主文 1 被告が平成11年11月15日付けでした,原告の平成10年分の所得税更正処分の取消しを求める訴えのうち,納付すべき税額531万8500円を超えない部分の取消しを求める訴えを却下する。 2 被告が平成11年11月15日付けでした,原告の平成10年分の所得税更正処分のうち納付すべき税額531万8500円を超える部分及び過少申告加算税の賦課決定処分を取り消す。 3 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告が平成11年11月15日付けでした,原告の平成10年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を取り消す。 第2 事案の概要本件は,原告が交換契約による土地の譲渡につき所得税法(以下「法」という。)58条1項の特例規定(以下「本件特例」という。)の適用を前提にして所得税の確定申告をしたところ,被告が本件特例の適用を否定して,更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を行ったため,原告がそれらの処分の取消しを求めるものである。 1 前提事実等(1) 交換契約の締結原告は,平成10年8月10日,a及びb(以下両名を併せて「aら」という。)との間で,原告所有の別表2記載の宅地(以下「本件A宅地」という。)とaらが各自所有する別表3記載の宅地(以下「本件甲宅地」という。)とを等価交換する旨の契約を締結した(以下「本件交換A」という。)。また,原告は,同日,前田製菓株式会社との間で,原告所有の別表4記載の宅地(以下「本件B宅地」という。)と前田製菓所有の別表5記載の宅地(以下「本件乙宅地」という。)とを等価交換する旨の契約を締結した(以下「本件交換B」という。また,本件A宅地及び本件B宅地を併せて「本件譲渡土地」と,本件甲宅地及び本件乙宅地を併せて「本件取得土地」と,本件交換A及び本件交換 )とを等価交換する旨の契約を締結した(以下「本件交換B」という。また,本件A宅地及び本件B宅地を併せて「本件譲渡土地」と,本件甲宅地及び本件乙宅地を併せて「本件取得土地」と,本件交換A及び本件交換Bを併せて「本件交換」という。)。 (2) 社会福祉法人宏和会の設立特別養護老人ホーム(以下「特養老人ホーム」という。)の設置運営等を目的とする社会福祉法人宏和会は,平成10年9月24日,堺市から設立認可を受け,同年10月5日,設立登記がされた。 なお,原告は,平成13年5月28日,宏和会の理事に就任した。 (3) 本件取得土地の贈与原告は,平成11年1月23日,宏和会に対し,本件取得土地を寄附した。 (4) 本件特例法58条1項は,居住者が,各年において,1年以上有していた同項各号所定の固定資産を他の者が1年以上有していた固定資産で当該各号に掲げるもの(交換のために取得したと認められるものを除く。)と交換し,その交換により取得した資産(以下「交換取得資産」という。)をその交換により譲渡した資産(以下「交換譲渡資産」という。)の譲渡直前の用途と同一の用途に供した場合には,法33条(譲渡所得)の規定の適用については,当該交換譲渡資産の譲渡がなかったものとみなす旨規定する。 (5) 原告の確定申告原告は,同年3月15日,平成10年分の所得税の確定申告に当たり,本件交換につき,法58条1項を適用して,別表1「確定申告」欄記載のとおりの申告をした。 (6) 更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分被告は,原告に対し,交換取得資産を交換譲渡資産の交換直前の用途と同一の用途に供したという本件特例の適用要件が充足されていないとして,同年11月15日付けで,別表1「更正処分等」欄記載の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分(以下「本件処分」と 換直前の用途と同一の用途に供したという本件特例の適用要件が充足されていないとして,同年11月15日付けで,別表1「更正処分等」欄記載の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分(以下「本件処分」という。)をした。 (7) 不服申立て等原告は,本件処分を不服として,同年12月28日,被告に対し,異議申立てをしたところ,被告は,平成12年3月21日付けで,棄却の異議決定をした。 原告は,同年4月20日,国税不服審判所長に対し,本件処分の全部取消しを求める審査請求をしたが,国税不服審判所長は,平成13年2月22日,審査請求棄却の裁決をした。 2 争点(1) 訴えの利益の有無(2) 本件特例の適用の可否 3 争点に対する当事者の主張(1) 争点(1)について(被告の主張)被告が平成11年11月15日付けでなした更正処分(以下「本件更正処分」という。)のうち,納付すべき税額531万8500円を超えない部分は,別表1「確定申告」欄記載のとおり,原告が,自ら申告により納付義務を確定したものであるから,原告に同部分の取消しを求める訴えの利益はない。 (2) 争点(2)について(被告の主張)(1) 法58条1項の趣旨,解釈等ア法58条1項は,交換取得資産を交換譲渡資産の交換直前の用途と同一の用途に供し,その他一定の要件を満たした場合に,その譲渡がなかったものとみなし,キャピタルゲインに対する課税を繰り延べる譲渡所得課税の特例である。同条項の趣旨は,本来,交換は財産権を移転する契約の一種であるから,譲渡の一形態として資産の譲渡に含まれることとなり,交換に伴う譲渡益は原則として課税の対象となるのであるが,居住者が,1年以上所有していた土地や建物などの固定資産を,これと同じ種類の資産と交換して,その交換で取得した資産を前と同じ用途に使用した場 交換に伴う譲渡益は原則として課税の対象となるのであるが,居住者が,1年以上所有していた土地や建物などの固定資産を,これと同じ種類の資産と交換して,その交換で取得した資産を前と同じ用途に使用した場合には,実質的には同一の資産が継続して保有されているとみられ,このような交換によって譲渡した資産については,その譲渡がなかったものとみなし,キャピタルゲインに対する課税を繰り延べることとしているものである。 イこのような同条項の趣旨に照らすと,同条項は,当事者双方が交換取得資産及び交換譲渡資産をそれぞれ同一の状態において,継続使用する場合を当然に想定しており,交換取得資産を譲渡するために交換した場合を含まないと解される。なぜなら,交換取得資産を譲渡するために交換した場合,譲渡するために交換をした当事者にとっては,実質的にみてあたかも譲渡がなかったかのようにみえるものではなく,課税を繰り延べる必要性が全くないからである。譲渡するために交換した当事者にとって,譲渡のための交換は,交換譲渡資産の価値を,譲渡のできることが確定した交換取得資産として実現しているのであって,売却した場合と何ら異なるものではなく,実質的に所得が発生したと考えられるのである。 このことは,法58条1項が,要件の1つとして,交換取得資産が交換のために取得されたものではないことを明文をもって規定していることからも明らかである。もっとも,同項は,交換取得資産について「交換のための取得」を明文で除外しているのに対し,「譲渡のための交換」を除外する明文はない。しかしながら,これは,明文で規定するまでもなく,「交換取得資産を交換譲渡資産の交換直前の用途と同一の用途に供すること」の解釈適用上,「譲渡のための交換」が当然に除外されることに基づくものと解される。すなわち,同項が,交換取得資産 するまでもなく,「交換取得資産を交換譲渡資産の交換直前の用途と同一の用途に供すること」の解釈適用上,「譲渡のための交換」が当然に除外されることに基づくものと解される。すなわち,同項が,交換取得資産を交換譲渡資産と同一の状態において継続使用する場合を当然に予定していることからすると,同項にいう「用途」とは継続的な用途のみを意味し,暫定的,一時的な用途を含まないと解される。そして,「譲渡のための交換」は,交換取得資産をいったん形式的に交換譲渡資産と同一の用途に供したとしても,将来にわたる継続性が予定されていない暫定的,一時的な用途にすぎないため,当然,同項にいう「同一の用途」に供したとは認められないのである。 そして,国税不服審判所の裁決例,その他実務上参考とされる文献ではこのような解釈が採用され,上記の解釈は,実務上確立しているものといえる。 ウ更に,上記のような解釈は,法58条と同趣旨の規定である法人税法50条においても,税法上特例の対象となる交換は,当事者の双方が同一の固定資産を同一の状態において継続使用する場合を想定したものであって,取得した物件を直ちに譲渡している場合は同条の適用がないとされ,このような解釈が実務上確立されていることからも裏付けられるのである。 (2) 本件交換について原告は,遅くとも平成9年春ころから宏和会を設立して,本件取得土地をこれに贈与し,同土地上に,特養老人ホームを建設することを計画していた。そして,本件交換以前に,既に,宏和会の設立準備,建築準備がほぼ完了し,原告と宏和会設立代表者との間で本件取得土地の贈与契約が締結され,行政機関に対してもその旨の誓約をし,本件取得土地の贈与を前提に,国庫補助,建築資金融資の内定も得られていたのである。したがって,本件交換は,原告が宏和会に寄附する目的で行われた 与契約が締結され,行政機関に対してもその旨の誓約をし,本件取得土地の贈与を前提に,国庫補助,建築資金融資の内定も得られていたのである。したがって,本件交換は,原告が宏和会に寄附する目的で行われたことは明らかである。 実際,原告は,遅くとも,本件交換の約5か月後には,本件取得土地を宏和会に寄附しており,その保有期間は短く,その間保有していたのも,原告が,交換後1年間交換取得資産を所有していれば,その後に譲渡しても本件特例の適用が受けられると誤解していたためにすぎず,租税回避的な目的によるものであったのである。本件取得土地上での特養老人ホームの建設工事は,本件取得土地の寄附のかなり以前から開始されていたのであるから,原告が本件取得土地を何らかの目的に使用したこともない。したがって,原告の本件取得土地の保有は,暫定的,一時的なものにすぎず,本件譲渡土地と同一の用途に供したとは認められない。 以上によれば,本件交換に本件特例の適用はないというべきである。 (原告の主張)(1) 法58条1項の趣旨,解釈法58条1項の趣旨は,交換は,財産権を移転する契約の一種であるから,譲渡の一形態として,資産の譲渡に含まれることとなり,税法上,交換に伴う譲渡益は,原則として,課税の対象となることとなるのであるが,交換によって取得した資産について,従前と同じ用途に供した場合は,実質的に所得が発生したとの観念が乏しく,単に,所有する資産の名義人が代わっただけという認識しかないため,これに課税関係を発生させることは,担税力の観点からも相当でないというものである。 実質的に所得が発生したとの観念が乏しいか否かという点は,客観的に同一種類,同一用途であるか否かによって判定することができるものである。だからこそ,法58条1項も,「同一の用途に供した場合」としか定め 質的に所得が発生したとの観念が乏しいか否かという点は,客観的に同一種類,同一用途であるか否かによって判定することができるものである。だからこそ,法58条1項も,「同一の用途に供した場合」としか定めていないのである。 したがって,交換取得資産を交換譲渡資産の譲渡直前の用途と同一の用途に供したかどうかの判定は,所得税基本通達58-6にあるように,宅地,田畑,鉱泉地,池沼,山林,牧場又は原野等の区分により,客観的な使用状況によって判定すべきなのであって,交換取得資産の取得者がどのような主観的意図,目的を持って交換を行ったかというような主観面が「同一の用途」性の判断に影響を及ぼすことはあり得ないというべきである。 この点は,同条項が,交換取得資産について,「交換のために取得したと認められるものを除く」というように,本件特例の適用についての除外規定を設けているにもかかわらず,その取得目的についての除外規定をあえて規定していないことからも明らかである。この点について,被告は,譲渡目的の交換取得財産に本件特例が適用されないことは,法58条1項の趣旨や「交換取得資産を交換譲渡資産の交換直前の用途と同一の用途に供すること」の解釈から導き出せるため,法はあえて交換取得資産について,その取得目的についての除外規定を明文化していないのだとする。しかし,「用途」と「目的」とは明らかに異なる概念であるし,被告の主張は,解釈によって新たな要件を付加するもので,税法の厳格解釈の原則に反することになる。また,被告の解釈は,実質課税を原則とし,客観的な事実に基づいて課税することとしている所得税法の建前にも反するものである。そして,被告の主張を前提とすれば,交換後に第三者に譲渡する目的を有して交換したが,何らかの事情により,実際には交換後も譲渡せず,譲渡直前の用途と同一の としている所得税法の建前にも反するものである。そして,被告の主張を前提とすれば,交換後に第三者に譲渡する目的を有して交換したが,何らかの事情により,実際には交換後も譲渡せず,譲渡直前の用途と同一の用途で所有を継続した場合,本件特例が適用されないこととなってしまい,明らかに不合理な結果を導くのである。 法58条1項が交換取得資産について「交換のための取得」の除外規定を設けているのは,客観的に同一の用途に供していることが認められれば,所得が発生したとはいえないとして,課税を繰り延べることを原則としつつも,本件特例を悪用するような交換,すなわち,交換を目的として相手方の希望する土地を購入し,1年後に交換するというような租税回避的な交換を防止するため,主観的要素を含む除外要件を明文で規定したのである。一方,交換後に交換取得資産をどのように処分しようとも,そもそも租税を効果的に回避することなどできず,交換取得資産については,取得目的等の主観的要件を付さず,同一の用途に供したか否かという客観的な要件のみ判断することとしたのである。 (2) 本件交換について原告は,aらとの間で宅地と宅地を交換し,交換後も宅地として使用していたのであるから,「同一の用途に供していた」といえ,法58条1項の要件を充足しているのである。 特に,本件交換は次のような経緯で行われたことから,要件充足の有無を考える上では,交換の経緯も十分考慮するべきである。すなわち,原告は,平成5年ころから,本件譲渡土地上に老人ホームを建設する計画を立て,平成5年12月27日,cとの間で,原告が当時所有していたαの土地と本件譲渡土地とを交換した。 そして,地元住民の同意を取り付けるため,平成5年9月3日,平成6年8月25日,平成7年6月7日,平成8年5月22日の4回にわたって地元住民に対 が当時所有していたαの土地と本件譲渡土地とを交換した。 そして,地元住民の同意を取り付けるため,平成5年9月3日,平成6年8月25日,平成7年6月7日,平成8年5月22日の4回にわたって地元住民に対する説明会を開催するなどしたのであるが,地元住民の強い反対にあい,堺市の仲介の下,堺市役所で反対派住民と話合いの機会をもつも,建設の同意が得られず,更に,堺簡易裁判所に対して民事調停の申立てを行ったが,話合いを行うことができず,調停の取下げに至り,本件譲渡土地上での特別養護老人ホーム建設を断念した。その後,堺市の紹介により,本件譲渡土地と本件取得土地とを交換し,本件取得土地上に特養老人ホームを建設することにし,堺市及び厚生省の指導により本件取得土地を宏和会に寄附したのである。 原告は,いずれ特養老人ホームの敷地とする意思で所有していた本件譲渡土地を,本件取得土地と交換し,本件取得土地を特養老人ホームの敷地としたのであるから,その意味でも,「同一の用途に供した」ということができる。また,宏和会設立当時,原告が堺市議会事務局職員であったため,宏和会設立時に原告が理事に就任することはなかったが,現在は,原告が宏和会の理事に就任しており,原告と宏和会が実質的に同一の存在であると評価できる。そのように解すれば,原告から宏和会に対する本件取得土地の寄附という事実があるとしても,実質的には交換取得者としての原告がそのまま本件取得土地を交換直前と同一の用途に供していたと評価しうることは明らかである。 前述したように,法58条1項の趣旨は,交換には担税力が認められない点にもあるところ,本件交換において,原告は,社会福祉の観点から本件取得土地を特養老人ホーム用地に寄附したものであり,経済的な利益を全く得ていない。その意味で,原告には担税力が全くなく,原告に対 い点にもあるところ,本件交換において,原告は,社会福祉の観点から本件取得土地を特養老人ホーム用地に寄附したものであり,経済的な利益を全く得ていない。その意味で,原告には担税力が全くなく,原告に対して課税を行うことは,本件特例の趣旨に反するものといわざるを得ない。 また,原告は,dとの交換時にも,交換後に交換取得資産を宏和会に寄附する目的を有してしたにもかかわらず,本件特例を受けることができた。dとの交換と本件交換とは事情が全く同じであるのに,このような本件特例の適用に差が生じるのは,まさに主観的要件を付加する被告の解釈が不当であることを表すものであるといえる。 更に,本件交換当時,特養老人ホームの敷地は,その運営主体である社会福祉法人が所有権を有していなければならなかった。このような当時の制度に従うと,原告のように,特養老人ホーム建設に適した土地を取得するために交換契約を締結する者は,一切,本件特例の適用を受ける余地がなくなってしまうことになる。これでは,租税特別措置法40条の非課税承認制度も全く意味がないものになってしまうし,非課税承認制度が存することを前提として社会福祉法人の設立を検討していた者は,皆,社会福祉法人設立を断念することになり,社会福祉の増進も望めないのである。法58条1項の解釈に当たっては,これらの点も十分考慮するべきである。 被告の主張の根底には,原告の本件取得土地の寄附行為については,租税特別措置法40条の規定によって課税することができないため,本件特例の適用を否定し,譲渡所得に対する課税ができなくなることを防止するという政策的な思惑が潜んでいるとしかいえない。 (3) 以上によれば,本件交換が本件特例の適用要件を充足しないとする被告の主張は理由がないといえる。 第3 争点に対する判断 1 争点(1)につい るという政策的な思惑が潜んでいるとしかいえない。 (3) 以上によれば,本件交換が本件特例の適用要件を充足しないとする被告の主張は理由がないといえる。 第3 争点に対する判断 1 争点(1)について納税義務者が確定申告書を提出すれば,原則として,それによって納税額が確定するのであって(国税通則法16条),納税義務者が確定申告書の記載の錯誤による無効を主張しうる場合であれば格別,そうでない以上,更正の請求という手続(同法23条,所得税法152条)によってのみ,その金額の減額変更を求めうることからしても,かかる更正の請求手続をとることなく,訴えによって更正処分のうち申告額を超えない部分の取消しを求めることは,納税義務者の自認する納税額の範囲を超えて更正処分の取消しを求めることになるから,訴えの利益を欠くものとして許されないというべきである。 原告は,被告に対し,別表1「確定申告」欄記載のとおりの申告を行っており,原告の平成10年分所得税について被告がなした更正処分について,原告の申告額である531万8500円を超えない部分の取消しを求める訴えは,訴えの利益を欠く不適法な訴えであるとして却下するべきである。 2 争点(2)について(1) 事実関係前提事実,証拠(甲7~9,乙1~14,16~22(各枝番を含む。),原告本人)及び弁論の全趣旨によれば,次の各事実が認められる。 ア基本設計等に係る業務委託契約の締結原告は,平成9年春ころから6月末までに,株式会社藤田建設設計事務所(以下「藤田設計」という。)に本件取得土地の測量図を渡し,同年7月ころ,特別養護老人ホームグレース堺(以下「本件特養老人ホーム」という。)を建築するための調査・企画業務,基本設計及び申請手続補助業務に係る業務を委託し,以後,藤田設計は,これに基づいて,社会福祉 ころ,特別養護老人ホームグレース堺(以下「本件特養老人ホーム」という。)を建築するための調査・企画業務,基本設計及び申請手続補助業務に係る業務を委託し,以後,藤田設計は,これに基づいて,社会福祉法人設立についてのアドバイス,老人ホーム施設整備費補助金の申請に必要な書類の作成等の業務を進めていった。 イ堺市社会福祉施設等施設整備審査会への書類提出原告の妻であるeは,平成9年8月29日,堺市に対し,本件特養老人ホームにつき,同市社会福祉施設等施設整備審査会(以下「堺市施設整備審査会」という。)が特養老人ホームの整備事業として推進するか否かを審査するための施設整備審査協議書を下記の添付書類とともに提出した。 (ア) 表紙に「(仮称)堺京町特別養護老人ホーム計画」と記載された施設配置図,平面図等(イ) aら及び前田製菓が原告あてに同月27日付けで作成した,老人ホーム施設整備費補助金の内示が交付されたときには,施設建設用地として本件取得土地を社会福祉法人名又は設立代表者名に売却することを確約する旨の確約書(ウ) 原告が同月29日付けで堺市長に対して作成した,堺市長に対する老人ホーム施設整備費補助金の内示が交付されたときには施設建設用地として本件取得土地を購入することを誓約し,購入した土地については社会福祉法人の基本財産として寄附することを誓約する旨の誓約書ウ堺市からの通知堺市は,堺市施設整備審査会からの答申を受けて,原告が申し出た本件特養老人ホームの建築を,堺市の整備事業として推進していくことに決定し,その旨を平成9年10月10日付けの「老人福祉施設整備補助金の協議対象について」と題する通知書で通知した。 エ近隣住民に対する説明会原告は,藤田設計担当者とともに,本件取得土地に本件特養老人ホームを建築することについて近隣住民の同 人福祉施設整備補助金の協議対象について」と題する通知書で通知した。 エ近隣住民に対する説明会原告は,藤田設計担当者とともに,本件取得土地に本件特養老人ホームを建築することについて近隣住民の同意を得るための説明会を,平成9年10月13日,同年11月9日,平成10年2月4日,同月10日及び同月15日の合計5回にわたって行った。 オ国庫補助協議のための書類の提出原告及び宏和会設立代表者であるf(原告の姉)は,平成10年1月から順次,堺市と国が国庫補助金の協議を行うために必要な下記の書類を,同市保健福祉局福祉推進部高齢福祉課に対し提出した。 (ア) 藤田設計が平成10年1月22日付けで宏和会設立代表者あてに作成した,本件特養老人ホーム新築工事につき,工事場所を本件取得土地,工期については着工を同年10月31日,竣工を平成11年10月31日とし,工事予算金額を9億1350万円とする工事予算書(イ) 表紙に「特別養護老人ホームグレース堺新築工事」と記載された整備工事実施後の施設の設計図(ウ) 原告と宏和会設立代表者が平成10年2月1日付けで作成した,要旨下記のとおりとする贈与契約書① 原告は,宏和会の設立が認可されたときには,同法人の基本財産として,本件取得土地を同法人に贈与することを約し,宏和会設立代表者は,これを承諾した(第1条)。 ② 原告は,第1条による贈与を同法人設立後1週間以内に行わなければならない(第2条)。 ③ 宏和会の設立認可が得られないときは,この契約は無効とし,これにより損害が発生した場合,原告は損害賠償を請求することができない(第3条)。 (エ) 本件取得土地の存する地区の自治会である堺市β自治会の当時の会長であったgが平成10年2月15日付けで宏和会設立代表者に対して作成した,本件特養老人ホームの建築に同意す できない(第3条)。 (エ) 本件取得土地の存する地区の自治会である堺市β自治会の当時の会長であったgが平成10年2月15日付けで宏和会設立代表者に対して作成した,本件特養老人ホームの建築に同意する旨の同意書カ宏和会設立発起人会の開催平成10年2月28日,宏和会の設立発起人会が開催され,老人福祉施設整備費補助金の内示が交付されたときには,施設建設用地として,本件取得土地を取得して宏和会の基本財産として,原告より贈与を受けることが報告され,理事全員が異議なく承認した。 キ本件特養老人ホームの設計,建築確認申請藤田設計は,平成10年4月ころには,本件特養老人ホームの実施設計に着手し,実施設計も同年7月までにほぼ完成し,同月23日建築確認申請を行った。 ク老人ホーム建設資金・設備備品整備資金のための融資社会福祉・医療事業団大阪支店長は,老人ホーム建築資金及び設備備品整備資金のための融資を,本件取得土地及び同土地上に建築が予定されている施設を担保とすることを条件とする貸付金内定通知を平成10年5月29日付けで宏和会あてに行った。 ケ補助金の内示堺市長は,平成10年6月3日付けで,宏和会設立代表者に対して,特養老人ホームの創設等に係る補助金を交付する予定であることを内示した。 なお,補助金の交付は,平成10年度が平成11年5月25日に,平成11年度が平成12年5月25日にそれぞれ支出されている。 コ本件乙土地に係る駐車場契約者への契約の解除通知前田製菓は,平成10年6月ころに本件乙土地を原告と交換することが具体的に決定したことを受けて,本件乙土地の駐車場契約者に対して確約書に従い賃貸借契約解除の通知を行った。 サ本件特養老人ホーム建築工事の施工業者決定のための入札(ア) 宏和会設立準備事務局は,平成10年7月21日付けで けて,本件乙土地の駐車場契約者に対して確約書に従い賃貸借契約解除の通知を行った。 サ本件特養老人ホーム建築工事の施工業者決定のための入札(ア) 宏和会設立準備事務局は,平成10年7月21日付けで,本件特養老人ホームの新築工事に係る公募型指名競争入札実施要領を作成した。 (イ) 大日本土木株式会社大阪支店は,宏和会設立準備事務局に対し,公募型指名競争入札参加申請書を提出し,宏和会設立代表者は,大日本土木株式会社大阪支店に対し,同月31日付けで入札参加資格審査の申請を受け付けた旨の「入札参加資格審査申請受付票」を発行した。 (ウ) 宏和会設立準備事務局は,同年8月4日に入札予定業者に対する現場説明会を行い,同日,本件特養老人ホームの新築工事に係る入札要項書と設計図面を入札予定業者に渡した。 (エ) 同年9月4日に,建築業者決定のための入札が行われ,大日本土木株式会社大阪支店が落札した。 (オ) 大日本土木株式会社大阪支店は,この入札の結果を受けて,同年10月19日に本件特養老人ホームの建築に係る工事請負契約を宏和会設立代表者と締結した。 シ本件交換契約の締結(ア) 原告は,平成10年8月10日,aらとの間で,本件A宅地と本件甲宅地とを等価交換する旨の契約を締結し,同日交換を原因とする所有権移転登記を経由した。 本件A交換の土地交換契約書には,本件A土地の価格が3億7381万2807円であること,本件甲土地の価格が3億8888万1350円であること,本件A土地と本件甲土地の価格の差額1506万8543円については,原告がaらに対して交換差金を支払う旨が定められている。 (イ) 原告は,同日,前田製菓との間で,本件B宅地と本件乙宅地とを等価交換する旨の契約を締結し,同日交換を原因とする所有権移転登記を経由した。 本件B交換の土地交換契約書 払う旨が定められている。 (イ) 原告は,同日,前田製菓との間で,本件B宅地と本件乙宅地とを等価交換する旨の契約を締結し,同日交換を原因とする所有権移転登記を経由した。 本件B交換の土地交換契約書には,本件B土地の価格が1億7524万0971円であること,本件乙土地の価格が1億8132万0840円であること,本件B土地と本件乙土地の価格の差額607万9869円については,原告が前田製菓に対して交換差金を支払う旨が定められている。 ス本件取得土地の贈与の誓約原告と宏和会設立代表者は,平成10年8月17日付けで,堺市長に対して,宏和会の設立が認可されたときは,別途行っている贈与契約に基づき,本件取得土地を宏和会名義に所有権移転登記を行うことを誓約する旨の所有権移転登記誓約書を作成した。 セ建築確認通知建築主事は,平成10年8月21日,宏和会設立代表者に対して,本件取得土地に建築する特別養護老人ホームが建築基準法6条1項等の規定に適合することを確認する確認通知をした。 ソ宏和会の設立認可申請宏和会設立代表者は,堺市に対して,平成10年9月14日付けで,宏和会の設立の認可を申請した。 タ宏和会の設立認可及び設立登記堺市は,平成10年9月24日付けで,宏和会の設立を認可した。そして,同年10月5日,宏和会の設立登記がされ,宏和会が設立された。 チ宏和会の施設建築工事の着工本件特養老人ホームの建築工事を請け負った大日本土木株式会社大阪支店は,平成10年10月19日建築工事に着工した。 本件特養老人ホームは,平成11年11月22日の建物検査済証の交付を経た。 ツ本件取得土地の寄附(ア) 原告は,宏和会設立後,前記贈与契約(オ(ウ))に基づき本件取得土地を宏和会に寄附すべきところ,すぐに寄附しなかったため,堺市は,原告に対し, 物検査済証の交付を経た。 ツ本件取得土地の寄附(ア) 原告は,宏和会設立後,前記贈与契約(オ(ウ))に基づき本件取得土地を宏和会に寄附すべきところ,すぐに寄附しなかったため,堺市は,原告に対し,平成10年10月下旬から同年11月にかけて,早急に寄附するよう指導し,かつ同年12月には原告を堺市役所に来庁させ,早急に寄附するよう指導した。 (イ) 原告は,上記(ア)の堺市からの指導を受けて,同年12月9日付けで,「土地については税金上の事情により平成11年1月中に寄付します。」と記載した文書を作成し,同文書を堺市に提出した。 (ウ) 原告は,平成11年1月23日付けで,本件取得土地を宏和会に寄附する旨の不動産贈与証書を作成し,同月25日,同月23日寄附を原因とする所有権移転登記を経由した。 以上によれば,原告は,本件交換当時,既に,将来本件取得土地を宏和会に寄附し,同土地上に,特養老人ホームを建設することを予定しており,本件交換は,原告が本件取得土地を宏和会に寄附する目的で行われたと認められる。 (2) 取得資産を譲渡する目的で行われた交換と本件特例の適用の可否ア交換は財産権を移転する契約の一種であるから,売買等と同様に資産の譲渡(法33条1項)に含まれることになり,交換によって生じた譲渡益は,譲渡所得として課税の対象となるのが原則である。もっとも,従前から所有している固定資産を同種の固定資産と交換し,交換取得資産を交換譲渡資産の従前と同様の用途に供しているような場合には,実質的には同一の資産を継続して保有しているに等しく,未だキャピタルゲインが実現していないとみることもできる。また,担税力の観点からみても,交換によってキャピタルゲインに相当する金銭を取得したわけではない当事者に譲渡益について課税することは,酷な結果をもたらすことも予想 が実現していないとみることもできる。また,担税力の観点からみても,交換によってキャピタルゲインに相当する金銭を取得したわけではない当事者に譲渡益について課税することは,酷な結果をもたらすことも予想される。本件特例は,上記のような点を考慮し,①1年以上所有している同一種類の固定資産の交換であること,②交換取得資産が交換のために取得されたものでないこと,③居住者が交換取得資産を交換譲渡資産の譲渡直前の用途と同一の用途に供したこと等の要件を満たす交換につき,譲渡がなかったものとみなして,その時点では譲渡益に対する課税を行わないこととしたと解される。 もっとも,本件特例は,交換譲渡資産の譲渡益を非課税としたものではなく,譲渡益に対する課税を繰り延べたにすぎない。したがって,本件特例の適用を受けた居住者が交換取得資産を後に譲渡した場合は,その時点で交換譲渡資産のキャピタルゲインが現実化したものとして,交換譲渡資産の取得費及び取得時期を基準として譲渡所得を計算し,課税することとしている(法58条5項,所得税法施行令168条)。このように,本件特例は,居住者が交換取得資産を譲渡せずに所有し続けることを前提としたものではなく,むしろ,交換取得資産が後に譲渡される場合のあることを前提としてその要件,効果を定めているということができる。 イ以上のような本件特例の趣旨,目的,内容に照らすと,居住者が交換取得資産を交換譲渡資産の直前の用途と「同一の用途に供した」か否かは,当該各資産の客観的な性状や使用状況に照らして判断すべきであり,交換時において居住者が交換取得資産を交換後に譲渡する目的を有していていたか否かはその判断に影響を及ぼすものでないというべきである。したがって,交換取得資産が,当該資産の客観的な性状,使用状況に照らして,交換譲渡資産の譲渡直前の用 産を交換後に譲渡する目的を有していていたか否かはその判断に影響を及ぼすものでないというべきである。したがって,交換取得資産が,当該資産の客観的な性状,使用状況に照らして,交換譲渡資産の譲渡直前の用途と同一の用途に供されたと認められる場合には,交換時において居住者が交換取得資産を交換後に譲渡する目的を有していたとしても,当該交換は本件特例の適用を受けると解するのが相当である。 ウ被告は,法58条1項にいう「用途」とは継続的な用途のみを意味し,譲渡を予定した暫定的,一時的な用途を含まないから,譲渡目的の交換の場合には,「同一の」用途とはいえず,本件特例の適用はないと主張する。 しかし,本件特例が交換取得資産の将来の譲渡の可能性を前提としていることは前記のとおりであり,法58条1項の文言からみても,交換取得資産を譲渡せずに一定期間所有することは本件特例の要件とはされていない。また,同一の用途に供したか否かは,前記のとおり当該資産の客観的な性状や使用状況に照らして判断すべきであり,居住者が譲渡の目的を有していたか,譲渡せずに継続的に所有する意思を有していたかというような主観的な要素を考慮することは相当ではない。同一の用途に供したかどうかの判定基準につき,所得税基本通達58-6は,資産の種類に応じて所定の区分により判定することとし,土地については,宅地,田畑,鉱泉地,池沼,山林,牧場又は原野,その他の用途区分を定めているが,これは,用途の同一性の基準を上記のような地目類似の客観的な区分に求め,交換取得資産の取得目的等の主観的要素の考慮を排除したものと解することができ,上記の見解を裏付けるものといえる。 被告主張の解釈を前提とすると,譲渡目的で交換をした後に事情が変わって交換取得資産の譲渡が行われず,長期間にわたって交換取得資産を交換譲渡資産 解することができ,上記の見解を裏付けるものといえる。 被告主張の解釈を前提とすると,譲渡目的で交換をした後に事情が変わって交換取得資産の譲渡が行われず,長期間にわたって交換取得資産を交換譲渡資産と同一の用途で使用した場合や,数年後に譲渡する予定で交換を行い,実際に譲渡するまで交換取得資産を交換譲渡資産と同一の用途で継続的に使用した場合には,長期間の継続的使用の事実があるにもかかわらず,譲渡目的の交換で暫定的,一時的な用途であることを理由として本件特例の適用が否定されることになる。他方,交換当時は譲渡の目的はなかったが,交換の直後に譲渡の申込みがあり,短期間で合意が成立して譲渡が行われた場合には,交換取得資産の使用期間が極めて短期間であっても,本件特例の適用が肯定される結果となる。このような結論は,不合理といわざるを得ない。 エまた,被告は,譲渡するために交換した当事者にとって,譲渡目的の交換は,交換譲渡資産の価値を,譲渡のできることが確定した交換取得資産として実現しているのであって,売却した場合と何ら異なるものではなく,実質的に所得が発生したと考えられると主張する。 しかし,交換取得資産の交換価値(時価)に着目する限りにおいては,交換の対価として交換取得資産を取得することにより,交換取得資産の交換価値と交換譲渡資産の取得費との差額について譲渡益(キャピタルゲイン)が発生したと観念することができ,その意味では交換は売買と変わらないのであり,この点は,交換取得資産の譲渡されることが確定しているか否かによって影響を受けるものではない。 本件特例は,このように交換が本来売買と同様に資産の譲渡に当たり,譲渡益を観念し得ることを前提とした上で,一定の要件の下で交換を譲渡とみなさず,譲渡益に対する課税を繰り延べているのであり,被告の上記主張は, は,このように交換が本来売買と同様に資産の譲渡に当たり,譲渡益を観念し得ることを前提とした上で,一定の要件の下で交換を譲渡とみなさず,譲渡益に対する課税を繰り延べているのであり,被告の上記主張は,交換が本来資産の譲渡に当たるという原則論を根拠として,例外規定である本件特例の適用を排除しようとしているにすぎない。 オ前記のとおり,本件特例は,交換譲渡資産の譲渡益に対する課税の繰り延べにすぎず,交換取得資産が譲渡された時点で,交換譲渡資産の譲渡益も含めて課税されることになるから,当初から譲渡の目的を持って交換が行われたとしても,交換特例を利用することによって不当に課税を免れることはできない仕組みとなっている。 もっとも,資産の譲渡益に対する課税については,国,地方公共団体,公益法人に対する寄附の場合や公共事業施行者による買収の場合等,非課税や課税上の優遇措置の対象となることがあり,交換取得資産の譲渡について非課税等の規定の適用がある場合には,交換及びその後の譲渡を通じて,交換譲渡資産の譲渡益に対する課税の全部又は一部が行われない結果となる。本件では,本件取得土地の宏和会への寄附は,租税特別措置法40条1項に該当するものとして国税庁長官の承認を受けた場合には,非課税となり,まさに上記の例に該当する。しかし,このような場合は,交換取得資産の譲渡によって交換譲渡資産のキャピタルゲインも現実化し,本来課税の対象となるべきところ,他の政策的目的のために課税されないというにすぎない。したがって,このような結果を生じるからといって,交換について本件特例の適用を否定する根拠となるものではない。専ら譲渡益に対する非課税等の規定の適用を受ける目的で本来必要のない交換を行い,本件特例を悪用して租税回避を図ったというような場合には,制度を濫用するものとして本 用を否定する根拠となるものではない。専ら譲渡益に対する非課税等の規定の適用を受ける目的で本来必要のない交換を行い,本件特例を悪用して租税回避を図ったというような場合には,制度を濫用するものとして本件特例の適用を否定することもあり得るが,そのような濫用の危険性があることを理由として,譲渡目的の交換について一律に本件特例の適用を否定することは相当とはいえない。 カ以上によれば,交換時において,居住者が交換取得資産を交換後に譲渡する目的を有していたとしても,そのことを理由として本件特例の適用を否定することはできないというべきである。 (3) 本件交換に対する本件特例の適用本件交換は,原告が本件取得土地を宏和会に寄附する目的で行われたものであるが,前記認定事実及び弁論の全趣旨によれば,原告は,本件交換から宏和会に寄附するまでの約5か月間,本件取得土地を,本件譲渡土地の交換直前の用途と同一の用途である宅地として使用しており,本件特例の適用要件を充たすものと認められる。また,原告が本件特例を利用して本来課せられるべき税の負担を免れようとする目的で本件交換を行ったと認めるべき証拠もない。 したがって,本件特例が適用されないとして被告が行った更正処分のうち納付すべき税額531万8500円(当初申告額)を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分は,違法であり取り消されるべきである。 3 よって,被告が平成11年11月15日付けで行った平成10年分所得税の更正処分のうち納付すべき税額531万8500円を超えない部分の取消しを求める訴えは,訴えの利益を欠く不適法な訴えであるから却下することとし,同部分を除く本件処分の取消しを求める原告の請求は理由があるから認容することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法64条ただし書,61条を適用し な訴えであるから却下することとし,同部分を除く本件処分の取消しを求める原告の請求は理由があるから認容することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法64条ただし書,61条を適用して,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第7民事部裁判長裁判官山下郁夫裁判官山田明裁判官小泉満理子
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