平成24(わ)297 道路運送法違反,電磁的公正証書原本不実記録,同供用被告事件

裁判年月日・裁判所
平成24年12月10日 前橋地方裁判所
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判決文本文2,757 文字)

 平成24年12月10日宣告平成24年(わ)第297号等道路運送法違反,電磁的公正証書原本不実記録,同供用被告事件判決 主文 被告会社を罰金160万円に,被告人を懲役2年及び罰金160万円に処する。 被告人において上記罰金を完納することができないときは,金5000円を1日に換算した期間,被告人を労役場に留置する。 被告人に対し,この裁判が確定した日から5年間上記懲役刑の執行を猶予する。 理由 (犯罪事実)被告会社は,千葉県印西市a番地に本店を置き,関東運輸局長から一般貸切旅客自動車運送事業の許可を受けて同事業を営んでいたもの,被告人は,被告会社代表者としてその業務全般を統括管理しているものであるが,被告人は,第1 Aと共謀の上,平成23年8月9日,千葉県船橋市習志野台8丁目57番1号所在の関東運輸局千葉運輸支局習志野自動車検査登録事務所において,事情を知らない自動車登録官に対し,バス4台(以下「本件バス」という。)の使用者はAであるのに被告会社が使用者である旨の虚偽事項を記載した事業用自動車等連絡書を関係書類と共に提出し,本件バスの所有者をAに,使用者を被告会社とする移転登録申請をし,同登録官をして東京都中央区築地2丁目11番17号所在の国交省自動車局自動車情報課自動車登録管理室にある権利義務に関する公正証書の原本として用いられる自動車登録ファイルにその旨不実の記録をさせ,これを即時・同所に備え付けさせて公正証書の原本としての用に供し,第2 被告会社の業務に関し,一般貸切旅客自動車運送事業の許可を受けていないA が,本件バスを使用して同事業を営むことを知りなが ・同所に備え付けさせて公正証書の原本としての用に供し,第2 被告会社の業務に関し,一般貸切旅客自動車運送事業の許可を受けていないA が,本件バスを使用して同事業を営むことを知りながら,上記のとおり自動車登録ファイルに本件バスの使用者を被告会社とする虚偽登録をさせ,本件バスについて,被告会社の事業用自動車用緑ナンバーを利用可能にし,そのころから同24年4月29日ころまでの間,Aに「A交通」等の名称を用いて同事業を行うために本件バスを利用させ,もって,その名義を他人に一般旅客自動車運送事業のために利用させたものである。 (証拠)(省略)(適条) 1 被告会社について(1) 罰条(判示第2の行為)道路運送法99条,96条2号,33条1項(2) 宣告刑の決定罰金160万円 2 被告人について(1) 罰条 1 判示第1の行為のうち,ア電磁的公正証書原本不実記録の点刑法60条,157条1項イ同供用の点同法60条,158条1項,157条1項 2 判示第2の行為道路運送法99条,96条2号,33条1項(2) 科刑上一罪の処理判示第1の罪について刑法54条1項前段,後段,10条(上記電磁的公正証書原本不実記録及び同供用はいずれも1個の行為が4個の罪名に触れる場 合であり,電磁的公正証書原本不実記録と同供用との間には手段結果の関係があるので1罪として犯情の重い同供用の罪の刑で処断)(3) 刑種の選択 1 判示第1の罪所定刑中懲役刑を選択 2 判示第2の罪所定刑中懲役刑と罰金刑を併科(4) 併合罪の処理同法45条前段,47条本文,10条,4 刑種の選択 1 判示第1の罪所定刑中懲役刑を選択 2 判示第2の罪所定刑中懲役刑と罰金刑を併科(4) 併合罪の処理同法45条前段,47条本文,10条,48条1項(重い判示第1の罪の刑に法定の加重〔ただし,罰金については判示第2の罪の刑のそれによる。〕)(5) 宣告刑の決定懲役2年及び罰金160万円(6) 労役場留置同法18条(上記罰金を完納することができないときは,金5000円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置)(7) 刑の執行猶予同法25条1項(この裁判が確定した日から5年間上記懲役刑の執行を猶予)(量刑の理由)被告人は,Aと共謀し,自動車登録ファイルに不実記録をさせて公正証書の原本としての用に供し,自動車登録ファイルに対する社会の信頼を損なわせた上,被告会社の事業に関し,Aに被告会社の名義を貸し,道路運送事業の運営を適正かつ合理的なものにすることなどを目的とする道路運送法上の許可制度を潜脱したものである。その上,被告会社や被告人は,本件を契機に,Aと取引を行って利益を得たり,Aに種々便宜供与をしていたものであって,これらは許可事業者又はその代表者としての自覚を欠くものとして厳しく戒められなければならない。被告会社及 び被告人の刑事責任は軽視できない。 検察官は,以上に加え,「平成24年4月29日に生起した関越道における死者7名,重軽傷者38名を出した交通事故の底流には,被告会社とAとの違法な相互依存関係と被告人の輸送の安全についての規範意識の欠如が脈々とあり,これらが上記事故を招来したと評価でき,被告人及び被告会社の刑責を決めるに当たって,十分考慮することが必要である」などとも主張する。しかしながら,このような事情と いての規範意識の欠如が脈々とあり,これらが上記事故を招来したと評価でき,被告人及び被告会社の刑責を決めるに当たって,十分考慮することが必要である」などとも主張する。しかしながら,このような事情と上記事故との間に因果関係があるとは認め難く,これをもって被告会社や被告人の刑事責任を加重することはできないというべきである。本件が自動車登録ファイルへの虚偽登録・同供用及び名義貸しの事案として同種事犯に比して特段に犯情悪質であるとは認められない。 もっとも,被告人は,平成9年10月に道路運送法違反及び電磁的公正証書原本不実記録・同供用の罪により罰金40万円に,同11年9月に道路運送法違反の罪により懲役10月及び罰金100万円,懲役刑について5年間執行猶予に処された前科を有しており,この種事犯に対する規範軽視の態度が窺われるものの,本件までに直近刑の判決時から12年近くが経過していることに徴すると,上記前科を必要以上に重視することは相当ではない。 被告会社の一般貸切旅客自動車運送事業の許可は取り消されており,被告人は,被告人なりに反省の態度を示してもいる。 そこで,以上の諸事情を総合考慮し,被告会社及び被告人を主文掲記の刑に処した上で,被告人については,懲役刑の執行を5年間猶予し,改めて社会内更生の機会を与えるのが相当と判断した。 (求刑・被告会社・罰金200万円,被告人・懲役4年及び罰金200万円)平成24年12月10日前橋地方裁判所刑事第1部 裁判官吉井広幸

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