- 1 -主文 本件訴えをいずれも却下する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求 被告が,被告補助参加人に対し,金343万2432円の請求を怠ることが違法であることを確認する。 被告は,被告補助参加人に対し,金343万2432円及びこれに対する平成16年1月10日(○○市の予備費支出の翌日)から支払済みまで年5分の割合による金員を請求せよ。 第2事案の概要 本件は,広島県○○市の住民である原告が,A株式会社の国に対する競売代金剰余金請求権を○○市が滞納処分として差し押さえ,他方,これに先立ちB協会が同じ競売代金剰余金請求権の仮差押命令を得ていたところ,当時○○市納税課課長であった被告補助参加人(以下,単に「補助参加人」という。)が,○○市の差押え及び○○税務署の交付要求に係る配当を経た後の残余金を裁判所に交付すべきであったのに,重大な過失により違法に滞納者A株式会社に交付し,この財務会計上の行為により○○市が損害を被ったと主張して,○○市の市長である被告に対し,地方自治法242条の2第1項3号に基づき,被告が補助参加人に対して国家賠償法1条2項に基づく求償金請求を怠ることが違法であることの確認を求めるとともに,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,被告が補助参加人に対して上記求償金(含遅延損害金)の請求をすることを求めている事案である。 争いのない事実及び証拠上容易に認定できる事実(後者は各項末尾掲記の各証拠等により認定)(1) 当事者等- 2 -ア原告は,○○市の住民であり,被告は,○○市の市長である。 イ補助参加人は,○○市がA株式会社に対して本件残余金を交付した(後記(2)ウ)平成14年10月当時,○○市納税課課長の職にあった者である。 (2) 本件残余金がA株式 被告は,○○市の市長である。 イ補助参加人は,○○市がA株式会社に対して本件残余金を交付した(後記(2)ウ)平成14年10月当時,○○市納税課課長の職にあった者である。 (2) 本件残余金がA株式会社へ交付された経緯等(別紙図表参照)ア本件剰余金交付請求権に対する各債権者の差押え等B協会は,広島地方裁判所○○支部平成a年㨯第b号不動産競売申立事件についてA株式会社が国から支払を受ける競売代金剰余金(以下「本件剰余金」という。)交付請求権のうち2228万2298円に満つるまでの部分について,同庁に対し,仮差押命令の申立てをし(同庁平成c年㨯第d号),同庁は,平成14年9月9日,その旨の仮差押命令(甲8)を発令した(別紙図表①・以下「本件仮差押え」という。)。 他方,○○市は,平成14年9月25日,A株式会社の平成14年度分の固定資産税につき,本件剰余金交付請求権を差し押さえ(別紙図表②),○○税務署は,平成14年9月26日,○○市に対し,A株式会社の平成14年度分の消費税・地方消費税につき,交付要求をした(別紙図表③)。 (甲5,8,弁論の全趣旨)イ○○市に対する剰余金の還付及びその配当等広島地方裁判所○○支部は,平成14年9月30日,前記ア記載の不動産競売申立事件について生じた本件剰余金577万1932円を広島法務局○○支局に供託した(別紙図表④)。 これを受け,○○市は,平成14年10月3日,広島法務局○○支局に対し,本件剰余金の還付を請求し,同月9日,その還付を受けた(別紙図表⑤)後,前記ア記載の固定資産税として124万4500円を充当するとともに,○○税務署に対し,前記ア記載の消費税等として109万5000円を配当した。 (甲8,23,弁論の全趣旨)- 3 -ウA株式会社に対する本件残余金の交付等○○市は,その後の平 当するとともに,○○税務署に対し,前記ア記載の消費税等として109万5000円を配当した。 (甲8,23,弁論の全趣旨)- 3 -ウA株式会社に対する本件残余金の交付等○○市は,その後の平成14年10月16日,A株式会社に対し,前記イ記載の還付金から固定資産税への充当分及び○○税務署に対する配当を差し引いた残りの343万2432円(以下「本件残余金」という。)を交付した。 その後,○○市は,A株式会社に対し,本件残余金を返納するよう通知したが,A株式会社は,現在に至るまでこれを返納しない。 (3) B協会による訴え提起に関する経過B協会は,平成15年11月10日,広島地方裁判所○○支部に対し,○○市を被告とする損害賠償請求訴訟を提訴した(同庁平成e年㨯第f号・以下「別件訴訟」という。)。 平成16年1月8日,補助参加人の関与の下,予備費から343万3000円を支出するための文書(甲12ないし16)が作成・決裁され,これを受け,○○市は,同月9日,広島地方裁判所○○支部に対し,343万2432円を交付した(以下「本件予備費支出」という。)。 これにより本件仮差押命令に係る請求債権の回収に目処が立ったB協会は,平成16年1月13日,別件訴訟を取り下げた。 (4) 本件監査請求と本件訴え提起原告は,平成18年5月10日,○○市監査委員に対し,補助参加人が,重大な過失により,本件仮差押えがある関係で法律上受領権限のないことが明らかなA株式会社に対して本件残余金を交付したもので,これにより最終的に損害を被った○○市が,補助参加人に対して有する国家賠償法1条2項に基づく求償権の行使を怠っているとして,地方自治法242条1項に基づく監査請求を行った(以下「本件監査請求」という。甲22)が,○○市監査委員は,原告に対し,同年6月19日,本件監 賠償法1条2項に基づく求償権の行使を怠っているとして,地方自治法242条1項に基づく監査請求を行った(以下「本件監査請求」という。甲22)が,○○市監査委員は,原告に対し,同年6月19日,本件監査請求は監査請求期間を徒過しており,また,そのことについて正当な理由があるとは認められず,不- 4 -適法であるため,却下する旨の通知(甲23)をした。 これを受け,原告は,同年7月18日,被告に対し,本件訴えを提起した。 (5) 法令の定めア滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律(以下「滞調法」という。)(ア) 36条の12第1項第十八条第二項、第二十条の六、第三十一条及び第三十六条の四の規定は、仮差押えの執行後に滞納処分による仮差押えをした債権について準用する。この場合において、第十八条第二項中「売却代金」とあるのは「第三債務者からの取立金若しくは第三十六条の十二第一項において準用する第二十条の六第一項の規定により供託された金銭の払渡金又は売却代金」と、第三十一条中「強制競売の申立てが」とあるのは「滞納処分による差押えの通知があつた場合において、仮差押えの執行の申立てが」と、「強制競売の手続」とあるのは「仮差押えの執行」と読み替えるものとする。 (イ) 18条2項滞納処分による差押後に仮差押の執行をした不動産の滞納処分による売却代金について滞納者に交付すべき残余を生じたときは、徴収職員等は、これをその不動産に対する強制執行について管轄権を有する裁判所に交付しなければならない。 イ地方自治法(ア) 242条1項普通地方公共団体の住民は、当該普通地方公共団体の長若しくは委員会若しくは委員又は当該普通地方公共団体の職員について、違法若しくは不当な公金の支出、財産の取得、管理若しくは処分、契約の締結若しくは履行若しくは債務 の住民は、当該普通地方公共団体の長若しくは委員会若しくは委員又は当該普通地方公共団体の職員について、違法若しくは不当な公金の支出、財産の取得、管理若しくは処分、契約の締結若しくは履行若しくは債務その他の義務の負担がある(当該行為がなされる- 5 -ことが相当の確実さをもつて予測される場合を含む。)と認めるとき、又は違法若しくは不当に公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実(以下「怠る事実」という。)があると認めるときは、これらを証する書面を添え、監査委員に対し、監査を求め、当該行為を防止し、若しくは是正し、若しくは当該怠る事実を改め又は当該行為若しくは怠る事実によつて当該普通地方公共団体のこうむつた損害を補塡するために必要な措置を講ずべきことを請求することができる。 (イ) 242条2項前項の規定による請求は、当該行為のあつた日又は終わつた日から一年を経過したときは、これをすることができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。 争点 (1) 本件監査請求が適法なものといえるか。 ア本件監査請求が地方自治法242条2項本文所定の期間(以下「監査請求期間」という。)を徒過してされたものであるか,すなわち,本件監査請求について,同条項が適用されるか。 イ本件監査請求が監査請求期間を徒過してされたことについて,「正当な理由」(地方自治法242条2項ただし書)があるか。 (2) 本件残余金交付について,補助参加人に「重大な過失」(国家賠償法1条2項)があったといえるか。 争点に関する当事者の主張(1) 争点(1)ア(監査請求期間の徒過の有無)についてア原告の主張補助参加人は,本件残余金につき,滞調法36条の12第1項,18条2項により,裁判所へ交付すべきであったにもかかわらず,重大な過失により滞納者で (監査請求期間の徒過の有無)についてア原告の主張補助参加人は,本件残余金につき,滞調法36条の12第1項,18条2項により,裁判所へ交付すべきであったにもかかわらず,重大な過失により滞納者であるA株式会社へ交付し,これにより損害を被った○○市は- 6 -補助参加人に対する求償権を取得しているところ,このような特定の財務会計上の行為に該当しない個々の公務員の故意又は重大な過失による行為により発生した実体法上の請求権の不行使をもって財産の管理を怠る事実とするときには,地方自治法242条2項の適用はない。 イ被告及び補助参加人の主張普通地方公共団体において違法に財産の管理を怠る事実があるとして地方自治法242条1項の規定による住民監査請求があった場合に,この監査請求が,当該普通地方公共団体の長その他の財務会計職員の特定の財務会計上の行為を違法であるとし,当該行為が違法,無効であることに基づいて発生する実体法上の請求権の不行使をもって財産の管理を怠る事実としているものであるときは,当該監査請求については,その怠る事実に係る請求権の発生原因たる当該行為のあった日又は終わった日を基準として同条2項の規定を適用すべきである。 そして,本件残余金交付は,地方自治法242条1項所定の「公金の支出」に当たるところ,かかる財務会計上の行為が違法であることに基づいて発生する実体法上の請求権の不行使をもって財産の管理を怠る事実であるとする本件監査請求については同条2項が適用されるものであり,本件残余金と同じ額の金員が広島地方裁判所○○支部に交付された平成16年1月9日を起算点としても,本件監査請求は監査請求期間を徒過しているものである。 (2) 争点(1)イ(「正当な理由」の有無)についてア原告の主張本件残余金の交付は,Cなる人物から平成18年 年1月9日を起算点としても,本件監査請求は監査請求期間を徒過しているものである。 (2) 争点(1)イ(「正当な理由」の有無)についてア原告の主張本件残余金の交付は,Cなる人物から平成18年3月に受け取った内部告発文書,及びその後の情報開示請求により同年4月6日に開示された一連の資料によって初めて知り得たものであるところ,本件監査請求が監査請求期間を徒過してされたことについては,「正当な理由」がある。 - 7 -別件訴訟の提起の経緯として本件残余金の交付を報じた各新聞には,法律に基づき適正な事務処理を行ったとする○○市納税課のコメントもあり,この時点で○○市の住民が調査をしなかったとしても,それはかかるコメントに起因するものであるところ,その後,別件訴訟の取下げが各新聞で報道されたことにより,○○市の住民は,さらにかかるコメントの内容が正しいという印象を受けたのであり,事実関係の調査や住民監査請求等がなされなかったとしてもやむを得なかったものである。 被告及び補助参加人は,広島地方裁判所○○支部に対する本件予備費支出について事後的に議会の手続を経ていると主張するが,本件残余金の交付が滞調法の適用を誤ってなされたものであること,別件訴訟が提起されるに至った経緯等の報告はなされておらず,○○市役所にある関係各資料にも一連の経緯等が記載されていないところ,○○市の市民が相当な注意力をもって調査したとしても,本件残余金交付の存在及び内容を知ることができたとはいえない。 イ被告及び補助参加人の主張地方自治法242条2項ただし書の「正当な理由」の有無は,特段の事情のない限り,普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査すれば,客観的にみて監査請求をするに足りる程度に当該行為の存在及び内容を知ることができたと解される時から相当な期間 の有無は,特段の事情のない限り,普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査すれば,客観的にみて監査請求をするに足りる程度に当該行為の存在及び内容を知ることができたと解される時から相当な期間内に監査請求をしたかどうかによって判断すべきである。 この点,本件残余金の交付については,B協会の別件訴訟の提起を報じた平成15年11月29日付けD新聞,同年12月2日付けE新聞及び同月3日付けF新聞並びにB協会の別件訴訟の取下げを報じた平成16年1月17日付けF新聞及び同月20日付けD新聞において,各々報道されていたところ,○○市の住民が相当の注意力をもって調査すれば,遅くとも平成16年1月20日ころには,客観的にみて監査請求をするに足りる程- 8 -度に本件監査請求の対象行為の存在及び内容を知ることができたといえ,それから相当期間が経過してなされた本件監査請求が監査請求期間を徒過してされたことについて,「正当な理由」があるということはできない。 なお,広島地方裁判所○○支部に対する本件予備費支出については,○○市の平成15年度の各会計歳入歳出決算書に記載されている上,この決算についても,地方自治法233条により,平成16年11月の臨時○○市議会で審査を受け,同年12月の定例○○市議会において認定されているところ,この点からも,上記「正当な理由」があるとはいえない。 (3) 争点(2)(補助参加人の重大な過失の有無)についてア原告の主張本件残余金交付の当時,○○市納税課課長の職にあった補助参加人は,○○市の課税権限行使が適法かつ適切になされるよう努める職務上の注意義務を負っていたが,滞調法の適用を誤り,裁判所へ交付すべきであった本件残余金をA株式会社に対して交付してしまったものであるから,この点について,補助参加人には重大な過失がある う努める職務上の注意義務を負っていたが,滞調法の適用を誤り,裁判所へ交付すべきであった本件残余金をA株式会社に対して交付してしまったものであるから,この点について,補助参加人には重大な過失がある。 イ被告及び補助参加人の主張否認ないし争う。 第3当裁判所の判断 争点(1)ア(監査請求期間の徒過の有無)について(1) 怠る事実(地方自治法242条1項)を対象としてされた監査請求については監査請求期間の制限がないのが原則である(最高裁昭和52年㨯第84号同53年6月23日第三小法廷判決・集民124号145頁参照)ところ,特定の財務会計上の行為が財務会計法規に違反して違法であるか又はこれが違法であって無効であるからこそ発生する実体法上の請求権の行使を怠る事実を対象とする監査請求については,当該行為のあった日又は終わった日を基準として地方自治法242条2項を適用すべきである(最高裁昭和57年- 9 -㨯第164号同62年2月20日第二小法廷判決・民集41巻1号122頁参照)が,監査委員が怠る事実の監査を遂げるため,特定の財務会計上の行為の存否,内容等について検討しなければならないとしても,当該行為が財務会計法規に違反して違法であるか否かの判断をしなければならない関係にはない場合には,当該怠る事実を対象としてされた監査請求に地方自治法242条2項を適用すべきではない(最高裁平成10年㨯第51号同14年7月2日第三小法廷判決・民集56巻6号1049頁,最高裁平成9年㨯第62号同14年10月3日第一小法廷判決・民集56巻8号1611頁参照)。 (2) 本件残余金の交付は,○○市納税課課長という財務会計職員である補助参加人がした特定の公金の支出という財務会計上の行為に当たるところ,これが滞調法36条の12第1項,18条2項に違反して違法で (2) 本件残余金の交付は,○○市納税課課長という財務会計職員である補助参加人がした特定の公金の支出という財務会計上の行為に当たるところ,これが滞調法36条の12第1項,18条2項に違反して違法であって初めて○○市の補助参加人に対する求償権が発生するものであり,監査委員が怠る事実の監査を遂げるため,本件残余金交付が財務会計法規に違反して違法であるか否かを判断しなければならない関係にあるものであるから,この求償権の行使を怠る事実を対象とする本件監査請求については,地方自治法242条2項が適用されるものと解するのが相当である。 そして,本件監査請求について適用すべき監査請求期間の起算点は,本件残余金交付の日である平成14年10月16日であり,同日から1年を経過した日の後の日である平成18年5月10日になされた本件監査請求は,監査請求期間を徒過してされたものである。 (3) これに対し,原告は,本件残余金の交付は特定の財務会計上の行為に該当しない個々の公務員の重大な過失による行為であって,このような行為により発生した実体法上の請求権の不行使をもって財産の管理を怠る事実とするときには,地方自治法242条2項の適用はないと主張する。 しかし,本件残余金の交付が「公金の支出」(地方自治法242条1項)という特定の財務会計上の行為に当たることについては多言を要しないとこ- 10 -ろである。また,地方自治法242条2項は,違法,不当な財務会計上の行為であっても,いつまでも監査請求ないし住民訴訟の対象となり得るとしておくことは,法的安定性を損ない好ましくないことから,監査請求期間を制限しているところ,監査請求が実質的には財務会計上の行為を違法,不当と主張してその是正等を求める趣旨のものにほかならないと解されるにもかかわらず,請求人において適宜怠る事 ことから,監査請求期間を制限しているところ,監査請求が実質的には財務会計上の行為を違法,不当と主張してその是正等を求める趣旨のものにほかならないと解されるにもかかわらず,請求人において適宜怠る事実を対象として監査請求をする形式を採りさえすれば,監査請求期間の制限が及ばないことになるとすると,同条項の趣旨を没却することになるものといわざるを得ないから,この観点からも,原告の主張を採用することはできない。 争点(1)イ(「正当な理由」の有無)について(1) 前記第2の2に判示した各事実,証拠(甲1ないし23,乙1ないし5)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる(なお,各項末尾に各項の事実認定に供した証拠等を掲記)。 ア別件訴訟の提起とそれに伴う本件残余金交付に係る報道B協会は,平成15年11月10日,本件残余金交付により本件仮差押えに係る被保全債権の回収が不能となり損害を被ったとして,別件訴訟を提起した。 この別件訴訟の提起は,平成15年11月29日付けのD新聞,同年12月2日付けのE新聞及び同月3日付けのF新聞で報じられたが,これらの記事には,本件残余金がA株式会社へ交付された前記第2の2(2)のような経緯が掲載される一方,法に基づき適正な処理を行ったとする旨の○○市納税課のコメントも掲載されていた。 (前記第2の2(2)及び(3),甲5,乙1ないし3)イ本件予備費支出に至る経緯及び別件訴訟の取下げに伴う報道等○○市は,別件訴訟の提起を受けて関係各法令を精査したところ,国税徴収法129条3項に基づき,滞納者たるA株式会社に本件残余金を交付- 11 -したのは誤りであったと判断し,滞調法36条の12第1項,18条2項に基づき,本件残余金と同額の金員を広島地方裁判所○○支部に交付することとした。 平成16年1月8日, 件残余金を交付- 11 -したのは誤りであったと判断し,滞調法36条の12第1項,18条2項に基づき,本件残余金と同額の金員を広島地方裁判所○○支部に交付することとした。 平成16年1月8日,補助参加人の関与の下,予備費から補償補塡及び賠償金として343万3000円を充用することが決定され,その日のうちに支出負担行為も決裁されたところ,○○市は,補助参加人を通じて,同月9日,広島地方裁判所○○支部に対し,滞調法36条の12第1項,18条2項に基づき,343万2432円を交付した。 本件仮差押命令に係る請求債権の回収に目処が立ったB協会は,平成16年1月13日,別件訴訟を取り下げたところ,かかる取下げは,同月17日付けのF新聞及び同月20日付けのD新聞で報じられた。これらの記事には,主張内容に変わりないとする旨のB協会のコメントとともに,本件残余金の交付に至るあらましが再掲載されていた。 なお,本件予備費支出については,○○市の平成15年度の各会計歳入歳出決算書に記載されるとともに,その決算が,平成16年11月の臨時○○市議会で審査を受け,同年12月の定例○○市議会で認定された。 (前記第2の2(3),甲12ないし16,23,乙4,5,弁論の全趣旨)ウ本件監査請求に至る経緯等原告は,平成18年3月,Cなる者から,補助参加人がした本件残余金の交付について内部告発する旨の文書2通を受け取り,同月22日,被告に対し,公文書の開示を請求したところ,同年4月6日,別件訴訟,本件残余金交付及び本件予備費支出に係る公文書が開示された。 これを受けて,原告は,同年5月10日,○○市監査委員に対し,本件監査請求をしたが,○○市監査委員は,同年6月19日,すでに監査請求期間を徒過しており,それについて正当な理由があるとは認められないと- 12 - 告は,同年5月10日,○○市監査委員に対し,本件監査請求をしたが,○○市監査委員は,同年6月19日,すでに監査請求期間を徒過しており,それについて正当な理由があるとは認められないと- 12 -して,本件監査請求を却下した。 (前記第2の2(4),甲1ないし23)(2) 普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査を尽くしても客観的にみて監査請求をするに足りる程度に財務会計上の行為の存在又は内容を知ることができなかった場合には,地方自治法242条2項ただし書にいう正当な理由の有無は,特段の事情のない限り,当該普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて上記の程度に当該行為の存在及び内容を知ることができたと解される時から相当な期間内に監査請求をしたかどうかによって判断すべきである(最高裁平成10年㨯第69号,第70号同14年9月12日第一小法廷判決・民集56巻7号1481頁参照)。 前記(1)の認定事実を前提に以下検討する。本件残余金の交付は,滞納者に対する残余金の交付にほかならず,本件剰余金請求権に対する執行債権者の存在が覚知できれば,その外形から○○市の一般住民においてその実質的な内容を知ることができるものである。そして,平成15年11月29日付けのD新聞では,本件残余金の交付の経緯とともに,B協会が○○市に対して本件残余金の交付を理由として損害賠償を請求する別件訴訟を提起したことが報道されていた上,同年12月2日付けのE新聞及び同月3日付けのF新聞でも,ほぼ同じ報道がなされており,別件訴訟の取下げを報じた平成16年1月17日付けのF新聞及び同月20日付けのD新聞でも,本件残余金交付の経緯が再び報道されたところ,これらの新聞は中国地方の有力紙ないし全国紙であるから,これらの報道は○○市の一般住民において容 6年1月17日付けのF新聞及び同月20日付けのD新聞でも,本件残余金交付の経緯が再び報道されたところ,これらの新聞は中国地方の有力紙ないし全国紙であるから,これらの報道は○○市の一般住民において容易に閲読することができたものである。してみると,これらの報道がされた日ころ,具体的には遅くとも平成16年1月20日ころには,○○市の一般住民において相当の注意力をもって調査すれば客観的に見て監査請求をするに足りる程度にその対象とする財務会計上の行為の存在及び内容を知ることができたというべきである。ところが,本件監査請求は,そのころから約2年4か月- 13 -も後れた平成18年5月10日にされたというのであるから,原告が上記の相当な期間内に監査請求をしたものということはできないことは明らかであり,本件監査請求に地方自治法242条2項ただし書にいう正当な理由があるということはできない。なお,本件予備費支出についての決算が平成16年11月の市議会で審査を受け,同年12月の市議会で認定されていることも,これを裏打ちするものである。 そして,別件訴訟の提起の経緯として本件残余金の交付を報道した各新聞には法律に基づき適正な事務処理を行ったとする○○市納税課のコメントが掲載されていたという事情や,後に別件訴訟の取下げが各新聞で報道されたという事情があったとしても,上記の判断が左右されるものではない(最高裁平成16年㨯第61号同18年6月1日第一小法廷判決・裁判所時報1413号1頁参照)。 第4結語以上によれば,本件訴えは,いずれも適法な監査請求を経ていない不適法なものであるからこれを却下し,訴訟費用の負担につき,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 広島地方裁判所民事第1部裁判長裁判官坂本倫城裁判官榎本光宏裁判官 適法なものであるからこれを却下し,訴訟費用の負担につき,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 広島地方裁判所民事第1部裁判長裁判官坂本倫城裁判官榎本光宏裁判官安木進- 14 -○○市○○税務署B協会⑥③交付要求本②差押え①本件仮差押え件残⑤供託金払渡し余金交付広島地裁○○支部A株式会社④供託国競売代金剰余金交付請求権広島法務局○○支局
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