主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告が平成13年3月6日付けで原告に対して行った別紙目録記載の自動車のまっ消登録回復申請に対する不受理処分を取り消す。 第2 事案の概要本件は,まっ消登録された別紙目録記載の自動車(以下「本件自動車」という。)の所有権をまっ消登録後に取得したとする原告が,被告に対してまっ消登録回復の申請をしたところ,被告が同申請を不受理として返付した(以下「本件処分」という。)ことから,原告が本件処分の取消しを求めた抗告訴訟である。 1 前提事実(争いのない事実及び証拠により容易に認定可能な事実)(1) 本件自動車は,Aがもと所有し,同人名義で登録がなされていたが,Aは平成7年3月20日,愛知陸運支局に対し,道路運送車両法(以下「法」という。)16条に基づくまっ消登録申請をなし(以下「本件まっ消申請」という。),同条に基づきまっ消登録がなされた(甲3,以下「本件まっ消登録」という。)。 (2) 原告は,本件自動車の所有権を平成11年2月1日に即時取得したことを原因として,Aに対して所有権確認請求の民事訴訟(名古屋簡易裁判所平成12年ハ第9324号)を提起し(甲8),平成13年1月18日に開かれた同事件の第1回口頭弁論期日において,Aとの間で,原告が本件自動車の所有権を有することを確認する(1項),原告はAに対し,本件自動車を大切に扱うことを確約する(2項)との内容の裁判上の和解を成立させた(甲4,以下,同和解調書を「本件和解調書」という。)。 (3) 原告は,平成13年2月6日,被告に対し,本件和解調書正本写し,本件自動車の登録事項証明書写し及び原告の印鑑登録証明書を添付して,本件自動車のまっ消登録回復申請をなした(甲1,以下「本件申請」 3) 原告は,平成13年2月6日,被告に対し,本件和解調書正本写し,本件自動車の登録事項証明書写し及び原告の印鑑登録証明書を添付して,本件自動車のまっ消登録回復申請をなした(甲1,以下「本件申請」という。)が,被告は,同年3月6日付けで,まっ消登録の回復をする事由がないため受理できないとして本件申請に係る申請書を返付した(甲2)。 (4) 自動車登録令(以下「登録令」という。)21条1項2号は,地方陸運支局長は,登録の申請をした事項が登録をすべきものでないときは,その申請を受理してはならない旨定めている。また,登録令33条には,「まっ消した登録の回復の申請をする場合において,登録上利害関係を有する第三者があるときは,申請書に添えて,その者の承諾書又はこれに対抗することができる裁判の謄本を提出しなければならない」との規定が存するが,法,道路運送車両法施行令及び登録令上,どのような場合に何人がまっ消した登録の回復の申請をすることができるかという問題に関する明文の規定は置かれていない。 2 争点(本件申請が登録令21条1項2号所定の「登録すべきものでないとき」に該当したか。)(1) まっ消登録の回復申請をなし得るのは,まっ消登録につき実体上又は手続上の瑕疵がある場合に限定されるか。 (2) (1)で限定されるとした場合,本件まっ消申請についてAに錯誤があるか。また,錯誤があったとした場合,それは上記(1)にいう瑕疵に該当するか。 (3) (2)で瑕疵に該当するとした場合,又は(1)でまっ消登録の回復申請をなし得るのはまっ消登録に瑕疵がある場合に限定されないとした場合,まっ消登録後に自動車を取得した新所有者は,まっ消登録の回復申請を行うことができるか。 3 争点に関する当事者の主張(1) 争点(1)についてア被告の主張登録令33条にい れないとした場合,まっ消登録後に自動車を取得した新所有者は,まっ消登録の回復申請を行うことができるか。 3 争点に関する当事者の主張(1) 争点(1)についてア被告の主張登録令33条にいうまっ消した登録についての回復の申請は,後記(ア)及び(イ)の理由から,実体上又は形式上の瑕疵により不適法に登録の全部又は一部がまっ消された場合に限って認められる例外的な救済措置と解すべきである。 (ア)登録を受けていない自動車につき登録を受けようとする場合には,法7条1項に基づき新規登録申請を行う必要があるが,登録自動車につき法16条1項によりまっ消登録がされた場合も,当該自動車は法7条1項にいう「登録を受けていない自動車」に該当することになるから,再度当該自動車を使用する場合には上記新規登録手続によることになる。法7条1項が添付書類として法16条2項のまっ消登録証明書を掲げていることは,かかる前提に立つものである。また,法がまっ消登録の回復につき独立した規定を設けず,登録令に委ねていることも,法が法16条1項によりまっ消登録がされた自動車を再度使用する場合の手続として上記手続を原則としたことの表れである。 (イ) 法は,自動車の取引の安全を確保するために所有権についての公証を行うことと,安全性の確保,公害の防止並びに整備技術の向上等を図ることにより,公共の福祉を増進することを目的として制定されており(1条),自動車登録ファイルに登録されていない自動車は運行の用に供することが禁じられている(4条)。運輸大臣(現在の国土交通大臣)は,法7条1項の新規登録の申請書を受理したときは,申請に係る自動車につき,所有権の存在,保安基準への適合等を審査し,基準に適合したもののみを登録することとされている(8条)が,これは,登録が第三者に対する対抗力や登録に 録の申請書を受理したときは,申請に係る自動車につき,所有権の存在,保安基準への適合等を審査し,基準に適合したもののみを登録することとされている(8条)が,これは,登録が第三者に対する対抗力や登録に係る権利に関する推定力を生ぜしめるものであり,権利関係に関する慎重な審査が必要であること及び自動車の安全性の確保等の前記目的を達成するために厳密な審査を行うべきであることから定められた規定である。法16条1項によるまっ消登録がされた自動車を再度使用する場合に,広くまっ消登録回復の方法によることを認めると,後記aないしdのような種々の弊害が生じるから,まっ消登録回復はあくまでも当初のまっ消登録が不適法になされた場合にのみ例外的に認められる救済手段と解すべきである。なお,原告は「愛」ナンバーを使用するためにはまっ消登録回復の方法によらざるを得ないとするが,自動車の登録番号は当該自動車を特定するための指標にすぎず,法は自動車にいかなる番号が割り当てられるかについて自動車所有者が有する関心を法的な保護に値する利益として保護していない(希望ナンバー制はあくまで利用者に対する行政サービスにすぎない)から,この点は回復を認めるべき法的な根拠足り得ない。 a 法16条1項によりまっ消登録がされた自動車を再度使用しようとする場合,当初のまっ消登録について何ら瑕疵がないにもかかわらず,法7条1項の新規登録に代えてまっ消登録回復の手続によることが認められるとすれば,法8条の厳密な審査を経ていない自動車が道路運送に使用されることとなり,自動車の安全性の確保等に関する法の前記目的が阻害されることになる。 b また,自動車検査証の記載事項及び構造について変更があった場合,自動車の使用者は当該自動車を使用しようとするときに検査を受ける義務があるが(法67条),法16条1項 目的が阻害されることになる。 b また,自動車検査証の記載事項及び構造について変更があった場合,自動車の使用者は当該自動車を使用しようとするときに検査を受ける義務があるが(法67条),法16条1項によりまっ消登録がされた後に構造変更がなされた場合,新規登録の方法によらずにまっ消登録の回復の方法によって登録がなされるとすると,自動車の構造についての確認をすることができず,当該自動車の現状と異なった自動車検査証が交付されるという弊害が生ずる。 c 法16条1項によりまっ消登録がされた自動車は動産となり,所有権が移転しても登録は不要である。当該自動車につき,登録まっ消後に新たに所有権を取得した者が再度使用しようとする場合には,必要書類を添付して新規登録をすることとなるが,まっ消当時の所有者が自由にまっ消登録の回復をなし得るものとすると,善意の第三者が新規登録を受けることができなくなり,自動車登録制度の機能が損なわれ,自動車取引の安全を害する。 d さらに,法16条1項によるまっ消登録がなされた場合,当該自動車について自動車損害賠償保障法(以下「自賠法」という。)20条の2による自賠責保険契約の解除がなされることが予想されるが,自賠法上,まっ消登録の回復申請がなされた場合に自賠責保険の保険証を提示すべきものとする規定は存しないから,まっ消登録回復申請を広く認めた場合,無保険車の運行を容認することとなり,自賠法の目的である被害者救済が達成されないこととなる。 イ原告の主張登録令32条は,登録のまっ消の申請をする場合にまっ消登録上利害関係を有する第三者があるときは,申請書に添えてその者の承諾書又はこれに対抗することができる裁判の謄本を添付しなければならない旨の規定であるが,同条にいうまっ消登録とは,同条ただし書の規定に鑑みれば,法15条及び16 があるときは,申請書に添えてその者の承諾書又はこれに対抗することができる裁判の謄本を添付しなければならない旨の規定であるが,同条にいうまっ消登録とは,同条ただし書の規定に鑑みれば,法15条及び16条に基づくまっ消の双方の場合を指すものであることは明らかである。登録令33条はこの32条を受けた規定であるから,32条と同様に,法15条及び16条のまっ消のいずれの場合にも適用される。そして,登録令33条がまっ消登録の回復を前提とした規定であり,回復につき要件を限定していないことからすると,回復請求は広く認められるべきである。被告がまっ消登録回復の弊害として挙げるaないしdの点は,後記(ア)ないし(ウ)のとおり,いずれも回復請求を制限すべきであるとの根拠足り得ない。また,現行法上,本件自動車の登録番号と同一の番号が他の自動車に再付与されることは絶対にないから,まっ消登録回復が自由に認められても,何ら弊害はない。原告は本件自動車の登録番号である「愛」ナンバーに愛着があり,この番号を使用するためにはまっ消登録回復以外に方法がないところ,自動車の登録番号について希望ナンバー制が取り入れられていることにも鑑みれば,このような自動車使用者の希望は尊重されるべきである。 (ア) 被告主張の弊害a,bについて登録令がまっ消登録の回復を是認する規定である33条を置いた以上,このような当然に予想される弊害については是認する趣旨であると解すべきである。 (イ) 被告主張の弊害cについてこのような弊害は,まっ消登録回復の場合に固有の問題ではなく,登録まっ消されていったん動産となった自動車を再度登録する場合に必然的に発生するから,回復請求を制限すべきであるとする根拠足り得ない。 (ウ) 被告主張の弊害dについて法及び登録令上,まっ消登録回復の際に自賠責保険証 たん動産となった自動車を再度登録する場合に必然的に発生するから,回復請求を制限すべきであるとする根拠足り得ない。 (ウ) 被告主張の弊害dについて法及び登録令上,まっ消登録回復の際に自賠責保険証を確認する旨の規定がないとしても,被告が自らの職権で回復登録に際して自賠責保険証を提示させ,確認すれば足りる。また,自賠責保険の有無は車検の際にも確認される。したがって,この点も回復請求を制限すべきであるとする根拠足り得ない。 (2) 争点(2)についてア原告の主張Aは,本件自動車を親から譲り受け,大切に保持すべきことを遺言されていた。 しかるに,車検を依頼した整備工場の者が,本件自動車はこれに適合する部品がないために車検を受けられないとの事実と異なる発言をしたため,それを真実であると誤信して本件自動車を運行の用に供することをやめることとし,本件まっ消申請をしたものである。この誤信は登録まっ消事由である「自動車を運行の用に供することをやめた」ことの動機に係わるものであるが,Aが法16条に基づくまっ消登録申請をしたということは,すなわち,Aが本件自動車を運行の用に供することをやめると判断したことを意味するから,上記動機は被告に対して表示されている。 そして,上記動機の錯誤は要素の錯誤に該当するので,本件まっ消申請は無効である。したがって,仮に争点(1)について被告主張のように解すべきであるとしても,本件は回復申請をなし得る場合に該当する。 イ被告の主張(ア) 自動車の登録申請行為は,いわゆる私人のなす公法上の行為であり,意思表示により法律効果が発生する私法上の行為とは異なり,国家機関に対して自動車の登録を促すとともに,一定の事実を通知するという性質を有するにすぎないと解されるから,民法95条の錯誤の規定は当然には適用されない。そして,まっ消 する私法上の行為とは異なり,国家機関に対して自動車の登録を促すとともに,一定の事実を通知するという性質を有するにすぎないと解されるから,民法95条の錯誤の規定は当然には適用されない。そして,まっ消登録の回復という方法に前記争点(1)につき指摘したような弊害が伴うことに鑑みると,錯誤を根拠としてまっ消登録の回復を認め得る場合とは,申請者のまっ消登録申請をするという内心の意思と外部に現れた申請行為の内容との間の不一致が明らかであり,かつ,客観的事実と相違し,まっ消した登録の回復を認めない場合には自動車所有者に不測の損害ないし過大な負担を生じさせるような場合に限られるというべきであり,このような事例として具体的に想定し得るのは,法16条によるまっ消登録申請をすべきであるのに誤って法15条に基づくまっ消登録申請をしてしまい,まっ消登録証明書の交付が受けられず,新規登録ができないというような場合に限られる。本件では,原告の主張を前提としても,法16条のまっ消登録申請をするというAの内心の申請意思と申請行為の間に何らの不一致はなく,本件まっ消申請について,まっ消登録の回復を認めるに足りる瑕疵があるとはいえない。しかも,原告の主張は動機の錯誤に関するものであるところ,錯誤規定すらも直接には適用されない私人の公法行為の場面において,民法95条の修正概念である「動機の錯誤」論を適用する余地はない。 (イ) Aが本件まっ消申請につき動機の点で錯誤に陥っていたとの事実は否認する。 本件まっ消登録後,本件申請までの間,Aから愛知陸運支局に対して本件まっ消登録に関して何らの相談も申出もない。また,原告は,本件申請の前日である平成13年2月5日に愛知陸運支局に電話をかけ,本件自動車の登録番号(いわゆる「愛」ナンバー)に愛着があり回復したいので近日中に回復申請を て何らの相談も申出もない。また,原告は,本件申請の前日である平成13年2月5日に愛知陸運支局に電話をかけ,本件自動車の登録番号(いわゆる「愛」ナンバー)に愛着があり回復したいので近日中に回復申請を出したいと述べていた。このように,本件申請は原告が本件自動車のまっ消前の登録番号に愛着があるという理由からなされたものであり,原告は本件まっ消登録に瑕疵があるとは全く主張していなかった。 (ウ) したがって,いずれの点からしても,本件申請はまっ消登録回復の方法により得ない場合についてなされたものとして登録をなし得ない場合に該当する。 (3) 争点(3)についてア被告の主張前記(1)のとおり,まっ消登録の回復は,不適法に登録の全部又は一部がまっ消された場合に限って認められる例外的な救済手段と解すべきである。しだがって,同申請をなし得る者は,これによって救済されるべき者,すなわちまっ消登録の申請人となった者又はまっ消時の所有者(ただし,まっ消登録が無権限者によって不適法になされた場合等)に限られると解すべきであり,まっ消登録後に当該自動車の所有権を取得した原告のような者はこれに含まれない。 なお,登録令33条にいう「登録上利害関係を有する第三者」とは,登録上現れている権利者で,回復申請をしようとする登録事項からみて後順位の者を意味すると解すべきであり,原告主張のようにまっ消登録当時の所有者が第三者に該当するものではない。したがって,同条がまっ消登録後の新取得者に対して申請権を認める趣旨の規定であるとは解し難い。 したがって,本件申請はこの点からしても登録をなし得ないものであり,本件処分は適法である。 イ原告の主張まっ消登録の回復を制限的に解すべきであるとする被告の主張には理由がないから,その申請権者を制限すべきであるとする被告の主張に も登録をなし得ないものであり,本件処分は適法である。 イ原告の主張まっ消登録の回復を制限的に解すべきであるとする被告の主張には理由がないから,その申請権者を制限すべきであるとする被告の主張にも理由がない。なお,被告は自らの法的主張に沿う内容の文献を証拠として提出しているが,これらの文献は単に1つの解釈を示したものにすぎず,このような解釈が公的に認められているということにはならない。 登録令33条にいう「登録上利害関係を有する第三者」とは,まっ消登録当時の登録上の所有者を意味しており,この規定はまっ消登録後に所有権を取得した者が回復申請をすることを前提としていると解すべきである。したがって,まっ消登録後の新所有者には回復申請の申請権がある。 原告は,本件自動車の所有者として回復申請権を有し,登録上の所有者であるAに対抗し得る本件和解調書も添付して本件申請をしているから,被告は適法な申請としてこれを受理し,登録をなすべきものであった。かかる本件申請を不受理とした本件処分は違法である。 第3 当裁判所の判断 1 まず,争点(1)について判断するに,法の委任に基づき,自動車の登録等に関する事項を定めることを目的として制定された登録令には,まっ消した登録を回復し得る場合があることを前提として,その申請に必要な添付書類について定める趣旨の規定(33条)が存するのに対し,法はどのような場合にまっ消登録の回復がなし得るかの実体的要件については何ら触れるところがない。 しかしながら,法7条1項は,法16条によるまっ消登録がなされた自動車を再度運行の用に供する際には,同条2項により交付されたまっ消登録証明書を添付して新規登録すべきことを前提とした規定であり,法33条1項は,まっ消登録があった自動車を譲渡する際には譲受人に対し譲渡証明書とともにまっ 供する際には,同条2項により交付されたまっ消登録証明書を添付して新規登録すべきことを前提とした規定であり,法33条1項は,まっ消登録があった自動車を譲渡する際には譲受人に対し譲渡証明書とともにまっ消登録証明書を交付すべきこととしているが,これはまっ消登録があった自動車を譲り受けた者が再度運行の用に供しようとする際,法7条1項の手続によることとなるため,まっ消登録証明書が必要となるところから設けられた規定であると解される。また,法8条は,新規登録の際に,申請に係る自動車が新規検査又は予備検査によって保安基準に適合すると認められたものかどうか等についての審査を行うこととしているが,これは,新規登録により運行を開始する車両について審査を行うことにより,自動車の運行上の安全性を確保しようとする趣旨に出たものと解される。以上によると,法は,16条によるまっ消登録がなされた自動車を再度運行の用に供する際の登録方法としては,法7条1項の新規登録を基本的手続として予定し,これによって自動車の運行上の安全性を確保しようとしていると考えられる(法1条は,その目的として,自動車の所有権に関する権利関係の公証の外に,自動車の安全性の確保及び公害の防止等も掲げている。)。 したがって,登録令33条のみを根拠として無限定にまっ消登録の回復申請が認められると解することは相当でなく,同申請をなし得るのは,まっ消登録について重大な無効原因又は瑕疵が存し,法の掲げる自動車の運行上の安全性の確保等の他の要請をある程度犠牲にしても,まっ消の効力が存続することによって不利益を受ける者を救済しなければ正義に反すると解されるような例外的な場合に限られるというべきである。 原告は,まっ消登録した自動車に付されていた登録番号を再度使用したいといった所有者の嗜好は尊重されるべきであ 者を救済しなければ正義に反すると解されるような例外的な場合に限られるというべきである。 原告は,まっ消登録した自動車に付されていた登録番号を再度使用したいといった所有者の嗜好は尊重されるべきであるし,登録の際に保安基準への適合性の確認をなし得ないといったまっ消登録の回復手続の有する弊害はやむを得ないものであるから,回復申請は広く認められるべきであると主張するが,自動車運行上の安全性の確保等の重要な公益上の要請を後退させる以上,それに値する私益を要求するのは当然というべく,原告の上記主張は採用し難い。 2 そこで,争点(2),(3)について判断する。 原告は,Aが,本件自動車は車検が受けられないと誤信したことにより本件自動車を運行の用に供することをやめることとし,本件まっ消申請をした旨主張しており,これに沿う証拠として本件和解調書及び甲11号証(原告の陳述書)を提出し,本件和解調書の和解条項2項に「原告は,Aに対し,本件自動車を大切に扱うことを確約する。」旨の記載があるのはAが上記錯誤に陥っていたことを示すものであると主張している。 しかしながら,和解に際して上記のような条項が加えられた事実は必ずしもAが原告主張の錯誤に陥っていた事実を示すものではなく,上記証拠のみでは錯誤の事実を認定するに足りないことはさておくとしても,A自身は錯誤によって形成されたまっ消登録という法律関係に何ら異を唱えているわけではなく,回復の方法で救済を求めている原告は,登録がまっ消されていることを承知の上で本件自動車を譲り受けていること,しかも,原告主張の錯誤はまっ消登録申請自体に存するわけではなく,いわゆる動機の錯誤にすぎないこと(原告は,本件自動車は車検が受けられないとの動機をAが本件まっ消申請の際に表示したとの事実を主張していないし,そもそも大量かつ画 消登録申請自体に存するわけではなく,いわゆる動機の錯誤にすぎないこと(原告は,本件自動車は車検が受けられないとの動機をAが本件まっ消申請の際に表示したとの事実を主張していないし,そもそも大量かつ画一的に処理すべき登録事務において,動機は問題とされるべきではない。),以上によれば,原告主張の錯誤の事情は,そもそもまっ消登録の回復申請をなし得る事情足り得ないというべきである。 3 したがって,本件処分は適法であり,原告の請求には理由がないことが明らかであるから,主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第9部裁判長裁判官加藤幸雄裁判官橋本都月裁判官富岡貴美別紙目録車名トヨペット型式 RS41車台番号 3RS4134179
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