平成15(ハ)14918 通話料金請求事件

裁判年月日・裁判所
平成16年7月20日 東京簡易裁判所
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判決文本文4,486 文字)

平成16年7月20日判決言渡平成15年(ハ)第14918号通話料金請求事件口頭弁論終結日平成16年6月22日判決 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は,原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は,原告に対し,金54万4379円及び内金43万7909円に対する平成15年11月1日から支払済みの前日まで年14.5パーセントの割合による金員を支払え。 2 訴訟費用は,被告の負担とする。 3 この判決は,仮に執行することができる。 第2 事案の概要電気通信事業法に基づき許可を受けた第一種電気通信事業者であり,同法第31条に基づく契約約款である電話サービス等契約約款に則り,電気通信事業を営む原告と,被告との間で,別紙記載の契約日及び契約電話番号について,第1種中継電話等の契約を次のとおり締結した。 契約内容: 原告が被告に提供する電話サービス契約について(以下「本件電話サービス等契約」という。),被告は各月の電話サービス利用にかかる料金を請求書に指定する期日まで(当日が土曜・日曜又は祝日の場合は翌営業日)に支払う。 遅延損害金:上記約款の定めにより年14.5パーセント原告は,被告に対し,本件電話サービス等契約にかかる未払通話料金46万3835円,未払延滞利息金8万0544円及び遅延損害金の支払を求めるものである。 第3 主な争点 1 被告は,原告との間で別紙記載の契約電話番号について,本件電話サービス契約を締結したか否か。 2 被告は,訴外Aが本件電話サービス契約をするについて,被告が商法上の名板貸し(商法23条)をしたり,追認したことがあるか否か。 3 被告は,訴外Bが被告の監査役であったことによる表見支配人(商法42条)として,被告の商 電話サービス契約をするについて,被告が商法上の名板貸し(商法23条)をしたり,追認したことがあるか否か。 3 被告は,訴外Bが被告の監査役であったことによる表見支配人(商法42条)として,被告の商号の代理権授与による表見代理(民法109条)の類推適用による責めを負うか否か。 4 仮に訴外Bに被告の商号を第三者に使用許諾する権限がなかったとしても,被告は,代理権踰越の表見代理(民法110条)の類推適用による責めを負うか否か。 第4 当裁判所の判断証拠(甲1号証ないし6号証,乙1号証及び2号証,被告代表者C本人)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 1 争点1及び2について(1) 被告は,昭和61年ころチラシ制作をしていた会社を受け継ぎ,平成13年7月当時は,代表取締役がC,夫のBを監査役に,息子のD及びその妻を取締役とする小規模の同族会社であり,かつ,会社としての実質的な活動は,C1人がコンサルタント業務を行い,現在に至っている。CとBは,昭和45年ころ結婚したが,夫婦仲が悪くなった平成6年ころからBは東京の自宅を出たり入ったりした後,平成9年ころは別居状態となり,平成12年ころからBは,大阪に転居し,自分の設立した会社を構え,Cとは完全に実質離婚の別居状態となった。 その当時,CがBに用事があるときは,本人に直接又は息子のDを通じて連絡は取れていたものの,現在は所在も不明である。Bは,平成11年から今日まで登記簿上は,被告の監査役となっているが,平成12年当時からBはほとんど大阪で住んでおり,会社での監査役としての実体的な活動はまったくなかった。 (2) 本件各電話サービス契約書(甲第1号証及び第3号証)に記載されている被告の印鑑及び社判は,偽造印であることが認められる。実印は,Cが被告会社の金庫に常時保管しており 活動はまったくなかった。 (2) 本件各電話サービス契約書(甲第1号証及び第3号証)に記載されている被告の印鑑及び社判は,偽造印であることが認められる。実印は,Cが被告会社の金庫に常時保管しており,Bが大阪に持ち出したり,Bが持ち出したことをCが承諾したことを認めるに足りる証拠はない。また,被告の会社は,大阪及び京都には支店も営業所もまったくなく,同契約書中の被告の大阪市淀川区や京都の山科区の営業所なるものは,まったく架空のものであり,本件契約書に記載されている被告会社の担当者のAなる者も,Cとは一面識もなく,被告の社員ではないことが認められる(Cの証言及び甲第1号証ないし第3号証)。 特に甲第1号証ないし第2号証によれば,本件各契約書を作成した当時,原告はCはもとより,Bとも店頭での対面及び電話確認をしておらず,社印である実印の印鑑証明も取らず,本件契約書作成者と思われる被告会社の担当者Aなるものが,被告の社員であることの確認をしていないばかりか,合計18回線もの本件電話サービス契約書でありながら,本件各契約書は,原本ではなく,Aからファックスでの申込みを承諾しており,原告には現時点でも両契約書の原本が存在しない。 (3) 本件各電話契約は,平成13年2月ころ,Bが平成12年ころ大阪に仕事の本拠地を移し,株式会社E名で活動中に,大阪で知り合ったAなる者が,被告会社の名前を冒用し,被告名の社印を偽造して合計18回線の本件電話サービス契約書を作成したものと認めることができる。したがって,被告代表者たるCには,当初から本件電話サービス契約を原告と締結する意思はまったくなかったことが認められるから,本件電話サービス契約は成立していないことが認められる。またその後に被告が原告に対し,本件電話サービス契約を追認したことを認めるに足りる証拠はな 締結する意思はまったくなかったことが認められるから,本件電話サービス契約は成立していないことが認められる。またその後に被告が原告に対し,本件電話サービス契約を追認したことを認めるに足りる証拠はない。 (4) 次にBは,上記の状態で大阪で居住していたことが認められるから,被告がBに被告の商号を使用して営業をすることを許諾した事実を推認できるに足りる証拠はないから,被告に商法の名板貸人の責任を認めることは相当でない。この認定に反する原告の主張は採用しない。 なお,原告は,本件電話サービス契約約款第132条により(甲第5号証),本件電話契約者等の利用者(協定事業者の契約者回線から行った通話等)は,理由の如何を問わず,通話料を支払わなければならないと主張するが,本件基本契約が氏名冒用等により,違法に契約された場合については,適用されないものと解するのが相当であるので,原告の主張は採用しない。 2 争点3について(1) 訴外Bが,平成11年当時から現在まで一貫して被告会社の監査役であることは,当事者間に争いはないが,原告は,本件電話サービス契約の設置場所が,被告会社の場所であったこと(甲第6号証),被告代表者であるCや監査役のBは,平成12年ころ被告の実質的に一体か,密接な関連会社である株式会社「F」の取締役でもあり,同社の所在地も被告会社の所在地と同一場所であった(乙第2号証,被告会社登記簿)こと,かつ,平成13年ころ,Bが大阪で設立した会社(E)で同人の従業員であったことが認められるAに対し,大阪で「F」の商号を使用して代理店として営業をすることを認めていたことなど(乙第1号証)から,被告はBに対し,Aが大阪で被告名義を使用して本件電話サービス契約をした際も,実質的に被告会社の支配人以上の権利,義務を与えており,Bは支配人と同質又は ことを認めていたことなど(乙第1号証)から,被告はBに対し,Aが大阪で被告名義を使用して本件電話サービス契約をした際も,実質的に被告会社の支配人以上の権利,義務を与えており,Bは支配人と同質又はそれ以上の権限を与えられていたものであるから,表見支配人(商法42条)と同質であり,それは代理権授与の表示(民法109条)があったものと同質と考えられるので,本件ではそれらの類推ないし拡大解釈が相当であると主張するので検討する。 (2) 上記認定のとおり,平成13年当時,BとCは夫婦関係が破綻し,東京と大阪で別居状態であり,事実上離婚状態であったこと,本件契約はBが,同人の大阪での会社の従業員であったAに被告の社名を冒用することを認め,Aが偽造の印鑑及び社判を使用したものであり,B自身が被告の印鑑を持ち出したものではないこと,原告主張のとおり,平成13年当時,息子のDが被告の関連会社である「F」の代表取締役であり,CやBが同会社の取締役であったこと,BやDが大阪でAに対し,「F」の代理店として営業をすることを認めていた事実があったことが認められることを考慮しても,両社は業種のまったく異なる会社であったこと(C証言,乙第2号証,被告登記簿),被告の大阪や京都の支店は被告会社とはまったく関係のないAが勝手に作り上げた架空の会社であったこと(乙第1号証),BとCは上記夫婦関係及び経営者としての交流の実体がなく,かつ,当時,両名は既に東京と大阪で離婚状態で別居していており,少なくともCがBに対し,被告会社において実質的に理事としての法的責任を与えていた,もしくは事実上承諾していたことを推認することができるに足りる証拠はないなどの事実等を総合的に考慮すると,被告が,Bに表見支配人としての権限を与えていたと類推すること,被告の商号を第三者に使用許諾する くは事実上承諾していたことを推認することができるに足りる証拠はないなどの事実等を総合的に考慮すると,被告が,Bに表見支配人としての権限を与えていたと類推すること,被告の商号を第三者に使用許諾する権限を与えていたと推認できるものとして,同法を類推ないしは拡大解釈することは相当でない。この認定を左右するに足りる他の証拠はない。 よって本件において,表見支配人(商法42条)の類推適用及び代理権授与の表示による表見代理(民法109条)の類推ないし拡大解釈の適用が相当とする原告の主張は採用しない。 3 争点4について原告は,仮にBに被告の商号を第三者に使用許諾する権限がなかったとしても,被告は,代理権踰越の表見代理(民法110条)の類推適用による責めを負うのが相当であると主張するが,上記認定事実のとおり,被告は当初からBに被告の商号を第三者に使用許諾する権限を与えていたと認めるに足りる証拠はないから,原告の主張は理由がない。 4 原告は,被告が,法人の不法行為責任(民法44条)又は,被告の使用者であるBの本件不法行為につき使用者責任(民法715条)を負うと主張するが,前記1及び2の各事実から,B個人やA個人の原告に対する不法行為責任はともかく,被告に対する各不法行為責任の主張は,主張自体失当である。 この事実をもとに判断すると,原告の主張はいずれも理由がない。 よって,主文のとおり判決する。 東京簡易裁判所民事第3室裁判官岡崎昌吾

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