平成9(オ)243 保証金還付

裁判年月日・裁判所
平成10年6月11日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所 平成7(ネ)5008
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判決文本文1,449 文字)

主文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理由 上告代理人鈴木一郎、同吉田瑞彦の上告理由について宅地建物取引業保証協会(以下「協会」という。)の社員と宅地建物取引業に関し取引をした者が、その取引に係る契約における損害賠償額の予定又は違約金に関する定めに基づき取得した損害賠償債権又は違約金債権は、特段の事情がない限り、弁済業務保証金による弁済の対象である宅地建物取引業法(以下「法」という。)六四条の八第一項所定の「その取引により生じた債権」に当たるものであり、協会が、右損害賠償債権又は違約金債権につき、その内部規約において、実損金額を超える部分を弁済業務の対象から除外する旨を定め、「その取引により生じた債権」の内容及び範囲に制限を加え、その認証(同条二項)を拒否することは、許されないと解するのが相当である。その理由は、以下のとおりである。 弁済業務保証金の制度は、営業保証金の代替的な制度であって、宅地建物取引業者(以下「業者」という。)が営業保証金の供託(法二五条)に代えて、それよりはるかに低額な弁済業務保証金分担金(法六四条の九)を納付して協会の社員となれば営業保証金の供託を要しないものとし(法六四条の一三)、業者を結集して集団保証の方法により業者の負担を軽減しつつ、宅地建物取引に関する事故につき取引の相手方を保護する制度である。また、法は、営業保証金及び弁済業務保証金による各弁済の対象債権について、いずれも「その取引により生じた債権」と規定しており(法二七条一項、六四条の八第一項)、他にその内容や範囲を制限することを容認する規定は存しない。したがって、弁済業務保証金による弁済も、営業保証金による弁済も、その対象債権は同一のものと解すべきである。 - 1 - 条の八第一項)、他にその内容や範囲を制限することを容認する規定は存しない。したがって、弁済業務保証金による弁済も、営業保証金による弁済も、その対象債権は同一のものと解すべきである。 - 1 -そして、「その取引により生じた債権」とは、宅地建物取引業に関する取引を原因として発生した債権を意味し、売買契約上の債務不履行に基づく損害賠償債権も含まれると解されるところ、売買契約における損害賠償額の予定や違約金に関する定めは、売買契約上の債務不履行により実際に生じた損害の主張、立証の困難を回避し、紛争を予防することを目的とする特約であって、このような特約は法の是認するものであるから(法三七条一項八号、三八条)、右特約に基づき発生した損害賠償債権又は違約金債権は、特段の事情がない限り、「その取引により生じた債権」に該当することは明らかである。 以上によれば、特段の事情が認められない本件において、被上告人が上告人の社員である業者との間で締結した宅地の売買契約上の特約に基づき発生した本件違約金債権が弁済業務保証金による弁済の対象となるものとし、上告人に対し債権金額一〇〇〇万円につき法六四条の八第二項所定の認証をすることを命じた原審の判断は、正当として是認することができる。原判決に所論の違法はない。論旨は、独自の見解に立って原判決を論難するものであって、採用することができない。 よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官小野幹雄裁判官遠藤光男裁判官井嶋一友裁判官藤井正雄裁判官 遠藤光男裁判官井嶋一友裁判官藤井正雄裁判官大出峻郎- 2 -

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