平成15(行ウ)21 運転免許取消処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成16年2月3日 神戸地方裁判所
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判決文本文8,844 文字)

主文 1 本件訴えを却下する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 原告(請求の趣旨)(1) 被告が平成15年1月16日付けでなした原告に対する運転免許取消処分及び同日から1年間運転免許を受けることができないとした処分を取り消す。 (2) 訴訟費用は被告の負担とする。 2 被告(請求の趣旨に対する答弁)(1) 本案前の答弁ア本件訴えを却下する。 イ訴訟費用は原告の負担とする。 (2) 本案の答弁ア原告の請求を棄却する。 イ訴訟費用は原告の負担とする。 第2 事案の概要 1 事案の骨子本件は,運転免許証を持たない者に原動機付自転車を貸与した行為が,道路交通法(以下「道交法」という。)103条1項6号の「重大違反唆し」(無免許運転唆し)行為に該当するとして,運転免許の取消処分及び1年間運転免許を受けることができないと指定する処分(以下,両処分を併せて「本件各処分」という。)を受けた原告が,被告兵庫県公安委員会(以下「被告公安委員会」という。)に対し,本件各処分の取消しを求めている事案である。 2 前提事実括弧内に証拠を記載したもの以外は,当事者間に争いがないか,当裁判所に顕著な事実である。 (1) 本件貸与原告(当年17歳,高校2年生)は,平成14年9月6日午後6時2分ころ,兵庫県姫路市a町b所在の甲駐車場(以下「本件駐車場」という。)において,Bに対し,同人が法令に定められた運転の資格を持たないで原動機付自転車を運転するものであることを知りながら,原告所有の第一種原動機付自転車「姫路市く○○○○号」を貸与(以下「本 という。)において,Bに対し,同人が法令に定められた運転の資格を持たないで原動機付自転車を運転するものであることを知りながら,原告所有の第一種原動機付自転車「姫路市く○○○○号」を貸与(以下「本件貸与」という。)した。 Bは,本件駐車場内で,約40メートルにわたり,同原動機付自転車を運転した(甲2,乙1,2)。 (2) 聴聞手続兵庫県警察本部交通部運転免許課聴聞係(以下「県警本部聴聞係」という。)は,平成14年12月19日,兵庫県警察本部において,原告法定代理人親権者父A(以下「父A」という。)に対する聴聞及び意見聴取の手続(以下「本件聴聞手続」という。)を行った(乙8の1)。 (3) 本件各処分被告公安委員会は,本件駐車場は道交法2条1項1号にいう「道路」に該当し,Bの運転は道交法64条の無免許運転となるため,原告の本件貸与は道交法103条1項6号の「重大違反唆し」(無免許運転唆し)行為に当たるとして,平成15年1月16日,原告に対し,本件各処分を行い,父Aに対し,運転免許取消処分書を交付した(甲1,乙6)。 (4) 異議申立てア原告は,平成15年1月31日,被告公安委員会に対し,本件各処分を不服として,審査請求(以下「本件審査請求」という。)をした。 イさらに,原告は,平成15年2月19日,審査請求書の表題を異議申立書に訂正して,被告公安委員会に対し,異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)をした(甲3)。 ウこれに対し,被告公安委員会は,平成15年5月15日,本件各処分は行政手続法27条2項により異議申立てのできない処分であることを理由に,本件異議申立てを却下する旨の裁決をした(甲3)。 (5) 訴えの提起 告公安委員会は,平成15年5月15日,本件各処分は行政手続法27条2項により異議申立てのできない処分であることを理由に,本件異議申立てを却下する旨の裁決をした(甲3)。 (5) 訴えの提起そこで,原告は,平成15年6月11日,本件各処分取消しの訴えを提起した。 3 関係法令(1) 行政不服審査法4条1項本文行政庁の処分に不服がある者は,次条及び第6条に定めるところにより,審査請求又は異議申立てをすることができる。 (2) 行政手続法27条2項聴聞を経てなされた不利益処分については,当事者及び参加人は,行政不服審査法による異議申立てをすることができない。 (3) 行政事件訴訟法14条1項取消訴訟は,処分又は裁決があったことを知った日から3箇月以内に提起しなければならない。 (4) 行政事件訴訟法14条4項第1項及び前項の期間は,処分又は裁決につき審査請求をすることができる場合又は行政庁が誤って審査請求をすることができる旨を教示した場合において,審査請求があったときは,その審査請求をした者については,これに対する裁決があったことを知った日又は裁決の日から起算する。 4 争点(1) 争点1(出訴期間遵守の有無)本件各処分取消しの訴えは,出訴期間内に提訴された適法な訴えか。 (2) 争点2(重大違反唆しに当たるか)本件貸与は,道交法103条1項6号に定める「重大違反唆し」(無免許運転の唆し)に当たるか。 第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(出訴期間遵守の有無)について(1) 原告の主張本件各処分取消しの訴えの出訴期間は,次の理由により,本件異議申立てに対する裁決の 争点に関する当事者の主張 1 争点1(出訴期間遵守の有無)について(1) 原告の主張本件各処分取消しの訴えの出訴期間は,次の理由により,本件異議申立てに対する裁決のあった平成15年5月15日から起算すべきであるから,本件各処分取消しの訴えは,出訴期間内に提起された適法な訴えである。 ア聴聞手続の違法(ア) 本件聴聞手続において,県警本部聴聞係は,原告の法定代理人として出席した父Aの主張,意見に対し,聞く耳を持たず,聴聞に原告の意見は全く反映されなかったため,本件聴聞手続は違法である。 (イ) したがって,本件各処分は,実質的には聴聞を経ずになされた処分であり,異議申立ての対象となるから,本件訴えは,行政事件訴訟法14条4項の「審査請求をすることができる場合」に該当する。 イ誤った教示(ア) 父Aが本件審査請求をしたのは,姫路警察署交通第1課交通総務係(以下「姫路警察署交通総務係」という。)所属のC警部補から,本件各処分に対しては,審査請求をすることができるとの教示を受けたためである。 (イ) そして,父Aが本件異議申立てを行ったのは,県警本部聴聞係所属のD警部補から,本件各処分に対する不服申立ては,審査請求ではなく,異議申立ての方法により行うよう再度教示を受けたためである。 (ウ) したがって,C警部補,D警部補の教示は,行政事件訴訟法14条4項の「行政庁が誤って審査請求をすることができる旨を教示した場合」に該当する。 ウまとめ以上より,本件各処分取消しの訴えの出訴期間は,行政事件訴訟法14条4項により,本件異議申立てに対する却下の裁決のあった平成15年5月15日から する。 ウまとめ以上より,本件各処分取消しの訴えの出訴期間は,行政事件訴訟法14条4項により,本件異議申立てに対する却下の裁決のあった平成15年5月15日から起算すべきであるから,本件各処分取消しの訴えは,出訴期間内に提起された適法な訴えである。 (2) 被告の主張本件各処分取消しの訴えの出訴期間は,次の理由により,本件各処分を行った平成15年1月16日から起算すべきであるから,本件各処分取消しの訴えは,出訴期間を徒過した不適法な訴えである。 ア聴聞手続の適法性(ア) 県警本部聴聞係は,本件聴聞手続において,父Aに対し,予定される不利益処分の内容及びその原因となる事実等を説明した上で,同人に意見を述べさせるとともに,同人から陳述書の提出を受け,聴聞調書には同人の意見陳述の要旨が記載された。 したがって,本件聴聞手続に何ら違法な点はない。 (イ) よって,本件異議申立ては,行政手続法27条2項に反する不適法な異議申立てであり,本件各処分取消しの訴えは,行政事件訴訟法14条4項の「審査請求ができる場合」に該当しない。 イ適切な教示(ア) C警部補が,平成15年1月16日,父Aに対し,不服審査請求ができると不適切な説明をしたことは事実である。 (イ) しかしながら,C警部補が父Aに交付した運転免許取消処分書には,「聴聞に出席して処分が決定した場合,又は正当な理由なく欠席して処分が決定した場合は,異議の申し立てはできません。」と,本件各処分には異議申立てができない旨が正しく記載されていた。 (ウ) また,D警部補は,平成15年2月7日,原告訴訟代理人弁護士E 決定した場合は,異議の申し立てはできません。」と,本件各処分には異議申立てができない旨が正しく記載されていた。 (ウ) また,D警部補は,平成15年2月7日,原告訴訟代理人弁護士E(以下「E弁護士」という。)に対し,行政手続法の定めで,聴聞を経てなされた不利益処分については,行政不服審査法による異議申立てはできず,審査請求を異議申立てに変更しても却下になる可能性が高いこと,本件各処分に対する救済の道は取消訴訟の提起だけであることを伝えた。 (エ) したがって,仮に,C警部補の不適切な説明により,原告及び父Aにとって判断を誤りやすい状況がいったんは作出されたとしても,その後間もなくD警部補による正しい教示が行われたのであり,誤った判断に陥りやすい状況は解消されたのであるから,行政事件訴訟法14条4項の「行政庁が誤って審査請求をすることができる旨を教示した場合」に該当しない。 ウまとめ以上より,本件各処分取消しの訴えの出訴期間は,行政事件訴訟法14条1項により,本件各処分の通知日である平成15年1月16日から起算すべきであるから,本件各処分取消しの訴えは,出訴期間を徒過した不適法な訴えである。 2 争点2(重大違反唆しに当たるか)について(1) 原告の主張本件駐車場は,コンビニエンスストアの駐車場であるとともに父Aの友人宅の駐車場であるから,そもそも道交法2条1項1号の「道路」に該当せず,仮に該当するとしても,原告は,本件駐車場内で運転することは道路での運転ではないので違反にならないと考えていたのであり,違法性の意識はなかったのであるから,本件貸与は,道交法103条1項6号の「重大違反唆し」には当たらない。 (2) 被告の主張 転ではないので違反にならないと考えていたのであり,違法性の意識はなかったのであるから,本件貸与は,道交法103条1項6号の「重大違反唆し」には当たらない。 (2) 被告の主張本件駐車場は,不特定の人や車両が自由に通行することができ,かつ,交通の実体のある場所であるから,道交法2条1項1号にいう「一般交通の用に供するその他の場所」,すなわち,同号の「道路」に該当し,仮に原告が本件駐車場は同号の「道路」に当たらないと思っていたとしても,それは法律の錯誤にすぎないから,本件貸与は,道交法103条1項6号の「重大違反唆し」に該当する。 第4 当裁判所の判断-争点1(出訴期間遵守の有無)について 1 事実の認定上記第2の2の前提事実に,証拠(甲3,乙6,乙7,乙8の1・2)及び弁論の全趣旨を総合すると,次の事実が認められる。 (1) 本件聴聞手続ア県警本部聴聞係は,平成14年12月19日の本件聴聞手続において,父Aに対し,予定される不利益処分の内容及びその原因となる事実等を説明した。 なお,県警本部聴聞係は,運転免許の行政処分にかかる意見の聴取及び聴聞に関すること,並びに行政処分の不服申立てに関する窓口業務を担当する係である。 イ父Aは,本件聴聞手続において,自分の意見は陳述書記載のとおりであり,原告の本件貸与は無免許運転の唆しに該当しないこと,本件駐車場は自分の友人が経営する店の駐車場であり,自分が,原告に対し,本件駐車場で運転したらいいと言ったので,本件貸与の責任は自分にあること,警察は横暴であり,このような些細なことで厳しい処分をするのなら,弁護士を立てて争うなどの意見を述べるとともに,県警本部聴聞係に対し,陳述書(乙8の2)を提出した。 ウ県警本部聴聞係 ,警察は横暴であり,このような些細なことで厳しい処分をするのなら,弁護士を立てて争うなどの意見を述べるとともに,県警本部聴聞係に対し,陳述書(乙8の2)を提出した。 ウ県警本部聴聞係は,父Aから陳述書を受領し,父Aの意見を聴聞調書(乙8の1)に記載した。 (2) 本件審査請求書提出に至る経緯ア姫路警察署交通総務係は,運転免許事務(行政処分の執行事務も含む。)を行う課であり,C警部補は同係に所属する警察官である。 イ C警部補は,平成15年1月16日,姫路警察署において,運転免許取消処分書を父Aに交付したが,同処分書欄外には,「この処分に不服のあるときは,行政不服審査法の規定に基づき,この処分があったことを知った日の翌日から起算して60日以内に,兵庫県公安委員会(運転免許課経由)に対して,異議の申し立てをすることができます。ただし,聴聞に出席して処分が決定した場合,又は正当な理由なく欠席して処分が決定した場合は,異議の申し立てはできません。」との文言が記載されていた。 ウ父Aは,その際,C警部補に対し,本件各処分に対する不服の申立てをしたい旨述べた。すると,C警部補は,父Aに対し,本件各処分が聴聞手続を経た取消処分であることを確認することなく,口頭で,本件各処分に対しては不服審査請求ができる旨答えた。 エ父Aは,平成15年1月末ごろ,姫路警察署を訪れ,C警部補に対し,不服審査請求をする場合に記載すべき事項について説明を求めた。すると,C警部補は,父Aに対し,取消理由や本件各処分が聴聞を経た取消処分であることを確認することなく,不服申立ての一般的な記載項目である「氏名,年齢,住所,処分の内容,処分を知った年月日,請求の趣旨及び理由,教示の有無及びその内容,請求の年月 処分が聴聞を経た取消処分であることを確認することなく,不服申立ての一般的な記載項目である「氏名,年齢,住所,処分の内容,処分を知った年月日,請求の趣旨及び理由,教示の有無及びその内容,請求の年月日」につき説明した。 オ父Aは,上記ウ,エのC警部補の説明により,本件各処分に対しては審査請求ができるものと誤信した。そして,父A及び原告法定代理人親権者母は,本件各処分につき,同人らの代理人として審査請求をすることをE弁護士に依頼し,E弁護士は,平成15年1月31日,本件審査請求書を県警本部聴聞係に郵送した。 (3) 本件異議申立てに至る経緯ア県警本部聴聞係に所属するD警部補は,平成15年2月3日,E弁護士から郵送されてきた本件審査請求書を見て,本件各処分が聴聞を経た取消処分であるため,不服申立てができないことに気づき,E弁護士の事務所に電話をかけた。 しかし,E弁護士は不在であったため,電話に出た男性事務員に対し,本件各処分に対しては不服申立てができないことを伝えた。 イ E弁護士は,平成15年2月7日,県警本部聴聞係に電話をかけ,D警部補に対し,本件各処分に対して異議申立てができないことは知っているが,父AがC警部補から審査請求ができる旨教えてもらったと言って,審査請求書の記載方法が書かれたメモを持参してきたので,本件審査請求に及んだ旨述べた。 これに対し,D警部補は,E弁護士に対し,C警部補が,本件各処分が聴聞手続を経てなされた取消処分であることを確認せずに,父Aに不服審査請求ができる旨述べたと思うと述べ,謝罪した。 また,D警部補は,E弁護士に対し,運転免許取消処分の不服申立ての方法は審査請求ではなく異議申立てであると述べるとともに,聴聞を経てなされた きる旨述べたと思うと述べ,謝罪した。 また,D警部補は,E弁護士に対し,運転免許取消処分の不服申立ての方法は審査請求ではなく異議申立てであると述べるとともに,聴聞を経てなされた本件各処分については異議申立てができず,審査請求を異議申立てに変更しても却下になる可能性が高く,残された救済の道は取消訴訟の提起だけであると思うと伝えた。 E弁護士は,D警部補に対し,このまま審査請求書を公安委員会に送ってもらうか,取り下げるかは,原告及び父Aと相談して決める旨述べた。 ウそして,E弁護士は,平成15年2月19日,県警本部聴聞係に異議申立書を郵送して,本件異議申立てを行い,同係は,翌20日,本件異議申立てを受理した。 2 検討(1) 本件聴聞手続についてア上記認定した事実によれば,県警本部聴聞係は,本件聴聞手続において,父Aに対し,予定される不利益処分の内容及びその原因となる事実等を説明したうえで,同人から意見を聴取し,陳述書の提出も受けているのであるから,本件聴聞手続は適法に行われたものと認められる。 イこの点,原告は,県警本部聴聞係が,本件聴聞手続において,原告代理人として出席した父Aの主張,意見に対し,聞く耳を持たず,原告の意見陳述は全く反映されなかった旨主張しているが,同係が父Aから主張,意見を聴取し,その内容が聴聞調書に記載されていることは,前記認定したとおりであるから,本件聴聞手続が違法であることを前提とする原告の主張は理由がない。 (2) C警部補,D警部補の説明についてア上記認定した事実によれば,聴聞手続を経た処分については異議申立てができない旨の正確な記載のある運転免許取消処分書の交付により,原告に対し,いったんは 警部補,D警部補の説明についてア上記認定した事実によれば,聴聞手続を経た処分については異議申立てができない旨の正確な記載のある運転免許取消処分書の交付により,原告に対し,いったんは書面による正確な説明が行われたと考えることができる。 しかし,本件各処分が聴聞手続を経た取消処分であることを見落としたC警部補の不服審査請求ができる旨の口頭による説明は,不適切な誤った説明と言わざるを得ず,このように書面による説明と口頭による説明とで矛盾した状態が生じたことにかんがみれば,平成15年1月16日時点においては,全体として誤った教示が原告に対してなされたものと言わざるを得ない。 イけれども,その後の平成15年2月7日,聴聞を経てなされた本件各処分については,審査請求を異議申立てに変更しても却下になる可能性が高く,残された救済の道は取消訴訟の提起だけである旨のD警部補の正しい教示により,上記の矛盾した状態は解消されたのであるから,平成15年2月7日の時点においては,全体として正しい教示が原告に対してなされ,前記平成15年1月16日の誤った教示の効果は失われたものと解するのが相当である。 ウこの点,原告は,D警部補が,平成15年2月7日の電話において,E弁護士に対し,審査請求では受理できないが,異議申立てであるなら受理できる旨教示し,これが行政事件訴訟法14条4項の「行政庁が誤って審査請求をすることができる旨を教示した場合」に該当すると主張している。 しかし,E弁護士が,D警部補に対し,本件各処分について異議申立てができないことは知っている旨述べたことからすれば,本件各処分につき異議申立てができないことは両者の共通認識になっていたと認められること,D警部補が,E弁護士に対し,異 本件各処分について異議申立てができないことは知っている旨述べたことからすれば,本件各処分につき異議申立てができないことは両者の共通認識になっていたと認められること,D警部補が,E弁護士に対し,異議申立ては却下される可能性が高い旨述べていることにかんがみれば,仮に,D警部補が,E弁護士に対し,異議申立てであれば受理できる旨述べていたとしても,かかる発言は,単に,免許取消処分の不服申立ての手段は異議申立てであるから,審査請求はそもそも手続上受け付けることさえできず,異議申立てであれば,不適法な申立てとして却下される可能性が高いが,手続上,受け付けることだけならできるということを意味するにすぎないと解するのが相当である。 したがって,仮に,異議申立てであれば受理できるとの発言があったとしても,かかる発言をもって誤った教示があったと評価することはできず,原告の主張は理由がない。 (3) まとめ以上より,本件各処分は適法な聴聞手続を経てなされた異議申立てのできない処分であり,また,原告に対する誤った教示があったともいえないから,本件訴えは,行政事件訴訟法14条4項の「処分又は裁決につき審査請求をすることができる場合又は行政庁が誤って審査請求をすることができる旨を教示した場合」に該当せず,本件訴えの出訴期間は,行政事件訴訟法14条1項により,本件各処分のあった平成15年1月16日から起算すべきである。 なお,このように解しても,誤った教示が解消された平成15年2月7日から出訴期間の満了日である平成15年4月15日までは2か月以上の期間があり,取消訴訟提起の準備に十分な期間があったと評価できるから,原告に看過できない不利益を甘受させる結果になるとはいえない。 第5 結論以上 成15年4月15日までは2か月以上の期間があり,取消訴訟提起の準備に十分な期間があったと評価できるから,原告に看過できない不利益を甘受させる結果になるとはいえない。 第5 結論以上の次第で,本件訴えは出訴期間を徒過した不適法な訴えであるから,これを却下することとし,主文のとおり判決する。 神戸地方裁判所第2民事部裁判長裁判官紙浦健二 裁判官今中秀雄 裁判官向井宣人

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