位となる構成及び熱可塑性樹脂発泡シートが圧縮されて厚みが薄くなってい る構成を有する部分は存在しないから,本件発明における「突出部」に相当するものである。本件発明における突出部の一部のみを構成する「端縁部」に相当する部分は存在しない。また,乙81には,本件発明における「端縁部」に該当する箇所に着目するような課題はない。 (b) 乙42に記載された発明は,「熱湯の注入,電子レンジによる加熱,倉庫などにおける保管中及び運送中などの耐熱変形性を向上させた発泡樹脂製容器を提供すること」という,乙20から当業者が把握可能な課題を解決するものではない。 また,乙81に記載された発明も,上記の乙20から当業者が把握可能な課題を解決するものではない。 したがって,当業者には,乙20の1発明に対して乙42や81に記載された発明を組み合わせ,乙42のローレット加工や乙81の凹凸模様を設ける動機付けはない。 イ乙19文献記載の発明に基づく進歩性欠如について(ア) 乙19には,容器の端縁部の上面と下面との両方に凹凸形状が形成されている構成が開示されているのであり,その下面側を平坦に構成したものは開示されていない。 (イ)a(a) 当業者が,乙19に記載された非発泡積層容器の発明と,乙20等に記載された発泡容器の発明を組み合わせることはない。 前記ア(ア)aのとおり,非発泡容器の発明と発泡積層容器の発明とは,技術分野が異なるから,当業者が,乙19の1発明を出発点として,乙19の1発明 に記載された発泡容器の発明を組み合わせることはない。 前記ア(ア)aのとおり,非発泡容器の発明と発泡積層容器の発明とは,技術分野が異なるから,当業者が,乙19の1発明を出発点として,乙19の1発明における非発泡樹脂フィルムを,発泡積層シートに置き換えることはあり得ない。 (b) 前記ア(ア)bと同様に,製造方法の観点からも,当業者が発泡積層容器の発明と非発泡容器の発明とを組み合わせることはない。 (c) 乙20等に記載された発明は,乙19から当業者が把握可能な課題を解決するものではないから,当業者は,乙19の1発明に対して,乙20等 に記載された発明を組み合わせる動機付けはない。 b(a) 乙76及び77には,発泡樹脂製の容器のフランジ部の上面側に凹凸形状を形成し下面側を平坦に形成することの記載はない。 (b) 前記ア(ア)aと同様に,当業者が,乙19の1発明を出発点として,乙19の1発明における非発泡樹脂フィルムを,発泡積層シートに置き換えることはあり得ない。 また,乙76及び77に記載された発明は,乙19から当業者が把握可能な課題を解決するものではないから,当業者には,乙19の1発明に乙76及び77に記載された発明を組み合わせる動機付けがない。 (ウ) 仮に,乙19の1発明に乙20等の技術を組み合わせたとしても,端縁部の上面側及び下面側の両面に一体的に凹凸形状を形成する容器に到達することしかできないのであって,端縁部の上面に凹凸形状を形成し,端縁部の下面は平坦に形成した容器に到達することはできない。 ウ明確性要件違反の有無について構成要件Dの「凸形状の高さ」の意義は一義的に明らかであるから,二通りに解釈されることはない。 エサポート要件違反の有無①について本件特許の特許請求の範囲の文 確性要件違反の有無について構成要件Dの「凸形状の高さ」の意義は一義的に明らかであるから,二通りに解釈されることはない。 エサポート要件違反の有無①について本件特許の特許請求の範囲の文言によると,一審被告が主張するような特徴的な発明特定事項は存在しないから,一審被告の主張は,失当である。 オ実施可能要件違反の有無について前記エのとおりであるから,一審被告の主張は,失当である。 カサポート要件違反の有無②について(ア) 一審被告のサポート要件違反の有無②に係る主張は,時機に後れた攻撃防御方法であって,一審被告には,少なくとも重大な過失がある。また,上記主張は,これに対する新たな審理を行う必要が生ずるから,「訴訟の完結を遅延させる」ものである。 したがって,上記主張は,民訴法157条1項に基づき,却下されるべきである。 (イ) 本件明細書には,「凸形状の高さ」が凸形状の頂部から凸形状の底部までの距離であるという解釈による「凸形状の高さ」が規定された本件発明1及び2が記載されている(【0017】,【0019】)から,一審被告の主張は失当である。 キ新規事項追加について(ア) 前記カ(ア)と同じ。 (イ) 本件明細書の記載内容と本件特許の出願当初の明細書の記載内容は,【0010】を除き同一であるところ,前記カ(イ)のとおりであるから,本件特許は,新規事項追加禁止の要件に違反しない。 (3) 争点(3)(差止めの必要性)についてア一審被告が,平成27年6月から同年7月にかけて金型全てを端縁部に凹凸がないものに変更したという事実は存在しない。 一審被告は,平成28年6月28日になってはじめて,同月17日に被告製品の製造・販売を終了した旨のプレスリリ から同年7月にかけて金型全てを端縁部に凹凸がないものに変更したという事実は存在しない。 一審被告は,平成28年6月28日になってはじめて,同月17日に被告製品の製造・販売を終了した旨のプレスリリースを行っている(乙5,6)が,これは,被告製品に用いる金型の改造を行っていなかったために,一審原告の申立てを全面的に認める仮処分決定が平成28年6月6日に発令されたことを受けて,端縁部に凹凸を有する被告製品を全て廃番にしたことを意味するものである。 イ一審被告が管理していた被告製品の在庫の廃棄処分を平成28年6月17日までに完了したという事実は存在しない。 ウ一審被告が端縁部の上面側に凹凸形状のある容器を製造可能な金型を現に保有し,被告製品の在庫を保管している可能性を否定することができない以上,一審被告が,被告製品の販売を一時的に停止したとしても,再び被告製品の販売を行うことは,容易である。 仮に金型を変更したという一審被告の主張を前提としても,金型の変更に要する時間が相当の長期にわたらないことを踏まえると,一審被告が,被告製品の製造販 売を再開することは容易である。 エしたがって,被告製品の販売等の差止め並びに被告製品及びその製造用金型の廃棄が命じられるべきである。 (4) 争点(4)(損害額)についてア平成25年7月から平成29年2月までの間の被告製品の総売上高は●●●●●●●●●●●●●である。 一審被告が主張する金型全てを変更したという事実は存在しない。 イ一審原告は,一審原告の製品である本件発明1及び2の実施品である包装用容器について,当該製品の端縁部の凹凸形状を「セーフティエッジ」と呼んだ上で,その製造・販売を行っており,また,平成27年以降も,「セーフティエッジ」加工の存在を顧客にアピールし 実施品である包装用容器について,当該製品の端縁部の凹凸形状を「セーフティエッジ」と呼んだ上で,その製造・販売を行っており,また,平成27年以降も,「セーフティエッジ」加工の存在を顧客にアピールしている(甲29,52)。 また,端縁部に凹凸形状があるか否かは一瞬で認識できる製品の特徴であり,発泡積層シートを成形加工した食品用容器における端縁部の凹凸形状は,使用者が指等を裂傷する危険を防ぐことができるものとして,顧客に広く認識されており,端縁部の凹凸形状に着目して製品を選択する顧客は多く存在する。仮に一審被告が端縁部の凹凸形状の存在をアピールしていなかったとしても,そのことは,顧客が端縁部の凹凸形状に着目して製品を選択していることを左右するものではない。 したがって,本件において相当な実施料率は10%を下らない。 (5) 検証の申出について食品用容器の発泡積層シートにおける熱可塑性樹脂フィルムは,対象物に対する指の接触面積と,指の接触速度とが相まって,指に裂傷が生ずるものであるから,一審被告の申し出た検証物の端縁部を触ったり,指を押し当てて移動したところで,当該製品の端縁部で指が切れることを認識することはできない。したがって,一審被告の申出に係る検証の必要性はない。 第3 当裁判所の判断 1 技術的範囲の属否について (1) 当裁判所は,被告製品1~4及び6は,本件発明1及び2,被告製品5及び7は本件発明1の技術的範囲に属すると判断する。 その理由は,次のとおり原判決を補正するほか,原判決の「事実及び理由」の第3の2(35頁4行目~45頁4行目)に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)ア原判決35頁11行目の「もののはし・」を「物のはし。」に改め,同頁16行目~17行目の「前記1(1 35頁4行目~45頁4行目)に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)ア原判決35頁11行目の「もののはし・」を「物のはし。」に改め,同頁16行目~17行目の「前記1(1)ア~オの記載があるほか,」を削除し,同頁26行目の「外側に」の後に「開口縁に近い部分では水平で」を,36頁2行目の「上記」の後に「水平で」を,同行目の「突出部」の後に「の部分」を,同頁9行目の「突出部が」の後に「開口縁に近い部分では」を,同頁11行目の「見当たらない。」の後に「また,本件発明は,「容器において,端縁部での怪我を防止しつつ蓋体を強固に止着させうる容器の提供を課題としている」(本件明細書の【0009】)ところ,突出部が水平で平坦であることは,端縁部での怪我の防止や蓋体の強固な止着に必須の構成であるとはいえない。」をそれぞれ加え,同頁16行目の「前記1(2)のとおり,「前記突出部の端縁部の…且つ該端縁部の」と補正をした」を「平成25年3月25日付手続補正書(乙13)により,本件発明1及び2に係る特許請求の範囲中「前記突出部の少なくとも端縁部は,上面側に凹凸形状が形成され,該凹凸形状の凸形状の高さが0.1~1mmとなり,隣り合う凸形状の間隔が0.5~5mmとなるように形成されており,且つ下面側が」を「前記突出部の端縁部の上面が収容凹部の開口縁近傍の突出部の上面に比して下位となるように,突出部の端縁部において前記熱可塑性樹脂発泡シートが圧縮されて厚みが薄くなっており,しかも,該突出部の少なくとも端縁部の上面側には,凸形状の高さが0.1~1mmとなり隣り合う凸形状の間隔が0.5~5mmとなるように凹凸形状が形成され,且つ該端縁部の下面側が」と補正した(下線部は補正により変更された部分である。)。」に改め,同頁20行目の「段落」及び「)」 となり隣り合う凸形状の間隔が0.5~5mmとなるように凹凸形状が形成され,且つ該端縁部の下面側が」と補正した(下線部は補正により変更された部分である。)。」に改め,同頁20行目の「段落」及び「)」,37頁1行目の「段落」, 同頁2行目の「)」,を,それぞれ削除する。 イ原判決37頁21行目~22行目の「前記1(1)ア~オの記載に加え,」,38頁1行目の「段落」を,それぞれ削除し,同頁22行目及び39頁9行目の「近傍」の後に「の突出部の上面」をそれぞれ加える。 ウ原判決39頁15行目~41頁4行目を次のとおりに改める。 「 ア本件発明1及び2の構成要件Cは,「前記突出部の端縁部の上面が収容凹部の開口縁近傍の突出部の上面に比して下位となるように,突出部の端縁部において前記熱可塑性樹脂発泡シートが圧縮されて厚みが薄くなっており,」というものであって,①「前記突出部の端縁部の上面が収容凹部の開口縁近傍の突出部の上面に比して下位となる」という構成と,②「突出部の端縁部において前記熱可塑性樹脂発泡シートが圧縮されて厚みが薄くなっており」という構成とを,「ように」で結ぶことで,「容器」に係る物の発明を特定している。 そうすると,発明特定事項Cは,「容器」という物の発明の形状又は構造について,①と②の双方を構成として備えていなければならないことを規定しているといえる。 イここで,①と②とが「ように」で結ばれていることから,日本語としては,(A)端縁部において上記シートを圧縮して厚みを薄くする工程を行い,その結果として端縁部の上面が上記のとおり下位となることを規定していると解することも,(B)厚みが薄くなっている状態の一態様として,端縁部の上面が上記のとおり下位となっていることと解することもできる。 そこで本件明細書の記載を参酌 とおり下位となることを規定していると解することも,(B)厚みが薄くなっている状態の一態様として,端縁部の上面が上記のとおり下位となっていることと解することもできる。 そこで本件明細書の記載を参酌すると,本件明細書の【0019】には,端縁部の圧縮により,前記突出部の端縁部の上面が収容凹部の開口縁近傍の突出部の上面に比して下位となる旨が記載されているが,本件発明1及び2の特許請求の範囲及び本件明細書の記載から認められる技術的意義,すなわち「端縁部の上面側に凹凸形状を形成し,熱可塑性樹脂フィルムの端縁をジグザグとすることで端縁部での怪我を防止しつつ,端縁部の下面側は平坦にすることで蓋体を強固に止着させ得るよ うにすること」からすると,端縁部が圧縮により強度が向上しており,また,「前記突出部の端縁部の上面が収容凹部の開口縁近傍の突出部の上面に比して下位となる」構成を有していればよいのであって,「前記突出部の端縁部の上面が収容凹部の開口縁近傍の突出部の上面に比して下位となる」構成が圧縮のみにより得られることに,技術的意義があるとは認められず,「前記突出部の端縁部の上面が収容凹部の開口縁近傍の突出部の上面に比して下位となる」構成が圧縮のみによらずして得られる場合を,構成要件Cが排除していると解することはできない。 したがって,上記(B)のとおり解するのが相当である。」エ原判決41頁5行目の「薄く」の前に「圧縮されて厚みが」を,同頁6行目の「突出部の」の後に「端縁部の上面が」を,それぞれ加え,同頁8行目の「段落」を削除し,同行目の「審判請求書」の前に「一審原告が」を加え,同頁11行目の「段落」,同頁13行目の「)」をそれぞれ削除し,42頁2行目の「が異なるほかに相違点が」を「や色は異なるものの,突出部の構成に係る相違点があるとは」に 」の前に「一審原告が」を加え,同頁11行目の「段落」,同頁13行目の「)」をそれぞれ削除し,42頁2行目の「が異なるほかに相違点が」を「や色は異なるものの,突出部の構成に係る相違点があるとは」に改める。 オ(ア) 原判決42頁9行目の「ア」~43頁25行目の「ウ」を次のとおりに改める。 「 ア本件特許の特許請求の範囲の記載によると,本件発明における「凸形状」は,「端縁部の上面側」に形成された「凹凸形状」におけるものであるから(構成要件D及びE),「凸形状の高さ」の数値限定(構成要件D)は,「隣り合う凸形状の間隔」の数値限定(構成要件E)とともに,「端縁部の上面側」に形成された「凹凸形状」の特徴を規定するものである。そうすると,「凸形状の高さ」(構成要件D)は,「凸形状の頂部から凸形状の底部までの距離」を意味すると解するのが自然である。 イ(ア) 本件明細書の【0017】には,「断面形状が波形となる突起15aが突出部14の端縁に沿って複数列設されて前記凹凸形状が形成されている。」との記載があり,本件明細書の【0033】には,「雄型100」について,「容器本 体部10の端縁部15に凹凸形状を形成させるための凹凸形成部102が備えられている。」との記載があり,本件明細書の【0034】には,「前記凹凸形成部102は,端縁部15の上面側15uに波形の突起15aを形成させるべく,・・・前記波形の突起15aとは逆形状となる凹凸形状が形成されている。」との記載があるから,「凹凸形状」は,「雄型」により形成され得る端縁部の上面側の表面の突起の形状又は構造を表していると解される。このことは,前記アの理解と整合する。 (イ) 本件明細書の【0019】には,「前記波形の突起15aの高さ(図2,図3の“h1”)が0.1~1mmとなり,隣り合 の形状又は構造を表していると解される。このことは,前記アの理解と整合する。 (イ) 本件明細書の【0019】には,「前記波形の突起15aの高さ(図2,図3の“h1”)が0.1~1mmとなり,隣り合う突起15aの間隔が0. 5~5mmとなるように形成されていることが怪我防止の観点から好ましい。」,本件明細書の【0043】には,「裂傷を防止するための構造(凹凸形状)」との記載があり,「凹凸形状」は,怪我防止,裂傷防止の観点から形成されている。このような観点からすると,「凸形状の高さ」として意味があるのは,「凸形状の頂部から凸形状の底部までの距離」であることは明らかである。このことも前記アの理解と整合する。 (ウ) 確かに,本件明細書の図2,図3においては,「h1」の高さとして,端縁部の上面の凸形状の頂部から端縁部の下面までの長さが,矢印により示されている。 しかし,前記(イ)のとおり,「凸形状の高さ」として意味があるのは,「凸形状の頂部から凸形状の底部までの距離」であるから,前記ア並びにイ(ア)及び(イ)で述べたところに反して「凸形状の高さ」を「端縁部の下面から上面の頂点部分までの高さ」と解する理由とすることはできない。 ウしたがって,特許請求の範囲及び本件明細書の記載によると,本件発明における「凸形状の高さ」は,「凸形状の頂部から凸形状の底部までの距離」を意味するものと解される。なお,本件特許に係る出願と同日に出願された特許第5164609号の明細書や図面の記載(乙31)は,上記認定を左右するものではない。 エ」(イ) 44頁4行目の「が異なるほかに相違点が」を「や色は異なるものの,突出部の構成に係る相違点があるとは」に改める。 カ(ア) 原判決44頁10行目の「被告は」~14行目の「イ 」を削除し,同頁 44頁4行目の「が異なるほかに相違点が」を「や色は異なるものの,突出部の構成に係る相違点があるとは」に改める。 カ(ア) 原判決44頁10行目の「被告は」~14行目の「イ 」を削除し,同頁15行目の末尾に「で,」を加え,同頁19行目の「。前記1(2)のとおり」~同頁22行目の「ところ,」を次のとおりに改める「。 イ本件審判請求書には,「本願発明の突出部の端縁部は他の部分に比して圧縮薄肉化されることによって第一の強度向上が図られており,更にその上面に凹凸形状が形成されることによって第二の強度向上が図られると共に怪我発生防止機能も付与されている。このように本願発明では,突出部の端縁部において二段階の強度向上策が図られているのである。これに対して引用文献1記載の発明では,フランジ部の厚みは放射状の強化部においては局所的に薄肉化されているもののそれ以外の箇所では薄肉化されておらず,フランジ部においては強度が高い部分と低い部分とが周方向に交互に形成されている。」との記載がある。 本件審判請求書の上記記載は,本件発明1及び2等と拒絶査定の引用文献1記載の発明との構成の違いを説明するためにされたもので,「引用文献1記載の発明」においては,フランジ部の厚みは薄肉化された部分とされていない部分があり,その結果,フランジ部においては強度が高い部分と低い部分とが周方向に交互に形成されているのに対し,本件発明1及び2等においては,突出部の端縁部は他の部分に比して全部が圧縮薄肉化されること,及び,その上面に凹凸形状が形成されることにより,端縁部の強度が向上していることを述べたものと解される。 そして,端縁部の圧縮薄肉化と端縁部の上面における凹凸形状の形成の時間的前後関係については,本件審判請求書において,特に記載されていない。 そうすると,」 上していることを述べたものと解される。 そして,端縁部の圧縮薄肉化と端縁部の上面における凹凸形状の形成の時間的前後関係については,本件審判請求書において,特に記載されていない。 そうすると,」(イ) 原判決45頁1行目の「ところ」~同頁3行目の「照らせば」を「。 証拠(甲6~9)及び弁論の全趣旨によると」に,同行目の「あるから」を「あると認められるから」に,それぞれ改める。 (2)ア(ア) 一審被告は,本件発明1及び2は,端縁部の「上面側」に「凹凸形状」を形成することを規定しているのであり,端縁部の上面そのものの形状について規定しているのではない,単に発泡積層シートの上面側を凹凸形状にすること自体ではなく,上面が熱可塑性樹脂フィルムである発泡積層シートの熱可塑性樹脂フィルムを凹凸形状にするところに実質的意味があるなどと主張する。 しかし,本件発明1及び2は,「熱可塑性樹脂発泡シートの片面に熱可塑性樹脂フィルムが積層された発泡積層シートが用いられ,前記熱可塑性樹脂フィルムが内表面側となるように前記発泡積層シートが成形加工」されるものであるから,熱可塑性樹脂フィルムの上面は,端縁部の上面を形成しており,熱可塑性樹脂フィルムの下面は,熱可塑性樹脂発泡シートの上面と密着していることになる。「端縁部の上面側」は,その文言上,端縁部の上面だけではなく,端縁部を形成する発泡積層シートの厚みのうち,上面に近い部分を含むと解されるが,本件発明1及び2において形成される「凹凸形状」は,発泡積層シートの熱可塑性樹脂フィルム部分が切断時に外側に突出することにより指等を裂傷する虞があることを課題とするものであるから,この課題を解決するために,発泡積層シートの上面には,凹凸形状を設けない一方,上面ではない上面側の部位,すなわち,発泡積層 側に突出することにより指等を裂傷する虞があることを課題とするものであるから,この課題を解決するために,発泡積層シートの上面には,凹凸形状を設けない一方,上面ではない上面側の部位,すなわち,発泡積層シートの厚みの中間の部分に凹凸形状を形成すること,例えば,熱可塑性樹脂フィルムと熱可塑性発泡シートの境界において,両者が密着した形で凹凸形状を形成することは,いかなる技術的意義を有するのか不明であるし,両者の間にあえて空間を設けて凹凸形状を形成することは,想定できない。 したがって,「上面側」との記載があることにより,上面において凹凸形状が形成されない構成を意味するものとは考えられないのであって,一審被告の上記主張は,採用できない。 (イ) また,一審被告は,上下両面に凹凸形状がない容器において,蓋体 は強固に止着していたのであるから,「端縁部につき上記の端縁部の形状とすることに加えて下面を平坦にすることで,蓋の強固な止着を実現する」という課題は存在しないと主張する。 しかし,本件明細書の【0007】には,特許文献3(特開2004-67122号公報。乙28)には,フィルム端縁で指等を裂傷するという課題を解決するために,突出部の上下面にジグザグとなる凹凸を形成させることが記載されているが,これによると,蓋体を外嵌させる際に蓋体の突起部が係合される突出部の下面側にも凹凸形状が形成されるのであって,特に,熱可塑性樹脂フィルムが内表面となるように発泡積層シートを成形した容器本体部の突出部の下面側に凹凸形状を形成させると,蓋体の突起部が,突出部の下面側の発泡シート表面に形成された凸部先端と接触するため,凸部が潰れやすく,強固な係合状態を形成させることが困難となることが記載されているから,上記の課題は,端縁部の上面を凹凸形状とするこ 突出部の下面側の発泡シート表面に形成された凸部先端と接触するため,凸部が潰れやすく,強固な係合状態を形成させることが困難となることが記載されているから,上記の課題は,端縁部の上面を凹凸形状とすることを前提としたものであり,本件発明1及び2は,その課題を解決したものであることが明らかである。 したがって,一審被告の上記主張は理由がない。 (ウ) さらに,一審被告は,本件発明1及び2は,数値限定された形状を備えることにより,課題を解決するものであると主張するが,本件発明1及び2の上記の課題は,数値限定も含むその構成全体によって解決されるものである。原判決が数値限定について本件発明1及び2の技術的意義として特に判示しなかったからといって,そのことが原判決の結論に影響があるということはできない。 イ一審被告は,本件審判請求書における主張を根拠に,本件発明1及び2の技術的範囲から,フランジ部において強度が高い部分と低い部分とが周方向に交互に形成されている従来の容器は,除外されると解されると主張する。 しかし,既に補正の上原判決を引用して判示した(原判決44頁19行目~22行目)とおり,本件審判請求書には,「引用文献1記載の発明」においては,フランジ部の厚みは薄肉化された部分とされていない部分があり,その結果,フランジ 部においては強度が高い部分と低い部分とが周方向に交互に形成されているのに対し,本件発明1及び2等においては,突出部の端縁部は他の部分に比して全部が圧縮薄肉化されていること,及び,その上面に凹凸形状が形成されていることにより,端縁部の強度が向上していることが記載されているものの,このような記載があるからといって,そのことから直ちに,特許請求の範囲において除かれていない「フランジ部において強度の高い部分と低い部 により,端縁部の強度が向上していることが記載されているものの,このような記載があるからといって,そのことから直ちに,特許請求の範囲において除かれていない「フランジ部において強度の高い部分と低い部分とが周方向に交互に形成された容器」が本件発明1及び2から除かれると解することはできず,他にそのように解すべき理由もない。 したがって,一審被告の上記主張には理由がない。 ウその他,被告製品の構成要件充足性についての一審被告の主張に理由がないことは,既に判示したところから明らかである。 2 無効理由の有無について(1) 乙20文献記載の発明に基づく進歩性欠如についてア(ア) 証拠(乙20)及び弁論の全趣旨によると,乙20文献に記載された発泡樹脂製容器は,①発泡スチロール製の外皮15のシートの片面にハイインパクトポリスチレン製の内皮16が積層されたシート17が用いられ,ハイインパクトポリスチレン製の内皮16が内表面側となるようにシート17が成形加工されて,インスタント食品類や冷凍加工食品類が収容される収容凹部と(【0018】,【0002】),②該収容凹部の開口縁から外側に向けて張り出したフランジ部12とが形成された容器1であって(【0016】),③フランジ部12のリブ13の上面が収容凹部の開口縁近傍のフランジ部12の上面に比して下位となるように,フランジ部12のリブ13において発泡スチロール製の外皮15のシートが圧縮されて厚みが薄くなっている(【0018】,【図4】)ものであると認められる。 そして,乙20のリブ13の上面側に位置するハイインパクトポリスチレン製の内皮16については,真空圧空成形に先立って加温により軟化させることが記載されている(【0018】)ほか,特段の記載はないから,リブ13の上面側に凹凸形 状は形成 インパクトポリスチレン製の内皮16については,真空圧空成形に先立って加温により軟化させることが記載されている(【0018】)ほか,特段の記載はないから,リブ13の上面側に凹凸形 状は形成されていないものと認められる。 また,乙20のリブ13は,型51,52を用いた真空圧空成形に際し,フランジ部12の外周部が圧縮されることによって形成されるのであって(【0018】,【図4】),リブ13の下面側に位置する発泡スチロール製の外皮15は高密度に圧縮された状態になるから,乙20文献に記載された容器は,リブ13の下面側が平坦に形成されているものと認められる。 そうすると,本件発明1及び2と乙20文献に記載された発明とは,前者では,「該突出部の少なくとも端縁部の上面側には,凸形状の高さが0.1~1mmとなり,隣り合う凸形状の間隔が0.5~5mmとなるように凹凸形状が形成されている」のに対し,後者では,フランジ部12のリブ13の上面側に凹凸形状が形成されていない点で,少なくとも相違する。 (イ) 乙19には,容器の環状屈曲部の外縁線を波状に形成すること(特許請求の範囲の請求項1),乙27(実登第3044932号公報)には,容器の最外周である切断面を側面視略波形状とすること(実用新案登録請求の範囲の請求項1),乙28(特開2004-67122号公報)には,容器の突出部を厚み方向に凹凸形状とすること(【0010】),乙29(実開昭54-168205号公報)には,容器の周縁に突設した鍔部(突出部)に凹凸部を形成すること(実用新案登録請求の範囲の請求項1)が,それぞれ記載されている。 したがって,容器の切断面(外側端面)を凹凸形状とすることは周知技術であるといえる。 ただし,乙19,27~29は,いずれも,容器の切断面を全体として凹凸形状 求項1)が,それぞれ記載されている。 したがって,容器の切断面(外側端面)を凹凸形状とすることは周知技術であるといえる。 ただし,乙19,27~29は,いずれも,容器の切断面を全体として凹凸形状にするものであって,切断面の上面も下面も凹凸形状となっている(乙19の【図5】,乙27の【図3】~【図5】,乙28の【図2】,【図3】,乙29の第2図)。 したがって,上記の周知技術である「容器の切断面(外側端面)を凹凸形状とすること」は,切断面の上面も下面も凹凸形状とすることを,その内容とするものであると認められる。 (ウ) 乙20文献に記載された発明に前記の周知技術を組み合わせると,リブ13の上面だけではなく下面も凹凸形状になるから,本件発明1及び2の構成要件である「且つ該端縁部の下面側が平坦に形成されていること」という構成は得られない。そして,乙19,27~29には,容器の切断面の上面を凹凸形状としつつ,下面を平坦に形成することは,記載されておらず,これらの証拠から認められる周知技術は,容器の切断面(外側端面)の上面も下面も凹凸形状とすることである。乙19,乙27~29に記載されている凹凸形状を形成するシートは,その厚みが相当薄いものとして記載されており(乙19の【図5】,乙27の【図2】~【図5】,乙28の【図2】及び【図3】,乙29の第2図),その片面のみに凹凸形状を形成する場合,凹凸形状の上下方向の距離は相当短いものとならざるを得ないと考えられることに鑑みると,それにもかかわらず,乙20文献に記載された発明に上記の周知技術を組み合わせるに際し,あえて容器の切断面(外側端面)の上面のみを凹凸形状とすることを,当業者が容易に想到できるとは認められない。 したがって,本件発明1及び2は,乙20文献に記載された発明に基づいて容 み合わせるに際し,あえて容器の切断面(外側端面)の上面のみを凹凸形状とすることを,当業者が容易に想到できるとは認められない。 したがって,本件発明1及び2は,乙20文献に記載された発明に基づいて容易に発明することができたとは認められない。 イ(ア) 一審被告は,非発泡フィルムの容器であるか,発泡積層シートの容器であるかにかかわらず,適宜の成形方法によって,適宜の場所に凹凸形状を設けることは,本件特許の出願時点における周知慣用技術(乙19等,乙42,81)であり,技術常識であったから,当業者は,乙20の1発明並びに上記周知慣用技術に基づいて,本件発明1及び2を容易に想到し得る旨主張する。 (イ) この主張は,上記アとは異なる技術を乙20の1発明に組み合わせる対象として主張するものであり,新たな主張といえるところ,上記主張は,控訴審の控訴理由書の提出後に主張されたものであるから,時機に後れて提出された攻撃防御方法に該当する。 しかし,上記主張の判断に当たって必要となるのは,乙42及び81の記載内容を考慮することのみであるから,上記主張について審理したとしても,訴訟の完結 を遅延させることになるとは認められない。 したがって,この点に係る一審原告の時機に後れた攻撃防御方法の却下の申立ては,認められない。 (ウ) 乙42(特許2896841号公報)には,容器の蓋体をシールする位置の発泡シートの断面の片面のみに凹凸形状を形成することが記載されている(【0025】,【図2】~【図4】)が,当該加工対象である鍔部は,開口部周辺の部分全体を指すものであって(【請求項1】,【図1】~【図4】),本件発明1及び2の「突出部」に相当するものである。本件発明1及び2の「端縁部」に相当する部分のみに凹凸形状を形成することは,乙42には記載され 指すものであって(【請求項1】,【図1】~【図4】),本件発明1及び2の「突出部」に相当するものである。本件発明1及び2の「端縁部」に相当する部分のみに凹凸形状を形成することは,乙42には記載されていない。また,乙42に記載された発明の課題は,「フィルムを発泡シートより破れること無く容易に剥離できる・・・積層発泡シートを提供する」(【0006】)ことであるところ,剥離を容易にすると,蓋体を剥がすとフィルムも剥がれることがあるという問題があることから,鍔部に凹凸形状を形成し,その部分のみ剥離強度を上げて,上記問題を解決したものである(【0023】~【0026】)。 乙81(実開昭58-79509号公報)には,トレーの周辺鍔部の表面のみに凹凸形状を形成することが記載されている(実用新案登録請求の範囲,第2図,第4図,第6図)が,当該加工対象である周辺鍔部は,開口部周辺の部分全体を指すものであって(実用新案登録請求の範囲(1),第1図,第2図,第4図,第6図),本件発明1及び2の「突出部」に相当するものである。本件発明1及び2の「端縁部」に相当する部分のみに凹凸形状を形成することは,乙81には記載されていない。また,乙81が,周辺鍔部に凹凸模様を形成するのは,「凹凸模様を設けるとストレッチフィルムとの滑りが良好となりスムーズな包装が可能になる」(明細書4頁9行目~11行目)からである。 一方,乙19文献には,容器の環状屈曲部の外縁線を上下面とも波状に形成すること(特許請求の範囲の請求項1),乙27には,容器の最外周である切断面を上下面とも側面視略波形状とすること(実用新案登録請求の範囲の請求項1),乙2 8には,容器の突出部を上下面とも厚み方向に凹凸形状とすること(【0010】),乙29には,容器の周縁に突設した鍔部に上下面とも凹 波形状とすること(実用新案登録請求の範囲の請求項1),乙2 8には,容器の突出部を上下面とも厚み方向に凹凸形状とすること(【0010】),乙29には,容器の周縁に突設した鍔部に上下面とも凹凸部を形成すること(実用新案登録請求の範囲の請求項1)が記載されているところ,その目的は,指先を傷つけないところにある(乙19の【0008】,乙27の【0007】,乙28の【0004】,乙29の明細書2頁12行目~15行目)。 このような凹凸形状を形成する部位及びその目的の違いを勘案すると,当業者は,乙20文献に記載された発明に,乙19,27~29,42及び81に記載された技術を組み合わせて,容器の内容物を収容する凹部の開口部周辺から切断面(外側端面)までの間の切断面に近い位置に形成した圧縮部位のみにおいて,しかも,その上面のみに凹凸形状を形成するという技術を容易に想到するということは,できない。 ウよって,その余の点を判断するまでもなく,乙20文献に記載された発明に基づく進歩性欠如の主張は,理由がない。 (2) 乙19文献記載の発明に基づく進歩性欠如についてア(ア)a 証拠(乙19)及び弁論の全趣旨によると,乙19文献に記載された樹脂製容器は,①樹脂フィルムが用いられ,樹脂フィルムが成形加工されて,惣菜等が収容される収容凹部と(【0005】,【0006】,【図1】),②該収容凹部の開口縁から外側に向けて張り出した屈曲部Rとが形成された身2を有する容器1であって(【0006】,【0016】,【図1】),③屈曲部Rの終端折り曲げ面2hが収容凹部の開口縁近傍の屈曲部Rの上面に比して下位となっている(【0030】,【図1】,【図8】)ものであると認められる。 b(a) 乙19においては,①樹脂製容器の環状屈曲部の外縁線を波状外縁線に 容凹部の開口縁近傍の屈曲部Rの上面に比して下位となっている(【0030】,【図1】,【図8】)ものであると認められる。 b(a) 乙19においては,①樹脂製容器の環状屈曲部の外縁線を波状外縁線に形成する構成を有すること(特許請求の範囲の請求項1,2),②密閉状態の容器から蓋を取り外すときに容器と蓋の切断縁が直線縁であることから指を切りやすいので,これを波形の外縁線,例えば,波又はひだ状に形成することにより手指を切ることがなくなるのであり,波形とは正弦波,三角波,台形波等を指し, 直線又は曲線で波を形成し,対称,非対称を問わないこと(【0008】),③実施例として,上記外縁線の上下方向に波を形成したものがあること(【0023】,【図5】)が記載されていると認められるから,乙19には,容器の外縁線において上下に山形の波形が形成される構成が開示されていると認められる。 一方,その下面側を平坦に形成した構成は開示されていない。 (b)一審被告は,乙19の明細書の【0024】,【図5】,【図8】から,乙19の1発明には,端縁部の上面側に凹凸形状が形成され,下面側が平坦に形成されたものが含まれると主張する。 しかし,乙19の【図5】は,【0023】において,【図4】のAA,BB視図であるとされており,端縁部の切断面の形状を示したものといえるのであって,【0024】の記載は,「波状外縁線はこれらの図例に限定されるのではなく,例示した波状を組み合わせたもの・・・であってもよい。」というものであるから,これらに【図8】を考え合わせても,乙19文献において,端縁部の上面側に凹凸形状が形成され,下面側が平坦に形成された樹脂製容器が開示されているとはいえない。 したがって,一審被告の上記主張は採用できない。 c そうすると,本件 文献において,端縁部の上面側に凹凸形状が形成され,下面側が平坦に形成された樹脂製容器が開示されているとはいえない。 したがって,一審被告の上記主張は採用できない。 c そうすると,本件発明1及び2と乙19文献に記載された発明とは,①前者では,「熱可塑性樹脂発泡シートの片面に熱可塑性樹脂フィルムが積層された発泡積層シート」で成形加工されているのに対し,後者では,「熱可塑性樹脂発泡シートの片面に熱可塑性樹脂フィルムが積層された発泡積層シート」で成形加工されているか否かが不明である点(相違点1),②前者では,突出部の端縁部の厚みが圧縮されて薄くなっているのに対し,後者では,屈曲部の端縁部の厚みが圧縮されて薄くなっているか不明である点(相違点2),③前者では,端縁部の下面側が平坦に構成されているのに対し,後者では,端縁部の下面側が平坦に構成されているものでない点(相違点3)で,少なくとも相違する。 (イ) まず,相違点3について検討するに,乙19は,容器の環状屈曲部 の外縁線を上下面とも波状に形成することとしており,端縁部の下面側のみを平坦に構成することが周知技術であると認められるとしても,これを適用する動機付けを認めることはできない。 なお,主引用例に組み合わせる技術が周知技術であるからといって,そのことのみで,動機付けを不要とする見解を採用することはできない。 イ(ア) 一審被告は,端縁部の樹脂フィルム側のみを凹凸形状に成形し,樹脂発泡シート側を平坦な形状に成形することは,当業者にとって設計事項であると主張する。 しかし,前記(1)ア(ウ)のとおり,乙19には,凹凸形状を形成するシートは,その厚みが相当薄いものとして記載されており,その上面側のみに凹凸形状を形成する場合,凹凸形状の上下方向の距離は相当短い しかし,前記(1)ア(ウ)のとおり,乙19には,凹凸形状を形成するシートは,その厚みが相当薄いものとして記載されており,その上面側のみに凹凸形状を形成する場合,凹凸形状の上下方向の距離は相当短いものとならざるを得ない。そして,前記ア(ア)cのとおり,乙19文献に記載された発明では,「熱可塑性樹脂発泡シートの片面に熱可塑性樹脂フィルムが積層された発泡積層シート」で成形加工されているか否かが不明であり,指を切る可能性がある熱可塑性樹脂フィルムが,その外縁線の上面に積層されているか否かも不明である。また,乙19には,「前記外縁線を波状外縁線に形成したことを特徴とする樹脂製容器」(特許請求の範囲請求項1),「樹脂フィルムを成形してなる樹脂製容器の身と蓋において,環状屈曲部の外縁線を含む外縁側側面に容器の全周にわたり波状外縁線によるなまこ板状の起伏溝を形成し蓋取外し時に指先を傷つけず,更に環状屈曲部の強度を高め,蓋を閉じたときの密閉力を高めた容器を提供する。」(【0006】)との記載がある。そうすると,それにもかかわらず,乙19文献に記載された発明の特徴である容器の外縁線が上下両面において波状外縁線に形成されているという構成を,その下面のみ変更して,平坦なものとする動機付けがあったとは認められない。 (イ) 一審被告は,発泡樹脂製の容器のフランジ部の上面側に凹凸形状を形成し,下面側を平坦に形成することは,周知慣用技術である(乙76,77)から,乙19の1発明の樹脂フィルムに代えて乙20等に係る発泡積層シートを用い て容器を成形する際に,端縁部において樹脂フィルムの上下両面と発泡シートの上面側に凹凸形状を形成し,発泡樹脂シートの下面側を平坦に形成することは,当業者であれば容易に想到し得たと主張する。 しかし,乙76には,フランジ 端縁部において樹脂フィルムの上下両面と発泡シートの上面側に凹凸形状を形成し,発泡樹脂シートの下面側を平坦に形成することは,当業者であれば容易に想到し得たと主張する。 しかし,乙76には,フランジ状をした容器の開口縁部に通常の発泡状態部分と非発泡状態となる程度に溶融圧着された強化部分とを形成する構成が記載されている(特許請求の範囲請求項2,【0012】,【図1】,【図4】)ところ,上記強化部分は,容器の端縁部に該当する部分だけではなく,突出部に該当する部分にも形成されており(【図1】,【図4】),耐衝撃強度の強化のために上記構成が採用されている(【0011】)。 乙77には,容器のフランジ部の所定箇所に容器の内部から外部に亘る一つ又はそれ以上の溝部を形成する構成が記載されている(実用新案登録請求の範囲,第1図)ところ,上記溝部は,容器の端縁部に該当する部分だけではなく,突出部に該当する部分にも形成されており(実用新案登録請求の範囲,第1図),「納豆用包装容器に通気孔を設けても工程が増えたりコスト高になることがなく,また上述の包装容器の上面にラベルを貼った場合や縦に積み重ねた場合においても,容器内部で発する臭気の排出機能が低下することもなく,更には発泡樹脂シートの二次発泡が生じた場合にもピンホール状の通気孔が塞がれることがない優れた納豆用包装容器を提供することを目的」として,上記構成が採用されたものである(乙77の明細書4頁1行目~8行目)。 一方,乙19文献に記載された発明は,前記アのとおりのものである。 このような凹凸を形成する部位及びその目的の違いを勘案すると,当業者は,乙19文献に記載された発明に基づき,乙76及び77の記載を考慮して,容器の内容物を収容する凹部の開口部周辺から切断面(外側端面)までの間の切断面に近い位置に形 の目的の違いを勘案すると,当業者は,乙19文献に記載された発明に基づき,乙76及び77の記載を考慮して,容器の内容物を収容する凹部の開口部周辺から切断面(外側端面)までの間の切断面に近い位置に形成した圧縮部位のみにおいて,しかも,その上面のみに凹凸形状を形成するという技術を容易に想到するということはできない。そして,このことは,乙42及び81の記載を考慮したとしても変わらないことは,前記(1)イと同様である。 ウよって,その余の点について判断するまでもなく,乙19文献に記載された発明に基づく進歩性欠如の主張は理由がない。 (3) 明確性要件違反の有無について補正の上原判決を引用して判示した(原判決42頁9行目~43頁24行目)とおり,特許請求の範囲及び本件明細書の記載によると,本件発明における「凸形状の高さ」は,「凸形状の頂部から凸形状の底部までの距離」を意味するものと解されるのであり,「凸形状の高さ」が2通りに解釈され得るとはいえないから,本件発明1及び2が明確性を欠くとは認められない。 (4) サポート要件違反の有無①についてア補正の上原判決を引用して判示した(原判決44頁19行目~22行目)とおり,本件審判請求書には,本件発明と拒絶査定の引用文献1記載の発明との構成の違いの説明として,「引用文献1記載の発明」においては,フランジ部の厚みは薄肉化された部分とされていない部分があり,その結果,フランジ部においては強度が高い部分と低い部分とが周方向に交互に形成されているのに対し,本件発明においては,突出部の端縁部は他の部分に比して全部が圧縮薄肉化されること,及び,その上面に凹凸形状が形成されることにより,端縁部の強度が向上していることを述べた記載がある。 イ本件発明1及び2の特許請求の範囲及び本件明細書 他の部分に比して全部が圧縮薄肉化されること,及び,その上面に凹凸形状が形成されることにより,端縁部の強度が向上していることを述べた記載がある。 イ本件発明1及び2の特許請求の範囲及び本件明細書の記載によると,本件発明1及び2は,「断熱性に優れた発泡積層シートを成形してなる容器において,端縁部での怪我を防止しつつ蓋体を強固に止着させうる容器の提供」という課題を,「断熱性に優れ,上面側に凹凸形状を形成させて熱可塑性樹脂フィルムの端縁を上下にジグザグとなるように形成させることにより利用者の怪我などを抑制させ,下面側が平坦に形成されていることから蓋体を外嵌させる際に強固な係合状態を形成」することにより解決したものであると認められるところ,「本願発明の突出部の端縁部は他の部分に比して圧縮薄肉化される」こと及び「その上面に凹凸形状が形成される」ことは,端縁部の強度の向上と怪我の発生の防止という効果をもたらすも のであって,「本願発明の突出部の端縁部は他の部分に比して圧縮薄肉化されること」や「その上面に凹凸形状が形成されること」自体は,本件発明の作用効果ではないことは明らかであり,一審原告が本件審判請求書において前記のとおり記載したからといって,端縁部が「第一の強度」と「第二の強度」の両方が図られた状態であって,強度が低い部分を有しない状態であることを,本件発明1及び2が,発明特定事項として備えていなければならないと解することはできない。そして,このように解することが禁反言に反するものではない。 したがって,上記の発明特定事項が存在することを前提する一審被告のサポート要件違反の主張は,理由がない。 (5) 実施可能要件違反の有無について前記(4)のとおりであるから,上記の発明特定事項が存在することを前提する一審被告の実施可能要件 提する一審被告のサポート要件違反の主張は,理由がない。 (5) 実施可能要件違反の有無について前記(4)のとおりであるから,上記の発明特定事項が存在することを前提する一審被告の実施可能要件違反の主張も,理由がない。 (6) サポート要件違反の有無②についてア一審被告のサポート要件違反の有無②に係る主張の内容は,実質的に,構成要件Dの「凸形状の高さ」の解釈に係るものであることから,上記主張について審理したとしても,訴訟の完結を遅延させることになるとは認められない。 したがって,この点に係る一審原告の時機に後れた攻撃防御方法の却下の申立ては,認められない。 イ 「凸形状の高さ」については,前記(3)のとおりであって,本件明細書の記載から,これが「凸形状の頂部から凸形状の底部までの距離」を意味するものと解されるから,一審被告のサポート要件違反の主張には理由がない。 (7) 新規事項追加についてア一審被告の新規事項追加に係る主張の内容も,実質的に,構成要件Dの「凸形状の高さ」の解釈に係るものであり,その判断に当たって更に必要になるのは,出願当初の明細書等の記載内容とその評価のみであることから,上記主張について審理したとしても,訴訟の完結を遅延させることになるとは認められない。 したがって,この点に係る一審原告の時機に後れた攻撃防御方法の却下の申立ては,認められない。 イ 「凸形状の高さ」については,前記(3)のとおりである。証拠(甲3の2,乙10,13)によると,出願当初の明細書においても,本件明細書と同内容の【0017】,【0019】,【0033】,【0034】が存在したものと認められるから,前記(3)における本件明細書についての判断は,出願当初においても同様である。 したがって,一審被告の新規事項追 0017】,【0019】,【0033】,【0034】が存在したものと認められるから,前記(3)における本件明細書についての判断は,出願当初においても同様である。 したがって,一審被告の新規事項追加の主張には,理由がない。 3 差止めの必要性について(1) 以上によると,一審被告による被告製品の製造,販売及び販売の申出は,本件発明1及び2に係る特許権の侵害に当たり,本件発明1及び2には無効理由は認められないから,上記一審被告の行為は,本件特許権を侵害するものであると認められる。 (2)ア一審被告は,被告製品が本件発明1及び2の技術的範囲に属することを争うとともに,本件発明1及び2に無効理由があると主張しており,東京地方裁判所平成27年(ヨ)第22096号仮処分命令申立事件における仮処分決定がされた後に,当該決定により「販売をしてはならない」とされた製品を,仮処分決定の対象製品であることを認識しながら販売したことがあることが認められる(甲18,19)から,一審被告が,被告製品の製造,販売及び販売の申出を行い,本件特許権を侵害するおそれが存在することが認められるのであって,一審原告の一審被告に対する被告製品の製造,販売及び販売の申出の差止請求権が認められる。 イ一審被告は,現在,製造,販売及び販売の申出を行っていないことをもって,差止の必要性はないと主張するが,前記アのとおりであって,理由がない。 (3) 証拠(乙6,7,乙8の1~16)及び弁論の全趣旨によると,一審被告は,平成28年6月17日には,被告製品を廃番にすることを顧客に告知していることが認められるのであって,遅くとも,同日までに,被告製品の製造,販売及 び販売の申出を終了したものと認められるから,被告製品の金型及び被告製品は,現時点においては存在しないも 知していることが認められるのであって,遅くとも,同日までに,被告製品の製造,販売及 び販売の申出を終了したものと認められるから,被告製品の金型及び被告製品は,現時点においては存在しないものと認めるのが相当である。 したがって,一審原告の一審被告に対する被告製品及び被告製品の製造用金型の廃棄請求権は,認められない。 (4) なお,一審被告は,被告製品と同一の製品名で凹凸形状があるものとないものが存在すると主張する。 しかし,証拠(乙6,7,乙8の1~16)及び弁論の全趣旨によると,一審被告は,内部的にも,顧客に対しても,その製品の特定を,商品名,商品番号,商品コード等をもって行っていたところ,平成28年6月17日まで被告製品と同一の製品名での販売を継続していたものと認められる。また,一審被告の主張によっても,対象期間における凹凸形状がある被告製品と凹凸形状のないものの販売数を正確に把握することができないというのである。この点について,一審被告は,凹凸形状がある被告製品と凹凸形状のない被告製品の生産量についての一審被告の社員の陳述書(乙52,56,78)及び金型の改修時期が平成27年6月頃であったことに関する証拠(乙2,3)を提出しているが,上記のとおり,同一の製品名で販売が継続されていたことに照らすと,これらの証拠を直ちに信用することはできない。そして,他に,原判決被告製品目録記載の製品名,品番,蓋名により特定された商品として,端縁部に凹凸形状がない容器が販売されたことを認めるに足りる証拠はない。したがって,上記原判決被告製品目録の記載により特定される被告製品に,端縁部に凹凸形状がない製品,すなわち,その製造,販売,販売の申出が,本件特許権の侵害に該当しない製品が含まれていたとは認められず,被告製品は,全て差止請求及び損 の記載により特定される被告製品に,端縁部に凹凸形状がない製品,すなわち,その製造,販売,販売の申出が,本件特許権の侵害に該当しない製品が含まれていたとは認められず,被告製品は,全て差止請求及び損害賠償の対象となるものというべきである。 4 損害額について(1) 弁論の全趣旨によると,平成25年7月から平成29年2月までの被告製品の総売上高は●●●●●●●●●●●●●であると認められる。 (2) 実施料率については,次のとおり原判決を補正するほか,原判決54頁 12行目~56頁3行目に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)ア原判決54頁12行目の「前記1(3)のとおり,」を削除し,同頁17行目の「である」の後に「(甲3の2)」を加え,同行目の「なお」から同頁21行目の「採用し難い。」を削除する。 イ原判決54頁25行目の「技術分野」を「技術分類」に,同行目の「製品例」を「製品・技術例」に,それぞれ改め,同頁26行目の「取扱い」」の後に「,「びん,広口びんまたは類似の容器の開封または密閉」」を加え,55頁3行目の「カタログには」を「カタログ等の記載中には」に,同頁8行目の「容器の蓋の端縁部の」を「容器の裁断面を」に,それぞれ改める。 ウ原判決55頁19行目の「「セーフティエッジ」加工は」~同頁20行目を「「セーフティエッジ」加工については,」に改め,同頁21行目の「等」を削る。 エ原判決56頁3行目の後に次の記載を加える。 「 (エ) 一審原告は,「セーフティエッジ」加工には,顧客誘引力がある旨主張するが,一審原告の製品において「セーフティエッジ」加工が行われている容器の部位を明確に確認できる甲36,38,39には,蓋の端縁部に「セーフティエッジ」加工が行われている旨が記載さ 力がある旨主張するが,一審原告の製品において「セーフティエッジ」加工が行われている容器の部位を明確に確認できる甲36,38,39には,蓋の端縁部に「セーフティエッジ」加工が行われている旨が記載されているものの,容器の端縁部に同加工が行われている旨の記載はなく,甲37にも,蓋に「セーフティエッジ」加工が行われている旨のみが記載されており,また,乙61には,容器の端縁部に同加工を行っている旨の記載があるものの,発泡積層シートの製品ではないから,容器の端縁部の凹凸形状につき,前記認定を上回る実施料率を認めるに足りる事情があるということはできない。 また,一審被告は,被告製品においては端縁部に凹凸を設けても設けなくとも指等を裂傷する可能性はなく,また,被告製品においては手指の切創を防止できないはずであるから,被告製品は,「端縁部における手指の切創を防止すること」によ る顧客誘引力を発揮しないのであって,本件発明1及び2の被告製品の売上げに対する寄与度はゼロ又はゼロに近いと主張するが,一審被告の製品のカタログ(甲40)にも,一審原告の製品のカタログ(乙62)にも,相当数の種類の製品についての一般的な注意として,容器の縁により指先を傷つけるおそれがあることが記載されているのであって,樹脂製の容器の切断面による手指の切創のおそれを一般的に否定することはできず,したがって,本件発明1及び2の手指の切創の防止の効果を否定できるわけではない。なお,上記カタログ(甲40)は,被告製品を含むものであるが,そのことから直ちに本件発明1及び2の上記効果が否定されるということにはならない。そうすると,一審被告の上記主張は,前記認定を左右するに足りない。 (3) したがって,本件発明1及び2の実施に対し一審原告が受けるべき金銭の額に相当する額は, されるということにはならない。そうすると,一審被告の上記主張は,前記認定を左右するに足りない。 (3) したがって,本件発明1及び2の実施に対し一審原告が受けるべき金銭の額に相当する額は,1694万4217円であると認めるのが相当である。 また,本件特許権侵害によって通常生ずべき弁護士費用の額は170万円であると認めるのが相当である。 さらに,前記3(3)のとおり,一審被告は,平成28年6月17日までに被告製品の製造,販売及び販売の申出を終了したものと認められるところ,一審原告は,不法行為の日の後の日として,平成28年9月21日以降の不法行為に基づく損害賠償請求権の遅延損害金を請求しているから,不法行為に基づく損害賠償請求権につき,同日以降の遅延損害金請求権が存在することを認めることが相当である。」 5 検証の申出について一審被告は,原審における検証の申出の却下が違法である旨主張するが,上記検証は,被告製品のフランジの端縁で指等を切るおそれがないことを立証趣旨とするものであるところ,樹脂製の容器の切断面による手指の切創のおそれについては,前記4(2)のとおり,他の証拠によって認定できるから,上記検証の申出を必要性なしとして却下した原判決の判断に誤りがあったとは認められない。 6 結論 以上の次第で,一審原告の一審被告に対する請求は,①特許法100条1項に基づき,被告製品の製造,販売及び販売の申出の差止め,②民法709条,特許法102条3項に基づき,損害賠償金1864万4217円及びこれに対する不法行為後の日である平成28年9月21日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり,その余は理由がないから棄却すべきである。 よって,一審原告及び一審被告の各控訴は,いずれも理由 主文 8年9月21日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり,その余は理由がないから棄却すべきである。よって,一審原告及び一審被告の各控訴は,いずれも理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。 理由 知的財産高等裁判所第2部 裁判長裁判官 森義之 裁判官 森岡礼子 裁判官 古庄研

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