【DRY-RUN】主 文 原決定を取り消し、本件を浜田簡易裁判所に移送する。 理 由 本件抗告理由の要旨は、原審被告Aが浜田簡易裁判所昭和三一年(ユ)第一八号 家屋明渡調停事件
主 文 原決定を取り消し、本件を浜田簡易裁判所に移送する。 理 由 本件抗告理由の要旨は、原審被告Aが浜田簡易裁判所昭和三一年(ユ)第一八号 家屋明渡調停事件の執行力ある調停調書正本に基き抗告人に対し家屋明渡の強制執 行に着手したところ、昭和三二年一二月一〇日当事者間に示談が成立し、被告人は 右調停調書により昭和四一年一一月末日まで引き続き右家屋を賃借することとなつ たので、本件債務名義に基く強制執行権は消滅したことを理由として本訴(請求異 議の訴)を提起したのに原審はこれを執行方法に関する異議の申立であるとして却 下決定をした。しかし執行方法に関する異議は、執行機関の純然たる手続上の違背 に関する不服申立方法であつて本件の如く債務名義の実体法上の事由を原因とする ものは請求異議の訴によるべきであるのに、これを執行方法に関する異議として、 申立を却下した原決定は違法であるからこれを取り消し、さらに相当な裁判を求め るというのである。 抗告人は原告として被告Aに対し強制執行異議の訴を提起する旨の訴状を原審に 提出したところ、原審はこれを通常訴訟として受理し(昭和三三年(ワ)第九号) 右訴の提起により強制執行停止決定をなし(同年(モ)第一一号)通常訴訟として 審理を進めたことは記録上明らかであるから、その裁判は民訴法一八二条に従い終 局判決によるべきである。ところが原審は右訴を執行方法に関する異議申立と解し て決定をもつて裁判したのである。裁判所が当事者の提出した訴状その他の申立書 記載の事件名などにこだわることなく当事者の真意を探究して裁判すべきことはい うまでもないけれども、それは民訴法一八六条の制限内のことであつて無制限にな すべきではない。執行文付与に対する異議申立を執行方法の異議と解し(昭和一〇 年四月二三日大審院決定、民集 裁判すべきことはい うまでもないけれども、それは民訴法一八六条の制限内のことであつて無制限にな すべきではない。執行文付与に対する異議申立を執行方法の異議と解し(昭和一〇 年四月二三日大審院決定、民集一四巻五号六一頁)原判決を表示してこれが取消の 裁判を求めている抗告状と題する書面を控訴状と認める(昭和一五年二月二一日大 審院決定、民集一九巻四号二六七頁)ようなことは、当事者の真意が異議<要旨>ま たは控訴の申立をすることにあるからその趣旨に従つて裁判すべきであるとして も、本件の場合の如く原告</要旨>は訴状により執行異議の訴を提起して前記債務名 義に基く強制執行不許の判決を求めているのであるから、もしその請求の原因が異 議の訴として不適法なものであれば、訴却下の判決をすべきであつて、これを執行 方法に関する異議の申立事件として決定により裁判することは前記法条に違背する ものといわざるをえない。 また原決定は抗告人の主張を強制執行を取り消すことの合意が成立したと解して いるけれども、その事実摘示には「強制執行を取り止めて従来通り引続き本件建物 を申立人(抗告人)に賃貸を約した」とあつて原審第三回口頭弁論調書によれば、 原告(抗告人)代理人が「本件調停調書に基く明渡請求権を放棄する契約が成立し なかつたとしても云々」と陳述している点から考えれば、抗告人の主張は昭和三二 年一二月一〇日に新たな賃貸借が成立したことにより賃貸人の本件調停調書による 明渡請求権は消滅したというにあるものとも解されるのであつて、そうすれば本件 異議事由は請求異議として適法なものといえるのである。 以上の理由により原決定はこれを取り消すべきものとし、本件債務名義は前記の 如く浜田簡易裁判所で成立した調停調書であるから民訴法五六〇条五四九条五六三 条三〇条により同裁判所に移送すべきものとし主文のとお 上の理由により原決定はこれを取り消すべきものとし、本件債務名義は前記の 如く浜田簡易裁判所で成立した調停調書であるから民訴法五六〇条五四九条五六三 条三〇条により同裁判所に移送すべきものとし主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官 三宅芳郎 裁判官 藤田哲夫 裁判官 熊佐義里)
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