平成18年(行ウ)第4号休日勤務手当・夜間勤務手当請求事件(以下「4号事件」という。),同第32号未払賃金請求事件(以下「32号事件」という。)口頭弁論終結日平成19年12月5日判決主文 被告は,別紙2認容額表に記載の各原告らに対し,同表の合計額欄に記載の各金員及びこれらに対する同表の起算日欄に記載の各日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 原告A37,38及び同39の請求並びにその他の原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は,原告A37,同38及び同39に生じた費用を同原告らの負担とし,その余の訴訟費用については,4号事件及び32号事件を通じて,これを2分し,その1を原告らの負担とし,その余を被告の負担とする。 事実 及び理由略語例以下に個別に掲げるもののほか,本判決では,別紙3略語例のとおり,略語を用いることがある。 用語例労基法35条に定める「休日」は,勤務時間が割り振られない日(労働義務が課されていない日)を意味するが,本判決では,被告勤務時間条例の用語例に倣い,「週休日」を勤務時間が割り振られない日を意味するものとして用い,「休日」は,平成17年法律第43号による改正前の祝日法に定める休日(以下「祝日」という。)又は毎年12月29日から翌年1月3日までの日(祝日である1月1日を除く。以下「年末年始の休日」という。)について,勤務を要しないとされている日(労基法の通常の用語例によれば,労働義務は課されているが,一般慣行等に照らし,出勤や勤務をせずとも欠勤扱いとされない日の意味で用いられる「休業日」や「休暇」に相当する日)を意味するものとして用いることとする。 第1請求 4号事件被告は,原告Aらに対し,別紙4第4号事件請求額表の合計額欄に記載の各金員及び の意味で用いられる「休業日」や「休暇」に相当する日)を意味するものとして用いることとする。 第1請求 4号事件被告は,原告Aらに対し,別紙4第4号事件請求額表の合計額欄に記載の各金員及びこれらに対する平成18年2月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 32号事件被告は,原告Bらに対し,別紙5第32号事件請求額表の合計額欄に記載の各金員及びこれらに対する同表の起算日欄に記載の各日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要 4号事件は,愛知県稲沢市の消防吏員で管理職手当の支給を受けない職員(以下「非管理職員」という。)である原告Aらが,被告に対し,別紙4第4号事件請求額表の根拠法令欄記載の被告給与条例等に基づき,休日勤務手当,時間外勤務手当及び特殊勤務手当の一種である特殊手当並びにこれらに対する遅延損害金の支払を求め,前記時間外勤務手当の請求が認容されることを解除条件として,予備的に国家賠償法に基づく損害賠償金の支払を求める事案である。4号事件では,休日勤務手当を除き,請求権の発生が争われているほか,主位的請求については,被告が2年間の消滅時効を主張している。なお,原告Aらの勤務状況や手当の計算関係等には争いがない。 32号事件は,愛知県稲沢市の消防吏員のうち管理職手当の支給を受ける職員(以下「管理職員」又は「条例上の管理監督職員」という。)である原告Bらが,被告に対し,別紙5第32号事件請求額表の根拠法令欄記載の労基法37条等に基づき,深夜勤務手当及び時間外勤務手当並びにこれらに対する遅延損害金の支払を求める事案である。32号事件では,いずれも請求原因事実及び手当の計算関係には争いがなく(ただし,原告B1及び同5の週休日又は休日における勤務に対する時間外勤務手当請求のうちの同原 延損害金の支払を求める事案である。32号事件では,いずれも請求原因事実及び手当の計算関係には争いがなく(ただし,原告B1及び同5の週休日又は休日における勤務に対する時間外勤務手当請求のうちの同原告らが日勤者であった時期のものについては,正規の勤務時間中の勤務であるとして,同手当請求権の発生が争われている。),被告が,深夜勤務手当について,被告給与条例上の管理監督職員には同手当を支払わない旨の条例の規定が適用される旨,管理職手当の支給により弁済した旨及び2年間の消滅時効を,時間外勤務手当につき,同様の主張の外,労基法41条の管理監督者に当たる旨主張している。 本件に関連する条例及び規則は,別紙6関係条例等に記載のとおりである。 本件で問題となる被告給与条例,被告勤務時間条例等は,本件に至るまでに数次の改正を経ているが,その規定内容は,同別紙に掲記した限りにおいて,原告らの請求に係る勤務期間についても同じであったものと認められる。 以下では,本件に関連する条例及び規則の摘示をするに当たり,本件消防組合給与条例2条が被告給与条例を準用する旨を規定しているように,準用関係にある条文については,本件消防組合給与条例2条等の準用元の条例等の摘示を省略し,被告給与条例等の準用先の条例等を摘示するにとどめることがある。 争いのない事実等(掲記の証拠により容易に認定できる事実を含む。)(1) 当事者等ア原告らは,いずれも,稲沢市内における消防活動に従事する消防吏員であり,平成14年3月31日までは本件消防組合の職員として,同年4月1日から平成17年3月31日までは本件広域組合の職員として,同年4月1日以降は被告の職員として,それぞれ消防活動及びこれに関連する事務を担当してきた。 本件消防組合は,平成14年4月1日,稲沢市外二町衛生組合及び稲沢 31日までは本件広域組合の職員として,同年4月1日以降は被告の職員として,それぞれ消防活動及びこれに関連する事務を担当してきた。 本件消防組合は,平成14年4月1日,稲沢市外二町衛生組合及び稲沢中島水道企業団と統合されて本件広域組合となり,この際,本件消防組合の債権債務は本件広域組合に承継された。本件広域組合は,平成17年3月31日に解散し,被告は,翌4月1日以降,稲沢市における消防事務を直接所掌することとなったが,この際,本件広域組合の債権債務は,被告に承継された。 イ4号事件の訴え提起時の原告であったSは,平成19年▲月▲日に死亡した。原告A37はSの妻であり,同38及び同39は,その子であるが,ほかにSの相続人はいない。 (2) 原告らの勤務形態原告Aらは,平成12年4月1日から平成17年3月31日まで,原告Bらは,平成12年4月1日から(原告B1にあっては,平成15年4月1日から,原告B5にあっては平成17年4月1日から)平成18年3月31日までの期間において,被告勤務時間条例4条に基づく交替制勤務に従事した(以下,交替制勤務に従事する職員を「交替制勤務職員」という。)。交替制勤務職員の勤務形態は,下表のように,2週間を1単位として勤務日等が定められ,各勤務日(当務日)における拘束時間は,午前8時30分から翌日の午前8時30分までの24時間で,そのうち休憩時間(仮眠時間を含む。)を除く所定勤務時間は,16時間とされており,その詳細は,別紙7勤務形態表に記載のとおりであった(以下「本件勤務形態」という。)。 月火水木金土日月火水木金土日勤非勤非勤非休①休②勤非勤非休①休②(凡例:勤務日=「勤」,勤務日明けによる非番=「非」,週休日1日目=「休①」,週休日2日目=「休②」)原 日月火水木金土日勤非勤非勤非休①休②勤非勤非休①休②(凡例:勤務日=「勤」,勤務日明けによる非番=「非」,週休日1日目=「休①」,週休日2日目=「休②」)原告Bらの請求に係る勤務期間中,原告B1は,平成15年3月31日まで,原告B5は,平成17年3月31日まで,被告勤務時間条例第3条に基づき毎日曜日を週休日と定められている職員(以下「日勤職員」という。)として勤務していた。 (3) 4号事件についてア勤務状況原告Aらは,別紙8原告Aら勤務表に記載のとおり,週休日,勤務日の指定を受けて勤務をした(同表中の「休」は週休日,「勤」は勤務日,「非」は非番であることを示す。)。 同表中の背景色が黄色となっている日は,土曜日と祝日が重なった日,5月4日(祝日),1月1日(祝日)及び年末年始の休日(祝日法による休日である1月1日を除く12月29日から1月3日まで,被告勤務時間条例9条参照)を示すものである。これらの背景色が黄色となっている日における原告Aら各人の欄の背景色が赤色となっているものは,週休日1日目の指定がされたことを示し,背景色が緑色となっているものは,週休日2日目の指定がされたことを示す。また,背景色を赤色又は緑色とする各欄中のⅠは週休日1日目を,同じくⅡは,週休日2日目を示し,同じく各欄中の1は1番勤務の指定を,2は2番勤務の指定を,3は3番勤務の指定を受けていたことをそれぞれ示す(例:「Ⅱ-3」は週休日2日目が指定されており,そのころ3番勤務態勢下にあったことを示す。)。 イ休日勤務手当について原告Aらは,被告給与条例17条1項前段及び同規則16条の5により,「勤務時間条例第9条に規定する祝日法による休日が勤務時間条例第4条及び第5条の規定に基づく週休日に当た」り,当該週休日の直後の て原告Aらは,被告給与条例17条1項前段及び同規則16条の5により,「勤務時間条例第9条に規定する祝日法による休日が勤務時間条例第4条及び第5条の規定に基づく週休日に当た」り,当該週休日の直後の勤務日(これが前記祝日法による休日又は年末年始の休日に当たるときはその直後の勤務日)に,正規の勤務時間中に勤務を命じられた場合,その勤務時間について,休日勤務手当として,同条例17条2項及び同規則16条の6により,勤務1時間当たりの給与額に100分の135の割合を乗じた金額の支給を受けることができる。 しかるに,本件両事務組合は,平成12年4月1日から平成17年1月1日までの祝日のうち,土曜日,5月4日に週休日が指定された場合において,当該休日の直後の勤務日における勤務について前記の休日勤務手当を支給しなかった。前記各場合に係る休日勤務手当の各合計金額は,別紙4第4号事件請求額表の休日勤務手当欄に記載のとおりである。 ウ支給を受けていた給与原告Aらは,平成12年4月1日から平成18年3月31日までの勤務期間について,被告給与条例等による所定の計算によれば,1時間当たりの給与額に100分の135の割合を乗じた金額が別紙8原告Aら勤務表の各休日の時間外勤務手当額欄に記載のとおりとなる給与の支給を受けていた。 (4) 32号事件についてア労基法37条3項に基づく深夜勤務手当請求に関する勤務状況原告Bらは,平成12年4月1日から平成18年3月31日までの期間において,別紙9原告Bら夜間勤務表の各夜間勤務時間合計欄に記載の時間数の勤務を午後10時から翌日午前5時までの間(以下「深夜時間帯」という。)に行った(後記の仮眠時間中の出動に係る時間を除く。)。 イ労基法37条1項に基づく時間外勤務手当請求に関する勤務状況原告Bらは,前記期間において, 日午前5時までの間(以下「深夜時間帯」という。)に行った(後記の仮眠時間中の出動に係る時間を除く。)。 イ労基法37条1項に基づく時間外勤務手当請求に関する勤務状況原告Bらは,前記期間において,仮眠時間中に,別紙10原告Bら仮眠時間出動表の各実働時間欄に記載の時間数の火災出動,警戒出動,救急支援,調査出動を行った。 ウ被告給与条例16条1項等に基づく時間外勤務手当請求に関する勤務状況原告Bらは,平成12年6月から平成18年1月までの期間の週休日について,別紙11原告Bら週休日等勤務表の各業務内容欄に記載の各種訓練等の行事に参加したものであるが,これらの行事に参加した時間数は,同表の各実働時間欄に記載のとおりである(ただし,平成12年11月3日における原告B1及び原告B5の勤務は,祝日におけるものであって,同日について週休日の指定を受けていたものではない。なお,平成13年11月3日は,土曜日であるところ,この当時,同原告らは日勤者として,週休日の指定を受けていたものと認められる。)。 エ支給を受けていた給与原告Bらは,平成12年4月1日から平成18年3月31日までの勤務期間について,被告給与条例等による所定の計算によれば,1時間当たりの給与額に,100分の25の割合を乗じた金額が別紙9原告Bら夜間勤務表の各1時間当たりの割増額欄に記載の給与,100分の125又は150の割合を乗じた金額が別紙10原告Bら仮眠時間出動表及び別紙11原告Bら週休日等勤務表の各時間給欄のとおりとなる給与の支給を受けていた。 また,原告Bらは,消防吏員のうち,管理職員として,被告給与条例10条1項に基づき,別紙12原告Bら給与表記載のとおり,給料(基本給)のほか,管理職手当の支給を受けていた。 (5) 給与の支給日等(乙6,12,14,15)原告らの 管理職員として,被告給与条例10条1項に基づき,別紙12原告Bら給与表記載のとおり,給料(基本給)のほか,管理職手当の支給を受けていた。 (5) 給与の支給日等(乙6,12,14,15)原告らの給与の計算期間は,当月の1日から末日までとされており,当月分の給与の支給日は,当月21日(21日が休日,土曜日及び日曜日に当たるときは,21日に最も近い日で,休日,土曜日又は日曜日でない日)とされていた(給与条例9条1項,被告給与規則2条1項)。ただし,当月の勤務において発生した時間外勤務手当,夜間勤務手当,休日勤務手当及び特殊手当は,その翌月の給与の支給日に支給することとされていた(被告給与規則16条,本件消防組合特殊勤務手当規則3条,本件広域組合特殊勤務手当規則3条)。 4号事件の当事者の主張(1) 休日勤務手当請求についてア請求原因の法的構成(請求原因事実及び請求額の計算関係には争いがない。)争いがない事実等(3)ア・イのとおりであるから,原告Aらは,被告に対し,被告給与条例17条1項及び同規則16条の5並びに同条例17条2項及び同規則16条の6に基づき,別紙4第4号事件請求額表の休日勤務手当欄に記載の各金員及びこれらに対する各支払期限の後の日である平成18年2月10日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 イ消滅時効の抗弁原告Aらが休日勤務手当の支払を求める4号事件の訴え提起日は平成18年1月26日であるところ,原告Aらの請求に係る休日勤務手当のうち,支払期限が平成16年1月25日以前に到来するものについては,地方自治法236条,労基法115条に基づき,2年が経過したことにより時効消滅する。 ウ消滅時効の抗弁に対する同抗弁主張の信義則違反の再抗弁本件において,被告は,自らが定めた被告給与 については,地方自治法236条,労基法115条に基づき,2年が経過したことにより時効消滅する。 ウ消滅時効の抗弁に対する同抗弁主張の信義則違反の再抗弁本件において,被告は,自らが定めた被告給与条例,被告給与規則に反して,又は正しい解釈,運用基準に反する取扱いを行って,原告らの正当な権利の享受を妨害し続けてきた。また,消防職員たる原告らは,職員団体を結成して当局と交渉する権利を含めて労働三権がすべて奪われており,ILOの勧告に従って設置された消防職員委員会もこれらの代替手段となるものではない上,同委員会に対する原告らの申立てが取り上げられるに至らなかったといった事情もある。また,原告らは,封建的で,自由にものがいえない職場に勤務していたものであるから,条例に反する取扱いを是正することができなかった。 また,原告Aらは,平成15年以降,本件広域組合に対し,前記の取扱いが間違いであることを指摘し,休日勤務手当の支給を要求してきた。本件広域組合は平成16年に至り,前記の取扱いが間違いであり,支払義務があることを認めたが,予算がないことを理由に支払を拒絶してきた。前記の事実は,平成17年4月1日以降,被告が,5月4日と週休日が重なった者について,休日勤務手当を支給した事実(なお,平成17年4月1日以降から現在までの間に,祝日と週休日が重なった日はない。)によって裏付けられる。 以上の事実関係によれば,被告が消滅時効の主張をすることは信義則に反する。 エ消滅時効主張の信義則違反の再抗弁に対する被告の反論本件両事務組合又は被告が原告らの権利行使を積極的に妨げたという事情はなく,原告らは,いつでも訴訟を提起して本件請求を行うことが可能であった。 よって,被告が本件請求について消滅時効の主張をすることは信義則に反しない。 (2) 時間外勤務手 極的に妨げたという事情はなく,原告らは,いつでも訴訟を提起して本件請求を行うことが可能であった。 よって,被告が本件請求について消滅時効の主張をすることは信義則に反しない。 (2) 時間外勤務手当請求についてア請求原因の法的構成(手引きの適用の有無に係るものを除き,請求原因事実及び請求額の計算関係には争いがない。)(ア) 原告Aらの主張a年末年始の休日に週休日が指定される場合,本件手引3項(2)①イが適用され,休日を優先し,別の日に週休日の指定をしなければならないが,後記のとおり,実際にはそれができないため,直近の勤務日に週休日の振替がされたとみなされ,同勤務日における勤務が週休日における勤務とみなされる結果,原告Aらは,時間外勤務手当の支給を受けることができる。 b本件手引が原告Aらに適用されることについて被告勤務時間規則30条は,「この規則に規定するもののほか,職員の勤務時間,休日及び休暇に関し必要な事項は,市長が定める。」とし,かかる規則による委任を受けて,被告市長は,年末年始の休日に週休日が指定される場合の取扱いについて,本件手引3項(2)①イにおいて,前記aのとおりに定めた。 他方,本件消防組合勤務時間条例及び同規則並びに本件広域組合勤務時間条例及び同規則は,前記取扱いについて,いずれも直接の規定を置かず,本件消防組合勤務時間規則23条及び本件広域組合勤務時間規則30条は,被告勤務時間規則30条と同様に,必要な事項を定めることを管理者に委任した。そして,本件両事務組合の各管理者は,本件手引に相当するような独自の規定を設けずに被告の例に倣ってきたものである。また,本件消防組合勤務時間条例及び本件広域組合勤務時間条例は,被告勤務時間条例を全面的に準用しており,本件消防組合勤務時間規則及び本件広域組合勤務時間規則の けずに被告の例に倣ってきたものである。また,本件消防組合勤務時間条例及び本件広域組合勤務時間条例は,被告勤務時間条例を全面的に準用しており,本件消防組合勤務時間規則及び本件広域組合勤務時間規則の各内容は,被告勤務時間規則とほぼ同内容であったものである。さらに,本件手引が原告Aらの所属長に配布されており,本件消防組合は,平成5年4月1日に週休2日制を導入するまでは,年末年始の休日と週休日とが重なった場合に,直近の翌勤務日に休日勤務手当を支給してきた。 以上によれば,本件手引は,少なくともその3項(2)①イに関する限り,原告Aらの週休日の指定のあり方に関する規範性を有する規定として,原告Aらに適用されると解すべきである。 c本件手引の適用の効果について本件手引3項(2)①イによれば,年末年始の休日に週休日が指定されることとなる場合には,休日(本件手引6項により,年末年始の休日も本件手引3項(2)①イの「休日」と解することとなる。)が優先され,週休日は別の日に指定されることになる。しかし,本件両事務組合は,週休2日制による年間104日の週休日を確保できる数の消防吏員を擁してきたが,これに加えて祝日と年末年始の休日の合計である20日分について勤務を免除するに足りるだけの人員の確保まではしてこなかった。とすると,原告Aらは,年末年始の休日に週休日が指定されることになって,その後,他の日に週休日の指定を振り替えられることになったとしても,人員数が少ないため,当該振替に係る日に勤務することを余儀なくされるから,現実的には週休日の振替を行う意味が乏しいことになる。また,実際に,本件両事務組合の管理者ないし原告Aらの所属長は,原告Aらについて,年末年始の休日に週休日が指定されることとなった場合に,週休日を指定し直すことはなかった。 このような いことになる。また,実際に,本件両事務組合の管理者ないし原告Aらの所属長は,原告Aらについて,年末年始の休日に週休日が指定されることとなった場合に,週休日を指定し直すことはなかった。 このような週休日振替に係る状況に照らせば,年末年始の休日に週休日が指定されることとなった場合,当該休日の翌勤務日における勤務が週休日における勤務とみなされ,当該翌勤務日における勤務について,被告給与条例16条2項2号の時間外勤務手当が支給されることになると解すべきである。 d小括以上より,年末年始の休日に週休日が指定された場合,原告Aらは,被告給与条例16条1項に基づく時間外勤務手当として,同条例16条2項2号及び同規則16条の2第2号により,勤務1時間当たりの給与額に100分の135の割合を乗じた金額の支給を受けることができる。 しかるに,本件両事務組合は,原告Aらに対して,年末年始の休日に週休日が指定されることとなる場合に,その翌勤務日における勤務について時間外勤務手当を支給しなかった。 よって,原告Aらは,被告に対し,前記条例等に基づき,別紙4第4号事件請求額表の時間外勤務手当欄に記載の各金員及びこれらに対する各支払期限の後の日である平成18年2月10日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 (イ) 被告の反論a原告Aらに本件手引の適用はないことについて(a) 本件手引は,被告の職員に対して適用されるものであるから,平成17年3月31日以前の被告の職員となる前の原告Aらに対して,本件手引が適用されることはない。 すなわち,被告は,普通地方公共団体たる市であるのに対し,原告Aらが平成17年3月31日以前に所属していた本件両事務組合は,いずれも特別地方公共団体である一部事務組合であって,各々の長はその地位と職務 わち,被告は,普通地方公共団体たる市であるのに対し,原告Aらが平成17年3月31日以前に所属していた本件両事務組合は,いずれも特別地方公共団体である一部事務組合であって,各々の長はその地位と職務権限の根拠を異にしている。そして,本件手引は,被告の市長が,その地位において,被告勤務時間規則30条に基づいて,被告の職員を適用の対象として定められたものであるから,被告とは別組織である特別地方公共団体の職員であった原告Aらに対して,本件手引が適用される余地はない。 なお,被告市長と本件両事務組合の各管理者を同一人が兼務していたとしても,前記の理に変わりはないし,本件手引が原告Aらの所属長らに対して配布されたのは,本件広域組合がその職員の出退勤管理や休暇届出のために用いる書式を作成する上での参考資料とするために過ぎない。 (b) 本件手引等にいう「特別の形態によって勤務する必要のある職員」の週休日の指定に関する本件手引3項(2)は,その柱書において,「平成5年4月4日を初日とする4週間(週休日基本期間)及びこれに引き続く4週間ごとの期間で,次の方法で指定する。(交替制勤務職員の週休日は,勤務割振りの中で定める。)」と規定している(甲1)。そして,原告Aら消防吏員の週休日の指定は毎年4月1日を初日とする周期で定められており,また,原告Aら消防吏員は,「特別の形態によって勤務する必要のある職員」のうち交替制勤務職員であるから,前記規定の文言に照らせば,本件手引3項(2)柱書及びこれに続く,①から③までの週休日の指定方法に関する規定が適用されないことは明白である。 (c) 以上より,本件手引は,その3項(2)①イの限度においても,原告Aらに適用されることはない。 b本件手引の適用の効果について前記aの点を措くとしても,本件手引3項(2)①イは 明白である。 (c) 以上より,本件手引は,その3項(2)①イの限度においても,原告Aらに適用されることはない。 b本件手引の適用の効果について前記aの点を措くとしても,本件手引3項(2)①イは,週休日を再度指定する際の基準を定めたに過ぎず,具体的な週休日の指定があってはじめて,当該指定にかかる日が週休日となるものである。また,本件手引3項(2)①イは,具体的に振替に係る週休日をいつにするかを定めておらず,週休日の振替を擬制する根拠はもとより,その擬制にかかる結果すら明らかではない。 したがって,年末年始の休日に週休日が指定されることとなった場合,他の勤務日における勤務を週休日における勤務と同視すべきである旨の原告Aらの主張は誤りである。 c小括以上より,原告Aらについて,年末年始の休日に週休日が指定された場合において,被告給与条例16条1項等に基づく時間外勤務手当が発生することはない。 イ消滅時効の抗弁前記(1)イと同旨ウ消滅時効の抗弁に対する同抗弁主張の信義則違反の再抗弁前記(1)ウと同旨エ消滅時効主張の信義則違反の再抗弁に対する被告の反論前記(1)エと同旨(3) 国家賠償法に基づく損害賠償請求についてア原告Aらの主張前記(2)アのとおり,原告Aらの勤務日等の指定のあり方について,本件手引3項(2)①イが適用になることから,管理者は,年末年始の休日に週休日が指定されることとなった場合には,年末年始の休日を優先し,週休日を別の日に指定し直す義務を負担していた。しかるに,原告Aらの管理者又は任命権者は,かかる義務を怠り,これにより,原告Aらは,週休日として勤務を免除されるべきである日に,通常の勤務を余儀なくされた。 そして,かかる管理者又は任命権者による違法行為により,原告Aらは,前記(2)アの時間外勤務手当相 ,これにより,原告Aらは,週休日として勤務を免除されるべきである日に,通常の勤務を余儀なくされた。 そして,かかる管理者又は任命権者による違法行為により,原告Aらは,前記(2)アの時間外勤務手当相当額の損害を被った。 よって,原告Aらは,被告に対し,前記(2)アの主張に係る時間外勤務手当請求が認容されることを解除条件として,国家賠償法1条に基づき,別紙4第4号事件請求額表の時間外勤務手当欄に記載の各金額の損害賠償金の支払を求める。 イ被告の反論本件手引が,本件両事務組合の職員に対して適用されないことは,前記(2)イのとおりであり,本件両事務組合の各管理者は,原告Aらが主張するような週休日を指定し直す義務を負うものではない。また,年末年始の休日に関する取扱いについて,原告Aらと日勤者との間に,不均衡はない。 したがって,年末年始の休日に週休日が指定されることとなった場合に,週休日を他の日に指定し直さなかったことが,国家賠償法上違法の評価を受けることはない。 原告Aら主張の損害の発生は否認する。 (4) 特殊手当請求についてア請求原因の法的構成(請求原因事実及び請求額の計算関係には争いがない。)(ア) 原告Aらの主張原告Aらは,昼夜を問わず24時間の拘束を余儀なくされ,仮眠時間中にあっても出動をいつ命じられるか分からない状況下に置かれるという過酷な勤務に従事する。 本件消防組合特殊勤務手当条例2条及び同規則2条,並びに広域事務組合特殊勤務手当条例2条及び同規則2条に規定された特殊手当は,原告Aら消防吏員が,昼間の勤務に従事するだけの日勤者に比べて,このような過酷な勤務に従事することの代償としての性格を有するものと解すべきであって,深夜勤務手当とは,手当の趣旨も条例上の根拠も異なるものである。 そして,原告Aらは,別紙8原告Aら勤務 比べて,このような過酷な勤務に従事することの代償としての性格を有するものと解すべきであって,深夜勤務手当とは,手当の趣旨も条例上の根拠も異なるものである。 そして,原告Aらは,別紙8原告Aら勤務表に記載されたとおりの勤務を行い,1回の勤務について,仮眠時間も含め,24時間の拘束を受けたものである。 したがって,原告Aらは,1回(1夜)の勤務について,500円の特殊手当の支給を受ける権利を有するにもかかわらず,本件両事務組合は,原告Aらに対して,特殊手当の支給をしてこなかった。 よって,原告Aらは,被告に対し,前記条例等に基づき,別紙4第4号事件請求額表の特殊手当欄に記載の各金員及びこれらに対する各支払期限の後の日である平成18年2月10日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 (イ) 被告の主張本件消防組合は,昭和57年3月31日まで,深夜にかかる勤務時間について,労基法に定める深夜勤務手当を支給しなかったものであるが,特殊手当は,かかる深夜勤務手当の代償としての性格を有するものである。本件消防組合は,かかる理解の下で,交替制勤務職員に対して,特殊手当を支給してきたものであるが,その後,昭和57年4月1日から,非管理職員の交替制勤務職員に対して,深夜時間帯における勤務(以下「深夜勤務」という。)について,労基法に基づく深夜勤務手当を支給する代わりに,特殊手当を支給しないこととした。本件広域組合は,前記の本件消防組合の取扱いを踏襲してきたものであるが,同日以降,平成15年度の消防職員委員会まで,原告Aらを含む消防吏員から,かかる取扱いについて異議が述べられることはなかった。 その後,本件広域組合は,特殊手当が深夜勤務手当の代償であることを明確にするため,平成16年4月1日施行の本件広域組合特殊勤務手当 防吏員から,かかる取扱いについて異議が述べられることはなかった。 その後,本件広域組合は,特殊手当が深夜勤務手当の代償であることを明確にするため,平成16年4月1日施行の本件広域組合特殊勤務手当規則において,特殊手当の支給対象者から管理職員以外の交替制勤務職員を除外する改正を行った。 以上のように,特殊手当は,深夜勤務手当の代償として支給される趣旨であることが明らかであるから,昭和57年4月1日以降の深夜にかかる勤務について深夜勤務手当の支給を受けている原告Aらが,特殊手当の支給を受けることはできず,原告Aらの請求には理由がない。 イ消滅時効の抗弁前記(1)イと同旨ウ消滅時効の抗弁に対する同抗弁主張の信義則違反の再抗弁前記(1)ウと同旨エ消滅時効主張の信義則違反の再抗弁に対する被告の反論前記(1)エと同旨 32号事件の当事者の主張(1) 労基法37条3項に基づく深夜勤務手当請求について(仮眠時間を含まない所定勤務時間中のもの)ア請求原因の法的構成(請求原因事実及び請求額の計算関係には争いがない。)原告Bらは,労基法37条3項の定める午後10時から午前5時までの深夜時間帯において,別紙9原告Bら夜間勤務表に記載のとおりの勤務をしたものであるから,同項に基づく深夜勤務手当として,勤務1時間当たりの給与額に100分の25の割合を乗じた金額の支給を受けることができる(後記(2)の請求に係る仮眠時間中の勤務は含まれていない。)。 しかるに,被告及びその前身である本件両事務組合は,原告Bらに対し,深夜勤務手当を支給しなかった。 よって,原告Bらは,被告に対し,労基法37条3項に基づき,別紙5第32号事件請求額表の深夜手当欄に記載の各金員及びこれらに対する各支払期限の後の日である平成18年5月29日から(請求拡張分については, ,原告Bらは,被告に対し,労基法37条3項に基づき,別紙5第32号事件請求額表の深夜手当欄に記載の各金員及びこれらに対する各支払期限の後の日である平成18年5月29日から(請求拡張分については,同請求額表に記載のとおり,各支払期限の後の日である平成18年11月3日から)支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 イ条例上の管理監督職員の抗弁(ア) 被告の主張原告Bらが支給を受けている管理職手当は,後記ウ(ア)のとおり,深夜勤務手当,時間外勤務手当及び休日勤務手当に相当する分を含むものであり,これを受けて,被告給与条例10条3項が,条例上の管理監督職員に対して,深夜勤務手当を支給しない旨を定めている。 原告Bらの給与は,条例に基づいて支給されるべきであるから(地方自治法25条1項参照),原告Bらには深夜勤務手当の支給を受ける権利はない。 (イ) 原告Bらの反論管理職手当には,後記ウ(イ)のとおり,深夜勤務手当に相当する分が含まれているとはいえず,被告給与条例10条3項は,労基法41条2号の「監督者若しくは管理の地位にある者」(以下「労基法上の管理監督者」という。)についても適用を除外していない深夜業による割増賃金に係る労基法の規定に反し無効であるから,被告の抗弁は失当である。 ウ弁済の抗弁(ア) 被告の主張前記イ(ア)の点を措くとしても,以下のとおり,原告Bらの請求にかかる深夜勤務手当は,管理職手当の支給により弁済済みである。 a労基法37条所定の割増賃金を支給するに際しては,必ずしも同条所定の計算方式によることを要するものではなく,かかる計算方法による金額を上回るものである限り,割増賃金として定額の手当を支払うことも許されると解すべきである。 b行政実例行政実例によれば,管理職手当は労基法37条に とを要するものではなく,かかる計算方法による金額を上回るものである限り,割増賃金として定額の手当を支払うことも許されると解すべきである。 b行政実例行政実例によれば,管理職手当は労基法37条に規定する深夜の割増賃金に相当する額を含むように定めることが適当であるとされているところ,被告給与条例10条1項に基づく管理職手当は,かかる行政実例に倣って金額を定められたものである。 c国家公務員との対比俸給の特別調整額の支給を受ける国家公務員に対して,一部の例外を除き,超過勤務手当,休日給及び夜勤手当が支給されないこととされていることから明らかなように,俸給の特別調整額には,前記超過勤務手当等に相当する分が含まれている。そして,被告給与条例10条1項に基づく管理職手当は,国家公務員の俸給の特別調整額に倣って金額を定めたものである(例えば,被告の副主幹相当職に対して支給される管理職手当の金額は,一般行政職の国家公務員のうち職務の級を4級,区分を五種とする者に対して支給される俸給の特別調整額と同額である。)。 地方公務員の給与に関する均衡の原則(地方公務員法24条3項)については,給与事務の運用上,国家公務員の給与に準ずることによって,その趣旨が実現されるものと解すべきである。 また,国土交通省航空管制部の次席航空管制官など,国家公務員の中にも交替制勤務に従事する者で俸給の特別調整額の支給を受ける管理職員が存在する。同部には同管制官と同等の課長相当職である先任航空管制官と課長がおり,後二者は,交替制勤務には従事しないものの,三者間に俸給の特別調整額の差異は設けられていない。 d民間事業者における役職手当との対比愛知県経営者協会の会員企業995社のうち275社において,課長相当職及び係長相当職に対してそれぞれ支給されている役職手当の全業 額の差異は設けられていない。 d民間事業者における役職手当との対比愛知県経営者協会の会員企業995社のうち275社において,課長相当職及び係長相当職に対してそれぞれ支給されている役職手当の全業種平均額と被告給与条例10条1項に基づく管理職手当の金額を対比すると,以下のとおりである。 ・民間事業者課長相当職4万4236円係長相当職1万6528円・被告課長相当職6万2300円副主幹相当職4万6300円かかる対比によれば,民間事業者の課長相当職に対して深夜勤務手当が支給されるとしても,その役職手当と被告課長職に対する管理職手当の差額である1万8000円余りは,原告Bらの請求に係る深夜勤務手当の金額を吸収して余りある額といえる。 また,被告の主幹・副主幹は,民間事業者でいえば,課長補佐級の職位にあり,民間事業者の係長相当職よりも若干上位の職位であるところ,被告の副主幹相当職に対して支給される管理職手当と民間事業者の係長相当職に対して支給される役職手当の差額である3万円弱は,時間外勤務手当及び休日勤務手当に深夜勤務手当を加味したとしても,原告Bらの請求にかかる時間外勤務手当及び深夜勤務手当を吸収して余りある金額といえる。 eこれらに加え,原告Bらに対して支給されてきた管理職手当の額は,原告Bらの請求に係る時間外勤務手当及び深夜勤務手当が支払われたと想定した場合の合計支給額を優に上回る(平成16年度及び平成17年度を通算すると,原告らに支給された管理職手当に占める原告Bらの請求に係る金額の割合は,30%前後にとどまっている。)。なお,日勤者である条例上の管理監督職員の所定勤務時間外及び週休日における勤務時間数は,原告Bらのそれを遙かに上回っている。 f以上によれば,原告Bらの請求に係る深夜勤務手当が管理職手当の支給により お,日勤者である条例上の管理監督職員の所定勤務時間外及び週休日における勤務時間数は,原告Bらのそれを遙かに上回っている。 f以上によれば,原告Bらの請求に係る深夜勤務手当が管理職手当の支給により弁済済みであることは明らかである。 (イ) 原告Bらの反論a(a) 被告は,原告Bらに支給された管理職手当には,時間外勤務手当,深夜勤務手当及び休日勤務手当に相当する分が含まれるとして,原告Bらの請求に係る深夜勤務手当は,管理職手当の支給により弁済済みであると主張する。 しかし,割増賃金を労基法37条所定の計算方式によらないで支給する場合には,給与支給の形式上,割増賃金部分とそれ以外の賃金部分とが明確に区別でき,かつ,割増賃金部分が時間外労働に対する対価としての実質を有するものとして,労基法で計算した割増賃金の額を上回ることが必要である。しかるに,被告は,原告Bらに支給された管理職手当が深夜勤務手当分や時間外勤務手当分を含むとの計算根拠を示しておらず,給与条例上も支給の形式上も,割増手当部分とそれ以外の役職手当等の部分が明確に区別されているものでもない。 (b) また,管理職手当は,日勤者である条例上の管理監督職員についても等しく支給されていることに照らすと,管理職手当には,そもそも時間外勤務や深夜勤務に対する対価としての実質がなく,そのほぼ全額が管理職員としての職責の重さに対して支給されるものというべきである。現に,原告Bらは,火災現場における小隊長として,現場指揮に当たるなどの重責を果たしてきたものである。 b被告は,地方公務員の給与の取扱いに関する行政実例や国家公務員のうち給与の特別調整額を受ける者との対比をもその主張の根拠として指摘する。 しかし,かかる被告の指摘は,国家公務員と地方公務員にそれぞれ適用される法令の違いを看過して に関する行政実例や国家公務員のうち給与の特別調整額を受ける者との対比をもその主張の根拠として指摘する。 しかし,かかる被告の指摘は,国家公務員と地方公務員にそれぞれ適用される法令の違いを看過している。被告の管理職手当と国家公務員に支給される給与の特別調整額が同額であるからといって,国家公務員のうち同調整額の支給を受けるものと同様に時間外勤務手当,深夜勤務手当及び休日勤務手当を支給しなくてよいということにはならない。 c以上より,原告Bらの請求に係る深夜勤務手当は,管理職手当の支給により弁済されたということにはならない。 エ消滅時効の抗弁原告Bらの請求に係る深夜勤務手当のうち支払期限が平成16年5月18日以前に到来するものは時効により消滅した。 オ消滅時効主張の信義則違反の再抗弁前記4(1)ウと同旨カ消滅時効主張の信義則違反の再抗弁に対する被告の反論前記4(1)エと同旨(2) 労基法37条1項に基づく仮眠時間中の出動に対する時間外勤務手当(以下「時間外手当A」という。)請求についてア請求原因の法的構成(請求原因事実及び請求額の計算関係には争いがない。)原告Bらは,仮眠時間とされている時間帯において,別紙10原告Bら仮眠時間出動表に記載のとおり,所定勤務時間を超えて,火災等が発生したことによる緊急出動をしたものであるから,労基法37条1項に基づく時間外勤務手当として,勤務1時間当たりの給与額に100分の125(深夜時間帯にかかる出動については,労基法施行規則20条1項により100分の150)の割合を乗じた金額の支給を受けることができる。 しかるに,本件両事務組合は,かかる仮眠時間中の出動について,時間外勤務手当を支給しなかった。 よって,原告Bらは,被告に対し,労基法37条1項に基づき,別紙5第32号事件請求額表の時間 ができる。 しかるに,本件両事務組合は,かかる仮眠時間中の出動について,時間外勤務手当を支給しなかった。 よって,原告Bらは,被告に対し,労基法37条1項に基づき,別紙5第32号事件請求額表の時間外手当A欄に記載の各金員及びこれらに対する各支払期限の後の日である平成18年11月3日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 イ管理監督者の抗弁(ア) 被告の主張a時間外手当Aの請求に対する労基法上の管理監督者の抗弁(a) 原告Bらが担っている以下の職務内容から明らかなように,原告Bらは,勤務条件の決定やその他の労務管理について,任命権者である消防長の職務の一部を代行して,これと一体的な立場にあったものである。 ①年度当初において,他係の主幹及び副主幹と調整の上,所属職員の週休日の割振り・指定の業務を実質的に行う。 ②年度当初において,所属職員の担当事務(水利,防火査察,統計等)の指名業務を行う。 ③所属職員から年次有給休暇の届出があった場合,人員を把握し,割振りを実施して,必要に応じて取得日の調整や時季変更権の行使等の事務を実質的に執り行う。また,病気休暇,特別休暇,介護休暇及び組合休暇の承認申請があった場合も,人員を把握し,割振りを実施して,同申請の承認事務を実質的に執り行う。 ④当務日における各消防車両への搭乗人員の配置を行う。 ⑤主幹及び副主幹より上位である課長以上の職位者は日勤となり,かつ,土日・祝日には出勤しないため,これにより課長以上の者が不在となる勤務時間及び仮眠時間において,当務職員に対して,災害出動に伴う時間外勤務命令を発したり,休憩時間の繰り上げ,繰り下げの指示を発する。 ⑥消防士から消防副士長へ,消防副士長から消防士長への昇任試験に当たり,所属職員の勤務評定を行い,勤務評 て,災害出動に伴う時間外勤務命令を発したり,休憩時間の繰り上げ,繰り下げの指示を発する。 ⑥消防士から消防副士長へ,消防副士長から消防士長への昇任試験に当たり,所属職員の勤務評定を行い,勤務評定表を提出する。 ⑦所属職員の時間外勤務について,事案終了書を確認し,時間外勤務命令簿への記載事務を行う。 ⑧当務日の人員及び機械器具等の異常の有無を把握する業務を行う。 ⑨火災現場における統括指揮者は現場指揮者であるところ,現場指揮者には,分隊で活動する場合は分隊長,小隊で活動する場合は小隊長,中隊で活動する場合は中隊長が当たるが,中隊長不在の場合は小隊長が当たることとされている。分隊長及び小隊長には主幹・副主幹が当たり,中隊長には課長が当たることとなっている。このため,主幹・副主幹は,分隊ないし小隊で活動する場合,課長が不在である土日・祝日及び夜間において,火災現場において,消防活動全般の指揮,情報収集及び災害状況の把握,隊員の安全確保,隊の増強又は削減の決定,並びに火勢鎮圧及び鎮火の決定を行う。 (b) また,原告Bらは,割り振られた勤務時間以外にも管理職員としての補勤対応が続き,休憩時間や仮眠時間がまったくとれなくなることもあり,その勤務態様は,労働時間や休暇等に関する労基法の規制になじむものではない。そのため,原告Bらの出退勤については,タイムカードや出勤簿による管理はされておらず,課長等の上司による点呼や確認もない。 (c) そして,原告Bらに対しては,被告給与条例10条1項に基づく管理職手当が支給されているところ,かかる管理職手当の金額は,労働時間や休暇等に関する労基法の規制の枠を超えて活動することが要請される原告Bらの職責に十分見合った待遇である。 すなわち,平成19年時点のものではあるが,管理職手当の金額は,主幹が 当の金額は,労働時間や休暇等に関する労基法の規制の枠を超えて活動することが要請される原告Bらの職責に十分見合った待遇である。 すなわち,平成19年時点のものではあるが,管理職手当の金額は,主幹が4万9600円,副主幹が4万6300円であり,定率制が採用されていた本件両事務組合時代の管理職手当の金額もこれと同水準であった。そして,かかる金額は,前記(1)イdで主張したように,時間外勤務手当及び休日勤務手当の支給がない民間企業の課長相当職の役職・職責手当の全業種平均額である4万4236円を優に上回るものであり,かつ,深夜勤務手当を吸収して余りある金額である。 (d) 以上から明らかなように,原告Bらは,労基法41条2号の管理監督者に当たるから,原告Bらの時間外手当Aの請求には理由がない。 b条例上の管理監督職員の抗弁被告給与条例10条3項は,原告Bらを含む条例上の管理監督職員に対して,時間外勤務手当等を支給しない旨を定めている。したがって,被告給与条例10条3項によれば,原告Bらは,深夜勤務による分を含めて時間外手当Aの支給を受ける権利を有しない。 (イ) 原告Bらの反論a労基法上の管理監督者の抗弁に対する反論原告Bらは,部長(消防長),次長(署長),課長に次ぐ主幹又は副主幹の職位にとどまる者であり,上司の命を受けて所属職員を指揮し,所管職務を処理するのみであって(稲沢市消防署の組織等に関する規程5条5項,甲14),消防本部の行政運営の基本方針や重要施策等について審議する庁議の構成員ではなく(稲沢市消防本部庁議規程3条,甲16),任命権者ないし管理者(平成17年4月1日以降については市長)と一体的な地位にあるとはいえない。 また,原告Bらには,出退勤時間を上司に管理され,勤務時間中に庁舎外に出ることを禁じられているなど,出退勤 権者ないし管理者(平成17年4月1日以降については市長)と一体的な地位にあるとはいえない。 また,原告Bらには,出退勤時間を上司に管理され,勤務時間中に庁舎外に出ることを禁じられているなど,出退勤や休暇について裁量や決定権又は決裁権が認められていない(稲沢市消防本部交替制勤務職員の勤務時間等に関する内規参照,甲17)。 他方,原告Bらは,現場指揮等の重責を担っており,管理職手当は,かかる重責の対価と解すべきであるし,原告Bらは,管理職員となって以降,時間外勤務手当等が支給されなくなったことにより,非管理職員として勤務していたときと同様の勤務実態にあったにもかかわらず,給与の総支給額が従前よりも減少したことから明らかなように,給与上の優遇はされていない。 以上によれば,原告Bらが,労基法上の管理監督者に当たらないことは明白である。 b条例上の管理監督職員の抗弁に対する反論被告給与条例10条3項は,条例上の管理監督職員に対して,時間外勤務手当を支給しない旨を定めているが,同規定が,労基法の管理監督者に当たらない者に対しても時間外勤務手当を支給しない趣旨であるとすれば,同規定は,かかる趣旨の限度において,労基法37条1項,41条に反し無効である。 また,被告給与条例10条3項が深夜勤務手当を不支給と規定していることが労基法に反し,かかる限度で同条項が無効となることは,前記(1)イ(イ)で主張したとおりである。 ウ弁済の抗弁(ア) 被告の主張前記(1)ウ(ア)で主張したとおり,原告Bらに支給されてきた管理職手当は,時間外勤務手当及び深夜勤務手当を含むものであるから,原告Bらの請求に係る時間外手当Aは,弁済済みである。 (イ) 原告Bらの反論前記(1)ウ(イ)と同旨エ消滅時効の抗弁原告Bらの請求に係る時間外手当Aのうち支払期限が平 当を含むものであるから,原告Bらの請求に係る時間外手当Aは,弁済済みである。 (イ) 原告Bらの反論前記(1)ウ(イ)と同旨エ消滅時効の抗弁原告Bらの請求に係る時間外手当Aのうち支払期限が平成16年10月31日以前に到来するものは,時効により消滅した。 オ消滅時効主張の信義則違反の再抗弁前記4(1)ウと同旨カ消滅時効主張の信義則違反の再抗弁に対する被告の反論前記4(1)エと同旨(3) 被告給与条例16条1項に基づく週休日又は祝日における勤務に対する時間外勤務手当(以下「時間外手当B」という。)請求についてア請求原因の法的構成(請求原因事実及び請求額の計算関係には争いがない。)(ア) 原告Bらの主張原告Bらは,週休日として指定されていた日又は休日において,別紙11原告Bら週休日等勤務表に記載のとおり,所定勤務時間を超えて,各種訓練等に従事するなどして勤務したものであるから,原告Bらは,被告給与条例16条1項に基づく時間外勤務手当として,同条2項2号及び同規則16条の2第2号により,勤務1時間当たりの給与額に100分の135の割合を乗じた金額の支給を受けることができる。 しかるに,本件両事務組合及び被告は,これらの勤務について,時間外勤務手当を支給しなかった。 よって,原告Bらは,被告に対し,前記条例等に基づき,別紙5第32号事件請求額表の時間外手当B欄に記載の各金員及びこれらに対する各支払期限の後の日である平成19年9月8日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 (イ) 被告の反論原告B1及び原告B5の請求のうち,週休日の指定されていない祝日における勤務を請求原因とするものについては,正規の勤務時間における勤務であるから,被告給与条例はもとより,労基法37条によっても,時間外勤務手当の 告B5の請求のうち,週休日の指定されていない祝日における勤務を請求原因とするものについては,正規の勤務時間における勤務であるから,被告給与条例はもとより,労基法37条によっても,時間外勤務手当の支給対象とはならない。 イ管理監督者の抗弁(ア) 被告の主張前記(2)イ(ア)と同旨(イ) 原告Bらの反論前記(2)イ(イ)と同旨ウ弁済の抗弁(ア) 被告の主張前記(1)ウ(ア)で主張したとおり,原告Bらに支給されてきた管理職手当は,時間外勤務手当を含むものであるから,原告Bらの請求に係る時間外手当Bは,弁済済みである。 (イ) 原告Bらの反論前記(1)ウ(イ)と同旨エ消滅時効の抗弁支給日が平成17年9月4日以前のものは,時効により消滅した。 なお,原告Bらは,32号事件訴状において,管理職員特別勤務手当を請求し,本請求は,これと交換的な訴え変更により求められることになったものであるが,仮に,本請求がこれと実質を同じくするものとして,前記手当の請求により,時効中断するとしても,少なくとも,同日以前の支給日が到来するものは,時効により消滅している。 オ消滅時効主張の信義則違反の再抗弁前記4(1)ウと同旨カ消滅時効主張の信義則違反の再抗弁に対する被告の反論前記4(1)エと同旨第3当裁判所の判断 4号事件について(1) 休日勤務手当請求についてア請求の法的構成について前記争いのない事実等(3)ア・イのとおりであるから,別紙4第4号事件請求額表の各休日勤務手当欄に記載の各金額の休日勤務手当請求権の発生が認められる。 イ消滅時効の抗弁,これに対する同抗弁主張の信義則違反の再抗弁・被告の反論について特別地方公共団体のうちの一部事務組合である本件消防組合,本件広域組合の職員である原告Aらの休日勤務手当請求権は,公法上 滅時効の抗弁,これに対する同抗弁主張の信義則違反の再抗弁・被告の反論について特別地方公共団体のうちの一部事務組合である本件消防組合,本件広域組合の職員である原告Aらの休日勤務手当請求権は,公法上の金銭債権と解すべきであるところ,普通地方公共団体に対する公法上の金銭債権の消滅時効期間を他の法律に定めがあるものを除き5年間と定めた地方自治法236条1項は,同法292条によって一部事務組合たる本件両事務組合に対する公法上の金銭債権について準用される(以下で引用する同法についても,本件両組合との関係で,同法292条による準用がある。)。他方,地方公共団体の職員には,法律が特に適用を除外したものを除き,労基法の規定が原則として適用されると解されるところ(地方公務員法58条2項,3項),同条2項及び3項は,賃金請求権が2年間行わない場合において時効によって消滅する旨を規定している労基法115条の適用を除外していないから,同条は,地方公共団体の職員に適用され,地方自治法236条1項の「他の法律」に当たるものと解すべきである。そして,本件の休日勤務手当は,職員の勤務の対価としての性質を有するものであるから,労基法にいう賃金であると解すべきである。 したがって,原告Aらの休日勤務手当請求権は,公法上の金銭債権ではあるが,労基法115条により,2年間これを行使しないことにより時効によって消滅するといわなければならず(最高裁昭和38年(オ)第1080号同41年12月8日第一小法廷判決・民集20巻10号2059頁参照),地方自治法236条2項によれば,消滅時効の効果は,時効の援用を要せずして発生する。 以上によれば,本件の訴え提起日は,平成18年1月26日であるから(当裁判所に顕著),原告Aらの休日勤務手当請求権のうち,平成16年1月25日以前に支給日 効果は,時効の援用を要せずして発生する。 以上によれば,本件の訴え提起日は,平成18年1月26日であるから(当裁判所に顕著),原告Aらの休日勤務手当請求権のうち,平成16年1月25日以前に支給日が到来する平成15年12月31日までの勤務に係る休日勤務手当請求権は,時効により消滅することとなる。 後記3で説示するとおり,被告が前記消滅時効の主張をすることは,信義則に反するものではない。 ウ小括以上によれば,原告Aらの休日勤務手当請求は,別紙8原告Aら勤務表の平成16年1月以降の休日勤務債権額計欄(後記(2)の時間外割増請求に係る分を除く。)の金額を集計した別紙2認容金額表の休日勤務手当欄に記載の各金額及びこれに対する各支払期限の後の日である平成18年2月10日から支払済みまで民法所定年5分の割合の遅延損害金の限度で理由がある。 (2) 時間外勤務手当請求についてア請求の法的構成について(ア) 原告Aらは,本件手引3項(2)①イが原告Aらの週休日の指定について適用される旨を主張する。 (イ) しかし,本件消防組合勤務時間条例及び同規則,並びに本件広域組合勤務時間条例及び同規則のいずれにも,稲沢市長が定めた本件手引を適用すべき根拠規定は見いだせない。本件両事務組合は,被告とは,法人格を異にし,被告市長が本件両事務組合の管理者を兼ねていたとしても,一方の地位及び権限に基づいて行った規則制定等の行為の結果を,他方の職務の遂行に当然に及ぼすことはできない。 弁論の全趣旨によれば,本件手引が原告Aらが勤務する消防署に配布された事実が認められるが,これは,本件手引を原告Aらの勤務条件等に関する取扱いについて準用するなどといった内規等がない本件においては,単に参考として配布されたものに過ぎない可能性があり(乙34),以上の判断を左右するものと れは,本件手引を原告Aらの勤務条件等に関する取扱いについて準用するなどといった内規等がない本件においては,単に参考として配布されたものに過ぎない可能性があり(乙34),以上の判断を左右するものとはいえない。 (ウ) さらに,前記(イ)の点は別としても,以下に述べるとおり,本件手引3項(2)は,稲沢市職員のうち,特別の形態によって勤務する必要のある職員で交替制勤務職員ではない職員(例えば,図書館や美術館の職員)に適用される規定であって,原告ら交替制勤務職員に適用される規定ではない(乙34,35,証人H,同N)。 すなわち,本件手引3項(2)は,その柱書で,週休日を平成5年4月4日を初日とする4週間及びこれに引き続く4週間ごとの期間で指定するとした上で,交替制勤務職員の週休日につき,勤務割振りの中で定める旨を括弧書きで注記している。そして,実際に,原告Aら消防吏員の週休日は平成5年4月4日を初日とする4週間及びこれに引き続く4週間ごとの期間ではなく,毎年4月1日を初日とする単年度のサイクルで指定されている。また,本件手引3項(2)①及び③は,交替で指定されるべき週休日と一斉休業日(全員が週休日となる日)の両方が存在することを前提として規定しているところ,原告Aらには一斉休業日は存在せず,これらの規定の適用は想定されていないものと解される。 (エ) これらに対し,原告Aらは種々指摘するが,このうち,被告ないし本件消防組合が年末年始の休日に週休日が指定された場合に,休日勤務手当を支給していたとの点は,原告Aらの主張するように本件手引が適用されるなら,休日勤務手当ではなく時間外勤務手当が支給されるはずであるから,そのことが直ちに原告Aらの主張を裏付けることにはならない上,証拠(乙40,証人N)によれば,同支給は,被告の誤った条例等の解釈に基 ,休日勤務手当ではなく時間外勤務手当が支給されるはずであるから,そのことが直ちに原告Aらの主張を裏付けることにはならない上,証拠(乙40,証人N)によれば,同支給は,被告の誤った条例等の解釈に基づくものと解されるから,かかる事実をもって,原告Aらに本件手引3項(2)①イを適用すべき根拠とすることはできない。また,本件手引3項(2)③が日曜日と土曜日が週休日とならない職場についてと明記している点については,分かり易さを考慮して付記したとも解しうることから,前記判断を左右するものではない。その他,原告Aらの指摘は,いずれも前記判断を左右するものではない。 (オ) 以上のとおり,原告Aらの週休日の指定について,本件手引3項(2)①イを適用することはできず,これを前提とする原告Aらの主張は採用できない。 イ小括以上より,原告Aらの時間外勤務手当請求は,被告が主張する抗弁について判断するまでもなく,その全部について理由がない。 (3) 国家賠償法に基づく損害賠償請求について前記(2)で説示したとおり,原告Aらについて,本件手引3項(2)①イを適用することはできないから,これを前提とする原告Aらの主張は採用できない。 よって,原告Aらの本件損害賠償請求は,その全部について理由がない。 (4) 特殊手当請求についてア請求原因の法的構成について(ア) 認定事実前記争いのない事実等,証拠(甲5,7,乙13,証人H,原告A35)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 a勤務状況等原告Aらは,それぞれ,別紙8原告Aら勤務表に記載の各勤務日において,午前8時30分から翌日午前8時30分までの24時間中,所定勤務時間16時間,休憩時間1時間,仮眠時間7時間という勤務形態の下,消防活動や救急活動に従事した。 原告Aらは,119番通報等を契機 いて,午前8時30分から翌日午前8時30分までの24時間中,所定勤務時間16時間,休憩時間1時間,仮眠時間7時間という勤務形態の下,消防活動や救急活動に従事した。 原告Aらは,119番通報等を契機とする出動命令に備えるため,休憩時間においても,食料品の買い出しなどに出かけることは許されず,仮眠時間にあっては,上司の明示的命令があったわけではないものの,作業着のズボンをはいたままで,肩に触れた程度で目が覚める程度の浅い睡眠をするにとどまっていた。 原告Bらの仮眠時間中の出動状況が別紙10原告Bら仮眠時間出動表のとおりであることからすると,原告Aらの仮眠時間中の実際の出動回数は,月平均で1回程度であり,1回の出動における実働時間は,30分から1時間程度,長くとも2時間程度であったが,一夜に2回出動することもあったと推認できる。 b給与面での待遇等本件消防組合は,職員に対し,本件消防組合特殊勤務手当条例に基づき,1回(一夜)の勤務につき500円の特殊手当を支給していたが,職員から深夜勤務手当の支給を求める声が上がり,これを支給する代わりに特殊手当の支給をやめることで職員の意向を聴取するなどして,昭和57年4月1日から,原告Aらのような非管理職員に対しては,1時間当たりの給与額に100分の25を乗じた深夜勤務手当を支給することとし,他方で,特殊手当の支給をやめ,深夜勤務手当を支給しない管理職員に対する特殊手当の支給は継続することとした。 かかる取扱いの変更について,職員から格別異論が唱えられることはなかったが,平成15年3月に,原告B1から消防職員委員会に意見が提出され,平成16年4月1日施行の本件広域組合特殊勤務手当規則を一部改正する規則により,同手当の支給対象職員を管理職員に限定することが明記された。 (イ) 判断aまず,いわゆ 員委員会に意見が提出され,平成16年4月1日施行の本件広域組合特殊勤務手当規則を一部改正する規則により,同手当の支給対象職員を管理職員に限定することが明記された。 (イ) 判断aまず,いわゆる給与条例主義(地方公務員法25条1項,地方自治法204条3項)により,条例及びこれに基づく規則に支給すべきものと規定された給与は支払わなければならないのが原則であるところ,本件消防組合特殊勤務手当条例2条及び同規則2条,並びに本件広域組合特殊勤務手当条例2条及び同規則2条に規定された特殊手当は,前記規則改正までは原告Aらに支給されるべきであったものと認められる。 bこれに対し,被告は,本件消防組合は,特殊手当が深夜勤務手当の代償としての性格を有するとの理解の下で,交替制勤務職員に対して特殊手当を支給してきたもので,昭和57年4月1日から,非管理職員の交替制勤務職員に対して深夜勤務手当を支給することにしたため,特殊手当を支給しないこととした旨主張する。 しかし,このような経過があったとしても,条例に基づく規則を改正していない以上は正規の手続を経て最終的な意思決定があったとはいえず,前記判断を左右するものとは解しがたい上,本件消防組合特殊勤務手当条例及び同規則,本件広域組合特殊勤務手当条例及び同規則によれば,特殊手当は,夜間勤務に対し1夜につき500円を支給すると定められ,勤務時間数は支給の基準や要件とされていなかったのに対し,深夜勤務手当は深夜の時間帯に勤務した時間数に比例して,給料の額に応じた金額が支給されること,前記各条例2条は,特殊勤務手当の支給対象を「著しく危険,不快,不健康又は困難な勤務その他著しく特殊な勤務」と定めているところ,労働が深夜の時間帯にわたることは特段特殊なものということはできず,特殊手当の支給対象とはいいがた 当の支給対象を「著しく危険,不快,不健康又は困難な勤務その他著しく特殊な勤務」と定めているところ,労働が深夜の時間帯にわたることは特段特殊なものということはできず,特殊手当の支給対象とはいいがたいことからすると,両者は,その性質を異にするというべきであるから,深夜勤務手当を支給する代わりに特殊手当を支給するとか,前者を支給するから後者を支給しないという関係にはないものというべきである。ちなみに,特殊手当の支給の趣旨は,労基法40条,同法施行規則33条1項1号により,原告Aら消防吏員には労基法34条3項の休憩時間自由利用の原則の適用がないことに加え,前記認定の事実によれば,原告Aらは,所定及び時間外の勤務時間以外も昼夜を問わず24時間の拘束を余儀なくされ,仮眠時間中にあっても,実際の出動頻度は低いものの出動をいつ命じられるか分からない状況下に置かれるという点で,著しく不健康な勤務に準ずる著しく特殊な勤務に従事することの代償であったと解するのが相当であり,このことから見ても,特殊手当と深夜勤務手当は前記のような代替しうる関係にはないものと認めるべきである。 よって,被告の前記主張は採用することができない。 cそして,原告Aらは,別紙8原告Aら勤務表のとおり勤務を行ったものであるから,計算関係に争いのない本件では,その夜間勤務の回数に500円を乗じた金額である別紙4第4号事件請求額表の特殊手当欄に記載の各金額の特殊手当請求権の発生が認められる。 イ消滅時効の抗弁,これに対する同抗弁主張の信義則違反の再抗弁・被告の反論について原告Aらの特殊手当請求権は,公法上の金銭債権であり,かつ同手当は,労基法にいう賃金としての性質を有するものと解すべきであるから,同請求権は2年間これを行使しないことにより時効によって消滅し,かかる消滅時効の効果 当請求権は,公法上の金銭債権であり,かつ同手当は,労基法にいう賃金としての性質を有するものと解すべきであるから,同請求権は2年間これを行使しないことにより時効によって消滅し,かかる消滅時効の効果は,時効の援用を待たずして発生する。そして,本件の訴え提起日は,平成18年1月26日であるから,原告Aらの休日勤務手当請求権のうち,平成16年1月25日以前に支給日が到来する平成15年12月31日までの勤務に係る特殊手当請求権は,時効により消滅することとなる。 後記3で説示するとおり,被告が前記消滅時効の主張をすることは,信義則に反するものではない。 ウ小括以上によれば,原告Aらの特殊手当請求は,別紙8原告Aら勤務表の夜間勤務債権額欄の平成16年1月以降の金額を集計した別紙2認容金額表の特殊手当欄に記載の各金額及びこれに対する各支払期限の後の日である平成18年2月10日から支払済みまで民法所定年5分の割合の遅延損害金の限度で理由がある。 32号事件について(1) 管理監督者の抗弁及び弁済の抗弁について32号事件においては,請求原因事実や計算関係にはおおむね争いがなく,その各請求の可否の大半は被告が主張する抗弁の成否にかかっているので,一部抗弁である時効の抗弁を除く,管理監督者の抗弁及び弁済の抗弁について,まず,判断することにする。 ア各請求における管理監督者の抗弁及び弁済の抗弁の位置づけについて管理監督者の抗弁のうち,原告Bらが被告給与条例10条3項に規定する管理監督職員であることから,同条項の適用により深夜勤務手当請求権及び時間外勤務手当請求権がないとの条例上の管理監督職員の抗弁は,全ての請求に対するものとして主張されている。ところで,同条項が引用する同条1項の「管理又は監督の地位にある職員」とは,その文言,及び同条1項におい 当請求権がないとの条例上の管理監督職員の抗弁は,全ての請求に対するものとして主張されている。ところで,同条項が引用する同条1項の「管理又は監督の地位にある職員」とは,その文言,及び同条1項において管理監督職員に管理職手当を支給するとする一方,同条3項が同職員には時間外勤務手当等を支給しないと定めていることに照らし,労基法41条2号の管理監督者(「監督若しくは管理の地位にある者」)と同義であると解するのが相当であるから,労基法上の管理監督者の抗弁と別途判断することを要しないものというべきである。そうすると,労基法上の管理監督者の抗弁が主張されていない深夜勤務手当請求及び時間外手当A請求のうち深夜勤務手当部分(深夜勤務手当)については,管理監督者の抗弁は既に採用することができないというべきであり,結局,管理監督者の抗弁は,深夜勤務手当部分を除く時間外手当A請求及び同B請求(時間外手当)の関係で判断すれば足りることになる。 次に,弁済の抗弁は,全ての請求に対し,管理職手当の支払をもって弁済済みであると主張されているものであるが,このうち,深夜勤務手当請求に対するものは,これが労基法上の管理監督者に対しても支払を要するものであることから,管理職手当の額を定めるに当たって,特にこれに相当する額を含むように定められていると主張されている。 イ認定事実前記争いのない事実等,証拠(甲6,14,16,18,19,20,乙34,35,証人H,証人N,原告B3)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (ア) 原告Bらの消防組織上の位置付け及び権限等a本件両事務組合及び被告における消防職員のうち消防吏員については,階級制が採用されていたところ,階級と職名について,以下のように対応しており(甲18,弁論の全趣旨),原告Bらは,本件請求に係 a本件両事務組合及び被告における消防職員のうち消防吏員については,階級制が採用されていたところ,階級と職名について,以下のように対応しており(甲18,弁論の全趣旨),原告Bらは,本件請求に係る勤務期間において,主幹又は副主幹であった。 <階級><職名>消防監部長(消防長)消防司令長次長(消防署長)・課長(分署長を含む。)消防司令主幹・副主幹(係内の上席職員が係長となる。)消防司令補係長・主査消防士長係員消防副士長係員消防士係員(平成18年法律第65号による改正前の消防組織法14条の4第2項,昭和三十七年五月二十三日消防庁告示第六号参照)b本件両事務組合及び被告の消防本部等における決裁権限を分掌する者は,課長以上の者とされており,人事関係の決裁事項のうち,当該課又は分署の所属職員のうち主幹以下の者の休暇等の承認,時間外勤務命令,週休日の指定に関する決裁権限を有していたのは,課長であった(甲19,弁論の全趣旨)。主幹及び副主幹は,上司の命を受けて職務をつかさどり,又は職務に従事するとされ,これらの事項に関して,職場内の実情に応じて,以下の事務等を取り扱うことで課長の事務を補助していた。 (a) 年度当初において,他係の主幹,副主幹,主査と話し合うなどして調整した上で,所属職員の週休日の割振り・指定に関する原案を作成する。 (b) 年度当初において,所属職員と担当事務(水利,防火査察,統計等)の指名に関する原案を作成する。 (c) 所属職員から,年次有給休暇の取得申請があった場合,人員を把握し,割振りを検討し,必要に応じて取得日の調整を行うなど,申請の取りまとめを行う。また,病気休暇,特別休暇,介護休暇等の申請があった場合も,人員の割振りを検討して,承認申請の取りまとめを行う。 なお,前記申請はその全件を に応じて取得日の調整を行うなど,申請の取りまとめを行う。また,病気休暇,特別休暇,介護休暇等の申請があった場合も,人員の割振りを検討して,承認申請の取りまとめを行う。 なお,前記申請はその全件を課長の決裁に供することとされていたほか,各申請の許可及び時季変更権の行使は,課長の権限に属するものとされていた。 c原告Bらは,主幹又は副主幹として,前記のほか,次の事務を担当することとされていた。 (a) 当務日ごとに,各消防車両への搭乗人員の割振りを行う。 また,当務日の人員及び機械器具等に関する異常の有無の把握を行い,異常があれば課長に報告する。 (b) 分隊又は小隊で活動する火災現場において,分隊長又は小隊長として,消防活動全般の指揮,情報収集,災害状況の把握,隊員の安全確保,隊の増強又は削減の決定,火勢鎮圧及び鎮火の決定等を行う責務を負う。また,中隊規模で対応すべき火災現場において,通常,中隊長として前記同様の責務を負うのは課長職にある者であるが,課長が不在の場合には,小隊長が中隊長に代わって,中隊の指揮を執ることになる。 (c) 課長以上の上位職が不在となる休日,深夜等の勤務時間帯において,災害出動に伴い,職員に対して,時間外勤務命令を発したり,休憩時間の繰り上げ,繰り下げの指示をする。所属職員の時間外勤務について,事案終了書(119番通報を受け付ける情報指令係で作成した書面で,通報受信時刻,現場での活動内容,帰署した時間を記入したもの。)を確認し,時間外勤務命令簿への記載事務を行う。 (d) 消防士から消防副士長へ,消防副士長から消防士長への昇任試験に当たり,所属職員の勤務評定を行い,勤務評定表を所属課長に提出する。 (e) 対外的な訓練(企業等への消防訓練)への職員派遣要請に応じて,週休日として指定されている日においても, 士長への昇任試験に当たり,所属職員の勤務評定を行い,勤務評定表を所属課長に提出する。 (e) 対外的な訓練(企業等への消防訓練)への職員派遣要請に応じて,週休日として指定されている日においても,企業等に出向いて指導・講評を行ったり,一般市民からの苦情処理に係長として当たるなどしていた。 d庁議(甲16,弁論の全趣旨)本件両事務組合及び平成17年4月1日以降の被告には,消防本部の重要事項について審議をし,各課間の調整を行い,又は,管理者(平成17年4月1日以降にあっては市長)の意思決定に当たっての助言を行い,もって,消防行政の適正かつ能率的な運営を図ることを目的とする庁議という機関が置かれていた。 庁議の付議事項は,消防本部の行政運営の基本方針に関する事項,重要施策その他重要な新規事業の策定に関する事項,消防本部の組織,財政その他行政機能に重大な影響を与える事項,各課等との調整を必要とする事項,その他,消防長が必要と認める事項であった。 庁議の構成員となる消防署の職員は,署長,警防課長,情報指令課長,分署長であり,主幹及び副主幹以下は,これに含まれていなかった。 (イ) 原告Bらの勤務状況等a本件消防組合では,平成12年3月31日まで,主幹及び副主幹以上の職にある者が交替制勤務に従事することはなかったものであるが,同年4月1日以降は,消防吏員である主幹及び副主幹は,管理職手当の支給を受けない一般の消防吏員と同じように,24時間の拘束を受ける本件勤務形態の下で,交替制勤務に従事することとなった。 なお,同日以後も,課長以上の職にある者は,原則として日勤者とされた。 b原告Bらは,本件勤務形態の下で勤務に従事し,所定勤務時間における勤務状況に非管理職員との間に格別の差異はなく,仮眠時間中についても,非管理職員と同様に,火災等によ 原則として日勤者とされた。 b原告Bらは,本件勤務形態の下で勤務に従事し,所定勤務時間における勤務状況に非管理職員との間に格別の差異はなく,仮眠時間中についても,非管理職員と同様に,火災等による出動の必要に応じて,仮眠を中断して消火活動等(平成14年4月1日以降の原告B3にあっては,情報指令業務。)に従事することがあった。 c原告Bらは,タイムカードや出勤簿による出退勤管理を受けていたものではないが,本件勤務形態の下,出勤時間及び退勤時間についての裁量はなく,所定勤務時間内は,一般の消防吏員と同様に,庁舎内において,訓練等を行う限度での自由はあったものの,庁舎外に外出することは,職務の性質に照らし,事実上禁止されていた。 原告Bらは,主幹・副主幹として,非管理職員である消防吏員の点呼を行っていたが,課長等の上位職が原告Bら主幹・副主幹の点呼をすることはなかった。 (ウ) 原告Bらに対する給与上の待遇等a平成12年4月から平成18年3月までの間に,原告Bらに対して支給されていた給料と管理職手当の金額は別紙12原告Bら給与表のとおりであるが,給料に占める管理職手当の割合は,平成12年4月から同年12月までは,主幹について10.8%,副主幹について約9.6%であり,平成13年1月から平成18年3月までは,主幹について13.5%,副主幹について12.0%とされていた(平成13年以降の管理職手当につき平成18年規則第15号による改正前の被告給与規則5条)。 ちなみに,国家公務員との対比を見るに,一般職の職員の給与に関する法律10条の2第1項により俸給の特別調整を行う官職と額を定めた人事院規則9-17(俸給の特別調整額)によれば,消防庁に属する消防大学校の課長を含む4種の官職に支給されるのが12%である(乙27)。 b各原告につき, より俸給の特別調整を行う官職と額を定めた人事院規則9-17(俸給の特別調整額)によれば,消防庁に属する消防大学校の課長を含む4種の官職に支給されるのが12%である(乙27)。 b各原告につき,本件請求額の管理職手当の額に占める割合を見ると,原告B3,同4については約37%,その余の原告は30%余りである(ただし,労基法外の手当としての休日勤務手当を含めると逆に管理職手当の額を超えることになる。)。また,同様に本訴請求のうち深夜勤務手当の額について見れば,約25ないし34%である。(乙41,弁論の全趣旨)c地方公務員の管理職手当には,労基法37条に規定する深夜割増賃金に相当する額を含むように定めることが適当であるとする行政実例が存在し(乙20,昭和28年3月20日自行公発第65号),本件両事務組合及び被告も,管理監督者であっても深夜割増賃金の支払は必要であるとの認識の下に,その具体的な時間数等を検討したことはなかったものの,管理職手当には深夜割増賃金の支払が含まれているものと判断していた(乙35の4頁,証人N14頁)。 ウ労基法上の管理監督者の抗弁について(ア) 前記認定事実によれば,原告Bらは,主幹又は副主幹として,組織上,いわゆる管理職の一端を担う立場にあり,下位の者に対し,上位者の不在の時,特に,出動現場においては,状況に応じ自ら判断して指揮命令を行うことがあり,また,課長等の上位職からの点呼を受けたり,出退勤についてタイムカード等による管理を受けることはなかった。そして,原告Bらには被告給与条例10条1項に基づき管理職手当が支給されるところ,その額は,同様の支給率の適用を受ける国家公務員の官職が中央教育機関の課長職等であることや,副主幹に対する支給額でも,民間企業の課長相当職に対して支給される管理職手当の額を超え, 支給されるところ,その額は,同様の支給率の適用を受ける国家公務員の官職が中央教育機関の課長職等であることや,副主幹に対する支給額でも,民間企業の課長相当職に対して支給される管理職手当の額を超え,係長相当職のそれを3万円ほど上回っていること(乙31,35)に照らし,一応,労基法上の管理監督者としての職務内容や職責の重さに見合った給付額であると見ることができる。 (イ) しかし,他方,原告Bらは,交替制勤務に従事していた関係上,所定勤務時間が厳格に定められ,この間,場所的にも一定の拘束を受ける一方で,時間外勤務は基本的には存在しない(なお,仮眠時間中の出動はあるが,これも労働時間の把握・管理は可能である。)から,その勤務態様は労働時間の規制になじむものである。また,原告Bらは,本来,人事関係等の決裁権限を有さず,課長の命を受けて,その補助者として関与していたに過ぎず,消防本部の重要事項を審議する庁議の構成員ではないなど,重要な意思決定に関与することもなかったのであり,前記のような勤務態様に鑑みても,むしろ,部下である一般の消防吏員と一体となって,同様の職務に従事していたものというべきである。さらに,管理職手当の額についても,一般の消防吏員であれば受給できる労基法外の休日勤務手当を含む諸手当を受給できないことからすると,昇進に当たって昇給があった可能性があることや一般の消防吏員に支給されない特殊手当が支給されることを考慮しても,一般の消防吏員との比較においてはさほど優遇されているとはいい難いことが窺える。 (ウ) そうすると,原告Bらは,実際の勤務態様や職務内容・職責の重さにおいて既に管理監督者には該当しないものというべきであり,このことは,報酬の額の多寡によって左右されるものではなく,また,これが他との比較において十分な額であるとも 勤務態様や職務内容・職責の重さにおいて既に管理監督者には該当しないものというべきであり,このことは,報酬の額の多寡によって左右されるものではなく,また,これが他との比較において十分な額であるとも認められないから,被告の前記主張は採用できない。 エ弁済の抗弁について(ア) 深夜勤務手当について地方公務員には労基法の適用があるから,労基法上の管理監督者,すなわち条例上の管理監督職員に対してもこれを支払わなければならないこと,被告給与条例10条1項に基づく管理職手当の支給は,同条3項による深夜勤務手当等の不支給と一対のものとして定められていることに,前記イ(ウ)cの認定事実を併せ考慮すれば,被告給与条例10条1項は,管理職手当の支払により深夜勤務手当を支払う趣旨であると認められる。そして,労基法の定める算定方法による割増賃金の支払に代えて,一定額の金銭を支払うという方法も,例えば,時間外勤務時間がおおむね一定しており,かつ,基本給とは別に所定の割増賃金を下回らないような金額の手当が支払われているなど,合理性を有するものであれば,労基法所定の割増賃金の支払と認めることができる。 そこで,深夜勤務手当の支払について検討するに,まず,深夜勤務時間数について見ると,原告Bらは,交替制勤務に就いていたのであり,その勤務種別の割り当ては公平に行われるべきであるから,仮眠時間中の出動などによって一時的に増減はあっても年間を通せばおおむね一定の時間数となるものと認められ(別紙9原告Bら夜間勤務表,別紙10原告Bら仮眠時間出動表参照),また,原告Bらの深夜勤務に対し深夜勤務手当を支払うとした場合に,その額については争いがないことからも明らかなように,後日検証可能な状況にあるところ,前記イbの認定事実のとおり,原告Bらの深夜勤務手当の額は,その管理職 務に対し深夜勤務手当を支払うとした場合に,その額については争いがないことからも明らかなように,後日検証可能な状況にあるところ,前記イbの認定事実のとおり,原告Bらの深夜勤務手当の額は,その管理職手当の額の3分の1ないし4分の1であるから,その支払として十分な額である。 そして,管理職手当の中に原告Bらの職責の重さに対応する部分が含まれているとしても,前記のとおり,被告給与条例10条1項が管理職手当の支払により深夜勤務手当を支払うとする以上,まず,これをもって深夜勤務手当の支払がなされ,残余が職責に対する支払であると認めるのが相当である(なお,被告は,深夜勤務手当以外の割増賃金も合わせて支払う趣旨であると主張するが,後記のとおり同主張は採用できない。)。また,前記のとおり,原告Bらは労基法上の管理監督者,すなわち条例上の管理監督職員には該当しないものであり,本来管理職手当を受給できる立場にはないから,その職務内容や職責の程度に照らし,職責部分の額が前記の残額を持ってしても足りないということはできない。 (イ) 時間外勤務手当について被告は,時間外勤務手当についても管理職手当の支払によりこれが支払われたと主張するが,本件両事務組合及び被告は,原告Bらが労基法上の管理監督者に当たるという前提に立っている以上,原告Bらに対してそもそも時間外勤務手当を支払う必要がないということに帰するはずであることに,前記イ(ウ)cのような行政実例がある深夜勤務手当とは異なり,管理職手当の金額に時間外勤務手当の金額に相当する額を含むように定めることが適当であるとする旨の行政実例が存しないことを併せ考慮すると,管理職手当の支給に関する被告給与条例10条1項と時間外勤務手当の不支給に関する3項が一対のものとして定められているとしても,被告給与条例10条1項 する旨の行政実例が存しないことを併せ考慮すると,管理職手当の支給に関する被告給与条例10条1項と時間外勤務手当の不支給に関する3項が一対のものとして定められているとしても,被告給与条例10条1項が管理職手当の支払をもってこれを支払う趣旨であるとは認められない。被告は,原告Bらに支払った管理職手当の額が時間外勤務手当等に見合った相当なものであるとして,種々主張するが,仮にそうであったとしても,前記判断を左右するものではない。 (2) 深夜勤務手当請求(仮眠時間を含まない所定勤務時間中のもの)について前記(1)のとおり弁済の抗弁が認められるから,同請求は理由がない。 (3) 労基法37条1項に基づく仮眠時間中の出動に対する時間外手当A請求についてア請求原因の法的構成について請求原因事実及び請求額の計算関係には争いがないから,別紙5第32号事件請求額表の時間外手当A欄に記載の各金額の時間外手当A請求権の発生が認められる。 イ被告が主張する管理監督者の抗弁及び弁済の抗弁については,前記のとおり,深夜勤務手当に相当する部分に対する弁済の抗弁が認められるものの,その余は採用することはできない。 また,前記説示と同様に,原告Bらの時間外手当A請求権は,公法上の金銭債権であり,かつ両手当は,いずれも労基法にいう賃金としての性質を有するものと解すべきであるから,同請求権は2年間これを行使しないことにより時効によって消滅し,かかる消滅時効の効果は,時効の援用を要せずして発生する。 したがって,訴え変更により時間外手当A請求権が追加されたのは,平成18年11月1日であるから(当裁判所に顕著),平成16年10月31日以前に支給日が到来する平成16年9月30日までの勤務に係る時間外手当A請求権は,時効により消滅することとなる。 後記3で説示するとおり, 1月1日であるから(当裁判所に顕著),平成16年10月31日以前に支給日が到来する平成16年9月30日までの勤務に係る時間外手当A請求権は,時効により消滅することとなる。 後記3で説示するとおり,被告が前記消滅時効の主張をすることは,信義則に反するものではない。 ウ小括以上によれば,原告Bらの時間外手当A請求権は,別紙5第32号事件請求額表から前記金額を差し引いた別紙2認容金額表の時間外手当A欄に記載の各金額(別紙13時間外手当A認容額計算表参照)及びこれに対する各支払期限の後の日である平成18年11月3日から支払済みまで民法所定年5分の割合の遅延損害金の限度で理由がある。 (4) 被告給与条例16条1項に基づく週休日又は祝日における勤務に対する時間外手当B請求についてア請求の法的構成について原告Bらは,別紙11原告Bら週休日等勤務表のとおり勤務を行ったものである。 そうすると,平成12年11月3日(祝日)における原告B1及び原告B5の勤務は,当時,同人らが日勤者として勤務しており,同日に週休日の指定を受けていたものではないので,これらの勤務時間数を除く,その他の同表記載の勤務は週休日における勤務であるから,同勤務について,原告Bらは,被告給与条例16条1項に基づく時間外勤務手当として,同条例16条2項2号及び同規則16条の2第2号により,勤務1時間当たりの給与額に100分の135の割合を乗じた金額の支給を受けることができると解すべきである。 よって,計算関係に争いのない本件では,前記条例等に基づき,別紙5第32号事件請求額表の時間外手当B欄に記載の各金額(ただし,原告B1については,平成12年11月3日の勤務に対応する1万5696円及び原告B5については,同日の勤務に対応する1万5072円をそれぞれ減じた額)の時間外手当B 手当B欄に記載の各金額(ただし,原告B1については,平成12年11月3日の勤務に対応する1万5696円及び原告B5については,同日の勤務に対応する1万5072円をそれぞれ減じた額)の時間外手当B請求権の発生が認められる。 イ被告が主張する管理監督者の抗弁及び弁済の抗弁については,前記のとおり,これを採用することはできない。 しかし,前記説示と同様に,原告Bらの時間外手当B請求権は,公法上の金銭債権であり,かつ同手当は,労基法にいう賃金としての性質を有するものと解すべきであるから,同請求権は2年間これを行使しないことにより時効によって消滅し,かかる消滅時効の効果は,時効の援用を要せずして発生する。 したがって,訴え変更により時間外手当B請求権が追加されたのは,平成19年9月5日であるから(当裁判所に顕著。なお,平成18年11月1日の訴え変更申立書で追加された管理職員特別勤務手当請求と時間外手当B請求は,訴訟物を異にすると解すべきである。),原告Bらの時間外手当B請求権のうち,平成17年9月4日以前に支給日が到来する平成17年7月31日までの勤務に係る時間外手当B請求権は,時効により消滅することとなる。 後記3で説示するとおり,被告が前記消滅時効の主張をすることは,信義則に反するものではないウ小括以上によれば,原告Bらの時間外手当B請求権は,別紙5第32号事件請求額表の金額から前記金額を差し引いた別紙2認容金額表の時間外手当B欄に記載の各金額及びこれに対する各支払期限の後の日である平成19年9月8日から支払済みまで民法所定年5分の割合の遅延損害金の限度で理由がある。 被告が消滅時効の主張をすることが信義則に反するかについて(1) 地方自治法236条2項は,公法上の金銭債権の時効消滅につき当該地方公共団体による援用を要しないこ 延損害金の限度で理由がある。 被告が消滅時効の主張をすることが信義則に反するかについて(1) 地方自治法236条2項は,公法上の金銭債権の時効消滅につき当該地方公共団体による援用を要しないこととしているが,かかる規定の趣旨は,法令に従い適正かつ画一的にその事務を処理することが当該地方公共団体の事務処理の便宜及び住民の平等取扱いの理念(同法10条2項参照)に資することにあると解される。そして,地方公共団体が法令遵守義務(同法2項16項)に反して,既に具体的な権利として発生している国民の重要な権利に関し,法令に違反して,その行使を積極的に妨げるような一方的かつ統一的な取扱いをし,その行使を著しく困難にさせた結果,これを消滅時効にかからせたという極めて例外的な場合においては,かかる取扱いに対し訴訟を提起するなどして自己の権利を行使することが合理的に期待できる事情があったなどの特段の事情がない限り,同法236条2項の前記趣旨が妥当しないから,地方公共団体による消滅時効の主張は,信義則に反するものとして,許されないというべきである(最高裁平成18年(行ヒ)第136号同19年2月6日第三小法廷判決・民集61巻1号122頁参照)。 そこで本件について検討するに,前記争いのない事実等,証拠(甲7,乙34,証人H,原告B1)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 (2) 認定事実ア本件消防組合は,平成5年4月1日から完全週休2日制を実施することになり,その後,土曜日と祝日が重なった場合に被告給与条例17条1項等に基づく休日勤務手当が支給されなくなった。 これを受けて,原告B1は,そのころ,当時の総務係長に対し,前記場合に,休日勤務手当を支給しないことに問題がある旨を具申したところ,同係長は,土曜日と祝日が重なった場合には,日勤者につ なくなった。 これを受けて,原告B1は,そのころ,当時の総務係長に対し,前記場合に,休日勤務手当を支給しないことに問題がある旨を具申したところ,同係長は,土曜日と祝日が重なった場合には,日勤者について休日の振替がないことを理由に,交替制勤務職員の休日勤務手当を支給しない扱いでよい旨の回答をした。 イ本件消防組合は,平成9年4月,消防組織法17条に基づき,本件消防組合消防職員委員会(以下,本件広域組合及び被告が消防事務を所管することとなった以降のものも含めて「消防委員会」という。)を設置した。 消防委員会では,毎年6月に職員から提出される意見書を受けて,8月に審議を行い,その後,消防長が行った措置の結果が,翌年1月までに公表される仕組みとなっていた。 ウ原告B1は,平成15年ころから,深夜勤務手当と特殊勤務手当の趣旨が違うと考えるようになり,同年5月ころ,一宮労働基準監督署に行き,両者の違いを尋ねた。 エ原告B1は,自ら又は部下をして,以下の事項について,各年度の消防委員会に意見を提出した。 ・平成15年度土曜日と休日が重なった場合における休日勤務手当の支給及び管理職員以外の職員に対する特殊手当の支給について・平成16年度休日勤務手当の支給,管理職員に対する深夜勤務手当の支給についてオ原告B1は,平成16年夏ころ,本件請求に関連する問題を解決するために,名古屋地方裁判所一宮支部に調停を申し立てることを考え,申立書の書式を入手し,調停申立てについて,同僚ら約60人の賛同を得るなどし,そのころ,総務省消防庁の消防職員委員会の担当者に対し,土曜日と休日が重なった場合の休日勤務手当の支給の有無について尋ねるなどしたほか,愛知県公平委員会に対する措置要求のための書面を作成した。 カ原告B1は,平成17年9月,原告ら代理人の所属事務 し,土曜日と休日が重なった場合の休日勤務手当の支給の有無について尋ねるなどしたほか,愛知県公平委員会に対する措置要求のための書面を作成した。 カ原告B1は,平成17年9月,原告ら代理人の所属事務所において法律相談をし,訴訟提起をする決意に至り,その旨を消防長に伝えた。 (3) 判断ア4号事件の休日勤務手当請求及び特殊手当請求について(ア) 前記各手当を支給しなかった本件両事務組合の取扱いは,関連条例及び規則の解釈適用を誤った違法なものというべきである。 しかし,本件両事務組合がかかる取扱いを行うに際して,特段,内規等を定めたとの事情が認められないこと,原告Aらは消防署に勤務しており,給与の支給に疑問があれば,その担当者に説明を求めることも可能であり,特殊手当の廃止に当たっては,上司を通じて,職員の意向が聴取されている上,本件訴訟に先だって,従前の本件両事務組合及び被告の取扱いの誤りを明確にし,かつ原告Aらの請求を容易にするような格別の事情の変更がなかったにもかかわらず,原告Aらが本件訴え提起に至っていることや前記認定事実における本件訴訟に至る経過に照らせば,原告Aらが本件各請求をより早い段階で行うことが合理的に期待できたというべきである。 (イ) 原告B1の陳述書(甲7)には,総務課長が職員に対して裁判をしないように告げて回り,これにより職員が調停や措置要求に加わると何らかの不利益を受ける印象を受けた旨の供述があるが,同供述は,的確な裏付けや具体性を欠くから,採用することはできない。原告Aらが平成19年度に昇任昇格をしていない事情(甲26)については,本件訴え提起後の事情であるほか,昇任昇格は,定数や勤務成績による影響を受けるものであって採用年度と年齢によって決まるものでないことは,乙26によっても明らかであるので,前記判断を 6)については,本件訴え提起後の事情であるほか,昇任昇格は,定数や勤務成績による影響を受けるものであって採用年度と年齢によって決まるものでないことは,乙26によっても明らかであるので,前記判断を左右するものではない。 また,本件請求は,給与条件や勤務条件の改善を求めるプロセスとは次元を異にするものであるから,原告Aらに労働三権が認められていないことは,以上の判断を左右するものではなく,原告Aらの職場の雰囲気が,原告B1らの指摘のとおりであったとしても,訴訟提起をするなどして本件休日勤務手当請求権を行使することを困難とさせる事情ということもできない。 (ウ) 以上によれば,本件両事務組合が,原告Aらの休日勤務手当請求権等の行使を積極的に妨げるような一方的かつ統一的な取扱いをし,その行使を著しく困難にさせた結果,これを消滅時効にかからせたものとは評価できない。 イ32号事件の時間外手当請求について時間外手当を支給しなかった本件両事務組合及び被告の取扱いは,労基法,関連条例及び関連規則の解釈適用を誤った違法なものというべきである。 そして,被告給与条例10条3項及び被告給与規則5条自体は,労基法に適合するものであるものの,前記取扱いは,その職務や勤務実態に照らし,管理監督者として処遇すべきではない原告Bらを主幹・副主幹に昇進させたことに起因するものということができる。しかし,前記ア(ア)と同様に,原告Bらが本件各請求をより早い段階で行うことが合理的に期待できたというべきである上,前記のような昇進が一律に行われるものではないこと,原告Bらに対しては相当額の管理職手当の支給もされてきたことを考慮すると,本件両事務組合及び被告が,原告Bらの権利行使を積極的に妨げるような一方的かつ統一的な取扱いをし,その行使を著しく困難にさせた結果,これを ては相当額の管理職手当の支給もされてきたことを考慮すると,本件両事務組合及び被告が,原告Bらの権利行使を積極的に妨げるような一方的かつ統一的な取扱いをし,その行使を著しく困難にさせた結果,これを消滅時効にかからせたものとは評価できない。 ウ小括以上によれば,本件において,被告が原告らの本件各請求の一部が時効により消滅することを主張することは,信義則に反するものではない。 結論 以上の次第で,原告らの請求は,主文掲記の限度で理由があるからこれを認容し,その余の部分については理由がないからこれを棄却し,仮執行宣言については相当でないからこれを付さないこととし,主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第1部裁判長裁判官多見谷寿郎裁判官志賀勝裁判官川勝庸史(別紙1及び別紙8ないし別紙13につき添付を省略)
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