平成15(あ)279 業務上過失傷害,道路交通法違反被告事件

裁判年月日・裁判所
平成19年4月9日 最高裁判所第三小法廷 決定 棄却 大阪高等裁判所 昭和63(う)1007
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判決文本文1,714 文字)

- 1 -主文本件上告を棄却する。 理由 弁護人小林芳郎の上告趣意は,違憲をいう点を含め,実質は単なる法令違反,事実誤認の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。 所論にかんがみ,職権で判断する。 記録によれば,次のような事実が認められる。 (1)被告人は,昭和54年ころから,滋賀県草津市所在の土木建築業者の飯場に居住していたところ,昭和62年11月に本件業務上過失傷害,道路交通法違反被告事件について在宅のまま起訴された。被告人は,本件の捜査,第1審公判を通じて,住所は前記飯場であると述べ,第1審では被告人に対する書類の送達はすべて同所あてに行われた。昭和63年8月に第1審裁判所が言い渡した無罪判決に対して検察官が控訴を申し立て,控訴申立通知書が被告人に送達されたが,被告人は,第1審同様,原審裁判所に対しても刑訴規則62条1項の住居等の届出をしなかった。原審においても,被告人に対する弁護人選任に関する通知書,検察官の控訴趣意書謄本,公判期日召喚状等の送達は前記飯場あてに行われ,平成元年6月23日の原審第2回公判期日召喚状までいずれも被告人の手元に届いており,被告人は,この間,送達に関して何ら異議を述べていなかった。 (2)被告人は,原審の公判には行かなくとも良いと言って出廷していなかったが,平成元年6月20日ころ,前記飯場から行く先を告げることなく無断で退去し,原審裁判所にも新たな住居等を届け出ず,以後,原審裁判所の累次にわたる職権調査によっても所在が判明せず,所在不明の状態になった。 - 2 -(3)原審裁判所は,平成14年10月以降,被告人に対する公判期日召喚状等を前記飯場にあてて書留郵便に付して送達し(以下,この送達方法を「付郵便送達」という。),被告人不出頭のまま公判期日を開き,平成15年1月,第1審公 成14年10月以降,被告人に対する公判期日召喚状等を前記飯場にあてて書留郵便に付して送達し(以下,この送達方法を「付郵便送達」という。),被告人不出頭のまま公判期日を開き,平成15年1月,第1審公判及び原審第2回公判期日において取り調べられた証拠に基づき第1審判決を破棄し,被告人を本件につき有罪と認めて懲役1年6月,4年間執行猶予に処する旨の判決を言い渡した。 所論は,本件は,第1審の無罪判決に対して検察官が控訴した事案であって,被告人は裁判所に対する住居等の届出義務を負わず,被告人が付郵便送達による不利益を受けてもやむを得ないといえる事情はないから,前記1(3)の付郵便送達を有効とみることはできないというのである。 しかし,前記事実関係によれば,被告人は,控訴申立通知書の送達を受けて,検察官が控訴を申し立てたことを承知したのであるから,原審裁判所に対して刑訴規則62条1項の住居,送達受取人等の届出をする義務があった。それにもかかわらず,被告人はこれを怠っていたのであるから,刑訴規則(平成15年最高裁判所規則第7号による改正前のもの)63条1項により付郵便送達をすることができると解される。そして,被告人は,原審裁判所から前記飯場あてに送達された書類を異議なく受領するなどして,同所で送達を受ける意思を原審裁判所に対して表明したものとみることができ,その後,これと異なる意思を表示することなく,自ら所在不明の状態を作出しているのであるから,同所にあてて送付された書類が現実には被告人に届かないとしても,その不利益を被告人が受けるのはやむを得ないというべきである。したがって,原審裁判所が前記飯場にあてて行った付郵便送達は有効と解するのが相当である。 - 3 -よって,刑訴法414条,386条1項3号,181条1項ただし書により,裁判官全員 うべきである。したがって,原審裁判所が前記飯場にあてて行った付郵便送達は有効と解するのが相当である。 - 3 -よって,刑訴法414条,386条1項3号,181条1項ただし書により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官堀籠幸男裁判官上田豊三裁判官藤田宙靖裁判官那須弘平裁判官田原睦夫)

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