令和2年3月25日判決言渡令和元年(ネ)第10058号損害賠償請求控訴事件(原審・大阪地方裁判所平成31年(ワ)第3277号)口頭弁論終結日令和2年2月19日判決 控訴人 X1(以下「控訴人X1」という。) 控訴人 X2(以下「控訴人X2」という。) 控訴人 X3(以下「控訴人X3」という。) 被控訴人 Y訴訟代理人弁護士若宮隆幸松原未保主文 1 本件控訴をいずれも棄却する。 2 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 控訴人X1及び控訴人X3(1) 原判決中,控訴人X1及び控訴人X3の敗訴部分を取り消す。 (2) 前項の部分につき,被控訴人の控訴人X1及び控訴人X3に対する請求をいずれも棄却する。 2 控訴人X2(1) 原判決中,控訴人X2の敗訴部分を取り消す。 (2) 被控訴人の控訴人X2に対する請求を棄却する。 第2 事案の概要(略称は,特に断りのない限り,原判決に従う。)本件は,被控訴人が,控訴人ら,1審相被告日本知財開発株式会社(以下「日本知財開発」という。),1審相被告株式会社ecoリーフ(以下「ecoリーフ」という。),1審相被告株式会社ジンム(以下「ジンム」という。),1審相被告A,1審相被告B,1審相被告C及び1審相被告D(以下,併せて「控訴人ら10名」という。)が一体となって,被控訴人に対し,発明の名称を「地盤強化工法」とする特許(特許第3793777号。以下「本件特許1」又は「本件地盤特許」といい,この特許権を「本件特許権 「控訴人ら10名」という。)が一体となって,被控訴人に対し,発明の名称を「地盤強化工法」とする特許(特許第3793777号。以下「本件特許1」又は「本件地盤特許」といい,この特許権を「本件特許権1」という。)及び発明の名称を「ナビゲーション装置」とする特許(特許第4141007号。 以下「本件特許2」又は「本件ナビ特許」といい,この特許権を「本件特許権2」という。また,本件特許権1と本件特許権2を併せて「本件各特許権」という。)の共有持分を購入すれば,近日中に大幅に価値が上がり,高額なロイヤリティを受け取れるなどと虚偽の事実を述べて購入を勧誘し,被控訴人から,購入代金名下に金員を騙取した旨主張して,控訴人X2,日本知財開発,ecoリーフ及びジンムに対しては共同不法行為に基づく損害賠償として,控訴人X1,控訴人X3,A,B,C及びDに対しては会社法429条1項に基づく取締役の任務懈怠による損害賠償として,控訴人ら10名に対し,9032万円及びこれに対する平成29年3月8日(最後の不法行為の日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める事案である。 原審は,被控訴人の控訴人X2,日本知財開発,ecoリーフ及びジンムに対する請求を全部認容し,被控訴人の控訴人X1,控訴人X3,A,B,C及 びDに対する請求を一部認容(遅延損害金の起算日をそれぞれの訴状送達の日の翌日と認定し,遅延損害金の支払請求の一部を棄却)した。 これに対し控訴人らのみが,敗訴部分を不服として,本件控訴を提起した。 1 前提事実(証拠の摘示のない事実は,争いのない事実又は弁論の全趣旨により認められる事実である。)(1) 本件特許権1についてア(ア) ジンムは,平成18年4月21日,本件特許権1の設定登録(出願日平成7年8月14 ない事実は,争いのない事実又は弁論の全趣旨により認められる事実である。)(1) 本件特許権1についてア(ア) ジンムは,平成18年4月21日,本件特許権1の設定登録(出願日平成7年8月14日。請求項の数1)を受けた(甲1,34)。 本件特許権1は,ジンムから,アーク株式会社,株式会社ドオンファクトリー,株式会社エシックス,控訴人X2へ順次移転登録(控訴人X2への移転登録の受付日平成22年10月14日)された(甲1)。 控訴人X2は,ジンムに対し,本件特許権1の専用実施権を設定し,その設定登録(受付日同日)を経由した後,日本知財開発に対し,本件特許権1の共有持分100分の30について移転登録(受付日同月19日)を経由した(甲1)。 (イ) 本件特許1(本件地盤特許)の特許請求の範囲の請求項1の記載は,次のとおりである(以下,請求項1に係る発明を「本件地盤特許発明」という場合がある。甲34)。 【請求項1】鉄骨などの構造材で強化,形成されたテーブルを地盤上に設置し,前期テーブルの上部に,立設された建築物や道路,橋などの構造物,または,人工造成地を配置する地盤強化工法であって,前記テーブルと地盤の中間に介在する緩衝材を設け,前記テーブルが既存の地盤との関連を断って,地盤に起因する欠点に対応するようにしたことを特徴とする地盤強化工法。 イジンムは,平成25年2月,鹿島建設株式会社(以下「訴外鹿島建設」 という。)に対し,訴外鹿島建設による「東京駅丸の内駅舎地下免震工事」の施工が本件特許権1の専用実施権の侵害に当たる旨主張して,専用実施権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求又は不当利得に基づく利得金返還請求の一部請求として9億7020万円の一部である1000万円及び遅延損害金の支払を求める訴訟(東京地方裁 たる旨主張して,専用実施権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求又は不当利得に基づく利得金返還請求の一部請求として9億7020万円の一部である1000万円及び遅延損害金の支払を求める訴訟(東京地方裁判所平成25年(ワ)第5071号。以下「別件侵害訴訟」という。)を提起したが,東京地方裁判所は,平成26年2月26日,ジンムの請求を棄却する旨の判決(以下「別件侵害訴訟判決」という。)をした(甲20,22,23,24の1,2)。 ジンムは,これを不服として控訴を提起し,次いで上告受理の申立てをしたが,容れられず,別件侵害訴訟判決は,確定した。 ウ訴外鹿島建設は,別件侵害訴訟係属中の平成25年4月1日,本件特許1について特許無効審判(無効2013-800062号事件。以下「別件無効審判」という。)を請求し,特許庁は,平成27年4月8日,本件特許1を無効とする旨の審決(以下「別件無効審決」という。)をした(甲1)。 控訴人X2及び日本知財開発は,これを不服として審決取消訴訟を提起し,次いで上告受理の申立てをしたが,容れられず, 別件無効審決は,平成28年6月24日,確定し,同月29日,本件特許権1の抹消登録が経由された(甲1)。 (2) 本件特許権2についてア控訴人X2は,平成20年6月20日,本件特許権2の設定登録(出願日平成10年3月18日。請求項の数32)を受けた(甲2,35)。 控訴人X2は,ジンムに対し,本件特許権2の専用実施権を設定し,その設定登録(受付日平成23年4月25日)を経由した後,日本知財開発に対し,本件特許権2の共有持分100分の30について移転登録(受付日同年5月25日)を経由した(甲2)。 その後,本件特許権2について,一部放棄(請求項2ないし30)による一部抹消登録(受付日平 許権2の共有持分100分の30について移転登録(受付日同年5月25日)を経由した(甲2)。 その後,本件特許権2について,一部放棄(請求項2ないし30)による一部抹消登録(受付日平成28年1月25日)が経由された(甲2)。 イ本件特許2(本件ナビ特許)の特許請求の範囲は請求項1,31及び32(一部放棄後のもの)からなり,その請求項1の記載は,次のとおりである(以下,請求項1に係る発明を「本件ナビ特許発明」という場合がある。甲2,35)。 【請求項1】移動体に装備され,入力部,中央処理部,記憶部,出力部を有するナビゲーション装置において,前記記憶部は旅行域に関するデータを記憶する手段を有し,前記記憶部は前記移動体が旅行するときに旅行に関わる情報を入力する手段を有し,旅行に関わる前記情報が入力されたときに,前記記憶部に記憶されるデータから,旅行可能な帯域をブランクとして,旅行に適合せずブランクによって閉じられる単位帯域をセルとして求める演算検索手段を前記中央処理部が備え,前記演算検索手段により求められたセルを前記出力部が出力表示する手段を備えてなり,目標に関わる情報と現在位置に関する情報が前記入力部から入力されたときに,前記目標と現在位置とを結ぶ線分を求め,前記線分に重なる前記セルを演算検索して出力表示することを特徴とするナビゲーション装置。 (3) 当事者等ア被控訴人は,昭和27年生まれの主婦である(甲3,29)。 イ日本知財開発は,平成20年4月28日に設立された,企業間の提携及び合併に関する仲介並びにコンサルタント業務等を目的とする株式会社である。控訴人X1は,その代表取締役である。 ウジンムは,平成7年2月8日に設立された,市場開拓,技術開発,財務相談等経営全般にわたるコンサルタント ンサルタント業務等を目的とする株式会社である。控訴人X1は,その代表取締役である。 ウジンムは,平成7年2月8日に設立された,市場開拓,技術開発,財務相談等経営全般にわたるコンサルタント等を目的とする株式会社である。 控訴人X2は,その代表取締役であり,控訴人X2の妻の控訴人X3及 びDは,その取締役である。 エ(ア) 株式会社リーフ(1審分離前相被告。以下「リーフ」という。)は,平成19年11月9日に設立された,国内外の知的財産権の実施,使用,利用,許諾,取得,譲渡,管理に関する業務等を目的とする株式会社である。Aは,その代表取締役である。 (イ) 株式会社はなみずき(1審分離前相被告。以下「はなみずき」という。)は,平成23年6月29日に設立された,特許権・債権の売買及び売買の媒介,取次,代理業務等を目的とする株式会社である。Cは,その代表取締役である。 (ウ) ecoリーフは,平成24年10月15日に設立された,有価証券取引,金融商品取引及び外国為替取引に関する情報提供サービス並びにコンサルティング業務等を目的とする株式会社である。Bは,その代表取締役である。 (4) 被控訴人による共有持分代金の支払ア被控訴人は,下記のとおり,はなみずきの担当者の勧誘を受けて,ecoリーフに対し,控訴人X2及び日本知財開発の有する本件特許権1の共有持分の譲渡代金(1口分63万円(手数料3万円を含む。))として,リーフの担当者の勧誘を受けて,リーフに対し,控訴人X2及び日本知財開発の有する本件特許権2の共有持分の譲渡代金(1口分21万円(手数料1万円を含む。))として,合計8295万円を支払った(甲4ないし19,29)。なお,本件特許権1の1口分は,共有持分2万分の1,本件特許権2の1口分は の共有持分の譲渡代金(1口分21万円(手数料1万円を含む。))として,合計8295万円を支払った(甲4ないし19,29)。なお,本件特許権1の1口分は,共有持分2万分の1,本件特許権2の1口分は,共有持分10万分の1である(甲3,5)。 記平成25年1月18日 630万円(本件特許権1・10口分)平成25年2月1日 630万円(本件特許権1・10口分)平成25年3月8日 630万円(本件特許権1・10口分) 平成25年4月10日 630万円(本件特許権1・10口分)平成27年1月30日 420万円(本件特許権2・20口分)平成27年3月9日 210万円(本件特許権2・10口分)平成27年6月7日 420万円(本件特許権2・20口分)平成27年7月23日 420万円(本件特許権2・20口分)平成27年11月13日 1050万円(本件特許権2・50口分)平成27年11月30日 315万円(本件特許権2・15口分)平成28年8月31日 840万円(本件特許権2・40口分)平成29年3月8日 2100万円(本件特許権2・100口分)イリーフは,平成29年4月27日,被控訴人に対し,本件特許権2の共有持分の買戻代金(3口分)として,63万円を振込送金した(甲28の1)。 2 争点原判決の「事実及び理由」の第2の2記載のとおりであるから,これを引用する。 第3 争点に関する当事者の主張次のとおり訂正し,当審における当事者の補充主張を付加するほか,原判決「事実及び理由」の第3記載のとおりであるから,これを引用する。 1 原判決の訂正(1) 原判決6頁11行目の「訴外鹿島建設株式会社(以 正し,当審における当事者の補充主張を付加するほか,原判決「事実及び理由」の第3記載のとおりであるから,これを引用する。 1 原判決の訂正(1) 原判決6頁11行目の「訴外鹿島建設株式会社(以下「訴外鹿島建設」という。)を「訴外鹿島建設」と,同頁11行目から12行目にかけての「特許権侵害訴訟(以下「本件地盤特許侵害訴訟」という。)」を「別件侵害訴訟」と改める。 (2) 原判決6頁18行目,7頁4行目及び12頁12行目から13行目にかけての各「本件地盤特許侵害訴訟」を「別件侵害訴訟」と改める。 (3) 原判決8頁9行目の「本件ナビ特許」から10行目の「評価」までを「本 件地盤特許においては2万分の1の共有持分1口が60万円であるから,本件地盤特許の価値の総額は120億円の評価となり,本件ナビ特許においては10万分の1の共有持分1口が20万円であるから,本件ナビ特許の価値の総額は200億円の評価」と改める。 2 当審における当事者の補充主張(争点(1)について)(1) 控訴人らの主張ア本件地盤特許発明は,技術的価値や事業性に優れた発明であり,控訴人X2及びジンム作成の平成25年6月27日付け告訴状(乙6)記載のとおり,本件地盤特許は本来有効であり,訴外鹿島建設の特許権侵害行為は極めて悪質なものであったから,別件侵害訴訟におけるジンムの勝訴は当然に確信されるべきものであり,少なくとも十分に勝訴する可能性を備えていた。確かに,控訴人X2は,「必ず勝訴します。」と言明したが,それは,このような確信を表明したものであって,約束や契約ではない。 また,特許は無効審決が確定すれば遡って無効となるが,無効審決が確定するまでの間は有効であるから,本件地盤特許の共有持分を取引の対象としたことが違法となるものではない。 そして や契約ではない。 また,特許は無効審決が確定すれば遡って無効となるが,無効審決が確定するまでの間は有効であるから,本件地盤特許の共有持分を取引の対象としたことが違法となるものではない。 そして,日本知財開発は,リーフに対し,日本知財開発及び控訴人X2の保有する共有持分を第三者に譲渡する際に,違法行為や不適切な説明を行うことのないよう常に注意しており,控訴人らは,被控訴人とリーフのAとの間でどのような交渉があったのか,全く知る由もない。 イ控訴人X3は,本件については何も知らず,控訴人X2は監督すべき要注意の人物ではないから,控訴人X3が控訴人X2に対する強い監督責任を問われるべきものではない。 ウしたがって,控訴人らの行為に何ら違法性はないから,控訴人らの共同不法行為責任又は会社法429条1項の責任を認めた原判決は誤りである。 (2) 被控訴人の主張 ア特許権はいかに優れたものであったとしても,現実的に経済的価値を有するかどうかは別の問題である。本件地盤特許が120億円もの価値があることを推認できる資料は一切なく,被控訴人が購入させられた本件地盤特許の共有持分がその譲渡価格相当(共有持分2万分の1(1口)当たり60万円)の価値がないことは明らかであり,その他の事情も考慮すれば,控訴人らが,別件侵害訴訟において勝訴すると言明し,本件地盤特許の共有持分の価値が値上がり,被控訴人に莫大な利益が還元されるかのように説明したことが虚偽の説明であったことは明らかである。 また,控訴人らは,別件無効審判の予告登録がされた際も,無効審決が出る可能性について被控訴人に説明をせず,また,客観的裏付けがないにもかかわらず,訴訟の経過について説明した「報告書」で別件侵害訴訟が控訴人らに有利に進んでおり,控訴人X2が「必ず勝訴しま 効審決が出る可能性について被控訴人に説明をせず,また,客観的裏付けがないにもかかわらず,訴訟の経過について説明した「報告書」で別件侵害訴訟が控訴人らに有利に進んでおり,控訴人X2が「必ず勝訴します」と言明するなどの報告をし,断定的な説明をしている。 さらに,被控訴人とAとの間には,被控訴人が詐欺的勧誘を受けたこと以外の関係は一切ない。そして,本件各特許権の持分を細分化して高額で譲渡するという基本的枠組みは,控訴人X2及び日本知財開発の関与なくしては成立しないものであり,また,控訴人X2及び日本知財開発は「報告書」を作成して本件の一連の行為において主導的な役割を果たしており,控訴人らは,本件の一連の行為に深く関与していたことは明らかであるから,控訴人らがAによる不法行為があったことについては知る由もないなどとはいえない。 そうすると,控訴人らが,虚偽の事実を述べて本件各特許権の共有持分の購入を勧誘し,購入代金名下に被控訴人から金員を騙取したことは明らかである。 イ控訴人X3は,控訴人X2から本件各特許権の共有持分を第三者に対して販売していることを聞いて把握していたから,仮に控訴人X3がジンム の名目上の取締役であっても,取締役会を招集するなど,控訴人X2の行為に問題がないか監視・監督する義務を負っていたというべきである。 そして,控訴人X3は,漫然と控訴人X2の行為を許容していたのであるから,任務懈怠があり,少なくとも重過失がある。 ウしたがって,控訴人らの共同不法行為責任又は会社法429条1項の責任を認めた原判決に誤りはない。 第4 当裁判所の判断当裁判所も,被控訴人の控訴人らに対する請求は,原判決主文掲記の限度で理由があると判断する。その理由は,以下のとおり訂正するほか,原判決「事実及び理由」の第 誤りはない。 第4 当裁判所の判断当裁判所も,被控訴人の控訴人らに対する請求は,原判決主文掲記の限度で理由があると判断する。その理由は,以下のとおり訂正するほか,原判決「事実及び理由」の第4の1ないし3に記載のとおりであるから,これを引用する。 1 原判決14頁1行目から8行目までを次のとおり改める。 「アジンムは,平成18年4月21日,発明の名称を「地盤強化工法」とする本件特許権1の設定登録(出願日平成7年8月14日)を受けた。本件特許権1は,ジンムから,アーク株式会社,株式会社ドオンファクトリー,株式会社エシックス,ジンムの代表取締役の控訴人X2へ順次移転登録(控訴人X2への移転登録の受付日平成22年10月14日)された。 イ控訴人X2は,平成20年6月20日,発明の名称を「ナビゲーション装置」とする本件特許権2の設定登録(出願日平成10年3月18日)を受けた。」 2 原判決14頁10行目,15頁24行目,17頁3行目,同頁7行目,18頁7行目,19頁22行目及び22頁4行目の各「本件地盤特許侵害訴訟」を「別件侵害訴訟」と改める。 3 原判決15頁11行目の「やはり」を削り,同頁11行目の「含まれていたと推認される(弁論の全趣旨)。」を「含まれていた。」と改める。 4 原判決15頁24行目から25行目にかけての「(同訴訟における実際の原告は被告ジンムである。甲20)」を削る。 5 原判決16頁16行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「 ジンムは,平成25年2月,訴外鹿島建設に対し,訴外鹿島建設による「東京駅丸の内駅舎地下免震工事」の施工が本件特許権1の専用実施権の侵害に当たる旨主張して,専用実施権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求又は不当利得に基づく利得金返還請求の一部請求として9億7020 東京駅丸の内駅舎地下免震工事」の施工が本件特許権1の専用実施権の侵害に当たる旨主張して,専用実施権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求又は不当利得に基づく利得金返還請求の一部請求として9億7020万円の一部である1000万円及び遅延損害金の支払を求める別件侵害訴訟を提起した。」 6 原判決16頁21行目から25行目までを削る。 7 原判決17頁17行目から23行目までを次のとおり改める。 「カ(ア) 東京地方裁判所は,平成26年2月26日,ジンムの訴外鹿島建設に対する請求を棄却する旨の別件侵害訴訟判決をした。ジンムは,これを不服として控訴を提起し,次いで上告受理の申立てをしたが,容れられず,別件侵害訴訟判決は,確定した。 (イ) 訴外鹿島建設は,別件侵害訴訟係属中の平成25年4月1日,本件特許1(本件地盤特許)について別件無効審判を請求し,特許庁は,平成27年4月8日,本件特許1を無効とする旨の別件無効審決をした。 控訴人X2及び被告日本知財開発は,これを不服として審決取消訴訟を提起し,次いで上告受理の申立てをしたが,容れられず, 別件無効審決は,平成28年6月24日,確定し,同月29日,本件特許権1の抹消登録が経由された。」 8 原判決19頁5行目から11行目までを削る。 9 原判決21頁17行目の「本件地盤特許侵害訴訟に勝訴することや」を「別件侵害訴訟で確実に勝訴することや」と改め,同頁24行目から25行目にかけての「本件各特許権の残存期間はごくわずかであったこと」の次に「(本件特許権1につき存続期間満了まで3年未満,本件特許権2につき存続期間満了まで4年未満)」を加える。 10 原判決23頁10行目の「また本件地盤特許侵害訴訟」から11行目の「案 内を行い,」までを「また,被控訴人が平成25年末ころに 特許権2につき存続期間満了まで4年未満)」を加える。 10 原判決23頁10行目の「また本件地盤特許侵害訴訟」から11行目の「案 内を行い,」までを「また,被控訴人が平成25年末ころに本件地盤特許の購入を断った後,リーフのEと名乗る人物が,別件侵害訴訟がうまくいっていないことの説明に併せて本件ナビ特許の持分譲渡の案内を行い,」と改める。 11 原判決25頁20行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「(5) 当審における控訴人らの補充主張についてア控訴人らは,①本件地盤特許発明は,技術的価値や事業性に優れた発明であり,控訴人X2及びジンム作成の告訴状(乙6)記載のとおり,本件地盤特許は本来有効であり,訴外鹿島建設の特許権侵害行為は極めて悪質なものであったから,別件侵害訴訟におけるジンムの勝訴は当然に確信されるべきものであり,少なくとも十分に勝訴する可能性を備えており,控訴人X2は,「必ず勝訴します。」と言明したが,それは,このような確信を表明したものであって,約束や契約ではない,②特許は無効審決が確定すれば遡って無効となるが,無効審決が確定するまでの間は有効であるから,本件地盤特許の共有持分を取引の対象としたことが違法となるものではない,③日本知財開発は,リーフに対し,日本知財開発及び控訴人X2の保有する共有持分を第三者に譲渡する際に,違法行為や不適切な説明を行うことのないよう常に注意しており,控訴人らは,被控訴人とリーフのAとの間でどのような交渉があったのか,全く知る由もないとして,控訴人らの行為に違法性はない旨主張する。 (ア) しかしながら,本件地盤特許発明の技術的価値や事業性が優れていることを認めるに足りる証拠はない。 ましてや,本件地盤特許が120億円もの価値を有することや,本件地盤特許の共有持分2 。 (ア) しかしながら,本件地盤特許発明の技術的価値や事業性が優れていることを認めるに足りる証拠はない。 ましてや,本件地盤特許が120億円もの価値を有することや,本件地盤特許の共有持分2万分の1(1口分)が60万円と評価することが相当であることを客観的に裏付ける証拠はない。 すなわち,本件地盤特許の出願日(平成7年8月14日)から20年の存続期間内に,特許権者の控訴人X2及び日本知財開発が第三者 との間で本件地盤特許の有償のライセンス契約を締結した事実を認めるに足りる証拠はなく,専用実施権者のジンムが本件地盤特許を実施し,収益を上げていた事実を認めるに足りる証拠はない。また,被控訴人がecoリーフ又はリーフに対し本件各特許権の共有持分の購入代金として合計8295万円を支払った平成25年1月11日から平成29年3月8日までの間に,本件各特許権について第三者からのライセンス料が得られるような具体的案件が進行中であったという事実や将来的に本件各特許権の価値が上昇し,高額で転売し得る見込みがあったことをうかがわせる客観的証拠の提出はない。この間,ジンムが訴外鹿島建設を相手に提起した本件特許権1の専用実施権侵害を理由に1000万円の損害賠償請求又は不当利得に基づく利得金返還を求める別件侵害訴訟は,損害の審理に入ることなく,平成25年12月6日に口頭弁論を終結し,平成26年2月26日,ジンムの請求を棄却する別件侵害訴訟判決がされ(甲20,23),その後,別件侵害訴訟判決は確定し,他方で,訴外鹿島建設が平成25年4月1日に請求した別件無効審判において,平成27年4月8日,本件特許1(本件地盤特許)を無効とする旨の別件無効審決がされ,その後,平成28年6月24日,別件無効審決が確定していることに照らすと,ジンムが訴外鹿島建 別件無効審判において,平成27年4月8日,本件特許1(本件地盤特許)を無効とする旨の別件無効審決がされ,その後,平成28年6月24日,別件無効審決が確定していることに照らすと,ジンムが訴外鹿島建設から本件地盤特許に関し損害賠償等を得る見込みが確実であったということはできず,控訴人X2が別件侵害訴訟の勝訴を確信し,「必ず勝訴します。」と言明したことについても相当な根拠があったものと認めることはできない。 (イ) 次に,前記認定のとおり,本件地盤特許についてはecoリーフの下請けであるはなみずきの担当者のFが,本件ナビ特許についてはリーフの担当者であるE又は代表取締役であるAが,被控訴人に対し,本件各特許権の共有持分を購入すれば,近日中に大幅に価値が上がり, 高額なロイヤリティを受け取れるなどと虚偽の説明をして購入を勧誘し,被控訴人から,本件各特許権の共有持分の購入代金名下に合計8295万円を騙取したものと認められ,これらの行為は被控訴人に対する不法行為を構成するものと認められる。 加えて,①このように本件各特許権の持分を細分化して高額で譲渡するという基本的枠組みは,控訴人X2,日本知財開発及びジンムの関与がなければ成立し得ないものであるから,Fらが控訴人X2,日本知財開発及びジンムと無関係に被控訴人に対する上記虚偽の説明をして勧誘を行ったものとは考えられないこと,②本件地盤特許譲受申込書(甲3)には,本件地盤特許の共有持分を1口60万円で譲渡することが,本件ナビ特許の特許権譲受申込書(甲5)には,本件ナビ特許の共有持分を1口20万円で譲渡することが記載されているところ,いずれの書面にも特許権者及び譲渡者として控訴人X2の氏名及び日本知財開発の名称が記載されていること,③控訴人X2及び日本知財開発が作成した別 分を1口20万円で譲渡することが記載されているところ,いずれの書面にも特許権者及び譲渡者として控訴人X2の氏名及び日本知財開発の名称が記載されていること,③控訴人X2及び日本知財開発が作成した別件侵害訴訟に関する報告書(甲22ないし24の2)及び本件ナビ特許に関する報告書(甲27の1ないし3)の各内容に照らすと,控訴人X2,日本知財開発及びジンムは,Fらが上記虚偽の説明をして,被控訴人に本件各特許権の共有持分を購入させたことを認識し,これに積極的に加担したものと認められる。 (ウ) 前記(ア)及び(イ)によれば,ecoリーフ,はなみずき,リーフ,控訴人X2,日本知財開発及びジンムは,被控訴人から本件各特許権の共有持分の購入代金名下に合計8295万円を騙取したことの全体について,共同不法行為責任を負うものと認めるのが相当である。 したがって,控訴人らの前記主張は採用することができない。 イ控訴人X3は,本件については何も知らず,控訴人X2は監督すべき要注意の人物ではないから,控訴人X3が控訴人X2に対する強い監督 責任を問われるべきものではない旨主張する。 しかしながら,控訴人X3は,ジンムの取締役であり,代表取締役である控訴人X2の業務執行が適正に行われるよう監視すべき義務がある。 しかるところ,控訴人X3作成の平成29年11月4日付け答弁書(原審)には,5年前に,控訴人X2から,特許の一部を譲ってその代金がもらえると聞いていたが,訴外鹿島建設との裁判に負けた後は控訴人X3への説明はなくなった旨の記載がある。上記記載によれば,控訴人X3は控訴人X2が特許権の共有持分権を譲渡していることを認識していたことが認められるから,控訴人X2の業務執行について監視を行うことが可能であったものと認められる がある。上記記載によれば,控訴人X3は控訴人X2が特許権の共有持分権を譲渡していることを認識していたことが認められるから,控訴人X2の業務執行について監視を行うことが可能であったものと認められる。もっとも,上記答弁書中には,控訴人X3は控訴人X2と別居中である旨の記載があるが,別居が開始した時期やその態様についての記載はないことに照らすと,上記記載から直ちに控訴人X2の業務執行についての監視が困難であったものと認めることはできない。他にこれを認めるに足りる証拠はない。 そうすると,控訴人X3は,控訴人X2及びジンムが関与した本件各特許権の共有持分の不正な販売行為に関し,ジンムの取締役としての控訴人X2に対する監視義務の履行を怠ったことについて重大な過失があったものと認められるから,被控訴人に対し,会社法429条1項に基づく損害賠償責任を負うものと解するのが相当である。 したがって,控訴人X3の上記主張は採用することができない。」 12 原判決26頁18行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「(5) まとめしたがって,被控訴人は,控訴人らに対し,共同不法行為又は会社法429条1項に基づく損害賠償として,9032万円及びこれに対する控訴人X2においては平成29年3月8日(最後の不法行為の日)から,控訴人X1においては同月12日(本訴状送達の日の翌日)か ら,控訴人X3においては同年10月30日(本訴状送達の日の翌日)から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求めることができるというべきである。」第5 結論以上によれば,被控訴人の控訴人X2に対する請求を認容し,被控訴人の控訴人X1及び控訴人X3に対する請求を原判決主文掲記の限度で認容した原判決は相当であって,控訴人らの きである。」第5 結論以上によれば,被控訴人の控訴人X2に対する請求を認容し,被控訴人の控訴人X1及び控訴人X3に対する請求を原判決主文掲記の限度で認容した原判決は相当であって,控訴人らの本件控訴は理由がないから,いずれも棄却することとし,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第4部 裁判長裁判官大鷹一郎 裁判官國分隆文 裁判官筈井卓矢
▼ クリックして全文を表示