- 1 - 主文 本件忌避の申立てを却下する。 理由 所論は,要するに,竹崎裁判官は,①昭和63年に陪参審制度の研究のため渡米しており,また,②最高裁判所長官就任後,裁判員の参加する刑事裁判に関する法律の施行を推進するために裁判員制度を説明するパンフレット等の配布を許すとともに,③憲法記念日に際して裁判員制度を肯定するような発言をしていること等に照らし,裁判員制度の憲法適合性を争点とする本件について,刑訴法21条1項にいう「不公平な裁判をする虞」があるというのである。 しかし,所論①が指摘する渡米研究の点は,国民の司法参加に関する一般的な調査研究をしたというものにすぎない。 また,所論②が指摘するパンフレット等の配布に係る点は,最高裁判所長官である同裁判官が,国会において制定された法律に基づく裁判員制度について,その実施の任に当たる最高裁判所の司法行政事務を総括する立場において,司法行政事務として関与したものであり,所論③が指摘する憲法記念日に際しての発言も,同じ立場において,同制度の実施に関し,司法行政事務として現状認識や見通し及び意見を述べたものである。最高裁判所長官は,最高裁判所において事件を審理裁判する職責に加えて,上記のような司法行政事務の職責をも併せ有しているのであって(裁判所法12条1項参照),こうした司法行政事務に関与することも,法律上当然に予定されているところであるから,そのゆえに事件を審理裁判する職責に差し支えが生ずるものと解すべき根拠はない。もとより,上記のような司法行政事務への関与は,具体的事件との関係で裁判員制度の憲法上の適否について法的見解を示- 2 -したものではないことも明らかである。 その他所論に鑑み検討 根拠はない。もとより,上記のような司法行政事務への関与は,具体的事件との関係で裁判員制度の憲法上の適否について法的見解を示- 2 -したものではないことも明らかである。 その他所論に鑑み検討しても,竹崎裁判官が本件につき刑訴法21条1項にいう「不公平な裁判をする虞」があるものということはできない。 よって,本件申立ては理由がないので,刑訴法23条により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官那須弘平裁判官古田佑紀裁判官田原睦夫裁判官宮川光治裁判官櫻井龍子裁判官竹内行夫裁判官金築誠志裁判官須藤正彦裁判官千葉勝美裁判官横田尤孝裁判官白木勇裁判官岡部喜代子裁判官大谷剛彦裁判官寺田逸郎)
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