昭和22(つ)4 住居侵入、強盗被告事件につきなした保釈取消決定に対する抗告

裁判年月日・裁判所
昭和22年12月8日 最高裁判所第一小法廷 決定 棄却 広島高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      本件抗告を棄却する。          理    由  弁護人藤井稔抗告理由は「右被告事件ニ付保釈出所中ノ処昭和二十二年八月二十 八日御庁ニ於テ住所制限ニ反シタルノ故ヲ以テ保釈

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判決文本文2,410 文字)

主    文      本件抗告を棄却する。          理    由  弁護人藤井稔抗告理由は「右被告事件ニ付保釈出所中ノ処昭和二十二年八月二十 八日御庁ニ於テ住所制限ニ反シタルノ故ヲ以テ保釈ヲ取消シ保証金全部ヲ没収スル 旨ノ決定ヲ受ケ目下広島刑務所ニ拘禁サレテ居リマスカ被告人ハ保釈出所後常ニ玉 野市ナル父母ノ許ニ在リ住居制限ニ反シタルコトナク今回犯罪ノ嫌疑ヲ受ケ宇野警 察署ニ留置セラレタルモ該事件ハ岡山地方検察庁ヨリ御庁へ参考記録トシテ送付セ ラレタル一件記録ニ依リ明カナルカ如ク罪トナラサルモノニシテ此事件ノ為メ折角 父母ノ許ニ於テ厳重ナル監督ヲ受ケ謹慎シ居リタル被告人カ保釈ヲ取消サレタルハ 寔ニ当ヲ得サルモノニシテ前記決定ハ取消サルヘキモノト思料ス仮ニ犯罪ノ嫌疑ヲ 受ケ警察署ニ留置セラレ逃走ノ虞アルモノト認メラレタトシテモ既ニ右事件ハ不問 ニ付セラレタル今日保釈ヲ取消サルヽノ謂レナク殊ニ保証金全部ヲ没収セラルヽコ トハ赤貧ナル被告人ノ家庭ニ取リテハ一大痛恨事ニシテ忍ヒ難キトコロテアリマス 幸ニシテ右決定ヲ取消サレ被告人ヲ釈放セラレマスレハ父母ニ於テ一層厳重ニ監督 シ過誤ナキヲ期シ公判期日ヲ待ツヘク何卒以上ノ事情ヲ十分御賢察下サレ特別ノ御 詮議ヲ以テ保釈取消決定ヲ取消サレ被告人ヲ釈放下サイマス様切ニ御願ヒ致シマス」 というにある。  しかし、裁判所法第七条によれば、最高裁判所は、上告の外「訴訟法において特 に定める抗告」について、裁判権を有するのであるが、ここにいう「訴訟法におい て特に定める抗告」とは、日本国憲法の施行に伴う民事訴訟法の応急的措置に関す る法律第七条又は日本国憲法の施行に伴う刑事訴訟法の応急的措置に関する法律第 十八条に定めた抗告のように訴訟法において特に最高裁判所の権限に属するものと 定められた抗告をいうのである。訴訟法にかような特別の定めのあ 又は日本国憲法の施行に伴う刑事訴訟法の応急的措置に関する法律第 十八条に定めた抗告のように訴訟法において特に最高裁判所の権限に属するものと 定められた抗告をいうのである。訴訟法にかような特別の定めのあるものを除いて - 1 - は、高等裁判所の決定及び命令に対する抗告を含まないものと解さなければならな い。けだし裁判所法中、高等裁判所の裁判権に関する第十六条第二号には「第七条 第二号の抗告を除いて、地方裁判所の決定及び命令に対する抗告」とあり、又地方 裁判所の裁判権に関する第二十四条第三号には「第七条第二号の抗告を除いて、簡 易裁判所の決定及び命令に対する抗告」とあるのに対比すれば、若し最高裁判所の 裁判権が、高等裁判所の決定及び命令に対する抗告を含むものとするときは、最高 裁判所の裁判権に関する第七条第二号には、「高等裁判所の決定及び命令に対する 抗告」と定むべきであり、又さように定めたであらう。そればかりでなく、高等裁 判所が第一審又は第二審としてした決定及び命令に対する抗告に限るか又は高等裁 判所が第三審として決定及び命令に対する抗告をも含むかについて、明らかに定む べきであつたらう(裁判所構成法第五十条参照)。しかるに、同条には単に「訴訟 法において特に定める抗告」といつて原審裁判所等を掲げない特殊の表現を用いて いる点より見ればその意義を前述のように解する外はないのである。かかる字句は、 従来裁判所の裁判権を定めていた裁判所構成法第二十七条第三十七条第五十条にも 用いられていなかつた全く新しい特殊な表現であつて、「特に」の意義は、特に最 高裁判所の権限に属するものと定められた抗告を意味することは、かかる沿革に照 らしても窺い知ることができる。更に又、裁判所法第八条には「最高裁判所は、こ の法律に定めるものの外、他の法律において特に定める権限を有する」とあるが、 こ められた抗告を意味することは、かかる沿革に照 らしても窺い知ることができる。更に又、裁判所法第八条には「最高裁判所は、こ の法律に定めるものの外、他の法律において特に定める権限を有する」とあるが、 ここに「特に定める権限」とは、特に最高裁判所に属すると定められた権限を意味 することは、まことに事理明日であつて、「特に」の意義は、この場合も第七条第 二号の場合も同様である(なお、第十七条、第二十五条、第三十四条参照)。  要するに、裁判所法は、最高裁判所の使命任務の重要性に鑑み、その負担を軽減 するため、一般的に見て比較的重要でない抗告について制限を設けたものと解する を相当とする。そして訴訟法応急的措置に関する前記法律において、憲法適否の問 - 2 - 題についてのみ特に最高裁判所に抗告する道を設けたものである。その他の法律に おいて特に最高裁判所に抗告を許している規定は、現存していない。  さて、本件についてみるに、その抗告理由は、原決定において、法律、命令、規 則又は処分が憲法に適合するかしないかについてした判断が不当であることを問題 としているものでないことは、抗告状自体により明かである。それ故、本件抗告は、 これを不適法として棄却すべきものとし、刑事訴訟法第四百六十六条に則り主文の とおり決定する。  右決定は裁判官全員の一致した意見である。   昭和二十二年十二月八日      最高裁判所第一小法廷          裁判長裁判官    真   野       毅             裁判官    沢   田   竹 治 郎             裁判官    斎   藤   悠   輔             裁判官    岩   松   三   郎 - 3 - 斎   藤   悠   輔             裁判官    岩   松   三   郎 - 3 -

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