平成13(ワ)14572 損害賠償請求

裁判年月日・裁判所
平成15年8月29日 東京地方裁判所
ファイル
hanrei-pdf-5637.txt

判決文本文94,116 文字)

平成15年8月29日判決言渡平成13年(ワ)第14572号損害賠償請求事件判決 主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は,原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は,原告Aに対し,金7632万7280円及びこれに対する平成13年7月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告は,原告Bに対し,金4876万3068円及びこれに対する平成13年7月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,被告の設置運営するC大学医学部附属C医院(以下「被告病院」という。)において,円錐角膜の治療のために,同一のドナーから同一日にそれぞれ1眼の角膜の移植(全層角膜移植手術)を受けた原告らが,被告に対し,被告病院において実施した全層角膜移植手術の際の措置が不適切あるいは不十分であったために緑内障を発症し,その緑内障に対する処置を誤り,他の治療法等についても十分な説明を尽くさず,結果として失明に至ったなどとして,それぞれ診療契約の債務不履行に基づき損害賠償を請求している事案である。 1 争いのない事実等(1) 被告は,肩書き住所地において被告病院を設置運営する学校法人であり,D医師は,被告病院において原告両名の主治医を務めていた者である(争いのない事実)。 (2)ア原告Aは,昭和48年生まれであるが,昭和63年8月10日,原告Aの父E及び母Fを法定代理人として,被告との間に,原告Aの円錐角膜の治療等を行う旨の診療契約を締結した(争いのない事実)。 イ原告 ,昭和48年生まれであるが,昭和63年8月10日,原告Aの父E及び母Fを法定代理人として,被告との間に,原告Aの円錐角膜の治療等を行う旨の診療契約を締結した(争いのない事実)。 イ原告Aは,平成3年7月16日,被告病院において,D医師を術者として,左眼について全層角膜移植手術を受け,その後も数度にわたり緑内障治療のための手術を受けるなどしたが,平成10年9月ころ,左眼は失明した(争いのない事実,甲A1,原告A)。 (3)ア原告Bは,昭和52年生まれであるが,平成2年4月23日,原告Bの父G及び母Hを法定代理人として,被告との間に,原告Bの円錐角膜の治療等を行う旨の診療契約を締結した(争いのない事実)。 イ原告Bは,平成3年7月16日,被告病院において,D医師を術者として,左眼について全層角膜移植手術を受け,その後も数度にわたり緑内障治療のための手術を受けるなどしたが,最終的に左眼は失明した(争いのない事実,甲A2,原告B)。 (4) 本件における診療経過は,別紙診療経過一覧表記載のとおりであって,その要旨は,以下のとおりである。なお,別紙診療経過一覧表において,下線を付していない部分は,当事者に争いのない事実か証拠欄記載の証拠により裁判所が認定した事実であり,下線を付した部分は当事者に争いのある事実であって,そのうち斜体字でない部分が,裁判所が証拠欄記載の証拠により認定した事実である。 ア原告Aの診療経過の要旨は,以下のとおりである。 原告Aは,福島県いわき市所在のI眼科から紹介を受け,昭和63年8月10日,被告病院を受診し,円錐角膜との診断を受け,平成2年4月19日及び同年10月18日に左眼表層角膜剥離術を受けたが,その後コンタクトレンズの装用も困難になってきたことから, け,昭和63年8月10日,被告病院を受診し,円錐角膜との診断を受け,平成2年4月19日及び同年10月18日に左眼表層角膜剥離術を受けたが,その後コンタクトレンズの装用も困難になってきたことから,被告病院において,平成3年7月16日,左眼に対して第1回目の全層角膜移植手術(以下「本件A第1手術」という。なお,全層角膜移植手術とは,角膜中央部の上皮層から内皮層まで全層にわたって移植する術式である。)を受け,同月28日,被告病院を退院した。その後,角膜融解等の症状が生じたことから,再度被告病院に入院し,同年8月9日に第1回目の緑内障手術及び表層角膜移植手術(以下「本件A第2手術」という。なお,表層角膜移植とは,角膜中央部の上皮層から実質層までを移植する術式である。)を受けたが,術後も左眼の状態は大きく改善せず,白内障の発症も認められたことから,同月28日に第2回目の全層角膜移植手術及び白内障手術(以下「本件A第3手術」という。)を受けた。原告Aは,退院後も被告病院に通院していたが,同年12月ころから眼圧が高くなり,再度の緑内障の手術が必要とされ,平成4年1月16日に第2回目の緑内障手術を受けた。さらに,原告Aは,その後も緑内障手術等を繰り返し受けたが,左眼の状態は改善せず,度々の入院や手術が大きな負担となっていたことから,同年4月9日に被告病院を退院して被告病院での治療をやめ,自宅近くの病院で経過観察をすることとなったが,結局,平成10年9月ころ,左眼は失明するに至った。 イ原告Bの診療経過の要旨は,以下のとおりである。 原告Bは,J病院眼科から紹介を受け,平成2年4月23日,被告病院を受診し,円錐角膜との診断を受け,コンタクトレンズの装用も困難になり,視力も低下してきたことから,被告病院において,平成3年7月16 原告Bは,J病院眼科から紹介を受け,平成2年4月23日,被告病院を受診し,円錐角膜との診断を受け,コンタクトレンズの装用も困難になり,視力も低下してきたことから,被告病院において,平成3年7月16日,左眼に対して第1回目の全層角膜移植手術(以下「本件B第1手術」という。)を受けた。原告Bは,同月22日,被告病院を退院したが,その後,角膜内皮及び角膜上皮に損傷が生じ,角膜移植片の状態が悪化し,さらに頭痛や吐き気等の症状も生ずるに至ったことから,同年10月14日,再度被告病院に入院し,第1回目の緑内障手術(以下「本件B第2手術」という。)を受けた。その後も,原告Bは,角膜の融解が引き続き認められ,白内障も疑われたことから,同月21日,第2回目の全層角膜移植手術及び白内障手術(以下「本件B第3手術」という。)を受けた。原告Bは,その後,数度の縫合手術等を経て,退院して経過観察をすることとなったが,平成4年2月以降高眼圧状態が続き,被告病院において,薬物による治療を試みていたが,平成5年3月23日,第2回目の緑内障手術を受けた。その後,原告Bは,被告病院において表層角膜移植手術を受けるなどしたが,左眼の状態に大幅な改善はみられず,結局左眼の視力は回復せず,失明するに至った。 2 争点[原告Aについて](1) 平成3年7月16日の本件A第1手術により緑内障を発生させた過失の有無(2) 緑内障の術後管理及び治療の誤りの有無(3) 説明義務違反の有無(4) 不誠実診療責任の有無(5) 損害額(判断の必要がなかった争点)[原告Bについて](6) 平成3年7月16日の本件B第1手術により緑内障を発生させた過失の有無(7) 緑内障の術後管理及び治療の誤りの有無 必要がなかった争点)[原告Bについて](6) 平成3年7月16日の本件B第1手術により緑内障を発生させた過失の有無(7) 緑内障の術後管理及び治療の誤りの有無(8) 説明義務違反の有無(9) 不誠実診療責任の有無(10) 損害額(判断の必要がなかった争点) 3 争点に関する当事者の主張争点に関する当事者の主張は,別紙争点整理表記載のとおりである。 第3 当裁判所の判断[原告Aについて] 1 証拠及び別紙診療経過一覧表によれば,原告Aの診療経過等につき,以下の事実が認められる。 (1) 原告Aは,昭和62年8月31日に福島県いわき市所在のI眼科を受診し,円錐角膜であると診断され,コンタクトレンズを装用していたが,その後,次第に角膜びらん等が悪化し,眼痛も強くなり,コンタクトレンズの装用が困難になってきたことから,I眼科の紹介により,昭和63年8月10日に被告病院を受診し,D医師の診察を受けた(乙A1)。 (2) 原告Aは,被告病院において,平成2年4月19日及び同年10月18日の2度にわたり左眼表層角膜剥離術を受けたが,症状の改善がみられず,左眼はコンタクトレンズが装用困難となり,視力の矯正も不可能となったため,角膜移植も含めた早期治療を希望し,平成3年7月16日,被告病院に入院し,左眼に対して全層角膜移植手術である本件A第1手術を受けることとなった(乙A1)。 (3) 本件A第1手術は,D医師を術者として,同日午後5時58分から午後6時37分までの間実施された。本件A第1手術は,局所麻酔で実施されたが,球後麻酔は行われず,ホナンバルーンも使用されなかった。D医師が原告Aの角膜を7.0ミリメートルのトレパンで一部切開したところ,硝子体圧が高く虹彩と水晶体が盛り 第1手術は,局所麻酔で実施されたが,球後麻酔は行われず,ホナンバルーンも使用されなかった。D医師が原告Aの角膜を7.0ミリメートルのトレパンで一部切開したところ,硝子体圧が高く虹彩と水晶体が盛り上がってきたため,いわゆる「切っちゃ縫い」という方式で手術が実施された。D医師は,縫合時に人工房水(リンゲル液)を注入して前房を形成し,前房の存在を確認している(乙A1,B12,証人D)。 (4) 原告Aには,同月17日に,鼻側に一部虹彩前癒着(カルテ(乙A1)上は「耳側」と記載されているが,その後虹彩前癒着は鼻側のものについて言及されているから,同日の癒着部位も鼻側であると認められる。)及び3時方向に虹彩後癒着が,同月18日に,9時方向に隅角癒着がそれぞれ認められたが,同月19日には虹彩前癒着は改善し,同月20日には虹彩前癒着は認められず,以後同月28日の退院までの間,カルテ上特に虹彩前癒着に関する記載はないし,虹彩後癒着及び隅角癒着に関する記載もない。 また,原告Aには,本件A第1手術後から同月28日の退院までの間,移植片のデスメ膜のしわがほぼ継続的に認められていた。 さらに,同月23日には,水晶体の後ろに薄い混濁が認められ,本件A第1手術後,前房内炎症細胞及びフィブリンが認められていたが,フィブリンについては,同月22日ころから,前房内炎症細胞については,同月27日ころから減少していった。角膜移植片及び被移植片の浮腫については,術後から退院にかけて軽度のものが認められていた。頭痛,眼痛等については,本件A第1手術後から断続的に現れていたものの,常に頭痛,眼痛の訴えがあったわけではなく,おおむね軽度のものであったし,前房については,おおむね深いものと観察されていた。 なお,術後移植角膜の内皮細胞の活性低下を考慮し,ス れていたものの,常に頭痛,眼痛の訴えがあったわけではなく,おおむね軽度のものであったし,前房については,おおむね深いものと観察されていた。 なお,術後移植角膜の内皮細胞の活性低下を考慮し,ステロイド剤(プレドニン)が同月18日から投与されていたが,同月27日には投与が中止された(乙A1,2)。 (5) 原告Aは,同月28日,症状が軽快したと判断され,被告病院を退院した(乙A1)。 (6) 原告Aは,同月31日の夜から左眼の視力低下等の症状が現れたため,翌8月1日に,被告病院を受診し,以後同月8日の入院に至るまで毎日受診した。 同月2日には白内障が認められ,その後,同月5日及び同月7日にも白内障が認められた。また,眼圧も30mmHg前後(以下単位は省略する。)と高く,フィブリンも認められた。被告病院としては,当初拒絶反応を疑い,ステロイド剤を同月1日から投与していたが,これに反応せず,角膜移植片の混濁の増強と前房内の炎症がみられたことから,感染症も疑い,同月7日にはステロイド剤の投与を中止した(乙A1)。 (7) 被告病院医師らは,原告Aに対し,続発緑内障と診断しこれに対する手術を計画し,同月8日,原告Aは,被告病院に入院した。入院時には,角膜移植片は,全体的に混濁し,2分の1ないし3分の1に融解していた(乙A1)。 (8) 同月9日,原告Aに対し,D医師を術者として,緑内障に対する手術としてのトラベクレクトミー及び表層角膜移植手術である本件A第2手術が実施された。 本件A第2手術は,当初,トラベクレクトミーのみが計画されていたが,原告Aの角膜融解が急速に進み厚さが3分の1ないし4分の1になって角膜穿孔のおそれも出てきたため,緊急手術として保存角膜を用いた表層角膜移植手術も併せて実施された。 本 が計画されていたが,原告Aの角膜融解が急速に進み厚さが3分の1ないし4分の1になって角膜穿孔のおそれも出てきたため,緊急手術として保存角膜を用いた表層角膜移植手術も併せて実施された。 本件A第2手術の際,D医師は,原告Aに認められた鼻側の虹彩周辺部のフィブリン膜を外すことを試みたが,角膜も混濁しており,癒着部位がはっきりとは見えなかったため,無理に剥離をせずに,手術を終了した(乙A1,B12)。 (9) 本件A第2手術後も,原告Aの左眼の状態は改善せず,眼痛や頭痛等も程度の差はあれ継続的な訴えがあり,角膜移植片を混濁,融解させるような強い前房内の炎症が生じ,同月23日には本件A第2手術による角膜移植片が一部融解脱落し,同月24日には成熟白内障も認められたため,被告病院医師らは,原告Aに対し,再度の全層角膜移植及び白内障の手術を計画した(乙A1,3)。 (10) 同月28日,原告Aに対し,D医師を術者として,再度の全層角膜移植手術及び白内障手術である本件A第3手術が実施された。 本件A第3手術の際,10時方向より角膜を切開して前房に入ったところ,いきなり水晶体皮質が流出してきた。切開後,水晶体皮質の残留がほとんどなかったことから,改めて水晶体皮質を吸引することはしなかった。また,角膜移植終了時に人工房水(リンゲル液)により前房を形成しようとしたが,前房の形成状態が分からなかったため,空気を少し入れて前房形成を確認し手術を終了した(乙A1,B12)。 (11) 同月29日には,前房内に空気が認められて,前房はありそうであると判断され,以後同年9月15日の退院まで,前房に関しては,上方がやや浅い(同月7日)あるいは狭い(同月11日)とされた日もあったものの,おおむね前房は深いと判断されていた。 本件A第3手術 判断され,以後同年9月15日の退院まで,前房に関しては,上方がやや浅い(同月7日)あるいは狭い(同月11日)とされた日もあったものの,おおむね前房は深いと判断されていた。 本件A第3手術以降,同月15日の退院に至るまで,原告Aには,軽度の眼痛及び頭痛が断続的に生じており,眼圧もやや高めであり,角膜移植片の浮腫も軽度のものが時折認められ,同年8月31日には周辺虹彩前癒着も認められたが,一方,前房内炎症細胞はほとんど認められず,角膜移植片も透明であり,以後外来での経過観察が適当であると判断され,原告Aは,同年9月15日,被告病院を退院した(乙A1,3)。 (12) 上記退院後も,原告Aは,被告病院へ通院していた。 退院後しばらくは,眼圧は正常であったものの,視力は0.02であり,同年10月30日には角膜移植片の虹彩前癒着が認められ,その後同年11月13日にも角膜周辺部虹彩前癒着が認められ,その後も継続的に虹彩前癒着が認められた。また,眼圧も,同日には34であり,同年12月以降もおおむね30前後の高眼圧となっていた。 同年10月30日,D医師は,原告Aに対し,サイクロスポリンを処方した。 同年12月11日には,被告病院医師らは,時期をみて緑内障の手術を行うべきであると診断し,平成4年1月6日には,原告Aの試験が終わった同月13日に入院して緑内障手術を実施するという運びになった(乙A1)。 (13) 同日の入院時には,角膜移植片に浮腫が認められ,白内障混濁を呈し,虹彩前癒着が認められ,眼圧も40ないし50と高く,マンニトールを投与したところ,いったん18に低下したが,翌14日以降も高眼圧の状態は続き,虹彩前癒着はほぼ全周に達しているという状況であった(乙A1)。 同月16日に,D医師を術者として,2 ンニトールを投与したところ,いったん18に低下したが,翌14日以降も高眼圧の状態は続き,虹彩前癒着はほぼ全周に達しているという状況であった(乙A1)。 同月16日に,D医師を術者として,2回目の緑内障手術(トラベクレクトミー)が実施され,さらに,水晶体の嚢と虹彩部の癒着剥離も行われた。 手術後,眼圧は低下し,経過は良好であり,外来での経過観察が適当であると判断されたため,原告Aは,同月23日,退院した。退院時の視力は,0.02であった(乙A1)。 (14) 同年3月11日,眼圧が24ないし29と上昇したが,これはブッケル(球結膜濾過胞)形成が縮小化し,ブッケル部が癒着してきたため眼圧が上昇したものと考えられた。そのため,癒着部を再剥離することを目的とし,原告Aは,同月16日に入院した。 同月19日に,D医師を術者として,3回目の緑内障手術(トラベクレクトミー)が実施され,さらに,硝子体切除手術も行われた。 原告Aは,上記手術後も眼圧が高い状態が続いたため,同年4月2日,D医師を術者として,4回目の緑内障手術(トラベクレクトミー)と,前部硝子体切除手術が実施された。 しかし,上記手術後,原告Aの眼圧は一時低下したが,その後再び上昇して,問題なく退院ができるという状態とは考えられなかったが,繰り返す入院及び手術により本人も家族も疲れ切っており,本人の精神状態,通院が遠距離のため困難であること及び経済状態等から,原告A及びその家族は,眼圧のコントロールについては近隣の医療機関での経過観察を希望し,角膜の混濁については希望があれば被告病院において再移植をすることとして,同月9日に被告病院を退院した(甲A1,8,乙A1)。 (15) 平成10年9月ころ,原告Aは,左眼を失明した(甲A1,原告A)。 いては希望があれば被告病院において再移植をすることとして,同月9日に被告病院を退院した(甲A1,8,乙A1)。 (15) 平成10年9月ころ,原告Aは,左眼を失明した(甲A1,原告A)。 2 争点(1)(平成3年7月16日の本件A第1手術により緑内障を発生させた過失の有無)について(1) 証拠によれば,以下の事実が認められる。 ア(ア) 角膜は,眼表面より深部へ向かって,上皮層,ボウマン膜,実質層,デスメ膜及び内皮層の5層より構成されている。角膜上皮層は,5ないし7層の重層する細胞より構成され,最深層の基底細胞は,角膜輪部上皮にある幹細胞より常に供給され,分化し,角膜表層へ移動し脱落する。ボウマン膜は,上皮細胞の基底膜であり,一層のコラーゲンの膜であって,細胞を持たない。角膜実質層は,実質細胞とコラーゲン等から構成され,角膜の90パーセントを占める。デスメ膜は内皮細胞の基底膜であり,コラーゲンで構成されている。内皮細胞は,一層の細胞であり,角膜実質層の水分調節に必要なポンプ機能を有する(甲B31,乙B1,10)。 (イ) 前房は,角膜,虹彩及び水晶体で囲まれ,房水で満たされている(甲B31)。 (ウ) 虹彩は,水晶体より眼表側に位置する組織であり,縮瞳時には水晶体を覆うように動き,散瞳時には逆の動きをする。縮瞳時の瞳孔の直径は1ないし2ミリメートル程度である(乙B10,12,証人D)。 (エ) 毛様体は,虹彩の裏(眼表側)に位置し,輪状に強膜を裏打ちしている(乙B10)。 イ角膜移植手術の目的は,角膜の炎症,ジストロフィ,沈着物,先天異常,外傷,腐食等種々の原因によって生じた不可逆的な混濁角膜を除去し,透明な角膜に置き換えて視機能を回復させることにある。被移植眼の角膜の状態によって,移植の 膜の炎症,ジストロフィ,沈着物,先天異常,外傷,腐食等種々の原因によって生じた不可逆的な混濁角膜を除去し,透明な角膜に置き換えて視機能を回復させることにある。被移植眼の角膜の状態によって,移植の術式は,全層角膜移植,表層角膜移植,角膜上皮形成術に分けられる(甲B2)。 ウ全層角膜移植手術は,角膜中央部の上皮層から内皮層まで全層にわたって移植する術式であり,角膜移植手術の中で最も基本的で頻度の高い術式であって,円錐角膜に対する治療として実施された場合,透明治癒率は95パーセント前後と高い。前部角膜表面の回復等を目的として広く実施される。 手術は,局部麻酔で行うのが原則である。また,手術は,縮瞳させた状態で行うべきであり,手術中の散瞳には注意すべきである(甲B2,3,5,7,31,32,乙B12,証人D)。 エ全層角膜移植手術を実施する際,術前に硝子体圧を下げる措置を行っても,患者が緊張している場合や10代の若い患者である場合などでは硝子体圧が高いことがあり,このような場合,角膜をトレパンで一部切開した時に,切開部から虹彩が一部脱出したり,水晶体が虹彩と共に前房側(角膜切開開口部側)に盛り上がってくる傾向があり,その後の角膜剪刀による角膜切開に困難を来すことがある。そのような場合には,「切っちゃ縫い」という術式が採用されることがある。 「切っちゃ縫い」というのは,患者の角膜を全周切開して完全に除去してからドナーの角膜を移植するのではなく,患者の角膜を少し切開しては,その部分にドナーの角膜をかぶせて縫合し,また,患者の角膜を少し切開しては,その部分にドナーの角膜をかぶせて縫合する,という操作を繰り返し,安全に手術を行うという術式であり,C大学のK教授が考案したものであって,D医師も必要に応じて採用している術 の角膜を少し切開しては,その部分にドナーの角膜をかぶせて縫合する,という操作を繰り返し,安全に手術を行うという術式であり,C大学のK教授が考案したものであって,D医師も必要に応じて採用している術式である(甲B2,乙B2,12,証人D)。 オ全層角膜移植手術の合併症について,最も重篤な術中合併症としては駆逐性出血があり,その他に角膜切開時の虹彩あるいは水晶体損傷等がある。また,術後合併症としては,創部の縫合不全,続発緑内障,感染,遷延性角膜上皮欠損,強度の術後乱視,移植角膜の障害,移植角膜に対する拒絶反応等があるが,その中でも特に重要なのは,続発緑内障と拒絶反応である(甲B2,4,7,11,32,乙B7)。 カ(ア) 前房水は,毛様体で産生され,後眼房から前房を経て,線維柱帯という網のような組織を通ってシュレム管に流れ込み,静脈に排出される。この前房水の流れが妨げられると,眼圧が高まり,緑内障となる。もっとも,線維柱帯やシュレム管は,前房の円周360度全体にわたって存在するものであるから,隅角の一部が閉塞し,その部分の前房水の流出が妨げられたとしても,それ以外の部分から前房水は流出するから,そのことが直ちに緑内障につながるわけではない。 眼圧とは,眼球の内部圧であって,眼球の形を維持する役割を担っており,房水の産生と流出によってバランスが保たれる。高眼圧とは一般に21以上のことをいい,高眼圧が緑内障の原因となることがある(乙B10,12,証人D,弁論の全趣旨)。 (イ) 全層角膜移植手術後に高眼圧が発生する確率は,5ないし30パーセントといわれており,29.7パーセントであるという報告もある(甲B9)。 (ウ) 全層角膜移植手術後に緑内障が発症する機序について,一般に浅前房,角膜浮腫等から周辺虹彩前 5ないし30パーセントといわれており,29.7パーセントであるという報告もある(甲B9)。 (ウ) 全層角膜移植手術後に緑内障が発症する機序について,一般に浅前房,角膜浮腫等から周辺虹彩前癒着を生じ,続発閉塞隅角緑内障になること,また,術後の炎症等が原因で開放隅角緑内障になることが考えられている(甲B9)。 (エ) 全層角膜移植手術後に緑内障を合併する確率は,約12パーセントであるとも,約20ないし30パーセントに上るともいわれ,緑内障を発症すると,角膜移植片は,しばしば混濁する。また,全層角膜移植後に生じた続発緑内障の予後は,一般に不良であるとの指摘もある(甲B7,9ないし11,32,乙B7)。 キ(ア) 遺伝的に自己と異なる組織を移植した場合,これを排除しようとする反応が移植を受けた生体の免疫系に生じ,その結果,移植された臓器や組織が生着することを阻害されるという現象が生ずる。これを拒絶反応という(甲B27,28)。 (イ) 角膜移植後の角膜の混濁の第1の原因は,拒絶反応であるともいわれ,全層角膜移植手術後の約30パーセントにおいて拒絶反応が現れるとの指摘もある(甲B31,32)。 (ウ)a 拒絶反応は,上皮層,実質層,内皮層のいずれに対しても生ずるが,最も重大なものは,内皮細胞に対する拒絶反応である。内皮型拒絶反応は,全移植例の約15パーセントに発生し,そのうち約25パーセントが結果的に角膜混濁に至るともいわれている(甲B7)。 b 内皮型拒絶反応とは,移植された角膜内皮細胞を標的とした拒絶反応である。内皮型拒絶反応時の患者の症状としては,視力低下,充血,痛み,異物感,流涙等があり,臨床的特徴としては,軽度から中等度の毛様充血,前房内炎症,角膜移植片内の角膜後面沈着物,角膜移植片の浮 応である。内皮型拒絶反応時の患者の症状としては,視力低下,充血,痛み,異物感,流涙等があり,臨床的特徴としては,軽度から中等度の毛様充血,前房内炎症,角膜移植片内の角膜後面沈着物,角膜移植片の浮腫等がある。さらに,角膜後面沈着物は,線状に沈着し,拒絶反応線を形成する場合がある(甲B2,27,28)。 c 通常,拒絶反応により角膜移植片が脱落,融解してしまうことはないとされる(甲B13,乙B12,証人D)。 (エ) 拒絶反応に対しては,ステロイド剤が有効であるとされている。また,ステロイド剤で抑えきれなかった拒絶反応に対してサイクロスポリンを投与したところ,有効であったとの報告もある(甲B7,29,31)。 ク虹彩前癒着とは,虹彩が角膜内皮側に癒着している状態を,虹彩後癒着とは,虹彩が水晶体側に癒着している状態をそれぞれ指す(甲B8,25)。 ケ角膜移植においては,術中術後に合併症がなくても,術後2ないし3週間は移植片にデスメ膜のしわがみられ,浮腫を生じているとされる(甲B14)。 コ水晶体が混濁し,視力に影響が及んでいるような症状を白内障という。 水晶体嚢を破損すると,水晶体線維が変性,膨化して混濁し,外傷性白内障が生ずる。角膜移植時に誤って水晶体に傷を付けるなどして白内障が生ずる場合もある。 水晶体嚢の破損部から水晶体皮質の白濁が始まり,一般に混濁は進行して,早いものでは数日のうちに水晶体全体に及ぶ(甲B18,19,証人D)。 (2) 原告Aは,D医師が,本件A第1手術の際,原告Aの虹彩及び水晶体を損傷させた結果,術後に眼内炎を引き起こし,緑内障を発生させたと主張し,その根拠として,術後早期の眼内炎の発症,平成3年7月28日退院後の強度の眼内炎の進行,同年8月2日の白内障の所見及び早期の白内障の発 せた結果,術後に眼内炎を引き起こし,緑内障を発生させたと主張し,その根拠として,術後早期の眼内炎の発症,平成3年7月28日退院後の強度の眼内炎の進行,同年8月2日の白内障の所見及び早期の白内障の発生,本件A第3手術の際,前房に入るといきなり水晶体皮質が出てきたこと,本件A第1手術が「切っちゃ縫い」の手法で行われたことなどの事実を指摘するので,まず,このような事実が認められるか否かを判断する。 アまず,術後早期に眼内炎が発症したとの点について検討すると,前記1(4)(5)に認定したとおり,原告Aにおいて,本件A第1手術後,鼻側に虹彩前癒着,3時方向に虹彩後癒着,9時方向に隅角癒着がそれぞれ認められ,さらに,前房内炎症細胞やフィブリンも観察され,原告Aは頭痛や眼痛等を訴えていたものであるが,これらは全層角膜移植手術が眼に侵襲を加えるというものである以上,ある程度は発生すると考えられるところ,これらは次第に減少あるいは消失し,平成3年7月28日の退院に至ったのであり,本件A第1手術において原告Aに現れた炎症が通常以上に強度であったと認めることはできない。また,前記1(4)に認定したとおり,原告Aには,本件第1手術後,早期には角膜移植片等に浮腫がみられ,また,継続的にデスメ膜のしわが認められていたが,前記(1)ケに認定したとおり,角膜移植においては,術中術後に合併症がなくても,術後2ないし3週間は角膜移植片にデスメ膜のしわがみられ,さらに浮腫も生じるのであるから,これらの事実からも原告Aの術後の炎症が通常以上に強度であったと認めることもできず,原告Aの上記の症状をもって,本件A第1手術において虹彩や水晶体を損傷させたことを裏付ける事実と考えることはできない。 イ次に,平成3年7月28日退院後に強度の眼内炎が進行したとの点につ ,原告Aの上記の症状をもって,本件A第1手術において虹彩や水晶体を損傷させたことを裏付ける事実と考えることはできない。 イ次に,平成3年7月28日退院後に強度の眼内炎が進行したとの点について検討すると,前記1(6)(7)(9)に認定したとおり,原告Aは,同月31日の夜から視力低下等の症状が現れ,その後角膜移植片の混濁が増強して前房内の炎症も生じ,さらに,角膜も急速に融解するなどしており,かなり強度の炎症(これを眼内炎と呼ぶかどうかは言葉の問題である。)が発生していたものであるが,これらの炎症が移植角膜の融解によるものであるのか,あるいはその他の原因によるものであるのかなどを確定するに足りる証拠はなく,そうすると,この事実を根拠に,本件A第1手術の際に原告Aの虹彩及び水晶体が損傷されたという事実をいまだ認定することはできないといわなければならない。 ウまた,白内障の発症の点について検討すると,前記1(6)に認定したとおり,原告Aには同年8月2日に白内障が認められているが,前記(1)コに認定したとおり,水晶体を破損すると,その破損部から水晶体皮質の白濁が始まり,早い場合には数日で水晶体全体に混濁が及ぶというのであるから,本件A第1手術において水晶体を破損した結果上記の白内障が発生したのであるならば,同日よりも相当早い段階で破損部位あるいはその周辺に白濁等の所見が認められるのが自然であると考えられるところ,本件全証拠によるも,同日以前にそのような所見が認められないから,同日の白内障の所見から本件A第1手術の際に水晶体を損傷した事実を認めることもできない。 原告Aは,同年7月23日における水晶体の後ろに少し薄い混濁が認められるとの所見を根拠に,同日の時点で既に白内障を発症していたとも主張するが,そもそもこれが水晶体そ めることもできない。 原告Aは,同年7月23日における水晶体の後ろに少し薄い混濁が認められるとの所見を根拠に,同日の時点で既に白内障を発症していたとも主張するが,そもそもこれが水晶体そのものの混濁であるか否かについても疑問があり,これが白内障の所見であると認めるに足りる証拠はなく,また,上記のとおり,水晶体の破損があった場合,その破損部付近から水晶体の白濁が始まるとされているのだから,本件A第1手術により水晶体を傷つけたことによって白内障を引き起こしたならば,その混濁が水晶体の後ろ側に生じたというのは不自然であって,上記の主張は採用できない。 原告Aは,甲B22に「穿孔性・非穿孔性にかかわらず白内障の進行速度は水晶体の損傷の有無とも関係して必ずしも一様ではない」との記載を引用し,原告Aにおける水晶体損傷の程度が不明である以上,早い段階で白内障が生ずるとは限らないと主張するが,同文献がその後において「水晶体嚢損傷と白内障の進行との関係については知られているところであり,水晶体嚢損傷は重要な因子であることを再確認した」「穿孔性眼外傷では水晶体嚢損傷が手術を考慮する重要な因子で,症例によっては早期白内障手術が必要であると考えられた」などと述べていることにも照らすと,同文献は,むしろ,水晶体に損傷があれば,白内障の進行は早くなるという趣旨を述べているものと理解するのが自然であり,水晶体を損傷すれば早い時期に症状が生ずるはずであるとの証人Dの陳述(乙B12)ないし証言に沿う内容であるともいえるものである。さらに,原告Aは,甲B18に「長期にわたるぶどう膜炎,網膜剥離など眼内病変にともなって水晶体の栄養障害をもたらし白内障を発生することがある」との記載を引用し,炎症の場合は長期間継続しないと白内障は発生しないと主張するが, に「長期にわたるぶどう膜炎,網膜剥離など眼内病変にともなって水晶体の栄養障害をもたらし白内障を発生することがある」との記載を引用し,炎症の場合は長期間継続しないと白内障は発生しないと主張するが,同文献はその記載からも明らかなとおり,長期にわたるぶどう膜炎が白内障を引き起こすことがあるとの趣旨を述べているのみであり,炎症の場合は長期間継続しないと白内障は発生しないとの原告Aの主張を裏付ける趣旨と解することはできない。 エさらに,本件A第3手術の際,10時方向より前房に入ったところ,いきなり水晶体皮質が流出してきたとの点について検討すると,かかる事実が認められるのは,前記1(10)に認定したとおりである。 しかし,前記ウ,(1)コに認定したとおり,本件A第1手術において既に水晶体が破損していたのであれば,証人Dも証言するように,それにより前房水が水晶体に流入して濁るとも考えられるところ,少なくとも同年8月1日までは水晶体に関して有意な所見は得られていなかったのであり,したがって,本件A第1手術時に水晶体を破損させていたとする根拠は乏しいといわざるを得ない。むしろ,前記1(6)ないし(9)認定の事実及び証拠(乙B12,証人D)によれば,同月9日に実施された本件A第2手術により,房水の流れが促進され,前房水が減少したと考えられること,原告Aには8月に入って強い炎症が生じており,角膜も急速に融解するほどであったことなどに照らすと,水晶体の嚢が脆弱化し,かつ,角膜に一部癒着しており,それが切開されることにより,水晶体皮質が流出した可能性も十分認められる。 そうすると,本件A第3手術の際,水晶体皮質が流出してきた事実をもって,本件A第1手術において水晶体を破損させていた根拠とすることもできない。 オ本件A第1手術 も十分認められる。 そうすると,本件A第3手術の際,水晶体皮質が流出してきた事実をもって,本件A第1手術において水晶体を破損させていた根拠とすることもできない。 オ本件A第1手術が「切っちゃ縫い」という術式で行われたことについて検討すると,原告Aは,本件A第1手術が一般的ではない「切っちゃ縫い」という術式で行われたことについて,本来全層角膜移植を実施する際には十分に硝子体圧を下げてから行うべきであるから,このような術式を採用せざるを得なかったこと自体に問題があると主張するが,前記(1)エに認定したとおり,術前に硝子体圧を下げる措置を行ってもなお硝子体圧が比較的高い場合もあり得るのであり,「切っちゃ縫い」は,そのような場合に利用されるべき術式であって,本件全証拠によるも,「切っちゃ縫い」の術式が特殊な問題がある術式であることも,また,その結果本件A第1手術中特段問題が生じたことも認められず,本件A第1手術が「切っちゃ縫い」という術式で行われたこと自体から,本件A第1手術の際,原告Aの虹彩及び水晶体を損傷させたと推認することはできない。 カ加えて,原告Aは,本件A第1手術の日の手術のスケジュールが過密であったと非難するが,このことから,本件A第1手術の際に,原告Aの虹彩及び水晶体を損傷させたということができないのも明らかである。 キかえって,前記1(3)に認定したとおり,本件A第1手術は,7.0ミリメートルのトレパンを用いて角膜を切開したものであるところ,前記(1)ア(ウ),ウに認定したとおり,全層角膜手術は,縮瞳させた状態で実施し,縮瞳した状態の瞳孔の直径は1ないし2ミリメートル程度となり,水晶体の上の大部分は虹彩で覆われる形になるのであるから,物理的な位置関係として,トレパンで虹彩を切ってしまわない限 させた状態で実施し,縮瞳した状態の瞳孔の直径は1ないし2ミリメートル程度となり,水晶体の上の大部分は虹彩で覆われる形になるのであるから,物理的な位置関係として,トレパンで虹彩を切ってしまわない限りは,水晶体を傷つけることは考えにくいというべきである。そして,証拠(乙A1,B12,証人D)によれば,本件A第1手術における角膜の切開は,顕微鏡下に視認しながら行ったものであり,虹彩や水晶体を損傷すれば術者や立会いの医師において簡単に認識できること,虹彩を損傷すると,出血することが多く,また,出血に至らなくても,術後虹彩の色素が脱出して白っぽくなるところ,カルテには,そのような記載は一切ないことが認められ,これらの事実によれば,D医師が,本件A第1手術中に,虹彩及び水晶体を傷つけた事実はそもそも認め難いといわなければならない。 ク上記アないしカに検討したとおり,原告Aが主張する事実はいずれも本件A第1手術において虹彩や水晶体を損傷させたことを裏付ける事実と考えることはできず,加えて,上記キに判示したところをも考慮すれば,本件A第1手術中に,虹彩及び水晶体を傷つけた事実はなおさら認め難く,結局,本件A第1手術において,原告Aの虹彩及び水晶体を損傷させた結果,術後に眼内炎を引き起こし,緑内障を発生させたという原告A主張の事実を認めることはできないといわなければならない。 (3) 原告Aは,D医師が,本件A第1手術の際,球後麻酔を実施せず,ホナンバルーンも使用しなかったことが過失であると主張する。 ア証拠によれば,以下の事実が認められる。 (ア)a 球後麻酔とは,眼球後方の筋漏斗内に麻酔薬を注射することによって,動眼神経,滑車神経,外転神経を麻酔して眼球運動を抑制するとともに,下直筋の付近にある毛様体神経節の枝を麻酔し, 。 (ア)a 球後麻酔とは,眼球後方の筋漏斗内に麻酔薬を注射することによって,動眼神経,滑車神経,外転神経を麻酔して眼球運動を抑制するとともに,下直筋の付近にある毛様体神経節の枝を麻酔し,眼球周囲の痛覚を取り除く麻酔法である(乙B10,11)。 b 全層角膜移植の際は,疼痛を除去し,低眼圧の状態を確保することが重要であり,そのために,瞬目麻酔(眼輪筋の運動麻痺と眼瞼の知覚麻痺を目的とした麻酔)及び球後麻酔が有効であって選択すべきであると指摘する文献が複数存在する(甲B2,5ないし7,32,33)。 一方で,球後麻酔につき,眼窩内のすべての神経を麻酔することで,知覚と運動そして視覚も麻酔することのできる有用な麻酔法であることを認めつつも,球後麻酔を実施する際には,その操作のほとんどを目視で確認できないため,最大限の注意を払っても出血や神経損傷といった合併症を防ぐことができず,特に球後出血は0.1ないし3パーセントの確率で発生するとの報告もあり,ひとたび出血等が発生すると手術は中断や中止を強いられ,さらには合併症の発見が翌日以降になることもあり,視機能障害を残すこともあること,球後麻酔をすると術中散瞳してくるので注意が必要であること,球後麻酔による薬液の注入自体が眼窩内圧の上昇や硝子体圧の上昇を引き起こすこともあるから注意をすべきこと,球後麻酔という手技をむやみに選択しないということも必要であること,最近では30分以内に終了する多くの肉眼手術にはテノン嚢下麻酔(前部テノン嚢及び後部テノン嚢に麻酔薬を貯留させる麻酔法)や点眼麻酔が選択され,球後麻酔はあまり行われなくなったことなどを指摘する文献も複数存在し,さらに,全層角膜移植手術の難渋は硝子体圧の高さが原因と考えられるが,通常の瞬目麻酔及び球後麻酔が行われて )や点眼麻酔が選択され,球後麻酔はあまり行われなくなったことなどを指摘する文献も複数存在し,さらに,全層角膜移植手術の難渋は硝子体圧の高さが原因と考えられるが,通常の瞬目麻酔及び球後麻酔が行われていてもそれは発生すると述べる文献も存在する(甲B1,2,33,乙B10ないし12)。 c 球後麻酔は,硝子体圧を下げるための措置ではあるが,それほど簡単な麻酔法ではなく,1回で確実に効かせないと,逆に眼圧上昇にもつながり,また,患者にとってもかなり痛い麻酔であって,上記bのように合併症も少なくない上に,白内障手術等を伴わない通常の単独の全層角膜移植術では,正常水晶体に機械的刺激を極力与えないために,また,少しでもオープンスカイ時の硝子体圧を下方に押さえ込むために,縮瞳状態(虹彩が広がって水晶体を大きく覆っている状態)であることが必要となるところ,球後麻酔を行うと散瞳してしまうという不都合もあることから,被告病院においては,全層角膜移植において通常行うべき措置であるとはされていない(乙B1,12,証人D)。 dD医師は,昭和61年に発表した「角膜移植術の適応と限界」という論文の中で,角膜移植術を実施する際は,患者側の麻酔としては局所麻酔と点眼麻酔を使用し,球後出血や散瞳を避けるため,球後麻酔は行わないことを述べている(乙B14,証人D)。 (イ)a 球後麻酔後,硝子体圧を十分に低下させ,また,麻酔薬を十分に浸潤させるため,眼球圧迫を行うが,ホナンバルーンはこの圧迫をする際に用いられるものであり,空気を注入して圧迫するものである(甲B33,乙B12,証人D)。 b 全層角膜移植手術時には,術眼の硝子体圧を低下させるために,ホナンバルーンを使用することや,硝子体圧を低下させるためにはホナンバルーンを使用すること (甲B33,乙B12,証人D)。 b 全層角膜移植手術時には,術眼の硝子体圧を低下させるために,ホナンバルーンを使用することや,硝子体圧を低下させるためにはホナンバルーンを使用することも有効であることを指摘する文献が存在する(甲B4,32)。 c 一方,ホナンバルーンを使用すると,強い圧迫による眼痛を訴える患者が多く,他方,ホナンバルーンを使用しなくても,患者にあまり苦痛を与えない高浸透圧剤の点滴や炭酸脱水素酵素阻害剤の内服等で硝子体圧を下げることは可能であるので,被告病院においては,角膜移植のみをする際にはホナンバルーンは使用しておらず,また,球後麻酔を行わない場合にホナンバルーンのみを使うということもあまりない(乙B12,証人D)。 イ前記ア(ア)bに認定したとおり,球後麻酔は,疼痛を除去し,低眼圧状態を確保するという目的からすれば,有効な麻酔法であると考えられるが,一方で,一定の割合で球後出血等の合併症が避けられないものであり,むしろ使用しない方が良いという指摘も存在し,実際に30分以内に終了する程度の手術であれば原則として実施しないとする見解も表明されているのであるから,これを実施するか否かは,基本的には,角膜移植術の難易や合併症のリスク等を考慮した上で,医師が裁量の範囲で決するべき事項であると考えられる。 そうすると,前記ア(ア)cに認定したとおり,被告病院において,合併症の危険性,散瞳の可能性,患者の苦痛等の要因を考慮の上,角膜移植を実施する際には原則的に球後麻酔を実施しないとしていたこと自体は何ら不当として批判することができないというべきであり,本件全証拠によるも,原告Aの場合,球後麻酔を実施しないことが過失となるような特段の事情も認められない。 原告Aは,球後麻酔の結果,球後 ら不当として批判することができないというべきであり,本件全証拠によるも,原告Aの場合,球後麻酔を実施しないことが過失となるような特段の事情も認められない。 原告Aは,球後麻酔の結果,球後出血をした場合には手術を中断ないし中止すればよいと主張するが,球後出血を起こすこと自体患者にとって不利益であり,加えて,前記ア(ア)bに認定したとおり,合併症の発見が遅れる場合や結果として視機能障害の後遺症が残ることもあるのであるから,単純に手術の中断ないし中止すればよいとの原告Aの上記主張は採用できない。 ウまた,前記ア(イ)acに認定したとおり,ホナンバルーンは,球後麻酔等を実施した後,麻酔薬を十分に浸潤させ,硝子体圧を低下させるために使用されるものであるから,球後麻酔を実施しない場合にも必ず使用するべきであるとはいえないし,被告病院のように,高浸透圧剤の点滴や炭酸脱水素酵素阻害剤の内服といった措置を用いて硝子体圧の低下を図るという措置も,それ自体不当であるということはできない。 エ以上によれば,球後麻酔やホナンバルーンは,角膜移植を円滑,安全に実施するための措置の一つと認められるが,角膜移植手術に当たって,必ず実施しなければならない措置ということはできず,これらの措置を実施しなかったことが過失であると認めることはできない。 (4) 原告Aは,D医師が,本件A第1手術時において,切開時にヒーロンを使用していないこと及び縫合時にヒーロン注入による前房形成をしていないことが過失であるとも主張する。 ア証拠によれば以下の事実が認められる。 (ア)a ヒーロンあるいはオペガンは,いずれもヒアルロン酸ナトリウムをその成分とする粘弾性の物質である(乙B12,15)。 b 硝子体圧が高い場合には,虹彩や水晶体が前 められる。 (ア)a ヒーロンあるいはオペガンは,いずれもヒアルロン酸ナトリウムをその成分とする粘弾性の物質である(乙B12,15)。 b 硝子体圧が高い場合には,虹彩や水晶体が前方へ盛り上がってくることがあって,角膜を切開する際に虹彩や水晶体を損傷することがあり,また,トレパンによる切開を一気に進めた場合には,角膜を穿孔し,やはり虹彩や水晶体を損傷することがある。このような場合にはヒアルロン酸ナトリウム溶液を前房内に注入して,前房深度を維持しつつ虹彩や水晶体を保護するなどの工夫が必要であるとの指摘をする文献が複数存在する(甲B2ないし4,6,7,32)。 c 移植片の縫合に当たっても,移植片及び被移植者の虹彩及び水晶体保護の目的で,ヒアルロン酸ナトリウム溶液等の粘弾性物質を前房内及び被移植片表面に滴下することが妥当であるとする文献がある(甲B6)。 d 縫合時には,ヒアルロン酸ナトリウム溶液あるいは人工房水(リンゲル液等)を用いて前房を形成するべきであるとされる。ただし,ヒアルロン酸ナトリウム溶液を用いる場合には,眼圧上昇の因子となることから,分子量の小さいものを用いるべきであるという指摘がある(甲B2,6,7)。 e 角膜移植手術時に,前房内にヒアルロン酸ナトリウム(特に高分子のもの)を多量に残留させた場合は,眼圧上昇を引き起こすことがあること,手術終了前にできるだけヒアルロン酸ナトリウムを除去しておくことが望ましいことなどの指摘もある(甲B9ないし11)。 (イ)a 本件A第1手術の際には,いわゆる「切っちゃ縫い」の術式が採用され,前房内にヒーロンを注入して前房の深さを確保しながら角膜を切開し,また,角膜剪刀を前房内に入れて角膜を一部切開し,ヒアルロン酸ナトリウム溶液を被移植片の ,いわゆる「切っちゃ縫い」の術式が採用され,前房内にヒーロンを注入して前房の深さを確保しながら角膜を切開し,また,角膜剪刀を前房内に入れて角膜を一部切開し,ヒアルロン酸ナトリウム溶液を被移植片の角膜に滴下した上に移植片を乗せ,切開部の被移植片に縫合するという形でもヒーロンを使用した(乙A11,B12,証人D)。 原告Aは,本件A第1手術の際,ヒーロンは使用されていないと主張するが,証拠(乙A11)によれば,本件A第1手術の際,原告Aに対してヒーロンが使用されていることは明らかである(原告Aは,乙A11自体を信用できないと主張するが,何ら根拠がなく,採用できない。)。また,ヒーロンの使用態様についても,上記の認定を覆すに足りる証拠はない。 b 本件A第1手術を終了するに当たっては,16針縫合の最終段階で人工房水(リンゲル液)を使用して,前房を形成した(乙B12,証人D)。 イ上記ア(イ)aに認定したとおり,D医師は,原告Aに対し,本件A第1手術の際に,切開時及び「切っちゃ縫い」時にヒーロンを使用していたのであり,ヒーロンを使用していないことを前提とする原告Aの主張は,失当であるといわざるを得ない。 また,上記ア(ア)deに認定したとおり,縫合時にヒアルロン酸ナトリウム溶液を前房形成に用いることを述べた文献はあるが,リンゲル液等の人工房水でもよいとしていることは明らかであり,さらに,分子量の大きいヒアルロン酸ナトリウムは,かえって眼圧上昇を招くため不適当であるという指摘も存在するのであるから,上記ア(イ)bに認定したとおり,D医師が,本件A第1手術終了時の前房形成に当たって人工房水(リンゲル液)を使用したことは,妥当な措置であって,ヒーロンを使用していないことは批判するに値しない。 原告Aは 認定したとおり,D医師が,本件A第1手術終了時の前房形成に当たって人工房水(リンゲル液)を使用したことは,妥当な措置であって,ヒーロンを使用していないことは批判するに値しない。 原告Aは,分子量の小さいヒーロンを使用すればよいと主張するが,上記のとおりそもそも人工房水(リンゲル液)による前房形成は妥当なものと認められるのであり,かかる主張は採用できない。 ウ原告Aは,被告が平成13年8月29日付け答弁書において,本件A第1手術では切開時にヒーロンを使用しなかったことを認めていたのであり,これを平成14年8月29日付け準備書面において切開時にヒーロンを使用したと主張を変更しているが,これは自白の撤回に当たり許されないと主張する。 しかしながら,仮に,この点につき,自白の拘束力を認めたとしても,真実に反し,かつ錯誤に基づく自白は撤回が許され,さらに,自白した事実が真実に合致しないことの証明があれば,その自白は錯誤に出たものと認めることができるところ,前記ア(イ)aに認定したとおり,本件においては証拠上切開時のヒーロン使用の事実を認めることができるのであるから,被告の自白の撤回は許されるというべきであり,原告Aの上記主張には理由がない。 エ以上説示したとおり,本件A第1手術においては,切開時にヒーロンを使用していないとは認められず,かえってヒーロンを使用した事実が認められ,また,縫合時の前房形成の点については,ヒーロンではなく人工房水(リンゲル液)を使用して前房を形成した措置は妥当であったと認められるから,この点にかかる原告Aの主張も失当である。 (5) 原告Aは,被告病院医師らが,本件A第1手術時に,隅角を十分に開放せずに縫合して手術を終了したこと,術後みられた虹彩前癒着を直ちに解除せずに隅角を閉塞 る原告Aの主張も失当である。 (5) 原告Aは,被告病院医師らが,本件A第1手術時に,隅角を十分に開放せずに縫合して手術を終了したこと,術後みられた虹彩前癒着を直ちに解除せずに隅角を閉塞する状況を作り出したことが過失であるとも主張する。 ア前記(4)及び1(3)(4)に認定したとおり,D医師は,本件A第1手術において,縫合時に人工房水(リンゲル液)を注入して前房を形成した上で,前房の存在を確認しており,さらに,同年7月28日の退院時まで,前房はおおむね深いと認められていたこと,前房形成に当たって人工房水(リンゲル液)を使用したことは妥当な措置であることから,本件A第1手術における隅角の開放が不十分であったということはできない。 イまた,前記1(4)に認定したとおり,同月17日には鼻側に一部虹彩前癒着が認められ,同月18日には9時方向に隅角癒着が認められたが,これらは一部分の癒着である上に,その後前者については改善しており,後者についても改めてカルテ上言及がないことからしてやはりその後改善したものと考えられるものであり,少なくとも癒着が悪化したものとは到底認められない。さらに,証拠(乙B12,証人D)によれば,虹彩の一部分に癒着が生じているにすぎない場合,直ちに手術等を実施して閉塞を解除するべきものとも考えられず,薬物療法を試みるべきことが認められる。 したがって,原告Aに本件A第1手術後である同月17日及び同月18日発生した虹彩前癒着及び隅角癒着に対し,直ちに解除の措置をとらなかった被告病院医師らの措置を過失ということはできない。 (6) なお,被告は,原告Aの緑内障発症原因を提供角膜の異常であると主張している。原告Aに本件A第1手術後緑内障が発症したことにつき,被告に責任が認められな の措置を過失ということはできない。 (6) なお,被告は,原告Aの緑内障発症原因を提供角膜の異常であると主張している。原告Aに本件A第1手術後緑内障が発症したことにつき,被告に責任が認められないことは,上記(2)ないし(5)において既に判示したとおりであり,この点にかかる主張は,上記の結論を左右するものではないが,以下において一応検討しておくこととする。 ア証拠によれば以下の事実が認められる。 (ア) 移植後の角膜混濁発生の原因として,原発性移植片混濁(プライマリーグラフトフェイリアー;以下「PGF」という。)というものがあるとされている。PGFは,アメリカアイバンク協会により,手術中に透明であった角膜が同定できる原因なく浮腫を来たし混濁するもので,全層角膜移植片の強い浮腫が手術後1日目より存在するものと定義されている。PGFの発生頻度は,約1ないし2パーセント程度とされ,そのうちの一部は,単純ヘルペスウィルスに起因するといわれている(乙B4)。 (イ) 平成3年8月29日に提出された臨床病理組織検査報告書においては,原告Aに対する平成3年7月16日の全層角膜移植において用いられた角膜について,特に悪性の所見は報告されていない(乙A1)。 (ウ) 原告両名に対する平成3年7月16日の全層角膜移植手術において用いられた角膜の残部を改めて電子顕微鏡で観察したところ,角膜上皮の基底膜が通常に比べて波状を示しており,角膜実質層に通常見られない膠原線維が観察されている。これは光学顕微鏡ではなく電子顕微鏡を用いることで初めて分かったことであり,上記(イ)の報告書においては電子顕微鏡を用いての観察まではしていない(乙B3,9,12,証人D)。 イ上記に認定したところによれば,原告両名の全層角膜移植手術において 分かったことであり,上記(イ)の報告書においては電子顕微鏡を用いての観察まではしていない(乙B3,9,12,証人D)。 イ上記に認定したところによれば,原告両名の全層角膜移植手術において用いられた角膜に通常とは異なる性質があった可能性自体は否定できない(上記ア(ウ)の事実は光学顕微鏡ではなく電子顕微鏡で観察することで初めて明らかになったというのであるから,上記ア(イ)の事実はこれに影響しない。)。 一方,前記1(4)に認定したとおり,本件A第1手術後,原告Aに生じた角膜の浮腫は軽度なものであり,この点において,強い浮腫が手術後1日目に存在するとのPGFの定義と一致していないし,さらに,後記8(4)アにおいて判示するところによれば,原告B同様,原告Aについても拒絶反応の可能性を完全に否定し切ることができるわけではないといわなければならず,そうすると,他に同定できる原因なく角膜が浮腫を来たし混濁したという定義も満たしているということはできない。したがって,原告Aの緑内障発症原因について,提供角膜のPGFが原因であるといまだ認めることはできないといわなければならない。 ウしかしながら,いずれにせよ,本件A第1手術における提供角膜の異常の有無が本件の結論を左右するものではないことは,先に述べたとおりである。 (6) 結論以上によれば,争点(1)にかかる原告Aの主張は,理由がなく採用できない。 3 争点(2)(緑内障の術後管理及び治療の誤りの有無)について(1) 証拠によれば,以下の事実が認められる。 ア続発閉塞隅角緑内障に対しては,まず薬物で治療をし,どうしてもコントロールできない場合には,濾過手術の適応となる。術式としては,トラベクレクトミー(隅角線維柱帯切除術)が選択される(甲B9,乙B11 続発閉塞隅角緑内障に対しては,まず薬物で治療をし,どうしてもコントロールできない場合には,濾過手術の適応となる。術式としては,トラベクレクトミー(隅角線維柱帯切除術)が選択される(甲B9,乙B11)。 イトラベクレクトミーは,線維柱帯を切除し,瘻孔を作成して,強膜弁下から結膜下に房水を導き,眼圧下降を図るものであって,正常眼圧緑内障,炎症に起因する続発緑内障,視野障害が進行したすべての緑内障に適応が認められる(乙B11)。 ウ隅角癒着解離術とは,周辺虹彩前癒着によって障害された房水排出路を,癒着の解離によって再開放する手術であり,隅角の2分の1以上に周辺虹彩前癒着が存在する閉塞隅角緑内障が本手術の適応となる。ただし,続発閉塞隅角緑内障における手術成績はまだ高いとはいえないとする平成6年の文献があり,さらに,続発閉塞隅角緑内障に対しては,周辺虹彩前癒着が広範囲である場合にも,隅角癒着剥離術を実施しても再癒着することが多く,適応とはならないとの指摘もある(甲B30,乙B11)。 エ前眼部形成術は,角膜内皮と虹彩の癒着を解離し,隅角を拡げ,虹彩同士を縫合し張力を持たせることにより角膜内皮への再癒着を防止するなどして,虹彩と角膜の位置関係を正常に修復する術式であるとされる。 虹彩前癒着例や隅角閉塞を伴う角膜混濁に対し,全層角膜移植と共に前眼部形成術を施行し,良好な結果を得たとの平成7年における報告が存在する(甲B12)。 (2) 原告Aは,D医師が,本件A第2手術において,虹彩縁の膜を外して隅角閉塞の原因を取り除いておくべきであったのであり,これを怠ったのは過失であると主張する。 前記1(8)に認定したとおり,D医師は,本件A第2手術の際,鼻側の虹彩周辺部のフィブリン膜を外すことを試みたが,角膜も混濁 おくべきであったのであり,これを怠ったのは過失であると主張する。 前記1(8)に認定したとおり,D医師は,本件A第2手術の際,鼻側の虹彩周辺部のフィブリン膜を外すことを試みたが,角膜も混濁しており,癒着部位がはっきりとは見えなかったため,無理に剥離をせずに,手術を終了したというのであり,本件A第2手術の主な目的が線維柱帯を切除し,前房水の流れを良くして眼圧の低下を図るというものであったことも併せ考えるならば,可能な限り虹彩周辺部のフィブリン膜も外して前房水の流出をより改善させようと試みたものの,それに拘泥して無理に操作をすることもかえって危険であると判断し深追いをしなかったという上記の措置は妥当であったというべきであり,これを過失と認めるに足りる証拠はない。 (3) 原告Aは,平成3年8月9日の時点で,角膜の再移植手術を行うべきであったとも主張する。 しかしながら,患者に適合する角膜が常に即時用意できるものではないことは当然であり,前記1(8)(10)に認定したとおり,被告病院は,同日においては,保存角膜によって表層角膜移植を実施して角膜の穿孔に対処し,その後同月28日に新鮮角膜が入手できた段階で,再度全層角膜移植手術を実施したのであり,これらの措置を批判することは到底できない。 (4) さらに,原告Aは,被告病院医師らには,本件A第3手術において,前房を十分に形成しておらず,これにより隅角閉塞状態を招きやすい状況を作出した過失があると主張する。 前記1(10)(11)に認定したとおり,D医師は,本件A第3手術において,手術終了時に人工房水(リンゲル液)により前房を形成しようとしたが,前房の形成状態が分からなかったため,空気を少し入れて前房形成を確認し手術を終了したこと,その翌日には前房内に空気が認められ いて,手術終了時に人工房水(リンゲル液)により前房を形成しようとしたが,前房の形成状態が分からなかったため,空気を少し入れて前房形成を確認し手術を終了したこと,その翌日には前房内に空気が認められて,前房はありそうであると判断されたこと,以後,平成3年9月15日の退院まで,おおむね前房は深いと判断されていたのであるから,証人Dが陳述(乙B12)あるいは証言するように,本件A第3手術において,前房内に空気を入れたのは,前房の形成状態を確認するためであり,かつ,前房は適切に形成されていたものと認められ(なお,後記7(9)で認定するように,原告Bの手術時にもカルテ上,前房に空気を入れ,前房ができたことを確認した旨の記載がある。),この点にかかる原告Aの主張も失当である。 (5) 加えて,原告Aは,トラベクレクトミーは効果的ではなく,被告病院は,平成3年10月30日以降において,隅角癒着解離術あるいは前眼部形成術を行うべきであったと主張する。 まず,前記(1)ウに認定したとおり,隅角癒着解離術は,平成6年の時点においても,続発閉塞隅角緑内障における手術成績がそれほど高いとはいえないとされており,さらに,続発閉塞隅角緑内障に対しては,再癒着することも多く適応とはならないともいわれていたのであるから,続発閉塞隅角緑内障であった原告A(手術後に発生した緑内障であり,隅角の閉塞によるものであるから,続発閉塞隅角緑内障である。)に対し,実施すべき手術であるとはいえず,したがって,これを実施しなかった被告病院に過失は認められない。 また,前記(1)エに認定したとおり,前眼部形成術については,それが良好な結果を得たとの報告がされたのは,平成7年であるから,これも平成3ないし4年の段階において,原告Aに対して実施するべき手術であったとは認め 1)エに認定したとおり,前眼部形成術については,それが良好な結果を得たとの報告がされたのは,平成7年であるから,これも平成3ないし4年の段階において,原告Aに対して実施するべき手術であったとは認められない。 一方,前記(1)アイに認定したとおり,トラベクレクトミーは,線維柱帯を切除し,瘻孔を作成して,強膜弁下から結膜下に房水を導くものであるから,房水が流れない状況に対する一つの有力な改善策であり,なおかつ,緑内障に対して広く適応の認められる手術であるのだから,これを実施した被告病院の措置は妥当であったということができる。 したがって,かかる原告Aの主張も失当であるといわなければならない。 (6) よって,争点(2)にかかる原告Aの主張は失当である。 4 争点(3)(説明義務違反の有無)について(1) 原告Aは,本件A第2手術に当たって,表層角膜移植手術については説明を受けておらず,これは説明義務違反であると主張する。 証拠(乙A1,B12)によれば,本件A第2手術の前日である平成3年8月8日付けの「実施する手術・麻酔の説明事項」という書面には,手術名として「左緑内障に対する手術」とのみ記載されていることが認められるが,一方で,本件A第2手術当日のカルテには,原告Aの眼の状態について詳細に観察した結果が記載された上で,“lamellar”という表層角膜移植を指すと解される記載もあることが認められ,さらに,前記1(7)(8)に認定した,原告Aの角膜融解が急速に進行し,角膜穿孔のおそれもあった事実をも併せ考えると,本件A第2手術の当日になって,角膜穿孔を防止するために角膜移植の必要性が生じ,そのことにつき原告Aを診察しながら言及をし,それがカルテに記載されたものと考えるのが合理的であるから,本件A第2手術に当た 2手術の当日になって,角膜穿孔を防止するために角膜移植の必要性が生じ,そのことにつき原告Aを診察しながら言及をし,それがカルテに記載されたものと考えるのが合理的であるから,本件A第2手術に当たって,表層角膜移植手術についても,事前に説明があったものと認められ,したがって,被告病院に説明義務違反の違法があるとは認められない。 (2) また,原告Aは,被告病院医師から,平成3年8月9日以降において,緑内障治療に関し,トラベクレクトミーについても術式,危険性,術後の経過等について詳しい説明を受けていないし,被告病院医師は,隅角癒着解離術,前眼部形成術,セトン手術等について説明するべきであったと主張する。 ア証拠(乙A1)によれば,原告Aは,被告病院において,緑内障の治療のために,トラベクレクトミーを平成3年8月9日,平成4年1月16日,同年3月19日,同年4月2日の4回にわたって異議なく受けており,その都度,父又は母との連名の手術承諾書を提出しており,その承諾書には左緑内障に対する手術について説明を受けて納得したので手術を承諾する旨が記載されていることが認められ,これらの事実によれば,原告Aは,被告病院医師から,トラベクレクトミーについてその術式,危険性,術後の経過等について説明を受けて手術を承諾したものと認められる。 イ(ア) 次に,セトン手術について,証拠(乙B6,11)によれば,セトン手術とは,房水を流出させるために濾過孔にチューブを通して濾過孔の閉塞を防ぐとともに,濾過胞のできる部位にプレートを置いて,強膜から結膜にかけての癒着を防ぐ術式であること,セトン手術は,難治性緑内障治療の選択肢の一つであり,長年の改良の結果やっと実用化の手前まで来た術式であり,安全性が確保できれば,今後緑内障治療の有力な選択肢の一つになる 癒着を防ぐ術式であること,セトン手術は,難治性緑内障治療の選択肢の一つであり,長年の改良の結果やっと実用化の手前まで来た術式であり,安全性が確保できれば,今後緑内障治療の有力な選択肢の一つになる可能性を秘めているが,最終的に安全であることが確認されるまでに越えなければならないハードルは依然として高いと指摘をしている平成5年の文献が存在すること,セトン手術は,安全性が高まったとはいえ,いまだ多くの問題を抱えており,合併症の頻度も高く,注意深く適応を選ぶべきであることを指摘している平成12年の文献が存在することが認められる。 (イ) 上記(ア)において認定したところによれば,セトン手術は,少なくとも平成5年の段階では,いまだ試験的な治療方法であって広く用いられるべきものではなく,さらに,平成12年に至っても,合併症の頻度も高く,問題点も多いことが指摘されているのであるから,これを原告Aに対して平成3年8月9日以降実施するべきであるとは到底いうことができず,したがって,セトン手術について説明すべき義務も認められないといわなければならない。 ウさらに,隅角癒着解離術及び前眼部形成術についても,前記3(5)に認定したとおり,当時原告Aに対して実施するべき手術であるとはいえなかったのであるから,これらについても被告病院医師において説明義務は生じなかったものというべきである。 (3) よって,争点(3)にかかる原告Aの主張も失当である。 5 争点(4)(不誠実診療責任の有無)について原告Aは,被告病院は本件A第1手術時に合併症を防止するための最善の処置を怠り,また,本件A第1手術後においても,視力回復に向けた最善の診療を怠り,原告Aに対して十分な情報を開示しないという不誠実な対応を行ったのであり,不誠実診療の責任は免れな 止するための最善の処置を怠り,また,本件A第1手術後においても,視力回復に向けた最善の診療を怠り,原告Aに対して十分な情報を開示しないという不誠実な対応を行ったのであり,不誠実診療の責任は免れない旨主張するが,被告病院における本件A第1手術時の処置に問題点が認められないことは前記2において判示したとおりであり,本件A第1手術後の対応についても不当な点を認めることができないのは前記2ないし4において判示したとおりであるから,原告Aの上記主張も失当であるといわざるを得ない。 6 小括以上検討したとおり,原告A主張の過失は,いずれもこれを認めることができない。 [原告Bについて] 7 証拠及び別紙診療経過一覧表によれば,原告Bの診療経過等につき,以下の事実が認められる。 (1) 原告Bは,昭和61年7月23日にJ病院眼科を受診し,円錐角膜であると診断され,その後円錐角膜は進行し,平成元年夏ころからは,ハードコンタクトレンズの装用も困難になってきたことから,上記J病院の紹介により,平成2年4月23日に被告病院を受診し,D医師の診察を受けた(乙A6)。 (2) 原告Bは,平成3年5月ころにはコンタクトレンズも使用できず,眼鏡をかけても黒板が見えないような状態になり,角膜が薄いので角膜移植をするべきであると診断され,同年7月16日,被告病院に入院し,左眼に対して全層角膜移植手術である本件B第1手術を受けることとなった(乙A6)。 (3) 本件B第1手術は,D医師を術者として,同日午後4時06分から同39分までの間実施された。手術は,局所麻酔で実施され,球後麻酔は,実施されず,ホナンバルーンは,使用されなかった。7.0ミリメートルのトレパンで切開し,角膜を移植の上,縫合して手術は終了した(乙A6,B12,証人D)。 (4 ,局所麻酔で実施され,球後麻酔は,実施されず,ホナンバルーンは,使用されなかった。7.0ミリメートルのトレパンで切開し,角膜を移植の上,縫合して手術は終了した(乙A6,B12,証人D)。 (4) 同月17日には,8時方向に虹彩前癒着が認められたほか,炎症細胞やデスメ膜のしわ,若干のフィブリン等が認められ,同月18日には,角膜移植片に浮腫も認められたが,炎症細胞,フィブリン及び角膜移植片の浮腫は次第に軽減し,虹彩前癒着も同月21日に解消して,原告Bは,同月22日に被告病院を退院した(乙A6)。 (5) 同年8月5日,原告Bには,上皮の浮腫,角膜裏面沈着及び免疫反応線が認められたことから,拒絶反応が疑われ,ステロイド剤の投与が開始された。 その後も,角膜上皮浮腫及び角膜裏面沈着やデスメ膜のしわは認められていたが,前房の炎症所見はそれほど強くなく,また,感染症の疑いも考えて,ステロイド剤の投与は,同月10日に中止された(乙A6)。 (6) その後も,角膜浮腫や角膜裏面沈着は,継続的に認められ,同月23日には,移植片の角膜上皮はほとんどなく,この上皮欠損は,内皮の機能低下によるものであると診断された。 また,同年9月4日には,移植片角膜内皮の損傷が大きいと診断され,同月9日には再移植の必要性が示唆され,隅角の10時方向における癒着も認められた。 さらに,同月25日には,角膜移植片の状態は極めて悪くなってきており,再移植が必要であると診断された。 同月27日には,7時方向の角膜移植片と宿主側の角膜との間が非常に薄くなり,虹彩が嵌頓してきていると診断された。 眼圧は,同月4日,同月13日及び同月25日のいずれの受診日においても4以下であった(乙A6)。 (7) 原告Bは,同年10月11日の夜から頭痛 なり,虹彩が嵌頓してきていると診断された。 眼圧は,同月4日,同月13日及び同月25日のいずれの受診日においても4以下であった(乙A6)。 (7) 原告Bは,同年10月11日の夜から頭痛と吐き気を感じ,同月14日に被告病院を受診したが,角膜移植片は全体に融解している状態で,続発性緑内障と診断され,緑内障に対する手術が必要であるとして緊急入院することとなった。そして,同日,原告Bに対し,D医師を術者として,緑内障に対する手術としてのトラベクレクトミーである本件B第2手術が実施された(乙A6)。 (8) その後も角膜の融解が引き続き認められ,同月21日には白内障も疑われ,同日,原告Bに対し,被告病院L医師を術者として,再度の全層角膜移植及び白内障手術(水晶体吸引術)である本件B第3手術が実施された。 本件B第3手術においては,11時方向より前房に入ると,すぐに水晶体が見え,さらに切開していくと,水晶体が脱出してきたため,水晶体を切開し,皮質を洗い出しながら手術を行い,前房に空気を入れ,前房ができたことを確認の上,手術を終えた(乙A6)。 (9) 同月28日には,追加縫合が必要であると診断され,翌29日,D医師を術者として角膜再縫合手術が実施され,5針の追加縫合が行われた。さらにその後,同年11月12日と同月15日の2回にわたり,D医師を術者として,結膜被覆手術も実施された(乙A6)。 (10) その後,原告Bは,眼痛,頭痛及び気分不快もなくなり,退院して経過観察をすることとなって,同月28日,被告病院を退院した(乙A6,7)。 (11) 平成4年1月6日の診察時には,眼圧が30ないし32と高く,ダイアモックスを投与して効果がなければ手術を行うことが示唆された。 その後,眼圧は,同月13日には20,同月20 )。 (11) 平成4年1月6日の診察時には,眼圧が30ないし32と高く,ダイアモックスを投与して効果がなければ手術を行うことが示唆された。 その後,眼圧は,同月13日には20,同月20日には14,同月29日には15となり,同日ダイアモックスの投与は中止となった(乙A6)。 (12) しかしながら,その後,原告Bの眼圧は,おおむね30ないし40前後の高い状態で推移していた。これに対し,被告病院においては,点眼薬としてチモプトール,ピバレフリン,サンピロ等,内服薬としてダイアモックス等をそれぞれ処方していた。 さらに,被告病院においては,原告Bの高眼圧状態が続いていたことから,トラベクレクトミーの実施を含む治療方針の検討もされていた(乙A6)。 (13) 平成5年2月25日には,原告Bは,続発緑内障に対する手術のために同年3月19日に入院することを予約し,同日予定どおり被告病院に入院し,同月23日,D医師を術者として,緑内障手術(トラベクレクトミー)が実施された。 上記手術後2,3日は眼圧も正常であったが,その後眼圧は上昇し,同月29日には,再手術の必要性が示唆された(乙A6)。 (14) さらに,同年4月1日には,D医師を術者として,球結膜濾過胞再建手術が実施された。 上記手術後,球結膜濾過胞が形成されて経過は良好であると判断され,原告Bは,同月4日に被告病院を退院した(乙A6)。 (15) その後,同年9月9日には,被告病院へ入院の上,被告病院M医師及びN医師を術者として表層角膜移植術が実施され,同月12日に退院するなどしたが,大幅な改善傾向はみられず,結局左眼の視力が回復することはなかった(甲A2,乙A6,原告B)。 8 争点(6)(平成3年7月16日の本件B第1手術により緑内障を発生させ 12日に退院するなどしたが,大幅な改善傾向はみられず,結局左眼の視力が回復することはなかった(甲A2,乙A6,原告B)。 8 争点(6)(平成3年7月16日の本件B第1手術により緑内障を発生させた過失の有無)について(1) 原告Bは,D医師が,本件B第1手術の際,原告Bの虹彩及び水晶体を損傷させた結果,術後に眼内炎を引き起こし,緑内障を発生させたと主張し,その根拠として,術後早期の眼内炎の発症と平成3年7月29日の白内障の発症等の事実を指摘するので,まず,このような事実が認められるか否かを判断する。 アまず,術後早期に眼内炎が発症したとの点について検討すると,前記7(4)に認定したとおり,原告Bには,本件B第1手術後早期の段階において,8時方向の虹彩前癒着,炎症細胞,デスメ膜のしわ,角膜移植片の浮腫,若干のフィブリン等が認められていたが,炎症細胞,フィブリン及び角膜移植片の浮腫は次第に軽減し,虹彩前癒着も平成3年7月21日には解消して,同原告は,翌22日には被告病院を退院しているのであり,加えて,前記2(1)ケに認定したとおり,角膜移植においては,術中術後に合併症がなくても,術後2ないし3週間は角膜移植片にデスメ膜のしわがみられ,さらに浮腫も生じるのであるから,本件B第1手術後において通常よりも強度の眼内炎が発症したものとは到底認められず,したがって,原告Bの上記の症状をもって,本件B第1手術において虹彩や水晶体を損傷させたことを裏付ける事実と考えることはできない。 イ(ア) 次に,白内障の発症の点について検討する。原告Bは,カルテ上同月29日には白内障の所見が存在し,同年10月にも白内障が現実に確認され,手術が実施されている以上,同年7月29日には既に白内障が発症しており,かつ,炎症のみではこれだけ早期に白内障 は,カルテ上同月29日には白内障の所見が存在し,同年10月にも白内障が現実に確認され,手術が実施されている以上,同年7月29日には既に白内障が発症しており,かつ,炎症のみではこれだけ早期に白内障が発症することは考え難いから,この白内障の発症は,本件B第1手術において虹彩や水晶体が傷つけられたことの根拠となる事実であると主張し,一方,被告は,同日のカルテに白内障(+)という所見は存在するが,その後に白内障を疑わせる記載はないから,同日のカルテの記載者が角膜の混濁を白内障と取り違えた可能性が高く,また,仮に同日に白内障が発症していたとしても,術後13日目にしてようやく白内障の所見が認められるというのは,むしろ術中の損傷を否定すべき現象であると主張する。 (イ) 証拠(乙A6)によれば,カルテ上,同日には白内障(+)との記載があるが,その後,同年10月20日に至るまで白内障に関する記載はなく,同日には白内障は不明であるとの記載があり,同月21日には白内障(+)かもしれないので,白内障に対する吸引の用意をすべき旨の記載があり,同日の本件B第3手術において白内障の治療として水晶体吸引術も実施されたこと,水晶体に関しても,同年7月29日以降同年10月20日に至るまでの間,同年8月12日に水晶体表面中央部に薄い混濁があるとの記載及び同年9月4日に水晶体は透明のようであるとの記載があるほかは特に言及がないこと,同年7月29日の白内障のスケッチは,水晶体の前の皮質だけでなく,後ろの皮質にも同様の白濁があるように描かれていることが認められる。 (ウ) そうすると,同年7月29日に白内障であるとの診断がされているものの,その後白内障に関しては3箇月近くカルテに記載がなく,また,前記2(1)コに認定したとおり,白内障を発症した場合には水晶 (ウ) そうすると,同年7月29日に白内障であるとの診断がされているものの,その後白内障に関しては3箇月近くカルテに記載がなく,また,前記2(1)コに認定したとおり,白内障を発症した場合には水晶体皮質が白濁し,かつ混濁が進行していくものであるところ,水晶体の混濁についても同年8月12日に表面中央部に薄い混濁があるという言及があるのみであるばかりか,かえって同年9月4日には水晶体は透明であるという所見も得られていたのであるから,同年7月29日における「白内障(+)」との所見から,直ちに同日に白内障を発症していたものと認めることができるかについては,なお疑問が残るといわなければならない。 (エ) 仮に,同日における上記所見が白内障を示唆するものであったとしても,その後,平成3年10月20日ないし21日になってようやく再び白内障ではないかとの診断がされたという経過,さらには,前記2(1)コに認定したとおり,水晶体を傷つけて白内障が発症する場合に,水晶体の破損部から水晶体皮質の白濁が始まり,一般に混濁は進行して,早いものでは数日のうちに水晶体全体に及ぶことすらあるのに対し,原告Bの場合には,本件B第1手術後白内障が発症したのは13日後であり,その所見は,水晶体の前の皮質だけでなく,後ろの皮質にも同様の白濁があるというものであることを考慮すると,同年7月29日の白内障の所見が本件B第1手術において水晶体を損傷したことに起因する白内障であるとは認められず,これをもって,本件B第1手術において虹彩や水晶体を損傷したことの根拠とすることはできないといわなければならない。 したがって,この点の原告Bの主張も採用することができない。 ウかえって,前記2(2)キにおいて既に判示し,また,前記7(3)に認定したとおり,本件B第1手 いわなければならない。 したがって,この点の原告Bの主張も採用することができない。 ウかえって,前記2(2)キにおいて既に判示し,また,前記7(3)に認定したとおり,本件B第1手術は,7.0ミリメートルのトレパンを用いて角膜を切開したものであるところ,全層角膜手術は,縮瞳させた状態で実施し,縮瞳した状態の瞳孔の直径は1ないし2ミリメートル程度となり,水晶体の上の大部分は虹彩で覆われる形になるのであるから,物理的な位置関係として,トレパンで虹彩を切ってしまわない限りは,水晶体を傷つけることは考えにくいというべきである。そして,証拠(乙A6,B12,証人D)によれば,本件B第1手術における角膜の切開は,顕微鏡下に視認しながら行ったものであり,虹彩や水晶体を損傷すれば術者や立会いの医師において簡単に認識できること,虹彩を損傷すると,出血することが多く,また,出血に至らなくても,術後虹彩の色素が脱出して白っぽくなるところ,カルテには,そのような記載は一切ないことが認められ,これらの事実によれば,本件B第1手術中に,虹彩及び水晶体を傷つけた事実はそもそも認め難いといわなければならない。 エ上記アイに検討したとおり,原告Bが主張する事実はいずれも本件B第1手術において虹彩や水晶体を損傷させたことを裏付ける事実と考えることはできず,加えて,上記ウに判示したところをも考慮すれば,本件B第1手術中に,虹彩及び水晶体を傷つけた事実はなおさら認め難く,結局,本件B第1手術において,原告Bの虹彩及び水晶体を損傷させた結果,術後に眼内炎を引き起こし,緑内障を発生させたという原告B主張の事実を認めることはできない。 (2) 原告Bは,D医師が,本件B第1手術の際,球後麻酔を実施せず,ホナンバルーンも使用しなかったことが過失であると主張 こし,緑内障を発生させたという原告B主張の事実を認めることはできない。 (2) 原告Bは,D医師が,本件B第1手術の際,球後麻酔を実施せず,ホナンバルーンも使用しなかったことが過失であると主張する。 しかしながら,前記2(3)に判示したとおり,球後麻酔を実施せず,あるいはホナンバルーンを使用しなかったこと自体が過失であるということはできないことは,原告Aの場合と同様であるから,これらの措置を実施しなかったことが過失であるとの原告Bの主張は採用できない。 (3) 原告Bは,D医師が,本件B第1手術時において,切開時にヒーロンを使用していないこと及び縫合時にヒーロン注入による前房形成をしていないことが過失であると主張する。 ア証拠(乙A6,12,B12,証人D)によれば,D医師は,本件B第1手術の際,原告Bに対し,オペガン(ヒアルロン酸ナトリウムを含有する)を使用しているが,切開時及び縫合時にはヒーロン等を使用していないこと及び16針縫合の最終段階で人工房水(リンゲル液)を注入し前房を形成して手術を終了したことが認められる。 イ上記アのうち,縫合時における前房形成にヒーロンではなく人工房水(リンゲル液)を使用した点については,前記2(4)ア(ア),イに判示したとおり妥当な措置であったと認められる。 また,切開時にヒーロンを使用していない点について,前記2(4)ア(ア)bに認定したとおり,角膜を切開する場合,前房深度を維持しつつ虹彩や水晶体を保護するために,ヒーロンを前房内に注入することが必要であるとの指摘をする文献が複数存在する。しかし,証拠(甲B2ないし4,6,7,32,乙B12,証人D)によれば,これらの文献は,角膜切開時に虹彩が一部脱出したり,水晶体が虹彩と共に前房側に盛り上がってくるというよう 文献が複数存在する。しかし,証拠(甲B2ないし4,6,7,32,乙B12,証人D)によれば,これらの文献は,角膜切開時に虹彩が一部脱出したり,水晶体が虹彩と共に前房側に盛り上がってくるというような硝子体圧が高い場合に,虹彩や水晶体を損傷することがないようにヒーロンを前房内に注入して前房深度を維持するという趣旨を指摘しているものであり,一般的に角膜切開時には,ヒーロンを使用すべきであることを述べたものとは認められず,また,本件全証拠によるも,原告Bにおいて,切開時にヒーロンを使用しなければならなかった特段の事情も認められないから,本件B第1手術の角膜切開の際,ヒーロンを使用しなかったことをもって過失ということはできない。加えて,前記(1)において判示したとおり,本件B第1手術の際,原告Bの虹彩や水晶体を損傷した事実を認定することができないのであるから,本件B第1手術の際,ヒーロンを使用しなかった点をとらえて過失ということはできない。 ウしたがって,この点にかかる原告Bの主張も失当である。 (4) さらに,原告Bは,平成3年8月5日ころ,拒絶反応を生じ,その後これが進行して虹彩前癒着及び虹彩嵌頓が生じたのに,被告病院医師らは,虹彩前癒着及び虹彩嵌頓を早期に解除せず,再移植も早期に行わなかった過失によって緑内障を発症させたと主張する。 アそこで,まず,拒絶反応の発症の有無について争いがあるので検討すると,前記7(5)に認定したとおり,原告Bには,同年8月5日の時点で,角膜上皮浮腫,角膜裏面沈着及び免疫反応線が認められたところ,前記2(1)キ(イ)(ウ)に認定したとおり,全層角膜移植手術後は相当の割合で拒絶反応が発生し,その臨床的特徴としては,角膜移植片の浮腫,角膜後面沈着物,拒絶反応線等があるのであるから,これ ころ,前記2(1)キ(イ)(ウ)に認定したとおり,全層角膜移植手術後は相当の割合で拒絶反応が発生し,その臨床的特徴としては,角膜移植片の浮腫,角膜後面沈着物,拒絶反応線等があるのであるから,これらによれば,原告Bにこの時点で拒絶反応が生じたと考えられないわけではない。 しかしながら一方で,前記2(1)キ(エ),7(5)の認定事実及び証拠(乙A1,B12,証人D)によれば,拒絶反応に対してはステロイド剤が有効であるところ,原告Bに対しては,同日からステロイド剤を投与したにもかかわらず,目立った効果はなく(なお,原告Bは,ステロイド剤を内服しないこともあったから,ステロイド剤の適切な投与があったことは疑問であるとするが,ステロイド剤は内服のみではなく眼注もされている(乙A6,証人D,診療経過一覧表)から,ステロイド剤投与の事実は認めることができるし,また,投与期間が不十分であるとする証拠もない。),また,前記2(1)キ(ウ)cに認定したとおり,拒絶反応の場合,角膜が融解してしまうことはないとされているにもかかわらず,原告Bの場合,前記7(7)に認定したとおり,角膜の融解がみられているから,これらによれば,原告Bに生じたのは拒絶反応ではなかったとも考えられる。 この点,証拠(甲B28,29,証人D)によれば,ステロイド剤が拒絶反応に対して必ず効くとまでは認められないから,原告Bに拒絶反応が生じていた可能性を全面的に否定することまではできないが,しかしながら,一般的には拒絶反応に対してステロイド剤が効果的であることも上に述べたとおりなのであるから,角膜が融解したという事実も考慮すれば,原告Bに拒絶反応が生じていた可能性は低いものといわざるを得ず,結局のところ,いまだ,本件全証拠を検討しても,原告Bに拒絶反応が発症していた りなのであるから,角膜が融解したという事実も考慮すれば,原告Bに拒絶反応が生じていた可能性は低いものといわざるを得ず,結局のところ,いまだ,本件全証拠を検討しても,原告Bに拒絶反応が発症していたか否かを認定するには至らないといわなければならない。 もっとも,前記7(5)に認定したとおり,被告病院医師らは,原告Bの症状に対し,拒絶反応を疑って速やかにステロイド剤の投与を開始し,効果が現れなかった時点で感染症の疑いをも考慮してステロイド剤の投与を中止したのであるから,原告Bに生じていた症状が拒絶反応によるものであったか否かを問わず,この点における被告病院医師らの措置に問題点は見出せないというべきである。 イ次に,虹彩の癒着や嵌頓の放置及び角膜再移植時期の遅れについて,判断するに,前記7(6)に認定したとおり,原告Bには,同年9月9日に隅角の10時方向における癒着,同月27日に虹彩嵌頓がそれぞれ認められ,また,同月9日には再移植の必要性が示唆されていた。一方で,前記7(7)(8)の認定事実及び証拠(乙A6,B12,証人D)によれば,同月27日には角膜移植の優先順位を大至急として入院予約の措置がとられ,同年10月5日には全身麻酔での手術の順番待ちの状態になっていたところ,同月11日の夜以降原告Bの体の状態が悪くなったことなどから,同月14日に緊急入院の上,緑内障に対するトラベクレクトミーである本件B第2手術が実施され,同月21日になって全層角膜移植手術である本件B第3手術が実施されたことが認められる。 前記2(5)イの認定事実及び証拠(乙B12,証人D)によれば,虹彩の癒着等に関して,それが眼圧の上昇に結びつくのは主として広範囲にわたる癒着であり,部分的な癒着を認めた場合にそれのみを理由として手術を実施して解除する 事実及び証拠(乙B12,証人D)によれば,虹彩の癒着等に関して,それが眼圧の上昇に結びつくのは主として広範囲にわたる癒着であり,部分的な癒着を認めた場合にそれのみを理由として手術を実施して解除することはかえって炎症等を増強させる結果につながり,患者の利益にもならないので,薬物療法を試みるべきことが認められるところ,前記7(6)に認定したとおり,少なくとも同年9月中は,原告Bの眼圧は低い状態で推移していたのであるから,上記の虹彩癒着や虹彩嵌頓を即座に手術によって解除するべきであったとは認められない。 そして,上記のとおり,同月9日には再移植の必要性が示唆されていたとはいえ,同年9月中は原告Bの眼圧が低い状態で推移していたことから,薬物療法を施行して状況を観察し直ちに角膜移植を目的として入院の措置をとらず,同月27日になって虹彩嵌頓が認められて角膜移植を目的として入院予約の措置がとられたことが,時期に遅れた不相当な措置であり,被告病院のこの措置に過失が認められるということはできない。また,角膜移植手術の実施時期が適切な角膜の提供の有無にある程度左右されざるを得ないことにもかんがみれば,同年10月21日になって全層角膜移植術である本件B第3手術が実施されたのは,相当な時期に実施されたと評価することができるものであり,このことも角膜移植の遅延であると非難することはできない。 ウ以上によれば,被告病院医師らには,虹彩前癒着及び虹彩嵌頓を早期に解除せず,再移植も早期に行わなかった過失があるとの原告Bの主張も認められない。 (5) なお,被告は,原告Bの緑内障発症原因を提供角膜の異常であると主張している。この点については,前記2(6)に判示したとおり,本件B第1手術において用いられた角膜に通常とは異なる性質があった可能性自体 なお,被告は,原告Bの緑内障発症原因を提供角膜の異常であると主張している。この点については,前記2(6)に判示したとおり,本件B第1手術において用いられた角膜に通常とは異なる性質があった可能性自体は否定できないが,一方,前記7(4)に認定したとおり,原告Bには術後の強度の浮腫までは認められておらず,さらに,前記8(4)アに判示したように拒絶反応の可能性を完全に否定することもできないから,PGFの定義を充たしているということはできない。そうすると,原告Bの緑内障発症原因について,提供角膜のPGFが原因であるといまだ認めることはできないといわなければならない。 しかしながら,いずれにせよ,本件B第1手術における提供角膜の異常の有無が本件の結論を左右するものではないことは,前記8(1)ないし(4)において説示したとおりである。 (6) 以上によれば,争点(6)にかかる原告Bの主張は,理由がなく,採用できない。 9 争点(7)について(1) 原告Bは,平成4年1月13日の段階で,角膜に後のうがくっついて前房が大部分失われた状態にあったから,隅角癒着解離術や前眼部形成術を実施するべきであったと主張する。 しかしながら,前記3(5)において既に判示したように,平成6年においても続発閉塞隅角緑内障に対する隅角癒着解離術の手術成績はそれほど高いものではなく,再癒着の多さも指摘されていたのであるから,やはり続発閉塞隅角緑内障であった原告Bに対して,隅角癒着解離術は,実施するべき手術であったということできない。 また,前眼部形成術についても,前記3(5)において既に判示したように,これが良好な結果を得られるものであるとの報告がされたのは平成7年になってからであるから,平成4年の段階ではいまだ原告Bに対して実施するべき手術で についても,前記3(5)において既に判示したように,これが良好な結果を得られるものであるとの報告がされたのは平成7年になってからであるから,平成4年の段階ではいまだ原告Bに対して実施するべき手術であったということができない。 したがって,この点にかかる原告Bの主張は失当である。 (2) 原告Bは,平成4年3月以降,早期にトラベクレクトミー,隅角癒着解離術,前眼部形成術等を実施すべきであったとも主張する。 このうち,隅角癒着解離術及び前眼部形成術については,そもそも実施すべき手術といえないことは,前記(1)において判示したとおりである。 また,前記7(12)に認定したとおり,同年2月以降,原告Bの眼圧は,おおむね30ないし40前後の高い状態で推移していたものであるが,一方,これに対し,被告病院では,点眼薬としてチモプトール,ピバレフリン,サンピロ等,内服薬としてダイアモックス等を処方し,薬物による治療を試みていたこと及び原告Bの高眼圧状態に対しトラベクレクトミーの実施も含む治療方針の検討がされていたことが認められるのであり,前記3(1)アに認定したとおり,続発閉塞隅角緑内障に対しては,まず薬物療法を試みるべきであることをも併せ考えると,この点における被告病院の措置にも過失を認めることはできない。 (3) よって,争点(7)にかかる原告Bの主張は失当である。 10 争点(8)について(1) 原告Bは,被告病院医師らが,本件B第3手術に際し,水晶体全摘術について説明をしておらず,これは説明義務違反であると主張する。 証拠(乙A6)によれば,本件B第3手術当日付けの「実施する手術・麻酔の説明事項」と題する書面には,手術名として「左全層角膜移植術」とのみ記載されていることが認められるが,一方で,同日のカルテ 証拠(乙A6)によれば,本件B第3手術当日付けの「実施する手術・麻酔の説明事項」と題する書面には,手術名として「左全層角膜移植術」とのみ記載されていることが認められるが,一方で,同日のカルテには,原告Bの眼の状態を詳細に観察した結果が記載された上で,「うしろに膜様のものあり」「白内障(+)かも」「白内障の用意を!」「吸引」等の記載があることも認められることから,同日,原告Bに対し,白内障の手術として水晶体の吸引が行われることについては,言及があったものと認められる。これに対して,他に説明義務違反を認めるに足りる証拠はないから,この点の原告Bの主張も採用できない。 (2) また,原告Bは,被告病院医師らが,平成4年2月10日以降の段階において,緑内障について,症状を説明した上,治療法について説明するべきであったのであり,これを怠り,1年以上も外科的手術をせずに放置したのは不当であるとも主張する。 しかしながら,他の治療法について説明義務が認められないのは前記9(1)において判示したとおりであり,また,平成4年2月10日以降の被告病院における対応に過失が認められないのは前記9(2)において判示したところである。さらに,その余の点についても原告B主張の事実を基礎付けるに足りる証拠はないから,かかる主張も失当であるといわざるを得ない。 (3) よって,争点(8)にかかる原告Bの主張も失当である。 11 争点(9)について原告Bは,被告病院は本件B第1手術において合併症を防止するための最善の処置を怠り,また,本件B第1手術後においても,視力回復に向けた最善の診療を怠り,原告Bに対して十分な情報を開示せず,高眼圧状態を継続させるという不誠実な対応を行い,平成11年6月9日の説明においても,平成3年7月29日に認められた おいても,視力回復に向けた最善の診療を怠り,原告Bに対して十分な情報を開示せず,高眼圧状態を継続させるという不誠実な対応を行い,平成11年6月9日の説明においても,平成3年7月29日に認められた白内障の事実を告げず,誠実な事後説明を怠ったのであり,不誠実診療の責任は免れない旨主張するが,被告病院における本件B第1手術時の処置に問題点が認められないことは前記8において判示したとおりであり,本件B第1手術後の対応についても不当な点を認めることができないのは前記8ないし10において判示したとおりであって,さらに,被告病院としては,平成3年7月29日の時点においては白内障はいまだ発生していないと認識していた(乙B12,証人D)のであるから,同日に白内障を発症していたとの説明がなかったことをもって誠実な説明を怠ったということも到底できないから,かかる原告Bの主張も失当であるといわざるを得ない。 12 小括以上検討したとおり,原告B主張の過失は,いずれもこれを認めることができない。 13 結論よって,被告及び被告病院医師らに過失があったとする原告らの主張は,すべて理由がないから,その余の争点について判断するまでもなく,原告らの請求は,いずれも理由がなく,これらを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第34部裁判長裁判官前田順司 裁判官浅井憲 裁判官浅井憲 裁判官熊代雅音・争点整理表第1 原告Aについて 1 平成3年7月16日の本件A第1手術により緑内障を発症させた過失の有無(原告Aの主張)(1) 全層角膜移植手術において,術後緑内障を発生させないために行うべき措置ア術前高浸透圧剤を投与しホナンバルーンを当てるなどして硝子体圧を降下させて低眼圧を確保してソフトアイの状態を作り,瞬目麻酔,球後麻酔及び点眼麻酔を行って麻酔が十分に効いた状態で手術を行うべきである。 特に,若年者は硝子体圧が高いので,この処置は肝要である。 イ術中トレパンによる切開時に水晶体等を損傷する危険があるから(甲B6Ⅱ3(3)),粘弾性物質のヒアルロン酸ナトリウム(ヒーロン)を前房内に注入して前房を形成した上で,トレパンによる角膜の切開を行い,角膜剪刀による角膜切開を行う際も水晶体の上皮等を損傷する危険があるから(甲B6Ⅱ4(2)),粘弾性物質を適宜前房内に注入して角膜を切開し,角膜移植片を縫合する際,人工房水やヒーロンにより前房を再形成して隅角を開放して手術を行い,手術中に虹彩及び水晶体を損傷しないようにし,前房を深く形成した状態を作り手術を終了すべきである。 ヒーロンの使用は,前房を する際,人工房水やヒーロンにより前房を再形成して隅角を開放して手術を行い,手術中に虹彩及び水晶体を損傷しないようにし,前房を深く形成した状態を作り手術を終了すべきである。 ヒーロンの使用は,前房を深く保ち,虹彩や水晶体損傷防止のために非常に重要なものであり,医学上一般的に行うべき処置である(甲B2・86頁第3段,B3・24頁第2段,48頁第4段,B4・190頁13項,17項,24項,B6Ⅱ3(3)(1320頁終わりから2行目から1321頁2行目まで),Ⅱ5・3行目から6行目まで(1322頁),B7・2d,B32Ⅲ3・11行目から15行目,Ⅲ5項3行目から5行目,11行目及び12行目)。 ウ術後虹彩前癒着の発生が認められた場合には,できるだけ早期に解除すべきである。 (2) 被告病院医師の措置ア虹彩及び水晶体を損傷させ,術後に眼内炎を引き起こし,緑内障を発症させたこと(ア) ホナンバルーン及び球後麻酔を実施していないことこれらの処置の不実施については,当事者間に争いはないが,各医学文献(甲B1ないし7)にあるとおり,これらの処置は,一般的に行うべき処置である。 また,硝子体圧は術中下がっておらず,原告Aは,本件A第1手術中にメスが入るのを感じとり,痛みも感じていたし,手術中に12時の方向を見るようにとの指示も受け,麻酔は十分に効いていなかったのであり,これらの処置の不実施の合理性を裏付ける事情もない。 被告が主張する球後麻酔による球後出血の合併症が生じたとしても,手術を中断ないし中止すれば足りるものであり,球後麻酔を行わない理由となるものではない。 (イ) 切開時及び縫合時のヒ 被告が主張する球後麻酔による球後出血の合併症が生じたとしても,手術を中断ないし中止すれば足りるものであり,球後麻酔を行わない理由となるものではない。 (イ) 切開時及び縫合時のヒーロン注入による前房形成を実施していないこと前記(1)イ記載のとおり,ヒーロンの使用は,医学上一般的に行うべき処置であるし,特に,原告Aのように若年(17歳)で硝子体圧が高い症例については必須である。 しかるに,被告病院医師は,ヒーロン注入を行わなかった。被告は,縫合時の人工房水の注入による前房形成をした旨主張するが,診療記録上人工防水を注入したことも認められない。 なお,被告は,切開時のヒーロン不使用について,平成13年8月29日付け答弁書において認めていたところ,平成14年8月29日になって切開時のヒーロン注入は実施している旨訂正をしたが,この変更については自白の撤回に当たり訴訟上許されない。 この点につき,平成3年7月16日の手術麻酔料は,原告Aにつき,19918点,原告Bにつき,19928点であるところ,ヒーロンを使用した場合には,その費用2000点は,この中に含まれているから,原告Aについてはヒーロンを使用し,原告Bについてはヒーロンを使用しなかったということは,経験則上あり得ない。したがって,原告Aについても,原告Bと同様ヒーロンを使用しておらず,当初の被告の答弁こそが真実に合致するものである。 また,ヒーロンは,分子量の小さいものを使用したり,縫合後ヒーロンを抜けばよいので,眼圧が上昇するから使用できないとの被告の主張に理由はない。 (ウ) 前記(ア)(イ)によって,虹彩及び水晶体を損傷させ,術後に眼内炎を引き起こし,緑 合後ヒーロンを抜けばよいので,眼圧が上昇するから使用できないとの被告の主張に理由はない。 (ウ) 前記(ア)(イ)によって,虹彩及び水晶体を損傷させ,術後に眼内炎を引き起こし,緑内障が発症したことを裏付ける事実a 平成3年8月28日の本件A第3手術の際,前房に入るといきなり水晶体皮質が出てきたことこの原因は,外傷としか考えられないから,本件A第1手術の際に水晶体を損傷していたことを裏付ける。 b 術後早期の眼内炎の発症本件A第1手術後,眼痛,頭痛,フィブリンの析出,虹彩後癒着,前房細胞,デスメ膜皺襞,温流がみられないなどの症状があり,通常より強い炎症が発症し,手術侵襲は非常に強かった。 c 平成3年7月28日退院後の強度の眼内炎の進行原告Aは,本件A第1手術後平成3年7月28日退院したが,同月31日夜からの強度の眼内炎が進行し,同年8月28日の本件A第3手術まで継続し,その後ほぼ治まっている。 d 原告Aの硝子体圧が高く,本件A第1手術は「切っちゃ縫い」の手法で行われたこと本件A第1手術は,硝子体圧が高い場合に被告病院で行われる「切っちゃ縫い」という手法で行われた(なお,硝子体圧は,術前の措置で十分に下げて手術を行うべきであるため,このような術式は,一般的ではない。)。 e 平成3年8月2日の白内障の所見及び早期の白内障の発生平成3年8月2日のカルテには,白内障の所見が記載されているところ,同日以前に外的な侵襲が加えられたのは本件A第1手術しかないから,白内障の原因は,本件A第1手術 の発生平成3年8月2日のカルテには,白内障の所見が記載されているところ,同日以前に外的な侵襲が加えられたのは本件A第1手術しかないから,白内障の原因は,本件A第1手術における水晶体の損傷にあると考えざるを得ない。さらに,同年7月23日のカルテにも水晶体の後ろに少し薄い混濁があるとの所見が認められ,原告Aは,同月18日ころ白内障が発生していたと被告病院医師から説明を受けている。 なお,原告Aの本件A第1手術による水晶体損傷の程度が不明である以上,手術において水晶体を損傷すれば,術後数日以内に必ず症状が出現するなどという被告の主張は認められない。 また,被告は,同年8月1日ころ一層強度になった炎症により白内障が発生したと主張するが,炎症の場合は,長期間継続しないと白内障は発生しないのであるから,かかる主張は,医学的に説明がつかないものである。 f 水晶体起因性眼内炎の発生前記abceの事情は,水晶体起因性眼内炎の発生を裏付けるものである。 また,水晶体起因性眼内炎は,異物反応であるから,異物(水晶体皮質)の前房内への流出量,異物の認識の発生等により炎症の程度,発生時期等は異なるものである。 イ隅角を十分開放せず縫合した結果,虹彩前癒着を発生させ,虹彩前癒着を早期に解除しなかったこと隅角を十分に開放し隅角の変形を来さないことが,房水の流出路を物理的に障害させないため重要であるが,被告病院医師は,本件A第1手術において,隅角を十分開放せずに縫合して手術を終了し,また,同年7月17日に認められた鼻側の虹彩前癒着及び同月18日に認められた9時方向(耳側)の虹 いため重要であるが,被告病院医師は,本件A第1手術において,隅角を十分開放せずに縫合して手術を終了し,また,同年7月17日に認められた鼻側の虹彩前癒着及び同月18日に認められた9時方向(耳側)の虹彩前癒着の状況を直ちに解除せず隅角を閉塞する状況を作出した。 ウ小括以上のように,被告病院医師の注意義務違反により,原告Aの虹彩及び水晶体を損傷して炎症を生じさせ,また,隅角の変形状況を惹起し,さらに,これを解除せず,緑内障を発生させたものである。 (3) 緑内障が発症した原因は,提供角膜の異常によるとは考えられないことア提供角膜の異常には根拠がないことカルテにつづられている角膜組織の臨床病理組織検査報告書等によると,移植角膜の組織に悪性所見はなく,異常な膠原線維に関する記載はない。 イ消去法の論理で提供角膜の異常を結論付けられないこと原告Aは,術前の措置も含め本件A第1手術時の誤操作により,炎症等が発生したものであるか否かを問題にしているのであり,被告が主張する消去法の論理には問題がある。 白内障は,手術直後に症状が出るという理由で消去しているが,原告Aは,白内障が術後3日目には発生していたとの説明を受けており,消去すべき理由も欠いている。 なお,拒絶反応としては早すぎるとしてこれを原因から消去しているが,医学的にはこの時期に発生する例もあるので,これを原因から排除することにも問題がある。 ウ原告Aと原告Bの経過が著しく異なること原告Aと原告Bでは,術後の経過に関しては,術後早期の炎症の程度,退院時期,強度の炎症の発生時期及び程度,水晶体の状態,上皮欠損及び角 ウ原告Aと原告Bの経過が著しく異なること原告Aと原告Bでは,術後の経過に関しては,術後早期の炎症の程度,退院時期,強度の炎症の発生時期及び程度,水晶体の状態,上皮欠損及び角膜融解の発生時期,緑内障の発生時期等がそれぞれいずれも異なっており,原告Aと原告Bの原因が,同一に帰するとは考えられない。 エ本件は,プライマリーグラフトフェイリアー(PGF)ではないこと乙B4によるPGFの定義は,術後1日目より強度の浮腫が生じるものであるとされているが,本件では,この症状は認められずPGFの定義には該当しない。 PGFの原因の多くは,ヘルペスとされているが,本件では,ヘルペスは発見されていない。 PGFは,同定できる原因なく(拒絶反応や感染なく)浮腫を来たし混濁するものであり,本件のような炎症や虹彩前癒着等が問題となっているものではなく,PGFではこれらの本件の問題点を説明できない。 オ小括緑内障の発生原因は,移植角膜の異常によるものとは考えられない。 (4) 結論原告Aに緑内障が発生した原因は,被告病院医師の術前,術中,術後の注意義務違反により,虹彩及び水晶体を損傷して炎症を生じさせ,また,隅角の変形状況を生じさせたことにある。 また,患者一人一人の症状,眼の状態,当日の健康状態等はそれぞれ異なるのであるから,手術自体はもちろんのこと,手術前後の検討及び対応(たとえば,麻酔操作と効果の確認,患者個々の状況に応じた処置,麻酔からの覚醒,手術記録の作成等を含む。)を各患者について十分に行う必要があるが,本件A第1手術当日,D医師は,午前に5件,午後に6件の手術を行っており,十分な検 確認,患者個々の状況に応じた処置,麻酔からの覚醒,手術記録の作成等を含む。)を各患者について十分に行う必要があるが,本件A第1手術当日,D医師は,午前に5件,午後に6件の手術を行っており,十分な検討及び対応を行える状況になかった。 このような状況が,原告らに対し,術前及び術中の措置の不完全さ並びに術中の誤操作に基づく水晶体の損傷を招いた一つの原因である。 (被告の主張)(1) 全層角膜移植手術において,術後緑内障を発生させないために行うべき措置ア術前原告A主張の措置のうち,ホナンバルーンは,以前は白内障手術の際に前処置の一つとして行っている施設もあったが,強い圧迫による眼痛や散瞳が起こるため,本件のような角膜移植のみの手術では,通常は行われない処置である。 球後麻酔は,球後出血(甲B6・1319頁右下から8行目に「PKP(全層角膜移植術)のばあい,特に問題となるのは球後出血で,眼窩内圧及び硝子体圧を上昇させてPKP施行に重大な障害となる。」とあるとおり,球後出血を起こさないようにすることは非常に重要である。),眼球穿孔,視神経損傷等のおそれもあり,また,散瞳が起こるので,本件のような角膜移植のみの手術の場合は行わないことも多い。 平成12年12月から平成14年3月までの間に,被告病院眼科において円錐角膜に対し施行された全層角膜移植術は合計20症例であるが,これらの麻酔方法をみると,4パーセントキシロカイン点眼麻酔+ベノキシール点眼麻酔の症例が13症例,4パーセントキシロカイン点眼麻酔+ベノキシール点眼麻酔にさらに2パーセントキシロカインテノン嚢内注入麻酔を併用したものが7症例であり,球後麻酔を施行した症例は1例もない。 例が13症例,4パーセントキシロカイン点眼麻酔+ベノキシール点眼麻酔にさらに2パーセントキシロカインテノン嚢内注入麻酔を併用したものが7症例であり,球後麻酔を施行した症例は1例もない。 その他の原告A主張の処置については,全層角膜移植手術において,術後緑内障を発生させないために通常行われるものであることを認める。なお,これら以外に,緊張を取るための麻酔前投薬の筋注,縮瞳剤の点眼等も,全層角膜移植手術において,術後緑内障を発生させないために通常行われる処置として挙げることができる。 イ術中原告A主張の措置のうち,角膜切開時にヒーロンを注入して前房を形成するというのは必須の処置ではない(各症例ごとに手術を進めながらこの処置を行うかどうか判断すべきものである。)。 また,縫合時にヒーロンを注入して前房を再形成することは,術後においてヒーロンが分解されるまで眼圧上昇が続き,移植片角膜内皮細胞に障害を与えることがあるので,むしろ不適切である。通常は,縫合後に,ヒーロンではなく人工房水を注入して前房形成を行って手術を終了する。 原告Aは,切開時及び縫合時のヒーロン注入は医学上一般的に行うべき処置であると主張し,甲B2,3,4,6及び32を引用するが,これらの書証からは,そのようなことはいえない(乙B12・6ないし8頁)。 ウ術後虹彩前癒着が認められた場合には,散瞳薬の点眼や抗炎症剤の投与により解消を図る。隅角部が相当範囲にわたって癒着していない限り,それが原因で眼圧上昇が起こることはないので,軽度の虹彩前癒着の場合に,機械的操作を加えてこれを解除することは,移植片内皮細胞等の炎症がむしろ強くなる可能性も高く,それによってさ 着していない限り,それが原因で眼圧上昇が起こることはないので,軽度の虹彩前癒着の場合に,機械的操作を加えてこれを解除することは,移植片内皮細胞等の炎症がむしろ強くなる可能性も高く,それによってさらに別に癒着が生じる危険もあるため,むしろ不適切である。 (2) 被告病院医師の措置ア虹彩及び水晶体を損傷していないこと(ア) ホナンバルーン及び球後麻酔を実施していないことの合理性被告病院医師は,原告Aに対し,術前において,ホナンバルーン及び球後麻酔は実施しなかった。前記(1)ア記載のとおり,ホナンバルーン及び球後麻酔とも,角膜移植のみの手術では通常行われない処置であるし,本件では,硝子体圧は高めではあったが,手術中に水晶体が上方に脱出してくるようなことはなく,前房の深さは十分確保できており,手術はスムーズに終了しており,ホナンバルーンを当てず,また,球後麻酔をしなかったことに何ら問題はない。 被告病院医師が行った12時の方向を見るようにとの指示は,原告Aが緊張(恐怖心)によりあごが引けてきて手術操作がしにくくなったため,患者に体勢を直させるための指示であり,麻酔が十分効いていなかったことを意味するものではない。また,メスが入る痛みの有無については,術者が客観的に観察できるものではなく,全くなかったとまではいえないが,少なくとも,術中に自制困難な痛みの訴えはなかった。 (イ) 切開時のヒーロン注入は実施していること及び縫合時のヒーロン注入による前房形成を実施していないことの合理性前記(1)イ記載のとおり,角膜切開時にヒーロンを注入して前房を形成することは必須の処置ではなく,症例ごとに判断すべきものであり,また,縫合時に を実施していないことの合理性前記(1)イ記載のとおり,角膜切開時にヒーロンを注入して前房を形成することは必須の処置ではなく,症例ごとに判断すべきものであり,また,縫合時にヒーロンを注入することは,むしろ不適切な処置であるところ,原告Aの場合,切開時のヒーロン注入は行っている。すなわち,原告Aの角膜をトレパンで一部切開した際,虹彩や水晶体が前方(角膜切開開口部側)に盛り上がってくる傾向がみられたため,D医師は,「切っちゃ縫い」の術式を選択したのであるが,「切っちゃ縫い」の術式の場合は,前房内にヒーロンを注入して前房の深さを確保しながら角膜に切開を加えていくものであり,原告Aに対してもそのようにしている。 この点,原告Aは,原告Aの保険診療点数が,ヒーロンが使用されていない原告Bの保険診療点数と同じ程度であるから,原告Bにヒーロンが使用されていないとすれば,原告Aにもヒーロンは使用されていないはずであると主張するが,これは誤りである。原告Aにも原告Bにもヒアルロン酸ナトリウム(前者にはヒーロン,後者にはオペガン)を使用しており,ただ,原告Aに対しては,これをドナー角膜の内皮保護及び角膜切開時の前房内注入に使用したのに対し,原告Bに対しては,ドナー角膜の内皮保護にのみ使用したということにすぎない。 そもそも,本件第1手術において原告らの虹彩や水晶体の損傷はなかったのであるから,ヒーロン使用の有無は,本件の結論には何ら影響しないものであるが,事実は以上のとおりである。 また,縫合時において,ヒーロン注入による前房形成は行っていないが,リンゲル液(人工房水)注入による前房形成は行っている 。それは,前述のとおり,縫合時のヒーロン注入によ また,縫合時において,ヒーロン注入による前房形成は行っていないが,リンゲル液(人工房水)注入による前房形成は行っている 。それは,前述のとおり,縫合時のヒーロン注入による前房形成は,眼圧上昇が続くため不適切であるからであり,ヒーロン注入による前房形成を実施していないことを責められるべきいわれはない。 原告Aの場合,「切っちゃ縫い」の術式を選択しており,「角膜剪刀を前房内に入れて角膜を一部切開し,ヒアルロン酸ナトリウム溶液をレシピエントの角膜に滴下した上にグラフトをのせ,切開部のレシピエントに縫合する。少しずつ被移植眼の角膜を切開し,グラフトを縫合していく(図23)。」(甲B2・86ないし87頁)という形でのヒーロン使用も行っている(原告Aが実施すべきであると主張している縫合時に前房を再形成して隅角を開放するためのヒーロン注入とは異なるものである)。 (ウ) 術中に,虹彩及び水晶体を損傷させたとは認められないこと角膜の切開は,顕微鏡下に視認しながら行うものであり,虹彩を損傷した場合には術者も助手も簡単に気付くものである。そして,虹彩を損傷すれば,出血することが多いし,出血まで至らなくても,術後,虹彩の色素が脱出して白っぽくなるが,本件においてはそのようなことはなかった。原告Aの場合,前房の深さも十分であり,慎重な角膜切開を行っており,虹彩を刃で損傷したりはしていない。 また,本件A第1手術時には瞳孔を縮瞳させているため,水晶体の上に虹彩が存在する形になっており(瞳孔の直径は約1ないし2ミリメートル),切開した角膜の直径(約7ミリメートル)との関係からして,水晶体を傷つけることはあり得ない。もし水晶体を損傷 ため,水晶体の上に虹彩が存在する形になっており(瞳孔の直径は約1ないし2ミリメートル),切開した角膜の直径(約7ミリメートル)との関係からして,水晶体を傷つけることはあり得ない。もし水晶体を損傷すれば,術後間もなく水晶体が白濁するなどの現象が起きるはずであるが,そのようなことは起こっていない。 原告Aは,平成3年7月23日のカルテの「水晶体のうしろに少し薄い混濁」という記載を根拠に,白内障は同日の時点(術後1週間)で発症しており,これほど早期の白内障の発生は,術中の外傷が原因としか考えられないと主張しているが,原告の指摘するカルテの所見は,「水晶体のうしろ」(=硝子体)の薄い混濁であり,白内障の症状である水晶体自体の白濁ではなく,同日には白内障は発症していない。同年8月2日のカルテに白内障の所見の記載があるが,これは,移植片角膜の異常による強度の前房内炎症の結果と解され,術中の水晶体損傷を根拠づけるものではない。 また,原告Aは,本件A第3手術の際,前房内に入るといきなり水晶体皮質が流出してきたのは,本件A第1手術の際に水晶体を損傷していたことを裏付けるものであると主張するが,誤りである。同年8月28日の本件A第3手術の際,角膜を一部切開して前房内に入るといきなり水晶体皮質が流出してきたのは,その前の同月9日の本件A第2手術で房水が流出し,それにより前房が浅くなった影響により,角膜後面と水晶体の前のうが一部癒着し,しかも,同月初めころから始まった角膜を融解させるような強い前房内の炎症によって,水晶体の嚢が脆弱化して破れやすい状態になっていたためであると考えられる。 (エ) 術後の炎症は,虹彩損傷や水晶体損傷によるものではなく,術後に虹彩及び水晶体を損傷させたことの根拠となる 体の嚢が脆弱化して破れやすい状態になっていたためであると考えられる。 (エ) 術後の炎症は,虹彩損傷や水晶体損傷によるものではなく,術後に虹彩及び水晶体を損傷させたことの根拠となる症状はないこと本件A第1手術後には,確かに前房内に炎症細胞やフィブリンの出現は認められた。しかし,この炎症所見は,特に合併症なく終了した角膜移植術でしばしば認められる程度の軽度なものであり(眼内炎とは一般に硝子体を含む眼内組織全体に炎症が波及した状態をいうが,本件炎症は,前房内にとどまり,通常の意味での眼内炎と呼べるようなものではない),同年7月28日の退院時にはほぼ消退しており,角膜を切開,縫合した手術操作に伴う炎症所見として理解すべきものである。本件A第1手術後の炎症所見の存在は,虹彩や水晶体の損傷があったことを示すものではない。 原告Aは,本件A第1手術時に水晶体を損傷したために,水晶体皮質が前房内へ流出し,水晶体起因性眼内炎が発生したというが,もし水晶体の皮質が前房内に流出していれば,スリットで容易に確認できるが(スリットによる確認は毎日行っている),本件A第1手術以降,水晶体皮質の流出は全く見られていない(カルテもそのような記載は一切ない)。水晶体起因性眼内炎は発生しておらず,水晶体損傷は否定される。 イ隅角を開放してから縫合したこと本件A第1手術の縫合時には,リンゲル液(人工房水)を注入して,前房の再形成(隅角の開放)を確認した上で手術を終了しているから,隅角を十分開放せずに縫合を行った結果,虹彩前癒着を生じさせたとの主張にも理由がない。 十分な前房再形成を行って手術を終了しても,部分的な虹彩前癒着が一定割合で生じることは避けられな を十分開放せずに縫合を行った結果,虹彩前癒着を生じさせたとの主張にも理由がない。 十分な前房再形成を行って手術を終了しても,部分的な虹彩前癒着が一定割合で生じることは避けられないものであり,虹彩前癒着が起こったからといって,前房再形成が不十分であったと解することはできない。 ウ虹彩前癒着は,軽度で早期に解除する必要はなかったこと本件A第1手術翌日及び翌々日にみられた虹彩前癒着は,鼻側の9時方向の場所に一部みられただけの軽度なもので,進行も認められず,前房は十分に深かったため,早期にこれを解除する必要はなかった。そして,実際に術後3日目には虹彩前癒着は解消している。癒着を早期に解消するには,当該部位にある程度の機械的な操作を加える必要があるが,これによって移植片内皮細胞等の炎症がむしろ強くなる可能性も高く,それによってさらに別に癒着が生じる危険もある。虹彩前癒着は,投薬で散瞳させたり,抗炎症剤の投与を行うことで解消可能な場合が多く,本件A第1手術後にみられた程度の虹彩前癒着で早期解除を行うことは,むしろ不適切である。 (3) 緑内障が発症した原因は,提供角膜の異常によると考えられることア本件A第1手術後の虹彩癒着,前房内の炎症は軽度で,眼圧上昇及び緑内障の原因とはならないこと本件A第1手術翌日にみられた原告Aの虹彩前癒着は,軽度であり(鼻側の9時方向の場所に一部みられただけである),実際に術後3日目には虹彩前癒着は解消しており,眼圧上昇,緑内障の原因となるようなものではない。 また,前房内の炎症も,角膜移植術でしばしば認められる程度の軽度なものであり,平成3年7月28日の退院時にはほぼ消退しており,眼圧上昇,ひいては緑内障の なるようなものではない。 また,前房内の炎症も,角膜移植術でしばしば認められる程度の軽度なものであり,平成3年7月28日の退院時にはほぼ消退しており,眼圧上昇,ひいては緑内障の原因となるようなものではない。 イ移植角膜片に異常な膠原線維及び実質細胞に変性像が認められたこと本件の異常の原因を追及するために,改めて原告Aに移植した角膜の残りの部分を光学及び電子顕微鏡で調べてみたところ,電子顕微鏡レベルで角膜実質に通常では認められない異常な膠原線維が認められ,また,一部の実質細胞に変性像が認められた(乙B3,乙B9)。 ウその他の原因が考えられないこと(ア) 拒絶反応が原因とは考えられないこと拒絶反応は,通常術後1箇月から6箇月の期間に発症するものであるところ,原告Aにみられた移植片角膜の上皮損傷は,術後4日目及び17日目であり,拒絶反応としてはやや早すぎるし,拒絶反応には有効とされるステロイド剤の投与にも反応しなかった。 (イ) 感染が原因とは考えられないこと感染については,術後毎日施行している移植片の細隙灯顕微鏡による観察でも,角膜感染症を疑わせる所見は全く認められていない。また,本件A第1手術の術後2日目に眼脂の細菌培養検査を,さらに,本件A第2手術を施行した際には,虹彩,前房水及び角膜組織の細菌培養検査を実施したが,いずれも陰性であった。また,ドナーの眼球保存液の細菌培養検査も陰性である。したがって,感染も否定せざるを得ない。 (ウ) 手術時の誤操作が原因とは考えられないこと本件A第1手術時の誤操作が原因であるとすると,術直後より発症するはずであり, ,感染も否定せざるを得ない。 (ウ) 手術時の誤操作が原因とは考えられないこと本件A第1手術時の誤操作が原因であるとすると,術直後より発症するはずであり,手術時の誤操作が原因とは考えられない。 エ原告Aと原告Bの経過が類似していること同じドナーから角膜提供を受けた原告Bも,原告Aと同様に提供角膜の融解が生じており,術後の経過が類似している。 オ小括以上のことから,本件角膜融解の原因,さらには,原告Aに緑内障が発症した原因は,提供された角膜自体の異常と考えるのが妥当である。 (4) 結論被告に本件A第1手術による緑内障発生についての責任はない。 2 緑内障の術後管理及び治療の誤りの有無(原告Aの主張)(1) 本件A第2手術の際,虹彩縁の膜を外しておくべきであったこと緑内障の高眼圧の状況を除去するためには,隅角を十分に開放し,房水の流出路を確保し,隅角の変形を来さないことが重要であり,本件A第2手術の際,同日認められた隅角を閉塞する原因となる虹彩縁の膜を解除しておくべきであった。 (2) 平成3年8月9日の時点で角膜再移植手術を選択すべきであったこと角膜移植不全が生じた場合には,可及的速やかに角膜の再移植手術の選択がされるべきであった。 (3) 本件A第3手術において,隅角を開放し前房を形成するべきであったこと緑内障の管理のためには,隅角を十分に開放し前房を形成することが重要であるが,本件A第3手術において前房をしっかり形成せずに手術を終了し隅角閉塞状態を招きやすい状況を作出した。 (4) 平成3年10月30日以降におい 角を十分に開放し前房を形成することが重要であるが,本件A第3手術において前房をしっかり形成せずに手術を終了し隅角閉塞状態を招きやすい状況を作出した。 (4) 平成3年10月30日以降において,隅角癒着解離術及び前眼部形成術を行うべきであったこと周辺虹彩前癒着が進行した状況になると物理的に房水が流れなくなるなるため,このような状況を解消若しくは改善する術式が選択されなければ症状の改善はないので,隅角癒着解離術及び前眼部形成術を行うべきであった。 トラベクレクトミーでは,隅角を開放することにはならないため,物理的に房水が流れない状況の改善にはつながらず,効果的とはいえない。 (被告の主張)(1) 本件A第2手術の際に虹彩縁の膜を外さなかったことに問題はないこと原告Aの指摘する同日の手術記録の「鼻側の虹彩縁の膜」というのは,鼻側の虹彩周辺部に付着していたフィブリン膜のことであるが,鼻側の虹彩周辺部にフィブリン膜が付着し,それによって隅角部が閉塞されている場合,これを外せば,前房水の流出にはプラスに働き,緑内障の予防及び治療という観点からは良いことではある。そのため,本件でも,手術記録に記載されているとおり,トラベクレクトミーの手術の際,線維柱帯を切除した部位から極細スパーテルを前房内に挿入して,鼻側の虹彩周辺部のフィブリン膜を剥がそうとを試みた。しかし,角膜も混濁しており癒着部位がよく見えない状態の中で無理に剥離操作を続けることは危険であり,一方,この鼻側の虹彩周辺部のフィブリン膜を残したままにしてもそれが直ちに緑内障につながるわけではないので,無理にフィブリン膜を剥離をすることなく手術を終えたのである。 緑内障に対する処置としては,トラベクレクトミーをき 膜を残したままにしてもそれが直ちに緑内障につながるわけではないので,無理にフィブリン膜を剥離をすることなく手術を終えたのである。 緑内障に対する処置としては,トラベクレクトミーをきちんと行っており,これは成功している(術後,眼圧は下がっている)。これに加えた処置として,フィブリン膜剥離の努力もしたが,危険性が大きく無理をしなかったということである。 本件A第2手術(トラベクレクトミー)の際に鼻側の虹彩周辺部の膜を無理して外さなかったことに問題はない。 (2) 平成3年8月9日に表層角膜手術を行ったことの合理性と全層角膜再移植手術を選択できなかったこと同月初めから始まっていた再度の角膜融解が上皮から実質にまで急速に進み,角膜穿孔のおそれも出てきたため,同日に,緑内障手術(トラベクレクトミー手術-線維柱帯切除術)と合わせて,緊急手術として保存角膜を用いた表層角膜移植手術も行ったものであり,表層角膜移植の手術には合理性がある。 なお,手術までにタイミングよく新鮮角膜が入手できれば,保存角膜を用いた表層角膜移植手術は,全層角膜再移植術に変更する予定であった。この際に保存角膜を用いた表層角膜移植手術を行うこととしたのは,全層角膜移植術を排除する趣旨ではなく,新たなドナーからの新鮮角膜提供が得られずに全層角膜移植術を施行できない状況の下で,緊急に保存角膜による表層移植を行うことにより,角膜の穿孔を防止しようとしたものである。しかし,手術までに新鮮角膜の入手はできなかった。全層角膜再移植を行えなかったのはやむを得ないことである。 (3) 本件A第3手術において,前房を形成したことを確認して手術を終了したこと原告Aは,本件A第3手術の際に,前房をしっかりと形成 行えなかったのはやむを得ないことである。 (3) 本件A第3手術において,前房を形成したことを確認して手術を終了したこと原告Aは,本件A第3手術の際に,前房をしっかりと形成せず,空気を入れて手術を終了しており,この点に注意義務違反があるというが,前房内に空気を入れて手術を終了したのは,液体(リンゲル液)を入れて前房形成しようとしたところ,前房形成状態の確認が困難であったためである。すなわち,透明な液体(リンゲル液)の場合,前房形成の状態が分かりにくいこともあるが,その場合,空気を入れると前房形成を確認しやすいのである。空気を入れて手術を終了したということは,前房形成の確認を適切に行っているということであり,被告病院医師に注意義務違反はない。 (4) 平成3年10月30日以降において,隅角癒着解離術及び前眼部形成術を行うべきであったとはいえないことア隅角癒着解離術の適応はなかったこと隅角癒着解離術の適応に関しては,甲B30に「隅角の少なくとも1/2以上がPASによって閉塞され,虹彩切除や点眼薬投与によっても眼圧コントロールが不良な閉塞隅角緑内障がその適応となる。ただし,たとえばぶどう膜炎などによって発生する二次的閉塞隅角緑内障における手術成績はまだ高いとは言えない。このような例においては,炎症のためにPASが発生するのみならず,線維柱帯自身にも何らかの変化が及ぶと考えられるためである。」(163頁右下)と記載されている。 本件においては,角膜の混濁のため隅角癒着の状態は正確には把握できないが,隅角の少なくとも2分の1以上がPASによって閉塞されていたとしても,それは,角膜をどんどん融解させるほどの強い炎症による二次的閉塞隅角緑内障であり(原発性の緑内 着の状態は正確には把握できないが,隅角の少なくとも2分の1以上がPASによって閉塞されていたとしても,それは,角膜をどんどん融解させるほどの強い炎症による二次的閉塞隅角緑内障であり(原発性の緑内障ではない),甲B30が出版された平成6年当時においてもなお手術成績は高いとはいえない状態であるから,本件における隅角癒着解離術の適応には問題がある。そして,本件のように,角膜が混濁している状態では,隅角癒着の解離は,ブラインドの状態で行うことになり危険である。すなわち,現在では超音波生体顕微鏡(UBM)等も開発され,角膜混濁により隅角鏡では所見が分からないような場合でも,ある程度隅角の状態がわかるが(乙B5),当時はそのような機器はなかったのである。 緑内障に対する手術療法として隅角癒着解離術を行わず,トラベクレクトミーを選択した被告の判断に誤りはない。 イ前眼部形成術は確立されていなかったこと甲B12には前眼部形成術が記載されているが,同号証は本件で問題とされている時点より後の平成7年の報告であり,本件で問題とされている平成4,5年ころにおいては,いまだ確立された治療法とはいえなかったから,緑内障に対する手術療法として前眼部形成術を行わなかった点を過失ということはできない。 3 説明義務違反の有無(原告Aの主張)(1) 本件A第2手術において,表層角膜移植手術について説明を受けていないこと原告Aは,本件A第2手術の際,眼圧を下げる手術をしましょうとしか説明を受けておらず,表層角膜移植術の有無,術式,効果,必要性,危険性等について説明を受けて承諾をしたという事実はない。 (2) 平成3年8月9日以降において,緑内障治療に関し,隅角癒着解離術,前 を受けておらず,表層角膜移植術の有無,術式,効果,必要性,危険性等について説明を受けて承諾をしたという事実はない。 (2) 平成3年8月9日以降において,緑内障治療に関し,隅角癒着解離術,前眼部形成術,セトン手術等について説明をするべきであったこと原告Aは,そもそもトラベクレクトミーについてどのような手術なのか術式,危険性術後の経過等について詳しい説明は受けていない。 また,手術の目的等を治療効果からすれば,隅角癒着解離術,前眼部形成術等についても併せて考慮されてしかるべき状況にあったのであり,手術の説明には当然目的治療効果を踏まえた説明を行うべきであるから,被告病院には,このような手術方法があり得ることを説明する義務があったのに,原告Aは何ら説明を受けていない。 (被告の主張)(1) 本件A第2手術において,表層角膜移植手術についても説明をしたこと平成3年8月8日の入院時点では,その目的は緑内障手術のみであり,当初は緑内障手術に関する説明のみをし,そのことのみ記載した説明承諾書(乙A1・94頁)を作成し,患者に交付している。しかし,翌日の8月9日には,角膜の厚さが4分の1程度に薄くなり,穿孔のおそれも出てきたため,急遽,緊急手術として保存角膜を用いた表層角膜移植も併せて行うこととなった。そして,このことについては,手術の当日ではあるが,事前に説明して了解を得ている。 (2) 平成3年8月9日以降において,緑内障治療について,隅角癒着解離術,前眼部形成術及びセトン手術は選択肢とは考えられなかったから,説明をするべきであったとはいえないことア隅角癒着解離術には適応に問題があること前述のとおり,隅角癒着解離術は,適応にも問題があ は選択肢とは考えられなかったから,説明をするべきであったとはいえないことア隅角癒着解離術には適応に問題があること前述のとおり,隅角癒着解離術は,適応にも問題があるし,本件でこれを行うことは危険であった。 イ前眼部形成術は確立された治療法とはいえないこと前眼部形成術が確立された治療法とはいえないことも前述のとおりである。 ウセトン手術は確立された治療法とはいえないことセトン手術も,乙B6(本件手術後である平成4年出版)に,「Seton手術は現在の時点で依然として合併症の多い手術であり,すべての緑内障患者に適応するのは間違いであろう。一般的に適応は以下のようになっており,慎重な術式の選択が望まれる。・・・・Seton手術は長い年月をかけてやっと実用化の手前までやってきた方法であり,安全性が確保できれば,今後,緑内障治療の有力な選択肢の1つになる可能性を秘めている。しかし,最終的に安全であることが確認されるまでに越えなければならないハードルは依然として高い。」(324頁)とあり,平成11年出版の乙B7でも,「安全な治療法として確立するには至っていない。」とされているように(なお,乙B7の「Moltenoなどに代表される前房チューブシャント手術」は,乙B6から理解できるように,Seton手術と同義である),確立された治療法とはいえない。 4 不誠実診療責任の有無(原告Aの主張)(1) 本件A第1手術時に合併症を防止するための最善の処置を怠っていること(2) 本件A第1手術後においても,視力回復に向けた最善の診療を怠り,原告Aに対して十分な情報を開示しないという不誠実な対応を行ったこと(被告の主張) の処置を怠っていること(2) 本件A第1手術後においても,視力回復に向けた最善の診療を怠り,原告Aに対して十分な情報を開示しないという不誠実な対応を行ったこと(被告の主張)原告Aが,左眼失明という結果が生じたことから,被告に対して不満を抱いていることは理解できるが,被告には法的な意味での過失はないので,原告Aのいう不誠実診療責任はない。 5 損害額(原告Aの主張)(1) 就職の遅延による得べかりし利益の喪失大学受験の遅れ,留年及び就職の遅れによる3年間の就職遅延による損害金891万1200円(2) 後遺障害による逸失利益ア左眼失明(8級1号)イ両大腿骨骨頭壊死(10級11号)ウ併合級(7級)67歳までの新ホフマン係数により計算すると,金4221万0993円となる。 (3) 慰謝料ア入通院慰謝料入院期間13月,通院期間61月金421万円イ後遺症慰謝料a 左眼失明(8級1号)b 両大腿骨骨頭壊死(10級11号)c 併合級(7級)金930万円ウ慰謝料前記アイ及び若年者,今後の負担,不安感,外貌上の重大な影響等合計金1800万円以上(4) 補装具費用両大腿骨骨頭壊死症による補装具金33万287円(5) 弁護士費用金690万円(6) 相殺投薬証明書文書料金2万5200円との相殺 壊死症による補装具金33万287円(5) 弁護士費用金690万円(6) 相殺投薬証明書文書料金2万5200円との相殺(7) 合計金7632万7280円(被告の主張)争う。 第2 原告Bについて 1 平成3年7月16日の手術(本件B第1手術)により緑内障を発生させた過失の有無(原告Bの主張)(1) 全層角膜移植手術において,術後緑内障を発生させないために行うべき措置ア術前高浸透圧剤を投与しホナンバルーンを当てるなどして硝子体圧を降下させて低眼圧を確保してソフトアイの状態を作り,瞬目麻酔,球後麻酔及び点眼麻酔を行って麻酔が十分に効いた状態で手術を行うべきである。 特に,若年者は硝子体圧が高いのでこの処置は肝要である。 イ術中トレパンによる切開時に水晶体等を損傷する危険があるから(甲B6Ⅱ3(3)),粘弾性物質のヒアルロン酸ナトリウム(ヒーロン)を前房内に注入して前房を形成した上で,トレパンによる角膜の切開を行い,角膜剪刀による角膜切開を行う際も水晶体の上皮等を損傷する危険があるから(甲B6Ⅱ4(2)),粘弾性物質を適宜前房内に注入して角膜を切開し,角膜移植片を縫合する際,人工房水やヒーロンにより前房を再形成して隅角を開放して手術を行い,手術中に虹彩及び水晶体を損傷しないようにし,前房を深く形成した状態を作り手術を終了すべきである。 ヒーロンの使用は,前房を深く保ち,虹彩や水晶体損傷防止のために非常に重要なものであり,医学上一般的に行うべき処置である(甲B2・86頁第3段,B3・24頁第2段,48頁第4 を終了すべきである。 ヒーロンの使用は,前房を深く保ち,虹彩や水晶体損傷防止のために非常に重要なものであり,医学上一般的に行うべき処置である(甲B2・86頁第3段,B3・24頁第2段,48頁第4段,B4・190頁13項,17項,24項,B6Ⅱ3(3)(1320頁終わりから2行目から1321頁2行目まで),Ⅱ5・3行目から6行目まで(1322頁),B7・2d,B32Ⅲ3・11行目から15行目,Ⅲ5項3行目から5行目,11行目及び12行目)。 ウ術後術後に虹彩前癒着が発生したらこれを解除し,虹彩が嵌頓する状況が生じた際にはこれを戻して前房を形成し,角膜内皮が損傷した場合には再移植を早期に行うべきである。 (2) 被告病院医師の措置被告病院医師は,虹彩及び水晶体を損傷させて眼内炎を発症させ,また,虹彩前癒着及び虹彩嵌頓を早期に解除せず,再移植手術も早期に行わなかったため緑内障を生じさせたことアホナンバルーン及び球後麻酔を実施していないことこれらの処置の不実施については,当事者間に争いはないが,各医学文献(甲B1ないし7)にあるとおり,これらの処置は,一般的に行うべき処置である。 また,硝子体圧は術中下がっておらず,麻酔は十分に効いていなかったのであり,これらの処置の不実施の合理性を裏付ける事情もない。 イ切開時及び縫合時のヒーロン注入による前房形成を実施していないこと前記(1)イ記載のとおり,ヒーロンの使用は,医学上一般的に行うべき処置であるし,特に,原告Bのように若年(14歳)で硝子体圧が高い症例については必須であったが,被告病院医師は,ヒーロン注入を行わなかった。 ヒー の使用は,医学上一般的に行うべき処置であるし,特に,原告Bのように若年(14歳)で硝子体圧が高い症例については必須であったが,被告病院医師は,ヒーロン注入を行わなかった。 ヒーロンは分子量の小さいものを使用したり,縫合後ヒーロンを抜けばよいので,眼圧が上昇するから使用できないとの被告の主張に理由はない。 ウ前記アイによって,虹彩及び水晶体を損傷させ,術後に眼内炎を引き起こし,緑内障が発症したことを裏付ける事実(ア) 平成3年7月29日,白内障が発症したこと同日に白内障の所見があり,同年10月にも白内障が現実に確認され手術が行われており,同年7月29日に白内障が発生していた。 炎症のみでこれだけ早期に白内障が発生することは到底考え難く,白内障は,本件B第1手術が原因である。 (イ) 術後眼内炎の発症本件B第1手術後,原告Bには炎症細胞の存在,フィブリンの析出等がみられ,通常の手術侵襲より強度の眼内炎が発生している。 エ虹彩前癒着及び虹彩嵌頓を早期に解除せず,再移植手術も早期に行わなかったため緑内障が生じたこと(ア) 平成3年8月5日ころ,拒絶反応を生じたこと原告Bには,同日ころ,拒絶反応線,角膜後面沈着物等の拒絶反応を示す症状が認められている。これらの症状が現れたのは,本件B第1手術後20日であり,拒絶反応発生の時期として早いということはない。 ステロイド剤は,投与後すぐの同月10日に投与を中止しており,その後緑内障発生(同年10月)までは投与されておらず,ステロイド剤の反応がないことは,拒絶反応ではないことの理由にはならない。ま ステロイド剤は,投与後すぐの同月10日に投与を中止しており,その後緑内障発生(同年10月)までは投与されておらず,ステロイド剤の反応がないことは,拒絶反応ではないことの理由にはならない。また,原告Bは,ステロイド剤を内服していないこともあったのであって,そもそもステロイド剤が適切に投与されていたともいえない。 (イ) 拒絶反応が進行し,角膜内皮が損傷を受け角膜が融解し虹彩が嵌頓したこと拒絶反応に対する治療薬であるステロイド剤が,同年8月10日以降,投与されなかったこともあり,拒絶反応は,そのまま進行し,角膜が損傷(ダメージ)を受け虹彩が嵌頓するにまで発展した。 (ウ) 損傷を受けた角膜を平成3年8月下旬以降可及的速やかに再移植をし,虹彩前癒着及び虹彩嵌頓を生じないようにし,また,虹彩前癒着ないし虹彩嵌頓が生じた場合には,直ちにこれを戻して前房を形成すべきであったのにこれらの処置を行わなかったため緑内障を生じたこと被告病院医師は,原告Bに対し,拒絶反応に対する治療薬を投与せず,拒絶反応等に伴う炎症等が進行して角膜が菲薄化し虹彩が嵌頓するにまで至らせた。 原告Bの角膜は,同年9月4日には,一人の医師がカルテに再移植すべきかと記載するほどのダメージを受けていたのであり,同年8月下旬以降可及的速やかに再移植をすべきであった。 また,隅角が閉塞すると重篤な緑内障を生じるので,虹彩前癒着が生じたり虹彩が嵌頓するなどしたら,すぐに解除するなり隅角を解放するなりして前房を形成すべきであった。 しかるに,被告病院医師は,原告Bに対し,再移植も行わず,隅角を開放して前房を形成する処置も行わなかった。 すぐに解除するなり隅角を解放するなりして前房を形成すべきであった。 しかるに,被告病院医師は,原告Bに対し,再移植も行わず,隅角を開放して前房を形成する処置も行わなかった。 原告Bは,同年10月12日の前まで低眼圧状態にあったのであり,緑内障の主原因は隅角閉塞状態を発生させたことにある。 (3) 緑内障が発症した原因は提供角膜の異常によるとは考えられないことア提供角膜の異常には根拠がないことカルテにつづられている角膜組織の臨床病理組織検査報告書等によると移植角膜の組織に悪性所見はなく,異常な膠原線維に関する記載はない。 イ消去法の論理で提供角膜の異常を結論付けられないこと原告Bは,術前の措置も含め本件B第1手術時の誤操作により,炎症等が発生したものであるか否かを問題にしているのであり,被告が主張する消去法の論理には問題がある。 また,原告Bの緑内障(高眼圧)発生時期は,平成3年10月であるから,拒絶反応による炎症が進行する中で,虹彩前癒着が発生し,緑内障が発生したということは十分に説明可能であるので,消去法の論理には理由がない。 ウ原告Bと原告Aの経過が著しく異なること原告Bと原告Aでは,術後の経過に関しては,術後早期の炎症の程度,退院時期,強度の炎症の発生時期及び程度,水晶体の状態,上皮欠損並びに角膜融解,緑内障の発生時期等がそれぞれいずれも異なっており,原告Aと原告Bの原因が同一に帰するとは考えられない。 エ本件はプライマリーグラフトフェイリアー(PGF)ではないこと乙B4によるPGFの定義は,術後1日目より強度の浮腫が生じる 原因が同一に帰するとは考えられない。 エ本件はプライマリーグラフトフェイリアー(PGF)ではないこと乙B4によるPGFの定義は,術後1日目より強度の浮腫が生じるものであるとされているが,本件ではこの症状は認められずPGFの定義には該当しない。 PGFの原因の多くはヘルペスとされているが,本件ではヘルペスは発見されていない。 PGFは,同定できる原因なく(拒絶反応や感染)浮腫を来たし混濁するものであり,本件のような炎症や虹彩前癒着等が問題となっているものではなく,PGFではこれらの本件の問題点を説明できない。 (4) 結論被告病院医師の術前,術中の注意義務違反行為により,原告Bに対し,虹彩水晶体を損傷し炎症を発生させたほか,術後ダメージを受けた角膜を平成3年8月下旬以降可及的速やかに再移植により取り替えるべきであるのにこれを怠り,虹彩前癒着及び虹彩嵌頓を生じさせ,これを解除しなかったという一連の注意義務違反行為により緑内障を発生させた。 (被告の主張)(1) 全層角膜移植手術において,術後緑内障を発生させないために,術前及び術中に行うべき措置ア術前原告B主張の措置のうち,ホナンバルーンは,以前は白内障手術の際に前処置の一つとして行っている施設もあったが,強い圧迫による眼痛や散瞳がおこるため,本件のような角膜移植のみの手術では,通常は行われない処置である。 球後麻酔は,球後出血(甲B6・1319頁右下から8行目に「PKP(全層角膜移植術)のばあい,特に問題となるのは球後出血で,眼窩内圧及び硝子体圧を上昇させてPKP施行に重大な障害となる。」とあるとおり,球後出血を起こさ 甲B6・1319頁右下から8行目に「PKP(全層角膜移植術)のばあい,特に問題となるのは球後出血で,眼窩内圧及び硝子体圧を上昇させてPKP施行に重大な障害となる。」とあるとおり,球後出血を起こさないようにすることは非常に重要である。),眼球穿孔,視神経損傷等のおそれもあり,また,散瞳が起こるので,本件のような角膜移植のみの手術の場合は行わないことも多い。 平成12年12月から平成14年3月までの間に,被告病院眼科において円錐角膜に対し施行された全層角膜移植術は合計20症例であるが,これらの麻酔方法をみると,4パーセントキシロカイン点眼麻酔+ベノキシール点眼麻酔の症例が13症例,4パーセントキシロカイン点眼麻酔+ベノキシール点眼麻酔にさらに2パーセントキシロカインテノン嚢内注入麻酔を併用したものが7症例であり,球後麻酔を施行した症例は1例もない。 イ術中原告B主張の措置のうち,角膜切開時にヒーロンを注入して前房を形成するというのも必須の処置ではない(各症例ごとに手術を進めながらこの処置を行うかどうか判断すべきものである。)。 また,縫合時にヒーロンを注入することは,術後においてヒーロンが分解されるまで眼圧上昇が続き,移植片角膜内皮細胞に障害を与えることがあるので,むしろ不適切である。通常は,縫合後に,ヒーロンではなく人工房水を注入して前房形成を行って手術を終了する。 原告Bは,切開時及び縫合時のヒーロン注入は医学上一般的に行うべき処置であると主張し,甲B2,3,4,6及び32を引用するが,これらの書証からは,そのようなことはいえない(乙B12・6ないし8頁)。 ウ術後虹彩前癒着が認められた場合には,散瞳薬の点眼や 2,3,4,6及び32を引用するが,これらの書証からは,そのようなことはいえない(乙B12・6ないし8頁)。 ウ術後虹彩前癒着が認められた場合には,散瞳薬の点眼や抗炎症剤の投与により解消を図る。隅角部が相当範囲にわたって癒着していない限り,それが原因で眼圧上昇が起こることはないので,軽度の虹彩前癒着の場合に,機械的操作を加えてこれを解除することは,移植片内皮細胞などの炎症がむしろ強くなる可能性も大であり,それによってさらに別に癒着が生じる危険もあるため,むしろ不適切である。 虹彩嵌頓も,軽度なものであれば,それが原因で眼圧上昇が起こることはないので,早期にこれに機械的操作を加えて解除する必要はない。原告Bにみられた虹彩嵌頓は7時方向の部分的なものであり(乙A6・48頁),眼圧上昇に結びつくようなものではなかった。 (2) 被告病院医師の措置ア虹彩及び水晶体を損傷していないこと(ア) ホナンバルーン及び球後麻酔を実施していないことの合理性被告病院医師は,原告Bに対し,術前において,ホナンバルーン及び球後麻酔は実施しなかった。前記(1)ア記載のとおり,ホナンバルーン及び球後麻酔とも,角膜移植のみの手術では通常行われない処置であり,本件では,硝子体圧は下げられており,前房の深さは十分確保できており,手術はスムーズに終了しており,ホナンバルーンを当てず,また,球後麻酔をしなかったことに何ら問題はない。 (イ) 切開時及び縫合時のヒーロン注入による前房形成を実施していないことの合理性前記(1)イ記載のとおり,角膜切開時にヒーロンを注入して前房を形成することは必須の処置ではなく,症例ごとに判断すべき ーロン注入による前房形成を実施していないことの合理性前記(1)イ記載のとおり,角膜切開時にヒーロンを注入して前房を形成することは必須の処置ではなく,症例ごとに判断すべきものであり,また,縫合時にヒーロンを注入することは,むしろ不適切な処置である。 原告Bに対しては,縫合時において,ヒーロン注入による前房形成は行っていないが,リンゲル液(人工房水)注入による前房形成はきちんと行っている。 (ウ) 術中に,虹彩及び水晶体を損傷させたとは認められないこと角膜の切開は,顕微鏡下に視認しながら行うものであり,虹彩を損傷した場合には術者も助手も簡単に気付くものである。そして,虹彩を損傷すれば,出血することが多いし,出血まで至らなくても,術後,虹彩の色素が脱出して白っぽくなるが,本件においてはそのようなことはなかった。原告Bの場合,前房の深さも十分であり,慎重な角膜切開を行っており,虹彩を刃で損傷したりはしていない。 また,本件B第1手術時には瞳孔を縮瞳させているため,水晶体の上に虹彩が存在する形になっており(瞳孔の直径は約1ないし2ミリメートル),切開した角膜の直径(約7ミリメートル)との関係からして,水晶体を傷つけることはあり得ない。もし仮に水晶体を損傷すれば,術後間もなく水晶体が白濁するなどの現象が起きるはずであるが,そのようなことは起こっていない。 (エ) 術後の症状は,虹彩及び水晶体を損傷させたことを示すものではないこと平成3年7月29日には,原告Bに白内障は発生していない。同日のカルテには,白内障(+)という記載があり,水晶体の前後の皮質に白濁があるようなスケッチもある(乙A6・35頁) 平成3年7月29日には,原告Bに白内障は発生していない。同日のカルテには,白内障(+)という記載があり,水晶体の前後の皮質に白濁があるようなスケッチもある(乙A6・35頁)が,その後は白内障を疑わせるような記載はない。同日のカルテの記載者は,角膜が混濁していたため,所見を取り違えたのではないかと思われる。なお,乙A6・35頁のスケッチは,水晶体の前の皮質だけでなく,後ろの皮質にも同様の白濁があるように描かれている。角膜移植時に仮に水晶体を傷付けたとすれば,白内障の症状は前の皮質(=前房側)に出るはずであり,このスケッチは,角膜移植時に水晶体を傷付けたことと整合性はない。 原告Bは,同日に白内障を示す所見がカルテに記載されていることは,術中に水晶体に損傷を与えていることの現れであると主張するが,仮に,術中に水晶体を損傷した場合には,術後間もなく水晶体の白濁がみられるものであり,術後13日経ってようやく白内障の所見が認められたとしても,それはむしろ術中の損傷を否定すべき現象と理解すべきである。 また,術後に認められた眼内の炎症も,前房内にとどまるものであり,眼内炎と呼べるようなものではないし,術後8日目の同月24日にはほぼ消失している。この炎症所見は,特に合併症なく終了した角膜移植術でしばしば認められる程度のもので,角膜を切開及び縫合した手術操作に伴う炎症所見として理解すべきものであり,虹彩や水晶体の損傷があったことを示すものではない。 イ虹彩前癒着及び虹彩嵌頓に対し適切に対処したこと(ア) 拒絶反応について拒絶反応は,通常術後1箇月から6箇月の期間に発症するものであるところ,原告Bに移植片角膜の上皮損傷がみられたのは 適切に対処したこと(ア) 拒絶反応について拒絶反応は,通常術後1箇月から6箇月の期間に発症するものであるところ,原告Bに移植片角膜の上皮損傷がみられたのは,術後20日目であり,拒絶反応としてはやや早すぎるし,拒絶反応には有効とされるステロイド剤の投与にも反応しなかったので,本件で拒絶反応が起こったという点については否定的に解されるが,仮に,拒絶反応が起こっていたとしても,それに対する適切な治療(ステロイド投与)は施している。 なお,原告Bは,ステロイド投与の期間が平成3年8月5日から同月10日までと短いので,ステロイドに反応しなかったことを拒絶反応ではないことの理由にしてはならないというが,通常,拒絶反応であれば,この程度の期間ステロイドを投与すれば反応が見られるものである。 (イ) 角膜の融解と虹彩の嵌頓について角膜融解及び虹彩嵌頓は,移植角膜片の異常によるものであり,拒絶反応の進行によるものではない。 なお,ステロイド剤の投与を同月10日でやめたのは,角膜融解時にステロイドを投与すると二次感染の危険があるためであり,適切な対応である。 (ウ) 虹彩前癒着及び虹彩嵌頓に対し,トラベクレクトミーで適切に対処したこと原告Bにみられた虹彩嵌頓は,7時方向の部分的なものであり(乙A6・48頁),眼圧上昇に結びつくようなものではなかったから,これが存在したからといって,直ちに解除して前房形成をしなければならないものではない。虹彩嵌頓が緑内障の主原因であるかのような原告Bの主張は誤りである。 また,虹彩前癒着は,角膜の浮腫や混濁のため,これがあったかどうか, 形成をしなければならないものではない。虹彩嵌頓が緑内障の主原因であるかのような原告Bの主張は誤りである。 また,虹彩前癒着は,角膜の浮腫や混濁のため,これがあったかどうか,あったとしてどの程度であったかは不明であるが,あったとしても,その原因は,移植角膜片の異常による極めて強い前房内の炎症である。 同年9月9日ころから認められた虹彩前癒着及び虹彩嵌頓に対し手術操作を加えてこれを解除することは,前房内の強い炎症をさらに増強させる可能性が高く,眼圧の上昇にもつながるので適切ではない。このような場合,抗炎症剤の投与等により炎症を抑えることが先決であり,原告Bに対しては,上記外来診療中は,そのような治療が行われていた。そして,眼圧が上がって点眼等で対処できなくなった後でも,角膜が浮腫混濁して隅角が観察できない状態で危険を冒して無理に虹彩前癒着を剥離するよりも,トラベクレクトミーで対処する方が適切だった。 また,原告Bは,全層角膜の再移植術が遅れたとも主張するが,再移植するからには,できるだけ若いドナーの角膜が望ましいが,適切なドナーがそう都合よく現れるわけではなく,再移植の時期に関して被告に責めを負わせることはできない。 (3) 緑内障が発症した原因は提供角膜の異常によると考えられることア本件B第1術後の前房内炎症は軽度で,緑内障の原因とはならないこと本件B第1術後に認められた眼内炎症も,前房内の軽度のものであり,術後8日目の平成3年7月24日にはほぼ消失している。この炎症所見は,角膜移植術でしばしば認められる程度の軽度なものであり,これ程度の炎症によって緑内障が発症するとは考えられない。 イ移植角膜片に異常な膠原線維及び にはほぼ消失している。この炎症所見は,角膜移植術でしばしば認められる程度の軽度なものであり,これ程度の炎症によって緑内障が発症するとは考えられない。 イ移植角膜片に異常な膠原線維及び実質細胞に変性像が認められたこと本件の異常の原因を追及するために,改めて原告Bに移植した角膜の残りの部分を光学及び電子顕微鏡で調べてみたところ,電子顕微鏡レベルで角膜実質に通常では認められない異常な膠原線維が認められ,また,一部の実質細胞に変性像が認められた(乙B3,乙B9)。 ウその他の原因が考えられないこと(ア) 拒絶反応が原因とは考えられないこと拒絶反応は,通常術後1箇月から6箇月の期間に発症するものであるところ,原告Bにみられた移植片角膜の上皮損傷は,術後20日目であり,拒絶反応としてはやや早すぎるし,拒絶反応には有効とされるステロイド剤の投与にも反応しなかった。 (イ) 感染が原因とは考えられないこと感染については,術後毎日施行している移植片の細隙灯顕微鏡による観察でも,角膜感染症を疑わせる所見は全く認められていない。また,第2回目入院時に最初に移植した角膜移植片の細菌培養検査及び病理組織検査を行ったが,細菌は認められなかった。また,ドナーの眼球保存液の細菌培養検査も陰性である。 したがって,感染も否定せざるを得ない。 (ウ) 手術時の誤操作が原因とは考えられないこと手術時の誤操作が原因であるとすると,術直後より発症するはずであり,手術時の誤操作が原因とは考えられない。 エ原告Aと原告Bの経過が類似していること同じドナーから角膜提供を受けた原告Aも,原告Bと同様に 直後より発症するはずであり,手術時の誤操作が原因とは考えられない。 エ原告Aと原告Bの経過が類似していること同じドナーから角膜提供を受けた原告Aも,原告Bと同様に提供角膜の融解が生じており,術後の経過が類似しているオ小括以上のことから,本件角膜融解の原因,さらには,原告Bに緑内障が発症した原因は,提供された角膜自体の異常と考えるのが妥当である。 (4) 結論被告に本件B第1手術による緑内障発生についての責任はない。 2 緑内障の術後管理及び治療の誤りの有無(原告Bの主張)(1) 平成4年1月13日の段階において,角膜に後のうがくっついて前房が大部分失われた状態にあったから,前眼部形成術,隅角癒着解離術等を行うべきであったこと周辺虹彩前癒着が進行した状況になると物理的に房水が流れなくなるため,このような状況を解消若しくは改善する術式が選択されなければ症状の改善はないので,隅角癒着解離術,前眼部形成術等を行うべきであった。 (2) 平成4年3月以降早期に,トラベクレクトミー,前眼部形成術,隅角癒着解離術等を行うべきであったこと同年2月には高眼圧状態が生じ視神経に重要な影響を与える状況に至ったのであるから,外科的処置により改善されなければならなかった。 それにもかかわらず,物理的に房水が流れなくなった状況及び高眼圧状況を改善すべき外科的処置については,トラベクレクトミーを含め平成5年3月23日に至るまで何ら行われることなく,原告Bは放置された。 (被告の主張)(1) 平成4年1月13日の段階において,前房が大部分失われた状態にはなく,また,前眼部形成術及び隅 3月23日に至るまで何ら行われることなく,原告Bは放置された。 (被告の主張)(1) 平成4年1月13日の段階において,前房が大部分失われた状態にはなく,また,前眼部形成術及び隅角癒着解離術の適応ではなかったこと原告Bは,同日には,角膜の後ろに後のうがくっついて,前房が大部分失われた状態である診断をしているのであるから,速やかに前眼部形成術,隅角癒着解離術を施行すべきであった主張する。 しかし,カルテに「うしろに後のうがくっついている」との記載はあるが(乙A6・127頁。なお,これは同日ではなく,同月6日の記載である),この「うしろに」というのは,「角膜のうしろ」ではなく「虹彩のうしろ」という趣旨と解される。同日の「前房深いよう」という記載(乙A6・124頁)に照らしても,角膜に後のうがくっついて前房が大部分失われた状態であったというのは誤りである。 したがって,原告Bの主張は,前提において誤っている。 (2) 平成4年3月の段階において,前眼部形成術,隅角癒着解離術の適応はなかったこと原告Bに前眼部形成術及び隅角癒着解離術の適応がなかったことは,原告Aの場合と同様である。 3 説明義務違反の有無(原告Bの主張)(1) 平成3年10月21日の全層角膜手術及び白内障手術(本件B第3手術)において,水晶体全摘術(白内障手術)について説明をしていないこと本件B第3手術において,原告Bが,白内障手術に関して,手術の有無,術式,効果,必要性,危険性等について事前の説明を受けた上で承諾をしたという事実は一切ない。 (2) 平成4年2月10日以降の段階において,緑内障について,症状を説明した上,治療法について説明するべき ,必要性,危険性等について事前の説明を受けた上で承諾をしたという事実は一切ない。 (2) 平成4年2月10日以降の段階において,緑内障について,症状を説明した上,治療法について説明するべきであったこと平成4年2月10日以降も,緑内障(高眼圧)状態が生じていたのであるから,原告Bには,当該症状,治療法,治療しない場合にはどうなるのかなどについて説明を受ける権利がある。 これは緑内障が失明という重大な障害につながる症状であることから当然のことである。 しかるに,原告Bは,被告病院医師から自己の症状,今後の治療法,今後の見込み等についてほとんど説明を受けられず,漫然と良い角膜が入るまで様子を見るなどといわれて放置され,治療方法,手術選択,手術施行等に関する自己決定の機会を失い早期に失明するに至った。 失明の可能性がある症状であること,治療法として外科的手段があり得ることなどを原告Bが知らされていたら,平成4年2月10日以降1年以上にわたり何らの外科的手術を行わない事態は考えられなかった。 (被告の主張)(1) 本件B第3手術において,白内障手術もあり得ることを説明していること被告病院医師は,原告Bに対し,白内障手術もあり得ることを術前に説明して了解を得ている。 確かに,手術説明書(乙A6・76頁)には白内障手術の記載がないが,これは,白内障手術を行うかどうかは角膜を外して実際に水晶体を観察してから判断することになっており,確実に実施すると事前に決まっていたものではなかったからである。 (2) 平成4年2月10日以降についてはもちろん,治療の全期間を通じて必要な説明はしていたこと被告病院医師は,原告Bに ると事前に決まっていたものではなかったからである。 (2) 平成4年2月10日以降についてはもちろん,治療の全期間を通じて必要な説明はしていたこと被告病院医師は,原告Bに対する長期にわたる外来診療を通じて,原告Bから質問があった場合にそれに答えるのはもちろん,その時々の状況に応じて必要な説明は行ってきている。 4 不誠実診療責任の有無(原告Bの主張)(1) 本件第1手術時に合併症を防止するための最善の処置を怠っていること(2) 本件第1手術後においても,視力回復に向けた最善の診療を怠り,原告Bに対して十分な情報を開示せず,高眼圧状態を継続させたという不誠実な対応を行ったこと(3) 平成11年6月9日の説明においても,平成3年7月29日に認められた白内障の事実は告げられず,誠実な事後説明を怠ったこと(被告の主張)原告Bが,左眼失明という結果が生じたことから,被告に対して不満を抱いていることは理解できるが,被告には法的な意味での過失はないので,原告Bのいう不誠実診療責任はない。 5 損害額(原告Bの主張)(1) 後遺障害による逸失利益左眼失明(8級1号),67歳までの新ホフマン係数により計算すると,金3446万3068円となる。 (2) 慰謝料ア入通院慰謝料入院期間2.5箇月,通院期間8.5箇月金190万円イ後遺症慰謝料左眼失明金770万円ウ慰謝料前記アイ及び若年者,今後の負担,不安感等合計金1000万円以上(3) 弁護士費用金4 左眼失明金770万円ウ慰謝料前記アイ及び若年者,今後の負担,不安感等合計金1000万円以上(3) 弁護士費用金430万円(4) 合計金4876万3068円(被告の主張)争う。 年月日診療経過(入通院状況・主訴・所見・診断)検査・処置昭和63年8月10日福島県いわき市I眼科より紹介,コンタクトレンズ装用不可のためコンサルト,視力RV=0.1(0.5×cyl-6.0D 135°),LV=0.01(0.05×cyl-7.0D 90°),右角膜2/3の厚さ,左1/2の厚さで頂点部に混濁突出,円錐角膜の診断で左にコンタクトレンズを処方左眼コンタクトレンズ処方平成元年4月3日左眼コンタクトレンズ,痛くて装用できないレンズの修正を行う8月2日左眼視力LV=0.4×コンタクトレンズ,角膜中央部薄い混濁,1/2の厚さ12月27日左眼角膜頂点部に2個上皮下の盛り上がり平成2年4月6日デスメ膜にシワあり。コンタクトレンズ装着問題ないが,左角膜頂点部の上皮下に盛り上がりあり,外来手術室での表層角膜剥離術を計画4月18日左角膜頂点中央から耳側にある上皮下の盛り上がった混濁(術前検査)4月19日局所麻酔下で左眼表層角膜剥離を施行左表層角膜剥離術,テラマ入4月20日左眼角膜表層剥離部上皮やや不整8月10日左眼角膜中央部頂点部に上皮下に盛り上がり混濁少し8月24日左眼角膜中央~耳側に隆起再発。もう一度外来手術室での表層角膜剥離術を計画10月18日左眼角膜に対して表層角膜剥離術を施行左表層角膜剥離術,テラマ入10月19日左眼角膜中央部の盛り上がり,混濁は 央~耳側に隆起再発。もう一度外来手術室での表層角膜剥離術を計画10月18日左眼角膜に対して表層角膜剥離術を施行左表層角膜剥離術,テラマ入10月19日左眼角膜中央部の盛り上がり,混濁は減少,上皮欠損あり10月20日左眼角膜上皮欠損減少,細胞浸潤なし平成3年3月29日左眼角膜突出強い,視力0.01(矯正不能)平成3年4月22日右角膜厚さ2/3,左角膜厚さ1/2,左眼コンタクトレンズ装用困難のため視力矯正不可,全層角膜移植を計画,入院手術を予約,視力左眼0.02(矯正不能)左眼の角膜移植を申込み,7月15日左角膜厚さ1/2,中央部に混濁,痛くてコンタクトレンズ装用不可,左角膜移植を希望(I眼科より再度角膜移植を依頼される)7月16日第1回入院Cアイバンクより提供角膜斡旋,入院して左眼に提供眼角膜直径7.2㎜,被移植角膜直径7.0㎜で全層角膜移植を計画,術前眼圧左21・右21㎜Hg提供者年齢:69歳,死因:往歴:なし,感染症:梅毒Hb抗原陰性角膜移植使用可液細菌培養検査:陰性第1回全層角膜移植術(本件A第1手術)全層角膜移植術を施行,手術時間39分(pm5:58~pm6:37),局所麻酔(球後麻酔なし),ホナンバルーン不使用,フリリンガリング不装着,ヒーロン等粘弾性物質使用(カルテ等に記載なし),硝子体圧高いため「切っちゃ縫い」にて8-0バイクル糸4針かけながら患者の角膜を切除,術中合併症なし,午後11時50分左眼痛・頭痛あり「痛み止め欲しい」との訴えあり術後フルクトマニトン点滴A・診療経過一覧表平成13年(ワ)第14572号損害賠償請求事件第1回全層角膜移植術(本件A第1手術)全層角膜移植術を施行,手術時間39分(pm5:58pm6:37),局所麻酔(球後麻酔なし), 一覧表平成13年(ワ)第14572号損害賠償請求事件第1回全層角膜移植術(本件A第1手術)全層角膜移植術を施行,手術時間39分(pm5:58pm6:37),局所麻酔(球後麻酔なし),ホナンバルーン不使用,フリリンガリング不装着,ヒーロン等粘弾性物質使用(カルテ等に記載なし),硝子体圧高いため「切っちゃ縫い」にて8-0バイクル糸4針かけながら患者の角膜を切除,術中合併症なし,午後11時50分左眼痛・頭痛あり「痛み止め欲しい」との訴えあり術後フルクトマニトン点滴7月17日回診にて,移植片角膜軽度浮腫,デスメ膜シワあり(++),前房深いが鼻側に一部虹彩前癒着あり,前房内に細胞(++),フィブリン(+),瞳孔の直径5㎜,宿主角膜上皮浮腫,眼痛,頭痛,気分不快,流涙,活気なし ,3時虹彩後癒着抗生剤点滴投与,硝子体圧的でフルクトマニトン点滴ン座薬,フルトルマリン,7月18日充血少し,移植片角膜深層の薄い混濁,前房内細胞(+),レンズ中央部前面にフィブリン(+),宿主問題なし,9時の隅角癒着,移植片全体デスメのしわ,眼痛頭重感あり,流涙あり,両眼とも開眼しづらい移植角膜の内皮細胞の活性プレドニン4錠(2日分)。 滴。眼圧下降の目的でダイ錠,午前10時40分フルン,フルマリン,コランチノン7月19日上皮よく被っている。宿主・移植片間で段差なし,縫合状態よい,移植片角膜軽度浮腫,デスメ膜シワ(+),前房深い,鼻側の虹彩前癒着(-),前房内細胞(+)~(++)詳細不明,フィブリン(+),レンズ表面にもフィブリン(+),角膜後面沈着物(+),左眼痛軽度あり,流涙ありフルクトマニトン点滴,抗フルマリン平成3年7月20日移植片角膜中央部4×5㎜びらん,移植片腫脹(+),デスメ膜のシワ(++),内皮面に瀰 ,角膜後面沈着物(+),左眼痛軽度あり,流涙ありフルクトマニトン点滴,抗フルマリン平成3年7月20日移植片角膜中央部4×5㎜びらん,移植片腫脹(+),デスメ膜のシワ(++),内皮面に瀰漫性障害,宿主角膜上皮浮腫少し,前房深い,虹彩前癒着(-),瞳孔の直径5㎜ぐらい,フィブリン(++),異物感,眼痛,流涙あり抗生剤点滴,フィブリン吸バリターゼ4錠/2日処方,錠,0.1%リンデロンA点おロード点中止,ダイアモッパラK,コランチル7月21日充血(+),結膜浮腫(+),デスメ膜のシワ(++),角膜後面沈着物(++),移植片角膜上皮びらんやや減少,移植片腫脹(+),宿主・移植片間の段差(-),ホスト角膜も上皮浮腫(+),前房深い,フィブリン(+),耳側やや散瞳悪い,全周腫脹(+),細胞不明,眼が破裂しそうとの訴え,眼痛軽度持続,流涙,眼帯使用中ダイアモックス内服続行,錠,バリターゼ4錠7月22日移植片角膜上皮欠損,移植片角膜後面沈着(+),前房内細胞細かいのが少しあり,宿主問題なし,レンズ表面に少しフィブリン,宿主にも周辺に角膜後面沈着(+),実質腫脹(+),前房中にフルオ入っている,充血(++),デスメ膜のしわ(++),眼痛,流涙,左目ぼーっと見えるけど開眼するとまぶしいダイアモックス内服2錠,ケ錠,プレドニン4錠,バリタンチル7月23日移植片角膜上皮欠損まだあるが鼻側からかぶってきている,前房内のフィブリン少し,前房蓄膿(-),角膜裏面に沈着物,レンズの後ろに少し薄い混濁,温流ほとんどない,宿主移植片実質腫脹,細胞(+~++),宿主も薄い細かい沈着物,耳側の宿主の内皮少し沈着物薄い混濁,眼痛軽度持続,流涙充血ありケフラール3錠,プレドニンアモックス,バリターゼ,7月24日左充血わずか,移植 脹,細胞(+~++),宿主も薄い細かい沈着物,耳側の宿主の内皮少し沈着物薄い混濁,眼痛軽度持続,流涙充血ありケフラール3錠,プレドニンアモックス,バリターゼ,7月24日左充血わずか,移植片角膜上皮欠損減少傾向,実質の細胞浸潤なし,水晶体前面にフィブリン沈着,前房蓄膿(-),宿主に細胞浸潤(-),移植片に虹彩色素(+),眼脂,しみる感じで涙が出るバリターゼ,ケフラール,ン,ダイアモックス,コラスパラK7月25日左移植片角膜外上方のみ欠損,デスメ膜シワあり(+),角膜後面沈着(++),前房深い,細胞(++),レンズ表面にフィブリンわずか,散瞳良好,軽度内皮混濁,フィブリンとはいえない色素(+),眼痛持続中,充血バリターゼ,プレドニン,クス,ケフラール,アスパ7月26日頭痛(-),吐き気(-),左移植片角膜外上方の欠損減少,角膜後面沈着(++),デスメ膜シワ(++),前房深いまだ汚い,細胞不明,宿主の腫脹(+),フルオレセイン入っている,水晶体表面フルオではっきりしない,宿主にも角膜後面沈着物,ゴロゴロする,眼痛軽度,しみる,眼脂,異物感ある,方向性のあるびまん性表層角膜炎7月27日昨日から眼がゴロゴロして痛い,移植片角膜上皮欠損(-),移植片角膜デスメ膜シワ(+),角膜後面沈着(+),前房深い,細胞わずか,フィブリン減少,散瞳良好,眼痛軽度,異物感あり異和感,動眼時痛,軽度充血ケフラール3錠,プレドニンロイド内服を中止7月28日第1回退院移植片やや不透明,デスメ膜シワ(+),結膜充血(+),上皮カバーOK,散瞳,細胞不明,異物感軽度あり,異和感軽度,動眼時痛,退院時視力不計測(記載なし)ケフラール4錠,バリターゼ物質,0.1%フルメトロン,リンP点眼処方平成3年8月1日昨夜から左眼視力 ,散瞳,細胞不明,異物感軽度あり,異和感軽度,動眼時痛,退院時視力不計測(記載なし)ケフラール4錠,バリターゼ物質,0.1%フルメトロン,リンP点眼処方平成3年8月1日昨夜から左眼視力低下あり,全体に白っぽく見え,色が分かりづらい。移植片角膜上皮中央部にフルオレセインの染色あり,移植片角膜内皮面に混濁,沈着線を認めるリンデロン6錠内服,デカ結膜下注射圧迫眼帯(テラう)8月7日宿主角膜浮腫,後面混濁し全体的に混濁増強,白内障,中央から10時に膜,膜の後面に薄い混濁,縮瞳しない,続発緑内障の手術計画をする,ステロイド剤に反応せず移植角膜の混濁の増強と前房内炎症が見られたことから感染症も疑いステロイド剤の投与を中止プレドニン点滴中止,フルン点滴,(目薬4種)タリ1日,サンピロ2%4回,ル0.5%2回,トプラシン0ダイアモックス2回/1日,2T,8月8日第2回入院移植片角膜厚さ1/2~1/3に融解,前方に突出,角膜後面にフィブリン(+),移植片全体に混濁,眼圧を下げるために入院,眼痛,頭重感,頭痛夕方フルクトマニトン30平成3年8月9日移植片角膜全体に融解し,厚さ1/3~1/4と薄い,角膜後面全体に薄い膜状形成(宿主にも),角膜縫合部は異常なし,前房深い,隅角部にも膜状沈着,角膜穿孔の恐れあり,前房内細胞不明,縮瞳していない,眼痛軽度緑内障手術+表層角膜移植術(本件A第2手術)全身麻酔,グラフトフェイリアー,緑内障手術(トラベクレクトミー)とともに,角膜穿孔のおそれもあることから保存角膜9㎜を用いて第1回目の移植角膜と被移植角膜を切除し表層角膜移植を施行,前房内へオピソート注入鼻側の虹彩縁の膜極細スペーテルではずそうとしたが無理せず,眼痛,頭痛,体熱感(37度4分→37度4分)感 を用いて第1回目の移植角膜と被移植角膜を切除し表層角膜移植を施行,前房内へオピソート注入鼻側の虹彩縁の膜極細スペーテルではずそうとしたが無理せず,眼痛,頭痛,体熱感(37度4分→37度4分)感染症の有無を調べるため虹彩,角膜擦過物を細菌培べて陰性,抗生剤の点滴8月10日左結膜濾過胞あり,突出した角膜扁平化,前房深い,瞳孔散瞳,細胞不明,フレア,眼痛あり,「時々ズキズキ痛い」,左額部疼痛ありアイスノン使用8月11日左結膜濾過胞あり,表層角膜移植片透明,菲薄化した全層角膜移植片中央より耳側が特に薄い,表層角膜移植の移植片の混濁で詳細不明,上皮実質内皮不明,全体に結膜浮腫強い,12時ブッケルのびている,眼痛(昨日より痛い),流涙あり氷枕,アイスノン使用,8月12日第1回目の移植片角膜が更に薄くなる,ゴロゴロする,眼痛あり,異物感あり,頭痛軽度あり抗生剤の点滴を続ける(氷8月13日移植片上皮まだかぶらない,圧痛(+),6時の隅角の白いところ変わらない,全白内障中央部混濁,眼圧不明,今までより痛み強い,眼痛あり,眼痛持続中なるもクーリングにて様子見る,開眼時流涙あり,羞明感あり,活気なく午前9時30分パンスポリ時パンスポリン,(氷枕)8月14日左眼表層角膜移植片,今のところ透明,前房深い,宿主角膜腫脹あり,耳側には混濁あり。6~7時の宿主少し薄い,前回移植片中央は融解して表層移植片についているのみ,毛様充血及び結膜午前9時45分 Dr.Sン,午後8時Dr.T パン,(氷枕)8月21日左眼移植片下方に腫脹あり,移植片周辺に間隙あり,5~6時に間隙あり,縫合下方5~7時ない,結膜充血とれてきた,鼻側は隅角狭い,眼通持続中(昨日より少し痛い)PCR用に涙液採取(Dr.Q時30分チエナム,午後 脹あり,移植片周辺に間隙あり,5~6時に間隙あり,縫合下方5~7時ない,結膜充血とれてきた,鼻側は隅角狭い,眼通持続中(昨日より少し痛い)PCR用に涙液採取(Dr.Q時30分チエナム,午後チエナム,ボルタレン,う)8月22日左眼結膜充血なし,毛様充血は軽快,上下の縫合緩んでいる,移植片浮いている,宿主移植片の段差あり,縫合耳側はしっかり,血管が入っている。眼痛変わらずあり午前9時30分チエナム10分チエナム,ボルタ枕,氷のう)8月23日第2回目の移植片角膜一部融解脱落,第1回目の移植片角膜中央が薄い,前房(+),移植片角膜の後面膜形成(RCM),12時方向より血管入っている,下方からも血管入っている,眼通持続中,ゴロゴロする感じ脱落角膜片細菌培養:黄色(+),午前7時ボルタレン,チエナム,午後8時ボルタ6時55分チエナム,(氷う)8月24日眼痛低下した,移植片角膜中央部が鼻上側に強い混濁,上皮被覆なし,成熟白内障,前房細胞不明,全周特に下方耳側より血管侵入,5時6時の縫合は緩んでいる,眼痛軽度,頭重感軽度あり,前房上から見るとあるビクシリン4錠内服,午前チエナム,午前7時ボル(氷枕,氷のう),チエナ8月25日眼痛軽度あるも自制内ボルタレン,(氷枕,氷の8月26日痛み減少,第2回目の移植片角膜可動性のある隆起,第1回目の移植片角膜内への血管侵入,毛様充血以前よりはだいぶ軽くなった,前房不明,細胞不明,眼痛軽度あり,光だけしか見えない,ゴロゴロする自己血清点眼開始,午前7レン,午後8時ボルタレ枕,氷のう)8月27日移植片角膜中央部隆起,3時,6時より移植片に血管侵入,左眼チクチクする眼脂細菌培養:陰性,8月2基づきミノマイシン内服,のう),ピクシリン止平成3年 時ボルタレ枕,氷のう)8月27日移植片角膜中央部隆起,3時,6時より移植片に血管侵入,左眼チクチクする眼脂細菌培養:陰性,8月2基づきミノマイシン内服,のう),ピクシリン止平成3年8月28日第2回全層角膜移植術+白内障手術(本件A第3手術)中央部の第1回目移植片角膜膨化,融解,白内障(+),新鮮角膜を用いて全層角膜移植+白内障手術を施行,全身麻酔,フリリンガリングつける,10時方向より前房に入るもいきなり水晶体皮質が流出してくる,角膜移植終了時に皮質ほとんどないため改めて吸引はせず前房形成しようとするも分からず,空気を少し入れる,時々異物感あり,術後眼痛あり眼脂細菌培養検査:陰性,の一部細菌培養:陰性,提眼球保存液細菌培養:陰性氷のう)8月29日移植片角膜透明,前房内に空気,下方にフィブリン,前房ありそう,皮質残留わからない,眼痛やや増強あり,頭重感あり,活気食欲(氷枕,氷のう),臨床病へ移植片角膜提出→報告書膜片角膜皮離変平成3年9月6日眼圧(シェッツ)37~42mmHg,左眼抜糸後,移植片内皮きれい,中央より鼻側は隅角ありそう,上方12~2時で後嚢と角膜が接しているよう,後嚢とは3時から開いている,前房汚くない,これで様子診るしかない。視神経乳頭は良い,小さい陥凹(+),鼻側偏位なし。もう少し入院で,ミノマイシン中止。6~7時少し段差あり,9時の血管活動性あり。要注意!異物感軽度出現フルクトマニトン300ml9月7日移植片角膜軽度浮腫,前房上方がやや浅い,細胞(-),後発白内障,眼圧(シェッツ)21~34mmHg,チカチカした感じ,重い感じフルクトマニトン300ml9月8日頭痛,嘔気なし。左眼11時半~1時に宿主移植片の段差あり,移植片透明,上皮浮腫(± 白内障,眼圧(シェッツ)21~34mmHg,チカチカした感じ,重い感じフルクトマニトン300ml9月8日頭痛,嘔気なし。左眼11時半~1時に宿主移植片の段差あり,移植片透明,上皮浮腫(±)。6時半縫合なし,やや膨隆,実質浮腫なし。前房深い,前房細胞わずか,フレアーなし,後嚢混濁(+)。腫脹感,こめかみが少し痛い,左眼頭重感あり,頭部痛軽度持続中フルクトマニトン300ml9月9日頭が少し重い。左眼11~1時宿主移植片段差(+),移植片透明,移植片への血管侵入なし,前房深い,フレアー(-),炎症細胞ちらり,散瞳中,後嚢混濁(+),眼痛軽度あり,チカチカする,頭重感あるも昨日より良いフルクトマニトン300ml9月10日頭痛なし。右眼円錐角膜,前房深い,炎症細胞(-)。左眼移植片上皮浮腫わずか,実質腫脹(-),角膜裏面沈着(-),上皮欠損(-),後嚢やや前方に位置している,前房細胞ちらり 9月11日左眼移植片透明,6~7時の縫合が緩んでいる,血管少し入っている,前房狭い,上方は(水晶体)後嚢がついている,10時にも後嚢少しついてる。重圧感あり,まばたきするとちょっと痛い9月12日移植片角膜中央部透明,膨隆部の角膜周辺部6~7時の縫合糸の緩み,下方浮腫,角膜後面沈着物(+),後のう上方は角膜についている,後のううっすら混濁,圧迫感持続中9月13日視力 RV=0.5×-7.00 cyl-1.5D 170°,LV=0.4(0.6×+4.5D)6~8時の移植片角膜軽い段差あり,後のう上方は角膜についている,血管移植片には入っていないが活動的な印象9月14日左眼移植片透明後嚢上方が角膜についている炎症細胞(-)(-),後嚢やや前方に位置している,前房細胞ちらり9月11日左眼移植片透明,6~7時の 片には入っていないが活動的な印象9月14日左眼移植片透明後嚢上方が角膜についている炎症細胞(-)(-),後嚢やや前方に位置している,前房細胞ちらり9月11日左眼移植片透明,6~7時の縫合が緩んでいる,血管少し入っている,前房狭い,上方は(水晶体)後嚢がついている,10時にも後嚢少しついてる。重圧感あり,まばたきするとちょっと痛い9月12日移植片角膜中央部透明,膨隆部の角膜周辺部6~7時の縫合糸の緩み,下方浮腫,角膜後面沈着物(+),後のう上方は角膜についている,後のううっすら混濁,圧迫感持続中9月13日視力 RV=0.5×-7.00 cyl-1.5D 170°,LV=0.4(0.6×+4.5D)6~8時の移植片角膜軽い段差あり,後のう上方は角膜についている,血管移植片には入っていないが活動的な印象9月14日左眼移植片透明,後嚢上方が角膜についている,炎症細胞(-),前房下方は深い,9時の血管が増えているが移植片には侵入していない,6時~8時膨隆しており宿主移植片段差(+)。眼痛軽度あり,少しチクチクする9月15日第2回退院移植片角膜中央部透明,前房中央部深い,細胞(-),水晶体後嚢薄い混濁,退院抗生物質タリビット,0.1%ン点眼,0.5%チモプトールモックス2錠,アスパラK4錠9月18日左眼角膜透明,上方くっついているか?,下方は透明,糸が浮いている。左眼眼底視神経乳頭正円,陥凹(+)平成3年9月25日移植片角膜中央部透明,眼圧(シェッツ)5~10mmHg10月2日視力0.02×+4.5D,移植片角膜やや浮腫状,眼圧3mmHg,眼底乳頭陥凹はっきりせず,下方の後のうがだいぶ手前にきているNa 145mEq/l,K 43mEq/ダイアモックス1/2錠に10月9日移植片角膜 ,移植片角膜やや浮腫状,眼圧3mmHg,眼底乳頭陥凹はっきりせず,下方の後のうがだいぶ手前にきているNa 145mEq/l,K 43mEq/ダイアモックス1/2錠に10月9日移植片角膜点状の染まり,3~5時の縫合糸浮いていたため抜糸,眼圧4mmHg,周辺癒着リンデロン10月16日右眼角膜,コンタクトレンズフィッティング良好,左眼内皮いい,前房細胞少し,眼圧8mmHg1月13日第3回入院入院,移植片角膜浮腫,後面に後面膜形成,水疱性角膜症になっている,宿主角膜まで血管侵入,後のう前房不明,白内障混濁,前癒着,眼圧40mmHg~50mmHg→マニトン点滴後3mmHgフルクトマニトン点滴1月14日右眼は良い。左眼移植片やや浮腫状,角膜後膜,周辺の角膜混濁,虹彩前癒着ほぼ全周,上方結膜ろ過胞はっきりしない,眼圧41mmHg~49mmHg。頭痛持続中,眼痛軽度あり,左眼重圧感軽度あり,こめかみから頭頂部にかけて重い1月15日眼圧午前21~24mmHg,午後35~41mmHg,眼底見えない,頭重感軽度あり平成4年1月16日第2回緑内障手術局所麻酔(球後麻酔あり),左トラベクレクトミー,水晶体後嚢と虹彩部の癒着剥離手術を施行,術後眼痛あり,「頭を動かすと目がぱんぱんに張った感じがする」,頭重感あり1月17日眼圧8mmHg,ブッケル形成(+),前房詳細不明,角膜厚さ2倍,眼底見えない,眼痛あり,頭痛軽度あるが自制内1月18日左眼結膜充血少し,移植片濁っている。10~12時,平らなブレブ(+),前房,虹彩前癒着(+),眼圧,シェッツにて低眼圧(測定不能~7mmHg)1月19日瞳孔前癒着,前房詳細不明,眼圧8mmHg,ブッケル形成(+),移植片の厚み2倍,10時方向から血管(+),異物感軽度あり 癒着(+),眼圧,シェッツにて低眼圧(測定不能~7mmHg)1月19日瞳孔前癒着,前房詳細不明,眼圧8mmHg,ブッケル形成(+),移植片の厚み2倍,10時方向から血管(+),異物感軽度あり,左こめかみ鈍痛ありBモード1月20日右眼同じ。左眼移植片変わらず,上方ブレブ良好,眼圧7mmHg,Bモードにて,網膜剥離,脈絡膜剥離(-)。頭重感持続,左こめかみ少し重い1月21日眼圧9mmHg,右眼同じ。左眼移植片2倍厚,他不変,ブレブ良好1月22日左眼周辺(虹彩)前癒着,移植片浮腫状,後ろわかりづらい,角膜後膜強い,上方ブレブ良好,後嚢わからない。充血著明にあり,左眼見え方少し悪くなったような気がする1月23日第3回退院細胞不明,移植片角膜浮腫状,後面膜形成,ブッケル形成(+)→退院視力LV=0.021月27日右眼上皮浮腫少し。左眼移植片全体に浮腫状,1.5倍厚,前房不明,(虹彩)前癒着(+),眼圧8mmHg.左眼視力=光覚弁(+),方向性なしチモプトール,0.1%フルメブラシン3月22日結膜,移植片も良い。縫合,ブッケルうっすら,角膜透明,前房深い。眼圧20mmHg。左眼重い感じ,異物感あり,充血あり,「かすみがかってよく見えない」,重圧感軽度あり5-FU結膜下注射3月23日移植片角膜混濁,血管侵入+,3時~6時~9時前癒着,眼圧18~28mmHg,左眼重い感じ,かすみがかってよく見えない眼球マッサージ,5-FU結膜3月24日左眼ブレブわずか,移植片上方デスメ膜雛壁+,宿主角膜混濁+,血管侵入+,ブラーゼあり,フルオ+,表層角膜症+。眼圧28mmHg.CFF,右眼 39Hz,左眼 17Hz。充血著明にあり,眼注後のためヒリヒリした痛みがある眼球マッサージ,5-FU結膜3月25日 +,ブラーゼあり,フルオ+,表層角膜症+。眼圧28mmHg.CFF,右眼 39Hz,左眼 17Hz。充血著明にあり,眼注後のためヒリヒリした痛みがある眼球マッサージ,5-FU結膜3月25日宿主角膜混濁,血管侵入(+),眼圧38~40mmHg,左眼視力=(0.02)眼球マッサージ,5-FU結膜3月26日左眼結膜漏出わずか,ブレブわずか,角膜,移植片を含め上皮欠損なし,ブッケル(±),耳上側一象限のみ,後嚢をはがして作られた前房あり。眼圧右眼正常,左眼眼圧正常+1あるか?,眼圧40~42mmHg不明,5-FU(Dr.R)3月27日右眼薄い円形の混濁。左眼,移植片浮腫2倍厚,薄い角膜後膜(+),中央より上半分薄い,下方はくっついている,ブッケルは軽く盛り上がっている。びらんなし。眼圧触診にてわずかに高め。シェッツにて43mmHg,電気とのメーターにて30~43mmHg。頭重感軽度あり5-FU結膜下注射3月28日寝ると頭痛あり。左眼眼圧22mmHg。デスメ膜雛壁(+),血管侵入なし,ブレブわずか,眼圧シェッツにて43~59mmHg。 少し頭が重いような気がする眼球マッサージ,5-FU結膜イアモックスをネプタザンニトンS300ml,DI期。 3月29日頭痛わずか,左眼眼圧43mmHg,ブレブわずか5-FU結膜下注射,中止。フトン300(Dr.R)3月30日頭痛++,左眼45mmHg,吐気ありマニトンS300ml,D平成4年3月31日左眼,移植片浮腫状,中央より下方の前房側に膜あり,あと一回,同じところから硝子体をとるか。異物感あり,睫毛か?,問題なし。触診にて左眼それほど高くない,40という感じではないが右眼より高い。眼底,視神経乳頭ぼんやり。シェッツにて41mmHg。頭痛あり,午前1時頭部 から硝子体をとるか。異物感あり,睫毛か?,問題なし。触診にて左眼それほど高くない,40という感じではないが右眼より高い。眼底,視神経乳頭ぼんやり。シェッツにて41mmHg。頭痛あり,午前1時頭部を手で押さえている仕草ありマニトンS300ml,D枕)月日眼,皮リ少良くな,少あり,角膜後膜3~9時,他著変なし,眼圧38~41mmHg眼圧マニトン後24mmHg,マッサージ後23~25mmHg。頭重感ありネタザ錠,ラ0.1%リンデロン点眼,0.1%ン点眼,0.5%チモプトールクトマニトン300ml,ン)4月9日第4回退院宿主角膜前癒着,眼圧38~41mmHg,吐気あり,「頭痛いの」と活気なしフルクトマニトン300m診療経過欄及び原告の反論欄中,下線部分は争いのある事実であり,そのうち斜体字でない部分は,裁判所が証拠欄記載の証拠により認定した事実である。 年月日診療経過(入通院状況・主訴・所見・診断)検査・処置平成2年4月23日J病院眼科 O先生より紹介される。視力右眼=0.01矯正不能,左眼=0.01矯正0.03。眼底詳細不明。両眼に円錐角膜と巨大乳頭結膜炎。 両眼とも角膜移植の必要性あり。 全層角膜移植に対する入院み。術前全身検査5月21日両眼,角膜頂点かなり薄い。 6ヶ月後の来院指示11月30日視力右眼=0.02矯正0.04,左眼=0.01矯正0.03。両眼角膜頂点1/3厚,フライシャーリング(+),デスメ膜皺壁(+)。 6ヶ月後の来院指示平成3年5月31日現在使用のコンタクトレンズはズレるため使用できない。眼鏡では黒板が見えない。視力右眼=矯正0.04,左眼=矯正0.03。角膜頂点1/4厚,上皮下混濁(+),フライシャーリング(+)。 コンタクトレンズ・トライ6月12日 はズレるため使用できない。眼鏡では黒板が見えない。視力右眼=矯正0.04,左眼=矯正0.03。角膜頂点1/4厚,上皮下混濁(+),フライシャーリング(+)。 コンタクトレンズ・トライ6月12日視力右眼=0.7×CL,左眼=0.2×CL。両眼とも角膜薄いので移植すべき。 7月16日第1回入院眼圧正常,Cアイバンクより提供角膜斡旋,入院して左眼に提供眼角膜直径7.2㎜,被移植角膜直径7.0㎜で全層角膜移植を計画提供者年齢:69歳,死因:既往歴:なし,感染症:梅陰性,Hb抗原陰性角膜移植可,角膜保存液細菌培養検性第1回全層角膜移植術(本件B第1手術)局所麻酔(球後麻酔なし),フリリンガリング不装着,ホナンバルーン不使用,切開時及び縫合時にはヒーロン等粘弾性物質不使用,全層角膜移植術を施行,6時と12時にバイクル糸にて縫合し10-0ナイロン糸14針端々縫合,手術時間33分(pm4:06~pm4:39),術中合併症なし7月17日移植片,透明。被移植角膜片の混濁少しあり,デスメ膜皺壁(+),前房細胞(++),前房中にわずかにフィブリン,8時虹彩前癒着のよう。 LV=0.1(0.3),滅菌解除,水晶体前面フィブリンわずか,,0時30分左眼痛くて右眼開けられない,掻痒感著明,羞明感。 トブラシン点眼,0.1%リA点眼,各左×5,ミドリン眼,ジクロード点眼,各左始。フルクトマニトン300m滴。ダイアモックス,アス各2錠,内服7月18日散瞳あまりしていない,ホスト薄い混濁,前房汚くない,硝子体混濁なし,感染なし,眼圧高くない。フィブリンわずか(減少),細胞多くない,移植片浮腫(+),左眼痛なしフルクトマニトン300mlをイアモックス,アスパラK続。眼脂培養検査:陰性7月19日移植片浮腫とれてきた,充血(+),デスメ膜皺 ンわずか(減少),細胞多くない,移植片浮腫(+),左眼痛なしフルクトマニトン300mlをイアモックス,アスパラK続。眼脂培養検査:陰性7月19日移植片浮腫とれてきた,充血(+),デスメ膜皺壁(+),前房深い,細胞(+)~(++),フィブリン(+),左眼痛なし,頭痛なし。 プレドニン4錠×3日分7月20日充血(+),デスメ膜皺壁(+),傷口しっかりしている,左眼痛なし,頭重感なし。 7月21日上皮びらん(-),移植片浮腫軽減。前房細胞わずか,水晶体透明,8時の虹彩前癒着(-)になった,午前9時及び午後2時左眼痛軽度あり,午後5時左眼痛なし,充血あり,流涙あり。 平成3年7月22日第1回退院移植片中央内皮にうすい混濁,水晶体前嚢にフィブリン(+)。退院可。退院時左眼視力0.3,左眼痛ありトブラシン点眼,0.1%リA点眼,各左×5,ミドリン眼,左×3,プレドニン3錠ンチル3.0g分3,各×3日間7月24日LV=(0.03),移植片透明,デスメ膜皺壁(++),前房細胞わずか,フィブリンなし,正常眼圧。 トブラシン点眼,0.1%リA点眼,各左×5,プレドニ4日分,コランチル3.0g分7月29日角膜縫合良好,移植片中央透明,デスメ膜皺壁(+),前房細胞わずか8月5日縫合糸タイト,前房深い,移植片上皮フルオレセイン染色(+),上皮浮腫(+),角膜裏面沈着(+),Rejectionline (+)。拒絶反応を疑い,ステロイド治療左テノン嚢内注射デカドロ0.5ml,テラマイシン眼軟圧迫眼帯処置,リンデロン錠(4-2-0),コランチル×7日分,ガスター(20)7日分8月6日角膜厚×1.3倍,デスメ膜皺壁(+),角膜上皮浮腫(+),Rejectionlineはっきりしない,前房タンパク(+),移植片鼻下側に混濁あり。 ンチル×7日分,ガスター(20)7日分8月6日角膜厚×1.3倍,デスメ膜皺壁(+),角膜上皮浮腫(+),Rejectionlineはっきりしない,前房タンパク(+),移植片鼻下側に混濁あり。 左テノン嚢内注射デカドロ8月7日角膜厚×1.2倍,デスメ膜皺壁(+),角膜裏面沈着(+)。 左テノン嚢内注射デカドロ0.5ml。 8月8日角膜厚×1.3倍,デスメ膜皺壁(++),移植片耳側の浮腫強い,角膜上皮不正,角膜裏面沈着(+)。 左テノン嚢内注射デカドロ8月9日リンデロンちゃんと飲んでいなかたのでしかり飲むように指リンデロン内服薬をしかB・診療経過一覧表平成13年(ワ)第14572号損害賠償請求事件月日縫合糸タイト,前房深,移植片皮オイ染色( ),皮浮腫(+),角膜裏面沈着(+),Rejectionline (+)。拒絶反応を疑い,ステロイド治療テノ嚢内注射デカド0.5ml,テラマイシン眼軟圧迫眼帯処置,リンデロン錠(4-2-0),コランチル×7日分,ガスター(20)7日分8月6日角膜厚×1.3倍,デスメ膜皺壁(+),角膜上皮浮腫(+),Rejectionlineはっきりしない,前房タンパク(+),移植片鼻下側に混濁あり。 左テノン嚢内注射デカドロ8月7日角膜厚×1.2倍,デスメ膜皺壁(+),角膜裏面沈着(+)。 左テノン嚢内注射デカドロ0.5ml。 8月8日角膜厚×1.3倍,デスメ膜皺壁(++),移植片耳側の浮腫強い,角膜上皮不正,角膜裏面沈着(+)。 左テノン嚢内注射デカドロ8月9日リンデロン,ちゃんと飲んでいなかったので,しっかり飲むように指示。デスメ膜皺壁(++),角膜上皮浮腫(+),角膜裏面沈着(+),フィブリン(+)。 リンデロン内服薬をしっかするよう指示。左テノ リンデロン,ちゃんと飲んでいなかったので,しっかり飲むように指示。デスメ膜皺壁(++),角膜上皮浮腫(+),角膜裏面沈着(+),フィブリン(+)。 リンデロン内服薬をしっかするよう指示。左テノン嚢デカドロン0.5ml。トブラ1本左×5処方8月10日角膜裏面沈着(+),移植片上皮欠損(+),上皮欠損の面積は移植片の2/3。宿主側にも角膜上皮浮腫(+),前房細胞不明。フィブリン(-)?,感染症の疑いも考えてステロイド剤の投与中止。 タリビッド眼軟膏左×6,ル(250mg)3カプセル分3分,ダイアモックス2錠,K4錠,分2×3日分,処方ロンA点眼中止。テラマイ膏処置8月12日頭痛あり。毛様充血あり,完全な移植片上皮欠損なし,角膜裏面沈着強くない,前房蓄膿なし,水晶体表面中央部に薄い混濁あり,移植片全体のActivityがない感じ。眼圧は低い。 ケフラール(250mg)3カプ×5日分,コランチル3.0g分,ダイアモックス2錠,K4錠,分2×5日分。眼軟8月15日角膜裏面沈着(+),角膜浮腫(+),移植片上皮欠損なし,前房細胞不明。 平成3年8月19日眼痛なし,移植片上皮わずかにフルオレセインの染色あり,べたっとした角膜裏面沈着(+),角膜浮腫(++),前房細胞不明。 タリビッド点眼,FAD点眼6,テラマイシン眼軟膏,左ケフラール(250mg)3カプ×7日分,ダイアモックススパラK2錠,分2×5日分チル3.0g分3×7日分8月23日移植片上皮ほとんどなし,角膜厚×2.0倍,角膜浸潤は少ない,前房細胞不明,上皮欠損は内皮の機能低下によるものと考えられる。 8月26日薄くフルオレセインの染色あり,完全な移植片上皮欠損はない,角膜浮腫(+),角膜裏面沈着(+),細胞不明,。 ダイアモックス1錠,アスパ錠,分2×7 皮の機能低下によるものと考えられる。 8月26日薄くフルオレセインの染色あり,完全な移植片上皮欠損はない,角膜浮腫(+),角膜裏面沈着(+),細胞不明,。 ダイアモックス1錠,アスパ錠,分2×7日分,コランチ分3×7日分,ケフラール飲中止8月31日角膜浮腫(+),角膜裏面沈着(+),散瞳中,上皮にぴったり虹彩色素様沈着(+)。 ダイアモックス1錠,アスパ錠,分2×10日分,コラン分3×10日分9月4日上方に角膜段差あり,移植片上皮欠損(+),角膜裏面沈着(+),色素様角膜後面沈着(+),下方はべたっと付着,上下から宿主角膜に血管進入あり。角膜縫合,一部緩んでいる。前房はとても深い,前房細胞不明,瞳孔経約7mm。眼圧,シェッツで4mmHg以下。移植片角膜内皮の損傷が大きいようである。 タリビッド点眼,FAD点眼 9月9日移植角膜片が突出している,角膜縫合が大方緩んでいるが,下方はついている。虹彩色素様のものが下方にあり。隅角10時についている9月13日頭痛なし。角膜移植片は全体に混濁あり,かなり散瞳している。1時の角膜縫合ははずれている。眼圧シェッツで4mmHg以下。 ダイアモックス2錠,アスパ錠,分2×14日分,0.5%チトール点眼,左×2処方9月18日移植片角膜浮腫(++),突出(+),6時角膜縫合ゆるむ。 タリビッド点眼,FAD点眼 9月25日1時と6時の角膜縫合が完全に緩んでいる。6時から8時では虹彩が透見できる。前房中不明。再移植が必要。眼圧,シェッツで4mmHg以下。 血液検査9月27日移植角膜は全体に前方に突出気味,虹彩が透見されるが角膜は穿孔していない。7時方向の移植片と宿主角膜の間が非常に薄くなり,虹彩嵌頓してきている,縫合は全体に緩い。 胸部X線検査,心電図,出入院予約平成3年9月 前方に突出気味,虹彩が透見されるが角膜は穿孔していない。7時方向の移植片と宿主角膜の間が非常に薄くなり,虹彩嵌頓してきている,縫合は全体に緩い。 胸部X線検査,心電図,出入院予約平成3年9月30日前回と同様,上方も薄くなっている。 10月5日眼痛なし。角膜上皮欠損あり,縫合糸がすべて緩い。虹彩透見可,前房中不明極大散瞳中全身麻酔で再手術をして下ダイアモックス2錠アスパ10月21日第2回全層角膜移植術+白内障手術(本件第3手術)角膜中央軽い膨化,中央部上皮欠損も,裏面に膜様物あり,白内障か?鼻側の周辺,虹彩癒着か?,上方は虹彩不明,耳側にも虹彩癒着あり。術中出血するかもしれない。水晶体にも混濁がありそう。全身麻酔下にて,フリリンガリング装着,全層角膜移植及び白内障手術(水晶体吸引術)施行,11時方向より前房に入るとすぐに水晶体が見える,さらに切開していくと水晶体が脱出してくるので水晶体に切開入れて皮質を洗い出しながら手術,前房に空気入れて手術終了,16針。 ラクテックD500ml点滴(ン2g,アドナ50mg混注)目の移植角膜を培養検査:病理組織検査:細菌なし10月22日移植片平坦,浮腫わずかに(+),デスメ膜皺壁(+),前房十分深い,上方半分に空気(+)。 滅菌のまま平成3年10月23日移植片やや浮腫状,デスメ膜皺壁(+),前房深い,空気まだ(+),白内障(-),眼圧触診でやや低め。8時の縫合はずれている?,前房漏出わずか。眼底後極,網膜の色調良さそう。左眼視力=眼前手動弁。 サイクロスポリン点眼,左10月24日移植片浮腫(+),8時の漏出減少傾向,前房詳細不明,空気なし。球結膜濾過胞あり。 10月25日球結膜濾過胞あり,移植角膜厚×2,漏出わずか,8時側のみわずかに段差。 10月26日移植片 24日移植片浮腫(+),8時の漏出減少傾向,前房詳細不明,空気なし。球結膜濾過胞あり。 10月25日球結膜濾過胞あり,移植角膜厚×2,漏出わずか,8時側のみわずかに段差。 10月26日移植片角膜厚×2~2.5,浮腫(+),8時方向の漏出ほとんどなし,球結膜濾過胞あり10月27日デスメ膜皺壁(+)~(++),瀰漫性に混濁 (+),縫合しっかり,前房不明。 10月28日鼻側に段差が出てきた,前房漏出は8時のみだが増加,追加縫合が必要,移植片浮腫増加,3倍,デスメ膜皺壁(++),移植片上皮浮腫(+)。 ラクテックD500ml点滴(ン2g,アドナ50mg混注)グリセオール200ml点滴。 り,ケフラール3錠,ダー錠,ミルラクト3.0g,各日分10月29日角膜再縫合術移植片浮腫,混濁,左角膜再縫合術施行(点眼麻酔下)。10-0ナイロンで,5針追加縫合。 10月30日角膜中央より上に,後嚢がくっついている。そのための混濁あり。 リークあり。 滅菌のまま10月31日鼻上側に上皮浮腫(+)7時方向の宿主角膜縫合部より前房漏出あり滅菌のまま明。 10月28日鼻側に段差が出てきた,前房漏出は8時のみだが増加,追加縫合が必要,移植片浮腫増加,3倍,デスメ膜皺壁(++),移植片上皮浮腫(+)。 ラクテックD500ml点滴(ン2g,アドナ50mg混注)グリセオール200ml点滴。 り,ケフラール3錠,ダー錠,ミルラクト3.0g,各日分10月29日角膜再縫合術移植片浮腫,混濁,左角膜再縫合術施行(点眼麻酔下)。10-0ナイロンで,5針追加縫合。 10月30日角膜中央より上に,後嚢がくっついている。そのための混濁あり。 リークあり。 滅菌のまま10月31日鼻上側に上皮浮腫(+),7時方向の宿主角膜縫合部より前房漏出あり,内皮面 加縫合。 10月30日角膜中央より上に,後嚢がくっついている。そのための混濁あり。 リークあり。 滅菌のまま10月31日鼻上側に上皮浮腫(+),7時方向の宿主角膜縫合部より前房漏出あり,内皮面に混濁。 滅菌のまま11月1日移植角膜浮腫やや軽快,漏出わずか,前房深い。 滅菌のまま11月2日移植角膜浮腫やや軽快,縫合が緩んできた。漏出(+)。 滅菌11月3日移植片浮腫(+),前房不明,漏出(+)か。 テラマイ,眼帯11月4日移植片不変,デスメ膜皺壁(+),移植角膜厚×2,前房深い,水晶体後嚢透見可,漏出時々。 11月5日移植片不変,浮腫(+),デスメ膜皺壁(+),混濁(+),縫合緩んできている,特に下方。前房深い(よう),(はっきりした)漏出なし。 11月6日移植片落ち着いてきた感じ。前房深い(よう),(6時と7時)縫合緩んできている。漏出(-)。左眼視力=眼前手動弁。 結膜濾過胞なし。左視力=眼前手動弁~5cm指数弁。眼圧シェッツにて10mmHg前後。 11月14日移植片不変,前房漏出なし,一部被覆結膜に欠損あり。眼圧正常。 11月15日左結膜再被覆術被覆結膜がやや後退,縫合がはずれている,穴開いている。要再縫合。左結膜再被覆術施行。(9-0 VirginSilk 6針縫合)アタラックスP50mg筋注。 オール200ml,ラクテック(フルマリン2g,アドナ注)点滴11月16日かぶせた結膜が移植片角膜のエッジ縫合されている,被覆結膜は薄いが,前房水漏出なし。滅菌帯解除。左視力=眼前手動弁。 滅菌帯解除11月17日移植片全体に上皮浮腫(+),実質浮腫(+),縫合は良好,結膜被覆良好,漏出なし。眼圧触診にて左眼の方が高い。 11月18日白いベラーグ(+),穿孔部薄い結膜のみ被っている。漏出なし,再手術,必要か。 体に上皮浮腫(+),実質浮腫(+),縫合は良好,結膜被覆良好,漏出なし。眼圧触診にて左眼の方が高い。 11月18日白いベラーグ(+),穿孔部薄い結膜のみ被っている。漏出なし,再手術,必要か。 11月19日移植片混濁(+),中央のみ輪状に透明。2時から9時に血管侵入あり。 漏出なし。眼圧触診にてやや低め,薄い結膜を通して潰瘍見える。ベラーグがついてその周囲に結膜かぶっている。 11月20日被覆結膜,はずれている。漏出なし。潰瘍部の上に1枚膜様物あり。 滅菌扱い。 平成3年11月21日7時部分のホスト角膜非常に薄い,移植片混濁(+),フルオルセインの滞留(+)だが漏出なし。眼圧触診にて正常。 11月22日眼脂(+),7時部からの漏出なし。小さな穴が開いている?ベラーグ(+)。 11月23日7時に表層角膜症,血餅なし,漏出なし,縫合良好。 11月24日移植片不変,被覆部にフルオがたまる。 11月25日移植片浮腫(++),中央部後面に輪状の混濁(+),7時方向,結膜が厚くなった。血管侵入あり。RCM様の変化あり。木曜日(11/28)退院可能,6時縫合糸はずれている。 11月26日移植片不変,うしろわからない,上皮欠損やや軽快,5時から9時血管入ってきた,中央全体に膨化,フルオの滞留も減少。1時の縫合抜糸してください。 1時の縫合抜糸,点眼開始シン点眼,左×5。夜間,11月27日上皮欠損少し(+),結膜のっている。移植角膜厚×2.5~3.0倍,ほか,同じ。 夕方まで点眼中止。夕方か再開,トブラシン点眼,左11月28日第2回退院移植角膜厚×3.0倍,移植片実質に混濁あり,7時に上皮欠損あり。抜糸部からの漏出なし。退院。 12月4日移植片全体に混濁あり,6時,10時の縫合が緩い。7時にくぼみあり。 前房詳細不明。 12月25日右眼にト .0倍,移植片実質に混濁あり,7時に上皮欠損あり。抜糸部からの漏出なし。退院。 12月4日移植片全体に混濁あり,6時,10時の縫合が緩い。7時にくぼみあり。 前房詳細不明。 12月25日右眼にトブラシン点眼を使用していたときはそうでもなかったが,切れたら掻痒感がある。左眼は変わらない。1時,11時の縫合緩い,抜糸した。7時,薄い。前房詳細不明。 0.1%フルメトロン点眼,右インタール点眼,右×4,ン点眼,左×5平成4年1月6日緩い縫合なし,移植片全体に混濁(+),移植角膜厚×1.5倍,前房深い様子。7時部陥凹あるが漏出なし。眼圧シェッツにて30~32mmHg。ダイアモックスを点眼をしてだめなら手術か?,左眼移植片全体浮腫あり,後ろに後のうがくっついているダイアモックス2錠,アス4錠,各分2×7日間。0プトール点眼,左×2,0バレフリン点眼,左×21月13日前房不明。眼圧シェッツにて20mmHg。 ダイアモックス2錠,アス4錠,各分2×7日間。0プトール点眼,左×2,0バレフリン点眼,左×21月20日移植片7時のくぼみはほとんど覆われた。上皮欠損なし,縫合良好。 眼圧シェッツにて14mmHg。 1月29日移植片混濁,上皮欠損なし,縫合良好,結膜充血なし。眼圧アプラネーションにて15mmHg。内服中止。 0.5%チモプトール点眼,左0.04%ピバレフリン点眼,平成4年2月10日移植片上皮浮腫(+),実質浮腫(++),前房不明,結膜充血(+)。眼圧シェッツにて30mmHg。 0.04%ピバレフリン点眼,2月17日移植片浮腫(+),上皮欠損なし,前房不明,全周より血管侵入(+),結膜充血(+),結膜乳頭増殖(+)。 ダイアモックス1錠,アス2錠,各分2×14日間3月2日移植片全体に混濁,上皮欠損なし,前房不明 浮腫(+),上皮欠損なし,前房不明,全周より血管侵入(+),結膜充血(+),結膜乳頭増殖(+)。 ダイアモックス1錠,アス2錠,各分2×14日間3月2日移植片全体に混濁,上皮欠損なし,前房不明,結膜充血(+),眼圧シェッツにて24mmHg。 0.5%チモプトール点眼,左0.1%ピバレフリン点眼,左ダイアモックス1錠,アス2錠,各分2×14日間3月14日刺すような痛みあり。移植片全体に上皮浮腫あり,実質浮腫(+),突0.1%ピバレフリン点眼,左4月6日移植片突出,全体に混濁(+),上皮浮腫(+),前房中不明。眼圧シェッツにて27~34mmHg。 0.5%チモプトール点眼,左0.1%ピバレフリン点眼,左ダイアモックス2錠,アスパ錠,各分2×14日間4月20日移植片全体に浮腫(+),混濁(+),上皮欠損(+)。結膜充血(+),眼圧シェッツにて50~54mmHg。 0.5%チモプトール点眼,左0.1%ピバレフリン点眼,左2%サンピロ, 左×4。ダモックス2錠,アスパラK4分2×14日間5月11日眼痛なし。移植片全体に突出し,浮腫(+)。ブラーゼ(+)。結膜充血(+)。眼圧シェッツにて27~35mmHg。 0.1%ピバレフリン点眼,左2%サンピロ, 左×4。ダモックス2錠,アスパラK4分2×14日間6月1日眼圧シェッツにて37mmHg.。移植片の突出が強い,厚さ2倍,連続縫合が浮いてきている。前房不明。 すべて抜糸。眼圧はこのまをみる。0.5%チモプトー左×2,0.1%ピバレフリ左×2,2%サンピロ, 左ジテン点眼,右×4平成4年6月22日薬処方のみ,診察なし。 0.5%チモプトール点眼,左0.1%ピバレフリン点眼,左2%サンピロ, 左×4,ザ点眼,右×4。ダイアモッ錠,アスパラK4錠,各分間 ,右×4平成4年6月22日薬処方のみ,診察なし。 0.5%チモプトール点眼,左0.1%ピバレフリン点眼,左2%サンピロ, 左×4,ザ点眼,右×4。ダイアモッ錠,アスパラK4錠,各分間6月24日左眼移植片全体混濁,表層ブラーゼ(+),結膜乳頭(++)。眼圧シェッツにて43mmHg。 0.5%チモプトール点眼,左0.1%ピバレフリン点眼,左2%サンピロ, 左×4。ダクス2錠,アスパラK4錠,14日間7月17日左眼,角膜全体混濁,突出気味,結膜乳頭増殖(++),春季カタル様。 ピバレフリン点眼中止。眼圧シェッツにて31~37mmHg。 0.5%チモプトール点眼,左2%サンピロ, 左×4。ダクス2錠,アスパラK4錠,14日間。採血,生化18月3日左眼,全体に混濁,前房不明,上皮欠損なし,やや突出気味。眼圧シェッツにて37~42mmHg。 0.5%チモプトール点眼,左2%サンピロ, 左×4,ザ眼,両×4。ダイアモックアスパラK4錠,各分2×18月26日移植片全体に混濁,全周より血管侵入,前房不明,結膜乳頭増殖(++)。眼圧シェッツにて27~30mmHg。 0.5%チモプトール点眼,左2%サンピロ, 左×4,ザ眼,両×4,1%コンドロ3。ダイアモックス2錠,アK4錠,各分2×14日間9月16日移植片全体に混濁,全周より血管侵入,不変。眼圧シェッツにて23mmHg。 0.5%チモプトール点眼,左2%サンピロ, 左×4,ザ眼,両×3,1%コンドロ4。ダイアモックス2錠,アK4錠,各分2×14日間10月12日左眼,重い感じ,眼圧が上がったようだ。移植片全体に混濁,突出気味,全周血管侵入,前房不明,結膜充血(+),乳頭増殖(+)。眼圧シェッツにて39~42mmHg。 0.5%チモプトール点眼,左2%サンピ ,重い感じ,眼圧が上がったようだ。移植片全体に混濁,突出気味,全周血管侵入,前房不明,結膜充血(+),乳頭増殖(+)。眼圧シェッツにて39~42mmHg。 0.5%チモプトール点眼,左2%サンピロ, 左×4,ザ眼,両×4,1%コンドロ4。ダイアモックス2錠,アK4錠,各分2×14日間10月26日左眼,眼底反射なし,全周血管侵入,上皮下のブラーゼ(+),球結膜濾過胞なし,鼻側は角膜ブドウ腫様に盛り上がっている。左眼視力=Bモード,網膜電図。0.5トール点眼,左×2,2%サ眼,両,%ド3。ダイアモックス2錠,アK4錠,各分2×14日間9月16日移植片全体に混濁,全周より血管侵入,不変。眼圧シェッツにて23mmHg。 0.5%チモプトール点眼,左2%サンピロ, 左×4,ザ眼,両×3,1%コンドロ4。ダイアモックス2錠,アK4錠,各分2×14日間10月12日左眼,重い感じ,眼圧が上がったようだ。移植片全体に混濁,突出気味,全周血管侵入,前房不明,結膜充血(+),乳頭増殖(+)。眼圧シェッツにて39~42mmHg。 0.5%チモプトール点眼,左2%サンピロ, 左×4,ザ眼,両×4,1%コンドロ4。ダイアモックス2錠,アK4錠,各分2×14日間10月26日左眼,眼底反射なし,全周血管侵入,上皮下のブラーゼ(+),球結膜濾過胞なし,鼻側は角膜ブドウ腫様に盛り上がっている。左眼視力=光覚弁,虹彩癒着がどの程度あるか調べるよう中田医師に指示。 Bモード,網膜電図。0.5トール点眼,左×2,2%サロ, 左×4,ザジテン点眼4,1%コンドロン,両×4アモックス2錠,アスパラ各分2×14日間11月9日薬処方のみ,診察なし。 ザジテン点眼,両×4平成4年11月16日左眼,移植片全体の膨化,混濁,全周より血管侵入 4,1%コンドロン,両×4アモックス2錠,アスパラ各分2×14日間11月9日薬処方のみ,診察なし。 ザジテン点眼,両×4平成4年11月16日左眼,移植片全体の膨化,混濁,全周より血管侵入(+),角膜ブドウ腫様盛り上がり。眼圧シェッツにて35mmHg。 0.5%チモプトール点眼,左2%サンピロ, 左×4,ザ眼,両×4,1%コンドロ 12月15日左眼,全体に混濁,全周により血管侵入,突出気味。眼圧シェッツにて31mmHg。 0.5%チモプトール点眼,左ザジテン点眼,両×4,ダクス2錠,アスパラK4錠,14日間平成5年1月5日緊急電話:12月末より右眼コンタクトレンズをつけたとき,刺すような痛みあり。すぐにはずれる。だぶって見えるし,視力も落ちた。明日診察希望。 1月6日右眼,角膜中央表層角膜炎(+),フライシャーリング(+),前房深い。 ハードコンタクトレンズの端が欠けている。痛みはこのせい。左眼,角膜ブドウ腫様に突出,ブラーゼ(+),全周より侵入血管(+)。眼圧シェッツにて35~40mmHg。 ザジテン点眼,両×41月11日右眼,ハードコンタクトレンズがはずれてしまう。右眼視力=矯正1.0。左眼,全体に混濁,血管が入ってきている。左眼,線維柱帯切除をやりましょう。 左眼,線維柱帯切除を計画回,手術時期について相談チモプトール点眼,左×2ンピロ, 左×4,ザジテン両×4,ダイアモックス2錠パラK4錠,各分2×14日間2月1日左眼,移植片全体の混濁,全周血管侵入。 3月19日(金)入院,翌週維柱帯切除術の予定。ザジ眼,両×4,ダイアモックアスパラK4錠,各分2×12月25日左眼,移植片全体の混濁,全周より血管侵入,角膜ブドウ腫様に突出。 ザジテン点眼,両×4。左緑内障手術にて入院予約。 身検査 ザジ眼,両×4,ダイアモックアスパラK4錠,各分2×12月25日左眼,移植片全体の混濁,全周より血管侵入,角膜ブドウ腫様に突出。 ザジテン点眼,両×4。左緑内障手術にて入院予約。 身検査3月19日第3回入院左眼視力=光覚弁(±)。 入院3月20日左眼,移植片混濁(+),眼底詳細不明,眼圧シェッツにて43mmHg。 3月21日左眼,全周血管侵入,中央にブラーゼ。 3月22日左眼,10時に角膜ブドウ腫,移植片混濁,血管侵入,前房,前房細胞不明。 超音波BモードPL顆粒3.0g,ブルフェン分3×3日分。ノフロ点眼,2%サンピロ点眼,左×4,ン点眼,両×4,ダイアモ錠,アスパラK4錠,各分平成5年3月23日第2回緑内障手術痛くない,かゆい。左眼,局所麻酔下にて線維柱帯切除術施行。 昼,ダイアモックス1錠内服サンピロ点眼,ジクロード左×20分毎,グリセオールラクテックD500ml(フルg,アドナ50mg混注)点滴より,セフゾン3カプセルビット3錠,ラックビー3.分3×5日間3月24日左眼,前房不明,角膜混濁,前房漏出なし,眼圧触診で低め。 滅菌帯解除,0.1%リンデ眼,左×5,ノフロ点眼,P点眼,各左×3,5-フルシル0.1ml結膜下注射3月25日左眼,2時に球結膜濾過胞あり,縫合良好,眼圧シェッツにて13~18mmHg5-フルオロウラシル0.1ml射(3/28まで)4月1日球結膜濾過胞再建術局所麻酔下にて,左眼,球結膜濾過胞再建術施行。 昼,ダイアモックス1錠内服サンピロ点眼,ジクロード左×20分毎,グリセオールラクテックD500ml(フルg,アドナ50mg混注)点滴より,セフゾン3カプセルビット3錠,ラックビー3.分3×5日間。術後,0.5%トール点眼,中止4月2日球結膜濾過胞良 グリセオールラクテックD500ml(フルg,アドナ50mg混注)点滴より,セフゾン3カプセルビット3錠,ラックビー3.分3×5日間。術後,0.5%トール点眼,中止4月2日球結膜濾過胞良い,角膜全周から血管侵入,全体に混濁。眼圧シェッツにて4mmHg以下。漏出なし,縫合良い滅菌帯解除,0.1%リンデ眼,左×5,ノフロ点眼,P点眼,各左×3平成5年4月3日球結膜濾過胞,盛り上がっている,漏出なし,前房不明,眼圧シェッツにて4mmHg以下。 4月4日第3回退院球結膜濾過胞薄い,縫合良好,眼圧シェッツにて4mmHg以下。退院。 ノフロ点眼,0.1%リンデ眼,各左×54月6日左眼,角膜全体混濁,1時球結膜濾過胞わずか,結膜充血(+),眼圧シェッツにて10~12mmHg以下。 ノフロ点眼,左×3,0.1%ロンA点眼,左×24月13日電話あり:眼圧が上昇している。 Dr.Pより,4/14 13:304月14日球結膜濾過胞(±),角膜白斑,眼圧シェッツにて37mmHg。 左眼,マッサージ,5-フルラシル0.1ml結膜下注射,ンデロンA点眼中止,0.1%トロン点眼左×4,ザジテ両×44月16日角膜不変,球結膜濾過胞なし,眼圧シェッツにて37~38mmHg。 左眼,マッサージ,5-フルラシル0.1ml結膜下注射,モプトール点眼,左×24月20日球結膜濾過胞なし,角膜全体に混濁,結膜充血なし。眼圧低い,シェッツ測定不能。 0.5%チモプトール点眼,4月27日眼圧が高いときより視野が広くなった気がする。角膜全体に混濁,眼圧触診にて低めBモード,網膜電図。ザジ眼,両×45月11日左眼,不変,移植片混濁,結膜充血なし,眼圧触診にて低め。 0.1%フルメトロン点眼,左ザジテン点眼,両×46月8日視野は広いが,光と 診にて低めBモード,網膜電図。ザジ眼,両×45月11日左眼,不変,移植片混濁,結膜充血なし,眼圧触診にて低め。 0.1%フルメトロン点眼,左ザジテン点眼,両×46月8日視野は広いが,光としては弱くなっている。移植片全体に混濁,眼圧触診でもシェッツでも低め。左眼視力=光覚弁(+)。 ザジテン点眼,両×47月16日移植片全体に混濁,眼球萎縮傾向。 ザジテン点眼,両×48月9日左眼,眼球陥凹,角膜平坦化,鼻側から血管侵入,中央混濁のため見づらい,前房わかりずらい,眼圧低め,左眼視力=光覚弁(+)。 Bモード,4月と比べる。 で眼軸長を確認する。左眼表層移植目的にて再入院予4月27日眼圧が高いときより視野が広くなった気がする。角膜全体に混濁,眼圧触診にて低めBモード,網膜電図。ザジ眼,両×45月11日左眼,不変,移植片混濁,結膜充血なし,眼圧触診にて低め。 0.1%フルメトロン点眼,左ザジテン点眼,両×46月8日視野は広いが,光としては弱くなっている。移植片全体に混濁,眼圧触診でもシェッツでも低め。左眼視力=光覚弁(+)。 ザジテン点眼,両×47月16日移植片全体に混濁,眼球萎縮傾向。 ザジテン点眼,両×48月9日左眼,眼球陥凹,角膜平坦化,鼻側から血管侵入,中央混濁のため見づらい,前房わかりずらい,眼圧低め,左眼視力=光覚弁(+)。 Bモード,4月と比べる。 で眼軸長を確認する。左眼表層移植目的にて再入院予前全身検査8月24日左眼,不変。 左角膜表層移植目的にて入ンタール点眼両×4,0.1%ロンA右×2平成5年9月9日第4回入院表層角膜移植術左眼,局所麻酔下,表層角膜移植術施行,前房消失のため水晶体前のうと癒着する,一部水晶体前嚢露出。 昼,ダイアモックス1錠内服サンピロ点眼,ジクロード左×2 9月9日第4回入院表層角膜移植術左眼,局所麻酔下,表層角膜移植術施行,前房消失のため水晶体前のうと癒着する,一部水晶体前嚢露出。 昼,ダイアモックス1錠内服サンピロ点眼,ジクロード左×20分毎,グリセオールラクテックD500ml(フルg,アドナ50mg混注)点滴より,ケフラール3カプセルビット3錠,ラックビー3.分3×5日間フトンタクトレンズ,フィッティング良好,結膜充血なし,毛様充血(+),移植片表層に侵入血管あり,縫合半分残っている。 4月28日左眼,虹彩前癒着(+),前房不明,眼圧(アプラネーション),15mmHg。 ザジテン点眼,両×4平成6年5月27日薬のみ,診察なし。 ザジテン点眼,両×46月28日薬のみ,診察なし。 ザジテン点眼,両×47月4日左眼,角膜上に血の固まりができている,しみる感じあり。中央が赤く見えた。左眼,角膜中央に血管が入る,移植片,フルオレセインなし。 7月29日左眼,移植片混濁(++),全周から新生血管(+),前房不明。眼圧10mmHg網膜電図,ザジテン点眼,コリマイC点眼8月9日薬のみ,診察なし。 ザジテン点眼,両×4

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る